JP2018524639A - 実空間3d画像生成システム - Google Patents

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Abstract

1つまたは複数の画像を三次元で表示するためのシステム。システムは、一定の多光子励起状態の時に1つまたは複数のタイプの可視光を放出する気体を含む三次元照明対象域(three dimensional illumination volume)を有する。システムは、レーザ(例えば、可視波長外のビームを有するレーザ)を備え、レーザを照明対象域内で交差するように向けて、気体の粒子を多光子励起状態に励起し、可視光を放出することができる。照明対象域を通してビーム交差点(または複数のビーム交差点)を走査することによって、三次元画像を生成する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年5月4日出願のUS仮特許出願第62/156,564号の優先権と利益を主張し、その内容全体を、参照により本明細書に組み込む。
関連分野
実空間三次元画像(静的画像及び動的画像を含む)を生成するシステム及び方法は、気体粒子における2つの(またはそれ以上の)光子吸収を用いて実空間三次元画像を生成するレーザシステム及び方法を含む。
背景
現在知られている三次元画像装置は、人間観察者が三次元画像を見ているような感覚を体験するように、眼と脳を欺く光学的錯覚に依存することが多い。例えば、あるパッシブ三次元投影技術は、2つの直交偏光画像を投影するプロジェクタの使用を伴い、それぞれ偏光して送られた画像は、その画像が分かれていることで奥行きを与える。他の例においては、あるアクティブ三次元プロジェクタは、一方は左眼用、他方は右眼用の背中合わせの画像を投影するように動作できる。そして、特別に作られた眼鏡が、左眼用のレンズと右眼用のレンズを、それぞれ素早く、オンにし、オフにする。
これらの、及び、他の三次元表示技術は、多くの利点を提供するが、実空間三次元画像を生成するために、さらなる改良が望ましい。本発明の実施形態は、これらの未解決のニーズの少なくとも一部に解決法を提供する。
本特許出願は、レーザビームによる気体粒子の励起を用いて、静的または動的画像を三次元で表示するシステム及び方法の例を幾つかを記載する。これらのシステム及び方法は、励起レーザエネルギーの吸収に続いて可視光を放出する気体粒子を含む三次元照明対象域(three dimensional illumination volume)を利用してよい。これらのシステム及び方法は、第1のレーザビームを生成する少なくとも第1のレーザと、第2のレーザビームを生成する第2のレーザと、スキャナとを少なくとも含んでよく、スキャナは、第1及び第2のレーザビームを照明対象域で交差するように向けて、ビーム交差点で気体粒子を2光子励起状態に励起し、その結果、ビーム交差点で粒子は可視光を放出する。スキャナは、三次元でレーザビーム交差点の位置が変わるように、照明対象域を通るレーザビームの位置及び/または向きを変えるようにさらに動作できる。
ビーム交差点で励起された気体粒子から放出された光または電磁放射線は、静的または動的画像を生成するように配置、及び配列できる。ある場合には、気体粒子は、透明または半透明の媒質内に分散される。ある場合には、1つまたは複数の異なるタイプの粒子を使用して様々な色(例えば、赤、緑、黄色、青)の光を放出できる。ソフトウェア、ハードウェア、及び/または、ファームウェアを使用して、見ている人の眼が認知できる静的または動的な三次元画像を形成するように光が照明対象域のアドレス可能位置から放出されるよう、レーザ出力と走査を制御できる。
一例においては、1つまたは複数の画像を三次元で表示するためのシステムは、
気体を含む三次元照明対象域であって、その気体が、多光子励起状態の時に第1のタイプの可視光を放出するように構成された少なくともルビジウム蒸気を含む、三次元照明対象域と、
700nmより大きい、または、400nmより小さい第1の波長の第1のレーザビームを生成するように構成された第1のレーザと、
700nmより大きい、または、400nmより小さく、第1の波長とは異なる第2の波長の第2のレーザビームを生成するように構成された第2のレーザと
を備え、システムは、第1及び第2のレーザビームが照明対象域で交差するように第1及び第2のレーザビームを照明対象域内に向けて、第1のタイプの可視光がビーム交差点で放出されるようにビーム交差点で少なくとも一部のルビジウム粒子を多光子励起状態に励起するように構成される。
システムは、ビーム交差点で、ルビジウム粒子の少なくとも一部を5Dエネルギー準位に励起するように構成されてよい。
第1のタイプの可視光は、400nm〜430nmの波長を有する発光を含んでよい。
5Dエネルギー準位は、5D5/2エネルギー準位であってよい。
システムは、第1の波長及び第2の波長とは異なる第3の波長の第3のレーザビームを生成するように構成された第3のレーザをさらに含んでよく、システムは、第1、第2、及び、第3のレーザビームが照明対象域で交差するように第1、第2、及び、第3のレーザビームを照明対象域内に向けて、第1のタイプの可視光がビーム交差点で放出されるようにビーム交差点でルビジウム粒子の少なくとも一部を多光子励起状態に励起するように構成される。
他の例においては、1つまたは複数の画像を三次元で表示するためのシステムは、
多光子励起状態で第1のタイプの可視光を放出するように構成された第1の原子または分子気体を含む三次元照明対象域であって、第2の緩衝気体をさらに含む、三次元照明対象域と、
第1の波長の第1のレーザビームを生成するように構成された第1のレーザと、
第1の波長とは異なる第2の波長の第2のレーザビームを生成するように構成された第2のレーザと
を備え、システムは、第1及び第2のレーザビームが照明対象域で交差するように第1及び第2のレーザビームを照明対象域内に向けて、第1のタイプの可視光がビーム交差点で放出されるようにビーム交差点で第1の気体の少なくとも一部の粒子を多光子励起状態に励起するように構成される。
第1の気体は、アルカリガスを含んでよく、第2の気体は、希ガスまたは不活性ガスを含んでよい。
アルカリガスは、ルビジウム原子蒸気を含んでよく、希ガスは、アルゴンガスまたはネオンガスを含んでよい。
第2の気体は、基底状態の希ガスの粒子を含んでよく、第1の気体は、準安定状態の希ガスの粒子を含んでよい。
第1の気体は、
準安定状態の多様体である、ある状態の希ガスの粒子
を含んでよい。
システムは、照明対象域の外側に、準安定状態の希ガスの粒子を生成してよい。
システムの動作中、第1のレーザの出力は、50mW未満であってよく、第2のレーザの出力は、50mWより小さくても大きくてもよい。
システム動作中の照明対象域の温度は、120℃未満であってよい。
システムは、照明対象域で第2のタイプと第3のタイプの可視光を生成するように構成されてよく、第2のタイプ及び第3のタイプの可視光は、それぞれ、第1のタイプの可視光とは異なる波長を有する。
システムは、第1の波長及び第2の波長とは異なる第3の波長の第3のレーザビームを生成するように構成された第3のレーザをさらに備えてよく、システムは、第1、第2、及び、第3のレーザビームが照明対象域で交差するように第1、第2、及び、第3のレーザビームを向けて、第1のタイプの可視光がビーム交差点で放出されるように第1の原子または分子気体の粒子の少なくとも一部を多光子励起状態に励起するように構成される。
第1のタイプの可視光は、第1の原子または分子気体が多光子励起状態から失活する中間遷移の際に放出されてよい。
第1の原子または分子気体は、少なくともルビジウム粒子を含んでよく、システムは、ルビジウム粒子の少なくとも一部をビーム交差点で5D3/2エネルギー準位、6D3/2エネルギー準位、7D3/2エネルギー準位、8D3/2エネルギー準位、9D3/2エネルギー準位、10D3/2エネルギー準位、または、11D3/2エネルギー準位の少なくとも1つに励起するように構成されてよい。
第1の原子または分子気体は、少なくともルビジウム粒子を含んでよく、システムは、ルビジウム粒子の少なくとも一部をビーム交差点で9D5/2エネルギー準位、10D5/2エネルギー準位、または、11D5/2エネルギー準位の少なくとも1つに励起するように構成されてよい。
第1の原子または分子気体は、少なくともルビジウム粒子を含んでよく、システムは、ルビジウム粒子の少なくとも一部をビーム交差点で11S1/2エネルギー準位に励起するように構成されてよい。
他の例においては、1つまたは複数の画像を三次元で表示するためのシステムは、
第1の多光子励起状態の時に第1のタイプの可視光、第2の多光子励起状態の時に第2のタイプの可視光、及び、第3の多光子励起状態の時に第3のタイプの可視光を放出するように構成された第1の気体を含む三次元照明対象域であって、照明対象域は不活性緩衝気体をさらに含む、三次元照明対象域と、
複数のレーザビームを生成するように構成された複数のレーザであって、レーザビームの少なくとも一部は異なる波長を含む、複数のレーザと
を備え、システムは、レーザビームの少なくとも一部が照明対象域の第1のビーム交差点で交差して、第1のタイプの可視光が第1のビーム交差点で放出されるように気体の少なくとも一部の粒子を第1のビーム交差点で第1の多光子励起状態に励起し、レーザビームの少なくとも一部が照明対象域の第2のビーム交差点で交差して、第2のタイプの可視光が第2のビーム交差点で放出されるように気体の粒子の少なくとも一部を第2のビーム交差点で第2の多光子励起状態に励起し、且つ、レーザビームの少なくとも一部が照明対象域の第3のビーム交差点で交差して、第3のタイプの可視光が第3のビーム交差点で放出されるように気体の粒子の少なくとも一部を第3のビーム交差点で第3の多光子励起状態に励起するように、レーザビームを照明対象域内に向けるように構成される。
第1の気体は、気体の混合物であってよい。
気体の混合物は、少なくとも3つの希ガスの混合物であってよく、3つの希ガスは、それぞれ、可視光のタイプの1つの放出に対応してよい。
三次元画像システムの非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像システムの非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像システムの非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像システムの非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像システムの非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像システムの非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像システムの非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像システムの非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像システムの吸収及び放出プロセスの非制限的な例を示す図である。 三次元画像システムの吸収及び放出プロセスの非制限的な例を示す図である。 三次元画像システムの追加の非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像システムの追加の非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像システムの追加の非制限的な例を概略的に示す図である。 三次元画像法の非制限的な例を示す図である。
図面の詳細な説明
図1は、三次元画像システムの例を示す。図に示すように、システム100は、少なくとも1つの原子または分子気体を有する三次元照明対象域110を含む。原子または分子気体は、2光子励起状態の時に第1のタイプの可視光を放出するように構成された少なくとも1つのタイプの原子または分子を含んでよい。ある場合には、システム100は、第1の波長λの第1のレーザビーム122を生成するように構成された第1のレーザ120と、第2の波長λの第2のレーザビーム132を生成するように構成された第2のレーザ130とを含み得る。第2の波長λは、第1の波長λと異なってよい。
人間の眼は、約400nmから約700nmの範囲内にある波長値を有する光に強い視感度を有する。2光子吸収を使用することによって、眼の視感度の外、例えば、約400nm未満または約700nmを超える光を生成するレーザは、気体のごく小さい領域を励起して、気体に可視波長の光を放出させることができる。従って、気体からの放出は観察できるが、気体を励起するレーザは人間の眼には見えない。他の例においては、眼の視感度内の光を生成するレーザを利用してよい。
システム100は、第1のレーザビーム122及び第2のレーザビーム132を照明対象域110で交差するように向けて、ビーム交差点140で第1のタイプの原子または分子の少なくとも一部を2光子励起状態に励起するように構成でき、その結果、第1のタイプの可視光150(例えば、第3の波長λ)が、局所領域またはビーム交差点140で放出される。レーザビーム交差点140の位置を変える(例えば、走査する)ことによって、三次元画像が、実空間で生成でき、ある実施形態においては、三次元ビデオを生成するように時間と共に変更できる。
原子または分子気体
