JP2018501581A - 多重化画像における血管解析 - Google Patents

多重化画像における血管解析 Download PDF

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Abstract

多重化画像(101)において脈管を解析するシステム(100)及び方法は、スポーク特徴検出方法(113)を使用して大脈管を検出することと、ライン特徴検出方法(114)を使用して長く狭い脈管を検出することと、マスクを生成するローリングボールフィルタ処理及び二値画像操作を使用して、小脈管を検出すること(115)と、品質測定及び他の閾値を使用して、これらの操作から得られるあらゆる輪郭の多角形を評価することとを含む。成熟度決定(117)及び核検出(118)も実施されて、多重スペクトル画像の改良された解析を可能にする、脈管特性及びコロケーションの出力がもたらされる。

Description

関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2015年12月15日付けの米国仮特許出願第62/267,714号の出願日の利益、及び2014年12月29日付けの米国仮特許出願第62/097,419号の出願日の利益を主張し、それらの開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
[0002]本開示は、多重化画像における血管構造を検出し分類するシステム及び自動化した解決策を提供する。
[0003]脈管形成は、新しい血管が形成されるプロセスである。脈管形成は、新血管新生とも呼ばれ、通常、胚形成及び発達の間に起こり、完全に発達した生物では、創傷治癒及び胎盤発達の間に起こる。それに加えて、脈管形成は、新血管新生による糖尿病性網膜症及び黄斑変性症などの眼疾患、リウマチ性関節炎及び炎症性腸疾患などの組織炎症と関連付けられる状態、並びに成長する腫瘍の血管形成によって腫瘍細胞に酸素及び栄養が供給されるとともに、腫瘍細胞が全身に転移する経路がもたらされるがんを含む、様々な病的状態で起こる。
[0004]成長のためには、腫瘍は脈管形成スイッチを経なければならない。この脈管形成スイッチを誘発するには、血管内皮増殖因子(VEGF)が必要とされる。VEGF、及びVEGF経路内の遺伝子は、がん進行の重要なメディエータと見なされる。腫瘍の微環境における微小血管新生は、腫瘍成長を支援する栄養分を受け取るがん組織によって誘発される、新しい微小脈管の発生を反映することがある。それに加えて、微小脈管の密度は腫瘍成長を示す。
[0005]がん細胞の成長及び転移におけるこの経路の重要性は、がん治療で使用される脈管形成阻害薬の開発に結び付いている。これらの治療としては、中でも特に、ベバシズマブ、ペガプタニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、及びバタラニブが挙げられる。かかる薬剤を用いた治療に反応する可能性がある患者の特定は、がんを患った患者の治療における重要なステップである。
多重化画像における血管解析を提供する。
[0006]本開示の一態様は、脈管を特定し分類するコンピュータデバイスであって、1つ又は複数のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備え、少なくとも1つのメモリが、1つ又は複数のプロセッサによって実行され1つ又は複数のプロセッサに、複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて、それぞれ大脈管、長く狭い脈管、もしくは小脈管であってもよい1つ又は複数の脈管を検出させ、検出された1つ又は複数の脈管を血管もしくはリンパ管として分類させ、並びに/あるいは1つ又は複数の検出された脈管それぞれの成熟度を特定させる非一時的コンピュータ可読命令を記憶する。
[0007]いくつかの実施形態では、大脈管の検出は、高ピクセル強度値の輪郭によって取り囲まれた低ピクセル強度値の内部領域を有する管腔を特定することを含む。いくつかの実施形態では、高ピクセル強度値の輪郭によって取り囲まれた低ピクセル強度値の内部領域を有する管腔の特定は、脈管チャネル画像の暗い領域と脈管チャネル画像の比較的明るい領域とのコントラストを評価することを含む。いくつかの実施形態では、大脈管の検出は、特定された管腔の境界を決定することを含む。いくつかの実施形態では、特定された管腔の境界は、(a)特定された管腔のほぼ中心に、スポークの中心から径方向で延在する複数のアームをそれぞれ有するスポークを配置し、(b)各アームに沿ったピクセル強度及びスポーク中心におけるピクセル強度を評価し、(c)コントラスト閾値(例えば、経験的に決定されたコントラスト閾値)を満たしている場合にスポークを保持し、(d)保持されたスポークに基づいて輪郭の多角形(例えば、生成された多角形が特定された管腔の境界に近似する場合)を生成することによって決定される。
[0008]いくつかの実施形態では、長く狭い脈管の検出は、(i)脈管チャネル画像の複数の重なり合う領域において、局所的に直線の構造(例えば、ライン)を検出することと、(ii)親和性閾値を満たす重なり合う領域から検出された局所構造をグループ化することとを含む。いくつかの実施形態では、親和性閾値を満たす重なり合う領域から検出されたそれらの局所的に直線の構造のグループ化は、(i)2つの隣接した局所構造間の距離及び角度を評価することによって、重なり合う領域における2つの隣接した局所構造間の親和性を計算することと、(ii)計算された親和性を親和性閾値と比較することとを含む。いくつかの実施形態では、輪郭の多角形は、グループ化された構造から生成されて、脈管を幾何学形状的に表す。
[0009]いくつかの実施形態では、小脈管の検出は、(i)周囲の背景の強度よりも高強度であるピクセルを含む二値マスクを生成することと、(ii)生成された二値マスク内のピクセルを接続することと、(iii)接続されたピクセルのサイズが小脈管の閾値サイズを満たすか否かを評価することとを含む。いくつかの実施形態では、二値マスクの生成は、(a)脈管チャネル画像における複数のピクセルの中からピクセルを選択することと、(b)選択されたピクセルそれぞれを取り囲むピクセルの強度の平均値を測定することと、(c)選択されたピクセルを取り囲むピクセルの強度の測定された平均値それぞれを、選択されたピクセルそれぞれの強度値から減算することと、(d)減算された値を背景強度閾値と比較することと、(e)減算された値の強度が背景強度を上回っているピクセルを二値マスクに追加することとを含む。いくつかの実施形態では、生成された二値マスク内のピクセルは、接続された成分の標識付けプロセスを使用して接続される。いくつかの実施形態では、輪郭の多角形は接続された成分から生成される。
[0010]いくつかの実施形態では、検出された1つ又は複数の脈管の分類は、複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて重なり合う脈管を特定することを含む。いくつかの実施形態では、重なり合わない検出された脈管は、脈管チャネル画像における染料又は生物マーカー信号に基づいて分類される。いくつかの実施形態では、検出された脈管の成熟度を推定する命令が提供される。いくつかの実施形態では、検出された脈管の成熟度の推定は、検出された脈管の周りに位置する生成された内環と生成された外環との平均ピクセル強度の差を評価することを含む。いくつかの実施形態では、生成された内環及び外環は、抗平滑筋抗体で染色された組織の信号にその強度が対応するピクセルを含む。いくつかの実施形態では、核を検出する命令が提供される。
[0011]本開示の別の態様は、脈管を検出し解析するコンピュータ実装方法であって、複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて、それぞれ大脈管、長く狭い脈管、もしくは小脈管であってもよい1つ又は複数の脈管を検出するステップと、検出された1つ又は複数の脈管を血管もしくはリンパ管として分類するステップと、並びに/あるいは1つ又は複数の検出された脈管それぞれの成熟度を特定するステップとを含む。
[0012]いくつかの実施形態では、大脈管を検出するステップは、高ピクセル強度値の輪郭によって取り囲まれた低ピクセル強度値の内部領域を有する管腔を特定するステップを含む。いくつかの実施形態では、高ピクセル強度値の輪郭によって取り囲まれた低ピクセル強度値の内部領域を有する管腔を特定するステップは、脈管チャネル画像の暗い領域と脈管チャネル画像の比較的明るい領域とのコントラストを評価するステップを含む。いくつかの実施形態では、大脈管を検出するステップは、特定された管腔の境界を決定するステップを含む。いくつかの実施形態では、特定された管腔の境界は、(a)特定された管腔のほぼ中心に、スポークの中心から径方向で延在する複数のアームをそれぞれ有するスポークを配置し、(b)各アームに沿ったピクセル強度及びスポーク中心におけるピクセル強度を評価し、(c)コントラスト閾値を満たしているスポークを保持し、(d)保持されたスポークに基づいて輪郭の多角形を生成することによって決定される。
[0013]いくつかの実施形態では、長く狭い脈管を検出するステップは、(i)脈管チャネル画像の複数の重なり合う領域において、局所的なラインを検出するステップと、(ii)親和性閾値を満たす重なり合う領域から検出された局所的なラインをグループ化するステップとを含む。いくつかの実施形態では、親和性閾値を満たす重なり合う領域から検出された局所的なラインをグループ化するステップは、(i)2つの隣接した局所的なライン間の距離及び角度を評価することによって、重なり合う領域における2つの隣接した局所的なライン間の親和性を計算するステップと、(ii)計算された親和性を親和性閾値と比較するステップとを含む。いくつかの実施形態では、輪郭の多角形は、グループ化されたラインから生成される。
[0014]いくつかの実施形態では、小脈管を検出するステップは、(i)周囲の背景の強度よりも高強度であるピクセルを含む二値マスクを生成するステップと、(ii)生成された二値マスク内のピクセルを接続するステップと、(iii)接続されたピクセルのサイズが小脈管の閾値サイズを満たすか否かを評価するステップとを含む。いくつかの実施形態では、二値マスクを生成するステップは、(i)複数のピクセルの中からピクセルを選択するステップと、(ii)選択されたピクセルそれぞれを取り囲むピクセルの強度の平均値を測定するステップと、(iii)選択されたピクセルを取り囲むピクセルの強度の測定された平均値それぞれを、選択されたピクセルそれぞれの強度値から減算するステップと、(iv)減算された値を背景強度閾値と比較するステップと、(v)減算された値の強度が背景強度を上回っているピクセルを二値マスクに追加するステップとを含む。いくつかの実施形態では、生成された二値マスク内のピクセルは、接続された成分の標識付けプロセスを使用して接続される。いくつかの実施形態では、接続された成分は輪郭の多角形を生成するために使用される。
[0015]いくつかの実施形態では、検出された1つ又は複数の脈管を分類するステップは、複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて重なり合う脈管を特定するステップを含む。いくつかの実施形態では、重なり合わない検出された脈管は、染料信号に基づいて分類される。いくつかの実施形態では、方法は、検出された脈管の成熟度を推定するステップを更に含む。いくつかの実施形態では、検出された脈管の成熟度を推定するステップは、検出された脈管の周りに位置する内環と外環との平均ピクセル強度の差を評価するステップを含む。いくつかの実施形態では、内環及び外環は、抗平滑筋抗体で染色された組織の信号にその強度が対応するピクセルを含む。いくつかの実施形態では、方法は、核を検出するステップを更に含む。
[0016]本開示の別の態様は、脈管を特定し分類するコンピュータデバイスであって、1つ又は複数のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備え、少なくとも1つのメモリが、1つ又は複数のプロセッサに、(i)スポーク特徴検出モジュール、ライン特徴検出モジュール、及び小脈管検出モジュールの少なくとも1つで、複数の脈管チャネル画像それぞれから1つ又は複数の脈管を検出する命令を実行させ、(ii)脈管分類モジュールで、検出された1つ又は複数の脈管を血管もしくはリンパ管として分類する命令を実行させ、並びに/あるいは(iii)成熟度決定モジュールで、1つ又は複数の検出された脈管の成熟度を決定する命令を実行させるように1つ又は複数のプロセッサによって実行される非一時的コンピュータ可読命令を記憶する。いくつかの実施形態では、コンピュータデバイスは、核検出モジュールで、細胞核を特定する命令を更に実行する。
[0017]本開示の別の態様は、標本アナライザであって、標本アナライザは、(i)1つ又は複数のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備える、脈管を特定し分類するコンピュータデバイスであって、少なくとも1つのメモリが、1つ又は複数のプロセッサによって実行され1つ又は複数のプロセッサに、複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて、それぞれ大脈管、長く狭い脈管、もしくは小脈管であってもよい1つ又は複数の脈管を検出させ、検出された1つ又は複数の脈管を血管もしくはリンパ管として分類させ、1つ又は複数の検出された脈管それぞれの成熟度を特定させる非一時的コンピュータ可読命令を記憶する、コンピュータデバイスと、(ii)撮像装置とを備える。
[0018]本開示の別の態様は、脈管を特定し分類するコンピュータデバイスであって、1つ又は複数のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備え、少なくとも1つのメモリが、1つ又は複数のプロセッサによって実行され1つ又は複数のプロセッサに、(i)少なくとも1つの脈管チャネルを含む画像において検出された管腔の境界を第1の脈管タイプと関連付けさせ、(ii)画像の対応する複数の領域で観察される複数の局所的に直線の構造を第2の脈管タイプと関連付けさせ、第1の脈管タイプは大きい径を有する脈管を表し、第2の脈管タイプは長く狭い脈管を表す、非一時的コンピュータ可読命令を記憶する。
[0019]本開示の別の態様は、脈管を特定し分類するコンピュータデバイスであって、1つ又は複数のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備え、少なくとも1つのメモリが、1つ又は複数のプロセッサによって実行され1つ又は複数のプロセッサに、多重化画像から導き出される血管チャネル画像において検出される第1の脈管を表す第1の多角形を生成させ、多重化画像から導き出されるリンパ管チャネル画像において検出される第2の脈管を表す第2の多角形を生成させ、血管チャネル画像及びリンパ管チャネル画像を結合させ、第1の生成された多角形が、重なり閾値因子の分第2の生成された多角形と重なり合っていると決定したとき、第1及び第2両方の生成された多角形をリンパ管として分類し、第1の生成された多角形が、重なり閾値因子の分第2の生成された多角形と重なり合っていないと決定したとき、第1の生成された多角形を血管として、第2の生成された多角形を純粋なリンパ管として分類する、非一時的コンピュータ可読命令を記憶する。
[0020]本開示の別の態様は、脈管を特定し分類するコンピュータデバイスであって、1つ又は複数のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備え、少なくとも1つのメモリが、1つ又は複数のプロセッサによって実行され1つ又は複数のプロセッサに、脈管管腔内に位置するスポークに基づいて、画像の脈管チャネルにおける1つ又は複数の大脈管を検出させ、画像における複数の隣接したラインのグループ化に基づいて、脈管チャネルにおける1つ又は複数の狭い脈管を検出させ、画像に適用される二値マスクに基づいて1つ又は複数の小脈管を検出させる非一時的コンピュータ可読命令を記憶する。
[0021]本開示の別の態様は、脈管を特定するコンピュータ実装方法であって、二次的な動脈樹構造(secondary arterial tree structures)及び毛細管を形成する脈管を含む、大脈管と呼ばれる第1のタイプ、毛細血管又は新しく形成された脈管を含む、長く狭い脈管と呼ばれる第2のタイプ、成熟した動脈及び静脈を含む、小脈管と呼ばれる第3のタイプという、3つの異なるタイプのうち少なくとも1つの脈管を特定するため、組織試料の複数のデジタル画像それぞれを解析するステップと、特定された脈管を血管もしくはリンパ管として分類するため、特定された脈管を解析するステップと、1つ又は複数の検出された脈管それぞれの成熟度を特定するステップとを含む。いくつかの実施形態では、第1のタイプの脈管を検出するステップは、管腔ピクセル領域が、ピクセル強度が境界領域のピクセル強度を下回るピクセル領域であり、管腔及び境界ピクセル領域が複数のデジタル画像のうち同じ画像もしくは異なる画像内にあり、管腔ピクセル領域が境界ピクセル領域によって取り囲まれるという条件を満たす、管腔ピクセル領域及び境界ピクセル領域を特定するため、複数のデジタル画像のうち1つ又は複数の強度コントラストを評価するステップと、境界ピクセル領域によって取り囲まれる特定された管腔ピクセル領域を、特定された大脈管として返すステップとを含む。
[0022]いくつかの実施形態では、特定された管腔の境界を検出するステップは、(a)特定された管腔のほぼ中心に、スポークの中心から径方向で延在する複数のアームをそれぞれ有するスポークを配置し、(b)各アームに沿ったピクセル強度及びスポーク中心におけるピクセル強度を評価し、(c)コントラスト閾値を満たしている場合に選択的にスポークを保持し、(d)保持されたスポークから輪郭の多角形を生成することによって決定される。いくつかの実施形態では、コントラスト閾値を満たすスポークを保持するステップは、デジタル画像の少なくとも1つに関して、スポーク中心の強度値を特定するステップと、全てのアームからの最大強度値及びスポーク中心の強度値の中央値を特定するステップと、全てのアームからの最小強度値及びスポーク中心の強度値の中央値を特定するステップと、i)全ての最大強度値の中央値がスポーク中心の強度値よりも大きい少なくとも第1の閾値(T1)であるかを決定するステップと、ii)全ての最小強度値の中央値がスポーク中心の強度値よりも小さい第2の閾値(T2)以下であるかを決定するステップと、i)及びii)の決定が真を返した場合に、選択的にスポークを保持し、輪郭の多角形を生成するために使用するステップとを含む。
