JP2018201775A - 歯科用インプラント - Google Patents

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茂 吉岡
Shigeru Yoshioka
茂 吉岡
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Yoshioka & Co Ltd
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Abstract

【課題】 高い疲労強度を有する歯科用インプラントを提供する。
【解決手段】 歯科用インプラント(10)は、軸方向に開口する有底穴(18)を備えるフィクスチャ(12)と、アバットメント締結ねじ(16)で有底穴(18)に螺合することにより、フィクスチャ(12)に連結されるアバットメント(14)とを備え、フィクスチャ(12)とアバットメント(14)との連結構造は、骨埋入側端部(17)に向かうにつれて中心軸に近づくテーパ嵌合部(52)と、断面多角形の多角嵌合部(54)とを備え、テーパ嵌合部(52)の軸方向の長さが、有底穴(18)の軸方向の長さの24%以上30%以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、歯科用インプラントに係り、より詳しくは、歯科用インプラントのフィクスチャとアバットメントの連結構造に関する。
従来、顎骨に埋め込まれるフィクスチャと、フィクスチャの内部にねじで固定して一体化するアバットメントとを備え、該アバットメントに歯科用セメントなどの接着剤を使用して補綴物(義歯)を固定する歯科用インプラントにおいて、フィクスチャとアバットメントとの連結構造に、横断面多角形の多角嵌合部と、テーパ嵌合部とを用いたものが知られている。
特許文献1には、図2に示されるように、アバットメントの下端部に外部六角、およびその上側に外部六角から上方に向かって中心軸から離れる(すなわち、骨埋入側端部に向かって中心軸に近づく)テーパ面を設け、フィクスチャに内部六角およびテーパ嵌合面を形成した歯科用インプラントが開示されている。該歯科用インプラントは、内部六角と外部六角との嵌合部が回転を防止し、フィクスチャのテーパ嵌合面がアバットメントの突き当てとしてテーパ嵌合し、咬合圧を受けるように構成されている。
しかしながら、特許文献1の段落0017にも記載されているように、突き当て面(テーパ嵌合面)の加工は非常に小さい領域で行われるため、突き当て面の面積を大きくすることは困難である、という問題がある。
一方、特許文献1の図3に開示された歯科用インプラントのように、フィクスチャとアバットメントとの連結を、テーパ嵌合部でのみ行えば、その嵌合面の面積を大きくすることはできるが、段落0018の記載から明らかなように、回転防止手段が存在しないため、アバットメントが回転しやすく破折が起こりやすくなる、という問題がある。
また、特許文献1の図4に開示された歯科用インプラントのように、内部六角および外部六角をテーパ形状に形成し、外部六角を楔のように内部六角にテーパ嵌合するように構成しても、嵌合面の面積を大きくすることはできる。しかし、六角部でテーパ嵌合させるためには高い加工精度が必要であり、また、六角のテーパ嵌合部の面圧が均一とならないため、緩みやすくなる虞がある、という問題がある。
また、インプラント治療により再生した歯には、長期にわたって継続的に咬合圧および側方圧が作用することになる。このため、歯科用インプラントは高い疲労強度を有することが求められる。さらに、上記の問題点は、歯科用インプラントの疲労強度に影響を及ぼす。そのため、上記のような問題点がなく、より高い疲労強度を有する歯科用インプラントの開発が求められていた。
特開2004−113718号公報
実際、本件特許出願人は、本明細書で比較例として挙げる歯科用インプラント80を製造している(図5参照)。歯科用インプラント80は、例えば、フィクスチャ82の顎骨へ埋入される長さBLが6.5mm〜14mmで、フィクスチャ82の全長TLが7.0mm〜14.5mmであり、フィクスチャ82内部に形成されたアバットメント84を螺合するための有底穴86の長さは、HL6.2mmである。しかし、テーパ嵌合部88の嵌合長さLは僅かに1.45mmであり、テーパ嵌合部88と多角嵌合部90の嵌合長さの合計FLは2.5mmしかない。これらは、当該技術分野において、一般的な寸法である。
