JP2018531483A6 - 設計された微小構造を有する剥離性ケーブルジャケット及び設計された微小構造を有する剥離性ケーブルジャケットを製作するための方法 - Google Patents

設計された微小構造を有する剥離性ケーブルジャケット及び設計された微小構造を有する剥離性ケーブルジャケットを製作するための方法 Download PDF

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Abstract

導体と、導体を少なくとも部分的に取り囲む剥離性重合体被覆物とを備える被覆導体であって、剥離性重合体被覆物が1〜8本の微小毛細管を備え、その微小毛細管は重合体被覆物の重合体マトリクス材料よりも低い曲げ弾性率を有するエラストマー系重合体を含む、被覆導体。また、かかる被覆導体を製作するための方法が開示される。
【選択図】なし

Description

関連出願の参照
本出願は、2015年9月28日に出願された米国仮出願第62/233,628号の利益を主張する。
本発明の様々な実施形態は、容易な剥離を可能にする微小毛細管構造を有するケーブル被覆物及びジャケットに関する。
ケーブルは、しばしば接続及び設置の容易さのため、コアへのアクセスを必要とする。一般に、ケーブルは内部構成要素を最大限保護するように設計され、強靭な材料の使用を必要とする。結果として、接続または設置の間に、かかる内部構成要素にアクセスするためにケーブル被覆物を裂くことは困難である。例えば、ケーブルを接続するとき、当該分野の設置者は、典型的に、ジャケットを切り開くために鋭い切断工具を使用しなければならず、その後ケーブルの内部構成要素にアクセスするために特別な工具を使用する。ネットワークの設置及びその後の保守作業またはケーブルの取り替えの費用は、接続の容易さのために内部構成要素に容易にアクセスできるケーブルを使用することで、低減され得る。内部構成要素への容易なアクセスを有するケーブルジャケットを提供するいくつかの試みが行われてきたが、かかる進歩はしばしばジャケットの機械特性を犠牲にして行われる。
一実施形態は、被覆導体であり、当該被覆導体は、
(a)導体と、
(b)前記導体の少なくとも一部を取り囲む剥離性重合体被覆物と、を備え、
前記剥離性重合体被覆物が、重合体マトリクス材料と、実質的に前記剥離性重合体被覆物の伸長方向に延在する1〜8本の範囲にある微小毛細管とを備え、
前記微小毛細管が、前記重合体マトリクス材料よりも低い曲げ弾性率を有するエラストマー系重合体を含む。
添付の図面を参照する。
微小毛細管膜を製造するためのダイアセンブリを有する押出機の部分断面斜視図である。 微小毛細管膜の長手方向断面図である。 微小毛細管膜の断面図である。 微小毛細管膜の断面図である。 微小毛細管膜の立面図である。 図2Bに示される微小毛細管膜の長手方向断面図の区分2Eである。 微小毛細管膜の分解組立図である。 特に単一層の実施形態を描写する微小毛細管膜の断面図である。 それぞれ、共押出される多層環状微小毛細管製品及び空気を充填した多層環状微小毛細管製品を製造するための環状ダイアセンブリを含む押出機アセンブリの様々な構成の概略斜視図である。 それぞれ、共押出される多層環状微小毛細管製品及び空気を充填した多層環状微小毛細管製品を製造するための環状ダイアセンブリを含む押出機アセンブリの様々な構成の概略斜視図である。 流体が中に入った微小毛細管を有する微小毛細管膜の概略図である。 共押出された微小毛細管膜の断面図である。 発明に関する空気を充填した微小毛細管膜の断面図である。 ダイアセンブリから押出された環状微小毛細管チューブの概略図である。 環状微小毛細管チューブの斜視図である。 環状微小毛細管チューブの斜視図である。 非対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 非対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 非対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 非対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 対称流動構成における環状ダイアセンブリの、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図である。 環状ダイアセンブリのためのダイインサートの斜視図である。
本開示は、環状微小毛細管製品を生産するためのダイアセンブリ及び押出機に関する。かかる環状微小毛細管製品は、例えば、伝導性コアを取り囲む重合体被覆物(例えば、ジャケット)または重合体保護構成要素の少なくとも一部を形成することなどによって、ワイヤ及びケーブル製品を作製する際に使用され得る。
ダイアセンブリは、マニホルド間に位置付けられた環状ダイインサートであって、熱可塑性材料の層を押出すためにそれらの間の材料流動チャネルを画定する環状ダイインサートを含む。ダイインサートは、熱可塑性材料の押出された層間の微小毛細管内への微小毛細管材料の挿入のために外面上に微小毛細管流動チャネルを有する先端部を有する。微小毛細管は、種々の材料、例えば、他の熱可塑性材料もしくはエラストマー系材料などを含有してもよいし、または単純に空隙空間(すなわち、例えば空気などの気体を含有する)微小毛細管であってもよい。環状微小毛細管製品を生産するためのダイアセンブリは、微小毛細管膜を生産するためのダイアセンブリの変形であり、両方が以下に詳細に記載される。
微小毛細管膜押出機
図1は、微小毛細管(103)を有する重合体膜(110)を形成するために使用される押出機例(100)を描写する。押出機(100)は、材料用筐体(105)、材料ホッパー(107)、スクリュー(109)、ダイアセンブリ(111)、及び電子機器(115)を含む。押出機(100)は、材料用筐体(105)内のスクリュー(109)を明らかにするために、部分的に断面で示される。スクリュー型押出機が描写されるが、種々の押出機(例えば、単軸スクリュー、2軸スクリュー等)が、押出機(100)及びダイアセンブリ(111)を通して材料の押出しを行うために使用されてもよい。1つ以上の押出機が、1つ以上のダイアセンブリと共に使用されてもよい。電子機器(115)が、例えば、コントローラ、プロセッサ、モータ、及び押出機を動作させるために使用される他の機器を含み得る。
原材料(例えば、熱可塑性材料)(117)が、材料ホッパー(107)の中に置かれ、混合のために筐体(105)の中に通される。原材料(117)は、加熱され、押出機(100)の筐体(105)内に回転式に位置付けられたスクリュー(109)の回転によって混合される。モータ(121)が、原材料(117)を前進させるためにスクリュー(109)または他のドライバを駆動するために提供され得る。熱及び圧力が、それぞれ、熱源T及び圧力源P(例えば、スクリュー(109))から概略的に描写されるように、混合された材料に加えられ、矢印によって示されるように、原材料(117)を、ダイアセンブリ(111)の中へ通させる。原材料(117)は、溶融され、押出機(100)及びダイアセンブリ(111)を通して運ばれる。溶融した原材料(117)は、ダイアセンブリ(111)を通過し、(本明細書において「プロファイル」として呼ばれる)所望の形状及び断面に形成される。ダイアセンブリ(111)は、本明細書に更に記載されるように、溶融した原材料(117)を重合体膜(110)の薄いシートの中に押出すように構成され得る。
微小毛細管膜
図2A〜2Fは、例えば、図1の押出機(100)及びダイアセンブリ(111)によって生産され得る、多層膜(210)の様々な図を描写する。図2A〜2Fに示されるように、多層膜(210)は、微小毛細管膜である。多層膜(210)は、熱可塑性材料の多層(250a、b)で構成されるように描写される。膜(210)はまた、層(250a、b)の間に位置付けられたチャネル(220)を有する。
多層膜(210)はまた、図2Cに示されるような伸長プロファイルを有し得る。このプロファイルは、その厚さTと比べてより広い幅Wを有するように描写される。厚さTは、100〜2,000μm(例えば、250〜2000μm)の範囲にあり得る。チャネル(220)は、50〜500μm(例えば、100〜500μm、または250〜500μm)の範囲にある寸法φ(例えば、幅または直径)を有し得、かつ50〜500μm(例えば、100〜500μm、または250〜500μm)の範囲にあるチャネル(220)間の間隔Sを有し得る。加えて、選定された寸法が、比例的に画定されてもよい。例えば、チャネル寸法φは、厚さTの約30%の直径であってもよい。
示されるように、層(250a、b)は、マトリクス熱可塑性材料でできており、チャネル(220)は、チャネル流体(212)をその中に有する。チャネル流体は、本明細書において更に記載されるように、例えば、様々な材料、例えば、空気、気体、重合体等などを含み得る。多層膜(210)の各層(250a、b)は、様々な重合体、例えば、本明細書において更に記載されるものなどででき得る。各層は、同じ材料または異なる材料でできてもよい。2つの層(250a、b)のみが描写されるが、多層膜(210)は、任意の数の層を有してもよい。
同じ熱可塑性材料が層(250a、b)のために利用される場合には、単一層(250)が、ダイを出る少し前の溶融状態での合体における同じ重合体から成るマトリクス層の2つの流れの融合に起因して、最終製品を結果としてもたらし得ることに留意されたい。この現象は、図2Gに描写される。
チャネル(220)は、微小毛細管(252)をその中に画定するために1つ以上の組の層(250a、b)の間に位置付けられ得る。チャネル流体(212)は、チャネル(220)内に提供され得る。多数のチャネル(220)が、所望に応じて提供されてもよい。多層はまた、同じもしくは異なるプロファイル(または断面)を有してもよい。特性、例えば、膜(210)の層(250a、b)及び/またはチャネル(220)の形状などが、本明細書においてより十分に記載されるように、マトリクス材料を押出すために使用されるダイアセンブリの構成によって画定され得る。
微小毛細管膜(210)は、第1の端部(214)及び第2の端部(216)を有する。1つ以上のチャネル(220)が、第1の端部(214)から第2の端部(216)にマトリクス(218)に並列に配置される。1つ以上のチャネル(220)は、少なくとも250μmの直径、または250〜1990μm、250〜990μm、250〜890μm、250〜790μm、250〜690μm、もしくは250〜590μmの範囲にある直径を有することができる。1つ以上のチャネル(220)は、円形、長方形、楕円形、星形、ダイヤモンド形、三角形、正方形、五角形、六角形、八角形、同様のもの、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される断面形状を有し得る。
マトリクス(218)は、1つ以上のマトリクス熱可塑性材料を含む。かかるマトリクス熱可塑性材料は、限定されるものではないが、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド(例えば、ナイロン6)、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、及びポリエステルを含む。マトリクス熱可塑性材料の具体的な例は、「Microcapillary Films and Foams Containing Functional Filler Materials」と題されたPCT特許出願公開第WO2012/094315号の5〜11頁に列挙されたものを含み、それらは、参照によって本明細書に組み込まれる。
