JP2018508561A - 椎間不整列の治療において使用するための組成物 - Google Patents

椎間不整列の治療において使用するための組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、椎間不整列、例えば、脊柱側弯症、脊椎すべり症、脊椎亜脱臼及び脊椎骨折に関する。椎間不整列の治療において使用するための組成物が提供される。組成物は、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む。組成物は、椎間板の髄核を含む椎間板腔に投与される。【選択図】なし

Description

本発明は、椎間不整列、例えば、脊柱側弯症、脊椎すべり症、脊椎亜脱臼及び脊椎骨折、並びに椎間不整列の治療において使用するための組成物に関する。
通常、脊椎動物の脊柱、例えば、ヒト脊柱の個々の椎骨は、整列して配置されている。しかし、この整列を変化させ得、それにより、脊椎動物に負の影響を与える状況が存在する。椎骨が、正常な整列に従わない状況は、不整列と呼ばれ得る。不整列は、2つの隣接する椎骨間の関係に基づくため、好ましくは椎間不整列と呼ばれ得る。
椎間不整列の1つの一般的原因は、前額面での湾曲の形成にあり、症状は脊柱側弯症と通常呼ばれる。脊柱側弯症の進行性の症例において、さらなる椎間不整列を低減又は予防するのには理由があり得る。従来、椎間不整列の低減及び/又は予防は、様々な形態のブレース(brace)を用いて実現され得る。しかし、椎間不整列は、手術を必要とする場合が多い。
手術の場合、脊柱は、ハリントンロッドと呼ばれる、ステンレス製のロッドを挿入することで通常固定される。しかし、現在の手術が導入される前には、1960年初頭に、腸骨稜から採骨した骨を、不整列の椎骨間で骨付着部にすることにより、脊柱が固定された。
椎間不整列を引き起こし得る別の一般的な症状としては、脊椎すべり症がある。これは、椎弓の一部での先天的脆弱性により、2つの椎骨間の前後方向の髄節内での移動により椎弓骨折が生じる状態である。これは、下部腰椎で最もよく見られる。これは、脊柱管の段階的な狭窄、脊柱管の神経組織の圧迫損傷、下肢及び括約筋の機能障害をもたらす。この不整列の進行は、2つの椎骨をプレート及び椎弓根スクリューで固定することにより通常低減される。
椎骨亜脱臼は、カイロプラクターにより主に認められる軽度の不整列である。亜脱臼とは、2つの椎骨が正常な整列を喪失したことを意味し、これは、様々な症状を引き起こす可能性がある。不整列は、椎骨を正常な整列に戻す手技療法により矯正できる。しかし、この矯正後しばらくしてから椎骨が不整列になることは珍しくない。
椎骨骨折により、骨折した椎骨の骨片の不整列がしばしば生じる。椎体後部の骨片が、脊柱管に迷入し、その後脊髄神経組織が損傷した場合、特に有害である。これは、即時手術を必要とする。脊椎の骨片の再整列において、損傷した脊椎分節の可動性を低下させることが有用であり得る。
したがって椎間不整列を低減及び/又は予防する、安全で複雑でない新しい方法を提供することが当技術分野において必要とされている。
本発明の目的は、椎間不整列、例えば、脊柱側弯症、脊椎すべり症、脊椎亜脱臼及び脊椎骨折の治療において使用するための組成物を提供することである。
椎間不整列の治療において使用するための組成物は、椎間板への局所注射により治療有効量で投与できるように製剤化され得る。
椎間板は、2つの隣接する椎骨の間に配置されている。椎間板は、典型的に柔軟性があり、隣接する椎骨間の動きを可能にする。椎間板は、コラーゲンを主に含む結合組織の輪、並びに、例えば、コラーゲン及びプロテオグリカンを含む半液体状の中心により形成されている。この輪は、線維輪と呼ばれ、中心は、髄核と呼ばれる。
本発明の概念は、椎間板の固体及び密性結合組織への変化等によって椎間板の老化を加速させ、それにより椎間板を硬化させることにより、さらなる椎間不整列を軽減することである。椎間板の固体及び密性結合組織への変化により、椎間板がより安定し、したがって、椎間板の可動域が減少する。固体状で密な結合組織に変化した椎間板では、髄節の安定性が改善される。
本発明は、椎間板を結合組織に変化させることにより、脊柱側弯症の初期治療で用いられる骨癒合と同様の状況を作り出すことができ、それにより脊柱の進行性の不整列が低減される。
本発明は、椎間板を結合組織に変化させ、プレート及びスクリューと同様の状況を作り出すことができ、それにより、脊柱の進行性の不整列が低減される。
本発明は、椎間板を結合組織に変化させ、亜脱臼再発のリスクを低減することができ、それにより脊柱の不整列のリスクが低減される。
本発明は、椎間板を結合組織に変化させることにより、髄節の可動性を低下させることができる。
本発明の発明者は、物質としては、乳酸又はその薬学的に許容される塩が有効であり得ることを驚くべきことに発見した。
乳酸は、化学式CH3CH(OH)COOHを有するカルボン酸である。以下の式(I)に示すように、乳酸は、水溶液中でそのカルボキシル基からプロトンを喪失し、乳酸イオンCH3CH(OH)COO-を生成し得る。乳酸と乳酸イオンとのモル分率は1:1である。
CH3CH(OH)COOH(水溶液)⇔CH3CH(OH)COO-+H+(I)
乳酸イオンは、対イオンと一緒になって、薬学的に許容される塩を形成し得る。対イオンは、Li、Be、Na、Mg、K及びCaの元素のイオンからなる群から選択される金属イオンであってよい。あるいは、対イオンは、アンモニウム又はコリン等の有機イオンであってよい。乳酸又はその薬学的に許容される塩は、人体に天然に存在する。
腰痛を有する患者の腰部椎間板の組織液中の乳酸イオンの濃度は、1mmol/L〜約16mmol/Lの範囲内、典型的には4mmol/L〜6mmol/Lの範囲内であると測定されている。これらの測定値は、Bartelsらによる、Spine 23(1):1〜8頁、1998年における科学論文「Oxygen and lactate concentrations measured in vivo in the intervertebral discs of patients with scoliosis and back pain」の5頁、図5に示されている。
表1から分かるように、乳酸イオンの分子量は89.07g/molである。腰部椎間板の組織液1L当たり1mmolの乳酸イオンのモル濃度は、89.07mg/Lの質量濃度に相当する。同様に、腰部椎間板の組織液1L当たり16mmolの乳酸イオンのモル濃度は、1425mg/Lの質量濃度に相当する。
ヒトにおいて、腰部椎間板の椎間板腔は、推定約1.5mL〜3.0mLの体積を有する。
上を考慮すると、当業者は、mol又はgで表される、椎間板の乳酸塩の量を容易に計算できよう。一例を表1に示す。
乳酸、乳酸イオン又はその薬学的に許容される塩は、椎間板の細胞、特に椎間板の老化を防ぐのに必要なプロテオグリカンを産生する細胞の機能を不利に妨害し得る。
椎間板の老化は、隣接する椎骨の血管から及び周辺の構造物からの拡散による栄養素及び酸素の供給の低下により始まる。これにより、椎間板、例えば、髄核での代謝老廃物の蓄積が徐々に誘導される。ある種の代謝老廃物としては、乳酸及びその薬学的に許容される塩を挙げることができる。
乳酸及びその薬学的に許容される塩は、椎間板の細胞死、例えば、細胞内脂肪蓄積、ミトコンドリアの膨張、クロマチン凝集及び興奮毒性グルタミン酸塩の遊離をもたらす、いくつかのメカニズムに寄与し得る。
