JP2018527921A - 標的タンパク質とのリガンドの結合及び細胞関与を測定するための方法 - Google Patents

標的タンパク質とのリガンドの結合及び細胞関与を測定するための方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018527921A
JP2018527921A JP2018507586A JP2018507586A JP2018527921A JP 2018527921 A JP2018527921 A JP 2018527921A JP 2018507586 A JP2018507586 A JP 2018507586A JP 2018507586 A JP2018507586 A JP 2018507586A JP 2018527921 A JP2018527921 A JP 2018527921A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
target
compound
binding
denaturation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018507586A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6953398B2 (ja
Inventor
ケイ トレイバー ダニエル
ケイ トレイバー ダニエル
メニケリ エレナ
メニケリ エレナ
Original Assignee
ディスカヴァーエックス コーポレイション
ディスカヴァーエックス コーポレイション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ディスカヴァーエックス コーポレイション, ディスカヴァーエックス コーポレイション filed Critical ディスカヴァーエックス コーポレイション
Publication of JP2018527921A publication Critical patent/JP2018527921A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6953398B2 publication Critical patent/JP6953398B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/58Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving labelled substances
    • G01N33/581Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving labelled substances with enzyme label (including co-enzymes, co-factors, enzyme inhibitors or substrates)
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/536Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase
    • G01N33/542Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase with steric inhibition or signal modification, e.g. fluorescent quenching
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/90Enzymes; Proenzymes
    • G01N2333/914Hydrolases (3)
    • G01N2333/924Hydrolases (3) acting on glycosyl compounds (3.2)
    • G01N2333/938Hydrolases (3) acting on glycosyl compounds (3.2) acting on beta-galactose-glycoside bonds, e.g. beta-galactosidase
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2500/00Screening for compounds of potential therapeutic value
    • G01N2500/04Screening involving studying the effect of compounds C directly on molecule A (e.g. C are potential ligands for a receptor A, or potential substrates for an enzyme A)

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)

Abstract

標的高分子への化合物の結合特性を検出しかつ定量的に測定するための方法が開示され、前記標的高分子は変性に供され、かつ短い酵素フラグメントなどの標識ペプチドに連結される。方法は、(i)標識ペプチドに連結された標的高分子を含むキメラ分子であって、前記標的高分子は、無傷の生存細胞によって及びその内部で発現されるキメラタンパク質であり得るキメラ分子、ならびに(ii)前記標的高分子への結合について測定されている化合物であって、前記標的高分子は変性に供される化合物、を含む流体混合物を使用する。化合物(例えば、標的高分子の小分子阻害剤)の結合を可能にした後、酵素フラグメント相補性などによって、標識ペプチドからのシグナルを検出する。このシグナルは、変性した及び変性していない標的高分子の間の差異を示し、そしてそれによりそれぞれ、化合物に結合していない標的高分子と、化合物に結合している標的高分子との間の差異を示す。【選択図】図14

