JP2018201524A - 標的分子を検出する非侵襲的方法 - Google Patents

標的分子を検出する非侵襲的方法 Download PDF

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Abstract

【課題】標的分子を検出する非侵襲的方法を提供すること。【解決手段】本発明の実施形態は、標的分子を収集、検出、測定および同定するための非侵襲的方法および組成物に関する。いくつかの実施形態では、方法および組成物は、胃腸洗浄液または糞便中の標的分子に関する。一局面において、被験体の生理学的状況を評価するための方法が提供され、この方法は、被験体から胃腸洗浄液を得ることと、胃腸洗浄液中の胃腸系の外側に由来する標的分子を検出することとを含む。別の局面では、被験体の生理学的状況を評価するための方法が提供され、この方法は、被験体から糞便試料を得ることと、糞便試料中の胃腸系の外側に由来する標的分子を検出することとを含む。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、標的分子を収集、検出、測定および同定するための非侵襲的方法および組成物に関する。いくつかの実施形態では、方法および組成物は、胃腸洗浄液(GLF)または糞便中の標的分子に関する。
配列表への言及
本願は、電子形式で配列表とともに出願されている。配列表は、およそ231KBの大きさである、2011年9月7日に作成されたUSA_007WO.TXTと題されたファイルとして提供されている。配列表の電子形式での情報は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
胃腸(GI)管および肝胆道ならびにGI管と関連する器官/組織と関連する障害として、胃癌、食道癌、肝臓癌および膵臓癌などの癌が挙げられる。膵臓癌(例えば、膵臓腺癌)は、特に、膵管の細胞に主に生じる膵臓の悪性増殖である。この疾患は、癌のうち9番目に多い形であるが、男性および女性においてそれぞれ癌による死亡の4番目および5番目の原因である。膵臓の癌は、ほとんどの場合致死性であり、3%未満の5年生存率である。
膵臓癌の最も一般的な症状として、黄疸、腹痛および体重減少が挙げられ、これらは、その他の提示因子と一緒になって、実際は非特異的であることが多い。したがって、膵臓癌を、腫瘍増殖の初期の段階で診断することは、困難であることが多く、大規模な精密診断を必要とし、試験開腹の際に偶発的に発見されることも多い。内視鏡的超音波検査は、膵臓癌の診断に利用可能である1つの例示的非外科的技術である。しかし、小さい腫瘍ならびに限局性膵炎からの膵臓癌の分化の信頼できる検出は困難である。膵臓癌の患者の大部分は、現在、腫瘍がすでに膵臓を越えて広がり、周囲の器官に浸潤してしまった、および/または大規模に転移してしまった後期で診断される。参照によりその全文が本明細書に組み込まれる非特許文献1。死亡につながることが多い進行した疾患と診断されている患者の大部分で、疾患の遅い検出が一般的であり、少数の患者しか初期疾患で検出されない。
GI管と関連する障害および疾患を診断するための侵襲的技術は、不都合なものであり、被験体を重大な危険に曝す。したがって、GI管または関連する器官/組織から標的分子を検出および同定するための非侵襲的方法および組成物が必要である。いくつかの実施形態では、疾患、疾患素因、治療計画に対する正の応答または治療計画に対する応答がないこともしくは負の応答などの特定の特徴と関連しているバイオマーカーとして有用であるかどうかを決定するために、標的分子が評価され得る。さらに、GI管または関連する器官/組織に由来するバイオマーカーは、個体が、上記で列挙した特定の特徴のいずれかを有するかどうかを決定するために使用され得る。
Goldら、Crit.Rev.Oncology/Hematology(2001年)39巻:147〜54頁
本発明の実施形態は、標的分子を収集、検出、測定および同定するための非侵襲的方法および組成物に関する。いくつかの実施形態では、方法および組成物は、胃腸洗浄液(GLF)または糞便中の標的分子に関する。
いくつかの実施形態は、被験体の生理学的状況を評価するための方法であって、被験体から胃腸洗浄液を得ることと、胃腸洗浄液中の胃腸系の外側に由来する標的分子を検出することとを含む方法を含む。
いくつかの実施形態は、被験体の生理学的状況を評価するための方法であって、被験体から糞便試料を得ることと、糞便試料中の胃腸系の外側に由来する標的分子を検出することとを含む方法を含む。
いくつかの実施形態では、胃腸洗浄液は、被験体の胃腸系を部分的に浄化することによって被験体から得られる。
いくつかの実施形態では、胃腸洗浄液は、糞便物質を含む。いくつかの実施形態では、糞便試料は、胃腸洗浄液を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子は、ポリペプチド、抗体、胆汁酸、代謝産物またはグリカンを含む。いくつかの実施形態では、標的分子は、バイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、疾患、治療に対する正の応答、治療に対する部分的応答、治療に対する負の応答または治療に対する応答がないことと関連している。いくつかの実施形態では、標的分子は、癌または癌の素因の存在と関連している。いくつかの実施形態では、癌は、膵臓癌、結腸直腸癌、肝臓癌または胃癌である。いくつかの実施形態では、標的分子は、付属消化腺に由来する。いくつかの実施形態では、付属消化腺は、唾液腺、膵臓、胆嚢または肝臓である。
いくつかの実施形態は、被験体に洗浄液を投与することを含む。いくつかの実施形態では、洗浄液は、経口投与される。いくつかの実施形態では、洗浄液は、ポリエチレングリコール、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、クエン酸マグネシウム、アスコルビン酸、ピコスルファートナトリウムおよびビサコジルからなる群より選択される成分を含む。いくつかの実施形態では、洗浄液は、GOLYTELY、HALFLYTELY、NULYTELY、SUPREP、FLEETのPHOSPHO−SODA、クエン酸マグネシウムおよびそれらの一般的な同等物からなる群より選択される。
いくつかの実施形態は、被験体に対して大腸内視鏡検査を実施することを含む。
いくつかの実施形態では、被験体は、哺乳類である。いくつかの実施形態では、被験体は、ヒトである。
いくつかの実施形態は、バイオマーカーを同定するための方法であって、目的の状態または生理学的状況を有する複数の試験被験体から試験胃腸洗浄液、および前記状態も前記生理学的状況も有さない複数の対照被験体から対照胃腸洗浄液を得ることと、試験胃腸洗浄液および対照胃腸洗浄液中の少なくとも5種の標的分子のレベルを決定することと、対照胃腸洗浄液中のレベルに対して試験胃腸洗浄液中で有意に異なるレベルで存在する標的分子を同定し、それによってバイオマーカーを同定することとを含む方法を含む。
いくつかの実施形態では、胃腸洗浄液は、糞便物質を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子は、ポリペプチド、胆汁酸、抗体、代謝産物、グリカンおよびそれらの組合せからなる群より選択される。
いくつかの実施形態は、試験胃腸洗浄液および対照胃腸洗浄液中の少なくとも10種の標的分子のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態は、試験胃腸洗浄液および対照胃腸洗浄液中の少なくとも20種の標的分子のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態は、試験胃腸洗浄液および対照胃腸洗浄液中の少なくとも30種の標的分子のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態は、試験胃腸洗浄液および対照胃腸洗浄液中の少なくとも50種の標的分子のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態は、試験胃腸洗浄液および対照胃腸洗浄液中の少なくとも100種の標的分子のレベルを決定することを含む。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、疾患、治療に対する正の応答、治療に対する部分的応答、治療に対する負の応答または治療に対する応答がないことと関連している。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、癌または癌の素因の存在と関連している。いくつかの実施形態では、癌は、膵臓癌、肝臓癌または胃癌である。
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の標的分子は、付属消化腺に由来する。いくつかの実施形態では、付属消化腺は、唾液腺、膵臓、胆嚢または肝臓である。
いくつかの実施形態は、試験被験体および対照被験体に洗浄液を投与することを含む。いくつかの実施形態では、洗浄液は、経口投与される。いくつかの実施形態では、洗浄液は、ポリエチレングリコール、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、クエン酸マグネシウム、アスコルビン酸、ピコスルファートナトリウムおよびビサコジルからなる群より選択される成分を含む。いくつかの実施形態では、洗浄液は、GOLYTELY、HALFLYTELY、NULYTELY、SUPREPおよびFLEETのPHOSPHO−SODA、クエン酸マグネシウムおよびそれらの一般的な同等物からなる群より選択される。
いくつかの実施形態は、試験被験体および対照被験体に対して大腸内視鏡検査を実施することを含む。
いくつかの実施形態では、試験被験体および対照被験体は、哺乳類である。いくつかの実施形態では、試験被験体および対照被験体は、ヒトである。
いくつかの実施形態は、バイオマーカーを同定するための方法であって、目的の状態を有する複数の試験被験体から試験糞便試料および複数の対照被験体から対照糞便試料を得ることと、試験糞便試料および対照糞便試料中の少なくとも5種の標的分子のレベルを決定することと、対照糞便試料中のレベルに対して試験糞便試料中で有意に異なるレベルで存在する標的分子を同定し、それによってバイオマーカーを同定することとを含む方法を含む。
いくつかの実施形態では、糞便試料は、胃腸洗浄液を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子は、ポリペプチド、胆汁酸、抗体、代謝産物、グリカンおよびそれらの組合せからなる群より選択される。
いくつかの実施形態は、試験糞便試料および対照糞便試料中の少なくとも10種の標的分子のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態は、糞便試料および対照糞便試料中の少なくとも20種の標的分子のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態は、糞便試料および対照糞便試料中の少なくとも30種の標的分子のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態は、糞便試料および対照糞便試料中の少なくとも50種の標的分子のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態は、糞便試料および対照糞便試料中の少なくとも100種の標的分子のレベルを決定することを含む。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、疾患、治療に対する正の応答または治療に対する負の応答と関連している。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、癌または癌の素因の存在と関連している。いくつかの実施形態では、癌は、膵臓癌、結腸直腸癌、肝臓癌または胃癌である。
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の標的分子は、付属消化腺に由来する。いくつかの実施形態では、付属消化腺は、唾液腺、膵臓、胆嚢または肝臓である。
いくつかの実施形態では、試験被験体および対照被験体は、哺乳類である。いくつかの実施形態では、試験被験体および対照被験体は、ヒトである。
いくつかの実施形態は、胃腸洗浄液中の標的分子を検出するためのキットであって、被験体へ経口投与するための洗浄液と、被験体から胃腸洗浄液を収集するための容器と、胃腸系の外側に由来する標的分子を検出するための薬剤とを含むキットを含む。
いくつかの実施形態は、糞便試料中の標的分子を検出するためのキットであって、被験体へ経口投与するための洗浄液と、被験体から糞便試料を収集するための容器と、胃腸系の外側に由来する標的分子を検出するための薬剤とを含むキットを含む。
いくつかの実施形態は、プロテアーゼ阻害剤を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子は、ポリペプチド、抗体、胆汁酸、代謝産物またはグリカンを含む。いくつかの実施形態では、標的分子は、バイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、疾患、治療に対する正の応答または治療に対する負の応答と関連している。
いくつかの実施形態では、標的分子は、癌または癌の素因の存在と関連している。いくつかの実施形態では、癌は、膵臓癌、肝臓癌、結腸直腸癌または胃癌である。
いくつかの実施形態では、標的分子は、付属消化腺に由来する。いくつかの実施形態では、付属消化腺は、唾液腺、膵臓、胆嚢または肝臓である。