1つ以上のチャネル流体(212)は、種々の流体、例えば、空気、他の気体、またはチャネル熱可塑性材料などを含み得る。チャネル熱可塑性材料は、限定されるものではないが、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド(例えば、ナイロン6)、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、及びポリエステルを含む。上述されたマトリクス(218)材料と同様に、チャネル流体(212)としての使用に適した熱可塑性材料の具体的な例は、PCT特許出願公開第WO2012/094315号の5〜11頁に列挙されたものを含む。
環状微小毛細管製品の押出機アセンブリ
図3A及び3Bは、微小毛細管(303)を有する多層の環状微小毛細管製品(310a、b)を形成するために使用される押出機アセンブリ例(300a、b)を描写する。押出機アセンブリ(300a、b)は、その押出機アセンブリ(300a、b)が複数の押出機(100a、b、c)を含むことを除いて、図1の押出機(100)に類似し得、組み合わされる環状微小毛細管共押出ダイアセンブリ(311a、b)が、それに動作可能に接続される。環状ダイアセンブリ(311a、b)は、環状微小毛細管製品、例えば、図4A〜4Cに示されるような膜(310)、図5、6A、及び6Bに示されるようなチューブ(310a)、及び/または図3Bに示されるような成形形状(310b)などを押出すように構成されたダイインサート(353)を有する。
図3Aは、3つの押出機(100a、b、c)が、組み合わされた環状微小毛細管共押出ダイアセンブリ(311a)に動作可能に接続されている、押出機アセンブリ(300a)の第1の構成を描写する。ある実施例では、3つの押出機のうちの2つが、環状微小毛細管製品(310a)の層を形成するために熱可塑性材料(例えば、重合体)(117)をダイアセンブリ(311a)に供給するために使用されるマトリクス押出機(100a、b)であってもよい。第3の押出機は、微小毛細管材料、例えば、熱可塑性材料(例えば、融解重合体)(117)などを微小毛細管(303)の中に提供して、微小毛細管相(またはコア層)をその中に形成するための微小毛細管(またはコア層)押出機(100c)であり得る。
ダイインサート(353)は、ダイアセンブリ(311a)内に提供され、押出機(100a、b、c)からの熱可塑性材料(117)を環状微小毛細管製品(310a)に組み合わせる。図3Aに示されるように、環状微小毛細管製品は、ダイインサート(353)を通って上向きにかつダイアセンブリ(311a)から押出される吹き込み成形チューブ(310a)であり得る。流体源(319a)からの環状流体(312a)は、図3Aに示されるように押出しの間に環状微小毛細管チューブ(310a)を形作るために環状微小毛細管製品(310a)を通過されてもよいし、あるいは環状微小毛細管成形物(または成形製品)、例えば、図3Bに示されるようなボトル(310b)などの形態で、環状微小毛細管製品を生産するように構成された成形具(354)を備えられてもよい。
図3Bは、押出機アセンブリ(300b)の第2の構成を示す。押出機アセンブリ(300b)は、微小毛細管押出機(100c)が微小毛細管流体源(319b)と交換されていることを除いて、押出機アセンブリ(300a)に類似する。押出機(100a、b)は、(図3Aの実施例におけるように)熱可塑性材料を押出し、微小毛細管流体源(319b)は、ダイアセンブリ(311b)のダイインサート(353)を通して微小毛細管材料を微小毛細管流体(312b)の形態で吹き出し得る。2つのマトリクス押出機(100a、b)は、熱可塑性層を出して、微小毛細管流体源(319b)は、微小毛細管流体(312b)を、環状微小毛細管製品(310b)を形成するために、それらの間の微小毛細管(303)の中に噴き出す。このバージョンでは、環状ダイアセンブリ(311b)が、図3Aにおけるように膜もしくは吹込製品を形成し得るか、または環状微小毛細管成形物、例えば、ボトル(310b)などの形態で、環状微小毛細管製品を生産するように構成された成形具(354)を備えられ得る。
図3A及び3Bは、別個の材料用筐体(105)、材料ホッパー(107)、スクリュー(109)、電子機器(115)、モータ(121)を有するような各押出機(100a、b、c)を示すが、押出機(100)の一部または全てが、組み合わされてもよい。例えば、押出機(100a、b、c)は、それら自体のホッパー(107)をそれぞれ有し得、かつ一定の構成要素、例えば、電子機器(115)及びダイアセンブリ(311a、b)などを共有してもよい。いくつかの場合では、流体源(319a、b)が、同じ流体(312a、b)、例えば、空気などを提供する同じ流体源であってもよい。
ダイアセンブリ(311a、b)は、所望の配向、例えば、図3Aに示されるような垂直直立位置、図3Bに示されるような垂直下向き位置、または図1に示されるような水平位置などにおいて、押出機(100a、b、c)に動作可能に接続され得る。1つ以上の押出機が、層を形成する重合体マトリクス材料を提供するために使用され得、1つ以上の材料源、例えば、押出機(100c)及び/または微小毛細管流体源(319b)などが、微小毛細管材料を提供するために使用され得る。更に、以下により詳細に記載されるように、ダイアセンブリは、伝導性コアとの共押出のためにクロスヘッド位置に構成されてもよい。
環状微小毛細管製品
図4A〜4Cは、例えば、図3A及び/または3Bの押出機(300a、b)ならびにダイアセンブリ(311a、b)によって生産された膜(310、310’)の形態にあり得る環状微小毛細管製品の様々な図を描写する。図4A及び4Bに示されるように、環状微小毛細管製品(310)は、環状微小毛細管製品(310)が、環状ダイアセンブリ(311a、b)から、その中に微小毛細管(303、303’)を有する重合体マトリクス層(450a、b)の中に形成されることを除いて、膜(210)に類似し得る。重合体マトリクス層(450a、b)は、環状微小毛細管製品(310)の重合体マトリクス(418)を集合的に形成する。層(450a、b)は、その中に微小毛細管(303)を画定する並列の線形チャネル(320)を有する。
図4B及び4Cに示されるように、環状微小毛細管製品(310、310’)は、その中に様々な微小毛細管材料(117)または微小毛細管流体(312b)を伴って押出され得る。微小毛細管は、様々な断面形状を有するチャネル(320、320’)内に形成され得る。図4Bの実施例では、チャネル(320)が、その中に微小毛細管材料(117)を有する微小毛細管(303)を画定する弧状断面を有する。微小毛細管材料(117)は、重合体マトリクス(418)を形成するマトリクス層(450a、b)の間のチャネル(320)内にある。微小毛細管材料(117)は、重合体マトリクス層(450a、b)の間にコア層を形成する。
図4Cの実施例では、チャネル(320’)が、その中に微小毛細管材料(312b)を有する微小毛細管(303’)を画定する楕円断面などを有する。微小毛細管材料(312b)は、重合体マトリクス(418)を形成する層(450a、b)の間のチャネル(320’)内の流体(例えば、空気)として描写される。
上記した膜と同様に、環状微小毛細管製品は同じマトリクス材料が層(450a、b)のために利用されるときに、単一層製品の形態を取ることができることに留意されたい。これは、ダイを出る少し前の溶融状態での合体におけるマトリクス層の2つの流れの融合に起因する。
本明細書に記載されるような環状微小毛細管製品を形成するために使用される材料は、所与の用途のために選択され得る。例えば、材料は、プラスチック、例えば、熱可塑性または熱硬化性材料などであってもよい。熱可塑性材料が利用されるとき、重合体マトリクス(418)を形成する熱可塑性材料(117)及び/または微小毛細管材料(117)は、上記したような膜(210)を形成する際に有用な材料から選択されてもよい。したがって、環状微小毛細管製品は、様々な材料、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)などでできていてもよい。例えば、図4A及び4Bにおいて、重合体マトリクス(418)は、低密度ポリエチレンであってもよいし、微小毛細管材料(117)は、ポリプロピレンであってもよい。別の実施例として、図4Cでは、重合体マトリクス(418)が、微小毛細管材料(312b)として空気を用いる低密度ポリエチレンででき得る。
図5を参照すると、流体源(319a)は、押出しの間にチューブ形状を支持するために環状微小毛細管製品(310a)を通して環状流体(例えば、空気)(312a)を通過させ得る。ダイアセンブリ(311a)は、多層の環状微小毛細管製品(310a、310a’)を図6A〜6Bに示されるようなチューブ形状に形成し得る。
また、図6A及び6Bによって示されるように、多層の環状微小毛細管製品(310a、310a’)の一部を形成する熱可塑性材料は、変動され得る。図4A、4B、及び6Aに示される実施例では、重合体マトリクス(418)を形成する層(450a、b)が、黒色のチャネル(320)及び白色の重合体マトリクス(418)によって概略的に表わされるように、微小毛細管(303)内の微小毛細管材料(117)とは異なる材料を有し得る。別の実施例では、図6Bに示されるように、重合体マトリクス(418)及びチャネル(320)が共に黒色として描写されるように、重合体マトリクス(418)を形成する層(450a、b)及び微小毛細管(303)内の材料が、同じ材料、例えば、低密度ポリエチレンなどでできていてもよい。
環状微小毛細管製品のためのダイアセンブリ
図7A〜9Dは、ダイアセンブリ(311)として使用可能なダイアセンブリ(711、811、911)の構成例を描写する。図7A〜9Dは可能なダイアセンブリ構成の実施例を示すが、様々な実施例の組み合わせ及び/または変形が、所望の多層の環状微小毛細管製品、例えば、図4A〜6Bの実施例に示されるものなどを提供するために使用されてもよい。
図7A〜7Dは、ダイアセンブリ(711)の、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図を描写する。図8A〜8Dは、ダイアセンブリ(811)の、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図を描写する。図9A〜9Dは、ダイアセンブリ(911)の、それぞれ、部分断面図、長手方向断面図、端面図、及び詳細な断面図を描写する。環状微小毛細管製品、例えば、本明細書に記載されたものなどを形成するために、ダイアセンブリ(711、811)が、例えば、図3Aの押出機アセンブリ(300a)と共に使用されてもよいし、ダイアセンブリ(911)が、例えば、図3Bの押出機アセンブリ(300b)と共に使用されてもよい。
図7A〜7Dに示されるように、ダイアセンブリ(711)は、シェル(758)、内部マニホルド(760)、外部マニホルド(762)、円錐状部(764)、及びダイインサート(768)を含む。シェル(758)は、外部マニホルド(762)を収容するように形作られたチューブ状部材である。外部マニホルド(762)、ダイインサート(768)、及び内部マニホルド(760)は、それぞれ、積み重ねられ、かつシェル(758)内に同心状に収容されたフランジ形状部材である。内部マニホルド(760)及び外部マニホルド(762)が描写されるが、重合体マトリクスの層を形成するための流動チャネルを提供することができる1つ以上の内部及び/もしくは外部マニホルドまたは他のデバイスが、提供されてもよい。