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月19日に申請された、Homogenous Thermal Shift Ligand Binding Assayと題された米国出願第14/830,328号からの優先権を主張するものである。本特許出願は、参照によりそれらの全体として本明細書によって組み入れられる。
政府支援についての声明
なし。
配列表、コンピュータープログラム、またはコンパクトディスクの参照
本出願は、ASCIIテキストファイルとして提出されておりかつ参照によりその全体として本明細書によって組み入れられる、配列表を含有する。このテキストファイルは、2015年12月20日に作られており、「3817_55_PCT_seq_list.txt」と名付けられ、そしてサイズが4,096バイトである。
発明の分野
本発明は、概して、標的高分子への化合物の結合をモニターする方法に関し、前記標的高分子はインビトロにありまたはトランスフェクトされた細胞で発現し、かつ前記細胞は標的高分子から単離されないまたは分離されない。本発明は、酵素フラグメント相補性の新規な使用の方法、及びサーマルシフトアッセイにおいて使用される酵素フラグメント相補性アッセイを使用することにも関する。
関連技術
本発明のある特定の態様に関する背景情報が、それらは発明を実施するための形態において言及される技術的特質に関係し得るが、必ずしも詳細に記載されないため、下記で提示される。つまり、本発明において使用される個々の組成物または方法は、主張される本発明のある特定の態様を作製するまたは使用するためのさらなる手引きを当業者に提供し得る下記で記述される刊行物及び特許においてより詳細に記載され得る。下記の記述は、記載される特許または刊行物の関連性または先行技術効果に関する承認として解釈されるべきではない。
生物学及び医学の多数のエリアは、タンパク質及び/またはタンパク質フラグメントへのリガンド結合を検出するアッセイに依存しかつそれを開発する。結合アッセイは、安全でありかつ新薬につながるべき標的を判定するのに役立つ。数十億ドルの製薬産業が、その標的タンパク質に結合してその機能を果たし得る能力を有する薬物化合物を見い出すためにこれらのアッセイに依存する。
標識された及び標識なしのリガンド結合アッセイ、構造に基づくリガンド結合アッセイ、熱力学的リガンド結合アッセイ、ならびに全細胞リガンド結合アッセイなど、多数のタンパク質−リガンド相互作用アッセイが過去に開発されかつ記述されている。さらに、蛍光標識されたリガンドが標的高分子に結合する、蛍光に基づくリガンド結合アッセイがある。しかしながら、前記アッセイは、種々の蛍光干渉の影響を受けやすく、ゆえにリガンドの結合特徴の望ましくない変更につながる。放射能標識された結合アッセイは、膜に基づく標的に人気である。しかしながら、前記アッセイは、高レベルの放射能を取り扱う有害性とともに高いコストに悩まされ、ゆえに前記アッセイを用いて作業する研究室及び研究室職員にとって多くの制限を伴う。NMRに基づく分析も、タンパク質の詳細な構造を分析し、ゆえに構造に基づく薬物設計を支援するために適用されているが、アッセイの高いコスト及びスペクトルを分析するために要される長い時間に悩まされている。
示差走査蛍光法(DSF)とも呼ばれる以前に開発されたサーマルシフトアッセイは、標的タンパク質の熱安定性、及びタンパク質へのリガンドの結合があり次第のタンパク質融解温度の後続の増加を測定する熱変性アッセイである。熱安定性の変化は、Sypro Orangeなどの蛍光色素の存在下で熱変性曲線を遂行することによって測定される。そのような方法は、遠心分離及びオイル分注の工程も伴う。
ゆえに、ホモジニアスアッセイ形式での、リガンドタンパク質相互作用の簡易で高感度でかつ正確な検出を与える結合アッセイが必要である。
具体的な特許及び刊行物
Pantolianoらに対して2000年2月1日に発行された、US6,020,141、「Microplate thermal shift assay for ligand development and multi−variable protein chemistry optimization」は、多数の容器のそれぞれの中で、標的分子と多数の異なる分子のうちの1つの分子とを接触させ、同時に前記多数の容器を加熱し、かつ標的分子の熱変性と関連がある物理的変化を容器のそれぞれの中で測定することを含むサーマルシフトアッセイを開示している。
Jung et al.,“Affinity Map of Bromodomain Protein 4(BRD4)Interactions with the Histone H4 Tail and the Small Molecule Inhibitor JQ1,”J.Biol.Chem.Feb 2,2014,289:9304−9319は、BRD4 BD1タンパク質が、5μlのSypro Orange(Molecular Probe)と混合されたサーマルシフトアッセイを開示している。
Molina et al.,“Monitoring Drug Target Engagement in Cells and Tissues Using the Cellular Thermal Shift Assay,”Science 5 July 2013:Vol.341 no.6141 pp.84−87は、標的タンパク質への薬物結合によって引き起こされるタンパク質熱安定性のシフトを上手く利用する方法を開示している。前記方法は、癌細胞におけるならびにマウスの肝臓及び腎臓における薬物標的関与をモニターするために使用された。しかしながら、著者らによれば、前記方法は、非常に不均質なタンパク質に対して、またはリガンド結合ドメインのアンフォールディングが凝集を促進しないタンパク質に対して機能しない可能性がある。
発明の概要
以下の概要は、本発明のすべての特質及び態様を含むことを意図するわけではなく、本発明が、この要約において記述されるすべての特質及び態様を含まなければならないことを暗示するわけでもない。
本発明は、標的高分子への試験化合物の結合を測定する方法を含む。さらに、本発明は、規定の天然の二次、及び任意で三次の構造を有する高分子の加熱変性の下で、関心対象の標的タンパク質への試験化合物の結合を測定するホモジニアス方法を開示し、前記変性は、標的タンパク質の二次及び/または三次構造を分断するが、それに付着された標識ペプチドを分断しない。それゆえ、方法は、試料の添加と結果の読み出しとの間に遠心分離または濾過の工程を有さない、ホモジニアス形式で実施され得る。方法は、凝集、及び標的高分子に付着された標識ペプチドの使用可能性の欠如を引き起こすと考えられ、標識ペプチドは、タンパク質に基づく高分子のNまたはC末端に好都合に付加され得る。下記で記載されるであろうように、多数の短く比較的低い温度の加熱パルスが、単一の加熱工程に好ましく、同様に、調査中のタンパク質を完全に変性させることは好ましくない。
本方法は、細胞内に導入されたベクターから、細胞内で発現する標的高分子及び標識ペプチドを含有する融合タンパク質を発現するように操作された全細胞の使用とともに実施され得る。好ましくは、細胞は、真核細胞または哺乳類細胞である。関心対象の化合物を、全細胞調製物とともにインキュベートし、かつ下記で記載される加熱条件を使用して全細胞とともに加熱し、調製物中の細胞の一部またはすべてを、また下記で記載される、第二の標識が標識ペプチドと反応する工程で溶解する。
下記で説明されるように、上記で記載される本発明は、下記で記載される多様な工程及び特質と組み合わせられ得る。ある特定の実施形態において、本発明は、シグナルを検出することが、(i)変性した及び(ii)変性していない標的高分子の間の差異、そしてそれによりそれぞれ、化合物に結合していない標的高分子と、化合物に結合している標的高分子との間の差異を示す工程を含む。
一実施形態において、方法は、標識ペプチド及びタンパク質標的高分子を含む融合タンパク質であるキメラ分子を調製することを含む。別の実施形態において、方法は、ヌクレオチド結合ドメイン、標識ペプチド、及び標的高分子を含む融合タンパク質を調製することを含む。ヌクレオチド結合ドメインは、DNA結合ドメインであり得る。標的高分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、または脂質分子であり得る。
他の実施形態において、本発明は、(a)(i)標識ペプチドに連結された標的高分子を含むキメラタンパク質を発現する無傷の生存細胞、及び(ii)前記標的高分子への結合について測定されている化合物を含む、流体混合物を調製することであって、前記標的高分子は変性に供される、調製すること、(b)前記標的高分子への前記化合物の結合を可能にする条件下で、工程(a)の流体混合物をインキュベートすること、(c)工程(b)においてインキュベートした後、(i)前記化合物に結合していない変性したキメラ分子と(ii)前記化合物に結合している変性していないキメラ分子との組み合わせ混合物を産生する条件下で、流体混合物中の標的高分子を部分的に変性させること、ならびに(d)組み合わせ混合物と、キメラ分子内の標識ペプチドに結合しかつそれと反応する第二の標識とを接触させて、検出可能なシグナルを形成すること、を含み、(e)工程(d)における検出可能なシグナルは、標的高分子の変性に依存し、かつ化合物とキメラタンパク質内の標的高分子との間の結合特性を示す、化合物と標的高分子との間の結合を測定するための方法である。
他の実施形態において、本発明は、前記部分的に変性させることが、(a)複数回の加熱工程及び加熱工程の間に少なくとも1回の冷却工程、ならびに(b)単一の加熱工程、のうちの1つである工程において、工程(b)において調製される流体混合物を加熱することを含む、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、標的高分子がタンパク質である、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、タンパク質が、標識ペプチドからの遠位末端でタンパク質に連結された不活性外因性ポリペプチド(「IEP」)をさらに含む方法である。タンパク質は、IEP−標的タンパク質−標識ペプチドという配置を有する。他の実施形態において、本発明は、標識ペプチドが、長さが10〜100個のアミノ酸である、上記で記載される方法である。
さらなる実施形態において、本発明は、標識ペプチドが酵素フラグメントであり、かつ第二の標識が標識ペプチドと組み合わさって活性酵素を創出する(すなわち、酵素相補性を創出する)相補的酵素フラグメントである方法を含み、生存細胞を溶解する工程をさらに含む。さらなる実施形態において、本発明は、標識ペプチドが、β−ガラクトシダーゼの酵素フラグメント相補性において活性な酵素ドナー(「ED」)であり、かつ標的高分子であるタンパク質の末端に融合される方法を含む。他の実施形態において、本発明は、EDが配列番号1、配列番号2、または配列番号3である、上記で記載される方法を含む。
他の実施形態において、本発明は、標識ペプチドがエピトープタグである、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、化合物が小分子である、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、小分子が標的高分子上の活性部位に結合するものである、上記で記載される方法である。
他の実施形態において、本発明は、流体混合物を処理する工程が、流体混合物を、(a)25℃〜100℃及び(b)30℃〜60℃のうちの1つである温度に加熱する工程を含む、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、加熱工程が、0.1〜5分間の規定の期間の複数回の加熱工程を含む、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、加熱工程が、混合物に40℃〜60℃の加熱を適用することを含み、かつ0.1〜5分間の時間の複数回の加熱の工程をさらに含む、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、複数回の加熱の工程が、持続時間が10秒間〜2分間の、個々の加熱工程の間に個々の冷却工程を含む、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、3〜10回の冷却工程を含む、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、冷却工程の間の混合物の前記温度が、前の冷却工程における温度よりも大きいままである、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、前記冷却工程が、混合物を積極的に冷却することを含む、上記で記載される方法である。
他の実施形態において、本発明は、変性の工程が、(a)加熱、(b)静水圧、(c)有機溶媒、及び(d)放射線のうちの少なくとも1つを含み、それにより細胞は変性後に無傷のままである、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、有機溶媒がアルコールまたはクロロホルムである、上記で記載される方法である。
さらなる実施形態において、本発明は、工程(a)〜(e)が、前記化合物の種々の希釈を含有する混合物中で繰り返される、工程(a)〜(e)を有する、上記でさらに記載される方法を含む。さらなる実施形態において、本発明は、繰り返される工程(a)〜(e)を使用して標的高分子への化合物の結合についての結合定数(K)を算出し得る、工程(a)〜(e)を有する、上記でさらに記載される方法を含む。
さらなる実施形態において、本発明は、標的高分子が、ブロモドメインタンパク質、タンパク質キナーゼ、ヒドロラーゼ、またはヒストンメチルトランスフェラーゼのうちの1つであるタンパク質である、上記で記載される方法を含む。
他の実施形態において、本発明は、(a)標的タンパク質と、長さが10〜100個のアミノ酸のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントである標識ペプチドとの融合体であるキメラタンパク質を発現する細胞を含む流体混合物を調製することであって、前記流体混合物は、前記標的タンパク質への結合について測定されている小分子化合物をさらに含有する、調製すること、(b)細胞内での標的タンパク質への前記小分子化合物の結合を可能にする条件下で、工程(a)の流体混合物をインキュベートすること、(c)前記化合物に結合していないタンパク質の変性を引き起こし、かつまた前記化合物に結合しているタンパク質の変性をあまり引き起こさない条件下で、工程(b)の流体混合物を加熱することであって、それにより、加熱工程(複数可)の間に変性していないタンパク質上の標識ペプチドと反応するβ−ガラクトシダーゼフラグメントである第二の標識を前記混合物に添加することによって、工程(c)において、前記化合物に結合しているタンパク質からのシグナルを検出し得、前記混合物は溶解した細胞をさらに含む、加熱することを含む、小分子化合物と標的タンパク質との間の結合特性を測定するための方法である。他の実施形態において、本発明は、アッセイ混合物が単一容器内で工程(a)〜(c)を通じて調製される、上記で記載される方法である。これは、いかなる分離工程をも要しない、ホモジニアスアッセイと称され得る。他の実施形態において、本発明は、種々の濃度の化合物を含有する複製試料が調製される、上記で記載される方法である。他の実施形態において、本発明は、標的高分子が、ブロモドメインタンパク質及び酵素のうちの1つである、上記で記載される方法である。
加えて、本発明はキットを含む。さらなる実施形態において、本発明は、構成要素I〜IIIを含む、標的タンパク質への潜在的リガンドの結合を測定するための指示書を含むキットを含み、構成要素Iは、第一のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントに末端で融合した標的タンパク質であり、構成要素IIは、前記第一のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントと相補的であるβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントであり、かつ構成要素IIIは、β−ガラクトシダーゼ酵素基質であり、前記指示書は、(a)(i)第一のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントに末端で融合した標的タンパク質(構成要素I)、及び(ii)標的タンパク質に対する潜在的リガンド、を含有する細胞を含む流体反応混合物を調製すること、(b)工程(a)の反応混合物及び細胞を加熱して、前記標的タンパク質集団の少なくとも一部の画分を変性させること、(c)反応混合液中で、工程(b)の後に、前記混合物に、前記第一のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントと相補的であるβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメント(構成要素II)、及びβ−ガラクトシダーゼ酵素の相補性を示しかつ工程(b)の加熱工程の逆関数として前記潜在的リガンドの結合を示す基質(構成要素III)を添加することによって、工程(b)において変性していない融合タンパク質の量を測定すること、のための指示書を含む。
さらなる実施形態において、本発明は、標的タンパク質がブロモドメインタンパク質及び酵素であり、酵素がタンパク質キナーゼまたはヒストンメチルトランスフェラーゼのうちの1つであり得る、キットを含む。さらなる実施形態において、本発明は、第一のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントが、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のうちの1つと本質的に同一である、キットを含む。さらなる実施形態において、本発明は、前記基質が、発色性、蛍光性、または化学発光性であり、かつ活性なβ−ガラクトシダーゼの存在下でシグナルを生成するが、不活性なβ−ガラクトシダーゼではそうでない、キットを含む。
タグ付けされた高分子(例えば、融合タンパク質及び標識ペプチド)が、どのように、前記タグ付けされた天然高分子に結合する試験化合物の存在下で変性から保護される天然の形態(すなわち、天然の二次及び三次構造)にあるか、それゆえ、保護は、酵素相補性アッセイを用いた結合の検出を可能にする、を示した本アッセイの概略的表現である。 この状況において、試験化合物は、タグ付けされた天然高分子に結合せず、タグ付けされた天然高分子の変性がもたらされ、かつさらにタグ(標識ペプチド)が相補のために使用できなくなるという点を除いて、図1にあるアッセイ原理の概略的表現である。 指示物(基質)とともにインキュベートされ、次いで約45℃で30秒間加熱された、粗細胞抽出物中のBRD4(1)−ProLabel(商標)EDの融合タンパク質のグラフを示している。BRD4(1)に結合する阻害剤が、0〜100uMの間の種々の濃度で添加される。融合体/BRD4(1)の用量応答的な保護は、阻害剤の結合によって達成されることが見られる。BRD4(1)を例証する図のすべてにおいて、使用された構築物は、NFκB DNA結合ドメイン−リンカー−BRD4(1)−リンカー−EDである。融合タンパク質におけるNFκB DNA結合ドメイン配列は、これらの例において積極的な役割を果たさない。 非阻害剤のDMSO(「2」とラベルされる)と、選択的BETブロモドメイン阻害剤であることが知られるJQ1、(6S)−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−酢酸,1,1−ジメチルエチルエステルとを比較したプロットである。見られるように、BRD4(1)の酵素相補性能力は、45〜55℃の温度で有意な量低下し、一方で10uMのJQ1の存在は、BRD4(1)を変性から保護し、かつ酵素相補性は、はるかに少ない程度にしか低下しない。 BRD4(1)へのJQ1結合の存在または非存在下における、45、50、及び55℃でのBRD4(1)の保護も示しているプロットである。矢印で示されるように、45℃での加熱変性からの保護は、25、50、または55℃でよりも有意である。25℃でのインキュベーションは、熱変性を示さない対照として実行された。 602及び604における密集したスポットによって示されるように、遠心分離が実施されるか否かでほとんど差は見られないことを示した、RLU(相対発光単位)のプロットである。 強力なBRD4(1)阻害剤のJQ1(上図)、及び公知のそれほど強力ではないBRD4(1)阻害剤のGW334556X(下図)を用いたリガンド結合アッセイにおける、用量応答関係を示した棒グラフのペアである。粗細胞抽出物中のBRD4(1)−ProLabel(商標)ED融合タンパク質を指示物とともにインキュベートし、かつPCRサーマルサイクラー機械で標的温度に加熱した。星印は、DiscoveRx Corpから入手可能なBROMOscan(登録商標)技術プラットフォームによって測定されるK(解離定数)濃度を示す。これは、本アッセイが、用量応答関係を判定し得ることを示している。ここで観察された変動係数は、1%未満であった。アッセイは極めて再現可能でもある。GW334556Xは、Chung et al.J.Med.Chem.(2012)55:576でさらに記載されている。 図8A、8Bは、パルス変性プロトコールの例を示したグラフのペアである。図8Aは、3分間の期間にわたる高温(45℃)を用いる、1回のサイクルの標準的変性プロファイルを示している。図8Bは、パルス変性プロトコールの例を示したグラフのペアである。図8Bは、40℃の低下した温度で25回のパルスというパルス変性プロファイルを示しており、各パルスは、7秒間という短期の変性パルス時間(すなわち、7秒間である加熱の期間)を表し、PCRサーマルサイクラーは、加熱パルスの後、より低い温度(例えば、周囲温度)に再設定される。 