いくつかの実施形態では、洗浄液は、ポリエチレングリコール、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、クエン酸マグネシウム、アスコルビン酸、ピコスルファートナトリウムおよびビサコジルからなる群より選択される成分を含む。いくつかの実施形態では、洗浄液は、GOLYTELY、HALFLYTELY、NULYTELY、SUPREP、FLEETのPHOSPHO−SODA、クエン酸マグネシウムおよびそれらの一般的な同等物からなる群より選択される。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
被験体の生理学的状況を評価するための方法であって、
上記被験体から胃腸洗浄液を得ることと、
上記胃腸洗浄液中の胃腸系の外側に由来する標的分子を検出することと
を含む方法。
(項目2)
被験体の生理学的状況を評価するための方法であって、
上記被験体から糞便試料を得ることと、
上記糞便試料中の胃腸系の外側に由来する標的分子を検出することと
を含む方法。
(項目3)
上記胃腸洗浄液が、上記被験体の胃腸系を部分的に浄化することによって上記被験体から得られる、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記胃腸洗浄液が、糞便物質を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記糞便試料が、胃腸洗浄液を含む、項目2に記載の方法。
(項目6)
上記標的分子が、ポリペプチド、抗体、胆汁酸、代謝産物またはグリカンを含む、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
上記標的分子が、バイオマーカーを含む、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
上記バイオマーカーが、疾患、治療に対する正の応答、治療に対する部分的応答、治療に対する負の応答または治療に対する応答がないことと関連している、項目7に記載の方法。
(項目9)
上記標的分子が、癌または癌の素因の存在と関連している、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
上記癌が、膵臓癌、結腸直腸癌、肝臓癌または胃癌である、項目8に記載の方法。
(項目11)
上記標的分子が、付属消化腺に由来する、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
上記付属消化腺が、唾液腺、膵臓、胆嚢または肝臓である、項目11に記載の方法。
(項目13)
上記被験体に洗浄液を投与することをさらに含む、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
上記洗浄液が、経口投与される、項目13に記載の方法。
(項目15)
上記洗浄液が、ポリエチレングリコール、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、クエン酸マグネシウム、アスコルビン酸、ピコスルファートナトリウムおよびビサコジルからなる群より選択される成分を含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
上記洗浄液が、GOLYTELY、HALFLYTELY、NULYTELY、SUPREP、FLEETのPHOSPHO−SODA、クエン酸マグネシウムおよびそれらの一般的な同等物からなる群より選択される、項目13に記載の方法。
(項目17)
上記被験体に対して大腸内視鏡検査を実施することをさらに含む、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
上記被験体が、哺乳類である、項目1から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
上記被験体が、ヒトである、項目1から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
バイオマーカーを同定するための方法であって、
目的の状態または生理学的状況を有する複数の試験被験体から試験胃腸洗浄液、および上記状態も上記生理学的状況も有さない複数の対照被験体から対照胃腸洗浄液を得ることと、
上記試験胃腸洗浄液および上記対照胃腸洗浄液中の少なくとも5種の標的分子のレベルを決定することと、
上記対照胃腸洗浄液中のレベルに対して上記試験胃腸洗浄液中で有意に異なるレベルで存在する標的分子を同定し、それによってバイオマーカーを同定することと
を含む方法。
(項目21)
上記胃腸洗浄液が、糞便物質を含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
上記標的分子が、ポリペプチド、胆汁酸、抗体、代謝産物、グリカンおよびそれらの組合せからなる群より選択される、項目20から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
上記試験胃腸洗浄液および上記対照胃腸洗浄液中の少なくとも10種の標的分子のレベルを決定することを含む、項目20から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
上記試験胃腸洗浄液および上記対照胃腸洗浄液中の少なくとも20種の標的分子のレベルを決定することを含む、項目20から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
上記試験胃腸洗浄液および上記対照胃腸洗浄液中の少なくとも30種の標的分子のレベルを決定することを含む、項目20から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
上記試験胃腸洗浄液および上記対照胃腸洗浄液中の少なくとも50種の標的分子のレベルを決定することを含む、項目20から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
上記試験胃腸洗浄液および上記対照胃腸洗浄液中の少なくとも100種の標的分子のレベルを決定することを含む、項目20から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
上記バイオマーカーが、疾患、治療に対する正の応答、治療に対する部分的応答、治療に対する負の応答または治療に対する応答がないことと関連している、項目20から27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
上記バイオマーカーが、癌または癌の素因の存在と関連している、項目20から27のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
上記癌が、膵臓癌、肝臓癌または胃癌である、項目28に記載の方法。
(項目31)
少なくとも1種の標的分子が、付属消化腺に由来する、項目20から30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
上記付属消化腺が、唾液腺、膵臓、胆嚢または肝臓である、項目31に記載の方法。
(項目33)
上記試験被験体および上記対照被験体に洗浄液を投与することをさらに含む、項目20から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
上記洗浄液が、経口投与される、項目33に記載の方法。
(項目35)
上記洗浄液が、ポリエチレングリコール、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、クエン酸マグネシウム、アスコルビン酸、ピコスルファートナトリウムおよびビサコジルからなる群より選択される成分を含む、項目33に記載の方法。
(項目36)
上記洗浄液が、GOLYTELY、HALFLYTELY、NULYTELY、SUPREP、FLEETのPHOSPHO−SODA、クエン酸マグネシウムおよびそれらの一般的な同等物からなる群より選択される、項目33に記載の方法。
(項目37)
上記試験被験体および上記対照被験体に対して大腸内視鏡検査を実施することをさらに含む、項目20から36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
上記試験被験体および上記対照被験体が、哺乳類である、項目20から37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
上記試験被験体および上記対照被験体が、ヒトである、項目20から38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
バイオマーカーを同定するための方法であって、
目的の状態を有する複数の試験被験体から試験糞便試料および複数の対照被験体から対照糞便試料を得ることと、
上記試験糞便試料および上記対照糞便試料中の少なくとも5種の標的分子のレベルを決定することと、上記対照糞便試料中のレベルに対して上記試験糞便試料中で有意に異なるレベルで存在する標的分子を同定し、それによってバイオマーカーを同定することと
を含む方法。
(項目41)
上記糞便試料が、胃腸洗浄液を含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
上記標的分子が、ポリペプチド、核酸、胆汁酸、抗体、代謝産物、グリカンおよびそれらの組合せからなる群より選択される、項目40から41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
上記試験糞便試料および上記対照糞便試料中の少なくとも10種の標的分子のレベルを決定することを含む、項目40から42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
上記糞便試料および上記対照糞便試料中の少なくとも20種の標的分子のレベルを決定することを含む、項目40から42のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
上記糞便試料および上記対照糞便試料中の少なくとも30種の標的分子のレベルを決定することを含む、項目40から42のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
上記糞便試料および上記対照糞便試料中の少なくとも50種の標的分子のレベルを決定することを含む、項目40から42のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
上記糞便試料および上記対照糞便試料中の少なくとも100種の標的分子のレベルを決定することを含む、項目40から42のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
上記バイオマーカーが、疾患、治療に対する正の応答または治療に対する負の応答と関連している、項目40から47のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
上記バイオマーカーが、癌または癌の素因の存在と関連している、項目40から48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
上記癌が、膵臓癌、結腸直腸癌、肝臓癌または胃癌である、項目49に記載の方法。
(項目51)
少なくとも1種の標的分子が、付属消化腺に由来する、項目40から50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
上記付属消化腺が、唾液腺、膵臓、胆嚢または肝臓である、項目51に記載の方法。
(項目53)
上記試験被験体および上記対照被験体が、哺乳類である、項目40から52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
上記試験被験体および上記対照被験体が、ヒトである、項目40から53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
胃腸洗浄液中の標的分子を検出するためのキットであって、
被験体へ経口投与するための洗浄液と、
上記被験体から上記胃腸洗浄液を収集するための容器と、
胃腸系の外側に由来する標的分子を検出するための薬剤と
を含むキット。
(項目56)
糞便試料中の標的分子を検出するためのキットであって、
被験体へ経口投与するための洗浄液と、
上記被験体から上記糞便試料を収集するための容器と、
胃腸系の外側に由来する標的分子を検出するための薬剤と
を含むキット。
(項目57)
プロテアーゼ阻害剤をさらに含む、項目55から56のいずれか一項に記載のキット。
(項目58)
上記標的分子が、ポリペプチド、抗体、胆汁酸、代謝産物またはグリカンを含む、項目55から57のいずれか一項に記載のキット。
(項目59)
上記標的分子が、バイオマーカーを含む、項目55から58のいずれか一項に記載のキット。
(項目60)
上記バイオマーカーが、疾患、治療に対する正の応答または治療に対する負の応答と関連している、項目59に記載のキット。
(項目61)
上記標的分子が、癌または癌の素因の存在と関連している、項目55から60のいずれか一項に記載のキット。
(項目62)
上記癌が、膵臓癌、肝臓癌、結腸直腸癌または胃癌である、項目61に記載のキット。
(項目63)
上記標的分子が、付属消化腺に由来する、項目55から62のいずれか一項に記載のキット。
(項目64)
上記付属消化腺が、唾液腺、膵臓、胆嚢または肝臓である、項目63に記載のキット。
(項目65)
上記洗浄液が、ポリエチレングリコール、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、クエン酸マグネシウム、アスコルビン酸、ピコスルファートナトリウムおよびビサコジルからなる群より選択される成分を含む、項目55から64のいずれか一項に記載のキット。
(項目66)
上記洗浄液が、GOLYTELY、HALFLYTELY、NULYTELY、SUPREP、FLEETのPHOSPHO−SODA、クエン酸マグネシウムおよびそれらの一般的な同等物からなる群より選択される、項目55から64のいずれか一項に記載のキット。
