本開示は、癌の治療のための新たな併用療法を提供する。具体的には、本開示は、癌を患っている対象の治療方法を提供し、本方法は、対象に、(i)活性剤としてRaf阻害剤またはその薬学的に許容される塩を含む第1の組成物と、(ii)活性剤としてタキサンまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の組成物とを投与することを含み、該活性剤の量は、それらの組み合わせが癌の治療において治療的に有効であるものである。
本明細書で使用される用語は、別途示されない限り、以下の定義された意味が与えられる。
本明細書で使用される場合、「Rafキナーゼ」という用語は、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼのファミリーのうちのいずれか1つを指す。本ファミリーは、3つのアイソフォームメンバー(B−Raf、C−Raf(Raf−1)、及びA−Raf)で構成される。Rafタンパク質キナーゼは、細胞外シグナルを核へと中継して、遺伝子発現及び主要な細胞機能を調節するキナーゼカスケードで構成されるMAPKシグナル伝達経路に関与する。文脈によって別途示されない限り、「Rafキナーゼ」という用語は、非限定的に含む任意の種からの任意のRafキナーゼタンパク質を指すことを意図される。一態様では、RafキナーゼはヒトRafキナーゼである。
「Raf阻害剤」または「Rafの阻害剤」という用語は、変異形態を含むセリン/トレオニンタンパク質キナーゼRafの1つ以上のアイソフォームメンバー(B−Raf、C−Raf(Raf−1)、及び/またはA−Raf)と相互作用することができる化合物を表すように使用される。Raf変異形態の一部の例には、B−Raf V600E、B−Raf V600D、B−Raf V600K、B−Raf V600E+T5291、及び/またはB−Raf V600E+G468Aが挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、一部の実施形態では、Rafキナーゼは、少なくとも約50%阻害、少なくとも約75%阻害、少なくとも約90%阻害、少なくとも約95%阻害、少なくとも約98%阻害、または少なくとも約99%阻害される。一部の実施形態では、Rafキナーゼ活性を50%低減するのに求められるRafキナーゼ阻害剤の濃度は、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、約50nM未満、約25nM未満、約10nM未満、約5nM未満、または約1nM未満である。
一部の実施形態では、かかる阻害剤は、1つ以上のRafアイソフォームに選択的であり、これは即ち、Raf阻害剤が、B−Raf(野生型)、変異型B−Raf、A−Raf、及びC−Rafのうちの1つ以上に選択的であるということである。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600E、A−Raf、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600E、A−Raf、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600D、A−Raf、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600K、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf V600以外のものにも選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf V600E以外のものにも選択的である。
一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf及びC−Rafキナーゼに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600E、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600D、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600K、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、変異型B−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、変異型B−Raf V600Eに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、変異型B−Raf V600Dに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、変異型B−Raf V600Kに選択的である。
「汎Raf阻害剤」という用語は、Rafタンパク質のB−Raf V600アイソフォーム以外のものも阻害するRaf阻害剤である。
本明細書で使用される場合、「タキサン」という用語は、Taxus属(イチイ)の植物によって産出されるジテルペンのクラスを指す。タキサンの例としては、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))、及びABRAXANE(登録商標)(Paclitaxel Injection)が挙げられるが、これらに限定されない。
「約」という用語は、本明細書において、約、その領域内、大まかに、またはおよそを意味するために使用される。「約」という用語が数値範囲と共に使用されるとき、これは、説明される数値の上下にその境界を拡張させることによって、その範囲を修正する。一般的に、「約」という用語は、本明細書において、10%の変動で、明記される値を超える、及びそれ未満の数値を修飾するために使用される。
本明細書で使用される場合、「を含む(comprises)」という用語は、「を含む(includes)が、これに限定されない」を意味する。
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」、及び「治療すること」という用語は、対象が患っている癌に対する全範囲の介入、例えば、癌の1つ以上の症状を緩和、遅延、阻止、または反転するため、及び癌が実際に排除されない場合でも癌の進行を遅延させるための組み合わせの投与を含むことが意味される。治療は、例えば、症状の重症度、症状の数、または再発の頻度における減少、例えば、腫瘍成長の阻害、腫瘍成長の停止、または既に存在している腫瘍の退縮を含み得る。
併用療法に言及するために本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、組み合わせた効果が所望の生物学的または医学的応答を引き出す、即ち、標的の癌細胞を破壊するか、あるいは対象における癌の進行を遅延または停止させるように、共に摂取される薬剤の組み合わせの量を意味する。例えば、併用療法に言及するために本明細書で使用される「治療有効量」は、治療周期中の同じ日または異なる日に連続的または同時に共に投与されるときに有益な組み合わせた効果を有する、Raf阻害剤の量及びタキサンの量であり得る。一部の実施形態では、組み合わせた効果は相加的である。一部の実施形態では、組み合わせた効果は相乗的である。更に、当業者であれば、治療有効量を用いた併用療法の場合、上の例のように、阻害剤の量及び/またはタキサンの量は、個々に治療的に有効である場合もそうでない場合もあることを認識することになる。
薬剤の細胞に対する効果に関する「細胞毒性効果」は、細胞の殺滅を意味する。「細胞毒性効果」は、細胞増殖の阻害を意味する。「細胞毒性剤」は、細胞に対して細胞毒性または細胞増殖抑制効果を有することにより、細胞集団内の細胞を、それぞれ、枯渇させるか、またはその成長を阻害する薬剤を意味する。
一部の実施形態では、Raf阻害剤及びタキサンと接触させた細胞の成長は、接触させていない細胞の成長と比較して少なくとも約50%阻害される。一部の実施形態では、接触させた細胞の細胞増殖は、接触させていない細胞と比較して少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%阻害される。一部の実施形態では、「細胞増殖を阻害する」という語句は、接触させていない細胞と比較した、接触させた細胞の数の低減を含む。このため、Raf阻害剤、及び接触させた細胞において細胞増殖を阻害するタキサンは、接触させた細胞に、増殖遅延、増殖停止、プログラム細胞死(即ち、アポトーシス)、または壊死細胞死を受けさせ得る。
「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、哺乳動物を意味し、「哺乳動物」にはヒトが含まれるが、これに限定されない。一部の実施形態では、対象は、本開示の方法に従う治療の開始前に、薬剤、例えば、Raf阻害剤またはタキサンによって治療を受けている。一部の実施形態では、対象は、癌の発症またはその再発を経験する危険にある。
別途明記しない限り、本明細書に示される構造は、1つ以上の同位体濃縮原子の存在だけが異なる化合物を含むことを意味する。例えば、重水素またはトリチウムによる水素原子の置換、もしくは13Cまたは14C濃縮炭素による炭素原子の置換を除く、本開示の構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
本明細書に記載のある特定の化合物が互変異性形態で存在してもよく、全てのかかる化合物の互変異性形態が本開示の範囲内であることは、当業者には明らかとなる。別途明記しない限り、本明細書に示される構造は、その構造の全ての立体化学形態、即ち、各不斉中心についてのR及びS配置を含むことも意味する。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体、ならびに光学異性体及びジアステレオマーの混合物が本発明の範囲内である。
Rafキナーゼの活性を阻害することができる化合物が、本開示の方法において使用され得る。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf V600よりも多くのRafキナーゼタンパク質のアイソフォームを阻害する。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf V600Eよりも多くのRAfキナーゼタンパク質のアイソフォームを阻害する。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、変異型B−Raf、A−Raf、及びC−Rafを阻害する。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600E、A−Raf、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600E、A−Raf、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600D、A−Raf、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600K、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600E、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600D、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf(野生型)、B−Raf V600K、及びC−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、変異型B−Rafに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、変異型B−Raf V600Eに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、変異型B−Raf V600Dに選択的である。一部の実施形態では、Raf阻害剤は、変異型B−Raf V600Kに選択的である。
具体的には、Raf阻害剤には、本明細書に記載の化合物、ならびに例えば、WO 2006/065703、WO 2010/064722、WO 2011/117381、WO 2011/090738、WO 2011/161216、WO 2011/097526、WO 2011/025927、WO 2011/023773、WO 2011/147764、WO 2011/079133、及びWO 2011/063159に開示の化合物が含まれる。B−Raf阻害剤には、ベムラフィニブ(vemurafinib)(Roche)、ダブラフェニブ(GSK)、及びエンコラチニブ(encoratinib)(Novatis)が含まれる。これらの化合物のいずれかの溶媒和及び水和形態も、本開示の方法における使用に好適である。これらの化合物のいずれかの薬学的に許容される塩、及びかかる塩の溶媒和及び水和形態も、本開示の方法における使用に好適である。これらのRaf阻害剤は、上記の参照文献中で詳細に説明されている合成方法を含む、有機合成分野の当業者には周知のある数の方法で調製することができる。
