JP2018531256A6 - デングウイルスワクチンおよび診断のための方法および組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、診断方法および免疫療法に用いられる、組換えフラビウイルスE糖タンパク質エクトドメイン二量体に係る組成物を提供する。

Description

[優先権の言明]
この出願は、2015年10月7日に出願された米国仮出願第62/238,496号の35U.S.C.§119(e)による恩典を主張し、その仮出願の全内容は参照により本明細書の一部をなすものとする。
[政府支援の言明]
本発明は、National Institutes of Healthにより授与された認可番号U19 AI109784−01による政府支援で行われた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
本発明は、中和抗体を誘導するフラビウイルスワクチンを対象とする。
デングウイルス(DENV)は、デング熱およびデング出血熱の原因物質である。DENVおよびそれの媒介動物の蚊は、熱帯地方および亜熱帯地方に広く分布し、その疾患は、100を超える国において風土性である。デングについての認可されたワクチンはない。
デングウイルスに誘導される抗体応答は、主に、エンベロープ(E)タンパク質を標的とするものである。多くの非中和抗体は、4つの異なるDENV血清型(DENV−1〜4)の間で交差反応性であり、DENV感染からの保護に寄与しないE上の特定のエピトープを認識する。非常に強力な中和抗体は、インタクトなビリオン上でのみアセンブリされディスプレイされる高次の四次タンパク質構造を必要とするエピトープを標的とする場合が多い。血清型の間で、中和エピトープは、構造、複雑さ、および位置が異なる。これらの血清型特異的中和抗体は、同じ血清型の次のウイルス感染からの保護を与える。
優れたデングワクチンは、四価の弱毒性の生きたデングウイルス製剤に基づいている。生ワクチンに関する最近のヒト効力研究は、4つの血清型すべてに対してバランスのとれた防御免疫応答を生じることができなかった。さらに、一部のワクチン接種された人々は、自然感染後に疾患を発症するリスクがより高いようである。組換えデングEタンパク質に基づいたワクチンは、より安全であり、かつ、4つの血清型に渡ってバランスをとることがより容易である可能性が高い。しかしながら、組換えタンパク質は、単量体として分泌されるため、ヒト抗体により標的にされる重要な四次エピトープが組換えタンパク質上にディスプレイされない。
本発明は、診断およびワクチンに用いられる、人工的な表面上に複雑な四次中和エピトープを再構築することに係る組成物および方法を提供することにより、以前の欠点を克服する。
DENV−2 Eタンパク質二量体のタンパク質構造を示す図である。Eドメイン(ED)I、EDII、およびEDIIIが示されている。2D22の重鎖および軽鎖と相互作用する残基が球形で示されている。 sRecEのエピトープスクリーニングを示す図である。1μg/ウェルのRecEを標準ELISAプレート上に添加し、異なる領域上にあり、かつ、異なる複雑さをもつエピトープを認識するマウス(M)およびヒト(H)由来のMabの選択に供した。 Ni2+−ELISAによるsRecEのエピトープスクリーニングを示す図である。異なる濃度のRecE(100ng/ウェルまたは50ng/ウェル)をNi2+−ELISAプレート上に添加し、異なる領域上にあり、かつ、異なる複雑さをもつエピトープを認識するマウス(M)およびヒト(H)由来のMabの選択に供した。 Ni2+再添加ELISAを示す図である。(A)sRecEが、ELISAプレート上に遊離Ni2+基により捕獲されている。その後、残存する遊離基はブロッキングされ、結合したRecEは、RecEの第2の添加に供される。異なるRecE濃度での二量体形成の効率は、4G2シグナル対2D22シグナル(B)の比率(C)として分析される。 sRecE再添加は二量体形成に必須であることを示す図である。低い(50ng/ウェル)および高い(500ng/ウェル)sRecE濃度が、Ni2+−プレート上に添加され、sRecEを再添加しなかった、または、同様の量のsRecEを再添加した。 再添加中の高いsRecE濃度が二量体形成に最も効率的であることを示す図である。低い(50ng/ウェル)および高い(500ng/ウェル)sRecE濃度が、Ni2+−プレート上に添加され、0ng/ウェル、50ng/ウェル、または500ng/ウェルのsRecEを再添加した。 Ni2+−プレート上の一次sRecEの配向がインビトロでの二量体形成に重要であることを示す図である。低い(50ng/ウェル)および高い(500ng/ウェル)sRecE濃度が、Ni2+−プレートおよび通常のELISAプレート上に添加された。次に、結合したRecEに、0ng/ウェル、50ng/ウェル、または500ng/ウェルのsRecEを再添加した。 1L12がRecE二量体再現についてのマーカーとして用いられ得ることを示す図である。低い(50ng/ウェル)および高い(500ng/ウェル)sRecE濃度が、Ni2+−プレート上に添加され、0ng/ウェル、50ng/ウェル、または500ng/ウェルのsRecEを再添加した。 温度の2D22二量体シグナルへの効果を示す図である。sRecEタンパク質を、37℃、RT、または4℃で添加し、かつ、抗体を37℃、RT、または4℃でインキュベートし、その結果、37℃−RT、37℃−4℃、RT−37℃、RT−4℃、4℃−RT、および4℃−37℃という6つの異なる温度条件を作り出した。2D22シグナルは、sRecEがRTまたは4℃で添加されたときに最も高く、抗体インキュベーション温度には影響されない。 RTにおける添加および再添加が二量体の再構築を向上させることを示す図である。sRecEタンパク質が、37℃での添加および37℃での再添加(37−37)、37℃での添加およびRTでの再添加(37−RT)、RTでの添加および37℃での再添加(RT−37)、RTでの添加およびRTでの再添加(RT−RT)という温度条件により、37℃またはRTで添加され、37℃およびRTで再添加された。RTでの添加および再添加により、2D22シグナルは増加し、37℃での添加および再添加より高い。4G2対2D22の比率(2D22/4G2)は、結合シグナルグラフの下に示されている。
一局面において、本発明は、組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体を作製する方法であって、a)1つの末端に機能性の第1の連結部分を含む第1の組換え可溶性単量体フラビウイルスEエクトドメインを調製するステップと、b)前記第1のエクトドメインを、前記第1の連結部分に結合する第2の連結部分と接触させるステップと、ここで、前記第2の連結部分が固体支持体に付着しており、それにより、エクトドメインを固体支持体に特定の配向で付着させ、c)前記固体支持体に付着した前記第1のエクトドメインを、機能性の第1の連結部分を欠く第2の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインと、前記第1のエクトドメインと前記第2のエクトドメインの二量体化が起こり得る条件下で接触させるステップと、d)組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体を固体支持体から脱離させるステップと、e)組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体を収集するステップとを含む方法を提供する。
追加の局面において、本発明は、固体支持体に付着した組換えフラビウイルスEエクトドメイン二量体を作製する方法であって、a)1つの末端に機能性の第1の連結部分を含む第1の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインを調製するステップと、b)第1のエクトドメインを、第1の連結部分に結合する第2の連結部分と接触させるステップと、ここで、前記第2の連結部分が担体に付着しており、それにより、エクトドメインを固体支持体に特定の配向で付着させ、c)前記担体に付着した第1のエクトドメインを、機能性の第1の連結部分を欠く第2の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインと、前記第1のエクトドメインと前記第2のエクトドメインの二量体化が起こり得る条件下で接触させるステップを含む方法を提供する。
さらなる局面として、本発明は、フラビウイルスEタンパク質エクトドメイン二量体の両方の単量体に及ぶ四次エピトープを認識する抗体を同定する方法であって、a)1つの末端に機能性の第1の連結部分を含む第1の組換え可溶性単量体フラビウイルスEエクトドメインを調製するステップと、b)前記第1のエクトドメインを、前記第1の連結部分に結合する第2の連結部分と接触させるステップと、ここで、前記第2の連結部分が固体支持体に付着しており、それにより、エクトドメインを固体支持体に特定の配向で付着させ、c)前記固体支持体に付着した第1のエクトドメインを、機能性の第1の連結部分を欠く第2の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインと、前記第1のエクトドメインと前記第2のエクトドメインの二量体化が起こり得る条件下で接触させるステップと、d)試料を、(c)の二量体化エクトドメインと、抗体/抗原複合体の形成が起こり得る条件下で接触させるステップと、e)抗体/抗原複合体の形成を検出するステップと、これにより、フラビウイルスEタンパク質エクトドメイン二量体の両方の単量体に及ぶ四次エピトープを認識する抗体を同定する、を含む方法を提供する。
追加の実施形態において、本発明は、対象においてフラビウイルスに対する免疫応答を生じさせる方法であって、本発明の二量体および/または組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法を提供する。
対象においてフラビウイルス感染を処置する方法であって、本発明の二量体および/または組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法もまた、本明細書において提供される。
対象においてフラビウイルス感染を防止する方法であって、本発明の二量体および/または組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法がさらに、本明細書において提供される。
フラビウイルス感染の影響から対象を保護する方法であって、本発明の二量体および/または組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法もまた、本明細書において提供される。
本発明はさらに、対象においてフラビウイルスに対する免疫応答を生じさせるための、その必要がある対象においてフラビウイルス感染を処置するための、対象においてフラビウイルス感染を防止するための、および/またはフラビウイルス感染の影響から対象を保護するための、薬物の製造に用いられる、本発明のE糖タンパク質エクトドメイン二量体および/または本発明の組成物のいずれかを提供する。
対象においてフラビウイルスに対する免疫応答を生じさせること、必要としている対象においてフラビウイルス感染を処置すること、対象においてフラビウイルス感染を防止すること、および/またはフラビウイルス感染の影響から対象を保護することに用いられる、本発明のE糖タンパク質エクトドメイン二量体および/または本発明の組成物のいずれかの使用もまた本明細書に提供される。