変性サイクルの数に対するアッセイウィンドウを算出した数学的モデルを示したグラフである。それは、アッセイウィンドウが、サイクル数とともに指数関数的に大きくなることを示している。「アッセイウィンドウ」は、x回のサイクル後の、公知のリガンドの非存在下における発光シグナルで除した、公知のリガンドの存在下における発光シグナルとして規定される。モデルは、フォールディングしたタンパク質のごく一部が、各サイクルで変性し、かつ後続のサイクルで再フォールディング/再活性化し得ないと仮定する。モデルは、各サイクルにおいて、公知のリガンドが、タンパク質の50%を変性からレスキューすると仮定する。モデルは、設定点から室温への温度シフトの間に、化合物結合が各サイクルで室温レベルに戻るとも仮定する。化合物結合がタンパク質を変性から保護する程度、及び化合物なし対照の脱変性/変性に対する変性の総量が、アッセイウィンドウを示す。アッセイウィンドウは、ベースラインシグナル(RLU)と、所定の実験における最大シグナルとを比較することによって、ここで提示されるデータから概算され得る。 「標準的」(一定の加熱)プロトコールとパルスプロトコールとを比較したグラフである。パルス変性に対するアッセイウィンドウは、黒丸で示されている。パルスシステムは、白丸で示されている標準的変性と比較して、アッセイウィンドウの増加を経時的にもたらす。「標準的」及び「パルス」プロトコールの両方に関する熱融解アッセイウィンドウを、BRD9−ブロモスポリン相互作用に対して測定した。ブロモスポリンは、Tocris Biosciencesから商業的に入手可能なN−[(6−3−メタンスルホンアミド−4−メチルフェニル)−3−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−8−イル]カルバメートである。 タンパク質試料を、標準的な単一加熱変性工程(「標準的」)にまたは反復の0.5分間加熱パルスに曝露した。45℃の変性温度を両プロトコールに使用した。「総変性時間」とは、タンパク質試料が45℃に曝露される時間の総量であり、そのため、標準的プロトコールを用いた1回の単一の3分間工程(すなわち、パルスなしであるが、一定温度で単一の3分間加熱工程)は、パルスプロトコールを用いた6回の反復の0.5分間工程と同等である。つまり、6回の0.5加熱パルスは、1回の3分間加熱工程に匹敵し得る。 CREBBP(遺伝子ID1387、NCBI)への、種々の濃度で存在するSGC−CBP30(CREBBP/EP300選択的化学的プローブ)の結合について、パルス変性対標準的変性を比較した、RLU(相対光度単位)での種々のシグナルを示したグラフである。SGC−CBP30は、Tocris Biosciencesから商業的に入手可能であり、そして8−(3−クロロ−4−メトキシ−フェネチル)−4−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−9−(2−(モルホリン−4−イル)−プロピル)−7,9−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]ノナ−1(6),2,4,7−テトラエンである。用量応答曲線を、45℃での「標準的プロトコール」を用いてまたは40℃での「パルスプロトコール」を用いて、SGC−CBP30を用いてCREBBPについて測定した。40℃における複数回のサイクルの穏やかな変性は、等温滴定熱量測定法(Picaud et al.“RVX−208,an inhibitor of BET transcriptional regulators with selectivity for the second bromodomain,”PNAS December 3,2013 vol.110 no.49:19754−19759における、等温滴定熱量測定法についての記載を参照されたい)によって測定された0.021μMというKにより近い見かけEC50値をもたらした。穏やかな変性は、46℃であるCREBBPの融点未満である。 ABL1タンパク質キナーゼの7種の阻害剤に対する用量応答曲線を示したグラフである。パルス変性プロトコールにおいて、EDタグ付けされたABL1及び阻害剤を使用して、用量応答曲線を得た。それは、本加熱パルスアッセイによって測定されるように、例えば、試験された1種の化合物であるダサチニブ(N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−[[6−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−メチル−4−ピリミジニル]アミノ]−5チアゾールカルボキサミド、一水和物)は、試験タンパク質であるABL1に1nM濃度で有意な程度結合し、一方でイマチニブ(4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−N−[4−メチル−3−[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]フェニル]ベンズアミド)などの他の化合物は、1nMで有意な効果まで結合しないことを示している。種々の阻害剤の間での極めて有意な差が、容易に視覚化された。 G9aタンパク質メチルトランスフェラーゼの阻害剤であるUNC−0638(2−シクロヘキシル−6−メトキシ−N−[1−(1−メチルエチル)−4−ピペリジニル]−7−[3−(1−ピロリジニル)プロポキシ]−4−キナゾリンアミン、CAS1255580−76−7)に関する用量応答曲線を示したグラフである。パルス変性プロトコールにおいて、EDタグ付けされたG9a及び阻害剤を使用して、用量応答曲線を得た。 酵素フラグメントタグ付けされた関心対象のタンパク質をトランスフェクトされた細胞1106を示した、本アッセイのインセル実施形態の概略的表現であり、細胞は、ペプチド標識(βガラクトシダーゼの小さな酵素フラグメントPL)及び標的高分子を含む融合タンパク質を過剰発現するように改変されている。細胞を、細胞の原形質膜を横断し得る潜在的リガンド1104とともにインキュベートする。化合物は、関心対象のタンパク質への結合について評価されている。次いで、細胞及びリガンドを、上記で記載されるパルス変性に供する。1108に示されるように、細胞内のタグ付けされた高分子(例えば、融合タンパク質/核酸及び標識ペプチド)が試験化合物に結合する程度まで、それは変性から保護され、かつPLはEA(酵素アクセプター、すなわちβ−ガラクトシダーゼの大きなフラグメント)と反応して、ここで示されるように、発光読み出し(「光」)を産生する活性なβ−ガラクトシダーゼ酵素を形成し得る。タグ付けされた高分子が試験リガンドに結合しなかった細胞において(または、試験化合物が原形質膜を横断し得ない場合)、タンパク質凝集体が形成され、シグナルの低下は、基質によってもたらされる。それぞれ1108及び1110に示される結合及び非結合の状態は不均衡の状態で存在し、そして結合曲線は、組換え細胞において発現したタグ付けされた高分子に結合している種々の濃度の試験化合物により構築され得る。本方法を使用して、記載される操作された細胞の原形質膜を横断する試験化合物の能力も評価し得る。これは、生物学的利用能ならびに結合特性に関する情報を提供する。 ABL1チロシンキナーゼへの結合について試験された阻害剤ダサチニブ及びVX−680を使用した、例示的なインセルパルスアッセイを示している。 BRD4(1)ブロモドメインに対する阻害剤JQ1を使用した、例示的なインセルパルスアッセイを示している。 凡例に表示された2つの予備的変性プロトコールを使用し、MTH1ヒドロラーゼドメイン及び阻害剤SCH51344を使用した、例示的なインセルパルスアッセイを示している。 G9aメチルトランスフェラーゼ触媒ドメイン及び阻害剤UNC0638を使用した、例示的なインセルパルスアッセイを示している。
定義
別様に定義されていない限り、本明細書において使用されるすべての技術的及び科学的な用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと同様または同等の任意の方法及び材料が、本発明の実践または試験において使用され得るものの、好ましい方法及び材料が記載される。一般的に、細胞及び分子生物学、ならびに化学に関連して利用される命名法及びそれらの技法は、周知でありかつ当技術分野において一般に使用されるものである。具体的に定義されないある特定の実験技法は、概して、当技術分野において周知である従来の方法に従って、ならびに本明細書を通して引用されかつ記述される様々な一般的な及びより具体的な参考文献に記載されているように遂行される。明確性のために、以下の用語が下記で定義される。
本発明に従って、当技術分野の技能の範囲内にある従来の分子生物学、微生物学、及び組換えDNA技法が採用され得る。そのような技法は、文献において十分に説明されている。例えば、Maniatis,Fritsch&Sambrook,“Molecular Cloning:A laboratory Manual(1982)、“DNA Cloning:A Practical Approach”,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985)、“Oligonucleotide synthesis”(M.J.Gait ed.1984)、“Nucleic Acid Hybridization”(B.D.Hames&S.J.Higgins eds.(1985))、“Transcription and Translation”(B.D.Hames&S.J.Higgins eds.(1984))、“Animal Cell Culture”(R.I.Freshney,ed.(1986))、“Immobilized Cells and Enzymes”(IRL Press,(1986))、B.Perbal,“A Practical Guide to Molecular Cloning”(1984)を参照されたい。
本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、「a」、「an」、及び「the」という単数形態は、文脈上はっきりと別様に記されていない限り、複数の指示対象を含むことに留意される。特許請求の範囲は、いかなる任意の要素も除外するように作成され得ることにさらに留意される。そのため、この明記は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連した「だけ」、「のみ」、及び同類のもののような排他的術語の使用、または「消極的」限定の使用に対する先行する基礎として働くことを意図される。
値域:簡潔性のために、示される任意の値域は、別様に明記されていない限り、明記された値域内の任意の部分域を含むことを意図される。非限定的な例として、2分間〜8分間という値域は、3〜4分間、2〜7分間などを含む。40〜45℃という温度域は、41〜45℃、42〜43℃などを含む。「約」という用語は、およそというその通常の意味を有し、かつ実験的変動性によって文脈において決定され得る。疑念がある場合には、「約」という用語は、明記された数値のプラスまたはマイナス5%を意味する。
本開示を読めば当業者に明白であろうように、本明細書において記載される及び例証される個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特質から容易に分離され得るまたはそれと組み合わせられ得る個別の構成要素及び特質を有する。任意の列挙される方法は、列挙された事象の順序で、または論理的に可能である他の任意の順序で実施され得る。
本明細書において使用される「ペプチド」という用語は、一方のアミノ酸のα−カルボキシル基と別の基のα−アミノ基との間のアミド形成によって産生される任意のポリマー化合物を指す。本明細書において使用するとき、ペプチドは、高分子に連結された二次構造(すなわち、ループ)をほとんど有しないまたは有しない、比較的小さなサイズの及び融合体を検出するための、標識ペプチドであり得る。
本明細書において使用される「タンパク質」という用語は、約50個を上回る数の残基の特異的配列のポリペプチドを指す。すべてのタンパク質はペプチドであるものの、「ペプチド」という用語は、一般的にタンパク質のフラグメントを指し、「融合タンパク質」という用語は、融合タンパク質、及びペプチドとの融合体(標識ペプチド、例えばEDとの融合体など)の両方を指すために使用される。本アッセイに関連して、調査中のタンパク質は、全長のタンパク質配列である必要はないことが理解されるであろう。標的高分子は、実際、調査中のドメインを単離するために切り取られている、より容易な取り扱いのために改変されているなどのタンパク質であり得る。ゆえに、本アッセイにおけるタンパク質フラグメントは、単純さのために、「タンパク質」と称される。
本明細書において使用される「融合タンパク質」という用語は、2つまたはそれを上回る数のタンパク質/ペプチドから遺伝子操作により創出されたタンパク質を指す。一般的に、これは、融合タンパク質をコードする核酸である「融合遺伝子」を創出することによって達成される。例えば、融合タンパク質をコードする融合遺伝子は、第一のタンパク質をコードする第一のDNA配列から終止コドンを除去し、次いで第二のタンパク質をコードするDNA配列をインフレームで付け加えることによって作製され得る。結果として生じた遺伝子配列は、次いで、単一融合タンパク質として細胞によって発現される。融合タンパク質は、融合タンパク質の各ドメインの適当なフォールディング及び活性を促進し得るリンカー(または「スペーサー」)配列を含み得る。融合タンパク質は、同定(例えば、ウェスタンブロット、免疫蛍光法などにおける)及び/または精製のためのエピトープタグ(標識ペプチド)も含み得る。現在使用中のエピトープタグの非限定的な例には、HA、myc、FLAG、及び6−HISが含まれる。これらの公知のエピトープタグは、モノクローナル抗体、すなわち、標的高分子に付着されたエピトープタグに結合する第二の標識によって特異的に検出され得る比較的短いペプチドである。
分子が、同じポリペプチド鎖内で通常一緒に見い出されない2種の配列を含有する場合、融合タンパク質は「キメラ」である。キメラ分子は、標的高分子及び標識ペプチドを含む単一ポリペプチド鎖など、2種の異なるポリマーの融合体も含有し得る。キメラ分子は、標的高分子に化学的に連結された標識ペプチドも含有し得る。定義されるキメラ分子は、標識ペプチドに連結されたまたは融合された標的高分子を含有し得、さらに、前記標的高分子は、部分的な変性及び検出が実施される場合、標的高分子の有効濃度を増加させるために使用される第三のポリペプチドに融合されるまたは連結される。
本発明の目的上、アッセイにおいて使用されるタンパク質は、しばしば薬物標的としての関心対象のヒトタンパク質であり、そして活性形態で及び公知のタンパク質結合部位を含有して、組換え方法によって調製される。しかしながら、「タンパク質」についての本定義は、全長タンパク質ではないが、必須の二次及び三次構造を有しかつ関心対象の化合物への結合部位を有する充分な構造のフラグメントのみを含有する、タンパク質のフラグメントを特異的に含む。
本明細書において使用される「標的高分子」という用語は、変性し得る様々な高分子を指す。つまり、それらは、加熱または代替的に他の作用物質によって排除され得る二次または三次構造を有する。それらは、例えばDNA、RNA、及び/またはタンパク質(タンパク質ドメインなどのタンパク質フラグメントを含む)である。ある場合には、「高分子」は、それが、架橋、水素結合などによって厳格に規定される天然の三次元構造を有するという条件で、全長タンパク質と比べて比較的小さなMWのものであり得る。例えば、ノッチン小ペプチドは、本アッセイによって測定され得る厳格な規定の三次構造を有する。「高分子」という用語は、規定の三次構造を有するポリヌクレオチド、ポリペプチド、または複合炭水化物を指す。例えば、グリカンは、しばしば糖タンパク質または糖脂質として存在し、非常に複雑な構造を形成する。哺乳類では、オリゴ(最高約12モノマー)及び多糖の形態の糖抱合体を構築することにおいて、10個の単糖が利用される。本「高分子」は、そのような三次元構造をかなりの部分破壊することによって変性し得るものである。「標的」高分子とは、第三の分子、典型的には小分子または他の薬学的な薬物候補に特異的に結合し得る高分子である。本アッセイにおいて使用される標的高分子は、精製され得る、細胞抽出物中に存在し得る、または他の形態にあり得る。標的高分子は、天然に特異的結合パートナーを有し得、そして小分子は、この結合を標的にすることを意図される。
「小分子」という用語は、当技術分野において認められており、そして約2000amu未満または約1000amu未満、及びさらに約500amu未満の分子量を有する組成物を指す。小分子は、例えば核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド核酸、ペプチド模倣体、炭水化物、脂質、または他の有機的(炭素含有)もしくは無機的な分子であり得る。多くの製薬会社は、本発明のアッセイのいずれかによりスクリーニングされ得る化学的及び/または生物学的な混合物、しばしば真菌、細菌、または藻類抽出物の広範なライブラリーを有する。「有機小分子」という用語は、有機的または医薬的な化合物であるとしてしばしば同定され、かつ核酸、ペプチド、またはポリペプチドを含有する分子を含まない、合成のまたは精製された天然の小分子を指す。
本明細書において使用される「結合」という用語は、細胞内または溶液中のタンパク質への小分子、タンパク質、または化合物の結合を指す。「結合パートナー」または「結合ペアのメンバー」という用語は、他の分子に特異的に結合して、抗体−抗原、レクチン−炭水化物、核酸−核酸、ビオチン−アビジンなどの結合複合体を形成する分子を指す。とくに好ましい実施形態において、結合は、主に非共有性(例えば、イオン性、疎水性など)相互作用によって仲介され、そして小分子とその標的との間、及び/または細胞過程中に互いに特異的に結合する2つのタンパク質間にある。
「酵素フラグメント相補性(EFC)」という用語は、下記で説明されるように、それが、EAまたは酵素アクセプターまたは第二の標識と称される別の酵素フラグメントと複合するまで酵素的に活性ではない、標識ペプチドまたはED(酵素ドナー)と称され得る1つの酵素フラグメントの使用を伴う。ED及びEAという用語は、β−ガラクトシダーゼに関して使用される。しかしながら、EFCまたは標識ペプチドという用語は、β−ガラクトシダーゼ系に限定されるわけではない。EFCとは、活性酵素を形成する酵素フラグメントの組み合わせ、それに続く、一般的に比色分析法、蛍光分析法、または化学発光法による、加水分解産物の測定によるその活性の検出を記載するための総称である。それは、検出システムの一部として、酵素代謝回転により増幅工程を提供するという利点を有する。
例証として、ジヒドロ葉酸レダクターゼまたはベータ−ラクタマーゼのいずれかに基づくEFCアッセイは、生細胞において、薬物ラパマイシンのその標的に対する効果を定量化するために(Remy,I.and Michnick,S.W.,Clonal Selection and In Vivo Quantitation of Protein Interactions with Protein Fragment Complementation Assays.Proc Natl Acad Sci USA,96:5394−5399,1999、Galarneau,A.,Primeau,M.,Trudeau,L.−E.and Michnick,S.W.,A Protein fragment Complementation Assay based on TEM1 β−lactamase for detection of protein−protein interactions,Nature Biotech.20:619−622,2002)、及びサイクリックAMP応答エレメント結合タンパク質CREBの2つのドメインのリン酸化依存的相互作用を調査するために(JM Spotts,RE Dolmetsch,&ME Greenberg,2002,Time−lapse imaging of a dynamic phosphorylation−dependent protein−protein interaction in mammalian cells,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:15142−15147)使用されている。
本明細書で有用なEFCの別の例は、Promega NanoBiT(商標)である。この技術は、構造的安定性、及び強く定常な生物発光シグナルを生成し得る能力のために操作された小さな(19kDa)ルシフェラーゼ酵素であるNacoLucを採用する。詳細は、Dixon et al.,“NanoLuc Complementation Reporter Optimized for Accurate Measurement of Protein Interactions in Cells,”ACS Chem.Biol.、受理されたばかりの原稿、公開日(ウェブ):2015年11月16日に記載されている。設計によって、NanoBiTサブユニット(すなわち、1.3kDaペプチド、18kDaポリペプチド)は、発光複合体へのそれらの会合が、それらが付け加えられる標的タンパク質の相互作用特徴によって記されるように弱く結び付く。
「標識ペプチド」という用語は、本質的に二次構造(すなわち、ランダムコイル)を有しない、そしてそれに融合したタンパク質またはタンパク質フラグメント(例えば、標的ペプチド)の検出のための標識として機能し、かつそれが融合される標的ペプチドの安定性に対する影響を本質的に有しないペプチドを意味する。標識ペプチドは、一般的に、長さが100個未満のアミノ酸である。それは標識としてそれ自身が機能し得る、またはそれは抗体認識のためのエピトープを提供し得る。下記で説明されるように、標識ペプチドは、標識ペプチドの融合パートナーの安定性に影響を及ぼさないように選択される。