歯科用インプラント80は、既承認の歯科用インプラントと同等以上の疲労強度を有することが確認されているが、上記の通り疲労強度に対する要求は高い。一方、アバットメント締結の安定性の観点から、アバットメント締結ねじとの螺合部の長さを短くすることは困難であるため、テーパ嵌合部の嵌合長さを延長するためには、有底穴86の軸方向の長さを延長する必要がある。しかしながら、このような小さな装置において、有底穴86の軸方向の長さを延長することは、フィクスチャの薄肉部を増大させることになり、歯科用インプラント80自体の強度に直接的な影響を及ぼすため、好ましくないとされていた。
このような事情に鑑み、発明者らは、テーパ嵌合部の長さを適切な範囲に設定すれば、有底穴の軸方向の長さを延長しても歯科用インプラントの疲労強度が飛躍的に増大することを見出し、本発明を提案するものである。
したがって、本発明は、フィクスチャとアバットメントとの連結構造に、断面多角形の嵌合部とテーパ嵌合部を用い、より高い疲労強度を有する歯科用インプラントを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一つの態様に係る歯科用インプラントは、軸方向に開口する有底穴を備えるフィクスチャと、アバットメント締結ねじで前記有底穴に螺合することにより、前記フィクスチャに連結されるアバットメントとを備える歯科用インプラントにおいて、前記フィクスチャと前記アバットメントとの連結構造は、骨埋入側端部に向かうにつれて中心軸に近づくテーパ嵌合部と、断面多角形の多角嵌合部とを備え、前記嵌合部の軸方向の長さが、前記有底穴の軸方向の長さの24%以上32%以下であることを特徴とする。
本発明の別の態様に係る歯科用インプラントは、軸方向に開口する有底穴を備えるフィクスチャと、アバットメント締結ねじで前記有底穴に螺合することにより、前記フィクスチャに連結されるアバットメントとを備える歯科用インプラントにおいて、前記フィクスチャと前記アバットメントとの連結構造は、骨埋入側端部に向かうにつれて中心軸に近づくテーパ嵌合部と、断面多角形の多角嵌合部とを備え、前記嵌合部の軸方向の長さが、2.0mm以上2.5mm以下であることを特徴とする。
上記態様において、前記テーパ嵌合部のテーパ角が、中心軸に対して6°以上8°未満であることも好ましい。
上記態様において、前記多角嵌合部の断面形状が、八角形であることも好ましい。
上記構成によれば、フィクスチャとアバットメントとの連結構造に、多角形の嵌合部とテーパ嵌合部を用い、より高い疲労強度を有する歯科用インプラントを提供することができる。
実施例1に係る歯科用インプラントの片側断面図である。 同実施例におけるフィクスチャの構造を示す図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。 実施例2に係る歯科用インプラントの片側断面図である。 同実施例におけるフィクスチャの構造を示す図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。 比較例に係る歯科用インプラントを示す図である。 (a)および(b)はそれぞれ、実施例1および比較例に係る歯科用インプラントについての応力解析結果を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態に係る歯科用インプラントについて、実施例に基づいて図面を参照しながら説明する。以下の説明において、「上」、「下」等の方向を示す用語は、特に指定しない限り紙面における方向を示す。
(実施例1)
図1は、実施例1にかかる歯科用インプラント10の組付けた状態を示す片側断面図、図2(a)は、歯科用インプラント10を構成するフィクスチャ12の平面図、図2(b)は、フィクスチャ12の縦断面図である。図2では、内部ねじ部24のねじ溝は省略して示し、内部ねじ部24と螺合するアバットメント締結ねじ16の雄ねじ部50を点線で示す。
歯科用インプラント10は、顎骨に埋入されるフィクスチャ12と、義歯である補綴物(図示せず)の支台となるアバットメント14と、アバットメント締結ねじ16とを備える。
