JP2018530353A - ミトコンドリアdnaの定量化および胚の品質を決定するための方法 - Google Patents

ミトコンドリアdnaの定量化および胚の品質を決定するための方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018530353A
JP2018530353A JP2018539224A JP2018539224A JP2018530353A JP 2018530353 A JP2018530353 A JP 2018530353A JP 2018539224 A JP2018539224 A JP 2018539224A JP 2018539224 A JP2018539224 A JP 2018539224A JP 2018530353 A JP2018530353 A JP 2018530353A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sequence
mtdna
embryo
mitochondrial dna
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018539224A
Other languages
English (en)
Inventor
ウェルズ,ダガン
フラグリ,エルピーダ
マンネ,サンティアゴ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CooperSurgical Inc
Original Assignee
CooperSurgical Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CooperSurgical Inc filed Critical CooperSurgical Inc
Publication of JP2018530353A publication Critical patent/JP2018530353A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/158Expression markers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/16Primer sets for multiplex assays

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、ミトコンドリアDNAの定量化および胚の品質を決定するための方法に関する。
【解決手段】本明細書で提供される材料および方法は、正倍数体胚のための着床閾値を決定するため、および正倍数体胚が着床し、妊娠を開始する可能性を決定するために有用である。
【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/242,460号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)の優先権を主張する。
本開示は一般に、生殖医療の分野に関する。より特定的には、この開示は、胚の、着床し、妊娠を開始する可能性を決定するための非侵襲的方法およびキットに関する。
より高い着床の可能性を有する胚の選択は、体外受精(IVF)などの生殖補助技術における大きな課題の1つである。IVFは、卵子と精子を研究室内において体外で結合させ、胚を形成させることを含む。胚が形成するとすぐに、これは子宮に着床され、そこで、さらに発生する。IVF技術が直面する1つの課題は胚着床および妊娠の低い成功率である。そのようなものとして、適正な胚発生に影響するメカニズムをよりよく理解する必要があり、これにより、ひいては、高い着床の可能性を有する胚を識別し、妊娠の成功率を増加させるためのツールの開発が可能になる。最適な着床の可能性を有する胚を選択することにより、体外受精手順の成功の見込みが改善する。IVFの費用を考えると、これにより、妊娠の成功を得る前に頻繁に手順を繰り返す必要がなくなる可能性があるので、数千または数万ドルの節約が得られる。
よって、生殖補助治療の効率を改善するために、生存胚の識別のためのすぐれた方法が緊急に必要とされる。子宮に移植する前の染色体異常についての胚のスクリーニングにより、胚性不全(すなわち異数性)の主原因が回避される。しかしながら、形態学的に「完全な」胚(これは加えて、生検細胞の分析後、染色体的に正常と考えられる)の移植ですら、成功する妊娠の開始を保証することができない(そのような胚の約3分の2のみが実際に子供を産み出す)。追加の要素が、胚生存率において役割を果たすことが明らかである。重要な因子はおそらく、ミトコンドリア数/容量およびATP量および/または代謝活性に対する付随効果を含むであろう[17]。
ミトコンドリアは胚発生において極めて重要な役割を果たす。それらはエネルギー産生の主要部位であり、様々な他の重大な細胞機能を有する。ミトコンドリアは、複数の必須細胞過程、例えばアポトーシス、アミノ酸合成、カルシウムホメオスタシス、および酸化的リン酸化(OXPHOS)のプロセスを介するATPの形態でのエネルギーの生成の調節に関与する[1−5]。この理由のために、ミトコンドリアは主な細胞発電所として考えられる。それらは、それら自身のゲノムの1つ以上のコピーを含むという点で、動物細胞における他の小器官と比べて独特である。この小器官の重要性にもかかわらず、着床前の個々のヒト胚間のmtDNAの変異の程度、またはmtDNAの相対量と子宮内に着床するヒト胚の能力の間の関連についてほとんど知られていない。
本開示は一部、胚(例えば、ヒト胚)中のmtDNAの相対量は、子宮内に着床する胚の能力を予測するという予想外の発見に基づく。よって、胚中で見出されるmtDNAの相対量に基づき、胚についての着床閾値を決定するための、および胚(例えば、正倍数体胚)の着床の可能性を決定するための材料および方法が本明細書で提供される。本明細書で提供される材料および方法は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)定量化のための公知のアッセイと関連する制限を克服する。本明細書で記載される発明の方法は高い感度および特異性を示す。
本明細書で示されるように、mtDNA量と胚の着床の可能性の間には相関がある。mtDNA量の評価は、着床の最も高い可能性を有する胚を識別し、健康な妊娠を導くために使用することができる。
1つの態様では、本開示は、胚中のミトコンドリアDNAの相対量を決定するための方法を提供し、これは、胚から得られたDNA試料を提供すること、DNA試料中のミトコンドリアDNA(mtDNA)の量を決定すること、DNA試料中の基準DNAの量を決定すること、およびmtDNAの量を基準DNAの量と比較して、胚中のmtDNAの相対量を決定することを含む。胚中のmtDNAの相対量は胚の着床の可能性の信頼できる指標を提供する。
1つの態様では、本開示は胚の着床の可能性を決定するための方法を提供し、方法は、胚から得られたDNA試料を提供すること、DNA試料中のミトコンドリアDNA(mtDNA)の量を決定すること、DNA試料中の基準DNAの量を決定すること、およびmtDNAの量を基準DNAの量と比較して、胚中のmtDNAの相対量を決定することを含み、ここで、胚中のmtDNAの相対量は、胚の着床の可能性を示す。いくつかの実施形態では、胚は正倍数体胚である。
DNA試料中のmtDNAの量を決定すること、およびDNA試料中の基準DNAの量を決定することは、例えば、リアルタイムPCRなどの定量的PCRを使用して実施することができる。
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、DNA試料は着床後1、2、3、4、5、6または7日の胚から得られる。例えば、DNA試料は、受精後1−3日、2−4日、3−5日、5−7日、1−7日、または4−7日の胚から得られる。
いくつかの実施形態では、DNA試料中のmtDNAの量を決定することは、DNA試料を、16Sアンプリコンを生成させるために、16Sを転写する配列を標的とする配列番号:2および3を含むプライマー対、または、MT−ND4アンプリコンを生成させるために、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)をコードする配列を標的とする配列番号:8および9を含むプライマー対と接触させることにより、mtDNAを増幅させることを含む。方法は、DNA試料を、16Sアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:4を含むプローブと接触させることにより、16Sアンプリコンを検出すること、および/またはDNA試料を、MT−ND4アンプリコン内の配列を標的とする配列番号:10を含むプローブと接触させることにより、MT−ND4アンプリコンを検出することをさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、DNA試料中の基準DNAの量を決定することは、DNA試料を、Aluアンプリコンを生成させるために、Alu配列を標的とする配列番号:5および6を含むプライマー対と接触させることにより基準DNAを増幅させることを含む。方法は、DNA試料を、Aluアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:7を含むプローブと接触させることにより、Aluアンプリコンを検出することをさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、DNA試料中の基準DNAの量を決定することは、DNA試料を、反復DNA配列またはマルチコピー配列(例えば、L1リピートまたはAlu配列)を標的とするプライマー対と接触させ、標的アンプリコンを生成させることにより、基準DNAを増幅させることを含む。方法は、DNA試料を、アンプリコン内の配列を標的とするプローブと接触させることにより、標的アンプリコンを検出することをさらに含み得る。本明細書で記載される実施形態において標的にされる反復DNA配列またはマルチコピー配列は当技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、DNA試料中の基準DNAの量を決定することは、少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、など)を増幅させることを含む。
いくつかの態様では、本明細書で開示される方法は、正倍数体胚中のmtDNAの相対量を着床可能性閾値と比較することを含み、ここで、着床可能性閾値未満の胚中のmtDNAの相対量は、正倍数体胚の有利な着床の可能性を示し、着床可能性閾値を超える胚中のmtDNAの相対量は、正倍数体胚の不利な着床の可能性を示す。
1つの態様では、本開示は着床のための胚を選択するための方法を提供し、方法は、胚中の基準核酸配列と比較して、胚試料中のミトコンドリアDNAの相対量を決定することを含み、ここで、決定は、i)胚由来の核酸試料;ii)第1のミトコンドリアDNA配列に対するものである第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対;ならびにiii)基準標的核酸配列に対するものである基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含む反応混合物を調製すること、反応混合物を増幅させ、第1のミトコンドリアDNA配列産物および基準標的核酸配列産物を生成させること;増幅された第1のミトコンドリアDNA配列産物の量を、増幅された基準標的核酸配列産物の量と比較して評価することを含み、ならびに増幅された基準標的核酸配列産物に対して、増幅された第1のミトコンドリアDNA配列産物の測定された量が着床可能性閾値未満である場合、着床のための胚を選択することを含む。基準核酸配列は染色体核酸配列とすることができる。
反応混合物は、第2のミトコンドリアDNA配列に対するものである第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含み得る。いくつかの実施形態では、反応混合物は、第3のミトコンドリアDNA配列に対するものである第3の合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含み得る。いくつかの実施形態では、反応混合物は、第4のミトコンドリアDNA配列に対するものである第4の合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含み得る。いくつかの実施形態では、反応混合物は、5つ以上(例えば、5、6、7、8、9、または10、など)のミトコンドリアDNA配列に対するものである5つ以上(例えば、5、6、7、8、9、または10、など)の合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含み得る。
いくつかの実施形態では、方法は、反応混合物を増幅させ、第1のミトコンドリアDNA配列産物、第2のミトコンドリアDNA配列産物、および基準染色体標的核酸配列産物を生成させること;ならびに各増幅産物の量を測定すること;増幅された第1のミトコンドリアDNA配列産物および増幅された第2のミトコンドリアDNA配列産物の測定された量を、増幅された基準染色体標的核酸配列産物と比較すること;ならびに、増幅された基準染色体標的核酸配列産物に対する、増幅された第1のミトコンドリアDNA配列産物および増幅された第2のミトコンドリアDNA配列産物の測定された量が、着床可能性閾値未満である場合に、着床のための胚を選択することを含む。いくつかの実施形態では、反応混合物は、第3のミトコンドリアDNA配列に対するものである第3の合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含み得る。
1つの態様では、本開示は、着床のための胚を選択するための方法を提供し、方法は、基準核酸試料と比較した、胚試料中のミトコンドリアDNAの相対量を測定することを含み、ここで、測定は、i)胚由来の核酸試料;ii)第1のミトコンドリアDNA配列に対するものである第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対;iii)第2のミトコンドリアDNA配列に対するものである第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対;ならびにiv)基準染色体標的核酸配列に対するものである基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含む反応混合物を調製すること、反応混合物を増幅させ、第1のミトコンドリアDNA配列産物、第2のミトコンドリアDNA配列産物、および基準染色体標的核酸配列産物を生成させること;ならびに各増幅産物の量を測定すること;第1のミトコンドリアDNA配列産物および第2のミトコンドリアDNA配列産物の測定された量を基準染色体標的核酸配列産物と比較すること;ならびに、基準染色体標的核酸配列産物に対する、第1のミトコンドリアDNA配列産物および第2のミトコンドリアDNA配列産物の測定された量が着床可能性閾値未満である場合に、着床のための胚を選択することを含む。いくつかの実施形態では、胚は、基準染色体標的核酸配列産物に対する、第1のミトコンドリアDNA配列産物および第2のミトコンドリアDNA配列産物の量が、着床可能性閾値を超える場合、着床に好適ではないと識別される。
いくつかの実施形態では、mtDNA(例えば、第1または第2)を標的とする合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、12S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、16S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット1(MT−ND1)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット2(MT−ND2)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット3(MT−ND3)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット4(MT−ND4)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(MT−ND5)をコードするミトコンドリアDNA配列、チトクロムb、ミトコンドリアチトクロムcオキシダーゼサブユニット1、2または3をコードするミトコンドリアDNA配列、およびATPシンターゼをコードするミトコンドリアDNA配列の群から選択されるミトコンドリアDNA配列に対するものである。
いくつかの実施形態では、第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、16S rRNA遺伝子配列をコードするミトコンドリアDNA配列に対するものである。例えば、第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、配列番号:2の核酸配列に対して少なくとも70%配列同一性を有するプライマーおよび配列番号:3の核酸配列に対して少なくとも70%配列同一性を有するプライマーを含む。
いくつかの実施形態では、第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対はNADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)遺伝子配列をコードするミトコンドリアDNA配列に対するものである。例えば、第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、配列番号:8の核酸配列に対して少なくとも70%配列同一性を有するプライマーおよび配列番号:9の核酸配列に対して少なくとも70%配列同一性を有するプライマーを含む。
いくつかの実施形態では、基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、Alu配列、L1配列、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、またはβ−アクチン(ActB)に対するものである。いくつかの実施形態では、基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、Alu配列に対するものである。例えば、基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、配列番号:5の核酸配列に対して少なくとも70%配列同一性を有するプライマーおよび配列番号:6の核酸配列に対して少なくとも70%配列同一性を有するプライマーを含む。
いくつかの実施形態では、増幅工程は定量的または半定量的RT−PCR法を用いて実施される。
1つの態様では、本開示は胚の着床の可能性を決定するためのキットを提供し、キットは、第1のミトコンドリアDNA配列に対するものである第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対および基準遺伝子配列DNAに対するものである第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含む。基準遺伝子配列は染色体遺伝子配列とすることができる。いくつかの実施形態では、第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、12S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、16S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット1(MT−ND1)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット2(MT−ND2)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット3(MT−ND3)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット4(MT−ND4)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(MT−ND5)をコードするミトコンドリアDNA配列、チトクロムb、ミトコンドリアチトクロムcオキシダーゼサブユニット1、2または3をコードするミトコンドリアDNA配列、およびATPシンターゼをコードするミトコンドリアDNA配列から選択されるミトコンドリアDNA配列に対するものである。
いくつかの実施形態では、キットは、16Sを転写する配列を標的とする配列番号:2および3を含むプライマー対、または、MT−ND4アンプリコンを生成させるための、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)をコードする配列を標的とする配列番号:8および9のプライマー対を含み得る。キットは、16Sアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:4を含むプローブ、および/またはMT−ND4アンプリコン内の配列を標的とする配列番号:10のプローブをさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、キットは、Aluアンプリコンを生成させるために、Alu配列を標的とする配列番号:5および/または6の配列を有する基準合成オリゴヌクレオチドを含む。キットは、Aluアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:7を含むプローブをさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、キットは、Alu配列、L1配列、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、またはβ−アクチン(ActB)に対するものである基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含む。例えば、基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、Alu配列に対するものとすることができる。