照明対象域110は、照明対象域110全体にわたって分散された気体粒子を有する。ある場合には、粒子は、蒸気として存在してよく、原子、分子(単体または化合物)、原子もしくは分子のイオン、または、これらの任意の組み合わせであってよい。少なくともある実施形態においては、気体粒子は、対象域110全体にわたって自由に移動するのに十分な運動エネルギーを有する。容器内に存在する時に気体粒子は、気体が容器の容積を満たすように分散できる。ある場合には、照明対象域110内の気体は、吸収/放出プロセスを行っていない時には透明である。ある場合には、照明対象域110の気体粒子は、1つまたは複数のレーザ波長の気体粒子による選択的吸収と1つまたは複数の可視波長の放出とに基づいて、具体的に選択できる。
図2は、図1に示すレーザビーム交差点140で生じ得る粒子の励起及び放出プロセスの例を示す。このエネルギー準位の図に示すように、第1の波長λまたは周波数の第1光子210は、第2の波長λまたは周波数の第2光子220と組み合わされて、気体粒子を低状態(例えば、第1の状態または基底状態)から高状態(例えば、第2の状態または励起状態)に励起するように動作できる。例えば、2つの光子は、電子が光子から入射エネルギーを吸収すると、(例えば、1つの離散したエネルギー準位から別のエネルギー準位に遷移して)粒子の電子を高状態に励起できる。2つの光子の吸収と、高いエネルギー状態への上昇に続いて、励起された電子は、光子230を放出しながら、失活して低状態になる。放出された光は、可視スペクトル内の波長λであってよい。図2は、低状態から高状態への遷移が1ステップで生じると示しているが、少なくともある実施形態においては、遷移は、第1光子210が中間準位への遷移を起こし、第2光子220が中間準位から高準位への遷移を起こす等、複数のステップで生じる。図2は、高状態から低状態への遷移が1ステップで生じると示しているが、少なくともある実施形態においては、遷移は複数のステップで生じる。
ある実施形態においては、気体は、ルビジウム(Rb)原子蒸気を含んでよい。図2aは、原子ルビジウムの粒子の励起及び放出プロセスの一例を示す。図2aにおいて、780nmの第1のレーザビームは、5S1/2から5P3/2への遷移を励起し、5P3/2で、ある時間とどまって、776nmの第2のレーザビームが、5P3/2状態から5D5/2状態への2光子遷移を行う。図2aに示すように、この2光子励起状態において、1つの自然放出失活経路が、420nmで青色光子を放出する(この特定の場合には、赤外光も420nmの光で放出される)。
図には詳細に示されていないが、この特定の実施形態においては、420nmの光の放出に至る自然放出経路は、5D5/2状態から6P3/2状態に進んで、赤外光子を放出する。6P3/2準位から、5S1/2準位に失活する時に、光は、自然に青色光子を放出できる。他の光を放出する他の失活経路もあるが、少なくともある実施形態においては、これらの他の経路はどれも、可視範囲の波長の光を放出しない。
ある実施形態においては、他の可能な失活経路より1つの特定の失活経路(例えば、望ましい波長で光を放出)を勧める方法を採用してよい。例えば、追加のレーザを導入して、4波混合を使用して望ましい失活経路による失活を促進することを可能にしてよい。しかしながら、典型的に、位相整合条件が、放出光の角放出パターンを正確な及び/または限定された角度方向の非常に小さい立体角に制限するので、4波混合は、ある特定の実施形態には適さない場合がある。
全てではないが、一部の実施形態において、図2aに示す放出経路は、これらの遷移の双極子行列要素が、Rbの他の一部の遷移経路より大きいので、特に望ましい。双極子行列要素が大きくなると、少なくともある場合には、ポンピングまたは励起のための遷移が容易になることを一般的に意味し、その特定の失活経路が、他の失活経路より高い確率で生じることを意味することが多い。双極子行列要素が大きくなると、励起状態の寿命が短くなることも一般的に意味する。走査型レーザのドゥエル時間内に原子が励起、失活し得る回数は、放出光の強度に直接関連するので、励起状態の寿命が短くなることは非常に有益であり得る。
全てではないが、一部の実施形態において、本システムによって採用される放出経路は、6P準位を通る失活を含む他の失活経路より有益であり得る。少なくともある例においては、6P準位を通る失活は、望ましい波長の光を生成することに加えて、このようなアプローチによって、420nm及び421nmの光も生成することを意味する。このようなアプローチは、多くの例において、可視範囲の純粋な周波数または波長を生成することができず、これは、RGB、CMYK、または、他の色混合法であっても、全色表示のためにアクセス可能な色域の面積を減らす場合がある。
図2aに示す励起及び放出プロセスの例は、赤外光(例えば、約760nmから1000μmの波長を有する)の2つのレーザビームを使用する。より詳細には、この例においては、2つのレーザビームは、両方と、近赤外スペクトル(例えば、約760nmから1500nmの波長を有する)である。他の実施形態においては、人間に見える光のスペクトルの外側(例えば、約400nmから700nmの外側)の他の波長が採用されてよい。例えば、ある実施形態においては、紫外波長を採用してよい。
図2aに示す経路以外の追加/他の経路を、ある実施形態において、採用してよい。ある非制限的な例は、6D5/2、7D5/2、8D5/2、12D5/2の準位で終了する経路を含み、これらは、5P3/2中間準位を利用する。他の例は、8S1/2、9S1/2、及び、10S1/2の準位で終了する経路を含み、これらは、5P1/2及び5P3/2の準位を利用する。さらに他の例は、(5〜12)D3/2準位、(9〜ll)D5/2準位、及び、11S1/2準位への励起経路を含み、これらは、5P1/2または5P3/2中間準位のいずれかを利用し、その全ては、失活する時に可視光を生成する。これらの経路には、一定の実施形態において、他の経路より好ましいものがある。例えば、(9〜1l)D5/2準位への励起経路は、12D5/2準位が5P3/2準位までに有する断面積と分岐比よりも大きい5P3/2準位までの断面積と分岐比とを有してよい。大まかに言うと、P1/2準位は、P3/2準位がD5/2準位に結合するのとほぼ同じくらい強くD3/2準位に結合する(遷移行列要素によって測定)。従って、(5〜12)D3/2準位は、ある実施形態においては、D5/2準位とほぼ同じ有効性で使用され得る。さらに、P3/2準位は、S1/2準位に、P1/2準位の少なくとも一部(例えば、8〜10S1/2から5P1/2)により強く結合しているようである。11S及び12D準位より上の準位も使用してよいが、5P準位への断面及び分岐比の両方とも、準位が高くなると減少するようである。少なくともある実施形態においては、適切な表示システムの設計は、様々な遷移波長で適切に構成されたレーザの利用可能性に依存するので、使用可能な全ての準位の識別は、少なくともある例においては、適切なシステムの構築に際して重要な考慮事項となり得る。Eric J.Korevaar及びBrett SpiveyによるUS第4,881,068号は、ある実施形態において、利用可能な他の経路を特定している。
必ずしも全てではないが、一部の場合には、2つの遷移プロセスに基づいた励起及び失活経路に関する課題の1つは、高い方の遷移を扱うレーザが赤外線であるシナリオを見つけるのが難しく、望ましい可視光を作る失活経路が、基底状態への最終的な失活で生じないということである。可視光が基底状態への最終的な遷移で生成されるシナリオにおいては、ある例における1つの潜在的な課題は、十分な可視光が生成されるほど高い原子数または分子数密度を有することと、生成された光が大きく再散乱されずに、セルから伝播できるほど低い密度を有することとの間のトレードオフである。ある実施形態においては、このトレードオフは、実際の実施形態において、Rb原子の密度を限定する。ある実施形態においては、この問題への1つの解決法は、緩衝気体を用いることである。これについては、以下により詳細に記載する。他方、高い方の遷移を扱うレーザが可視波長であるシナリオにおいては、望ましい蛍光が、高い方の遷移で生じ得る。結果として、その光は、気体中の多くの基底状態の原子と共鳴せず、対象域の外で自由に伝播し得る。しかしながら、(多量の蛍光の生成に必要とされるような)非常に強力な可視レーザは、フィルタリングや除去の難しい多量のレーザ散乱も生み出す可能性がある。レーザ散乱は、生成された蛍光とほとんど同じ波長なので、必ずしも容易にフィルタリングできない。レーザ散乱をフィルタリングする試みはいずれも、照明ボクセルから発せられる光もフィルタリングする。
ある実施形態においては、この課題は、3つの赤外レーザを必要とする励起経路を使用し、カスケードプロセスの中間遷移の際に可視光が生成されるようにカスケードプロセスを使用して可視光を生成することによって、対処されてよい。赤色蛍光の生成に使用できるこのアプローチの1つの非制限的な例は、780、1530、及び、953nmのレーザを用いた励起経路5S1/2−>5P3/2−>4D5/2−>8P3/2である。中間遷移の際にかなりの量の可視光を生じさせる失活経路は、次のようになる。630nmの光は、8P3/2−>6D5/2−>5P3/2−>5S1/2及び8P3/2−>6D3/2−>5P3/2−>5S1/2によって生み出され、620nmの光は、8P3/2−>6P3/2−>5P1/2−>5S1/2によって生み出され、616nmの光は、8P3/2−>8S1/2−>5P3/2−>5S1/2によって生み出され、607nmの光は、8P3/2−>8S1/2−>5P1/2−>5S1/2によって生み出される。全ての他の高励起のカスケードプロセスと同様に、420及び421nmの光が、依然として、6P準位を通って進む失活経路から生み出される。さらに、7S1/2準位を通る失活プロセスは、728及び741nmの放射線を放出し、8P及び7P準位から、5S準位への失活は、335及び359nmの紫外線放射を生成する。600nm近くの5つの主な可視失活経路を通る分岐比の合計は、約25%で、一方、420及び421nmの光を生じる失活経路は、約2%の分岐比合計を有する。6D5/2準位までの2つのレーザプロセスを用いると、630nmの光を生成する5P3/2準位への分岐比は、78%で、前述の420及び421nmの光を生成する分岐比合計とほぼ同じである。従って、3つのレーザ励起プロセスは、失活プロセスの分岐比の効率を、わずか3分の1減らすが、可視レーザ散乱を完全に取り除く。
ある実施形態においては、このアプローチを使用して、可視蛍光の他の色を生成する。例えば、励起経路5S1/2−>5P3/2−>4D5/2−>9P3/2は、780、1530、及び、861nmのレーザを利用する。この遷移は、9S、8S、7D及び6Dの準位に失活して、光を生成する。ルビジウムにおいては、S準位への失活は、最も高いS準位を好む傾向があり、d準位への失活は、等しく分散される傾向がある。結果として、放出光は、557、565、572、607、616、620及び630nmの周波数成分を有し、黄緑色の周波数(557、565、及び、572nm)の重みが相対的に大きい。認識される色は、オレンジ色または橙黄色になると考えられる。このアプローチを使用する一部の実施形態を使用して、それぞれ、813、784、及び、764nmのレーザを用いて、4D5/2準位から10P、11P、または、12P準位まで励起することによって、主に緑の光も生成できる。このアプローチを用いて、異なる原子種で可視レーザを使用することなく、可視蛍光を生成できる。
連続波レーザを飽和条件で使用する場合、2つのレーザ構成において6D5/2準位に励起することができるポピュレーションと比較して、8P3/2準位のポピュレーションは低減されやすいことに注目する。パルス状レーザを使用する場合、原理上は、局所領域全体のポピュレーションは、3つのレーザプロセスにおける8P3/2、または、2つのレーザプロセスにおける6D5/2のいずれかの、望ましい準位に励起できる。これは、原子を望ましい励起状態まで順次、励起するための、いわゆる「\piパルス」を用いて行うことができる。\piパルスは、原子遷移を完全に逆にするために使用される特定の総面積を有する短いレーザパルスである。\piパルスを順次、適用することによって、ポピュレーションが中間準位のいずれかから大きく減衰する前に、ポピュレーションを、望ましい励起状態に順次、移動させることができる。ある場合には、このアプローチは、\piパルスを構成する総エネルギーに正確さを必要とする。さらに、ある場合には、超微細分裂またはゼーマン分裂に関連付けられた準位縮退が、プロセスを損なう傾向があり、ドップラー広がりも、励起プロセスの効率を低下させ得る。
ある実施形態における、原子を望ましい準位に効率的に励起する他の代替アプローチは、振幅変調誘導ラマン断熱通過(AM‐STIRAP)を使用することである。このアプローチにおいては、中間状態にポピュレートすることなしに、共鳴パルスを使用して、順次、2つの最終状態間で原子を可干渉性に遷移させる。このアプローチは、ラダー系及びラムダ型系の両方に使用することができ、また、4つ以上の準位を有する多準位系に適用できる。このプロセスのパルス長は、準位の対のデコヒーレンス時間よりずっと短くあるべきである。ラダー系においては、準位対の間のデコヒーレンス時間は、非常に短いにもかかわらず、フェムト秒、ピコ秒、または、おそらく、ある場合には、数ナノ秒を含む、短いレーザパルスを使用する場合、実現可能であってよい。このアプローチは、準位縮退に対してロバストな傾向がある[Shore et al.Phys.Rev. A 45,5297(1992)]。
