JP2018529819A - セルロースの品質及び反応性を改善する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、改善された特性及び高められた反応性を有するセルロース製品の製造技術に関し、ニトロセルロース及び他の生成物を製造するための、すでに製造されたバッチの加工を含む、セルロースの化学的加工に使用することができる。セルロースの品質及び反応性を改善する方法は、セルロースを以下の工程:セルロースを加水分解溶液媒体に含浸し、加水分解する工程、加水分解溶液からセルロースをろ別する工程、およびセルロースを洗浄し、プレス成形し、乾燥させる工程に付すことによるセルロースの活性化にある。そのうえ、セルロースを加水分解溶液媒体に含浸し、加水分解する工程、加水分解溶液からセルロースをろ別する工程、洗浄し、プレス成形し、乾燥させる工程は、セルロースを115℃未満の温度に加熱すること、10秒未満の期間の真空の高速衝撃作用、次いでセルロースを真空下に維持したのち真空解除することをそれぞれが含むサイクルの熱真空衝撃作用への暴露と同時に実施される。この方法は、反応性を含め、セルロース品質定格を改善することを可能にする。
Description
本発明は、高められた反応性および品質を有するセルロースの製造に関し、ニトロセルロース及び他の生成物の製造のための完成品バッチを含む、それらの化学的加工に使用することができる。
セルロースは、結晶質部分および非晶質部分からなる構造を有する。その結果、セルロースの前処理なしでは、結晶質部分中に存在するヒドロキシル基の置換は困難である。
したがって、完成品バッチを含むセルロースのさらなる活性化の必要性は、それらのパラメータのむしろ低い含有率と関連し、特に、木材リネンセルロースの場合のαセルロースの含有率は93〜95%であり、セルロース完成品バッチ中のリグニンの含有率は2.5〜4.5%に達する。リントからの綿セルロース中のαセルロースの含有率は98%に達する。
セルロースの品質は、原料の性質およびセルロース含有原料をセルロースへと加工するための技術によって決まる。パルプ化、漂白、洗浄の工程および工程の計測化の技術的パラメータの変動が、工場内で製造されるセルロースバッチの産出特性に影響する。
セルロース産出パラメータの改善は、それらの品質を改善するために重要であるだけでなく、セルロースに基づいて、硝酸セルロース、ひいては黒色火薬、ワニス、エナメル及び他の材料を改善するためにも重要である。
したがって、活性化剤を使用してセルロースを活性化する(反応性を高める)方法が提案されている。これらの方法の目的は、結晶質区域の一部を破壊して、それらを非晶質かつ置換化合物にとってアクセス可能にすることであった。
活性化剤は一般に、置換化合物と同時に使用され、水酸化物、たとえば金属水酸化物(たとえば水酸化ナトリウム)、アンモニア、アミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよび酢酸の溶液である。活性化剤として、水酸化ナトリウムがもっとも頻繁に使用されている。
有意な活性化を得るためには、有意な量の活性化剤が使用される。したがって、これらの方法においては、セルロース誘導体を除去する工程を提供する必要があり、それがこれらの方法のコストを増す。
様々なタイプの加工のためにセルロースを活性化するための一つの方法が、セルロースの水処理、次いで置換試薬、たとえば酢酸による置換に基づいてセルロースを活性化する方法であって、水の置換が、真空下、置換試薬の蒸気によって実施される方法である(USSR発明者証335954МПК C08B1/00、21.07.1969の優先権)。
セルロースの活性化は、薬剤を充填してセルロース、セルロースの結晶質区域の間の超微小空間を膨潤させたのち、その薬剤を有機溶媒またはその蒸気で置換することによって達成される。この処理の結果として、セルロース鎖の圧縮は起こらない。すなわち、セルロース活性面およびその後の化学的加工中のその利用可能性が増す。
