JP2018206884A - 強磁性半導体、その製造方法およびそれを用いた磁気センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】強い異常ホール効果を有する強磁性半導体を提供する。【解決手段】強磁性半導体100は、強磁性半導体層106を備える。強磁性半導体層106は、少なくともInおよびSbを含む化合物半導体の構成原子がFeで置換された構造を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、強磁性半導体に関する。
従来の半導体や強磁性金属では得られない機能を有する新材料として、強磁性半導体が注目されている。強磁性半導体は、非磁性半導体の一部の原子が磁性原子で置換された半導体である。強磁性半導体材料を用いれば、高速な半導体磁気メモリや高感度磁気センサ、スピントランジスタおよびそれらを用いるノーマリオフ論理回路や再構成可能な論理回路、さらにニューラルネットワークや人工知能など、IOT(Internet Of Things)時代に欠かせない柔軟かつ超低消費電力の電子技術への応用が期待される。
強磁性半導体としてはIII−V族半導体にMn(マンガン)を添加したMn系強磁性半導体(GaMn)Asなどが1990年代に開発され、現在でも良く研究されている。しかし、Mn系強磁性半導体には、以下の問題がある。
1) p型強磁性半導体しかできないこと
2) 室温では強磁性にならないこと
3) 強磁性の起源に関する統一的な理解が得られていないこと
これらの未解決課題は強磁性半導体のデバイス応用に大きな障壁となっている。
本発明者らはこれら技術的かつ理論的な問題点を解決できる新しい強磁性半導体として鉄系強磁性半導体を提案し、その材料の開発、物性評価およびデバイス実証に取り組んだ。鉄系強磁性半導体では、Mn系強磁性半導体と比較し、
1) p型だけではなくn型強磁性半導体も作製できること
2) 室温以上のキュリー温度を持つ強磁性半導体を作製できること
3)バンド構造と強磁性の発生メカニズムの解明が容易であること
といった優位性を有している。
本発明者らはn型強磁性半導体(InFe)Asの開発に成功した。しかし、(InFe)Asのキュリー温度が数十K程度であることや異常ホール効果が小さいことから、実用的な材料ではなかった(非特許文献3〜5)。
2014年にp型強磁性半導体(GaFe)Sbの開発に成功し(非特許文献10,11、Fe濃度を23%以上に上げることによって、初めて室温強磁性を実現した(非特許文献12)。
特許第3955195号公報
T. Dietl, H. Ohno, F. Matsukura, J. Cibert, and D. Ferrand, Science 287, 1019 (2000). T. Dietl, H. Ohno, and F. Matsukura, Phys. Rev. B 63, 195205 (2001). P. N. Hai, L. D. Anh, S. Mohan, T. Tamegai, M. Kodzuka, T. Ohkubo, K. Hono, M. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 101, 182403/1-5 (2012). P. N. Hai, L. D. Anh, M. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 101, 252410/1-5 (2012). P. N. Hai, D. Sasaki, L. D. Anh, M. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 100, 262409/1-5 (2012). L. D. Anh, P. N. Hai, M. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 104, 042404/1-5 (2014). D. Sasaki, L. D. Anh, P. N. Hai, M. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 104, 142406/1-5 (2014). L. D. Anh, P. N. Hai, Y. Kasahara, Y. Iwasa, Masaaki Tanaka, Phys. Rev. B 92, 161201(R)/1-5 (2015). L. D. Anh, P. N. Hai, M. Tanaka, Nature Communications 7, 13810 (2016). N. T. Tu, P. N. Hai, L. D. Anh, M. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 105, 132402/1-4 (2014). N. T. Tu, P. N. Hai, L. D. Anh, M. Tanaka, Phys. Rev. B 92, 144403/1-14 (2015). N. T. Tu, P. N. Hai, L. D. Anh, M. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 108, 192401 (2016).
