JP2018505183A - エボラウイルス疾患の処置のための方法及び医薬組成物 - Google Patents

エボラウイルス疾患の処置のための方法及び医薬組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018505183A
JP2018505183A JP2017540652A JP2017540652A JP2018505183A JP 2018505183 A JP2018505183 A JP 2018505183A JP 2017540652 A JP2017540652 A JP 2017540652A JP 2017540652 A JP2017540652 A JP 2017540652A JP 2018505183 A JP2018505183 A JP 2018505183A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ebola virus
subject
favipiravir
treatment
virus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017540652A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018505183A5 (ja
Inventor
アングラレ,グザヴィエ
マルヴィ,ドゥニ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chu De Bordeaux
Original Assignee
Chu De Bordeaux
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chu De Bordeaux filed Critical Chu De Bordeaux
Publication of JP2018505183A publication Critical patent/JP2018505183A/ja
Publication of JP2018505183A5 publication Critical patent/JP2018505183A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/495Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with two or more nitrogen atoms as the only ring heteroatoms, e.g. piperazine or tetrazines
    • A61K31/4965Non-condensed pyrazines
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/70Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving virus or bacteriophage
    • C12Q1/701Specific hybridization probes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

本発明は、エボラウイルス疾患の処置のための方法及び医薬組成物に関する。特に本発明は、エボラウイルス疾患の処置を必要とする対象において該処置を行う方法であって、対象にファビピラビルの治療有効量を投与することを含む方法に関する。

