JP2018188649A - 表面保護フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル系ポリマーが、アルキル基の炭素数がC4〜C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを50〜95重量部と、水酸基を含有するモノマーを0.1〜10重量部と、カルボキシル基を含有するモノマーを0.1〜1.0重量部と、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーを8〜50重量部と、水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーを0.1〜20重量部と、を共重合させた共重合体であり、シロキサン化合物を含有せず、架橋剤として2官能以上のイソシアネート化合物と、架橋触媒と、ケトエノール互変異性体化合物と、を含有する。
【選択図】なし
Description
また、偏光板、位相差板などの光学部材は、表面保護フィルムを貼り合わされた状態で、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う製品検査を行うため、表面保護フィルムに対する要求性能としては、粘着剤層に気泡や異物が付着していないことが求められている。
また、近年では、偏光板、位相差板などの光学部材から表面保護フィルムを剥がすときに、粘着剤層を被着体が剥がす時に発生する静電気に伴って生じる剥離帯電が、液晶ディスプレイの電気制御回路の故障に影響することが懸念され、粘着剤層に対して優れた帯電防止性能が求められている。
また、偏光板、位相差板などの光学部材に表面保護フィルムを貼り合わせるときに、各種の理由により、一旦、表面保護フィルムを剥がして、再度、表面保護フィルムを貼り直すことがあり、そのときに被着体の光学部材から剥がし易いこと(リワーク性)が求められている。
また、最終的に偏光板、位相差板などの光学部材から表面保護フィルムを剥がすときには、速やかに剥離できることが求められている。いわゆる、高速剥離によっても、速やかに剥離できるように、粘着力が剥離速度によっても変化が少ないことが求められている。
しかし、表面保護フィルムを構成する粘着剤層に対する要求性能である、これら(1)〜(4)のそれぞれ、個々の要求性能を満たすことは出来ても、表面保護フィルムの粘着剤層に求められる(1)〜(4)の全ての要求性能を、同時に満たすことは非常に困難な課題であった。
また、上記と同様の共重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有共重合性化合物との共重合体を少量配合し、これを架橋剤で架橋処理した粘着剤層を設けたものなどが提案されている。しかし、これらは、表面張力が低くて表面が平滑なプラスチック板などの表面保護に使用すると、加工時や保存時の加熱により浮きなどの剥離現象を生じる問題や、手作業領域である高速での剥離時の再剥離性に劣るという問題もあった。
特許文献2に記載の粘着剤組成物では、加工時や保存時などに浮きなどの剥離現象を生じることがなく、そのうえ接着力の経時上昇性が小さくて再剥離性に優れており、長期保存、特に高温雰囲気下で長期保存しても小さな力で再剥離でき、その際被着体上に糊残りを生じず、また高速剥離を行ったときでも小さな力で再剥離できるとしている。
また、近年では、このような帯電防止剤を基材フィルムに含有させたり、あるいは基材フィルムの表面に塗布するのではなく、直接に粘着剤層に含有させたりすることが提案されている。
特許文献4では、アルキル基の炭素数が2〜12程度のアクリル酸アルキルエステルやアルキル基の炭素数が4〜12程度のメタクリル酸アルキルエステル等を主モノマー成分とし、例えば、カルボキシル基含有モノマーなどの他の官能基含有モノマー成分を含むことができるとしている。一般的には上記主モノマーを50重量%以上含有させることが好ましい、又、官能基含有モノマー成分の含有量は0.001〜50重量%、好ましくは0.001〜25重量%、更に好ましくは0.01〜25重量%であることが望まれる、としている。このような特許文献4に記載の粘着剤組成物は、高温下又は高温高湿下でも凝集力及び接着力の経時変化が小さく、かつ、曲面に対する接着力にも優れた効果を示すことから、リワーク性を有するとしている。
一般に、粘着剤層を柔らかい性状のものにすると、糊残りが発生し易くなり、リワーク性が低下しやすい。すなわち、誤って貼合したときに剥離がし難く、貼り直しが困難となりやすい。このことから、カルボキシル基などの官能基を有するモノマーを主剤に架橋させて、粘着剤層を一定の硬さにすることが、リワーク性を持たせるためには必要と考えられる。
本発明の粘着剤組成物は、共重合性モノマーの共重合体からなるアクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物であって、前記共重合性モノマーが、前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、(A)アルキル基の炭素数がC4〜C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを50〜95重量部と、共重合可能なモノマー群として(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーを0.1〜10重量部と、(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーを0.1〜1.0重量部と、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーを8〜50重量部と、(E)水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも一種を0.1〜20重量部と、を含有し、前記粘着剤組成物は、さらに、シロキサン化合物を含有せず、(F)2官能以上のイソシアネート化合物と、(G)架橋触媒と、(H)ケトエノール互変異性体化合物と、(I)帯電防止剤として、融点が25〜50℃であるイオン性化合物、及び/又は、アクリロイル基含有イオン性化合物とを含有することを特徴とする。
前記共重合性モノマーは、アクリル系ポリマーの100重量部に対して、(A)アルキル基の炭素数がC4〜C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを50〜95重量部の割合で含有することが好ましい。
8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。
前記共重合性モノマーは、アクリル系ポリマーの100重量部に対して、(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーを0.1〜10重量部の割合で含有することが好ましい。
