JP2018189203A - 内燃機関 - Google Patents

内燃機関 Download PDF

Info

Publication number
JP2018189203A
JP2018189203A JP2017093913A JP2017093913A JP2018189203A JP 2018189203 A JP2018189203 A JP 2018189203A JP 2017093913 A JP2017093913 A JP 2017093913A JP 2017093913 A JP2017093913 A JP 2017093913A JP 2018189203 A JP2018189203 A JP 2018189203A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotating body
torque
internal combustion
combustion engine
inclination
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017093913A
Other languages
English (en)
Inventor
守正 長田
Morimasa Osada
守正 長田
章人 圖師
Akito Zushi
章人 圖師
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2017093913A priority Critical patent/JP2018189203A/ja
Publication of JP2018189203A publication Critical patent/JP2018189203A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pulleys (AREA)

Abstract

【課題】エンジン運転中のクランクシャフトの回転変動の、外側回転体への伝達抑制と、エンジン始動時の駆動トルクの印加によるクランクプーリの外側回転体の内側回転体に対する回転変位の抑制とを両立する。
【解決手段】クランクプーリ10のトルク伝達機構40は、内側回転体20の第1面25に形成された第1凹部43と、外側回転体30の第2面36に形成された第2凹部44と、第1凹部43及び第2凹部44内に転動可能に受容された転動体(42)と、第2面36が第1面25に近接する方向へ、外側回転体30を付勢する付勢部材(41)とを有する。第1凹部43及び第2凹部44の少なくとも一方は、底部(43A、44A)から両端にかけて上向きの傾斜を有する端部(43B・43C、44B・44C)を含み、傾斜が端部のそれぞれにおいて底部よりも大きく設定される。
【選択図】図5