一部の実施形態では、Raf阻害剤は、B−Raf V600よりも多くのRafキナーゼタンパク質のアイソフォームを阻害する化合物である。具体的には、B−Raf V600よりも多くのRafキナーゼタンパク質のアイソフォームを阻害するRafキナーゼの阻害剤には、例えば、WO 2009/006389及びUS 2013/0252977に開示されている化合物(DP−4978/ LY3009120)が含まれ、また化合物RAF−265、ARQ−736、CEP−32496、CCT 196969、CCT 241161、及びREDX−04988が含まれるが、これらに限定されない。
Raf阻害剤は、Rafキナーゼに結合するかつ/または阻害するその能力についてインビトロまたはインビボでアッセイすることができる。インビトロアッセイとしては、化合物がRafキナーゼの酵素活性を阻害する能力を定量化するための方法としてRafキナーゼによるMEKのリン酸化を測定するための生化学FRETアッセイが含まれる。化合物も、Rafキナーゼ活性によって媒介される細胞または生理機能に影響するその能力についてアッセイすることができる。例えば、インビトロアッセイは、癌細胞における蛍光体−ERKの量を定量化する。これらの活性の各々についてのアッセイは、当該技術分野で既知である。
一部の実施形態では、Raf阻害剤は、(R)−2−(1−(6−アミノ−5−クロロピリミジン−4−カルボキサミド)エチル)−N−(5−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)チアゾール−5−カルボキサミド(化合物A)またはその薬学的に許容される塩である。
化合物Aは、WO 2009/006389に記載されている。
一部の実施形態では、Raf阻害剤は、N−{7−シアノ−6−[4−フルオロ−3−({[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アセチル}アミノ)フェノキシ]−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル}シクロプロパンカルボキサミド(化合物B)またはその薬学的に許容される塩である。
化合物Bは、WO 2010/064722に記載されている。B−Raf V600よりも多くのRafキナーゼタンパク質のアイソフォームを阻害することができる化合物A及び化合物BなどのRaf阻害剤は、Rafモノマー及びダイマー媒介性シグナル伝達の両方を阻害する能力を有し、これは、これらのRaf阻害剤を最近認可されたB−Raf特異的阻害剤(ベムラフェニブ及びダブラフェニブ)から区別する重要な特色である。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、過度な毒性、刺激、アレルギー反応などなく、ヒト及び下等動物の組織との接触する使用に好適であり、合理的な利点/リスク比に見合う、健全な医学的判断の範囲内にある塩を指す。「薬学的に許容される塩」は、本明細書に開示の化合物の任意の非毒性の塩を意味し、レシピエントに投与すると、直接的または間接的に、本化合物またはその活性代謝物もしくは残基を提供することができる。
薬学的に許容される塩は当該技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらが、参照により本明細書に組み込まれるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19において薬学的に許容される塩について詳述している。本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩には、好適な無機及び有機の酸及び塩基に由来するものが含まれる。薬学的に許容される非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸、またはイオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びN+(C1−4アルキル)4塩が挙げられる。本開示は、任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定する。かかる四級化によって、水または油溶性または分散性生成物を得てもよい。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。更なる薬学的に許容される塩としては、適切な場合、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、及びハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成されるアミン陽イオンが挙げられる。
Taxus属(イチイ)の植物によって産出されるジテルペンのクラスにある化合物を、本開示に記載の方法によって使用してもよい。具体的には、タキサンとしては、本明細書に記載の化合物、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))、及びABRAXANE(登録商標)(注射用のタンパク質結合パクリタキセル)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、タキサンは、パクリタキセルもしくはドセタキセル、またはパクリタキセルもしくはドセタキセルの薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、タキサンは、パクリタキセルまたはその薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、タキサンは、ドセタキセルまたはその薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、タキサンは、パクリタキセルである。一部の実施形態では、タキサンは、ドセタキセルである。
別の態様では、本開示は、i)Raf阻害剤、及びii)タキサンを含む薬学的組成物を提供する。本開示は、癌の治療のための新たな併用療法を提供する。具体的には、本開示は、癌を患っている対象の治療方法を提供し、本方法は、対象に、(i)活性剤としてRaf阻害剤またはその薬学的に許容される塩を含む第1の組成物と、(ii)活性剤としてタキサンまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の組成物とを投与することを含み、該活性剤の量は、それらの組み合わせが癌の治療において治療的に有効であるものである。一部の実施形態では、Raf阻害剤は化合物Aであり、タキサンはパクリタキセルまたはドセタキセルである。一部の実施形態では、Raf阻害剤は化合物Bであり、タキサンはパクリタキセルまたはドセタキセルである。
一部の実施形態では、癌は固形腫瘍である。一部の実施形態では、癌は血液悪性腫瘍である。一部の実施形態では、癌は再発性である。一態様では、再発癌は、癌が検出されなかった期間の後で再来した癌である。
一部の実施形態では、癌は難治性である。一態様では、難治性癌は癌治療に応答せず、これは抵抗性癌としても知られる。一部の実施形態では、腫瘍は切除不能である。一態様では、切除不能な腫瘍は、手術によって除去することができない。一部の実施形態では、癌は以前に治療されたことがない。一部の実施形態では、癌は局所進行性である。一態様では、「局所進行性」とは、多少広範囲に及ぶが未だ1つのエリアに限定されている癌を指す。一部の場合には、「局所進行性」は、手術のみで除去することを困難にする、広がってはいないが付近の臓器または組織を侵している小型腫瘍を指し得る。一部の実施形態では、癌は転移性である。一態様では、転移性癌は、それが始まった身体部分(原発部位)から他の身体部分に広がった癌である。
一部の実施形態では、癌は、B−Raf、N−Ras、及び/またはK−Ras陽性癌である。
本明細書で使用される場合、「BRAF」または「B−Raf」は、GenPept受託番号NP_004324、配列番号3をコードする、GenBank受託番号NM_004333、配列番号1(オープンリーディングフレームは配列番号2、配列番号1のヌクレオチド62〜2362)に指定されるmRNA配列と関連する遺伝子である、B−Raf癌原遺伝子、セリン/トレオニンキナーゼを指す。B−Rafの他の名称としては、rafB1及びヌーナン症候群7(NS7)が挙げられる。B−Rafは、セリン/トレオニンキナーゼとして機能し、MAPキナーゼ/ERKシグナル伝達経路の調節において役割を担い、染色体7qに見出すことができる。
本明細書で使用される場合、「KRAS」または「K−Ras」は、染色体12上のK−Ras遺伝子の優勢な転写物変異形である、GenPept受託番号NP_004976、配列番号6をコードする、GenBank受託番号NM_004985、配列番号4(オープンリーディングフレームは配列番号5、配列番号4のヌクレオチド193〜759)に指定されるmRNA配列と関連する遺伝子である、v−Ki−ras2カーステンラット肉腫ウイルス性癌遺伝子相同体を指す。K−Rasの他の名称としては、KRAS2及びヌーナン症候群3(NS3)が挙げられる。K−Rasは、GTPase活性を有する癌遺伝子として機能し、染色体12上に見出され得る。K−Rasは、細胞骨格を通したそのシグナル伝達機能、及び細胞運動性に対する作用を実行する、細胞膜、ならびにAkt及びCdc42などの様々なエフェクタータンパク質と相互作用する(Fotiadou et al.(2007)Mol.Cel.Biol.27:6742−6755)。
本明細書で使用される場合、「NRAS」または「N−Ras」は、GenPept受託番号NP_002515、配列番号9をコードする、GenBank受託番号NM_002524、配列番号7(オープンリーディングフレームは配列番号8、配列番号7のヌクレオチド255〜824)に指定されるmRNA配列と関する遺伝子である、神経芽細胞腫RASウイルス性(v−ras)癌遺伝子相同体を指す。N−Rasの他の名称としては、リンパ球増殖性症候群IV型(ALPS4)、NRAS1、及びヌーナン症候群6(NS6)が挙げられる。N−Rasは、GTPアーゼ活性を有する癌遺伝子として機能し、染色体1p上に見出され得る。N−Rasは、細胞骨格を通したそのシグナル伝達機能、及び細胞接着に対する作用を実行する、細胞膜、ならびにRaf及びRhoAなどの様々なエフェクタータンパク質と相互作用する(Fotiadou et al.(2007)Mol.Cel.Biol.27:6742−6755)。
本開示における組み合わせを使用して、満たされていない高い医学的必要性の癌を治療し得る。一部の実施形態では、組み合わせを使用して、癌の遺伝的に定義されたサブセットを治療する。一部の実施形態では、癌は、B−Raf変異陽性癌である(即ち、癌は1つ以上のB−Raf突然変異を有する)。一部の実施形態では、B−Raf突然変異は、エクソン11または15にある。一部の実施形態では、B−Raf突然変異は、コドン466、469、594、600、または601にある。一部の実施形態では、B−Raf突然変異は、コドン600にある。一部の実施形態では、B−Raf突然変異は、V600E、V600D、またはV600K突然変異が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、B−Raf突然変異はV600Eである。一部の実施形態では、B−Raf突然変異はV600Dである。一部の実施形態では、B−Raf突然変異はV600Kである。一部の実施形態では、B−Raf突然変異はV600E+T5291である。一部の実施形態では、B−Raf突然変異はV600E+G468Aである。「V600E突然変異」は、600のアミノ酸位置でのバリンのグルタミン酸による置換を意味する。T529Iは、トレオニンからイソロイシンへのB−Rafゲートキーパー突然変異であり、G468Aは、エクソン11におけるG1403CでのB−Raf2次突然変異である。「V600K突然変異」は、600のアミノ酸位置でのバリンのリジンによる置換を意味する。「V600D突然変異」は、600のアミノ酸位置でのバリンのアスパラギン酸による置換を意味する。V600K突然変異は、バリン(V)からリジン(K)への、B−Rafにおける600位でのアミノ酸置換をもたらす。V600K突然変異は、バリン(V)からリジン(K))へのB−Rafにおける600位でのアミノ酸置換をもたらす。
一部の実施形態では、癌は、非V600 B−Raf変異陽性癌である(即ち、癌は1つ以上のB−Raf突然変異を有し、この1つ以上の突然変異はB−Raf V600ではない)。一部の実施形態では、B−Raf突然変異は、エクソン11または15にある。一部の実施形態では、B−Raf突然変異は、コドン466、469、594、または601にある。一態様では、1つ以上の非V600E突然変異は、G466A、G466V、N581S、D594H、R146W、L613F、D565_スプライス、S394*、P367R、G469A、G469V、G469*、G466V、G464V、G397S、S113I、A762E、G469L、D594N、G596S、G596R、D594N、D594H、またはG327_スプライスである。一態様では、1つ以上の非V600E突然変異は、G469R、R95T、A621_スプライス、V639I、Q609H、G464V、またはG466Vである。アスタリスク「*」は停止コドンを意味する。