ダイインサート(768)は、外部マニホルド(762)と内部マニホルド(760)との間に位置付けられる。内部マニホルド(760)は、ダイインサート(768)及び外部マニホルド(762)を通ってシェル(758)の中に延在する円錐状部(764)をそれの端部に有する。ダイアセンブリ(711)は、ダイアセンブリ(711)の一部分を接合するための接合具、例えば、ボルト(図示しない)などを提供され得る。
次に図7Bを参照すると、環状マトリクスチャネル(774a、b)が、それぞれ、シェル(758)と外部マニホルド(762)との間、及びダイインサート(768)と内部マニホルド(760)との間に画定される。多層の環状微小毛細管製品(710)の層(450a、b)を形成するために、矢印によって示されるようにマトリクスチャネル(774a、b)を通過する熱可塑性材料(117)が、描写される。環状微小毛細管製品(710)は、本明細書に記載される環状微小毛細管製品のいずれか、例えば、(310a、b)などであり得る。
微小毛細管チャネル(776)はまた、ダイインサート(768)と外部マニホルド(762)との間に画定される。微小毛細管チャネル(776)は、ダイアセンブリ(711)を通して、かつ微小毛細管(303)をその中に形成するための層(450a、b)の間に微小毛細管材料(117,312b)を通過させるために微小毛細管材料源に結合され得る。流体チャネル(778)は、内部マニホルド(760)及び円錐状部(764)を通って延在する。流体源(319a)からの環状流体(312a)は、流体チャネル(778)を通って、製品(710a)の中に流れる。
ダイインサート(768)は、ダイアセンブリ(711)を通る融解重合体流の均一な分散を提供するために内部マニホルド(760)と外部マニホルド(762)との間に同心状に位置付けられ得る。ダイインサート(762)は、それの外面に沿って分散チャネル(781)を提供され得、それを通る微小毛細管材料(117/312b)の流動を容易にする。
マトリクスチャネル(774a、b)を通って流れる熱可塑性材料が、それらの間の微小毛細管チャネル(776)からの微小毛細管材料(117/312b)と共に層(450a、b)を形成するように、マトリクスチャネル(774a、b)及び微小毛細管チャネル(776)は、集束点(779)において集束して、押出し出口(780)を通過する。外部マニホルド(762)及びダイインサート(768)は、それぞれ、外部突出部(777a)及びインサート突出部(777b)において、各々終端する。図7Dに示されるように、外部突出部(777a)は、押出し出口(780)に向かって更に距離Aだけ延在し、及び/または突出部(777b)よりも押出し出口(780)から更に距離Aだけ離れて延在する。
図8A〜9Dのダイアセンブリ(811、911)は、外部マニホルド(762)に対してダイインサート(768、968)の突出部(777a、b、977a、b)の位置が変動され得ることを除いて、図7A〜7Dのダイアセンブリ(711)に類似し得る。突出部の位置は、例えば、それを通じて非対称または対称などのような、流動パターンを画定するように調整され得る。図7A〜7Dに示されるように、ダイアセンブリ(711)は、ダイインサート(768)の突出部(777b)が外部マニホルド(762)の突出部(777a)から距離Aに位置付けられた、非対称的な流動構成にある。図8A〜8Dに示されるように、ダイアセンブリ(811)は、ダイインサート(768)及び外部マニホルド(762)の突出部(777a、b)が面一にある、対称的な流動構成にある。
図9A〜9D及び10は、チャネル(320)、微小毛細管(303)の生産、及び/またはその中への微小毛細管材料(117/312b)の挿入を容易にするための特徴を備えた環状ダイインサート(968)を描写する(例えば、図4A〜4Bを参照)。ダイインサート(968)は、ベース(982)、チューブ状マニホルド(984)、及び先端部(986)を含む。ベース(982)は、環状微小毛細管マニホルド(984)の支持端部から延在するフランジを形成するリング形状部材である。ベース(982)は、内部マニホルド(760)と外部マニホルド(762)との間に支持可能である。外部マニホルド(762)は、拡張された突出部(977a)を有し、ダイインサート(968)は、ダイアセンブリ(911)を通る対称的な流動構成を画定するために互いに面一に位置付けられた拡張された突出部(977b)を有する。
先端部(986)は、チューブ状マニホルド(984)の流動端における環状部材である。先端部(986)の内面は、円錐状部(764)の端部を収容するように傾斜して形作られる。先端部(986)は、環状微小毛細管マニホルド(984)よりも大きな外径を有し、傾斜肩部(990)が、それらの間に画定される。先端部(986)の外面は、微小毛細管材料(117/312b)の通過のためにその中に複数の線形の並列微小毛細管流動チャネル(992)を有する。外部マニホルド(762)は、突出部(977a)に沿ってとがった縁(983a)において終端し、先端部(986)は、突出部(977b)に沿ってとがった縁(983b)において終端する。
環状微小毛細管マニホルド(984)は、ベース(982)と先端部(986)との間に延在する環状部材である。環状微小毛細管マニホルド(984)は、内部マニホルド(760)のチューブ状部分と外部マニホルド(762)との間に支持可能である。環状微小毛細管マニホルド(984)は、内部マニホルド(760)を収容するために通路(988)を有する。
分散チャネル(781)は、種々の構成を有し得る。図9A〜9Dに示されるように、環状微小毛細管マニホルド(984)の外面は、それらを通る材料の通過のためにそれに沿う分散チャネル(781)を有する。分散チャネル(781)は、図9Bに概略的に描写されるように、微小毛細管チャネル(776)経由で微小毛細管材料(117/312b)と流体連通し得る。分散チャネル(781)は、微小毛細管材料をダイインサート(968)の外周を囲んで導くためにダイインサート(968)の周りに位置付けられ得る。ダイインサート(968)及び/または分散チャネル(781)は、ダイアセンブリを通る微小毛細管材料(117/312b)の所望量の流動を容易にするように構成され得る。分散チャネル(781)は、ダイインサート(968)と外部マニホルド(762)との間の微小毛細管材料の通過のための材料流路を画定する。
小さな間隙が、ダイインサート(968)と外部マニホルド(762)との間に形成され得、それは、微小毛細管材料(117/312b)が、分散チャネル(781)から漏出して、ダイアセンブリ(911)を通って均一に微小毛細管材料(117/312b)を分散させることを可能にする。分散チャネル(781)は、ダイインサート(968)及び/もしくは外部マニホルド(760)の中に所望の深さに延在する空洞またはチャネルの形態にあり得る。例えば、図7A〜9Dに示されるように、分散チャネル(781)は、ダイインサート(968)の外面と外部マニホルド(760)との間に画定された空間であり得る。図10に示されるように、分散チャネル(781、1081)は、チューブ状マニホルド(984)の外面に沿う距離に延在する螺旋形溝である。分散チャネル(781、1081)の一部または全ては、直線形、曲線形、螺旋形、クロスヘッド型、及び/またはそれらの組み合わせであってもよい。
被覆導体
上記環状微小毛細管製品は、被覆導体、例えば、ケーブルなどを作製するために使用されることができる。「ケーブル」及び「電力ケーブル」は、シース、例えば、絶縁被覆及び/または保護外部ジャケット内の少なくとも1つの導体を意味する。「導体」は、熱、光、及び/もしくは電気を伝導するための1つ以上のワイヤ(複数可)またはファイバ(複数可)を表わす。導体は、単一のワイヤ/ファイバまたは複数のワイヤ/ファイバであってもよく、かつストランド型形態またはチューブ型形態にあってもよい。適切な導体の非限定例は、金属、例えば、銀、金、銅、炭素、及びアルミニウムなどを含む。導体はまた、ガラスまたはプラスチックのいずれかから製作された光ファイバであってもよい。「ワイヤ」は、伝導性金属、例えば、銅もしくはアルミニウムのシングルストランド、または光ファイバのシングルストランドを意味する。典型的には、ケーブルは、多くの場合、共通の絶縁被覆及び/もしくは保護ジャケット内に一緒に束ねられる、2つ以上のワイヤまたは光ファイバである。シースの内側の個々のワイヤまたはファイバは、むき出しであってもよいし、被覆されてもよいし、または絶縁されてもよい。結合型ケーブルは、電気ワイヤ及び光ファイバの両方を含有し得る。ケーブルが電力ケーブルであるとき、ケーブルは、低圧、中圧、及び/または高圧用途のために設計されることができる。典型的なケーブル設計は、USP5,246,783、6,496,629、及び6,714,707に例示される。ケーブルが電気通信ケーブルであるとき、ケーブルは、電話、ローカルエリアネットワーク(LAN)/データ、同軸CATV、同軸RFケーブル、または光ファイバケーブルのために設計されることができる。
上記した環状微小毛細管製品は、ケーブルにおける少なくとも1つの重合体被覆物層を構成することができ、それは、ケーブルの導体または伝導性コアと同じ伸長方向に伸長される。そのように、重合体被覆物は、導体の少なくとも一部を取り囲むことができる。導体を取り囲む際、重合体被覆物は、導体と直接的に接触することができ、または導体と重合体被覆物との間の1つ以上の仲介層上に置かれることによって導体と間接的に接触することができる。重合体被覆物は、重合体マトリクス材料及び複数の微小毛細管を含み、それらは、実質的に重合体被覆物の伸長方向に延在する。様々な実施形態において、微小毛細管は、重合体被覆物の周りに放射状に置かれることができる。更に、微小毛細管は、互いに対して等距離にまたは実質的に等距離に間隔を空けられ得る。
環状微小毛細管製品を生産するための上記ダイアセンブリのうちの1つ以上は、導体がそれを通過することを許可するように修正されることができ、それによって、重合体マトリクス材料及び複数の微小毛細管を含む重合体被覆物が、導体または仲介層の上に共押出されることを可能にする。かかる構成は、クロスヘッドダイとして当分野において普通に知られている(例えば、US2008/0193755A1、US2014/0072728A1、及びUS2013/0264092A1を参照)。具体的には、図7A、8A、及び9Aにおける内部マニホルド(760)ならびに円錐状部(764)が、ワイヤまたは導体を通過する穴を生成するように修正されることができる。当業者が認識するであろうように、押出し材料が、導体または仲介層の上を被覆して、ワイヤまたは導体を通過する穴を通って移動することができるように、ダイ出口に近い部分の全てが、修正されることができる。成形通路を有する更なる部分が、作製されることができる。かかる修正は、当業者の能力範囲内にある。
例示的な微小毛細管押出し被覆プロセスでは、押出し被覆機器を通る導体コアが、リトラクタによって引かれて、内部マニホルド(760)ワイヤを通る穴を通って連続的に動き、突出端部を通り抜けて、次いで、外部ダイの成形通路を通過することができる。導体コアが動いている間、融解重合体が、圧力によって材料供給通路の中に注入されて、配線被覆通路に向かって、次いで、出口における成形通路の中に流れて、成形通路を通過している導体コアの外面の上を被覆する。その後、被覆された導体コアは、成形通路を通ってダイの外側に動かされ続けて、次いで、それは、冷却されて、固められることができる。