乳酸及びその薬学的に許容される塩は、結合組織の炎症及び生成を引き起こすPGE2を遊離し得る。さらに、乳酸及びその薬学的に許容される塩は、TGFβの遊離を刺激し得、次いでそれは線維芽細胞を刺激し、コラーゲンを産生する。
乳酸及びその薬学的に許容される塩は、赤血球の凝集傾向を強め、「血液スラッジ」を形成し、赤血球をさらに硬化させ、次いで、血液粘度を上昇させ、小血管の循環を損なう播種性血管内凝固症候群及び消費性凝固障害にも寄与し得る。
したがって、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む組成物の椎間板の椎間板腔への投与により、椎間板の乳酸又はその薬学的に許容される塩の濃度を上昇させ、その結果、椎間板の老化を加速させ、髄核の結合組織への変化を誘導する。
髄核の結合組織への変化を含む、椎間板の老化は、椎間板をさらに硬化させる。乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することにより、老化を管理可能な方法で加速させることができる。典型的には、乳酸又はその薬学的に許容される塩の濃度を、椎間板で、より具体的には椎間板腔で上昇させ、老化を加速させることができる。
本発明者は、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む組成物が、椎間板の著しい変化を誘導し、したがって椎間板をさらに硬化させることを発見した。この著しい変化は、髄核の結合組織への変化による椎間板の加速老化と解釈された。したがって、本発明者は、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を椎間板の髄核に投与し、椎間板腔の乳酸又はその薬学的に許容される塩の濃度を上昇させた場合、患者にとって、椎間不整列に関する改善があると期待する。
本発明者は、乳酸もしくはその薬学的に許容される塩、又は乳酸もしくはその薬学的に許容される塩を含む組成物を、少なくともある程度は椎間不整列の原因となる椎間板の椎間板腔に投与したとき、患者にとって、椎間不整列、例えば、脊柱側弯症、脊椎すべり症、脊椎亜脱臼及び脊椎骨折に関する改善があると期待する。
本発明の第1の態様によれば、椎間不整列の治療において使用するための組成物が提供される。組成物は、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む。組成物は、椎間板の髄核を含む椎間板腔に投与される。
本明細書において椎間不整列の治療という用語は、椎間不整列の進行の予防及び/又は低減を含む。椎間不整列の治療において使用するための組成物は、乳酸及びその薬学的に許容される塩の少なくとも1つを含み得る。薬学的に許容される塩は、乳酸イオン及び対イオンを含む薬学的に許容される塩である。
本発明による椎間不整列の治療において使用するための組成物の利点は、椎間不整列のより安全でより効率的な治療法であること、さらにまた、当技術分野で公知の外科治療等の治療法よりも費用がかからず、侵襲的でないことである。さらに、乳酸又はその薬学的に許容される塩は、生体適合性である。乳酸又はその薬学的に許容される塩は、脊椎動物の体内に存在する老廃物等の天然化合物であるため、脊椎動物、例えば、ヒトの身体は、これらの化合物を処理すること、例えば、分解することができる。
本発明者は、本発明による椎間不整列の治療において使用するための組成物を、髄核に投与したとき、椎間板の椎間板腔の髄核が、線維輪の結合組織に類似した、固体状で密な結合組織に変化し得ることを示唆する。例えば、血液凝固も、髄核の結合組織への変化中に起こり得、椎間板をさらに固体状で且つ密にし得る。剛性の増加により、治療した椎間板を含む分節の安定化が促進され、それにより進行性の椎間不整列が予防及び/又は低減されることが期待される。
一実施形態によれば、使用するための組成物は、椎間板腔の乳酸の濃度又は薬学的に許容される塩由来の乳酸イオンの濃度を16mmol/L超まで上昇させるのに有効な量で投与される。
使用するための組成物は、椎間板腔の乳酸又は乳酸イオンの濃度を、自然な老化過程で存在する濃度よりも高い濃度まで上昇させるのに有効な量で投与され得る。
一実施形態によれば、組成物中の乳酸の濃度又は薬学的に許容される塩の乳酸イオンの濃度は、少なくとも16mmol/L、例えば、16〜12000mmol/L、例えば、100〜10000mmol/L、例えば、500〜5000mmol/L、例えば、800〜2000mmol/Lの範囲内である。
一実施形態によれば、使用するための組成物は、4未満、例えば、3.5未満、例えば、3.0未満、例えば、2.5未満、例えば、2未満、例えば、1.5未満のpHを有する。
一実施形態によれば、薬学的に許容される塩は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される元素のいずれかの乳酸塩である。例えば、薬学的に許容される塩は、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸ベリリウム、乳酸マグネシウム、乳酸バリウム及び乳酸カルシウムのうちの少なくとも1つである。
一実施形態によれば、薬学的に許容される塩は、乳酸アンモニウム、乳酸コリン、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸ベリリウム、乳酸マグネシウム、乳酸バリウム及び乳酸カルシウムからなる群から選択される。
一実施形態によれば、使用するための組成物は、椎間不整列の原因となる椎間板の椎間板腔に投与される。
一例において、使用するための組成物は、椎間不整列の原因となると思われる椎間板のいずれか又は全てに投与され得る。
一実施形態によれば、乳酸又はその薬学的に許容される塩は、髄核を含む椎間板腔への局所注射により投与される。
例えば、椎間不整列が、脊柱側弯症に相当する場合、さらなる不整列を予防することにより、及び最良の場合、現在の不整列を低減することにより、脊椎を安定させることが望ましい。典型的には、脊柱側弯症の場合、乳酸を含む組成物が、安定化の目的で1つ超、例えば、5〜20個、例えば、約15個の椎間板の椎間板腔に投与され得る。
椎間不整列の他の症例では、安定化効果を得るために、乳酸を含む組成物を単一の椎間板、又は例えば、2つの隣接する椎間板に投与すれば十分であり得る。
局所注射は、典型的には注射器で行われ得る。
一実施形態によれば、乳酸は、2mg〜200mg、例えば、5mg〜150mg、例えば、10mg〜100mg、例えば、10mg〜50mg、例えば、15mg〜30mgの範囲内の単回用量で投与される。単回用量は、椎間板腔当たり投与される乳酸の量に相当する。
薬学的に許容される塩が投与される場合、薬学的に許容される塩の乳酸イオンが、乳酸と乳酸イオンとのモル分率を考慮して、上の乳酸の単回用量に相当する量で投与される。
一実施形態によれば、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む、使用するための組成物は、単回用量で一回の機会で投与される。
一実施形態によれば、組成物は、前記乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む水溶液の形態である。
典型的には、椎間不整列の治療において使用するための組成物は、局所注射に適した液体状態で提供される。
