JP2018507374A - ローターロックと対応するレセプタクルとを備えるヨーブレーキ機構を有するタービン - Google Patents
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Abstract
流体タービンのナセルなどのヨー構造を、参照軸又はヨー軸の周りでの所望の配向又は方位の向きに維持するためのヨーブレーキ機構。ヨーブレーキ機構は、一つ以上のローターロックと、ローターロックと協働する一つ以上のレセプタクルとを使用して、ロック機能を実現する。ローターロックの一つが作動可能であることで、ローターロックの一部がヨー構造をロックするレセプタクルの一つと係合する。ヨー軸の周りに周囲360度にわたって、可変精度により、任意の方位の向きをヨー構造が実現できるように、ローターロックの数とレセプタクルの数とを選択することができる。低質量、低高度、低コストの解決策における極端なモーメントと強制負荷を受けながら、ヨーブレーキ機構はヨー構造が複数の向きを維持できるようにしている。【選択図】図1
Description
本技術開示は、ヨー構造と、ヨー構造を所望の方位の向きに維持するヨーブレーキ機構に関する。
ある流体タービンを含むヨー構造は、その配置にわたる様々な方位の向きを達成できる能力が求められる。例えば潮流タービン、水力タービン、又は風力タービンなど、特定の流体タービンの場合、流体の流れる向きは頻繁に変化し、流体タービンが動力を効率的に利用して、動力生成を最大にするために、タービンのローターの方位を、流体の流れに対して適正な方向に合わせる必要がある。
ヨーブレーキ機構として現在使用されている既存の解決策には、ディスクブレーキとモーターブレーキとが含まれる。ヨーブレーキ機構としてのディスクブレーキの利用は、自動車のディスクブレーキシステムと同じ原理によるものであるが、その規模ははるかに大きい。ディスクブレーキの利用によって、高トルクに適応するため、多数のディスクブレーキが必要となる。このため、重く、嵩高で、コストがかかるブレーキ機構につながる結果となる。
モーターブレーキは、ヨードライブパワートレインシステム内に、低トルクブレーキが使用される。ブレーキの低トルクは、高ギア比のギアボックスを利用することで増大され、ピニオンでの旋回軸受インターフェースに対する大トルクが生成される。複数のパワートレインの使用によって、旋回軸受において利用可能なブレーキトルクがさらに増大する。
更にメンテナンス時に、ローターハブと、風力タービンのナセルインターフェースとの間で単一のローターロック機構を使用して、ハブをロックアウトする(すなわち、ナセルに対するローターハブの回転を防止する)ことが知られている。
参照軸に対して所望の配向又は方位の向きにあるヨー構造を維持するヨーブレーキ機構について説明する。一実施形態では、ヨーブレーキ機構により、ヨー構造は、低質量、低高度、低コストの解決策による極度のモーメントと強制負荷を受けながら複数の向きを実現し、その後これらを維持することができる。
ここで使用される「ヨー構造」とは、参照軸に対する構造の配向を選択的に変更可能で、参照軸に対して特定の配向でヨー構造を保持又はロック可能な、任意の構造を意味する。
一つの非限定的例では、ヨー構造は、垂直軸又はほぼ垂直軸であり得るヨー軸の周りに回転可能な構造であって、ヨー軸の周りで特定の配向にロックされる構造にできる。
本開示の範囲内で包含することを意図したヨー構造の例は、潮流タービン、水力タービン又は風力タービンのナセルを含むが、これらに制限されることはない。ナセルは、これが回転可能に支持されている塔に対して、ヨー軸の周りに回転可能である。ナセルは、ローターの回転により電気エネルギーを生成し及び/又は機械エネルギーを生み出す目的で、ローターを回転可能に支持する。このローターは、これを通過して流れる水や空気などの流体によりドライブされる。ヨー軸の周りで所望の配向又は方位の向きに、選択的にナセルを回転させるように使用される、ヨードライブ機構を有する。更に、ナセルを所望の配向にロックするように、選択的に作動可能なヨーブレーキ機構が備えられている。上記一実施形態では、ヨーブレーキ機構は、複数の方位の向きを実現し、その後、これらを維持する手段を提供する。