Description

本開示は、内燃機関に関し、より詳しくは、クランクシャフトのトルクとスタータジェネレータのトルクとを伝達するトルク伝達機構を有する内燃機関に関する。
クランクシャフトの回転変動が大きいディーゼルエンジン等の高トルクエンジンでは、補機を駆動する補機ベルトの耐久信頼性の維持を目的として、ゴム製のアイソレーションダンパが装着されたクランクプーリ(例えば、特許文献1)や、ワンウェイクラッチがプーリに装着されたACジェネレータ(例えば、特許文献2)等が用いられている。
国際公開2005/005865号公報 特開2000−227151号公報
ところで、エンジン始動時のクランキングを行うスタータとエンジン駆動時の発電機とを兼ねたスタータジェネレータが内燃機関に設けられることがある。スタータジェネレータは、クランクシャフトに対して駆動側及び従動側の両方になるため、ワンウェイクラッチが装着されたプーリを採用することはできない。また、高トルクのディーゼルエンジン等では、エンジンの始動に必要な駆動トルクが大きい一方で、クランキング中の燃焼によるクランクシャフトの出力トルク(エンジントルク)も大きい。そのため、ゴム製のアイソレーションダンパを採用する場合には、ダンパの変形量(外側に設けられてベルト溝を備えた外側回転体の、内側に設けられてクランクシャフトに固定される内側回転体に対する回転変位角)が大きくなり過ぎる。
ここで、アイソレーションダンパの弾性率を大きくすることで変形量を抑制することが考えられる。しかしながらそのようにすると、アイソレーションダンパの共振周波数が高くなり、アイドリング回転数以上の通常運転時にクランクシャフトの回転変動が外側回転体に伝達されることを抑制する効果(制振効果)が十分に発揮されなくなる。
本発明は、このような背景に鑑み、運転中のクランクシャフトの回転変動の、外側回転体への伝達抑制と、エンジン始動時の駆動トルクの印加によるクランクプーリの外側回転体の、内側回転体に対する回転変位の抑制とを両立できる内燃機関を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために、本発明のある実施形態は、クランクプーリ(10)を備えたクランクシャフト(6)と、補機プーリ(11)を備えたスタータジェネレータ(7)と、前記クランクプーリ及び前記補機プーリに巻き掛けられた無端ベルト(15)とを備えた内燃機関(1)であって、前記クランクプーリは、前記クランクシャフトに結合され、クランク軸線(6X)方向を向く第1面(25)を有する内側回転体(20)と、前記内側回転体の外側に同心に相対回転可能に配置され、前記第1面に対向する第2面(36)及び前記無端ベルトを保持するベルト保持溝(33)を有する外側回転体(30)と、前記内側回転体と前記外側回転体との間でトルクを伝達するトルク伝達機構(40)とを有し、前記トルク伝達機構が、前記第1面に形成され、周方向に延在し、周方向に配置された複数の第1凹部(43)と、前記第2面における前記第1凹部に対向する位置に形成され、周方向に延在する複数の第2凹部(44)と、相対する前記第1凹部及び前記第2凹部内に転動可能に受容された転動体(42)と、前記第2面が前記第1面に近接する方向へ、前記外側回転体を付勢する付勢部材(41、141)とを有し、前記第1凹部及び前記第2凹部の少なくとも一方は、底部(43A、44A)から両端にかけて上向きの傾斜を有する端部(43B・43C、44B・44C)を含み、前記傾斜が前記端部のそれぞれにおいて前記底部よりも大きく設定されていることを特徴とする。
この構成によれば、トルク伝達機構は、外側回転体の内側回転体に対する回転変位を許容しつつ内側回転体と外側回転体との間でトルクを伝達するトーションばねとして機能する。そして、傾斜が底部において両端部よりも小さいことから、転動体が底部にある間は、トルク伝達機構は、ばね定数が小さく共振周波数の小さなばねとして機能し、エンジン運転中(アイドル回転速度よりも高い回転速度の時)のクランクシャフトの回転変動の、外側回転体への伝達を抑制する。一方、傾斜が両端部において底部よりも大きいことから、転動体が両端部にある間は、トルク伝達機構は、ばね定数が大きなばねとして機能し、エンジン始動時の駆動トルクの印加による外側回転体の内側回転体に対する回転変位を抑制する。
また、上記構成において、前記端部(43B・43C、44B・44C)のそれぞれにおける前記傾斜が非対称に設定され、前記傾斜は、前記転動体(42)を介して前記スタータジェネレータ(7)から前記クランクシャフト(6)にトルクを伝達する側の端部(43C、44C)において、前記転動体を介して前記クランクシャフトから前記スタータジェネレータにトルクを伝達する側の端部(43B、44B)よりも大きいとよい。
この構成によれば、クランクシャフトからスタータジェネレータにトルクが伝達されるエンジン運転中には、トルク伝達機構は、端部の傾斜に応じた比較的小さなばね定数をもってトルクを伝達することによってクランクシャフトの回転変動を抑制する。一方、スタータジェネレータからクランクシャフトにトルクが伝達されるエンジン始動時には、トルク伝達機構は、端部の傾斜に応じた比較的大きなばね定数をもってトルクを伝達することにより、スタータジェネレータの駆動トルクによる外側回転体の内側回転体に対する回転変位を抑制する。
また、上記構成において、前記傾斜が前記底部(43A、44A)において実質的にゼロであるとよい。
この構成によれば、転動体が底部を転動する間のトルク伝達機構の実質的なばね定数が小さくなる。これにより、不感帯を持つ非線形バネモデルとなり、エンジン運転中の共振をアイドル回転数以下に外すことが容易となる。
また、上記構成において、前記転動体(42)を介して前記スタータジェネレータ(7)から前記クランクシャフト(6)にトルクを伝達する側の端部(43C、44C)において、第1の傾斜角度(α)を有する第1領域(A1)及び前記第1の傾斜角度よりも大きい第2の傾斜角度(β)を有する第2領域(A2)が、前記底部(43A、44A)側からこの順に設けられているとよい。
この構成によれば、転動体が第1領域を転動する間のトルク伝達機構のばね定数は、転動体が第2領域を転動する間のトルク伝達機構のばね定数よりも小さくなる。即ち、スタータジェネレータからクランクシャフトにトルクを伝達する側において、トルク伝達機構のばね定数が底部側から段階的に大きくなる。従って、スタータジェネレータからクランクシャフトにトルクが伝達されるエンジン始動時の転動体の移動が円滑になり、転動体が傾斜面に乗り上げる際の異音も抑制される。
また、上記構成において、前記端部(43B・43C、44B・44C)のそれぞれにおいて、第1の傾斜角度(α)を有する第1領域(A1)及び前記第1の傾斜角度よりも大きい第2の傾斜角度(β)を有する第2領域(A2)が、前記底部(43A、44A)側からこの順に設けられているとよい。
この構成によれば、スタータジェネレータによるエンジン始動の初爆時や急減速回生時等にクランクシャフトからスタータジェネレータにトルクを伝達する側に急激に移行する場合においても、トルク伝達機構のばね定数が底部側から段階的に大きくなる。従って、クランクシャフトからスタータジェネレータに急激にトルクが伝達される時の転動体の移動が円滑になり、転動体が傾斜面に乗り上げる際の異音も抑制される。
また、上記構成において、前記付勢部材(41、141)が、予荷重をもって前記外側回転体(30)を付勢するとよい。
この構成によれば、転動体のがたつきが防止される。また、製造誤差に起因してトルク伝達機構のばね定数がばらつくことが抑制される。
このように本発明によれば、運転中のクランクシャフトの回転変動による振動の抑制と、エンジン始動時の駆動トルクの印加による外側回転体の内側回転体に対する回転変位角の抑制とを両立できる内燃機関を提供することができる。
第1実施形態に係る内燃機関の正面図 図1中のII−II断面図 図2中のIII−III線に沿って示す内側回転体の第1面の模式的正面図 図3中のIV−IV円弧断面線に沿うトルク伝達機構の断面展開図 図4に示されるトルク伝達機構の動作説明図 実施形態に係る外側回転体の相対回転角度と伝達トルクとの相関図 第2実施形態に係るトルク伝達機構における(A)内側回転体の断面展開図、(B)外側回転体の相対回転角度と伝達トルクとの相関図 第3実施形態に係るトルク伝達機構における(A)内側回転体の断面展開図、(B)外側回転体の相対回転角度と伝達トルクとの相関図 第4実施形態に係る内燃機関の図2に対応する要部断面図
以下、図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、内燃機関1の車両への搭載姿勢における鉛直方向を上下方向とし、クランク軸線6X方向のクランクプーリ10側を前方として方向を定める。