図1は、胃腸洗浄液の画分中に存在する種々の糖タンパク質に由来するグリカン構造の相対的存在量のグラフを表す図である。誘導体化されたグリカンを、0.2%ギ酸中の約20〜25%アセトニトリルでQ−TOF MSでのC18逆相カラムから溶出した。質量分析計は、MSのみの様式で毎秒m/z150〜2000でスキャンし、誘導体化グリカンプロファイルデータを獲得した。 図2は、胃腸洗浄液の画分中に存在するコール酸などの代謝産物を含めた化合物の相対的存在量のグラフを表す図である。データは、LCシステムからの入力を使用し、MassLynxソフトウェアを使用してWaters Q−TOF質量分析計で獲得した。MSは、毎秒m/z100〜m/z2000の質量範囲にわたってスキャンした。
本発明の実施形態は、標的分子を収集、検出、測定および同定するための非侵襲的方法および組成物に関する。いくつかの実施形態では、方法および組成物は、胃腸洗浄液(GLF)または糞便中の標的分子に関する。
胃腸洗浄は、大腸内視鏡検査または結腸直腸手術のための下部胃腸(GI)管準備として広く使用されている(例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、DiPalma JA.ら、(1984年)Gastroenterology 86巻:856〜60頁参照のこと)。腸管の疾患の特定の病態生理学は、GLF中のタンパク質を測定することによって調査されている(各々、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Evgenikos Nら(2000年)Br J Surg 87巻:808〜13頁、Brydon WG、Ferguson A.(1992年)Lancet340巻:1381〜2頁、Choudari CPら(1993年)Gastroenterology 104巻:1064〜71頁、Ferguson Aら(1996年)Gut 38巻:120〜4頁、Handy LMら(1996年)Scand J Gastroenterol 31巻:700〜5頁、およびStanley AJら(1996年)Gastroenterology 111巻:1679〜82頁)。
糞便のタンパク質の測定は、タンパク質喪失性腸症および粘膜炎症などの種々の病態生理学を調査するために有用であり得る。しかし、本明細書に記載されたいくつかの実施形態では、糞便が使用され得るが、GLFは、アッセイに干渉する物質をより少量しか含有せず、GLFでは、GI管を迅速に通過するために消化酵素および細菌プロテアーゼによるタンパク質の破壊が糞便試料よりも少ないので、GLFは、バイオマーカーを検出および同定するための試料として糞便を上回って好ましい。さらに、腸に沿った流体通過の速度が推定され得るので、粘膜からのタンパク質放出速度を推定することが可能である。
いくつかの実施形態では、GLFは、被験体に洗浄液を経口投与して、大容量の流体を腸管に通過させることによって製造され得、洗浄液は、塩の混合物ならびにポリエチレングリコールおよびビサコジルなどのその他の物質を含有し得る。洗浄液は、結腸への液体の流入を引き起こし、これによって固体が流し出される。洗浄液は、大腸内視鏡検査およびGI管を検査するために使用されるその他の方法のための準備において一般的に使用されるように、GI管の清浄化を引き起こすために一般的に使用される。大部分が清浄化されたGI管から流し出されたか、またはその中に留まるこれらの液体は、GI管に沿った口から肛門までの連続性のためにさまざまな疾患を評価するのに有用である。結果として、流体をGI管中に入れるGI管を含めたありとあらゆる器官が、本明細書において提供される方法および組成物の候補である。
GI管および関連する器官/組織
本明細書において提供される方法および組成物の一部は、GI管および付属消化腺を含めたGI管と関連する器官/組織に関する。当技術分野では周知であるが、GI管は、上部GI管および下部GI管を含む。上部GI管は、口腔または頬側口腔、食道、胃および十二指腸を含む。下部GI管は、空腸、回腸および大腸および肛門を含む。大腸は、虫垂、盲腸、結腸および直腸を含む。
GI管と関連する器官および組織は、GI管の外側の構造を含む。このような構造の例として、唾液腺、例えば、耳下唾液腺、顎下唾液腺および舌下唾液腺、膵臓、例えば、外分泌膵臓、胆嚢、胆管および肝臓などの付属消化器官が挙げられる。GI管およびGI管の外側と関連する構造のさらなる例として、膵管、胆樹および胆管が挙げられる。
胃腸洗浄液(GLF)
一般に、洗浄液は、被験体に経口投与され得、経口洗浄液は、被験体のGI管を通過し、得られるGLFが被験体から収集される。本明細書において、用語「被験体」とは、哺乳動物、例えば、ヒトなどの動物を含み得る。上記のように、GLFは、糞便/便試料の検査よりも清潔なGI管のサンプリングを提供する。GLFは、食物の摂取、種類および消化状態と関連する可変性を軽減すると思われる。
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、標的分子を検出するための、または胃腸管または関連する器官/組織の疾患および病状についてのスクリーニング、トリアージ、疾患検出、診断、予後、治療に対する応答、治療の選択および個別化医薬のためのGLFの分析を含む。いくつかの実施形態は、被験体が患っている可能性がある、あり得る疾患または状態から、特定の疾患および病状を排除するためのGLF試料の分析を含む。いくつかの実施形態は、診断のためにさらに試験する必要性を示すためのGLFの分析を含む。さらなる実施形態は、新規疾患診断を確立し、これまでの診断をさらに分類し、有望な治療計画に対する感受性を決定し、および/またはこれまでのもしくは進行中の治療計画に対する応答を評価するためのGLFの分析を含む。
GLFを得るための方法
本明細書において提供される方法および組成物のいくつかの実施形態は、被験体からGLFを得ることを含む。GLFを得る方法は、当技術分野で周知である。例えば、S字結腸鏡検査、大腸内視鏡検査、X線検査、腸の手術を受ける患者のための準備などの医療手順およびまたは診断手順の際に、腸および結腸が、完全に浄化され、清浄化されることが重要である。特に、腸管粘膜の適切な可視化を可能にするよう、結腸からできるだけ多くの糞便物質が除去されることが必須である。これは、例えば、軟性S字結腸鏡検査または大腸内視鏡検査などの診断手順、結腸の疾患について患者をスクリーニングするために広く実施される診断検査の前には重要である。さらに、結腸の満足のいくX線写真を得るためには、腸管が完全に洗浄されることが重要である。同一状態はまた、結腸が手術のために術前準備される場合、糞便老廃物の除去が、患者の安全にとって非常に重要である場合にも当てはまる。内視鏡的検査のために結腸を準備するには、現在の清浄化手順は、直立歩行結腸洗浄を含む。直立歩行洗浄は、被験体に、4Lのポリエチレングリコール/電解質溶液(参照によりその全文が組み込まれる米国特許出願公開第20070298008号)を含む洗浄組成物を経口投与することを含み得る。いくつかの実施形態は、順行性洗浄および逆行性洗浄を含む。
一般に、経口洗浄組成物は、硫酸、炭酸水素、塩化物、リン酸またはクエン酸のナトリウム、カリウムおよびマグネシウム塩などの電解質の溶液を含む。いくつかのこのような組成物はまた、非吸収性の浸透圧性薬剤として作用し得るポリエチレングリコールも含み得る。一般的な組成物は、電解質溶液とともにポリエチレングリコールを含み、場合により、ビサコジルまたはアスコルビン酸および硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムまたは硫酸カリウムなどの硫酸塩を含めた組成物も含む。いくつかの実施形態では、経口洗浄液は、クエン酸マグネシウムを含み得る。いくつかの実施形態では、経口洗浄液は、ピコスルファートナトリウムを含み得る。電解質溶液とともにポリエチレングリコールを含む経口洗浄溶液の1種の例示的組成物として、GOLYTELY(Braintree Labs.Inc.)がある。GOLYTELYは、以下:ポリエチレングリコール59g、硫酸ナトリウム5.68g、炭酸水素ナトリウム1.69g、塩化ナトリウム1.46g、塩化カリウム0.745gおよび1リットルを構成するための水に従って製剤される(参照によりその全文が組み込まれる、Davisら(1980年)Gastroenterology 78巻:991〜995頁)。GOLYTELYの摂取は、被験体の水および電解質バランスにおいて最小の変化しか伴わずに多量の液状便をもたらす。電解質溶液とともにポリエチレングリコールを含む経口洗浄組成物の別の例として、NULYTELYがある(Braintree Labs.Inc.)。電解質溶液およびビサコジルとともにポリエチレングリコールを含む1種の例示的経口洗浄組成物として、HALFLYTELYがある(Braintree Labs.Inc.)。硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムまたは硫酸カリウムなどの硫酸塩を含む1種の例示的経口洗浄組成物として、SUPREPがある(Braintree Labs.Inc.)。電解質溶液およびアスコルビン酸とともにポリエチレングリコールを含む経口洗浄溶液の1種の例示的組成物として、MOVIPREPがある(Salix Pharmaceuticals,Inc.)。
多量のポリエチレングリコールが、大容量の希釈塩溶液中で投与される場合に、ポリエチレングリコールは、経口洗浄組成物として有効である。普通、約250〜400gのポリエチレングリコールが、約4Lの電解質水溶液中で被験体に投与される。ポリエチレングリコールの経口投与は、一定期間、例えば、一晩にわたって便通を生じさせるために使用され得る。必要な用量は変わるが、8オンスの水中、約10〜100gのポリエチレングリコールが有効であり得る。重篤な下痢を伴わずに一晩の便通を生じさせるには、約68〜85gのポリエチレングリコールの用量が有効であり得る。等張性流体中のポリエチレングリコールの溶液の容量は、浸透圧性緩下薬の有効量であり得る。約0.5L〜約4Lの容量が有効であり得る。好ましくは、有効容量は、約1.5Lから約2.5Lの間である。2Lの等張性溶液の経口投与は、有効である。
経口洗浄組成物のさらなる例として、ポリエチレングリコールなどの浸透圧性緩下剤と組み合わせた非リン酸塩の高張液が挙げられる(参照によりその全文が組み込まれる米国特許出願公開第20090258090号)。リン酸塩を除く硫酸塩の混合物、例えば、以下の硫酸塩NaSO、MgSOおよびKSOのうち1種または複数の有効量が有効であり得る(例えば、SUPREP)。いくつかの実施形態は、約0.1g〜約20.0gのNaSOを含み、約1.0g〜10.0gのNaSOが有用であり得る。約0.01g〜約40.0gのMgSOの投与量が有効であり得る。約0.1g〜約20.0gのNaSOの用量ならびに、1.0〜10.0gの投与量も有利に使用され得る。約0.01g〜約20.0gのKSOの投与量が、浄化をもたらすのに有効であり得、約0.1g〜約10.0gおよび約0.5g〜約5.0gのKSOの用量も有用であり得る。ポリエチレングリコール(PEG)などの浸透圧性緩下剤の添加は、上記の塩混合物の有効性を改善し得る。約1.0g〜約100gのPEGの用量が有効である。約34gの用量のように、約10.0g〜約50gのPEGの用量も有効である。投与の容易さのためには、上記の塩の混合物は、好都合な容量の水に溶解され得る。1リットル未満の容量の水は、ほとんどの被験体によって十分に許容され得る。混合物は、任意の小容量の水に溶解されてもよく、100から500mlの間の容量が有用である。有効用量をわけて、適当な期間にわたる2回以上の投与で患者に投与してもよい。一般に、6〜24時間隔てられた有効用量の同等部分の2用量の投与は、満足のいく浄化をもたらす。いくつかの実施形態は、経口洗浄組成物の投与の前およびその間の規定の期間の間の正常な経口摂取の中断を含む。
いくつかの洗浄組成物は、ビサコジルなどの緩下薬を含む。いくつかの実施形態では、緩下薬は、洗浄組成物とともに被験体に同時投与され得る。理解されるであろうが、このような同時投与は、例えば、被験体への洗浄組成物の投与の最大数時間前の緩下薬の投与、被験体への洗浄組成物の投与と組み合わせた緩下薬の投与または被験体への洗浄組成物の投与の最大数時間後の緩下薬の投与を含み得る。緩下薬およびその有効用量の例として、アロエ、250〜1000mg;ビサコジル、約5〜80mg;カサンスラノール、30〜360mg;カスカラ芳香族流体抽出物、2〜24ml;カスカラサグラダ樹皮、300〜4000mg;カスカラ(Cascada)サグラダ抽出物、300〜2000mg;カスカラサグラダ流体抽出物、0.5〜5.0ml;ヒマシ油、15〜240ml;ダンスロン、75〜300mg;デヒドロコール酸、250〜2000mg;フェノールフタレイン、30〜1000mg;センノシドAおよびB、12〜200mg;およびピコスルファート、1〜100mgが挙げられる。
洗浄組成物のさらなる例として、濃縮リン酸塩の水溶液が挙げられる。水性リン酸塩濃縮物は、GI管の管腔内内容物に対して浸透圧性効果をもたらし、身体から結腸への水および電解質の大流入で腸の排泄が起こる。1種の例示的組成物は、安定化された緩衝水溶液中に480g/Lのリン酸二水素ナトリウムおよび180g/Lのリン酸水素二ナトリウムを含む(FLEETのPHOSPHO−SODA、C.S.Fleet Co.,Inc.)。被験体は、通常、合計6オンス(180ml)について、3〜12時間の間隔で隔てられた、この組成物の2〜3オンスの用量を摂取することを必要とする。
GLFは、医療手順または診断手順の前、その間またはその後に被験体から収集され得る。いくつかの実施形態では、被験体は、例えば、流体を捕獲するトイレ挿入物(toilet insert)などの容器を使用してGLFを収集し得る。GLFの品質を保つために酵素阻害剤および変性剤が使用され得る。いくつかの実施形態では、試料の安定化に役立つよう、試料のpHが調整され得る。いくつかの実施形態では、GLF試料は、遠心分離などによって、一部またはすべての固体および/または細菌を除去するようさらに処理され得る。いくつかの実施形態では、GI管は、経口洗浄組成物の投与によって完全には浄化されない場合もある。例えば、被験体のGI管を完全に浄化するのに必要な経口洗浄組成物の完全用量の一部が、被験体に投与される場合がある。いくつかの実施形態では、GLFは、糞便物質を含み得る。さらなる実施形態では、糞便物質は、GLFを含み得る。