一部の実施形態では、癌は、K−Ras変異陽性癌である(即ち、癌は1つ以上のK−Ras突然変異を有する)。一部の実施形態では、K−Ras突然変異は、エクソン2にある。一部の実施形態では、K−Ras突然変異は、コドン12または13にある。
一部の実施形態では、癌は、N−Ras変異陽性癌である(即ち、癌は1つ以上のN−Ras突然変異を有する)。一部の実施形態では、N−Ras突然変異は、エクソン2、3、または4にある。一部の実施形態では、N−Ras突然変異は、エクソン2にある。一部の実施形態では、N−Ras突然変異は、エクソン3にある。一部の実施形態では、N−Ras突然変異は、エクソン4にある。一部の実施形態では、N−Ras突然変異は、Q61R、Q61K、Q61L、Q61H、またはQ61Pである。一部の実施形態では、N−Ras突然変異は、Q61R突然変異である。
本開示は、癌を患っている対象の治療方法を提供する。一部の実施形態では、癌は、皮膚癌、眼癌、消化管癌、甲状腺癌、乳癌、卵巣癌、中枢神経系癌、喉頭癌、子宮頸癌、リンパ系癌、泌尿生殖器癌、骨癌、胆道癌、子宮内膜癌、肝臓癌、肺癌、前立腺癌、及び結腸癌から選択される。一部の実施形態では、肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)及び小細胞肺癌(SCLC)を含む。一部の実施形態では、癌はNSCLCではない。一部の実施形態では、癌は、皮膚癌、眼癌、消化管癌、甲状腺癌、乳癌、卵巣癌、脳腫瘍、喉頭癌、子宮頸癌、リンパ系癌、泌尿生殖器癌、骨癌、胆道癌、子宮内膜癌、子宮癌、肝臓癌、肺癌、前立腺癌、及び結腸癌から選択される。
一部の実施形態では、癌は血液悪性腫瘍である。一部の実施形態では、血液悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、及び骨髄異形成症候群から選択される。
一部の実施形態では、癌は、癌甲状腺癌、卵巣癌、黒色腫、急性骨髄性白血病(AML)、及び結腸癌から選択される。一部の実施形態では、癌は、黒色腫または結腸癌である。
一部の実施形態では、癌は、皮膚癌及び消化管癌から選択される。
一部の実施形態では、癌は皮膚癌である。一部の実施形態では、皮膚癌は黒色腫である。一部の実施形態では、黒色腫はB−Raf変異型黒色腫である。一部の実施形態では、黒色腫はN−Ras変異型黒色腫である。
一部の実施形態では、癌は肺癌である。一部の実施形態では、癌は非小細胞肺癌(NSCLC)である。一部の実施形態では、癌は扁平上皮NSCLCである。一部の実施形態では、癌は非扁平上皮NSCLCである。
一部の実施形態では、癌は消化管癌である。本明細書で使用される場合、「消化管癌」は、食道、胃(stomach)(胃(gastric)癌としても知られる)、胆管系、膵臓、小腸、大腸、直腸、及び肛門の癌を含む。一部の実施形態では、消化管癌は、食道の腺癌、胃食道接合部の腺癌、または胃の腺癌である。一部の実施形態では、消化管癌は胃癌である。
一部の実施形態では、癌は結腸癌である。結腸癌は、結腸直腸(CRC)、腸、または直腸癌としても知られる。
一部の実施形態では、癌は中枢神経系癌である。一部の実施形態では、中枢神経系癌は脳腫瘍である。
一部の実施形態では、甲状腺癌は甲状腺癌腫である。
一部の実施形態では、泌尿生殖器癌は膀胱癌である。
一部の実施形態では、血液悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)及び慢性リンパ球性白血病(CLL)から選択される。
Raf阻害剤及びタキサンは、それらが癌の治療において有益な効果を提供するような方法で投与される。投与は、投与が所望の治療効果、即ち活性または相乗効果を提供することを条件に、任意の好適な手段によることができる。一部の実施形態では、Raf阻害剤及びタキサンは、療法の同じ周期中、例えば、療法の1周期中に投与され、Rafキナーゼ阻害剤及びタキサンの両方が対象に投与される。
一部の実施形態では、Raf阻害剤及びタキサンは、対象に周期的に投与される。周期的療法は、一定期間の第1の薬剤(例えば、第1の予防薬または治療薬)の投与、及びそれに続く一定期間の第2の薬剤及び/または第3の薬剤(例えば、第2及び/または第3の予防薬または治療薬)の投与、及びこの連続投与の繰り返しを伴う。周期的療法は、療法のうちの1つ以上への抵抗性の発達を低減し、療法のうちの1つの副作用を回避もしくは低減し、かつ/または治療の有効性を改善し得る。
一部の実施形態では、薬剤が投与される治療期間の後は特定の期間の無治療期間が続き、この間、治療薬は対象に投与されない。この無治療時間の後は、同じかまたは異なる期間に渡る同じかまたは異なる頻度の後続の治療及び無治療期間が続き得る。一部の実施形態では、治療及び無治療期間は交互に行われる。周期的療法における治療の期間は、対象が完全寛解または部分寛解を達成するまで継続してもよく、この達成時に治療を停止し得ることが理解される。あるいは、周期的療法における治療の期間は、対象が完全寛解または部分寛解を達成するまで継続してもよく、この達成時に治療の期間を特定の数の周期に渡って継続してもよい。一部の実施形態では、治療の期間は、対象の応答とは無関係に特定の数の周期であり得る。一部の他の実施形態では、治療の期間は、対象が再発を起こすまで継続してもよい。
Raf阻害剤の量または好適な用量は、治療される状態の重症度の性質、特定の阻害剤、投与経路、ならびに個々の対象の年齢、体重、全体的な健康、及び応答を含む、ある数の因子に依る。一部の実施形態では、好適な用量レベルは、B−Raf V600よりも多くのB−Rafキナーゼタンパク質のアイソフォームを阻害するレベルである。一部の実施形態では、好適な用量レベルは、B−Raf、C−Raf、A−Raf、及び/またはB−RafV600Eの阻害を達成するレベルである。一部の実施形態では、好適な用量レベルは、B−Raf、C−Raf、及び/またはB−RafV600Eの阻害を達成するレベルである。一部の実施形態では、好適な用量レベルは、腫瘍退縮、または疾患進行、無進行生存、もしくは全生存の他の標準的な測定によって測定した場合に治療応答を達成するレベルである。一部の実施形態では、好適な用量レベルは、治療応答を達成し、なおかつ治療薬の投与と関連付けられるいずれの副作用も最低限に抑えるレベルである。
Rafキナーゼの阻害剤の好適な1日用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、単剤としての最大耐量の約10%〜約100%の範囲であり得る。一部の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約15%〜約100%である。一部の一部の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約25%〜約90%である。一部の他の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約30%〜約80%である。一部の他の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約40%〜約75%である。一部の他の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約45%〜約60%である。一部の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約105%、または約110%である。
Raf阻害剤の好適な用量は昼夜を問わず何時にでも摂取され得ることが理解される。一部の実施形態では、好適な用量のRaf阻害剤の選択的阻害剤は、朝に摂取される。一部の他の実施形態では、好適な用量のRaf阻害剤は、晩に摂取される。一部の他の実施形態では、好適な用量のRaf阻害剤は、朝晩両方に摂取される。好適な用量のRaf阻害剤は食物と一緒にまたは別に摂取してもよいことが理解される。一部の実施形態では、好適な用量のRaf阻害剤は、食事と一緒に摂取される。一部の実施形態では、好適な用量のRaf阻害剤は、空腹時に摂取される。
本開示は、癌を患っている対象の治療方法を提供し、本方法は、対象に、(i)活性剤として化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の組成物と、(ii)活性剤としてパクリタキセルまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の組成物とを投与することを含み、該活性剤の量は、それらの組み合わせが癌の治療において治療的に有効であるものである。一部の実施形態では、化合物Aは、投薬当たり約100mg〜約200mgの量で隔日(QOD)で投与される。一部の一部の実施形態では、化合物Aは、投薬当たり約100mgの量でQODで投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、投薬当たり200mgの量でQODで投与される。
一部の実施形態では、化合物Aは、投薬当たり最大約200mgから投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、投薬当たり最大200mgから投与される。Raf阻害剤、例えば、化合物Aの好適なQOD用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、投薬当たり最大約200mgからの範囲であり得る。一部の実施形態では、化合物Aは、単回投薬として投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、分割投薬として投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、複数回投薬で投与される。化合物Aの他の好適な用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、投薬当たり約50mg〜約200mgの範囲であり得る。化合物Aの他の好適な用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、投薬当たり約75mg〜約200mgの範囲であり得る。一部の実施形態では、好適な用量は、投薬当たり約100mg〜約200mgである。一部の他の実施形態では、好適な用量は、1日2回、約150mg〜約200mgである。一部の実施形態では、好適な用量は、投薬当たり約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、または約200mgである。一部の実施形態では、化合物Aの好適な用量は、投薬当たり約100mg〜約200mgである。
化合物Aは、週に1回の投薬(QW)を支援し得る長い半減期を持つRafキナーゼ阻害剤である。一部の実施形態では、化合物Aは、各投与間に6日間の休止期間を伴って週に1回投与される。Raf阻害剤、例えば、化合物Aの好適な週間用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、週に1回(QW)、最大約1500mgからであり得る。化合物Aは、一般に、単回または分割または複数回投薬で、週に1回(QW)、最大1500mgからであり得る。一部の実施形態では、化合物Aは、週に1回、最大約1000mgから投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、週に1回、最大1000mgから投与される。週に1回とは、各投与間に6日間の休止期間を伴うことを意味する。一部の実施形態では、化合物Aは、単回投薬として投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、投薬当たり最大600mgの量でQWで投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、28日周期の2、9、16、及び23日目に投薬当たり最大600mgの量で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、分割投薬として投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、同日の分割投薬として投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、複数回投薬で投与される。好適な週間用量には、各投与間に6日間の休止期間を伴う週に1回の投薬当たり最大約1000mgからが含まれる。一部の実施形態では、化合物Aは、各投与間に6日間の休止期間を伴う週に1回の投薬当たり最大1000mgからで投与される。化合物Aの他の好適な週間用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、週に1回、投薬当たり約200mg〜約1000mgの範囲であり得る。化合物Aの他の好適な週間用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、約400mg〜約1000mgの範囲であり得る。一部の実施形態では、好適な週間用量は、週に1回、投薬当たり約400mg〜約900mgである。一部の実施形態では、好適な週間用量は、週に1回、投薬当たり約500mg〜約900mgである。一部の他の実施形態では、好適な週間用量は、週に1回、投薬当たり約400mg〜約600mgである。一部の他の実施形態では、好適な週間用量は、週に1回、投薬当たり約200mg〜約500mgである。一部の他の実施形態では、好適な週間用量は、週に1回、投薬当たり約200mg〜約300mgである。一部の実施形態では、好適な週間用量は、週に1回、投薬当たり約200mg、300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、または約900mgである。一部の実施形態では、QW投薬スケジュールは、化合物A及びタキサンの組み合わせを、より優れた安全性に基づいて他の利用可能な療法と区別する。一部の実施形態では、QW投薬スケジュールは、化合物A及びタキサンの組み合わせを、より優れた効能に基づいて他の利用可能な療法と区別する。