重合体被覆物の作製において、上記重合体のいずれも、重合体マトリクス材料として使用されることができる。様々な実施形態において、重合体マトリクス材料として利用される重合体は、エチレン系重合体を含むことができる。本明細書に使用される際、「エチレン系」重合体は、主(すなわち、50重量パーセント(「重量%」)よりも大きな)モノマ成分として、エチレンモノマから作製された重合体である。しかしながら、他のコモノマがまた、利用されてもよい。「重合体」は、同じまたは異なる型のモノマを反応(すなわち、重合化)させることによって作製された高分子化合物を意味し、ホモ重合体及び共重合体を含む。「共重合体」は、少なくとも2つの異なるモノマ型の重合によって作製される重合体を意味する。この一般名称は、(2つの異なるモノマ型から作製された重合体のことを言うために普通に利用される)コポリマー、ならびに3つ以上の異なるモノマ型から作製された重合体(例えば、三元重合体(3つの異なるモノマ型)及び四元重合体(4つの異なるモノマ型))を含む。
様々な実施形態において、エチレン系重合体は、エチレンホモ重合体とすることができる。本明細書に使用される際、「ホモ重合体」は、単一モノマ型に由来する繰り返し単位を含む重合体を表わすが、例えば、連鎖移動剤のようなホモ重合体の作製に使用される他の成分の残存量を除外するものではない。
ある実施形態では、エチレン系重合体が、共重合体重量全体に基づいて、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%のアルファ−オレフィン(「αオレフィン」)含有量を有するエチレン/αオレフィン共重合体であり得る。これらの共重合体は、共重合体重量全体に基づいて、50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、または35重量%未満のα−オレフィン含有量を有することができる。α−オレフィンが利用されるとき、α−オレフィンは、C3−20(すなわち、3〜20個の炭素原子を有する)直鎖状、分岐形、または環状のα−オレフィンとすることができる。C3−20α−オレフィンの実施例は、プロペン、1ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1ドデセン、1テトラデセン、1ヘキサデセン、及び1−オクタデセンを含む。α−オレフィンはまた、環状構造、例えば、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどを有することができ、α−オレフィン、例えば、3シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサンなどを結果としてもたらす。例示的なエチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/1ヘキセン、エチレン/1オクテン、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン、及びエチレン/1−ブテン/1オクテンを含む。
エチレン系重合体はまた、1つ以上の不飽和酸またはエステルモノマ、例えば、不飽和カルボキシル酸またはアルキル(アルキル)アクリレートなどを有するエチレンの共重合体を含む。かかるモノマは、限定されるものではないが、ビニルアセテート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、アクリル酸、及び同様のものを含む。したがって、エチレン系重合体は、例えば、ポリ(エチレン−コ(co)−メチルアクリレート)(「EMA」)、ポリ(エチレン−コ−エチルアクリレート)(「EEA」)、ポリ(エチレン−コ−ブチルアクリレート)(「EBA」)、及びポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)(「EVA」)などの共重合体を含むことができる。
様々な実施形態において、エチレン系重合体は、単独で、あるいは、1つ以上の他の種類のエチレン系重合体(例えば、モノマ組成及び含有量、触媒作製方法等によって互いに異なる2つ以上のエチレン系重合体の混合物)と組み合わせて使用されることができる。エチレン系重合体の混合物が利用される場合、重合体は、任意の反応器内または反応器後プロセスによって混合されることができる。
ある実施形態では、エチレン系重合体が、低密度ポリエチレン(「LDPE」)であり得る。LDPEは、一般に、高分岐エチレンホモ重合体であり、高圧プロセス(すなわち、HP−LDPE)によって作製されることができる。本明細書における使用に適したLDPEは、0.91〜0.94g/cmに及ぶ密度を有することができる。様々な実施形態において、エチレン系重合体が、少なくとも0.915g/cm、ただし、0.94g/cm未満の密度、または0.924〜0.938g/cmの範囲にある密度を有する高圧LDPEである。本明細書に提供される重合体密度は、ASTM International(「ASTM」)方法D792に従って決定される。本明細書における使用に適したLDPEは、20g/10分未満の、または0.1〜10g/10分、0.5〜5g/10分、1〜3g/10分に及ぶメルトインデックス(I)、あるいは2g/10分のIを有することができる。本明細書に提供されるメルトインデックスは、ASTM方法D1238に従って決定される。別段言及されない限り、メルトインデックスは、190℃及び2.16Kg(すなわち、I)において決定される。一般に、LDPEは、幅広い分子量分散(「MWD」)を有し、比較的高い多分散指数(「PDI」、すなわち、数平均分子量に対する重量平均分子量の比率)を結果としてもたらす。
ある実施形態では、エチレン系重合体が、直鎖状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)であり得る。LLDPEは、一般に、コモノマ(例えば、α−オレフィンモノマ)の非均質分散を有するエチレン系重合体であり、短鎖分岐によって特徴付けられる。例えば、LLDPEは、エチレン及びα−オレフィンモノマ、例えば、上記したものなどのコポリマーであり得る。本明細書における使用に適したLLDPEは、0.916〜0.925g/cmに及ぶ密度を有することができる。本明細書における使用に適したLLDPEは、1〜20g/10分、または3〜8g/10分に及ぶメルトインデックス(I)を有することができる。
ある実施形態では、エチレン系重合体が、極低密度ポリエチレン(「VLDPE」)であり得る。VLDPEはまた、超低密度ポリエチレンまたはULDPEとして当分野において知られ得る。VLDPEは、一般に、コモノマ(例えば、α−オレフィンモノマ)の非均質分散を有するエチレン系重合体であり、短鎖分岐によって特徴付けられる。例えば、VLDPEは、エチレン及びα−オレフィンモノマ、例えば、上記したそれらのα−オレフィンモノマのうちの1つ以上などのコポリマーとすることができる。本明細書における使用に適したVLDPEは、0.87〜0.915g/cmに及ぶ密度を有することができる。本明細書における使用に適したVLDPEは、0.1〜20g/10分、または0.3〜5g/10分に及ぶメルトインデックス(I)を有することができる。
ある実施形態では、エチレン系重合体が、中密度ポリエチレン(「MDPE」)であり得る。MDPEは、一般に、0.926〜0.950g/cmに及ぶ密度を有するエチレン系重合体である。様々な実施形態において、MDPEは、0.930〜0.949g/cm、0.940〜0.949g/cm、または0.943〜0.946g/cmに及ぶ密度を有することができる。MDPEは、0.1g/10分、または0.2g/10分、または0.3g/10分、または0.4g/10分〜最大5.0g/10分、または4.0g/10分、または3.0g/10分、または2.0g/10分、または1.0g/10分に及ぶメルトインデックス(I)を有することができる。
ある実施形態では、エチレン系重合体が、高密度ポリエチレン(「HDPE」)であり得る。HDPEは、一般に、0.940g/cmよりも大きな密度を有するエチレン系重合体である。ある実施形態では、HDPEが、ASTM D−792に従って決定されるような、0.945〜0.97g/cmの密度を有する。HDPEは、少なくとも130℃の、または132〜134℃のピーク溶融温度を有することができる。HDPEは、0.1g/10分、または0.2g/10分、または0.3g/10分、または0.4g/10分〜最大5.0g/10分、または4.0g/10分、または3.0g/10分、または2.0g/10分、または1.0g/10分、または0.5g/10分に及ぶメルトインデックス(I)を有することができる。また、HDPEは、ゲル浸透クロマトグラフィによって決定されるような、1.0〜30.0の範囲にある、または2.0〜15.0の範囲にあるPDIを有することができる。
ある実施形態では、エチレン系重合体が、上記エチレン系重合体の任意の2つ以上の組み合わせを含むことができる。
ある実施形態では、重合体マトリクス材料が、LDPEを含むことができる。ある実施形態では、重合体マトリクス材料が、LDPEである。
ある実施形態では、重合体マトリクス材料が、MDPEを含むことができる。ある実施形態では、重合体マトリクス材料が、MDPEである。
エチレン系重合体の作製のために使用される生産プロセスは、幅広く、変動され、かつ当分野において既知である。上記した特性を有するエチレン系重合体を生産するための任意の従来のまたは今後発見される生産プロセスが、本明細書に記載されるエチレン系重合体の作製のために利用されてもよい。一般に、重合は、Ziegler−NattaまたはKaminsky−Sinn型の重合反応のための当分野において既知の条件、すなわち、0〜250℃、または30もしくは200℃の温度、かつ大気圧〜10,000気圧(1,013メガパスカル(「MPa」))の圧力において達成されることができる。大部分の重合反応において、利用される重合可能な化合物に対する触媒のモル比は、10〜12:1から10 1:1、または10〜9:1から10〜5:1である。
適切な市販のエチレン系重合体の実施例は、限定されるものではないが、AXELERON(商標)GP C−0588BK(LDPE)、AXELERON(商標)FO6548BK(MDPE)、AXELERON(商標)GP A−7530NT(LLDPE)、AXELERON(商標)GP G−6059BK(LLDPE)、AXELERON(商標)GP K−3479BK(HDPE)、AXELERON(商標)GP A−1310NT(HDPE)、及びAXELERON(商標)FO B−6549NT(MDPE)を含み、それらの全ては、The Dow Chemical Company、Midland、MI、USAから市販されている。
ポリプロピレン系重合体、例えば、ホモ重合体、ランダムコポリマー、異相コポリマー、及び高結晶質ホモ重合体ポリプロピレンなどが、Braskem Corpから市販されている。
重合体被覆物の作製において、上記材料のうちのいずれかがまた、微小毛細管材料として使用されることができる。
様々な実施形態において、微小毛細管材料は、気体である。1つ以上の実施形態では、微小毛細管材料が、空気である。そのような実施形態では、微小毛細管が、個々の、別々の空隙空間を画定し、それらは、微小毛細管の伸長方向に直交に取られた断面として見られたときに、重合体マトリクス材料によって完全に取り囲まれる。
1つ以上の実施形態では、微小毛細管材料が、エラストマー系微小毛細管材料であり得る。当分野において既知であるように、エラストマーは、比較的低い応力下で大きな可逆変形を経験する材料である。微小毛細管が重合体微小毛細管材料で充填される任意の実施形態では、微小毛細管が、微小毛細管の伸長方向に直交に取られた断面として見られたときに、重合体マトリクス材料によって完全に取り囲まれた個々の、別々の重合体充填区分を画定することができる。