標的分子
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、GI管から得られた試料中の標的分子を検出する方法またはこのような検出にとって有用な組成物に関する。本明細書において、「標的分子」は、GI管から得られた試料中で検出または測定または同定され得る任意の分子を含む。このような試料として、被験体から得られたGLFおよび被験体から得られた糞便試料が挙げられる。標的分子の例として、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、突然変異体タンパク質、選択的スプライシングから生じたタンパク質、翻訳後修飾されたタンパク質、例えば、グリコシル化タンパク質、リン酸化タンパク質などの修飾されたタンパク質、抗体(例えば、自己抗体、IgG、IgAおよびIgM)、抗体断片、糖、例えば、単糖、二糖、オリゴ糖およびグリカン、脂質、小分子、例えば、代謝産物、医薬組成物、代謝された医薬組成物およびプロドラッグなどの分子が挙げられる。標的分子のさらなる例として、胆汁酸塩および胆汁酸、例えば、コール酸が挙げられる。さらなる例として、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸およびリトコール酸が挙げられる。標的分子は、GI管およびGI管の外側に由来し得る、例えば、付属消化腺などのGI管と関連している器官および/または組織に由来し得る。いくつかの実施形態では、細胞の断片およびその他の副生成物(biproduct)、例えば、赤血球、白血球および内皮細胞を含めた細胞、生物、例えば、細菌、原虫ならびにウイルスおよびウイルス粒子が、GLFまたは糞便試料中で検出され得る。いくつかの実施形態では、標的分子は、本明細書における表1〜10またはその一部のいずれかに列挙されるタンパク質またはその一部のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、表1〜10のいずれかに列挙されるタンパク質の一部は、表1〜10中に列挙されるタンパク質のいずれかの少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも50個または50個を超える連続するアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態では、標的分子は、配列番号01〜804のうち1種のポリペプチドを含み得る、から本質的になり得る、またはからなり得る。配列番号01〜804のうち1種から本質的になるポリペプチドは、配列番号01〜804中のものに対してさらなるアミノ酸または置換アミノ酸を、このようなさらなるアミノ酸または置換アミノ酸が、ポリペプチドが検出可能であることを妨げない場合に含み得る。
標的分子はまた、バイオマーカーを含む。本明細書において、用語「バイオマーカー」は、疾患、疾患素因、特定の治療計画に対する正の応答、特定の治療計画に対する応答がないことまたは特定の治療計画に対する負の応答と関連している、GLFまたは糞便試料中に存在する任意の標的分子を含む。いくつかの実施形態では、バイオマーカーが、同定、測定および/または疾患の診断もしくは予後と相互に関連付けられ得る。
いくつかの実施形態では、標的分子は、血液、唾液、胃液、肝臓分泌物、胆汁、十二指腸液および膵液からなる群より選択される被験体の流体の構成成分である。いくつかの実施形態では、標的分子は、被験体の上部胃腸管または被験体の下部胃腸管において発現される。いくつかの実施形態では、標的分子は、頬側口腔、食道、胃、胆樹、胆嚢、十二指腸、空腸、回腸、虫垂、盲腸、結腸、直腸および肛門管からなる群より選択される被験体中の位置で発現される。
いくつかの実施形態では、標的分子は、GLF中に見られるタンパク質またはその他の化合物、例えば、ラクトフェリン、好酸球由来神経毒、好酸球カチオン性タンパク質、ビリルビン(Bil)、アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ヘモグロビンまたは好酸球ペルオキシダーゼを含まない。いくつかの実施形態では、標的分子は、糞便中に見られるタンパク質、例えば、ヘプタグロブリン(heptaglobulin)、ヘモペキシン、α−2−マクログロブリン、カドヘリン−17、カルプロテクチン、癌胚形成(carcinoembryogenic)抗原、メタロプロテイナーゼ−1(TIMP−1)、S100A12、K−rasまたはp53を含まない。いくつかの実施形態では、標的分子は、膵液中に見られるタンパク質、例えば、前勾配(anterior gradient)−2(AGR2)、インスリン様増殖因子結合タンパク質−2、CEACAM6、MUC1、CA19−9、セリンプロテイナーゼ−2(PRSS2)プレプロタンパク質、膵臓リパーゼ関連タンパク質−1(PLRP1)、キモトリプシノーゲンB(CTRB)、エラスターゼ3B(ELA3B)、腫瘍拒絶抗原(pg96)、アズロシジン、肝細胞癌−腸−膵臓/膵炎関連タンパク質I(HIP/PAP−I)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−9(MMP−9)、癌遺伝子DJ1(DJ−1)またはα−1B−糖タンパク質前駆体(A1BG)を含まない。
標的分子を特性決定する方法
本明細書において提供される方法および組成物のいくつかの実施形態は、GLFまたは糞便試料中の標的分子を特性決定することを含む。標的分子を特性決定することは、例えば、標的分子を同定すること、標的分子を検出することおよび/または標的分子を定量することを含み得る。標的分子を同定、検出および定量する方法は、当技術分野で周知である。
いくつかの実施形態は、ペプチド、ポリペプチドおよび/もしくはタンパク質を含む標的分子を同定すること、その有無を決定すること、ならびに/または標的分子を定量することを含む。このような標的分子は、本明細書に記載されるようなラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫測定法および2抗体サンドイッチアッセイを含めたイムノアッセイなどのさまざまな方法によって特性決定され得る。競合および非競合イムノアッセイ形式、抗原捕獲アッセイおよび2抗体サンドイッチアッセイを含めたさまざまなイムノアッセイ形式も有用である(参照によりその全文が組み込まれる、SelfおよびCook、(1996年)Curr. Opin. Biotechnol. 7巻:60〜65頁)。いくつかの実施形態は、1種または複数の抗原捕獲アッセイを含む。抗原捕獲アッセイでは、抗体が、固相と結合しており、抗原、例えば、GLFまたは糞便試料中の標的分子が、抗体によって結合されるように試料が添加される。結合していないタンパク質が、洗浄によって除去された後、必要に応じて、例えば、ラジオアッセイを使用して、結合している抗原の量が定量化され得る(参照によりその全文が組み込まれる、HarlowおよびLane、(1988年)Antibodies A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory: New York)。イムノアッセイは、抗原の量を定量化し、ひいては、GLFまたは糞便試料中の標的分子のレベルを決定するために、抗体過剰または抗原競合のような状態下で実施され得る。
酵素結合免疫吸着法(ELISA)は、本明細書において提供されるある特定の実施形態において有用であり得る。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、β−ガラクトシダーゼまたはウレアーゼなどの酵素は、本発明の方法において使用するために、例えば、抗HMGB1抗体と、または二次抗体と連結され得る。西洋ワサビ−ペルオキシダーゼ検出システムは、例えば、過酸化水素の存在下で、450nmで検出可能である可溶性生成物を生じる発色基質テトラメチルベンジジン(TMB)とともに使用され得る。その他の好都合な酵素結合型システムとして、例えば、405nmで容易に検出可能な可溶性生成物を生じる発色基質p−ニトロフェニルリン酸とともに使用され得るアルカリホスファターゼ検出システムが挙げられる。同様に、β−ガラクトシダーゼ検出システムは、410nmで検出可能な可溶性生成物を生じる発色基質o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)とともに使用され得、またはウレアーゼ検出システムは、尿素−ブロモクレゾールパープル(Sigma Immunochemicals)などの基質とともに使用され得る。有用な酵素結合型一次および二次抗体は、本明細書においてさらに記載されるようなJackson Immuno−Research(West Grove、Pa.)などのいくつかの市販の供給源から得ることができる。
ある特定の実施形態では、GLFまたは糞便試料中の標的分子は、化学発光検出を使用して検出および/または測定され得る。例えば、ある特定の実施形態では、生体試料、例えば、GLFまたは糞便試料中に存在する標的分子を捕獲するために特定の標的分子に対する特異的抗体が使用され、試料中に存在する標的分子を検出するために、標的分子特異的抗体に対して特異的であり、化学発光標識で標識される抗体が使用される。本方法において、任意の化学発光標識および検出システムが使用され得る。化学発光二次抗体は、Amershamなどの種々の供給源から商業的に入手できる。化学発光二次抗体を検出する方法は、当技術分野で公知である。
蛍光検出はまた、本明細書において提供されるある特定の方法において標的分子を検出するために有用であり得る。有用な蛍光色素として、DAPI、フルオレセイン、Hoechst 33258、R−フィコシアニン、B−フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、ローダミン、テキサスレッドおよびリサミンが挙げられる。本発明において、フルオレセインもしくはローダミン標識された抗体またはフルオレセイン−もしくはローダミン−標識された二次抗体は、有用であり得る。
ラジオイムノアッセイ(RIA)もまた、本明細書において提供されるある特定の方法において有用であり得る。このようなアッセイは、当技術分野で周知である。ラジオイムノアッセイは、例えば、125I−標識された一次または二次抗体(HarlowおよびLane、前掲、1988年)を用いて実施され得る。
検出可能な試薬からのシグナルは、例えば、発色基質からの色を検出するための分光光度計;125Iの検出のためのγカウンターなどの、放射線を検出するための放射線カウンター;またはある特定の波長の光の存在下で蛍光を検出するための蛍光光度計を使用して分析され得る。酵素結合型アッセイが使用される場合には、標的分子の量の定量的分析が、EMAX Microplate Reader(Molecular Devices;Menlo Park、Calif.)などの分光光度計を製造業者の使用説明書に従って使用して実施され得る。本発明のアッセイは、必要に応じて、自動化またはロボット制御で実施することができ、さらに複数の試料からのシグナルを同時に検出することができる。
いくつかの実施形態では、標的分子を検出および/または測定するために、必要に応じて自動化され得るキャピラリー電気泳動をベースとするイムノアッセイ(CEIA)が使用され得る。イムノアッセイはまた、例えば、各々、参照によりその全文が組み込まれるSchmalzingおよびNashabeh, Electrophoresis 18巻:2184〜93頁(1997年)およびBao, J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. 699巻:463〜80頁(1997年)に記載されるようなレーザー誘導性蛍光とともに使用され得る。本明細書において提供されるある特定の方法に従って、標的分子を検出するために、または標的分子のレベルを決定するために、フローインジェクションリポソームイムノアッセイおよびリポソームイムノセンサーなどのリポソームイムノアッセイもまた使用され得る(参照によりその全文が組み込まれる、Rongenら、(1997年)J. Immunol. Methods 204巻:105〜133頁)。
ある特定の実施形態では、サンドイッチ酵素イムノアッセイも有用であり得る。2抗体サンドイッチアッセイでは、一次抗体が固相支持体と結合され、抗原が、一次抗体と結合することが許可される。それと結合する二次抗体の量を測定することによって、標的分子の量が定量化される。
本明細書において提供される方法において、標的分子を検出するために、または標的分子のレベルを決定するために、定量的ウエスタンブロッティングも使用され得る。ウエスタンブロットは、走査デンシトメトリーなどの周知の方法によって定量化され得る。一例として、タンパク質試料が、10%SDS−PAGE Laemmliゲルで電気泳動される。例えば、標的分子に対する一次マウスモノクローナル抗体がブロットと反応させられ、予備的スロットブロット実験を使用して、抗体結合が直線的であることが確認される。二次抗体としてヤギ抗マウス西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型抗体(BioRad)が使用され、シグナル検出は、化学発光、例えば、Renaissance化学発光キット(New England Nuclear;Boston、Mass.)を、製造業者の使用説明書に従って使用して実施される。ブロットのオートラジオグラフが、走査デンシトメーター(Molecular Dynamics;Sunnyvale、Calif.)を使用して分析され、陽性対照に対して正規化される。値は、例えば、実測値対陽性対照の間の比(濃度測定指数)として報告される。このような方法は、例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Parraら、J. Vasc. Surg. 28巻:669〜675頁(1998年)に記載されるように、当技術分野で周知である。