[0023]いくつかの実施形態では、輪郭の多角形を生成するスポークは、スポークのアームそれぞれにおいて、最高強度値を有するピクセルを特定するステップと、特定されたピクセルを接続して多角形を形成するステップとを含む。
[0024]いくつかの実施形態では、第2のタイプの脈管を検出するステップは、(i)デジタル画像の少なくとも1つの複数の重なり合う領域におけるライン部分を検出するステップと、(ii)互いに対する親和性閾値を満たす重なり合う画像領域からの検出されたライン部分をグループ化するステップであって、グループ化が凝集クラスタ化処置(agglomerative clustering procedure)において優先的に行われる、ステップと、(iii)グループ化されたラインを第2のタイプの検出された脈管として返すステップとを含む。いくつかの実施形態では、グループ化は、(i)2つの隣接したライン部分間の距離及び角度を評価することによって、重なり合う領域における2つの隣接したライン部分間の親和性を計算するステップと、(ii)ライン部分のうち互いに対する親和性が親和性閾値を上回るものを1つのグループに選択的にグループ化するため、計算された親和性を親和性閾値と比較するステップとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、グループ化されたラインセグメントから輪郭の多角形を生成するステップを更に含む。
[0025]いくつかの実施形態では、方法は、第2のタイプの特定された脈管に含まれるピクセルのエントロピーを特定し、決定されたエントロピーをエントロピー閾値と比較し、決定されたエントロピーがエントロピー閾値よりも高い場合に第2の脈管タイプの特定された脈管を廃棄するステップ、あるいは、特定された脈管から距離閾値よりも遠くにある画像範囲に含まれるピクセルの平均強度を特定し、決定された平均強度を強度閾値と比較し、決定された平均強度が強度閾値よりも高い場合に第2の脈管タイプの特定された脈管を廃棄するステップを更に含む。
[0026]いくつかの実施形態では、第3のタイプの脈管を検出するステップは、(i)周囲の背景のピクセル強度よりも高強度のピクセルを含む二値マスクを生成するステップと、(ii)生成された二値マスク内のピクセルを接続するステップと、(iii)接続されたピクセルのサイズが小脈管の閾値サイズを満たすか否かを評価するステップとを含む。
[0027]いくつかの実施形態では、二値マスクを生成するステップは、デジタル画像の少なくとも1つに関して、(i)少なくとも1つのデジタル画像における複数のピクセルの中からピクセルを選択するステップと、(ii)選択されたピクセルそれぞれを取り囲むピクセルの強度の平均値を測定するステップと、(iii)選択されたピクセルを取り囲むピクセルの強度の測定された平均値それぞれを、選択されたピクセルそれぞれの強度値から減算するステップと、(iv)減算された値を背景強度閾値と比較するステップと、(v)減算された値の強度が背景強度閾値を上回っているピクセルを二値マスクに追加するステップとを含む。いくつかの実施形態では、生成された二値マスク内のピクセルは、接続された成分の標識付けプロセスを使用して接続される。いくつかの実施形態では、検出された1つ又は複数の脈管を分類するステップは、複数の脈管チャネル画像それぞれにおける重なり合う脈管を特定するステップと、脈管を血管もしくはリンパ管として分類するため、重なり合わない検出された脈管のピクセル強度値を解析するステップであって、ピクセル強度が、血管もしくはリンパ管のどちらかに特異的である生物マーカーを選択的に染色する染料の染色強度と相関する、ステップとを含む。
[0028]いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出された脈管それぞれの成熟度を特定するステップは、特定された脈管それぞれを、内環及び外環を備える同心環構造と重ね合わせるステップであって、内環が外環に隣接し、内環が成熟した脈管の予測される半径を有する円の内環であり、外環が前記円の外環である、ステップと、同心環構造をデジタル画像の1つにマッピングするステップであって、前記1つのデジタル画像のピクセル強度が、平滑筋組織に特異的である生物マーカーを選択的に染色する染料の染色強度と相関する、ステップと、1つのデジタル画像におけるマッピングされた内環のピクセルの平均強度値を特定するステップと、1つのデジタル画像におけるマッピングされた外環のピクセルの平均強度値を特定するステップと、内環と外環との平均ピクセル強度値の差を決定するステップと、決定された差が脈管成熟度閾値を上回る場合、前記脈管が成熟していることを返すステップとを含む。
[0029]概して、がん組織スライドの場合など、脈管検出の画像解析アルゴリズムの目的は、血管構造を検出し、それらを巨大脈管、リンパ管、及び微小脈管のカテゴリーに分類することである。多重化画像では、画像における巨大脈管及び微小脈管両方の見え方は大きく異なる(例えば、それらの予測される理想的な見え方とは遠い)ことがあり、したがって、自動化検出及び分類が困難である。一部の組織スライド画像では、いくつかの巨大脈管管腔は見え方が大きすぎることがあり、又は細胞の境界が壊れ、かつ/又は不完全なことがある。それに加えて、特に大脈管の場合、不規則な形状のため、比較対象となる適切なモデルを見つけ、それによって脈管を分類するのが困難になる。同様に、微小脈管は、周囲の接続組織及び/又は他の細胞構造によって遮られることがある。それに加えて、微小脈管は、良好に形成された閉鎖形状を有さないことがあり、又は囲まれた管腔内部を有さないことがある。既存の文献において一般に利用可能な脈管検出方法は、主に、特定のサイズの楕円形状などの規則的な形状を特定するように設計されている。あるいは、従来技術の方法は、白い空間又は明確な色の血球で満たされているものなどの管腔構造を特定し、次に管腔境界を血管として割り当てることに依存していることがある。これらの方法は、多くの場合、画像における血管の見え方のばらつきに対処するのに不適切であることが見出され、巨大及び微小脈管構造の検出及び分類においてエラーを起こしやすい。本開示は、脈管の見え方のばらつきを考慮に入れ、大脈管、長く狭い脈管、及び小脈管を特定し、更に、特定された脈管を血管もしくはリンパ管として分類する。したがって、出願人らは、脈管を検出し分類し、更にかかる検出及び/又は分類された脈管の成熟度を推定する、優れた方法を開発してきた。かかる成熟度の決定は、本明細書において導き出される他のデータに加えて、適切な脈管形成阻害薬の投与によるものなど、優れた治療を可能にすることができる。
[0030]コンピュータ及び撮像装置を含む、多重化画像における脈管解析のシステムを示す図である。 [0031]本開示の例示的な一実施形態による、多重化画像における脈管解析のシステムを示す図である。 [0032]本開示の例示的な一実施形態による、脈管解析の方法を示す図である。 [0033]本開示の例示的な一実施形態による、大脈管を検出する方法を示す図である。 [0034]図4Aは、本開示の例示的な一実施形態による、スポーク特徴検出方法を示す図である。図4Bは、本開示の例示的な一実施形態による、スポーク特徴検出方法を示す図である。図4Cは、本開示の例示的な一実施形態による、スポーク特徴検出方法を示す図である。図4Dは、本開示の例示的な一実施形態による、スポーク特徴検出方法を示す図である。 [0035]本開示の例示的な一実施形態による、長く狭い脈管を検出する方法を示す図である。 [0036]図6Aは、本開示の例示的な一実施形態による、ライン特徴検出方法を示す図である。図6Bは、本開示の例示的な一実施形態による、ライン特徴検出方法を示す図である。図6Cは、本開示の例示的な一実施形態による、ライン特徴検出方法を示す図である。 [0037]ラインセグメントのグループ化の結果を示し、更に、所定の閾値よりも小さいライングループを無視してもよいことを示す図である。 [0038]本開示の例示的な一実施形態による、小脈管を検出する方法を示す図である。 [0039]小脈管のセグメント化のワークフローを更に示す図である。 [0040]本開示の例示的な実施形態による、脈管を分類する方法を示す図である。 [0041]本開示の例示的な実施形態による、脈管の成熟度を決定する方法を示す図である。 [0042]本開示の例示的な実施形態による、成熟度決定方法を示す図である。 [0043]長く狭い脈管のセグメント化のワークフローを示す図である。 [0044]脈管及びASMA(平滑筋)の分離されたチャネルが、生画像キャプチャ上に重ね合わされた、特定された脈管に沿って示されている、脈管検出ワークフローを示す図である。 [0045]脈管検出及び分類ワークフローの結果(出力)を示す図である。
[0046]本開示は、多重化画像において脈管を特定し解析する方法を対象とする。本明細書に開示する実施形態は、(i)脈管を検出すること、即ち大脈管、長く狭い脈管、及び小脈管を特定すること、(ii)特定された脈管を血管もしくはリンパ管として分類すること、並びに/あるいは(iii)検出及び/又は分類された脈管それぞれの成熟度を解析することについて記載する。いくつかの実施形態では、細胞又は核も検出され、脈管の特定、分類、及び解析と組み合わされて、細胞/核及び脈管の共存が可能になる。
[0047]組織スライドの脈管構造は、本明細書で提供されるものとして、また、Less et al.「Microvascular Architecture in a Mammary Carcinoma:Branching Patterns and Vessel Dimensions(乳がんにおける微小脈管アーキテクチャ:分岐パターン及び脈管寸法)」、Cancer Research,51,265−273,January 1,1991によって説明されるようなものとして分類されてもよく、その開示を参照により本明細書に組み込む。
[0048]大脈管は、「巨大脈管」とも呼ばれ、成熟した動脈及び静脈を含んでもよい。大脈管は、白い管腔領域を囲む直線の細胞境界外形を有する十分に構造化された楕円形の曲線構造を有し、更にそれらの周りに厚い成熟した保護筋肉層を有するものとして、組織試料から導き出される組織スライド又は画像中に現れる。一般的に、大脈管は、成熟した動脈及び静脈を構成し、約1〜約2cmの平均直径を有し、壁厚は約1mmである。
[0049]長く狭い脈管は、二次的な動脈樹構造及び毛細管を形成し、約50ミクロン〜約20ミクロンの平均直径を有し、約1ミクロンのやや薄い筋肉の外形を有する。
[0050]微小脈管は、薄い平滑筋を周りに有する、小さい毛細血管又は新しく形成された脈管のどちらかである。微小脈管は、腫瘍の微環境内で新しく形成する脈管構造を構成してもよく、約8〜12ミクロンの平均直径を有し、最小限の平滑筋が周りを取り囲んでいる。
[0051]「脈管チャネル画像」は、例えば、そのピクセル強度値が脈管又はその一部に結合された染料の量を示す、デジタル画像である。一部の画像チャネルに使用される染料は、例えば、脈管内又は脈管に空間的に近接した特定の領域、例えば脈管を取り囲むことがある筋肉領域に特異的であってもよい。染料は、脈管の成熟度状態又は脈管のタイプを示す特定の生物マーカーに特異的であってもよい。
[0052]「血管チャネル画像」は、例えば、そのピクセル強度値が血管又はその一部に選択的に結合された染料の量を示す、デジタル画像である。
[0053]「リンパ管チャネル画像」は、例えば、そのピクセル強度値がリンパ管又はその一部に選択的に結合された染料の量を示す、デジタル画像である。
[0054]組織構造の「シグネチャ」、例えば「平滑筋の外形のシグネチャ」は、本明細書で使用するとき、例えば、スペクトルが重なり合う1つ又は複数の異なる色素から導き出されるスペクトルシグネチャである。複数の生物マーカーが共存し、したがって共発現する細胞では、個々の生物マーカーからの蛍光発光が、関連する生物マーカーの発現に比例し、かつそれに対して特徴的な、混合寄与(重量)と合計されてもよい。
[0055]「局所的なライン特徴」又は「ラインセグメント」は、本明細書で使用するとき、例えば、ピクセルが恐らくは(複数の部分領域にまたがってもよい)ラインの一部であることを示す強度分布を有する、デジタル画像の部分領域(例えば、N×Nピクセルの領域)内にある一連のピクセルである。
[0056]本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈による別の明確な指示がない限り、複数形の指示物を含む。同様に、「又は」という語は、文脈による別の明確な指示がない限り、「及び」を含むものとする。
[0057]「comprising(備える、含む)」、「including(含む)」、「having(有する)」などの用語は、交換可能に使用され、同じ意味を有する。同様に、「comprises(備える、含む)」、「includes(含む)」、「has(有する)」などは、交換可能に使用され、同じ意味を有する。具体的には、これらの用語はそれぞれ、共通する米国特許法における「comprising(備える、含む)」の定義と一致して定義され、したがって、「少なくとも以下のもの」を意味する開放型用語として解釈され、また、追加の特徴、限定、態様などを除外しないものとして解釈される。したがって、例えば、「構成要素a、b、及びcを有するデバイス」は、デバイスが少なくとも構成要素a、b、及びcを含むことを意味する。同様に、「ステップa、b、及びcを伴う方法」という語句は、方法が少なくともステップa、b、及びcを含むことを意味する。更に、ステップ及びプロセスは、本明細書では特定の順序で概説されることがあるが、当業者であれば、順序付きのステップ及びプロセスは変動してもよいことを認識するであろう。
[0058]「多チャネル画像」、「多重画像」、又は「多重化画像」は、本明細書で使用するとき、血管、リンパ管、及び筋肉組織などの異なる生物学的構造が、特定の染料、蛍光色素、量子ドット、クロモゲンなど(又はそれらの任意の組み合わせ)で同時に染色され、それぞれが異なるスペクトル帯で蛍光を発するか又は別の形で検出可能であって、結果として多チャネル画像のチャネルの1つを構成する、生物組織試料から得られるデジタル画像を包含する。
[0059]「多重」、「多重化された」、又は「多重化」は、試料中の複数の標的を同時に、実質的に同時に、又は連続して検出することを指す。多重化は、複数の離散的な核酸(例えば、DNA、RNA、mRNA、miRNA)及びポリペプチド(例えば、タンパク質)を、個別及びあらゆる組み合わせの両方で、特定及び/又は定量化することを含むことができる。
[0060]「組織試料」は、本明細書で使用するとき、解剖病理学のためにヒト又は動物の体から得られる、任意の生物試料である。例えば、組織試料は、胸部組織、肺組織、前立腺組織などから導き出されてもよく、腫瘍、腫瘍の疑いがあるもの、又は健康な組織から導き出される試料を含んでもよい。組織試料及び標本の他の例は、本明細書に開示されるそれらの組織標品である。組織試料は、試料内の構造(例えば、脈管、細胞など)の特定を支援するため、アッセイにおいて1つ又は複数の染料で処理されてもよい。
[0061]「分離された画像」は、本明細書で使用するとき、多チャネル画像の1つのチャネルに対して得られるグレー値又はスカラー画像を包含する。多チャネル画像を分離することによって、1チャネル当たり1つの分離された画像が得られる。
[0062]多重画像における脈管を検出及び/又は解析するコンピュータベースのデバイスが、図1Aに示されている。当業者であれば、他のコンピュータデバイス又はシステムが利用されてもよく、本明細書に記載するコンピュータシステムは、追加構成要素、例えば標本アナライザ、スキャナもしくは撮像システム、自動スライド標品作成機器などに、通信可能に連結されてもよいことを理解するであろう。これらの追加構成要素の一部、及び利用されてもよい様々なコンピュータを、本明細書に更に記載する。
[0063]概して、撮像装置101(又は画像ソース)は、非限定的に、1つ又は複数の画像キャプチャデバイスを含むことができる。画像キャプチャデバイスとしては、非限定的に、カメラ(例えば、アナログカメラ、デジタルカメラなど)、光学部品(例えば、1つ又は複数のレンズ、センサ焦点レンズ群、顕微鏡対物レンズなど)、撮像センサ(例えば、電荷結合素子(CCD)、相補形金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサなど)、写真フィルムなどを挙げることができる。デジタルの実施形態では、画像キャプチャデバイスは、協働してオン・ザ・フライ・フォーカシングを検査する、複数のレンズを含むことができる。画像センサ、例えばCCDセンサは、標本のデジタル画像を捕捉することができる。いくつかの実施形態では、撮像装置12は、当業者には知られているような、明視野撮像システム、多スペクトル撮像(MSI)システム、又は蛍光顕微鏡システムである。撮像システムについて、本明細書に更に記載する。
[0064]図1A及び1Bを参照すると、コンピュータシステム107は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットなど、デジタル電子回路類、ファームウェア、ハードウェア、メモリ103、コンピュータ記憶媒体103、コンピュータプログラム、プロセッサ(プログラムドプロセッサ105を含む)、及び/又はその他のものを含むことができる。図1Aの図示されるコンピューティングシステム107は、画面又は表示デバイスと、タワーとを備えたコンピュータである。タワーは、デジタル画像をバイナリ形式で記憶することができる。画像はまた、ピクセルの行列に分割することができる。ピクセルは、ビット深さによって定義される1つ又は複数のビットのデジタル値を含むことができる。ネットワーク109又は直接接続は、撮像装置101及びコンピュータシステム107を相互接続する。ネットワーク109は、非限定的に、1つ又は複数のゲートウェイ、ルータ、ブリッジ、それらの組み合わせなどを含んでもよい。ネットワーク109は、ユーザがアクセス可能であり、コンピュータシステム107が利用できる情報を送受信するために使用することができる、1つ又は複数のサーバ及び1つ又は複数のウェブサイトを含んでもよい。サーバは、非限定的に、情報(例えば、デジタル画像、アルゴリズム、染色プロトコル、比較評価のためのカットオフ値など)を記憶する1つ又は複数の関連付けられたデータベースを含んでもよい。ネットワーク109は、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、インターネットプロトコル(IP)、及び他のデータプロトコルを使用するデータネットワークを含むことができるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、コンピュータデバイス又はシステムは、ユーザ、オペレータ、又は下流の機器もしくはプロセスにデータ/出力を提供する、表示出力又は他の手段を更に備える。