様々な実施形態において、エラストマーが、オレフィンエラストマーであり得る。オレフィンエラストマーは、ポリオレフィンホモ重合体及び共重合体の両方を含む。ポリオレフィン共重合体の実施例は、エチレン/α−オレフィン共重合体及びプロピレン/α−オレフィン共重合体である。かかる実施形態では、α−オレフィンが、エチレン系重合体に関して上記したもののうち任意のものであり得る。例示的なポリオレフィンコポリマーは、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレン、及び同様のものを含む。例示的な三元重合体は、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、及びエチレン/ブテン/スチレンを含む。コポリマーは、ランダムまたはブロック状であり得る。
オレフィンエラストマーはまた、1つ以上の官能基、例えば、不飽和エステルまたは酸またはシランなどを含み得、これらのエラストマー(ポリオレフィン)は、周知であり、従来の高圧技法によって作製されることができる。不飽和エステルは、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、またはビニルカルボキシレートとすることができる。アルキル基は、1〜8個の炭素原子を有することができ、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有することができる。カルボキシレート基は、2〜8個の炭素原子を有することができ、好ましくは2〜5個の炭素原子を有することができる。エステルコモノマに帰するコポリマーの部分は、コポリマーの重量に基づいて、1〜最大50重量%の範囲にあり得る。アクリレート及びメタクリレートの実施例は、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートである。ビニルカルボキシレートの実施例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及び酪酸ビニルである。不飽和酸の実施例は、アクリル酸またはマレイン酸を含む。不飽和シランの1つの実施例は、ビニルトリアルコキシシラン(例えばビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシラン)である。
本発明において有用なオレフィンエラストマーのより具体的な実施例は、極低密度ポリエチレン(「VLDPE」)(例えば、The Dow Chemical Companyによって製作されたFLEXOMER(商標)エチレン/1−ヘキセンポリエチレン)、均質に分岐された直鎖状エチレン/α−オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Company LimitedによるTAFMER(商標)及びExxon Chemical CompanyによるEXACT(商標))、ならびに均質に分岐された実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィン重合体(例えば、The Dow Chemical Companyから利用可能なAFFINITY(商標)及びENGAGE(商標)ポリエチレン)を含む。
本明細書において有用なオレフィンエラストマーはまた、プロピレン、ブテン、及び他のアルケン系コポリマー、例えば、プロピレンに由来する多数の単位及び(エチレンを含む)別のα−オレフィンに由来する少数の単位を含むコポリマーを含む。本明細書において有用な例示的なプロピレン重合体は、The Dow Chemical Companyから利用可能なVERSIFY(商標)重合体、ExxonMobil Chemical Companyから利用可能なVISTAMAXX(商標)重合体、及びEastman Chemical Companyから利用可能なEASTOFLEX(商標)重合体を含む。
オレフィンエラストマーはまた、エチレン−プロピレン−ジエンモノマ(「EPDM」)エラストマー及び塩素化ポリエチレン(「CPE」)を含むことができる。適切なEPDMの市販例は、The Dow Chemical Companyから利用可能なNORDEL(商標)EPDMを含む。適切なCPEの市販例は、The Dow Chemical Companyから利用可能なTYRIN(商標)CPEを含む。
オレフィンエラストマー、特にエチレンエラストマーは、0.91g/cm未満または0.90g/cm未満の密度を有することができる。エチレンコポリマーは、典型的には、0.85g/cmよりも大きなまたは0.86g/cmよりも大きな密度を有する。オレフィンエラストマーは、0.10g/10分よりも大きな、または1g/10分よりも大きなメルトインデックス(I)を有することができる。オレフィンエラストマーは、500g/10分未満、または100g/10分未満のメルトインデックスを有することができる。
他の適切なオレフィンエラストマーは、オレフィンブロックコポリマー(例えば、The Dow Chemical Company、Midland、MI、USAから商品名INFUSE(商標)の下で市販されているものなど)、(例えば、米国特許第7,947,793号などに記載されるような)中間相分離型オレフィンマルチブロック共重合体、及び(例えば、2008年10月30日に公開された米国特許出願公開第2008/0269412号などに記載されるような)オレフィンブロック複合物を含む。
様々な実施形態において、微小毛細管として有用なエラストマーは、非オレフィンエラストマーであり得る。本明細書において有用な非オレフィンエラストマーは、シリコーン及びウレタンエラストマー、スチレン・ブタジエンゴム(「SBR」)、ニトリルゴム、クロロプレン、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー、ポリエーテルブロックアミド、ならびにクロロスルホン化ポリエチレンを含む。シリコーンエラストマーは、典型的には、平均単位式RaSiO(4−a)/2を有するポリオルガノシロキサンであり、それは、直鎖状または部分的に分岐した構造を有し得るが、好ましくは、直鎖状である。各Rは、同じであってもよいし、または異なってもよい。Rは、置換または非置換の一価のヒドロカルビル基であり、それは、例えば、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びオクチル基など、アリール基、例えば、フェニル及びトリル基など、アラルキル基、アルケニル基、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、及びヘプテニル基、ならびにハロゲン化アルキル基、例えば、クロロプロピル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基であり得る。ポリオルガノシロキサンは、上記基のいずれかによってまたは水酸基で終端され得る。Rがアルケニル基であるとき、アルケニル基は、好ましくは、ビニル基またはヘキセニル基である。実際、アルケニル基は、末端基及び/または重合体側鎖上のポリオルガノシロキサンに存在し得る。
代表的なシリコーンゴムまたはポリオルガノシロキサンは、限定されるものではないが、ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン及びジメチルシロキサンのトリメチルシロキシ末端コポリマー、メチルビニルシロキサン及びジメチルシロキサンのジメチルビニルシロキシ末端コポリマー、ジメチルヒドロキシシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン及びジメチルシロキサンのジメチルヒドロキシシロキシ末端コポリマー、メチルビニルシロキサン及びジメチルシロキサンのメチルビニルヒドロキシシロキシ末端コポリマー、ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、メチルヘキセニルシロキサン及びジメチルシロキサンのトリメチルシロキシ末端コポリマー、メチルヘキセニルシロキサン及びジメチルシロキサンのジメチルヘキセニルシロキシ末端コポリマー、メチルフェニルシロキサン及びジメチルシロキサンのジメチルビニルシロキシ末端コポリマー、メチルフェニルシロキサン及びジメチルシロキサンのジメチルヘキセニルシロキシ末端コポリマー、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン及びジメチルシロキサンのジメチルビニルシロキシ末端コポリマー、ならびにメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン及びジメチルシロキサンのジメチルヘキセニルシロキシ末端コポリマーを含む。
ウレタンエラストマーは、反応性重合体、例えば、ポリエーテル及びポリエステルならびにイソシアネート官能性有機化合物などから作製される。1つの典型的な実施例は、ヒドロキシの全てが、ウレタン結合を形成するように反応され、更なる反応のためにイソシアネート基を残すような、トルエンジイソシアネートとのジヒドロキシ官能性ポリエーテル及び/またはトリヒドロキシ官能性ポリエーテルの反応生成物である。この種の反応生成物は、プレポリマーと呼ばれ、それは、水分にさらされてそれ自体によって、またはイソシアネートと反応するポリカルビノールもしくは他の多官能反応性材料の化学量論的追加によって硬化し得る。ウレタンエラストマーは、商業的に作製され、イソシアネート化合物及びポリエーテルまたはポリエステルの様々な比率を有する。最も一般的なウレタンエラストマーは、ヒドロキシル官能性ポリエーテルまたはポリエステル及び低分子量多官能性重合体イソシアネートを含有するものである。ヒドロキシル官能性ポリエーテル及びポリエステルとの使用のための別の一般的な材料は、トルエンジイソシアネートである。
適切なウレタンゴムの非限定例は、Lubrizol Corporationから利用可能なPELLETHANE(商標)熱可塑性ポリウレタンエラストマー、Noveonから全て利用可能なESTANE(商標)熱可塑性ポリウレタン、TECOFLEX(商標)熱可塑性ポリウレタン、CARBOTHANE(商標)熱可塑性ポリウレタン、TECOPHILIC(商標)熱可塑性ポリウレタン、TECOPLAST(商標)熱可塑性ポリウレタン、及びTECOTHANE(商標)熱可塑性ポリウレタン、BASFから利用可能なELASTOLLAN(商標)熱可塑性ポリウレタン及び他の熱可塑性ポリウレタン、ならびにBayer、Huntsman、Lubrizol Corporation、Merquinsa、及び他の供給業者から利用可能な更なる熱可塑性ポリウレタン材料を含む。好適なウレタンゴムは、いわゆる「ミラブル」ウレタン、例えば、TSI IndustriesからのMILLATHANE(商標)グレードのものなどである。
かかるウレタン材料についての更なる情報は、とりわけ、Golding、Polymers and Resins、Van Nostrande、1959年、第325頁以下参照、及びSaunders and Frisch、Polyurethanes、Chemistry and Technology、Part II、Interscience Publishers、1964年において見付けられ得る。
微小毛細管としての使用に適切な市販のエラストマーは、限定されるものではないが、The Dow Chemical Company、Midland、MI、USAから利用可能なENGAGE(商標)ポリオレフィンエラストマーを含む。かかるエラストマーの具体的な実施例は、ENGAGE(商標)8200であり、それは、5.0のメルトインデックス(I)及び0.870g/cmの密度を有するエチレン/オクテンコポリマーである。