本明細書に記載されるように、標的分子を検出するためまたは標的分子のレベルを決定するためのいくつかの実施形態では、例えば、酵素結合免疫吸着法、ラジオイムノアッセイおよび定量的ウエスタン分析を含めたイムノアッセイは有用であり得る。このようなアッセイは、通常、1種または複数の抗体に依存する。当業者には理解されるであろうが、本明細書に記載された方法を使用して、翻訳後修飾の代替形態を有するタンパク質、例えば、リン酸化タンパク質およびグリコシル化タンパク質を容易に区別できる。
タンパク質標的分子などの標的分子は、さまざまな方法によって特性決定され得る。タンパク質、ポリペプチドおよびペプチドは、タンパク質沈殿、クロマトグラフィー(例えば、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー)、親和性捕獲および分画抽出(differential extractions)などの当技術分野で周知のさまざまな方法によって単離され得る。
単離タンパク質は、酵素消化または化学的切断を受けて、ポリペプチド断片およびペプチドを生じ得る。このような断片は、同定および定量され得る。ポリペプチド/ペプチド断片およびその他の標的分子の分析にとって特に有用な方法は、質量分析である(参照によりその全文が組み込まれる、米国特許出願第20100279382号)。各試料中に含有されるタンパク質を同定し、試料にわたって同定されたタンパク質各々の相対的存在量を決定する、いくつかの質量分析ベースの定量的プロテオミクス法が開発されている(各々、参照によりその全文が組み込まれる、Floryら、Trends Biotechnol. 20巻:S23〜29頁(2002年)、Aebersold、J. Am. Soc. Mass Spectrom. 14巻:685〜695頁(2003年)、Aebersold、J. Infect. Dis. 187巻 付録2:S315〜320頁(2003年)、PattersonおよびAebersold、Nat. Genet. 33巻 付録、311〜323頁(2003年)、AebersoldおよびMann、Nature 422巻:198〜207頁(2003年)、Aebersold, R.およびCravatt、Trends Biotechnol. 20巻:S1〜2頁(2002年)、AebersoldおよびGoodlett、Chem. Rev. 101巻、269〜295頁(2001年)、TaoおよびAebersold、Curr. Opin. Biotechnol. 14巻:110〜118頁(2003年))。一般に、各試料中のタンパク質は、その起源の試料を同定し、正確な質量分析的定量の基礎を提供する同位体識別特性を獲得するよう標識される。次いで、異なる同位体識別特性を有する試料が組み合わされ、通常、多次元的クロマトグラフィータンデム質量分析によって分析される。次いで、得られた衝突誘起解離(CID)スペクトルが、ペプチド配列に割り当てられ、同一配列の異なって同位体標識されたペプチドの相対シグナル強度に基づいて、各試料中の検出されたタンパク質各々の相対的存在量が算出される。
標的分子を同定および定量するためのさらなる技術、標識を含まない定量的プロテオミクス法。このような方法は、(i)タンパク質抽出、還元、アルキル化および消化を含めた試料調製、(ii)液体クロマトグラフィー(LCまたはLC/LC)およびMS/MSによる分析による試料分離、(iii)ペプチド/タンパク質同定、定量および統計分析を含めたデータ分析を含む。各試料は、別個に調製され、次いで、個別のLC−MS/MSまたはLC/LC−MS/MS実施に付され得る(参照によりその全文が組み込まれる、Zhu W.ら、J. of Biomedicine and Biotech.(2010年)Article ID840518、6頁)。1種の例示的技術として、ペプチドの質量に、ペプチド配列を独特に規定するペプチド特性としてのその対応するクロマトグラフ溶出時間が加味される、LC−MS、精密質量および時間(AMT)タグアプローチと呼ばれる方法が挙げられる。クロマトグラフおよび高質量精度情報を得るためにフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴を加えたLC(LC−FTICR)MSを使用して、AMTタグを、データベースに保存されたこれまでに獲得されたLC−MS/MS配列情報と対応させることによって、ペプチド配列が同定され得る。測定されたペプチドのピーク面積とその存在量の間で観察される線形相関を利用することによって、これらのペプチドは、MS実施間で比較されるその対応するピークのシグナル強度比によって相対的に定量され得る(参照によりその全文が組み込まれる、Tang, K.ら、(2004年)J. Am. Soc. Mass Spectrom. 15巻:1416〜1423頁、およびChelius, D.およびBondarenko, P. V.(2002年)J. Proteome Res. 1巻:317〜323頁)。スチューデントのt検定などの統計ツールを使用して、各試料の複数のLC−MS実施から得られるデータが分析され得る(参照によりその全文が組み込まれる、Wiener, M. C.ら、(2004年)Anal. Chem. 76巻:6085〜6096頁)。試料間の存在量の統計的に有意な差を有するペプチドを検出するために、獲得時間およびm/zの各点で、複数のLC−MS実施から得られたシグナル強度の振幅が、2種の試料間で比較され得る。
理解されるであろうが、ポリペプチド/ペプチド断片を同定および/または定量するための方法では、さまざまな質量分析システムが使用され得る。高質量精度、高感度および高解像度を有する質量分析器として、イオントラップ、トリプル四重極および飛行時間型、四重極飛行時間型質量分析計およびフーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析器(FT−ICR−MS)が挙げられる。質量分析計は、通常、マトリックス支援レーザー脱離(MALDI)またはエレクトロスプレーイオン化(ESI)イオン源を備えているが、ペプチドイオン化のその他の方法も使用され得る。イオントラップMSでは、分析物は、ESIまたはMALDIによってイオン化され、次いで、イオントラップ中に入れられる。次いで、トラップされたイオンは、イオントラップからの選択的放出の際にMSによって別個に分析され得る。また、断片が、イオントラップ中で作製され、分析され得る。放出されたポリペプチド/ペプチド断片などの試料分子が、例えば、MALDI−TOFまたはESI−TOFシステムを備えたシングルステージ型質量分析によって分析され得る。質量分析の分析方法は、当業者には周知である(例えば、各々、参照によりその全文が組み込まれる、Yates, J.(1998年)Mass Spect. 33巻:1〜19頁、KinterおよびSherman、(2000年)Protein Sequencing and Identification Using Tandem Mass. Spectrometry、John Wiley & Sons、New York、ならびにAebersoldおよびGoodlett、(2001年)Chem. Rev. 101巻:269〜295頁参照のこと)。高解像度ポリペプチド断片分離のために、液体クロマトグラフィーESI−MS/MSまたは分離方法としてキャピラリー逆相クロマトグラフィーを利用する自動化LC−MS/MSが使用され得る(参照によりその全文が組み込まれる、Yatesら、Methods Mol. Biol. 112巻:553〜569頁(1999年))。質量分析法として、動的排除を用いるデータ依存性衝突誘起解離(CID)も使用され得る(参照によりその全文が組み込まれる、Goodlettら、Anal. Chem. 72巻:1112〜1118頁(2000年))。
ペプチドがMS/MSによって分析されると、得られたCIDスペクトルを、単離ペプチドの同一性の決定のためにデータベースに対して比較できる。単一ペプチドを使用するタンパク質同定のための方法は、これまでに記載されている(各々、参照によりその全文が組み込まれる、AebersoldおよびGoodlett、Chem. Rev. 101巻:269〜295頁(2001年)、Yates, J. Mass Spec. 33巻:1〜19頁(1998年)、David N.ら、Electrophoresis、20巻 3551〜67頁(1999年))。特に、ペプチドが親ポリペプチドの独特の識別特性を提供する場合には、1種または2、3種のペプチド断片を使用して、断片が由来した親ポリペプチドを同定できるということがあり得る。さらに、単独またはグリコシル化の部位についての知識と組み合わせた、単一ペプチドの同定を使用して、グリコペプチド断片が由来した親のグリコポリペプチドを同定できる。理解されるであろうが、MSを含む方法を使用して、タンパク質、その断片ならびにその他の種類の本明細書に記載された標的分子を特性決定できる。
いくつかの実施形態は、タンパク質および/またはGLFのタンパク質画分を濃縮することを含み得る。例示的方法は、タンパク質沈殿、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーならびに親和性捕獲、分画抽出法および遠心分離を含み得る。トップダウンプロテオミクスなどの無処理タンパク質法またはSDS−PAGEなどのゲルクロマトグラフィーを使用して、タンパク質および/またはタンパク質画分をさらに検査することができる。
いくつかの実施形態は、グリコシル化タンパク質および/もしくはグリカンを含む標的分子を同定すること、その有無を決定すること、ならびに/または標的分子を定量することを含む。グリコシル化タンパク質およびグリカンは、当技術分野で周知の種々の方法によって分析され得る。グリコシル化の変化は、疾患または疾患状況を示し得る。したがって、特定の標的分子は、特定のグリコシル化タンパク質および/またはグリカンを含み得る。理解されるであろうが、グリカンは、糖タンパク質、プロテオグリカンまたはその他のグリカン含有化合物の構成成分であり得る。
いくつかの実施形態は、代謝産物を含む標的分子を同定すること、その有無を決定すること、および/または標的分子を定量することを含む。代謝産物は、GLFまたは糞便試料中で、さまざまな方法を使用して分析され得る。例えば、GLFまたは糞便試料は、クロマトグラフィーなどの方法を使用して代謝産物について分析され得る。メタボロームのいくつかの構成成分は、胆汁酸およびその他の小さい有機化合物を含む。代謝産物は、GLFまたは糞便試料中に存在するペプチドを含み得る。
バイオマーカーを同定するための方法
いくつかの実施形態では、GLFまたは糞便試料中で検出される標的分子を、評価して、それらが、疾患または生理学的状況などの特定の状態と関連しているバイオマーカーであるかどうかを決定できる。このようなバイオマーカーは、特定の疾患、疾患素因、予後、特定の治療計画に対する正の応答または特定の治療計画に対する負の応答を示し得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの有無またはそのレベルが、疾患または生理学的状況などの特定の状態と関連している場合がある。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの有無またはそのレベルを、疾患または生理学的状況などの特定の状態と統計的に相互に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、生理学的状況は、疾患を含み得る。いくつかの実施形態では、疾患または生理学的状況などの状態を有する被験体におけるバイオマーカーの発現のレベルを、状態または生理学的状況を有さない被験体におけるバイオマーカーの発現のレベルと比較することによって、バイオマーカーを疾患または生理学的状況などの特定の状態と相互に関連付けることができる。
いくつかの実施形態では、状態を有さない被験体におけるバイオマーカーの発現と比較した、状態を有する被験体におけるバイオマーカーの差次的発現は、状態または生理学的状況を示す。本明細書において、「差次的発現」とは、疾患または生理学的状況などの状態を有する被験体と疾患または生理学的状況などの状態を有さない被験体におけるバイオマーカーの発現レベルの差を指す。例えば、用語「差次的発現」は、状態または生理学的状況を有さない被験体と比較した、疾患または生理学的状況などの状態を有する被験体におけるバイオマーカーの有無を指し得る。いくつかの実施形態では、差次的発現は、疾患または生理学的状況などの状態を有さない被験体におけるバイオマーカーの発現のレベルと比較した、疾患または生理学的状況などの状態を有する被験体におけるバイオマーカーの発現レベルの差を指し得る。