図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る内燃機関1の正面図である。図1に示されるように、内燃機関1は、車両に搭載される直列多気筒のディーゼルエンジンであり、シリンダブロック及びシリンダヘッドからなるエンジン本体2と、エンジン本体2の正面に締結されてタイミングチェーンを覆うチェーンカバー3と、エンジン本体2の下端に締結されたオイルパン4と、エンジン本体2の上端に締結されたシリンダヘッドカバー5とを備えている。
内燃機関1の下部には、シリンダ列方向に延在するクランクシャフト6が、チェーンカバー3から一端を突出させて回転自在に設けられている。内燃機関1の排気側(図1の右側)の側面には、上から順にスタータジェネレータ7、ウォータポンプ8及びエアコンディショナ用のコンプレッサ9がエンジン本体2に取り付けられている。クランクシャフト6のチェーンカバー3から突出する一端には、クランクプーリ10が設けられている。クランクプーリ10の回転平面上には、これらの補機(7〜9)を駆動するための補機プーリ(ジェネレータプーリ11、ポンププーリ12及びコンプレッサプーリ13)がそれぞれ平行な軸線回りに回転可能に配置されている。ポンププーリ12は、ジェネレータプーリ11及びコンプレッサプーリ13よりも内燃機関1の排気側の側面に近い位置に配置されており、その軸心は、クランクプーリ10、ジェネレータプーリ11及びコンプレッサプーリ13のそれぞれの軸心を結んでなる三角形の内側に位置している。
クランクプーリ10には、無端ベルト15が巻き掛けられている。無端ベルト15は、内面15i側に複数のV字状のリブが連設され、外面15oが平坦面とされたVリブドベルト(いわゆるVベルト)であり、内面15iがクランクプーリ10の外周面に接するようにクランクプーリ10に巻き掛けられる。クランクプーリ10は、内燃機関1の運転中、図1中に白抜き矢印で示されるように時計回りに回転する。クランクプーリ10に巻き掛けられた無端ベルト15は、クランクプーリ10の下側からベルトを進入させるいわゆる張り側と、クランクプーリ10の上側からベルトを退出させるいわゆる弛み側との2方向に延び、互いに繋がって環状をなしている。
無端ベルト15は、クランクプーリ10を起点としてベルト入側(張り側)へ順に、コンプレッサプーリ13、ジェネレータプーリ11、ポンププーリ12に巻き掛けられており、複数の補機(7〜9)を駆動するサーペンタインベルトをなしている。具体的には、無端ベルト15は、内面15iがコンプレッサプーリ13及びジェネレータプーリ11の外周面に接し、外面15oがポンププーリ12外周面に接するようにこれらに巻き掛けられている。
更に、無端ベルト15におけるジェネレータプーリ11とポンププーリ12との間には、テンションプーリ16が設けられている。無端ベルト15は、内面15iがテンションプーリ16の外周面に接するようにテンションプーリ16に巻き掛けられている。テンションプーリ16は、取付ブラケットによってその中央部が揺動自在に保持されたベルクランク17の一端に回転自在に支持される。ベルクランク17の他端には、油圧式のダンパ機構を備え、一端が取付ブラケットに取り付けられたオートテンショナ18の他端が連結されている。オートテンショナ18がベルクランク17の他端を押す方向に付勢することにより、テンションプーリ16が無端ベルト15を外側に膨らませる向きに付勢し、無端ベルト15に張力を付与する。テンションプーリ16の軸心は、クランクプーリ10及びジェネレータプーリ11のそれぞれの軸心を結ぶ直線に対し、ポンププーリ12の軸心と相反する側(即ち、上記三角形の外側)に位置している。
スタータジェネレータ7は、所定の許可条件を満たした内燃機関1の始動時に、スタータモータとして制御され、ジェネレータプーリ11を時計回りに回転駆動することで無端ベルト15を介して駆動トルクをクランクプーリ10に伝達し、クランクシャフト6を時計回りに回転させる。内燃機関1の始動後には、スタータジェネレータ7は、オルタネータとして制御されるか、或いは内燃機関1の駆動力を補助する、或いは内燃機関1に代わってクランクシャフト6を回転駆動する走行用モータとして制御される。
オルタネータとして制御される場合、スタータジェネレータ7は、無端ベルト15を介してクランクシャフト6の出力トルク(エンジントルク)によってジェネレータプーリ11が回転駆動されることで発電する。この時、クランクプーリ10は無端ベルト15を駆動する駆動プーリになる。一方、内燃機関1の走行用モータとして制御される場合、スタータジェネレータ7は、ジェネレータプーリ11を時計回りに回転駆動することで、無端ベルト15を介して駆動トルクをクランクプーリ10に伝達し、クランクシャフト6を時計回りに回転させる。この時、クランクプーリ10は無端ベルト15によって駆動される従動プーリになる。
図2は、図1中のII−II線に沿って示すクランクプーリ10の断面図である。図2に示されるように、クランクプーリ10は、クランクシャフト6に結合される円環状の内側回転体20と、内側回転体20の外側に配置された円環状の外側回転体30と、内側回転体20と外側回転体30との間に組み込まれたトルク伝達機構40とを備えている。以下、順に説明する。
内側回転体20は、クランクシャフト6に結合される円環状の内側回転体本体21を備えている。内側回転体本体21は、クランクシャフト6の一端が挿入される円筒状のハブ21Aと、ハブ21Aの前端からクランク軸線6Xに直交する径方向外側に延出する円盤部21Bと、円盤部21Bの外周縁から前方に延出する外側円筒部21Cと、円盤部21Bの径方向の中間部から前方に延出する内側円筒部21Dとを備えている。ハブ21A、外側円筒部21C及び内側円筒部21Dは、クランクシャフト6の軸線(以下、クランク軸線6Xという)を中心として互いに同心に配置され、クランク軸線6X方向に延在している。
外側円筒部21Cの外側には、環状弾性体22を介して環状質量体23が外側円筒部21Cと同心に配置されている。環状質量体23は、外側円筒部21Cとの間に圧入された環状弾性体22を介して内側回転体20に相対回転可能に取り付けられており、クランクシャフト6のトーショナルダイナミックダンパとして機能する。これにより、クランクシャフト6の捩り振動が低減される。外側円筒部21Cの前縁には、前方に突出する複数の爪24が周方向に所定の間隔をもって一体形成されている。
外側円筒部21Cと内側円筒部21Dとの間には、クランク軸線6X方向のうち前方に向く円環状の第1面25を有する第1部材26と、第1部材26を内側回転体本体21に取り付けるための取付部材27とが設けられている。取付部材27は、円筒部27Aと円筒部27Aの後端から径方向外側に延びるリング形状部27Bとを有している。第1部材26は、取付部材27に一体に形成されており、円筒部27Aとの間に隙間を形成してリング形状部27Bから前方に突出している。第1部材26は、内側円筒部21Dが取付部材27の円筒部27Aに圧入されることによって内側回転体本体21に固定される。第1面25はクランク軸線6X方向に直交している。
環状質量体23の外側には、無端ベルト15が巻き掛けられる円環状の外側回転体本体31が内側回転体20と同心に配置されている。外側回転体本体31は、環状質量体23の外側に配置された外筒部31Aと、外筒部31Aの前端から径方向内側に延出するドーナツ形状の孔付き円板部31Bと、孔付き円板部31Bの内縁から後方に向けて延出する内筒部31Cとを有している。外筒部31Aと環状質量体23との間には円筒状のラジアルベアリング32が設けられている。これにより、外側回転体本体31は、環状質量体23に対して相対回転可能になっている。
外筒部31Aは、無端ベルト15のリブと相補的なV字形状を有する複数のベルト保持溝33(ベルト溝)が形成された外周面を有しており、巻き掛けられた無端ベルト15(図1)を保持する。無端ベルト15は、テンションプーリ16によって張力を加えられることによってリブをベルト保持溝33に食い込ませる。これにより、無端ベルト15の外筒部31Aに対する摩擦力が増大する。孔付き円板部31Bは、環状質量体23及び環状弾性体22の前方に配置されており、外側円筒部21Cの内径よりも小さく且つ内側円筒部21Dの外径よりも大きな内径を有している。
孔付き円板部31Bの外側円筒部21Cに整合する径方向の中間部には、周方向に延在し且つ周方向に互いに離間して配置され、対応する爪24を受容する複数のスリット34が形成されている。これらの爪24及びスリット34は、外側回転体本体31の内側回転体本体21に対する回転変位を、スリット34の周方向長さに応じた角度で規制するストッパをなす。孔付き円板部31Bの前面には、スリット34を覆うカバー部材35が取り付けられている。カバー部材35は、スリット34に沿って設けられ、前方に膨出して爪24を前方から覆っている。
孔付き円板部31Bの内周部の前面には、円環状のスラスト軸受38が介装されている。スラスト軸受38の前方には、孔付き円板部31Bの前方への移動を規制して外側回転体30を保持するリテーナ28が設けられている。リテーナ28は、円筒状のベース部28Aと、ベース部28Aの前縁から径方向外側に延出する円環状の押さえ部28Bと有しており、取付部材27の円筒部27Aがベース部28Aに圧入されることにより、押さえ部28Bをスラスト軸受38に当接させた状態で内側回転体20に固定される。これにより、外側回転体30の軸線方向変位が規制され、外側回転体30の内側回転体20からの脱落が防止される。これらの内側回転体本体21、環状弾性体22、環状質量体23、第1部材26、取付部材27及びリテーナ28により、内側回転体20が構成される。