対象に投与されるRaf阻害剤の用量は、投与頻度にも依ることになる。一部の実施形態では、化合物Aは、各投与間に6日間の休止期間を伴って週に1回(QW)投与される。一部の実施形態では、化合物Aは毎日投与される。一部の実施形態では、化合物Aは隔日で投与される。一部の実施形態では、化合物Aは28日周期で投与され、これにおいて化合物Aは、28日周期の1、3、5、8、10、12、15、17、19、22、24、及び26日目に投与される。一部の実施形態では、化合物Aは28日周期で投与され、これにおいて化合物Aは、28日周期の2、9、16、及び23日目に投与される。
所望の治療効果を提供する他のRaf阻害剤用量または投与頻度が本開示における使用に好適であることが、当業者には容易に明らかとなる。
タキサンは、当業者に既知の任意の方法によって投与することができる。例えば、タキサンは、組成物、一実施形態では本明細書に記載のものなどのタキサン及び薬学的に許容される担体の薬学的組成物の形態で投与することができる。一部の実施形態では、薬学的組成物は、静脈内注射または静脈内注入などの静脈内経路を介して投与することができる液体剤形である。一実施形態では、パクリタキセルは静脈内注射によって投与される。別の実施形態では、ABRAXANE(登録商標)は静脈内注射によって投与される。かかる薬学的組成物は、米国特許第6096331号、及び米国特許第6506405号に記載されている。
タキサンの量または好適な用量は、治療される状態の重症度の性質、特定の阻害剤、投与経路、ならびに個々の対象の年齢、体重、全体的な健康、及び応答を含む、ある数の因子に依る。一部の実施形態では、好適な用量レベルは、癌患者における有効露出量の標準的な測定によって測定した場合に、有効露出量を達成するレベルである。一部の実施形態では、好適な用量レベルは、腫瘍退縮、または疾患進行、無進行生存、もしくは全生存の他の標準的な測定によって測定した場合に治療応答を達成するレベルである。一部の実施形態では、好適な用量レベルは、治療応答を達成し、なおかつ治療薬の投与と関連付けられるいずれの副作用も最低限に抑えるレベルである。
タキサンの好適な1日用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、単剤としての最大耐量の約10%〜約100%の範囲であり得る。一部の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約15%〜約100%である。一部の一部の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約25%〜約90%である。一部の他の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約30%〜約80%である。一部の他の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約40%〜約75%である。一部の他の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約45%〜約60%である。一部の実施形態では、好適な用量は、単剤としての最大耐量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約105%、または約110%である。
タキサンの好適な用量は昼夜を問わず何時にでも摂取され得ることが理解される。一部の実施形態では、好適な用量のタキサンは、朝に摂取される。一部の他の実施形態では、好適な用量のタキサンは、晩に摂取される。一部の他の実施形態では、好適な用量のタキサンは、朝晩両方に摂取される。好適な用量のタキサンは食物と一緒にまたは別に摂取してもよいことが理解される。一部の実施形態では、好適な用量のタキサンは、食事と一緒に摂取される。一部の実施形態では、好適な用量のタキサンは、空腹時に摂取される。
パクリタキセルの好適な用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、1週当たり約40mg/m2〜約90mg/m2の範囲であり得る。パクリタキセルの他の好適な週間用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、1週当たり約70mg/m2〜約90mg/m2の範囲であり得る。パクリタキセルの他の好適な週間用量は、一般に、単回または分割または複数回投薬で、1週当たり約60mg/m2〜約90mg/m2、または1週当たり約60mg/m2〜約80mg/m2の範囲であり得る。他の実施形態では、好適な用量は、1週当たり約40mg/m2、約45mg/m2、約50mg/m2、約55mg/m2、約60mg/m2、約65mg/m2、約70mg/m2、約75mg/m2、約80mg/m2、約85mg/m2、または約90mg/m2である。一部の実施形態では、パクリタキセルの用量は約80mg/m2である。
加えて、タキサンは、約3時間、約2時間、約1時間、約45分、または約30分のIV注入として投与され得ることが理解される。一部の実施形態では、タキサンは、1時間のIV注入によって投与され得る。
一部の実施形態では、パクリタキセルの用量は、1時間のIV注入による約80mg/m2である。いくつかの実施形態では、
ABRAXANE(登録商標)の好適な用量は、一般に、約100mg/m2〜約260mg/m2の範囲であり得る。一部の実施形態では、ABRAXANEは、投薬当たり約100mg/m2で静脈内投与される。一部の実施形態では、ABRAXANEは、21日周期の1、8、及び15日目に投薬当たり約100mg/m2で30分かけて静脈内投与される。一部の実施形態では、ABRAXANEは、28日周期の1、8、及び15日目に投薬当たり約100mg/m2で30分かけて静脈内投与される。
ドセタキセルの好適な用量は、一般に、静脈内で約60mg/m2〜約100mg/m2の範囲であり得る。一部の実施形態では、ドセタキセルの用量は、静脈内で約75mg/m2で投与される。一部の実施形態では、ドセタキセルの用量は、3週間ごとに60分かけて約75mg/m2で投与される。
一部の実施形態では、第1の量のタキサンが投与される第1の治療期間の後、同じまたは異なる量の同じまたは異なるタキサンが投与される別の治療期間を続けることができる。第2の治療期間の後は、他の治療期間を続けることができる。治療及び無治療期間の間に、1つ以上の追加の治療薬が対象に投与され得る。
一部の実施形態では、タキサンは、各投与間に6日間の休止期間を伴って週に1回(QW)投与される。一部の実施形態では、タキサンは28日周期で投与され、これにおいてタキサンは、1、8、及び15日目に投与される。
Raf阻害剤及びタキサンの投与は、投与が所望の治療効果を提供することを条件に、同じ日または異なる日であることができる。本開示の一部の実施形態では、Raf阻害剤及びタキサンの投与は同じ日となる。一部の実施形態では、Raf阻害剤及びタキサンの投与は同じ日及び/または異なる日となり、例えば、化合物Aが28日周期の1、3、5、8、10、12、15、17、19、22、24、及び26日目に投与され、タキサンが28日周期の1、8、及び15日目に投与される。一部の実施形態では、化合物Aは28日周期の2、9、16、及び23日目に投与され、タキサンは、28日周期の1、8、及び15日目に投与される。代替的な治療スケジュールが、それらが所望の結果を生む限り、本開示に包含される。
タキサンは、単一の剤形または別個の剤形でRaf阻害剤と共に投与してもよい。別個の剤形として投与する場合、Raf阻害剤は、タキサンの投与前、投与時、または投与後に投与し得る。
一部の実施形態では、有益な量の治療薬の投与は、28日の治療周期中の1、3、5、8、10、12、15、17、19、22、24、及び26日目に与えられる投薬当たり約100mg〜約200mgの量(遊離化合物Aの測定量)での化合物Aまたは薬学的に許容される塩を、28日の治療周期中の1、8、及び15日目に与えられる投薬当たり約70mg/m2〜約90mg/m2の量(遊離タキサンの測定量)でのパクリタキセルまたはその薬学的に許容される塩の投与と組み合わせて投与することを包含する。一部の実施形態では、治療薬の有益な量は相乗的利益を提供する。一部の実施形態では、治療薬の有益な量は相加的利益を提供する。
一部の実施形態では、癌を患っている対象の治療方法は、ある量の化合物Aまたは薬学的に許容される塩とある量のタキサンまたはその薬学的に許容される塩との治療有効量の組み合わせを該対象に投与することを含む。これらの癌対象としては、B−Raf突然変異を伴う黒色腫対象、ベムラフェニブまたは他のB−Raf阻害剤に失敗した黒色腫対象、N−Ras突然B−Raf野生型を伴う黒色腫患者、B−Raf V600E突然変異B−Raf野生型を伴う結腸直腸癌対象、B−Raf V600E突然変異B−Raf野生型を伴う卵巣癌対象、B−Raf V600E突然変異B−Raf野生型を伴う肺癌対象、N−Ras突然変異B−Raf野生型を伴うAML対象、N−Ras突然変異B−Raf野生型を伴う肝臓癌対象、B−Raf V600EまたはN−Ras突然変異B−Raf野生型を伴う甲状腺癌対象、B−Raf野生型を伴う膵臓癌、B−Raf野生型を伴う胆道癌対象が挙げられるが、これらに限定されない。癌対象には、K−Rasエクソン2突然変異またはB−Raf突然変異非V600 B−Rafを持つ非小細胞肺癌対象が含まれる。一部の実施形態では、癌対象は、標準的な療法が失敗している。
本開示は、対象に本明細書に記載の薬学的組成物を投与することを含む、癌を患っている対象における治療への応答期間の延長方法を提供し、本方法は、対象に、(i)活性剤としてRaf阻害剤またはその薬学的に許容される塩を含む第1の組成物と、(ii)活性剤としてタキサンまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の組成物とを投与することを含み、該活性剤の量は、それらの組み合わせが応答期間の延長に有効であるものである。
Raf阻害剤は、当業者に既知の任意の方法によって投与することができる。例えば、Raf阻害剤は、一部の実施形態では本明細書に記載のものなどのRaf阻害剤及び薬学的に許容される担体の薬学的組成物として、第1の組成物の形態で投与することができる。一部の実施形態では、第1の組成物は、2015年3月26日出願のPCT出願PCT/2015/022792(WO 2015/148828)に記載のような固体分散体押出成形物である。一部の実施形態では、第1の組成物は、ビニルピロリジノン−酢酸ビニルコポリマー及び1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む固体分散体押出成形物である。一部の実施形態では、コポリマーは、コポビドン(copovidone)、例えば、Kollidon(登録商標)VA64である。一部の実施形態では、第1の組成物は非晶質である。
タキサンは、当業者に既知の任意の方法によって投与することができる。例えば、タキサンは、第2の組成物、一部の実施形態では本明細書に記載のものなどのタキサン及び薬学的に許容される担体の薬学的組成物の形態で投与することができる。
Raf阻害剤またはタキサンの薬学的に許容される塩がこれらの組成物において利用される場合、塩は、好ましくは無機または有機の酸または塩基に由来する。好適な塩の概説については、例えば、Berge et al,J.Pharm.Sci.66:1−19(1977)、及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.,ed.A.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,2000を参照されたい。
好適な酸付加塩の非限定的な例としては、以下、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、及びウンデカン酸塩を含む。