一実施形態によれば、椎間不整列は、脊柱側弯症、脊椎すべり症、脊椎亜脱臼及び脊椎骨折から選択される。
いくつかの例において、組成物は、可溶化剤、安定剤、緩衝剤、等張化剤、増量剤、増粘剤、減粘剤、界面活性剤、キレート剤、保存料及びアジュバントから選択される少なくとも1つの薬剤をさらに含み得る。
ヒトにおいて、投与される組成物の量は、0.05mL〜5mL、例えば、0.1〜3mL、例えば、0.2〜2mLの範囲内であってよい。これらの量は、ヒトの髄核の体積にほぼ相当する。腰部椎間板に関して、投与される組成物の量は、約1.5mL〜3.0mLであってよい。頸部椎間板に関して、投与される組成物の量は、約0.5mLであってよい。尾部椎間板に関して、投与される組成物の量は、約0.2mLであってよい。
本明細書において「一回の機会」という用語は、例えば、病院の医師への訪問中等、医療機関の一回の訪問時を意味する。訪問は、24時間以内、例えば、0.5〜5時間等であってよい。この用語は、単回用量が、単回注射のみで一回の機会で投与されることを、必ずしもそうではないが典型的には意味する。しかし、この用語は、単回用量が、一回の機会当たり2〜10回の注射、例えば、一回の機会当たり2〜5回の注射、一回の機会であるが数回の注射により投与される場合も対応する。
本明細書において「繰り返しの機会」という用語は、例えば、病院の医師への1回超の訪問中等、医療機関の1回超の訪問、即ち、複数回の訪問時を意味する。各訪問は、24時間以内、例えば、0.5〜5時間であってよい。この用語は、単回用量が、繰り返しの機会であるが単回注射のみで投与されることを、必ずしもそうではないが典型的には意味する。しかし、この用語は、単回用量が、前記繰り返しの機会各々当たり2〜10回の注射、例えば、前記繰り返しの機会各々当たり2〜5回の注射、繰り返しの機会であるが数回の注射により投与される場合も対応する。
「椎間板」という用語は、脊椎の2つの隣接する椎骨間にある要素を意味する。各椎間板は、椎骨のわずかな動きを可能にするために軟骨性関節を形成し、椎骨を一緒に固定するための靭帯として作用する。椎間板は、内側の髄核を取り囲む、外側の線維輪からなる。ヒト脊柱は、首(頸部)に6個、中背(胸郭部)に12個及び腰(腰部)に5個の23個の椎間板を含む。さらに、椎間板は、尾骨間にも配置されている。椎間板はディスクと呼ばれる場合もある。
「髄核」という用語は、椎間板の中心のゼリー状の物質を意味する。髄核は、軟骨細胞様細胞、コラーゲン細線維、及びヒアルロン鎖を介して凝集するプロテオグリカンアグリカンを含む。各アグリカン分子に結合するのは、コンドロイチン硫酸及びケラタン硫酸のグリコサミノグリカン(GAG)鎖である。髄核は、緩衝装置として作用し、2つの隣接する椎骨を分離した状態で保つ。
「線維輪」という用語は、髄核の周囲に形成される線維組織及び線維軟骨の薄層を意味する。線維輪は、椎間板全体に圧力を均等に分散させる働きをする。
「椎間板腔」という用語は、髄核で満たされており、線維輪により規定された円周を有する、椎間板の空間を意味する。
「頭側の終板」という用語は、頭骨に面した椎間板の表面を意味する。頭側の終板は、椎間板を間にして尾側の終板と向かい合って配置されている。
「尾側の終板」という用語は、頭骨を背にした椎間板の表面を意味する。尾側の終板は、椎間板を間にして頭側の終板と向かい合って配置されている。
「面関節」という用語は、関節軟骨で覆われた関節面を典型的には有する、一対の関節構造物を意味する。面関節は、典型的にはカプセルに閉じ込められている。面関節は、椎骨の下関節突起と椎骨の上関節突起との間の関節を形成する。面関節は、動きを可能にし、脊柱を機械的に支えるように典型的には構成されている。
「横突起」という用語は、両側の椎弓から横方向に伸びた骨形成物を意味する。肋骨突起とも呼ばれる。
「髄節」という用語は、介在椎間板を有する2つの隣接する椎骨を意味する。
本明細書において「椎間不整列」という用語は、脊柱の椎骨が、それらの正常な整列に従わない状況を意味する。椎間不整列の典型的な種類としては、不整列が、一連の脊椎骨にわたって脊椎がねじれたり、及び/又は片側に曲がっているような椎体の非対称性に現れる脊柱側弯症がある。
本明細書において「屈曲剛性」という用語は、脊柱分節に配置されている椎間板の剛性を示す特性を意味する。完全側方屈曲状態に到達するまで脊柱分節に力を加え、その後、椎間板の2つの両側に各々配置されている椎骨の横突起間の距離を測定することにより、屈曲剛性を求めることができる。完全側方屈曲状態は、脊柱分節を切断せずには、脊柱分節の椎間板にさらに力を加えることができない状態として定義される。この特性は、ミリメートルで測定される。屈曲剛性は、脊柱分節の曲げ剛さ、より具体的には、椎間板の曲げ剛さを特徴づける方法である。
曲げ剛さは、非剛体構造物を、1単位分の曲率だけ曲げるのに要する偶力として一般に定義される。それは、生成物の弾性係数及び慣性モーメントを構造部材の長さで割った、構造部材の剛性の尺度である。言い換えれば、弾性材料が、曲げられているときの、弾性材料の圧力と張力との比である。
第2の態様によれば、治療有効量の乳酸又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者の椎間板の髄核に投与することにより椎間不整列を治療する方法が提供される。本発明のこの第2の態様の効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関して上に記載したものと類似している。
第3の態様によれば、椎間不整列を治療するための薬剤の製造における、乳酸又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。本発明のこの第3の態様の効果及び特徴は、本発明の先の態様に関して上に記載したものと類似している。
第4の態様によれば、椎間不整列の治療において使用するための乳酸又はその薬学的に許容される塩が提供される。本発明のこの第4の態様の効果及び特徴は、本発明の先の態様に関して上に記載したものと類似している。
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲及び以下の説明を熟読することにより明らかになるであろう。当業者は、本発明の様々な特徴を組み合わせて、本発明の範囲から逸脱せずに、以下に記載したもの以外の実施形態を生み出すことができることを認識する。
次に、本発明のこれらの及び他の態様を、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照してより詳細に説明する。
ヒト脊柱を概略的に示す断面図である。 ヒト脊柱の2つの隣接する椎骨を概略的に示す側面図である。 ヒト脊柱の下部を概略的に示す側面図である。 脊柱分節を概略的に示す後面図である。 どのように椎間板腔の断面の前後方向の長さを測定するのかを概略的に示す図である。 どのように椎間板腔の断面の両側面の幅を測定するのかを概略的に示す図である。 不整列の脊柱を後面図から概略的に示す図である。 乳酸での治療後の線維芽細胞のコラーゲン産生試験の実験結果を示すグラフである。 乳酸での治療後の髄核細胞のコラーゲン産生試験の実験結果を示すグラフである。 様々なpH値の乳酸での処理後のヒト線維芽細胞のコラーゲン産生試験の実験結果を示すグラフである。 以下の実施例2の実験結果を示すグラフ及び図である。 以下の実施例2の実験結果を示すグラフ及び図である。 以下の実施例2の実験結果を示すグラフ及び図である。 以下の実施例2の実験結果を示すグラフ及び図である。 以下の実施例2の実験結果を示すグラフ及び図である。 以下の実施例2の実験結果を示すグラフ及び図である。 以下の実施例2の実験結果を示すグラフ及び図である。 以下の実施例3の実験結果を示すグラフ及び図である。 以下の実施例3の実験結果を示すグラフ及び図である。 以下の実施例3の実験結果を示すグラフ及び図である。