バイオマーカーのレベルの差は、本明細書において提供された方法を使用して、バイオマーカーの発現の量またはレベルを測定することによって決定できる。いくつかの実施形態では、差次的発現は、状態または生理学的状況を有するか、または有さない参照被験体/集団間の、1種または複数のバイオマーカー生成物のレベルの比として決定でき、ここで、比は、統計的に有意である。集団間の差次的発現は、p値の関数として統計的に有意であると決定できる。統計的有意性を決定するためにp値を使用する場合には、バイオマーカー、p値は、0.2未満であることが好ましい。別の実施形態では、p値が、0.15、0.1、0.05、0.01、0.005、0.0001など未満である場合に、バイオマーカーは差次的に発現されると同定される。比に基づいて差次的発現を決定する場合には、バイオマーカー生成物は、第2の試料と比較した、第1の試料における発現のレベルの比が、1.0より大きいか、1.0未満である場合に差次的に発現される。例えば、1.0より大きい比として、例えば、1.1、1.2、1.5、1.7、2、3、4、10、20などより大きい比が挙げられる。1.0未満の比として、例えば、0.9、0.8、0.6、0.4、0.2、0.1、0.05など未満の比が挙げられる。別の実施形態では、バイオマーカーは、第2の集団の発現の平均レベルと比較した、第1の集団の発現のレベルの平均の比が、1.0より大きいか、1.0未満である場合に差次的に発現され得る。例えば、1.0より大きい比として、1.1、1.2、1.5、1.7、2、3、4、10、20などより大きい比が挙げられ、1.0未満の比として、例えば、0.9、0.8、0.6、0.4、0.2、0.1、0.05など未満の比が挙げられる。別の実施形態では、バイオマーカーは、第2の集団の平均と比較した、第1の試料における発現のレベルの比が、1.0より大きいか、1.0未満である場合に、差次的に発現され、例えば、1.1、1.2、1.5、1.7、2、3、4、10、20より大きい比または1未満、例えば、0.9、0.8、0.6、0.4、0.2、0.1、0.05の比が挙げられる。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、状態または生理学的状況を有する少なくとも1種の試験被験体から得られた試験GLFまたは試験糞便試料および状態または生理学的状況を有さない少なくとも1種の対照被験体から得られた対照GLFまたは対照糞便試料中の少なくとも1種の標的分子のレベルを測定することと、試験GLFまたは試験糞便試料中の少なくとも1種の標的分子のレベルを、対照GLFまたは対照糞便試料中の少なくとも1種の標的分子のレベルと比較することとによって同定され得、ここで、少なくとも1種の標的のレベルにおける有意差が、バイオマーカーを同定する。いくつかの実施形態は、状態または生理学的状況を有する複数の試験被験体から得られた試験GLFまたは試験糞便試料および状態または生理学的状況を有さない複数の対照被験体から得られた対照GLFまたは対照糞便試料中の複数の標的分子を測定および比較することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100種の標的分子が測定および比較され得る。いくつかの実施形態では、GLFまたは糞便試料は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100種の試験被験体から得られる場合がある。いくつかの実施形態では、GLFまたは糞便試料は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100種の対照被験体から得られる場合がある。いくつかの実施形態では、対照GLFまたは対照糞便試料と比較した、試験GLFまたは試験糞便試料における標的分子のレベルにおける有意差は、統計的に有意であり得る。
キット
本明細書において提供された方法および組成物のいくつかの実施形態は、GLFまたは糞便試料中の標的分子を検出するため、GLFまたは糞便試料中の標的分子の有無を決定するため、GLFまたは糞便試料中の標的分子を定量するため、またはGLFまたは糞便試料中の標的分子を同定するためのキットに関する。いくつかのこのようなキットは、被験体に経口投与するための洗浄組成物を含み得る。いくつかの実施形態では、洗浄液は、ポリエチレングリコール、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、クエン酸マグネシウムおよびビサコジルなどの成分を含み得る。いくつかの実施形態では、洗浄液は、場合により、ビサコジルまたはアスコルビン酸も含めた電解質溶液とともにポリエチレングリコールを含み得る(例えば、GOLYTELY、HALFLYTELY、NULYTELY、MOVIPREP)。いくつかの実施形態では、洗浄液は、リン酸塩(例えば、FLEETのPHOSPHO−SODA)を含み得る。いくつかの実施形態では、洗浄液は、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムまたは硫酸カリウムなどの硫酸塩を含み得る(例えば、SUPREP)。いくつかの実施形態では、洗浄液は、クエン酸マグネシウムを含み得る。いくつかの実施形態では、洗浄液は、ピコスルファートナトリウムを含み得る。
いくつかの実施形態では、キットはまた、被験体からGLFおよび/または糞便試料を収集するための容器を含み得る。GLFを収集するための容器は、GLFまたは糞便試料などを捕獲するトイレ用挿入物を含み得る。いくつかの実施形態では、容器は、1種または複数の単離プロテアーゼ阻害剤などの標的分子を安定化および/または保存するための材料を含み得る。いくつかの実施形態では、容器は、標的分子を検出するため、標的分子の有無を決定するため、標的分子を定量するため、または標的分子を同定するための薬剤を含み得る。
疾患
本明細書において提供される方法および組成物のいくつかの実施形態は、特定の疾患の診断、予後に関する。いくつかの実施形態は、GI管およびそれと関連している器官と関連している疾患および障害を含む。例示的疾患として、GI管およびそれと関連している器官の癌、例えば、胃癌、肝臓癌、膵臓癌が挙げられる。疾患のさらなる例として、膵炎、膵臓腺癌、胃腸神経内分泌腫瘍、胃腺癌、結腸腺癌、肝細胞癌腫、胆管癌、胆嚢腺癌(adenoccarcinoma)、潰瘍性大腸炎およびクローン病が挙げられる。いくつかの疾患は、炎症性腸疾患(IBD)に関する。本明細書において、用語「炎症性腸疾患」とは、胃腸管の少なくとも一部の炎症を特徴とする広範なクラスの疾患を指し得る。IBD症状は、腸管の炎症を含み、腹部の筋痙攣および持続性の下痢をもたらし得る。炎症性腸疾患として、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、不確定大腸炎、慢性大腸炎、不連続または斑状疾患、回腸炎症、結腸外炎症、破裂した陰窩に応じた肉芽腫性炎症、アフタ性潰瘍、貫壁性炎症、顕微鏡的大腸炎、憩室炎および空置性大腸炎が挙げられる。疾患のさらなる例として、セリアックスプルー、吸収不良障害ならびに消化管、肝臓、膵臓および胆樹のその他の状態が挙げられる。
本明細書において提供された方法および組成物のいくつかの実施形態は、治療(個別化医薬と呼ばれることが多い)の選択、治療に対する被験体の正の応答、治療に対する負の応答または治療に対する応答がないことを決定することに関する。いくつかのこのような実施形態は、治療計画に対する患者の部分的応答を決定することを含む。例えば、最初の時点で、被験体から得られたGLFまたは糞便試料において、バイオマーカーの存在、バイオマーカーの不在またはバイオマーカーのレベルが決定され得る。治療が始まったおよび/または治療が完了した後の第2の時点で、被験体から得られたGLFまたは糞便試料においてバイオマーカーの存在、バイオマーカーの不在またはバイオマーカーのレベルが決定され得る。第1の時点から得られたGLFまたは糞便試料におけるバイオマーカーの存在、バイオマーカーの不在またはバイオマーカーのレベルと比較した、第2の時点でのGLFまたは糞便試料におけるバイオマーカーの存在、バイオマーカーの不在またはバイオマーカーのレベルの差が、治療に対する被験体の正の応答、治療に対する負の応答、治療に対する部分的応答または治療に対する応答がないことを示し得る。あるいは、被験体は、治療計画を与えられ、正の応答、負の応答、部分的応答を有するか、または応答を有さないと分類され得る。各被験体群の標的分子の存在、不在またはレベルが決定され得、応答の各カテゴリーと統計的に有意な関連を有する標的分子が同定され得る。いくつかの実施形態はまた、以前のまたは現在の治療計画に対する被験体の正の応答、負の応答、部分的応答または応答がないことの決定を考慮して、被験体に提供される将来の治療計画を決定することも含む。したがって、以前のまたは現在の治療計画は、本明細書において提供された方法によって行われた決定に基づいて改変され得る。
さらなる実施形態は、複数のバイオマーカーを評価することによって、被験体の生理学的状況を決定するための方法を含む。いくつかのこのような方法は、複数のバイオマーカーの存在、不在および/またはレベルを決定することを含む。複数のバイオマーカーの存在、不在および/またはレベルは、被験体の疾患を発症する尤度および/または特定の疾患を治療するための治療計画に対する被験体の起こり得る応答などの被験体の生理学的状況の尤度と相互に関連付けられ得る。いくつかのこのような方法では、複数のバイオマーカーの存在、不在および/またはレベルを相互に関連付けて、被験体が疾患を有するか、疾患を発症する尤度を決定することによって、被験体の「臨床的リスクスコア」が決定され得る(例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Soonmyung P.ら、(2004年)New Eng. J. of Medicine 351巻:2817〜2826頁、およびCho C.S.ら、(2008年)J. Am. Coll. Surg. 206巻:281〜291頁参照のこと)。
本発明は、明確さおよび理解を目的として、幾分か詳細に記載されたが、当業者ならば、形態および詳細の種々の変更は、本発明の真の範囲から逸脱することなく行われ得ると理解するであろう。
(実施例1)
硫酸塩ベースのGLFのプロテオミクス解析
この解析では、硫酸塩ベースのGLFの、プロテオミクス解析を支援する能力を評価した。硫酸塩ベースの洗浄組成物を使用して得ているGLFにおいて標的分子を同定するために、SUPREPを3人のヒト被験体に投与し、得られたGLF中のタンパク質を、質量分析によって解析した。この実施例では、GLFは、大腸内視鏡検査手順の一部として被験体から収集した。
収集の際に、完全プロテアーゼ阻害剤錠(ROCHE)を添加し、試料を1000rpm、4℃で30分間回転させた。上清を、14,000×gで30分間再度回転させて、細菌および細片をペレットにした。1.8mlの上清を、6容量のアセトンを用いて沈殿させ、続いて、等容量のクロロホルムを用いて抽出し、続いて、C−2逆相SPEカラム(Sep−Pak、Waters)で分離した。0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、0.1%TFA中、10%、20%および30%アセトニトリル(ACN)の各々、3カラム容量を用いてカラムを洗浄し、0.1%TFA中の、60%ACNの3カラム容量を用いて溶出した。試料を遠心分離凍結乾燥によって乾燥させ、100μlの50mM重炭酸アンモニウム/10mMトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンに再懸濁し、10mMの配列決定等級トリプシン(Promega、Madison、WI)2μlを用いて消化した。
データは、LCシステムからの入力を使用してLTQ−Orbitrap質量分析計で獲得した。A溶媒は、3%のBおよび水中、0.2%のギ酸を含有していた。B溶媒は、3%のAおよびアセトニトリル中、0.2%のギ酸を含有していた。溶媒は、Fisher製のHPLC等級とした。120分の実施のために、出発溶媒は、5%Bとし、7分間そのままである。勾配は、13分までに10%に、83分までに40%に、103分までに90%に変更し、次いで、111分で90%から5%に低下させた。次いで、それを次の注入のために再平衡化させた。再現性決定のために各試料について3回の注入を実施した。
MSは、毎秒400m/z〜2000m/zの質量範囲にわたってスキャンし(Orbitrap)、LTQ(Trap)は、最大5MSMS(ペプチド配列)スペクトルを並行して獲得した。データは、標準Thermo Xcaliburソフトウェアを使用して獲得した。MSデータ(Orbitrap)は、2〜3ppmまで安定であり、バックグラウンドイオンは、質量ドリフト評価のために使用された。MSMSデータ(LTQ)は、およそ0.6Daまで測定したが、親の質量は、低ppmOrbitrapデータから獲得した。ペプチドは、C18 LCカラムから、データの信頼性および再現性を確実にするために3連の注入を使用して溶出した。検索ファイルは、各洗浄調製物(患者試料)からの3連の注入から作成し、XcaliburおよびMascot ソフトウェアパッケージの組合せを使用してMGF(Mascot Generic Format)ファイルに変換した。
データベース検索は、ヒト(homo sapiens)として特定された生物分類学、親イオンについて(MS)10ppmおよび断片イオンについて(MS/MS)0.6Daの質量精度を用い、RefSeqデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/RefSeq/)に対してMascot検索エンジン(Matrix Science、UK)を使用して行い、「酵素ではない」が選択された。試料における、検査されているペプチドを修飾または末端切断し得る消化酵素の存在のために、酵素特異性を用いない検索を実施した。RefSeqデータベースは、SwissProtタンパク質データベース中に含まれる抗体配列の付加によって補完したが、その理由は、これらの抗体配列が、標準RefSeqリストの一部ではないからである。