好適な塩基付加塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、及びコリンなどの有機塩基を有する塩、アルギニン、リシンなどのアミノ酸を有する塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、塩基性窒素含有基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、及びブチル塩化物、臭化物、及びヨウ化物などの低級ハロゲン化アルキル;例えば、ジメチル、ジエチル、ジブチル、及びジアミル硫酸塩などの硫酸ジアルキル;例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル、及びステアリル塩化物、臭化物、及びヨウ化物などの長鎖ハロゲン化物;例えば、ベンジル及びフェネチル臭化物などのハロゲン化アラルキル、ならびにその他のものなどの薬剤を用いて、四級化してもよい。それにより、水または油溶性または分散性生成物が得られる。
「薬学的に許容される担体」という用語は、レシピエント対象に適合する物質を指す。一態様では、対象は哺乳動物である。一態様では、対象はヒトである。一態様では、物質は、薬剤の活性を終結させずに、活性剤を標的部位に送達するのに好適である。担体に関係する毒性または有害作用は、もしあるとすれば、好ましくは、活性薬剤の意図される使用に対して妥当なリスク対効果比に見合うものである。
「担体」、「アジュバント」、または「ビヒクル」という用語は、本明細書で互換的に使用され、所望される特定の剤形に好適である、ありとあらゆる溶媒、希釈剤、及び他の液体ビヒクル、分散または懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固形結合剤、滑沢剤、ならびに同様物を含む。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.,ed.A.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,2000は、薬学的に許容される組成物の製剤化において使用される様々な担体、及びその既知の調製技法を開示している。一切の望ましくない生物学的効果を産生すること、あるいは薬学的に許容される組成物の任意の他の構成要素(複数可)と有害な様式で相互作用することなどによって、任意の従来の担体培地が本開示の化合物と適合しない場合を除いて、その使用は、本開示の範囲内にあると企図される。薬学的に許容される担体としての働き得る物質のいくつかの例は、イオン交換体と、アルミナと、ステアリン酸アルミニウムと、レシチンと、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質と、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、グリシン、ソルビン酸塩、またはソルビン酸カリウムなどの緩衝剤物質と、飽和植物脂肪酸、水、発熱物質を含有しない水、塩、または硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、及び亜鉛塩などの電解質、コロイドシリカ、3ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、ラクトース、グルコース、スクロースなどの糖と、コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、トラガント末の部分グリセリド混合物と、麦芽と、ゼラチンと、タルクと、カカオバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤と、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びダイズ油などの油と、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなどのグリコールと、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステルと、寒天と、アルギン酸と、等張生理食塩水と、リンゲル液と、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサデシルアルコール、及びグリセロールなどのアルコールと、シクロデキストリンと、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤と、鉱物油及びワセリンなどの石油炭化水素と、を含むが、これらに限定されない。着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、保存剤、ならびに酸化防止剤もまた、製剤者の判断に従って、組成物中に存在し得る。
本発明の薬学的組成物は、数ある中でも、従来の造粒、混合、溶解、カプセル化、凍結乾燥、または乳化プロセスなどの、当該技術分野で既知である方法によって製造することができる。組成物は、顆粒剤、沈殿物、または微粒子、凍結乾燥された、回転乾燥された、もしくは噴霧乾燥された粉末を含む粉末、非晶質粉末、錠剤、カプセル、シロップ剤、坐剤、注射、乳剤、エリキシル剤、懸濁剤、または溶液を含む、様々な形態で産出され得る。製剤は、任意選択で、所望される特定の剤形に好適なように、溶媒、希釈剤、及び他の液体ビヒクル、分散または懸濁補助剤、表面活性剤、pH調整剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、安定剤及び保存剤、固形結合剤、滑沢剤、ならびに同様物を含んでもよい。
一部の実施形態では、本開示の組成物は、哺乳動物への薬学的投与のために製剤化される。一態様では、ヒトへの薬学的投与のため。本開示のかかる薬学的組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧によって、局所的に、直腸的に、経鼻的に、口腔に、腟に、または移植されたリザーバを介して投与され得る。「非経口」という用語は、本明細書で使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内、及び頭蓋内注射または注入技法を含む。好ましくは、組成物は、経口、静脈内、または皮下投与される。本開示の製剤は、短時間作用性、速放性、または長時間作用性であるように設計されてもよい。また更に、化合物は、全身的な方法よりもむしろ、腫瘍部位での投与(例えば、注射による)などの局所的な方法で投与することができる。
経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容される乳剤、マイクロ乳剤、溶液、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒などの当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、シクロデキストリン、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及び脂肪酸エステルソルビタンなどの可溶化剤及び乳化剤、ならびにこれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤以外に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤などのアジュバントも含むことができる。
注射可能な調製物、例えば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁剤は、好適な分散剤または湿潤剤及び懸濁剤を使用して既知の技術に従って製剤化され得る。無菌の注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液として、無菌の注射可能な溶液、懸濁剤、または乳剤であり得る。用いてもよい許容可能なビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P.、及び等張食塩水がある。加えて、無菌の固定油が、溶媒または懸濁媒として慣習的に用いられる。この目的のためには、合成モノ−またはジグリセリドを含む、任意のブランドの固定油を用いることができる。更に、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用される。注入可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルタに通してろ過することにより、または使用前に無菌水もしくは他の注入可能な無菌培地中に溶解または分散され得る無菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、滅菌することができる。非経口投与のために製剤化される組成物は、ボーラス注射または定時プッシュによって注射してもよく、または継続的注入によって投与してもよい。
本開示の化合物の効果を長引かせるために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅らせることが望ましい場合がある。これは、水溶性の低い結晶または非晶質物質の液体懸濁液の使用によって達成し得る。こうして化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、これは今度は結晶の大きさ及び結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与される化合物形態の遅延吸収は、化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。ポリマーに対する化合物の比及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射製剤はまた、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に化合物を捕捉することによって調製される。
直腸または膣投与用組成物は、好ましくは、囲温度では固体であるが体温で液体であるために直腸または膣腔内で融解して活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコール、または坐薬ワックスなどの好適な非刺激性賦形剤または担体と本開示の化合物を混合することによって調製することができる坐剤である。
経口投与のための固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、及び顆粒剤が挙げられる。かかる固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプンなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物などの滑沢剤と混合される。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合、剤形はまた、リン酸塩または炭酸塩などの緩衝剤を含んでもよい。
類似した型の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量のポリエチレングリコール、及び同様物の賦形剤を使用して、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いられ得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒剤の固体剤形は、薬学的製剤分野において周知の腸溶性コーティング及び他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製され得る。それらは、任意選択で乳白剤を含有してもよく、また腸管のある特定の部分にのみ、またはその部分に選択的に、任意選択で遅延された様式で、活性成分(複数可)を放出する組成物であることもできる。使用することができる埋封組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。類似した型の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量のポリエチレングリコール、及び同様物の賦形剤を使用して、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いられ得る。
活性化合物はまた、上述の1つ以上の賦形剤を有するマイクロカプセル化形態であり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒剤の固体剤形は、薬学的製剤分野で周知の腸溶性コーティング、放出制御コーティング、及び他のコーティングなどのコーティング及び殻を用いて調製することができる。かかる固体剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合され得る。慣行であるように、かかる剤形はまた、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースなどの錠剤化滑沢剤及び他の錠剤化補助剤を含み得る。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。それらは、任意選択で乳白剤を含有してもよく、また腸管のある特定の部分にのみ、またはその部分に選択的に、任意選択で遅延された様式で、活性成分(複数可)を放出する組成物であることもできる。使用することができる埋封組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。