図に示すように、層及び領域のサイズは、例示目的で誇張され、したがって本発明の実施形態の一般的構造を例示するために提供される。同様の参照数字は、全体を通して同様の要素を示す。
脊椎動物の脊柱は、脊髄を取り囲み、保護する椎骨を含む。ヒトにおいて、脊柱は、胴の背面に配置されている。2つの隣接する椎骨の間には、介在椎間板が配置されている。即ち、椎骨は、椎間板と交互に並んで、脊柱を形成している。脊柱の具体的な構造物及びさらなる部位は、当業者に公知である。
図1は、ヒトの脊柱100の断面を概略的に示している。線維輪10及び髄核11を含む椎間板は、椎骨の椎体15に隣接して配置されている。髄核11は、椎間板のいわゆる椎間板腔を満たす。線維輪10は髄核11を取り囲み、髄核と椎間板腔との境界を規定する。
脊髄17は、脊柱の中心に配置されており、椎間板に隣接している。脊髄神経16、16'は、脊髄17から伸びて、椎間板の両側に及びそれに密接に配置されている。
面関節14、14'は、下関節突起13、13'と上関節突起12、12'との間に配置されている。2つの面関節14、14'は、各々、脊髄17の両側に配置されている。面関節14、14'は、ほぼ同じ断面及び平面に配置されている。
図2は、2つの隣接する椎骨20、22を含む脊柱分節200を概略的に示している。第1の椎骨22及び第2の椎骨20は、椎間板21の両側に配置されている。第1の椎骨22は、胸郭の相対的に近くに配置されており、第2の椎骨20は、仙骨の相対的に近くに配置されている。第1の椎骨22の頭側の終板23及び第2の椎骨20の尾側の終板25が、図2に示されている。尾側の終板25及び頭側の終板23は、椎間板21の両側に面している。
図2は、どのように面関節24が、第1の椎骨22の下関節突起と第2の椎骨20の上関節突起との間に配置されているかも概略的に示している。横突起26は、椎弓から横方向に伸びている。
図3は、脊柱300の下部を概略的に示している。脊柱の尾骨36は、脊柱300の下部の末端部に配置されている。脊柱の仙骨39は、尾骨36に隣接し、尾骨36よりも胸郭の近くに配置されている。本明細書においてL5と呼ばれる第5腰椎30は、仙骨39に隣接し、仙骨39よりも胸郭の近くに配置されている。仙骨39から胸郭への方向に、いくつかの椎骨が、L5、30から始まって連続して配置されている。第5腰椎30、即ちL5に隣接して、第4腰椎32、即ち、L4、第3腰椎、即ち、L3、第2腰椎、即ち、L2、及び第1腰椎38、即ち、L1の椎骨が、順番に配置されており、第1腰椎は、胸郭の相対的に最も近くに配置されている。各2つの隣接する椎骨の間には、介在椎間板31が配置されている。椎間板(図示せず)は、尾骨36にも介在している。
図7は、後面図からみた脊柱側弯症を有する脊椎を示している。脊椎は、仙骨40、腰椎41、胸椎42及び頸椎43の分節を含む。椎骨が垂直に並んでいる、正常な脊椎に反して、脊柱側弯症を有する脊椎は、明らかに湾曲している。したがって、椎骨は不整列であり、したがって、脊椎はある種の椎間不整列を患っている。
[実施例1]
以下に、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む、椎間不整列の治療において使用するための組成物を投与することによる、ブタの椎間板における、髄核の結合組織への加速変化を誘導し評価するための方法をより完全に記載する。
本実施例において、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む、椎間不整列の治療において使用するための組成物は、第3腰椎L3と第4腰椎L4との間に配置されている椎間板の髄核に投与される。当業者は、同じ方法を、脊柱のいずれの椎間板にも適用できることを容易に理解できよう。
したがって、この方法の工程は、
100. 乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を調製する工程、
101. 組成物が投与される髄核を含む椎間板を含む脊柱を含む豚に麻酔をかける工程、
102. ブタの最下部の肋骨と腸骨稜との間の側方切開により椎間板への到達を可能にする工程、
103. 椎間板を切開する工程、
104. 組成物を髄核に注射針で、ここでは局所注射することにより投与する工程、
105. ブタを麻酔から回復した後7日間自由に行動させる工程、
106. 腰椎を一塊で採取する工程であって、採取した分節が、椎体、及び注射を受ける髄核を含む椎間板を含むが、後部要素(椎弓及び面関節)を含まない工程、
107. 何ら外力を加えずに、椎間板L2〜3、L3〜4、L4〜5のレベルで横突起間の距離を測定する工程、
108. 完全側方屈曲状態が腰椎試験片で得られるまで、脊柱分節に外力を加える工程、
109. 完全側方屈曲下で、椎間板L2〜3、L3〜4、L4〜5のレベルで横突起間の距離を測定する工程、及び
110. 椎間板の切断を行い、椎間板腔の長さ(前後方向)及び幅(両側面方向)を測定する工程
である。
乳酸を含む組成物の調製
乳酸の純溶液をSigma Aldrich(製品番号:69775 Fluka、CAS番号:50-21-5、Stockholm、Sweden)から購入した。表2に示すように、各々、乳酸の分子量は、90.08g/molであり、Sigma Aldrich製の純溶液の密度は、1.209g/mLであった。
したがって、Sigma Aldrich製の純溶液中の乳酸の濃度は、0.0134mol/mL=13.4mol/Lと算出された。
その後、乳酸の純溶液を、室温で蒸留水を用いて10倍に希釈した。より明確には、Sigma Aldrich製の乳酸の純溶液1mLを、蒸留水9mLで希釈した。したがって、調製した組成物中の乳酸の得られた濃度は、1.34mol/Lであった。
乳酸を含む組成物のブタ椎間板の髄核への局所注射による投与
2匹のブタに麻酔をかけ、右側を下にして置いた。各ブタの左側の最下部の肋骨と腸骨稜との間の側方切開により、L4〜L5椎間板に到達した。その後、L3〜L4椎間板を外科用メスで切開した。
乳酸を含む組成物を、L3〜L4椎間板の髄核に注射器で注射した。1.34mol/Lの総濃度で乳酸を含む組成物を、表3に示すように約0.2mLの量で髄核に注射した。組成物を単一の工程で一回の機会で注射した。
両方のブタは、この方法によく耐えたと思われ、可動性又は発声の低下等の副作用は、採取までの7日間に観察されなかった。採取時、ブタを殺した。
乳酸を含む組成物を投与した椎間板における髄核の結合組織への変化の評価
注射部位を裸眼で観察した。出血、炎症又は壊死等の注射部位の副反応は、ブタのいずれにおいても観察されなかった。腰椎L2から仙骨S1まで伸びた脊柱分節を除去した。面関節が除去され、したがって、他の構造物から拘束されず、椎間板の十分な柔軟性がもたらされた。
a-組成物の投与前後各々の椎間板の屈曲剛性
図4には、椎間板L2〜3、L3〜4及びL4〜5と称される、椎間板21を含む脊柱分節が示されている。