可能な励起経路のさらに他の非制限的な例は、5F7/2準位までの励起である5S1/2−>5P3/2−>4D5/2−>5F7/2を含む。5F7/2準位まで励起された原子は、4、5、及び、6D5/2準位を通り、その後、5、6、及び、7P3/2準位を通って失活し、それぞれ、630nm、420及び421nmの可視光を生成する。このアプローチにおいて、原子の約2%のみが、6D5/2準位に失活して、630nmの光を放出するが、1%を超える原子は、6P3/2準位を通って失活し、420nmの光を放出する。
2つ以上のレーザを用いて局所的な可視蛍光を生成する上記アプローチは、希ガスにも一般化できる。ほとんどの希ガスは、電子励起を用いて、いわゆる準安定状態に励起できる。準安定状態は、同じ原子において、他の準位を大きく超える失活寿命を有する長寿状態であるという特性を有する。通常の基底状態への失活は、標準的な遷移選択則によって妨げられているので、準安定状態は、より長い寿命を示す。準安定状態は、準安定状態の上のより高い励起準位にとって有効な基底状態のように働くことができる。例えば、アルゴンにおいては、2つの準安定状態がある。すなわち、NIST原子スペクトルデータベース[Kramida,A.,Ralchenko,Yu.,Reader,J.及びNIST ASD Team(2014).NIST Atomic Spectra Database(version5.2),[オンライン]http://physics.nist.gov/asd[2015年2月17日火曜]、米国標準技術局、Gaithersberg,MD.]に準拠した表記法を用いると、
Figure 2018524639
配置、2[3/2]0項、J=2状態、及び、
Figure 2018524639
配置、2[1/2]0項、J=0状態の2つである。
Figure 2018524639
配置、2[3/2]0項、J=2状態から、811.53nmのレーザは、原子を
Figure 2018524639
配置、2[5/2]項、J=3状態に励起できる。その後、603nmの波長の可視レーザは、原子を
Figure 2018524639
配置、2[7/2]0項、J=4状態に励起できる。準安定状態は、ある場合には、紫外線を放出してアルゴンの基底状態まで最終的に失活できる状態に励起できることに注目することは重要であり、これは、必ずしも全てではないが、一部の実施形態においては望ましくない場合がある。基底状態に失活できる準位を用いることは、エネルギーが失われるが、可視光が生成されないので、ある実施形態においては、好ましくない。上記に列挙した準位は全て、基底状態に失活する状態に失活するのを妨げられている。従って、それらは、いわゆる、状態の準安定多様体を構成する。これによって、これらの状態からの許可された失活経路は、常に、最低のエネルギーの準安定状態、この場合では、
Figure 2018524639
配置、2[3/2]0項、J=2状態で終了することを意味する。アルゴンの他の励起経路も企図されてよい。例えば、
Figure 2018524639
配置を有する励起状態を使用する代わりに、
Figure 2018524639
配置、2[7/2]0項、J=4状態への励起は、550nmで緑色の光を生成できる。同様に、(7〜12)D準位への励起(4D及び6D状態と同じ項と総電子角運動量)は、それぞれ、(522、506、496、489、483、480)nmの光を放出する。これは、5D、7D、及び、12D準位を用いると、単一の希ガスベースのシステムでフルRGB色の表示が可能になることを意味する。上記のように、これらの状態は、状態の準安定多様体の一部である。これらのシステムにおいては、励起されたD状態から6〜12P準位、次に4S準安定状態へのカスケード崩壊から、少量の紫外光が、大抵、生成されることに注目する。このタイプの失活は、表示窓自体による自然のフィルタリングに加えて、表示窓上にコーティングを使用することによってフィルタリングできる。
ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、及び、ラドンを含む全ての希ガスの類似性は、1つの元素に一連の準位が発見できる場合、異なる遷移周波数と異なる双極子遷移行列要素を有するにもかかわらず、他の元素とほぼ等しい準位構造があるということを意味する。これは、例えば、希ガスの混合物を用いて、複数の完全に独立した色を生成できることを意味する。赤、緑、及び、青の色のボクセルを、別々に走査することが望ましい場合がある。これを可能にするために、少なくともある実施形態においては、低い方の遷移を駆動するレーザは、各色に対して異なっていなければならない。ある場合には、これは、異なる準安定状態と中間遷移を利用することによって、単一の原子種を使用して可能となり得る。他の場合には、各原子種が1つまたは複数の色を生成するように、原子種を混ぜると有利な場合がある。例えば、準安定状態の
Figure 2018524639
配置、2[3/2]0項、J=2、中間状態の
Figure 2018524639
配置、2[5/2]項、J=3、及び、励起状態の
Figure 2018524639
配置、2[7/2]0項、J=4状態のクリプトンの準位のセットを考えてみよう。低い方の遷移は、811.29nmの光を用いてアクセスされ、高い方の遷移は、646nmの光でアクセスされ、次に、646nmの光を放出する。(7〜12)D準位は、それぞれ、(583、552、534、522、515、及び、509)nmの光でアクセスされ、(583、552、534、522、515、及び、509)nmの光を放出できる。
ある実施形態においては、上記以外の希ガスの他の準位を利用してよい。ある場合には、主要経路を通して分岐比が十分に大きい場合、追加の失活経路が、許容可能であってよい。アルカリ蒸気と同様、希ガスにおいても、高準位のS準位への励起を考えてよい。さらに、アルカリ蒸気によって前述したものと同様の可視光のカスケード放出を伴う2つまたは3つのレーザによる励起を、希ガスにおいて考えてよい。
ある実施形態においては、希ガスを利用すると、高準位からの大量の可視蛍光を生み出すことなく、非常に高い密度の準安定状態を作成することは、難しい場合がある。ある実施形態においては、この問題は、十分な長さの不透明管を用いて表示対象域から準安定状態作成領域を分離することによって、克服できる。高準位状態は、非常に速く失活し、準安定状態は、非常にゆっくりと失活するので、高準位状態の原子は、管を出る前に失活し、準安定状態の原子は失活しない。このようにして、基底状態の原子及び準安定状態の原子のみが、表示対象域に到達する。少なくともある場合においては、準安定原子を用いる1つの特徴は、基底状態の原子はいずれも、準安定状態に対して緩衝気体として働くことである。ある実施形態に関して、緩衝気体に関するより詳細を以下に記載する。
ある実施形態においては、アルカリ系で使用される準安定状態密度に近い準安定状態密度が可能である。希ガスの準安定状態を生成する一般的な方法は、10^−5〜10^−4の範囲の効率を有する。アルゴンに関しては、室温で10トールの圧力で、10^−4の効率は、3x10^〜13/cm^3の準安定状態密度に該当する。これは、約130℃に加熱されたRb蒸気の密度とほぼ同じである。(基底状態原子との衝突の存在で)準安定状態の有効寿命は、数msであると予測されるので、準安定状態は、大きな対象域を満たすことが可能であるべきである。室温で、Ar原子は、約400m/sの平均速度を有するので、準安定状態は、基底状態に戻る前に、約400〜1200mm移動できることになる。準安定状態の固有寿命は、実際は38秒であることに留意する。有効寿命は、衝突を含むので、計算は、準安定Ar状態の平均自由行程に依存するようには思われない。
少なくともある実施形態においては、システムは、例えば、加熱システムを用いて気体を望ましい温度に加熱すること等によって、照明対象域で気体を望ましい密度に維持するように構成されてよい。一実施形態においては、原子ルビジウムを含む気体は、室温から摂氏約150度までのいずれかの温度に加熱されて、10^10から10^14原子/cm^3の間の任意の目標密度を維持することができる。不活性ガスを利用する実施形態を含む他の実施形態においては、目標密度を達成するための加熱が不要な場合がある。
ある実施形態においては、目標密度は、具体的な励起及び失活経路と原子蒸気の組成とによって決まる。ある実施形態においては、不活性緩衝気体を用いて、エネルギー準位を衝突によって拡げてよい。上記のように、これは、少なくともある実施形態においては、励起及び放出プロセスの効率を劇的に向上させる効果がある。ある実施形態においては、目標は、適度な周囲照明で容易に見ることができる実用的なディスプレイを作成することであり、蒸気セルの温度をあまり高くする必要が無く、且つ、可視蛍光の許容できる生成を可能にするように、目標圧力を低減してよい。原子種が主に、不活性ガスと準安定状態で構成されている場合、上記のように、準安定状態の生産効率に対して単に圧力を制御することによって、室温で目標密度に到達できる。
上記のように、不活性ガスは、室温であってよく、目標密度を達成できる。不活性ガスを用いると、衝突エネルギーの伝達によって、準安定多様体の状態から原子を取り除く傾向がある。この理由のため、ある実施形態においては、約10トールのオーダーの目標圧力が好ましい(これは、約3x10^13/cm^3の準安定密度に該当する)。他の実施形態は、0.01トールから約200トールの範囲の圧力を利用してよい。
アルカリ原子に関しては、密度は、気体の圧力に拘束される。密度、圧力、及び、温度の関係は、理想気体の法則と種固有の蒸気圧力モデルを用いて計算されてよい(例えば、[D.A.Steck,オンラインhttp://steck.us/alkalidataで入手可能な「Rubdium 87 D Line Data」(Revision 2.1.4,2010年12月23日)]を参照)。これらのモデルを用いて、上記に列挙した目標密度は、目標圧力及び目標温度に変換できる。例えば、ルビジウムにおいては、10^10〜10^16原子/cm^3は、22℃〜270℃の温度範囲に対応する。Rb蒸気の温度が高すぎる場合、Rb‐Rb分子が生成されることがあり、これは、ディスプレイを損なう傾向がある。従って、約300℃を超える温度は好ましくない。
目標密度は、励起率と放射トラッピング確率の複雑な相互作用に左右される。これについては以下にさらに記載する。2つのアルカリ蒸気がディスプレイで混合される場合、アルカリ蒸気は、それぞれ、ディスプレイの温度によって、異なる密度を有する。例えば、セシウムとルビジウムの混合物は、分圧を有し、結果として、密度は、上記に列挙した温度範囲にわたって3.5〜2の比である。不活性ガスの混合物の分圧は、直接、制御できるので、目標密度の任意のセットが、困難なく生成できる。ある実施態様においては、トレードオフを最適化するために、重原子と大きい超微細分裂を有する原子種の利用が好ましい場合がある。例えば、自然に豊富なRbは、原子質量85を有し、Csは、原子質量133を有する。ドップラープロファイルは、温度と共によりゆっくりと増加するので、基底状態の遷移の吸収プロファイルが重なり始まる前に、高い温度(及び、対応する密度)に達し得ることを、質量の増加は意味する。セシウムは、超微細分裂が、Rb87の6.8GHzの分裂またはRb85の3.2GHzの分裂よりずっと大きい9.2GHzであるという長所も有する。セシウム蒸気を用いて、以下の遷移を使用してよい。
・6S1/2準位から6P3/2準位、その後、6P3/2準位から12〜14D5/2準位
・6S1/2準位から6P1/2準位、その後、6P1/2準位から7〜14D3/2準位
・6S1/2準位から6P1/2準位、その後、6P1/2準位から12〜13S1/2準位
・6S1/2準位から6P3/2準位、その後、6P3/2準位から6D5/2準位、6D5/2準位は、赤外線を放射して7P3/2準位に、その後、455nm放射によって6S1/2準位に失活してよい。
・6S1/2準位から6P1/2準位、その後、6P1/2準位から6D3/2準位、6D3/2準位は、赤外線を放射して7P1/2準位または7P3/2準位に、その後、これらから、それぞれ、455nm及び459nmの放射によって6S1/2準位に失活してよい。
・895nmレーザ光によって6S1/2準位から6P1/2準位に、その後、6P1/2準位から761nm光によって8S1/2準位に、8S1/2準位は、赤外線を放射して7P1/2準位または7P3/2準位に、その後、それぞれ、455nm及び459nmの放射によって6S1/2準位に失活してよい。または、
・852nmレーザ光によって6S1/2準位から6P3/2準位に、その後、794nmレーザ光によって6P3/2準位から8S1/2準位に、8S1/2準位は、赤外線を放射して7P1/2準位または7P3/2準位に、その後、それぞれ、455nm及び459nmの放射によって6S1/2準位に失活してよい。
気体が高密度すぎる場合、幾つかの悪影響が注目される。第1に、基底状態(または準安定状態)遷移と共鳴する光が、放射トラップされ得る。例えば、Rb蒸気においては、780nmのレーザは、原子を中間準位まで励起させる傾向がある。さらに、高準位のD5/2準位にさらに励起される原子は、例えば、5P3/2準位に失活して戻ってよい。両方の場合に、原子は、5S1/2〜5P3/2遷移と共鳴する光子を放出することによって、失活して基底状態に戻る。蒸気が高密度すぎる場合、この光は、素早く再吸収される。光が780nmレーザの元のビームの外側で再吸収される場合、元の780nmレーザビームの外側の原子は、可視光を吸収及び放出できることを意味する。これは、非常に高い密度では、照明ボクセルのかすみ、視覚的な非局在化につながる傾向がある。可視発光が基底状態遷移と共鳴する配置においては、光は、吸収、再散乱され、より低い密度でさえ、照明ボクセルをかすませる。極端な場合には、照明ボクセルから放出される光が完全にかすんで、観察されるのは、可視波長のかすみ状の光のみであり、照明ボクセルは全く観察されない。