[0065]図1B及び2を参照すると、コンピュータデバイスもしくはシステム107(又はコンピュータ実装方法)は、1つ又は複数のプロセッサ105と少なくとも1つのメモリ103とを備え、少なくとも1つのメモリ103は、1つ又は複数のプロセッサによって実行される非一時的コンピュータ可読命令を記憶して、1つ又は複数のプロセッサに命令を実行させて、入力画像101をソースから受信し、入力画像を1つ又は複数の領域に自動もしくは手動で定めることを可能にする領域選択モジュール111を稼働し、多重画像を複数のチャネル(例えば、脈管チャネル画像)に分離する(S212)分離モジュール112を稼働し、複数の脈管チャネル画像それぞれにおける大脈管を検出する(S213)スポーク検出モジュール113を稼働し、複数の脈管チャネル画像それぞれにおける長い及び/又は狭い脈管を検出する(S214)ライン特徴検出モジュール114を稼働し、複数の脈管チャネル画像それぞれにおける小脈管を検出する(S215)小脈管検出モジュール115を稼働し、血管、リンパ管、又は純粋なリンパ管として特定された大脈管、長い/狭い脈管、及び/又は小脈管それぞれを分類する(S216)脈管分類モジュール116を稼働し、成熟している分類された脈管を決定する(S217)成熟度決定モジュール117を稼働し、複数の脈管チャネル画像それぞれにおける細胞及び/又は核を検出する(S218)核検出モジュール118を稼働する。これらのモジュールそれぞれについて、本明細書で更に詳細に記載する。追加のモジュールが、いくつかの実施形態ではワークフローに組み込まれてもよい。当然ながら、当業者であれば、各モジュール内で使用するように記載される命令、アルゴリズム、及びフィルタのいずれかが、検出される染料に基づいて適合又は変更されてもよいことを認識するであろう。
[0066]モジュール111〜118(及び図2のステップS213〜S218)の結果は、端末107のユーザ又はオペレータに出力されてもよく、あるいはプロセッサ105によって生成されるリポートの形にコンパイルされ、ネットワークを通じて別のコンピュータに送信されるか、又はファイルに保存されてもよい。結果は、各モジュール111〜118(及びステップS213〜S218)の出力を含み、また、脈管間及び細胞間の共存の更なる詳細な解析を可能にするため、脈管の場所、脈管の構造、多角形の輪郭、管腔のサイズ、脈管のカテゴリー及びタイプ、成熟度、密度、核の場所及びタイプ、並びにこれらの特徴それぞれの間の空間的関係などの詳細を含んでもよい。更に、図1B及び2を参照して記載する動作は、任意の考えられる順序で実施されてもよく、本明細書に示される順序に限定されない。例えば、脈管検出(並行動作における大脈管、長く狭い脈管、及び小脈管の検出)及び核検出などのいくつかの動作は、並行して実施され、その後に成熟度検出が続いてもよい。
[0067]更に、開示する動作は、画像の同じもしくは異なる領域に対して、又は画像全体に対して繰返し実施されてもよく、カスタム領域が画像において観察される構造又は特徴に基づいて定義され、別個の動作が異なる領域に対して並行して実行され、多数の多重蛍光スライドの効率的な処理が可能になる。
[0068]入力画像
[0069]いくつかの実施形態では、当業者には知られている、また本明細書に記載するような方法に従って、多重画像101が獲得される。多重画像101は組織試料から導き出され、組織試料は、1つ又は複数の量子ドット、蛍光体、酵素蒸着蛍光体もしくは発色染料、又はそれらの任意の組み合わせ等を用いて染色されている。
[0070]がん血管新生又は微小血管新生を解析し定量化するため、組織試料が、血管、リンパ管、及び平滑筋に対する1つ又は複数の特異的な生物マーカーを含む蛍光アッセイで染色されてもよい。それに加えて、組織はまた、核構造を特定するDAPIなどのマーカーとともに、異なるタイプの核及び/又は細胞膜腫瘍生物マーカーに対して染色されてもよい。組織構造を染色する方法、及び様々な目的に適した染料の選択に関するガイダンスは、例えば、「Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル),Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)」及び「Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学における現在のプロトコル),Greene Publishing Associates and Wiley−Intersciences(1987)」において考察されており、これらの開示を参照により本明細書に組み込む。
[0071]いくつかの実施形態では、組織標本の多重蛍光スライドなどでは、異なる核及び組織構造が、異なるスペクトル帯でそれぞれ蛍光を発する特異的な蛍光色素で同時に染色される(例として、一般的な蛍光色素としては、Fisher Scientificから入手可能なAlexa Fluor(登録商標)色素が挙げられる)。
[0072]他の実施形態では、染料は量子ドットから選択される。ナノ結晶量子ドットは、半導体ナノ結晶粒子であり、一般的に約2〜約10nmのサイズ範囲である。様々な表面化学及び蛍光特性を有する様々な量子ドットが、Invitrogen Corporation(オレゴン州ユージーン(Eugene,OR))又はInvitrogen Nanocrystal Technologies(カリフォルニア州ヘイワード(Hayward,CA))から市販されている(例えば、本明細書に参照によりそれぞれ組み込む、米国特許第6,815,064号、第6,682,596号、及び第6,649,138号を参照)。更なる他の市販の量子ドットとしては、Qdot(商標)の商品名でLife Technologies,Inc.から提供されているものが挙げられる。例示的な役立つ実施形態は、Qdot(商標)565及びQdot(商標)655ナノ結晶などの量子ドットを利用しており、かかる命名法で使用される数字は、ナノ粒子の放射極大の近似波長を指す。例えば、Qdot(商標)565ナノ結晶は、565nmの波長を有する光を放射し、明るい緑色を生じさせる。このように、量子ドットは、特定の波長における検出可能な信号を提供するように選択することができる。
[0073]いくつかの実施形態では、多重画像は、異なる脈管タイプに特異的な染料に対応する信号101(及びS201)を含む。他の実施形態では、多重画像は、血管及び/又はリンパ管に特異的な染料に対応する信号を含む。他の実施形態では、多重画像は、内皮細胞(例えば、CD31)及び/又はリンパ細胞に特異的な染料に対応する信号を含む。更に他の実施形態では、多重画像は、筋肉組織又は筋肉細胞に特異的な染料に対応する信号を含む。いくつかの実施形態では、染料は、暗い色に染色された領域を比較的明るい色に染色された領域と比較することによって、脈管管腔を検出できるように選択される。
[0074]いくつかの実施形態では、多重画像は、約655nmを中心にした狭帯域蛍光放射を有する、CD31/34などの血管に特異的な染料に対応する信号を含む。他の実施形態では、多重画像は、約565nmを中心にした狭帯域蛍光放射を有する、ポドプラニンなどのリンパ管に特異的な染料に対応する信号を含む。更に他の実施形態では、多重画像は、抗平滑筋抗体(ASMA)染料に対応する信号を含む。更に他の実施形態では、多重画像は、他の細胞タイプ又は核を特定する染料に対応する信号を含む。他の実施形態では、多重画像は、画像中の全ての核、及び多重化画像中に存在する任意のノイズがある背景組織の自己蛍光を染色する、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)に対応する信号を含む。DAPIで染色された核は、画像を解釈する組織及び細胞のコンテキストを提供すると考えられる。
[0075]領域選択モジュール
[0076]分離(S212)の前に、任意の領域選択モジュール111によって、多重画像101を1つ又は複数の領域に自動又は手動で定めることが可能になる。これにより、画像の同じ又は異なる領域に対してその後の動作を実施することが可能になって、多重画像を効率的に処理することができる。例えば、グリッドが画像の上に組み付けられてもよく、1つ又は複数のグリッド頂点の距離内にある構造がサンプリングされてもよい。カスタム領域は、画像で観察される構造又は特徴に基づいて定義されてもよく、別個のプロセスが各領域に対して並行して実行される。カスタム領域は、画像解析、組織の異種性などに基づいて自動的に決定されてもよく、又はユーザによって選択されてもよい。例えば、ヘマトキシリン及びエオシン画像など、標本の明視野画像が見られ、腫瘍範囲などの特定の領域を注釈するために使用されてもよい。特定された範囲は、蛍光スキャナに対して視野を提供するために使用されてもよい。換言すれば、明視野画像上で選択された領域は、ソース101によって更に詳細にスキャンされて、選択された領域の多重蛍光画像が生成されてもよい。別個の動作が異なる領域に対して並行して実行され、多数の多重スライド、例えば蛍光スライドの効率的な処理が可能になってもよい。
[0077]多重化画像の分離
[0078]最初のステップとして、コンピュータシステムは、本明細書に記載するような1つ又は複数の染料チャネルに対応する信号を含む、多重化画像を入力として受信する(S201)。更なる処理及び解析の前に、この初期画像を最初に、特定の染料又は信号にそれぞれ対応する、その構成成分チャネルに分離しなければならない(S212)。分離された画像は、以下、「チャネル画像」と呼ばれ、本明細書に記載する脈管検出及び核検出モジュールそれぞれの入力として使用されてもよい。
[0079]背景として、各蛍光色素は、約400nm〜約780nmの可視スペクトル帯の離散的なスペクトルシグネチャを放射し、ある場所から組織に対して放射される関連付けられた信号強度は、下にある細胞構造の生物マーカー発現に直線的に比例する。互いに離散的であるが、異なる蛍光色素のスペクトルシグネチャはスペクトル的に重なり合うことができる。複数の生物マーカーが共存し、したがって共発現する細胞では、個々の生物マーカーからの蛍光放射は、関連付けられた生物マーカー発現に比例する混合寄与(重量)と合計されてもよい。例えば、ある蛍光色素は約480〜約520nmのスペクトル範囲で放射してもよく、別の蛍光色素は約500〜約540nmのスペクトル範囲で放射してもよい。それに加えて、多重組織スライドは自己蛍光性であってもよく、それは、任意の特定の生物マーカー発現と関連付けられず、また混合信号中の「ノイズがある」成分に寄与する、組織放射背景信号である。一例として、自己蛍光性のノイズがある放射は、約400nm〜約650nmの広帯域スペクトル範囲であってもよい。組織における任意の所与の場所で観察されるスペクトル信号は、下にある共発現する生物マーカーからのスペクトル放射と、望ましくないノイズがある背景スペクトル放射との、重み付けられた混合である。
[0080]いくつかの実施形態では、蛍光多重組織スライドは、複数のチャネル画像が獲得されるように、カメラ又は全スライドスキャナに連結される蛍光顕微鏡システムなど、多スペクトル撮像システムを使用して撮像される。一般的な多重システムでは、16〜30のチャネル画像が獲得される。獲得された各チャネル画像は、特定の狭帯域スペクトルフィルタ範囲で放射されている、組織スライド信号の測定値である。一例として、約500〜約540nmのスペクトルフィルタ範囲に対応するチャネル画像は、約500nm〜約540nmのスペクトル範囲で組織によって放射されている信号全てをキャプチャする。
[0081]撮像システムによって作成される多スペクトル画像スタックは、個々の生物マーカー及びノイズ成分と関連付けられた、下にある蛍光放射スペクトルシグネチャの重み付けられた混合である。任意の特定のピクセルにおいて、混合の重みは、組織中の特定の場所における下にある共存する生物マーカーの生物マーカー発現と、その場所における背景ノイズとに比例する。したがって、混合の重みはピクセル毎に、また未知の自己蛍光寄与によって変動する。本明細書に開示するスペクトル分離方法は、各々のピクセルにおける多チャネルピクセル値ベクトルを、構成成分生物マーカーの端成分又は構成成分の集合へと分解し、生物マーカーそれぞれに対する個々の構成成分蛍光色素の比率を推定する。例えば、16のチャネルが5つの生物マーカーの組織スライドを撮像する多スペクトルシステムを用いた場合、ピクセルにおけるピクセル値の獲得された多チャネルベクトルは、ベクトル値が16のものとなり、分解される分離成分の数は6であり、そのうち5は各生物マーカーに対応し、1は背景自己蛍光成分に対応する。各ピクセル位置において、スペクトル分離方法は、獲得された16ピクセルベクトルから6つの成分の重みを推定する。蛍光画像の正確なスペクトル分離は、多重組織病理学画像解析における重要な最初のステップの1つなので、臨床的に重要であると考えられる。
[0082]分離方法は当業者には良く知られており、現在知られているか又は今後発見される任意の方法が、多重画像を脈管チャネル画像へと「分離」するために使用されてもよい。概して、分離プロセスは、染料特異的なチャネルを抽出して、組織と染料の組み合わせの標準タイプに対して良く知られている参照スペクトルを使用して、個々の染料の局所濃度を決定する。例えば、入力画像における各ピクセルは、上述したような、DAPI及び自己蛍光などの広帯域信号に加えて、標的構造を表す1つ又は複数の量子ドットを含む成分スペクトルの混合を含んでもよい。分離は、制御画像から取得される、又は観察下で画像から推定される、参照スペクトルを使用してもよい。各入力ピクセルの成分信号を分離することによって、脈管チャネル及び核チャネルなど、染料特異的なチャネルの取得及び解析が可能になる。「分離」及び「カラーデコンボリューション(color deconvolution)」(もしくは「デコンボリューション」)又はその他(例えば、「デコンボリューションする」、「分離された」)の用語は、当該分野において交換可能に使用される。
[0083]いくつかの実施形態では、多重画像は線形的分離を使用して分離される。線形的分離は、例えば、「Zimmermann、「Spectral Imaging and Linear Unmixing in Light Microscopy(光学顕微鏡でのスペクトル撮像及び線形分離)」、Adv Biochem Engin/Biotechnol (2005) 95:245−265」及び「C.L.Lawson 及び R.J.Hanson、「Solving least squares Problems(最小二乗問題の解)」、PrenticeHall、1974、Chapter 23、p.161」に記載されており、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。線形的染料分離では、任意のピクセルにおける測定されたスペクトル(S(λ))は、染料スペクトル成分の線形的な混合と見なされ、ピクセルで発現される個々の蛍光体参照スペクトルシグネチャ(R(λ))それぞれの比率もしくは重量(A)の総和に等しい。
[0084]S(λ) (λ) (λ) (λ) (λ)
[0085]これを、行列形式でより一般的に表現することができる。
[0086]S(λ)=Σ (λ)又はS=R A
[0087]M個のチャネル画像が獲得され、N個の個々の蛍光体が存在する場合、M×N列の行列Rは、個々の蛍光体の既知の参照スペクトルシグネチャであり、N×1のベクトルAは個々の蛍光体の比率が未知のものであり、M×1のベクトルSは、ピクセルにおける測定された多チャネルスペクトルベクトルである。これらの式では、各ピクセルの信号(S)は多重画像を獲得している間に測定され、また既知の染料に対する参照スペクトルは、通常、同一の機器設定を使用して、単一の染料のみで標識付けられた蛍光標本から、独立したオフライン方法で決定される。それにより、測定されたスペクトルの各点に対する寄与を計算することによって、様々な染料の寄与(Ai)を決定する、単純な線形代数行列問題となる。いくつかの実施形態では、解は、次の一連の方程式の解を求めることによって、測定されたスペクトルと計算されたスペクトルとの間の二乗差を最小限にする、逆最小二乗法を使用して得られる。
[0088][δΣj{S(λj)−Σ (λj)}2]/δAi=0
[0089]この式において、jは検出チャネルの数を表し、iは染料の数に等しい。一次方程式解は、多くの場合、制約された分離が、サム・トゥ・ユニティ(sum to unity)に強制的に重み(A)を付けられるようにすることを伴う。
[0090]他の実施形態では、分離は、2014年5月28日出願のWO2014/195193、発明の名称「Image Adaptive Physiologically Plausible Color Separation(生理学的に妥当な画像適応色分離)」に記載されている方法を使用して実施され、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。概して、WO2014/195193は、反復して最適化される参照ベクトルを使用して入力画像の成分信号を分離することによる、分離の方法を記載している。いくつかの実施形態では、アッセイからの画像データは、アッセイの特性に対して特異的な予測される結果又は理想的な結果と相関されて、品質メトリックが決定される。理想的な結果に対して画像が低品質であるか、又は相関の程度が低い場合、行列Rの1つ又は複数の参照列ベクトルが調節され、生理学的及び解剖学的要件と一致する良好な品質の画像が相関によって示されるまで、調節された参照ベクトルを使用して、分離が反復して繰り返される。解剖学的情報、生理学的情報、及びアッセイ情報は、品質メトリックを決定するのに測定された画像データに適用される、規則を定義するために使用されてもよい。この情報としては、組織がどのように染色されたか、組織内のどの構造を染色することもしくは染色しないことが意図されたか、並びに処理されているアッセイに特異的な構造間、染料間、及びマーカー間の関係が挙げられる。反復プロセスは染料に特異的なベクトルをもたらし、これによって、対象の構造及び生物学的に関連する情報を正確に特定する画像であって、ノイズがあるかもしくは望ましくないスペクトルを何ら含まず、したがって解析に適している、画像を生成することができる。参照ベクトルは探索空間内にあるように調節される。探索空間は、参照ベクトルが染料を表すのに取ることができる値の範囲を定義する。探索空間は、既知の又は一般的に発生する問題を含む、様々な代表的なトレーニングアッセイをスキャンし、トレーニングアッセイのための高品質な一連の参照ベクトルを決定することによって、決定されてもよい。