「ED」という用語は、当技術分野において公知であるように、β−ガラクトシダーゼ酵素フラグメント相補性アッセイにおける使用のための酵素ドナーフラグメントを意味する。EDの例が下記に示される。配列番号1〜3のうちの1つと「本質的に同一」であるEDは、最高2個のアミノ酸変更を除いて、100%同一である。
「EA」という用語は、当技術分野において公知であるように、β−ガラクトシダーゼ酵素フラグメント相補性アッセイにおける使用のための酵素アクセプターフラグメントを意味する。
「変性」という用語は、その従来の意味において、タンパク質、核酸、または他の高分子もしくは高分子構造体(例えば、リボソーム)が、それらの四次構造、三次構造、及びまたは二次構造を少なくとも部分的に喪失する過程を指すために使用される。本方法におけるこの天然状態の喪失は、強い酸もしくは塩基、濃縮した無機塩、有機溶媒(例えば、アルコールまたはクロロホルム)、放射線、または加熱など、何らかの外部ストレスまたは化合物の適用によって生じる。本明細書で使用される用語は、混合物中の分子(例えば、タンパク質)のほんの一部のみが変性される部分的変性を特異的に含む。タンパク質変性を指すタンパク質「融解」という用語も、本明細書において使用される。公知であるように、融解温度(Tm)は、タンパク質変性調査により決定され得る。詳細に関しては、US2013/0217137を参照されたい。
「パルス変性」という用語は、1回を上回るサイクルの短い加熱パルスの適用によるタンパク質または核酸の変性、その後に室温でのまたは室温を下回る温度での短い再平衡が続く過程を指す。「温和な温度」とは、加熱されている高分子の融解温度よりも少なくとも約5℃低い温度であると見なされる。タンパク質融点は、下記で言及される例えばUS20140057368にあるように、公知の方法によって決定され得る。パルス変性プロトコールは、所定の工程において少量の変性(5%〜10%)を引き起こし得る。しかしながら、変性は複数回のサイクルにわたって累積的であり、そしてパルスが適用された後に80%またはそれを上回る割合の変性に達し得る。例として、パルス変性プロトコールは、15〜20秒間の冷却パルスによって分離された、37〜50℃で5〜10秒間の10〜70回のパルスを含み得る。下記で示されるように、パルス変性は、1回のサイクルで変性したタンパク質の画分が、冷却された場合でもまたは付加的なパルス変性工程があっても再フォールディングしない条件下で実施され得る。
「タンパク質変性」という用語は、二次及び三次構造の両方の分断及び考え得る破壊を伴う、タンパク質の変性を指す。
変性は、タンパク質における通常のαヘリックス及びβシートを分断し、かつタンパク質の沈殿または凝固をもたらすランダム形状にそれをほどく。タンパク質の変性は、それらの生物学的な機能及び/または活性の喪失をもたらす。変性は、強い酸もしくは塩基、濃縮した無機塩、有機溶媒、放射線、加熱、または冷却など、何らかの外部ストレスまたは化合物によって生じ得る。変性は完全または部分的であり得るが、本目的上、不溶性を引き起こすのに充分である。タンパク質の圧力変性は、例えばJohnson et al.,“Pressure and Protein Denaturation,”J.Biol.Chem.1946,163:689−698に記載されている。Frick,“Effect of Ionizing Radiation on Protein Denaturation,”Nature 169,965−966(07 June 1952)は、タンパク質の溶液を変性させるための電離放射線の使用を記載している。
「不活性外因性ポリペプチド」または「不活性外因性ポリペプチド配列」という用語は、アッセイにおける結合事象に参加せずにまたは影響を及ぼさずに、融合タンパク質に付加的配列を提供するために付加される、本方法において使用されるキメラタンパク質で発現するように操作された配列を指す。それは、キメラタンパク質の変性を変調するために使用される。このポリペプチドは、任意の長さ、例えば20〜1000個のアミノ酸長のものであり得、そして人工的にコードされない限り、それは融合タンパク質の一部ではなく、かつさらに、それは第二の標識へのペプチド標識の結合に参加しないという意味において外因性である。加えて、それは、関心対象の化合物に結合しない。
「熱安定性」という用語は、高い相対温度におけるその化学的または物理的な構造の不可逆的変化に抵抗する、タンパク質などの高分子の質を指す。
「サーマルシフトアッセイ」という用語は、精製されたタンパク質が特定の温度で変性しかつアンフォールディングするという、及びタンパク質へのリガンドの結合が、タンパク質を熱的に安定化するという原理に基づくアッセイを指す。様々なサーマルシフトアッセイを実施することに関するさらなる詳細は、Nordlund,US20140057368,“Methods for determining ligand binding to a target protein using a thermal shift assay”に見い出され得る。そこで記載されるように、そのようなアッセイは、精製されていない試料を用いて実施され得る。
「ホモジニアス」という用語は、その標準的な意味において、分離工程を要しないアッセイの形式及び方法を指すために使用される。これは、アッセイ中に分離または洗浄工程によって試料を加工する必要なく、単純な混合及び読み取り手順による結果の測定を可能にする。
概観
リガンド結合がタンパク質を熱変性から保護することは十分に確立されており、そしてこの概念は、細胞及び溶液環境の両方において薬物−標的相互作用を測定するために活用されている(「Cellular Thermal Shift Assay」、「CETSA」)(Science(2013)、上記で引用)。CETSAは、変性したタンパク質が、遠心分離によって除去され得る複合体に凝集するという原理に基づいており、そしてこの同じグループ及び他のグループによる後続の刊行物は、この概念が、細胞内タンパク質及び内在性膜タンパク質の両方に適用され得ることを示している(Reinhardt et al.,“Thermal proteome profiling monitors ligand interactions with cellular membrane proteins,”Nature Methods 12,1129−1131(2015)を参照されたい)。そこでは、培養ヒト細胞において膜貫通タンパク質−小分子相互作用を検出するための拡張した熱プロテオームプロファイリングが記載されている。彼らが、ATP結合プロファイルに対する界面活性剤の効果を査定した場合、著者らは、ATP結合膜貫通タンパク質に対する変性温度のシフトを観察した。アリコートは、種々の温度に加熱され、消化され、10プレックスタンデム質量タグ(TMT10)で標識され、かつ質量分析によって分析された。
本方法を使用して、Huber et al.,“Proteome−wide drug and metabolite interaction mapping by thermal−stability profiling,”Nature Methods 12,1055−1057(2015)に記載されるものなど、他の結合相互作用を測定し得る。そこでは、著者らは、定量的質量分析と組み合わせて、手法が細胞代謝産物及び薬物によるタンパク質関与の系統的検査を可能にすることを示している。著者らは、無傷細胞において、薬物メトトレキサート及び(S)−クリゾチニブの標的、ならびに代謝産物2’3’−cGAMPをプロファイリングし、そして免疫シグナル伝達に関与する2’3’−cGAMP同族膜貫通受容体STINGを同定した。
しかしながら、この先行技術の方法は、変性−凝集したタンパク質を、非実用的な高重力の遠心分離工程によって除去すること、ならびにリガンド結合によって高温で保護される可溶性タンパク質を、ウェスタンブロット、ELISA、及び質量分析などの煩雑で比較的不正確でかつ低い線形ダイナミックレンジのアッセイによって定量化することを要することに留意すべきである。ほとんどの報告されたCETSAデータは、所定の細胞株または組織に天然のレベルで存在する天然に発現したタンパク質に関して収集されている。しかしながら、少なくとも1つの報告において、緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合体として発現した膜タンパク質が記載されている[Structure 20,1293−1299,August 8,2012]。この調査において、融合タンパク質のGFP構成要素は、分析的サイズ排除クロマトグラフィーの間にタンパク質を検出するために使用され、そしてタンパク質の構造状態を直接査定するために使用されなかった。
本発明は、関連特許出願として本明細書において引用される、「Homogeneous Thermal Ligand Binding Assay」と題された、本発明者らによる特許出願に関係する。それは、加熱変性後のリガンド保護された標的タンパク質の検出のための、β−ガラクトシダーゼに由来する短い「酵素ドナー」(ED)ペプチドに融合した組換え標的タンパク質を使用するための生化学的(細胞内ではなくインビトロ)方法を記載している。EDペプチド(別名、ProLabelまたはPL)は、β−ガラクトシダーゼ酵素アクセプター(EA)タンパク質の単純な付加によって、ホモジニアスアッセイにおいてフェムトモル濃度で検出され得、それは、EDをトランスで相補し、堅牢なβ−ガラクトシダーゼ酵素活性につながる(酵素フラグメント相補性(EFC))。この検出システムは、高感度であるだけでなく、4〜5桁の線形ダイナミックレンジも有する。加えて、熱誘導されたアンフォールディングにより変性/凝集するED標識タンパク質は、EAを相補するには有意に能力が低く、ゆえにこの形式では活性が低い。そのため、ED標識タンパク質を用いると、上記で引用されたScience論文において要された非実用的な遠心分離工程は要されず、免疫アッセイまたは質量分析に基づく読み出しも要されない。さらに、本発明者らのシステムにおけるEDタグは、検出タグでありかつタンパク質のフォールディング状態も報告する両方のため、本発明は、単に検出タグとして作用するGFP融合体の使用(上記の引用を参照されたい)とは区別される。
組換えED標識タンパク質の使用(精製されたまたは粗細胞抽出物中での、及び潜在的には細胞環境内での)は、ゆえに、現在の熱変性に基づくリガンドスクリーニング法に対して、上記で記載される手順的障害のすべてに対処する:1.不純物がないタンパク質の必要条件なし、2.低い標的タンパク質濃度が要される(<10nM)、3.アッセイの単純さ、感度、ダイナミックレンジ、及び正確性(ホモジニアスEFC反応対免疫アッセイ)、4.アッセイ処理能力(遠心分離工程または免疫アッセイを要されない)。
本明細書において記載される方法は、細胞環境において、タンパク質などの標的高分子に適用され得る。つまり、標的高分子は、細胞(または組織における細胞)、好ましくは哺乳類細胞の内部で発現し得、次いで化合物は、無傷状態の細胞に曝露され得る、すなわち無傷の原形質膜を横断する。試験化合物の存在下での加熱変性の本方法は、標的分子及び化合物が生細胞内に含有されると同時に実施され得る。細胞「内」という用語は、細胞の完全に内側、例えば細胞質ゾル、核、内膜などにある標的高分子、または細胞の原形質膜に付着している高分子を指すために広く使用される。この場合、標的分子は、細胞外ドメインを有し得る。「InCELL Pulse」(商標)システムという名前で商業的に開発されつつある本方法は、図14〜18に例示されるように、酵素相補性のサーマルシフトを生み出すための細胞の加熱を含む。InCELL Pulseシステムは、ED−酵素フラグメント(例えば、PL)融合体として発現した細胞質標的タンパク質ドメインへの小分子リガンドの細胞内結合を定量的に検出し得、そしてキナーゼ、ブロモドメインタンパク質、メチルトランスフェラーゼ、及びヒドロラーゼを含めた複数の標的クラスを用いて実証されている。本方法は、標的関与を達成するために、試験リガンドの細胞透過が要され得るまたは要され得ない内在性膜タンパク質にも適用され得る。
さらに、本実施例13〜16は、本明細書における前の実施例において使用される一連の短い加熱パルス(パルス変性)とは対照的に、単一の加熱パルスを使用する。また、この技術の無細胞の生化学的適用(例えば、実施例8〜11)は、NFκB DNA結合ドメインへの標的タンパク質のN末端融合の使用によって実証されている(実施例は示されず)。追加のアミノ酸配列の付加(下記で「不活性外因性ポリペプチド」と称される)は、ある場合にはアッセイ性能を増強する。NFκB部分は、細胞アッセイ(例えば、実施例13〜16)に対してよりも、無細胞アッセイ(例えば、実施例8〜11)に対してより重大であり得るが、おそらく一部のInCELL Pulseアッセイにおいて有益性を有するであろうと予想される。不活性外因性ポリペプチドは標的高分子(タンパク質)のN末端に連結され得、かつ標識ペプチドは標的高分子のC末端に連結され得る。
本方法は、化合物と標的高分子との間の結合特性をモニターしかつ測定する。それは、タンパク質などの高分子を、アンフォールディングによる変性及び凝集から保護する小分子などのリガンドの公知の能力を活用し、そして本方法が、全細胞、例えばキメラタンパク質をトランスフェクトされている哺乳類細胞の内部のリガンドの評価に適用され得ることを示している。先行技術の方法は、高重力の遠心分離工程及び低感度の読み出しを要している。β−ガラクトシダーゼ酵素フラグメント相補性の使用によって例示される本方法は、高分子に融合した小ペプチド(100個未満のアミノ酸)を利用する。小ペプチドは、DiscoveRx Corporation,Fremont CAから商業的に入手可能なProLabel(商標)(「ED」)という公知の酵素ドナーであり得る。酵素フラグメント相補性は、高感度で簡便な包括的な読み出しを提供する。さらには、アッセイは、ホモジニアス形式で実施され得、これは、試薬の物理的分離が要されないことを意味し、濾過、デカンテーション、遠心分離などの必要性を排除する。本発明は、多数のリガンド結合アッセイに広く適用可能である。
リガンドは、典型的に、熱変性、及び流体中での浮力または安定性の結果的な喪失の影響を受けやすい高分子である標的分子への結合特性について調査中である小分子であり得る。結合特性は、競合因子の存在下でまたは種々の標的高分子の下で測定され得る。本発明は、BRD4(ブロモドメイン含有タンパク質4)の調査によって例証されるが、それによって限定されるわけではない。本明細書で実証されるように、本発明は、以下を提供する:
1.包括的なホモジニアス直接リガンド結合アッセイ、
単純で迅速な方法(洗浄、濾過、または遠心分離の工程なし)
−タンパク質精製を要しない
−蛍光標識または抗体なし
−<10nMで存在する標的タンパク質(インビトロの実施形態)
−DiscoveRx所有の酵素フラグメント相補性(EFC)技術を活用する
2.BRD4(1)作業例
−非常に正確(CV%(変動係数)中央値 約0.5)、突出したシグナル対ノイズ比
−高い及び低い効力の阻害剤に対する正しい順位
3.適用
−ハイスループットスクリーニング(384ウェル適合性)
−ヒット確認&効力順位
4.標的クラス
−ブロモドメイン、薬学的関心対象のタンパク質(キナーゼ、Gタンパク質共役受容体、メチルトランスフェラーゼ、RAS、MAPK、及びMSK1シグナル伝達分子、核内受容体、イオンチャネル、メチルトランスフェラーゼ、ヌクレオシドヒドロラーゼなど)。好ましい標的クラスは、ヒト薬物標的である。
本方法は、冷却によって分離された一連の加熱パルスを用いても実施され得る。タンパク質と(潜在的)リガンドとの上記で記載される混合物に適用される加熱は、上記で記載されるように、タンパク質を変性させる働きをし、結果として生じた活性は、図1及び2に示されるように測定され得る。つまり、記載される方法は、タンパク質試料(+/−リガンド)が、温和な温度での数回のサイクル(例えば、10〜200回のサイクル)の短い加熱パルス、それに続く室温またはそれを下回る温度での短い再平衡に供されるパルス変性プロトコールを含み得る。これらの「パルス」プロトコールは、標準的なプログラム可能なサーマルサイクラー機器類を使用することによって容易に実施される。本方法は、高い変性温度及び長い変性時間を回避し、それゆえ阻害剤結合の検出のための方法の感度を増加させる。本教示を考えて、最適な加熱時間、冷却時間、冷却温度、及び加熱温度をルーチン的に決定し得る。これらは、調査中の標的高分子の生物物理学的特性に基づき、それには、分子の50パーセントがアンフォールディングしている温度(この温度は融解温度またはTとして知られる)が含まれる。考慮される他の因子は、試験化合物の予想親和性、調査中の濃度などであろう。
全般的な方法
他の高分子の中でも、タンパク質は、製薬産業において最も調査されかつ最も標的にされる高分子の1つである。タンパク質、それらの構造、それらの化学、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−試験化合物相互作用、及びタンパク質が参加する生物学的経路を調査するための、ならびに関心対象のタンパク質への小分子結合を決定するための、いくつかの手法が設計されかつ考案されている。しかしながら、タンパク質はいくつかの因子による分解または凝集の影響を受けやすいため、これらすべての過程及び測定は、タンパク質が安定でありかつ活性を有することを要する。
タンパク質などの高分子は、高温に曝露された場合に変性し、それらの沈殿及び凝集につながる。高分子への化合物の結合は、その熱安定性を増加させ得、それゆえに、その熱安定性を測定することによって化合物への標的高分子結合を測定し得る結合アッセイのために探求され得る。ゆえに、タンパク質などの高分子の活性部位またはアロステリック部位に結合する化合物は、複合体を形成しかつその熱安定性に影響するであろう。これは、より高い温度でさえ安定である化合物につながるであろう。公知のように、サーマルシフトアッセイは、標的タンパク質の熱安定性、及び前記タンパク質へのリガンドの結合があり次第の後続のタンパク質融解温度の増加を測定する。いくつかのアッセイは、タンパク質の熱安定性を調査しかつバッファー条件、リガンド、補因子、薬物、及びこの安定性に影響を及ぼす他の化合物を調べて、タンパク質複合体を同定しかつそれらをさらに特徴付けするように設計されている。サーマルシフトアッセイを使用して、標的タンパク質へのリガンド結合を測定する代替的な形式も開示されている。前記アッセイは、低濃度でさえ、精製された及び精製されていないタンパク質試料の両方に働く。しかしながら、前記アッセイは、変性した沈殿したタンパク質を遠心分離によって除去し、かつ安定化したタンパク質を、ウェスタンブロットまたはELISAなどの低いダイナミックレンジの免疫アッセイによって定量化することを要する。
ゆえに、抽出物、細胞、及び組織においてリガンド結合を判定するための、単純で高感度でハイスループットでかつ正確な読み出しアッセイの欠如がなおもある。
本発明は、リガンド高分子相互作用を判定するホモジニアス結合アッセイ、及びさらに、これらの相互作用が前記高分子の安定化をどのようにもたらすかを開示する。より具体的には、本発明は、リガンドタンパク質相互作用を判定するホモジニアス結合アッセイ、及びさらに、これらの相互作用が、加熱ストレス下で前記タンパク質の安定化をどのようにもたらすかを開示する。
ここで図1及び図2を参照すると、二次または三次構造を有する高分子101を、酵素フラグメントであり得かつタンパク質高分子との融合タンパク質であり得るタグ102に化学的に連結させる。試験化合物104を、試験化合物が、評価されている特異的認識で天然高分子に結合するのを可能にするであろうバッファー及び物理的条件下で、タグ付けされた天然高分子と流体環境中で混合する。非特異的結合は、バッファー条件によって最小限に抑えられる。バッファーは、低濃度の界面活性剤(0.05% Tween20)を含有し得る。非特異的結合はまた、非特異的結合を妨げる粗抽出物中の他のすべてのタンパク質が理由で最小限に抑えられる。関心対象の結合は、一般的に、特異的な高親和性結合のものである。試験化合物は、リガンドを受け取りかつそれに結合する天然に設計された特異的結合部位へ結合し得る。106に示されるように、このインキュベーションの間に、試験化合物を、標識ペプチドに連結された標的高分子を含むキメラ分子に結合させる。矢印108に示されるように、加熱変性工程を混合物中の構築物に適用する。次いで、矢印110に示されるように、相補的酵素フラグメント112は混合物に添加され、かつ試験化合物の結合によって変性が最小限に抑えられた高分子上のタグ102を相補する。114に示されるように、酵素基質または基質混合物を、混合物中に見い出される活性酵素に添加し、そして発光反応を標準的な光学法を使用して読み取る。
図2では、図1の略図の帰結が示されている。ここでは、図1のものと同様の条件下で、試験化合物104は高分子101に結合しない。208における加熱変性処理は、混合物中の高分子に、凝集した塊210を形成させる。凝集は、変性の程度とともに増加する。ゆえに、酵素フラグメント112が110で添加された場合、工程214で表示されるように、活性酵素は産生されないまたは最小限の活性酵素が産生される。高分子の一部分またはすべての変性は、それらのタグ102を有効に隔離し、混合物からのシグナルを低下させる。
図1及び図2の過程は、両方とも、同じ混合物及び反応において同時に生じ得る。結合の程度は、種々の濃度の下で及び/または結合阻害剤の非存在もしくは存在下で測定され得る。この場合、「試験化合物」は公知の結合因子であり得、そして評価は試験阻害剤のものである。
高分子