Description

発明の分野:
本発明は、医学分野である。より詳細には、本発明は、エボラウイルス疾患の処置のための方法及び医薬組成物に関する。
発明の背景:
エボラウイルスは、マールブルグウイルスと同様にフィロウイルス科に由来する。エボラウイルスは、アフリカのザイールにあるエボラ川にちなんで名付けられた。ザイールのヤンブク(現在のコンゴ民主共和国)及び西スーダンのンザラの両方での重大な大発生の後、1976年にNgoy Mushola博士によってエボラ側の近くでの最初の大発生が注目された。ヒトに致命的疾患を引き起こす異なる3種のエボラウイルス:ザイールエボラウイルス(ZEBOV)(EBOVとしても公知)、スーダンエボラウイルス(SEBOV)及びアイボリーコーストエボラウイルス(ICEBOV)がある。
エボラウイルスは、ヒトの間で血液などの感染した体液と直接接触することにより伝染する。エボラウイルス感染症の潜伏期間は2日から4週間まで変動する。症状も可変であるが、発生は、通常、突然で、高熱、虚脱、筋痛、関節痛、腹痛及び頭痛によって特徴付けられる。これらの症状は、共存する壊死、タンパク尿、並びに内出血及び通常は消化管を通した外出血の両方により嘔吐、下痢、口咽頭病変、結膜炎、臓器障害(特に腎臓及び肝臓)に進行する。死亡又は回復期までの回復は、総合的症状の発生から6〜10日以内に起こる。
いくつかの抗ウイルス剤がエボラウイルス感染症に対してインビトロ又は動物モデルにおいて有効性を示したものの、エボラウイルス疾患のヒトにおいて評価された抗ウイルス剤は、まだない。したがって、当技術分野において、エボラウイルス疾患に対する有効な治癒的処置の膨大な必要性が存在する。潜在的な薬物候補には、日本で新興又は再興インフルエンザについて承認されたヌクレオチド類似体であるファビピラビルが含まれる(Furuta et al., 2013)。
実際に、エボラウイルスに感染したマウスにおける2つの独立した研究の結果から、最近、感染の6日以内に150mg/kg ファビピラビル1日2回を開始することで急速なウイルス除去が誘導され、疾患重症度の生化学パラメーターを減少させ、生存率100%に導いたことが示された(Smither et al., 2014及びOestereich et al., 2014)。
発明の概要:
本発明は、エボラウイルス疾患の処置のための方法及び医薬組成物に関する。特に、本発明は、特許請求の範囲により定義される。
発明の詳細な説明:
本発明者らは、今回、ファビピラビル(T−705;6−フルオロ−3−ヒドロキシ−2−ピラジンカルボキサミド)が、ヒト対象において、特に低いウイルス量を有するエボラ感染対象において、有効な治癒的戦略を表すことを実証した。
したがって、本発明の第1の目的は、エボラウイルス疾患の処置を必要とする対象において該処置を行う方法であって、対象にファビピラビルの治療有効量を投与することを含む方法に関する。
本明細書に使用される用語「エボラウイルス」は、フィロウイルス科のメンバーを表し、ヒト及び非ヒト霊長類における高致死性出血熱の大発生と関連する。ヒト病原体には、エボラザイール、エボラスーダン、及びエボラアイボリーコーストが含まれる。エボラレストンはサル病原体であり、重大なヒト病原体と見なされていない。ウイルスの自然保有体は未知であり、現在、フィロウイルス感染症に対して利用可能なワクチン又は有効な治療的処置はない。エボラウイルスのゲノムは、約19kb長の一本鎖ネガティブセンスRNAからなる。このRNAは、感染時に8つのmRNAを産生する7つの連続的に配列した遺伝子を含む。エボラビリオンは、他のフィロウイルスのビリオンのように、7つのタンパク質、すなわち表面糖タンパク質(GP)、核タンパク質(NP)、4つのビリオン構造タンパク質(VP40、VP35、VP30、及びVP24)、及びRNA依存性RNAポリメラーゼ(L)を含む(Feldmann et al. (1992) Virus Res. 24, 1-19; Sanchez et al., (1993) Virus Res. 29, 215-240; Peters et al. (1996) In Fields Virology, Third ed. pp. 1161-1176. Fields et al. eds. Lippincott-Raven Publishersに総説)。エボラウイルス糖タンパク質は、2つのオープンリーディングフレームにコードされる点で珍しい。ビリオンに組み入れられる膜貫通型を発現するためには、転写編集が必要である(Sanchez et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 3602-3607; Volchkov et al, (1995) Virology 214, 421-430)。
本発明のいくつかの実施態様では、該エボラウイルスは、アイボリーコーストエボラウイルス(ICEBOV)、ザイールエボラウイルス(ZEBOV若しくはEBOV)、スーダンエボラウイルス(SEBOV)、又はエボラウイルスの新しい株若しくは種である。
以前はエボラ出血熱として公知であった、本明細書に使用される用語「エボラウイルス疾患」(EVD)は、重篤で、しばしば致命的なヒトの病気である。ウイルス感染から症状発生までの時間間隔である潜伏期間は、2〜21日である。ヒトは、症状を発現するまで感染性ではない。最初の症状は、熱疲労、筋痛、頭痛及び咽喉炎の突然の発生である。これに、嘔吐、下痢、発疹、腎及び肝機能障害の症状、並びに場合により、内出血及び外出血の両方(例えば歯肉からの滲出、血便)が続く。検査所見には、低い白血球数及び血小板数並びに上昇した肝酵素が含まれる。
本明細書に使用される用語「処置」又は「処置する」は、該疾患に罹患するリスクがある又は罹患した疑いのある対象だけでなく、病気である又は疾患若しくは病状を患っていると診断された対象の処置を含む、予防的又は防止的処置と、治癒的又は疾患修飾的処置との両方を表し、臨床的再発の抑制を含む。処置は、障害若しくは再発性の障害の1つ以上の症状を予防する、治癒する、発生を遅延させる、重篤度を低下させる、若しくは改善するために、又はそのような処置の不在下で予期されるものを超えて対象の生存を延長するために、医学的障害を有する対象又は最終的に障害を獲得し得る対象に施される場合がある。「治療方式」は、病気の処置パターン、例えば、治療の間に使用される投薬パターンを意味する。治療方式は、導入方式及び維持方式を含み得る。語句「導入方式」又は「導入期間」は、疾患の初回処置のために使用される治療方式(又は治療方式の部分)を表す。導入方式の一般的な目標は、処置方式の初期期間に対象に高レベルの薬物を提供することである。導入方式は、(部分的又は全体的に)「負荷方式」を採用する場合があり、負荷方式は、医師が維持方式の間に採用するよりも大きな用量の薬物を投与すること、医師が維持方式の間に薬物を投与するよりも頻繁に薬物を投与すること、又はその両方を含む場合がある。語句「維持方式」又は「維持期間」は、病気の処置の間に対象の維持のために、例えば対象を長期間(数ヶ月又は数年)寛解状態に保つために、使用される治療方式(又は治療方式の部分)を表す。維持方式は、連続療法(例えば、薬物を規則的な間隔で、例えば、毎週、毎月、毎年などに投与すること)又は間欠療法(例えば、中断処置、間欠処置、再発時処置、又は特定の所定の基準[例えば、疾患出現など])に達したときの処置を採用する場合がある。
いくつかの実施態様では、対象は、エボラに感染している、又は感染するリスクがある。診断は、任意の適切な手段により行われ得る。当業者は、本発明により処置されるべき対象が、標準的な検査を使用して同定される場合があり、又は試験なしに、1つ以上のリスク因子の存在(例えばエボラウイルスの曝露など)により高リスクの対象として同定された場合があることを理解している。いくつかの実施態様では、対象は、感染しているが、無症候性である(すなわち症状が検出されない)。いくつかの実施態様では、診断は、当業者が精通する任意の方法により対象から得られた試料中のエボラウイルス核酸を検出することにより行われる。そのような方法は、典型的にはエボラウイルス核酸の発現を検出することに基づく方法を含む。エボラウイルス核酸は、RNA試料中から好ましくは増幅後に検出され得る。例えば、単離されたRNAが、エボラウイルス核酸(例えば核タンパク質(NP)及び4つのビリオン構造タンパク質(VP40、VP35、VP30、及びVP24)をコードする核酸)に特異的な、特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、共役した逆転写及び増幅、例えばポリメラーゼ連鎖反応による逆転写及び増幅(RT−PCR)に供される場合がある。例えば、RT−PCRアッセイ法は、エボラウイルスの臨床的及び/又は疫学的基準(例えば、エボラに関連する臨床徴候及び症状、エボラウイルスの高度疑い例又は確定例との接触、エボラウイルス例が検出された地理的位置への旅行歴、又は公衆衛生調査の一環としてエボラウイルス検査が指示され得る他の疫学的接点)に合致する個体からの全血、血清、血漿、及び尿を含む臨床標本からのエボラウイルスRNAのインビトロ定性的検出のために意図される。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、i)対象から得られた試料中のウイルス量を決定するステップ、ii)ステップi)で決定されたウイルス量を所定の参照値と比較するステップ、及びiii)ステップi)で決定されたウイルス量が所定の参照値よりも低い場合に対象にファビピラビルの治療有効量を投与するステップを含む。