[0091]他の実施形態では、分離は、2015年2月23日出願のWO2015/124772、発明の名称「Group Sparsity Model for Image Unmixing(画像分離のためのグループスパース性モデル)」に記載されている方法を使用して実施され、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。概して、WO2015/124772は、複数のコロケーションマーカーによる染色の寄与の画分が「同じグループ」内でモデル化され、複数の非コロケーションマーカーによる染色の寄与の画分が異なるグループ内でモデル化されて、複数のコロケーションマーカーの共存情報をモデル化されたグループスパース性の枠組みに提供し、モデル化された枠組みにグループラッソ(group lasso)を使用して解を与えて、各グループ内でコロケーションマーカーの分離に対応する最小二乗解をもたらし、非コロケーションマーカーの分離に対応するグループ間でのスパース解をもたらす、グループスパース性の枠組みを使用した分離について記載している。更に、WO2015/124772は、生物組織試料から得られた画像データを入力し、複数の染料のそれぞれ1つの染料色を説明する参照データを電子メモリから読み取り、コロケーションデータが染料群を説明するものであり、各群が生物組織試料中で配列することができる染料を含み、各群がグループラッソ基準に対して群を形成し、群の少なくとも1つが2以上のサイズを有する、コロケーションデータを電子メモリから読み取り、参照データを参照行列として使用して、分離画像を得るためにグループラッソ基準の解を計算することによる、分離の方法について記載している。いくつかの実施形態では、画像を分離する方法は、共存マーカーによる染色寄与の画分が単一グループ内で割り当てられ、非共存マーカーによる染色寄与の画分が別個のグループ内で割り当てられる、グループスパース性モデルを生成することと、分離アルゴリズムを使用してグループスパース性モデルに解を与えて、各グループ内の最小二乗解をもたらすこととを含んでもよい。
[0092]脈管の検出
[0093]多重画像を分離した(S212)後、複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて脈管が検出される(ステップS213、S214、S215)。概して、大脈管、長く狭い脈管、及び小脈管を含む、3つの異なるタイプの脈管が検出されてもよい。大脈管の検出の場合、スポーク特徴検出モジュール113を使用して、高ピクセル強度値の輪郭によって取り囲まれた平滑な低ピクセル強度値の内部領域を有する、「洗面器」様の領域が検出される。長く狭い脈管の検出の場合、ライン検出モジュール114を使用して、長い脈管の局所部分が特定され、次に凝集クラスタ化(本明細書に更に詳細に記載する)によってそれらがグループ化される。小脈管の検出の場合、小脈管検出モジュール115は、ローリングボールフィルタ処理及び二値画像操作を利用して、小脈管及び/又はコンパクトな脈管が特定される。これらのモジュール及びプロセスそれぞれについて、本明細書で詳細に記載する。当然ながら、当業者であれば、全てのタイプの脈管が、全ての組織試料又はその任意の領域に存在するわけではないことを認識するであろう。
[0094]脈管は、血管チャネル画像及びリンパ管チャネル画像において特定される。脈管チャネル画像では、理想的には、下にある脈管の染料寄与に比例する、対応する高いピクセル強度が存在する。他方で、脈管が存在しない場所では、背景平均値に対応する非常に低いピクセル強度値が存在する。例えば、血管チャネルでは、血管はリンパ管とともに(利用される染料によって)明るい輪郭として現れるが、リンパ管チャネルでは、リンパ管の境界のみが(やはり利用される染料によって)明るい輪郭として現れる。
[0095]複数の脈管チャネル画像それぞれにおける脈管の特定に続いて、上記で特定したモジュールそれぞれの出力は、脈管分類モジュール116に提供されて、1つ又は複数の検出された脈管が血管もしくはリンパ管として分類されるか、あるいは成熟度決定モジュール117に提供される。
[0096]大脈管の検出
[0097]多重画像が入力として受信され(S201)、画像が複数の脈管チャネル画像へと分離された(S212)後、スポーク特徴検出モジュール113を使用して、脈管チャネル画像それぞれにおいて大脈管が検出される。いくつかの実施形態では、スポーク特徴検出モジュール113は、更なる解析のために脈管分類モジュール116に提供される、輪郭の多角形を出力する。概して、スポーク特徴検出モジュールは、高値の輪郭によって取り囲まれた平滑な低密度の内部領域を有する洗面器様の領域を検出することによって、脈管チャネル画像それぞれにおいて大脈管を特定する。
[0098]より具体的には、図3を参照すると、画像の暗い領域と暗い領域を取り囲む明るい領域(もしくは比較的明るい領域)とのコントラストを特定することによって、脈管チャネル画像それぞれにおいて1つ又は複数の管腔が検出されてもよい(S321)。特定されたコントラストは、脈管の境界と分離された脈管チャネル画像の背景信号との間の所定のコントラスト閾値に対して評価されてもよい。いくつかの実施形態では、抗平滑筋抗体(ASMA)と関連付けられる分離された染料画像を観察することによって、管腔の存在及び場所が特定されてもよく、筋肉組織を示すASMA染料は、管腔の中心に比べて境界の方が高強度であってもよい。例えば、ASMA画像では、平滑筋が存在するピクセルの場所のみが、高いピクセル強度値となる。平滑筋が存在しない場所を含む他の場所では、ピクセルは背景値又は低値を有する。
[0099]本明細書に示されるように、理想的には、平滑筋の外形が成熟した大脈管を取り囲むので、それらのシグネチャ(又はそれらのシグネチャを示す染料信号)を、それらに囲まれた脈管構造の特定を容易にする一手法として使用することができる。平滑筋境界を検出するのに適切な画像値の閾値(即ち、「画像強度値の閾値」)は、病理医もしくは他の医療専門家などの訓練を受けた専門家によって手動で特定され注釈された、大脈管の外形上の領域におけるASMAピクセル強度のヒストグラムを構築することによって、一連の訓練画像から手動で選択され、他の全ての画像領域からのASMA画像ピクセル値と比較される。ASMA外形からの理想的な強度コントラストは、ASMA染色領域からの予測される高ピクセル強度値と背景もしくは低ピクセル強度値との差に設定される。これらの選択された閾値及びコントラスト値は、(大脈管を検出する目的で)他の全ての画像セットで使用される。
[0100]脈管チャネル画像における管腔の特定(S321)に続いて、1つ又は複数のスポークが特定された管腔それぞれの中で分配される(S322)。各スポークは、中心位置(x,y)と、中心位置から径方向外側に延在する多数のライン(以下、「アーム」)とを備える。アームは互いから均等に離隔され、即ち、アームは互いに対して固定の角度で径方向で分配される。例えば、16のアームがスポークから延在している場合、そのスポークのアームは、互いから22.5°の角度で均等に分配される。
[0101]例として、スポークの生成が図4Aに示され、図は、組織試料430及び管腔431から導き出された画像を示している。スポーク433は管腔431の中心に近接して位置し、複数のアーム434がスポークの中心433から径方向外側に延在する。
[0102]以下のスポークパラメータは、大脈管の特定において、スポーク特徴検出モジュール113によって使用される。
[0103](i)中心位置(x,y)の座標位置。
[0104](ii)中心位置から延在するアームの数。アームの数の選択に関与するトレードオフは、計算時間及び精度である。多数のアームを用いると、脈管検出の精度は高くなると考えられるが、計算時間はアームの数とともに線形的に増加する。いくつかの実施形態では、選択されるアームの数は、約16〜約32の範囲である。他の実施形態では、最小で16のアームが使用される。
[0105](iii)各アームの長さ。アームの長さは、画像において特定されることが予測される成熟した脈管の最大径方向距離に対応する値に設定される。いくつかの実施形態では、一般的な長さは約1mmであり、これは各辺が約0.5ミクロンの個々のピクセルサイズを有する画像における約200ピクセルに相当する。
[0106](iv)2つの強度コントラスト閾値(T1)及び(T2)。T1は、全てのアームからの最大強度値の中央値と、スポーク中心強度値との間の差に対する閾値である。T2は、スポーク中心の値と、全てのアームからの最小強度値の中央値との間の差に対する閾値である。
[0107]T1及びT2を経験的に決定するため、一連の手動で注釈された大脈管画像を解析し、T1コントラスト閾値を、脈管境界に沿った最大強度値とこれらの画像における脈管中心との間の絶対差の平均値に設定した。同様の方法で、T2コントラスト閾値を、スポーク中心値と脈管内に囲まれたピクセルの最小強度との間の絶対差の平均値に設定した。任意の特定の理論によって束縛されることを望まないが、2つの閾値を使用する目的は、全ての有効な脈管を選ぶのに十分な感度であるが、それと同時に、染色及び自己蛍光アーチファクトからの高いピクセル強度値による偽脈管検出があればそれが拒絶されるように、十分に特異的であることである。閾値T1は、強い脈管の輪郭を選択することが意図され、閾値T2は、(高値を有するが、囲まれた管腔がない画像領域におけるあらゆる偽検出を抑制することによって)高ピクセル強度の脈管外形によって取り囲まれた、管腔領域内の低ピクセル強度値の領域を選択することが意図される。
[0108]いくつかの実施形態では、スポークは、既知の場合(S322)、特定された管腔のほぼ中心に配置されてもよく、又は複数のスポークがほぼ中心の周りもしくは付近に実質的に配置されてもよい。スポークの配置に続いて、ピクセルの強度が各スポークの各アームの長さに沿って取得されて、管腔の境界が決定される(S323)。概して、スポークの中心位置におけるピクセルと、径方向で延在する各アームに沿ったピクセルとのコントラストを観察することによって、コントラスト閾値(T1及びT2)を用いて観察され測定されるコントラストを比較すること(S324)などによって、管腔境界位置が決定されてもよい。観察されたコントラストが強度コントラスト閾値を満たさない場合、管腔が偽陽性であると仮定され、スポークが廃棄される(S325)(即ち、更なる処理及び/又は解析のために保持されない)。他方で、観察された強度コントラストがコントラスト閾値を満たした場合、スポークは更なる処理のために保持される(S326)。
[0109]より具体的には、コントラストの観察は、各スポークアームに沿ったピクセル強度値を、スポーク中心位置におけるピクセル強度値と比較することによって達成される。このプロセスは、各スポークの全てのアームに対して繰り返される。いくつかの実施形態では、各アームに沿った最小及び最大ピクセル強度値が計算(特定)され、各アームに沿った最大ピクセル強度の場所も特定される。次に、全ての最小ピクセル強度値の中央値が計算され、スポーク中心における平均ピクセル強度と比較され、例えば5ピクセルの半径を有する、小径の隣接領域にわたって平均化される。同様に、全ての最大ピクセル強度値の中央値が計算され、スポーク中心におけるピクセル強度と比較される。スポークは、2つの条件、即ち、(a)全ての最大強度値の中央値が中心における強度値よりも少なくともT1大きく、(b)全ての最小強度値の中央値が中心における強度値よりも最大でT2小さいという条件を満たした場合のみ、更なる処理のために保持される(S326)。これらの条件の一方又は両方が満たされない場合、スポークは廃棄される(S325)。
[0110]図4Dは、各アームのピクセル強度の評価を示している。例として、図4Dは、スポークが中心ピクセル0に配置された、7×7ピクセルのグリッドサイズを有するピクセルアレイ436を示している。8つのアーム437が中心ピクセル0から延在し、各アームは長さ3ピクセルである。グリッドにおける数は、各アームに沿った各ピクセルの強度ピクセル値、並びに中心範囲におけるピクセル強度を示す。この特定の例では、アームそれぞれに沿った最大ピクセル強度値は30である。したがって、最大強度値の中央値は30である。同様に、アームそれぞれに沿った最小ピクセル強度値は10であり、したがって、最小強度値の中央値は10である。有効な脈管の外形をもたらすため、0〜255の値のスケール上で、T1は50の値に、T2は20の値に(又は他の所定の値に)設定される。これらの中央値は次に、T1及びT2のコントラスト閾値と比較されて、スポークが許容可能か否かが決定される。
[0111]スポークの許容に続いて、大脈管の近似境界に対応する、輪郭の多角形が生成される。先行する処理ステップにおいて特定された、有効なスポーク中心から延在するアームそれぞれにおける最大強度値の場所は、輪郭の多角形の頂点を構成する。例として、図4Bを参照すると、輪郭の多角形435は、検出された管腔の境界を描写し、各スポークアーム434で測定したピクセル強度に基づく。いくつかの実施形態では、多角形の形状を決定するために使用されるポイントは、最高ピクセル強度値を有する各アームに沿ったポイントから導き出される。
[0112]本明細書に記載するように、複数のスポークは管腔のほぼ中心内で分散されてもよい。結果的に、スポークを受容又は廃棄する際、任意の追加のスポークが観察されるか否かが決定される(S328)。より多数のスポークがある場合、次のスポークが選択され(S327)、本明細書に開示する検出方法が繰り返される。追加のスポークがない場合、生成された輪郭の多角形が1つ又は複数の脈管候補として出力される(S329)。
[0113]いくつかの実施形態では、単一の管腔内の複数スポークが、上述した閾値コントラストの要件を満たすものとして受容されてもよい。かかる例では、受容された各スポークの中心の場所が平均化されて、管腔のより精密な中心が決定される。これは図4Cに示されており、図は、より精密な中心を決定するために使用されてもよい、一連のスポーク433を示している。単なる例として、より精密な中心は、既存のスポーク433の座標(x,y)位置の平均に基づいて、スポーク433によって画定される周囲の内部内にあってもよい。
[0100]いくつかの実施形態では、追加のスポークが、このより精密な中心に挿入されてもよく、それに続いて、より精密な中心における追加のスポークによって生成されるデータに基づいて、輪郭の多角形が生成される。いくつかの実施形態では、より精密な中心で挿入される追加のスポークは、ほぼ中心に位置するスポークよりも多くのアームを備える。このように、より多くのアームを有するスポークから計算されるデータに基づいて、より精密な多角形が生成されてもよい。本開示に照らして、スポークの測定値の他の組み合わせが当業者には明白になり得る。例えば、画像の品質及び組織の見た目に応じて、検出精度及び速度を最適にするため、スポークに対するパラメータが調節されてもよい。
[0101]長く狭い脈管の検出
[0102]いくつかの実施形態では、ライン特徴検出モジュール114を使用して、複数の脈管チャネル画像それぞれの中の長く狭い脈管が検出される。特定された長く狭い脈管は脈管分類モジュール116に出力される。概して、ライン特徴検出モジュール114は、局所的なライン部分、構造、又は特徴を検出し、凝集クラスタ化を使用して、それらのライン部分、構造、又は特徴をグループ化する。本明細書に更に詳述するように、局所的なライン特徴は、脈管チャネル画像の複数の領域それぞれにおいて検出されてもよく、特定の閾値基準を満たす隣接した領域内のラインはグループ化される。グループ内の全てのラインが次に、脈管候補を集合的に画定するために使用されてもよい。長い脈管の多角形表現は、グループ化されたラインの中心を多角形の頂点として接続することによって生成されてもよい。これらのステップはそれぞれ本明細書で更に詳述される。
[0103]図5は、本開示のいくつかの実施形態による、長く狭い脈管を検出するステップを概説するフローチャートを提供する。いくつかの実施形態では、局所的なライン特徴は、最初に画像又はその領域をセグメント化して、複数の隣接した領域にする(S540)ことによって検出されてもよく、隣接した領域は互いに重なり合ってもよい。例えば、画像は、複数の隣接した重なり合う領域へとセグメント化されてもよく、個々の領域はそれぞれN×Nピクセルのサイズを有する。重なりの量は変動してもよいが、いくつかの実施形態では、重なりの量は任意の領域のサイズの約半分である。例えば、領域が16×16ピクセルの寸法を有する場合、重なりは、各寸法において約8ピクセルであってもよい。セグメント化のプロセス(S540)が図6Aに示され、図は、画像650又は画像の領域の、複数の隣接した領域652へのセグメント化を示している。領域は、検出されたライン651の上に位置してもよく、図示されるように、互いに重なり合ってもよい。