しかしながら、(GaFe)Sbの磁気センサ等のデバイス応用を考えると、室温において異常ホール効果があるものの、実用性を考慮すると十分ではなかった。
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、強い異常ホール効果を有する強磁性半導体の提供にある。
本発明のある態様は、強磁性半導体に関する。この強磁性半導体は、少なくともInおよびSbを含む化合物半導体の構成原子がFeで置換された構造を有する。
この態様によると、(GaFe)Sbよりも強い異常ホール効果を得ることができる。
強磁性半導体は、InとFeの組成比を1−x:x(ただし、0<x<1)として、In1−XFeSbまたはIn1−XFeSbBiで表されてもよい。
0.15<xであってもよい。これにより常温で異常ホール効果を実現できる。別の観点からいうと、xはキュリー温度Tが300Kより高くなるように規定されてもよい。
化合物半導体は、InSbであってもよい。これにより強い異常ホール効果を得ることができる。
化合物半導体は、InSbBiであってもよい。これによりバンドギャップがさらに小さくなるため、より強い異常ホール効果を得ることができる。
本発明の別の態様もまた、強磁性半導体である。この強磁性半導体は、成長基板と、成長基板上に形成されるバッファ層と、バッファ層の上に形成され、InFeSb層またはInFeSbBi層を含む強磁性半導体層と、強磁性半導体層の上に形成されるキャップ層と、を備える。
成長基板はGaAs基板であり、バッファ層は、AlAs、AlSb、AlInSbからなる群より選択される少なくともひとつを含んでもよい。
InとFeの組成比を1−x:x(ただし0<x<1)とするとき、強磁性半導体層は、In1−XFeSbまたは、In1−XFeSbBiを含んでもよい。
本発明の別の態様はホールセンサに関する。ホールセンサは、上述のいずれかの強磁性半導体を備えてもよい。
本発明のさらに別の態様は、強磁性半導体の製造方法である。この方法は、成長基板上にバッファ層を形成するステップと、バッファ層上にInFeSb層を形成するステップと、を備える。InFeSb層は、分子線エピタキシー法により形成されてもよい。
本発明のさらに別の態様も強磁性半導体に関する。強磁性半導体は、バンドギャップが0.17eVより低い非磁性半導体をホスト材料として、その構成原子がFeで置換された構造を有する。
バンドギャップが小さい方がより少ない磁性原子濃度(Fe濃度)でも室温以上の強磁性を実現できる。また、バンドギャップが小さいことから、スピン軌道相互作用が強くて、室温でも大きいな異常ホール効果が期待でき、超高感度磁気センサに応用できる。
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明のある態様によれば、強い異常ホール効果を示す強磁性半導体材料を提供できる。
実施の形態に係る強磁性半導体の断面図である。 強磁性半導体層の(InFe)Sbの格子定数のFe濃度依存性の測定結果を示す図である。 透過型電子顕微鏡による格子像とその回折パターンを示す図である。 エネルギー分散X線分光法による元素分析結果を示す図である。 図5(a)〜(e)は、Fe濃度が5%,8%,11%,12%,16%の(InFe)Sb層の磁気円二色性の磁場依存性の測定結果を示す図である。 (InFe)Sbのキュリー温度TのFe濃度依存性を示す図である。 各種の強磁性半導体のキュリー温度Tを示す図である。 図8(a)〜(e)は、様々なFe添加量の(In1−xFe)Sb薄膜における異常ホール効果を示す図である。 図9(a)は、(GaFe)Sbと(InFe)Sbの室温異常ホール効果の感度係数を示す図であり、図9(b)は、Fe添加量が16%の(In1−xFe)Sb薄膜の室温における異常ホール効果の拡大図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
強磁性半導体の定説では「バンドギャップが大きい半導体のほうがキュリー温度Tの高い強磁性半導体になりやすい」とされているが(非特許文献1,2)。本開示ではそれと対照的に「バンドギャップが小さい半導体のほうがキュリー温度Tの高い強磁性半導体になりやすい」との立場に立脚し、バンドギャップが0.17eVと小さいナローギャップ半導体InSb(アンチモン化インジウム)に着目した。置換原子として、磁性金属であるFe(鉄)に着目した。すなわち実施の形態に係る強磁性半導体は、ホスト材料であるInSbの構成原子が、磁性原子であるFeで置換された構造を有し、組成式は、InFeSbあるいは(InFe)Sbとして表される。