一実施形態では、ヨーブレーキ機構は、ロック機能を実現するように互いに協働する、少なくとも一つのローターロックと、少なくとも一つのレセプタクルを有する。ここに記載の別の実施形態では、ヨーブレーキ機構は、ロック機能を実現するように互いに協働できる、複数のローターロックと、複数のレセプタクルとを有する。複数のローターロックとレセプタクルの使用時に、ローターロックの一つは、係合状態となるよう作動可能であり、その一部が一個のレセプタクルと係合し、ヨー構造をロックする。一実施形態では、単一のローターロックは、ヨー構造の全トルクを打ち消すことができる。他の実施形態では、一つ以上のローターロックが、レセプタクルに同時に係合可能である。一つの非限定的例では、ヨー構造が、周囲360度にわたって、精度約±1.0未満の回転で任意の方位の向きを実現できるように、ローターロックの数とレセプタクルの数を選択することができる。別の非限定的実施例では、8個のローターロックと25個のレセプタクルが使用できる。
一実施例では、回転不能構造に、回転可能に取付けられ、回転不能構造のヨー軸の周りに回転可能な、ヨー構造のヨーブレーキ機構は、係合状態と非係合状態との間で作動可能であり、少なくとも一つのローターロックを有することができる。ロック板は、ヨー軸の周りでの所望の配向でヨー構造を固定するための少なくとも一つのローターロックと協働可能である。少なくとも一つのローターロックが作動されて係合状態になると、ロック板は、少なくとも一つのローターロックの一部を受け入れ可能な少なくとも一つのレセプタクルを有することができる。ロック板及び少なくとも一つのローターロックは、互いに位置決めされ、それによって、少なくとも一つのローターロックが作動されて係合状態になると、少なくとも一つのローターロックの一部が、ロック板の少なくとも一つのレセプタクルの内部に配置され、ヨー軸の周りでのヨー構造の回転が防止され、また、少なくとも一つのローターロックが作動されて非係合状態になると、少なくとも一つのローターロックの一部が、ロック板の少なくとも一つのレセプタクルから除去され、ヨー軸の周りでのヨー構造の回転が可能になる。
別の実施例では、ここに記載する流体タービンは、ヨー軸を有する塔と、塔に回転可能に取付けられ、ヨー軸の周りでの配向を変えるためにヨー軸の周りに回転可能である、ナセルと、ヨー軸の周りでナセルを回転させるためのヨードライブ機構と、回転軸の周りに回転するように、ナセルに回転可能に取付けられたローターと、ヨー軸の周りでナセルの配向を固定するためのヨーブレーキ機構とを有することができる。ヨーブレーキ機構は、係合状態と非係合状態との間で作動可能な、ナセル又は塔のいずれかに取付けられる、少なくとも一つのローターロックを有することができる。ヨー軸の周りを所望の配向でナセルを固定するように、少なくとも一つのローターロックと協働するロック板が設けられ、ロック板は塔又はナセルのいずれかに取付けられる。少なくとも一つのローターロックが作動されて係合状態になると、ロック板は、少なくとも一つのローターロックの一部を受け入れることが可能な、少なくとも一つのレセプタクルを有する。更に、ロック板及び少なくとも一つのローターロックは、互いに位置決めされ、それによって少なくとも一つのローターロックが作動されて係合状態になると、ロック板の少なくとも一つのレセプタクル内に、少なくとも一つのローターロックの一部が配置されて、ヨー軸の周りでのナセルの回転が防止され、また、少なくとも一つのローターロックが作動されて非係合状態になると、ロック板の少なくとも一つのレセプタクルから、少なくとも一つのローターロックの一部が除去され、ヨー軸の周りでのナセルの回転が可能になる。
参照軸の周りでの所望の配向又は方位の向きにヨー構造を維持するための、ヨー保持ブレーキとも呼ぶことができる、ヨーブレーキ機構について説明する。ヨー構造は、参照軸に対して、その配向が選択的に変更可能で、参照軸に対して、ヨー構造を特定の配向で保持又はロックするよう望まれる、任意の構造であり得る。
便宜上、ヨー構造は、以下のように流体ドライブタービン、特に流体ドライブタービンのナセルについて説明され、ここでは例示されている。この流体ドライブタービンは、潮流タービン、水力タービン又は風力タービンなどを含むことができるが、これらに制限されることはない。便宜上、ナセルは、垂直又はほぼ垂直な軸として記載されているヨー軸の周りに回転可能である。ただし、ここに記載するヨーブレーキの概念を、垂直でない又はほぼ垂直ではないヨー軸の周りに回転可能な、その他のヨー構造に適用することができる。