本発明は、フラビウイルスの複雑な四次中和エピトープを固体支持体上に構築できるという予想外の発見に基づいている。したがって、一実施形態において、本発明は、組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体を作製する方法であって、a)1つの末端に機能性の第1の連結部分を含む第1の組換え可溶性単量体フラビウイルスEエクトドメインを調製するステップと、b)前記第1のエクトドメインを、前記第1の連結部分に結合する第2の連結部分と接触させるステップと、ここで、前記第2の連結部分が固体支持体に付着しており、それにより、エクトドメインを固体支持体に特定の配向で付着させ、c)前記固体支持体に付着した前記第1のエクトドメインを、機能性の第1の連結部分を欠く第2の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインと、前記第1のエクトドメインと前記第2のエクトドメインの二量体化が起こり得る条件下で接触させるステップと、d)組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体を固体支持体から脱離させるステップと、e)組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体を収集するステップとを含む方法を提供する。
追加の局面において、本発明は、固体支持体に付着した組換えフラビウイルスEエクトドメイン二量体を作製する方法であって、a)1つの末端に機能性の第1の連結部分を含む第1の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインを調製するステップと、b)第1のエクトドメインを、第1の連結部分に結合する第2の連結部分と接触させるステップと、ここで、前記第2の連結部分が担体に付着しており、それにより、エクトドメインを固体支持体に特定の配向で付着させ、c)前記担体に付着した第1のエクトドメインを、機能性の第1の連結部分を欠く第2の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインと、前記第1のエクトドメインと前記第2のエクトドメインの二量体化が起こり得る条件下で接触させるステップを含む方法を提供する。
さらに、本発明は、フラビウイルスEタンパク質エクトドメイン二量体の両方の単量体に及ぶ四次エピトープを認識する抗体を試料において同定する方法であって、a)1つの末端に機能性の第1の連結部分を含む第1の組換え可溶性単量体フラビウイルスEエクトドメインを調製するステップと、b)前記第1のエクトドメインを、前記第1の連結部分に結合する第2の連結部分と接触させるステップと、ここで、前記第2の連結部分が固体支持体に付着しており、それにより、エクトドメインを固体支持体に特定の配向で付着させ、c)前記固体支持体に付着した第1のエクトドメインを、機能性の第1の連結部分を欠く第2の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインと、前記第1のエクトドメインと前記第2のエクトドメインの二量体化が起こり得る条件下で接触させるステップと、d)試料を、(c)の二量体化エクトドメインと、抗体/抗原複合体の形成が起こり得る条件下で接触させるステップと、e)抗体/抗原複合体の形成を検出するステップと、これにより、フラビウイルスEタンパク質エクトドメイン二量体の両方の単量体に及ぶ四次エピトープを認識する抗体を同定する、を含む方法を提供する。
フラビウイルスEタンパク質エクトドメイン二量体の複数の単量体に及ぶ四次エピトープを認識する抗体を同定する方法を用いる本発明の実施形態において、四次エピトープではないエピトープを認識する抗体が試料において検出され得る方法よりも前に、それと同時に、および/またはそれの後に、追加のステップを採用することができる。1つの非限定的例として、抗原/抗体複合体が形成し得る条件下で、試料の一部をフラビウイルスEエクトドメイン単量体と接触させることができ、任意のそのような抗原/抗体複合体を検出するためのステップが実行され得る。
別の例として、結合アッセイの封鎖を実行することができ、これは、試料の第1の部分を、本発明の二量体と、抗原/抗体複合体が形成し得る条件下で接触させ、その二量体を二量体上の四次エピトープに結合することが知られた抗体と接触させた後に、試料の第2の部分を、本発明の二量体と接触させて行う。抗原/抗体複合体の形成が試料の第1の部分で検出されるが、試料の第2の部分で検出されない場合には、試料の第1の部分における抗原/抗体複合体形成に関与した抗体は、複数の単量体に及ぶ四次エピトープを認識する抗体として同定される。四次エピトープに対する抗体がデングウイルスを中和するため、臨床試料においてこれらのエピトープに向けられた抗体を検出する能力は、臨床試験においてワクチンを評価すること、およびワクチン有効性を個体レベルと集団レベルの両方で予測することに有用である。
本発明のいくつかの実施形態において、第1の連結部分および第2の連結部分は、1)それぞれ、ヒスチジンタグ(HIS)およびNi2+;2)それぞれ、ビオチンおよびアビジン;ならびに3)それぞれ、一次αヘリックスおよび二次αヘリックスであり得るが、それらに限定されない。本発明に用いることができる連結部分の追加の非限定的例には、第1の連結部分として、当技術分野においてよく知られているようなHAタグまたは他のエピトープタグ、および第2の連結部分として、そのエピトープタグに特異的な抗体のFab断片、加えて、第1の連結部分として、Eタンパク質エクトドメインのC末端における化学反応性基、および第1の連結部分と化学反応性である第2の連結部分が挙げられる。これらの連結部分は、当技術分野においてよく知られているように、特定のアミンまたはスルフィドリル化学的性質を用いて互いに結合することができる。
本発明のいくつかの実施形態において、フラビウイルスはデングウイルスである。4つの血清型(DENV−1、DENV−2、DENV−3、およびDENV−4)のデングウイルスが存在する。各血清型内には、複数の異なる株または遺伝子型が存在する。本発明のデングウイルス抗原およびエピトープは、現在知られた、または後に同定される、全ての血清型、株、および遺伝子型を含む、任意のデングウイルス由来であり得る。
本発明のいくつかの実施形態において、デングウイルスは、UNC1017株(DENV−1)、ウエストパシフィック(West Pacific)74株(DENV−1)、S16803株(DEN2)、UNC2005株(DENV−2)、UNC3001株(DENV−3)、UNC3043(1984年フィリピンで採取されたDENV−3株059.AP−2)、UNC3009株(DENV−3、D2863、スリランカ、1989)、UNC3066(1977年プエルトリコで採取されたDEN3、1342株)、CH53489株(DENV−3)、UNC4019株(DENV−4)、またはTVP−360(DENV−4)である。
本発明に用いることができる他のフラビウイルスの非限定的な例には、黄熱病ウイルス(YFV)(例えば、GenBank(登録商標)データベースアクセッション番号JX503529)、日本脳炎ウイルス(JEV)(例えば、GenBank(登録商標)データベースアクセッション番号U14163)、ウエストナイルウイルス(WNV)(例えば、GenBank(登録商標)データベースアクセッション番号DQ211652)、ダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)(例えば、GenBank(登録商標)データベースアクセッション番号P14336)、および現在知られた、または後に同定される任意の他のフラビウイルスが挙げられる。
本発明はさらに、本発明の方法により作製される組換えフラビウイルスEエクトドメイン二量体、および、固体支持体に付着した組換えフラビウイルスEエクトドメイン二量体を提供する。いくつかの実施形態において、組換えフラビウイルスEエクトドメイン二量体には、第1の連結部分が付着しており、いくつかの実施形態において、この第1の連結部分は、例えば、フラビウイルスエクトドメイン二量体が対象に投与されるべきものであり、その第1の連結部分が対象への投与にとって適切ではない(例えば、生物学的に安全ではない)場合には、除去される。いくつかの実施形態において、本発明のフラビウイルスエクトドメイン二量体は、その二量体が対象に投与される実施形態であっても、第1の連結部分が対象に生物学的に適合性である場合には、第1の連結部分が付着していてもよい。
用語「フラビウイルスEエクトドメイン」は、ウイルスの外側にあるアミノ酸配列のすべてを指し、膜内またはウイルスの内側に埋め込まれているタンパク質の部分を含まない。デングウイルスEエクトドメインの場合、ウイルスの外側であり、かつウイルス膜と緩く結合しているいくつかのヘリックスセグメントがあるが、それらは、典型的には、エクトドメインと呼ばれる可溶性タンパク質に含まれない。Eエクトドメインは、典型的には、約400個のアミノ酸を含み、典型的には、フラビウイルスEタンパク質のアミノ酸配列において1〜400とナンバリングされる。
本発明の固体支持体は、1つまたは複数のフラビウイルスEエクトドメイン単量体が、本明細書に記載された方法に従って二量体形成を可能にする配向で付着することができる、任意の固体支持体であり得る。いくつかの実施形態において、固体支持体は、イムノアッセイまたは任意の他の型のアッセイもしくは反応において一般的に用いられるような、プレート、樹脂、ディッシュ、スライド、ウェルなどであり得るが、それらに限定されない。
本発明のいくつかの実施形態において、固体支持体は、1つまたは複数のフラビウイルスEエクトドメイン単量体が、本明細書に記載された方法に従って二量体形成を可能する配向で付着することができる表面を有する、任意の型の担体であり得る。いくつかの実施形態において、固体支持体は、微小粒子またはナノ粒子であり得る。
本発明のナノ粒子の例示的な型には、ナノスケールでの、PLGAベース、PLAベース、多糖ベース(デキストラン、シクロデキストリン、キトサン、ヘパリン)、デンドリマー、ハイドロゲルなどの重合体ナノ粒子;脂質ナノ粒子、脂質ハイブリッドナノ粒子、リポソーム、ミセルなどの脂質ベースのナノ粒子;超常磁性酸化鉄ナノ粒子、金属ナノ粒子、白金ナノ粒子、リン酸カルシウムナノ粒子、量子ドットなどの無機物ベースのナノ粒子;フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素ベースのナノ粒子;およびタンパク質ベースの複合体が挙げられるが、それらに限定されない。
本発明の微小粒子の型には、当技術分野において知られているように、非限定的に、PLGAベース、PLAベース、多糖ベース(デキストラン、シクロデキストリン、キトサン、ヘパリン)、デンドリマー、ハイドロゲルなどが挙げられるが、それらに限定されない重合体微小粒子;脂質微小粒子、ミセルなどの脂質ベースの微小粒子;超常磁性酸化鉄微小粒子、白金微小粒子などの無機物ベースの微小粒子である、マイクロメートルスケールでのサイズをもつ粒子が挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書に用いられる場合、用語「ナノ粒子」および「ナノスフェア」は、ナノメートルサイズ範囲での重合体の粒子またはスフェアをいう。本明細書に用いられる場合の用語「微小粒子」または「マイクロスフェア」は、マイクロメートルサイズ範囲での粒子またはスフェアをいう。粒子またはスフェアのどちらの型も、本発明の担体として用いることができる。
本発明のナノ粒子またはナノスフェアは、100nm以下(例えば、約1nmから約100nmまでの範囲)の直径を有し得る。いくつかの実施形態において、100nmを超える寸法を有する粒子はなお、ナノ粒子と呼ぶことができる。したがって、ナノ粒子についての上限は、約500nmであり得る。本発明の微小粒子またはマイクロスフェアは、約0.5マイクロメートル〜約100マイクロメートルの直径を有し得る。