気体があまり高密度でない場合、低〜中程度の周囲光の設定でさえ、蒸気または気体は、ディスプレイが見えるほど十分な量の可視蛍光を生成できない。
ある実施形態においては、最適目標密度は、多くの要因に左右される。例えば、温度及び密度が高すぎる場合、中間準位に励起された原子は、失活して共鳴光を放出し、共鳴光は、次に、放射トラッピングされ、ボクセルサイズを大きくする効果がある。可視光を生成する遷移が基底状態につながっていない場合、可視光は、セルを出るときに吸収、再散乱されないので、密度が高くなり得る。
ある実施形態においては、蒸気セルにおける不活性緩衝気体の使用は、幾つかの改良につながり得る。緩衝気体は、有効な原子線幅を広げる衝突広がりを起こす効果があり、より多くの速度クラスが、レーザ光を吸収して放射線を放出するのを可能にする。高温蒸気においては、入射光ビームに対する原子の動きは、各原子に関して、その速度に基づいて、光子をレッドシフトまたはブルーシフトさせる。光ビームが、ごく小さい帯域幅を持つ場合、一般的に言うと、ほぼ静止した原子のみが、正しく離調された光を体験する。(ある場合には、いわゆるドップラーフリー配置が、後方励起の低励起レーザ及び高励起レーザによって実施できる。これは、レーザが、5S1/2〜5P3/2準位及び5P3/2〜5D5/2準位の場合とほぼ同じ波長を有する時に、少なくともある例において、機能する。さらに、複雑な周波数チャーピング技術が無いと、後方励起ビームは、三次元全てで緊密に局在化された明確に画定されたボクセルを生じることができない。)これは、ある場合には、大きい速度を有する原子は、高準位では励起されにくいことを意味する。従って、励起状態の原子の密度は、予測よりずっと低くなる。これは、放出される放射線が大きく減ることを意味する。中程度の温度でさえ、影響は大きくなり得る。マクスウェル速度分布の幅を励起準位の幅と比較することによって、影響の大きさを計算できる。例えば、Rb蒸気においては、120℃でのドップラー幅は、約600MHz(FWHM)であり、5P3/2及び5D5/2準位の自然線幅(ここでも、FWHM)は、それぞれ、約6Mhz及び0.7MHzである。結果として、1000の原子毎に約1つの原子のみが、2光子遷移と共鳴する光と相互作用して、励起状態の原子のポピュレーション密度を同じ1000分の1減らす。緩衝気体を含むことによって、原子の均一線幅は、緩衝気体との衝突広がりによって増加し得る。増加した均一線幅を用いて、ドップラー広がりの影響を大きく低減できる。例えば、20トールのネオン緩衝気体を用いて、中準位及び励起準位の両方の均一線幅は、約200MHz(FWHM)に増加し、その結果、3つの原子毎に約1つが、2光子遷移と共鳴する光と相互作用する。これは、非緩衝気体セルに対して約300倍の増加を表す。緩衝気体の最適圧力は、ドップラー幅のほぼ0.1〜2倍の範囲の衝突広がりを生じるように選択されるべきである。異なる不活性ガス種を使用できる。例えば、約120℃で、アルゴン緩衝気体は、約20MHz/トールの広がりを与え、ネオンは、約10MHz/トールの広がりを与える。1つの非制限的な実施形態は、20トールのネオン緩衝気体を使用してよい。
上記改良による正味の効果は、20トールのネオン緩衝気体を有するRb蒸気セルに関して約300倍である。ある実施形態においては、緩衝気体を加えることによって、低出力のレーザ(各レーザにおいて対象に対して30mW未満の出力)を用いて、通常の室内照明で容易に見えるボクセルを作成することができる。
緩衝気体を含む実施形態の他の利点は、原子の密度は、低減できながらも、許容量の可視蛍光の生成に十分なことである。密度の低減は、基底状態遷移と共鳴する可視光の放射トラッピングの問題を劇的に改善できる。これに関しては簡単に前述した。可視蛍光の総吸収量(及び、その後の再放出量)は、密度と共に指数関数的に変わるので、アルカリ蒸気の目標密度の低減は、ある場合には、この問題を劇的に改善できる。
緩衝気体を含む他の利点は、ある実施形態においては、密度を低減できながらも、密度は許容量の可視蛍光の作成に十分なので、温度の低減が可能なことである。これは、加熱が必要なアルカリ蒸気でさえ、実際の実施態様においては、実行可能だと考えてよいことを意味する。160〜180℃の温度は、5S−5P−5Dベースのディスプレイには最適のようであるが、緩衝気体を用いると、80〜100℃の温度も許容可能な場合がある。これは、劇的に、電気効率を改善し、3Dディスプレイの起こりうる危険を低減する。
ある実施形態においては、照明対象域は、追加または代わりの気体または気体の組み合わせを含んでよい。ある実施形態においては、多色発光は、異なる気体の混合物を用いて達成されてよい。例えば、ある実施形態においては、赤、緑、青の発光に関しては、3つの異なる気体が、照明対象域/容器に含まれてよく、異なるレーザが、これらの遷移を駆動する。
照明対象域
図1に示す例において、照明対象域110は、第1のレーザビーム122及び第2のレーザビーム132が原子または分子気体で交差して画像を形成し得る三次元空間である。照明対象域110は、様々な形状及びサイズで構成されてよい。図1においては、照明対象域110は、立方体である。他の実施形態においては、照明対象域110は、円筒形、球形、または、他の形であってよい。照明対象域110は、立方センチメートル、立方メートル、または、それより大きいオーダーの体積を有してよい。
照明対象域110は、蒸気セル等の容器に配置されてよい。少なくともある実施形態においては、原子または分子気体は、容器全体に均一に分散する。容器(または、容器の少なくとも一部の表面)は、複数の視点からの視野対象域110に形成された画像が妨げられずに、または、比較的妨げられずに見えるように透明または半透明であってよい。ある実施形態においては、容器はガラスであってよい。ある実施形態においては、例えば、高真空下で容器に導入される気体を利用する実施形態においては、容器は、高い内部真空に耐える材料及び形状で構築されてよい。他の実施形態においては、それほど強固でない容器を採用してよく(例えば、希ガス(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、または、ラドン)を利用するある実施形態においては、)容器をいわゆる高真空圧力にすることなく、低圧で容器に希ガスを入れておくことが可能である。
図3は、円筒形容器1020の非制限的な一例を示す。図3においては、レーザビーム源1050、1060は、レーザビーム1032、1042が、容器の1つの側または面(すなわち、この実施形態においては、円筒形の平らな下の面)の点1022、1024で容器に入るように、配置されている。図3に示す容器等の円筒形容器は、円筒の曲面が、照明対象域及び照明対象域内に形成される画像を見る人の視界を妨害、または、他の形で見る人の妨害になる容器の縁や隅が少ないので、ある場合には、有利であり得る。円筒形容器は、ある場合には円筒形容器にかかり得る真空圧力に、より耐性があるので、有利でもあり得る。
他の実施形態は、他のタイプの容器を使用してよい。例えば、半球または部分的に球形(例えば、球形のキャップ、球形のボウル、または、逆球形のボウル等、平面によって先端を切り取られた球形)の容器を採用してよい。このような形も、比較的薄いガラスを用いて、大きな圧力差に耐えることが可能であり得る。ある場合には、励起レーザは、上記実施形態の一部で円筒形の平らな表面に入るのと同じように、平らな表面を通って部分的球形に入ってよい。部分的球形の平らな窓の面の上では、蛍光を見ることが、ガラスの隅によって妨げられない。ある実施形態においては、先端が切られた2つの面を有し、1つの励起を1つの面を通して送り、1つのレーザを他の面を通して送ることは、有利であり得る。より一般的に言うと、必ずしも球形でない滑らかなガラス面を平らな入射窓(単数または複数)の上に使用してよい。平らな窓の上にあるガラスが鋭い曲線を含まない限り、ガラスは、放出される蛍光に最小のひずみしかもたらさない。平らな窓の上の上面のこの自由は、設計者が、形状を構築することを可能にし得る。さらに他の実施形態においては、鋭い曲線または隅を必ずしも避ける必要はない。
励起レーザのスプリアス交差を最小限にする方法を以下にさらに記載する。この方法は、必ずしも全てではないが、一部の実施形態において、望ましい。これらの技術は、誘電体コーティング、及び/または、特別設計の2色性ガラスの追加使用と共に採用されてもよく、されなくてもよい。例えば、半球形容器に関しては、広帯域反射防止コーティングを、半球の内側と外側に塗布することができる。これによって、可視蛍光をより容易に容器から透過させることができる。さらに、容器が、IR及びUV吸収ガラスからできている場合、赤外線である励起レーザは、ガラスに強く吸収されて、主容器内への反射は最小限となる。スプリアスな失活経路によって生成されるUV蛍光もガラスに吸収される。例えば、Edmund Optics社製のSchott KG−1 Heat Absorbing Glass(熱吸収ガラス)は、可視波長を透過させながら、300nm未満及び900nmを超える光を強く吸収する。励起レーザの波長次第で、このガラスは、ユーザに到達するレーザ及びUV放射を安全なレベルまで低減するという点でとても有効であり得る。ディスプレイは、市販の他の種類のフィルタから作られてよい。さらに、表示容器は、容器自体が吸収性でなくてよいように、追加のフィルタ筐体に囲まれてよく、追加の筐体がUV及び/または赤外光吸収性であってよい。このように、ユーザにとって危険な光はいずれも、安全なレベルまで強く減衰できる。多くの実施形態において、照明ボクセルによって生成された蛍光が、望ましくない失活経路からの不要な紫外線蛍光を含んでいたとしても、ディスプレイのユーザを危険にさらすほど強くは決してならないことに留意することは重要である。
ある場合には、吸収構造は、ある距離をおいて表示対象域を部分的に囲ってよい。これは、励起レーザが向く可能性のある方向からディスプレイが決して見えないことを確実にするために使用し得る。例えば、円筒形容器においては、励起レーザが一番上の窓を通してのみ容器を出るように制限する場合、黒いベルベットの布(または、励起レーザの出力で安全な同様の吸収体)等の吸収面が、励起レーザをブロックする反射防止コーティングに加えて使用されてよい。吸収材は、ディスプレイの設計に応じて、ディスプレイから距離をおいて配置されてよい。主な目的は、上述したように、危険な可能性のある視野角から誰もディスプレイを見ることができないことを確実にすることである。
図1は、レーザビーム122、132が照明対象域110の1つの側または面(例えば、正面111)を通して照明対象域110に入ることができる実施形態も示す。照明対象域110の1つの面、側、または、表面を通るようにレーザビームを向けることによって、レーザ光源、走査機構、及び、ディスプレイの他のコンポーネントが、観察者の視野の外、例えば、視野対象域の下または背後のキャビネットに配置される視野ディスプレイを構築することが可能である。図1に示すように、対象域110は、上面112、底面113、右側面114、左側面115、及び、背面116も示す。他の箇所で記載のように、システム100は、照明対象域110で第1のレーザビーム122及び第2のレーザビーム132の両方の向きを少なくとも自由度2で変えて、三次元のレーザビーム交差点の位置を変えるように構成できる。
ある実施形態においては、照明対象域110は、容器の内容積の全て(または、ほぼ全て)を構成する。他の実施形態においては、照明対象域110は、気体が容器の容積全体に分散していても、容器の内容積のサブセットであってよい。言い換えると、ある実施形態においては、システムが、画像を生成しないように構成された(または、画像の生成を避けるように構成された)領域が容器の内容積内にあってよい。図1aは、容器102’と照明対象域110'の例を概略的に示している。ここでは、画像が生成されてよい照明対象域110'は、容器102’の内容積より小さく、照明対象域110'の外側の境界は、容器102’の内側から1つまたは複数の距離(例えば、図1aの距離「d」)だけオフセットされている。
照明対象域の制限は、ある実施形態においては、ディスプレイのユーザの安全を保証するためにも使用できる。例えば、円筒形容器及び半球形容器を利用する実施形態の一部においては、照明対象域を小さくすることは、走査型レーザの偏向角が小さくなることを意味する。これは、視覚的に魅力的なように保護吸収材を追加するのを容易にし得る。例えば、円筒形容器においては、離れた平らな窓を通してのみレーザが容器を出るように照明対象域を制限すると、走査ミラーと円筒形の離れた窓の位置によって画定される円錐内にのみ吸収材を置くことが可能になる。円筒形の最上部が、人と同じくらいの高さの場合、吸収材は、大きくスタンドオフ距離をおいて配置でき、ディスプレイを置く部屋の天井に取り付けることが可能である。こうすると、ディスプレイの視覚的な魅力が向上する。部分的球形を使用する他の実施形態も、励起レーザの交差点と容器の窓にユーザが視覚的にアクセスできないことを確実にすることによって、この特性を有するようにすることができる。