本明細書に使用される用語「試料」は、インビトロ評価のために得られた生物学的試料を表す。本発明の方法では、試料は、対象から得られた任意の体液を含み得る。いくつかの実施態様では、試料は、末梢血、臍帯血、尿、脳脊髄液、唾液、及びリンパ液などの体液である。本発明による方法に使用されるべき典型的な生物学的試料は、血液試料(例えば全血試料、血清試料、又は血漿試料)である。生物学的試料は、使用前に、場合により前処理又は加工することができる。前処理ステップの例には、安定化剤、保存料、定着剤(fixant)、溶解試薬、希釈剤、抗アポトーシス試薬、緩衝化試薬、浸透圧調節試薬、pH調節試薬、及び/又は架橋試薬などの試薬の添加が含まれる。したがって、本明細書における方法及びシステムのいずれかで、試料が得られた時間から1週間、6日、5日、4日、3日、2日、1日、12時間、6時間、3時間、2時間、又は1時間以内に試料を分析することができる。いくつかの実施態様では、RNAは、試料から抽出される。試料からRNAを単離するための従来の方法及び試薬は、Trizol(Invitrogen)、チオシアン酸グアニジン−フェノール−クロロホルム抽出、PureLink(商標)miRNA単離キット(Invitrogen)、PureLink Micro-to-Midi Total RNA Purification System(invitrogen)、RNeasyキット(Qiagen)、Oligotexキット(Qiagen)、フェノール抽出、フェノール−クロロホルム抽出、TCA/アセトン沈殿、エタノール沈殿、カラム精製、シリカゲルメンブラン精製、PureYield(商標)RNA Midiprep(Promega)、PolyATtract System 1000(Promega)、Maxwell(登録商標)16 System(Promega)、SV Total RNA Isolation(Promega)、geneMAG-RNA/DNAキット(Chemicell)、TRI Reagent(登録商標)(Ambion)、RNAqueous Kit(Ambion)、ToTALLY RNA(商標)Kit(Ambion)、Poly(A)Purist(商標)Kit(Ambion)及び当業者に公知の、市販されている又は市販されていない、任意の他の方法を含む。
本明細書に使用される用語「ウイルス量」は、対象から得られる試料中に存在するエボラウイルス粒子の量を表す。「ウイルス量」は、感染性、複製的及び非感染性の全てのエボラウイルス粒子並びにそれらのフラグメントを包含する。したがって、ウイルス量は、生物学的液体中を循環しているそのウイルス粒子の総数を表す。したがって、ウイルス量は、試料1単位あたりのウイルスコピー数、試料1単位あたりのウイルスタンパク質若しくはそのフラグメントの単位、又は試料1単位あたりのウイルスRNAのコピーなどの、エボラウイルスの存在の多様な指標のうちのいずれかの大きさであることができる。いくつかの実施態様では、エボラウイルス量は、例えば免疫化学技法又はインサイツハイブリダイゼーション及びRT−PCRなどの核酸に基づく技法を使用して、タンパク質又は核酸レベルで決定される。いくつかの実施態様では、ウイルス量は、例えばウイルスタンパク質に対する抗体を使用してタンパク質レベルで決定される。これらの抗体は、ELISA又はマルチプレックス技法などの様々な方法に使用される。いくつかの実施態様では、エボラウイルス量は、核酸レベルで、特にRNAレベルで決定される。RNA(例えばmRNA)の量を決定するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、生物学的試料中に含有される核酸は、標準的な方法に従って、例えば溶解酵素若しくは化学溶液を使用して最初に抽出される、又は製造業者の説明書に従って核酸結合樹脂により抽出される。次に、抽出されたmRNAは、ハイブリダイゼーション(例えばノーザンブロット分析)及び/又は増幅(例えばRT−PCR)により検出される。定量又は半定量RT−PCRが好ましい。リアルタイム定量又は半定量RT−PCRが特に有利である。少なくとも10個のヌクレオチドを有し、かつ本明細書において関心対象のmRNA配列と相補性又は相同性を示している核酸は、ハイブリダイゼーションプローブとしての有用性を見出す。そのような核酸は、同一である必要はないが、典型的には匹敵するサイズの相同領域と少なくとも約80%同一であり、より好ましくは85%同一であり、なおより好ましくは90〜95%同一であることが理解されている。プローブは、典型的には、10から1000ヌクレオチド長の間、例えば10から800の間、より好ましくは15から700の間、典型的には20から500の間の一本鎖核酸を含む。プローブ及びプライマーは、それらがハイブリダイズする核酸に「特異的」であり、すなわちそれらは、好ましくは、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件(より高い融解温度Tm、例えば50%ホルムアミド、5×又は6×SCCに対応する)でハイブリダイズする。SCCは、0.15M NaCl、0.015M クエン酸Naである)。本発明に関連して、「ハイブリダイゼーション」は、ヌクレオチドプローブと、ヌクレオチドプローブの検出により明らかにされると予想される標的領域との密接な相互作用を得るという事実に関係する。そのような相互作用は、ヌクレオチドプローブと標的配列との間の水素結合の形成により達成することができ、水素結合は、塩基対形成が可能な相補的ヌクレオチド分子間の相互作用に典型的である。水素結合は、例えば、DNAの2つの相補鎖のアニーリングから見出すことができる。ハイブリダイゼーションを検出するための検出可能な標識などの適切な手段と組み合わせて核酸を使用することが有利である。蛍光リガンド、放射性リガンド、酵素リガンド又は他のリガンドを含む多様な適切な指示薬が、当技術分野において公知である。リアルタイムPCRアッセイ法では、陽性反応が蛍光シグナルの蓄積により検出される。CT(サイクル閾値)は、蛍光シグナルが閾値と交差する(すなわちバックグラウンドレベルを超える)ために必要なサイクル数として定義される。CTレベルは、試料中の標的核酸の量に逆比例する(すなわち、CTレベルが低いほど、試料中の標的核酸の量は大きい)。したがって、本発明のいくつかの実施態様では、対象から得られた試料中のウイルス量は、CT(サイクル閾値)により決定される。