本発明のナノ粒子またはマイクロスフェアのいくつかの実施形態において、二量体または多数の二量体が、アミン/カルボキシレート化学的性質、チオール/マレイミド化学的性質、およびジスルフィド化学的性質に基づいた疎水性非共有結合性相互作用または共有結合性連結を用いて、外面に付着する。疎水性非共有結合性相互作用について、非修飾型単量体および/または二量体が、粒子の表面上に直接、吸着され得る。あるいは、単量体または二量体がまず、脂肪酸(すなわち、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸など)とのコンジュゲーションにより化学的または酵素的に修飾され得、その脂肪酸の長い炭素鎖が、粒子の表面とのきつく強い疎水性相互作用または粒子の表面への挿入を可能にする。共有結合性連結のためには、粒子の表面上の官能基は、まず、活性化エステル、活性化ジスルフィド、またはマレイミドを導入するために誘導体化または活性化され、その後、本発明の単量体および/または二量体と反応させる。
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、ナノスケールでの、PLGAベース、PLAベース、および/または多糖ベース(デキストラン、シクロデキストリン、キトサン、ヘパリンなど)であり得る重合体;デンドリマー;ハイドロゲル;脂質ベース;脂質ハイブリッドベース;リポソーム;ミセル;例えば、超常磁性酸化鉄、金属、白金、リン酸カルシウムなどの無機物ベース;量子ドット;例えば、フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素ベース;ならびにタンパク質ベースの複合体を含み得る。
ある特定の実施形態において、リポソームもまた、本発明の単量体および/または二量体と共に用いられ得る。リポソームの形成および使用は、下記で要約されているように、一般的に当業者に知られている。
リポソームは、水性媒体中に分散しているリン脂質から形成され、自発的に、多層同心円状の二重層ベシクル(多層ベシクル(MLV)とも呼ばれる)を形成する。MLVは、一般的に、25nmから4μmまでの直径を有する。MLVの超音波処理は、結果として、そのコアに水溶液を含有する、200〜500Åの範囲での直径を有する小さい単層ベシクル(SUV)の形成を生じる。
リン脂質は、水中に分散した時、水に対する脂質のモル比に依存して、リポソーム以外の様々な構造を形成することができる。低い比率において、リポソームは、好ましい構造となる。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度、および二価陽イオンの存在に依存する。リポソームは、イオン性および極性物質に対する低い透過性を示し得るが、温度の上昇で、それらの透過性が著しく変わる相転移を起こす。相転移は、ゲル状態として知られた、密にパックされた規則正しい構造から、流体状態として知られた、緩くパックされたあまり規則正しくない構造への変化を含む。これは、特有の相転移温度で起こり、イオン、糖、および薬剤に対する透過性の増加を生じる。
リポソームは、マクロファージや好中球などの細網内皮系の食細胞によるエンドサイトーシス;非特異的な弱い疎水性もしくは静電力によるか、または細胞表面成分との特異的な相互作用によるかのいずれかによる細胞表面への吸着;リポソーム内容物の細胞質への同時放出を伴う、リポソームの脂質二重層の形質膜への挿入による形質細胞膜との融合;および、リポソーム内容物が関与しない、リポソーム脂質の細胞膜もしくはオルガネラ膜への移入またはその逆、の、少なくとも4つの異なる機構によって細胞と相互作用する。リポソーム製剤を変えることは、どの機構が作用するのかを変化させ得るが、複数の機構が同時に作用する場合がある。
本発明のいくつかの実施形態において、固体支持体は、ナノカプセルであり得る。ナノカプセルは、一般的に、安定的かつ再現性のある様式で化合物を封入することができる。細胞内への重合体の過負荷による副作用を避けるために、そのような超微細な粒子(約0.1μmの大きさ)は、インビボで分解され得る重合体を用いて設計されるべきである。これらの必要条件を満たす生分解性ポリアルキル−シアノアクリレートナノ粒子が、本発明での使用を企図され、そのような粒子は容易に作製され得る。
本発明のなおさらなる実施形態において、本発明は、本発明のE糖タンパク質の個々のエピトープおよび高次構造的エピトープを模倣するペプチドミモトープ(Meloen et al. (2000) J. Mol. Recognit. 13, 352−359を参照)を提供する。ミモトープは、本発明のE糖タンパク質の個々のエピトープおよび高次構造的エピトープに対する抗体を使用して、表面刺激、ランダムペプチドライブラリーまたはファージディスプレイライブラリーなどによる当技術分野において知られた任意の技術を用いて同定され得る。
本発明はまた、本発明の方法に用いられる、高次構造(例えば、「ラフト」を形成するように互いに結合した3つの二量体)としての本発明の二量体の作製および使用を企図する。そのような高次構造は、複数の二量体由来のアミノ酸残基により構成される四次エピトープを含み、これらの複雑な四次エピトープに特異的な免疫応答を生じさせるために用いることができる。本明細書に提供される表1〜4は、四次エピトープの部分として同定されているそれぞれの二量体由来の特定のアミノ酸残基を示す(アミノ酸残基ナンバリングは、本明細書に提供された参照アミノ酸配列に基づいている)(Fibriansah et al.“DENGUE VIRUS.Cryo−EM structure of an antibody that neutralizes dengue virus type 2 by locking E protein dimers”Science 349(6243):88−91(2015);Fibriansah et al.“A highly potent human antibody neutralizes dengue virus serotype 3 by binding across three surface proteins”Nat Commun.6:6341(2015);Fibriansah et al.“A potent anti−dengue human antibody preferentially recognizes the conformation of E protein monomers assembled on the virus surface”EMBO Mol Med.6(3):358−71(2014))。
本発明はさらに、本発明のエクトドメイン単量体および/または他のポリペプチドもしくはペプチドをコードする核酸分子(例えば、単離された核酸分子)を提供する。本発明の核酸分子をコードするベクターもまた提供される
本発明の単量体、二量体、ポリペプチド、ペプチド、および/または核酸分子を含む細胞もまた提供される。
追加の実施形態において、本発明は、本発明の二量体、ベクター、核酸分子、ポリペプチドを含む免疫原性組成物、および/またはその組成物のいずれかを提供する。いくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、一価であり得る。いくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、任意の組合せでのデングウイルス血清型DENV−1、DENV−2、DENV−3、および/またはDENV−4について、多価(例えば、二価、三価、四価)である。
本発明はさらに、対象においてフラビウイルスに対する免疫応答を生じさせる方法であって、本発明の二量体および/または本発明の組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法を提供する。
さらに、本発明は、対象においてフラビウイルス感染を処置する方法であって、本発明の二量体および/または本発明の組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法を提供する。
追加として、対象においてフラビウイルス感染を防止する方法であって、本発明の二量体および/または本発明の組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法が本明細書に提供される。
フラビウイルス感染の影響から対象を保護する方法であって、本発明の二量体および/または本発明の組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで有効量を対象に投与するステップを含む方法もまた本明細書に提供される。
さらに、本発明が、有利には、DENV−1、DENV−2、DENV−3、およびDENV−4血清型の1つ、2つ、3つ、または4つ全てに対する免疫応答を誘導するために実行され得ることが企図される。有効かつ安全な多価デングワクチンが、血清型間の干渉という問題ゆえに、設計上の課題を抱えていることは当技術分野おいてよく知られている。例えば、免疫応答は、標的血清型の一部のみに対して主に向けられ得る。その後、全ての血清型に対する応答を達成しようとするためには、複数回のワクチン接種が必要とされるが、しかしながら、デングウイルスの場合、このアプローチは、既存の抗体を有する対象への反復投与が、デング出血熱などの有害効果をもたらし得るため、危険であり得る。
本発明の実施形態において、フラビウイルスEタンパク質エクトドメインの「免疫原的活性(immunogenically active)断片」は、任意には連続した、少なくとも約200個、275個、300個、325個、350個、375個、380個、390個、もしくは395個のアミノ酸、および/または、任意には連続した、約400個未満、410個未満、420個未満、430個未満、440個未満、450個未満、もしくは451個未満のアミノ酸(下限が上限より少ない限り、前述の間の任意の組合せを含む)を含み、それらから本質的になり、またはそれらからなり、「免疫原的活性断片」は、宿主におけるフラビウイルスに対して免疫応答(例えば、天然抗原と反応するIgGおよび/またはIgA)、任意で防御免疫応答を誘導し、本明細書に記載されているような1つまたは複数の四次フラビウイルスエピトープと特異的に結合する抗体の産生を誘導する。
本明細書に用いられる場合、用語「エピトープ」は、適切な立体構造で存在する場合、例えば、抗体(例えば、B細胞エピトープ)および/またはT細胞受容体(例えば、T細胞エピトープ)に関わる、免疫応答のための反応部位を提供する、アミノ酸残基の特定の組合せを意味する。
B細胞エピトープを含む所定のポリペプチドの部分は、当技術分野において知られているエピトープマッピング技術(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Glenn E. Morris, Ed., 1996, Humana Press, Totowa, N.J.参照)をいくつでも用いて、同定することができる。例えば、直鎖状エピトープは、例えば、多数のペプチド(そのペプチドは、タンパク質分子の部分に対応している)を固体支持体上で同時に合成し、ペプチドが支持体にまだ付着したまま、ペプチドを抗体と反応させることにより、決定することができる。そのような技術は当技術分野において知られており、例えば、米国特許第4,708,871号; Geysen et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998−4002; Geysen et al. (1986) Molec. Immunol. 23:709−715に記載されている。