いくつかの実施形態では、キットは、配列番号:5の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有する配列を有する基準合成オリゴヌクレオチドおよび配列番号:6の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーを含む。キットはまた、Alu配列に対するものであるプローブを含むことができ、プローブは配列番号:7を含む。
いくつかの実施形態では、キットは1つ以上のデオキシヌクレオチド(dNTP)、DNAポリメラーゼ、例えば、熱安定性DNAポリメラーゼ、例えば、例として、Taq DNAポリメラーゼまたはAmpliTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ、およびバッファー、例えばTris−EDTA(TE)バッファーを含む。キットは陽性対照DNA試料および陰性対照DNA試料を含むことができる。キットはまた、第2のミトコンドリアDNA配列に対するものである第3の合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含むことができる。
1つの態様では、本開示は胚の着床可能性閾値を決定するための方法を提供し、方法は、着床正倍数体胚から得られた1つ以上のDNA試料中のミトコンドリアDNA(mtDNA)の量を決定すること、非着床正倍数体胚から得られた1つ以上のDNA試料中のmtDNAの量を決定すること、および着床正倍数体胚から得られたmtDNAの量を非着床胚から得られたmtDNAの量と比較すること、着床正倍数体胚から得られたmtDNAの量と比較した、着床正倍数体胚からのmtDNAの相対量を決定することにより着床可能性閾値を識別することを含む。DNA試料中のmtDNAの量の決定は、定量的PCR、例えばリアルタイムPCRを用いて実施される。
いくつかの実施形態では、第1のDNA試料中のmtDNAの量を決定することは、DNA試料を、16Sアンプリコンを生成させるために、16Sを転写する配列を標的とする配列番号2および3を含むプライマー対、または、MT−ND4アンプリコンを生成させるために、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)をコードする配列を標的とする配列番号:8および9を含むプライマー対と接触させることにより試料中のmtDNAを増幅させること、ならびにDNA試料を、Aluアンプリコンを生成させるために、Alu配列を標的とする配列番号:5および6を含むプライマー対と接触させることにより、基準DNA配列を増幅させることを含む。
いくつかの実施形態では、方法は、DNA試料を、16Sアンプリコン内の配列を標的とする配列番号4を含むプローブと接触させることにより、16Sアンプリコンを検出すること、および/またはDNA試料を、Aluアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:7を含むプローブと接触させることにより、Aluアンプリコンを検出することを含む。
いくつかの実施形態では、方法は、DNA試料を、MT−ND4アンプリコン内の配列を標的とする配列番号:10を含むプローブと接触させることにより、MT−ND4アンプリコンを検出すること、および/またはDNA試料を、Aluアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:7を含むプローブと接触させることにより、Aluアンプリコンを検出することを含む。
1つの態様では、本開示は、胚中のミトコンドリアDNAの相対量を決定するための方法を提供し、ここで、方法は、胚から得られたDNA試料を提供すること;DNA試料中のミトコンドリアDNA(mtDNA)の量を決定すること;DNA試料中の基準DNAの量を決定すること;ならびにmtDNAの量を基準DNAの量と比較して、胚中のmtDNAの相対量を決定することを含む。全ての態様のいくつかの実施形態では、胚中のmtDNAの相対量は、胚の着床の可能性を示す。
全ての態様のいくつかの実施形態では、DNA試料中のmtDNAの量を決定することおよびDNA試料中の基準DNAの量を決定することは定量的PCRを含む。全ての態様のいくつかの実施形態では、定量的PCRはリアルタイムPCRを含む。
全ての態様のいくつかの実施形態では、DNA試料は、着床後1、2、3、4、5、6または7日、あるいは受精後1−3日、2−4日、3−5日、5−7日、1−7日、または4−7日の胚から得られる。いくつかの実施形態では、胚は正倍数体胚である。
いくつかの実施形態では、DNA試料中のmtDNAの量を決定することは、DNA試料を、16Sアンプリコンを生成させるために、16Sを転写する配列を標的とする配列番号2および3を含むプライマー対、または、MT−ND4アンプリコンを生成させるために、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)をコードする配列を標的とする配列番号:8および9を含むプライマー対と接触させることにより、mtDNAを増幅させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、DNA試料を、16Sアンプリコン内の配列を標的とする配列番号4を含むプローブと接触させることにより、16Sアンプリコンを検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法はDNA試料を、MT−ND4アンプリコン内の配列を標的とする配列番号:10を含むプローブと接触させることにより、MT−ND4アンプリコンを検出することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、DNA試料中の基準DNAの量を決定することは、DNA試料を、Aluアンプリコンを生成させるために、Alu配列を標的とする配列番号:5および6を含むプライマー対と接触させることにより基準DNAを増幅させることを含む。
いくつかの実施形態では、方法はDNA試料を、Aluアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:7を含むプローブと接触させることにより、Aluアンプリコンを検出することをさらに含む。
いくつかの実施形態は、正倍数体胚中のmtDNAの相対量を着床可能性閾値と比較することをさらに含み;ここで、着床可能性閾値未満の胚中のmtDNAの相対量は、正倍数体胚の有利な着床の可能性を示し、着床可能性閾値を超える胚中のmtDNAの相対量は、正倍数体胚の不利な着床の可能性を示す。
1つの態様では、本開示は、着床正倍数体胚から得られた1つ以上のDNA試料中のミトコンドリアDNA(mtDNA)の量を決定すること;非着床正倍数体胚から得られた1つ以上のDNA試料中のmtDNAの量を決定すること;ならびに着床正倍数体胚からのmtDNAの量を非着床正倍数体胚から得られたmtDNAの量と比較することにより着床可能性閾値を計算することを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、DNA試料中のmtDNAの量を決定することは、定量的PCRを用いて実施される。いくつかの実施形態では、定量的PCRはリアルタイムPCRを含む。
いくつかの実施形態では、第1のDNA試料中のmtDNAの量を決定することは、下記を含む:DNA試料を、16Sアンプリコンを生成させるために、16Sを転写する配列を標的とする配列番号2および3を含むプライマー対、または、MT−ND4アンプリコンを生成させるために、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)をコードする配列を標的とする配列番号:8および9を含むプライマー対と接触させることにより、試料中のmtDNAを増幅させること;ならびにDNA試料を、Aluアンプリコンを生成させるために、Alu配列を標的とする配列番号:5および6を含むプライマー対と接触させることにより、基準DNA配列を増幅させること。
いくつかの実施形態では、方法は、下記をさらに含む:DNA試料を、16Sアンプリコン内の配列を標的とする配列番号4を含むプローブと接触させることにより、16Sアンプリコンを検出すること;ならびにDNA試料を、Aluアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:7を含むプローブと接触させることにより、Aluアンプリコンを検出すること。
いくつかの実施形態では、方法はまた、下記を含む:DNA試料を、MT−ND4アンプリコン内の配列を標的とする配列番号:10を含むプローブと接触させることにより、MT−ND4アンプリコンを検出すること;ならびにDNA試料を、Aluアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:7を含むプローブと接触させることにより、Aluアンプリコンを検出すること。
1つの態様では、本開示は、胚の着床の可能性を決定するための方法を提供し、方法は基準核酸試料と比較した、胚試料中のミトコンドリアDNAの相対量を決定することを含み、ここで、決定は、i)胚由来の核酸試料;ii)第1のミトコンドリアDNA配列に対するものである第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対;ならびにiii)基準染色体標的核酸配列に対するものである基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含む反応混合物を調製すること;反応混合物を増幅させ、第1のミトコンドリアDNA配列産物および基準染色体標的核酸配列産物を生成させること;ならびに増幅された基準染色体標的核酸配列産物と比較して、増幅された第1のミトコンドリアDNA配列産物の量を評価することを含み、ここで、胚中のmtDNAの相対量は、胚の着床の可能性を示す。
全ての方法のいくつかの実施形態では、ミトコンドリアDNAの相対量を決定することは、iv)第2のミトコンドリアDNA配列に対するものである第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対をさらに含み;ならびに増幅工程は、反応混合物を増幅させ、第2のミトコンドリアDNA配列産物を生成させることをさらに含み;ならびに、評価工程は、増幅された第2のミトコンドリアDNA配列産物の量を増幅された基準染色体標的核酸配列産物の量を用いて評価することをさらに含み、ここで、第1および第2のミトコンドリアDNA配列産物の相対量は、胚の着床の可能性を示す。
別に規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、この開示が属する分野の当業者により普通に理解されるものと同じ意味を有する。方法および材料は本開示において使用するために本明細書で記載され;当技術分野で知られている他の、好適な方法および材料もまた使用することができる。材料、方法、および実施例は例示にすぎず、制限することを意図しない。本明細書で言及される、全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、および他の参考文献は、参照によりその全体として組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が制御する。加えて、材料、方法、および例は、例示にすぎず、制限することを意図しない。
発明の1つ以上の実施形態の詳細が添付の図面および下記説明において明記される。発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
ヒトミトコンドリアDNAのマップである。 mtDNA量、女性の年齢および胚染色体構成の間の関係を示す一連のグラフを提供する。a)302の胚盤胞から取り出したTE試料の定量的リアルタイムPCR分析中に得られたデータは、女性の加齢との関連でmtDNAのレベルの統計的に有意な増加(P=0.003)を示した。この現象は正倍数体および異数体胚盤胞の両方について明らかであった。b)39の卵割球のリアルタイムPCR分析により、生殖的に若い女性由来の卵割期胚は、生殖的に年老いた女性により生成されるものに比べて著しく(P=0.01)高いmtDNAレベルを含んだことが示された。c)TE試料のリアルタイムPCR分析により、異数体胚盤胞(n=99)は、正倍数体(n=203)と比べて、全ての年齢で、著しく(P=0.025)大量のmtDNAを含んだことも示された。mtDNA値の統計解析は独立両側t検定を用いて行われた。 染色体的に正常および異常な胚盤胞のNGS分析によるmtDNA定量化を示すグラフである。38の胚から生検されたTE試料のNGS分析は染色体エラーの存在下で起こる、mtDNAレベルの統計的に有意な増加(P=0.006)を示した。 臨床結果との関連での染色体的に正常な胚盤胞のmtDNA含量を示すグラフである。平均して、臨床的妊娠を確立することができる染色体的に正常な胚盤胞は、妊娠できなかった染色体的に正常な胚盤胞と比べて、著しく(P=0.007)低レベルのmtDNAを含んだ。 図5A−5Cは、臨床結果との関連での胚盤胞mtDNA量閾値を示す一連のグラフである。5A)公知の結果を有する移植胚からのTE生検のレトロスペクティブ分析により確立された、正倍数体胚盤胞についてのmtDNA量生存能閾値。生存可能な妊娠を生成させる全ての胚盤胞は0.003値(レッドライン)未満のmtDNA量を含み、一方、この値を超えるmtDNA量は、進行中の臨床的妊娠の達成の失敗と関連した。 5B)プロスペクティブ盲検試験の結果。使用したmtDNA閾値は、レトロスペクティブ研究(5A)で確立されたものと同じであった。妥当性が確認された。というのも生存可能な妊娠を生成させる全ての胚盤胞はカットオフ(レッドライン)未満のmtDNA量を含み、この値を超えるmtDNA量を有する胚盤胞は進行中の臨床的妊娠を達成しなかったからである。 5C)23の正倍数体TE試料におけるmtDNAレベルのNGS分析。対応する胚をSET周期中に移植し、臨床結果がそれらの21において知られることとなった。リアルタイムPCR実験と同様に、mtDNAレベルは、7の着床胚においてより低かった(注−y軸スケールがNGS分析では異なっており、その結果としてカットオフ値が異なる)。
胚(例えば、正倍数体胚)の子宮に着床し(すなわち、「着床の可能性」)、妊娠を開始する可能性を決定するための材料および方法が本明細書で提供される。本明細書で示されるように、ミトコンドリアDNA(mtDNA)量と胚の着床の可能性の間には相関がある。mtDNA量の評価は、健康な妊娠および出生に導く最高能力を有する胚を識別するために使用することができる。よって、いくつかの態様では、本開示は、胚の着床の可能性を決定するのに使用するための、着床前、すなわち、初期の胚(例えば、接合体または胚盤胞)におけるミトコンドリアDNA(mtDNA)の定量化のための組成物および方法を提供する。例えば、胚の着床の可能性を決定するために、定量的PCR法(例えば、リアルタイムPCR)において使用することができるプライマーおよびプローブが本明細書で提供される。
「胚」という用語は、受精卵母細胞または接合体を示す。前記受精は、古典的体外受精(cIVF)下、または卵細胞質内精子注入法(ICSI)プロトコル下で介在し得る。
1つの態様では、本開示は着床のための胚を選択するための方法を提供し、方法は、下記を含む:胚試料中の基準核酸配列と比較して、胚試料中のミトコンドリアDNAの量を決定すること、および決定されたミトコンドリアDNAの量が胚中の決定された基準核酸試料の量と比較して増加した場合、着床のための胚を選択すること。
「増加した」、「増加する」または「上方制御された」という用語は全て、一般に、統計的に有意な量の増加を意味するために本明細書で使用され;疑いを回避するために、「増加した」または「増加する」という用語は、基準レベルと比較して、少なくとも約10%の増加、例えば、基準レベルと比較して少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%または100%までの増加、あるいは10−100%の間の任意の増加、または基準レベルと比較して少なくとも約0.5倍、または少なくとも約1.0倍、または少なくとも約1.2倍、または少なくとも約1.5倍、または少なくとも約2倍、または少なくとも約3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍または少なくとも約10倍の増加、あるいは1.0倍と10倍以上の間の任意の増加を意味する。いくつかの実施形態では、基準レベルは胚試料中の基準核酸配列のレベルである。
「減少する」、「減少した」、「低減した」、「低減」または「下方制御された」という用語は全て、一般に、統計的に有意な量の減少を意味するために本明細書で使用される。しかしながら、疑いを回避するために、「低減した」、「低減」、「下方制御された」「減少した」または「減少する」は、基準レベルと比較して少なくとも約10%の減少、例えば、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の減少、または100%までの減少(すなわち、基準試料と比較した消失レベル)、または基準レベルと比較して、10−100%の間の任意の減少、または基準レベルと比較して、少なくとも約0.5倍、または少なくとも約1.0倍、または少なくとも約1.2倍、または少なくとも約1.5倍、または少なくとも約2倍、または少なくとも約3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍または少なくとも約10倍の減少、または1.0倍と10倍以上の間の任意の減少を意味する。いくつかの実施形態では、基準レベルは胚試料中の基準核酸配列のレベルである。
当業者であれば、本明細書で記載される核酸分子(例えば、プライマーおよび/またはプローブ)のいずれに対しても小さな変化が可能であり、バリアント核酸分子、例えば、本明細書で記載される核酸分子、例えば、配列番号2−10のいずれかに対し少なくともまたは約90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%配列同一性を有する核酸分子は、本明細書で提供される方法において使用することができることを認識するであろう。
当業者であれば、本明細書で記載される核酸分子(例えば、プライマーおよび/またはプローブ)は、Current Protocols in Molecular Biology (1999 Ausubel et al. (編) John Wiley & Sons, Inc.)で記載される標準分子生物学技術により、または化学合成により、または核酸類似体により得ることができることを認識するであろう。
ミトコンドリアDNA
ミトコンドリアDNA(mtDNA)は環状であり、16.6kbの二本鎖DNAから構成される(図1)。このDNA分子によりコードされる遺伝子は細胞代謝において直接的な役割を有し、電子伝達系(ETC)内で重要な役割を有する複数の複合体のサブユニットを生成させる[6]。ミトコンドリアゲノムによりコードされる複合体は、他のETC成分と共に、ミトコンドリア内膜に位置し、細胞内でのATPの生成に不可欠である。加えて、mtDNAは、22のtRNAおよび2のrRNAを含む小器官の転写および翻訳機構の成分のいくつかをコードし、残りは、核ゲノムによりコードされる[6]。細胞は損傷した小器官を置き換え、細胞内エネルギー要求の変化に適応するように、それらのミトコンドリアを再分布させることができることが示されている[7]。
哺乳類細胞のミトコンドリア含量は、細胞の体積およびエネルギー需要により決定される数百〜数千の範囲である。ヒト成熟卵母細胞は、ミトコンドリアおよびmtDNAの両方について最高含量を有する細胞型の1つである[1]。卵母細胞ミトコンドリア複製は胎児発生中に開始し、卵原細胞の細胞はおよそ200のミトコンドリアを含んでいる[8においてレビュー]。複製は成熟に同調して続き、よって、受精直前、中期IIで停止させた卵母細胞はおよそ100,000のミトコンドリアおよび50,000〜550,000のmtDNAのコピーを含む[1、9−13]。
哺乳類胚は、ミトコンドリア(よって、mtDNA)を、受精直前に卵母細胞で見出される集団から排他的に受け継ぐ。ヒト卵割期胚におけるmtDNAの定量化からのデータにより、量は着床前発生の最初の3日中は安定なままであることが示唆される[1、12−16]。mtDNAの著しい複製は、胚が栄養外胚葉(TE)および内部細胞塊への第1の細胞分化を受け、胚盤胞となった後まで開始されないと考えられる[3、8]。
着床前発生は動的でエネルギーを要求するプロセスであり、その間、ミトコンドリア機能は重大である。初期胚は、各細胞分裂を通じてうまく進行することができるように、十分なエネルギーレベルを必要とする。既存のデータにより、正確な卵母細胞ミトコンドリア機能およびmtDNA遺伝子発現が人生のこれらの初期段階中には必須であることが示唆される。特定的には、ヒト卵母細胞のATP量、胚の発生の可能性、およびIVFサイクルの結果の間には関連が見られる[17]。
ミトコンドリア機能は人生の最初の数日間重大であるので、発明者らは、発生の胚盤胞期にうまく到達したヒト着床前胚においてmtDNAの完璧な調査を実施した。特定的には、発明者らは、ヒト胚盤胞mtDNA含量、女性患者の年齢、胚染色体状態、生存率および着床の可能性の間の関係を調査した。加えて、我々は、mtDNA複製が最初に上方制御され、個々の細胞のmtDNA含量が増加される可能性がある、着床前発生の段階を明らかにしようと試みた。mtDNAの相対定量化と同様に、突然変異、欠失および多型を探し求めて、ミトコンドリアゲノムの詳細分析を始めた。