実施の形態に係る強磁性半導体(InFe)Sbによれば、従来の強磁性半導体(InMn)As,(GaMn)As等で実現できなかった、室温強磁性を実現するとともに、その異常ホール効果を用いることによって、実用化されている超高感度InSbホール効果磁気センサよりも高い感度を持つスーパー高感度磁気センサを実現できる。それにより、高感度の位置検出センサ、高精度な回転センサ、高角度分解度の電子コンパスなどを実現できる。
以下、強磁性半導体の具体的な構造や製造方法を説明する。
図1は、実施の形態に係る強磁性半導体100の断面図である。強磁性半導体100は、成長基板102、バッファ層104、強磁性半導体層106、キャップ層108の積層構造を有する。なお図中、各層の厚みは実際の寸法を表すものでは無い。
成長基板102としては、たとえばGaAs(ヒ化ガリウム)を用いることができるが、その限りでなく、SiやGaNなどの単結晶基板を用いてもよい。
成長基板102の上には、GaAs層103がホモエピタキシャル成長され、続いてバッファ層104が形成される。バッファ層104は、成長基板102と強磁性半導体層106の格子不整合の緩和のために挿入されている。バッファ層104の材料は、成長基板102と強磁性半導体層106の結晶構造に応じて選択すればよく、成長基板102がGaAs、強磁性半導体層106がInFeSbであるとき、バッファ層104は、AlAs/AlSbを用いることができる。
続いてバッファ層104の上に、分子線エピタキシャル成長法(MBE法)を用いて、(InFe)Sb強磁性半導体を結晶成長する。
強磁性半導体層106の上には、キャップ層108が形成される。キャップ層108は酸化防止保護膜であり、InSbを用いることができる。
以上が強磁性半導体100の構成である。図1の構成を有する強磁性半導体100を作製し、その特性を評価した。作製したサンプルの各層の材料および厚みは以下の通りである。
GaAs層(103) GaAs 50nm
バッファ層(104) AlSb 100nm
強磁性半導体層(106) InFeSb 15〜20nm
キャップ層(108) InSb 2nm
なお、サンプルの各層の厚みは必ずしも最適化されたものでなく、したがって以下で説明するサンプルの特性は、実施の形態に係る強磁性半導体100の特性の限界(上限)を示すものでないことに留意されたい。
図2は、強磁性半導体層106の(InFe)Sbの格子定数のFe濃度依存性の測定結果を示す図である。Fe濃度が増えるにつれて、格子定数aが線形的に変化することが分かる。これは、Feが析出せずに結晶の中に取り込まれ、Inとうまく置換されていることを表す。
図3は、透過型電子顕微鏡による格子像とその回折パターンを示す図である。サンプルのFe濃度は16%である。図3からも、高濃度のFeの導入にかかわらず、半導体の閃亜鉛鉱型結晶構造が維持できていることがわかる。図4は、エネルギー分散X線分光法による元素分析結果を示す図である。FeがInSbの層に取り込まれることが分かる。
図5(a)〜(e)は、Fe濃度が5%,8%,11%,12%,16%の(InFe)Sb層の磁気円二色性(MCD)の磁場依存性(磁気ヒステリシス)の測定結果を示す図である。Fe濃度が増えるにつれて、磁気ヒステリシスが強くなることが分かる。
図6は、(InFe)Sbのキュリー温度TのFe濃度依存性を示す図である。比較のために、(GaFe)Sbの特性も併せて示す。Fe濃度が16%の(InFe)Sbはキュリー温度Tが335K(62℃)に達した。Fe濃度が15%を超えると、キュリー温度Tが300Kを超えることがわかる。また同じFe濃度では、(InFe)Sbの方が(GaFe)Sbより2倍程度、高いキュリー温度Tを示した。
つまりバンドギャップの小さい(InFe)Sbのほうがバンドギャップの大きい(GaFe)Sbよりも少ないFe濃度でも室温強磁性になることが分かる。これは従来の強磁性半導体には無い鉄系強磁性半導体の特長である。
(InFe)Sbに関しては、測定系の問題で350Kを超えるキュリー温度の測定が困難であったことから、図6には、Fe濃度16%までのプロットしか載せていない。しかしながら、良好な結晶性を維持しつつ、(InFe)SbのFe濃度を16%より高めることは十分に可能である。予備実験で別材料の(InFe)Asについて、Fe濃度xを局所的に100%まで高めることが確認できているため、(InFe)Sbにおいても局所的にはFe濃度を100%まで高めることが可能であり、少なくとも25%、少なくとも20%まで、結晶性を維持しつつFe濃度を高めることが可能と考えられる。
図6において、(InFe)Sbの特性のプロットを、さらに高いFe濃度範囲に外挿補間すれば、Fe濃度20%においてT=450K、Fe濃度25%では500Kを超えるキュリー温度が獲られることが予測される。