屈曲剛性の評価中、脊柱分節を、何ら外力を加えない状態にした場合の、脊柱の個々の隣接する横突起26各々の間の距離、したがって、腰椎L2から仙骨S1まで伸びた脊柱分節をカリパスで測定した。
その後、臨界値に達するまで、即ち完全側方屈曲状態が得られるまで、脊柱の一部の2つの末端部各々に外力を加えることにより、脊柱、したがって、腰椎L2から仙骨S1まで伸びた脊柱分節を手動で完全側方屈曲状態にさせた。力を加えた時の横突起の動きは、矢印と点線で図4に概略的に示されている。
臨界値を、脊柱分節の切断直前の時点として定義した。したがって、脊柱分節のいずれの部分も切断せずに最大の側方屈曲が得られるように、外力を加えた。
力は、両方のブタ各々の脊柱分節で同様であると推定された。完全側方屈曲の位置で、椎間板L2〜3、L3〜4、L4〜5の隣接する横突起間の距離をカリパスで測定した。
外力なしの状態でのある特定の椎間板の隣接する横突起間の距離を、完全側方屈曲状態を得るために加えられた外力ありの状態での同じ横突起間の距離から引くことにより、完全側方屈曲で得られる平衡距離(balanced distance)の値を得た。注射した椎間板の平衡値は、注射していない椎間板と比較される、椎間不整列の治療において使用するための組成物で治療した椎間板の屈曲剛性を反映している。
平衡値が小さければ小さいほど、椎間板が硬化しているため、屈曲剛性は、髄核の結合組織への変化の間接的な尺度である。椎間板が硬化していればしているほど、固体状で密な結合組織の体積が大きくなる。したがって、屈曲剛性は、髄核が結合組織への変化、即ち、加速老化を起こしていたか否かを示す。
測定値は、注射した椎間板(L3〜4)が、注射していない隣接する椎間板(L2〜3、L4〜5)よりもはるかに小さい平衡値を有していたことを示しており、これは、注射した椎間板の屈曲剛性が高いことを示している。したがって、注射していない椎間板の椎間板腔内と比較すると、髄核の結合組織への加速変化が、注射した椎間板の椎間板腔内で起こっていた(表4参照)。
b-組成物の投与前後各々の椎間板腔の面積
椎間板(L2〜3、L3〜4、L4〜5)を切断し、椎間板腔の長さ(前後方向)及び椎間板腔の幅(両側面方向)をカリパスで測定した。
図5及び6には、椎間板が横断面で概略的に示されている。椎間板は、線維輪10、及び線維輪で規定され、髄核11を含む椎間板腔を含む。
図5において、矢印は、どのように椎間板の椎間板腔の前後方向の長さを測定するのかを概略的に示している。図6において、矢印は、どのように椎間板の椎間板腔の両側面の幅を測定するのかを概略的に示している。
測定値から分かるように、椎間板腔の平均の前後方向の長さは、隣接する注射していない椎間板(L2〜3、L4〜5)よりも、注射した椎間板(L3〜4)で有意に短かった(表5参照)。
測定値から分かるように、椎間板腔の平均の両側面の幅は、隣接する注射していない椎間板(L2〜3、L4〜5)よりも、注射した椎間板(L3〜4)で有意に短かった(表6参照)。
実施例1の結論
2つの注射していない椎間板(L2〜3)及び(L4〜5)の椎間板腔は、乳酸を含む組成物を投与した椎間板(L3〜4)よりもさらに奥行き及び幅があることが明らかである。元の椎間板腔は、新たに形成された結合組織に置き換えられ、これにより(コラーゲンを主に含む結合組織の輪により形成された)線維輪が、大きさが減少した髄核を犠牲にして広がったと思われる。
したがって、注射した椎間板は屈曲剛性となり、この剛性は、不整列の進行のリスクを低減できる。椎間不整列のこの治療方法の利点は、この治療が、現在の治療方法よりも、例えば、現在の関節固定治療法と比較して侵襲的でないことである。
上に記載の実施例において、椎間板は、腰椎に配置されていた。しかし、類似の方法は、頸椎又は尾骨に配置されている椎間板でも認められることが期待される。
[実施例2]
本実施例において、第3の腰椎L3と第4の腰椎L4との間に配置された椎間板の髄核に投与するための、乳酸を含む、pH4未満の組成物(以下、実薬注射剤と称する)とpH4未満のプラセボ注射剤の使用を比較した。
方法及び製剤
8匹のブタに麻酔をかけ、右側を下にして置いた。側方切開により、L3〜L4椎間板を露出させた。椎間板に実薬注射剤又はプラセボ注射剤いずれか総量0.2mlを注射した。
・ 実薬注射剤:乳酸(PURAC PF 90 Batch Nr.:1406001940)120mg/ml+生理食塩水(0.9%NaCl)中のイオヘキソール(Histodenz CAS#66108-95-0、LOT#WXBB5310V)180mgl/ml。pHは1.5で測定された。
・ プラセボ注射剤:生理食塩水(0.9%NaCl)中の180mgl/mlイオヘキソール。pHはHCl(塩酸、Titrisol)で1.5に調整した。
4週間後、ブタを屠殺し、腰椎を採取した。筋肉組織全て、並びに椎骨L2〜3、L3〜4及びL4〜5間の椎間関節及び黄色靭帯を除去した。これは、屈曲の評価を可能にするために行われた。以下の評価項目を測定した:
A. 完全対側屈曲及び同側屈曲で、横突起間の距離をカリパスで測定した。
B. 椎間板腔の前後方向及び両側面をカリパスで測定した。
C. 注射した日及び採取した日にX線写真を撮り、注射剤が正確に投与され、4週間後、椎間板がX線不透過性であるか否かを評価した。
結果
A)側方屈曲の低減
実薬で治療した椎間板とプラセボで治療した椎間板との間で、屈曲の有意差が観察できる(図11)。これは、イオヘキソール、pH又は注射剤自体ではなく乳酸により、屈曲のこの低減が生じることを明確に示している。この試験結果は、統計的に有意である。
B)核腔の減少
図12a〜cでは、椎間板腔は、治療していない椎間板(図12a)とプラセボを注射した椎間板(図12b)とでは大きさが同様であるが、治療した椎間板(図12c)の大きさは顕著に小さいことが明らかである。図13及び14に絶対数を示す。この試験結果は、統計的に有意である。
C)注射後に視覚的な椎間板の高さの減少なし
椎間板の自然老化に関する公知の問題は、椎間板の変性による椎間板の高さの減少である。治療によりもたらされる椎間板の急速な変性過程により、椎間板の形状が固定され、椎間板の高さの喪失がほとんどないか、又はごくわずかであると推定されることが想定される。この仮説は、治療の4週間後の注射した椎間板(L3〜L4)のx線写真の視覚分析で立証された。図15に示すように、治療した椎間板と治療していない椎間板との間で椎間板の高さに差がないことが分かる。
実施例2の結論
実施例2のインビボ試験から、治療により髄核が結合組織に効率的に変化し、屈曲の低減及び椎間板腔の劇的な減少がもたらされるだけでなく、椎間板の高さが減少しないことが認められ得ると結論付けられる。その効果はプラセボと比較して統計的に有意である。pH調整自体は何ら効果がないという結論も導き出され得る。したがって、この試験結果は、該技術の概念を証明している。
[実施例3]
本実施例において、第1及び第2の腰椎(L1/2)から第3及び第4の腰椎(L3/4)の間の任意の箇所に局在した、椎間板の髄核への投与のための、2つの異なる用量で乳酸を含む組成物とプラセボ注射剤の使用を比較した。
方法及び製剤
11匹のブタに麻酔をかけ、右側を下にして置いた。側方切開により、注射されるべき椎間板を露出させた。椎間板に乳酸又はプラセボのいずれか総量0.2mlを注射した。