図1を参照して、流体ドライブタービン10の一部を説明する。タービン10は、ヨー軸A−Aの周りで、塔14に対して回転するように、後述するヨードライブ機構30を介して、塔14の上部端に回転可能に取付けられるナセル12を有する。図1において、ナセル12はハウジングとも呼ばれてもよく、ナセル12はその内部の構成要素を見ることができるように、透明なものとして示されている。実際のタービン10では、ナセル12は透明ではない。塔14が回転しないように、塔14を任意の要領で固定して取付ける。例えば、風力タービンの場合、塔14を、直接又は間接的に地中又は地面に取付けることができ、水力又は潮流タービンの場合、塔14を、直接又は間接的に海底又は海以外の水底に取付けることができる。
一実施形態では、ヨー軸A−Aを、略垂直に延長させることができる。別の実施形態では、ヨー軸A−Aは、垂直に対してある角度で傾斜させることができる。ヨー軸A−Aは、垂直に対して任意の角度で傾斜させることができる。例えば、一つの非限定的な実施形態では、ヨー軸は、垂直から±4度に傾斜させることができる。
ナセル12は、前端としての第1の端16と、後端としての第2の端18とを有する。ローター20は、回転軸B−Bの周りに回転するように、第1の端16に、回転可能に取付けられている。一実施形態では、回転軸B−Bは、ほぼ水平に延長可能である。他の実施形態では、回転軸B−Bは、水平に対してある角度で傾斜可能である。
図示の実施例では、ローター20は、ローター20から一般に半径方向に延設されるブレードマウント22に、取外し可能に取付けられる複数のブレード(図示せず)を有する。図示の例では、三つのブレードマウント22と、それゆえ三つのブレードが存在する。ただし、用いることができるブレードマウントの数とブレードの数は、上記よりも多いか少ない。ブレードマウント22及び、これに取付けられるブレードは、固定ピッチであり得るし、又は、ブレードマウント22と、これに固定されるブレードは、ブレードマウント22とブレードの軸C−Cの周りに回転することで、ピッチ変動が可能になるように取り付けることができる。可変ピッチブレードの場合、ローター20内にピッチ変更機構(詳細には図示せず)を設けることができる。当業者が十分に理解するように、ローター20は、図1の矢印Fに示す、水や空気などの流体がブレードを通過して流れる結果として、回転軸B−Bの周りに回転するよう設計されている。
図1を参照して、ギアボックス24及び発電機26が、第2の端18に取付けられている。ナセル12を通って延設されたシャフト28は、ローター20をギアボックス24に接続することで、ローター20の回転がギアボックス24に伝達し、次に発電機26の発電を引き起こす結果となる。ローター20、ギアボックス24、発電機26の詳細な構造と動作については、当業者に周知であるため、ここではさらに説明することはしない。
ナセル12と塔14の間には、塔14に対してヨー軸A−Aの周りでナセル12を回転させるよう構成されているヨードライブ機構30が備えられている。方向を変更可能な流体の流れFに対して最適な向きにローター20を配向させるために、ヨードライブ機構30は、軸A−Aの周りでナセル12と、これに取付けられるローター20の方位の向き又は配向を変える。ヨードライブ機構30は、ヨー軸A−Aの周りでナセル12を回転させるのに適した任意の構造を有することができる。ヨードライブ機構の特定の構造及び動作は、当業界で周知である。
図2から図4を参照して、ヨードライブ機構30を詳細に示す。ここに記載のヨードライブ機構30は一例であり、他のヨードライブ機構の構造も使用可能である。図2から図4は、タービン10のナセル12と塔14の間の領域を示す。この例では、ヨードライブ機構30は、複数(例えば3台)のヨーパワートレイン32を有し、そのそれぞれはドライブモーター34と、対応するドライブモーター34によってドライブされる連携ギアとを有する。パワートレイン32は、ナセル12の回転ドライブのため、任意の組み合わせで、又は個別に作動が可能である。