エラストマー微小毛細管材料が利用される実施形態では、マトリクス材料が、エラストマーに対してより高い靭性、耐摩耗性、密度、及び/または曲げ弾性率を有することが望ましいであろう。この組み合わせは、強靭な外部層を有するものの、同じマトリクス材料で完全に形成された被覆物と比較して増大された柔軟性を有する重合体被覆物をもたらす。例えば、様々な実施形態において、重合体被覆物は、重合体マトリクス材料としてエチレン系重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6)、ポリブチレンテレフタレート(「PBT」)、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、ポリカーボネート、またはそれらの2つ以上の組み合わせと共に、微小毛細管材料として上記エラストマーのうちの1つ以上を有することができる。様々な実施形態において、重合体被覆物は、微小毛細管材料としてオレフィンエラストマーを含むことができ、重合体マトリクス材料は、HDPE、MDPE、LLDPE、LDPE、ポリアミド、PBT、PET、ポリカーボネート、またはそれらの2つ以上の組み合わせから成る群から選択され得る。1つ以上の実施形態では、微小毛細管材料が、エチレン/オクテンコポリマーオレフィンエラストマーを含むことができ、重合体マトリクス材料が、MDPEを含むことができる。
上記した重合体マトリクス材料、微小毛細管材料、またはそれらの両方は、1つ以上の添加剤、例えば、典型的には、ケーブル被覆物の作製において使用されるものなどを含有することができる。例えば、重合体マトリクス材料、微小毛細管材料、またはそれらの両方は、任意選択的に、ケーブルジャケットに普通に使用される非伝導性カーボンブラックを含有してもよい。様々な実施形態において、組成中のカーボンブラックの量は、組成の総重量に基づいて、ゼロよりも大きい(>0)可能性があり、典型的には、1から、より典型的には、2から最大3重量%であり得る。様々な実施形態において、組成は、任意選択的に、伝導性充填剤、例えば、伝導性カーボンブラック、金属繊維、粉末、またはカーボンナノチューブなどを、半導体用途のために高レベルに含んでもよい。
従来のカーボンブラックの非限定例は、ASTM N550、N472、N351、N110、及びN660によって記載されたグレードのもの、ケッチェン(Ketjen)ブラック、ファーネスブラック、ならびにアセチレンブラックを含む。適切なカーボンブラックの他の非限定例は、Cabotから利用可能なBLACK PEARLS(登録商標)、CSX(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、MOGUL(登録商標)、MONARCH(登録商標)、REGAL(登録商標)、及びVULCAN(登録商標)の商品名の下で販売されたものを含む。
重合体マトリクス材料、微小毛細管材料、またはそれらの両方は、任意選択的に、1つ以上の追加的な添加剤を含有してもよく、それらは、一般に、純粋にまたはマスターバッチの一部としてのいずれかで、従来の量に添加される。かかる添加剤は、限定されるものではないが、難燃剤、加工助剤、核化剤、発泡剤、架橋剤、充填剤、顔料もしくは着色剤、結合剤、酸化防止剤、(UV吸収体を含む)紫外線安定剤、粘着付与剤、焦げ防止剤、帯電防止剤、可塑剤、潤滑剤、粘度調整剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、エクステンダ油、掃酸剤、金属不活性化剤、加硫剤、及び同様のものを含む。
1つ以上の実施形態では、重合体マトリクス材料、微小毛細管材料、またはそれらの両方が、架橋可能であり得る。当分野において既知の任意の適切な方法が、マトリクス材料及び/または微小毛細管材料を架橋するために使用され得る。かかる方法は、限定されるものではないが、過酸化物架橋、水蒸気架橋のためのシラン官能基化、UV架橋、または電子線硬化を含む。かかる架橋方法は、当分野において既知なように、一定の添加剤(例えば、過酸化物)の包含を要求し得る。
様々な実施形態において、重合体マトリクス材料、微小毛細管材料、またはそれらの両方は、1つ以上の接着性調節剤を含有することができる。接着性調節剤は、マトリクス材料と微小毛細管材料との間の界面接着性の改善に役に立ち得る。2つの重合体材料間の接着性を改善する任意の既知のまたは今後発見される添加剤が、本明細書において使用されてもよい。適切な接着性調節剤の具体的な実施例は、限定されるものではないが、無水マレイン酸(「MAH」)グラフト化樹脂(例えば、MAHグラフト化ポリエチレン、MAHグラフト化エチレンビニルアセテート、MAHグラフト化ポリプロピレン)、アミノ化重合体(例えば、アミノ官能基化ポリエチレン)、及び同様のもの、ならびにそれらの2つ以上の組み合わせを含む。MAHグラフト化樹脂は、The Dow Chemical Company(Midland、MI、USA)から商品名AMPLIFY(商標)GRの下で及びDuPont(Wilmington、DE、USA)から商品名FUSABOND(商標)の下で市販されている。
難燃剤の非限定例は、限定されるものではないが、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムを含む。
加工助剤の非限定例は、限定されるものではないが、脂肪アミド、例えば、ステアルアミド、オレアミド、エルカミド、もしくはN,N’エチレンビスステアリン酸アミドなど、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、エチレンオキシドの重合体、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、植物ワックス、石油ワックス、非イオン系界面活性剤、シリコーン流体、ポリシロキサン、ならびにフルオロエラストマー、例えば、Dupon Performance Elastomers LLCから利用可能なViton(登録商標)、またはDyneon LLCから利用可能なDynamar(商標)などを含む。
核化剤の非限定例は、Milliken Chemicals、Spartanburg、S.C.からのHyperform(登録商標)HPN−20E(ステアリン酸亜鉛を有する1,2シクロヘキサンジカルボキシル酸カルシウム塩)を含む。
充填剤の非限定例は、限定されるものではないが、様々な難燃剤、粘土、沈降シリカ及びケイ酸塩、ヒュームドシリカ、金属硫化物及び硫酸塩、例えば、二硫化モリブデン及び硫酸バリウムなど、金属ホウ酸塩、例えば、ホウ酸バリウム及びホウ酸亜鉛など、金属無水物、例えば、無水アルミニウムなど、土壌鉱物、ならびにエラストマー系重合体、例えば、EPDM及びEPRなどを含む。存在する場合、充填剤は、一般に、従来の量において、例えば、組成の重量に基づいて5重量%以下〜50重量%以上加えられる。
様々な実施形態において、被覆導体上の重合体被覆物は、100〜3,000μm、500〜3,000μm、100〜2,000μm、100〜1,000μm、200〜800μm、200〜600μm、300〜1,000μm、300〜900μm、または300〜700μmに及ぶ厚さを有することができる。更に、重合体被覆物は、10〜180ミル(254〜4,572μm)の範囲にある厚さを有することができる。
更に、重合体被覆物内の微小毛細管の平均直径は、少なくとも50μm、少なくとも100μm、または少なくとも250μmとすることができる。更に、重合体被覆物内の微小毛細管は、50〜1,990μm、50〜990μm、50〜890μm、100〜790μm、150〜690μm、または250〜590μmの範囲にある平均直径を有することができる。直径という用語の使用にも関わらず、微小毛細管の断面が丸い必要はないことに留意されたい。むしろ、それらは、種々の形状、例えば、図4B及び4Cに示されるような長円形などを取ってもよい。かかる場合において、「直径」は、微小毛細管の断面の最長寸法として定義されるものとする。この寸法は、図4Bにおいてλとして例示される。「平均」直径は、重合体被覆物から3つのランダムな断面を取り、それらにおける各微小毛細管の直径を測定して、それらの測定の平均を決定することによって決定されるものとする。直径の測定は、押出された物の断面を切断して、微小毛細管の直径を測定するための尺度を備えた光学顕微鏡下で観察することによって行われる。
1つ以上の実施形態では、微小毛細管の平均直径に対する重合体被覆物の厚さの比率が、2:1〜400:1の範囲にあり得る。
微小毛細管の間隔は、達成されるべき所望の特性に従って変動し得る。更に、微小毛細管の間隔は、微小毛細管の直径に対して画定され得る。例えば、様々な実施形態において、微小毛細管は、微小毛細管の平均直径の1倍未満の距離で間隔を空けられ得、微小毛細管の平均直径の10倍高くすることができる。様々な実施形態において、微小毛細管は、100〜5,000μmの平均、200〜1,000μmの平均、または100〜500μmの平均だけ間隔を空けられ得る。「空けられた間隔」の測定は、図2Cにおいて「s」によって例示されるように、縁部から縁部までに基づいて決定されるものとする。
様々な実施形態において、微小毛細管材料がエラストマーであるとき、重合体被覆物は、特に低温度において、より高い柔軟性、及び微小毛細管内の低密度エラストマーの存在が原因で低減された密度を有することができる。
剥離性被覆物
1つ以上の実施形態では、剥離性重合体被覆物を有する被覆導体が提供される。そのような実施形態では、剥離性重合体被覆物は、重合体マトリクス材料と、実質的に剥離性重合体被覆物の伸長方向に延在する1〜8本の範囲にある上記微小毛細管とを備える。様々な実施形態では、剥離性重合体被覆物は、1〜6本の微小毛細管、1〜4本の微小毛細管、または2〜4本の微小毛細管を備える。様々な実施形態では、剥離性重合体被覆物は、2本の微小毛細管を備える。他の実施形態では、剥離性重合体被覆物は、3本の微小毛細管を備える。更に他の実施形態では、剥離性重合体被覆物は、4本の微小毛細管を備える。
様々な実施形態において、微小毛細管は、剥離性重合体被覆物の周りに放射状に、等距離にまたは実質的に等距離に間隔を空けられ得る。例えば、微小毛細管の伸長方向に直交に取られた剥離性重合体被覆物の断面を見るときに、剥離性重合体被覆物が2本だけ微小毛細管を持つ場合、それらは互いから約180°離れて間隔を空けられ得、剥離性重合体被覆物が3本の微小毛細管を持つ場合、それらは互いから約120°離れて間隔を空けられ得、または剥離性重合体被覆物が4本の微小毛細管を持つ場合、それらは互いから約90°離れて間隔を空けられ得る。他の実施形態では、微小毛細管の放射状の設置に拘らず、微小毛細管の伸長方向に直交に取られた断面として見られたときに、微小毛細管は被覆物の厚さを横断する異なる位置に置かれ得、例えば2つ以上の微小毛細管の組み合わせでは、互いの上または互いに近接し、マトリクス材料の固い壁で分離される。
剥離性重合体被覆物の微小毛細管は、(i)個々の、別々の空隙空間を画定し得、(ii)重合体マトリクス材料よりも低い曲げ弾性率を有するエラストマー系重合体を含み得、(iii)非重合体で、微小毛細管に送り込まれ得る、低粘度充填材料を含み得、または(iv)(i)〜(iii)の2つ以上の組み合わせであり得る。