フィクスチャ12は、その内部に、上に開口する有底穴18を備える。有底穴18には、上から順に、内部テーパ部20、内部八角部22、内部ねじ部24が中心軸Ax上に形成されている。内部テーパ部20は、骨埋入側端部25に向かうにつれて中心軸Axに近づくテーパ面により形成され、テーパ面の中心軸Axに対する角度αは、6°以上8°未満であることが好ましく、図示の例では6°である(図2(b)参照)。また、内部テーパ部20の下端部の角21はR形状になっている。
内部八角部22は、内部テーパ部20の下端側に連続して形成され、図2(a)に示すように、中心軸に平行な側面を有する横断面八角形の柱状体である。内部八角部22は、内部テーパ部の下端部よりも小径に形成されている。また、内部八角部22の下端部の角23は、中心軸Axから外側にわずかに膨らんだR形状になっている。
内部ねじ部24は、円筒状の穴であり、内部八角部22よりも小径に形成されている。
フィクスチャ12の外周面の下部には、2条ねじであるメインスレッド26が形成されている。メインスレッド26の上方には、多条ねじであるサブスレッド28が、その一部がメインスレッド26とオーバーラップするように形成されている。サブスレッド28は、メインスレッド26よりもピッチが狭い、所謂マイクロスレッドである。また、サブスレッド28上端からのフィクスチャ12の外周上縁には、カラー部30が形成されている。
アバットメント14には、上から、補綴物(義歯)である上部構造(図示せず)が接着剤等により装着されるアバットメント本体32と、フィクスチャ12の内部テーパ部20に相補する形状を有する外部テーパ部34と、フィクスチャ12の内部八角部22に相補する形状を有する外部八角部36とが中心軸Axを共有するように形成されている。
アバットメント14の内部には、中心軸Ax方向の貫通孔40が形成されている。貫通孔40には、アバットメント締結ねじ16の座面46と当接する座面当接部42が形成されている。座面当接部42は、下方に向かうに従って中心軸Axに近づくテーパ面により構成されている。
アバットメント締結ねじ16は、上から、取付工具と嵌合するための頭部44と、座面46と、頸部48と、雄ねじ部50とを備える。アバットメント締結ねじ16は、アバットメント14の貫通孔40を介してフィクスチャ12の内部ねじ部24と螺合するように形成されている。また、アバットメント締結ねじ16は、頸部48でくびれた形状をしている。
なお、歯科用インプラント10の材料としては、純チタン(Ti)、チタン合金、金・銀・パラジウム(Au−Ag−Pd)合金、銀(Ag)合金、コバルト・クロム(Co−Cr)合金、ニッケル−クロム(Ni−Cr)合金及びステンレスを使用できるが、チタンを使用することが好ましい。純チタンとしては、純チタン2種、純チタン4種が使用されるが、強度の観点から純チタン4種が特に好ましい。
フィクスチャ12とアバットメント14との連結は、以下の様に達成される。まず、フィクスチャ12の有底穴18にアバットメント14の下部を挿入する。このとき、アバットメント14の外部八角部36が、フィクスチャ12の内部八角部22に案内されながら挿入される。同時に、アバットメント14の外部テーパ部34が、フィクスチャ12の内部テーパ部20に接触する。この状態で、アバットメント14の貫通孔40にアバットメント締結ねじ16を挿入し、取付工具により、アバットメント締結ねじ16を締め込む。
アバットメント締結ねじ16の締め込みに伴い、座面46がアバットメントの座面当接部42と当接する。さらなる締め込みにより、アバットメント締結ねじ16は、アバットメント14を下方に変位させ、外部テーパ部34を内部テーパ部20へ楔のように嵌め込む。このようにして、アバットメント14がフィクスチャに12と強固に連結される。この連結した状態が、図1の状態である。なお、内部テーパ部20と外部テーパ部34の嵌合部をテーパ嵌合部52、内部八角部22と外部八角部36の嵌合部を多角嵌合部54という。
上記フィクスチャ12とアバットメント14との連結は、フィクスチャ12を顎骨に埋入し、結合が終了した後に実施する。以下、フィクスチャ12の顎骨への埋入作業について説明する。
まず、埋入対象位置の歯肉を切開し、ドリルを用いて下穴を形成する。下穴は、インプラントの外形に適した形状とする。次に、下穴に、フィクスチャ12をねじ込む。この時、最初にフィクスチャ12の埋入側端部17が徐々にねじ込まれることで、フィクスチャの下穴に対するセンタリングが実施される。フィクスチャ12を骨に完全に埋入し、ヒーリングスクリュ(図示せず)を取り付けて、歯肉をかぶせて縫合し、歯科用インプラントと顎骨が結合するまで約3〜6ヶ月待つ。フィクスチャ12が顎の骨と結合した後、再度歯肉を切開し、ヒーリングスクリュに代えてアバットメント14を連結して補綴物を取付ける。本実施例に係る歯科用インプラント10は、2回法による術式に適したものとなっている。