本発明は、EFCまたは蛍光タンパク質相補性を使用した、加熱ストレス及び変性の後に高分子−リガンド相互作用を検出するためのアッセイシステムを提供する。試験される高分子は、概して大きな分子であり、そして典型的により小さなサブユニット(アミノ酸及びヌクレオチド)の重合によって創出される。関心対象の高分子には、規定の三次元構造を有するポリ核酸、タンパク質、及び炭水化物が含まれる。本高分子は、外部化合物、放射線、または加熱などの何らかの外部ストレスの適用によって、それらの四次構造(サブユニット)、三次構造、及び/または二次構造を変性させる、すなわち喪失する。
標的高分子は、標的高分子の小分子アゴニストまたはアンタゴニストなどによる、化合物結合に対する関心対象の全長タンパク質またはタンパク質ドメインであり得る。標的高分子は、組換えDNA法によってキメラ形態で調製される。キメラタンパク質は、標的高分子のアミノまたはカルボキシ末端に位置するペプチド標識を含み得る。加えて、標的高分子は、アッセイにおいていかなる結合活性も有しない不活性外因性ポリペプチド配列にさらに融合され得るが、部分的に変性される対象となる標的高分子に対して付加的アミノ酸配列(質量)を提供する。例えば、「Detectable nucleic acid tag」と題された米国特許第9,110,054号の表1に記載されるNF−κB DNA結合ドメイン(その文献における配列番号5)は、標識ペプチドを含有する末端とは反対の末端で標的高分子に好都合に融合され得る。NF−κB結合アミノ酸配列は、特異的DNA配列に結合し、かついかなる小分子薬物候補にも結合しないことが知られている。他の不活性外因性ポリペプチド配列は、標的ポリペプチド内にクローニングされ得かつ使用され得るが、それらが、試験化合物、標識ペプチド、または標的高分子と相互作用しないことが知られているという条件でクローニングされ得かつ使用され得る。
標識ペプチド
標識ペプチドは、他の適用の中でも、高分子安定性、高分子への化合物結合、化合物高分子結合の阻害剤、及びアロステリック変調因子の検出に役立つ標的高分子に付着される。いくつかの標識部分を使用して、リガンド高分子結合を検出し得る。β−ラクタマーゼに由来するβ−ラクタマーゼ相補レポーターサブユニットを構築し得かつ利用し得る。相補β−ラクタマーゼの活性は、蛍光ドナー部分及びクエンチャーを含む、当技術分野において開発されたβ−ラクタマーゼに対する基質を使用して検出され得、付着した基は、基質が細胞に入った後に加水分解で外される。1996年10月3日に公開されたPCT WO96/30540に記載されるように、蛍光エネルギーは、ドナーとクエンチャーとの間で移動し、次いでβ−ラクタマーゼ活性の指示物としてモニターされ得る。
緑色蛍光タンパク質(GFP):前記タンパク質は海洋生物から単離され、そして青色からUV域にある光に曝露された場合に明るい緑色蛍光を呈する。GFPは、関心対象のタンパク質にタグ付けされ、前記タンパク質の熱安定性に影響を及ぼす化合物に結合すると、次いで蛍光顕微鏡を使用して測定され得る融合タンパク質を作り出す。
発色性ペプチド基質におけるペプチドp−ニトロ−アニリンのアミド連結の酵素的切断が、発色団p−ニトロアニリンの放出をもたらす、発色性ペプチド基質も使用され得る。反応は、分光学的にモニターされ得る。
他の標識部分には、rasに基づくリクルート系(RRS及びSOS)、酵母ツーハイブリッド系などの融合タンパク質に基づく系におけるものが含まれる。標識部分は、任意の適切な方法を使用して関心対象の高分子に共役され得る。標識部分は、直接的にまたはリンカーを介して、関心対象の高分子に連結され得る。ベータ−グルクロニダーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、及びβ−ガラクトシダーゼなど、直接的または間接的に、検出可能な反応産物への基質の転換を触媒し得る酵素も、標識部分として使用され得る。
β−ガラクトシダーゼ(β−gal)は、E.ColiのlacZ遺伝子によってコードされ、そして標識ペプチドとして作用し得る。酵素活性は、生細胞フローサイトメトリー及び発色性基質を用いた組織化学的染色を含めた種々の方法によってモニターされ得る。β−gal酵素及びそのフラグメント(米国特許第4,708,929号を参照されたい)は、いくつかの特徴を有することが要される。フラグメントは、基質の存在下で存在する1つのみのフラグメントによるバックグラウンドが、たとえあったとしてもわずかしかないという点において、個々に実質的に不活性である。第二に、フラグメントは、例えばフラグメントに融合した実体による他の結合の非存在下で、フラグメントが組み合わさって活性酵素を提供すると考えられる、互いに対する充分な親和性を有する。小フラグメント(「ED」または「PL」)は、人工的に設計され得、そしてそれが融合する遺伝子またはタンパク質の生物学的活性に干渉しないであろう。結果として生じた融合タンパク質は、本明細書で判定されているように、適正にフォールディングし、かつ酵素活性、他のタンパク質への結合活性、移行能などを含めた、活性の部位を保持すると考えられる。EDは、通常少なくとも約37個、通常少なくとも約40個のアミノ酸、かつ通常多くて約110個、より通常には多くて約90個である。
本明細書でのβ−ガラクトシダーゼ相補性系は、2種もしくはそれを上回る種類のβ−ガラクトシダーゼフラグメント、またはその変種から構成されるものである。例えば、ある特定の実施形態において、相補性系は、β−ガラクトシダーゼの第一及び第二のフラグメント(例えば、α及びωフラグメント)を含む。さらに他の実施形態において、相補性系は、第一、第二、及び第三のβ−ガラクトシダーゼフラグメント(例えば、α、β、及びωフラグメント)など、2種を上回る種類のβ−ガラクトシダーゼフラグメントを含み得る。本出願において、β−gal(シグナル産生ペプチドでもある)の小フラグメントは、酵素ドナー(ED)と称される。シグナル産生ペプチドは、酵素ドナー(「ED」)及び酵素アクセプター(「EA」)という2種のフラグメントが一緒に複合した場合に再構成される、酵素のフラグメントのペアの一方である。EDは、別のフラグメントであるEAにより相補されて活性酵素を形成し得る酵素のフラグメントとなる。融合タンパク質のEDフラグメントは、互いに対するフラグメントの親和性により、EAフラグメントと複合する。
他の実施形態において、相補フラグメントは、高親和性フラグメントである。高親和性構成要素は、一般的に、充分に高い親和性を有するフラグメントを有する酵素の2種のフラグメントであり、それによりそれらは、互いに自発的に結合し得、かつ十分に機能的な酵素または酵素サブユニットを再形成し得る。典型的に、天然酵素の酵素活性の少なくとも5%、ときには天然酵素の酵素活性の約10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99、または100%は、溶液中で適当な条件下で混合された場合に達成される。そのような活性の判定は、相補される酵素及び親酵素を比較する濃度を用いたルーチン的方法を使用して遂行され得、例えば10−3〜10−6Mの値域を有して典型的に同じである。高親和性構成要素は、それらは相互作用パートナーとの複合体を形成するため、相補フラグメントの存在、非存在、または増加のモニタリングを可能にする。例えば、一方の相補フラグメントが、融合タンパク質に存在し(標的高分子に融合した)かつ試験化合物との複合体を形成する場合には、細胞の溶解後の第二のフラグメントとのインキュベーションは、検出可能な酵素活性をもたらし、ゆえに細胞相互作用の分析を可能にする。したがって、アッセイ系において高親和性構成要素の量が増加する場合には、検出可能な酵素活性の量は比例的に増加すると考えられる。典型的に、活性の量の大きな増加は、最高1:1のレポーター構成要素比まで検出可能である。初期の高親和性β−ガラクトシダーゼ相補性レポーター系とともに採用されるそのような合理的手法の概説に関しては、例えば下記の実験の節、ならびに2005年5月18日に申請された米国特許出願第11/132,764号を参照されたい。
具体的な実施形態において、採用されるαペプチドは、哺乳類細胞においてωペプチドを堅牢に相補するものである。高親和性最小αペプチドは、検出に要される最小限の相互作用のみを有する、様々な細胞内実体の間での細胞相互作用事象の高感度で正確な分析を可能にする。例示的なαペプチド(酵素ドナー)には、
(野生型ED)配列番号1:
が含まれる。
生細胞フローサイトメトリー、及び発色性基質5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)を用いた組織化学的染色を含む、β−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定するための広範な方法が利用可能である。例えば、Nolan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,85:2603−2607(1988)、及びLojda,Z.,Enzyme Histochemistry:A laboratory Manual,Springer,Berlin,(1979)を参照されたい。生細胞において使用され得る、β−galに対する必須基質も、本開示の方法及び材料によって包含される。例えば、蛍光発生基質のレゾルフィンβ−ガラクトシダーゼビス−アミノプロピルポリエチレングリコール1900(RGPEG)が記載されている。Minden(1996)BioTechniques 20(1):122−129。この化合物は、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、または多様なバルクローディング法によって細胞に送達され得る。いったん細胞の内側に入ると、前記基質は、原形質膜からまたはギャップジャンクションによって逃げることができない。本開示の方法及び材料の実践において使用され得る別の必須基質は、フルオレセイン ジ−β−D−ガラクトピラノシド(FDG)であり、それはとりわけ、蛍光活性化細胞選別(FACS)及びフローサイトメトリーによる分析によく適している。Nolan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci,USA,85:2603−2607(1988)及びRotman et al.(1963)Proc.Natl.Acad.Sci,USA 50:1−6。
活性を有する再構成されたβ−ガラクトシダーゼも、化学発光アッセイを使用して検出され得る。例えば、β−ガラクトシダーゼ融合体を含有する細胞を、Galactolight Plusアッセイキット(Tropix,Bedford Mass.)からのGalacton Plus基質を含有するバッファーの混合物中で溶解する(架橋剤と接触させてまたは接触させずに)。Bronstein et al,J.Biolumin.Chemilumin.,4:99−111(1989)。Light Emission Accelerator溶液の添加後、発光をルミノメーターまたはシンチレーションカウンターで測定する。
融合タンパク質
本出願において開示されるように、関心対象の高分子を標識ペプチドに融合させて、融合タンパク質を形成する。融合タンパク質は、2種もしくはそれを上回る種類の高分子、または2種もしくはそれを上回る種類の個別のタンパク質の全配列または部分配列を含む、アミノ酸の単一の連続した線状ポリマーを含む。融合タンパク質の構築のための方法は、当技術分野において公知である。融合タンパク質遺伝子構築物も、中断なしの同じリーディングフレームにおける2種またはそれを上回る種類の個別のタンパク質の全配列または部分配列をコードする、ヌクレオチドの単一の連続した線状ポリマーを含み得る。さらに、本発明の融合遺伝子構築物を細胞内に導入して、変性後にリガンド結合についてアッセイする。融合遺伝子構築物は、当技術分野において公知の核酸移入の任意の方法によって細胞内に導入され得る。一意的な融合タンパク質をコードする種々の融合遺伝子構築物が、別個の核酸分子上にまたは同じ核酸分子上に存在し得る。
融合タンパク質は、標識ペプチドとしてのβ−galフラグメントに融合した標的高分子も含み得る。ゆえに、一部の実施形態において、本アッセイにおいて使用される融合タンパク質は、関心対象のタンパク質及び標識ペプチドを含み、それは、処理後に第二の標識(酵素フラグメント、抗体など)と接触してシグナルを生成する。
標的高分子(標的タンパク質)としてのタンパク質の使用
標的高分子として使用されるタンパク質は、調査するまたは別様に特徴付けするためなどの、関心対象であり得る任意の考えられるポリペプチドまたはタンパク質であり得る。関心対象のタンパク質には、キナーゼ、ホスファターゼ、カルボキシラーゼ、ホスホジエステラーゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、シグナル伝達タンパク質、金属タンパク質、細胞質タンパク質、及び核局在タンパク質とともに、トランスフェラーゼ、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リガーゼ、及びイソメラーゼが含まれ得る。標的タンパク質は、天然に存在する供給源、例えば細胞、組織、生物学的流体、組織生検、土、水など、任意の供給源から獲得され得る。
ブロモドメインタンパク質ファミリーは、SCOPデータベース、http(コロン スラッシュ スラッシュ)scop.mrc−lmb.cam.ac.uk/scop−1.75/data/scop.b.b.ec.b.b.htmlに記載されるファミリーである。とくに関心対象は、Filippakopoulos et al.,“Selective inhibition of BET bromodomains,”Nature 468:1067−1073(23 Dec.2010)に記載される、ブロモドメインタンパク質のBETファミリー、例えばBRD1〜BRD4及び関連タンパク質である。
標的タンパク質は、生物学的膜と相互作用し、かつ内在性膜タンパク質及び表在性膜タンパク質を含むタンパク質として規定される、細胞膜タンパク質も含み得る。標的タンパク質は、基本的な細胞活性を支配しかつ細胞作用を調整するシグナル伝達タンパク質も含み得る。
操作された細胞
本発明は、本明細書において記載される標的高分子と標識ペプチドとの融合タンパク質を発現する(または過剰発現する)導入遺伝子を持つように操作された細胞の使用を企図する。標識ペプチドは、関心対象のタンパク質のC末端におけるPLであり得る。
本明細書で実施例において使用される宿主細胞は、HEK293(ヒト胎児性腎臓細胞)である。この細胞株は、ATCC及び他の業者から得ることができる。導入遺伝子を発現するようにHEK細胞を操作するための方法は公知である。本明細書で使用され得る細胞の創出についての詳細に関しては、例えばDoering et al.,“Directed Engineering of a High−expression Chimeric Transgene as a Strategy for Gene Therapy of Hemophilia A,”Mol Ther.2009 Jul;17(7):1145−1154、及び2013年12月26日に公開されたUS20130344537,“Mammalian expression vectors and uses thereof”を参照されたい。
他の細胞を、本発明における使用のために操作し得る。これらには、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞)、BHK(ベビーハムスター腎臓細胞)、NSO(マウス骨髄腫細胞)、SP2/0(ATCC CRL−1581)などが含まれる。PLタグを含有する適切に操作された細胞が、DiscoveRx Corporation,Fremont,CAから商業的に入手可能である。
キット
上記で記載される適用のうちの1つまたは複数を実践することにおける使用のためのキットも、本発明によって提供される。ある特定の実施形態において、キットは、上記で概説される、関心対象のタンパク質及びβ−ガラクトシダーゼフラグメントを含む融合タンパク質を構成的にまたは誘導的に発現する細胞を少なくとも含む。ある特定の実施形態において、キットは、そのような細胞を作製するためのエレメント、例えばベクター上に存在する融合タンパク質をコードする核酸、及び/または上記で概説される、関心対象のタンパク質が標準的な分子生物学技法を使用して融合され得るβ−ガラクトシダーゼフラグメントをコードする核酸を含む。キットは、酵素基質、細胞成長培地などを含むがそれらに限定されない、本発明のある特定の実施形態を実践することにおいて用途を見い出す1種または複数種の付加的構成要素をさらに含み得る。
ある特定の実施形態において、キットは、(a)β−ガラクトシダーゼのED(酵素ドナー)フラグメントに融合した関心対象のタンパク質(構成要素I)を含む融合タンパク質を発現するための発現ベクターを含む細胞、(b)細胞が試験化合物とともにインキュベートされた後に細胞に添加するための、β−ガラクトシダーゼのEA(酵素アクセプター)フラグメント(構成要素II)、及び(c)融合タンパク質におけるEDへのEAの結合を検出するためのβ−ガラクトシダーゼ基質(構成要素III)、ならびに任意で、EAの添加の前または間に細胞を溶解するための溶解バッファーを含み得る。細胞を溶解することは、標識ペプチド(ED)とEAとの接触を容易にする。キットは、使用者が、関心対象の選択されたタンパク質を挿入するのを可能にするマルチクローニングサイトを含有する発現ベクターをさらに含み得る。キットは、挿入された標的タンパク質に融合した外因性配列を含有する融合タンパク質を発現するための発現ベクターをさらに含み得る。外因性配列は、例えば植物または非哺乳類ウイルスタンパク質など、アッセイにおいて相互作用しないことが知られる任意のタンパク質をコードし得る。
キットは、関心対象のタンパク質に関連した陽性及び陰性の対照をさらに含有し得る。
上記の構成要素に加えて、対象キットは、対象方法を実践するための指示書、及びインセル実施形態との使用のための無傷細胞をさらに含み得る。これらの指示書は、多様な形態で対象キットに存在し得、そのうちの1つまたは複数はキットに存在し得る。これらの指示書が存在し得る1つの形態は、キットの梱包材料に、添付文書になど、適切な媒体または基板に、例えば情報が印刷されている1枚または複数枚の紙に印刷された情報としてである。さらに別の手段は、情報が記録されているコンピューター可読媒体、例えばディスケット、CDなどであろう。存在し得るさらに別の手段は、離れた場所における情報にアクセスするための、インターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の好都合な手段が、キットに存在し得る。
本作業例は、BRD4(1)−ED融合体の熱変性が、酵素フラグメント相補性(EFC)を使用することによって、簡便で高感度でかつ正確な様式で測定され得ることを実証する(図4及び5)。さらに、観察された変性は、用量依存的様式で小分子BRD4(1)阻害剤の存在によってレスキューされ得る(図3〜7)。方法はホモジニアスであり、そして洗浄工程または遠心分離を要せず(図6)、ゆえにハイスループット適用に向いており、かつ結果として生じるデータは、高い正確性を有する(図3及び7)。その上、方法を使用して、BRD4(1)に対する種々の潜在力を有する分子を区別し得る(図7)。
実施例1:公知のリガンド(JQ1)とのBRD4(1)ED融合タンパク質の結合を測定する
本実験を行って、加熱ストレス下でのBRD4(1)融合タンパク質へのリガンドの結合、及びリガンド結合が融合タンパク質を変性から保護するかどうかを調査した。
アッセイを実施するために、N末端にNFκB DNA結合ドメインも含有する融合タンパク質[BRD4(1)−ED]を、BRD4(1)及びProLabel(商標)EDフラグメントを用いて構築した。粗細胞抽出物中の融合タンパク質を、0〜100マイクロモルに及ぶ濃度の公知の強力な阻害剤(JQ1)とともにインキュベートした。インキュベーションは、室温で1時間であった。次いで、試料を45℃に30秒間加熱した。その後にEAを試料に添加し(β−ガラクトシダーゼに対する発光基質とともに)、そして発光を測定することによって相補性を測定した。図3に示されるように、BRD4(1)融合タンパク質への阻害剤の結合及び結合は、融合タンパク質を用量依存的様式で変性からレスキューし得た。二つ組の試料に対して、この上なく優れた正確性が得られた。
実施例2:JQ1の存在及び非存在下でBRD4(1)の熱変性を測定する
本実験を行って、阻害剤の存在及び非存在下でのBRD4(1)の変性/凝集を調査した。本実験において使用される阻害剤はJQ1である。
アッセイを実施するために、一方の試料は、BRD4(1)(融合体)を含み阻害剤なしであるのに対し、別の試料はBRD4(1)(融合体)及び阻害剤を含む、2つの別個の試料を調製した。本実験において使用される阻害剤はJQ1であり、かつ10マイクロモルの濃度で使用された。インキュベーション後、試料を温度の増加(それぞれ25℃、45℃、50℃、及び55℃)に曝露した。次いで、試料を遠心分離して、沈殿を分離した。図4に見られるように、融合体に結合したJQ1は、阻害剤結合を有しないBRD4(1)と比較して、BRD4(1)を変性から保護する。
実施例3:JQ1の存在下でBRD4(1)融合タンパク質の変性を測定する
本実験を行って、JQ1の結合が、BRD4(1)融合タンパク質を温度誘導による変性からどのように保護するかを調査した。
実験を実施するために、NFκB−BRD4(1)−EDを含む融合タンパク質を構築した。細胞溶解物からの融合タンパク質を、JQ1(10μM)とともにインキュベートした。次いで、試料をいくつかの温度(それぞれ25℃、45℃、50℃、及び55℃)に曝露した。図5に見られるように、可溶性のBRD4(1)倍率は45℃で最大限にレスキューされ、そしてタンパク質は、より高い温度で変性状態をゆっくりと保持し始めた。
実施例4:アッセイ読み出しに対する遠心分離の効果
本実験を行って、可溶性の結合している融合タンパク質も含有する組成物中の変性した融合タンパク質を分離する遠心分離の重要性、及びそれが最終的な読み出しにどのように影響を及ぼすかを調査した。