ある実施形態においては、システムは、レーザビーム122、132の一定の反射を取り除かないまでも最小限にするように構成されてよい。上記のように、可視光は、照明対象域110の第1及び第2のレーザビーム122、132が交差する所(例えば、図1のビーム交差点140)で生成されてよい。(照明対象域110を取り囲む容器の表面からの反射によって等)レーザビーム122、132の一方及び両方の反射によって、レーザビーム122、132は、照明対象域110内に、複数の軌跡に従って複数の位置で交差を生じる場合があり、意図した位置の放出に加えて(例えば、図1の発光150以外)、照明対象域内の望まないまたは意図しない発光を生じる可能性がある。ある実施形態においては、このような反射は、容器を反射防止特性に関連付けることによって、除かれないまでも、最小限にされてよい。例えば、ある実施形態においては、反射防止フィルムまたは他の反射防止コーティングが、容器の1つまたは複数の表面に適用されてよく、レーザビーム122、132の反射を取り除かないまでも、最小限にする。
ある実施形態においては、反射防止コーティングの適切な使用は、蛍光と励起レーザビームとの両方に存在する特定の周波数に左右される。それらは、また、ディスプレイのレーザで使用される波長と出力に依存する。ディスプレイで使用されるレーザの出力は、離調、緩衝気体圧力、及び、温度の最適化に依存し、これは、各ディスプレイ媒体に合わせて行う必要がある。クラスIIレーザが、許容できる蛍光輝度を提供する場合、固定レーザビームを覗き込まないようにユーザに注意する以外は、予防措置は必要ない。実際、主たる危険は、ユーザが固定ビームを覗き込むことである。システムが動作している時に、ビームは、対象域を走査しており、静止していない。その場合、唯一の危険は、システムが、誤作動して、励起レーザビームが視覚的にアクセス可能な方向で静止したままになることである。見る人がアクセス可能な方向で決してレーザビームが静止できないようにシステムを設計している場合、ユーザを危険にさらすことなく、より明るいビームを使用できる。これは、主に工学技術の問題であり、レーザが伝播する方向に吸収性筐体を使用することによって、または、能動的フィードバックを強度変調制御に組み込むことによって、行われてよい。例えば、ポインティング制御信号の静止が長すぎる場合、強度制御モジュールのスイッチを切る信号を生成してよい。あるいは、走査モジュールが、定常、すなわち、DC信号を受信した時はいつでも、走査装置に、ビーム角がアクセス不可能な方向を向くようにさせてよい。
ある実施形態においては、反射防止コーティングを、可視光を透過させるが、赤外または紫外光を反射するようにできる。励起レーザが、紫外波長または赤外波長のいずれかを有し、可視波長を有さない場合、これを用いて、励起レーザビームが見る人に届かないことを確実にできる。励起レーザの反射が交差する時には、スプリアス蛍光を作る可能性があるので、このアプローチは、必ずしも全ての実施形態で有利ではない。代わりのアプローチは、UV及びIR波長を吸収するが、可視波長を通過させる物質から容器を製造することである。レーザの1つまたは複数が可視波長を有する場合、上記方法は機能しない。この場合、可視レーザビームは、確実に吸収され、且つ、ディスプレイのユーザが直接見ることができないように、容器を通過し、容器から出ることが必要となり得る。これは、反射防止コーティングと、吸収性筐体もしくはビームブロックとを組み合わせて使用することを必要とし得る。より一般的に言うと、容器が、2色性もしくは多色性の反射防止及び/または反射コーティング、及び/または、吸収性領域を有すると、光が吸収され、ディスプレイのユーザに危険をもたらさない位置に光を安全に導くことができる。
ある実施形態においては、システムの他の態様は、追加で、または、代わりに、照明対象域を通してレーザビーム反射を最小限にするまたは除去するように構成されてよい。例えば、容器に対する照明対象域の体積を減らすことによって、及び/または、レーザビームを容器の同じ側または面から容器に入るように配置することによって、望まない二次的なビーム交差点を生じるレーザビームの反射の可能性を低減できる。図1b〜1eは、三次元画像システムの上面図を示しており、これらの図では、容器102’、照明対象域110’、並びに、レーザビーム源120’及び130’は、容器内でのこれらのレーザビームの反射による二次的なビーム交差点を最小にするようなサイズ、配置にされている。この特定の非制限的な例においては、図1bに示すように、容器102’は、立方体であり、照明対象域110'は、容器の中央に置かれたより小さい立方体(例えば、容器の全内容積の50%未満、25%未満、10%未満、または、他のパーセンテージを占める立方体)である。レーザビーム源120’及び130’は、それらのビームが、同じ側を通って容器102’に入り、且つ、20度の弧(採用する走査技術に応じて他の弧の範囲も可能である)を通して走査することによって全照明対象域110'(上面図における)をカバーできるように、配置される。この非制限的な例において、図1c〜1eの可能なレーザビーム反射パターンの例によって示されるように、容器内の1つまたは両方のレーザビームの2つ以上の反射の少なくとも前に、ビームの2次的な交差は生じない。
ある場合には、容器は、追加で、または、代わりに、レーザビームが容器を通過する時のレーザビームのフレネル反射を最小限にするように構成されてよい。図1fは、レーザビーム122'が容器102’の壁を通過する時に生じ得るレーザビーム122'のフレネル反射の例を示す。図1gは、フレネル反射を抑制する2つの球形の窓160’及び160”を含む容器102’の例を示す。ここでは、窓の球形の表面は、レーザビームが容器内に入る時に、球形の表面に対してレーザビームが垂直またはほぼ垂直になるように、配置されている。他の例においては、平坦な窓が、ほぼ同じ効果を達成するように向けられて(例えば、レーザビームがほぼ垂直な入射角になるように向けられて)よい。入射窓を利用してフレネル反射を最小限にする少なくともある実施形態においては、誘電体コーティングが、入射窓の反射損失を低減するように窓に設けられてよい。
他の実施形態においては、図1a〜1gに示された構成及び特徴は、不必要であり、他の機構を採用して、(例えば、上記反射防止コーティングを通して)レーザビームの反射に対処してよい、または、他の方法で、レーザビーム反射に対応してよい。
上記のように、ある実施形態は、加熱システムを含んでよい。以下は、円筒形容器の実施形態を利用する実験的設定と共に使用される加熱システムの非制限的な例である。円筒は、炉を備える他のガラス製の円筒内に取り付けられてよい。この非制限的な例においては、炉を備える円筒は、直径270mm、長さ10インチであり、気体用の円筒は、直径200mm、長さ226mm(約9インチ)である。気体円筒は、炉円筒の側面より約3/4インチ離して取り付けられる。気体円筒の下には、6つの抵抗加熱ロッドがあり、各ロッドの長さは5インチである。気体円筒の窓のそれぞれの周りには、抵抗加熱ロープが巻かれている。炉の窓には、1つは電線を収容し、1つは真鍮製の熱風送風管を収容するための2つ小さな孔がドリルで開けられている。熱風送風管は、約3/8”の直径を有し、過熱空気を炉内に吹き込む。過熱空気は、管を降りて、真鍮管の側面に1インチの間隔をあけてドリルで開けられた小さい孔から出る。小さい孔は、加熱が均一になるように、空気を分散させる。真鍮管の各端部には、長手方向に同じ位置に4つの孔がドリルで開けられており、これによって、気体円筒の窓を気体円筒の側面より確実に熱くする。過熱空気は、インライン型抵抗加熱器を用いて熱せられ、小型ポンプを用いてふきつけられる。加熱ロッド、ロープ、及び、加熱器の総電力は、0から700W近くで流れ得る。電力の最適比を含む最適な電力は、まだ、決まっていない。最適化を導く一般的な原理は、凝縮されたルビジウム蒸気が励起レーザも初期視野角も妨げない望ましい温度と要件とに基づく。これは、蒸気セルの最も冷たい部分が、望ましい温度と同じほど熱い必要があり、励起レーザも初期視野角も妨げない領域にあるべきことを、意味する。加熱ロープは、窓をセルの他の部分より熱くすることを確実にし、過熱空気を用いた上からの加熱は、蒸気セルの最も冷たい部分がセルの底部にあることを確実にする。セルの底部にある加熱ロッドは、セルの最も冷たい部分の目標温度の達成を確実にする。
3Dディスプレイをより大きいサイズにスケールアップすることは、難しい場合がある。例えば、難しさの1つは、ディスプレイの解像度のスケーリングに関する。他の難しさは、十分な励起状態の原子密度を大きい体積で得ることに関する。最初に、第1の問題について検討する。
他の3Dシステムの解像度の問題は、他に、例えば、Barry G. BlundellによるEnhanced Visualization:Making Space for 3‐D images[John Wiley and Sons,Hoboken,NJ,2007]に記載されている。この問題は、システムの絶対スケールとは、ある程度、無関係である。1つの難しさは、特定の励起レーザビーム対が、眼の積分時間スケール内に照明領域の全ての関連するボクセルを訪れるのに利用可能な時間量である。例えば、24Hzのフレームレートに関しては、フレームの照らされた各ボクセルは、42ms毎に一度、訪問されなければならない。各ボクセルが、250ns間、照らされる場合、各フレームで、約168,000の個々のボクセルのみに対応できる。最密構成においては、これは、側面毎にほんの約55ピクセルに該当する。
本発明のある非制限的な実施形態においては、システム及び方法は、3Dベクトル走査を組み込んでよく、3Dベクトル走査は、有効解像度をより大きくするのを可能にする。ある場合には、3Dベクトル走査に関しては、有効解像度は、ディスプレイに描くことができる総2D表面積に関連する。多くの3D画像は、空の空間で区切られた別個の表面で構成されているので、表面のみを描くのが、照らされていないボクセルにビームを向けて、時間を無駄にすることがほとんどないので、ディスプレイの非常に効率の良い使用法である。
本発明のある非制限的な実施形態において、上記のベクトル走査技術と組み合わせても、または、ベクトル走査技術無しでも、緩衝気体を用いて、解像度の問題に対処してよい。例えば、光ポンピングレートが約10nsのオーダーであると仮定すると、ドゥエル時間は、ある場合には、輝度の減少が皆無またはそれに近い状態で、約20nsに低減され得る。このドゥエル時間に関しては、ある場合には、210万の個別のボクセルに対処できる。最密構成に関しては、これは、側面毎に約128ピクセルに該当し、または、3Dベクトル走査アプローチにおいては、総表面積1449x1449ピクセル^2に該当する。これは、1080pHDテレビと同じ面積にほぼ該当する。3Dベクトル走査アプローチにおいては、これは、各表面の解像度は、フルHD解像度、または、それに近くなり得ることを意味する。3Dベクトル走査解像度は、(総ピクセルという点で)光ポンピング時間とレーザドゥエル時間が2分の1以下に減少し得るようにレーザ出力及び衝突広がりを増加させることによって、2倍以上に増加し得る。これは、約400MHzの衝突広がりに該当し得る。これを大きく超える衝突広がりに関しては、追加の衝突広がりが、中間状態における原子の寿命の短さが原因で、より上の準位に励起され得る原子の割合に負の影響を与え始めることが予測される。にもかかわらず、ある非制限的な実施形態においては、原子の大部分を、依然として、より上の準位に励起可能にするべきである。これは、ある非制限的な実施形態においては、励起失活プロセスのサイクル時間を低減するために、光ポンピングレートを増加させる必要があることを意味し、これは、レーザ出力を増加させるべきことを本質的に意味する。より高出力のレーザに関連付けられた追加の費用が、ある場合には、解像度をどれくらい大きくスケーリングし得るかの制限となることが予測される。にもかかわらず、利用可能性、品質、及び、費用という点で、レーザダイオードの絶え間ない進歩は、この問題は、乗り越えられない障害ではなく、レーザダイオード技術が成熟し続けると、徐々に解決される障害であることを示唆している。
別の懸念は、ある場合には、ディスプレイが十分に明るいように、十分に高い原子密度を得ることである。ルビジウム等の金属蒸気ベースのディスプレイに関しては、難しさの1つは、チャンバを十分に加熱し、且つ、チャンバがユーザにとって安全であるようにすることである。緩衝気体を追加すると、加熱要件が劇的に減少する場合がある。さらに、ある実施形態においては、蒸気セルは、透明なヒータガラスに収容できる。ヒータガラスは、176℃まで加熱できる0.25ミクロンの厚さのフッ素をドープした酸化スズ抵抗コーティングを使用する。これは、大きいガラス筐体の表面を均一に加熱する可能な方法の1つを表す。真空ガラス筐体と組み合わせて、大規模な実施態様(1〜2mの線寸法)さえ可能であると考える。
不活性ガスを用いると、より大きい寸法にスケーリングすることが依然として困難な場合はあるが、多くの実施形態において、加熱は必ずしも必要ではない。例えば、ある場合には、難しさの1つは、低圧環境における準安定状態の有効寿命であり得る。標準的な技術によって準安定状態を作り出す効率は、1:10,000〜100,000のオーダーなので、準安定状態は、基底状態の原子の有効な緩衝気体で存在する。これらの基底状態の原子は、準安定状態の急冷速度を増加させる。急冷速度は、不活性ガスの圧力に左右される。ある資料によると、実現可能な準安定状態の有効寿命として数マイクロ秒が挙げられている。ある非制限的な実施形態においては、準安定状態が、その短い時間で、ディスプレイ対象域を満たすほど十分遠くに伝播できる限り、この方法は、より大きい対象域でも使用可能なはずである。最適化は、ディスプレイの各サイズに関して密度と有効寿命とのトレードオフを決定し得る。ディスプレイを埋める密度を下げなければならない場合、補償のためレーザ出力を増加させることができる。