歯科用インプラント10の寸法は、種々設定可能であるが、図2に示す本形態では、骨埋入長BLが8.0mm〜14.0mm、全長TLが8.5mm〜14.5mm、外径Dが3.5mm〜5.0mmである。しかし、有底穴18の長さHLは、全ての寸法において、約7.8mmである。またテーパ嵌合部52の軸方向の長さLは、内部テーパ部20のテーパ深さと略等しく2.3〜2.5mmである。言い換えると、テーパ嵌合部の軸方向の長さLは、有底穴18の軸方向の長さHLの約29%〜約31%の長さとなる。
上記構成によれば、テーパ嵌合部52の表面積は、約19mmである。一方、比較例として挙げる従来の歯科用インプラント80のテーパ嵌合部88の表面積は、約14mmである。このように、従来に比べて、接触面積が増大するため、摩擦力が増大し、フィクスチャ12とアバットメント14の嵌合強度が増大する。
このように構成することにより、後で詳述する疲労試験の結果からも明らかなように、比較例として挙げる従来の歯科用インプラント80よりも、疲労強度を飛躍的に向上させることができる。
また、テーパ嵌合部および多角嵌合部の軸方向の長さの合計FLは、3.61mm〜3.63mmである。言い換えると、テーパ嵌合部52および多角嵌合部54の軸方向の長さの合計FLは、有底穴18の軸方向の長さHLの約46%の長さとなる。このような構成とすることにより、フィクスチャ12とアバットメント14との嵌合がより安定したものとなる。
また、歯科用インプラント10において、内部テーパ部20の中心軸Axに対する角度αは、テーパ嵌合部52の中心軸Axに対する角度である。従って、テーパ嵌合部52の中心軸Axに対する角度は、6°以上8°未満である。6°より小さくすると、アバットメントがフィクスチャに食い込みやすくなり、部品の径方向のバラ付きによっては、深く食い込んだり、浅く食い込んだりして、組付けのばらつきが大きくなる虞がある。また、8°より大きくすると、アバットメントのフィクスチャへの食い込みが甘くなり、所望の嵌合圧が得られなくなる虞がある。
このように構成することにより、テーパ嵌合面の嵌合が強固となる。この結果、疲労強度をより向上させることができる。
また、歯科用インプラント10において、回転を防止するための多角嵌合部の断面形状は、上記の正八角形にかぎらず、いかなる多角形でもよいが、加工の観点から、正八角形または正六角形であることが好ましい。
なお、実際には、アバットメント14の外部テーパ部34および外部八角部36の軸方向の長さは、フィクスチャ12の内部テーパ部20および内部八角部22の軸方向の長さよりもそれぞれ僅かに小さく構成され、外部テーパ部34および外部八角部36の底面が、の内部テーパ部20および内部八角部22の底面と、それぞれ当接しないようになっている。また、内部テーパ部の下端部の角21および内部八角部22の下端部の角23は、R形状になっている。このように構成することにより、角21および角23周辺への応力を分散することができ、歯科用インプラント10の強度をさらに向上させることができる。また、下端部の角23の角のR形状は、中心軸Axから外側にわずかに膨らんでいる。内部八角の加工は、その端部がきれいになり難いが、このようにすると、内部八角の加工が容易となり有利である。
なお、上記したように、本実施の形態においては、アバットメント締結ねじ16の頸部48はくびれている。このため、ねじの締め込みにより張力が発生すると、くびれた頸部48が材料の弾性域内でわずかに伸びる。その結果、例えば、アバットメント14に大きな咬合圧(垂直力)が作用して、外部テーパ部34が所定の深さよりも深く食い込んだ場合でも、この伸びにより張力が維持されて、アバットメント締結ねじ16が緩みにくくなる。また、このようなくびれ形状より、アバットメント締結ねじ16に万が一大きな力が加わった場合には、頸部48で破折することとなるため、雄ねじ部50で破折する場合に比べて撤去が容易になる。
(実施例2)