いくつかの実施形態では、胚は正倍数体胚である。本明細書で示されるように、着床および非着床正倍数体胚盤胞から得られたmtDNAの定量化は、閾値を確立するために使用することができる。閾値は、臨床医が、正倍数体胚の着床の可能性を決定することができる値である。例えば、閾値未満であるmtDNA量は、胚の有利な着床の可能性を示し、一方、閾値を超えるmtDNA量は胚の不利な着床の可能性を示す。
相対定量化において、標的DNA(例えば、mtDNA)の量が検出され、単一試料中の基準DNAの量に対して規準化され、標的DNAの相対量が決定される。mtDNAの相対量の分析により、胚の着床し(すなわち、「着床の可能性」)、妊娠を開始する可能性を決定するための閾値の確立が可能になる。本明細書で記載されるように、mtDNAの相対量は、多くの手段、例えば、限定はされないが、リアルタイムPCRまたは次世代シーケンシング(NGS)により決定することができる。
この閾値は、妊娠成績がわかっている試料中に存在するミトコンドリア量を分析することにより確立させることができる。いくつかの実施形態では、陽性および陰性の妊娠成績を有する胚と関連する1つ以上の試料が分析され、閾値が決定される。検量線および絶対定量化を採用することができるが、必須ではない。当業者であれば、胚の着床の可能性を決定するための閾値は、多くの変数、例えば、限定はされないが、アッセイ感度、アッセイを実施する技術者、および/または基準DNAの量/質に基づいて、最適化を必要とする可能性があることが理解されるであろう。
いくつかの実施形態では、mtDNAの相対量は、リアルタイムPCR、例えば定量的PCRにより決定され、着床を決定するための閾値相対mtDNA量は0.003である。約0.003未満の相対mtDNA量を有する着床前胚は着床すると予測される。例えば、着床すると予測される着床前胚は約0.0029、約0.0025、約0.002、約0.0015、約0.001、約0.0008、約0.0005、約0.0003、約0.0002、約0.0001、約0.00008、または約0.00005、約0.00004、約0.00003、または約0.00002の相対mtDNA量を有することができる。いくつかの実施形態では、着床すると予測される着床前胚は、0.002未満の相対mtDNA量を有する。いくつかの実施形態では、着床すると予測される着床前胚は、0.001未満の相対mtDNA量を有する。
約0.003を超える相対mtDNA量を有する着床前胚は着床することができない。例えば、着床しないと予測される着床前胚は、約0.0031、約0.0035、約0.004、約0.0045、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、約0.009、約0.01、または約0.02の相対mtDNA量を有することができる。いくつかの実施形態では、着床すると予測される着床前胚は、約0.004を超える相対mtDNA量を有する。いくつかの実施形態では、着床すると予測される着床前胚は、約0.005を超える相対mtDNA量を有する。
いくつかの実施形態では、mtDNAの量は、NGSにより決定され、着床を決定するための閾値相対mtDNA量は0.07である。約0.07未満の相対mtDNA量を有する着床前胚は着床すると予測される。例えば、着床すると予測される着床前胚は、約0.068、約0.065、約0.0625、約0.06、約0.055、約0.05、約0.045、約0.04、約0.035.約0.03、約0.025、または約0.02の相対mtDNA量を有することができる。いくつかの実施形態では、着床すると予測される着床前胚は、0.06未満の相対mtDNA量を有する。いくつかの実施形態では、着床すると予測される着床前胚は、0.05未満の相対mtDNA量を有する。
約0.07を超える相対mtDNA量を有する着床前胚は着床することができない。例えば、着床しないと予測される着床前胚は、約0.075、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.18、約0.20、約0.22、約0.25、約0.28、約0.30、または約0.32の相対mtDNA量を有することができる。いくつかの実施形態では、着床すると予測される着床前胚は、0.08を超える相対mtDNA量を有する。いくつかの実施形態では、着床すると予測される着床前胚は、0.10を超える相対mtDNA量を有する。
加えて、閾値自体に割り当てられる数値は、胚を調査するために使用される技術によって異なるであろう(例えば、Next−Genシーケンシングを使用する定量化についての閾値は、定量的PCRから得られたものとは異なる数値を有し得る)。
標的配列の増幅
本発明によれば、従来の分子生物学、微生物学、組換えDNA、免疫学、細胞生物学および当技術分野の技能内の他の関連技術が使用され得る。例えば、Sambrook et al., (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 第3版 Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor, N.Y.; Sambrook et al., (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 第2版 Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor, N.Y.; Ausubel et al., 編 (2005) Current Protocols in Molecular Biology. John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, N.J.; Bonifacino et al., 編 (2005) Current Protocols in Cell Biology. John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, N.J.; Coligan et al., 編 (2005) Current Protocols in Immunology, John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, NJ.; Coico et al., 編 (2005) Current Protocols in Microbiology, John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, N.J.; Coligan et al., 編 (2005) Current Protocols in Protein Science, John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, N.J.; Enna et al., 編 (2005) Current Protocols in Pharmacology John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, N.J.; Hames et al., 編 (1999) Protein Expression: A Practical Approach. Oxford University Press: Oxford; Freshney (2000) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique. 第4版 Wiley−Liss;などを参照されたい。上記で列挙される最新プロトコル(Current Protocols)は毎年数回更新される。
核酸標的配列(例えば、mtDNAまたは基準DNA)を増幅させる方法は当技術分野でよく知られており、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。いくつかの実施形態では、標的配列の増幅はリアルタイムPCRを含む。リアルタイムPCRは標準リアルタイムPCRまたは高速リアルタイムPCRとすることができる。当業者によれば、高速リアルタイムPCRを適用させるために、例えば、計測手段(例えば、温度のより高速変化を実行するため)、酵素(例えば、正確さを維持するより高速の酵素)、および/またはサイクリングパラメータ(例えば、PCR工程の短縮またはさらには結合)に対して変更を行う必要がある可能性があることが理解されるであろう。
リアルタイムPCRは少なくとも3つの工程の熱サイクル(すなわち、反復加熱および冷却のサイクル)を含む:DNA二重らせんの2つの鎖を分離するための第1の変性工程、プライマーをDNAテンプレートに結合させる第2のアニーリング工程、およびDNAポリメラーゼ(例えば、熱安定性DNAポリメラーゼ)により実施されるDNA合成を促進する第3の伸長工程。場合によっては、第4の工程、および中程度に高い温度(例えば、80℃)を含めることができ、その間、蛍光を測定することができる。
第1の工程は二本鎖DNAを一緒に保持する水素結合を破壊する高温を含む。第1の工程は、約95℃の温度を含むことができる。第1の工程は、約10秒〜1分の時間を含むことができる。例えば、第1の工程は約15秒続くことができる。いくつかの実施形態では、第1の工程は95℃の温度を含み、15秒続く。
第2の工程は、より低い温度を含み、そのため、PCRプライマーは、DNA標的配列に結合することができる。第2の工程は約50−60℃の温度を含むことができる。例えば、温度は約50℃、約52℃、約54℃、約55℃、約57℃、約59℃、または約60℃とすることができる。第2の工程は約15秒、約30秒、または約60秒続くことができる。いくつかの実施形態では、第2の工程は55℃の温度を含み、15秒続く。
第3の工程は、中間温度を含み、これにより、DNAポリメラーゼ(例えば、熱安定性DNAポリメラーゼ)は、プライマーをDNA標的配列に沿って伸長させることができる。第3の工程は約58−72℃の温度を含むことができる。例えば、温度は約58℃、約62℃、約65℃、約68℃、約70℃、または約72℃とすることができる。第3の工程は約45秒、約60秒、または約90秒続くことができる。いくつかの実施形態では、第3の工程は60℃の温度を含み、1分続く。
これらの工程は典型的には25−50回繰り返される(すなわち、サイクルされる)。当業者により理解されるように、PCR増幅には3つの相が存在する:1)指数関数相、その間試薬は新鮮で使用可能であり、産物の正確な倍加が毎サイクルで起こる(100%反応効率と仮定);2)直線相、その間、増幅の結果、試薬のいくらかが消費され、PCR産物はもはや毎サイクルで倍加されない;ならびに3)プラトー相、その間、反応は停止される。いくつかの実施形態では、サイクル数は指数関数相を超えない。例えば、熱サイクル工程は、25回、30回、32回、35回、38回、40回、45回、または50回繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、熱サイクル工程は35回繰り返される。
リアルタイムPCR熱サイクルでは、室温では不活性な熱安定性DNAポリメラーゼを活性化するために、高温(例えば、約95℃)での延長保持が先行することができる。サイクル設定は、しばしば、「ホットスタート」サイクルと呼ばれるそのような延長保持を含んだ。延長保持は約20秒〜約10分とすることができる。当業者により理解されるように、様々な熱安定性DNAポリメラーゼは異なる活性化時間を必要とする。例えば、いくつかの熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼは95℃での10分活性化を必要とし、ここで、他の熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、AmpliTaq(登録商標)Fast DNAポリメラーゼ)は95℃で20秒活性化しか必要としない。いくつかの実施形態では、リアルタイムPCRは約95℃での10分延長保持を含む。
当業者により理解されるように、熱サイクルパラメータは、多くの因子に基づき調整される必要がある可能性がある。例えば、最適なプライマーアニーリング温度は、塩基組成(すなわち、A、T、G、およびCヌクレオチドの割合)、プライマー濃度、およびイオン反応環境に依存し得る。例えば、伸長時間は、アンプリコン長に依存し得る(すなわち、伸長は典型的には約1分/kbを必要とする)。
いくつかの実施形態では、リアルタイムPCRは、約95℃での10分延長保持ならびに約95℃で約15秒間の第1の工程、約50−60℃で約15秒間の第2の工程、および約68−72℃で約1分間の第3の工程を含む熱サイクルを含み、ここで、第1、第2、および第3の工程は約35回サイクルされる。
PCRは、mtDNA配列の領域に相補的な配列を含む、少なくとも2つのプライマー(すなわち、「プライマー対」または「プライマーセット」)を含む。プライマーは短い合成オリゴヌクレオチド分子であり、これは、より長い核酸配列の合成を開始させるために使用することができる。プライマーは、相補的標的DNA配列(例えば、mtDNA)に核酸ハイブリダイゼーションによりアニールさせることができ、プライマーと標的DNA配列の間のハイブリッドが形成され、その後、プライマーは標的DNA配列に沿ってDNAポリメラーゼ酵素により伸長される。標的DNA配列に隣接する、少なくとも2つのプライマー(例えば、フォワードプライマーおよびリバースプライマー)のセットは、標的DNA配列を増幅させ、増幅産物(アンプリコンとも呼ばれる)を生成させるために使用することができる。開示された方法と共に使用することができるプライマーは約10−50ヌクレオチド、例えば約12−50ヌクレオチド、15−40ヌクレオチド、15−30ヌクレオチド、12−40ヌクレオチド、18〜35ヌクレオチド、18〜30ヌクレオチド、19〜30ヌクレオチド、19〜29ヌクレオチド、または20〜29ヌクレオチドとすることができる。
標的配列は1つ以上のmtDNA配列とすることができる。PCRプライマーは、mtDNAの任意の部分を標的とするように設計された任意のプライマーとすることができる。標的mtDNAは、例えば、NC_012920(配列番号:1)において明記されるヒトmtDNAとすることができる。ヒトmtDNA標的の位置を示す概略は図1に明記される。例えば、PCRプライマーは、限定はされないが、12S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、16S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット1(MT−ND1)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット2(MT−ND2)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット3(MT−ND3)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット4(MT−ND4)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(MT−ND5)をコードするミトコンドリアDNA配列、チトクロムb、ミトコンドリアチトクロムcオキシダーゼサブユニット1、2または3をコードするミトコンドリアDNA配列、ATPシンターゼをコードするミトコンドリアDNA配列を標的とすることができる。PCRプライマーを設計するためのツールおよび戦略は当技術分野で知られている。
いくつかの実施形態では、PCRプライマーは、Fregel et al. (2011 Forensic Science International Genetics Supplement Series 3(1):e303−304)において記載されるように、16S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列(例えば、ヒト16S配列)を標的とするように設計することができる。例えば、16S RNAを転写するヒトmtDNAの部分を標的とするプライマー対は、配列GGTGATAGCTGGTTGTCCAAGAT(配列番号2)を含むフォワードプライマーおよび配列CCTACTATGGGTGTTAAATTTTTTACTCTCTC(配列番号:3)を含むリバースプライマーを含むことができる。
いくつかの実施形態では、PCRプライマーは、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)をコードするミトコンドリアDNA配列(例えば、ヒトMT−ND4配列)を標的とするように設計することができる。例えば、MT−ND4をコードするヒトmtDNAの部分を標的とするプライマー対は、配列CTGTTCCCCAACCTTTTCCT(配列番号:8)を含むフォワードプライマーおよび配列CCATGATTGTGAGGGGTAGG(配列番号:9)を含むリバースプライマーを含むことができる。
いくつかの実施形態では、PCRプライマーは、Kavlickら(U.S.9,080,205号;、2015年7月14日に発行)において記載されるように、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(NADH5)(例えば、ヒトNADH5配列)をコードするミトコンドリアDNA配列を標的とするように設計することができる。
標的配列は染色体DNAとすることができる。相対定量化は試料中の標的DNA(例えば、mtDNA)の量を試料中の基準DNA(例えば染色体DNA)の量と比較することに基づく。基準DNAは任意の染色体DNA(例えば、ハウスキーピング遺伝子、マルチコピー遺伝子または反復配列遺伝子)とすることができる。例えば、基準DNAはAlu配列、L1配列、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、β−アクチン(ActB)、アルブミン、β−グロビンまたは18SrRNAとすることができる。いくつかの実施形態では、基準DNAはヒト核ゲノムにおけるマルチコピー配列とすることができる(例えば、AluまたはL1)。いくつかの実施形態では、基準対照として複数の個々のDNA断片を使用し、それらの結果を一緒に合わせて単一基準値を生成させることが企図される。しかしながら、このために、事実上ゲノム中のDNA配列の任意の組み合わせを使用することができ、そのため、それらを特定しようしても意味がない。基準DNA配列に対するものであるプライマーおよび/またはプローブは設計、および/または合成することができる。あるいは、基準DNA配列に対するものであるプライマーおよび/またはプローブは商業的に入手することができる。
いくつかの実施形態では、PCRプライマーは、基準DNAとしてのAlu配列(例えば、ヒトAlu配列)を標的とするように設計することができる。例えば、ヒトAlu配列を標的とするプライマー対は、配列GTCAGGAGATCGAGACCATCCT(配列番号:5)を含むフォワードプライマーおよび配列AGTGGCGCAATCTCGGC(配列番号:6)を含むリバースプライマーを含むことができる。
mtDNAのPCR増幅は、シングルプレックスPCR(標的mtDNAの増幅および基準DNAの増幅は独立した反応で実施される;例えば、別々のチューブまたはウェルにおいて)またはデュプレックスPCR(標的mtDNAの増幅および基準DNAの増幅は同じ反応で実施される;例えば、同じチューブまたはウェルにおいて)とすることができる。
本明細書で記載されるPCR試薬のいずれも反応混合物として一緒に提供することができる。例えば、反応混合物は、プライマー対、デオキシヌクレオチド(dNTP;dUTPありまたはなし)、バッファー(例えば、Tris−EDTA(TE)バッファー)、DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼまたはAmpliTaq(登録商標)DNAポリメラーゼなどの熱安定性DNAポリメラーゼ)、および/またはヌクレアーゼフリー水の2つ以上を含むことができる。デオキシヌクレオチド、バッファーおよびDNAポリメラーゼを含む市販の反応混合物(例えば、TaqMan(登録商標)Universal Master Mix)を入手することができ、プライマー対は市販の反応混合物に添加することができる。
増幅された標的配列の検出
定量的PCR(例えば、リアルタイムPCR)はアンプリコンの検出を含む。開示された方法と共に使用することができるアンプリコンは約70−200ヌクレオチド、例えば約80−180ヌクレオチド、90−170ヌクレオチド、100−160ヌクレオチド、または110−150ヌクレオチドとすることができる。アンプリコンは任意の好適な手段(例えば、蛍光)により検出することができる。例えば、標的配列の増幅で蛍光を発生させることができ、アンプリコンの検出は、蛍光の検出を含むことができる。リアルタイムPCRにおける蛍光の生成は、例えば、任意の二本鎖DNAにインターカレートする非特異的蛍光色素、または蛍光レポーター色素(プローブのその相補的配列とのハイブリダイゼーション後にのみ検出が可能となる)で標識されたオリゴヌクレオチドから構成される配列特異的プローブを含むことができる。
リアルタイムPCRが、任意の二本鎖DNAにインターカレートする非特異的蛍光色素を含む場合、蛍光色素をインターカレートさせる任意のDNAを使用することができる。蛍光色素をインターカレートさせるDNAの非限定的な例としては、LCGreen(登録商標)色素、SYTO(登録商標)色素、EvaGreen(登録商標)色素、SYBR(登録商標)Green色素、SYBR(登録商標)Gold色素、Chromofy(商標)色素、オキサゾールイエロー、チアゾールオレンジ、およびピコグリーンが挙げられる。当業者により理解されるように、1つ以上の蛍光色素の存在はDNAの融解温度に影響する可能性がある。そのようなものとして、リアルタイムPCR熱サイクルパラメータの第1の工程の高温の調整(例えば、約1−3℃だけ)は、それに応じて増加または減少させることができる。