・ 乳酸製剤:乳酸(Merck 1.00366.2500、Batch K46446066)120又は240mg/ml+滅菌水中のイオヘキソール(Histodenz、いくつかのバッチを使用)180mgl/ml。pHは1.4〜1.6で測定された。
・ プラセボ製剤:滅菌水中のイオヘキソール180mgl/ml。pHは調整しなかった。
2、28又は84日後、ブタを屠殺し、腰椎を採取した。筋肉組織全て、並びに椎骨L1/2、L2/3及びL3/4間の椎間関節及び黄色靭帯を除去した。以下の評価項目を測定した:
A.注射した日及び採取した日にX線写真を撮り、注射剤が正確に投与され、2、28又は84日後、椎間板がX線不透過性であるか否かを決定した。
B.死後に撮影したX線を使用して、椎間板の高さを測定した。
C.切開した椎間板を撮影し、線維化の程度を視覚的に評価した。
結果
A.X線写真から、意図された椎間板に投与されたもの以外全ての注射剤が確認された。この場合、プラセボと乳酸の両方が、240mg/mlで同じ椎間板に不注意で注射され、したがって乳酸が注射される予定であった椎間板は、治療せずに放置された。椎間板は、任意の生存時点でX線不透過性ではなかった。
B.X線写真では、乳酸又はプラセボを注射した椎間板で高さに差がなかったことが示された(図16)。これは、乳酸の用量及び全ての時点(2、28及び84日)の両方に当てはまる。28日群は、プラセボ対照なしであったことに注意すべきである。
C.核腔の線維化:いくつかの乳酸で治療した椎間板において、2日後線維化の傾向はなかった。28日後、乳酸の投与後の線維化は、明らかであった。84日前に乳酸を注射した一部の椎間板において、線維化はほぼ完成していた(図17a参照)。これらの椎間板の構造は、プラセボを注射した椎間板とは著しく異なり、即ち、それらは切開するのがはるかに難しく、初期の骨化を示唆している。プラセボを注射した椎間板を図17bに示す。
実施例3の結論
実施例3のインビボ試験から、治療は、椎間板の高さに何ら影響を与えずに、髄核を結合組織に効率的に変化させるという結論が出される。さらに、結果から、経時的に椎間板が骨化し、したがって骨組織を椎骨間に移植し、分節を安定させる、脊椎固定術の効果が模倣されることが示された。したがって、試験結果は、該技術の概念をさらに証明している。
細胞レベルで乳酸の効果を観察するため、線維輪等の結合組織に一般に存在する線維芽細胞、並びに髄核に一般に存在する髄核細胞各々で試験を行った。どのように細胞が、乳酸での治療に反応して変化するのかの尺度として、細胞のコラーゲン産生を試験した。
[実施例4]
乳酸での治療後の線維芽細胞のコラーゲン産生試験
ヒト成人皮膚線維芽細胞(HDFa)の培養
成人の皮膚から単離したヒト皮膚線維芽細胞、いわゆるHDFa(Life Technologies Frederick,USA)を培養し、試験した。成熟したヒト椎間板細胞は、外側の線維輪において線維芽細胞様(fibrocytic)(又は線維芽細胞様(fibroblast-like))であると示された。線維芽細胞は、結合組織で見出される、最も一般的な種類の細胞である。線維芽細胞はコラーゲンタンパク質を自然分泌でき、コラーゲンタンパク質は、多くの組織に対する構造的フレームワークを維持するために使用され、さらに創傷治癒において重要な役割を果たす。
最初に、凍結保存した線維芽細胞を37℃の水浴で解凍した。次いで、解凍した線維芽細胞を、1mlのピペットを用いて分散させ、バイアル中で解凍した線維芽細胞の懸濁液を上下に動かした。次いで、分散した線維芽細胞をトリパンブルー溶液(Cat.No.15250-061、Lot.No.1311086、Gibco Life Technologies)で希釈し、生存線維芽細胞の濃度を血球計で求めた。
次いで、分散した線維芽細胞を、1ml当たり生存線維芽細胞2.5×104の濃度まで、今回は添加Medium106で再び希釈した。次いで、線維芽細胞懸濁液5mlを、25cm3の容積を有するT25細胞培養フラスコに加え、添加Medium106でさらに希釈することによりT25フラスコ中1ml当たり生存線維芽細胞5.0×103の初期密度を得た。
添加Medium106は、ウシ胎児血清の濃度が体積について2%で、低血清増殖添加剤LSGS(Life Technologies、Paisley、Great Britain)を添加したMedium106(Cat.No.M-106-500、Life Technologies、Paisley、Great Britain)からなる。
調製した線維芽細胞を含むT25フラスコを回転させ、培地中に線維芽細胞を分布させた。その後、細胞培養を、37℃にて5%CO2/95%加湿細胞培養インキュベーター中で72時間インキュベートした。
コンフルエンスにて、線維芽細胞を添加培地で希釈し、細胞表現型の変化を回避した。
乳酸の調製
乳酸(Fluka 69775、Sigma-Aldrich、Stockholm、Sweden)を、滅菌した10mLのチューブ又は50mLのチューブに秤量した。Milli-Q水(>18.2Ω)を加え、乳酸の貯蔵溶液を調製した。貯蔵溶液を混合し、様々な濃度を有する乳酸の最終溶液が調製されるまで、貯蔵した。貯蔵期間は、周囲温度で1時間未満、又は4℃で24時間未満であった。
ヒト成人皮膚線維芽細胞(HDFa)のコラーゲン産生に対する乳酸の効果
上に記載されたように培養した線維芽細胞を、細胞培養フラスコから取り外し、1ウェル当たり生存細胞6.0×104の初期密度で6ウェルプレートに置いた。線維芽細胞を、添加Medium106で増殖させた。いくつかのウェルの線維芽細胞を、各々、0、0.5、2、5、10、20及び50mg/mLの様々な濃度の乳酸(Fluka 69775、Sigma-Aldrich、Stockholm、Sweden)でも処理した。線維芽細胞を、37℃にて5%CO2/95%加湿細胞培養インキュベーター中で48時間インキュベートした。
線維芽細胞のコラーゲン産生に対する乳酸の効果を試験するために、シリウスレッド染料のコラーゲンへの結合に基づく、可溶性コラーゲンアッセイ(QuickZyme Biiosciences、Leiden、Netherlands)と呼ばれる分光光度法を適用した。試験を2回行った。
細胞培地を、各ウェルから回収し、140μLを96ウェルプレートにピペットで移した。試料を重複して採取した。培地試料を、少なくとも5回上下にピペッティングして、60μLのシリウスレッド染料溶液と十分に混合した。96ウェルプレートを3000×gで1時間遠心分離した。これらのステップ全てを25℃未満の温度で行った。例えば、遠心分離を4℃で行った。
遠心分離した試料を洗浄し、上清を除去した。細胞ペレットを、少なくとも10回上下にピペッティングして、十分に混合することにより150μLの検出溶液に再懸濁した。その後、各試料100μLを新しい96ウェルプレートに移し、コラーゲン含有量を、光学密度540nmで分光光度的に測定した。
各々重複して行った2つの試験により、表7及び図8に示すように、線維芽細胞に乳酸を加えると、線維芽細胞のコラーゲンの平均産生量が増加することが明確に示された。平均産生量は、乳酸での治療の2日後に測定された。
図8において、第1セットの試験結果は、ひし形で示されており、第2セットの試験結果は、四角で示されている。各セットのコラーゲン産生の動向を概略的に示すために、2つの期間の移動平均トレンドラインを含めた。各々、第1セットのトレンドラインは、点線で示されており、第2セットのトレンドラインは、破線で示されている。x軸は、線維芽細胞を含むウェルに加えた乳酸の濃度を示し、y軸は、ウェルに乳酸を加えた2日後に測定したときのこれらのウェルにおいて産生されたコラーゲンの平均量を示している。