内筒部31Cの外周面には、内筒部31Cと同心円上に配置され、クランク軸線6X方向のうち後方に向く環状の第2面36を有する円環状の第2部材37がスプライン係合している。即ち、内筒部31Cの外周面には雄スプライン31Dが形成される一方、第2部材37の内周面には雄スプライン31Dに係合する雌スプライン(図示省略)が形成されている。第2部材37は、第1部材26の前方にて第2面36を第1面25に隙間を空けて対向させている。第2面36は第1面25に平行に延在し、クランク軸線6X方向に直交している。内筒部31Cと第2部材37とは、両スプラインを介してクランク軸線6X方向の相対変位を許容しながら動力伝達を行う。これらの外側回転体本体31及び第2部材37により、外側回転体30が構成される。
第2部材37と孔付き円板部31Bとの間には、外側回転体30の一部である第2部材37を、第2面36が第1面25に近接する向きに(即ち、後方に向けて)付勢する付勢部材である皿ばね41が配置されている。
トルク伝達機構40は、外側円筒部21Cと内側円筒部21Dとの間に設けられ、内側回転体20と外側回転体30との間でトルクを伝達させるものである。トルク伝達機構40は、内側回転体20の第1面25と外側回転体30の第2面36との間に転動可能に配置された複数の鋼球42を含んでいる。トルク伝達機構40は、機能的には内側回転体20と外側回転体30との間に設けられるが、外側回転体30の内部(第2部材37と孔付き円板部31Bとの間)に配置される皿ばね41もトルク伝達機構40を構成する要素である。
図3は、図2中のIII−III線に沿って示す内側回転体20の第1面25の模式的正面図であり、図4は、図3中のIV−IV円弧断面線に沿うトルク伝達機構40の断面展開図である。図3及び図4に示されるように、内側回転体20の第1面25には、周方向に延在し且つ周方向に配置された複数の第1凹部43が形成されている。外側回転体30の一部をなす第2部材37の第2面36には、周方向に延在し且つ周方向に配置された複数の第2凹部44が形成されている。第2凹部44は第1凹部43に対向する位置に形成されている。鋼球42は、対応する第1凹部43及び第2凹部44に1つずつ配置される。鋼球42は、第1凹部43及び第2凹部44の合計深さよりも大きな直径を有しており、第1凹部43及び第2凹部44に一部を受容されている。従って、第1面25と第2面36との間には空隙tが形成され、鋼球42は第1凹部43内及び第2凹部44内を周方向に転動する転動体をなす。
第1凹部43及び第2凹部44は、図示例では3つずつ形成されているが、複数であればよく、3つずつに限定されない。但し、第1凹部43及び第2凹部44が2つずつしか形成されないと、第2部材37が2つの鋼球42によって支持される構成となって不安定になる。そのため、第1凹部43及び第2凹部44はそれぞれ3つ以上形成されることが好ましい。
図4に示されるように、第1凹部43は、周方向の中央において第1面25に平行に周方向に延在する第1底部43Aと、第1底部43Aの周方向の両端から第1凹部43の両端にかけて上向きの傾斜をなす2つの端部(43B、43C)とを含んでいる。内側回転体20及び外側回転体30は、内燃機関1の運転中、白抜き矢印で示されるように図中右側に回転する。図中左側の端部は、後述するように内側回転体20から外側回転体30にトルクを伝達する時、即ちクランクプーリ10が駆動プーリである時に機能するため、以下、第1駆動側端部43Bと呼ぶ。一方、図中右側の端部は、後述するように外側回転体30から内側回転体20にトルクを伝達する時、即ちクランクプーリ10が従動プーリである時に機能するため、以下、第1従動側端部43Cと呼ぶ。
第1底部43Aは周方向に所定の長さを有しており、その第1面25からの深さは周方向に一定とされている。即ち、第1底部43Aの傾斜角は実質的にゼロである。第1従動側端部43Cの傾斜は、第1駆動側端部43Bの傾斜よりも大きくされている。即ち、周方向に沿った円弧断面の展開図において、第1従動側端部43Cと第1駆動側端部43Bとは、第1底部43Aに対して非対称の形状となっている。他の実施形態では、第1底部43Aが、第1駆動側端部43Bや第1従動側端部43Cよりも小さな傾斜を全長に亘って或いは両端部に有していてもよい。
第2凹部44は、周方向の中央において第2面36に平行に周方向に延在する第2底部44Aと、第2底部44Aの周方向の両端から第2凹部44の両端にかけて上向きの傾斜をなす2つの端部(44B、44C)とを含んでいる。図中右側の端部は、後述するように内側回転体20から外側回転体30にトルクを伝達する時、即ちクランクプーリ10が駆動プーリである時に機能するため、第2駆動側端部44Bと呼ぶ。一方、図中左側の端部は、後述するように外側回転体30から内側回転体20にトルクを伝達する時、即ちクランクプーリ10が従動プーリである時に機能するため、第2従動側端部44Cと呼ぶ。
第2底部44Aは周方向に所定の長さを有しており、その第2面36からの深さは周方向に一定とされている。即ち、第2底部44Aの傾斜角は実質的にゼロであり、第2底部44Aは第1底部43Aと平行に延在している。第2従動側端部44Cの傾斜は、第2駆動側端部44Bの傾斜よりも大きくされている。即ち、周方向に沿った円弧断面の展開図において、第2従動側端部44Cと第2駆動側端部44Bとは第2底部44Aに対して非対称の形状とされている。他の実施形態では、第2底部44Aが、第2駆動側端部44Bや第2従動側端部44Cよりも小さな傾斜を全長に亘って或いは両端部に有していてもよい。
第1駆動側端部43Bの傾斜と第2駆動側端部44Bの傾斜とは互いに同一(平行)とされており、第1従動側端部43Cの傾斜と第2従動側端部44Cの傾斜とは互いに同一(平行)とされている。また、第1底部43Aと第2底部44Aとは、深さが互いに同一且つ周方向長さが互いに同一とされている。即ち、第1凹部43と第2凹部44とは、周方向に沿った円弧断面の展開図において、鋼球42の中心を回転中心として互いに回転対称の形状とされている。
上記のように外側回転体30の一部である第2部材37は皿ばね41によって第2面36が第1面25に近づく向きに付勢されているため、クランクシャフト6及びスタータジェネレータ7が作動していない状態では、図示されるように鋼球42は第1底部43A及び第2底部44Aに接している。以下、この状態にある時の外側回転体30の内側回転体20に対する相対位置を中立位置という。なお、中立位置は、第1底部43A及び第2底部44Aが周方向長さを有しているため、この周方向長さに対応する領域を意味する。図4に示される、外側回転体30が中立位置にある状態においても、皿ばね41は、予荷重(セット荷重)をもって第2部材37を付勢している。
上記のように、第1凹部43及び第2凹部44は、底部が鋼球42の外表面と相補完形状をなすように形成されている(図2参照)。そのため、図3に示されるように、深さが端部に向けて除所に浅くなる各端部(43B、43C、44B、44C)において凹部(43、44)の幅が狭くなっており、第1凹部43及び第2凹部44は三日月形状となっている。
他の実施形態では、第1凹部43及び第2凹部44は、図2に示される断面において矩形の溝であってもよい。この場合、第1凹部43及び第2凹部44が幅の変化によって鋼球42に対する実質的な傾斜をなしてもよい。更に、第1凹部43及び第2凹部44は、図2に示される断面において、V溝形状等の他の形状であってもよい。
次に、図4及び図5を参照して、トルク伝達機構40の動作を説明する。内燃機関1を始動する際には、上記のようにスタータジェネレータ7がスタータモータとして制御され、スタータジェネレータ7が発生する駆動トルクが無端ベルト15を介してクランクプーリ10の外側回転体30に伝達される。これにより、外側回転体30は、図4に示される中立位置から、図5(A)に示されるように、第1凹部43及び第2凹部44における鋼球42の転動を伴って内側回転体20に対して図中右方に相対回転し、鋼球42が第1従動側端部43C及び第2従動側端部44Cに乗り上げる。即ち、外側回転体30の内側回転体20に対する回転変位が、第2部材37のクランク軸線6X方向変位に変換される。
鋼球42が第1従動側端部43C及び第2従動側端部44Cに乗り上げると、皿ばね41による付勢力が鋼球42を第1底部43A及び第2底部44Aに戻そうとする分力(トルク)を発生させることにより、これに釣り合うトルクが外側回転体30から内側回転体20に伝達される(以下、このトルクを従動側伝達トルクという)。また、鋼球42が第1従動側端部43C及び第2従動側端部44Cに乗り上げると、第1面25と第2面36との空隙tが大きくなって皿ばね41による付勢力が大きくなるため、従動側伝達トルクが大きくなる。即ち、トルク伝達機構40は、第1従動側端部43C及び第2従動側端部44Cの傾斜角に応じた第1ばね定数を有するばね部材として機能する。