[0104]セグメント化(S540)に続いて、各領域内の最も強い局所的なライン、即ち最高ピクセル強度を有する局所的なラインが検出される(S541)。最も強い局所的なラインは、ランダムサンプリングコンセンサス(RANSAC)によって検出されてもよい。RANSACは、アウトライヤーを含む一連のデータから数学的モデルのパラメータを推定するために使用される反復方法である。RANSACは、基礎となるモデルパラメータを推定するのに必要な最少数の観察(データポイント)を使用することによって、解の候補を生成する再サンプリング技術である。概して、基本のRANSACアルゴリズムは次のステップを使用する。(i)モデルパラメータを決定するのに必要な最少数のポイントを無作為に選択し、(ii)モデルのパラメータに対する解を求め、(iii)一連の全てのポイントのうちいくつのポイントが所定の許容差に適合するかを決定し、(iv)インライヤーの数を分子、一連のポイントの合計数を分母とした分数が所定の閾値を上回る場合に、全ての特定されたインライヤーを使用してモデルパラメータを再推定し、終了させるか、あるいは(v)ステップ(i)から(iv)までを(最大でN回)繰り返す。RANSACは、更に、「M.A.Fischler及びR.C.Bolles.Random Sample Consensus:A paradigm for model fitting with applications to image analysis and automated cartography.(ランダムサンプルコンセンサス:画像解析への適用及び自動化地図製作法を含むモデルフィッティングの概念)Communications of ACM,24(6):381−395,1981」に記載されており、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
[0105]図6Bは、各領域652内の最も強い局所的なライン651の検出を示している。領域652内で、ピクセルの強度値が整理され、特定の百分位閾値を上回る一連のピクセルがライン検出のために選択される。いくつかの実施形態では、約90%の百分位閾値が、一連の高強度ピクセルを選択するために使用される。
[0106]あるいは、閾値を自動的に決定するのにOtsu方法が使用されてもよく、その閾値を上回るピクセル強度がライン検出のために選択されてもよい。Otsuの方法は、クラス内変動を最小限におさえることによって最適な閾値を決定するために使用され、当業者に知られている。より具体的には、Otsuの方法は、クラスタ化に基づく画像閾値化を自動で実施するのに、又はグレーレベルの画像を二値画像に換算するために使用される。アルゴリズムは、画像が、2モードヒストグラム(前景ピクセル及び背景ピクセル)に従う2つのクラスのピクセルを含むものと仮定する。次に、2つのクラスを分離する最適閾値を計算して、それらの組み合わされた拡がり(クラス内変動)が最小限又は等価(対毎の二乗距離の合計が一定であるため)であって、それらのクラス内変動が最大限であるようにする。
[0107]閾値化の後、閾値を満たすピクセルに対する最も強いラインを決定するため、上述のRANSACアルゴリズムが利用され、2つの無作為に選択されたピクセルの可能な全てのペアリングに基づいて異なる配向のいくつかのラインが仮定され、各ラインに対してラインスコアが、仮定されたライン上にある全てのピクセルの全強度値の合計として計算される。いくつかの実施形態では、2つの無作為に選択されるピクセルは、強度値が選ばれた閾値を上回るピクセルの部分集合から選択されて、高強度値が脈管から選択される。仮定されたライン全てに対して計算されたスコアから、最高のラインスコアを有するラインが、領域652の最も強いラインとして選択される。続いて、領域652における検出された強いライン651に対して、ラインセグメント655が近似される。第1及び第2のラインセグメント655及び656は、隣接した領域652におけるそれらの場所に基づいて近似されてもよい。例えば、第1及び第2のラインセグメント655及び656の長さは領域652のサイズによって束縛され、それらのエンドポイントは検出されたライン651に基づいて近似されてもよい。
[0108]各領域における最も強いラインの検出(S541)に続いて、凝集クラスタ化方法を使用してラインがグループ化される(S542)。凝集クラスタ化は、近隣のデータポイントを、ユークリッド二乗距離メトリックスなど、任意の2つのデータポイント間の規定の相似性距離に対して最小の差を有するクラスタへとグループ化する、周知のボトムアップクラスタ化方法である。脈管のクラスタ化に関して、脈管に対応するライン又はライングループの対は、ライン中心及びライン配向に関して指定された2つのライン間のユークリッド距離が、全ての可能なラインペアリングと比較して小さい場合にクラスタ化される。
[0109]凝集クラスタ化は、当該分野で知られている、又は後述するような方法を使用して実施されてもよい。
[0110]X={x1,x2,x3,...,xn}をデータポイントの組とする。
[0111]1)レベルL(0)=0及びシーケンス番号m=0を有する素なクラスタ化で始める。
[0112]2)d[(r),(s)]=min d[(i),(j)]に従って、現在のクラスタ化における最小距離のクラスタ対、即ち対(r),(s)を見つける。式中、最小値は現在のクラスタ化における全てのクラスタ対に及ぶ。
[0113]3)シーケンス番号を増分する:m=m+1。クラスタ(r)及び(s)を単一のクラスタへとマージして、次のクラスタ化mを形成する。このクラスタ化のレベルをL(m)=d[(r),(s)]に設定する。
[0114]4)クラスタ(r)及び(s)に対応する行及び列を削除し、新しく形成されたクラスタに対応する行及び列を追加することによって、距離行列Dを更新する。(r,s)で表される新しいクラスタと古いクラスタ(k)との間の距離は、このように定義される:d[(k),(r,s)]=min(d[(k),(r)],d[(k),(s)])
[0115]5)全てのデータポイントが1つのクラスタ内にある場合、停止するか、あるいはステップ2)から繰り返す。
[0116]未グループ化ラインを比較するステップが、図6Cに示され、図では、2つのラインセグメント655及び656が比較されて、配向角度Θ及び距離Dに基づいて2つのライン間の親和性が決定される。実際には、各ラインは、2つのライン655及び656間の親和性の規準が使用される、ライン中心及び配向によって表される。いくつかの実施形態では、2つのライン間の親和性は、A=f(Θ,D)によって表されてもよい。任意の2つのライン間の親和性が親和性閾値と一致するかもしくはそれを上回る場合(S543)、又は角度及び距離が閾値を満たす場合、2つのラインは単一の脈管と関連付けられたグループに割り当てられてもよい(S545)。親和性閾値を満たさないライン対は単純に無視され、次の隣接した領域を監視することによって別のライン対が選択される。図6Dは、ラインセグメントのグループ化(670)を示し、更に、所定の閾値よりも小さいライングループが無視されてもよい(680)ことを示している。親和性の規準の例は、交差するラインの交差角のコサインで乗算したそれらのラインの中心間のユークリッド距離、又は各ラインの(x,y,θ)パラメータに対するユークリッドメトリックス、又は2つのライン間の距離を定量化するために使用することができる他の数学的メトリックスであり、ここで、ユークリッド距離は、ユークリッド空間内の2つのポイント間の「通常の」(即ち、直線)距離である。
[0117]より具体的には、ライン間のグループ親和性を使用して、局所的なラインがそれぞれライン間の親和性に基づいてグループに割り当てられる、凝集クラスタ化方法(上述)によるボトムアップの方策でラインがグループ化される。例えば、2つのライン間の親和性を決定するため、それらのラインが比較されてもよく、親和性は、互いに対するラインの配向、及びライン間の距離に基づいてもよい。この反復ボトムアップマージプロセスでは、親和性が最も低い2つのライン又はグループが、各反復においてマージされる。この処置は、任意の2つのライングループに関して決定された親和性が親和性閾値を超えない場合(S543)、任意のマージされていないラインをマージされたグループへとマージすることによって、帰納的に実行される。一般的に、親和性閾値は、約100ピクセル〜約200ピクセルの範囲である(又は、ライン長さは約50ミクロン〜約100ミクロンの範囲である)。親和性閾値を満たす任意の2つのラインは、同じグループに割り当てられてもよく(S545)、接続されるか、又は別の方法で結合されてもよい。これらの動作は、領域内の全ての残りのラインに対して帰納的に実行され(S546)、それらがグループの一部であり得るか否かが決定される。特定のグループに関する閾値比較を満たす追加のラインがない場合、プロセスは、別の未グループ化ラインに対して繰り返されて、次の新しいグループが開始されてもよい。プロセスは、残っている未グループ化ラインがなくなるまで繰り返される。
[0118]全ての利用可能なラインがグループ化されて、集合的に脈管候補を画定すると、グループは次に、品質制約解析にかけられる(S547)。例えば、脈管候補の品質は、結合された局所的なラインから生成される多角形の輪郭を観察し、輪郭ポイントからある距離以内にある脈管候補のピクセルの値を合計することによって、決定されてもよい。モチベーションは、良好な品質のラインの場合、多角形が通る全てのピクセルからの平均ピクセル強度が高く、ライン上のピクセル強度と同様なことである。画像におけるストリークもしくは染色アーチファクトの導入、又は有効な脈管外形からの任意の連続した高強度を有さない著しいライン破断によるなど、品質が悪いラインの場合、ラインのどちらかの側を延在するピクセルの強度は、背景に対応する非常に低い値を有するようになる。平均強度が品質制約閾値を下回る場合、脈管の輪郭が拒絶されてもよい(S548)。
[0119]追加の品質規準(S547)は、生成された輪郭の多角形の領域内におけるピクセルの二次元エントロピーを決定し、エントロピーをエントロピー閾値と比較することを含む。いくつかの実施形態では、エントロピーは、強度値のヒストグラムを決定することによって計算される。画像エントロピーは、強度値のヒストグラムを導き出し、各ヒストグラムビン内の値を有するサンプリングされたピクセルの蓋然性を計算することによって計算される。例えば、輪郭の多角形内に1000ピクセルがあり、強度ビン255内に100ピクセルがある場合、255の値を有するピクセルをランダムに選択する可能性は1/10である。任意のサンプリングされたピクセルに関して予測される情報の量をビット単位で計算するために、この蓋然性の底数2の対数が計算され、蓋然性によって重み付けされる。これを考慮することによって、ここではビットである規定の単位で、画像エントロピーを報告することができる。
[0120]いくつかの実施形態では、画像エントロピーは次の疑似コードを使用することによって計算されてもよい。
[0121]関数エントロピー計算器(引数=ヒストグラム)
[0122]合計=0
[0123]エントロピー=0
[0124]ヒストグラムの各ビンに対して:合計=合計+ビン周波数
[0125]ヒストグラムの各ビンに対して:蓋然性=ビン周波数
[0126]蓋然性>0.99/合計の場合:
[0127]エントロピー=エントロピー+(−1×蓋然性×(log(蓋然性)/log(2.0))
[0128]リターンエントロピー
[0129]いくつかの実施形態では、複数の閾値が定義され、「0」は最小エントロピー及び最高品質を示し、最大値、例えば「100」は、最高エントロピー及び最低品質を示す。他の実施形態では、エントロピー閾値は約11である。当業者であれば認識するように、高エントロピーは、画像領域において無秩序が多いか又は構造が欠落していることを示唆する。エントロピー閾値限界を上回るなど、エントロピー値が高い場合、問題の輪郭の多角形は、長い/狭い脈管ではなく未構造化脈管として分類されてもよい(S549)。他方で、品質の制約を満たす任意の多角形は、同様に、長く狭い脈管として出力されてもよい(S549)。ライン特徴検出モジュール114の動作は、任意の後に続く脈管解析、例えば、数百万ピクセルの画像を複数のラインセグメントへと還元するのを高速化すると考えられる。
[0130]本発明の実施形態は、大脈管及び小脈管の横断面、並びに長い脈管及び小脈管の縦断面の特定を可能にしてもよい。
[0131]図11は、大脈管検出のワークフローを提供し、大脈管検出スキームの出力を示している。例えば、局所的なエッジラインが、1020で示されており、領域がセグメント化されラインが検出された後の入力画像1010から導き出される。未グループ化ラインを比較した後、閾値要件を満たすものがリンクされ、出力が1030で示されている。リンクされたラインに基づいて、(画像1040に示されるような)多角形が生成される。画像1060は、脈管セグメント化後の脈管境界を示している(1050で示される)。
[0132]小脈管の検出
[0133]いくつかの実施形態では、小脈管検出モジュール115を用いて、脈管チャネル画像それぞれにおいて小脈管が検出されてもよい(S215)。特定された小脈管は、脈管分類モジュール116に出力される。概して、小脈管検出モジュール115は、(平滑な連続した背景を画像から除去する)ローリングボールフィルタ処理及び二値画像操作を実施して、それでなければ大脈管又は長く狭い脈管として分類されないであろう小脈管及びコンパクトな脈管を検出する。ローリングボール背景減算は、S.R.Sternberg,「Biomedical Image Processing(生物医学的画像処理)」,Computer,vol.16,no.1,pp.22−34,Jan.1983に記載されており、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。新規な操作は、所定の半径内にあるピクセルの平均値を決定して平滑化の結果を達成することによって、従来のローリングボール方法を修正し、平滑化の結果が閾値化されて、画像又はその領域の二値マスクが得られる。生成された二値マスクは、接続された成分の標識付けを使用して領域にグループ化され、小脈管閾値サイズよりも大きい各成分が小脈管候補として出力される。
[0134]より具体的には、図7Aを参照すると、小脈管は、分離された脈管チャネルを最初に入力として受信し(S760)、ピクセルの強度に基づいて複数のピクセルの中からピクセルを選択することによって検出される。例えば、特定の閾値を上回る強度を有する全てのピクセルを選択することができる。次に、周囲のピクセルの平均値を測定し、背景閾値で平滑化することによって、選択されたピクセルの周りの領域の背景が減算される(S762)。いくつかの実施形態では、9×9ピクセルの小さい隣接物を使用して、周囲のピクセルの平均値が測定される。結果として得られるピクセルが背景閾値を満たす場合(S763)、ピクセルは二値マスクに追加され(S765)、次のピクセルが処理される(S766)。他方で、ピクセルが背景閾値を満たさない場合、廃棄され(S764)、次のピクセルがあればそれが処理される(S766)。例として、背景閾値は、強度値の百分位値の約5%に設定される。
[0135]図7Bは、小脈管決定のワークフローを更に示している。第1の画像770は、ローリングボールフィルタ処理後の内皮チャネルを表している。閾値化の後、二値マスクが生成される(771、772)。画像773は、検出された大脈管に覆われている脈管が除去されている場合に出力を提供する。
[0136]生成されたマスクは、次に、それぞれの脈管チャネル画像に適用されてもよく、接続された成分の標識付けが、マスキングされた画像内のピクセルを接続するために使用されてもよい(S767)。概して、接続された成分の標識付けは画像をスキャンし、そのピクセルを、ピクセル接続性に基づいた成分へとグループ化し、即ち、接続された成分中の全てのピクセルは類似のピクセル強度値を共有し、何らかの形で互いに接続される。全てのグループが決定された後で、各ピクセルは、それが割り当てられた成分に従って、グレーレベル又は色(色の標識付け)で標識付けされる。接続された成分の標識付けは、接続されたピクセル領域を、即ち、同じ一連の強度値Vを共有する隣接したピクセルの領域を特定するために、画像をピクセル毎に(上から下へ、左から右へ)スキャンすることによって作用する。いくつかの実施形態では、8つの近隣の接続された成分のアルゴリズムが使用される。
[0137]結果として得られる接続された成分は、小脈管閾値サイズと比較され(S768)、小脈管閾値サイズよりも大きい全ての接続された成分が、小脈管候補として出力され、小脈管閾値サイズを満たさないあらゆる成分は廃棄される(S769)。いくつかの実施形態では、小脈管閾値サイズは、約10ミクロン〜約50ミクロンの範囲の半径であって、約100ピクセル〜約800ピクセルの円周方向周囲長さに変換される。他の実施形態では、小脈管閾値サイズは約1000ピクセルである。結果として得られる成分のグループから、他の脈管検出動作(例えば、大脈管検出又は長く狭い脈管の検出)によって既に検出された任意の特徴が除去され、残ったものは、閾値要件(図7Bを参照)を偶発的に満たす小脈管である。
[0138]脈管分類
[0139]いくつかの実施形態では、脈管分類モジュール116を使用して、(ステップS213,S214,及びS215から得られた)脈管チャネル画像それぞれにおいて検出される脈管が、血管もしくはリンパ管(又は純粋なリンパ管)の1つに属するものとして分類される。異なる脈管のかかる分類は、本明細書に記載するような、脈管の形状及び場所の特性に加えて、病理医に対して診断値を提供する。
[0140]図8を参照すると、方法は、血管チャネル及びリンパ管チャネルに対応する脈管チャネル画像を組み合わせ(S870)、本明細書に記載するステップS213、S214、及びS215から特定された異なる脈管構造(例えば、大脈管、長く狭い脈管、もしくは小脈管)を評価する(S871)ことで始まる。異なる画像チャネル間で重なり合わない脈管構造(S872)は、それらのスペクトルシグネチャに基づいて(S873)、即ち、血管、リンパ管、又は純粋なリンパ管のいずれかに対応する染料を特定することによって分類される。
[0141]純粋なリンパ管は、リンパ管チャネル画像のみに現れるものである。対照的に、リンパ管は、リンパ管及び血管両方のチャネル画像にシグネチャを有する。血管は血管チャネル画像のみに現れる。当業者であれば、リンパ管は、(i)血管を染色するのに一般的に使用される、CD31及びCD34染料の組み合わせ、及び(ii)純粋なリンパ管を染色するのに一般的に使用される、ポドプラニン染料の組み合わせの両方によって染色されてもよい。(ポドプラニンは、D2−40単クローン抗体によって認識される、膜透過性ムコタンパク質(38kd)である。ポドプラニンは、リンパ内皮並びにリンパ管腫、カポジ肉腫において、リンパ管の分化が推測される血管肉腫の部分集合の形で選択的に発現される。)