より詳細には、乳酸を少なくとも2mg/mL、例えば、少なくとも5mg/mLの濃度までウェルに加えたとき、コラーゲン産生量の増加が顕著であった。さらに、図8にも示すように、乳酸濃度を最大少なくとも20mg/mL、又は少なくとも50mg/mLまで上昇させるとコラーゲン産生量が増加したことが示された。
平均コラーゲン産生量は、コラーゲンを産生することができる細胞の数に相関しているため、第1セットの試験と第2セットの試験との間の平均コラーゲン産生量におけるわずかな相違は、試験したウェルの細胞数の自然な差異によるものであり得る。
[実施例5]
乳酸での治療後の髄核細胞のコラーゲン産生試験
ヒト髄核細胞の培養
ヒトから単離した髄核(NP)細胞(4800、ScienCell、USA)を培養し、試験した。NP細胞は、髄核内の椎間板細胞である。
最初に、凍結保存したNP細胞を37℃の水浴で解凍した。次いで、解凍したNP細胞を、添加髄核細胞用培地に懸濁した後、75cm3の容積を有するT75細胞培養フラスコで播種し、ポリ-L-リジン(0413、ScienCell、USA)で内側をコートした。初期播種密度は1ml当たり生存NP細胞5.0×103であった。
添加髄核細胞用培地は、体積について2%のウシ胎児血清(0010、ScienCell、USA)、1×髄核細胞用増殖サプリメント(4852、ScienCell、USA)及び1×ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(0503、ScienCell、USA)を添加した髄核細胞用培地(4801、ScienCell、USA)からなる。
調製したNP細胞を含むT75フラスコを回転させ、培地中にNP細胞を分布させた。その後、細胞培養を、37℃にて5%CO2/95%加湿細胞培養インキュベーター中で終夜インキュベートした。
コンフルエンスにて、線維芽細胞を添加培地で希釈し、細胞表現型、細胞増殖及び/又は細胞分化の変化を回避した。
乳酸の調製
乳酸(PURAC PF90、Batch No.1406001940、Corbion Purac、the Netherlands)を、滅菌した10mLのチューブ又は50mLのチューブに秤量した。Milli-Q水(>18.2Ω)を加え、乳酸の貯蔵溶液を調製した。貯蔵溶液を混合し、様々な濃度を有する乳酸の最終溶液が調製されるまで、貯蔵した。貯蔵期間は、周囲温度で1時間未満、又は4℃で24時間未満であった。
ヒト髄核細胞のコラーゲン産生に対する乳酸の効果
上に記載されたように培養したNP細胞を、細胞培養フラスコから取り外し、1ウェル当たり生存細胞4.5×104の初期密度で6ウェルプレートに置いた。NP細胞を、添加髄核細胞用培地で増殖させた。いくつかのウェルのNP細胞を、各々、0、0.5、5、10、20及び50mg/mLの様々な濃度の乳酸(PURAC PF90、Batch No.1406001940、Corbion Purac、the Netherlands)でも処理した(具体的なpHは上の表7参照)。NP細胞を、37℃にて5%CO2/95%加湿細胞培養インキュベーター中で48時間インキュベートした。
NP細胞のコラーゲン産生に対する乳酸の効果を試験するために、シリウスレッド染料のコラーゲンへの結合に基づく、可溶性コラーゲンアッセイ(QuickZyme Biiosciences、Leiden、Netherlands)と呼ばれる分光光度法を適用した。
細胞培地を、各ウェルから回収し、140μLを96ウェルプレートにピペットで移した。試料を三重に採取した。培地試料を、少なくとも5回上下にピペッティングして、60μLのシリウスレッド染料溶液と十分に混合した。96ウェルプレートを1500×gで2時間遠心分離した。これらのステップ全てを25℃未満の温度で行った。例えば、遠心分離を4℃で行った。
遠心分離した試料を洗浄し、上清を除去した。細胞ペレットを、少なくとも10回上下にピペッティングして、十分に混合することにより150μLの検出溶液に再懸濁した。その後、各試料100μLを新しい96ウェルプレートに移し、コラーゲン含有量を、光学密度540nmで分光光度的に測定した。
測定装置に合わせるために、細胞を1:1の比で、リン酸緩衝液(PBS)で希釈した。
三重に行った試験により、表8及び図9に示すように、NP細胞に乳酸を加えると、NP細胞のコラーゲンの平均産生量が増加することが明確に示された。平均産生量は、乳酸での治療の2日後に測定した。
図9において、試験結果は、ひし形で示されている。コラーゲン産生量の動向を概略的に示すために、2つの期間の移動平均トレンドラインを含めた。x軸は、NP細胞を含むウェルに加えた乳酸の濃度を示し、y軸は、ウェルに乳酸を加えた2日後に測定したときのこれらのウェルにおいて産生されたコラーゲンの平均量を示している。
より詳細には、乳酸を少なくとも5mg/mLの濃度までウェルに加えたとき、コラーゲン産生量の増加が顕著であった。さらに、乳酸濃度を最大約10〜20mg/mLまで上昇させるとコラーゲン産生量が増加したことが示され、図9にも示すように安定期に達した。50mg/mLでのコラーゲン産生量の低下は、このような高濃度の乳酸での治療には、細胞死を引き起こす細胞毒性効果があり得ると解釈される。
[実施例6]
区別されたpH値を有する乳酸での処理後のヒト線維芽細胞のコラーゲン産生試験
ヒト線維芽細胞の培養
成人のヒト線維芽細胞(Detroit551、ATCC、CCL-110)を培養し、試験した。
最初に、凍結保存したDetroit細胞を37℃の水浴で解凍した。解凍した細胞を、非必須アミノ酸(Thermo Scientific HyClone)、1mMピルビン酸ナトリウム(Thermo Scientific HyClone)、2mM L-グルタミン(Lonza)及び10%(v/v)ウシ胎児血清(GE Healthcare/PAA)を補足した、9mlのイーグル最小必須培地1×(Gibco Life Technologies)を含有する遠心分離チューブに移した。次いで、細胞懸濁液を125×gで5分間遠心分離した。細胞ペレットを、完全培地1mlに再懸濁し、完全培地15mlを含有するT75フラスコに播種した。細胞を、5%CO2加湿インキュベーターで37℃にてコンフルエンスまで増殖させた。コンフルエンスにて、Detroit細胞を、トリプシン/ヴェルセン(Thermo Scientific Hyclone SV30037.01、Gibco Life Technologies 15040033)で分離して、継代培養した。細胞を完全培地で希釈し、新しい培養容器に1:2〜1:5の継代培養比(subcultivation ratio)で播種した。
製剤の調製
汚染のリスクを最小化するために、これが不可能であったイオヘキソールの検量は別として、全ての製剤を層状エアベンチ(laminar air bench)で調製した。
イオヘキソール溶液製剤:(Histodenz CAS#66108-95-0、LOT#WXBB5310V)を50mlの滅菌チューブに秤量した。イオヘキソールを、提供された製法に従って、mgl/mlで示される、溶液1ml当たりのヨードの重量で計算した。乳酸溶液(PURAC PF90 Batch Nr.:1406001940)及び培地を添加し、試料を転倒回転装置(end over end rotation)で30分間混合した。次いでpHを設定する前に、72時間冷蔵したままにした。