スタータジェネレータ7が、内燃機関1の運転中に走行用モータとして制御され、クランクシャフト6よりも大きなトルクを発生している場合にも、外側回転体30が内側回転体20に対して図中右方に相対回転し、鋼球42が第1従動側端部43C及び第2従動側端部44Cに乗り上げた状態になる。
一方、内燃機関1の各気筒における燃料の燃料によってクランクシャフト6が回転駆動されると、クランクシャフト6を回転駆動するエンジントルクがクランクプーリ10の内側回転体20に伝達される。エンジントルクがスタータジェネレータ7の駆動トルクよりも大きい時及びスタータジェネレータ7が駆動トルクを発生していない時には、内側回転体20は、図5(B)に示されるように、第1凹部43及び第2凹部44における鋼球42の転動を伴って内側回転体20に対して図中右方に相対回転し、鋼球42が第1駆動側端部43B及び第2駆動側端部44Bに乗り上げる。即ち、外側回転体30の内側回転体20に対する回転変位が、第2部材37のクランク軸線6X方向変位に変換される。
鋼球42が第1駆動側端部43B及び第2駆動側端部44Bに乗り上げると、皿ばね41による付勢力が鋼球42を第1底部43A及び第2底部44Aに戻そうとする分力(トルク)を発生させ、これに釣り合うトルクが内側回転体20から外側回転体30に伝達される(以下、このトルクを駆動側伝達トルクという)。駆動側伝達トルクは、皿ばね41の付勢力が同じ場合(空隙tの寸法が同じ場合)、第1駆動側端部43B及び第2駆動側端部44Bの傾斜が第1従動側端部43C及び第2従動側端部44Cの傾斜よりも小さいことから、従動側伝達トルクよりも小さい。また、鋼球42が第1駆動側端部43B及び第2駆動側端部44Bに乗り上げると、第1面25と第2面36との空隙tが大きくなって皿ばね41による付勢力が大きくなるため、駆動側伝達トルクが大きくなる。即ち、トルク伝達機構40は、第1駆動側端部43B及び第2駆動側端部44Bの傾斜角に応じた、第1ばね定数よりも小さな第2ばね定数を有するばね部材として機能する。
内燃機関1の始動の際に、スタータジェネレータ7の駆動トルクとクランクシャフト6のエンジントルクとが交番的に大きくなると、外側回転体30は、図5(A)に示される図中右方に相対回転した位置と、図5(B)に示される図中左方に相対回転した位置との間を移動する。この際、鋼球42は、第1底部43A及び第2底部44Aを転動する。
図6は、このように構成されたトルク伝達機構40における、外側回転体30の相対回転角度と伝達トルクとの相関図である。横軸は、外側回転体30の内側回転体20に対する相対回転角度を、右側を従動側(回転方向前側)とし、左側を駆動側(回転方向後側)として示している。縦軸は、トルク伝達機構40の伝達トルクを、上側を従動側とし、下側を駆動側として示している。外側回転体30が中立位置にある回転領域のうち、鋼球42が第1底部43A及び第2底部44Aの周方向中央にある相対回転角度が中点(ゼロ)となる。
本実施形態では、第1凹部43及び第2凹部44が互いに平行な第1底部43A及び第2底部44Aを有することから、図6に示されるように、第1底部43A及び第2底部44Aの周方向長さに相当する相対回転角度領域は、伝達トルクが実質的にゼロの不感帯となる。鋼球42が第1従動側端部43C及び第2従動側端部44Cに乗り上げる従動側の相対回転角度領域では、従動側伝達トルクが相対回転角度に応じて大きくなる。一方、鋼球42が第1駆動側端部43B及び第2駆動側端部44Bに乗り上げる駆動側の相対回転角度領域では、駆動側伝達トルクが相対回転角度に応じて大きくなる。伝達トルクの傾きは、対応する端部(43B、43C、44B、44C)の傾斜角度に略比例し、その相対回転角度領域におけるトルク伝達機構40のばね定数に相当する。
なお、皿ばね41が予荷重をもっていることから、伝達トルクの絶対値は、不感帯の両端相対回転角度において予荷重の大きさに応じた大きさのトルクをもって立ち上がり、不感帯の外側でリニアに増大する。
次に、トルク伝達機構40がこのように構成された内燃機関1の作用効果を説明する。
図4〜図6に示されるように、第1凹部43の傾斜は、第1駆動側端部43B及び第1従動側端部43Cにおいて第1底部43Aよりも大きく設定されている。また、第2凹部44の傾斜は、第2駆動側端部44B及び第2従動側端部44Cにおいて第2底部44Aよりも大きく設定されている。これらの構成のそれぞれにより、トルク伝達機構40は、外側回転体30の内側回転体20に対する回転変位を許容しつつ内側回転体20と外側回転体30との間でトルクを伝達するばねとして機能する。
そして、傾斜が底部(43A、44A)において両端部(43B・43C、44B・44C)よりも小さいことから、鋼球42が第1底部43A及び第2底部44Aにある間は、ばね定数が小さく共振周波数の小さなばねとしてトルク伝達機構40が機能する。これにより、エンジン運転中(アイドル回転速度よりも高い回転速度の時)のクランクシャフト6の回転変動による振動が抑制される。一方、傾斜が両端部(43B・43C、44B・44C)において底部(43A、44A)よりも大きいことから、鋼球42が第1従動側端部43C及び第2従動側端部44Cにある間は、ばね定数が大きなばねとしてトルク伝達機構40が機能する。これにより、エンジン始動時の駆動トルクの印加による外側回転体30の内側回転体20に対する回転変位が抑制される。
第1駆動側端部43B及び第1従動側端部43C、並びに、第2駆動側端部44B及び第2従動側端部44Cにおける傾斜は、それぞれ非対称に、具体的には第1従動側端部43C及び第2従動側端部44Cにおいて第1駆動側端部43B及び第2駆動側端部44Bよりも大きく傾斜が設定されている。そのため、クランクシャフト6からスタータジェネレータ7にトルクが伝達されるエンジン運転中には、トルク伝達機構40が、第1駆動側端部43B及び第2駆動側端部44Bの傾斜に応じた比較的小さなばね定数をもってトルクを伝達することにより、クランクシャフト6の回転変動が抑制される。一方、スタータジェネレータ7からクランクシャフト6にトルクが伝達されるエンジン始動時には、トルク伝達機構40が、第1従動側端部43C及び第2従動側端部44Cの傾斜に応じた比較的大きなばね定数をもってトルクを伝達することにより、スタータジェネレータ7の駆動トルクによる外側回転体30の内側回転体20に対する回転変位が抑制される。
傾斜は第1底部43A及び第2底部44Aにおいて実質的にゼロであるため、鋼球42が第1底部43A及び第2底部44Aを転動する間のトルク伝達機構40の実質的なばね定数が小さくなる。これにより、不感帯を持つ非線形バネモデルとなり、エンジン運転中の共振をアイドル回転数以下に外すことが容易にできる。
トルク伝達機構40では、皿ばね41が予荷重をもって外側回転体30の一部である第2部材37を付勢しているため、鋼球42のがたつきが防止される。また、皿ばね41及び外側回転体30の製造誤差に起因する隙間の発生が抑制されるため、トルク伝達機構40のばね定数のばらつきが抑制される。
≪第2実施形態≫
次に、図7を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態と同一又は類似の構成については同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。以降の実施形態においても同様とする。
図7(A)は、第2実施形態に係るトルク伝達機構40における、内側回転体20の断面展開図(図4の下半に相当する図)を示し、図7(B)は、同トルク伝達機構40における、外側回転体30の相対回転角度と伝達トルクとの相関図である。本実施形態では、第1凹部43及び第2凹部44(図示省略)の形状が第1実施形態と異なることにより、トルク伝達機構40のばね定数が第1実施形態と異なるように設定されている。なお、外側回転体30の第2凹部44は、第1実施形態と同様に、内側回転体20の第1凹部43に対して回転対称の形状とされている。そこで、以下では内側回転体20の第1凹部43の形状を説明する。
図7(A)に示されるように、第1従動側端部43Cの傾斜は、相対回転角度の絶対値が小さい第1領域A1において比較的小さな仰角の第1の傾斜角度αに設定され、対回転角度の絶対値が大きい第2領域A2において比較的大きな仰角の第2の傾斜角度βに設定されている。一方、第1駆動側端部43Bの傾斜は、不感帯を除く全相対回転角度領域において、比較的小さな角度に設定されている。図示例では、第1駆動側端部43Bの傾斜角度は、第1従動側端部43Cの比較的小さな第1の傾斜角度αと同程度とされている。