高いMascotスコアほど、良好なタンパク質ヒットを示し、相対タンパク質レベルと相互に関連付けられ得る。「>40」というスコア閾値は、酵素特異性を用いないこのデータベースの検索に基づいてMascotスコアリングシステムによって決定されるような<0.05というp値有意性を示し;40というスコアは、p<0.01と一致する。MS/MS複数回の間にサンプリングされたとしても、検出される各ペプチドの最高スコアのみが付加される標準Mascotスコアリングを使用した。含まれるすべてのデータについて、スコアは、タンパク質系統あたり少なくとも1種の試料において、すべて>40であった。さらなる信頼のために、有意なペプチドの数も報告し、少なくとも2種のペプチドという最低基準が選択された。極めて少ないものが3未満のペプチドを有していた。カウントされたすべての有意なペプチドが、そのそれぞれのタンパク質に由来する異なる配列(個々のペプチド)に相当していた。スコアおよび有意なペプチドの数は、形式x/yで報告される(式中、xは、スコアであり、yは、有意なペプチドの数である)。特定の試料においてタンパク質が検出されなかった場合には、「ND」として列挙されている。タンパク質は、タンパク質名として報告され、NCBIのタンパク質データベースによって定義される「gi」番号が提供された。本願を通じて列挙されたNCBIデータベースにおいて「gi」番号の各々の中に含有される配列は、参照により本明細書に組み込まれる。タンパク質が、プレタンパク質またはその他の非成熟形態で名付けられる場合には、シグナル配列の除去および翻訳後修飾の付加などの変更を含めてタンパク質の成熟形態も等しく暗示される。すべての場合において、タンパク質は、一貫性を提供するためにその遺伝子由来配列によって名付けられた。
表1は、上記の形式で示される、患者3、4および6として定義される3人の別個の患者から得られたGLFにおいて同定された最も豊富なタンパク質の例を列挙する。表1からわかるように、多数のタンパク質が、GLFから同定され得、これらのうち多数が、膵臓と関連している可能性がある。その他のタンパク質は、結腸癌およびその他の癌と関連している可能性があるDMBT1(gi番号148539840)を含む。抗体および推定グリコシル化タンパク質も同定された。
別の実験では、被験体にSUPREPを、製造業者のガイドラインに従って投与し、得られたGLFは、被験体によって、大腸内視鏡検査の直前にトイレの中に入れられた収集容器中に自己収集された。GLFのプロテオームは上記のようにMSによって解析された。存在する最も豊富な種のMascotスコアを示す結果が表2にまとめられている。結果は、幾分かの尿の混入を示した。大腸内視鏡検査の際に続いて収集された試料について、同様のプロテオミクスプロファイルが観察された。表2は、被験体によって収集されたGLFにおいて多数の異なるタンパク質が同定されたことを示す。同定されたタンパク質は、表1中のデータと一致して、DMBT1、膵臓タンパク質および抗体を含んでいた。
前述の解析は、硫酸塩ベースのGLFを使用して得られた試料では、多数の標的分子が検出され得るということを実証する。
(実施例2)
ポリエチレングリコールベースのGLFのプロテオミクス解析
この解析では、ポリエチレングリコールベースのGLFの、プロテオミクス解析を支援する能力を評価した。ポリエチレンベースの洗浄組成物を使用して得ているGLFにおいて標的分子を同定するために、ポリエチレングリコールベースの洗浄組成物を2人のヒト被験体に投与し、得られたGLF中のタンパク質を、実施例1に記載されるように質量分析によって解析した。ポリエチレングリコールの除去は、洗浄液のクロロホルム抽出によって大部分が達成された。ポリエチレングリコールベースの洗浄組成物を投与されたこれらの被験体から得られたGLFにおいて、多数の異なるタンパク質が同定された。これまでの表において観察されたものと一致している、同定された最も豊富な同定されたタンパク質の例が、表3に示されている。
別の実験では、被験体にPEGベースの洗浄組成物を投与し、被験体が、得られたGLFを大腸内視鏡検査の直前にトイレの中に入れられた収集容器中に自己収集した。GLFのプロテオームは本明細書に記載されるようにMSによって解析された。自己収集されたGLF試料において多数の異なるタンパク質が同定された。最も豊富な同定されたタンパク質の例ならびに対応するMascotスコアおよび各タンパク質の有意なペプチドの数が、表4に列挙されている。より大規模なタンパク質リストが、尿の混入の証拠を示した。大腸内視鏡検査の際に続いて収集された試料について、同様のプロテオミクスプロファイルが観察された。
硫酸塩ベースの洗浄組成物の投与から得られた、大腸内視鏡検査手順の一部としてその際に収集されたか、または被験体によって自己収集されたGLFのプロテオームを比較した。最も豊富なタンパク質のMascotスコアおよび有意なペプチドの数が、表5にまとめられている。観察された2種のプロテオームの間に密接な相関があったが、少なくとも2種のタンパク質について異なるアイソフォームが同定された。異なるアイソフォームの選択は、MS/MSの際の配列データの収集および検索エンジンの結果であり得る。大腸内視鏡検査の際に収集されたものよりも希薄であった自己収集された試料では、より少ないタンパク質が検出された。
前述の解析は、ポリエチレングリコールベースのGLFを使用して得られた試料では、多数の標的分子が検出され得るということを実証する。
(実施例3)
クエン酸マグネシウムベースのGLFのプロテオミクス解析
この解析では、クエン酸マグネシウムベースのGLFの、プロテオミクス解析を支援する能力を評価した。クエン酸マグネシウムベースの洗浄組成物を投与されたヒト被験体から得られたGLFにおいて標的分子を同定するために、クエン酸マグネシウムベースの洗浄組成物を被験体に投与し、GLFを、大腸内視鏡検査手順の一部として被験体から収集した。GLFのプロテオームを、実施例1に記載されるように質量分析によって解析した。GLFにおいて多数の異なるタンパク質が同定された。最も豊富な同定されたタンパク質の例が、表6に列挙されている。同定されたタンパク質の多くは、異なる大腸内視鏡検査調製物を用いて検出され、このことは、プロテオームが、使用された腸調製物に依存していないことを示唆する。
前述の解析は、クエン酸マグネシウムベースのGLFを使用して得られた試料では、多数の標的分子が検出され得るということを実証する。
(実施例4)
GLFをSSL−7濃縮と組み合わせて使用して得られた試料における、IgA−1およびIgA−2抗体の検出
この解析では、GLFをSSL−7濃縮と組み合わせて使用して得られた試料の、IgA−1およびIgA−2抗体を検出する能力を評価した。Staphylococcus aureus超抗原様タンパク質7(SSL−7)に対する親和性を用いて、GLFにおいて標的分子を同定するために、ヒト被験体に硫酸塩ベースの洗浄組成物(SUPREP)を投与し、SSL−7親和性ビーズを使用して各GLFにおいてタンパク質を濃縮した。GLFは、大腸内視鏡検査手順の一部として被験体から収集した。
SSL−7親和性ビーズを使用して、IgA−1およびIgA−2を特異的に単離した。1mlの試料に、20μlのSSL−7アガロース(Invitrogen、San Diego、CA)を添加し、4℃、ローラー上で一晩インキュベートした。試験管を、1,000×gで2分間回転させて、ビーズをペレットにし、上清を廃棄した。ビーズを、1×リン酸緩衝生理食塩水を用いて4回洗浄し、シェーカー中の100mMグリシン、pH2.7の20μlを用いて、37℃、600rpmで1時間溶出した。溶出された抗体を、100mM重炭酸アンモニウム/10mMトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンの60μlを用いて希釈し、2μlの配列決定等級トリプシン(Promega、Madison、WI)を用いて消化した。質量分析およびデータベース検索を、上記のように実施した。SSL−7に対する親和性を有するGLF中に存在する最も豊富な同定されたタンパク質およびその対応するMascotスコアが表7にまとめられている。先の実施例において観察されたように、抗体は、GLF中に存在しており、これらの濃縮および解析は、アフィニティー試薬を使用して可能であり、したがって、GLFにおけるこのサブプロテオームの特異的解析を可能にする。最も豊富な抗体は、IgAであった。IgAは、腸管中に存在すると一貫して報告されている。
前述の解析は、GLFをSSL−7濃縮と組み合わせて使用して得られた試料において、IgA抗体が検出され得るということを実証する。
(実施例5)
GLFをプロテインL濃縮と組み合わせて使用して得られた試料における、IgAおよびIgMの検出
この解析では、GLFをプロテインL濃縮と組み合わせて使用して得られた試料の、IgAおよびIgM抗体を検出する能力を評価した。プロテインLに対する親和性を用いてGLFにおいて標的分子を同定するために、ヒト被験体に硫酸塩ベースの洗浄組成物(SUPREP)を投与し、プロテインL親和性ビーズを使用して各GLFにおいてタンパク質を濃縮した。GLFは、大腸内視鏡検査手順の一部として被験体から収集した。
プロテインL親和性ビーズは、κ軽鎖を含有する抗体を単離するために使用した。1mlの試料に20μlのプロテインLアガロース(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)を添加し、4℃、ローラー上で一晩インキュベートした。試験管を、1,000×gで2分間回転させて、ビーズをペレットにし、上清を廃棄した。ビーズを、1×リン酸緩衝生理食塩水を用いて4回洗浄し、シェーカー中の100mMグリシン、pH2.7の20μlを用いて、37℃、600rpmで1時間溶出した。溶出された抗体を、100mM重炭酸アンモニウム/10mMトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンの60μlを用いて希釈し、2μlの配列決定等級トリプシン(Promega、Madison、WI)を用いて消化した。プロテインLに対する親和性を有するGLF中に存在する最も豊富な同定されたタンパク質ならびにその対応するMascotスコアおよび有意なペプチドの数が表8にまとめられている。予測されたように、抗体に由来するIgAおよび関連する鎖を再度検出した。プロテインLは、IgA抗体に対して完全に特異的ではないので、IgM抗体(gi番号193806374)も検出された。
前述の解析は、GLFをプロテインL濃縮と組み合わせて使用して得られた試料において、IgAおよびIgM抗体が検出され得るということを実証する。
(実施例6)
GLFを使用して得られた試料における、細菌起源のタンパク質の検出
この解析では、GLFの細菌起源のタンパク質の検出を容易にする能力を評価した。GLFにおいて細菌と関連している標的分子を同定するために、2人のヒト被験体に硫酸塩ベースの洗浄組成物(SUPREP)を投与し、得られたGLFを、大腸内視鏡検査手順の一部として被験体から収集した。各GLFから100μlを用いて、Super Optimal Broth(SOB)培地に播種し、37℃、220rpm振盪で一晩インキュベートした。ペレットを、8M尿素中でビーズビーターにおいて溶解し、溶解物を、50mM重炭酸アンモニウム/10mMトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンで2M尿素に希釈し、配列決定等級のトリプシン(Promega、Madison、WI)を用いて消化した。データは、先に記載されるように、Orbitrap MSシステムで120分の実施を使用して獲得した。MGF検索ファイルを作成し、真正細菌として特定された生物分類学、親イオンについて(MS)10ppmおよび断片イオンについて(MS/MS)0.6Daの質量精度を用い、RefSeqデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/RefSeq/)に対してMascot検索エンジン(Matrix Science、UK)を使用して検索した。細菌と関連しているGLF中に存在する最も豊富な同定されたタンパク質ならびにその対応するMascotスコアおよび有意なペプチドの数が、表9にまとめられている。示された試料では、培養された細菌は、Escherichia coliであった。その他の試料は、洗浄液が依然として腸細菌の一部を保持していることを示す異なる細菌を示す。
前述の解析は、GLFを使用して得られた試料において細菌起源のタンパク質が検出され得るということを実証する。
(実施例7)
いくつかの被験体から得られた組み合わされた試料のプロテオミクス解析
GLFを使用して得られた試料において検出可能である多数の標的タンパク質の同定をさらに容易にするために、12人の被験体から個別に獲得したデータから作製した検索ファイルを、単一の検索ファイルに連結させ、Orbitrapデータについてこれまでに特定したパラメータを使用して検索した。種々のGLF試料において多数のタンパク質を分析し、p<0.05(Mascotスコアおよそ41)の閾値で検出された少なくとも3種の独特の有意なペプチドを(主に)有するタンパク質を選択した。3種のみの列挙されたタンパク質(giの5031863、6466801および115430223)が3種未満の有意なペプチドを有していたが、これらは、タンパク質同定のための95%信頼レベルを十分に上回るおよそ400のMascotスコアを有していた。この組み合わされた解析において同定されたタンパク質は、特定のタンパク質の報告された起源および報告された関連する癌とともに表10に列挙されている。表10はまた、独特の同定されたタンパク質各々について40以上のMascotスコアを有していた同定されたペプチドの配列番号を列挙する。多数の同定されたタンパク質が、膵液中に存在すると報告されている。表10中に列挙される参考文献は、本願において提供される。
前述の解析は、GLFを使用して得られた試料において多数のタンパク質が検出され得るということを実証する。
(実施例8)
糞便試料のプロテオミクス解析
この解析では、糞便試料の、プロテオミクス解析を支援する能力を評価した。糞便試料において標的分子を同定するために、ヒト被験体に洗浄組成物を投与しなかった。糞便試料は、正常な排便の際に、トイレの中に入れられた収集容器を使用して被験体から収集した。少量の糞便(便)試料を、0.1%TFA中でホモジナイズし、次いで、13000×gで遠心分離した。タンパク質を、実施例1に記載されるように、6容量のアセトンを用いて沈殿させ、0.1%TFAに再懸濁し、等容量のクロロホルムを用いて抽出し、次いで、SPEカラム中で処理した。最も豊富な同定されたタンパク質ならびにその対応するMascotスコアおよび有意なペプチドの数が、表11にまとめられている。試料において、大部分はおそらくは膵臓起源であるタンパク質が検出され、これは、GLFにおける発見後は、便が、これらのバイオマーカータンパク質の検出のための供給源であるということを示す。しかし、試料はまた、分析を、特に、バイオマーカーの発見についてはるかに制限されたものにする、いくつかのその他の非ヒト物質を含有していた。