実験を実施するために、NFκB−BRD4(1)−ProLabel(商標)(ED)を含む融合タンパク質を構築した。次いで、融合タンパク質をリガンドとともにインキュベートし、そして発光読み出しを、界面活性剤含有細胞溶解物の存在下で及びPBS中で行った。次いで、試料を室温で保ったまたは45℃の上昇した温度に曝露した。各試料を、一方の部分は遠心分離され、かつ試料の他方の部分は遠心分離されない、2つに分割した。
図6に見られるように、沈殿を分離するために試料を遠心分離するか否かで、アッセイ読み出しにほとんど差はない。したがって、実験は、本アッセイにおいて遠心分離が要されず、そしてリガンド結合は、物理的な分離工程なしで粗細胞抽出物中でEFCを使用してアッセイされ得ることを示している。
実施例5:リガンド結合アッセイ後の公知のBRD4(1)阻害剤に対する用量応答曲線
本実験を行って、本明細書において記載されるリガンド結合アッセイ後に、リガンドタンパク質結合の用量依存性を判定した。
アッセイを実施するために、融合タンパク質を上記で記載されるように構築した。次いで、図7に示されるように、融合タンパク質をリガンド(JQ1及びGW334556X)とともにそれぞれインキュベートした。表示される濃度におけるインキュベーションは、1:100に希釈された抽出物(約10nMのBRD4(1)濃度)を用いて室温で1時間であった。次いで、試料を45℃に3分間加熱し、その後に、相補性を測定するための、EA及び発光性β−ガラクトシダーゼ基質(Flash基質)の添加が続いた。エラーバーは、3×標準偏差(99.7%の信頼区間)を示す。化合物が≧3×K濃度でスクリーニングされた場合、相互作用は高い統計的有意性を有して検出された。
別の方法(BROMOscan(登録商標))によって測定された阻害剤K値が、(X軸の濃度値に対してを整列)によって示される。BROMOscan(登録商標)は、DiscoveRx Corporation,Fremont,CAによって開発されている。BROMOscan(登録商標)プラットフォームは、試験化合物とブロモドメインアッセイの一団との間の相互作用を測定する。http(コロン/スラッシュ/w−w−w.discoverx.com/technologies−platforms/competitive−binding−technology/bromoscan−technology−platform#sthash.ZjaxX6mR.dpuf)でより多くを参照されたい。
実施例6:標準的変性プロトコールとパルス変性プロトコールとの間の比較
実施例1〜5の方法は、いくつかの加熱工程によって実行され得る。以下の例は、単一の加熱工程では有意な変性(融解)を引き起こさないが、一連の加熱工程では引き起こす温度で、高分子(例えば、タンパク質)を加熱するプロトコールに関連する。タンパク質を融解するのに有効ではない1回の加熱工程の後に、(リガンドの非存在下で)累積的に変性を引き起こす一連の加熱工程が続くように、工程を適用する。これを成し遂げるために、熱電加熱及び冷却装置を採用し得、かつあらかじめ規定した加熱及び冷却(非加熱)工程を実施するようにあらかじめプログラムし得る。好ましい熱電加熱及び冷却装置は、ペルチェ接合に基づく。これらの装置は、素早い加熱及び冷却を実施し得る、あるいは、本装置は、大きなヒートシンクを提供され得る。基板及びマスクのペルチェ加熱及び冷却についての詳細は、US3161542に見い出され得る。下記で記載される方法は、冷却工程によって分離されたいくつかの加熱工程、及び一連の1つまたは複数の加熱温度を含み得る。これらの数は、本明細書における教示を使用して決定され得る。方法は、結合標的である高分子の特性に基づく加熱工程で実施され得る。温度T及び時間tがいったん決定されると、Tは徐々に、好ましくは高分子の融解温度より下に低下し得、そして時間tは、その合計が少なくとも初回は総時間である一連の加熱工程にさらに分割され得る。冷却工程は、反応混合物を周囲温度または周囲温度付近(約25℃)に戻すために使用される設備に基づき得る。考え得る非限定的な組み合わせは、15秒間〜2分間の冷却間隔を有する、37〜50℃で5〜10秒間の10〜70回のパルスである。他の例が下記に示される。反応混合物の体積も考慮されるべきであり、より大きな体積は、より多くのかつより長いパルスの使用を示唆する。
図8Aに示されるように、標準的変性プロファイルは、単一サイクルの高温パルス、それに続くタンパク質変性のための長期の変性時間を含む。パルス変性プロファイルは、対照的に、温和な温度での数回のサイクルの加熱パルス、それに続く短期の変性及びより低い温度への再設定を含む(図8B)。図8A及び8Bにおける温度は、加熱設定を表す。混合物中の温度は、公知であるように、曲線に従う。実施形態に従って、図8Bにおける冷却工程は、混合物の増大を経時的にもたらすであろう。つまり、冷却工程の間の混合物の既存温度は、前の冷却工程の間に実在し得かつ測定され得る混合物中の温度よりも大きいままである。
標準的変性プロトコールに対する温度は45℃またはそれよりも高くあり得、一方でパルス変性に対する温度は40℃または40℃を下回る温度であり得る。標準的変性プロトコールにおいて、高分子の変性は数分間実施され、一方でパルス変性プロトコールでは、数秒間の短期の変性工程の実施があり、その後に、次の加熱パルスの前に、室温またはさらに低い温度への温度の低下が続く。
実施例7:数学的モデリング調査
図9は、パルス変性の利点を示した数学的モデリングの結果を示している。グラフのY軸は、X番のサイクル後の、公知のリガンドの非存在下における発光シグナルで除した、公知のリガンドの存在下における発光シグナルとして規定される、アッセイウィンドウを示している。グラフのX軸は、変性サイクルの回数であり、変性はパルス加熱によって行われる。
モデルは、タンパク質と公知のリガンドとのインキュベーションが、前記タンパク質の半分または半分を上回る割合を変性からレスキューするものの、フォールディングしたタンパク質のごく一部は各サイクルの間に変性し、かつ後続のサイクルで再フォールディングし得ないまたは再活性化し得ないという仮定に基づく。温度が室温またはそれを下回る温度に引き下げされた場合、タンパク質リガンド結合レベルは、各サイクルで室温またはそれを下回る温度のレベルに戻る。
数学的モデリンググラフは、変性温度が融解温度を下回るが、複数回のサイクルの穏やかな変性が堅牢なアッセイウィンドウを作り出すと予想されることを示している。
実施例8:標準的な及びパルスによる変性プロトコールを使用した、BRD9−ブロモスポリン結合の調査
図10は、標準的な及びパルスによる変性プロトコールの後の、BRD9−ブロモスポリン結合に対する用量応答曲線を示している。EDタグ付けされたBRD9を含有する細胞抽出物をPBSTに希釈し、かつ25uMのブロモスポリンとともにまたは0.1%DMSO/0.9%MEGとともに室温で1時間インキュベートした(49.5ulの細胞抽出物+0.5ulの2.5mMブロモスポリンまたは0.5ulの10%DMSO/90%MEG)。次いで、試料を、パルス方法を用いてまたは標準的(1工程)変性プロトコールを用いて、45℃で加熱変性に供した。第一の場合には、試料を、0.5分間(加熱パルスの間に室温で1分間の間隔を有する)から0.5〜3分間の総加熱時間、45℃に繰り返し曝露した(「パルス変性」、黒丸)。第二の場合には、試料を同じ総量の時間(0.5分間〜3分間)であるが単一工程で加熱した(「標準的変性」、白丸)。
次いで、可溶性タンパク質を、EFCによって定量化した(加熱変性は、EDを、EAに対する相補に使用できなくする)。EFC反応を以下のように準備した:5ulの細胞抽出物を、10ulのEA、10ulのEA希釈バッファー、20ulのFlash溶解バッファー、20ulのFlash基質、及び135ulのPBSとともに30分間インキュベートした。ブロモスポリンを有するタンパク質のRLUシグナルを、DMSO/MEGを有するタンパク質のRLUシグナルによって除することによって、アッセイウィンドウを算出した。
曲線から見られるように、アッセイウィンドウは、パルス変性(6回の反復パルス、合計3分間の加熱を有する)により改善し、長期の加熱なしで結合アッセイ結果の改善を与えた。
実施例9:標準的な及びパルスによる変性プロトコールを使用した、CREBBP/SGC−CBP−30結合の調査
図11は、標準的な及びパルスによる変性プロトコールの後の、CREBBP/SGC−CBP−30結合に対する用量応答曲線を示している。(CREBBPは、公式な記号CREBBPを有するCREB結合タンパク質であり、SGC−CBP−30は、(S)−4−(1−(2−(3−クロロ−4−メトキシフェネチル)−5−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)プロパン−2−イル)モルホリンというIUPAC名を有する、CREBBPの選択的阻害剤である小分子である。EDタグ付けされかつNFκBのDNA結合ドメインにも融合したCREBBPを含有する細胞抽出物を、SGC−CBP30の連続希釈とともに室温で1時間インキュベートし(PBSTに希釈された49.5ulの細胞抽出物+10%DMSO/90%MEG中0.5ulの100×化合物)、かつ次いで、グラフに表示された条件で加熱変性させた。可溶性タンパク質を、BRD9に対して使用された同じプロトコールでEFCによって定量化した。データをヒルの方程式に当てはめ、そしてEC50を算出した。図11は、パルス変性が、より低い濃度の阻害剤でより高いシグナル利得を示し、かつ最小及び最大の検出可能な濃度の間の値域全体にわたる用量応答曲線をなおも示し、それゆえ、パルス変性を使用したアッセイの感度は、標準的な変性方法を使用したアッセイの感度よりも改善されることを示している。第二のポリペプチド(NFκB)の添加は、この標的タンパク質(CREBBP)に対するアッセイウィンドウを増加させる。
実施例10:パルス変性を使用した、広範な小分子阻害剤へのABL1結合の調査
図12は、幅広い親和性でこの標的に結合することが文献から公知の広範な小分子阻害剤を試験するための、タンパク質キナーゼ(ABL1)に適用されたパルス変性技術を示している。グラフ(阻害剤名の表示及び対応する曲線は、同じ左から右の順序にある)に示された7種の阻害剤に関するEC50用量応答曲線を、EDタグ付けされたABL1に対して測定した。使用された全体的手順は、実施例9に関して記載されたものと同様であり、そして42℃で7秒間、それに続く25℃で60秒間の30回のサイクルというパルス変性順を使用した。ABL1に対する阻害剤の親和性は、グラフの左から右に減少し、一番左の曲線は、最も高い親和性の阻害剤を同定し、そして一番右の曲線は、最も低い親和性のものを同定する。より高いからより低い親和性に順序付けすると、阻害剤は、ダサチニブ、ポナチニブ、イマチニブ、VX−680、スタウロスポリン、SU−14813、及びプルバラノールBである。これら7種の阻害剤に関する効力順位は、公表された値(Davis et al.Nat Biotechnol.2011 Oct 30;29(11):1046−51.doi:10.1038/nbt.1990)とよく一致している。
各濃度で、阻害剤を、ABL1への結合のそれらの程度に関して比較し得る。1nMの阻害剤濃度で、例えば、最大のシグナルはダサチニブに対して見られるが、最小のシグナルはスタウロスポリンに対して見られる。これは、この濃度で、ダサチニブは、スタウロスポリンがするよりもはるかに大きな程度までABL1を変性から保護することを意味し、ABL1に対するダサチニブのより高い親和性を反映する結果である。
実施例11:標準的変性プロトコールを使用した、メチルトランスフェラーゼG9a/UNC−0638結合の調査
図13は、用量応答曲線において公知の阻害剤UNC−0638を試験するための、タンパク質メチルトランスフェラーゼ(G9a)に適用された変性プロトコールを示している。UNC−0638をEDタグ付けされたG9a(NFκB不活性外因性ポリペプチド配列を有する)に対して試験し、そして使用された全体的手順は、実施例9に関して記載されたものと同様であった。この概念実証G9a調査を、50℃で3分間の単一の変性工程を使用して遂行した。約10nMから始まりかつ10nMまで続くアッセイシグナルの増加は、G9aの変性に対する保護が、阻害剤の濃度とともに用量依存的様式で増加することを示している。保護は阻害剤結合により生じ、その関連するEC50値は曲線に由来し得る。本明細書において開示される他の実施例とともに、本実施例は、アッセイを使用して、多種多様の高分子への化合物の結合を測定し得ることを示している。
本実施例は、50℃で3分間の単一の加熱パルスが、メチルトランスフェラーゼ酵素を用いた有用なアッセイをもたらし、かつ方法の広い適用可能性を示すことを示している。本「標準的な」、つまり単一パルスのプロトコールと、複数パルスのプロトコールとの比較を参照し得、そして本アッセイウィンドウは、パルスプロトコールによって改善するであろうと予想し得る。
実施例12:BRD4(1)の阻害剤を測定するためのキット
例示的なキットを、BRD4(1)阻害剤効力のインビトロ生化学的査定のための96ウェルプレート形式として調製する。アッセイは、酵素フラグメント相補性(EFC)及びパルス変性技術を使用して、標的タンパク質のリガンド依存的熱安定性を測定する。この手法は、定量的な阻害剤見かけEC50値の測定を可能にする。キットは、4つの96ウェルプレート実験(二つ組での16×12点の用量応答曲線)を遂行するのに充分な試薬を提供し、そして阻害剤EC50値の測定に対して最適化されている。合理化されかつ迅速なアッセイプロトコールは、煩雑な試料加工、プレート移動、または遠心分離工程を要しない。本キットにおいて提供されるアッセイは、化合物収集物の単一濃度スクリーニングのために最適化されていない。キットを使用して、関連する方法または直交法によって同定されたスクリーニングヒットを検証し得、先導する最適化の間の化合物効力改善をモニターし得、60分間未満の実務時間を有して迅速な結果(終始4時間未満)を獲得し得、かつ広い効力域(高いピコモルからミリモルまで)にわたって阻害剤EC50値を測定し得る。キットは、関心対象のタンパク質とβガラクトシダーゼ酵素フラグメント(「PL」)との融合体、陽性対照、希釈バッファー、ならびに2種の酵素基質試薬であるβガラクトシダーゼフラグメント相補PL及びβガラクトシダーゼ基質を含む。
例示的なキット指示書の工程1は、連続希釈で試験及び対照化合物を調製することである。一連の希釈を調製する。次いで、BRD4−PL試薬を添加し、かつ混合物をインキュベートする。工程2は、化合物結合反応を準備することである。工程3は、パルス変性プロトコールの指示書である。パルス変性プロトコールは、以下のように要約される:a.PCRプレートをサーモサイクラーに移動し、かつ40回のパルス変性サイクルを実践する。1回の変性サイクルは、40℃で7秒間、それに続く25℃で60秒間として規定される。b.サイクルプログラムが完了した後、プレートを、EFCによって直ちに読み出し得る、または読み出しがより後の時間に実践されるべきである場合には−80℃で保管され得る。サーモサイクラーの加熱された蓋は、理想的には40℃に設定されるが、一部の機器は≧95℃の初期設定を有し、それも許容される。指示書の工程4は、アッセイプレートの各ウェルにおけるEFC検出プロトコールを記載する。工程5は、発光プレートリーダーにて1秒間/ウェルで試料を読み取るための指示書、及び試験された化合物(複数可)の用量応答を示すであろうデータ分析を含む。
以下の実施例は、上記で記載されるインセル法(InCELL Pulse(商標))の使用を記載する。一般的に、前記実施例は、標識ペプチド、本明細書ではProLabel(商標)と称されるβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントに連結されている標的高分子(タンパク質またはタンパク質のドメインもしくは一部分)を使用する。これらの融合タンパク質を、それらが発現している細胞になおもある間に、変性に供する。処理される、例えば加熱される)対象となる細胞において融合タンパク質を発現させるためのベクターを、それはまた本明細書で最後の段落に注記されるように、例えば2006年1月26日に公開されたHorecka at al.,“Analysis of intracellular modifications,”US20060019285に記載される、従来の組換え法によって調製し得る。キメラ分子を、任意の好都合な細胞において調製し得る。好ましくは、同じ細胞がアッセイにおける部分的変性に使用され、そして哺乳類細胞である。以下の実施例は、以下のプロトコールを使用する。
実施例13:キナーゼ及びその阻害剤を使用したインセル法:図15
アッセイ基準(n=3)
「n=3」とは、実験が三つ組で実践されたことを意味する。示される値は、±1標準偏差である。
ABL1推進細胞に対する、公開されたダサチニブの細胞効力:IC50=1nM
Blood.2006;108(7):2332−2338。アッセイは、C末端PLタグを用いて発現されたABL1キナーゼドメインを使用する(配列番号2)。
アッセイプロトコール
ABL1アッセイを本質的に以下のとおり実践する:
1.ABL1−PL融合体を発現するプラスミドをトランスフェクトされたHEK293細胞を有する10cmプレートから成長培地を捨て、かつPBSで細胞をリンスする。2.1mlのAccutase(登録商標)細胞剥離溶液で細胞を剥離する。3.10mlの1×DMEM 1%FBS培地で細胞を希釈する。4.細胞をカウントする。5.細胞カウントに適当な体積を使用して、1×DMEM 1%FBS培地で100,000個細胞/mlに細胞を希釈する。6.1ulの連続希釈の化合物を分配する。7.50ulの細胞を添加する。8.37℃で5時間インキュベートする。9.以下の条件のセットに従い、標準的なPCRサーモサイクラー(MJ Research DNA Engine)を使用して、Thermo Scientific製の96ウェル黒色PCRプレート(製品番号AB−0800/K)においてパルス変性を実践する。
10.60ulの酵素フラグメント相補性(EFC)混合物(EA、EA希釈バッファー、溶解バッファー、及び基質を含有する)を添加する、11.RTで30分間のインキュベーションの後、プレートを読み取る。
実施例13において示されるアッセイ基準は、パルス温度が48℃でありかつ変性時間が90秒間であった条件に対してのものである。
実施例14:ブロモドメインタンパク質及びその阻害剤を使用したインセル法:図16
アッセイ基準(n=2)
c−Myc発現を低下させるための、公開されたJQ1の細胞効力:IC50≒100nM、Ciceri et al.,“Dual kinase−bromodomain inhibitors for rationally designed polypharmacology,”Nat Chem Biol.2014 Apr;10(4):305−12.doi:10.1038/nchembio.1471.Epub 2014 Mar 2を参照されたい。
アッセイプロトコール
BRD4(1)アッセイを、本質的に前の実施例13に記載されるように実践する。
実施例15:ヒドロラーゼ及びその阻害剤を使用したインセル法:図17
SCH51344結合に対するアッセイ基準
公開されたSCH51344 MTH1効力:細胞IC50<20uM、
インビトロEC50=50nM。
アッセイプロトコール
MTH1アッセイを本質的に以下のとおり実践する:
C末端PLタグを用いて発現しかつN末端でNF−κBのDNA結合ドメインにも融合したMTH1ヒドロラーゼ触媒ドメインを、阻害剤とともに37℃で3時間インキュベートし、その後に実施例13において指定される変性工程が続いた。
MTH1及びその阻害剤についての詳細に関しては、Huber et al.,“Stereospecific targeting of MTH1 by (S)−crizotinib as an anticancer strategy,”Nature 508,222−227(10 April 2014)、及びBessman et al.,“The MutT Proteins or 「Nudix」 Hydrolases,a Family of Versatile,Widely Distributed,「Housecleaning」 Enzymes,”J.Biol.Chem.271(41):25059−25062(1996)を参照されたい。
実施例16:G9aメチルトランスフェラーゼ及びその阻害剤を使用したインセル法:図18
UNC0538結合に対するアッセイ基準
H3K9me2を低下させるための、公開されたUNC0538の細胞効力:IC50≒81nM
メチルトランスフェラーゼ及びその阻害剤についての詳細に関しては、Vedadi et al.,“A chemical probe selectively inhibits G9a and GLP methyltransferase activity in cells,”Nature Chemical Biology 7,566−574(2011)を参照されたい。
アッセイプロトコール
G9aアッセイを、本質的に前の実施例に記載されるように実践する。G9a触媒ドメインを、C末端PLタグとともに発現させる。阻害剤とともに37℃で3時間のインキュベーションの後に、48℃で単一の3分間変性工程が続く。
結論
上記の具体的記載は、本発明を例示しかつ例証することを目的とし、そして添付の特許請求の範囲の逐語的でかつ同等の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。本明細書において言及される任意の特許または刊行物は、明示的に提示され得ないが当業者によって理解されるであろう、本発明のある特定の態様を実施することにおいて有用な方法及び材料の詳細を伝えることを意図される。そのような特許または刊行物は、言及される方法または材料を記載しかつ可能にする目的上、あたかもそれぞれが参照により具体的かつ個々に組み入れられ、そして本明細書に含有されるのと同程度に、参照により本明細書によって組み入れられる。