いくつかの実施態様では、RT−PCRは、Altona Diagnostics GmbH(Moerkenstr. 12, 22767 Hamburg, Germany)から市販されているRealStar(登録商標)エボラウイルスRT−PCRキット1.01キットを用いて行われ、本キットは、エボラウイルス感染症の徴候及び症状を疫学的リスク因子と共に有する個体由来のEDTA血漿標本において、特定の機器を用いてエボラウイルス(2014年の西アフリカ大発生で検出されたザイールエボラウイルスを含む)由来のRNAを推定的に検出するために適切である。この検査は、RNAを相補的DNA(cDNA)に変換するための逆転写酵素(RT)反応、特定の標的配列を増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び増幅されたDNAの検出のための標的特異的プローブを利用するリアルタイムRT−PCR技法に基づく。プローブは、蛍光レポーター色素及びクエンチャー色素で標識される。エボラウイルスRNAに特異的なプローブは、フルオロホアFAMで標識される。内部対照(IC)の標的に特異的なプローブは、フルオロホアJOEで標識される。識別可能な色素に連結したプローブを使用して、リアルタイムPCR機器の対応する検出器チャネルでエボラウイルス特異的RNA及び内部対照の平行した検出が可能になる。RealStar(登録商標)エボラウイルスRT−PCRキット1.0は、2つのマスター試薬(マスターA及びマスターB);テンプレート内部対照(IC);陽性対照の標的エボラ;及びPCRグレードの水からなる。マスターA試薬及びマスターB試薬は、逆転写、PCR介在性増幅及び標的検出(エボラウイルス特異的RNA及び内部対照)を1つの反応セットアップで可能にする全ての成分(緩衝液、酵素、プライマー、及びプローブ)を含有する。内部対照は、任意の他の公知の配列と相同性を有さない、所定のコピー数の「人工」RNA分子を含有する。内部対照は、核酸抽出手順に追加しなければならず、エボラウイルス特異的RNAと平行して逆転写、増幅及び検出される。内部対照の機能は、RT−PCRの潜在的な阻害を示すことにより、エボラウイルス特異的リアルタイムRTPCRの完全性を保証することである。PCRグレードの水が、RT−PCR反応についての陰性対照として使用されるべきである。陰性対照の機能は、RT−PCR試薬の混入を示すことである。「陽性対照標的エボラ」は、エボラウイルス特異的RNAの検出のためのRealStar(登録商標)エボラウイルスRT−PCRキット1.0により使用される標的配列を含むインビトロ転写物からなる。「陽性対照標的エボラ」は、RT−PCRについての陽性対照として使用され、RealStar(登録商標)エボラウイルスRT−PCRキット1.0内に含まれるエボラウイルスRNA特異的RT−PCR検出システムの機能性を検証する。典型的には、ワークフローは、対象からEDTA全血を採取することで開始する。細胞物質の分離及び検査を行うために必要な装置は、典型的には、ABI Prism(登録商標)7500 SDS(Applied Biosystems, Cat No. 4351104)、ABI Prism(登録商標)7500 Fast SDS(Applied Biosystems, Cat No. 4351106, LightCycler(登録商標)480 Instrument II(Roche, Cat No. 05015278001)、CFX96(商標)システム/Dxリアルタイムシステム(BIO-RAD, Cat. No. 185-5195);QIAamp(登録商標)Viral RNA Mini Kit(QIAGEN, Cat. No. 52906又は52904)などの適切な核酸抽出システム又はキット、2ml反応チューブ用のローターを備える卓上型遠心分離機(Eppendorf 5415C又は同等物);96ウェル反応プレートを使用する場合、マイクロタイタープレート用ローターを備える遠心分離機;ボルテックス撹拌機(VWR 58810-163又は同等物);対応する(光学的)閉塞材を有する適切な96ウェル反応プレート又は反応チューブ;Life Technologies(Cat. No 4387936)のヌクレアーゼ不含水(DEPC処理せず)又は同等物などの適切なリアルタイムPCR機器を必要とした。
本明細書に使用される用語「所定の参照値」は、一般的集団又は選択された対象集団から得られた試料中のウイルス量を表す。典型的には、所定の参照値は、閾値又はカットオフ値である。「閾値」又は「カットオフ値」は、実験的、経験的、又は理論的に決定することができる。閾値は、また、当業者に認識されているように、既存の実験条件及び/又は臨床状態に基づき任意に選択することができる。いくつかの実施態様では、閾値は、検査の機能及びベネフィット/リスクバランス(偽陽性及び偽陰性の臨床的帰結)に応じて最適な感度及び特異度を得るために決定されなければならない。典型的には、最適な感度及び特異度(及び閾値も)は、実験データに基づく受信者動作特性(Receiver Operating Characteristic)(ROC)曲線を使用して決定することができる。例えば、参照群におけるウイルス量を決定した後、被験試料から決定された発現レベルの統計処理のためにアルゴリズム解析を使用することで、試料の分類について有意性を有する分類標準を得ることができる。ROC曲線の正式名称は、受信者動作特性曲線(receiver operation characteristic)としても公知の受信者動作特性(receiver operator characteristic)曲線である。これは、臨床的生化学診断検査のために主に使用される。ROC曲線は、真の陽性率(感度)及び偽陽性率(1−特異度)という連続変数を反映する総合指標である。それは、画像合成方法を用いて感度と特異度との間の関係を明らかにする。一連の異なるカットオフ値(閾値又は臨界値、診断検査の正常結果と異常結果との間の境界値)を連続変数として設定して、一連の感度の値及び特異度の値を計算する。次に、感度を垂直座標として使用し、特異度を水平座標として使用して曲線を描く。曲線下面積(AUC)が大きいほど、診断精度は高い。ROC曲線上で座標図の左上端に最も近い点が、高感度値及び高特異度値を併せもつ臨界点である。ROC曲線のAUC値は、1.0から0.5の間である。AUCが>0.5の場合、AUCが1に近づくほど診断結果がますます良好になる。AUCが0.5から0.7の間の場合、精度は低い。AUCが0.7から0.9の間の場合、精度は中等度である。AUCが0.9よりも高い場合、精度は極めて高い。このアルゴリズム法は、好ましくはコンピューターを用いて行われる。MedCalc 9.2.0.1医学統計ソフトウェア、SPSS 9.0、ROCPOWER.SAS、DESIGNROC.FOR、MULTIREADER POWER.SAS、CREATE-ROC.SAS、GB STAT VI0.0(Dynamic Microsystems, Inc. Silver Spring, Md., USA)などの、当技術分野における既存のソフトウェア又はシステムが、ROC曲線の描出のために使用され得る。いくつかの実施態様では、所定の参照値は、対象が処置(すなわちファビピラビル)により応答を達成するウイルス量と相関する。特に、対象が生存する(例えば対象が治癒する)場合、対象が処置により応答を達成すると考えられ、対象が生存しない(すなわち死亡する)場合、対象は応答を達成しないと考えられる。いくつかの実施態様では、所定の参照値は、典型的には:
a)エボラウイルス疾患を患い、かつファビピラビルを投与された対象からの血液試料の収集物を提供するステップ;
b)ステップa)で提供された各血液試料について、対応する対象についての実際の臨床アウトカム(すなわち無病生存期間(DFS)及び/又は全生存期間(OS))に関する情報を提供するステップ;
c)任意の一連の定量値を提供するステップ;
d)ステップa)で提供された収集物中に含まれる各血液試料についてウイルス量を決定するステップ;
e)該血液試料を、ステップc)で提供された1つの特定の任意の定量値に対して2つの群、すなわち(i)該一連の定量値に含まれる該任意の定量値よりも低いレベルの定量値を示す血液試料を含む第1の群;(ii)該一連の定量値に含まれる該任意の定量値よりも高いレベルの定量値を示す血液試料を含む第2の群にそれぞれ分類するステップであって;血液試料の2つの群が、該特定の定量値について得られ、各群の血液試料が、別々に計数されるステップ;
f)(i)ステップe)で得られた定量値と、(ii)ステップf)で定義される第1の群及び第2の群に含まれる血液試料が得られた対象の実際の臨床アウトカムとの間の統計的有意性を計算するステップ;
g)ステップd)で提供されたあらゆる任意の定量値が検定されるまで、ステップf)及びステップg)を反復するステップ;
h)ステップg)で最高の統計的有意性(最も有意)が計算された任意の定量値からなるような該所定の参照値を設定するステップ
を含む方法を行うことによって決定される。