図7は、各種の強磁性半導体のキュリー温度を示す図である。(Ga,Fe)Sbと(In,Fe)Sbを除いて、キュリー温度は300Kより低くなっており、室温で強磁性にならないため実用的ではない。
(ホール効果磁気センサへの応用)
次に、(InFe)Sbの室温異常ホール効果を用いるホール効果磁気センサについて説明する。従来技術のホール効果磁気センサの動作原理はホール効果にある。ホール効果は古典的な電磁気学の効果であり、外部磁場が電子に作用するローレンツ力により電流と磁場と垂直な方向に起電力を発生させる。この起電力(ホール電圧)を測定することによって、磁場を検出する。ホール効果磁気センサの感度は電子の移動度で決まるため、高感度化するためには、移動度が高いGaAs,InAs,InSbのようなIII−V半導体を使う必要がある。市場に出ている製品の感度は以下の通りである。
GaAs: 0.25 mV/mT/V(旭化成の標準感度の製品)
InAs: 0.87 mV/mT/V (旭化成の高感度の製品)
InSb: 1.5 mV/mT/V (旭化成の超高感度の製品)
しかし、移動度は室温においては材料中のフォノン散乱によって決まるため、ホール効果磁気センサの各材料において、その感度の改善余地はきわめて少ない。
それに対して、異常ホール効果はスピン軌道相互作用によって生じる量子力学的な効果であり、古典的なホール効果とは動作原理が異なる。また、異常ホール効果は磁化および材料のスピン軌道相互作用を増大させることによって強くすることができるため、改善余地が大きい。
異常ホール効果を磁気センサに使うためには、常温動作が可能な室温強磁性半導体が必要である。1990年代前半からInMnAsやGaMnAsを初め、Mn系強磁性半導体が世界的に研究されてきたが、キュリー温度が200K以下と室温強磁性に達成できなかった。
これに対して、本実施の形態によれば、より少ないFe添加量でも常温動作可能なInFeSbを実現できたと同時に感度が高い異常ホール効果を実現できる。したがって、各種ホール効果磁気センサへの応用が可能である。なお、InFeSbをホール効果磁気センサに応用するにあたって、センサに特別な構造変更は不要であり、従来のセンサにおけるGaAs,InAs,InSb等を、InFeSbに置き換えればよい。
図8(a)〜(e)は、様々なFe添加量の(In1−xFe)Sb薄膜における異常ホール効果を示す図である。Fe添加量が5%〜12%の(In1−xFe)Sb薄膜において、低温では明瞭な異常ホール効果が観測できたが、キュリー温度が室温より低かったため、常温では、負の正常ホール効果のみ観測された。
それに対して、Fe添加量が16%の薄膜ではキュリー温度が室温を超えたため、常温でも異常ホール効果が観測できた。上述したように、Fe濃度をさらに高めれば、キュリー温度がさらに高まることが推測されるため、室温より高い温度においても、異常ホール効果を実現することも十分に可能であろう。多くの民生品では、−30〜100℃(あるいは−30〜80℃)程度の温度範囲での動作保証が求められるところ、実施の形態に係る(In1−xFe)Sb薄膜によれば、実用上も十分な特性を得ることができる。
あるいはFe濃度をさらに高めることで、同じ室温(あるいはそれより低い温度範囲)において、より強い異常ホール効果を得ることが可能となろう。
図9(a)は、(GaFe)Sbと(InFe)Sbの室温異常ホール効果の感度係数を示す図である。(InFe)SbのFe濃度は16%であり、(GaFe)SbのFe濃度は25%である。比較のために、市販の各種ホール効果磁気センサInSb(50Ω,1V,4mA)、InAs(370Ω,3V,8mA),GaAs(650Ω,6V,9mA)の感度係数を併せて示す。
図9(b)は、Fe添加量が16%の(In1−xFe)Sb薄膜の室温における異常ホール効果の拡大図を示す。Fe添加量が16%の(InFe)Sbを用いるホール効果センサの感度係数(バイアス条件:250Ω,1V,4mA)を試算したところ、50mTにおいて約1.9mV/mT/Vの感度が得られた。この値は市場に出ている最も感度が高いInSbホール効果センサ(250Ω,1V,4mA)よりも高い。
(GaFe)Sb (Fe濃度25%)がGaAs程度の感度係数しか示さないのに対して、(InFe)Sbは一桁高い感度係数を示している。これは、InSbのバンドギャップが小さく、スピン軌道相互作用が大きいためである。同時に、十分に強い異常ホール効果を得るためには、バンドギャップが0.17eV以下のナローギャップ半導体を使うことが有効であることが裏付けられる。
従来技術において、InSbの感度を改善するアプローチとして、外付けの磁束増幅用フェライトを利用する技術が提案されている。しかし、異常ホール効果による材料自体の感度が高い場合、外付けの磁束増幅用フェライトを不要にすることができるため、低コスト化できる。