図3及び4から最もよく分かるように、各パワートレイン32は、ピニオンギア36をドライブする。ピニオンギア36は、旋回軸受40の内周に形成されたギア歯38と係合する。旋回軸受40は、塔14(接続は図示せず)に固定されたベース板44に取付けられた、静止又は固定された軸受内側レース42を有する。本実施形態では、ギア歯38が、軸受内側レース42に一体的に形成され、ギア歯38と軸受内側レース42が、一体型構造又は単体構造を形成する。旋回軸受40は、軸受内側レース42の周りに回転が可能な、回転可能軸受外側レース46も有する。
図2及び4を参照すると、回転可能板48が、軸受外側レース46の最上部に固定されている。回転可能板48の下部にある構成要素を示すため、図3では、回転可能板48が透明なものとして示されている。ヨーパワートレイン32は、回転可能板48の上側のドライブモーター34と、回転可能板48の反対側のピニオンギア36と共に、回転可能板48上に取付けられている。更に、回転可能板48は、ナセル12に固定される。
ヨードライブ機構30は以下のように作動する。各ピニオンギア36を回転させる目的で、一つ以上のモーター34を作動させる。ピニオンギア36は、固定された軸受内側レース42の歯38と係合するので、板48及び軸受外側レース46、これに接続されたナセル12は、ヨー軸A−Aの周りに回転する。
いったんナセルが正しい方位の向きに回転されると、ヨーブレーキ機構50を用いて、ナセル12を所望の方位の向きに保持又はロックする。一実施形態では、ヨーブレーキ機構50は、単一のローターロック52と、単一のレセプタクル54を有することができ、両方とも後述のように、互いに協働して、ロック機能を実現する。単一のローターロック52と単一のレセプタクル54は、ナセル12を単一の方位の向きにロックすることができる。ただし、ローターロック52とレセプタクル54の相対的な位置を選択的に変更可能になるように、単一のローターロック52とレセプタクル54の一方又は両方を取付けることが可能であり、この場合、ローターロック52とレセプタクル54の相対的な位置に依存して、ナセル12を他の方位の向きにロックすることができる。
以下にさらに詳細に記載する別の実施形態では、ヨーブレーキ機構50は、複数のローターロック52と、少なくとも一つのローターロック52と協働する、複数のレセプタクル54とを有し、ロック機能を実現する。ローターロック52の一つは、レセプタクル54の一つと係合可能であるように作動可能であり、ナセル12を所望の方位の向きにロックする。ローターロック52の一つは、ロックのため、レセプタクル54の一つと係合可能であり、単一のローターロック52は、ナセル12の全トルクを打ち消すことができる。
一実施形態では、少なくとも二つのローターロック52と、少なくとも二つのレセプタクル54とが設けられている。別の実施形態では、レセプタクル54の数は、ローターロック52の数よりも多い。以下にさらに記載する一実施形態では、ローターロック52の数とレセプタクル54の数は、ヨー軸A−Aの周りに周囲360度にわたって、約±1.0未満の精度により、ナセル12が任意の方位の向きを実現できるように選択可能である。例えば、一実施形態では、上記全範囲の方位の向きと精度を実現するために、8個のローターロック52と、25個のレセプタクル54を設けることができる。
複数のローターロック52及び複数のレセプタクル54を有するヨーブレーキ機構50について、図2から図4を参照して説明する。ローターロック52は、その一部が一つのレセプタクル54に配置されている係合(第1又は伸張)状態と、その一部が一つのレセプタクル54に配置されていない非係合(第2又は退避)状態との間で作動可能である。図示の例では、ローターロック52は、ヨー軸A−Aとほぼ平行な方向に作動可能な油圧作動ピストン56を有するものとして示される。各ローターロック52は、そのピストン56が一つのレセプタクル54に配置されている係合(第1又は伸張)状態と、ピストン56が一つのレセプタクル54に配置されていない非係合(第2又は退避)状態との間で作動可能である。図4を参照して、図4の左側のローターロック52は、ピストン56が一つのレセプタクル54に配置された係合状態へと作動されているものとして示され、図4の右側のローターロック52は、ピストン56が一つのレセプタクル54に配置されていない非係合状態へと作動されているものとして示される。ローターロック52は、レセプタクル54内に選択的に配置可能な、ピストン56以外の構造を有することができる。