この方法の主な欠点は置換試薬の高い消費量である。たとえば、膨潤したセルロースからの水を酢酸で置換するとき、セルロースの重量に対して少なくとも100倍の量の氷酢酸が必要である。
また、室温および0.5〜0.7MPaの圧力下で1〜2時間、気体アンモニアによる処理によってセルロースを活性化する方法であって、工程の効率およびセルロースの反応性を高めるために、セルロースを、0.15〜0.8MPaの圧力下で3〜15分間、炭酸、硫酸または酢酸の気体無水物でさらに処理する方法が公知である(USSR発明者証952852МПК C08B1/02、19.02.1981の優先権)。
この方法の欠点は、同じく、置換試薬の十分に高い消費量であり、それが加工コストの増大を招く。加えて、加圧下での炭酸、硫酸または酢酸無水物によるセルロースの処理が爆発性および火炎危険性の状況を作り出すおそれがある。
プロトタイプとして、反応性セルロースを製造する方法が選択されている(RF特許番号2202558(п.5)МПКC08B1/100、C08B1/02、C08B1/06、09.04.1998の優先権)。この方法は、活性化剤を用いる処理によってセルロースを活性化する工程、活性化剤の残留重量含有率が10重量%未満になるまで活性化剤を部分的に除去する工程、上記で得られた活性化セルロースを有機化合物または二硫化炭素と反応させる工程および場合によっては活性化剤残渣および置換反応の副生成物を除去する工程を含む。
この反応性セルロース製造方法の欠点は、のちに除去を要するさらなる化学試薬の使用および精製に起因する加工期間の増大ならびに使用される有機化合物の不完全な除去によるセルロース品質の低下である。
請求項に係る発明の目的は、活性化工程を加速しながらも、製造されるセルロースの品質パラメータを、その反応性を特性決定することを含め、改善することである。
本発明の目的は、セルロースの品質及び反応性をその活性化によって改善する方法であって、本発明によれば、セルロースの活性化が、セルロースに影響するための以下の工程:セルロースを加水分解溶液に含浸し、加水分解する工程、加水分解溶液からセルロースをろ別する工程、洗浄し、乾燥させる工程を含み、セルロースを加水分解溶液に含浸し、加水分解する工程、加水分解溶液からろ別する工程、洗浄し、絞り、乾燥させる工程が、115℃以下の温度へのセルロースの加熱、100mmHg以下の圧力範囲内の真空で10秒未満の期間の高速衝撃作用、次いで真空へのセルロースの暴露および真空解除をそれぞれが含むサイクルによる熱真空パルス作用と同時に実施される方法において達成される。
パルプミルから供給されたセルロース材料の活性化は、包装材から解かれたのち実施され、次いで、含浸及び加水分解工程中に加水分解溶液中で繊維が分離される。
必要ならば、セルロースを加水分解溶液に含浸し、加水分解する前に、セルロースの前乾燥を実施して水分含有率を12%以下にする。
真空の高速衝撃作用は、高速弁を備えたレシーバから発生させる。レシーバは、他方で、真空供給源(真空ポンプ)に接続されなければならない。
設定目標は、セルロース活性化の段階(含浸、加水分解、ろ別、洗浄、ろ別および乾燥)が、示されたモードの熱真空衝撃作用を使用して実施されるという事実によって達成される。加熱されたセルロースを衝撃真空処理すると、吸着されたガスがセルロースおよびその毛管の表面から除去され、セルロースを加水分解溶液に含浸すると、セルロースの湿潤度が高まり、セルロースの体積に対する含浸の程度が高まる。これはまた、完成品セルロースが包装材から解かれたのち工場に入るときに完成品セルロースを含浸することを可能にする。加えて、熱真空衝撃作用により、12%未満の材料の水分含有率が達成され、セルロース毛管は閉じられない。
したがって、後続の技術工程のためのより大きなアクセス可能性を促進する極細の毛管の存在によって分子間相互作用の全体的弱化および大きな内面の両方が起こるような材料の状態が達成される。