[0142]リンパ管は上述したように交差染色してもよいが、他方で、血管は一般的に、QD565マーカーの存在下では染色しない。したがって、両方のチャネルで重なり合うと特定された脈管(S872)は、交差染色に対する素因を所与として、脈管がリンパ管であるという決定(S874)を誘発してもよい。したがって、少なくとも重なり閾値因子の分重なり合う任意の出力は、「血管」染料で染色されたリンパ管と見なすことができる。いくつかの実施形態では、脈管は、血管チャネル及びリンパ管チャネルの両方における2つの脈管間に0.33を超える類似性がある場合、リンパ管として分類されてもよい。
[0143]当業者であれば、また、血管マーカーがリンパマーカーよりも強い信号を有することも認識するであろう。したがって、いくつかの実施形態では、血管チャネルからの脈管の輪郭又は形状を使用して、リンパ管が定義されてもよい(S875)。更に、純粋なリンパ管は、いずれの血管染料も有さないものであり、したがってそのように分類される(S873)。
[0144]最初と後にクラスタ化を行って血管及びリンパ管を特定する、大きい/狭い脈管及び長い/小さい脈管を検出する特定のシーケンスは、前記特定のシーケンスが、例えば、前記3つの異なる脈管タイプと2つの異なる組織タイプ(血液/リンパ組織)を同時に区別しようとする分類アプローチよりも正確であることが観察されているので、有利な場合がある。
[0145]脈管成熟度の検出
[0146]いくつかの実施形態では、成熟度決定モジュール117を使用して、特定の脈管(ステップS213、S214、及びS215で特定される)が成熟しているか又は未成熟かが決定されて、進行しているかもしくは新しい腫瘍の精密で詳細な診断が可能にされてもよい。当業者であれば、未成熟の脈管は活動的に成長している腫瘍を示し、したがってそれら未成熟の脈管の特定は、腫瘍診断(及び/又は適切な脈管形成阻害薬を用いた治療)を解明する助けとなってもよいことを理解するであろう。
[0147]図9を参照すると、特定された脈管が最初に選択される(S980)。いくつかの実施形態では、脈管を取り囲む筋肉組織を検出する、環状の検出器が生成される(S981)。いくつかの実施形態では、筋肉は、抗平滑筋抗体(ASMA)を使用して染色され、ASMAで染色された筋肉組織におけるピクセルからの強度が計算される。
[0148]いくつかの実施形態では、生成された環状の検出器は、内環及び外環という2つの同心環を、特定された脈管の上に重ね合わせることによって動作し、両方の環におけるASMA染料の平均ピクセル強度を計算する(S982)。一般的な環のサイズは、成熟した脈管の平均半径によって決定され、環状領域は、成熟した脈管サイズの半径サイズの約10%に設定される(成熟した脈管のみがその周りにASMAを有するという理論)。
[0149]環の間の平均ピクセル強度の差を脈管成熟度閾値と比較して(S983)、ASMAの環が存在するか否かが決定される。ASMA染料は筋肉組織に結合するものであり、また脈管の周りに筋肉組織が顕著に存在することは、脈管が成熟していることを示すので、ASMA環の存在によって、脈管が成熟した脈管であるという決定を誘発してもよい(S984)。いくつかの実施形態では、脈管成熟度閾値は約0〜約1の範囲であり、0の値は、ASMA信号を発現する環の一部範囲を有さない未成熟の脈管を示し、1の値は、ASMA信号を発現する完全な円周方向の環を有する完全に成熟した脈管を示す。他の実施形態では、成熟度閾値は約0.25である。
[0150]図10は、脈管成熟度を決定するプロセスを示している。本明細書に記載するように、外環1057及び内環1058を備える環状の検出器は、検出された脈管1051の上に重ねられる。両方の環1057及び1058におけるASMAの平均ピクセル強度が計算され、環の間の平均ピクセル強度の差を脈管成熟度閾値と比較して、ASMAの環が存在するか否かが決定される。
[0151]ASMA環検出によって成熟しているものと分類されない脈管は、更に、脈管の生成された輪郭の多角形(本明細書に記載するように生成された輪郭の多角形)の領域内にあるピクセルのエントロピー値を計算し、計算されたエントロピーを脈管エントロピー閾値と比較する(S985)ことによって評価される。本明細書に記載するように、高エントロピー値は、領域において無秩序が多いか又は構造が欠落していることを示唆するので顕著である。エントロピー閾値を上回るエントロピー値などの高エントロピー値を有する脈管は、血管としてではなく、未構造化脈管として分類されてもよく(S986)、適宜出力されてもよい。成熟度解析が全ての残りの脈管に適用され(S987)、プロセスは脈管の選択から繰り返す(S980)。解析される脈管がもうない場合、観察された脈管の成熟度が出力される(S989)。
[0152]細胞及び核の検出
[0153]いくつかの実施形態では、細胞及び核は、任意選択で、核検出モジュール118を用いて脈管チャネル画像それぞれで検出されて(S218)、特定された脈管及び細胞の共存が可能になる。いくつかの実施形態では、組織試料は、細胞又は核の1つもしくは複数のタイプを特定する染料、例えばKi−67、CD3で処理されており、それらの染料に対する多重画像から導き出された画像チャネルが、細胞及び核の特定で使用されてもよい。
[0154]いくつかの実施形態では、核検出モジュール118は、径方向対称性を使用して核を特定して、核の中心を検出し、次に細胞中心の周りにおける染料の強度に基づいて核を分類する。例えば、分離された画像チャネルを所与として、画像の大きさがチャネルから計算され、選択された領域内の大きさの合計を加算することによって、各ピクセルにおける1つ又は複数の票が蓄積される。平均シフトクラスタ化(mean shift clustering)を使用して、実際の核の場所を表す、領域内の局所中心が見つけ出される。径方向対称性は、当業者には知られている技術である(Parvin、Bahram,et al.「Iterative voting for inference of structural saliency and characterization of subcellular events(部分細胞イベントの構造的顕現性及び特徴付けの推論に関する反復投票)」,Image Processing,IEEE Transactions on 16.3(2007):615−623を参照。その開示の全体を参照により本明細書に組み込む)。
[0155]径方向対称性の投票に基づく核検出は、カラー画像強度データに対して実行され、核が、サイズ及び偏心が変動する楕円形のブロブであるというアプリオリドメインの知識を明示的に使用する。これを実施するため、入力画像の色強度とともに、画像勾配情報も径方向対称性の投票において使用され、適応的セグメント化プロセスと組み合わされて、細胞核を精密に検出し局所化する。「勾配」」は、本明細書で使用するとき、例えば、特定のピクセルを取り囲む一連のピクセルの強度値勾配を考慮することによって、前記特定のピクセルに対して計算される、ピクセルの強度勾配である。各勾配は、x軸及びy軸がデジタル画像の2つの直交する辺によって定義される、座標系に対する特定の「配向」を有してもよい。例えば、核シードの検出は、細胞核の内部にあって細胞核を局所化する開始ポイントの役割を果たすと仮定されるポイントとして、シードを定義することを伴う。第1のステップは、径方向対称性に基づいて堅牢性の高い方策を使用して、各細胞核と関連付けられたシードポイントを検出して、細胞核に似た構造の楕円形のブロブを検出することである。径方向対称性の方策は、カーネルに基づく投票処置を使用して勾配画像に対して働く。投票カーネルを通して票を蓄積する各ピクセルを処理することによって、投票応答行列が作成される。カーネルは、その特定のピクセルにおいて計算された勾配方向、並びに予測される最小及び最大核サイズの範囲、並びに投票カーネル角度(一般的に、[π/4、π/8]の範囲)に基づく。結果として得られる投票空間では、所定の閾値よりも高い票の値を有する局所極大位置が、シードポイントとして保存される。外来のシードは、後に続くセグメント化又は分類プロセスの間に、後で廃棄されてもよい。
[0156]核は、当業者には知られている他の技術を使用して特定されてもよい。例えば、画像の大きさは脈管チャネルから計算されてもよく、指定された大きさの周りの各ピクセルに、ピクセルの周りの領域内における大きさの合計に基づいた票の数が割り当てられてもよい。あるいは、核の実際の場所を表す投票画像内の局所中心を見つけるため、平均シフトクラスタ化動作が実施されてもよい。他の実施形態では、核セグメント化を使用して、形態学的動作及び局所閾値化を介して、ここでは分かっている核の中心に基づいて核全体をセグメント化してもよい。更に他の実施形態では、モデルに基づくセグメント化を利用して、核が検出されてもよい(即ち、核の形状モデルを訓練データセットから学習し、それを事前知識として使用して、試験画像中の核をセグメント化する)。
[0157]核検出は任意であるが、腫瘍血管新生を解析し定量化するのに有用である。例えば、各血管内に、Ki67、アポトーシス細胞、又は低酸素細胞など、特定の腫瘍生物マーカーを発現することがある、腫瘍性の上皮細胞が存在し得る。したがって、血管は、特定の生物マーカータイプの上皮細胞を含むものとして、更に部分タイプ化されてもよい。それに加えて、腫瘍細胞、又は増殖性腫瘍細胞を示すKi67などの特定の部分タイプの腫瘍細胞に対する、微小脈管の最も近い距離を評価することも対象である。
[0158]実施例
[0159]例として、図12及び13は、本明細書に記載する脈管検出ワークフローの結果(出力)を示している。図13の画像では、「a」は成熟した血管を表し、「b」は未成熟の血管を表し、「c」はリンパ管を表し、「d」は純粋なリンパ管を表し、「e」は未構造化要素を表す。
[0160]本開示の実施形態を実施するための他の構成要素
[0161]本開示のコンピュータシステムは、組織標本に対して1つ又は複数の調製プロセスを実施することができる、標本処理装置に結合されてもよい。調製プロセスとしては、非限定的に、標本の脱パラフィン化、標本の調整(例えば、細胞の調整)、標本の染色、抗原の検索の実施、免疫組織化学的染色(標識付けを含む)もしくは他の反応の実施、及び/又はインシチューでのハイブリダイゼーション(SISH、FISHなど)の染色(標識付けを含む)もしくは他の反応の実施、並びに顕微鏡法、ミクロ解析、質量分析方法、もしくは他の解析方法に対して標本を調製する他のプロセスを挙げることができる。
[0162]標本は組織試料を含むことができる。組織試料は、標的がその中もしくは上に存在し得る、任意の液状、半固体、又は固体物質(もしくは材料)であることができる。特に、組織試料は、生物試料、又は生物組織から得られる組織試料であることができる。組織は、生物内で類似の機能を実施する、相互接続された細胞の集合体であることができる。いくつかの実施例では、生物試料は、被験者などの動物対象から得られる。生物試料は、非限定的に、特にバクテリア、酵母、原生動物、及びアメーバなどの単細胞生物、多細胞生物(健康もしくは見かけ上健康な被験者、又はがんなどの診断もしくは調査された状態又は疾患を患っている患者からの試料を含む、植物又は動物など)、任意の生物から得られるか、それによって排出されるか、又はそれによって分泌される、任意の固体もしくは流体試料であることができる。例えば、生物試料は、例えば血液、血漿、血清、尿、胆汁、腹水、唾液、脳脊髄液、水性もしくは硝子体液から得られる生物流体、又は任意の身体分泌物、漏出液、排出物(例えば、膿瘍又は他の任意の感染もしくは炎症部位から得られる流体)、あるいは関節(例えば、正常な関節又は疾患を患っている関節)から得られる流体であることができる。生物試料はまた、任意の器官又は組織から得られる試料(腫瘍生検など、生検もしくは剖検標本を含む)であることができ、あるいは、細胞(一次細胞もしくは培養細胞のどちらであるかにかかわらない)、又は任意の細胞、組織、もしくは器官によって調整された媒質であることができる。いくつかの実施例では、生物試料は核抽出物である。特定の実施例では、試料は、開示される細胞ペレット部分試料の1つなどの品質管理試料である。他の実施例では、試料は試験試料である。例えば、試験試料は、対象から得られる生物試料から調製された、細胞、組織、又は細胞ペレット部分である。一実施例では、対象は、特定の状態もしくは疾患のリスクがあるか、又はそれを既に獲得している対象である。いくつかの実施形態では、標本は胸部組織である。
[0163]標本処理装置は、固定剤を標本に適用することができる。固定剤としては、架橋剤(アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、及びグルタルアルデヒド、並びに非アルデヒド系架橋剤)、酸化剤(例えば、無水オスミン酸及びクロム酸などの金属イオン及び錯体)、タンパク質変性剤(例えば、酢酸、メタノール、及びエタノール)、未知のメカニズムの固定剤(例えば、塩化水銀、アセトン、及びピクリン酸)、混合試薬(例えば、Carnoyの固定剤、メタカーン、Bouinの流体、B5固定剤、Rossmanの流体、及びGendreの流体)、マイクロ波、並びにその他の固定剤(例えば、排除体積固定及び蒸気固定)を挙げることができる。
[0164]標本がパラフィンに埋め込まれた試料である場合、適切な脱パラフィン化流体を使用して試料を脱パラフィン化することができる。廃棄物除去剤が脱パラフィン化流体を除去した後、任意の数の物質を連続して標本に適用することができる。物質は、前処理(例えば、タンパク質架橋、核酸の露出など)、変性、ハイブリダイゼーション、洗浄(例えば、収れん洗浄)、検出(例えば、可視もしくはマーカー分子をプローブにリンクする)、増幅(例えば、タンパク質、遺伝子などの増幅)、対比染色、カバーガラスの被せなどのためのものであることができる。
[0165]標本処理装置は、広範囲の物質を標本に適用することができる。物質としては、非限定的に、染料、プローブ、試薬、リンス、及び/又はコンディショナー(以下、集合的に「染料」と呼ぶ)が挙げられる。物質は、流体(例えば、ガス、液体、もしくはガス/液体混合物)などであることができる。流体は、溶媒(例えば、極性溶媒、非極性溶媒など)、溶液(例えば、水性溶液もしくは他のタイプの溶液)などであることができる。試薬としては、非限定的に、染料、湿潤剤、抗体(例えば、単クローン抗体、多クローン抗体など)、抗原復元流体(例えば、水性もしくは非水性系の抗原獲得溶液、抗原回復緩衝液など)、その他のものが挙げられる。プローブは、検出可能な標識もしくはリポーター分子に取り付けられた、単離核酸又は単離された合成オリゴヌクレオチドであることができる。標識としては、放射性アイソトープ、酵素物質、補助因子、リガンド、化学発光剤もしくは蛍光剤、ハプテン、及び酵素を挙げることができる。
[0166]標本処理装置は、Ventana Medical Systems,Inc.から販売されているBENCHMARK XT機器及びSYMPHONY機器などの自動化装置であることができる。Ventana Medical Systems,Inc.は、米国特許第5,650,327号、第5,654,200号、第6,296,809号、第6,352,861号、第6,827,901号、及び第6,943,029号、並びに米国公開公報第20030211630号及び第20040052685号を含む、自動解析を行うシステム及び方法を開示している多数の米国特許の譲受人であり、それらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む。あるいは、標本は手動で処理することができる。
[0167]標本を処理した後、ユーザは、標本が置かれたスライドを撮像装置に移送することができる。撮像装置は、ハイパースペクトル又は蛍光撮像を可能にする、明視野画像装置スライドスキャナ、スキャナもしくはスペクトルカメラと関連付けられるか又はそれを含む顕微鏡、あるいは周波数範囲で画像内容をキャプチャすることができる任意のソースであってもよい。1つの明視野画像装置は、Ventana Medical Systems,Inc.によって販売されているiScan Coreo(商標)明視野スキャナである。自動化された実施形態では、撮像装置は、国際特許出願PCT/US2010/002772(公開公報WO/2011/049608)、発明の名称「IMAGING SYSTEM AND TECHNIQUES(撮像システム及び技術)」に開示されているもの、又は2011年9月9日出願の米国特許出願第61/533,114号、発明の名称「IMAGING SYSTEMS,CASSETTES,AND METHODS OF USING THE SAME(撮像システム、カセット、及びその使用方法)」に開示されているものなど、デジタル病理学デバイスである。国際特許出願PCT/US2010/002772及び米国特許出願第61/533,114号は、それらの全体を参照により組み込む。他の実施形態では、撮像装置は顕微鏡に連結されたデジタルカメラを含む。
[0168]撮像システム又は装置は、多重スペクトル撮像(MSI)システム又は蛍光顕微鏡システムであってもよい。本明細書で使用される撮像システムはMSIである。MSIは、一般に、ピクセルレベルで画像の空間分布へのアクセスを提供することによって、コンピュータ化された顕微鏡に基づく撮像システムを用いた病理標本の解析を備える。様々な多重スペクトル撮像システムが存在するが、これらのシステム全てに共通する動作態様は、多重スペクトル画像を形成する能力である。多重スペクトル画像は、特定波長で、又は電磁スペクトルにわたる特定のスペクトル帯域幅で、画像データをキャプチャするものである。これらの波長は、光学フィルタによって、又は例えば赤外線(IR)などの可視光範囲を越える波長での電磁放射を含む、所定のスペクトル成分を選択することができる他の機器を使用することによって選ばれてもよい。
[0169]MSIは、光学撮像システムを含んでもよく、その一部分は、所定数Nの離散的な光学帯を定義するように調整可能なスペクトル選択性のシステムを含む。光学系は、広帯域光源を用いて光学検出器上に伝達される際に照明される、組織試料を撮像するように適合されてもよい。光学撮像システムは、一実施形態では、例えば、顕微鏡などの拡大システムを含んでもよく、光学系の単一光学出力とほぼ空間的に位置合わせされた単一の光学軸を有する。システムは、異なる離散的なスペクトル帯で画像が獲得されるものと仮定するように、スペクトル選択的システムが(例えば、コンピュータプロセッサを用いて)調節又は調整されると、組織の一連の画像を形成する。装置は、更に、一連の獲得画像から組織の少なくとも1つの視覚的に知覚可能な画像を表すディスプレイを含んでもよい。スペクトル選択的システムは、回折格子などの光学分散性の要素、薄膜干渉フィルタなどの光学フィルタの集合体、又は、ユーザ入力もしくは事前プログラムされたプロセッサのコマンドのどちらかに応答して、光源から試料を通して検出器に向かって伝達された光のスペクトルから特定の通過帯域を選択するように適合された、他の任意のシステムを含んでもよい。