例えば、ウイルス量は、対象100人の血液試料100個について評価されている。100個の試料が、決定されたウイルス量に応じて順位付けされる。試料1は、最高レベルを有し、試料100は、最低レベルを有する。最初の群分けは、2つのサブセット、すなわち片側に試料1番、もう片側にその他の99個の試料を提供する。次の群分け、すなわち片側に試料1及び2、もう片側に98個の残りの試料から最後の群分け、すなわち片側に試料1〜99、もう片側に試料100番までを提供する。対応する対象についての実際の臨床アウトカムに関する情報に従って、2つのサブセットの99個の群のそれぞれについてカプラン・マイヤー曲線を準備する。99個の群のそれぞれについて両方のサブセットの間のp値も計算した。次に、最小のp値が最も強いという判断基準に基づく判別などの、所定の参照値が選択される。言い換えると、p値が最小である両方のサブセットの間の境界に対応するウイルス量は、所定の参照値として見なされる。所定の参照値が、必ずしもウイルスRNAのレベルの中央値でないことに留意すべきである。したがって、いくつかの実施態様では、所定の参照値は、このように対象のDFS及びOSに関する予後不良と予後良好との間の判別を可能にする。事実上、高い統計的有意性の値(例えば低いP値)は、一般的に単一の任意の定量値についてだけでなく、連続する任意の定量値の範囲について得られる。したがって、本発明の代替的な一実施態様では、確定した所定の参照値を使用する代わりに、値の範囲が提供される。したがって、最小の統計的有意性の値(最小の有意性閾値、例えば最大の閾値のP値)は、任意に設定され、ステップg)で計算された統計的有意性の値がより高い(より大きな有意性、例えばより低いP値)複数の任意の定量値の範囲が保たれることにより、一連の定量値が提供される。定量値のこの範囲は、上記のような「カットオフ」値を含む。例えば、「カットオフ」値のこの特異的な実施態様により、ウイルス量を、特定された値の範囲と比較することによって、アウトカムを決定することができる。いくつかの実施態様では、カットオフ値は、このように、例えば最高の統計的有意性の値が見出された定量値を中心とする定量値の範囲からなる(例えば一般的に見出された最小のp値)。例えば、仮定上の尺度1〜10に関して理想的なカットオフ値(最高の統計的有意性を有する値)が5ならば、適切な(例示的な)範囲は、4〜6であり得る。したがって、ウイルス量を測定することにより得られた値を比較することにより対象が評価される場合があり、その際、5未満の値は、対象に薬物を投与できる(すなわち、対象はファビピラビルで応答を達成する)ことを明らかにし、5よりも高い値は、対象に薬物を投与することができないことを明らかにする。いくつかの実施態様では、対象は、ウイルス量を測定することにより得られた値を比較すること及びスケールで値を比較することにより評価され得、スケールでは、範囲4〜6未満の値は、対象に薬物を投与できる(すなわち、対象はファビピラビルで応答を達成する)ことを示し、範囲4〜6を超える値は、対象に薬物を投与できない(すなわち対象はファビピラビルで応答を達成しない)ことを示す。
いくつかの実施態様では、ウイルス量が、RT−PCTにより、特にRealStar(登録商標)エボラウイルスRT−PCRキット1.01キットを用いて決定される場合、所定の値は、CT(サイクル閾値)が20のウイルスRNAのレベルである。したがって、ウイルスRNAのレベルがこの所定の値よりも低い(すなわちCT値が20よりも高い)場合、対象にファビピラビルの治療有効量が投与され、ウイルスRNAのレベルがこの所定の値よりも高い(すなわちCT値が20よりも低い)場合、対象にファビピラビルの治療有効量は投与されない。
対象がファビピラビルで処置されない場合、対象は、早期に使用した場合に生存の機会を有意に好転することができる基本的介入に従うことができる。そのような基本的介入は、静脈内輸液(IV)及びバランス電解質(身体塩類(body salts))を提供すること、酸素の状況及び血圧を維持すること、並びに他の感染症が発生したならばそれを処置することを含む。
本明細書に使用される用語「ファビピラビル」は、ウイルス感染疾患、特にインフルエンザウイルス感染疾患の予防及び治療に有用な化合物である6−フルオロ−3−ヒドロキシ−2−ピラジンカルボキサミド(T−705としても公知)を表す。ファビピラビルは、日本において新興又は再興インフルエンザについて承認されたヌクレオチド類似体である(Furuta et al., 2013)。該化合物及び該化合物を得るための方法は、欧州特許EP1112743B1に広く記載されている。欧州特許EP2407166B1は、多量の6−フルオロ−3−ヒドロキシ−2−ピラジンカルボキサミド又はその塩を含有する錠剤であって、優れた放出特性を有する錠剤を記載している。
いくつかの実施態様では、ファビピラビル塩、好ましくは有機アミン塩が投与される。用語「有機アミン」は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン及びN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどの第3級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジベンジルアミン、N−ベンジルメチルアミン及びジシクロヘキシルアミンなどの第2級アミン;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン及びアニリンなどの第1級アミン;並びにピリジンなどを表す。
ファビピラビルの「治療有効量」は、エボラウイルス疾患を、任意の医学的処置に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比で処置するために十分なファビピラビルの量を意味する。しかし、ファビピラビルの合計1日使用量は、担当の医師により健全な医学的判断の範囲内で決定されることが理解されている。任意の特定の対象に特異的な治療有効用量のレベルは、処置される障害及び障害の重篤度;採用された特定の抗体の活性;採用された特定の組成物、対象の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食事;投与時間、投与経路、及び採用された特定の抗体の排泄速度;処置の持続時間;ファビピラビルと組み合わせて又は同時に使用された薬物;並びに医術において周知の同様の要因を含む多様な要因に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するために必要な用量よりも低いレベルで化合物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させることが当業者の技能の範囲内であることが周知である。通常、1日あたりファビピラビル10〜5,000mg又は好ましくは200〜2,400mgが成人に1回又は数回に分割して投与され得る。ファビピラビルは、所望の応答が達成されるまで複数回の投薬又は単回で投与され得る。処置は、典型的には監視され、必要に応じて繰り返し投薬を施すことができる。ファビピラビルは、確立された投薬方式に従って投与され得る。いくつかの実施態様では、ファビピラビル6,000mgが1日目に(実施例記載のように3回で)投与され、ファビピラビル1,200mgが、それに続く連続する9日に投与される。
典型的には、ファビピラビルは、医薬組成物の形態で投与される。有効成分である経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所又は直腸投与用のファビピラビルを単独で又は別の有効成分と組み合わせて含む医薬組成物は、従来の医薬担体との混合物として単位投薬形態で動物及びヒトに投与することができる。いくつかの実施態様では、ファビピラビルは経口投与される。適切な単位投与形態は、錠剤、ゲルカプセル剤、散剤、顆粒剤及び経口懸濁剤又は液剤などの経口経路形態、舌下及び口内投与形態、エアロゾル、植込剤、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、真皮下、経皮、髄腔内及び鼻腔内投与形態並びに直腸投与形態を含む。いくつかの実施態様ではファビピラビルは、錠剤の形態で投与される。
本発明を以下の図面及び実施例によりさらに説明する。しかし、これらの実施例及び図面は、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
対象及び>6歳の小児におけるファビピラビルを用いた処置の最初の4日間のRT−PCRのCT値の漸進的変化を示す図である。JIKI試験(N=69)。 クレアチニン値とRT−PCRのCT値との間の相関関係を示す図である;成人及び年齢>6歳の小児。JIKI試験(N=60)。 生存率の予測におけるCT基準の値を示す図である。
実施例:JIKI試験 − ギニアにおけるエボラウイルス疾患の個体における死亡率減少に果たすファビピラビルの有効性
材料及び方法
詳細な説明:
本研究者らは、エボラウイルス疾患(EVD)の対象において非比較概念実証第II相試験を実施した。この第II相試験の目的は、EVDのヒトにおいて高用量のファビピラビルが死亡率を減少させる有効性を評価することであった。副次的目的は、処置下でのEBOVの血漿RNA及び感染量の漸進的変化;ファビピラビルの忍容性;EBOVのウイルスの微小多様性、ファビピラビルのトラフ濃度並びに死亡率及び毒性に関連する要因を評価することであった。試験依頼者はINSERMであった。国際的な調整、監視及びデータ管理センターは、ボルドー大学のInserm 897ユニット及びアビジャンの「Pacci/ANRS」研究施設に所属するメンバーを有する国際チームである「Mereva」臨床試験ユニット(CTU)であった。試験の調整、監視及びデータ管理活動は、国際臨床プロジェクト管理者(CPM)が調整した。試験が行われたギニアでは、国内試験調整センター(CCC)が設置され、CCCは、国際CPM及び参加している臨床センターと緊密に共同して作業した国内CPMによって指揮された。試験は、標準操作手順書(SOP)マニュアルにより実施及び監視される。
本研究者は、年齢及び症状の持続期間に応じて以下の群を計画した:群A1:最初の症状と最初のファビピラビル投薬との間の時間が≦72hの成人;群A2:最初の症状と最初のファビピラビル投薬との間の時間が>72hの成人及び群C:>1歳で体重≧10kgの全ての小児。最初の症状の時間は、EVDに関係すると考えられる任意の症状が開始する時間を表す。考慮されるべき症状は:急な発熱、激しい頭痛、筋肉痛、極度の疲労、嘔吐、下痢、腹痛、又は原因不明の出血であった。DSMBによって早期終了が推奨されない限り、群A1が参加者60人に達するまで、全ての群において試験の募集を制限しないままとした。Gueckedou EVDセンターでのMSFベースの3ヶ月のデータ(2014年8月15日〜2014年11月15日)を使用して、観測される試験前死亡率を推定した。それらの推定から考えて、実際的及び保守的であることを保つために、本発明者らは、群A1、A2、Cについて試験前死亡率を55%に設定した。群A1における参加者が60人であるので、試験における死亡率が試験前死亡率よりも−20%であったと結論する検出力は、89%と等しかった。主要評価項目についての統計解析:14日目までの死亡率を、全体的に及び各群において別々に報告した。0日目は、ファビピラビルの初回投薬日である。群A1において、死亡数が参加者60人中<24人(40%)ならば、95%CIの上限は<55%であった。群A2において、死亡数が、参加者120人中<54人(45%)ならば、95%CIの上限は<55%であった。群Cにおいて、死亡数が参加者45人中<17人(38%)ならば、95%CIの上限は<55%である。各群において、本研究者は、試験開始前に同じ症状の持続期間を有する未処置対象において95%CIの上限が観測された試験前死亡率を含まないならば、ファビピラビルが死亡率を減少させると結論する。
各対象において、0日目と経過観察期間の終了時の間のEBOVの血漿RNA及び感染量の漸進的変化を記載した。グレード3〜4の有害事象、耐性変異及び30日目に治癒基準に到達している対象について、人数、比率及び正確な95% CIを記載した。初期ウイルス量及び最大ウイルス量の分布(中央値、IQR、最小−最大)、最大ウイルス量及び検出不能までの時間並びに増加/減少率を報告した。各点でのファビピラビルのトラフ濃度の分布並びに濃度の対象間及び対象内変動を記載した。14日目までの死亡、30日目での治癒及び/又はグレード3〜4の臨床的若しくは生物学的有害事象に関連する要因(最初の症状から処置開始までの時間、EBOVウイルス量の漸進的変化、ファビピラビルのトラフ濃度を含む)を検討した。
ファビピラビルを経口投与した:経口投与、淡黄色の分割可能な200mg丸型コーティング錠。本錠剤を粉砕して液体と混合することができる。
割り当てられた介入:
薬物:ファビピラビル
群A1:0日目(エントリー)、h0:2400mg;h8:2400mg;h16:1200mg。1日目〜9日目:1日2回1200mg。
群A2:0日目(エントリー)、h0:2400mg;h8:2400mg;h16:1200mg。1日目〜9日目:1日2回1200mg。
群C:1日投薬量を体重に合わせた。
別名:AVIGAN
適格性:
適格基準:
・年齢>1歳及び体重≧10kg、
・定性的PCR検査陽性により確定されたEVD、
・インフォームドコンセントに署名(未成年者対象の場合は、親/成人保護者による署名)。
不適格の基準:
・妊娠
・薬物を服用できない(脳症、重度の嘔吐)。試験外で妊娠女性へのファビピラビルの緊急使用が予想されており、評価段階にある。
このプロトコールでは、研究者らは、年齢及び症状の持続期間に応じて以下の群を参照する**
・群A1:最初の症状からファビピラビルの最初の投薬までの時間が≦72hの成人;
・群A2:最初の症状からファビピラビルの最初の投薬までの時間が>72hの成人;
・群C:>1歳で体重≧10kgの全ての小児。最初の症状の時間は、EVDに関係すると考えられる任意の症状の開始時間を表す。
**考慮されるべき症状は:急な発熱、激しい頭痛、筋肉痛、極度の疲労、嘔吐、下痢、腹痛、又は原因不明の出血であった。
群分けは分析に関する問題であり、試験プロセスの間に対象は認知できない。3群の対象は、同じ処置を受け、同じ手順に従い、例外は:追加的な血液試料収集回数が、群A1(n=3)よりも群A2及びC(n=2)の方が低く、群Cでは1日投薬量を体重に合わせたことの2つだけであった。
結果
結果を図1〜3及び表1〜3に示す。結果は、処置に対する応答が初期ウイルス量に依存することを明白に示している。
エボラウイルス疾患の患者におけるファビピラビル:ギニアにおけるJIKI試験の初期結果
背景:JIKI試験(Inserm C1463)は、高用量ファビピラビルがエボラウイルス疾患(EVD)の患者における死亡率を低下させ、エボラウイルス(EBOV)のウイルス量を減少させる利点を評価する。
方法:JIKIは、ギニアにおいてMSF及びALIMAにより運営される2つのエボラ処置ユニットにおいて行われた第II相試験である。適格基準は:EBOVのRT−PCR陽性(Altona、陽性についての交差サイクル閾値[CT]<40)、年齢≧1歳、経口薬を服用できること、及びインフォームドコンセントである。参加者は、経口ファビピラビルを処方される(成人:0日目[D]に6000mg[H0 2400mg、H8 2400mg、H16 1200mg]、次にD1〜9に1200mg)。主要評価項目は死亡率である。参加者間の死亡率を、MSF/EMLabデータベースに記録された同じセンターにおける試験開始前3ヶ月間の死亡率と比較する。1月22日に、DSMBは、研究者が成人及び青少年の最初の69人に関するデータを発表することを推奨した。
結果:2014年12月17日〜2015年1月20日に、成人及び≧14歳の青少年69人を含む患者80人(女性64%、平均年齢38歳、病気の持続期間の中央値5日)がファビピラビルの投与を受けた。ベースラインのCT(BCT)は、42%で<20及び58%で≧20であり;ベースラインのクレアチニンは、27%で≧300/μM(BCT<20:43%;BCT≧20:10%)を含む、60%で≧110μM/Lであり(BCT<20:79%;BCT≧20:36%);ベースラインのASATレベルは、38%で≧1000IU(BCT<20:77%;BCT>20:17%)であり;ベースラインのクレアチンキナーゼレベルは、18%で≧4000IU(BCT<20:24%;BCT≧20:8%)であった。図1に、ベースライン(D0)並びに処置開始後D2及びD4でのPCRのCT値を示す。全体的に見て、参加者の48%が死亡した(BCT<20:85%;BCT≧20:15%)。試験前死亡率は、全体で58%(p=0.15)であり、BCT<20の患者で85%(p=0.26)、BCT≧20の患者で30%であった(p=0.05)。死亡率は、異常なベースラインクレアチニン値及びBCT<20又は≧20の患者でそれぞれ100%及び7%であった。薬物は忍容性良好であった。ウイルス定量及びPK検査の結果は、今後入手可能になる。
結論:この非比較概念実証試験において、CT<20の大部分の患者は、重度の腎不全を有して死亡したので、ファビピラビルの単剤療法が生存率を改善したことが示されなかった。CT≧20の患者は、同じ設定での試験前の数字と比べて低い死亡率を有した。これらの予備的データは、疾患経過初期の患者を特定することに特に注意してファビピラビルの検査を継続すること、及び進行期に受診する患者における併用を含む他の治療選択肢を探索することを促すものである。
参考文献:
本出願にわたり、様々な参考文献が、本発明が属する技術の現状を記載している。これにより、これらの参考文献の開示は、参照により本開示に組み入れられる。