同様に、高次構造的エピトープは、例えば、低温電子顕微鏡観察、X線結晶解析および2次元核磁気共鳴などのアミノ酸の空間的高次構造を決定することにより容易に同定することができる。タンパク質の抗原性領域もまた、例えば、Oxford Molecular Groupから入手できるOmigaバージョン1.0ソフトウェアプログラムを用いて計算されるものなど、標準の抗原性およびヒドロパシーのプロットを用いて同定することができる。このコンピュータプログラムは、抗原性プロフィールを決定するためにHopp/Woods method (Hopp et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA (1981) 78:3824−3828)およびハイドロパシープロットのためにKyte−Doolittle技術(Kyte et al., J. Mol. Biol. (1982) 157:105−132)を用いる。
一般的に、対象の細胞性免疫系を刺激するために関与するT細胞エピトープは、約8〜25個のアミノ酸の短いペプチドである。T細胞エピトープを同定する一般的な方法は、重複合成ペプチドを用いて、例えば、酵素結合イムノスポットアッセイ(ELISPOT)により、関心対象となる抗原に対して免疫性である動物由来のT細胞によって認識されるこれらのペプチドのプール、または個々のペプチドを分析することによる。これらの重複ペプチドはまた、サイトカイン放出もしくは分泌の刺激などの他のアッセイに用いることができ、またはそのペプチドを含有する主要組織適合性(MHC)四量体を構築することにより評価することができる。そのような免疫原的活性断片はまた、関心対象となる抗原由来の様々な断片による刺激に応答してリンパ球増殖を刺激するそれらの能力に基づいて同定することができる。
本発明は、予防、治療、および/または診断を目的として実施することができる。加えて、本発明は、診断もしくは研究目的などの任意の目的のために、または別の対象への移入による受動免疫のために、抗体を産生するように実施することができる。
本発明はさらに、本発明の1つまたは複数の組成物を含むキットを提供する。本発明のキットが、当技術分野においてよく知られているように、適切なバッファーおよび/または希釈剤および/または他の試薬および/または溶液、ならびにそのキットを用いるための説明書と共にキットの試薬(例えば、抗体、抗原、核酸)を保持する1つまたは複数の入れ物および/または容器を含み得ることは、当業者によりよく理解されている。そのようなキットはさらに、当技術分野においてよく知られているように、アジュバントおよび/または他の免疫刺激剤もしくは免疫調節剤を含み得る。
本発明の組成物およびキットはまた、他の薬用作用物質、薬学的作用物質、担体、希釈剤、免疫刺激性サイトカインなどを含み得る。そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に知られており、または明らかであろう。
対象への投与は、当技術分野において知られた任意の経路からであってよい。非限定的例として、投与の経路は、吸入(例えば、経口的および/または経鼻的吸入)、経口、頬側(例えば、舌下)、直腸、膣、(気道への投与を含む)局所的、眼内、経皮、非経口による(例えば、筋肉内[骨格筋への投与])、静脈内、動脈内、腹腔内など)、(足蹠への投与を含む)皮下、皮内、胸膜内、脳内、および/またはくも膜下腔内の経路により得る。
本発明のエピトープ、ポリペプチドおよび他の組成物は、それ自体で、またはそれをコードする核酸(例えば、DNA)を送達することにより、送達することができる。
免疫調節性ケモカインおよびサイトカイン(好ましくは、CTL誘導性サイトカイン)などの免疫調節性化合物を対象へ同時に投与することができる。
サイトカインは、当技術分野において知られた任意の方法により投与され得る。外因性サイトカインは、対象へ投与され得、または代替として、サイトカインをコードする核酸が、適切なベクターを用いて対象へ送達され得、サイトカインがインビボで産生され得る。特定の実施形態において、ウイルスアジュバントがサイトカインを発現する。
本発明の実施形態において、本発明の組成物の複数回用量(例えば、2回、3回、またはそれ以上)を、検出可能な病原性(デングショック症候群/デング出血熱)なしに投与することができる。
本発明の実施形態において、本発明の多価ワクチンは、免疫干渉を生じず、例えば、提示された全ての抗原に対して、バランスのとれた免疫応答が誘導される。本発明の実施形態において、バランスのとれた応答は、DENV−1、DENV−2、DENV−3、およびDENV−4に対する防御免疫を生じる。
本発明の実施形態において、多価ワクチンは、抗デングの母親由来抗体が存在する対象へ投与することができる。
本発明が異なる形で具体化することができ、かつ本明細書に示された実施形態に限定されると解釈されるべきではないことは、理解されているはずである。むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全であり、かつ本発明の範囲を当業者に完全に伝えるだろうように、提供される。
他に規定がない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野における当業者により一般的に理解されているのと同じ意味をもつ。本明細書において本発明の説明に用いられる用語法は、特定の実施形態のみを記載することを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。
本明細書で用いられる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」は、1つまたは複数を意味し得る。例えば、「1つの(a)」細胞は、単一細胞または複数の細胞を意味し得る。
また本明細書で用いられる場合、「および/または」は、関連して列挙された項目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組合せ、加えて、離接的接続詞(「または(or)」)において解釈される場合の組合せの欠如を指し、かつ包含する。
用量の量(例えば、脂肪酸の量)などの測定可能な値を指すとき、本明細書で用いられる場合、用語「約」は、特定化された量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、またはさらに±0.1%の変動を包含することを意味する。
本明細書で用いられる場合、移行句「から本質的になること」とは、特許請求の範囲の範囲が、特許請求の範囲に列挙された特定化材料またはステップ、および主張された発明の基本的かつ新規の特徴に実質的には影響しないものを包含すると解釈されるべきであることを意味する。In re Herz, 537 F.2d 549, 551−52, 190 U.S.P.Q. 461, 463 (CCPA 1976)(原文における強調)参照;MPEP § 2111.03もまた参照。したがって、本発明の特許請求の範囲において用いられる時の用語「から本質的になること」は、「を含むこと(comprising)」と等価であると解釈されることを意図するものではない。
本明細書で用いられる場合、用語「核酸」は、cDNA、ゲノムDNA、合成(例えば、化学合成された)DNA、およびRNAとDNAのキメラを含む、RNAおよびDNAの両方を包含する。核酸は二本鎖または一本鎖であり得る。核酸は、ヌクレオチド類似体または誘導体(例えば、イノシン、またはホスホロチオエートヌクレオチド)を用いて合成されてもよい。そのようなヌクレオチドは、例えば、塩基対形成能力の変化、またはヌクレアーゼに対する抵抗性の増加を有する核酸を調製するために、用いることができる。
用語「デングウイルスEタンパク質ドメインIとドメインIIのヒンジ領域」および類似した用語は、デングウイルスE糖タンパク質におけるドメインIとIIの間の三次元界面、および任意選択的に、隣接するアミノ酸残基を含むと、当技術分野において理解されている。加えて、ヒンジ領域におけるある特定のアミノ酸残基が、それらがエピトープそれ自体の部分を形成していないとしても、エピトープの適切なフォールディングおよび提示を促進し得ることを、当業者は認識しているだろう。代表的な実施形態において、デングウイルスEタンパク質ドメインIとドメインIIのヒンジ領域は、デングウイルス血清型3(DENV−3;例えば、GenBank(登録商標)データベースアクセッション番号JQ411814)のEタンパク質のアミノ酸位置47〜59、124〜133、199〜222、および/もしくは206〜228、または本明細書に記載されているような他のデングウイルス血清型のEタンパク質の対応する位置を含み、それらから本質的になり、またはそれらからなる。
用語「デングウイルスEタンパク質ドメインIIIの少なくとも一部」および類似した用語は、エピトープの部分を形成するEタンパク質ドメインIIIの部分、加えて、それらがエピトープそれ自体の部分を形成していないとしても、エピトープの適切なフォールディングおよび提示を促進するアミノ酸残基を指す。代表的な実施形態において、デングウイルスEタンパク質ドメインIIIは、デングウイルス血清型3のEタンパク質のアミノ酸位置305〜308、323〜325、359〜362、および/もしくは389〜390、または本明細書に記載されているような他のデングウイルス血清型のEタンパク質の対応する位置を含み、それらから本質的になり、またはそれらからなる。
本明細書で用いられる場合、用語「ポリペプチド」は、他に指示がない限り、ペプチドおよび(融合タンパク質を含む)タンパク質の両方を包含する。
「融合タンパク質」は、天然では一緒に融合しては見出されない2つ(またはそれ以上の)異なるポリペプチドをコードする2つの異種性ヌクレオチド配列またはその断片が、正しい翻訳リーディングフレームで一緒に融合している場合に産生されるポリペプチドである。
「組換え」核酸、ポリヌクレオチド、またはヌクレオチド配列は、遺伝子工学技術によって作製されるものである。
「組換え」ポリペプチドは、組換え核酸、ポリペプチド、またはヌクレオチド配列から産生される。
本明細書で用いられる場合、「単離された」ポリヌクレオチド(例えば、「単離された核酸」または「単離されたヌクレオチド配列」)は、天然に存在する生物体またはウイルスの他のコンポーネントの少なくとも一部、例えば、そのポリヌクレオチドに付随して一般的に見出される細胞もしくはウイルスの構造コンポーネントまたは他のポリペプチドもしくは核酸から少なくとも部分的に分離されたポリヌクレオチドを意味する。必ずではないが、任意で、「単離された」ポリヌクレオチドは、出発材料と比較して、より高い濃度(例えば、少なくとも約2倍、3倍、4倍、10倍、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、10000倍、またはそれ以上の濃度)で存在する(すなわち、濃縮されている)。それぞれの実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上純粋である。
「単離された」ポリペプチドは、天然に存在する生物体またはウイルスの他のコンポーネントの少なくとも一部、例えば、そのポリペプチドに付随して一般的に見出される細胞もしくはウイルスの構造コンポーネントまたは他のポリペプチドもしくは核酸から少なくとも部分的に分離されているポリペプチドを意味する。必ずではないが、任意で、「単離された」ポリペプチドは、出発材料と比較して、より高い濃度(例えば、少なくとも約2倍、3倍、4倍、10倍、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、10000倍、またはそれ以上の濃度)で存在する(すなわち、濃縮されている)。それぞれの実施形態において、単離されたポリペプチドは、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上純粋である。
さらに、「単離された」細胞は、それが天然では通常、付随している他のコンポーネントから部分的に、または完全に分離されている細胞である。例えば、単離された細胞は、培地中の細胞、および/または薬学的に許容される担体中の細胞であり得る。