本開示の化合物の局所または経皮投与のための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、噴霧、吸入剤、またはパッチが挙げられる。活性成分は、薬学的に許容される担体及び必要に応じて任意の必要な保存剤または緩衝剤と無菌条件下で混合される。眼科用製剤、点耳薬、及び点眼薬もまた、本開示の範囲内にあることが企図される。更に、本開示は、身体への化合物の制御された送達を提供する更なる利点を有する経皮パッチの使用を企図する。かかる剤形は、適当な培地内に化合物を溶解または分配することによって作製することができる。吸収増強剤を使用して、皮膚を横切る化合物の流動を増加させることもできる。速度は、速度制御膜を提供することによって、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に化合物を分散させることによってのいずれかで、制御することができる。
本開示の方法における使用のための組成物は、投与の簡便性及び用量の均一性のために単位剤形で製剤化してもよい。「単位剤形」という表現は、本明細書で使用される場合、治療すべき対象にとって適切な薬剤の物理的に別個の単位を指す。しかしながら、本開示の化合物及び組成物の1日の合計使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解される。非経口投与用の単位剤形は、アンプルまたは多用量容器中にあってもよい。
本開示は、キットを含み、本キットは、(i)活性剤としてRaf阻害剤またはその薬学的に塩を含む第1の組成物、及び(ii)活性剤としてタキサンまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の組成物、ならびに第2の組成物と組み合わせた第1の組成物を投与するための説明書を含む。
本開示は、キットを含み、本キットは、対象における癌を治療するために使用されるとき、(i)活性剤としてRaf阻害剤またはその薬学的に塩を含む第1の組成物、及び(ii)活性剤としてタキサンまたはその薬学的に許容される塩を含む第2の組成物、ならびに第2の組成物と組み合わせた第1の組成物を投与するための説明書を含む。
ベムラフェニブ(Roche)は、B−Raf V600E突然変異を伴う黒色腫患者の治療のために米国食品医薬品局(FDA)によって認可された。より最近では、ダブラフェニブ(B−Raf阻害剤)及びトラメチニブ(MEK阻害剤)が、B−Raf V600E陽性黒色腫を持つ患者のために認可された。両薬物は、第3相試験において化学療法と比較して平均無進行生存期間を顕著に改善した。しかしながら、ベムラフィニブによる場合のように、これらの応答は短命であるとされる(Lancet(2012;380:358−365),N Engl J Med 2012;367:107−114)。多くの他の標的化療法と同様、B−Raf阻害への獲得抵抗性は、この患者集団における長期的な生存利益に対して治療的課題を提示する。
B−Raf阻害剤の利益を改善するため、黒色腫細胞を発現している変異型B−Rafをベムラフェニブに対して抵抗性にする機序を特定するための研究が続けられている。最近の研究は、MAPK経路の再活性化が、B−Raf阻害に対する抵抗の機序であることを示した。抵抗性機序は、主に、Ras/Raf依存性のいずれかであるバイパス機序を通したERKシグナル伝達の再活性化、例えば、N−Ras活性化(Nazarian et al,Nature.2010,468:973−7)、H−Ras活性化(Su et al,New England Journal of Medicine.2012,366:207−215)、またはC−Raf上方調節(Johannessen et al,Nature.2010,468:968−72、Montagut et al,Cancer Res.2008,68:4853−61)、異常にスプライシングされたB−Raf V600Eの変異型(Poulikakos et al,Nature.2011,480:387−390、またはRas/Raf依存性(Tpl2/COT過剰発現)Johannessen et al,Nature.2010,468:968−72を伴う。その結果、複数の機序が、B−Raf阻害がB−Raf変異型癌におけるMAPKシグナル経路に与える影響を弱力化し得る。B−Raf阻害に対する抵抗性を引き起こし得るB−Rafのゲートキーパー突然変異(T529I)は未だ臨床的に特定されていないが、かかる突然変異は抵抗性を引き起こすことが実験的に実証されている(Whittaker et al,Sci Transl Med.2010,2(35):ra41)。最近研究はまた、IGF−1RまたはPDGFRβなどのRTKによるMAPK余剰シグナル伝達経路の活性化が、B−Raf阻害に対する獲得抵抗性における役割を担い得ることを示した(Nazarian et al,Nature.2010,468:973−7、Villanueva et al,Cancer Cell.2010,18:683−95、Shi et al,Cancer Res.2011,71:5067−74)。MAPK再活性化がこれらの抵抗性機序の多くに関与することは明らかである。汎Raf阻害剤は、MAPK再活性化を遮断すると予期される。
加えて、ベムラフェニブ及びそのクローン類似体N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロフェニル]プロパン−1−スルホンアミド(PLX4720、市販の選択的B−Raf阻害剤)を含むB−Raf特異的阻害剤は、B−Raf 野生型背景における他のRafアイソフォームとの二量化を通した奇異性の経路活性化を誘導することが実証された(Hatzivassiliou G,et al.Nature,2010,464:431−435、Poulikakos et al,Nature,2010,464:427−430、Heidorn,et al,Cell,2010,140:209−221)。ベムラフェニブは、B−Raf野生型の結合及びB−Raf−C−Raf二量化の刺激を通してRaf/MEK/ERK経路を活性化すると考えられる。B−Raf特異的阻害によるこの奇異性の経路活性化は、ベムラフェニブによる治療を受けた一部の黒色腫患者における皮膚の副作用(扁平上皮細胞癌など)の主な理由であると考えられる。ベムラフェニブは、B−Raf野生型遺伝的背景を持つ癌患者の治療には認可されておらず、これは、この遺伝的背景におけるその奇異性の経路活性化に起因する。
化合物Aは、B−Raf V600よりも多くのRafキナーゼタンパク質のアイソフォームを阻害することができるRafキナーゼ阻害剤である。具体的には、化合物Aは、B−Raf、C−Raf、及びB−Raf V600E突然変異を阻害する(実施例1を参照)。その汎Raf活性に起因して、化合物Aは、共にB−Raf野生型遺伝的背景を持つN−Ras突然変異及びK−Ras突然変異などの上流シグナル伝達によるMAPK経路活性化を伴う腫瘍細胞に対して活性である。このため、化合物Aは、B−Raf突然変異(黒色腫、結腸直腸、肺(NSCLC)、卵巣、及び甲状腺癌腫など)またはN−Ras突然変異、B−Raf野生型(黒色腫、AML、CML、ALL、CLL、肝臓癌など)を伴う癌患者の治療に有望である(Schubbert et al,Nature Reviews Cancer,2007,7:295、Pylayeva−Gupta et al,Nature Reviews Cancer,2011,11:761)。化合物Aはまた、ベムラフェニブに対する抵抗性を発達させた黒色腫腫瘍細胞に対しても活性である。このため、化合物Aは、タキサンとの組み合わせで、ベムラフェニブまたは他のB−Raf阻害剤に失敗した黒色腫患者に対して有効であると考えられる。一部の実施形態では、化合物Aのパクリタキセルとの組み合わせは、最長の治療期間につながるより抵抗性の高い組み合わせである。本開示は、対象に本明細書に記載の薬学的組成物を投与することを含む、癌を患っている対象における治療への応答期間の延長方法に関する。
本開示は、癌を患っている対象を本明細書に記載の薬学的組成物によって治療するかどうかの決定方法に関し、該方法は、
a)腫瘍細胞を含む対象試料中の遺伝子突然変異と関マーカー連付けられる少なくとも1つ以上のB−Raf、N−Ras、及び/またはK−Rasの少なくとも1つの特徴を測定することと、
b)ステップa)で測定した少なくとも1つの特徴が、本薬学的組成物による治療時の結果について参考になるかどうかを特定することと、
c)この参考になる特徴が、腫瘍細胞が本薬学的組成物による治療に好都合な結果を示すB−Raf、N−Ras、及び/またはK−Ras突然変異状態を持つ少なくとも1つのマーカー遺伝子を含むことを示す場合に、対象を本薬学的組成物によって治療すると決定することと、を含む。
本開示は、癌を患っている対象を、対象に本明細書に記載の薬学的組成物を投与することによって治療する方法に関し、該方法は、
a)腫瘍細胞を含む対象試料中の遺伝子突然変異と関マーカー連付けられる少なくとも1つ以上のB−Raf、N−Ras、及び/またはK−Rasの少なくとも1つの特徴を測定することと、
b)ステップa)で測定した少なくとも1つの特徴が、本薬学的組成物による治療時の結果について参考になるかどうかを特定することと、
c)この参考になる特徴が、腫瘍細胞が本薬学的組成物による治療に好都合な結果を示すB−Raf、N−Ras、及び/またはK−Ras突然変異状態を持つ少なくとも1つのマーカー遺伝子を含むことを示す場合に、対象を本薬学的組成物によって治療すると決定することと、を含む。
本開示は、癌を患っている対象における請求項16または17に記載の薬学的組成物による治療の薬理的有効性の増加した可能性の決定方法に関し、該方法は、対象からの癌(腫瘍)試料からの核酸試料をB−Raf、N−Ras、またはK−Ras突然変異試験またはPCRに供することを含み、B−Raf、N−Ras、またはK−Ras遺伝子における少なくとも1つの突然変異の存在は、治療の薬理学的有効性の増加した可能性を示す。
本開示は、癌を患っている対象を、対象に本明細書に記載の薬学的組成物を投与することによって治療する方法に関し、該方法は、対象からの癌(腫瘍)試料からの核酸試料をB−Raf、N−Ras、またはK−Ras突然変異試験またはPCRに供することを含み、B−Raf、N−Ras、またはK−Ras遺伝子における少なくとも1つの突然変異の存在は、治療の薬理学的有効性の増加した可能性を示す。
本開示は、癌を有する対象の治療方法に関し、該方法は、
i)該対象からの癌試料からの核酸試料を得ることと、
ii)試料をB−Raf、N−Ras、またはK−Ras突然変異試験またはPCRに供することと、
B−Raf、N−Ras、またはK−Ras遺伝子における少なくとも1つの突然変異の存在を特定することと、
本明細書に記載の有効量の薬学的組成物を、B−Raf、N−Ras、またはK−Ras遺伝子における少なくとも1つの突然変異の存在が特定される試料が由来する対象に投与することと、を含む。
一部の実施形態では、マーカーにおける突然変異は、核酸、例えば、マーカー遺伝子、例えば、遺伝子型マーカー遺伝子と相関する、DNA、RNA、cDNA、またはタンパク質、例えば、B−RafまたはN−Rasの配列決定によって特定することができる。核酸を配列決定するためのいくつかの配列決定方法が当該技術分野で既知である。核酸プライマーを、可能性のある変異部位を含む領域に結合するように設計することができ、あるいは野生型配列ではなく変異型配列を補完するように設計することができる。プライマー対は、マーカー遺伝子における可能性のある突然変異を含む領域を括るように設計することができる。プライマーまたはプライマー対は、マーカー遺伝子に対応するDNAの一方または両方の鎖の配列決定に使用することができる。プライマーを、プローブ、例えば、核酸プローブ、例えば、ハイブリダイゼーションプローブと併用して、配列決定の前に目的の領域を増幅し、マーカー遺伝子における突然変異の検出のための配列量をブーストすることができる。配列決定し得る領域の例としては、遺伝子全体、遺伝子の転写産物、及び遺伝子または転写産物の断片、例えば、エクソンもしくは非翻訳領域、または変異部位を含むマーカーの部分のうちの1つ以上が挙げられる。プライマー選択及び配列または組成物分析を対象にする突然変異の例は、National Center for Biotechnology Information(Bethesda,MD)によって管理されているDatabase of Genotypes and Phenotypes(dbGaP)、及びWellcome Trust Sanger Institute(Cambridge,UK)によって管理されているCancer(COSMIC)データベース中のCatalogue of Somatic Mutationsなどの、突然変異情報を収集する公的なデータベースにおいて見出すことができる。