図3は、実施例2に係る歯科用インプラント60の組付けた状態を示す片側断面図、図4(a)は、歯科用インプラント60を構成するフィクスチャ62の平面図、図2(b)は、フィクスチャ62の縦断面図である。歯科用インプラント60の基本的な構成は、フィクスチャ62の外周面のサブスレッド28と、カラー部30との間に歯肉貫通部64を備える点、およびそれに伴い各構成要素の寸法が異なる点を除いて同様である。従って、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。また、図2と同様に、図4では、内部ねじ部24のねじ溝は省略して示し、内部ねじ部24と螺合するアバットメント締結ねじ16の雄ねじ部50を点線で示す。
歯科用インプラント60の寸法は、種々設定可能であるが、図3,図4に示す本形態では、骨埋入長BLが8.0mm〜14.0mm、全長TL2が10.4mm〜16.4mm、外径Dが約3.5mm〜5.0mmである。しかし、有底穴18の長さHLは、全ての寸法において、8.2mmである。またテーパ嵌合部52の軸方向の長さLは、内部テーパ部20の長さと略等しく2.0〜2.2mmである。言い換えると、テーパ嵌合部52の軸方向の長さLは、有底穴18の軸方向の長さHLの約24%〜約27%の長さとなる。
上記構成によれば、テーパ嵌合部52の表面積は、約21.6mmである。一方、比較例として挙げる従来の歯科用インプラント80のテーパ嵌合部88の表面積は、約14mmである。このように、従来に比べて、接触面積が増大するため、摩擦力が増大し、フィクスチャ62とアバットメント14の嵌合強度が増大する。
このように構成することにより、後で述べる疲労試験の結果からも明らかなように、比較例として挙げる従来の歯科用インプラント80よりも、疲労強度が飛躍的に向上させることができる。
また、テーパ嵌合部および多角嵌合部の軸方向の長さの合計Lpは、4.21mm〜4.23mmである。言い換えると、テーパ嵌合部52および多角嵌合部54の軸方向の長さの合計Lpは、有底穴18の軸方向の長さHLの約51%の長さとなる。このような構成とすることにより、フィクスチャ62とアバットメント14との嵌合がより安定したものとなる。
なお、実施例2に係る歯科用インプラント60は、実施例1と異なり、1回法による術式に適したものとなっている。以下、フィクスチャ82の顎骨への埋入作業について説明する。
まず、埋入対象位置の歯肉を切開し、ドリルを用いて下穴を形成する。下穴は、フィクスチャ62の外形に適した形状とする。次に、下穴に、フィクスチャ62をねじ込む。この時、最初にフィクスチャ62の埋入側端部17が徐々にねじ込まれることで、フィクスチャ62の下穴に対するセンタリングが実施される。この時、フィクスチャ62は歯肉貫通部が歯肉から露出するように植立される。その後、ヒーリングスクリュー(図示せず)で蓋をし、歯肉部分を縫合して、歯科用インプラント60が顎骨に生着するまで約1.5〜3ヶ月待つ。フィクスチャ12が顎骨に生着した後、ヒーリングスクリュに代えてアバットメント14を連結して補綴物を取付ける。
疲労試験
上記実施例1の歯科用インプラント10および比較例の歯科用インプラント80について、疲労試験を行い、それぞれの疲労強度を測定した。実施例1の構成は、図1,2に示す通りであり、比較例の構成は図5に示す通りである。
実験に用いた歯科用インプラントに係るフィクスチャの寸法を表1に示す。
疲労試験は、ISO14801に準拠し、疲労試験機としてInstron E−1000を、締付用エンジンとしてJMMインプランターNeoを用いて以下の通り実施した。アバットメントおよびアバットメント締結ねじについては、それぞれ使用するフィクスチャと適合するもののうち、事前の構造解析により最も疲労強度が低くなると予測されるものを組み合わせて用いた。また、試験用ボールヘッドは、臨床上で補綴物を製作する状況を踏まえ、アバットメントマージンから上部に装着し、頭部にISO14801の条件を満たした状態で、荷重を適切に受けるための球面を有している。
[実験手順]
(1) フィクスチャとアバットメントとを規定の締付トルク値(25〜30Ncm)で締め付ける。
(2) 試験用ボールヘッドを装着した歯科用インプラントを疲労試験機のクランプ治具(垂直方向から30°)にセットする。
(3) クランプ位置を確認する。
(4) ガタつきが無いことを確認する。
(5) 規定の荷重で5×10回まで繰り返し荷重(周波数:15Hz)を加える。
(6) 著しい変形や破折、クラック発生等を確認する。
表2に実施例1についての、表3に比較例についての疲労試験の結果を示す。