用語「免疫原」および「抗原」は、本明細書で交換可能に用いられ、細胞性および/または体液性免疫応答が向けられる任意の(ポリペプチドを含む)化合物を意味する。特定の実施形態において、免疫原または抗原は、フラビウイルス感染の影響に対する防御免疫応答を誘導することができる。
本明細書で用いられる場合、「有効量」は、治療的なおよび/または有益な効果であり得る所望の効果を生じるのに十分である、本発明のベクター、核酸、エピトープ、ポリペプチド、細胞、粒子、VLP、組成物、または製剤の量を指す。有効量は、対象の年齢、全身状態、処置されることになっている状態の重症度、投与される特定の作用物質、処置の期間、任意の併用処置の性質、用いられる薬学的に許容される担体、および当業者の知識および専門知識の範囲内の同様の因子によって変わる。必要に応じて、任意の個々の場合における「有効量」は、関連のあるテキストおよび文献を参照することにより、ならびに/または日常的実験を用いることにより、当業者により決定することができる。
本明細書で用いられる場合、用語「免疫原性量」または「有効免疫用量」は、他に指示がない限り、非免疫対象の生来の免疫より大きい(任意で、防御応答であり得る)免疫応答を、処置される対象において誘導するのに十分な量または用量を意味する。任意の特定の状況における免疫原性量または有効免疫用量は、当技術分野において知られた方法を用いて日常的に決定することができる。
用語「ワクチン」、「ワクチン接種」、および「免疫付与」は当技術分野においてよく理解されており、本明細書で交換可能に用いられる。例えば、ワクチン、ワクチン接種、または免疫付与という用語は、免疫原に対する対象の免疫反応(例えば、能動免疫応答をもたらすことによる)、ならびにそれに従って、感染に抵抗し、それを克服し、および/またはそれから回復するその対象の能力(すなわち、防御免疫応答)を増加させる方法または組成物であると理解することができる。
用語「処置する」、「処置すること」、または「の処置」(およびそれの文法的語尾変化)とは、対象の状態の重症度が、低下し、少なくとも部分的に改善し、もしくは寛解すること、ならびに/あるいは少なくとも1つの臨床症状のいくらかの軽減、緩和、もしくは減少が達成され、および/または疾患もしくは障害の進行の遅延があることを意味する。それぞれの実施形態において、用語「処置する」、「処置すること」、または「の処置」(およびそれの文法的語尾変化)は、臨床疾患の他の徴候の有無に関わらず、ウイルス血症の重症度の低下、および/またはウイルス血症の進行の遅延を指す。
本明細書で用いられる場合、「処置有効」量は、対象を(本明細書で定義されているように)処置するのに十分である量である。いくらかの利益が対象にもたらされる限り、治療的効果が完全または治癒的である必要はないことを当業者は理解しているだろう。
用語「防止する」、「防止すること」、または「の防止」(およびその文法的語尾変化)は、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発生および/もしくは進行の防止および/もしくは遅延、ならびに/または本発明の方法の非存在下で起こるであろうものと比較して、疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発生および/もしくは進行の重症度の低下を指す。代表的な実施形態において、用語「防止する」、「防止すること」、または「の防止」(およびその文法的語尾変化)は、臨床疾患の他の徴候の有無に関わらず、対象におけるウイルス血症の発生および/または進行の防止および/または遅延を指す。防止は、完全、例えば、疾患、障害、および/または臨床症状の全部の欠如であり得る。防止はまた、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の出現、ならびに/または発生および/もしくは進行の重症度が、本発明の非存在下で起こるであろうものより低いような部分的であり得る。
本明細書で用いられる場合、「防止有効」量は、対象において疾患、障害、および/または臨床症状を(本明細書で定義されているように)防止するのに十分である量である。いくらかの利益が対象にもたらされる限り、防止のレベルが完全である必要はないことを当業者は理解しているだろう。
本発明の方法によりフラビウイルス感染を処置および/または防止する効力は、当業者によりよく知られているように、対象の症状および/または臨床的パラメータ(例えば、ウイルス血症)の変化により示されるような臨床的向上を検出することにより決定することができる。
他に指示がない限り、用語「保護する」、「保護すること」、「保護」、および「防御的」(およびその文法的語尾変化)は、デングウイルスなどのフラビウイルスの株、遺伝子型、または血清型の1つに対するものであろうと、複数に対するものであろうと、対象においてフラビウイルス感染を防止する方法と処置する方法の両方を包含する。
本明細書で用いられる場合、用語「防御」免疫応答または「防御」免疫は、免疫応答が、それが疾患、または感染の任意の他の徴候の発生率および/または重症度および/または持続期間を防止し、または低下させる点において、対象にいくらかの利益を与えることを示す。例えば、代表的な実施形態において、防御免疫応答または防御免疫は、臨床疾患を伴う、伴わないに関わらず、ウイルス血症の低下を生じる。あるいは、防御免疫応答または防御免疫は、既存の疾患の治療的処置において有用であり得る。
「能動免疫応答」または「能動免疫」は、免疫原との遭遇後の宿主組織および細胞の関与により特徴づけられる。それは、リンパ細網組織における免疫担当細胞の分化および増殖を含み、それが、抗体の合成、もしくは細胞性反応の発生、または両方をもたらす。(Herscowitz, Immunophysiology: Cell Function and Cellular Interactions in Antibody Formation, in IMMUNOLOGY: BASIC PROCESSES 117 (Joseph A. Bellanti ed., 1985))。別の言い方をすれば、能動免疫応答は、感染またはワクチン接種による免疫原への曝露後、宿主により開始される。能動免疫は、受動免疫と対照をなし、受動免疫は、「能動免疫された宿主由来のあらかじめ形成された物質(抗体、トランスファー因子、胸腺移植片、インターロイキン2)の非免疫宿主への移入」を通して獲得される。同上。
本発明の「対象」には、フラビウイルスに感染しやすい任意の動物が挙げられる。そのような対象は、一般的に、哺乳類の対象(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、霊長類などの実験動物)、農業用もしくは商業用動物(例えば、ウシ、ウマ、ヤギ、ロバ、ヒツジなど)、または家庭用動物(例えば、ネコ、イヌ、フェレットなど)である。特定の実施形態において、対象は、霊長類の対象、非ヒト霊長類の対象(例えば、チンパンジー、ヒヒ、サル、ゴリラなど)、またはヒトである。本発明の対象は、フラビウイルスによる感染のリスクがあることが知られた、または考えられる対象であり得る。あるいは、本発明による対象にはまた、フラビウイルスに感染していること、またはフラビウイルス感染についての処置を必要としていることを以前には知られても、もしくは疑われもしていない対象も挙げることができる。
対象は、防御免疫応答を誘発するため、またはその対象において抗体の産生を誘発するためなどの任意の目的のために処置され得、その抗体は、収集されて、研究目的もしくは診断目的などの他の目的に、または他の対象に投与して、そこに受動免疫を生じさせるために用いることができる。
対象には、新生児、若年、成熟、および老齢の対象を含む任意の年齢の男性および/または女性が挙げられる。ヒト対象に関して、代表的な実施形態において、対象は、乳児(生後約12カ月未満、10カ月未満、9カ月未満、8カ月未満、7カ月未満、6カ月未満、またはそれ未満)、幼児(例えば、少なくとも生後約12カ月、18カ月、もしくは24カ月、および/または約36カ月未満、30カ月未満、もしくは24カ月未満)、または小児(例えば、少なくとも約1歳、2歳、3歳、4歳、もしくは5歳、および/または約14歳未満、12歳未満、10歳未満、8歳未満、7歳未満、6歳未満、5歳未満、もしくは4歳未満)であり得る。本発明の実施形態において、対象は、生後約0カ月から3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、24カ月、30カ月、36カ月、48カ月、もしくは60カ月まで、約3カ月から6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、24カ月、30カ月、36カ月、48カ月、もしくは60カ月まで、約6カ月から9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、24カ月、30カ月、36カ月、48カ月、もしくは60カ月まで、約9カ月から12カ月、15カ月、18カ月、24カ月、30カ月、36カ月、48カ月、もしくは60カ月まで、約12カ月から18カ月、24カ月、36カ月、48カ月、もしくは60カ月まで、約18カ月から24カ月、30カ月、36カ月、48カ月、もしくは60カ月まで、または約24カ月から30カ月、36カ月、48カ月、もしくは60カ月までであるヒト対象である。
本発明の実施形態において、対象は、本発明のフラビウイルスに対する母親由来抗体を有する。
本発明の方法を「必要としている対象」は、本発明のフラビウイルスに感染していることが知られた、もしくは感染しているのではないかと疑われる対象、または感染するリスクがある対象であり得る。
本発明のフラビウイルスのエピトープ、ポリペプチド、および/または他の組成物、および薬学的に許容される担体を含む薬学的製剤(例えば、免疫原性製剤)もまた提供され、知られた技術に従って、薬学的担体において、投与のために製剤化することができる。例えば、Remington, The Science And Practice of Pharmacy(最新版)を参照。本発明の実施形態による薬学的組成物の製造において、本発明の組成物は、典型的には、とりわけ、薬学的に許容される担体と混合される。「薬学的に許容される担体」とは、薬学的組成物における他の成分と適合性があり、その上、対象に対して危害(harmful)を加えず、有害(deleterious)でもない担体を意味する。担体は、固体もしくは液体、または両方であり得、好ましくは、本発明の組成物と共に、単位用量製剤、例えば、錠剤として製剤化され、その単位用量製剤は、約0.01重量%または0.5重量%から約95重量%または99重量%までの組成物を含有し得る。薬学的組成物は、薬学のよく知られた技術のいずれかにより調製され、その技術には、任意で1つまたは複数の補助的成分を含む、コンポーネントを混合することが挙げられるが、それに限定されない。ある特定の実施形態において、薬学的に許容される担体は、無菌であり、担体を含む薬学的組成物についての規制ガイドラインに従って、ヒト対象への投与に適しているとみなされる。