[0170]代替の実現例では、スペクトル選択的システムは、N個の離散的なスペクトル帯に対応するいくつかの光学出力を定義する。このタイプのシステムは、光学系から伝達された光出力を取り込み、この光出力の少なくとも一部分を、特定されたスペクトル帯にある試料を、この特定されたスペクトル帯に対応する光路に沿って検出器システム上に結像するようにして、N個の空間的に異なる光路に沿って空間的にリダイレクトする。
[0171]本明細書に記載する主題及び操作の実施形態は、デジタル電子回路類に、又は本明細書に開示する構造及びそれらの構造的等価物を含む、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアに、又はそれらのうち1つもしくは複数の組み合わせに実装することができる。本明細書に記載する主題の実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムとして、即ち、データ処理装置によって実行されるように、もしくはその動作を制御するように、コンピュータ記憶媒体上で符号化された、コンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールとして実装することができる。本明細書に記載するモジュールのいずれかは、プロセッサによって実行される論理を含んでもよい。
[0172]上述したように、モジュールは、プロセッサ105によって実行される論理を含む。「論理」は、本明細書で、また本開示全体を通して使用するとき、プロセッサの動作に影響を及ぼすために適用されてもよい、命令信号及び/又はデータの形態を有する任意の情報を指す。ソフトウェアはかかる論理の一例である。論理はまた、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路、例えば、論理的AND、OR、XOR、NAND、NOR、及び他の論理的動作を含むハードウェア回路を含んでもよい。論理は、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせから形成されてもよい。ネットワーク上では、論理は、サーバ又はサーバの複合体上でプログラムされてもよい。特定の論理ユニットは、ネットワーク上の単一の論理的位置に限定されない。
[0173]コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリアレイ又はデバイス、あるいはそれらのうち1つ又は複数の組み合わせであることができ、あるいはそれに含めることができる。更に、コンピュータ記憶媒体は伝播信号ではないので、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝播信号で符号化されたコンピュータプログラム命令の供給元又は供給先であることができる。コンピュータ記憶媒体はまた、1つもしくは複数の別個の物理的構成要素又は媒体(例えば、複数のCD、ディスク、もしくは他の記憶デバイス)であることができ、あるいはそれに含めることができる。本明細書に記載する動作は、データ処理装置によって、1つもしくは複数のコンピュータ可読記憶デバイスに記憶されるか又は他のソースから受信したデータに対して実施される動作として実装することができる。
[0174]「プログラムされたプロセッサ」という用語は、例として、プログラマブルマイクロプロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、又は上記の複数のものもしくは組み合わせを含む、データを処理する全ての種類の装置、デバイス、及び機械を包含する。装置は、専用の論理回路類、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)を含むことができる。装置はまた、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォーム実行環境、仮想機械、又はそれらのうち1つもしくは複数の組み合わせを構築するコードを含むことができる。装置及び実行環境は、ウェブサービス、分散型コンピューティング及びグリッドコンピューティング基盤など、様々な異なるコンピューティングモデル基盤を実現することができる。
[0175]コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、もしくはコードとしても知られる)は、コンパイル型もしくはインタプリト型言語、宣言型もしくは手続き型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、独立型プログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、もしくはコンピューティング環境で使用するのに適した他のユニットとしての形式を含む、任意の形式で展開することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応してもよいが、必須ではない。プログラムは、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語文書の形で記憶された1つもしくは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部分に、問題のプログラム専用の単一のファイルに、あるいは複数の協調されたファイル(例えば、1つもしくは複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの部分を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータで、又は1つのサイトに位置するか、もしくは複数のサイトにわたって分配され、通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータで、実行されるように展開することができる。
[0176]本明細書に記載するプロセス及び論理フローは、入力データを操作し出力を生成することによって、1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行して動作を行う、1つ又は複数のプログラマブルプロセッサによって実施することができる。プロセス及び論理フローはまた、専用の論理回路類、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって実施することができ、並びに装置をそれらとして実装することもできる。
[0177]コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサとしては、例として、汎用及び専用両方のマイクロプロセッサ、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ又は複数のプロセッサが挙げられる。一般に、プロセッサは、読出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又は両方から、命令及びデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令に従って動作を実施するプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶する1つ又は複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを記憶する1つもしくは複数の大容量記憶デバイス、例えば磁気ディスク、磁気光学ディスク、又は光学ディスクを含み、あるいはそれらからデータを受信するか、それらにデータを転送するか、又は送受信の両方を行うように、動作可能に連結される。しかしながら、コンピュータはかかるデバイスを必ずしも有さなくてもよい。更に、コンピュータを別のデバイスに、例えば、いくつか例を挙げると、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯用音声もしくは映像プレーヤー、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)受信器、又は可搬型記憶デバイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)に埋め込むことができる。コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適したデバイスとしては、例として、半導体記憶素子(例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク又は取外し可能なディスク)、磁気光学ディスク、並びにCD−ROM及びDVD−ROMディスクを含む、全ての形態の不揮発性メモリ、メディア、及びメモリデバイスが挙げられる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路類によって補完するか、又はそれに組み込むことができる。
[0178]ユーザとのインタラクションを提供するため、本明細書に記載する主題の実施形態は、情報をユーザに対して表示するための表示デバイス、例えばLCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)ディスプレイ、又はOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、並びにユーザがコンピュータに入力を提供するのに用いることができる、キーボード及びポインティングデバイス、例えばマウスもしくはトラックボールを有する、コンピュータ上に実装することができる。いくつかの実現例では、タッチスクリーンを使用して、情報を表示し、ユーザからの入力を受信することができる。ユーザとのインタラクションも同様に提供するため、他の種類のデバイスを使用することができ、例えば、ユーザに対して提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバックの形、例えば視覚フィードバック、音響フィードバック、もしくは触覚フィードバックであることができ、ユーザからの入力を、音響、発話、もしくは触覚入力を含む任意の形態で受信することができる。それに加えて、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスに文書を送信し、そこから文書を受信することによって、例えば、ユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザから受信した要求に応答してウェブブラウザにウェブページを送信することによって、ユーザとインタラクションすることができる。
[0179]本明細書に記載する主題の実施形態は、例えばデータサーバとしてのバックエンド構成要素を含むか、又はミドルウェア構成要素、例えばアプリケーションサーバを含むか、又はフロントエンド構成要素、例えば、本明細書に記載する主題の実現例とインタラクションするのにユーザが用いることができる、グラフィカルユーザインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含むか、あるいは1つもしくは複数のかかるバックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムに実装することができる。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体、例えば通信ネットワークによって、相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及び広域ネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例えば、インターネット)、及びピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピアツーピアネットワーク)が挙げられる。例えば、図1Aのネットワーク109は、1つ又は複数のローカルエリアネットワークを含むことができる。
[0180]コンピューティングシステムは、任意の数のクライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、一般に互いから離れており、また一般的に、通信ネットワークを通してインタラクションする。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で稼働し、互いに対するクライアント・サーバ間の関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。いくつかの実施形態では、サーバは、(例えば、クライアントデバイスとインタラクションしているユーザに対してデータを表示し、ユーザからのユーザ入力を受信する目的で)、データ(例えば、HTMLページ)をクライアントデバイスに送信する。(例えば、ユーザインタラクションの結果)クライアントデバイスで生成されたデータを、サーバ側のクライアントデバイスから受信することができる。
[0181]特定の実施形態を参照して本開示について記載してきたが、これらの実施形態は、本開示の原理及び応用の単なる例示であることを理解されたい。したがって、例示的な実施形態に対して多数の修正が行われてもよく、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の構成が考案されてもよいことが理解される。上記明細書は、当業者が本開示を実施できるようにするのに十分であると見なされる。
[0182]本開示は、診断学の分野において産業上の利用可能性を有する。

Claims (53)

  1. 脈管を特定し分類するコンピュータデバイスであって、1つ又は複数のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備え、前記少なくとも1つのメモリが、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行され前記1つ又は複数のプロセッサに、
    複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて、大脈管、長く狭い脈管、及び小脈管からなる群からそれぞれ選択される、1つ又は複数の脈管を検出させ、
    前記検出された1つ又は複数の脈管を血管もしくはリンパ管として分類させ、
    前記1つ又は複数の検出された脈管それぞれの成熟度を特定させる非一時的コンピュータ可読命令を記憶する、コンピュータデバイス。
  2. 大脈管の前記検出が、高ピクセル強度値の輪郭によって取り囲まれた低ピクセル強度値の内部領域を有する管腔を特定することを含む、請求項1に記載のコンピュータデバイス。
  3. 高ピクセル強度値の輪郭によって取り囲まれた低ピクセル強度値の内部領域を有する管腔の前記特定が、前記脈管チャネル画像の暗い領域と前記脈管チャネル画像の比較的明るい領域とのコントラストを評価することを含む、請求項2に記載のコンピュータデバイス。
  4. 大脈管の前記検出が、前記特定された管腔の境界を決定することを含み、前記特定された管腔の前記境界が、(a)前記特定された管腔のほぼ中心に、スポークの中心から径方向で延在する複数のアームをそれぞれ有するスポークを配置し、(b)各アームに沿ったピクセル強度及び前記スポーク中心におけるピクセル強度を評価し、(c)コントラスト閾値を満たす前記スポークを保持し、(d)前記保持されたスポークに基づいて輪郭の多角形を生成することによって決定される、請求項2に記載のコンピュータデバイス。
  5. 長く狭い脈管の前記検出が、(i)脈管チャネル画像の複数の重なり合う画像領域において、局所的なラインを検出することと、(ii)親和性閾値を満たす前記重なり合う画像領域からの前記検出された局所的なラインをグループ化することとを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータデバイス。
  6. 前記親和性閾値を満たす前記重なり合う領域からの前記検出された局所的なラインの前記グループ化が、(i)2つの隣接した局所的なライン間の距離及び角度を評価することによって、前記重なり合う領域における前記2つの隣接した局所的なライン間の親和性を計算することと、(ii)前記計算された親和性を親和性閾値と比較することとを含む、請求項5に記載のコンピュータデバイス。
  7. 輪郭の多角形が前記グループ化された局所的なラインから生成される、請求項6に記載のコンピュータデバイス。
  8. 小脈管の前記検出が、(i)周囲の背景のピクセル強度よりも高強度であるピクセルを含む二値マスクを生成することと、(ii)前記生成された二値マスク内のピクセルを接続することと、(iii)前記接続されたピクセルのサイズが小脈管の閾値サイズを満たすか否かを評価することとを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータデバイス。
  9. 前記二値マスクの前記生成が、(i)複数のピクセルの中からピクセルを選択することと、(ii)前記選択されたピクセルそれぞれを取り囲むピクセルの強度の平均値を測定することと、(iii)前記選択されたピクセルを取り囲むピクセルの強度の前記測定された平均値それぞれを、前記選択されたピクセルそれぞれの強度値から減算することと、(iv)前記減算された値を背景強度閾値と比較することと、(v)減算された値の強度が前記背景強度を上回っているピクセルを前記二値マスクに追加することとを含む、請求項8に記載のコンピュータデバイス。
  10. 前記生成された二値マスク内の前記ピクセルが、接続された成分の標識付けプロセスを使用して接続される、請求項8に記載のコンピュータデバイス。