実施例1および比較例について、本件特許出願人の既承認歯科用インプラントの疲労強度規格280Nと同一の荷重から試験を開始し、「異常無し」の結果を3本確認するごとに、荷重を増加させて試験を続け、連続して3本「異常無し」の結果が得られた最大の値を、当該試験物の疲労強度とした。表2からわかるように、実施例1では、荷重条件280N〜460Nでは「異常無し」の結果を各3本確認できたが、480Nの荷重条件における2本目が約41万サイクルで破折し、500Nの荷重条件では、約15万サイクルで破折した。この結果、実施例1の歯科用インプラント10の疲労強度は460Nであることがわかった。
一方、表3からわかるように、比較例では、荷重条件280Nでは「異常無し」の結果を3本確認できたが、300Nから330Nの荷重条件では、クラックが発生し、350Nの荷重条件では、破折した。この結果比較例の歯科用インプラント80の疲労強度は280Nであることがわかった。
このように、実施例1の歯科用インプラント10は、比較例の歯科用インプラント80と比較して、疲労強度が飛躍的に増大している。
また、実施例2の歯科用インプラント60についても同様の疲労試験を行ったところ、同様に疲労強度が増大していることが確認された。
応力解析
図6(a)および図6(b)はそれぞれ、実施例1および比較例に係る歯科用インプラント10,80の、有限要素法による応力解析の結果を示す図である。応力解析は、上記疲労試験と同条件の状態で、フィクスチャ12,82の図1におけるカラー部下端から3.5cmの位置で、クランプ治具にセットして、200Nの荷重を、図の左上の複数の矢印で示す方向より試験用ボールヘッド70に加えて実施した。
図6(a)からわかるように、実施例1では、クランプ領域72との境界部分と、フィクスチャ有底穴の開口部との接触位置付近で比較的応力が高くなるが、最大値は矢印A周辺で630.681N/mmであった。
一方、図6(b)からわかるように、比較例では、クランプ領域72との境界部分から、多角嵌合部およびテーパ嵌合部にわたるフィクスチャ外周の広い範囲で応力が高くなり、その最大値は、矢印B周辺で735.883N/mmであった。
このように、比較例と比較して、実施例1では、応力が低くなり、応力の偏りが緩和されていることが確認された。このことは上記疲労試験の結果とも合致する。
以上、本発明の好ましい実施の形態について述べたが、上記の実施例は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
10 歯科用インプラント
12 フィクスチャ
14 アバットメント
16 アバットメント締結ねじ
17 骨埋入側端部
18 有底穴
52 テーパ嵌合部
54 多角嵌合部
62 フィクスチャ
α テーパ角
Ax 中心軸

Claims (4)

  1. 軸方向に開口する有底穴を備えるフィクスチャと、
    アバットメント締結ねじで前記有底穴に螺合することにより、前記フィクスチャに連結されるアバットメントとを備える歯科用インプラントにおいて、
    前記フィクスチャと前記アバットメントとの連結構造は、骨埋入側端部に向かうにつれて中心軸に近づくテーパ嵌合部と、断面多角形の多角嵌合部とを備え、
    前記テーパ嵌合部の軸方向の長さが、前記有底穴の軸方向の長さの24%以上32%以下であることを特徴とする歯科用インプラント。
  2. 軸方向に開口する有底穴を備えるフィクスチャと、
    アバットメント締結ねじで前記有底穴に螺合することにより、前記フィクスチャに連結されるアバットメントとを備える歯科用インプラントにおいて、
    前記フィクスチャと前記アバットメントとの連結構造は、骨埋入側端部に向かうにつれて中心軸に近づくテーパ嵌合部と、断面多角形の多角嵌合部とを備え、
    前記テーパ嵌合部の軸方向の長さが、2.0mm以上2.5mm以下であることを特徴とする歯科用インプラント。
  3. 前記テーパ嵌合部のテーパ角が、中心軸に対して6°以上8°未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の歯科用インプラント。
  4. 前記多角嵌合部の断面形状が、八角形であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用インプラント。
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