pHの調製:pHを1M NaOH(水酸化ナトリウム、Titrisol)又は1M HCl(塩酸、Titrisol)で調製した。
以下の表9による化合物の配合。
製剤での処理
Detroit細胞を培養容器から分離し、80000細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種した。細胞を添加Detroit551培地に増殖させた。全ての製剤を添加Detroit551培地で希釈した。1日目、全ウェルの細胞培養培地を、表1に示す乳酸(Sigma-Aldrich、Stockholm、Sweden)ベースの製剤と交換した。細胞を三重培養した。細胞を5%加湿CO2インキュベーターで37℃にて2日間インキュベートした。80%細胞コンフルエンスにて、細胞を製剤で処理した。
コラーゲン産生の分析
細胞培地のコラーゲン含有量を、シリウスレッド染料結合コラーゲンを分析する(可溶性コラーゲンアッセイ、QuickZyme Biosciences、Leiden、Netherlands)、分光光度法を用いて測定した。簡単に述べると、細胞培地を、各ウェルから回収し、140μLを96ウェルプレートにピペットで移した。試料を重複して採取した。培地試料を、60μLのシリウスレッド染料溶液と混合し、96ウェルプレートを1500×gで4℃にて2時間遠心分離した。ペレットを150μLの検出溶液に再懸濁した。次いで、各試料100μLを新しい96ウェルプレートに移し、コラーゲン含有量を、光学密度540nmで分光光度的に測定した。
pH測定
乳酸又は製剤での処理前、処理の10分後及び処理の2日後に、pHを測定した(表10)。
結果
対応する対照#5〜8と比較して、製剤#1〜4で処理した後、細胞形態又は細胞密度の違いは視診で観察されなかった。細胞生存性も、処理の2日後に顕微鏡で視診し、この時点で、細胞培地を回収し、コラーゲン産生を分析した。
Detroit細胞を80000細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種した。80%細胞コンフルエンスにて、細胞を製剤で処理した。製剤を添加した2日後に、コラーゲン産生を分析した(計器の線形範囲での試料の吸光度レベルを可能にするために、1:4、1:1、及びその後1:1の試料の希釈後に測定した)。図10において、データ点を、平均値±SDとして示す。
製剤#1及び#2では、コラーゲン産生が顕著であった。様々な希釈物に基づき、乳酸20mg/mlを含有するpH未調整の製剤#1は、コラーゲン産生に関しては最も有効であり、次いで、同様に乳酸20mg/mlを含有するが、pHを3.0〜3.5に調整した#2は、製剤#1と比較してコラーゲンが約35%少なかった。他の製剤での処理は、顕著なコラーゲン産生に至らなかった。
結論
本発明者等は本発明の実施形態による使用により、脊椎を安定させ、椎間不整列の進行を予防及び/又は低減することで、同様にヒトの椎間不整列を治療できると考える。
乳酸又はその薬学的に許容される塩等の物質の注射を受ける椎間板の期待される変化は、インビボで観察できる。典型的には、本方法は、麻酔又は軽い鎮静剤下で、放射線誘導を使用して行われる。したがって、この治療方法は、造影剤を、放射線誘導下で椎間板に注射する、椎間板の放射線学的評価、いわゆる椎間板造影法と類似している。
結合組織への変化及び椎間板の安定化の促進を誘導することができる他の物質も、乳酸又はその薬学的に許容される塩の代替物及び/又は代用品とみなすことができる。

Claims (15)

  1. 椎間不整列の治療において使用するための組成物であって、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含み、椎間板の髄核を含む椎間板腔に投与される組成物。
  2. 前記椎間板腔における乳酸の濃度又は薬学的に許容される塩由来の乳酸イオンの濃度を16mmol/L超まで上昇させるのに有効な量で投与される、請求項1に記載の使用するための組成物。
  3. 前記組成物中の乳酸の濃度又は薬学的に許容される塩の乳酸イオンの濃度が、少なくとも16mmol/L、例えば、16〜12000mmol/L、例えば、100〜10000mmol/L、例えば、500〜5000mmol/L、例えば、800〜2000mmol/Lの範囲内である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  4. 前記薬学的に許容される塩が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される元素のいずれかの乳酸塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  5. 前記薬学的に許容される塩が、乳酸アンモニウム、乳酸コリン、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸ベリリウム、乳酸マグネシウム、乳酸バリウム及び乳酸カルシウムからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  6. 4未満、好ましくは3.5未満のpHを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  7. 椎間不整列の原因となる椎間板の椎間板腔に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  8. 前記乳酸又はその薬学的に許容される塩が、髄核を含む椎間板腔に局所注射により投与される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  9. 前記乳酸が、2mg〜200mg、例えば、5mg〜150mg、例えば、10mg〜100mg、例えば、10mg〜50mg、例えば、15mg〜30mgの範囲内の単回用量で投与される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  10. 前記乳酸又はその薬学的に許容される塩が、前記単回用量で一回の機会で投与される、請求項9に記載の使用するための組成物。
  11. 前記乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む水溶液の形態である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  12. 前記椎間不整列が、脊柱側弯症である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  13. 前記椎間不整列が、脊椎すべり症である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  14. 前記椎間不整列が、脊椎亜脱臼である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  15. 前記椎間不整列が、脊椎骨折である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
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