前述の解析は、糞便試料において多数の標的分子が検出され得るということを実証する。
(実施例9)
GLFを使用して得られた試料におけるグリカンの検出
この解析では、グリカンの、GLFを使用する試料において得られた試料において検出される能力を評価した。GLFにおいてグリカンを含めた標的分子を同定および分析するために、GLFをヒト被験体から収集した。12mLの氷冷アセトンに1.8mLのGLFを添加し、1時間インキュベートしてタンパク質をペレットにした。試料を12,000×gで15分間遠心分離し、アセトンを除去した。氷冷アセトンを用いて洗浄した後、ペレットを0.1%TFAに再懸濁し、5mLのシリンジスタイルのSepPak C2カラムに通した。60%アセトニトリル/40% 0.1%TFAを用いてタンパク質を溶出した。真空下で溶媒を除去した後、タンパク質画分を100μLの50mM重炭酸アンモニウムに再溶解し、2μLのPNGaseFを用い、37℃、シェーカー中で一晩脱グリコシル化した。1mLの0.1%TFAを用いてクエンチした後、グリカンを、真空マニフォールドを使用して、1mLのシリンジスタイルのSepPak C18カラムからフロースルー画分として収集した。乾燥グリカンを、4−ABEE(エチル4−アミノベンゾエート)を用い、乾燥グリカンに、25μLの誘導体化溶液(35mM ABEEおよび100mM 2−PBを含有する90:10 MeOH:HAc)を添加することおよび65℃で2時間インキュベートすることによって還元的アミノ化によって標識した。1mLのエチルエーテルを添加すること、ボルテックス処理することおよびエーテルを廃棄することによって過剰のABEEを除去した。第2のエーテル抽出後、試料を、SpeedVac中に短時間入れて、あらゆる残存するエーテルを除去した。次いで、標識されたグリカンをHPLCで実施し、Agilent C8逆相カラムから20〜25%の間のアセトニトリルで溶出した。この画分を真空乾燥させ、50μLの0.1%TFAに再溶解し、グリカン解析のためにWaters Q−TOF LC−ESI−MSで実施した。誘導体化したグリカンは、Q−TOF MSでのC18逆相カラムから0.2%ギ酸中、約20〜25%アセトニトリルで溶出された。質量分析計は、MSのみの様式で毎秒m/z150〜2000でスキャンして、誘導体化グリカンプロファイルデータを獲得した。図1は、これらの結果をまとめており、胃腸洗浄液の画分中に存在する種々の糖タンパク質に由来するグリカン構造の相対的存在量のグラフを表す。図1に示されるように、いくつかの糖タンパク質に由来するグリカン構造は、鎖の末端切断と関連している特定の修飾を含む。これらの修飾は、細菌が、タンパク質からグリカンを消化し、消費し得ると知られるように、GLF試料中に存在する細菌活性によるものであり得る。しかし、このような修飾はまた、疾患、特に、異常なグリコシル化が疾患と関係している癌と関連している可能性がある。
前述の解析は、GLFを使用して得られた試料において多数のグリカンが検出され得るということを実証する。
(実施例10)
GLFを使用して得られた試料における代謝産物の検出
この解析では、代謝産物の、GLFを使用して得られた試料において検出される能力を評価した。GLFにおいて代謝産物を含めた標的分子を同定および解析するために、ヒト被験体にクエン酸マグネシウムベースの洗浄組成物を投与し、コール酸およびその他の胆汁酸塩などの代謝産物について得られたGLFを解析した。得られたGLFは、大腸内視鏡検査手順の一部として被験体から収集した。
3mlのGLFを、最大速度で20分間遠心分離し、0.1%TFAを用いて上清を酸性化した。上清をC18 SPEカラム(Waters Sep−Pak)にアプライし、3容量の0.1%TFAを用いて洗浄し、0.1%TFA中の、50%ACNを用いて溶出した。溶出物を、遠心凍結乾燥によって乾燥させ、500μlの0.1%TFAに再溶解した。
データは、Waters Q−TOF質量分析計でLCシステムからの入力を使用して獲得した。A溶媒は、3%のBおよび水中、0.2%のギ酸を含有していた。B溶媒は、3%のAおよびアセトニトリル中、0.2%のギ酸を含有していた。溶媒は、Fisher製のHPLC等級とした。出発溶媒は、5%Bとし、5分間そのままとし、次いで、25分までに40%、30分までに90%に変更し、次いで、36で5%に再設定した。MSは、毎秒m/z100m/z〜2000の質量範囲にわたってスキャンした。データは、標準MassLynxソフトウェアを使用して獲得した。コール酸ピークをマークした溶出化合物が、図2にまとめられている。Orbitrap機器で、コール酸ピークが標準およびMS/MSデータを使用して同定された同様のピークのプロファイルが観察された。コール酸を含めた代謝産物が同定された。
前述の解析は、GLFを使用して得られた試料において代謝産物が検出され得るということを実証する。
用語「含んでいる(comprising)」とは、本明細書において、「含んでいる(including)」、「含有している(containing)」または「を特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的なものであるか、または制約がなく、さらなる、列挙されていない要素または方法工程を排除しない。
本明細書において使用される成分の分量、反応条件などを表すすべての数は、用語「約」によって、すべての例において修飾されていると理解されるものとする。したがって、反対に示されない限り、本明細書に示される数的パラメータは、得られるよう捜し求められる所望の特性に応じて変わり得る近似値である。最低限でも、本願に優先権を主張する任意の出願における任意の請求項の範囲の同等物の原則の適用を制限しようとするものではなく、各数的パラメータは、有効桁の数字および普通の丸めのアプローチを考慮して解釈されなければならない。
上記の説明は、本発明のいくつかの方法および材料を開示する。本発明は、方法および材料における修飾ならびに製造方法および装置における変更を受けやすい。このような修飾は、本明細書に開示された本発明のこの開示内容を考慮することまたはその実施から当業者には明らかとなろう。結果として、本発明が本明細書において開示された具体的な実施形態に制限されることは意図されず、本発明の真の範囲および趣旨内にあるすべての修飾および変更を網羅すると意図される。
参考文献
以下の参考文献の各々は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
それだけには限らないが、公開されたおよび公開されていない出願、特許および文献参照を含めた本明細書において引用されるすべての参考文献が、参照によりその全文が本明細書に組み込まれ、これによって本明細書の一部を成す。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含有される開示内容と相反する限り、本明細書が、あらゆるこのような相反する材料を上回って優先するおよび/または上位にあるものとする。

Claims (28)

  1. 胃腸洗浄液中の標的分子の存在を、被験体における膵臓癌または膵臓癌の素因の指標とする方法であって、
    該被験体に洗浄組成物を経口投与して、該被験体の胃腸系の浄化をもたらすことによって該被験体から得られた胃腸洗浄液中の該標的分子を検出すること
    を含み、該標的分子は、膵臓癌または膵臓癌の素因と関連し、かつ、ポリペプチド、抗体およびグリカンからなる群より選択される、方法。
  2. 前記胃腸洗浄液が、前記被験体の胃腸系を部分的に浄化することによって該被験体から得られる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記被験体の胃腸系が洗浄される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記標的分子がポリペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ポリペプチドがIgG、IgAまたはIgMである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記洗浄組成物が、ポリエチレングリコール、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、クエン酸マグネシウム、アスコルビン酸、ピコスルファートナトリウムおよびビサコジルからなる群より選択される成分を含み、および/または
    前記洗浄組成物が、GOLYTELY、HALFLYTELY、NULYTELY、SUPREP、FLEETのPHOSPHO−SODA、クエン酸マグネシウムおよびそれらの同等物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記洗浄組成物が浸透圧性の薬剤または緩下剤のうち少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記洗浄組成物が、アロエ、ビサコジル、カサンスラノール、カスカラ芳香族流体抽出物、カスカラサグラダ樹皮、カスカラ(Cascada)サグラダ抽出物、カスカラサグラダ流体抽出物、ヒマシ油、ダンスロン、デヒドロコール酸、フェノールフタレイン、センノシドA、センノシドB、ピコスルファートおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される緩下剤を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記胃腸洗浄液を、前記標的分子を安定化または保存するための材料に曝露することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記胃腸洗浄液のpHを、前記標的分子を安定化または保存するために調整することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記材料が、酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤または変性剤のうち少なくとも1種を含む、請求項9に記載の方法。
  12. 前記胃腸洗浄液が、前記被験体による非侵襲性自己収集によって得られる、請求項1に記載の方法。
  13. 前記胃腸洗浄液が、大腸内視鏡検査手順の一部として得られる、請求項1に記載の方法。
  14. 前記被験体が哺乳類である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記被験体がヒトである、請求項1に記載の方法。
  16. 前記胃腸洗浄液中の少なくとも5、10、20、30、50または100種の標的分子を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記標的分子が膵臓に由来する、請求項1に記載の方法。
  18. 胃腸洗浄液中の標的分子の存在を、被験体における膵臓癌または膵臓癌の素因の指標として検出するためのキットであって、
    該被験体に経口投与するのに適した、該被験体の胃腸系の浄化をもたらすための洗浄組成物と;
    該被験体から該胃腸洗浄液を含む試料を収集するための容器と;
    該胃腸洗浄液中の該標的分子を検出するための薬剤と
    を含み、該標的分子は、膵臓癌または膵臓癌の素因と関連し、かつ、ポリペプチド、抗体およびグリカンからなる群より選択される、キット。
  19. 前記標的分子がポリペプチドを含む、請求項18に記載のキット。
  20. 前記ポリペプチドがIgG、IgAまたはIgMである、請求項19に記載のキット。
  21. 前記標的分子を安定化または保存するための材料をさらに含む、請求項18に記載のキット。
  22. 前記標的分子を安定化または保存するために前記試料のpHを調整するための材料をさらに含む、請求項21に記載のキット。
  23. 前記材料が、酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤または変性剤のうち少なくとも1種を含む、請求項21に記載のキット。
  24. 前記洗浄組成物が、ポリエチレングリコール、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、クエン酸マグネシウム、アスコルビン酸、ピコスルファートナトリウムおよびビサコジルからなる群より選択される成分を含み、および/または
    前記洗浄組成物が、GOLYTELY、HALFLYTELY、NULYTELY、SUPREP、FLEETのPHOSPHO−SODA、クエン酸マグネシウムおよびそれらの同等物からなる群より選択される、請求項18に記載のキット。
  25. 前記洗浄組成物が浸透圧性の薬剤または緩下剤のうち少なくとも1種を含む、請求項18に記載のキット。
  26. 前記洗浄組成物が、アロエ、ビサコジル、カサンスラノール、カスカラ芳香族流体抽出物、カスカラサグラダ樹皮、カスカラ(Cascada)サグラダ抽出物、カスカラサグラダ流体抽出物、ヒマシ油、ダンスロン、デヒドロコール酸、フェノールフタレイン、センノシドA、センノシドB、ピコスルファートおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される緩下剤を含む、請求項25に記載のキット。
  27. 前記胃腸洗浄液中の少なくとも5、10、20、30、50または100種の標的分子を検出するための追加の薬剤を含む、請求項18に記載のキット。
  28. 前記標的分子が膵臓に由来する、請求項18に記載のキット。
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