レーザ
図1に示すシステムのレーザ光源120、130は、照明対象域110で採用された特定の気体(単数または複数)に基づいて選択されてよい。例えば、照明対象域に原子ルビジウムガスを含む一実施形態においては、レーザ120、130は、420nmで青色光の放出を促すために、5S1/2から5P3/2への遷移を励起する780nmレーザビームを生成するように構成されたレーザと、5P3/2から5D5/2への遷移を励起する776nmレーザビームを生成するように構成されたレーザとを含んでよい。
非制限的な一実施形態は、数十mWの出力を有する科学グレードの狭域帯cwレーザ(約1〜2MHz帯域)を使用する。ある場合には、蛍光は、780nmレーザをD2線の共鳴から離れるように離調した時、(交差対象域の外側の蛍光からのかすみが少ないという意味で)最も鮮明で、(ボクセルの鮮明さのレベルで)最も明るくなり得る。しかしながら、ある場合には、基底状態の超微細分裂のために、超微細共鳴間に780nmのビームを置くと、超微細共鳴の外側に置くのと比較して、改善を示すことも分かる。これは、レーザが共鳴と共鳴の間にある時には、どちらの超微細状態からも原子が平等に励起されやすく、その結果、励起されにくい超微細基底状態で基底状態の原子の優勢が進みにくいからである。
非制限的な一実施形態においては、776nmのレーザの最適な離調は、2光子離調、または、2光子離調に非常に近いようである(両方のレーザのエネルギーが、加算されて、一番上の準位と一番下の準位のエネルギー差となることを意味する)。
ある非制限的な実施形態においては、出力の高い方のレーザが、特定の離調に関して飽和強度に達するまで、よりよい結果を生み出す場合がある。これらの例においては、飽和強度で必要とされる出力を超える追加の出力は、励起プロセスに寄与せず、無駄なエネルギーとなる。レーザがユーザに与える危険を減らすように、可能な限り少ない光を用いることをさらに考える。最後に、出力が飽和に近づくと、出力の増加に対して励起され得る原子の割合は、減少する。従って、可能な限り、線形領域(飽和未満)で動作することが、比較的、エネルギー効率がよい。線形領域で動作する場合における1つの難しさは、低励起レーザの出力が、蒸気セルを通って伝播する時に、吸収されることである。これは、例えば、レーザの入射窓に対して遠くの位置にあるボクセルの強度が、近くのボクセルと比較して低減される可能性があることを意味し得る。これは、ある非制限的な実施形態においては、近くのボクセルを扱う時は高励起レーザの出力を下げ、遠くのボクセルを扱う時は高励起レーザの出力を上げることによって補正してよい。各ボクセルに対する励起レーザの最適出力は、全てのボクセルが、均一の輝度または強度を有する可視光を放出するように調節できる。ある場合には、線形領域(飽和未満)で動作することによって低励起レーザでエネルギーを節約することと、高励起レーザを減衰させてボクセルの均一な輝度を生成する必要とのトレードオフは、低励起レーザの飽和領域で、または、その近くで動作することが好ましいことを示唆し得る。
ある場合には、最適ビーム直径は、予測される視野距離に左右されてよい。眼の解像度は、1フィート離れて見ると、90ミクロンにほぼ等しい[オンラインhttp://prometheus.med.utah.edu/〜bwjone/2010/06/apple−retina−display]。約2〜3フィートで楽に見えることを意図した実施形態においては、ビームは、人間の眼の解像度を超えるように、300ミクロンのオーダーの直径を有してよい。これは、交差点から中程度のスタンドオフ距離であることが必要とされるレンズによって集束された光ビームによって、容易に供給できる。より大きいディスプレイは、ある場合には、より遠くから見えるので、より大きいボクセルサイズを許容して、より大きいビームの直径を可能にする。ビームの直径が大きくなると、照明領域と集束レンズとの間のスタンドオフ距離がより大きくなる。ある場合には、ビームの直径が大きくなると、レーザ強度の減少を補償するためにレーザ出力の増加も必要となりやすい。
システムは、異なる気体と共に使用して、異なる色を生成、多色の画像を生成するための、及び/または、他の目的のための、代わり及び/または追加のレーザを含んでよい。
レーザ120、130は、連続であってもよく、パルス状であってもよい。ある場合には、パルス状レーザ(例えば、ミリ秒、マイクロ秒、ナノ秒、ピコ秒の期間、または、より短いもしくは長い期間を有する)を利用して、吸収及び可視発光を強めてもよく、及び/または、レーザの駆動力を低減してもよい。
ある場合には、レーザは、画像または画像の一部で強度変調(例えば、8ビットグレイスケール)を得るように強度変調されてよい。
緩衝気体を含むことによって、ある実施形態においては、中くらいの帯域幅のレーザを採用してよい。ある実施形態においては、レーザダイオードの帯域幅は、衝突広がり幅、または、おおよそ200〜500MHzに大体、一致すべきである。このタイプのダイオードは、費用便益を提供し得る。さらに、ある非制限的な場合においては、レーザダイオードの帯域幅は、上記に列挙した要件を超えて増加させることができる。例えば、システムが、(順次的な2光子吸収レジームとは対照的に)真の2光子レジームで動作される場合、各レーザ帯域幅は、上記の帯域幅を超えて増加し得る。低レーザと高レーザの帯域幅が一致し、互いに対して適切に同調される限り、低励起レーザ帯域幅の各領域は、高励起帯域の相補的な領域に寄与して、真の2光子励起を行う。順次的な2光子吸収レジームでさえ、帯域幅の増加は、効率が低下してもなお、中間状態への原子ポピュレーションの促進に寄与できる。
ある実施形態においては、レーザは、均一線幅または均一線幅未満のオーダーである周波数安定性を有する均一線幅(衝突広がりは均一線幅に含まれる)と等しい帯域幅を有するべきである。ある場合には、レーザ周波数が経時的にドリフトしないことを保証するために、レーザ周波数の能動的監視とフィードバックを使用する必要がある。他の場合には、レーザ帯域幅とドリフトの大きさに応じて、より大きい帯域幅が許容可能であってよく、より大きいドリフトが許容可能であってよい。少なくともある実施態様においては、これらの要因は、ボクセルの輝度または強度の経時的な変動を許容可能なレベルまで低減するように設計されるべきである。
制御システム
図1に示すレーザビーム交差点140は、照明対象域110内のアドレス可能位置またはポジションを表すことができ、対象域110内のアドレス可能位置の原子または分子気体の小さい領域の選択的励起が、その特定の位置で照明を生成するように動作する。ある場合には、個々の照明は、画像の少なくとも一部を形成できる。ある場合には、第1の交差点は、第1の照明または照明領域を生成でき、第2の交差点は、第2の照明または照明領域を生成でき、その結果、第1及び第2の照明または照明領域が画像の少なくとも一部を形成する。
ある実施形態によると、ルックアップテーブルまたはアルゴリズムを使用して、照明対象域の望ましいxyz座標(または、他のアドレス可能位置)をレーザビームの1つまたは複数の角度(または、他の位置または向き情報)と相関させることができる。ある場合には、xyz座標は、走査角に変換できる。例えば、図1に示す実施形態においては、特定のxyz座標は、第1のレーザビーム122の第1及び第2の走査角(例えば、第1の自由度に関する第1の走査角と、第1の自由度に対して垂直、または、他の形で交差する第2の自由度に関する第2の走査角)と第2のレーザビーム132の第3及び第4の走査角(例えば、第3の走査角は、約1自由度に関し、第4の走査角は、他の自由度に関する)とに変換できる。ある実施形態においては、ルックアップテーブルまたはアルゴリズムは、情報を含んでよく、または、複数の自由度で第1及び第2のレーザビームを調節するのに使用される走査機構の設定または調節に特定のxyz座標もしくは他の空間座標を関連付けるように他の方法で構成されてよい。
図4は、本発明の他の非制限的な実施形態による、表示システム1100の態様を示す。図に示すように、システム1100は、レーザ光源1110、走査機構1120、ディスプレイ1130、及び、コンピュータまたは他の処理装置もしくはシステム等の制御機構1140を含む。簡略化のため、単一のレーザ光源1110を図4に示すが、この実施形態及び他の実施形態は、複数のレーザ光源を含んでよいことを理解されたい。
走査機構1120は、レーザ光源1110によって生成されたレーザビーム1112の制御された偏向を提供してよい。走査機構1120は、1つまたは複数の次元または自由度に関してレーザビームを走査する1つまたは複数の装置であってよい。ある実施形態によると、走査機構1120は、様々な自由度で、1つまたは複数のレーザビームを向けるまたは空間的に移動させる任意の適切な構成の移動可能なミラーまたは回折構造を含み得る。ある場合には、走査機構1120は、一次元または自由度1でビームを向けることができる。ある場合には、走査機構1130は、二次元または自由度2でビームを向けることができる。例示的なミラー制御機構は、電気モータ、ガルバノメータ、圧電アクチュエータ、磁歪アクチュエータ、MEMSスキャナ等を含んでよい。ある場合には、走査機構1120は、音響光学偏向器、及び/または、電気光学偏向器を含み得る。ある場合には、走査機構は、ビーム経路に沿ってビームの焦点を調節する焦点機構を含んでよい。ある場合には、電気的に制御された可変焦点液体レンズを用いて、集束を行うことができる。ある場合には、サーボ制御レンズを用いて、集束を行うことができる。ある場合には、小さいスケールの偏向のための迅速技術及び大きいスケールな偏向のための大規模な走査技術を含む、走査技術を順次、実施してよい。ある場合には、このアプローチは、走査速度を犠牲にすることなしに、総偏向角または弧を増加させることができる。このタイプの実施形態の例は、音響光学偏向器または電気光学偏向器に、ガルバノメータミラースキャナが続き、おそらく、介在レンズを有する。
ある実施形態においては、焦点は、空間光変調器も用いて制御されてよい。さらに、2つのレーザビームのうちの1つは、y軸に沿って楕円形または細長くされてよい。ビーム同士が、ディスプレイ対象域の原点で交差する時、ビームは自然に座標系を規定する。2つのビームからなる平面の二等分角をx軸と呼び(2つのビームの伝播する共有方向に対して原点を超えることを正のxと規定する)、2つのレーザビームの伝播方向の間の右手系外積をy軸と呼び、z軸は、x軸とy軸の右手系外積によって規定される。この座標系において、ビームが原点にある時、y軸に垂直な方向の幅に対してy軸に沿ってビームを長くする。例えば、垂直方向のビームの直径を約1mmにし、水平方向の直径をわずか約300umにしてよい。他のビームは、約300um x 300umである。1つのビームを他のビームよりy方向に長くすると、ボクセルサイズに対する影響が最小で、系アライメントがよりロバストになる。ボクセルは2つのビームの交差によって制御されるので、ボクセルサイズは増加せず、これは、1つのビームを垂直方向に長くすることによって強く影響は受けない。より簡単な変換を使用してビームを重ね合わせることができるので、系アライメントは、よりロバストである。実際に、レーザビームが重なるようにビーム方向角度を決定することは、ビームが通り抜ける窓があまり厚くない場合、簡単な問題である。ある実施形態においては、窓がかなり厚いので、ビームが窓を通る時、窓はビームを少し平行移動させる。平行移動は、入射角に左右される。入射角は、各ビームに関して異なるので、稼働中に行われる変換は、かなり複雑になり得る。対照的に、ビームの1つを単に伸ばすことにより、画像のゆがみが最小の簡単な変換を使用できる。ビームを伸ばすことは、ある実施形態においては、ステアリングのオーバーシュートによって、ボクセルのかすみを引き起こさないことも意味する。あるいは、所与のxyz位置の補正的なオフセット角のリストを有するルックアップテーブルを使用して、窓ガラスによるビームの平行移動を補償してよい。これは、レーザが蒸気セルに入る時には、ガラスの平らな位置を通らない時でさえ、行うことができる。
ある実施形態においては、システムは、1つまたは複数の調節可能レンズを含んでよい。固定焦点アプローチを用いて、ボクセルサイズと輝度は、ビーム交差点領域におけるビームの相対的サイズに応じて、照明領域にわたって自然に変化する。例えば、ビームの交差が、いずれのビームの焦点からも離れて生じる時、ボクセルサイズは増加し、可視光の輝度及び強度も増加し得る。1つのビームの焦点の近くで交差が生じる時、ボクセルは、1方向に長くなる場合があり、強度または輝度が下がり得る。調節可能レンズの各ビームへの組み込みを使用して、ビームを常に交差領域に集中させることを確実にしてよく、これは、必ずしも全てではないが、一部の実施形態において、望ましい。焦点サイズは、交差点位置の近くまたは遠くで、わずかに変動するが、焦点サイズの変化は、調節不能レンズアプローチの幾何学的配列に応じて、劇的に低減できる。大きい照明対象域に関しては、照明領域から最終集光光学素子のスタンドオフ距離は、調節可能レンズでは焦点サイズの変動を著しく改善しない十分に小さい広がりをビームが有することを必要とし得る。
ある実施形態においては、強度は、音響光学変調器を用いて制御してよい。これらは、ほとんど全ての走査技術を用いて成功裏に使用されるほど十分に速くてよく、比較的低い損失で高い消光比を呈してよい。他の実施形態においては、電気光学変調器または他の光変調技術を使用してよい。