  11. 前記検出された1つ又は複数の脈管の前記分類が、複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて重なり合う脈管を特定することを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピュータデバイス。
  12. 重なり合わない検出された脈管が染料信号に基づいて分類される、請求項11に記載のコンピュータデバイス。
  13. 検出された脈管の成熟度を推定する命令が提供される、請求項1から12のいずれか一項に記載のコンピュータデバイス。
  14. 検出された脈管の前記成熟度の前記推定が、前記検出された脈管の周りに位置する内環と外環との平均ピクセル強度の差を評価することを含む、請求項13に記載のコンピュータデバイス。
  15. 前記内環及び外環が、抗平滑筋抗体で染色された組織の信号にその強度が対応するピクセルを含む、請求項14に記載のコンピュータデバイス。
  16. 核を検出する命令が提供される、請求項1から15のいずれか一項に記載のコンピュータデバイス。
  17. 脈管を検出し解析するコンピュータ実装方法であって、
    複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて、大脈管、長く狭い脈管、及び小脈管からなる群からそれぞれ選択される1つ又は複数の脈管を検出するステップと、
    前記検出された1つ又は複数の脈管を血管もしくはリンパ管として分類するステップと、
    前記1つ又は複数の特定された脈管それぞれの成熟度を特定するステップとを含む、コンピュータ実装方法。
  18. 大脈管を検出する前記ステップが、高ピクセル強度値の輪郭によって取り囲まれた低ピクセル強度値の内部領域を有する管腔を特定するステップを含む、請求項17に記載のコンピュータ実装方法。
  19. 高ピクセル強度値の輪郭によって取り囲まれた低ピクセル強度値の内部領域を有する管腔を特定する前記ステップが、前記脈管チャネル画像の暗い領域と前記脈管チャネル画像の比較的明るい領域とのコントラストを評価するステップを含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
  20. 大脈管を検出する前記ステップが、前記特定された管腔の境界を検出するステップを含む、請求項19に記載のコンピュータ実装方法。
  21. 前記特定された管腔の前記境界が、(a)前記特定された管腔のほぼ中心に、スポークの中心から径方向で延在する複数のアームをそれぞれ有する前記スポークを配置し、(b)各アームに沿ったピクセル強度及び前記スポーク中心におけるピクセル強度を評価し、(c)コントラスト閾値を満たしている前記スポークを保持し、(d)前記保持されたスポークに基づいて輪郭の多角形を生成することによって決定される、請求項20に記載のコンピュータ実装方法。
  22. 長く狭い脈管を検出する前記ステップが、(i)脈管チャネル画像の複数の重なり合う領域において、局所的なラインを検出するステップと、(ii)親和性閾値を満たす前記重なり合う領域からの前記検出された局所的なラインをグループ化するステップとを含む、請求項17から21のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  23. 前記親和性閾値を満たす前記重なり合う領域からの前記検出された局所的なラインをグループ化する前記ステップが、(i)2つの隣接した局所的なライン間の距離及び角度を評価することによって、前記重なり合う領域における前記2つの隣接した局所的なライン間の親和性を計算するステップと、(ii)前記計算された親和性を親和性閾値と比較するステップとを含む、請求項22に記載のコンピュータ実装方法。
  24. 輪郭の多角形が前記グループ化されたラインから生成される、請求項42に記載のコンピュータ実装方法。
  25. 小脈管を検出する前記ステップが、(i)周囲の背景の強度よりも高強度であるピクセルを含む二値マスクを生成するステップと、(ii)前記生成された二値マスク内のピクセルを接続するステップと、(iii)前記接続されたピクセルのサイズが小脈管の閾値サイズを満たすか否かを評価するステップとを含む、請求項17から24のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  26. 前記二値マスクを生成する前記ステップが、(i)複数のピクセルの中からピクセルを選択するステップと、(ii)前記選択されたピクセルそれぞれを取り囲むピクセルの強度の平均値を測定するステップと、(iii)前記選択されたピクセルを取り囲むピクセルの強度の前記測定された平均値それぞれを、前記選択されたピクセルそれぞれの強度値から減算するステップと、(iv)前記減算された値を背景強度閾値と比較するステップと、(v)減算された値の強度が前記背景強度を上回っているピクセルを前記二値マスクに追加するステップとを含む、請求項25に記載のコンピュータ実装方法。
  27. 前記生成された二値マスク内の前記ピクセルが、接続された成分の標識付けプロセスを使用して接続される、請求項26に記載のコンピュータ実装方法。
  28. 前記検出された1つ又は複数の脈管を分類する前記ステップが、前記複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて重なり合う脈管を特定するステップを含む、請求項17から27のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  29. 重なり合わない検出された脈管が、染料信号に基づいて分類される、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
  30. 検出された脈管の成熟度を推定するステップを更に含む、請求項17から29のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  31. 検出された脈管の前記成熟度を推定する前記ステップが、前記検出された脈管の周りに位置する内環と外環との平均ピクセル強度の差を評価するステップを含む、請求項30に記載のコンピュータ実装方法。
  32. 前記内環及び外環が、抗平滑筋抗体で染色された組織の信号にその強度が対応するピクセルを含む、請求項31に記載のコンピュータ実装方法。
  33. 核を検出するステップを更に含む、請求項17から32のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  34. 脈管を特定し分類するコンピュータデバイスであって、1つ又は複数のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備え、前記少なくとも1つのメモリが、前記1つ又は複数のプロセッサに、(i)スポーク特徴検出モジュール、ライン特徴検出モジュール、及び小脈管検出モジュールの少なくとも1つで、複数の脈管チャネル画像それぞれから1つ又は複数の脈管を検出する命令を実行させ、(ii)脈管分類モジュールで、前記検出された1つ又は複数の脈管を血管もしくはリンパ管として分類する命令を実行させ、(iii)成熟度決定モジュールで、前記1つ又は複数の検出された脈管の成熟度を決定する命令を実行させるように前記1つ又は複数のプロセッサによって実行される非一時的コンピュータ可読命令を記憶する、コンピュータデバイス。
  35. 核検出モジュールで、核を特定する命令を更に実行する、請求項34に記載のコンピュータデバイス。
  36. 請求項1から16又は34から35のいずれか一項に記載のコンピュータシステムと、画像獲得システムとを備える、標本アナライザ。
  37. 脈管を特定し分類するコンピュータデバイスであって、1つ又は複数のプロセッサと少なくとも1つのメモリとから本質的に成り、前記少なくとも1つのメモリが、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行され前記1つ又は複数のプロセッサに、複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて、大脈管、長く狭い脈管、及び小脈管からなる群からそれぞれ選択される、1つ又は複数の脈管を検出させ、前記検出された1つ又は複数の脈管を血管もしくはリンパ管として分類させ、前記1つ又は複数の検出された脈管それぞれの成熟度を特定させる非一時的コンピュータ可読命令を記憶する、コンピュータデバイス。
  38. 脈管を特定し分類するコンピュータデバイスであって、1つ又は複数のプロセッサと少なくとも1つのメモリとからなり、前記少なくとも1つのメモリが、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行され前記1つ又は複数のプロセッサに、複数の脈管チャネル画像それぞれにおいて、大脈管、長く狭い脈管、及び小脈管からなる群からそれぞれ選択される、1つ又は複数の脈管を検出させ、前記検出された1つ又は複数の脈管を血管もしくはリンパ管として分類させ、前記1つ又は複数の検出された脈管それぞれの成熟度を特定させる非一時的コンピュータ可読命令を記憶する、コンピュータデバイス。
  39. 脈管を特定するコンピュータ実装方法であって、
    二次的な動脈樹構造及び毛細管を形成する脈管を含む、大脈管と呼ばれる第1のタイプ、
    毛細血管又は新しく形成された脈管を含む、長く狭い脈管と呼ばれる第2のタイプ、
    成熟した動脈及び静脈を含む、小脈管と呼ばれる第3のタイプ、
    という、3つの異なるタイプのうち少なくとも1つの脈管を特定するため、組織試料の複数のデジタル画像それぞれを解析するステップと、
    前記特定された脈管を血管もしくはリンパ管として分類するため、前記特定された脈管を解析するステップと、
    前記1つ又は複数の検出された脈管それぞれの成熟度を特定するステップとを含む、コンピュータ実装方法。
  40. 前記第1のタイプの脈管を検出する前記ステップが、
    管腔ピクセル領域(431)及び境界ピクセル領域を特定するため、
    前記管腔ピクセル領域が、ピクセル強度が前記境界領域のピクセル強度を下回るピクセル領域であり、
    前記管腔及び前記境界ピクセル領域が前記複数のデジタル画像のうち同じ画像もしくは異なる画像内にあり、
    前記管腔ピクセル領域が前記境界ピクセル領域によって取り囲まれる
    という条件を満たす、前記複数のデジタル画像のうち1つ又は複数の強度コントラストを評価するステップと、
    境界ピクセル領域によって取り囲まれる特定された管腔ピクセル領域を、特定された大脈管として返すステップとを含む、請求項39に記載のコンピュータ実装方法。
  41. 前記特定された管腔の前記境界を検出する前記ステップが、
    (a)前記特定された管腔のほぼ中心に、スポークの中心から径方向で延在する複数のアーム(434、437)をそれぞれ有するスポーク(433)を配置し、
    (b)各アームに沿ったピクセル強度及び前記スポーク中心におけるピクセル強度を評価し、
    (c)コントラスト閾値を満たしている場合に選択的に前記スポークを保持し、
    (d)前記保持されたスポークから輪郭の多角形(435)を生成することによって決定される、請求項40に記載のコンピュータ実装方法。
  42. コントラスト閾値を満たす前記スポークを保持する前記ステップが、前記デジタル画像の少なくとも1つに関して、
    前記スポーク中心の前記強度値を特定するステップと、
    全ての前記アームからの最大強度値及び前記スポーク中心の強度値の中央値を特定するステップと、
    全ての前記アームからの最小強度値及び前記スポーク中心の強度値の中央値を特定するステップと、
    i)全ての最大強度値の中央値が前記スポーク中心の強度値よりも大きい少なくとも第1の閾値(T1)であるかを決定するステップと、
    ii)全ての最小強度値の中央値が前記スポーク中心の強度値よりも小さい第2の閾値(T2)以下であるかを決定するステップと、
    前記i)及びii)の前記決定が真を返した場合に、選択的に前記スポークを保持し、前記輪郭の多角形を生成するために使用するステップとを含む、請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
  43. 前記輪郭の多角形を生成するのに前記スポークを使用するステップが、
    前記スポークの前記アームそれぞれにおいて、最高強度値を有する前記ピクセルを特定するステップと、
    前記特定されたピクセルを接続して前記多角形を形成するステップとを含む、請求項41又は42に記載のコンピュータ実装方法。
  44. 前記第2のタイプの脈管を検出する前記ステップが、
    (i)前記デジタル画像の少なくとも1つの複数の重なり合う領域(652)におけるライン部分(656、655)を検出するステップと、
    (ii)互いに対する親和性閾値を満たす前記重なり合う画像領域からの前記検出されたライン部分をグループ化するステップであって、前記グループ化が凝集クラスタ化処置において行われる、ステップと、
    (iii)前記グループ化されたラインを前記第2のタイプの検出された脈管として返すステップとを含む、請求項39に記載のコンピュータ実装方法。
  45. 前記グループ化が、
    (i)2つの隣接したライン部分間の距離及び角度を評価することによって、前記重なり合う領域における前記2つの隣接したライン部分間の親和性を計算するステップと、
    (ii)前記ライン部分のうち互いに対する親和性が前記親和性閾値を上回るものを1つのグループに選択的にグループ化するため、前記計算された親和性を親和性閾値と比較するステップとを含む、請求項44に記載のコンピュータ実装方法。
  46. 前記グループ化されたラインセグメントから輪郭の多角形を生成するステップを更に含む請求項44又は45に記載のコンピュータ実装方法。
  47. 前記第2のタイプの前記特定された脈管に含まれるピクセルのエントロピーを特定し、前記決定されたエントロピーをエントロピー閾値と比較し、前記決定されたエントロピーが前記エントロピー閾値よりも高い場合に前記第2の脈管タイプの前記特定された脈管を廃棄するステップ、あるいは、
    前記特定された脈管から距離閾値よりも遠くにある画像範囲に含まれるピクセルの平均強度を特定し、前記決定された平均強度を強度閾値と比較し、前記決定された平均強度が前記強度閾値よりも高い場合に前記第2の脈管タイプの前記特定された脈管を廃棄するステップを更に含む、請求項44から46のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  48. 前記第3のタイプの脈管を検出する前記ステップが、
    (i)周囲の背景のピクセル強度よりも高強度のピクセルを含む二値マスクを生成するステップと、
    (ii)前記生成された二値マスク内のピクセルを接続するステップと、
    (iii)前記接続されたピクセルのサイズが小脈管の閾値サイズを満たすか否かを評価するステップとを含む、請求項39に記載のコンピュータ実装方法。
  49. 前記二値マスクを生成する前記ステップが、前記デジタル画像の少なくとも1つに関して、
    (i)前記少なくとも1つのデジタル画像における複数のピクセルの中からピクセルを選択するステップと、
    (ii)前記選択されたピクセルそれぞれを取り囲むピクセルの強度の平均値を測定するステップと、
    (iii)前記選択されたピクセルを取り囲むピクセルの強度の前記測定された平均値それぞれを、前記選択されたピクセルそれぞれの強度値から減算するステップと、
    (iv)前記減算された値を背景強度閾値と比較するステップと、
    (v)減算された値の強度が前記背景強度閾値を上回っているピクセルを前記二値マスクに追加するステップとを含む、請求項48に記載のコンピュータ実装方法。
  50. 前記生成された二値マスク内の前記ピクセルが、接続された成分の標識付けプロセスを使用して接続される、請求項49に記載のコンピュータ実装方法。
  51. 前記検出された1つ又は複数の脈管を分類する前記ステップが、
    前記複数の脈管チャネル画像それぞれにおける重なり合う脈管を特定するステップと、
    前記脈管を血管もしくはリンパ管として分類するため、重なり合わない検出された脈管のピクセル強度値を解析するステップであって、前記ピクセル強度が、血管もしくはリンパ管のどちらかに特異的である生物マーカーを選択的に染色する染料の染色強度と相関する、ステップとを含む、請求項39から50のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  52. 前記1つ又は複数の検出された脈管それぞれの前記成熟度を特定する前記ステップが、
    特定された脈管(1051)それぞれを、内環(1058)及び外環(1057)を備える同心環構造と重ね合わせるステップであって、前記内環が前記外環に隣接し、前記内環が成熟した脈管の予測される半径を有する円の内環であり、前記外環が前記円の外環である、ステップと、
    前記同心環構造を前記デジタル画像の1つにマッピングするステップであって、前記1つのデジタル画像の前記ピクセル強度が、平滑筋組織に特異的である生物マーカーを選択的に染色する染料の染色強度と相関する、ステップと、
    前記1つのデジタル画像における前記マッピングされた内環のピクセルの平均強度値を特定するステップと、
    前記1つのデジタル画像における前記マッピングされた外環のピクセルの平均強度値を特定するステップと、
    前記内環と前記外環との平均ピクセル強度値の差を決定するステップと、
    前記決定された差が脈管成熟度閾値を上回る場合、前記脈管が成熟していることを返すステップとを含む、請求項39から51のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  53. 脈管を特定し分類する画像解析システムであって、1つ又は複数のプロセッサ(105)と少なくとも1つのメモリとを備え、前記少なくとも1つのメモリが、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行され前記1つ又は複数のプロセッサに、請求項39から52のいずれか一項に記載の方法を実施させる非一時的コンピュータ可読命令を記憶する、画像解析システム。
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