リアルタイムPCRが蛍光標識されたプローブを含む場合、任意の好適なプローブが使用され得る。プローブはアンプリコンのある領域に相補的または実質的に相補的であるオリゴヌクレオチドであり、アンプリコンを検出または捕捉するために使用することができる。例えば、増幅に基づく検出方法において使用するのに好適なプローブは、アンプリコン内に位置する任意の配列から設計することができる。開示された方法と共に使用することができるプローブは約10−50ヌクレオチド、例えば約12−50ヌクレオチド、15−40ヌクレオチド、15−30ヌクレオチド、12−40ヌクレオチド、18〜35ヌクレオチド、18〜30ヌクレオチド、19〜30ヌクレオチド、19〜29ヌクレオチド、または20〜29ヌクレオチドとすることができる。
いくつかの実施形態では、プローブは、16S RNAを転写するmtDNAの部分(例えば、ヒトmtDNA 16S)を標的とするプライマー対により生成されるアンプリコンを標的とすることができる。例えば、ヒトmtDNA 16Sアンプリコンを標的とするプローブは、配列AATTTAACTGTTAGTCCAAAGAG(配列番号4)を含むことができる。
いくつかの実施形態では、プローブは、MT−ND4をコードするmtDNAの部分(例えば、MT−ND4をコードするヒトmtDNA)を標的とするプライマー対により生成されるアンプリコンを標的とすることができる。例えば、ヒトMT−ND4アンプリコンを標的とするプローブは、配列GACCCCCTAACAACCCCC(配列番号:10)を含むことができる。
いくつかの実施形態では、PCRプライマーは、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(NADH5)をコードするmtDNAの部分(例えば、ヒトNADH5配列)を標的とするように設計することができる。
いくつかの実施形態では、プローブは、基準DNA(例えば、ヒトAlu配列)を標的とするプライマー対により生成されるアンプリコンを標的とすることができる。例えば、ヒトAluアンプリコンを標的とするプローブは、配列AGCTACTCGGGAGGCTGAGGCAGGA(配列番号:7)を含むことができる。
リアルタイムPCRが蛍光標識されたプローブを含む場合、任意の好適な蛍光レポーター色素が使用され得る。蛍光レポーター色素の非限定的な例としてはNED(商標)、シアニン(例えば、Cy(商標)2、Cy(商標)3、Cy(商標)3.5、Cy(商標)5、Cy(商標)5.5、およびCy(商標)7)、フルオレセイン(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、およびFAMホスホラミダイト)、ローダミン(例えば、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA(商標))、テトラメチルローダミン(TMR)、テトラメチルローダミン(TRITC)、スルホローダミン101、テキサスレッド(登録商標)、およびローダミンレッド(登録商標))、およびROX(商標)が挙げられる。蛍光レポーター色素は、プローブのいずれかの端でコンジュゲートさせることができ、蛍光標識されたプローブが生成される。デュプレックスPCRが使用される場合、mtDNAアンプリコンを検出するプローブおよび基準DNAアンプリコンを検出するプローブは異なる蛍光レポーター色素を必要とすることが理解されるべきである。
場合によっては、蛍光標識されたプローブは一端に蛍光レポーター色素を、および反対端にクエンチャー分子を含む。クエンチャー分子が蛍光レポーター色素にごく近接すると、クエンチャー分子は、蛍光レポーター色素の発光を(例えば、励起エネルギーを吸収することにより)除去または低減させる。DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は物理的レポーター−クエンチャー近接を破壊し、よって、蛍光レポーター色素のクエンチされていない発光が可能になる。クエンチャー分子の非限定的な例としては、無蛍光クエンチャー(NFQ)、ジメチルアミノアゾベンゼンスルホン酸(DABSYL)、Black Holeクエンチャー、Qxlクエンチャー、Iowa black FQ、Iowa black RQ、IRDye QC−1が挙げられる。当業者により理解されるように、クエンチャー分子は典型的には、特定の範囲の蛍光発光で最も有効である。例えば、DABSYLは緑色スペクトルで吸収し、しばしば、フルオレセインと共に使用される。
プローブは、グルーブバインダ(MGB)部分を含むことができる。MGB部分は、プローブがアンプリコンにアニールした時に形成される二本鎖の安定性を増加させる。MGB部分は、プローブの一端にコンジュゲートさせることができる。プローブが蛍光標識されたプローブである場合、MGB部分はプローブと蛍光標識またはクエンチャーの間に配置することができ、または、MGB部分は蛍光標識またはクエンチャーの末端に配置することができる。
いくつかの実施形態では、プローブは蛍光標識されたプローブ(例えば、配列AATTTAACTGTTAGTCCAAAGAG(配列番号:4)を含む)であり、これは、一端にFAM蛍光レポーター色素ならびに反対端にMBG部分およびNFQクエンチャー分子を含む。
いくつかの実施形態では、プローブは蛍光標識されたプローブ(例えば、配列GACCCCCTAACAACCCCC(配列番号:10)を含む)であり、これは、一端にNED蛍光レポーター色素および反対端にNFQクエンチャー分子を含む。
いくつかの実施形態では、プローブは蛍光標識されたプローブ(例えば、配列AGCTACTCGGGAGGCTGAGGCAGGA(配列番号:7)を含む)であり、これは、一端にFAM蛍光レポーター色素ならびに反対端にMBG部分およびNFQクエンチャー分子を含む。
本明細書で示されるように、mtDNA量を使用して、胚盤胞の着床の可能性を決定することができる。mtDNAの閾値量が存在し、これを超えると、胚盤胞(例えば、正倍数体胚盤胞)の着床が決して観察されなかった。このカットオフは、胚形態または患者が治療を受けているクリニックなどの他の考慮事項に関係なく、有効なままであった。
標的配列の定量化
本明細書では、「DNAの量を決定すること」は、試料中に存在する核酸の量を定量することを示す。
本明細書におけるいくつかの方法においては、試料中に存在するDNAを検出し、定量することが望ましい。DNAの検出および定量化は、当技術分野でよく知られた多くの方法のいずれか1つにより達成することができる。mtDNAまたは基準DNA配列についてよく知られた配列を使用して、特定のプローブおよびプライマーを、必要に応じて、下記で記載される検出方法において使用するために設計することができる。
核酸標的配列(例えば、mtDNAまたは染色体DNA)を定量する方法は当技術分野でよく知られており、例えば、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、次世代シーケンシング(NGS)、分光光度的定量化、およびDNA色素の存在下でのUV蛍光が挙げられる。本開示は、特定の定量化方法に制限されない。いくつかの実施形態では、mtDNAの定量化はリアルタイムPCRを含む。
リアルタイムPCRは定量的に(定量的リアルタイムPCR)、半定量的に(半定量的リアルタイムPCR)または定性的に(定性的リアルタイムPCR)使用され得る。当分野において理解されるように、PCRは、数桁にわたるDNA断片の単一コピーまたは数コピーの増幅を含む。いくつかの実施形態では、リアルタイムPCRは定量的である。
相対定量化では、試料中の標的配列(例えば、mtDNA)の量が、同じ試料中の基準DNA(例えば、染色体DNA)の量に対して分析される。本明細書で記載されるように、mtDNAの相対量は、多くの手段、例えば、限定はされないが、リアルタイムPCRまたは次世代シーケンシング(NGS)により決定することができる。
いくつかの実施形態ではmtDNAの相対量は、リアルタイムPCRにより決定される。標的DNAを定量するためにリアルタイムPCRを使用する方法としては、例えば、比較C(ΔC)方法(相対定量)、相対検量線法(相対定量)、および検量線法(絶対定量)が挙げられる。
mtDNAの相対量は、例えば、Livik et al.(2001 METHODS 25:402−408)により、記載される式2−ΔΔCTによって計算することができる。指数関数相に焦点を当てるリアルタイムPCRは、各試料について、検出閾値(すなわち、反応がバックグラウンドを超える蛍光強度に到達する検出のレベル)および閾値サイクル(C;すなわち、試料が検出閾値と交わるサイクル数)を計算する。
ΔC値は、試料における標的mtDNAのC値と基準DNAのC値の間の差を記し(ΔC=標的DNAC−基準DNAC)、試料内で使用されるテンプレートの量について規準化するために使用される。例えば、ΔCtは(mtDNA 16S C)−(Alu C)とすることができ、またはΔCは(MT−ND4 C)−(Alu C)とすることができる。ΔC値は複数の試料について決定することができる;例えば、試料胚、着床胚、および/または非着床胚。いくつかの実施形態では、ΔC値は、単一の試料の複数(例えば、2連、3連、など)の実行から得られた平均Cを用いて計算することができる。
ΔΔC値は第1の試料(例えば、試料胚)中のmtDNAの平均ΔC値と第2の試料(例えば、着床胚または非着床胚)中のmtDNAの平均ΔC値の間の差を記す。例えば、ΔΔCはmtDNA着床ΔCT−mtDNA非着床ΔCTとすることができる。
着床胚中のmtDNAの相対量および非着床胚中のmtDNAの相対量は、臨床医に胚の着床の可能性を決定させる閾値を決定するために使用される。
使用方法
本明細書で提供される方法は、着床閾値を決定するための方法、着床のための胚を選択するための方法、および胚(例えば、正倍数体胚)の着床の可能性を決定するための方法を含む。
着床閾値を決定するための方法は、例えば、着床胚から得られた第1のDNA試料を提供すること、第1のDNA試料中のミトコンドリアDNA(mtDNA)の量を決定すること、非着床胚から得られた第2のDNA試料を提供すること、および第2のDNA試料中のmtDNAの量を決定することを含む。着床閾値を決定するための方法はまた、第1のDNA試料中のmtDNAの量を第2の試料中のmtDNAの量と比較して、着床可能性閾値を決定することを含む。
例えば、第1のDNA試料(例えば、着床胚由来のDNA試料)中のmtDNAの相対量は、第2のDNA試料(例えば、非着床胚由来のDNA試料)中のmtDNAの相対量と比較することができる。着床胚対非着床胚中のmtDNAの相対量の分析により、胚の着床し(すなわち、「着床の可能性」)、妊娠を開始する可能性を決定するための閾値の確立が可能になる。
胚の着床の可能性を決定するための方法は、例えば、胚から得られたDNA試料を提供すること、DNA試料中のミトコンドリアDNA(mtDNA)の量を決定すること、およびDNA試料中の基準DNAの量を決定することを含む。胚の着床の可能性を決定するための方法はまた、mtDNAの量を基準DNAの量と比較して、胚中のmtDNAの相対量を決定することを含み、ここで、胚中のmtDNAの相対量は、胚の着床の可能性を示す。
例えば、DNA試料(例えば、試料胚由来のDNA試料)中のmtDNAの量は、同じDNA試料中の基準DNAの相対量と比較することができ、mtDNAの相対量が確立される。mtDNAの相対量の分析により、臨床医は、胚の着床し(すなわち、「着床の可能性」)、妊娠を開始する可能性を決定することができる。場合によっては、DNA試料(例えば、試料胚由来のDNA試料)中のmtDNAの相対量は、胚の着床の可能性を決定するために確立された閾値と比較することができる。例えば、胚の着床の可能性を決定するための閾値未満である、第1のDNA試料(例えば、着床胚由来のDNA試料)中のmtDNAの相対量は、胚の有利な着床の可能性を示す(すなわち、胚は着床する可能性がある)。例えば、胚の着床の可能性を決定するための閾値を超える、第1のDNA試料(例えば、着床胚由来のDNA試料)中のmtDNAの相対量は、胚の不利な着床の可能性を示す(すなわち、胚は着床しない)。
本明細書で提供される方法は、胚(例えば、試料胚、着床胚、または非着床胚)から得られたDNA試料を提供することを含むことができる。試料胚は着床の可能性がわかっていない胚(例えば、体外受精のために調製された胚)である。いくつかの態様では、本明細書で記載される方法は、研究または臨床決定のため、ならびに胚性幹細胞株の作製における候補である。胚から得られたDNA試料は、任意の胚性起源(例えば、組織、細胞、胚が培養された培地、胚の胞胚腔内からの流体)から得られたDNAとすることができる。胚から得られたDNA試料は、胚由来のmtDNAおよび染色体DNAの両方を含む。胚から得られたDNA試料は、着床前胚性起源から得ることができる。いくつかの実施形態では、着床前胚から得られたDNA試料は、受精後1、2、3、4、5、6、または7日あるいは受精後1−2日、1−3日、3−5日または4−7または1−7日の胚から得られる。DNAの着床前胚性起源としては、例えば、栄養外胚葉(TE)、胚盤胞、卵割球、胚が培養された培地、胚の胞胚腔内からの流体が挙げられる。いくつかの実施形態では、DNA試料は、TE試料から得られる。胚から得られたDNA試料は増幅させることができる(例えば、mtDNAの定量化を実施する前に)。DNA試料を増幅させる方法は、例えば、全ゲノム増幅法を含み、限定はされないが、多置換増幅(MDA)、多重アニーリングおよびループ化による増幅(MALBAC)、アダプターのライゲーション、続いてPCRに基づく方法(例えばSurePlex、PicoPlex、GenomePlex)、縮重オリゴヌクレオチドをプライマーとするPCR(DOP−PCR)、マルチプレックスPCRが挙げられる。
胚(およびこのように、胚から得られたDNA試料)は任意の哺乳類胚とすることができる。哺乳類の非限定的な例としては、例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば類人猿およびサル)、ウシ、ウマ、ヒツジ、ラット、マウス、ブタ、およびヤギが挙げられる。いくつかの実施形態では、試料は、ヒト胚から得ることができる。
本明細書で提供される方法は、本明細書で記載されるように、胚から得られたDNA試料中のmtDNAの量を決定することを含むことができる。胚から得られたDNA試料中のmtDNAの量は、定量的PCR(例えば、リアルタイムPCR)により決定することができる。例えば、胚から得られたDNA試料中のmtDNAの量を決定することは、本明細書で記載されるように、プライマー(例えば、配列番号:2−3)および、任意で、プローブ(例えば、配列番号:4)を使用して、16S RNAを転写するmtDNA配列の量を決定することを含むことができる。例えば、胚から得られたDNA試料中のmtDNAの量を決定することは、本明細書で記載されるように、プライマー(例えば、配列番号:8−9)および、任意で、プローブ(例えば、配列番号:10)を使用して、MT−ND4をコードするmtDNA配列の量を決定することを含むことができる。
本明細書で提供される方法は、本明細書で記載されるように、胚から得られたDNA試料中の基準DNAの量を決定することを含むことができる。胚から得られたDNA試料中の基準DNAの量は、定量的PCR(例えば、リアルタイムPCR)により決定することができる。例えば、胚から得られたDNA試料中の基準DNAの量を決定することは、プライマーおよび任意でプローブを使用して基準DNA中のある配列の量を決定すること、例えば、本明細書で記載されるように、プライマー(例えば、配列番号5−6)および、任意で、プローブ(例えば、配列番号:7)を使用してAlu配列の量を決定することを含むことができる。
キット
本明細書で記載される方法を実施するのに有用なキットもまた、本明細書で提供される。いくつかの態様では、本明細書で提供されるキットは、第1のミトコンドリアDNA配列に対するものである第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対および基準染色体遺伝子配列DNAに対するものである第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対を含む。
第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、本明細書で記載されるミトコンドリアDNA配列(例えば、12S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、16S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット1(MT−ND1)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット2(MT−ND2)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット3(MT−ND3)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット4(MT−ND4)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(MT−ND5)をコードするミトコンドリアDNA配列、チトクロムb、ミトコンドリアチトクロムcオキシダーゼサブユニット1、2または3をコードするミトコンドリアDNA配列、ATPシンターゼをコードするミトコンドリアDNA配列)に対するものとすることができる。いくつかの実施形態では、キットは、16S RNA遺伝子配列をコードするミトコンドリアDNA配列に対するものである合成オリゴヌクレオチドプライマー対および、任意で、16S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列に対するものであるプローブを含む。いくつかの実施形態では、キットは、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)をコードするミトコンドリアDNA配列に対するものである合成オリゴヌクレオチドプライマー対および、任意で、MT−ND4をコードするミトコンドリアDNA配列に対するものであるプローブを含む。
基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対は、Alu配列、L1配列、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、またはβ−アクチン(ActB)、アルブミン、β−グロビンまたは18SrRNAに対するものとすることができる。いくつかの実施形態では、基準DNAはヒト核ゲノムにおけるマルチコピー配列とすることができる(例えばAluまたはL1)。いくつかの実施形態では、キットはAlu配列に対するものである合成オリゴヌクレオチドプライマー対および、任意で、Alu配列に対するものであるプローブを含む。
発明のキットは様々な形態をとることができる。典型的には、キットは、試料中のDNAの存在を決定する、またはこれを定量するのに好適な試薬を含む。任意で、キットは、1つ以上の対照試料を含み得る。また、キットは、場合によっては、基準(例えば、所定の値)を提供する書面情報(証拠)を含み、ここで、胚中の核酸レベルと基準(所定の値)との間の比較は、臨床状態を示す。
場合によっては、キットは、DNAレベルまたは発生率を基準(例えば、予測モデル)と比較するのに有用なソフトウェアを含む。通常、ソフトウェアはコンピュータ可読フォーマット、例えばコンパクトディスクで提供されるが、これはまた、インターネット経由でダウンロードして使用可能であってもよい。しかしながら、キットはそのように制限されず、他の変形が当業者に明らかであろう。本方法はまた、遺伝子セットの発現レベル(例えば、本明細書で開示されるもの)に基づいて、被験体のための治療を選択する、および/または治療計画を決定するために使用することができる。
基準レベルは、好適なデータ記憶媒体(例えば、データベース)に保存され得、よって、これはまた、将来の診断のために使用可能である。これにより、効率的に分析が可能になる。というのも、好適な基準結果は、対応する基準試料が得られた被験体はうまく着床したことが確認された(将来)時点で、データベースにおいて識別することができるからである。本明細書では、「データベース」は、好適な記憶媒体上の収集されたデータ(例えば、分析物および/または基準レベル情報および/または患者情報)を含む。その上、データベースは、データベース管理システムをさらに含み得る。データベース管理システムは、好ましくは、ネットワーク形、階層的またはオブジェクト指向データベース管理システムである。より好ましくは、データベースは、分散(連邦型)システム、例えばクライアントサーバシステムとして実行されるであろう。より好ましくは、データベースは、探索アルゴリズムに、試験データセットをデータコレクションにより構成されるデータセットと比較させるように構成される。特定的には、そのようなアルゴリズムを使用することにより、データベースは、mtDNAレベルを示す同様または同一のデータセットについて探索され得る。よって、同一または同様のデータセットがデータコレクションにおいて識別することができる場合、試験データセットは着床の可能性と関連するであろう。その結果として、データコレクションから得られた情報は、基準胚試料から得られた試験データセット基づいて胚着床の可能性を予測するために使用することができる。
発明はさらに、アッセイ結果または診断またはその両方の、技術者、例えば医師または患者への連絡を提供する。ある一定の実施形態では、コンピュータが、アッセイ結果または診断またはその両方を利害関係者、例えば、医師および彼等の患者に連絡するために使用される。