使用において、1つまたは複数の走査機構は、ディスプレイ1130の照明対象域内にビーム交差点を作るように動作でき、その結果、ビーム交差点が照明対象域のアドレス可能位置に生じる。処理装置1140からレーザ光源、走査機構、及び/または、ディスプレイに位置または方向制御命令を提供することによって、照明対象域空間全体の三次元の可変位置にビーム交差点を置くことが可能である。
ある場合には、ラスター走査を使用して、アドレス可能位置にビーム交差点を作り出すことができる。ある場合には、レーザ光源1110、走査機構1120、及び/または、表示機構1130への命令は、テレビ局、ケーブルサービスプロバイダ、インターネットソースもしくはプロバイダ(例えば、メディアのストリーミングを介して)、または、一部の他のマルチメディアソース等のブロードキャストエンティティから送信される信号を介して提供できる。他の場合には、情報は、処理装置1140から無線で、または、インターネットもしくはインターネットセルラー接続を介して、送信することができる。
コンピュータ1140は、走査機構1120に命令を提供またはリレーするように構成できる。光源の強度及び焦点位置(または、ビームが重なる位置)を変更することによって、三次元カラー画像を実空間で生成でき、時間と共に変化させることができる。このようにして、三次元ビデオが生成できる。
図5は、本発明の実施形態による、表示システムと共に使用するために構成されたコンピュータシステムまたは装置1200(例えば、図11のコンピュータまたはコントローラ1140等)の例を示す。コンピュータシステムまたは装置1200の例は、企業サーバ、ブレードサーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルデータアシスタント、スマートフォン、任意のこれらの組み合わせ、及び/または、計算を行うために構成された任意の他の種類の機械を含んでよい。コンピュータシステムまたは装置1200は、命令を行う、及び/または、含むように構成されてよく、命令は、実行されると、レーザ光源1110、走査機構1120、及び/または、ディスプレイ1130の機能を開始及び実施する。
図5のコンピュータ1200は、バス1202を介して電気的に接続されてよい(または、適宜、他の方法で通信されてよい)ハードウェア要素を含むように示されている。ハードウェア要素は、1つまたは複数の汎用プロセッサ及び/または1つまたは複数の特定用途プロセッサ(デジタル信号処理チップ、グラフィックアクセラレーションプロセッサ等)を含むが、これらに限らない1つまたは複数のプロセッサ1204を有する処理ユニットと、リモートコントロール、マウス、キーボード等を含んでよいが、これらに限らない1つまたは複数の入力装置1206と、プレゼンテーション装置(例えば、コントローラ画面)を含んでよいが、これに限らない1つまたは複数の出力装置1208とを含んでよい。
コンピュータシステム1200は、1つまたは複数の非一時的記憶装置1210をさらに含んで(及び/または、それと通信可能であって)よく、非一時的記憶装置1210は、これらに限らないが、ローカルの、及び/または、ネットワークアクセス可能なストレージを含んでよく、及び/または、これらに限らないが、プログラム可能、フラッシュ更新可能等であってよいディスクドライブ、ドライブアレイ、光学記憶装置、ランダムアクセスメモリ及び/またはリードオンリメモリ等のソリッドステート記憶装置を含んでよい。このような記憶装置は、様々なファイルシステム、データベース構造等を含むが、これらに限らない任意の適切なデータストアを実施するように構成されてよい。
コンピュータ装置1200は、通信サブシステム1212も含むことができ、通信サブシステム1212は、これらに限らないが、モデム、ネットワークカード(無線及び/または有線)、赤外線通信装置、Bluetooth装置、802.11装置、WiFi装置、WiMAX装置等の無線通信装置及び/またはチップセット、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)、W−CDMA(広帯域符号分割多元接続)、LTE(ロング・ターム・エボリューション)等のセルラー通信設備等を含んでよい。通信サブシステム1212は、ネットワーク、他のコンピュータシステム、コントローラ、及び/または、本明細書に記載の任意の他の装置とデータを交換可能にし得る。少なくともある実施形態においては、コンピュータシステム1200は、ワーキングメモリ1214を含むことができ、ワーキングメモリ1214は、上記のように、ランダムアクセスメモリ及び/またはリードオンリメモリ装置を含んでよい。
コンピュータ装置1200は、ワーキングメモリ1214内に現在配置されているように図示されるソフトウェア要素も含むことができ、ソフトウェア要素は、オペレーティングシステム1216、デバイスドライバ、実効可能ライブラリ、及び/または、1つまたは複数のアプリケーションプログラム1218等の他のコードを含む。アプリケーションプログラム1218は、様々な実施形態によって提供されるコンピュータプログラムを含んでよく、及び/または、本明細書に記載のように、他の実施形態によって提供される方法を実施し、及び/または、システムを構成するように設計されてよい。例としては、1つまたは複数のシステムコンポーネントは、コンピュータ(及び/または、コンピュータ内のFPGAモジュールを含むプロセッサ)によって実行可能なコード及び/または命令として実施されてよく、ある態様においては、次に、このようなコード及び/または命令を使用して、汎用コンピュータ(または、他の装置)を1つまたは複数の動作を行うように構成及び/または適合させてよい。
これらの命令及び/またはコードのセットは、上記記憶装置(複数可)1210等の非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶できる。ある場合には、記憶媒体は、コンピュータシステム1200等のコンピュータシステム内に組み込まれてよい。他の実施形態においては、記憶媒体は、コンピュータシステムとは別個であってよく(例えば、フラッシュメモリ等の取り外し可能媒体)、及び/または、インストールパッケージの形で提供されてよく、記憶媒体を使用して、記憶媒体に記憶されている命令/コードを用いて、汎用コンピュータをプログラム、構成、及び/または、適合してよい。これらの命令は、コンピュータ装置1200によって実行可能な実効可能コードの形を取ってよい、及び/または、ソース及び/またはインストール可能コードの形を取ってよく、それらは、(例えば、様々な一般的に入手可能なコンパイラ、インストールプログラム、圧縮/解凍ユーティリティ等のいずれかを使用して)、コンピュータシステム1200上にコンパイル及び/またはインストールすると、実行可能コードの形を取る。
特定の要件に従って大きな変形を行ってよいことは明らかである。例えば、カスタマイズされたハードウェアも使用されてよく、及び/または、特定の要素は、ハードウェア、ソフトウェア(アプレット等のポータブルソフトウェアを含む)、または、その両方で実施されてよい。さらに、ネットワーク入力/出力装置等の他のコンピューティング装置への接続を採用してよい。
上記のように、一態様において、ある実施形態は、コンピュータシステム(コンピュータ装置1200等)を採用して、本開示の様々な実施形態による方法を行ってよい。実施形態のセットによると、このような方法の手順の一部または全ては、ワーキングメモリ1214に含まれる(オペレーティングシステム1216及び/またはアプリケーションプログラム1218等の他のコードに組み込まれてよい)1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ1204が実行することに応答して、コンピュータシステム1200によって行われる。このような命令は、記憶装置(複数可)1210の1つまたは複数等、他のコンピュータ可読媒体からワーキングメモリ1214に読み込まれてよい。ほんの一例として、ワーキングメモリ1214に含まれる命令のシーケンスの実行によって、プロセッサ(複数可)1204に、本明細書に記載の方法の1つまたは複数の手順を行わせてよい。
「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という語は、本明細書では、特定の方法で機械を動作させるデータの提供に関与する任意の非一時的媒体を指してよい。コンピュータ装置1200を使用して実施される実施形態において、様々なコンピュータ可読媒体は、命令/コードを実行のためプロセッサ(複数可)1204に提供することに関わってよく、及び/または、このような命令/コードの記憶及び/または伝達に使用されてよい。多くの実施態様において、コンピュータ可読媒体は、物理的、及び/または、有形の記憶媒体である。このような媒体は、不揮発性媒体または揮発性媒体の形を取ってよい。不揮発性媒体は、記憶装置(複数可)1210等、例えば、光学ディスク及び/または磁気ディスクを含んでよい。揮発性媒体は、ワーキングメモリ1214等のダイナミックメモリを含んでよいが、これに限らない。
通信サブシステム1212(及び/または、そのコンポーネント)は一般的に、信号を受信でき、バス1202は、次に、信号(及び/または、信号によって伝えられるデータ、命令等)をワーキングメモリ1214に伝えることができ、ワーキングメモリ1214から、プロセッサ(複数可)1204は、命令を読み出し、実行する。ワーキングメモリ1214によって受信された命令は、オプションで、プロセッサ(複数可)1204による実行の前または後に、非一時的記憶装置1210に記憶されてよい。
コンピュータ装置1200のコンポーネントは、ネットワーク中に分散することができることをさらに理解されたい。例えば、ある処理は、第1のプロセッサを用いて第1の場所で行われてよく、他の処理は、第1のプロセッサから離れた他のプロセッサによって行われてよい。コンピュータシステム1200の他のコンポーネントは、同様に分散されてよい。従って、コンピュータ装置1200は、複数の場所で処理を行う分散コンピューティングシステムとして解釈されてよい。ある場合には、コンピュータシステム1200は、文脈に応じて、別個のラップトップ、デスクトップコンピュータ等、単一のコンピューティング装置として解釈されてよい。
方法
図6は、本発明の実施形態による、表示方法1100’の態様を示す。方法1100’は、ステップ1110’で示すように、第1の波長の第1のレーザビームを(例えば、第1のレーザビーム源を用いて)生成することと、ステップ1120’で示すように、第2の波長の第2のレーザビームを(例えば、第2のレーザビーム源を用いて)生成することとを含んでよい。第1の波長は、第2の波長と異なってよい。方法は、ステップ1130’で示すように、第1ビームと第2ビームを照明対象域のアドレス可能位置の交差点に向けることも含み得る。照明対象域は、第1及び第2のレーザビームによって励起可能な気体粒子を含み得る。さらに、方法は、ステップ1140’で示すように、1つまたは複数の静的または動的画像を生成するために、照明対象域の三次元空間を通してビーム交差点を生成するように、第1ビーム及び第2ビームを、例えば、少なくとも自由度2で走査することを含んでよい。
以下の非制限的な例は、上記他の実施形態の一部とは異なる。ここで、アプローチは、真のワンステップの2光子励起を使用する。レーザは、前方励起で、レーザが、十分な強度を有する場所でのみ、2光子吸収とそれに続く蛍光が生じる。出力は、2光子吸収が前方励起ビームの焦点領域でのみ生じるように、設定される。焦点領域は、調節可能レンズを用いてz方向に平行移動され、ガルボスキャナを用いてx方向及びy方向に移動する。
少量のルビジウムが、高真空下で1インチの立方体のセルに加えられる。セルは、望ましい原子密度(約150℃)を得るように加熱される。780nmの1つのレーザビームが、5S1/2から5P3/2への遷移を励起する。776nmの第2のレーザが、5P3/2状態から5D5/2状態への2光子遷移を達成する。ルビジウム原子が2光子励起状態にある時には、ルビジウム原子は、2つの自然放出失活経路を有し得る。例えば、1つの自然放出失活経路は、420nmで青色光子を放出する。
完全可変走査システムを使用して、三次元可動焦点を達成する。一次元においては、電気的に制御された可変焦点液体レンズを使用する。ガルボスキャナを使用して、ビームを横方向に移動する。これらの可変機械要素はそれぞれ、数百ヘルツまでの走査速度で動作でき、リアルタイムの3D投影を提供するのに有効な完全3D可動焦点を提供できる。要素は、コンピュータ出力を用いて外部から制御される。
z軸とも呼ぶことができる焦点方向で、この実施例においては、予測解像度は、レイリー長によって設定され、約100ミクロンと推定される。総z軸視野は、約1cmである。横方向寸法においては、解像度は、ガルボスキャナ解像度または焦点ビーム幅のいずれかによって設定される。解像度は、ビーム幅によって設定され、ビーム幅は、半値全幅で約15ミクロンであると仮定できる。控えめな数を用いると、1センチメートル立法の視野対象域に対して、約40メガ領域(Megaregions)またはメガロケーション(Megalocations)と推定することが可能である。
追加の実施態様は、3つの異なる気体をセルに使用することを含んでよく、それぞれ、赤、緑、及び、青の発光を提供するように、異なるレーザを用いて各エネルギー遷移を駆動する。各色に対して強度変調(例えば、8ビットグレースケール)を得るために、レーザは、強度変調もされてよい。ある場合には、セルを加熱するよりも、適切な圧力の不活性ガスでセルを満たすことができる。機械的な動きを伴わない非常に速い走査が、音響光学偏向器を用いて達成できる。パルス状ビームも、放出を大きく高めることができる、または、レーザの駆動力を低減できる。