さらに、本発明による組成物の塩、担体、賦形剤、または希釈剤などの「薬学的に許容される」コンポーネントは、(i)それが、意図された目的に適さない組成物を与えることなく、本発明の組成物と組み合わせることができる点において、組成物の他の成分と適合性であり、かつ(ii)過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激作用、およびアレルギー応答)なしに、本明細書に提供されているような対象に用いるのに適しているコンポーネントである。副作用は、それらのリスクが、その組成物によりもたらされる利益より上回る場合、「過度」である。薬学的に許容されるコンポーネントの非限定的例には、リン酸緩衝食塩水、水、油/水型乳濁液、マイクロエマルジョンなどの乳濁液、および様々な型の湿潤剤などの標準薬学的担体のいずれかが挙げられる。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、1つまたは複数のアジュバントをさらに含み得る。本発明のアジュバントは、アミノ酸配列の形、および/またはアジュバントをコードする核酸の形であり得る。核酸の形をとる場合、アジュバントは、本発明のポリペプチドもしくは断片もしくはエピトープをコードする核酸成分、および/または本発明のポリペプチドもしくは断片もしくはエピトープをコードする核酸を含む組成物の別個の成分であり得る。本発明によれば、アジュバントはまた、アジュバントとして機能するペプチド、タンパク質断片、もしくはタンパク質全体であるアミノ酸配列であり得、および/または、アジュバントは、アジュバントとして機能するペプチド、タンパク質断片、もしくはタンパク質全体をコードする核酸であり得る。本明細書で用いられる場合、「アジュバント」は、対象において免疫応答を増強し、向上させ、または別なふうに調節するために、本発明の組成物と組み合わせることができる任意の免疫調節物質であり得る物質を表す。
さらなる実施形態において、アジュバントは、免疫刺激性サイトカイン(例えば、GM/CSF、インターロイキン−2、インターロイキン−12、インターフェロン−γ、インターロイキン−4、腫瘍壊死因子−α、インターロイキン−1、造血因子flt3L、CD40L、B7.1共刺激分子およびB7.2共刺激分子が挙げられるが、それらに限定されない)、リン酸緩衝食塩水中、5パーセント(重量/体積)スクアレン(DASF、Parsippany、N.J.)、2.5パーセントPluronic、L121ポリマー(Aldrich Chemical、Milwaukee)、および0.2パーセント ポリソルベート(Tween80、Sigma)で構成されるSYNTEXアジュバント製剤1(SAF−1)であり得るが、それらに限定されない。適切なアジュバントにはまた、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)、リン酸アルミニウム、またはアルガンムリン(algannmulin)などのアルミニウム塩が挙げられるが、カルシウム、鉄、もしくは亜鉛の塩でもよく、あるいは、アシル化チロシン、またはアシル化糖、陽イオン性もしくは陰イオン性に誘導体化された多糖、またはポリホスファゼンの不溶性懸濁液であり得る。
他のアジュバントは当技術分野においてよく知られており、それには、非限定的に、MF 59、LT−K63、LT−R72(Pal et al.、Vaccine 24(6):766−75 (2005))、QS−21、フロイントアジュバント(完全および不完全)、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDPと呼ばれる、CGP 11637)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PEと呼ばれる、CGP 19835A)、およびRIBI(2%スクアレン/Tween80乳濁液中に、細菌から抽出された3つのコンポーネント、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコレート、および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含有する)が挙げられる。
追加のアジュバントには、例えば、アルミニウム塩とのモノホスホリルリピドA、好ましくは3−デ−O−アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL)の組合せを挙げることができる。増強されたアジュバント系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体の組合せ、特に、国際公開第94/00153号に開示されているようなQS21と3D−MPLの組合せ、または国際公開第96/33739号に開示されているような、QS21がコレステロールでクエンチされている、より反応源性が低い組成物を含む。水中油型乳濁液においてQS21と3D−MPLとトコフェロールとを含む特に強力なアジュバント製剤は、国際公開第95/17210号に記載されている。加えて、本発明の核酸組成物は、抗原をコードするヌクレオチド配列、およびCpG配列などのアジュバント機能を提供するヌクレオチド配列を含むことによりアジュバントを含むことができる。そのようなCpG配列またはモチーフは当技術分野においてよく知られている。本発明の実施形態において、アジュバントは、例えば、米国特許第7,862,829号に記載されているようにアルファウイルスアジュバントを含む。
例えば、免疫刺激性サイトカインなどの、本発明と共に用いられるアジュバントは、対象への本発明の組成物の投与の前に、投与と同時に、ならびに/または投与前および/もしくは投与後の2、3時間、数時間、および/もしくは1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、および/もしくは10日以内に投与することができる。
さらに、免疫刺激性サイトカインなどのアジュバントの任意の組合せは、本発明の免疫原性組成物の投与前、投与後、および/または投与と同時に対象へ併用投与することができる。例えば、免疫刺激性サイトカインの組合せは、GM/CSF、インターロイキン−2、インターロイキン−12、インターフェロン−γ、インターロイキン−4、腫瘍壊死因子−α、インターロイキン−1、造血因子flt3L、CD40L、B7.1共刺激分子およびB7.2共刺激分子などの2つ以上の免疫刺激性サイトカインからなり得る。アジュバントまたはアジュバントの組合せの有効性は、本明細書に記載されているように、および当技術分野において知られているように、標準手順を用いて、アジュバントまたはアジュバントの組合せと共に、またはなしで、対象への本発明の組成物の投与に応答して生じた免疫応答を測定することにより決定することができる。
ブースト用量を、数日間、数週間、数か月間、または数年間の時間経過にわたってさらに投与することができる。慢性感染において、最初の高用量、続いてブースト用量が有利であり得る。
本発明の薬学的製剤は、任意で、他の薬用作用物質、薬学的作用物質、安定化剤、バッファー、担体、希釈剤、塩、等張化剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエートなどを含むことができる。
注射について、担体は、典型的には,液体である。投与の他の方法について、担体は、固体または液体のいずれでもよい。吸入投与について、担体は呼吸用であり、典型的には、固体粒子または液体粒子の形をとる。
本発明の組成物は、知られた技術に従って、薬学的担体中に、投与のために製剤化することができる。例えば、Remington, The Science and Practice of Pharmacy (9th Ed. 1995)を参照。本発明による薬学的組成物の製造において、VLPは、典型的には、とりわけ、許容される担体と混合される。担体は、固体もしくは液体、または両方であり得、任意で、単位用量製剤、例えば、錠剤として化合物と製剤化される。様々な薬学的に許容される水性担体を用いることができ、例えば、水、緩衝用水、0.9%食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸、発熱物質を含まない水、発熱物質を含まないリン酸緩衝食塩水、静菌水、またはCremophor EL(登録商標)(BASF、Parsippany、N.J.)などである。これらの組成物は、通常の技術により滅菌することができる。本発明の製剤は、薬学のよく知られた技術のいずれかにより調製することができる。
薬学的製剤は、そのまま用いるために、または凍結乾燥されて、パッケージングすることができ、凍結乾燥された調製物は、一般的に、投与前に無菌水溶液と混合される。組成物はさらに、単位用量または複数回用量の容器内、例えば、密封アンプルおよびバイアル内に、パッケージングすることができる。
薬学的製剤は、薬学の通常の技術による当技術分野において知られた任意の方法により、投与のために製剤化することができる。例えば、組成物は、鼻腔内に、吸入(例えば、経口吸入)により、経口的に、頬側に(例えば、舌下に)、直腸性に、経腟的に、局所的に、くも膜下腔内に、眼内に、経皮的に、非経口投与により(例えば、筋肉内[例えば、骨格筋]、静脈内、皮下、皮内、胸膜内、脳内、および動脈内、くも膜下腔内)、または局所的に(例えば、気道表面を含む皮膚表面と粘膜表面の両方に)、投与されるように製剤化することができる。
鼻腔内または吸入の投与について、薬学的製剤は、エアロゾル(この用語は、液体エアロゾルと乾燥粉末エアロゾルの両方を含む)として製剤化することができる。例えば、薬学的製剤は、界面活性剤および噴霧剤と共に微粉化された形で提供することができる。組成物の典型的なパーセンテージは、0.01〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。界面活性剤は、一般的に、無毒であり、噴霧剤中に溶ける。そのような作用物質の代表は、脂肪族多価アルコールまたはそれの環状無水物との、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレステリン酸(olesteric acid)、およびオレイン酸などの6個から22個までの炭素原子を含有する脂肪酸のエステルまたは部分的エステルである。混合された、または天然のグリセリドなどの混合されたエステルが用いられ得る。界面活性剤は、組成物の0.1〜20重量%、好ましくは0.25〜5重量%である。組成物のその残りは通常、噴霧剤である。鼻腔内送達用のレシチンのように、担体もまた、必要に応じて、含むことができる。当業者に知られているように、圧力駆動型エアロゾル噴霧器または超音波噴霧器を用いるなどの任意の適切な手段によって液体粒子のエアロゾルを生じさせることができる。例えば、米国特許第4,501,729号参照。同様に、固体粒子のエアロゾルを、薬学分野で知られた技術により、任意の固体粒子薬物エアロゾル発生装置で生じさせることができる。鼻腔内投与はまた、鼻腔表面への液滴投与によることができる。
注射製剤は、液体の溶液もしくは懸濁液、注射前の液体中の溶解もしくは懸濁に適した固形として、または乳濁液としてのいずれかの通常の形で調製することができる。あるいは、全身的様式よりむしろ局所的様式に、例えば、デポーまたは徐放性製剤において、薬学的製剤を投与することができる。
即時調製の注射溶液および懸濁液は、前に記載された種類の無菌粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。例えば、密封容器内の単位剤形での本発明の注射可能かつ安定な無菌製剤を提供することができる。製剤は、凍結乾燥物の形で提供することができ、その凍結乾燥物を、対象への注射に適した液体組成物を形成するように、適切な薬学的に許容される担体で復元することができる。単位剤形は、約1μgから約10グラムまでの製剤であり得る。製剤が、実質的に不水溶性である場合、薬学的に許容されている十分な量の乳化剤が、水性担体において製剤を乳化するのに十分な量で含まれ得る。1つのそのような有用な乳化剤はホスファチジルコリンである。