本明細書で提供されるキットはまた、標準PCR試薬を含むことができる。PCR試薬は当業者に知られており、例えば、デオキシヌクレオチド(dNTP)、DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼまたはAmpliTaq(登録商標)DNAポリメラーゼなどの熱安定性DNAポリメラーゼ)、バッファー、例えばTris−EDTA(TE)バッファー、および/またはヌクレアーゼフリー水を含むことができる。
本明細書で提供されるキットはまた、陽性対照および/または陰性対照を含むことができる。場合によっては、陽性および/または陰性対照は増幅アッセイのための品質管理を提供することができる。例えば、陽性対照は、増幅される配列を有することがわかっているDNA試料(例えば、精製ベクター)とすることができ、プライマーおよび/またはプローブが適正に働くことを確認するために使用することができ;ならびに、陰性対照は、増幅のための全てのテンプレートを欠く試料とすることができる(例えば、ヌクレアーゼフリー水)。場合によっては、陽性および/または陰性対照は、公知の量的および/または質的情報を有するDNA配列を提供することができる。例えば、陽性対照は、着床することがわかっている胚から得られたDNA試料とすることができ;ならびに、陰性対照は着床しないことがわかっている胚から得られたDNA試料とすることができる。
本明細書で提供されるキット内の1つ以上の試薬は、パッケージングおよび輸送を容易にする形態で提供することができる。例えば、バッファーは濃縮形態(例えば、10×バッファー)で提供することができ、プライマーおよび/またはプローブは凍結乾燥形態で提供することができる、などである。
キットは、任意の適切なパッケージングを含むことができる。例えば、冷蔵を必要とする試薬はアイスパックと共にパッケージングされ得る。例えば、凍結を必要とする試薬はドライアイスと共にパッケージングされ得る。
キットは、取扱説明書を含むことができる。
発明は下記実施例においてさらに記載される。これらの実施例は、特許請求の範囲において記載される発明の範囲を制限しない。
下記実施例は379の胚におけるmtDNAの量の生物学的および臨床的関連性を調査する。胚をマイクロアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、定量的PCRおよび次世代シーケンシング(NGS)の組み合わせにより調査し、染色体状態についての情報、mtDNAの量、およびミトコンドリアゲノム中の突然変異の存在を提供した。
材料および方法
倫理声明
倫理的承認は、Western IRB(20060680および20131473)およびNHS健康研究機関(Health Research Authority)(NRES委員会南中央(Committee South Central))から得られた。2つの型の胚性試料を評価した:卵割期胚由来の卵割球(卵母細胞の受精後3日)および胚盤胞由来のTE細胞(受精後5−6日)。この研究に含まれる胚は全て、着床前遺伝的スクリーニング(PGS)または着床前遺伝的診断(PGD)のいずれかとの関連でそれらの染色体を分析するために、それらを生成したカップルの要求で生検を受けた。このために我々の研究室において使用される標準プロセスは、全ゲノム増幅(WGA)続いてaCGHを含んだ。この論文で記載される調査は、PGDまたはPGSが完了した後、残った、過剰増幅DNAの分析のみを含んだ。胚はいずれの追加の介入にも供されず、患者の臨床治療は、この研究の結果として変化されなかった。廃棄される増幅DNAの分析についての患者の説明と同意は認可されたプロトコル下で得られた(以上を参照されたい)。
患者および試料
過剰なWGA試料は、合計340の胚盤胞からのTE生検由来とした(典型的には、5−10の細胞から構成される)。胚盤胞は38歳の平均女性年齢(26−42歳の範囲)の161のカップルから生成させた。単一の卵割球由来の過剰WGA産物は合計39の卵割期胚から得られた。これらの胚は32のカップルにより生成された。この患者群の平均女性年齢は37.4歳(年齢範囲29−42歳)であった。USAおよびUKに位置するIVFクリニックがこの調査に参加した。
胚サンプリングおよび細胞遺伝学的分析調製
染色体分析のための胚顕微操作、生検、および生検材料の調製は以前に記載される通りとした(Fragouli et al., 2013 Hum Genet 132:1001−1013; Fragouli et al., 2011 Hum Reprod 26 :480−490)。全ての試料をマイクロアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)のための単一の、非常に有効なプラットフォームを使用して分析した(Fragouli et al., 2011 Hum Reprod 26:480−490; Wells et al., 2014 JMed Genet 51:553−562; Magli et al., 2011 Hum Reprod 26:3181−3185; Gutierrez−Mateo et al., 2011 Fertil Steril 95:953−958; Christopikou et al., 2013 Hum Reprod 28: 1426−1434; Mertzanidou et al., 2013 Hum Reprod 28: 1716−1724)。
マイクロアレイCGH
染色体分析を24Sure Cytochip V3マイクロアレイを用いて実施した(Illumina Ltd.、Cambridge、UK)。使用したプロトコルは、Fragouli et al. (2013 Hum Genet 132:1001−1013)に記載される通りとした。手短に述べると、手順は細胞溶解およびWGAを含んだ(SurePlex, Rubicon Genomics, Ann Arbor, USA)。これに続いて、増幅DNA試料、および2つの「基準」DNA(46,XY 46,XX)の蛍光標識、およびマイクロアレイへのハイブリダイゼーションとした。マイクロアレイを洗浄し、走査し(InnoScan 710, Innopsys, Carbonne, フランス)、得られた画像を、Blue−Fuseソフトウェアを用いて分析した(Illumina, Cambridge, UK)。このアプローチを用いて、卵割球またはTE試料の染色体構成を決定することが可能であり、対応する胚の正常または異数体としての分類が可能になった。
mtDNAコピー数の相対定量化
mtDNAコピー数定量化は最初、胚性試料の蛍光リアルタイムPCR評価により実施された。これらは前に、上記で記載される細胞遺伝学的分析の一部としてWGAを受けていた(SurePlex、Rubicon、USA)。特注設計のTaqManアッセイ(AATTTAACTGTTAGTCCAAAGAG(配列番号:4);Life Technologies、UK)を使用して、特定のmtDNA断片(ミトコンドリア16sリボソームRNA配列)を標的にし、増幅させた(Fregel et al., 2011 Forensic Science International: Genetics Supplement Series 3 :e303−e304)。インプットDNAの規準化はマルチコピーAlu配列を標的とする追加のTaqManアッセイを使用して実施した(YB8−ALU−S68)(AGCTACTCGGGAGGCTGAGGCAGGA(配列番号:7);Life Technologies、UK)。核DNA配列に対する規準化の目的は、技術的な問題(例えば、WGAの効率または生検標本内の細胞の数の差)に関するmtDNAレベルのいずれの変動も調整することができること確保することであった。マルチコピー配列(すなわちAlu)はこのために選択した。というのも、シングルセルレベルでは、単一コピー配列では、アレルドロップアウト(ADO)などの因子のために偽の結果が得られる可能性があるからである。各リアルタイムPCR実験は、全ての試料がこれと比較される基準DNAの分析を含んだ。基準DNAは核型的に正常な男性(46,XY)卵割球またはTE試料由来とし、SurePlex方法を介して増幅させ(Rubicon、USA)、この研究の過程を通して一定に維持した。陰性対照(ヌクレアーゼフリーH2OおよびPCRマスターミックス)もまた、両方のセットの増幅のために含有された。mtDNAおよびAlu配列の両方について三連増幅反応を設定した。各反応は1μlの全ゲノム増幅(SurePlex)胚性DNA、8μlのヌクレアーゼフリーH2O、10μlのTaq−Man UniversalマスターミックスII(2X)/UNGなし(Life Technologies、UK)および1μlの20×Taq−Man mtDNAまたはAluアッセイ(Life Technologies、UK)を含み、総体積は20μ1であった。使用したサーマルサイクラーはStepOneリアルタイムPCRシステム(Life Technologies、UK)であり、下記条件を使用した:50℃で2分間のインキュベーション、95℃で10分間のインキュベーション、その後、95℃で15秒間および60℃1分間の30サイクル。
次世代シーケンシングによるミトコンドリアゲノム分析
様々なレベルのmtDNA(以前、リアルタイムPCRにより確立)を有する、正倍数体TE試料由来の23のWGA産物の群は、MiSeqおよびHiSeq(Illumina、USA)を使用する、超並列DNAシークエンシングを受けた。プロトコルは製造者により示唆された(Illumina、USA)。ライブラリ調製は、Zymo DNA Clean & Concentrator(Zymo Research Corporation, Irvine, CA, USA)を使用したSurePlex増幅産物の初期精製、続いてQubit dsDNA HSアッセイキット(Life Technologies、USA)によるDNA濃度の定量化を含んだ。1ナノグラムのDNAをその後、デュアルインデックスシーケンシングライブラリに、製造者のプロトコル(Illumina、USA)に従い、Nextera XT DNA 試料調製およびIndexキットを使用して変換した。
ライブラリは、2×150サイクルでデュアルインデクシングを用いてIllumina MiSeq上でMiSeq試薬キットv3を用いて、または2×100サイクルでデュアルインデクシングを用いてIllumina HiSeq2000上で、それぞれ、フローセルクラスタリングおよびシーケンシングのために、TruSeq PEクラスターキットv3−cBot−HSおよびTruSeq SBSキットv3−HSを用いて、配列決定された(Illumina、USA)。
読み取りデータをヒトゲノムhg19に対して、bwa(Li et al., 2009 Bioinformatics 25: 1754−1760)またはiSAAC (Raczy et al., 2013 Bioinformatics 29:2041−2043)を用いて、それぞれ、MiSeqおよびHiSeqシーケンシング実行のためにアライメントさせた。アラインメント後、マップされていない読み取りデータ、重複読み取りデータ、マッピングスコアが低い読み取りデータおよび基準ゲノムとの1を超えるミスマッチを有する読み取りデータをBEDtools(Quinlan et al., 2010 Bioinformatics 26:841−842)およびSAMtools(Li et al., 2009 Bioinformatics 25:2078−2079)を用いて除去した。基準ゲノムを非オーバーラップビンに分け、よって、各ビンは、ゲノムにわたって100の一意的にマッピングされる36マーを含み(Baslan et al., 2012 Nat Protoc 7: 1024−1041)、各ビンにマッピングされた読み取りデータをカウントした。バイアスを除去するために、ビンリードカウントをGC含量およびインシリコ基準データセットに基づいて規準化した。コピー数/ビンを式に従い、計算した:
ここで、メジアン常染色体性リードカウントはコピー数2に対応することが予測される。13−ビンスライディングメジアンを使用して、各染色体についてビン様コピー数値を平滑化した。各染色体についてのコピー数状態を染色体にわたる平滑化コピー数値のメジアンから誘導した。
アラインメント後、ゲノムCoverageBedファイルをBEDToolsを用いて作製し、および核ゲノムに関してミトコンドリアゲノムにアラインメントさせた配列決定済み総塩基の割合を計算した。SAMtoolsを使用して、ミトコンドリア読み取りデータをBAMファイルから抽出し、オンラインツールMitoBamAnnotatorを用いて分析した(Zhidkov et al., 2011 Mitochondrion 11:924−928)。
NGSによるmtDNA定量化
追加の38のTE試料は染色体構成評価およびmtDNA定量化を実施するために、NGS分析を受けた。PGMの適用を含む(Life Technologies、UK)、異なる型のNGS技術をこれらの38のTE試料の分析のために使用した。このために、多置換増幅(MDA)の使用を含む異なる初期WGAアプローチを採用した。簡単に言うと、38全てのTE試料を、2.5μ1のアルカリ性溶解バッファー(0.75μlのPCRグレード水[Promega、USA];1.25μlのDTT[0.lM][Sigma、UK];0.5μlのNaOH[1.0M][Sigma、UK])を添加し、その後、これらを10分間65℃でサーマルサイクラーにてインキュベートすることにより溶解させた。MDA全ゲノム増幅を、製造者により示唆されるように、Repli−g Midi反応キット(Qiagen、UK)の使用により、実施した。全ての試料を、サーマルサイクラーにおいて30℃で120分間、65℃でさらに5分間インキュベートした。使用したNGS手順は、例えば、Wells et al. (2014 JMed Genet 51:553−562)において記載される。
統計解析
基準および試験試料の両方についての、Alu配列に関してのmtDNAの相対量を、式2−デルタデルタCtにより決定した。基準および試験試料についてのデルタCtはデータ規準化プロセスの最終結果であった。これは、基準および試験座位についてのデルタCtの計算(Ct−mtDNA−Ct−Alu)、および基準DNA試料に関しての試験試料値の調整(デルタCt+規準化因子)を含んだ(Schmittgen et al., 2008 Nat Protoc 3:1101−1108)。最終mtDNA値の統計解析は独立両側t検定を使用した。この研究中に比較したパラメータは女性の年齢(より若い対より年老いた)、胚染色体状態(正常対異数体)、および胚生存率/着床の可能性(進行中の妊娠対着床失敗)を含んだ。
NGSを使用したmtDNAの相対定量化は、読み取りデータの総数の割合としての、ミトコンドリアゲノムに起因するDNA配列読み取りデータの数の決定を含んだ。配列決定されたDNA断片の大半は核ゲノム由来であり、生検標本中の細胞の数に対する対照を提供する。
実施例1:胚性試料の細胞遺伝学的分析
合計39の卵割期胚および340の胚盤胞(細胞遺伝学的に試験されている)を、この調査の過程中に研究した。卵割期胚の全てを、マイクロアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)分析後に染色体的に正常であると特徴付け、子宮に移植した。調査した胚盤胞のうち、302を、aCGHを用いて、38を次世代シーケンシング(NGS)法を用いて分析した。これらのうち、123を、異数体であると決定し(99はaCGH分析により、24はNGS分析による)、一方、残りの217を染色体的に正常であると特徴付けた(203はaCGH分析により、14はNGS分析による)。131の正常胚盤胞および39の正倍数体卵割期胚は全て、子宮移植を受けた。染色体的に正常または異数体としての胚分類は、単一卵割球(卵割期)、または5−10のTE細胞(胚盤胞)のいずれかのaCGHまたはNGS分析後に得られた結果に基づいた。
実施例2:mtDNA量に対する女性の年齢の効果
mtDNAの相対量を、女性の年齢に関して評価した。特定的には、生殖的に若い群の女性(平均年齢34.8歳、範囲26−37歳)により生成された148の胚盤胞および生殖的に年老いた群(平均年齢39.8歳、範囲38−42歳)により生成された154の胚盤胞の初期比較を、リアルタイムPCRの使用により実施した。データ分析により、生殖的に年老いた女性由来の胚盤胞におけるmtDNAの量の統計的に有意な増加(P=0.003)が明らかに示された。この現象は全ての胚盤胞を一緒に考慮した場合に明らかとなったが、染色体的に正常な、および異常な胚を別々に考慮した場合にも明らかであった(それぞれ、P=0.018およびP=0.05)。調査中の女性の年齢群についての染色体的に正常および異常な胚盤胞中のmtDNAの相対量は、表1にまとめて示され、図2aに図示される。
女性の年齢によるmtDNAのレベルの有意な差(P=0.01)はまた、卵割期でも観察された。しかしながら、胚盤胞期とは異なり、生殖的に若い女性(平均年齢33.7歳、範囲29−37歳)から生成された胚から取り出された卵割球は、生殖的に年老いた女性(平均年齢39.2歳、範囲38−42歳)により生成された胚から取り出されたものと比較して、より高いmtDNA量を含むことが示された。これらの結果は、図2bおよび表2に示される。
実施例3:胚染色体構成とmtDNA量の間の関係
染色体異常は胚発生の最初期段階中極めて一般的であり、着床後その率が減少する(Fragouli et al., 2013 Hum Genet 132:1001−1013)。染色体状態に関するmtDNA量のリアルタイムPCR評価を、合計203の正常、および99の異数体胚盤胞期胚について実施した。これらの胚全て由来のTE試料をaCGHを使用して評価した。染色体的に異常な胚盤胞は、正倍数体であると特徴付けられたものと比較して著しく大量のmtDNAを含む傾向があることが明らかになった(P=0.025)(図2c)。
関連しない方法を使用してこれらの結果を確認するために、発明者らは異なる型の全ゲノム増幅(WGA)方法、続いてNGSを38の追加の胚盤胞由来のTE生検に適用した。NGS技術の利点は、核およびミトコンドリアゲノムを同時に調査するその能力である。NGS分析は、胚盤胞のうちの14は正倍数体であり、一方、染色体異常が残りの24についてスコアリングされたことを証明した。この所見は、各WGA産物の別個のアリコートを使用して実施されたaCGHにより確認された。リアルタイムPCR結果のように、NGSデータの統計解析は、染色体的に正常であるものと比べて、異数体胚盤胞において、mtDNAの量の著しい増加を示した(P=0.006)。これにより、リアルタイムPCR所見の独自の確認が提供された。NGS mtDNAデータが図3に示される。
mtDNA量は女性の加齢と共に増加するが、異数性との関係は独立因子であると考えられることに注意すべきである。任意の所定の年齢群では、染色体的に異常である胚盤胞では、mtDNAレベルが、平均して、より高くなった(表1)。
実施例4:mtDNAコピー数および臨床的妊娠を確立する胚盤胞の能力
mtDNA含量が着床し、妊娠を開始する胚の能力へ影響したかどうかを評価するために、発明者らは、着床ありまたはなしの単一胚移植(SET)、または二卵性双生児または着床なしのいずれかが得られる二胚移植(DET)から得られたデータを遡及的に分析した。特定的には、発明者らは89の胚盤胞のmtDNA含量を調査し、そのうちの81をSETで移植し、残りの8をDETで移植した。85人の患者が、研究のこの部分に含まれ、平均女性年齢は38.3歳であった。これらの患者に移植された胚盤胞のうち、42は進行中の臨床的妊娠を確立し、一方、残りの47は着床に失敗した。
リアルタイムPCR分析により、着床できる胚盤胞は臨床的妊娠を開始することができないものと比べて、著しく低い量のmtDNAを含んだことが明確に示された(P=0.007)。これらの結果は、図4にまとめて示される。
着床および非着床胚盤胞から得られたリアルタイムPCRデータの分析により、これを超えると、着床が起こるのが決して見られないmtDNA量閾値の確立が可能になった。特定的には、臨床的妊娠にいたった42/42(100%)胚盤胞は0.003より低い相対mtDNA量を含んだ。加えて、0.003より高いmtDNA量を有する14/14(100%)の胚は着床できなかった。これらは30%(47のうちの14)の非着床胚盤胞を表し、一方、残りの70%(47のうちの33)は閾値より低いmtDNAの量を含んだ(図5A)。0.003の同定したmtDNA量着床閾値は胚盤胞形態、年齢および胚を作製したIVFクリニックに依存しなかったことは注目すべきである。
上昇したmtDNAレベルと着床失敗の間の関係をさらに評価するために、我々は23のTE試料を、NGSを使用して分析した。全ての胚が正倍数体であり、以前に、リアルタイムPCRにより分析されていた。移植後の臨床結果は、対応する胚盤胞のうちの21についてはわかっていた。これらのうちの7は妊娠に至り、一方、残りの14は、着床に失敗した。着床しなかった14の胚のうち、リアルタイムPCRで、9が0.003より高いmtDNA量を含んでいたことを明らかにした。NGS分析によりリアルタイムPCRの所見を確認し、生存可能であることが示されたものと比べて、非着床胚の増加したmtDNAの量が明確に示された。上昇したmtDNA量は、臨床結果がわかっていないTE試料の追加の3つでも観察された。これらの結果は、図5Cおよび表3に示される。
実施例5:mtDNA定量化に基づくIVF結果の盲検プロスペクティブ予測