本明細書に記載の計算または動作は、それぞれ、ハードウェア、ソフトウェア及び/またはファームウェアを有するコンピュータまたは他のプロセッサを用いて、行われてよい。様々な方法のステップは、モジュールによって行われてよく、モジュールは、本明細書に記載の方法のステップを行うように配置された広範なデジタル及び/またはアナログデータ処理ハードウェア及び/またはソフトウェアのいずれかを含んでよい。モジュールは、データ処理ハードウェアをオプションで含み、データ処理ハードウェアは、適切な機械プログラミングコードをデータ処理ハードウェアに関連付けることによって、これらのステップの1つまたは複数を行うように適合され、2つ以上のステップ(または、2つ以上のステップの一部)に関するモジュールは、1つのプロセッサボードに組み込まれる、または、広範な一体化及び/または分散化処理アーキテクチャのいずれかの形で、異なるプロセッサボードに組み込まれる。これらの方法及びシステムは、上記方法のステップを行う命令を有する機械可読コードを実現する有形媒体を採用することが多い。適切な有形媒体は、メモリ(揮発性メモリ、及び/または、不揮発性メモリを含む)、記憶媒体(フロッピーディスク、ハードディスク、テープ等への磁気記録、CD、CD−R/W、CD−ROM、DVD等の光学メモリ、または、任意の他のデジタルもしくはアナログ記憶媒体)等を含んでよい。
上記及び他の特徴及び機能の変形形態、または、それらの代替形態は、多くの他の異なるシステムまたは応用に組み合わせてよいことは理解されよう。それらの現在は予測または予期しない様々な代替、修正、変形、または、改良が、今後、当業者によって行われてよく、それらも、以下の請求項に含まれるものとする。

Claims (34)

  1. 1つまたは複数の画像を三次元で表示するためのシステムであって、前記システムが、以下:
    (a)気体を含む三次元照明対象域(three dimensional illumination volume)であって、前記気体が、多光子励起状態の時に第1のタイプの可視光を放出するように構成された少なくともルビジウム蒸気を含む、前記三次元照明対象域;
    (b)700nmより大きい、または、400nmより小さい第1の波長の第1のレーザビームを生成するように構成された第1のレーザ;
    (c)700nmより大きい、または、400nmより小さい第2の波長の第2のレーザビームを生成するように構成された第2のレーザであって、前記第2の波長が、前記第1の波長と異なる、前記第2のレーザ
    を含み、
    (d)前記システムが、前記第1及び第2のレーザビームが前記照明対象域で交差するように前記第1及び第2のレーザビームを前記照明対象域内に向けて、前記第1のタイプの可視光が前記ビーム交差点で放出されるように少なくとも一部のルビジウム粒子を前記ビーム交差点で前記多光子励起状態に励起するように構成される、
    前記システム。
  2. 前記ルビジウム粒子の少なくとも一部を前記ビーム交差点で5Dエネルギー準位に励起するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記第1のタイプの可視光が、400nm〜430nmの波長を有する発光を含む、請求項2に記載のシステム。
  4. 前記5Dエネルギー準位が、5D5/2エネルギー準位である、請求項2に記載のシステム。
  5. 前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長の第3のレーザビームを生成するように構成された第3のレーザをさらに含み、前記システムが、前記第1、第2、及び、第3のレーザビームが前記照明対象域で交差するように前記第1、第2、及び、第3のレーザビームを前記照明対象域内に向けて、前記第1のタイプの可視光が前記ビーム交差点で放出されるように前記ルビジウム粒子の少なくとも一部を前記ビーム交差点で前記多光子励起状態に励起するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  6. 1つまたは複数の画像を三次元で表示するためのシステムであって、前記システムが、以下:
    (a)多光子励起状態の時に第1のタイプの可視光を放出するように構成された第1の原子または分子気体を含む三次元照明対象域であって、第2の緩衝気体をさらに含む、前記三次元照明対象域;
    (b)第1の波長の第1のレーザビームを生成するように構成された第1のレーザ;
    (c)第2の波長の第2のレーザビームを生成するように構成された第2のレーザであって、前記第2の波長が、前記第1の波長とは異なる、前記第2のレーザ
    を含み、
    (d)前記システムが、前記第1及び第2のレーザビームが前記照明対象域で交差するように前記第1及び第2のレーザビームを前記照明対象域内に向けて、前記第1のタイプの可視光が前記ビーム交差点で放出されるように前記第1の気体の少なくとも一部の粒子を前記ビーム交差点で前記多光子励起状態に励起するように構成される、
    前記システム。
  7. 前記第1の気体がアルカリガスを含み、前記第2の気体が希ガスを含む、請求項6に記載のシステム。
  8. 前記アルカリガスがルビジウム原子蒸気を含み、前記希ガスがアルゴンガスまたはネオンガスを含む、請求項7に記載のシステム。
  9. 前記第2の気体が基底状態の希ガスの粒子を含み、前記第1の気体が準安定状態の前記希ガスの粒子を含む、請求項6に記載のシステム。
  10. 前記第1の気体が、
    準安定状態の多様体である、ある状態の前記希ガスの粒子
    を含む、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記照明対象域の外側で、前記準安定状態で前記希ガスの粒子を生成する、請求項9に記載のシステム。
  12. 前記システムの動作中、前記第1のレーザ及び第2のレーザの出力が、50mWを超える、請求項6に記載のシステム。
  13. 前記照明対象域の温度が、前記システムの動作中、120℃未満である、請求項6に記載のシステム。
  14. 前記システムが、前記照明対象域に第2のタイプ及び第3のタイプの可視光を生成するように構成され、前記第2のタイプ及び第3のタイプの可視光がそれぞれ、前記第1のタイプの可視光とは異なる波長を有する、請求項6に記載のシステム。
  15. 前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長の第3のレーザビームを生成するように構成された第3のレーザをさらに含み、前記システムが、前記第1、第2、及び、第3のレーザビームが前記照明対象域で交差するように前記第1、第2、及び、第3のレーザビームを前記照明対象域内に向けて、前記第1のタイプの可視光が前記ビーム交差点で放出されるように前記第1の原子または分子気体の前記粒子の少なくとも一部を前記多光子励起状態に励起するように構成される、請求項6に記載のシステム。
  16. 前記第1のタイプの可視光が、前記第1の原子または分子気体が前記多光子励起状態から失活する中間遷移の際に放出される、請求項15に記載のシステム。
  17. 前記第1の原子または分子気体が少なくともルビジウム粒子を含み、前記システムが、前記ルビジウム粒子の少なくとも一部を前記ビーム交差点で5D3/2エネルギー準位、6D3/2エネルギー準位、7D3/2エネルギー準位、8D3/2エネルギー準位、9D3/2エネルギー準位、10D3/2エネルギー準位、または、11D3/2エネルギー準位の少なくとも1つに励起するように構成される、請求項6に記載のシステム。
  18. 前記第1の原子または分子気体が少なくともルビジウム粒子を含み、前記システムが、前記ルビジウム粒子の少なくとも一部を前記ビーム交差点で9D5/2エネルギー準位、10D5/2エネルギー準位、または、11D5/2エネルギー準位の少なくとも1つに励起するように構成される、請求項6に記載のシステム。
  19. 前記第1の原子または分子気体が少なくともルビジウム粒子を含み、前記システムが、前記ルビジウム粒子の少なくとも一部を前記ビーム交差点で11S1/2エネルギー準位に励起するように構成される、請求項6に記載のシステム。
  20. 1つまたは複数の画像を三次元で表示するためのシステムであって、前記システムが、以下:
    (a)第1の多光子励起状態の時に第1のタイプの可視光、第2の多光子励起状態の時に第2のタイプの可視光、及び、第3の多光子励起状態の時に第3のタイプの可視光を放出するように構成された第1の気体を含む三次元照明対象域であって、不活性緩衝気体をさらに含む、前記三次元照明対象域;
    (b)複数のレーザビームを生成するように構成された複数のレーザであって、前記レーザビームの少なくとも一部が異なる波長を含む、前記複数のレーザ
    を含み、
    (c)前記システムが、
    前記レーザビームの少なくとも一部が前記照明対象域の第1のビーム交差点で交差して、前記第1のタイプの可視光が前記第1のビーム交差点で放出されるように前記気体の少なくとも一部の粒子を前記第1のビーム交差点で前記第1の多光子励起状態に励起し、
    前記レーザビームの少なくとも一部が前記照明対象域の第2のビーム交差点で交差して、前記第2のタイプの可視光が前記第2のビーム交差点で放出されるように前記気体の前記粒子の少なくとも一部を前記第2のビーム交差点で第2の多光子励起状態に励起し、且つ、
    前記レーザビームの少なくとも一部が前記照明対象域の第3のビーム交差点で交差して、前記第3のタイプの可視光が前記第3のビーム交差点で放出されるように前記気体の前記粒子の少なくとも一部を前記第3のビーム交差点で前記第3の多光子励起状態に励起するように、
    前記レーザビームを前記照明対象域内に向けるように構成された、
    前記システム。
  21. 前記第1の気体が、気体の混合物を含む、請求項20に記載のシステム。
  22. 前記気体の混合物が少なくとも3つの希ガスの混合物を含み、前記3つの希ガスがそれぞれ、可視光の前記タイプの1つの放出に対応する、請求項21に記載のシステム。
  23. 1つまたは複数の画像を三次元で表示するためのシステムであって、前記システムが、以下:
    (a)気体を含む三次元照明対象域であって、前記気体が、多光子励起状態で、第1のタイプの可視光を放出するように構成された少なくともセシウム蒸気を含む、前記三次元照明対象域;
    (b)700nmより大きい、または、400nmより小さい第1の波長の第1のレーザビームを生成するように構成された第1のレーザ;
    (c)700nmより大きい、または、400nmより小さい第2の波長の第2のレーザビームを生成するように構成された第2のレーザであって、前記第2の波長が、前記第1の波長と異なる、前記第2のレーザ
    を含み、
    (d)前記システムが、前記第1及び第2のレーザビームが前記照明対象域で交差するように前記第1及び第2のレーザビームを前記照明対象域内に向けて、前記第1のタイプの可視光が前記ビーム交差点で放出されるように少なくとも一部のセシウム粒子を前記ビーム交差点で前記多光子励起状態に励起するように構成される、
    前記システム。
  24. 前記セシウム粒子の少なくとも一部が、前記ビーム交差点で、6S1/2準位から6P3/2準位に、その後、前記6P3/2準位から12〜14D5/2準位に励起される、請求項23に記載のシステム。
  25. 前記セシウム粒子の少なくとも一部が、前記ビーム交差点で、6S1/2準位から6P1/2準位に、その後、前記6P1/2準位から7〜14D3/2準位に励起される、請求項23に記載のシステム。
  26. 前記セシウム粒子の少なくとも一部が、前記ビーム交差点で、6S1/2準位から6P1/2準位に、その後、前記6P1/2準位から12〜13S1/2準位に励起される、請求項23に記載のシステム。
  27. 前記セシウム粒子の少なくとも一部が、前記ビーム交差点で、6S1/2準位から6P3/2準位に、その後、前記6P3/2準位から6D5/2準位に励起される、請求項23に記載のシステム。
  28. 前記セシウム粒子の少なくとも一部が、前記ビーム交差点で、6S1/2準位から6P1/2準位に、その後、前記6P1/2準位から6D3/2準位に励起される、請求項23に記載のシステム。
  29. 前記セシウム粒子の少なくとも一部が、前記ビーム交差点で、6S1/2準位から6P1/2準位に、その後、前記6P1/2準位から8S1/2準位に励起される、請求項23に記載のシステム。
  30. 前記6S1/2準位から前記6P1/2準位に励起される前記セシウム粒子が、895nmレーザ光によって励起される、請求項29に記載のシステム。
  31. 前記6P1/2準位から前記8S1/2準位に励起される前記セシウム粒子が、761nmレーザ光によって励起される、請求項29に記載のシステム。
  32. 前記セシウム粒子の少なくとも一部が、前記ビーム交差点で、6S1/2準位から6P3/2準位に、その後、前記6P3/2準位から8S1/2準位に励起される、請求項23に記載のシステム。
  33. 前記6S1/2準位から前記6P3/2準位に励起される前記セシウム粒子が、852nmレーザ光によって励起される、請求項32に記載のシステム。
  34. 前記6P3/2準位から前記8S1/2準位に励起される前記セシウム粒子が、794nmレーザ光によって励起される、請求項32に記載のシステム。
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