経口投与に適した薬学的製剤は、カプセル剤、カシェ剤、ロゼンジ、もしくは錠剤などの別々の単位で、粉末もしくは顆粒として、水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型乳濁液として提供することができる。経口送達は、動物の腸における消化酵素による分解に耐える能力がある担体へ本発明の化合物を複合体化させることにより実施することができる。そのような担体の例には、当技術分野において知られているように、プラスチックのカプセル剤または錠剤が挙げられる。そのような製剤は、そのタンパク質と適切な担体(上で言及されているように1つまたは複数の補助的成分を含有してもよい)を結合させるステップを含む、薬学の任意の適切な方法により調製される。一般的に、薬学的製剤は、化合物を液体担体もしくは微粉化された固体担体、または両方と均一かつ密接に混合し、その後、必要にならば、生じた混合物を成形することにより調製される。例えば、錠剤は、任意で1つまたは複数の補助的成分と共に、粉末または顆粒を圧縮または成型することにより調製することができる。圧縮化錠剤は、適切な機械において、任意で結合剤、潤滑剤、不活性な希釈剤、および/または表面活性剤/分散剤と混合された粉末または顆粒などの自由流動性の形をとる製剤を圧縮することにより調製される。成型化錠剤は、適切な機械において、不活性な液体結合剤で湿った粉末タンパク質を成型することにより作製される。
頬側(舌下)投与に適した薬学的製剤には、香味づけられた基剤、通常にはスクロース、およびアラビアゴムまたはトラガカントゴム中に化合物を含むロゼンジ、ならびにゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性な基剤中のトローチ剤が挙げられる。
非経口投与に適した薬学的製剤は、無菌水性および非水性注射液を含み得、その調製物は、好ましくは、意図されたレシピエントの血液と等張である。これらの調製物は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および(組成物を、意図されたレシピエントの血液と等張にする)溶質を含有することができる。水性および非水性の無菌の懸濁液、溶液、および乳濁液は、懸濁剤および増粘剤を含むことができる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体には、水、アルコール性/水性溶液、食塩水および緩衝媒体を含む、乳濁液または懸濁液が挙げられる。非経口媒介物には、塩化ナトリウム溶液、リンゲル液デキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、または固定油が挙げられる。静脈内媒介物には、流動性栄養補充液、電解質補充液(例えば、リンゲル液デキストロースに基づいたものなど)などが挙げられる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤、および不活性ガスなどの保存剤および他の添加剤もまた、存在し得る。
直腸投与に適した薬学的製剤は、任意で、単位用量坐剤として提供される。これらは、活性物質を、例えば、カカオバターなどの1つまたは複数の通常の固体担体と混合し、その後、生じた混合物を成形することにより調製することができる。
皮膚への局所投与に適した薬学的製剤は、好ましくは、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、またはオイルの形をとる。用いることができる担体には、石油ゼリー、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮吸収促進剤、およびそれらの2つ以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、例えば、局所送達は、本発明の薬学的製剤を、皮膚を通過する能力がある親油性試薬(例えば、DMSO)と混合することにより実施することができる。
経皮投与に適した薬学的製剤は、対象の表皮と密接に接触して、長期間留まるのに適応した別々のパッチの形をとり得る。経皮投与に適した製剤はまた、イオン泳動により送達することができ(例えば、Pharmaceutical Research 3:318 (1986)参照)、典型的には、化合物の緩衝水溶液の形をとる。適切な製剤は、クエン酸バッファーもしくはビス/トリスバッファー(pH6)、またはエタノール/水を含むことができ、0.1Mから0.2Mまでの活性成分を含有することができる。
さらに、本発明の組成物は、リポソーム製剤として製剤化することができる。用いられる脂質層は、任意の便利な組成であり得、コレステロールを含有することも、またはコレステロールを含まないこともいずれでもあり得る。生成されるリポソームは、例えば、標準超音波処理およびホモジナイゼーション技術の使用によって、サイズを減少させることができる。
リポソーム製剤は、水などの薬学的に許容される担体で復元されて、リポソーム懸濁液を再生することができる凍結乾燥物を生じるように、凍結乾燥することができる。
本発明の免疫原性組成物は、任意で、無菌であり得、さらに、密閉された病原体不透過性容器内で提供することができる。
本発明の実施形態において、タンパク質(例えば、本発明の可溶性二量体、またはナノ粒子などの担体に連結した二量体を含む組成物)の用量は、約10〜約10マイクログラム+/−アジュバントの範囲であり得る。
デングウイルス(DENV)は、デング熱およびデング出血熱の原因物質である。DENVおよびその媒介生物である蚊は、熱帯地方および亜熱帯地方に広く分布し、その疾患は、100を超える国において風土性である。デングワクチン開発は、4つの抗原的に異なるDENV血清型から保護する必要性、および、いくつかの条件下で、そのウイルスに対する特異的免疫が疾患を増強し得るという証拠があるため、困難である。
最近の研究により、ヒト中和抗体の標的となるDENVエンベロープ(E)タンパク質上のエピトープの同定がもたらされている。いくつかのエピトープは、単量体Eタンパク質上に保存されているが、他のエピトープは複雑であり、ビリオンアセンブリのために必要とされる高次Eタンパク質構造のアセンブリを必要とする。ここで、本発明者らは、人工表面上の四次エピトープのディスプレイを最適化するための研究を記載する。DENVのEタンパク質のエクトドメインを、可溶性組換えタンパク質(RecE)として発現させ、それを細胞から分泌させた。RecEを培地から精製し、固体マトリックスへコンジュゲートさせた。ヒトおよびマウス由来のモノクローナル抗体の大きなパネルを用いて、本発明者らは、コンジュゲートしたタンパク質が適切にフォールディングされていることを確認した。さらに、pH、塩分、およびタンパク質密度などの因子を調整することにより、本発明者らは、防御免疫応答を誘導するのに重要であることが知られた四次構造中和エピトープのディスプレイを最適化した。これらの結果は、フラビウイルス由来の四次エピトープをディスプレイする新規のサブユニットワクチンを開発するための示唆を与えている。
本明細書に記載された研究は、DENVのEタンパク質のエクトドメインが可溶性組換えタンパク質(RecE)として発現されたことを示す。RecEを精製し、固体マトリックスへ特定の配向でコンジュゲートさせた。コンジュゲートしたタンパク質を、特定のpHおよび塩条件下で、高度に濃縮されたRecE単量体の2回目の添加に曝露した。ヒトおよびマウス由来のモノクローナル抗体のパネルを用いて、本発明者らは、野生型DENV−2粒子上に見出され、かつ防御抗体応答を誘導するのに重要であることが知られている、二量体依存性四次エピトープを本発明者らが再現し得ることを確認した。これらの所見は、ウイルス粒子上にディスプレイされる複雑な四次構造エピトープが、適切に配向した組換えタンパク質を用いて再現され得ることを示している。その発見は、デングワクチンおよび診断の開発をもたらす可能性をもつ。
本発明者らは、DENV−2患者からヒトモノクローナル抗体(HMAb)2D22を単離した。このヒト抗体は、細胞培養中のDENV2を強く中和し、DENV−2疾患の動物モデルにおいて防御性である。HMab 2D22は、Eタンパク質の二量体化を必要とする四次エピトープと結合する(図1)。自然DENV−2感染後に発生するたいていの中和抗体もまた、2D22エピトープにより定義されるDENV−2上の領域を標的とする。ここで、本発明者らは、組換え的に発現させたDENV−2のEタンパク質を自己アセンブリさせて、2D22により認識される四次エピトープを形成する方法を実証する。
DENV−2のEタンパク質を、精製のためのC末端ヒスチジンタグを有する、切り詰め型可溶性タンパク質(sRecE)として発現させた。この研究に用いられる組換えDENV−2のEエクトドメインは、(EDIおよびEDIIを包含する)残基1〜300に及ぶ395個のアミノ酸残基およびEDIIIの残基301〜395で構成される。DENV−1、DENV−3、およびDENV−4血清型の組換えEエクトドメインは、各血清型に特異的なアミノ酸残基の同じひと続きで構成される。DENV−2 sRecEの立体構造および既知のエピトープの提示を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ならびにエピトープをマッピングされたヒトおよびマウスMAbのパネルにより分析した。
最初の実験(図2)において、1μg/ウェルのsRecEを、標準ELISAプレート上へコーティングした。この結果、用いられた抗体による特異的なDENV−2検出を生じた。しかしながら、2D22シグナルは検出されず、複雑な四次2D22エピトープが再現されなかったことを示している。これは、正しく配向したRecE単量体が存在しない(二量体構造を形成できない)ことにより引き起こされた可能性が最も高い。
次に、Ni2+でコーティングされたELISAプレートを用いて、His−テールと遊離Ni2+基の間の相互作用を介した特定の配向にてsRecEを捕獲した。その後、結合したRecEを、様々なヒトおよびマウス由来のDENV−2特異的抗体および交差反応性抗体に曝露した(図3)。結果は、野生型ウイルス粒子上に存在する多くのエピトープが、Ni2+結合したRecE上で検出され得ることを示している。加えて、本発明者らは、2D22抗体が、RecEに弱く結合し得ることを示している。低い2D22シグナルは、二量体依存性2D22エピトープが、RecEのNi2+プレートへの結合によって不十分に再構築されたことを示している。
2D22シグナルをさらに増強するために、新しいELISAを設計し、このELISAでは、sRecEを遊離Ni2+に結合させ、その後、sRecEのさらなる添加に曝露した(図4A)。一次sRecE単量体は、特定の立体構造で固定化され、そのため、二次sRecEは、固定化されたRecEに結合して、2D22エピトープ形成に必要とされる二量体構造を形成することができる。二量体化の増加を、同じような条件における4G2(EDII融合ループ領域上の単量体エピトープを認識するMab)結合と2D22結合の間の比により分析した。
最初の結果(図4B〜C)は、低タンパク質濃度(50ng/ウェルおよび100ng/ウェル)でのsRecEの一次および二次添加は、二量体化にいかなる効果も生じないことを示している。しかしながら、より高いタンパク質濃度(500ng/ウェルおよび1000ng/ウェル)において、2D22シグナルは、4G2シグナルと比較して有意に増加し、RecE二量体の形成を示した。
再添加ステップが二量体形成に必須であるかどうかを決定するために、高い、および低いタンパク質濃度(50ng/ウェルおよび500ng/ウェル)での二次sRecE再添加有りおよび無しで実験を繰り返した(図5)。結果は、一次の結合したRecEが再添加に曝露された場合、2D22シグナルのみが増加することを示している。二量体化効果は、より高いタンパク質濃度でより強力であった。
一次または二次再添加が二量体化効率を限定しているかどうかを調べるために、低い、および高い濃度(50ng/ウェルおよび500ng/ウェル)のRecEを、0ng/ウェル、50ng/ウェル、および500ng/ウェルの二次sRecEにより再添加した(図6)。この結果は、二量体化効率が、二次sRecEの濃度の増加と共に増加することを示した。その効果は、500ng/mlの一次RecEが500ng/ウェルの二次sRecEを再添加される場合に最も有意であった。