これにより、図7(B)に示されるように、従動側では、相対回転角度の絶対値が小さい第1領域A1において、伝達トルクの傾きが比較的小さく(トルク伝達機構40のばね定数が比較的小さく)なり、相対回転角度の絶対値が大きい第2領域A2において、伝達トルクの傾きが第1領域A1よりも大きく(トルク伝達機構40のばね定数が比較的大きく)なっている。一方、駆動側では、不感帯を除く全相対回転角度領域において、伝達トルクの傾きが比較的小さな値に(トルク伝達機構40のばね定数が比較的小さな値に)なっている。
このように本実施形態では、従動側の端部(第1従動側端部43C及び第2従動側端部44C)において、第1の傾斜角度αを有する第1領域A1及びより大きい第2の傾斜角度βを有する第2領域A2が、不感帯(第1底部43A及び第2底部44A)側からこの順に設けられている。そして、鋼球42が第1領域A1を転動する間のトルク伝達機構40のばね定数は、鋼球42が第2領域A2を転動する間のトルク伝達機構40のばね定数よりも小さい。言い換えれば、従動側において、トルク伝達機構40のばね定数が不感帯の第1底部43A及び第2底部44A側から段階的に大きくなる。従って、スタータジェネレータ7からクランクシャフト6にトルクが伝達されるエンジン始動時の鋼球42の移動が円滑になり、鋼球42が傾斜に乗り上げる際の異音も抑制される。
≪第3実施形態≫
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。図8(A)は、第3実施形態に係るトルク伝達機構40における、内側回転体20の断面展開図(図6の下半に相当する図)を示し、図8(B)は、同トルク伝達機構40における、外側回転体30の相対回転角度と伝達トルクとの相関図である。本実施形態においても、図7の場合と同様に、第1凹部43及び第2凹部44(図示省略)の形状が第1実施形態と異なることにより、トルク伝達機構40のばね定数が第1実施形態と異なるように設定されている。第2実施形態と同様に、第2凹部44は第1凹部43に対して回転対称の形状とされており、以下では内側回転体20の第1凹部43の形状を説明する。
図8(A)に示されるように、第1従動側端部43Cにおいて、第1の傾斜角度αを有する第1領域A1及び第1の傾斜角度αよりも大きい第2の傾斜角度βを有する第2領域A2が、不感帯である第1底部43A側からこの順に設けられている。また、第1駆動側端部43Bにおいても、第1の傾斜角度αを有する第1領域A1及び第1の傾斜角度αよりも大きい第2の傾斜角度βを有する第2領域A2が、不感帯である第1底部43A側からこの順に設けられている。
一方、第1駆動側端部43Bの第1領域A1は、第1従動側端部43Cの第1領域A1よりも大きい。即ち、駆動側の第1領域A1の相対回転角度の絶対値の最大値は、従動側の第1領域A1の相対回転角度の絶対値の最大値よりも大きい。従って、トルク伝達機構40のばね定数は、全体としては、従動側において駆動側よりも大きくなっている。
このように本実施形態では、駆動側の端部(第1駆動側端部43B及び第2駆動側端部44B)及び従動側の端部(第1従動側端部43C及び第2従動側端部44C)のそれぞれにおいて、第1の傾斜角度αを有する第1領域A1及びより大きい第2の傾斜角度βを有する第2領域A2が、不感帯である第1底部43A及び第2底部44A側からこの順に設けられている。そのため、スタータジェネレータ7によるエンジン初爆直後に従動側だったクランクプーリ10が急激に駆動側に移行した場合おいても、トルク伝達機構40のばね定数が不感帯の第1底部43A及び第2底部44A側から段階的に大きくなる。従って、クランクシャフト6からスタータジェネレータ7にトルクが伝達されるエンジン運転中のトルク変動時の鋼球42の移動が円滑になり、鋼球42が傾斜に乗り上げる際の異音も抑制される。
≪第4実施形態≫
最後に、図9面を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
図8は、第4実施形態に係る内燃機関1の図2に対応する要部断面図である。図8に示されるように、外側回転体本体31は、環状質量体23の外側に配置された外筒部31Aと、外筒部31Aの前端から径方向内側に延出するドーナツ形状の孔付き円板部31Bとを有しており、内筒部31Cを有していない。外側回転体本体31は、外筒部31Aと環状質量体23との間に設けられたラジアルベアリング32を介して、環状質量体23に対して相対回転可能に且つ軸線方向に変位可能になっている。
孔付き円板部31Bの内周部の後面には、クランク軸線6X方向のうち後方に向く環状の第2面36を有する第2部材37が固定されている。第2部材37は、取付部材27の円筒部27Aの外径よりも大きな内径を有しており、孔付き円板部31Bの内周部から後方に突出している。これらの外側回転体本体31及び第2部材37により、外側回転体30が構成される。
孔付き円板部31Bの内周部の前面には、円環状のスラスト軸受38が介装されており、スラスト軸受38の前方には、第2面36が第1面25に近接する向きに外側回転体30を内側回転体20に対して付勢する付勢部材である皿ばね141が配置されている。皿ばね141は、円筒状のベース部141Aと、ベース部141Aの前縁から径方向外側に延出する円環状のばね部141Bと有しており、取付部材27の円筒部27Aがベース部141Aに圧入されることにより、ばね部141Bをスラスト軸受38に当接させた状態で内側回転体20に固定される。これにより、外側回転体30の内側回転体20に対する軸線方向変位が許容されると共に、過剰な軸線方向変位による外側回転体30の内側回転体20からの脱落が防止される。
即ち、内側回転体20は、内側回転体本体21、環状弾性体22、環状質量体23、第1部材26及び取付部材27により構成され、第1実施形態のリテーナ28を備えていない。代わりに、皿ばね141が外側回転体30を保持するリテーナ機能を果たしている。
トルク伝達機構40は、機能的には内側回転体20と外側回転体30との間に設けられるが、外側回転体30の前方に配置される皿ばね141もトルク伝達機構40を構成する要素である。トルク伝達機構40を構成する、皿ばね141以外の要素は上記実施形態と同様である。
ベルト保持溝33(ベルト溝)が形成された外側回転体30の外筒部31Aはエンジン始動直後の共振点通過時に僅かにクランク軸線6X方向に移動するが、内燃機関1がこのように構成されていてもアイドリング回転以上の常用回転では、上記実施形態と同様の作用効果が得られるうえ、構成が簡単になる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、一例として車載用のディーゼルエンジンに本発明を適用したが、本発明は鉄道車両や船舶などのエンジンにも広く適用でき、ガソリンエンジンにも適用できる。また上記実施形態では付勢部材として皿ばね41、141が用いられているが、板ばね等の他のばねが用いられてもよい。更に、凹部の傾斜角度は連続的に変化してもよい。この他、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、角度など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
1 内燃機関
6 クランクシャフト
6X クランク軸線
7 スタータジェネレータ
10 クランクプーリ
11 ジェネレータプーリ(補機プーリ)
15 無端ベルト
20 内側回転体
25 第1面
30 外側回転体
33 ベルト保持溝
36 第2面
40 トルク伝達機構
41、141 皿ばね(付勢部材)
42 鋼球(転動体)
43 第1凹部
43A 第1底部
43B 第1駆動側端部
43C 第1従動側端部
44 第2凹部
44A 第2底部
44B 第2駆動側端部
44C 第2従動側端部
A1 第1領域
A2 第2領域
α 第1の傾斜角度
β 第2の傾斜角度
上記のように外側回転体30の一部である第2部材37は皿ばね41によって第2面36が第1面25に近づく向きに付勢されているため、クランクシャフト6及びスタータジェネレータ7が稼動していない状態では、図示されるように鋼球42は第1底部43A及び第2底部44Aに接している。以下、この状態にある時の外側回転体30の内側回転体20に対する相対位置を中立位置という。なお、中立位置は、第1底部43A及び第2底部44Aが周方向長さを有しているため、この周方向長さに対応する領域を意味する。図4に示される、外側回転体30が中立位置にある状態においても、皿ばね41は、予荷重(セット荷重)をもって第2部材37を付勢している。
一方、内燃機関1の各気筒における燃料の燃によってクランクシャフト6が回転駆動されると、クランクシャフト6を回転駆動するエンジントルクがクランクプーリ10の内側回転体20に伝達される。エンジントルクがスタータジェネレータ7の駆動トルクよりも大きい時及びスタータジェネレータ7が駆動トルクを発生していない時には、内側回転体20は、図5(B)に示されるように、第1凹部43及び第2凹部44における鋼球42の転動を伴って内側回転体20に対して図中右方に相対回転し、鋼球42が第1駆動側端部43B及び第2駆動側端部44Bに乗り上げる。即ち、外側回転体30の内側回転体20に対する回転変位が、第2部材37のクランク軸線6X方向変位に変換される。