Claims (30)

  1. 化合物と標的高分子との間の結合を測定するための方法であって、
    (a)(i)標識ペプチドに連結された標的高分子を含むキメラタンパク質を発現する無傷の生存細胞、及び(ii)前記標的高分子への結合について測定されている化合物を含む流体混合物を調製することであって、前記標的高分子は変性に供される、前記調製すること、
    (b)前記標的高分子への前記化合物の結合を可能にする条件下で、工程(a)の前記流体混合物をインキュベートすること、
    (c)工程(b)においてインキュベートした後、(i)前記化合物に結合していない変性したキメラ分子と(ii)前記化合物に結合している変性していないキメラ分子との組み合わせ混合物を産生する条件下で、前記流体混合物中の標的高分子を変性させること、
    (d)複合体を形成するように、工程(c)の前記組み合わせ混合物と、前記標識ペプチドに結合する第二の標識とを接触させることであって、前記複合体は、(ii)前記化合物に結合している変性していないキメラ分子とよりも、(i)前記化合物に結合していない変性したキメラ分子とはあまり生じない、前記接触させること、ならびに
    (e)工程(d)における前記複合体を検出して、化合物と標的高分子との間の結合についての測定結果を示すシグナルを生成すること
    を含む、前記方法。
  2. 前記標的高分子はタンパク質である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記タンパク質は、前記標識ペプチドより遠位の末端で前記タンパク質に連結された不活性外因性ポリペプチドをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記標識ペプチドは、長さが10〜100個のアミノ酸である、請求項2に記載の方法。
  5. 前記標識ペプチドは酵素フラグメントであり、かつ前記第二の標識は、前記標識ペプチドと組み合わさって活性酵素を創出する相補的酵素フラグメントであり、前記細胞を溶解する工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記標識ペプチドは、β−ガラクトシダーゼの酵素フラグメント相補性において活性な酵素ドナー(「ED」)であり、かつ前記標的高分子であるタンパク質の末端に融合される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記EDは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のうちの1つである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記標識ペプチドはエピトープタグである、請求項3に記載の方法。
  9. 前記化合物は小分子である、請求項1、2、3、4、5、6、7、または8に記載の方法。
  10. 前記小分子は、前記標的高分子上の活性部位に結合するものである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記流体混合物を処理する工程は、前記流体混合物を、25℃〜100℃及び(b)30℃〜60℃のうちの1つである温度に加熱する単一工程を含む、請求項1、2、3、4、5、6、7、または8に記載の方法。
  12. 前記加熱は、0.1〜5分間の規定の期間の複数回の加熱工程を含む、請求項1、2、3、4、5、6、7、または8に記載の方法。
  13. 前記加熱工程は、前記混合物に40℃〜60℃の加熱を適用することを含み、かつ0.1〜5分間の時間の複数回の加熱の工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 複数回の加熱の工程は、持続時間が10秒間〜2分間の、個々の加熱工程の間に個々の冷却工程を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 3〜10回の冷却工程を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 冷却工程の間の前記混合物の前記温度は、前の冷却工程における温度よりも大きいままである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記冷却工程は、前記混合物を積極的に冷却することを含む、請求項16に記載の方法。
  18. 変性の工程は、(a)加熱、(b)静水圧、(c)有機溶媒、及び(d)放射線のうちの少なくとも1つを含み、それにより前記細胞は変性後に無傷のままである、請求項1に記載の方法。
  19. 前記有機溶媒はアルコールまたはクロロホルムである、請求項18に記載の方法。
  20. 工程(a)〜(e)は、前記化合物の種々の希釈を含有する混合物中で実施される、請求項1に記載の方法。
  21. 繰り返される工程(a)〜(e)を使用して、前記標的高分子への化合物の結合についての結合定数(K)を算出し得る、請求項20に記載の方法。
  22. 前記標的高分子は、ブロモドメインタンパク質、タンパク質キナーゼ、ヒドロラーゼ、及びヒストンメチルトランスフェラーゼからなる群より選択されるタンパク質である、請求項1に記載の方法。
  23. 小分子化合物と標的タンパク質との間の結合特性を測定するための方法であって、
    (a)標的タンパク質と、長さが10〜100個のアミノ酸のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントである標識ペプチドとの融合体を発現する細胞を含む流体混合物を調製することであって、前記流体混合物は、前記標的タンパク質への結合について測定されている小分子化合物をさらに含有する、前記調製すること、
    (b)前記細胞内での標的タンパク質への前記小分子化合物の結合を可能にする条件下で、工程(a)の前記流体混合物をインキュベートすること、
    (c)工程(b)の前記流体混合物を加熱することであって、それにより、前記化合物に結合していない標的タンパク質の変性が生じる、前記加熱すること、
    (d)工程(c)において加熱された細胞を溶解すること、及び前記混合物に、変性した標的タンパク質上の標識ペプチドよりも大きな程度、変性していない標的タンパク質上の前記標識ペプチドと反応するβ−ガラクトシダーゼフラグメントである第二の標識を添加すること、及び基質をさらに添加することであって、その基質は、標的タンパク質の変性の程度を指し示すシグナルを生成し、それにより、前記シグナルを検出することは、前記小分子と前記標的タンパク質との間の結合を示す、前記さらに添加すること
    を含む、前記方法。
  24. 混合物は、単一容器内で工程(a)〜(d)を通じて調製される、請求項23に記載の方法。
  25. 種々の濃度の化合物を含有する複製試料が調製される、請求項23に記載の方法。
  26. 前記標的高分子は、ブロモドメインタンパク質及び酵素からなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
  27. 構成要素I〜IIIを含むキットであって、構成要素Iは、第一のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントに末端で融合した標的タンパク質を含有する細胞であり、構成要素IIは、前記第一のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントと相補的であるβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントであり、かつ構成要素IIIは、β−ガラクトシダーゼ酵素に対する基質であり、前記キットは、
    (a)(i)第一のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントに末端で融合した標的タンパク質、及び(ii)前記標的タンパク質に対する潜在的リガンド、を含有する細胞を含む流体反応混合物を調製すること、
    (b)工程(a)の前記反応混合物及び細胞を加熱して、前記標的タンパク質集団の少なくとも一部の画分を変性させること、
    (c)前記反応混合液中で、工程(b)の後に、前記混合物に、前記第一のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントと相補的であるβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメント、及びβ−ガラクトシダーゼ酵素の相補性を示しかつ工程(b)の加熱工程の逆関数として前記潜在的リガンドの結合を示す基質を添加することによって、工程(b)において変性していない融合タンパク質の量を測定すること
    のための指示書をさらに含む、前記キット。
  28. 前記標的タンパク質は、ブロモドメインタンパク質及び酵素からなる群より選択されるタンパク質であり、前記酵素は、タンパク質キナーゼまたはヒストンメチルトランスフェラーゼのうちの1つであり得る、請求項27に記載のキット。
  29. 前記第一のβ−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のうちの1つと本質的に同一である、請求項27に記載のキット。
  30. 前記基質は、発色性、蛍光性、または化学発光性であり、かつそれは、活性なβ−ガラクトシダーゼの存在下でシグナルを生成するが、不活性なβ−ガラクトシダーゼではそうでない、請求項28に記載のキット。
JP2018507586A 2014-08-21 2016-01-06 標的タンパク質とのリガンドの結合及び細胞関与を測定するための方法 Active JP6953398B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201462040294P 2014-08-21 2014-08-21
US201462087671P 2014-12-04 2014-12-04
US14/830,328 US9618516B2 (en) 2014-08-21 2015-08-19 Homogenous thermal shift ligand binding assay
US14/830,328 2015-08-19
PCT/US2016/012356 WO2017030606A1 (en) 2014-08-21 2016-01-06 Methods for measuring binding and cellular engagement of ligands with target proteins