レトロスペクティブデータ分析に基づく、胚盤胞におけるmtDNAレベルについての生存率閾値の確立後に、発明者らは、その適中度(predictive value)を評価するために、盲検プロスペクティブ研究を実施した。mtDNAの定量化を、染色体(aCGH)および形態学的分析後の子宮への移植のために選択された、合計42の正倍数体胚盤胞由来のTE生検において実施した。これらの胚を生成させた女性の平均年齢は36.7歳(年齢範囲26−42歳)であり、カップルを6つの異なるIVFクリニックにおいて処置した。15の胚が0.003閾値を超えるmtDNAレベルを有することを示し、よって、生存可能な妊娠の確立の失敗と関連すると予測された(図5B)。数週間後の生化学および超音波データの再考察により、これらの胚移植はいずれも生存可能な妊娠とはならなかったことが確認された。よって、mtDNA分析の陰性適中度は100%であった。残りの27の胚は0.003より低いmtDNA量を有し、よって、子供を生成させるいくらかの可能性を有することが予測された。盲検結果の解読後、これらの胚のうち16が最終的に、生存可能な臨床的妊娠を確立させたことが見出された。よって、mtDNA分析により潜在的に生存可能と分類された胚の59%が、進行中の臨床的妊娠を生成させた。これは、mtDNA結果に関係なく移植された、胚のこのコホートについて達成された38%(16/42)の妊娠率と対照的である。これらの結果により、高いmtDNA量を有する胚は、臨床的妊娠を形成することができないという我々の前の所見がさらに確認された。その上、mtDNA定量化が、正倍数体胚の中からの選択を補助する有効なバイオマーカーとして使用され得ることが証明された。
実施例6:非着床胚におけるmtDNAのレベルの上昇の起源
非着床胚盤胞において見られる過剰なmtDNAの起源が胚性であるのか、または卵母細胞に由来するのかを明らかにしようとして、発明者らは、39の卵割期胚から取り出した卵割球中のmtDNA量を調査した。ミトコンドリアDNA複製は、胚盤胞期まで起こらないと考え、そのため、初期の発生段階で検出されるmtDNAのレベルは、卵母細胞中のそれを反映すると予想される。研究のこの部分で検討される卵割期胚は全て、卵割球aCGH分析後正倍数体として特徴付けられており、子宮に移植された。臨床結果に関する限り、17の胚は着床することができ、臨床的妊娠に至ったが、一方、残りの22は着床しなかった。
TE試料と比べて、卵割球はずっと高いレベルのmtDNAを含んだことが明らかになった。これは、TE生検と比べて卵割球のずっと大きな細胞質体積を考慮すれば、予想外の所見ではなかった。
この分析中に得られたデータの評価により、着床に失敗した胚由来のものと比較した、着床した胚由来の卵割球中のmtDNAの量では、有意の差はなかったことが示された(P=0.7)。よって、生育不能な胚盤胞のサブセット由来の細胞中で見られたmtDNA含量の増加は卵割期後に生じるに違いないと結論付けた。この結論は、ミトコンドリアゲノム複製の第1の重要な波は、胚細胞のTEおよび内部細胞塊への分化が開始された後に始まるという考えに対応する。
実施例7:ミトコンドリアゲノム分析
mtDNAレベルの変化についての1つの可能性のある理由は、鍵遺伝子に突然変異を有する欠陥小器官の存在に対する代償応答としてのミトコンドリアの増殖とすることができる。この可能性を探索するために、NGSを使用して、23のTE試料の全ミトコンドリアゲノムを配列決定した。試料を染色体的に正常な胚盤胞由来として、そのうちの9が上昇した量のmtDNAを有し(リアルタイムPCRを使用して最初に決定された)、14は、正常範囲のmtDNAレベルを有した(表3)。ミトコンドリアゲノムを約150の読み取りデータの平均深さまで配列決定し、突然変異検出およびヘテロプラスミー度の推定が可能になった。突然変異は、通常ヘテロプラズミック形態にあり、全ての試料である程度見られたが、より低い量のmtDNAを有する胚と同じく、高いmtDNAレベルを有する胚盤胞で蔓延していなかった。
考察
女性生殖年齢と関連させて、ヒトミトコンドリアおよびmtDNAを調査する前の研究は、胚ではなく卵母細胞の分析に焦点を当ててきた。公開された結果は完全には一致していなかったが、ほとんどが、mtDNAレベルは、加齢と共に、不変のままであるかたまたは減少することを報告している[16、21−22]。年齢と共に卵母細胞ミトコンドリアの数が低減することもまた、より年老いたマウスにおいて報告されている[23]。他の調査により、卵母細胞mtDNAコピー数の減衰は、卵巣病理と関連し得ることが示された[1、24]。現研究中、mtDNA量の著しい(P=0.01)減衰が、より若い患者由来のものと比べて、生殖的に年老いた女性により生成された卵割期胚由来の細胞において観察された。mtDNA複製の主な波が胚盤胞形成後に開始することを考慮すると[3、8]、初期の着床前段階でのこれらの観察結果は、対応する卵母細胞中に存在したmtDNAの量を表す可能性がある。よって、我々のデータは、卵母細胞mtDNAレベルは女性の加齢と共に減少するという見解を支持する。
興味深いことに、卵割期後ちょうど2日のヒト胚盤胞由来の標本の分析により、反対方向の傾向が明らかになり、mtDNAレベルは女性の加齢と共に著しく増加した。この関係は正倍数体および異数体胚盤胞の両方について明らかであった。観察されたmtDNAの量の上昇はミトコンドリアの数の増加を示す可能性があるが、2つの因子の間の関係は、単一小器官は、ミトコンドリアゲノムの1を超えるコピーを含み得るという事実により複雑になる。
生存胚を生成する卵母細胞の可能性は、母親の年齢と逆相関することがよく確立されている。これはより年老いた患者についての彼女ら自身の卵母細胞を使用したIVF治療の成功率が、より若い女性により提供された配偶子を用いる患者と比べて著しく異なることにより明確に証明されている。現研究中の胚盤胞期で見られる、年齢に伴うmtDNAの増加は、ミトコンドリアが年齢に伴う女性妊娠促進の減衰において直接的な役割を果たすかどうかという質問を引き起こす。
上昇したmtDNAレベルは、機能が低減した不全小器官の数の増大に直面したATP産生の規準化を目的とする代償メカニズムの結果であると考えられる。実際、動物モデルから得られたデータは、「より年老いた」ミトコンドリアの完全性の減衰およびその結果としてのATP産生の効率の低下を示唆する[24、25]。より年老いたハムスターおよびマウスの卵母細胞中のミトコンドリアは、より高いレベルの活性酸素種(ROS)を発生させ、より少ないATPを産生することが示されており、よって、着床前発生などの動的プロセスを十分に支持する能力が低減している可能性がある[26]。同様の状況がヒトにおいて存在する場合、十分なATPレベルを維持するために、ミトコンドリア数の増加が、年老いた女性の胚では必要となる可能性がある。
年齢に伴うATP合成能力の減衰は、ミトコンドリアゲノムにおける突然変異の蓄積に関連する可能性がある。突然変異に応じたヒト着床前胚のmtDNA含量の増加は前に実証されている[27]。呼吸鎖により生成されるROSにごく接近するmtDNAの位置は、ヒストンの欠如および劣性のDNA修復メカニズムと相まって、突然変異に特に脆弱なミトコンドリアゲノムを残す[8、24]。理論的には、卵母細胞が受精前卵巣に長く留まるほど、mtDNA突然変異が起こる機会が多くなる。いくつかの研究により、精子への曝露後に受精に失敗した卵母細胞および発生停止を受けた胚におけるミトコンドリア遺伝子発現の低減が示されている。様々な組織における加齢と関連する、一般的なミトコンドリア4977bp欠失の発生率の増加もまた、ヒト卵母細胞において注目されてきた[24、28、29]。しかしながら、今回の研究では、NGSを使用する全ミトコンドリアゲノムのシーケンシングは、高いmtDNAレベルを有する胚において、突然変異荷重の明らかな増加を検出することはできなかった。この所見は、ミトコンドリア突然変異が、年老いた女性由来の胚において小器官の複製を駆動している可能性と相反する。
高いmtDNAレベルは実際には、損なわれたミトコンドリアを示す可能性があるが、根底にある欠陥は、DNA配列の変化に関連しない。あるいは、上昇したmtDNAの量は、最適以下の機能の小器官と比べ、増加した胚の代謝要求と関連する可能性がある。より年老いた卵母細胞により生成された胚は何らかの形態のストレス下にあり、よって、より大きなエネルギー要求を有する可能性がある。これらの質問に対処するために、機能実験が必要とされる。根底にある基礎が何であろうと、現研究は、女性生殖年齢は胚盤胞期でのmtDNA含量の変化と関連することを明白に証明した。
異数性は、全てのヒト着床前胚の過半数に影響を与え、初期胎児死亡の最も重要な原因であると考えられる[18]。染色体異常の大半は卵形成(減数分裂、女性起源)中に起こるエラー由来であるが、染色体誤分離もまた、受精後の最初の数回の胚細胞分裂(有糸分裂)中に一般的である。それらの頻度および臨床的重要性にも関わらず、高レベルの減数分裂および有糸分裂エラーについての理由は依然として完全には理解されていない。
mtDNA定量化を受けるのと同様に、この研究中に分析される全ての胚は前に、ルーチンPGDまたはPGSの一部として、有効な包括的染色体スクリーニング法を用いて、異数性について試験された[30、31]。生成された細胞遺伝学的(aCGH)およびミトコンドリア(リアルタイムPCR)データの比較により、平均して、異数体胚盤胞由来の生検標本は、正倍数体である胚由来の試料よりも著しく大きな量のmtDNAを含んだ(P=0.025)ことが証明された。これらの所見を、胚の独立した群を評価する別の方法(NGS)を用いて確認した。重要なことには、染色体的に異常な胚において見られるmtDNAコピー数の上昇は女性の年齢との関連に対して付加的であり、そのため、異数体胚盤胞は同じ年齢の女性由来の染色体的に正常な胚と比べて、より高いレベルのmtDNAを有する傾向があった。
mtDNA/ミトコンドリアの量または機能性の変動は、染色体分離の正確さに直接影響する可能性があることは妥当である。ATPおよびピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体を含むミトコンドリア代謝因子は正確な卵母細胞紡錘体形成および染色体アラインメントにとって必須である[32−34]。さらに、糖尿病マウス由来の卵母細胞の検査により、損傷したミトコンドリアは異数性と関連することが証明された。ミトコンドリアは細胞分裂中に紡錘体および微小管形成中心に再分配され[35]、おそらく紡錘体形成および染色体移動のエネルギー要求が確実に満たされることが知られている。卵母細胞内のミトコンドリア分布と減数分裂紡錘体上での染色体整列との間の関係は提案されている[36]。さらに、受精後の有糸分裂中に起こるエラーの結果である、高レベルの染色体モザイク現象を有する胚は、低膜電位を有するミトコンドリアを頻繁に含むことが示されている[37]。
mtDNAの量の増加を有する胚における異数性が、小器官に影響する、ATP産生または他の主要な機能を妨害する欠陥の直接の結果であるかどうか、あるいは、変化したミトコンドリア数および異数性が、現在のところ規定されておらず、胚または卵母細胞に影響する別の問題の独立した、下流の結果であるかどうかは、この時点では不明確である。年齢と関連するmtDNAの量の増加および異数性は胚盤胞においてのみ見られるが、増大の引き金は受精前の卵母細胞中にすでに存在し得ることに注目することが重要である。胚盤胞で観察される異数体のほとんどが、女性減数分裂中に起こるエラーの結果であり[30、38]、卵母細胞において減数分裂異数性を起こしやすくする因子はまた、その後の胚期中のmtDNA複製に影響することが示唆される。
mtDNAおよび胚盤胞着床の可能性
生殖補助治療の効率を改善するために、生存胚の識別のための優れた方法が緊急に必要とされる。子宮への移植前の染色体異常についての胚のスクリーニングにより、胚性不全(すなわち異数性)の主因が回避される。しかしながら、加えて、生検細胞の分析後に染色体的に正常と考えられる形態学的に「完全な」胚の移植であっても、成功した妊娠の開始を保証することはできない(そのような胚の約3分の2のみが実際に子を産み出す)。追加の要素が胚生存率において役割を果たすことが明らかである。重要な因子はおそらくミトコンドリア数/容量ならびにATP量および/または代謝活性に対する付随効果を含む[17]。この調査の一部として、mtDNAのレベルを遡及的に、PGDまたはPGS後に子宮に移植し、臨床結果がわかっている、正倍数卵割および胚盤胞期胚において評価した。
生検細胞において観察されるmtDNAのレベルは、移植後に着床に失敗したものと比べて、臨床的妊娠を確立することができる胚盤胞において、平均して低かった(P=0.007)。この関係は最初、定量的PCRを用いて識別されたが、その後、NGSを用いて確認された。mtDNA量と妊娠をもたらす能力との間の関係は発生の胚盤胞期で取られた胚試料においてのみ明確に観察された。胚生存率の損失と関連するmtDNA含量の増加は、年齢または異数性と関連するものよりも劇的であった。
mtDNA含量データの分析により、これを超えると、染色体的に正常な胚盤胞の着床が決して観察されない閾値の確立が可能になった。このカットオフは、胚形態または患者が治療を受けているクリニックなどの他の考慮事項に関係なく、有効なままであった。生育不能な胚盤胞のおよそ3分の1が閾値を超えるmtDNAレベルを有し、この因子は、有病率および臨床的重要性の観点から、異数性に次いで第2位の致死的に損なわれた胚の指標を表すことが示唆された。mtDNA測定の予知力を確認するために、独立した一連の胚盤胞を、プロスペクティブな様式で、盲検的に評価した。再度、閾値を超えるmtDNAレベルを有する正倍数体胚盤胞は全て着床に失敗した(100%)。正常範囲のmtDNAの量を有するものは59%着床率を表し、これは、全体としての群に対する38%と対照的である。
卵割期胚についての、mtDNAレベルと着床の可能性の間の明確な関係を検出することができないことにより、生育不能な胚盤胞のサブセットにおいて見られる上昇したmtDNAの量は、受精後第3日後に起こる増大の結果であることが示唆される。mtDNA複製因子の発現の上方制御は胚盤胞期で起こることが知られており、これは、一般に、mtDNA合成の第1の著しい波と一致すると考えられる[3]。これはまた、mtDNAレベルの過剰増加がいくつかの生育不能な胚で起こる時である可能性がある。
胚盤胞期での異常に高いレベルのmtDNAは、エネルギー要求の上昇となる何らかの形態のストレスの症状を示し得る。この可能性はLeeseにより提案された「静かな胚仮説」と一致し、これにより、生存胚は比較的低いまたは「静かな」代謝を有し、一方、ストレス下の、低減した発生の可能性のものは、より代謝的に活性である傾向があることが示唆される[39]。
高いmtDNA量を有する胚盤胞は、生存可能な妊娠をもたらすことができず、その大部分は38歳以上の女性により作製されたことは注目すべきである。この観察結果は、女性の加齢との関連でmtDNAの増加が観察されたことを考慮すると、驚くに値しない。女性の年齢と胚生存率の減少の間の関係は確立されており、主として、異数性のためであることが知られている[40]。しかしながら、我々の所見により、ミトコンドリアは重要な付加的因子を表すことが示唆される。
要約
これらの結果により、mtDNA量とヒト胚の子宮に着床する能力の間の明らかな関連が証明される。特定的には、上記で提供される結果により、mtDNAの量は、より年老いた女性由来の胚において著しく高かったことが示される(P=0.003)。加えて、mtDNAレベルは、年齢に関係なく、異数体胚において上昇した(P=0.025)。正倍数体胚の子宮への移植後の臨床結果の評価により、うまく着床した胚盤胞は、着床に失敗したものより低いmtDNA量を含む傾向があることが明らかになった(P=0.007)。重要なことには、これを超えると着床が決して観察されない、mtDNA量閾値が確立された。その後、この閾値の適中度が、独立した盲検プロスペクティブ研究において確認され、異常なmtDNAレベルが、非着床正倍数体胚の30%において存在するが、生存可能な妊娠を形成させる胚では見られないことが示される。NGSは、上昇したmtDNAレベルを有する胚盤胞において、突然変異の増加を明らかにしなかった。この研究の結果により、mtDNAの増加は代謝の上昇と関連する可能性があり、低減した生存率と関連することが示唆される。重要なことには、所見により、女性生殖年齢におけるミトコンドリアの潜在的な役割および異数性の起源が示唆される。臨床的意義として、我々はmtDNA含量は、生存可能な妊娠をもたらすことができない染色体的に正常な胚盤胞を明らかにする、体外受精(IVF)治療のための潜在価値を有する新規バイオマーカーを表すことを提案する。
これらの結果により、これを超えると着床失敗が100%となったmtDNA閾値が確立される。得られたデータにより、mtDNAの上昇と関連する胚欠陥が、正倍数体と診断された胚盤胞に影響する着床失敗の3分の1までを説明することが示唆される。規定されるmtDNA閾値は、異なる不妊治療クリニックにより使用されるプロセスの変動により変化しないと考えられ、胚中のmtDNAの評価は、簡単で、安価で広く適用可能な臨床試験の基礎を形成することができることが示される。
mtDNA含量、女性の年齢および胚染色体状態の間の関係もまた証明された。mtDNA含量が胚生存率に対して直接影響を有する可能性および異数性との因果関係の可能性、および生殖老化に関連する他の因子は、さらなる調査を正当化する。
実施例8:リアルタイムPCRによるミトコンドリアDNAの定量化
基準DNA調製
基準DNAは、単一Sureplex産物(栄養外胚葉試料由来の増幅DNA)から選択され、または10−20μlの様々な異なるSureplex産物を混合することにより調製することができる。15μlの基準DNAの10−12アリコートを調製し、それらを−80℃フリーザー内で保存することが得策である。これらのアリコートのうちの1つがリアルタイムPCRプレートの各々について使用され得る。
プライマー配列:
mtDNAアッセイ
MTDNA_16S_F GGTGATAGCTGGTTGTCCAAGAT (配列番号:2)
MTDNA_16S_R CCTACTATGGGTGTTAAATTTTTTACTCTCTC (配列番号:3) MTDNA_16S_M AATTTAACTGTTAGTCCAAAGAG (配列番号:4)
FAM−MGBNFQ 培地
ALUアッセイ
YB8−ALU−S68 F GTCAGGAGATCGAGACCATCCT (配列番号5)
YB8−ALU−S68 R AGTGGCGCAATCTCGGC (配列番号:6)
YB8−ALU−S68 M AGCTACTCGGGAGGCTGAGGCAGGA (配列番号:7)
FAM−MGBNFQ 培地
mtMajArc
mtMajArc_F CTGTTCCCCAACCTTTTCCT (配列番号:8)
mtMajArc_R CCATGATTGTGAGGGGTAGG (配列番号:9)
mtMajArc_M GACCCCCTAACAACCCCC (配列番号:10)
NED−NFQ 培地
リアルタイムPCRのための試料調製
各96−ウェルプレートについて、陽性(基準DNA)および陰性(ヌクレアーゼフリー水)対照を、栄養外胚葉(TE)試料と共に分析する。全ての反応は三連で実施する。水および試料のマスターミックス、基準または陰性対照を下記のように調製する。
リアルタイムPCRは3つのTaqManアッセイの分析を含むので、上記マスターミックスは、試料の各々および3つのTaqManアッセイの各々について別々に調製される。
これらのアリコートは調製されるとすぐに、それらはボルテックスされ、遠心分離され、4℃で、使用されることになるまで保存される。
アリコートはメインラボにてPCRエンクロージャにおいて調製されるべきである。理想的には、アリコートの調製、リアルタイムPCRおよびプレート上での試料ローディングの全てについて同じピペットが使用されるべきである。
リアルタイムPCRプロトコル
3つのTaqManアッセイが評価される:ミトコンドリア(2つのTaqManアッセイ:mtDNAおよびMajArc)、およびALU(1つのTaqManアッセイ)。これらのためのマスターミックスが調製され、シングルセルルームにおいてプレートにアリコートされる。
マスターミックス1:ALU
チューブの数:34(これは96ウェルについてである)
11μlを96−ウェルプレートの最初の33のウェル中にアリコートする(A2−A11、B1−C9)
マスターミックス2:ミトコンドリア/mtDNA TaqManアッセイ
チューブの数:34(これは96ウェルについてである)
11μlを96−ウェルプレートの次の31のウェル中にアリコートする(C10−F4)
マスターミックス3:ミトコンドリア/MajArc
チューブの数:34(これは96ウェルについてである)
11μlを96−ウェルプレートの次の32のウェル中にアリコートする(F5−G12、H2−H12)
全てのマスターミックスがプレートのウェルに入れられるとすぐに、プレートをメインラボのフードに入れ、適切な量のDNA試料、すなわち9μlをアリコートする
ボルテックスおよびスピンさせる。
熱サイクル条件は下記の通りである:
結果の分析
第1のプレート
デルタCt(ΔC)を、基準DNAおよびTE試料について、ならびに両方のミトコンドリアTaqManアッセイについて計算した。Alu TaqManアッセイの平均Ct値をmtDNAおよびMajArcミトコンドリアTaqManアッセイの各々の平均Ct値から差し引いた。分析した試料の各々についてのmtDNA:
デルタCt(ΔCT)=mtDNA平均Ct−Alu平均Ct
デルタCt(ΔCT)=MajArc平均Ct−Alu平均Ct
相対ミトコンドリアDNA値を、基準DNAおよびTE試料の各々について、ならびに2つのミトコンドリアTaqManアッセイの各々について式2−デルタCt(2−ΔCT)により計算した。
mtDNAプライマーについての閾値は0.00005であり、MajArcについては0.000024であった。より高い値を有する試料はより低い着床の可能性を有した。試料を高いと呼ぶために、両方のTaqManアッセイについて得られた値は設定閾値を超えた。
全ての他のプレート
基準DNAおよびTE試料について、ならびに両方のミトコンドリアTaqManアッセイについてのデルタCt(ΔC)を計算した。Alu TaqManアッセイの平均Ct値を、mtDNAおよびMajArcミトコンドリアTaqManアッセイの各々の平均Ct値から差し引いた。
分析した試料の各々についてのmtDNAを下記の通り計算した:
デルタCt(ΔC)=mtDNA平均Ct−Alu平均Ct
分析した試料の各々についてのMajArcを下記の通り計算した:
デルタCt(ΔC)=MajArc平均Ct−Alu平均Ct
値をデルタデルタCt(ΔΔC)の計算により規準化し、プレートの残りにおける試料が第1のプレートにおけるものと同じように作用したことを確認した。