微小毛細管が充填されているか空隙であるかに関わらず、微小毛細管の伸長方向に直交に取られた断面として見られたときに、微小毛細管は重合体マトリクス材料によって完全に取り囲まれ得る。様々な実施形態では、微小毛細管によって画定された空間の集合体が、断面として見られたときに、剥離性重合体被覆物断面の総面積の20面積パーセント(「面積%」)未満、15面積パーセント未満、10面積パーセント未満、または5面積パーセント未満であり得る。そのような実施形態では、微小毛細管によって画定された空間の集合体が、断面として見られたときに、剥離性重合体被覆物断面の総面積の少なくとも0.05面積%、少なくとも0.1面積%、少なくとも0.5面積%、少なくとも1面積%、または少なくとも2面積%であり得る。
上述のとおり、様々な実施形態では、微小毛細管は、個々の、別々の空隙空間を画定し得る。そのような実施形態では、微小毛細管は、空気などの室温の気体である微小毛細管流体で充填され得る。
上述のとおり、様々な実施形態では、微小毛細管は、エラストマー系重合体を備え得る。そのような実施形態では、エラストマー系重合体は、もっと詳細に下に記載されるように、重合体マトリクス材料よりも低い曲げ弾性率を有する。好適なエラストマーは、上記したもののうち任意のものを含むが、選択された重合体マトリクス材料の型によって限定され得る。様々な実施形態では、エラストマー系重合体は、オレフィンエラストマー、シリコーンエラストマー、ウレタンエラストマー、アモルファスゴム、及びそれらの2つ以上の組み合わせから成る群から選択され得る。
上述のとおり、本発明の1つ以上の実施形態は、比較的高い弾性率の重合体マトリクス材料及び比較的低い弾性率の重合体微小毛細管材料を有する剥離性重合体被覆物で、重合体マトリクス材料の曲げ弾性率が重合体微小毛細管材料と比較して高く、かつ重合体微小毛細管材料の曲げ弾性率が、重合体マトリクス材料と比較して低い剥離性重合体被覆物を考慮する。一般に、高弾性率の重合体マトリクス材料は、少なくとも300,000psiの曲げ弾性率、あるいは300,000〜800,000psi、325,000〜700,000psiの範囲にある、または330,000〜600,000psiの範囲にある曲げ弾性率を有することができる。例として、ポリ(p−フェニレンスルフィド)(「PPS」)の場合の典型的な曲げ弾性率は、約600,000psiであり、ポリエーテルエーテルケトンの場合は、約590,000psiであり、ポリカーボネートの場合は、約345,000psiであり、ポリエチレンテレフタレートの場合は、約400,000psiであり、ポリブチレンテレフタレートの場合は、約330,000psiであり、ナイロン6/6の場合は、約400,000psiである(全て未充填)。
高弾性率の重合体は、一般に、(例えば、加熱撓み温度によって測定されるような)高耐熱性、優れた機械特性、ならびに耐摩耗及び耐化学性特性を呈する高性能重合体として知られる。しかしながら、それらは、典型的には、より高い密度の重合体、一般に1.3g/cmよりも大きな密度を有する。様々な実施形態において、重合体マトリクス材料である高弾性率の重合体は、ポリブチレンテレフタレート(「PBT」)、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、ポリカーボネート、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含むことができる。ある実施形態では、重合体マトリクス材料が、PBTを含むことができる。
低弾性率の重合体微小毛細管材料は、250,000psi未満の曲げ弾性率、あるいは100〜250,000psi、または500〜200,000psiの範囲にある曲げ弾性率を有することができ得る。例として、典型的な高密度ポリエチレンが、約200,000psiの曲げ弾性率を有し、典型的な低密度ポリエチレンが、約30,000psiの曲げ弾性率を有し、典型的な熱可塑性ポリウレタンが、約10,000psiの曲げ弾性率を有し、典型的なポリオレフィンエラストマー(例えば、ENGAGE(商標)8402)が、約580psiの曲げ弾性率を有する。
低弾性率の材料は、一般に、低温度でさえも、高柔軟性及び優れた耐衝撃性によって特徴付けられる。これらの樹脂は、例えば、The Dow Chemical Companyから市販されているAFFINITY(商標)GAグレードのオレフィンエラストマーなどのように、1.0未満〜1,000超g/10分に及ぶメルトインデックスを有することができる。これらのポリオレフィンエラストマー樹脂はまた、同様にThe Dow Chemical CompanyからのENGAGE(商標)8842などのように、0.857g/cm程の低密度及び38℃程の低溶融点を有することができる。
1つ以上の実施形態では、重合体微小毛細管材料が、上記したエチレン系重合体(例えば、HDPE、LDPE、EEA、EVA)のうちのいずれか、オレフィンエラストマー(例えば、上記したものなど)及び他のエチレンコポリマー、例えば、The Dow Chemical Companyから市販されているAFFINITY(商標)、ENGAGE(商標)、及びVERSIFY(商標)コポリマー、オレフィンブロックコポリマー(例えば、The Dow Chemical Company、Midland、MI、USAから商品名INFUSE(商標)の下で市販されているものなど)、中間相分離オレフィンマルチブロック共重合体(例えば、米国特許第7,947,793号などに記載されるものなど)、オレフィンブロック複合物(例えば、2008年10月30日に公開された米国特許出願公開第2008/0269412号などに記載されるものなど)、またはそれらの2つ以上の組み合わせなどを含むことができる。
上述のとおり、様々な実施形態では、微小毛細管は、微小毛細管に送り込まれ得る、低粘度充填材料を備え得る。つまり、かかる低粘度充填材料は、剥離性重合体被覆物の押出しの後に、微小毛細管内に組み込まれ得、かかる充填剤は、重合体マトリクス材料と共押出される必要はない。これは、上述されたエラストマーなどの重合体材料とは対照的である。
好適な低粘度充填剤は、表1に示されるように、幅広い範囲の粘度を有する流体を含む。本明細書に使用される際、「低粘度」は、100℃で1〜45,000センチストークス(「cSt」)の範囲にある動粘度を有する(100℃での)液体充填剤を表す。様々な実施形態において、低粘度充填剤は、100℃で4〜30,000cSt、4〜15,000cSt、4〜2,000cSt、4〜1,700cSt、または4〜250cStの範囲の粘度を有し得る。そのような材料の具体的な例は、SUNPAR(商標)グレード(Sunoco Corp.から利用可能)などのパラフィン油、大豆油などの植物油、DURASYN(商標)グレード(Ineos Corp.から利用可能)などのポリ−アルファオレフィン(「PAO」)流体、及びINDOPOL(商標)グレード(Ineos Corp.から利用可能)などのポリブテンを含む。
他の好適な材料は、典型的に通信ケーブルの充填及び充水で使われるもののような、配合された化合物である。バッファチューブ光ファイバ通信ケーブルで使われる充填化合物の例は、米国特許第5,505,773号に開示されたチキソトロピックゲルであり、ポリブチレン、ヒュームドシリカ、及びポリエチレンワックスから成る。典型的な充水化合物は米国特許第4,724,277号に開示され、マイクロクリスタリンワックスの混合物、ポリエチレン、及びゴムから成る。そのような材料の例は、Sonneborn LLC、Soltex Corp、H&R ChemPharm (UK) Ltd、及びMasterChem Solutionsから市販されているもの、ならびに米国仮特許出願第62/140,673号及び同第62/140,677号に開示されるもののような高メルトインデックスのポリオレフィンエラストマーに基づく化合物を含む。いくつかのケーブル充填/充水化合物は、室温で、追加の加熱の必要なしに、送り込みが可能な剪断減粘性プロファイルを呈する粘度で設計される。
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剥離性重合体被覆物内の微小毛細管は、重合体被覆物の長さに沿って、長手方向に連続的(もしくは実質的に連続的)または断続的であるかのいずれかであり得る。本実施形態において使用されるように、用語「実質的に連続的」は、剥離性重合体被覆物の長さの少なくとも90%の間、途切れない様式で、微小毛細管が延在することを意味する。長手方向に断続的である場合、微小毛細管は、任意の所望の長さを有し得る。様々な実施形態において、長手方向に断続的な微小毛細管は、1〜約100cm、1〜50cm、1〜20cm、1〜10cm、または1〜5cmに及ぶ平均長さを有し得る。
様々な実施形態では、剥離性重合体被覆物は、微小毛細管の位置と対応する外部の印を備え得る。かかる外部の印は、被覆導体に携わる業者が被覆物の剥離を可能にする被覆物上の点の位置を見つけられるようにする。外部の印の組み込みは、当分野において既知のまたは今後発見される任意の方法によって達成され得る。そのような印の例は、限定されるものではないが、印刷、彫刻、色付け、またはエンボス加工を含む。
1つ以上の実施形態では、剥離性重合体被覆物は、微小毛細管を有しないことを除いて同じ重合体マトリクス材料から作製された同一の被覆物と比較して、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、または30%未満の引張強度の低減を有することができる。更に、剥離性重合体被覆物が、微小毛細管を有しないことを除いて同じ重合体マトリクス材料から作製された同一の被覆物と比較して、10〜50%、または20〜45%の範囲にある引張強度の低減を有することができる。
様々な実施形態において、剥離性重合体被覆物が、微小毛細管を有しないことを除いて同じ重合体マトリクス材料から作製された同一の被覆物と比較して30%未満、または25%未満の破断時伸長度の低減を有することができる。破断時伸長度の低減は、参照被覆物と剥離性被覆物との間の破断時伸長度の差異を計算し、その差異を参照被覆物の破断時伸長度で割り、100%を掛けることによって決定される。例えば、参照被覆物が900%の破断時伸長度を有し、剥離性被覆物が800%の破断時伸長度を有する場合、破断時伸長度の低減は、(100/900)*100%または11.1%である。更に、剥離性重合体被覆物が、微小毛細管を有しないことを除いて同じ重合体マトリクス材料から作製された同一の被覆物と比較して5〜30%、または10〜25%の範囲にある破断時伸長度の低減を有することができる。
様々な実施形態において、剥離性重合体被覆物が、微小毛細管を有しないことを除いて同じ重合体マトリクス材料から作製された同一の被覆物と比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、または少なくとも75%の引裂強度の低減を有することができる。更に、剥離性重合体被覆物が、微小毛細管を有しないことを除いて同じ重合体マトリクス材料から作製された同一の被覆物と比較して、最大90%、最大85%、または最大80%の引裂強度の低減を有することができる。
剥離性被覆物の作製は、所望されるような微小毛細管の数を減らす上記ダイアセンブリの簡易な修正によって、達成され得る。かかる修正は、当業者の能力範囲内にある。
試験方法
密度
密度をASTM D792に従って決定する。
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわちIは、ASTM D1238に従って、190℃/2.16kgの条件で測定し、10分当たりの溶出グラムで報告する。
引張強度及び破断時伸長度
ASTM方法D638に従って引張強度及び伸長度を測定する。
引裂強度
引裂強度は、以下のように測定される:5.0インチ長の見本が、押出されたテープのサンプルからダイカットされ、1.0インチ長の裂け目が各見本上に作られる。引裂テストは、Instron Model 4201試験機上で、テープの軸方向に12インチ/分の速度で行われる。報告されたデータは、5つの見本の測定に基づく平均値である。