Claims (5)

  1. 対象にファビピラビルの治療有効量を投与することを含む、その必要のある対象におけるエボラウイルス疾患を処置する方法。
  2. エボラウイルスが、アイボリーコーストエボラウイルス(ICEBOV)、ザイールエボラウイルス(ZEBOV若しくはEBOV)、スーダンエボラウイルス(SEBOV)、又はエボラウイルスの新しい株若しくは種である、請求項1記載の方法。
  3. i)対象から得られた試料中のウイルス量を決定するステップ、ii)ステップi)で決定されたウイルス量を、所定の参照値と比較するステップ、及びiii)ステップi)で決定されたウイルス量が所定の参照値よりも低い場合、対象にファビピラビルの治療有効量を投与するステップを含む、請求項1記載の方法。
  4. 試料が血液試料である、請求項3記載の方法。
  5. ウイルス量がRT−PCRにより決定される、請求項3又は4記載の方法。
JP2017540652A 2015-01-28 2016-01-27 エボラウイルス疾患の処置のための方法及び医薬組成物 Pending JP2018505183A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
IB2015000334 2015-01-28
IBPCT/IB2015/000334 2015-01-28
IB2015000351 2015-02-19
IBPCT/IB2015/000351 2015-02-19
PCT/EP2016/051645 WO2016120301A1 (en) 2015-01-28 2016-01-27 Methods and pharmaceutical compositions for the treatment of ebola virus disease