図2は、ローターロック52a、52bの二つのグループに分けられたものとして、ローターロック52を示す。各グループは、複数のローターロック52を有する。ローターロック52は、板48の上面に形成され、上方に突出している各立ち上がった領域60a、60bに取付けられている。ただしローターロック52は任意の数のグループに分けることができ、各グループのローターロック52の数は等しいか異なっている。更に、別の実施形態では、ローターロック52は、図5及び6を参照して、後述と同様の単一のグループに配設することができる。
図3及び4に示すように、レセプタクル54は、板48の底面に対向する軸受内側レース42の上面に形成されている。本実施形態では、レセプタクル54と軸受内側レース42は互いに一体的に形成され、一体型構造又は単体構造となっている。軸受内側レース42は、レセプタクル54がヨー軸の周りで所望の方位の向きにナセル12を固定するためのローターロック52と協働する、ロック板を形成している。特に、ローターロック52が作動されて係合状態になると、レセプタクル54は、一つのローターロック52のピストン56を受け入れることができ、それによって、ヨー軸の周りでのナセル12の回転を防止することになり、また、ローターロック52が作動されて非係合状態となると、ローターロック52のピストン56が、ロック板のレセプタクル54から除去され、それによって、ヨー軸の周りでのナセル12の回転が可能になる。一実施形態では、レセプタクル54は、軸受内側レース42を形成する二つ以上のリング又は板に設けることができるか、あるいは軸受内側レース42から切り離される。
図3及び4から最もよく分かるように、レセプタクル54は、軸受内側レース42内に形成されるほぼ円形状の凹部を備え、軸受内側レース42を貫通することはない。別の実施形態では、レセプタクル54は、軸受内側レース42を完全に貫通可能である。レセプタクル54、及びこれに配置されるローターロック52のピストン56の端部は、レセプタクル54に対するローターロック52のピストン56の出し入れが容易になるような形状とすることができる。例えば、ローターロック52の各ピストン56の端62をテーパー形状にすることができる。更に、レセプタクル54の内部は、例えば、レセプタクル54の側壁をテーパー形状にすることで、又は各レセプタクル54にテーパー形状のライナー64を取付けることで、対応するテーパー形状を有することができる。図示の実施形態では、各レセプタクル54は、ヨー軸A−Aとほぼ平行な軸を有し、ローターロック52のピストン56は、ヨー軸A−Aとほぼ平行な方向に作動可能である。ただし、別の実施形態では、レセプタクル54とローターロック52のピストン56を、それらの軸がヨー軸A−Aと平行にならないように配設することができる。
上記のように、ローターロック52の、選択された一つのピストン56は、ナセル12の方位の向きをロックするため、ピストンの端62が一つのレセプタクル54に配置される位置への作動が可能である。複数のローターロック52と複数のレセプタクル54とを備えることで、ナセル12がロックできる角度の範囲は増大できる。例えば、8個のローターロック52と、25個のレセプタクル54を有する図示の実施形態では、ナセル12は、ヨー軸A−Aの周りに周囲360度にわたって、約±1.0度未満の精度により、様々な方位の向きを実現できる。以下の表は、図示の実施形態では、ナセル12が実現可能な角度を示している。
以下の表において、図3ではローターロック52にAからHまで符号をつけた。更に、図3のローターロックAのピストンが、レセプタクル1と係合するものとして、残りのレセプタクルに、時計回りで25までの連続的に番号が付けられている。
図5及び6は、ヨードライブ機構100の別の実施形態を示す。図5及び6は、図1に示すナセルと塔と同様の、タービンのナセル(図示せず)と塔(図示せず)の間の領域を示す。ヨードライブ機構100は、複数のヨーパワートレイン102、例えば3台のヨーパワートレイン102を有し、そのそれぞれはドライブモーター104と、各ドライブモーター104によってドライブされる連携ギアとを有する。