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018527921A true JP2018527921A (ja) 2018-09-27
JP6953398B2 JP6953398B2 (ja) 2021-10-27

Family

ID=55348113

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018507586A Active JP6953398B2 (ja) 2014-08-21 2016-01-06 標的タンパク質とのリガンドの結合及び細胞関与を測定するための方法

Country Status (6)

Country Link
US (2) US9618516B2 (ja)
EP (1) EP3183580A4 (ja)
JP (1) JP6953398B2 (ja)
CN (1) CN108368535A (ja)
CA (1) CA2995351C (ja)
WO (2) WO2016028804A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017180911A1 (en) 2016-04-13 2017-10-19 Arizona Board Of Regents On Behalf Of The University Of Arizona Methods and systems for detecting or monitoring aggregation related to amyotrophic lateral sclerosis
CN109666619B (zh) * 2016-09-22 2021-03-26 北京九强生物技术股份有限公司 一种表达大肠杆菌β半乳糖苷酶受体的宿主细胞
CN110095610A (zh) * 2018-01-31 2019-08-06 中国科学院上海生命科学研究院 一种高通量蛋白质分析方法及其适用文库
CN108827922B (zh) * 2018-06-13 2021-01-08 中国农业科学院农业质量标准与检测技术研究所 基于多重仿生识别的农药残留可视化快速检测技术
EP3947714A4 (en) * 2019-03-28 2022-12-14 Eurofins discoverx Products, LLC. METHODS FOR PROMOTER REGION ANALYSIS AND CELLS FOR THEIR PERFORMANCE
WO2023108488A1 (zh) * 2021-12-15 2023-06-22 深圳先进技术研究院 一种筛选抑制foxp3小分子药物的方法

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4708929A (en) 1984-10-29 1987-11-24 Microgenics Corporation Methods for protein binding enzyme complementation assays
US5741657A (en) 1995-03-20 1998-04-21 The Regents Of The University Of California Fluorogenic substrates for β-lactamase and methods of use
HUP9902418A3 (en) 1996-05-09 2001-10-29 Dimensional Pharm Inc Microplate thermal shift assay and apparatus for ligand development and multi-variable protein chemistry optimization
US6828099B2 (en) 1998-02-02 2004-12-07 Odyssey Thera Inc. Protein fragment complementation assay (PCA) for the detection of protein-protein, protein-small molecule and protein nucleic acid interactions based on the E. coli TEM-1 β-Lactamase
US6376180B1 (en) * 1999-12-09 2002-04-23 Pharmacia & Upjohn Company Methods of identifying compounds that bind to target species under isothermal denaturing conditions
US6893827B1 (en) * 2000-02-07 2005-05-17 Applera Corporation Receptor function assay for G-protein coupled receptors and orphan receptors by reporter enzyme mutant complementation
US20040137480A1 (en) * 2001-08-30 2004-07-15 Eglen Richard M. Monitoring intracellular proteins
US20030186221A1 (en) 2002-04-02 2003-10-02 Lockhart David J. Phage display affinity filter and forward screen
US7833741B2 (en) 2002-08-07 2010-11-16 Ambit Biosciences Corporation Uncoupling of DNA insert propagation and expression of protein for phage display
WO2004113556A2 (en) 2003-06-20 2004-12-29 Ambit Biosciences Corporation Assay and kits for detecting protein binding
US8586294B2 (en) 2004-05-18 2013-11-19 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Detection of protein translocation by beta-galactosidase reporter fragment complementation
MX2009000044A (es) 2006-06-30 2009-01-23 Ambit Bios Corp Etiqueta de acido nucleico detectable.
WO2009091912A2 (en) 2008-01-15 2009-07-23 Abbott Laboratories Improved mammalian expression vectors and uses thereof
GB0817861D0 (en) 2008-09-30 2008-11-05 Ge Healthcare Uk Ltd Methods and compounds for testing binding of a ligand to a g protein-coupled receptor
US8211655B2 (en) * 2009-02-12 2012-07-03 Discoverx Corporation Wild-type receptor assays
US9523693B2 (en) 2011-04-18 2016-12-20 Biotarget Engagement Interest Group Ab Methods for determining ligand binding to a target protein using a thermal shift assay
GB201106548D0 (en) * 2011-04-18 2011-06-01 Evitraproteoma Ab A method for determining ligand binding to a target protein using a thermal shift assahy
JP6192638B2 (ja) 2011-06-23 2017-09-06 ディスカヴァーエックス コーポレイション β−ガラクトシダーゼレポーターフラグメント相補性を用いるタンパク質輸送のモニタリング
EP3367096B1 (en) * 2012-02-06 2019-11-27 DiscoveRx Corporation Detection of intracellular binding events by measuring protein abundance

Also Published As

Publication number Publication date
CN108368535A (zh) 2018-08-03
JP6953398B2 (ja) 2021-10-27
CA2995351C (en) 2023-02-21
US9618516B2 (en) 2017-04-11
WO2016028804A1 (en) 2016-02-25
US20180275133A1 (en) 2018-09-27
US10641776B2 (en) 2020-05-05
EP3183580A4 (en) 2018-04-25
CA2995351A1 (en) 2017-02-23
WO2017030606A1 (en) 2017-02-23
US20160054322A1 (en) 2016-02-25
EP3183580A1 (en) 2017-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10641776B2 (en) Methods for measuring binding and cellular engagement of ligands with target proteins
Dixon et al. NanoLuc complementation reporter optimized for accurate measurement of protein interactions in cells
Inglese et al. High-throughput screening assays for the identification of chemical probes
Wang et al. Subcellular localization of β-arrestins is determined by their intact N domain and the nuclear export signal at the C terminus
Henderson et al. High-throughput cellular thermal shift assays in research and drug discovery
Patik et al. Functional expression of the 11 human Organic Anion Transporting Polypeptides in insect cells reveals that sodium fluorescein is a general OATP substrate
Gose et al. ABCG2 requires a single aromatic amino acid to “clamp” substrates and inhibitors into the binding pocket
Sirrieh et al. Subtype-dependent N-methyl-D-aspartate receptor amino-terminal domain conformations and modulation by spermine
Jensen et al. The folding and unfolding behavior of ribonuclease H on the ribosome
Eglen Functional G protein-coupled receptor assays for primary and secondary screening
Trepte et al. DULIP: a dual luminescence-based co-immunoprecipitation assay for interactome mapping in mammalian cells
Budayeva et al. Human sirtuin 2 localization, transient interactions, and impact on the proteome point to its role in intracellular trafficking
May et al. BioID: A method to generate a history of protein associations
Bergendahl et al. Luminescence resonance energy transfer-based high-throughput screening assay for inhibitors of essential protein-protein interactions in bacterial RNA polymerase
Cohen et al. Analysis of Arf GTP‐binding protein function in cells
Werden et al. The myxoma virus m-t5 ankyrin repeat host range protein is a novel adaptor that coordinately links the cellular signaling pathways mediated by Akt and Skp1 in virus-infected cells
JP2023549484A (ja) ハイスループット薬物スクリーニング法
KR102059091B1 (ko) 보툴리눔 분석 감도를 증진시키기 위한 방법 및 화합물
Davies et al. Detection of PCNA modifications in Saccharomyces cerevisiae
Erbse et al. Conserved residues in the N‐domain of the AAA+ chaperone ClpA regulate substrate recognition and unfolding
EP3337905B1 (en) Methods for measuring binding and cellular engagement of ligands with target proteins
EP3367096B1 (en) Detection of intracellular binding events by measuring protein abundance
JP2014519851A (ja) β−ガラクトシダーゼレポーターフラグメント相補性を用いるタンパク質輸送のモニタリング
Ackermann et al. TCL/RhoJ plasma membrane localization and nucleotide exchange is coordinately regulated by amino acids within the N terminus and a distal loop region
US8426138B2 (en) Detection of sub-cellular compartment localization of a molecule using a reduced affinity enzyme complementation reporter system

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200121

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200421

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201027

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210810

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210909

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210929

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6953398

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150