(InFe)Sbは、以下の用途に活用することができる。
位置検出センサに(InFe)Sbを利用することで、より正確な位置、タイミングで、位置を検出できる。
また回転センサに(InFe)Sbを利用することで、ブラシレスモータのコイル検出感度を上げて、正確なタイミングで電流を切り替えることにより、モータの高効率化に貢献できる。また従来の回転センサは、ブラシレスモータのロータの直近に配置する必要があったが、高感度の(InFe)Sbセンサを利用すれば、回転センサの取り付け位置の制約が緩和される。
またスマートフォン、タブレット等に使用される電子コンパスに(InFe)Sbを利用することで、地磁気を高感度で検出可能となることから、ナビゲーション精度を改善することができ、あるいはセンサの消費電力を低減できる。
実施の形態では、強磁性半導体(InFe)Sbを説明したが、Feに加えて、さらに別の原子を、InSbの構成原子と置換した構造としてもよい。たとえばFeに加えてBi(ビスマス)を結晶構造に組み込み、(InFe)(SbBi)としてもよい。InSbにBiを導入することによりバンドギャップを小さくできることが知られている。そこで、InSbBiをホスト半導体として、その構成元素をFeで置換した構造も、本開示の一態様として有効である。これにより、バンドギャップを下げることが可能となり、強磁性およびスピン軌道相互作用を増強できる。この場合、図1の強磁性半導体層106を、InFeSbBi層としてもよい。あるいは強磁性半導体層106を、InFeSb層とInFeSbBi層の積層構造としてもよい。
したがって、本開示の範囲には、バンドギャップ0.17eV以下の鉄系強磁性半導体が含まれる。
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
100…強磁性半導体、102…成長基板、104…バッファ層、106…強磁性半導体層、108…キャップ層。

Claims (13)

  1. 少なくともInおよびSbを含む化合物半導体の構成原子がFeで置換された構造を有することを特徴とする強磁性半導体。
  2. InとFeの組成比を1−x:x(ただし、0<x<1)として、In1−XFeSbまたは、In1−XFeSbBiで表されることを特徴とする請求項1に記載の強磁性半導体。
  3. xは、キュリー温度が300Kより高くなるように規定されることを特徴とする請求項2に記載の強磁性半導体。
  4. 0.15<xであることを特徴とする請求項2に記載の強磁性半導体。
  5. 前記化合物半導体は、InSbであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の強磁性半導体。
  6. 前記化合物半導体は、InSbBiであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の強磁性半導体。
  7. 成長基板と、
    前記成長基板上に形成されるバッファ層と、
    前記バッファ層の上に形成され、InFeSbまたはInFeSbBiを含む強磁性半導体層と、
    前記強磁性半導体層の上に形成されるキャップ層と、
    を備えることを特徴とする強磁性半導体。
  8. 前記成長基板はGaAs基板であり、
    前記バッファ層は、AlAs、AlSb、AlInSbからなる群より選択される少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項7に記載の強磁性半導体。
  9. InとFeの組成比を1−x:x(ただし0<x<1)とするとき、前記強磁性半導体層は、In1−XFeSbまたは、In1−XFeSbBiを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の強磁性半導体。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の強磁性半導体を備えることを特徴とする磁気センサ。
  11. 成長基板上にバッファ層を形成するステップと、
    前記バッファ層上にInFeSb層またはInFeSbBi層を形成するステップと、
    を備えることを特徴とする強磁性半導体の製造方法。
  12. 分子線エピタキシー法を用いることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
  13. バンドギャップが0.17eVより低い非磁性半導体の構成原子がFeで置換された構造を有することを特徴とする強磁性半導体。
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