各パワートレイン102は、ピニオンギア106をドライブする。ピニオンギア106は、旋回軸受110の内周に形成されているギア歯108と係合する。旋回軸受110は、独立したロック板114に固定された、静止又は固定軸受内側レース112を有する。次に独立ベース板116に固定された上記ロック板114は、タービンの塔に固定される。旋回軸受110も、軸受内側レース112の周りに回転可能な回転可能軸受外側レース118を有する。
図6を参照すると、回転可能板120は、軸受外側レース118の最上部に固定されている。上記板120は、その下部の構成要素を示す目的で、図5においては透明になっている。ヨーパワートレイン102は、板120の上側のドライブモーター104と、板120の反対側のピニオンギア106と共に、板120に取付けられる。更に、この板120は、ナセルに固定される。
ヨードライブ機構100は以下のように作動する。各ピニオンギア106を回転させる目的で、一つ以上のモーター104を作動させる。ピニオンギア106は、固定された軸受内側レース112の歯108と係合するので、板120及び軸受外側レース118、これに接続されたナセルは、ヨー軸A−Aの周りに回転する。
図5及び6を続けて参照すると、いったんナセルが正しい方位の向きに回転されると、ヨーブレーキ機構130は、ナセルを所望の方位の向きに保持又はロックするために用いられる。本実施形態では、ヨーブレーキ機構130は、複数のローターロック132と、これらローターロック132と協働する複数のレセプタクル134とを用いることで、ロック機能を実現する。ローターロック132とレセプタクル134は、上述したローターロック52とレセプタクル54と同様の構造及び操作を有し、それによって一つのローターロック132のピストンが作動可能となり、一つのレセプタクル134と係合し、所望の方位の向きにナセルをロックする。一つのローターロック132のピストンは、一つのレセプタクル134と係合可能でロック機能を実現することで、単一のローターロック132は、ナセルの全トルクを打ち消すことができる。
ただし、図5及び6に示された実施形態では、レセプタクル134は、軸受内側レース112から離間して締結されているロック板114に形成されている。更に、ローターロック132は、ローターロック52を、上述の二つのグループ52a、52bに分ける代わりに、単一のグループ内に、順番に配設されているように示される。ただし、ローターロック132は、各グループ内で等しい数、又は異なる数のローターロックを含む、任意の数のグループに分けることが可能である。
ローターロック52と同様、少なくとも二つのローターロック132と、少なくとも二つのレセプタクル134が設置されている。別の実施形態では、レセプタクル134の数は、ローターロック132の数より大きい。ローターロック132とレセプタクル134の数は、ヨー軸A−Aの周りに周囲360度にわたって、約±1.0度未満の精度により、ナセルが任意の方位の向きを実現できるように選択可能である。例えば一実施形態では、全範囲の方位の向き及び精度を実現するために、8個のローターロック132及び25個のレセプタクル134を設けることができる。
図6は、一つのレセプタクル134内に、ローターロック132のピストンが配置されている係合状態へと、一つのローターロック132が作動されている状態を示す。レセプタクル134は、板120の底面に対向する、ロック板114の上面に形成されている。ローターロック132が作動して係合状態になると、一つのレセプタクル134は、一つのローターロック132のピストンを受け入れることができ、それによってヨー軸の周りでのナセルの回転が防止され、またローターロック132が作動して非係合状態になると、ロック板114のレセプタクル134からローターロック132のピストンが除去されて、それによってヨー軸の周りでのナセルの回転が可能になる。
図5及び6を参照すると、レセプタクル134は、ロックリング114内に形成されるほぼ円形状の凹部を備え、ロックリング114を貫通することない。別の実施形態では、レセプタクル134は、ロックリング114を完全に貫通可能である。レセプタクル134及び、これに配置されるローターロック132のピストンの端部は、レセプタクル134に対するローターロック132のピストンの出し入れが容易になるような形状とすることができる。例えば、上記のローターロック52とレセプタクル54と同様に、ローターロック132の各ピストンの端をテーパー形状にすることができる。更に、レセプタクル134の内部は、例えば、レセプタクルの側壁をテーパー形状にすることで、又は各レセプタクルにテーパー形状のライナーを取付けることで、対応するテーパー形状を有することができる。