これをするために、規準化因子を現プレートにおいて得られた基準DNAデルタCt(ΔC)値を第1のプレートにおける基準DNAのデルタCt(ΔCT)値から差し引くことにより、計算した。得られた値を規準化因子とした。これを両方のミトコンドリアTaqManアッセイについて実施した。
デルタデルタCt(ΔΔC)を計算するために、規準化因子値を、分析したTE試料について得られたデルタCt(ΔC)値に付加した。これを両方のミトコンドリアTaqManアッセイについて実施した。
前のように、相対mtDNA値を式2−デルタデルタCt(2−ΔΔCT)により計算した。
他の実施形態
本開示をその詳細な説明とともに記載したが、前記説明は本開示の範囲を説明することを意図しており、これを制限することは意図しておらず、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲により規定されることが理解されるべきである。他の態様、利点、および改変は下記特許請求の範囲の範囲内である。
参考文献
1. May−Panloup P, Chretien MF, Jacques C, Vasseur C, Malthiery Y, et al. (2005) Low oocyte mitochondrial DNA content in ovarian insufficiency. Hum Reprod 20: 593−597.
2. Dumollard R, Carroll J, Duchen MR, Campbell K, Swann K (2009) Mitochondrial function and redox state in mammalian embryos. Semin Cell Dev Biol 20: 346−353.
3. St John JC, Facucho−Oliveira J, Jiang Y, Kelly R, Salah R (2010) Mitochondrial DNA transmission, replication and inheritance: a journey from the gamete through the embryo and into offspring and embryonic stem cells. Hum Reprod Update 16: 488−509.
4. Bentov Y, Casper RF (2013) The aging oocyte−can mitochondrial function be improved? Fertil Steril 99: 18−22.
5. Tilly JL, Sinclair DA (2013) Germline energetics, aging, and female infertility. Cell Metab 17: 838−850.
6. Anderson S, Bankier AT, Barrell BG, de Bruijn MH, Coulson AR, et al. (1981) Sequence and organization of the human mitochondrial genome. Nature 290: 457−465.
7. Palmer CS, Osellame LD, Stojanovski D, Ryan MT (2011) The regulation of mitochondrial morphology: intricate mechanisms and dynamic machinery. Cell Signal 23:1534−1545.
8. Eichenlaub−Ritter U, Wieczorek M, Luke S, Seidel T (2011) Age related changes in mitochondrial function and new approaches to study redox regulation in mammalian oocytes in response to age or maturation conditions. Mitochondrion 11: 783−796.
9. Chen X, Prosser R, Simonetti S, Sadlock J, Jagiello G, et al. (1995) Rearranged mitochondrial genomes are present in human oocytes. Am J Hum Genet 57: 239−247.
10. Motta PM, Nottola SA, Makabe S, Heyn R (2000). Mitochondrial morphology in human fetal and adult germ cells. Hum Reprod 15: 129−147.
11. Cummins JM (2000) Fertilization and elimination of the paternal mitochondrial genome. Hum. Reprod 15: 92−101.
12. Steuerwald N, Barritt JA, Adler R, Malter H, Schimmel T, et al. (2000) Quantification of mtDNA in single oocytes, polar bodies and subcellular components by real−time rapid cycle fluorescence monitored PCR. Zygote 8: 209−215.
13. Reynier P, May−Panloup P, Chretien MF, Morgan CJ, Jean M, et al. (2001) Mitochondrial DNA content affects the fertilizability of human oocytes. Mol Hum Reprod 7: 425−429.
14. Barritt JA, Kokot M, Cohen J, Steuerwald N, Brenner CA (2002) Quantification of human ooplasmic mitochondria. Reprod Biomed Online 4: 243−247.
15. Lin DP, Huang CC, Wu HM, Cheng TC, Chen CI, et al. (2004) Comparison of mitochondrial DNA contents in human embryos with good or poor morphology at the 8− cell stage. Fertil Steril 81: 73−79.
16. Chan CC, Liu VW, Lau EY, Yeung WS, Ng EH, et al. (2005) Mitochondrial DNA content and 4977 bp deletion in unfertilized oocytes. Mol Hum Reprod 11: 843−846.
17. Van Blerkom J, Davis PW, Lee J (1995) ATP content of human oocytes and developmental potential and outcome after in−vitro fertilization and embryo transfer. Hum Reprod 10: 415−424.
18. Fragouli E, Alfarawati S, Spath K, Jaroudi S, Sarasa J, et al. (2013). The origin and impact of embryonic aneuploidy. Hum Genet 132: 1001−1013.
19. Van Blerkom J (2011) Mitochondrial function in the human oocyte and embryo and their role in developmental competence. Mitochondrion 11: 797−813.
20. Houghton F (2006) Energy metabolism of the inner cell mass and trophectoderm of the mouse blastocyst. Differentiation 74: 11−18.
21. Barritt JA, Cohen J, Brenner CA (2000) Mitochondrial DNA point mutation in human oocytes is associated with maternal age. Reprod Biomed Online 1: 96−100.
22. Konstantinidis M, Alfarawati S, Hurd D, Paolucci M, Shovelton J, et al. (2014) Simultaneous assessment of aneuploidy, polymorphisms, and mitochondrial DNA content in human polar bodies and embryos with the use of a novel microarray platform. Fertil Steril: in press.
23. Narita A (1995) Endogenous factors affecting sterility in oocytes of aged animals. Jap J Fertil Steril 40: 57−65.
24. Duran HE, Simsek−Duran F, Oehninger SC, Jones HW Jr, Castora (2011) The association of reproductive senescence with mitochondrial quantity, function, and DNA integrity in human oocytes at different stages of maturation. Fertil Steril 96: 384−388.
25. Piko L, Taylor KD (1987) Amounts of mitochondrial DNA and abundance of some mitochondrial gene transcripts in early mouse embryos. Dev Biol 123: 364−374.
26. Simsek−Duran F, Li F, Ford W, Swanson RJ, Jones HW Jr, et al. (2009) The effect of aging on the metabolic function and structure of mitochondria in hamster oocytes. FASEB J 855: 10.
27. Monnot S, Samuels DC, Hesters L, Frydman N, Gigarel N, et al. (2013) Mutation dependance of the mitochondrial DNA copy number in the first stages of human embryogenesis. Hum Mol Genet 22: 1867−1872.
28. Hsieh RH, Au HK, Yeh TS, Chang SJ, Cheng YF, et al. (2004) Decreased expression of mitochondrial genes in human unfertilized oocytes and arrested embryos. Fertil Steril 81: 912−918.
29. Hsieh RH, Tsai NM, Au HK, Chang SJ, Wei YH, et al. (2002) Multiple rearrangements of mitochondrial DNA in unfertilized human oocytes. Fertil Steril 77:1012−1017.
30. Fragouli E, Alfarawati S, Daphnis DD, Goodall NN, Mania A, et al. (2011) Cytogenetic analysis of human blastocysts with the use of FISH, CGH and aCGH: scientific data and technical evaluation. Hum Reprod 26:480−490
31. Wells D, Kaur K, Grifo J, Glassner M, Taylor JC, et al. (2014) Clinical utilisation of a rapid low−pass whole genome sequencing technique for the diagnosis of aneuploidy in human embryos prior to implantation. J Med Genet 51: 553−562.
32. Zhang X, Wu XQ, Lu S, Guo YL, Ma X (2006) Deficit of mitochondria− derived ATP during oxidative stress impairs mouse Mii oocyte spindles. Cell Res 16: 841−850.
33. Choi WJ, Banerjee J, Falcone T, Bena J, Agarwal A, et al. (2007) Oxidative stress and tumor necrosis factor−induced alterations in metaphase II mouse oocyte spindle structure. Fertil Steril 88:1220−1231.
34. Johnson MT, Freeman EA, Gardner DK, Hunt PA (2007) Oxidative metabolism of pyruvate is required for meiotic maturation of murine oocytes in vivo. Biol Reprod 77:2−8.
35. Yu Y, Dumollard R, Rossbach A, Lai FA, Swann K (2010) Redistribution of mitochondria leads to bursts of ATP production during spontaneous mouse oocyte maturation. Journal of Cellular Physiology 224: 672−680.
36. Wang Q, Ratchford AM, Chi MM, Schoeller E, Frolova A, et al. (2009) Maternal diabetes causes mitochondrial dysfunction and meiotic defects in murine oocytes. Mol Endocrinol 23: 1603−1612.
37. Wilding M, De Placido G, DeMatteo L, Marino M, Alviggi C, et al. (2003) Chaotic mosaicism in human preimplantation embryos is correlated with a low mitochondrial membrane potential, Fertil Steril 79: 340−346.
38. Capalbo A, Wright G, Elliott T, Ubaldi FM, Rienzi L et al. (2013) FISH reanalysis of inner cell mass and trophectoderm samples of previously array−CGH screened blastocysts shows high accuracy of diagnosis and no major diagnostic impact of mosaicism at the blastocyst stage. Hum Reprod 28: 2298−2307.
39. Leese HJ (2002) Quiet please, do not disturb: a hypothesis of embryo metabolism and viability. Bioessays 24: 845−849.
40. Harton GL, Munne S, Surrey M, Grifo J, Kaplan B, McCulloh DH, et al. (2013) Diminished effect of maternal age on implantation after preimplantation genetic diagnosis with array comparative genomic hybridization. Fertil Steril 100: 1695−1670
41. Magli MC, Montag M, Koster M, Muzi L, Geraedts J, et al. (2011) Polar body array CGH for prediction of the status of the corresponding oocyte. Part II: technical aspects. Hum Reprod 26:3181−3185.
42. Gutierrez−Mateo C, Colls P, Sanchez−Garcia J, Escudero T, Prates R, et al. (2011) Validation of microarray comparative genomic hybridization for comprehensive chromosome analysis of embryos. Fertil Steril 95:953−958.
43. Christopikou D, Tsorva E, Economou K, Shelley P, Davies S, et al. (2013) Polar body analysis by array comparative genomic hybridization accurately predicts aneuploidies of maternal meiotic origin in cleavage stage embryos of women of advanced maternal age. Hum Reprod 28: 1426−1434.
44. Mertzanidou A, Spits C, Nguyen HT, Van de Velde H, Sermon K (2013) Evolution of aneuploidy up to Day 4 of human preimplantation development. Hum Reprod 28: 1716− 1724.
45. Fregel R, Almeida M, Betancor E, Suarez NM, Pestano J (2011) Reliable nuclear and mitochondrial DNA quantification for low copy number and degraded forensic samples. Forensic Science International: Genetics Supplement Series 3: e303−e304.
46. Li H, Durbin R (2009) Fast and accurate short read alignment with Burrows- Wheeler transform. Bioinformatics 25: 1754−1760.
47. Raczy C, Petrovski R, Saunders CT, Chorny I, Kruglyak S et al. (2013) Isaac: ultra- fast whole−genome secondary analysis on Illumina sequencing platforms. Bioinformatics 29:2041−2043
48. Quinlan AR, Hall IM (2010) BEDTools: A flexible suite of utilities for comparing genomic features, Bioinformatics 26: 841−842.
49. Li H, Handsaker B, Wysoker A, Fennell T, Ruan J, et al. (2009) The Sequence alignment/map (SAM) format and SAMtools. Bioinformatics 25: 2078−2079.
50. Baslan T, Kendall J, Rodgers L, Cox H, Riggs M, et al. (2012) Genome−wide copy number analysis of single cells. Nat Protoc 7: 1024−1041.
51. Zhidkov I, Nagar T, Mishmar D, Rubin E (2011) MitoBamAnnotator: A web−based tool for detecting and annotating heteroplasmy in human mitochondrial DNA sequences. Mitochondrion 11: 924−928.