材料
以下の実施例では、以下の材料を利用する。
AXELERON(商標)GP C−0588BK(「LDPE」)は、0.932g/cmの密度、0.2〜0.4g/10分の範囲にあるメルトインデックス(I)を有し、かつ2.35〜2.85重量%(ASTM D1603)に及ぶ量でカーボンブラックを含有する低密度ポリエチレンである。AXELERON(商標)GP C−0588BKは、The Dow Chemical Company Midland、MI、USAから市販されている。
AXELERON(商標)FO6548BK(「MDPE」)は、0.944g/cmの密度、0.6〜0.9g/10分の範囲にあるメルトインデックス(I)を有し、かつ2.35〜2.85重量%(ASTM D1603)に及ぶ量でカーボンブラックを含有する中密度ポリエチレンである。AXELERON(商標)FO6548BKは、The Dow Chemical Company、Midland、MI、USAから市販されている。
ENGAGE(商標)8200は、0.870g/cmの密度を有するエチレン/オクテンポリオレフィンエラストマーであり、5.0g/10分のメルトインデックスを有し、The Dow Chemical Company、Midland、MI、USAから市販されている。
サンプル作製
空気を充填した微小毛細管のサンプル
図1に概略的に描写されるように、融解重合体及び空気流れを取扱うことができる微小毛細管ダイを備え付けた単軸スクリュー押出機(3.81cmのKillion押出機)から成るテープ押出しシステムを使用して、4つのサンプル(S1〜S4)を作製する。これらの実施例に使用されるべきダイは、PCT特許公開出願第WO2014/003761号に、具体的には図4A及び4A1に関して、かつ明細書の対応する本文に詳細に記載されており、それは、参照によって本明細書に組み込まれる。ダイは、42個の微小毛細管ノズル、5cmの幅、及び1.5mmのダイ間隙を有する。各微小毛細管ノズルは、0.38mmの外径及び0.19mmの内径を有する。プラント空気は、流量計を伴う空気ラインによって供給し、それは、融解重合体の逆流による微小毛細管ノズルの閉塞を防ぐために機械の加熱前に完全に開いている。微小毛細管シートの作製において、まず、押出機、ギアポンプ、移送ライン、及びダイを約30分の「浸漬」時間で動作温度まで加熱する。動作温度は、表2に示される。重合体ペレットが押出機スクリューを通過する際、重合体は溶融することになる。押出機スクリューは、融解重合体をギアポンプに供給し、それは、微小毛細管ダイに向かう融解重合体の実質的に一定の流動を維持する。次に、融解重合体は、微小毛細管ノズルへ渡り、空気流の流線と合流し、それは、微小毛細管チャネルのサイズ及び形状を維持する。押出しダイを出た後、押出物は、チルロール上へ渡る。押出物が一旦冷やされると、それは、ニップロールによって取られる。空気流量率は、微小毛細管が、適度な微小毛細管寸法を維持するけれども破裂しないように、注意深く調整される。ライン速度は、ロールスタックにおけるニップロールによって制御される。サンプル組成、それらの特性、及び他のプロセスパラメータは、以下の表3に提供される。
結果として生じるテープは、約1.6インチ幅及び約50ミル厚であり、表3に示される以下の特性を有する。
比較用サンプル及びエラストマーを充填した微小毛細管のサンプル
2つの融解重合体の流れを取扱うことができる微小毛細管ダイを備え付けた2つの単軸スクリュー押出機(1.9cm及び3.81cmのKillion押出機)から成るテープ押出しシステムを使用して、1つのサンプル(S5)及び2つの比較用サンプル(CS1及びCS2)を作製する。このラインはマトリクス材料用の融解重合体を供給するための3.81cmのKillion単軸スクリュー押出機、及び、移送ライン経由で微小毛細管ダイに微小毛細管用の融解重合体を供給するための1.9cmのKillion単軸スクリュー押出機から成る。これらの実施例に使用されるべきダイは、PCT特許出願公開第WO2014/003761号に、具体的には図4A及び4A1に関して、かつ明細書の対応する本文に詳細に記載されており、それは、参照によって本明細書に組み込まれる。ダイは、42個の微小毛細管ノズル、5cmの幅、及び1.5mmのダイ間隙を有する。各微小毛細管ノズルは、0.38mmの外径及び0.19mmの内径を有する。
サンプルS5ならびに比較用サンプルCS1及びCS2は、以下のように作製される。まず、押出機、ギアポンプ、移送ライン、及びダイを約30分の「浸漬」時間で動作温度まで加熱する。3.81cm及び1.9cmのKillion単軸スクリュー押出機についての温度プロファイルは、以下の表4に与えられる。微小毛細管重合体樹脂を1.9cmのKillion単軸スクリュー押出機のホッパーの中に装填し、スクリュー速度を最大、目標値(30rpm)まで調整する。融解重合体が微小毛細管ノズルを出る際、マトリクス重合体樹脂を3.81cmのKillion単軸スクリュー押出機のホッパーの中に充填し、主押出機をオンにする。3.81cmのKillion単軸スクリュー押出機の押出機スクリューは、融体をギアポンプに供給し、そのポンプは、微小毛細管ダイに向かう融体の流れを実質的に一定に維持する。次いで、3.81cmのKillion単軸スクリュー押出機からの融解重合体を2つの流れに分割し、それは、微小毛細管ノズルからの重合体ストランドと合流する。押出しダイから出た後、押出物をロールスタックにあるチルロール上で冷却する。押出物が一旦冷やされると、それは、ニップロールによって取られる。ライン速度は、ロールスタックにおけるニップロールによって制御される。
押出しシステムは、2つの融解重合体の流れを供給するために組み立てられ、第1の重合体(3.81cmのKillion押出機)は、第1の重合体に微小毛細管が埋め込まれるように成形された第2の重合体(1.9cmのKillion押出機)を取り囲む連続的なマトリクスを作るものである。S5の第1の重合体(マトリクス)は、MDPEであり、S5の第2の重合体(微小毛細管)は、ENGAGE(商標)8200である。CS1では、第1及び第2の重合体のどちらもMDPEである。CS2では、第1及び第2の重合体のどちらもLDPEである。S5、CS1、及びCS2についての、加工条件及び微小毛細管の寸法は、以下の表5に提供される。密度測定から見積もられたところでは、S5は微小毛細管材料(ENGAGE(商標)8200)の18重量パーセントを含む。
実施例
上記で提供された試験方法に従って、CS1、CS2、及びS1〜S5のそれぞれを分析する。結果は、以下の表6に提供される。
CS1は、市販のMDPEでできた固体テープを表すサンプルであり、約840ポンド/インチの引裂強度及びこの化合物の典型的な引張及び伸長特性を示す。S1及びS2は、空気を充填した微小毛細管と共にテープ内に押出された同じ化合物を示す。微小毛細管の1つに沿った軸方向に裂かれる場合、それぞれの引裂強度は、微小毛細管のサイズに従って76〜80%まで低減されることを示す。S5は、ポリオレフィンエラストマー(ENGAGE(商標)8200)で充填された微小毛細管を有するサンプルも、引裂強度の著しい低減(約51%)を提供し得ることを示す。
CS2は、市販のLDPEでできた固体テープを表すサンプルであり、約296ポンド/インチの引裂強度及びこの化合物の典型的な引張及び伸長特性を示す。S3及びS4は、空気を充填した微小毛細管と共にLDPE化合物を使用して作られたサンプルであり、微小毛細管のサイズに従って、それぞれに約57%及び約72%の引裂強度の低減を示す。
上記の全ての発明に関するサンプルは42本の微小毛細管で作られることに留意されたい。かかる構築物は、データで示されるように、総体的な引張及び伸長特性に対して効果を有する。しかし、既に記載されたように、ジャケットの外周の周りに置かれた限られた数(例えば、2〜4本)の微小毛細管のみが、引裂の容易さを提供するために必要であり、一方でケーブルの最大限の機械的な保護のために、残りのジャケットは変わらないままであり得る。これは、総体的なジャケットの機械特性への微小毛細管のネガティブな影響を最小化する。

Claims (10)

  1. 被覆導体であって、
    (a)導体と、
    (b)前記導体の少なくとも一部を取り囲む剥離性重合体被覆物と、を備え、
    前記剥離性重合体被覆物が、重合体マトリクス材料と、実質的に前記剥離性重合体被覆物の伸長方向に延在する1〜8本の範囲にある微小毛細管とを備え、
    前記微小毛細管が、前記重合体マトリクス材料よりも低い曲げ弾性率を有するエラストマー系重合体を含む、被覆導体。
  2. 前記エラストマー系重合体が、オレフィンエラストマー、シリコーンエラストマー、ウレタンエラストマー、アモルファスゴム、及びそれらの2つ以上の組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の被覆導体。
  3. 前記微小毛細管によって画定された空間の集合体が、前記微小毛細管の前記伸長方向と直交に取られた前記剥離性重合体被覆物の断面として見られたときに、前記剥離性重合体被覆物の断面の総面積の20面積%未満を構成する、請求項1または2のいずれかに記載の被覆導体。
  4. 前記微小毛細管が、0.5μm〜2,000μmの範囲にある平均直径を有し、前記微小毛細管が、円形、長方形、楕円形、星形、ダイヤモンド形、三角形、正方形、五角形、六角形、八角形、曲線形、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される断面形状を有し、前記剥離性重合体被覆物が、10〜180ミルの範囲にある厚さを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の被覆導体。
  5. 前記剥離性重合体被覆物の厚さの前記微小毛細管の平均直径に対する比率が、2:1〜400:1の範囲にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の被覆導体。
  6. 前記剥離性重合体被覆物が、微小毛細管を有しないことを除いて同じマトリクス材料から作製された同一の被覆物と比較して50%未満の引張強度の低減を有し、前記剥離性重合体被覆物が微小毛細管を有しないことを除いて同じマトリクス材料から作製された同一の被覆物と比較して30%未満の破断時伸長度の低減を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の被覆導体。
  7. 前記重合体マトリクス材料が、エチレン系重合体を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の被覆導体。
  8. 前記剥離性重合体被覆物が、前記微小毛細管の内部位置に対応する外部の印を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の被覆導体。
  9. 前記微小毛細管が、前記剥離性重合体被覆物の長さに沿って実質的に長手方向に連続的である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の被覆導体。
  10. 前記微小毛細管が、前記剥離性重合体被覆物の長さに沿って長手方向に断続的である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の被覆導体。

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