ローターロック52及びレセプタクル54に対する上記記載と同様に、ローターロック132の選択された一つのピストンは、その端部がレセプタクル134の一つに配置されて、ナセルの方位の向きをロックする、係合状態に作動させることができる。複数のローターロック132及び複数のレセプタクル134を備えることで、ナセルをロックできる角度範囲は広がる。例えば、8個のローターロック132及び25個のレセプタクル134を有する図示の実施形態では、ヨー軸A−Aの周りに周囲360度にわたって、約±1.0度未満の精度により、ナセルは様々な方位の向きを実現することができる。特に、上記の表に挙げた角度は、ナセルがヨーブレーキ機構130を使用することによって実現可能である。
図7とともに図2から図4に戻ると、ヨーブレーキ機構50を制御するための油圧システム150の一例について説明する。同様の油圧システム又は異なるシステムを用いて、図5及び6のヨーブレーキ機構130を制御することができる。この例では、油圧システム150は、各ローターロック52に対して一つずつソレノイドコントロールバルブ152を有するものと例示され、ソレノイドコントロールバルブ152はローターロック52に取付けられるか、ピストン56の制御のため、ローターロック52に対する油圧流体の流出入を制御するのに適した他の位置に取付けることができる。一つ以上のポンプ154a、154bは、加圧された油圧流体を供給するためのフィルター156a、156bを介した容器156からの油圧流体をくみ上げ、アキュムレーター158は、ポンプ154a、154bからの油圧流体供給ラインに接続されている。図2が示すように、油圧システム150を、板48とともに回転するように、板48に取付けることができる。ポンプ154a、154b、ソレノイドコントロールバルブ152及び他の電子機器のソレノイドに動力を供給する電気エネルギーは、スリップリング機構160を経由して供給される。
図2から図4及び図7に示す油圧システム150の構造は一例であり、その他種々の構造も可能である。更にいくつかの実施形態では、油圧作動の代わりに、ローターロック52を空圧又は電気で作動させることもできる。
本明細書で開示された例は、説明目的のためであり限定的なものではないと多くの点で考慮されるべきものである。上記発明の範囲は、上記説明によってよりも、以下の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の均等性の意味とその範囲内におけるすべての変更は、包含されることを意図している。
Claims (17)
- 回転不能構造に回転可能に取付けられ、前記回転不能構造のヨー軸の周りに回転可能である、ヨー構造のヨーブレーキ機構であって、
係合状態と非係合状態との間で作動可能な、少なくとも一つのローターロックと、
前記ヨー構造を、前記ヨー軸の周りに所望の配向で固定するための、前記少なくとも一つのローターロックと協働するロック板とを備え、
前記ロック板は、前記少なくとも一つのローターロックが作動されて前記係合状態になると、前記少なくとも一つのローターロックの一部を受け入れることが可能な少なくとも一つのレセプタクルを内部に有し、
前記ロック板及び前記少なくとも一つのローターロックは、互いに位置決めされ、それによって前記少なくとも一つのローターロックが作動されて前記係合状態になると、前記少なくとも一つのローターロックの前記一部が、前記ロック板の前記少なくとも一つのレセプタクルの内部に配置され、前記ヨー軸の周りでの前記ヨー構造の回転が防止され、また前記少なくとも一つのローターロックが作動されて前記非係合状態になると、前記少なくとも一つのローターロックの前記一部が、前記ロック板の前記少なくとも一つのレセプタクルから除去され、前記ヨー軸の周りでの前記ヨー構造の回転が可能になることを特徴とする、ヨー構造のヨーブレーキ機構。 - 請求項1のヨーブレーキ機構であって、複数の前記ローターロック及び複数の前記レセプタクルを備えることを特徴とする、ヨーブレーキ機構。
- 請求項1のヨーブレーキ機構であって、前記少なくとも一つのローターロックは、前記ヨー構造か、前記回転不能構造のうち一方に取付けられ、前記ロック板は、前記ヨー構造か、前記回転不能構造の他方に取付けられることを特徴とする、ヨーブレーキ機構。