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018505183A true JP2018505183A (ja) 2018-02-22
JP2018505183A5 JP2018505183A5 (ja) 2018-12-20

Family

ID=55272459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017540652A Pending JP2018505183A (ja) 2015-01-28 2016-01-27 エボラウイルス疾患の処置のための方法及び医薬組成物

Country Status (4)

Country Link
US (1) US10098879B2 (ja)
EP (1) EP3250206A1 (ja)
JP (1) JP2018505183A (ja)
WO (1) WO2016120301A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021242134A1 (ru) * 2020-05-23 2021-12-02 Общество с ограниченной ответственностью "Кромис" (ООО "Кромис") Способ лечения рнк вирусных инфекций, в том числе covid-19 (sars-cov-2)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1154493C (zh) 1998-08-20 2004-06-23 富山化学工业株式会社 含氮杂环羧酰胺衍生物或其盐以及含有二者的抗病毒药
SI2407166T1 (sl) 2009-03-13 2013-12-31 Toyama Chemical Co., Ltd. Tableta in granuliran praĺ ek, vsebujoäśa 6-fluoro-3-hidroksi-2-pirazinkarboksamid

Also Published As

Publication number Publication date
EP3250206A1 (en) 2017-12-06
WO2016120301A1 (en) 2016-08-04
US10098879B2 (en) 2018-10-16
US20180021333A1 (en) 2018-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9556487B2 (en) Methods of using miRNA from bodily fluids for early detection and monitoring of mild cognitive impairment (MCI) and alzheimer's disease (AD)
Huang et al. Identification of potential diagnostic biomarkers for pneumonia caused by adenovirus infection in children by screening serum exosomal microRNAs
Cilloniz et al. Functional genomics reveals the induction of inflammatory response and metalloproteinase gene expression during lethal Ebola virus infection
Banerjee et al. RNA-Seq analysis of peripheral blood mononuclear cells reveals unique transcriptional signatures associated with disease progression in dengue patients
Ibrahim et al. Inflammatory gene networks in term human decidual cells define a potential signature for cytokine-mediated parturition
CA2883220A1 (en) Controls for nucleic acid assays
Li et al. MicroRNA-218 alleviates sepsis inflammation by negatively regulating VOPP1 via JAK/STAT pathway.
US20220298574A1 (en) Blood biomarkers for appendicitis and diagnostics methods using biomarkers
Oyesola et al. Exposure to lung-migrating helminth protects against murine SARS-CoV-2 infection through macrophage-dependent T cell activation
Trehanpati et al. miRNA signatures can predict acute liver failure in hepatitis E infected pregnant females
US20170240969A1 (en) A circulating non-coding rna as predictor of mortality in patients with acute kidney injury
US10098879B2 (en) Methods and pharmaceutical compositions for the treatment of ebola virus disease
Drake et al. Multi-omic profiling reveals early immunological indicators for identifying COVID-19 Progressors
Pan Development of diagnostic methods using cell-free nucleic acids
WO2015066640A1 (en) Kit and method for identifying individual responsiveness to steroid therapy of nephrotic syndrome
US20130029334A1 (en) mRNA As Biomarkers For Liver Injury or Other Liver Perturbations
Othumpangat et al. Differential Expression of Serum Exosome microRNAs and Cytokines in Influenza A and B Patients Collected in the 2016 and 2017 Influenza Seasons. Pathogens. 2021; 10 (2)
CN112608995B (zh) 一种肺结核病特异性标志物及应用和试剂盒
EP4043587A1 (en) Diagnostic micro-rna kit for the evaluation of the inflammatory activity of periodontitis in patients with rheumatoid arthritis
CA3139919A1 (en) Microrna regulatory network as biomarkers of seizure in patients with spontaneous intracerebral hemorrhage
Rickett Determinants of patient survival following acute Ebola virus infection
Lazo Validating diagnostic markers that may predict the outcome of Ebola virus disease patients
US20170218466A1 (en) Detection of circulating jc polyomavirus (jcpyv) micrornas as biomarker for jcpyv infection
Marta et al. SARS-CoV-2 disrupts host gene networks: unveiling key hub genes as potential therapeutic targets for COVID-19 management
CA3220934A1 (en) Biomarkers and methods for classifying subjects following viral exposure

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181107

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181107

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190207

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20190207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190723

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200303