Claims (6)

  1. クランクプーリを備えたクランクシャフトと、補機プーリを備えたスタータジェネレータと、前記クランクプーリ及び前記補機プーリに巻き掛けられた無端ベルトとを備えた内燃機関であって、
    前記クランクプーリは、
    前記クランクシャフトに結合され、クランク軸線方向を向く第1面を有する内側回転体と、
    前記内側回転体の外側に同心に相対回転可能に配置され、前記第1面に対向する第2面及び前記無端ベルトを保持するベルト保持溝を有する外側回転体と、
    前記内側回転体と前記外側回転体との間でトルクを伝達するトルク伝達機構とを有し、
    前記トルク伝達機構が、
    前記第1面に形成され、周方向に延在し、周方向に配置された複数の第1凹部と、
    前記第2面における前記第1凹部に対向する位置に形成され、周方向に延在する複数の第2凹部と、
    相対する前記第1凹部及び前記第2凹部内に転動可能に受容された転動体と、
    前記第2面が前記第1面に近接する方向へ、前記外側回転体を付勢する付勢部材とを有し、
    前記第1凹部及び前記第2凹部の少なくとも一方は、底部から両端にかけて上向きの傾斜を有する端部を含み、
    前記傾斜が前記端部のそれぞれにおいて前記底部よりも大きく設定されていること特徴とする内燃機関。
  2. 前記端部のそれぞれにおける前記傾斜が非対称に設定され、前記傾斜は、前記転動体を介して前記スタータジェネレータから前記クランクシャフトにトルクを伝達する側の端部において、前記転動体を介して前記クランクシャフトから前記スタータジェネレータにトルクを伝達する側の端部よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記傾斜が前記底部において実質的にゼロであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記転動体を介して前記スタータジェネレータから前記クランクシャフトにトルクを伝達する側の端部において、第1の傾斜角度を有する第1領域及び前記第1の傾斜角度よりも大きい第2の傾斜角度を有する第2領域が、前記底部側からこの順に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関。
  5. 前記端部のそれぞれにおいて、第1の傾斜角度を有する第1領域及び前記第1の傾斜角度よりも大きい第2の傾斜角度を有する第2領域が、前記底部側からこの順に設けられていること特徴とする請求項3に記載の内燃機関。
  6. 前記付勢部材が、予荷重をもって前記外側回転体を付勢することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の内燃機関。
JP2017093913A 2017-05-10 2017-05-10 内燃機関 Pending JP2018189203A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017093913A JP2018189203A (ja) 2017-05-10 2017-05-10 内燃機関