配列決定方法は当業者に既知である。方法の例としては、Sanger法、SEQUENOM(商標)法、及びNext Generation Sequencing(NGS)法が挙げられる。電気泳動、例えば、キャピラリー電気泳動を使用してプライマー伸長標識化DNA断片を分離することを含むSanger法は、ハイスループット用途に対して自動化することができる。プライマー伸長配列決定は、目的の領域のPCR増幅後に行うことができる。ソフトウェアが配列ベースコール及び突然変異特定を支援し得る。SEQUENOM(商標)MASSARRAY(登録商標)配列決定分析(San Diego,CA)は、目的位の特定の断片の実際の質量を予測質量と比較して突然変異を特定する質量分析法である。NGS技術(「超並列配列決定」及び「第2世代配列決定」とも呼ばれる)は、概して、従来の方法よりもはるかに高いスループットを提供し、様々なアプローチを使用する(Zhang et al.(2011)J.Genet.Genomics 38:95−109、及びShendure and Hanlee(2008)Nature Biotech.26:1135−1145において概説されている)。NGS法は、試料中のマーカーにおける頻度の低い突然変異を特定することができる。一部のNGS法(例えば、GS−FLX Genome Sequencer(Roche Applied Science,Branford,CT)、Genome分析器(Illumina,Inc.San Diego,CA)、SOLID(商標)分析器(Applied Biosystems,Carlsbad,CA)、Polonator G.007(Dover Systems,Salem,NH)、HELISCOPE(商標)(Helicos Biosciences Corp.,Cambridge,MA))は、環状アレイ配列決定を、フローセル及び様々なスキームにおいて空間的に分離されたPCR産物のクローン性増幅を用いてまたは用いずに使用して、配列決定酵素(例えば、ポリメラーゼまたはリガーゼ)によって組み込まれる標識した修飾ヌクレオチドを検出する。1つのNGS法においては、プライマー対をPCR反応で使用して目的の領域を増幅することができる。増幅された領域は、連結した産物にライゲーションすることができる。クローンライブラリがPCRまたはライゲーション産物からフローセル中で生成され、これは、ポリメラーゼが、標識された塩基の同一性に応じて、4つのチャネルのうちの1つにおいて撮像される標識された可逆的に末端処理された塩基を加えるときに、シングルエンド配列決定のために更に増幅され(「ブリッジ」またが「クラスター」PCR)、その後、次のサイクルのために除去される。ソフトウェアが、突然変異を特定するためのゲノム配列との比較を支援し得る。別のNGS法は、ゲノム中の全遺伝子のエクソンの配列決定に焦点を当てるエクソーム配列決定である。他のNGS法と同じように、エクソンは、捕捉方法または増幅方法によって強化することができる。
一部の実施形態では、DNA、例えば、野生型または変異型マーカーに対応するゲノムDNAは、当該技術分野で既知の方法を使用して生体試料においてインサイツ形式とインビトロ形式との両方によって分析することができる。DNAは、試料から直接単離するか、あるいは別の細胞成分、例えば、RNAまたはタンパク質を単離した後で単離し得る。DNA単離用キット、例えば、QIAAMP(登録商標)DNA Micro Kit(Qiagen,Valencia,CA)が利用可能である。DNAは、かかるキットを使用して増幅することもできる。
別の実施形態では、マーカーに対応するmRNAは、当該技術分野で既知の方法を使用して生体試料においてインサイツ形式とインビトロ形式との両方によって分析することができる。多くの発現検出本法は単離されたRNAを使用する。インビトロ法については、mRNAの単離に対して選択しない任意のRNA単離技法を腫瘍細胞からのRNAの精製に利用することができる(例えば、Ausubel et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York 1987−1999を参照)。加えて、多数の組織試料を、例えば、Chomczynskiの一段階RNA単離プロセス(1989、米国特許第4,843,155号)などの当業者に周知の技法を使用して容易に処理することができる。RNAは、標準的な手順(例えば、Chomczynski and Sacchi(1987)Anal.Biochem.162:156−159を参照)、溶液(例えば、トリゾール、TRI REAGENT(登録商標)(Molecular Research Center,Inc.,Cincinnati,OH、米国特許第5,346,994号を参照)、またはキット(例えば、QIAGEN(登録商標)Group RNEASY(登録商標)単離キット(Valencia,CA)またはLEUKOLOCK(商標)Total RNA Isolation System、Ambion division of Applied Biosystems,Austin,TX)を使用して単離することができる。
追加のステップを用いてRNA試料からDNAを除去してもよい。細胞融解は非イオン系界面活性剤によって達成され、この後マイクロ遠心分離を続け、核、つまり細胞DNAの大部分を除去することができる。続いて、DNA分析のためにDNAを核から単離し得る。一実施形態では、RNAは、チオシアン酸グアニジン融解、続いてRNAをDNAから分離するためのCsCl遠心分離を使用して、目的の様々な種類の細胞から抽出される(Chirgwin et al.(1979)Biochemistry 18:5294−99)。Poly(A)+RNAがオリゴ−dTセルロースによる選択によって選択される(Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning−−A Laboratory Manual(2nd ed.),Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照されたい)。あるいは、RNAのDNAからの分離は、有機抽出によって、例えば、ホットフェノールまたはフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを用いて達成することができる。所望の場合、RNAse阻害剤を融解緩衝液に添加してもよい。同様に、ある特定の細胞型については、タンパク質変性/消化ステップをプロトコルに加えることが望ましい場合がある。多くの用途に対しては、転移RNA(tRNA)及びリボソームRNA(rRNA)などの他の細胞RNAに対してmRNAを強化することが望ましい。大部分のmRNAは、その3’末端にてポリ(A)尾部を含む。これにより、それらを親和性クロマトグラフィーによって、例えば、セルロースまたはSEPHADEX.R(商標)培地などの固体支持体にカップリングしたオリゴ(dT)またはポリ(U)を使用して、強化することができるようになる(Ausubel et al.(1994)Current Protocols In Molecular Biology,vol.2,Current Protocols Publishing,New Yorkを参照されたい)。結合させたら、ポリ(A)+mRNAを、2mMのEDTA/0.1%のSDSを使用して親和性カラムから溶出させる。
例えば、試験対象から試料(例えば、腫瘍生検)を得た後での試料中のマーカーの特徴は、例えば核酸(例えば、RNA、mRNA、ゲノムDNA、またはcDNA)及び/または翻訳されたタンパク質の、例えばマーカーまたは複数のマーカーの特徴を検出または測定するための多種多様な周知の方法のいずれかによって評定することができる。かかる方法の非限定的な例としては、分泌タンパク質、細胞表面タンパク質、細胞質タンパク質、または核タンパク質の検出のための免疫学的方法、タンパク質精製法、タンパク質機能または活性アッセイ、核酸ハイブリダイゼーション法が挙げられ、かつ任意選択で、ミスマッチ、即ち、突然変異または変形領域を短くするための「ミスマッチ切断」ステップ(Myers,et al.(1985)Science 230:1242)及び結果として得られる短くなった断片からの突然変異または変異の分離及び特定、核酸逆転写法、ならびに核酸増幅法及び増幅産物の分析が挙げられる。これらの方法には、遺伝子アレイ/チップ技術、RT−PCR、例えばGLPによって認可された研究室条件下でのTAQMAN(登録商標)遺伝子発現アッセイ(Applied Biosystems,Foster City,CA)、インサイツハイブリダイゼーション、免疫組織化学、免疫ブロット、FISH(蛍光インサイツハイブリダイゼーション)、FACS分析、ノーザンブロット、サザンブロット、INFINIUM(登録商標)DNA分析Bead Chips(Illumina,Inc.,San Diego,CA)、定量的PCR、細菌人工染色体アッセイ、一塩基多型(SNP)アレイ(Affymetrix,Santa Clara,CA)、または細胞遺伝学的分析が含まれる。
2つの核酸間で少なくとも1つのヌクレオチドの差異を検出するための技法の例としては、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、既知の多形ヌクレオチドが中央に配置され(アレルまたは突然変異体特異的プローブ)、続いて完全マッチが見つかる場合にのみハイブリダイゼーションを許可する条件下で標的DNAにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを調製することができる(Saiki et al.(1986)Nature 324:163)、Saiki et al(1989)Proc.Natl Acad.Sci USA 86:6230、及びWallace et al.(1979)Nucl.Acids Res.6:3543)。かかるアレル特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技法は、N−Rasの異なる多型領域または変異領域におけるいくつかのヌクレオチド変化の同時検出に使用することができる。例えば、特定のアレル変異体または突然変異体のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを、固体支持体、例えば、ハイブリダイゼーション膜に結合させ、この支持体、例えば、膜を、その後、標識された試料核酸とハイブリダイズさせる。このようにして、ハイブリダイゼーションシグナルの分析により、試料核酸のヌクレオチドの同一性を明らかにすることができる。
別途定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を表す。本明細書に記載の方法及び物質と同様もしくは同等の任意の方法及び物質を本開示の実践または試験において使用することもできるが、好ましい方法、デバイス、及び物質を本明細書で説明する。本明細書で触れる全ての出版物は、例えば、本開示と関連して使用され得る出版物において報告される物質及び手順を説明及び開示する目的で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施例1:精製したRafキナーゼアイソフォームによるキナーゼ阻害アッセイ
化合物Aのキナーゼ活性を、WO 2009/006389に記載のように生化学的蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイを使用して決定した。突然変異型B−Raf V600E、野生型B−Raf、及び野生型C−Rafキナーゼについての化合物Aの最大半量阻害濃度(IC50)値を以下で表1に示す。化合物Aは、B−Rafキナーゼの不活性DFG−out構成に結合する。
実施例2:N−Ras突然変異型SK−MEL−2ヒト黒色腫異種移植片モデルにおけるインビボの腫瘍効能
試験化合物:
化合物AをPEG400中で製剤化し、懸濁液を透明な溶液が得られるまで温水槽中で超音波処理した。10mg/mLの溶液を、100%のPEG400でより低い用量に希釈した。
ドセタキセル[Taxotere(登録商標)(ドセタキセル)注射濃度、エタノール/Tween 80中20mg/mL]を1.5mg/mLに生理食塩水で希釈した。マウスにおける製剤化の限界により、ドセタキセルのみ非臨床的試験で使用した。
100%のPEG400(ビヒクル1)及びWFI中10%のHPBCD/1%のNaHCO3(ビヒクル2)という2つのビヒクルを、ビヒクル群のマウスに同時に投与した(0.05mL/10g BW)。
腫瘍測定:
腫瘍サイズ及び体重を、治療の初日に開始して週2回測定した。動物をその腫瘍が約2000mm3に達したときに屠殺し、研究を治療開始後62日目に終了した。
腫瘍成長の阻害を、治療開始後20日目のTGIパーセント(ビヒクル群のMTV−治療群のMTV)/ビヒクル群のMTVを算出することによって決定した。治療群及びビヒクルの間の腫瘍成長の統計的比較を、ΔAUCに対する線形混合効果回帰分析を使用して実施した。
統計的分析
ビヒクル対照と治療群との間の経時的な腫瘍成長傾向における差異を線形混合効果回帰モデルを使用して評定した。これらのモデルは、各動物を複数の時点で測定したことを考慮に入れる。モデルを比較のために適合させ、対照群及び治療群についての腫瘍体積対時間曲線下面積(AUC)を、モデルから予測した値を使用して算出した。統計的に有意なp値は、2つの群(ビヒクル及び治療)についての経時的な傾向が異なったことを示唆する。