52. Schmittgen TD, Livak KJ (2008) Analyzing real−time PCR data by the comparative CT method. Nat Protoc 3: 1101−1108.

Claims (55)

  1. 胚中のミトコンドリアDNAの相対量を決定するための方法であって、
    前記胚から得られたDNA試料を提供すること;
    前記DNA試料中のミトコンドリアDNA(mtDNA)の量を決定すること;
    前記DNA試料中の基準DNAの量を決定すること;ならびに
    前記胚中のmtDNAの相対量を決定するために、前記mtDNAの量を前記基準DNAの量と比較すること、
    を含む、方法。
  2. 前記胚中のmtDNAの相対量が、前記胚の着床の可能性を示す、請求項1に記載の方法。
  3. 前記DNA試料中のmtDNAの量を決定することおよび前記DNA試料中の基準DNAの量を決定することが、定量的PCRを使用して実施される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記定量的PCRがリアルタイムPCRを含む、請求項3に記載の方法。
  5. DNA試料が、着床後1、2、3、4、5、6または7日、あるいは受精後1−3日、2−4日、3−5日、5−7日、1−7日、または4−7日に前記胚から得られる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記胚は正倍数体胚である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記DNA試料中のmtDNAの量を決定することが、
    前記DNA試料を、16Sアンプリコンを生成させるために、16Sを転写する配列を標的とする配列番号:2および3を含むプライマー対と、または、MT−ND4アンプリコンを生成させるために、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)をコードする配列を標的とする配列番号および9を含むプライマー対と接触させることにより、前記mtDNAを増幅させることを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記DNA試料を、配列番号:4を含むプローブと接触させることにより、前記16Sアンプリコンを検出することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記DNA試料を、配列番号:10を含むプローブと接触させることにより、前記MT−ND4アンプリコンを検出することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  10. 前記DNA試料中の基準DNAの量を決定することが、前記DNA試料を、Aluアンプリコンを生成させるために、Alu配列を標的とする配列番号5および6を含むプライマー対と接触させることにより、基準DNA配列を増幅させることを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記DNA試料を配列番号:7を含むプローブと接触させることにより、前記Aluアンプリコンを検出することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記正倍数体胚中のmtDNAの相対量を、着床可能性閾値と比較することをさらに含み;
    前記着床可能性閾値未満の、前記胚中のmtDNAの相対量は、前記正倍数体胚の有利な着床の可能性を示し、前記着床可能性閾値を超える前記胚中のmtDNAの相対量は、前記正倍数体胚の不利な着床の可能性を示す、請求項1に記載の方法。

  13. 胚試料中のミトコンドリアDNAの相対量を、前記胚中の基準染色体核酸配列と比較して決定することであって、決定は、
    i)胚由来の核酸試料;
    ii)第1のミトコンドリアDNA配列に対するものである第1のオリゴヌクレオチドプライマー対;および
    iii)基準標的核酸配列に対するものである基準オリゴヌクレオチドプライマー対
    を含む反応混合物を調製すること;
    第1のミトコンドリアDNA配列産物および基準標的核酸配列産物を生成するために、前記反応混合物を増幅させること;
    前記増幅された第1のミトコンドリアDNA配列産物の量を、前記増幅された基準標的核酸配列産物の量と比較して評価すること、を含む、こと;ならびに
    前記増幅された基準標的核酸配列産物に対する、前記増幅された第1のミトコンドリアDNA配列産物の測定された量が着床可能性閾値未満である場合、着床のための胚を選択すること
    を含む、着床のための胚を選択するための方法。
  14. 前記反応混合物が、第2のミトコンドリアDNA配列に対するものである第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. 第1のミトコンドリアDNA配列産物、第2のミトコンドリアDNA配列産物;ならびに基準標的核酸配列産物を生成させるために、前記反応混合物を増幅させること、ならびに各増幅産物の量を測定すること;
    前記増幅された第1のミトコンドリアDNA配列産物および前記増幅された第2のミトコンドリアDNA配列産物の測定された量を前記増幅された基準標的核酸配列産物と比較すること;ならびに
    前記増幅された基準標的核酸配列産物に対する、前記増幅された第1のミトコンドリアDNA配列産物および前記増幅された第2のミトコンドリアDNA配列産物の測定された量が、着床可能性閾値未満である場合、着床のための胚を選択すること
    をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  16. 第3のミトコンドリアDNA配列に対するものである第3の合成オリゴヌクレオチドプライマー対をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  17. 基準核酸試料と比較した、胚試料中のミトコンドリアDNAの相対量を測定することであって、決定は、
    i)胚由来の核酸試料;
    ii)第1のミトコンドリアDNA配列に対するものである第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対;
    iii)第2のミトコンドリアDNA配列に対するものである第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対;および
    iv)基準標的核酸配列に対するものである基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対
    を含む反応混合物を調製すること;
    第1のミトコンドリアDNA配列産物、第2のミトコンドリアDNA配列産物;および基準標的核酸配列産物を生成させるために、前記反応混合物を増幅させること、ならびに各増幅産物の量を測定すること;
    前記第1のミトコンドリアDNA配列産物および前記第2のミトコンドリアDNA配列産物の測定された量を前記基準標的核酸配列産物と比較すること、を含むこと;ならびに
    前記基準標的核酸配列産物に対する、前記第1のミトコンドリアDNA配列産物および前記第2のミトコンドリアDNA配列産物の測定された量が着床可能性閾値未満である場合、着床のための胚を選択すること
    を含む、着床のための胚を選択するための方法。
  18. 前記基準標的核酸配列産物に対する、前記第1のミトコンドリアDNA配列産物および前記第2のミトコンドリアDNA配列産物の量が着床可能性閾値を超える場合、胚を着床に好適ではないと識別すること
    をさらに含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記第1または第2合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、12S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、16S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット1(MT−ND1)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット2(MT−ND2)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット3(MT−ND3)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット4(MT−ND4)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(MT−ND5)をコードするミトコンドリアDNA配列、チトクロムb、ミトコンドリアチトクロムcオキシダーゼサブユニット1、2または3をコードするミトコンドリアDNA配列、ATPシンターゼをコードするミトコンドリアDNA配列に対するものである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、16S rRNA遺伝子配列をコードするミトコンドリアDNA配列に対するものである、請求項19に記載の方法。
  21. 前記第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)遺伝子配列をコードするミトコンドリアDNA配列に対するものである、請求項19に記載の方法。
  22. 前記基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、Alu配列、L1配列、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、またはβ−アクチン(ActB)に対するものである、請求項18に記載の方法。
  23. 前記基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、Alu配列に対するものである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、配列番号:2の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーおよび配列番号:3の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーを含む、請求項20に記載の方法。
  25. 前記第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、配列番号:8の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーおよび配列番号:9の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーを含む、請求項21に記載の方法。
  26. 前記基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、配列番号5の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーおよび配列番号:6の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーを含む、請求項23に記載の方法。
  27. 増幅することが、定量的または半定量的RT−PCR法を用いて実施される、請求項17に記載の方法。
  28. 第1のミトコンドリアDNA配列に対するものである第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対;
    基準遺伝子配列に対するものである第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対;
    を含む、胚の着床の可能性を決定するためのキット。
  29. 前記第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、12S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、16S RNAをコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット1(MT−ND1)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット2(MT−ND2)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット3(MT−ND3)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット4(MT−ND4)をコードするミトコンドリアDNA配列、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(MT−ND5)をコードするミトコンドリアDNA配列、チトクロムb、ミトコンドリアチトクロムcオキシダーゼサブユニット1、2または3をコードするミトコンドリアDNA配列、ATPシンターゼをコードするミトコンドリアDNA配列に対するものである、請求項28に記載のキット。
  30. 前記第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、16S rRNA遺伝子配列をコードするミトコンドリアDNA配列に対するものである、請求項29に記載のキット。
  31. 前記第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、配列番号:2の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーおよび配列番号:3の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーを含む、請求項30に記載のキット。
  32. 前記16S rRNAをコードするミトコンドリアDNA配列に対するものであるプローブをさらに含み、前記プローブは配列番号:4を含む、請求項30に記載のキット。
  33. 前記第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)遺伝子配列をコードするミトコンドリアDNA配列に対するものである、請求項29に記載のキット。
  34. 前記第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、配列番号:8の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーおよび配列番号:9の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーを含む、請求項33に記載のキット。
  35. 前記MT−ND4をコードするミトコンドリアDNA配列に対するものであるプローブをさらに含み、前記プローブは配列番号:10を含む、請求項33に記載のキット。
  36. 前記基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、前記Alu配列、前記Ll配列、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、またはβ−アクチン(ActB)に対するものである、請求項28に記載のキット。
  37. 前記基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、前記Alu配列に対するものである、請求項36に記載のキット。
  38. 前記基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対が、配列番号5の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーおよび配列番号:6の核酸配列に対し少なくとも70%配列同一性を有するプライマーを含む、請求項37に記載のキット。
  39. 前記Alu配列に対するものであるプローブをさらに含み、前記プローブは配列番号:7を含む、請求項36に記載のキット。
  40. デオキシヌクレオチド(dNTP)をさらに含む、請求項28に記載のキット。
  41. DNAポリメラーゼをさらに含む、請求項28に記載のキット。
  42. 前記DNAポリメラーゼが熱安定性DNAポリメラーゼである、請求項41に記載のキット。
  43. 前記熱安定性DNAポリメラーゼがTaq DNAポリメラーゼまたはAmpliTaq(登録商標)DNAポリメラーゼである、請求項42に記載のキット。
  44. バッファーをさらに含む、請求項28に記載のキット。
  45. 前記バッファーがTris−EDTA(TE)バッファーである、請求項44に記載のキット。
  46. 陽性対照DNA試料および陰性対照DNA試料をさらに含む、請求項28に記載のキット。
  47. 第2のミトコンドリアDNA配列に対するものである第3の合成オリゴヌクレオチドプライマー対をさらに含む、請求項28に記載のキット。
  48. 着床正倍数体胚から得られた1つ以上のDNA試料中のミトコンドリアDNA(mtDNA)の量を決定すること;
    非着床正倍数体胚から得られた1つ以上のDNA試料中のmtDNAの量を決定すること;ならびに
    前記着床正倍数体胚からのmtDNAの量を前記非着床正倍数体胚から得られたmtDNAの量と比較することにより着床可能性閾値を計算すること
    を含む、方法。
  49. 前記DNA試料中のmtDNAの量を決定することが、定量的PCRを用いて実施される、請求項48に記載の方法。
  50. 前記定量的PCRがリアルタイムPCRを含む、請求項49に記載の方法。
  51. 前記第1のDNA試料中のmtDNAの量を決定することが、
    前記DNA試料を、16Sアンプリコンを生成させるために、16Sを転写する配列を標的とする配列番号:2および3を含むプライマー対と、または、MT−ND4アンプリコンを生成させるために、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4(MT−ND4)をコードする配列を標的とする配列番号:8および9を含むプライマー対と接触させることにより、前記試料中のmtDNAを増幅させること;ならびに
    前記DNA試料を、Aluアンプリコンを生成させるために、Alu配列を標的とする配列番号5および6を含むプライマー対と接触させることにより、基準DNA配列を増幅させること
    を含む、請求項48に記載の方法。
  52. 前記DNA試料を、前記16Sアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:4を含むプローブと接触させることにより、前記16Sアンプリコンを検出すること;ならびに
    前記DNA試料を、前記Aluアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:7を含むプローブと接触させることにより、前記Aluアンプリコンを検出すること
    をさらに含む、請求項51に記載の方法。
  53. 前記DNA試料を、前記MT−ND4アンプリコン内の配列を標的とする配列番号:10を含むプローブと接触させることにより、前記MT−ND4アンプリコンを検出すること;ならびに
    前記DNA試料を、前記Aluアンプリコン内の配列を標的とする配列番号:7を含むプローブと接触させることにより、前記Aluアンプリコンを検出すること
    をさらに含む、請求項51に記載の方法。
  54. 基準核酸試料と比較した、胚試料中のミトコンドリアDNAの相対量を決定することであって、
    i)胚由来の核酸試料;
    ii)第1のミトコンドリアDNA配列に対するものである第1の合成オリゴヌクレオチドプライマー対;ならびに
    iii)基準標的核酸配列に対するものである基準合成オリゴヌクレオチドプライマー対
    を含む反応混合物を調製すること;
    第1のミトコンドリアDNA配列産物および基準染色体標的核酸配列産物を生成させるために、前記反応混合物を増幅させること;ならびに
    前記増幅された第1のミトコンドリアDNA配列産物の量を、前記増幅された基準標的核酸配列産物の量と比較して評価すること、
    を含む、胚の着床の可能性を決定するための方法であって、
    前記胚中のmtDNAの相対量は、前記胚の着床の可能性を示す、方法。
  55. 前記ミトコンドリアDNAの相対量を決定することが、iv)第2のミトコンドリアDNA配列に対するものである第2の合成オリゴヌクレオチドプライマー対をさらに含み;
    前記増幅工程が、第2のミトコンドリアDNA配列産物を生成させるために前記反応混合物を増幅させることをさらに含み;
    前記評価工程が、前記増幅された第2のミトコンドリアDNA配列産物の量を前記増幅された基準標的核酸配列産物の量を用いて評価することをさらに含み、
    前記第1および第2のミトコンドリアDNA配列産物の相対量が、前記胚の着床の可能性を示す、請求項54に記載の方法。
JP2018539224A 2015-10-16 2016-06-02 ミトコンドリアdnaの定量化および胚の品質を決定するための方法 Pending JP2018530353A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201562242460P 2015-10-16 2015-10-16
US62/242,460 2015-10-16
PCT/US2016/035509 WO2017065839A1 (en) 2015-10-16 2016-06-02 Quantification of mitochondrial dna and methods for determining the quality of an embryo

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018530353A true JP2018530353A (ja) 2018-10-18

Family

ID=58518278

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018539224A Pending JP2018530353A (ja) 2015-10-16 2016-06-02 ミトコンドリアdnaの定量化および胚の品質を決定するための方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20170107571A1 (ja)
EP (1) EP3362566A4 (ja)
JP (1) JP2018530353A (ja)
CN (1) CN109312349A (ja)
WO (1) WO2017065839A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022538763A (ja) * 2019-06-13 2022-09-06 中国科学院広州生物医薬与健康研究院 バイオマーカー及びその使用

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10242994B2 (en) 2016-03-16 2019-03-26 Sandisk Technologies Llc Three-dimensional memory device containing annular etch-stop spacer and method of making thereof
KR102048700B1 (ko) * 2018-04-03 2019-11-26 재단법인 오송첨단의료산업진흥재단 미토콘드리아 dna 기반의 프라이머 세트 및 이를 이용한 세포 치료제의 체내 분포 평가 방법
CN112575068A (zh) * 2020-12-22 2021-03-30 成都中医药大学 一种评估胚胎发育潜力的方法
CN116479105A (zh) * 2023-02-22 2023-07-25 中国疾病预防控制中心职业卫生与中毒控制所 用于人线粒体dna拷贝数检测的核酸试剂、试剂盒及多重荧光定量pcr检测方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6509448B2 (en) * 1999-06-30 2003-01-21 Corixa Corporation Compositions and methods for the therapy and diagnosis of lung cancer
AU4347701A (en) * 2000-03-01 2001-09-12 Corixa Corp Compositions and methods for the detection, diagnosis and therapy of hematological malignancies
US7250496B2 (en) * 2002-11-14 2007-07-31 Rosetta Genomics Ltd. Bioinformatically detectable group of novel regulatory genes and uses thereof
US7537893B2 (en) * 2005-02-25 2009-05-26 Gene Solutions, Llc Mitochondrial ND5 gene mutations in Parkinson's disease
US8598333B2 (en) * 2006-05-26 2013-12-03 Alnylam Pharmaceuticals, Inc. SiRNA silencing of genes expressed in cancer
US20080085836A1 (en) * 2006-09-22 2008-04-10 Kearns William G Method for genetic testing of human embryos for chromosome abnormalities, segregating genetic disorders with or without a known mutation and mitochondrial disorders following in vitro fertilization (IVF), embryo culture and embryo biopsy
CA2832336C (en) * 2011-04-14 2016-08-09 The General Hospital Corporation Compositions and methods for autologous germline mitochondrial energy transfer
WO2013056252A1 (en) * 2011-10-14 2013-04-18 Gema Diagnostics, Inc. Assessment of oocyte competence by detecting spsb2 and/or tp53i3 gene expression
WO2015114574A1 (en) * 2014-01-30 2015-08-06 Pécsi Tudományegyetem Preimplantation assessment of embryos through detection of free embryonic dna
US20150218620A1 (en) * 2014-02-03 2015-08-06 Integrated Dna Technologies, Inc. Methods to capture and/or remove highly abundant rnas from a heterogenous rna sample

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022538763A (ja) * 2019-06-13 2022-09-06 中国科学院広州生物医薬与健康研究院 バイオマーカー及びその使用

Also Published As

Publication number Publication date
WO2017065839A1 (en) 2017-04-20
US20170107571A1 (en) 2017-04-20
EP3362566A1 (en) 2018-08-22
CN109312349A (zh) 2019-02-05
EP3362566A4 (en) 2019-03-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ho et al. Pushing the limits of detection: investigation of cell-free DNA for aneuploidy screening in embryos
Fragouli et al. Altered levels of mitochondrial DNA are associated with female age, aneuploidy, and provide an independent measure of embryonic implantation potential
Rubio et al. Use of array comparative genomic hybridization (array-CGH) for embryo assessment: clinical results
US11149314B2 (en) Methods for determining the quality of an embryo
Brouillet et al. Is cell-free DNA in spent embryo culture medium an alternative to embryo biopsy for preimplantation genetic testing? A systematic review
Menezo et al. Expression profile of genes coding for DNA repair in human oocytes using pangenomic microarrays, with a special focus on ROS linked decays
Rodrigo et al. New tools for embryo selection: comprehensive chromosome screening by array comparative genomic hybridization
Capalbo et al. Abnormally fertilized oocytes can result in healthy live births: improved genetic technologies for preimplantation genetic testing can be used to rescue viable embryos in in vitro fertilization cycles
US20170044610A1 (en) Compositions and methods for genetic analysis of embryos
Huang et al. Re-analysis of aneuploidy blastocysts with an inner cell mass and different regional trophectoderm cells
JP2018530353A (ja) ミトコンドリアdnaの定量化および胚の品質を決定するための方法
ES2796224T3 (es) Evaluación de embriones previa a la implantación a través de la detección de ADN embrionario libre
JP2010158250A (ja) 核酸増幅
Sciorio et al. PGT‐A preimplantation genetic testing for aneuploidies and embryo selection in routine ART cycles: Time to step back?
Novik et al. The accuracy of chromosomal microarray testing for identification of embryonic mosaicism in human blastocysts
Harris et al. Preimplantation genetic testing: a review of current modalities
Xie et al. Segmental aneuploidies with 1 Mb resolution in human preimplantation blastocysts
Rubio et al. Preimplantation genetic testing: chromosome abnormalities in human embryos
Keskintepe et al. Reproductive oocyte/embryo genetic analysis: comparison between fluorescence in-situ hybridization and comparative genomic hybridization
Liu et al. Could PGT-A pick up true abnormalities that have clinical relevance? Retrospective analysis of 1043 embryos
Mortimer et al. Preimplantation genetic testing for aneuploidy: has the controversy settled? A Review
Korolkova et al. Increasing the effectiveness of IVF programs by determining mitochondrial DNA copy number in embryonic trophectoderm
Victor et al. Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidies: Where We Are and Where We're Going
Ibraheemi et al. Pre-implementation genetics for aneuploidy interpretation in PGT-A goals indications and improve infertility outcomes
Jiao et al. Comprehensive chromosome analysis in diminished ovarian reserve patients