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017093913A JP2018189203A (ja) 2017-05-10 2017-05-10 内燃機関

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018189203A true JP2018189203A (ja) 2018-11-29

Family

ID=64479670

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017093913A Pending JP2018189203A (ja) 2017-05-10 2017-05-10 内燃機関

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018189203A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4572739B2 (ja) 回転変動吸収ダンパプーリ
US8272982B2 (en) Cam damped pulley for rotary devices
AU2013272245B2 (en) Isolator decoupler
US20150285317A1 (en) Pulley assembly with radially oriented decoupling mechanism
JP2761191B2 (ja) ベルト伝動方法及びベルト伝動装置
JP2007506056A (ja) クランクシャフトデカプラー
JP2007517168A (ja) オルタネータデカプラのオーバランのためのスプリング移動制限器
JP2004316920A (ja) 一体型のクラッチを備えたスタータープーリー
JP2015521723A (ja) 付属装置駆動分断装置
JP2019515220A (ja) アイソレーティング・デカップラ
US20080318715A1 (en) Drive wheel of an auxiliary unit belt drive of an internal combustion engine
US9556948B2 (en) Alternator damper pulley for vehicle
US6446775B2 (en) One-way clutch
EP2776729B1 (en) Torque transfer unit for an engine starting system
US6220414B1 (en) One-way clutch
WO2007012168A1 (en) Pulley with a one-way clutch
JP2018189203A (ja) 内燃機関
JP2005282856A (ja) 一方向クラッチおよび軸受複合一方向クラッチ
JP2006009899A (ja) 動力伝達装置
JP6607067B2 (ja) 補機駆動ベルト張力調整装置
KR102429019B1 (ko) 풀리 조립체
JP2004028285A (ja) 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置
JP4479677B2 (ja) 内燃機関
JP4788617B2 (ja) プーリユニット
JP2015007406A (ja) エンジンおよび車両

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170511