ELISAプレート上のRecEの二量体化は、一次sRecEの特定の配向での固定化を必要とする。これは、Ni2+でコーティングされていないELISAプレートを用いて正確に同じ実験を複製することにより示された(図7)。一次sRecEを、ELISAプレート上にランダムな立体構造でコーティングした。一次RecEと二次RecEの間の以前に観察された二量体形成は、いかなる試験された条件下でも観察されず、一次RecEの特定の配向なしでは、二量体化が増強され得ないことを示している。
本発明者らは、人工表面上で複雑な四次中和エピトープを再構築するための技術を発見した。単量体sRecが特定の配向で固定化されている場合、それが、高濃度の二次単量体sRecEに曝露されたときに、二量体依存性中和2D22エピトープを再構築することができる。これは、ナノ粒子担体などの担体に基づいたワクチンが設計され、作製される方法に大きな影響を与えるだろう。
強く中和するデングウイルス抗体1L12を特徴づけるために研究を行った。結果は、1L12が、通常のELiSAにおいてsRecEに結合せず、EDIIとEDIIIの両方に位置する四次エピトープを認識している可能性が最も高いことを示し、1L12が2D22と類似していることを示した。以前に報告されているように、本発明者らは、Ni2+プレート上にタンパク質二量体複合体を再現し、本発明者らがRecE二量体再現の尺度として1L12を用いることができるかどうかを見るために、RecE二量体を1L12および4G2に供した(図8)。
1L12の使用後に見られた二量体化の増加は、2D22のそれと同一である。この研究は、2D22データを別のデングウイルスモノクローナル抗体で裏付けている。加えて、これらの結果は、1L12が、タンパク質二量体化後に復元される四次エピトープを認識した可能性が最も高いことを示している。
二量体依存性の2D22四次エピトープを再現する本研究に用いられるNi2+−His相互作用は、一次sRecE固定化およびsRecE再添加の原理の証明としての役割を十分、果たしている。本発明の方法に用いることができる他の相互作用としては、多くのタンパク質検出および精製研究に利用されているビオチン−アビジン(ストレプトアビジン、NeutrAvidin)相互作用が挙げられるが、それらに限定されない。ビオチン標識は安定かつ小さく、標識分子の機能または免疫原性にめったに干渉しない。本発明の方法において、本発明者らは、sRecEを特定の配向で固定化し、その後、それをタンパク質再添加に供するためにアビジン−ビオチン相互作用を用いることができた。
別の選択肢はコイルドコイル相互作用である。ヘテロタンパク質二量体を生じさせるためのこの生物学的方法は、コイルドコイル相互作用プラットフォームを用いる。それは、タンパク質単量体の末端上の2つのαヘリックスの相互作用に基づいている。このテクノロジーは、ELISAプレートまたはナノ粒子表面などの人工表面上にsRecEを特定の配向で捕獲するために本発明に用いることができる。まず、表面をαヘリックスストレッチでコーティングし、それは、sRecEのC末端上の相互作用αヘリックスに結合する。
温度。結合ELISAを異なる温度で実施することにより、本発明者らは、タンパク質がNi2+プレート上に添加される温度が、プレート上でのsRecEの立体構造に影響することを見出した。本発明者らは、50ng/ウェルまたは500ng/ウェルのsRecEをプレート上に37℃、室温(RT)、または4℃で添加し、同じ様々な温度で抗体結合を実施した(図9)。
2D22二量体シグナルは、sRecEが37℃で添加され、抗体がRTまたは4℃でインキュベートされた(37℃−RTおよび37℃−4℃)場合では、相対的に低かった。しかしながら、RTまたは4℃で添加された場合では、2D22シグナルは明らかに増加した。この2D22シグナルの増加は、そのより低い温度により引き起こされ、抗体インキュベーション温度によって影響されなかった。
次に、本発明者らは、温度がまたsRecE二量体を再構築することに効果を生じるかどうかを見るために、以前に報告された二量体構築ELISAを37℃およびRTで繰り返した。本発明者らは、50ng/ウェルまたは500ng/ウェルのsRecEにおいて、添加温度および再添加温度を変化させ(図10)、すなわち、37℃での添加および37℃での再添加(37−37)、37℃での添加およびRTでの再添加、RTでの添加および37℃での再添加、RTでの添加およびRTでの再添加(RT−RT)という温度管理を作成した。
全ての温度管理において、本発明者らは、500ng/ウェルのsRecEを再添加した場合に、2D22二量体シグナルの増加を観察している。加えて、本発明者らは、2D22シグナルへの温度の強い効果を観察している。タンパク質の再添加なしを含む全ての2D22レベルは、37℃と比較してRTでより高かった。二量体の形成は大部分、添加温度によって決定される。しかしながら、本発明者らは、再添加ステップが同様にRTで実施された場合(37−RTおよびRT−RT)には、2D22シグナルおよび二量体比率が、再添加が37℃で実施された場合((37−37)および(RT−37))より高いことを観察している。
結論として、可溶性単量体からのDENV−Eタンパク質二量体の再構築中の温度は、二量体が再生される効率に影響を及ぼす。これは、DENVワクチン開発のために、二量体をナノ粒子表面上に再構築しようとする場合に、考慮されるべきである。
前述は、本発明の例証となるものであり、それを限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は、以下の特許請求の範囲、加えて、それに含まれ得る特許請求の範囲の等価物により、定義される。
本明細書に引用される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その参考文献が示されている文および/または段落に関連した教示として完全に参照により組み入れられている。
<配列>

Claims (13)

  1. 組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体を作製する方法であって、
    a)1つの末端に機能性の第1の連結部分を含む第1の組換え可溶性単量体フラビウイルスEエクトドメインを調製するステップと、
    b)前記第1エクトドメインを、前記第1の連結部分に結合する第2の連結部分と接触させるステップと、ここで、前記第2の連結部分が固体支持体に付着しており、それにより、前記エクトドメインを前記固体支持体に特定の配向で付着させ、
    c)前記固体支持体に付着した前記第1エクトドメインを、機能性の第1の連結部分を欠く第2の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインと、前記第1エクトドメインと第2エクトドメインの二量体化が起こり得る条件下で接触させるステップと、
    d)前記組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体を前記固体支持体から脱離させるステップと、
    e)前記組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体を収集するステップと
    を含む方法。
  2. 担体に付着した組換えフラビウイルスEエクトドメイン二量体を作製する方法であって、
    a)1つの末端に機能性の第1の連結部分を含む第1の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインを調製するステップと、
    b)前記第1エクトドメインを、前記第1の連結部分に結合する第2の連結部分と接触させるステップと、ここで、前記第2の連結部分が担体に付着しており、それにより、前記エクトドメインを前記固体支持体に特定の配向で付着させ、
    c)前記担体に付着した前記第1エクトドメインを、機能性の第1の連結部分を欠く第2の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインと、前記第1エクトドメインと第2エクトドメインの二量体化が起こり得る条件下で接触させるステップと
    を含む方法。
  3. フラビウイルスEタンパク質エクトドメイン二量体の両方の単量体に及ぶ四次エピトープを認識する抗体を同定する方法であって、
    a)1つの末端に機能性の第1の連結部分を含む第1の組換え可溶性単量体フラビウイルスEエクトドメインを調製するステップと、
    b)前記第1エクトドメインを、前記第1の連結部分に結合する第2の連結部分と接触させるステップと、ここで、前記第2の連結部分が固体支持体に付着しており、それにより、前記エクトドメインを前記固体支持体に特定の配向で付着させ、
    c)前記固体支持体に付着した前記第1エクトドメインを、機能性の第1の連結部分を欠く第2の組換え単量体フラビウイルスEエクトドメインと、前記第1エクトドメインと第2エクトドメインの二量体化が起こり得る条件下で接触させるステップと、
    d)試料を、(c)の二量体化エクトドメインと、抗体/抗原複合体の形成が起こり得る条件下で接触させるステップと、
    e)抗体/抗原複合体の形成を検出するステップと、これにより、前記フラビウイルスEタンパク質エクトドメイン二量体の両方の単量体に及ぶ四次エピトープを認識する抗体を同定する、
    を含む方法。
  4. 前記第1の連結部分および第2の連結部分が、1)それぞれヒスチジンタグ(HIS)およびNi2+、2)それぞれビオチンおよびアビジン、ならびに3)それぞれ一次αヘリックスおよび二次αヘリックスからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記フラビウイルスが、デングウイルス血清型1(DENV−1)、デングウイルス血清型2(DENV−2)、デングウイルス血清型3(DENV−3)、デングウイルス血清型4(DENV−4)、黄熱病ウイルス(YFV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、ウエストナイルウイルス(WNV)、ダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 請求項1の方法により作製された、組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体。
  7. 担体に付着した組換えフラビウイルスEエクトドメイン二量体。
  8. 請求項5の組換え可溶性フラビウイルスEエクトドメイン二量体を薬学的に許容される担体中に含む組成物。
  9. 請求項6に記載の組換えフラビウイルスEエクトドメイン二量体を薬学的に許容される担体中に含む組成物。
  10. 対象においてフラビウイルスに対する免疫応答を生じさせる方法であって、請求項5もしくは6に記載の二量体、および/または請求項7もしくは8に記載の組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法。
  11. 対象においてフラビウイルス感染を処置する方法であって、請求項5もしくは6に記載の二量体、および/または請求項7もしくは8に記載の組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法。
  12. 対象においてフラビウイルス感染を防止する方法であって、請求項5もしくは6に記載の二量体、および/または請求項7もしくは8に記載の組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法を含む方法。
  13. フラビウイルス感染の影響から対象を保護する方法であって、請求項5もしくは6に記載の二量体、および/または請求項7もしくは8に記載の組成物のいずれかの有効量を、任意の組合せで対象に投与するステップを含む方法。
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