- 請求項2のヨーブレーキ機構であって、前記ロック板は、前記ヨー軸にほぼ平行な中心軸を有し、前記レセプタクルは、前記ロック板の前記中心軸の周囲において、円周方向に間隔を置いた位置に形成されることを特徴とする、ヨーブレーキ機構。
- 請求項4のヨーブレーキ機構であって、前記レセプタクルは、前記ロック板の全周に配置されることを特徴とする、ヨーブレーキ機構。
- 請求項2のヨーブレーキ機構であって、前記レセプタクルの数は、前記ローターロックの数より大きいことを特徴とする、ヨーブレーキ機構。
- 請求項4のヨーブレーキ機構であって、前記ロック板は、ギア歯が形成された内周を有し、旋回軸受の内側レースを形成していることを特徴とする、ヨーブレーキ機構。
- 請求項2のヨーブレーキ機構であって、前記ローターロック及び前記レセプタクルは、前記ヨー構造が、0度から360度の範囲の複数の所定量のヨー角度を実現可能になることを特徴とする、ヨーブレーキ機構。
- 流体タービンであって、
ヨー軸を有する塔と、
前記塔に回転可能に取付けられるナセルであって、前記ヨー軸の周りでの前記ナセルの配向を変更するように前記ヨー軸の周りに回転可能なナセルと、
回転軸の周りに回転するように、前記ナセルに回転可能に取付けられたローターと、
前記ナセルを前記ヨー軸の周りに回転させるように、前記ナセルに接続されたヨードライブ機構と、
前記ヨー軸の周りに前記ナセルの前記配向を固定するためのヨーブレーキ機構とを備え、
前記ヨーブレーキ機構は、
係合状態と非係合状態との間で作動可能な、前記ナセル又は前記塔のいずれかに取付けられる、少なくとも一つのローターロックと、
前記ヨー軸の周りでの所望の配向に前記ナセルを固定するように、前記少なくとも一つのローターロックと協働し、前記塔又は前記ナセルのいずれかに取付けられる、ロック板とを有し、
前記ロック板は、前記少なくとも一つのローターロックが作動されて前記係合状態になると、前記少なくとも一つのローターロックの一部を受け入れることが可能な、少なくとも一つのレセプタクルを内部に有し;
前記ロック板及び前記少なくとも一つのローターロックは、互いに位置決めされ、それによって前記少なくとも一つのローターロックが作動されて前記係合状態になると、前記少なくとも一つのローターロックの前記一部が、前記ロック板の前記少なくとも一つのレセプタクルの内部に配置され、前記ヨー軸の周りでの前記ナセルの回転が防止され、前記少なくとも一つのローターロックが作動されて前記非係合状態になると、前記少なくとも一つのローターロックの前記一部が、前記ロック板の前記少なくとも一つのレセプタクルから除去され、前記ヨー軸の周りでの前記ナセルの回転が可能になることを特徴とする、流体タービン。 - 請求項9の流体タービンであって、複数の前記ローターロックと、複数の前記レセプタクルとを備えることを特徴とする、流体タービン。
- 請求項10の流体タービンであって、前記ロック板は、前記ヨー軸にほぼ平行な中心軸を有し、前記レセプタクルは、前記ロック板の前記中心軸の周囲において、円周方向に間隔を置いた位置に形成されることを特徴とする流体タービン。
- 請求項11の流体タービンであって、前記レセプタクルは、前記ロック板の全周に配置されていることを特徴とする流体タービン。
- 請求項10の流体タービンであって、二つよりも多い前記ローターロックと、二つよりも多い前記レセプタクルとを備えることを特徴とする流体タービン。
- 請求項10の流体タービンであって、前記レセプタクルの数は、前記ローターロックの数より大きいことを特徴とする流体タービン。
- 請求項9の流体タービンであって、前記ロック板は、ギア歯が形成された内周を有し、旋回軸受の内側レースを形成していることを特徴とする流体タービン。
- 請求項10の流体タービンであって、前記ローターロック及び前記レセプタクルは、前記ナセルが、0度から360度の範囲の複数の所定量のヨー角度を実現可能になることを特徴とする流体タービン。
- 請求項9の流体タービンであって、前記流体タービンは、潮流タービン、水力タービン、又は風力タービンを含むことを特徴とする流体タービン。
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