相応に、真空中で強烈に沸騰する加水分解溶液により、セルロースに含まれるリグニン、ペクチン、樹脂及び他の化合物のより完全な溶解が達成されると、αセルロースの含有率が増大し、それによって結晶質区域の間の超微小空間が解放され、その反応性が高められる。
加えて、さらなる有機化合物に対してセルロースを精製する工程の排除および真空衝撃作用が活性化工程を加速する。
セルロースを活性化するための本提案の方法は、パルプミル中で加工の最後に実施されることもできるし、完成品セルロースのその後の使用の前に実施されることもできる。
完成品セルロースの活性化方法は以下のように実施される。
包装を解いたのち、完成品セルロース材料をクッカー(加水分解装置)に入れ、連続的な加工工程:水分含有率12%以下までの乾燥(必要ならば)、加水分解溶液への含浸及び加水分解、加水分解溶液からのセルロースのろ別、加水分解後のセルロースの洗浄ならびにその後のプレス成形及び乾燥に付す。そのうえ、加水分解溶液へのセルロースの含浸及び加水分解、加水分解溶液からのセルロースのろ別、加水分解後の洗浄、絞り及び乾燥の技術工程は、115℃以下の温度へのセルロースの加熱、セルロースを含むクッカーの、100mmHg以下の圧力で10秒未満の期間の高速衝撃真空処理;真空下で1〜3分間のセルロースの暴露および脱気、次いで100〜150℃に加熱された熱気媒体によってセルロースを含む装置中の真空を放出することを含むサイクルによる熱真空衝撃作用の適用と同時に実施される。
真空の高速衝撃作用は、真空供給源(高速弁を備えた真空レシーバ)から実施される。レシーバに接続された真空ポンプが真空を提供する。
請求項に係る方法による活性化後の完成品セルロースの品質および反応性管理の例
適切な工場で製造されたセルロースの完成品バッチの品質を改善するために、セルロースの完成品バッチから各種セルロース:綿(CC)、木材(WC)、ЦАグレードのシートセルロース(SC)および亜麻シートセルロース(FSC)を取り出して、熱真空衝撃モードでの加水分解溶液の使用によってそれらの品質及び反応性を改善した。
適切な工場で製造されたセルロースの完成品バッチの品質を改善するために、セルロースの完成品バッチから各種セルロース:綿(CC)、木材(WC)、ЦАグレードのシートセルロース(SC)および亜麻シートセルロース(FSC)を取り出して、熱真空衝撃モードでの加水分解溶液の使用によってそれらの品質及び反応性を改善した。
請求項に係る方法による活性化の前後の完成品バッチの技術的パラメータを表に記す。
記載されたデータから、請求項に係る方法によるセルロースの完成品バッチの処理がセルロースの技術的パラメータを有意に改善するということがわかる。
Claims (4)
- セルロースの品質及び反応性をその活性化によって改善する方法であって、セルロースの活性化が、セルロースに影響するための以下の工程:セルロースを加水分解溶液に含浸し、加水分解する工程、加水分解溶液からセルロースをろ別する工程、洗浄し、絞り、乾燥させる工程を含み、セルロースを加水分解溶液に含浸し、加水分解する工程、加水分解溶液からろ別する工程、洗浄し、絞り、乾燥させる工程が、115℃以下の温度へのセルロースの加熱、100mmHg以下の圧力範囲内の真空で10秒未満の期間の高速衝撃作用、次いで真空へのセルロースの暴露および真空解除をそれぞれが含むサイクルによる熱真空パルス作用と同時に実施される、方法。
- パルプミルから供給されたセルロース材料の含浸が、包装材から解かれたのち実施され、次いで、セルロースの含浸及び加水分解中に加水分解溶液中で繊維が分離される、請求項1記載の方法。
- 加水分解溶液へのセルロースの含浸および加水分解の前に、セルロースを12%以下の水分含有率まで前乾燥させる、請求項1記載の方法。
- 真空の高速衝撃作用を、高速弁を備えたレシーバから発生させる、請求項1記載の方法。
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