全ての腫瘍体積に、対数
10変換の前に1の値を加えた。これらの値を治療群に渡って比較して、経時的な傾向の差異が統計的に有意であったかどうかを評定した。治療群の対を比較するために、以下の混合効果線形回帰モデルを、最尤法を使用してデータに適合させた。
式中、Yijkは、i番目の治療におけるk番目の動物のj番目の時点での対数10であり、Yi0kは、i番目の治療におけるk番目の動物における0日目(基線)の対数10腫瘍値であり、j日目は、平均中心時点であり、(along with day2 j)は、連続型変数として扱われ、eijkは、残余誤差である。同じ動物に対する経時的な反復測定を説明するために、空間的べき乗共分散マトリックスを使用した。相互作用項及びday2 j項を、統計的に有意でなかった場合には除去した。
尤度比試験を使用して、治療群の所与の対が、統計的に有意な差異を呈したかどうかを評定した。完全モデルの−2対数尤度を、一切の治療項を持たないもの(縮小モデル)と比較し、値の差を、カイ二乗試験を使用して試験した。検定の自由度を、完全モデルの自由度と縮小モデルの自由度との間の差異として算出した。
対数腫瘍値における予測された差異(対数
10として解釈され得るY
ijk−Y
i0k(0日目からの倍数変化))は、各治療群についての平均AUC値を算出するために上のモデルから取った。次にdAUC値を以下のように算出した。
これはAUCctlが正であったと仮定した。AUCctlが負であった場合には、上式に−1を乗じた。
相乗効果分析のため、対数腫瘍値における観察された差異を使用して、各動物についてのAUC値を算出した。治療群の動物を研究から除去した場合には、最後に観察された腫瘍値を全ての後続時点に持ち越した。対照、またはビヒクル群についてのAUCを、上記の対モデルから予測した値を使用して算出した。相乗効果の測定値を以下のように定義した。
式中、Ak及びBkは個別治療群におけるk番目の動物であり、ABkは組み合わせ治療群におけるk番目の動物である。AUCctlは、対照群についてのモデル予測AUCであり、変動のない定数として扱った。相乗効果スコアの標準誤差を、A群、B群、及びAB群にかけての二乗標準誤差の合計の平方根として算出した。自由度を、Welch−Satterthwaite方程式を使用して推定した。仮説検定を行って、相乗効果スコアが0とは異なったかどうかを決定した。P値を、相乗効果スコアをその標準誤差で除すことによって算出し、上で算出した自由度を用いてt分布(両側)に対して試験した。
効果を4つの異なるカテゴリーに分類した。相乗効果スコアが0未満であった場合に相乗的であるとみなし、相乗効果スコアが0とは統計的に異ならなかった場合に相加的とみなした。相乗効果スコアがゼロを超えるが、組み合わせの平均AUCが2つの単剤治療間の最低平均AUCよりも低かった場合、その組み合わせは準相加的であった。相乗効果スコアがゼロを超え、かつ組み合わせの平均AUCが単剤治療のうちの少なくとも1つの平均AUCよりも大きい場合、その組み合わせは拮抗的であった。
間隔解析は、要求される場合には、別の治療群及び時間間隔と比較した特定の治療群及び時間間隔に関与する。所与の群については、時間間隔、及び動物、1日当たりの腫瘍成長を、
によって推定し、式中、ΔYは、目的の間隔にかけての対数10腫瘍体積における差異であり、Δtは、時間間隔の長さである。時点の一方または両方が欠けている場合には、その動物は無視した。次に、動物に渡る平均率を、不等分散を用いる両側不対t検定を使用して比較した。検査した複数の比較及びエンドポイントに予め指定された調整はなかった。0.05未満の全てのp値を統計的に有意であるとした。相乗効果分析:p>0.05=相加的;p<0.05及びスコア<0=相乗的;p<0.05、スコア>0、及び組み合わせ成長率が両方の単剤成長速率より低い=準相加的;p<0.05、スコア>0、及び組み合わせ成長率が単剤成長率の少なくとも1つより高い=拮抗的。
結果
化合物A(12.5mg/kg QDまたは50mg/kg BIW)とドセタキセル(IV、7.5mg/kg QW、TGI=それぞれ92.7%または91.3%)との併用療法は単剤療法を上回る治療的利点をもたらし、2つの薬剤の相互作用は相加的であった。12.5mg/kg QDの化合物A及び7.5mg/kg Qのドセタキセルで治療した組み合わせ群では、2匹が完全腫瘍退縮であり、その1匹は研究終了時に無腫瘍のままであった。この研究についての詳細は以下で表2に示す。
実施例3:マーカーの測定方法
B−Raf PCRに基づくアッセイ(供給業者:Qiagen、カタログ番号:870801)
B−Raf RGQ PCR Kit v2は、ARMS(登録商標)及びScorpions(登録商標)という2つの技術を組み合わせて、リアルタイムPCRアッセイにおいて突然変異を検出する。このアッセイは、B−Raf V600突然変異V600E(GAG)及びV600E複合体(GAA)、V600D(GAT)、V600K(AAG)、V600R(AGG)を検出する。このキットは、V600E(GAG)及びV600E複合体(GAA)の存在を検出するが、それら同士を区別はしない。
ARMS
特定の突然変異配列を、突然変異型DNAと一致するように設計されたアレル特異的プライマーによって選択的に増幅する。
Scorpions
増幅の検出はScorpionsを使用して行う。Scorpionsは、蛍光標識したプローブに共有結合するPCRプライマー(即ち、FAM(商標)またはHEX(商標))、及び消光剤である。プローブをアンプリコンに結合させるPCR中、フルオロフォア及び消光剤は分離した状態となり、これが蛍光シグナルの増加をもたらす。
手順
B−Raf RGQ PCR Kit v2は、二段階の手順を含む。第1のステップでは、対照アッセイを行って、試料中の増幅可能な全B−Raf DNAを評定する。第2のステップでは、突然変異及び対照アッセイを行って、突然変異型DNAの存否を決定する。
・対照アッセイ
FAMで標識した対照アッセイを使用して、試料中の増幅可能な全B−Raf DNAを評定する。対照アッセイは、B−Raf遺伝子のエクソン3の領域を増幅する。プライマー及びScorpionプローブは、いずれの既知のB−Raf多形性とも無関係に増幅するように設計される。
・突然変異アッセイ
各突然変異アッセイは、野生型DNAと特異的突然変異型DNAとを区別するために、FAMで標識したScorpionプローブ及びARMSプライマーを含む。
データ分析:ΔCt法
Scorpionsリアルタイムアッセイは、反応開始時に存在する標的分子の目安として、バックグラウンドシグナルを超える蛍光シグナルを検出するのに必要なPCR周期の数を使用する。シグナルがバックグラウンド蛍光を超えて検出される点を「周期閾値」(Ct)と呼ぶ。
試料のΔCt値は、同じ試料からの突然変異アッセイCtと対照アッセイCtとの間の差異として算出される。試料は、それらがそのアッセイに対するカットオフΔCt値を下回るΔCtを付与する場合に、突然変異陽性として分類される。この値を上回ると、試料は本キットによって検出することができるパーセンテージを下回る(アッセイの限界を超える)突然変異を含むか、あるいは試料は突然変異陰性である。
ARMSプライマーを使用する際には、多少の非効率的なプライミングが生じ得、これが、突然変異を含まないDNAからの極めて遅い背景Ctを付与する。バックグラウンド増幅から算出した全てのΔCt値は、カットオフΔCt値を上回り、試料は突然変異陰性と分類される。
各試料について、ΔCt値を以下のように算出することで、突然変異及び対照Ct値が同じ使用に由来することを確実にする。
ΔCt={試料突然変異Ct}−{試料対照Ct}
試料対照Ctは27〜33の範囲であり得る。
試料突然変異Ctは15〜40の範囲であり得る。
突然変異コールに許容されるΔCtは、6または7未満である。
N−Ras突然変異の測定方法は、B−Rafについて上に記載した方法と同様である。N−Ras Q61突然変異の検出のためのQiagen N−Rasアッセイは以下を含む。
Q61K(181 C>A)
Q61R(182 A>G)
K−Ras突然変異の測定方法は、容易に利用可能である。例えば、Qiagen TheraScreen(登録商標)K−Ras突然変異キット。
実施例4:KRAS変異型肺癌モデルにおける化合物A及びドセタキセルの組み合わせ
化合物A及びドセタキセルの組み合わせを、Calu−6肺癌モデル(KRASQ61K)及びA549肺癌モデル(KRASG12S)を含むKRAS変異型肺癌モデルにおいて評価した。Calu−6肺癌モデルの結果を以下に記載する。A549モデルにおいては、組み合わせは、単剤より優れた活性は示さなかった。
Calu−6モデルについては、化合物Aは、以下のように100%のPEG400製剤化した。
1.10.0mg/mLの化合物A:4.0mL
−40.40mgの化合物A粉末を秤量した。
−粉末を4mLの100%のPEG400中に添加した。
−化合物A粒子が残らなくなるまで超音波処理し、溶液を得た。
−使用まで室温にて保管した。
2.2.5mg/mLの化合物A:20.0mL
−50.51mgの化合物A粉末を秤量した。
−粉末を20mLの100%のPEG400中に加えた。
−薬物粒子が残らなくなるまで超音波処理し、溶液を得た。
−使用まで室温にて保管した。
ドセタキセル(例えば、Taxotere Injection Concentrate,Sanofi−Aventis U.S.LLC)を、以下のように0.9%の生理食塩水中で製剤化した。
1.0.75mg/mLのタキソテール:8mL
−0.3mLのTaxotere Injection Concentrate(20mg/mL)を遠心分離管に加えた。
−7.7mLの通常の生理食塩水を加え、手で混合した。
−管を光から保護して保ち、4時間以内に使用した。
2.0.50mg/mLのタキソテール:6mL
−0.15mLのTaxotere Injection Concentrate(20mg/mL)を遠心分離管に加えた。
−5.85mLの通常の生理食塩水を加え、手で混合した。
−管を光から保護して保ち、4時間以内に使用した。
ドセタキセルの代わりにTaxotere Injection Concentrateを生データの記録に使用した。
ビヒクル治療群の動物に100%のPEG400を与えた。ビヒクルまたは化合物の服用量は、POに対しては体重1kg当たり5mL、IV投与に対しては10mL/kgであった。
この研究で使用した動物は、Balb/cヌード雌マウス(Shaghai SINO−British SIPPR/BK Lab Animal Ltd)であった。1群当たりの動物の数は7頭であった。0日目のマウスの年齢は9週であった。0日目の群平均体重は20.1〜21.5gであった。
表3は、研究で使用した各治療群のための投薬レジメンを示す。
各動物に、腫瘍モデル発達のために2×106のCalu−6腫瘍細胞(0.1mL中、マトリゲルと1:1)を右側腹に接種した。体重及び腫瘍成長を週に2回監視した。腫瘍サイズを、ノギスを使用し、式V=W2×L/2(式中、腫瘍異種移植片について、V=体積、W=幅、及びL=長さ)を適用して、0.1mmの位に測定した。異種移植片を、それらが接種後14日で約220mm3の平均サイズに達するまで成長させた。適当なサイズの異種移植片を担持するマウスを上の表に示した群のうちの1個に無作為に割り当て、その割り当てられた試験物質、ビヒクル(100%のPEG400)、化合物A(12.5または50mg/kgにて)、ドセタキセル(5または7.5mg/kgにて)、または化合物A/ドセタキセルの組み合わせのいずれかによる治療を開始した。
腫瘍サイズ及び体重を、動物のグループ分けの日に開始して週に2回測定した。研究を治療開始後35日目に終了した。
腫瘍成長の阻害を、研究の21日目のTGIパーセント[(ビヒクル群のMTV−治療群のMTV)/ビヒクル群のMTV]を算出することによって決定した。治療群及びビヒクルの間の腫瘍成長の統計的比較を、ΔAUCに対する線形混合効果回帰分析を使用して実施した。
統計的試験
デルタAUC
ビヒクル対照と治療群との間の経時的な腫瘍成長傾向における差異を線形混合効果回帰モデルを使用して評定した。これらのモデルは、各動物を複数の時点で測定したことを考慮に入れる。モデルを比較のために適合させ、対照群及び治療群についての腫瘍体積対時間曲線下面積(AUC)を、モデルから予測した値を使用して算出した。統計的に有意なp値は、2つの群(ビヒクル及び治療)についての経時的な傾向が異なったことを示唆する。0.05未満のp値を統計的に有意とみなした。一対比較に関する更なる詳細は、実施例2に提供する。
併用治療の効果が、個々の治療と比べて相乗的、相加的、準相加的、または拮抗的であるかの問題を解決するために、組み合わせスコア算出を使用した。効果は、相乗効果スコアが0未満であった場合に相乗的であるとみなし、相乗効果スコアが0とは統計的に異ならなかった場合に相加的とみなした。相乗効果スコアが0を超えるが、組み合わせの平均AUCが2つの単剤治療間の最低平均AUCよりも低かった場合、その組み合わせは準相加的であった。相乗効果スコアがゼロを超え、かつ組み合わせの平均AUCが単剤治療のうちの少なくとも1つの平均AUCよりも大きい場合、その組み合わせは拮抗的であった。