前記共重合性モノマーは、アクリル系ポリマーの100重量部に対して、(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーを0.1〜1.0重量部の割合で含有することが好ましい。
ポリアルキレングリコールの有するアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の2種以上のポリアルキレングリコールの共重合体であってもよい。ポリアルキレングリコールの共重合体としては、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール等が挙げられ、該共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体であってもよい。
「モノマー中のジエステル分」とは、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマー中に含まれるポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステルの含有率(重量%)である。
「水分含有率」とは、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマー中に含まれる水分の含有率(重量%)である。
「20%水溶液状態でのヘイズ値」とは、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーを20重量%の水溶液とした状態における該水溶液のヘイズ値(%)である。つまり、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、20%水溶液となるだけの水溶性(水に対する溶解性)を有するのみならず、20%水溶液においてヘイズ値(%)が低い(白濁が少ない)ことを必要とする。
なお、本明細書において、20%水溶液のヘイズ値は、光路長さが10mmの石英セルに該水溶液を入れ、ヘイズメーターにより測定した値である。この指標は、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーの親水性の程度として、高濃度でも白濁のない溶液が得られる、親水性の高いモノマーを選択するために導入されたものである。
より具体的には、ポリエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート;エトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記共重合性モノマーは、アクリル系ポリマーの100重量部に対して、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーを8〜50重量部の割合で含有することが好ましい。
これらのアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の原子がアルコキシ基で置換された構造を有する。
O=C=N−X−(NH−CO−O−Y−O−CO−NH−X)n−N=C=O
第三級アミンとしては、トリアルキルアミン、N,N,N’,N’−テトラアルキルジアミン、N,N−ジアルキルアミノアルコール、トリエチレンジアミン、モルホリン誘導体、ピペラジン誘導体等が挙げられる。
多座配位子Lとしては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ−ケトエステルや、アセチルアセトン(別名2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン等のβ−ジケトンが挙げられる。これらは、ケトエノール互変異性体化合物であり、多座配位子Lにおいてはエノールが脱プロトンしたエノラート(例えばアセチルアセトネート)であってもよい。
単座配位子Xとしては、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、2−エチルヘキサノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基等のアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基などが挙げられる。
(G)架橋触媒は、金属キレート化合物または有機錫化合物であるのが好ましい。金属キレート化合物としては、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、鉄キレート化合物、錫キレート化合物等が好ましい。有機錫化合物としては、ジオクチル錫オキシド、ジオクチル錫ジラウレートからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。
(G)架橋触媒は、アクリル系ポリマーの100重量部に対して、0.001〜0.5重量部の割合で含まれていることが好ましい。
(H)ケトエノール互変異性体化合物として、特にアセチルアセトン、アセト酢酸エチルからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。
(H)ケトエノール互変異性体化合物は、アクリル系ポリマーの100重量部に対して、0.1〜300重量部の割合で含まれていることが好ましい。
本発明では、(I)帯電防止剤として、(I−1)融点が25〜50℃であるイオン性化合物を共重合体に添加し、及び/又は(I−2)アクリロイル基含有イオン性化合物を共重合体中に共重合する。これらの(I)帯電防止剤は、融点が低いため、また、長鎖のアルキル基を有するため、アクリル共重合体との親和性は高いと推測される。
(I−1)融点が25〜50℃であるイオン性化合物は、アクリル系ポリマーの100重量部に対して、0.01〜5.0重量部の割合で含まれていることが好ましい。
(I−2)アクリロイル基含有イオン性化合物は、アクリル系ポリマーの100重量部に対して、0.01〜5.0重量部の割合で共重合されていることが好ましい。
(I)帯電防止剤として(I−2)アクリロイル基含有イオン性化合物を用いる場合、本発明の粘着剤組成物に用いられる主剤の共重合体は、(A)アルキル基の炭素数がC4〜C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーと、(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーと、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、(E)水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーと、(I−2)アクリロイル基含有イオン性化合物を重合させることで合成することができる。
本発明の粘着剤組成物は、さらに、シロキサン化合物を含有せず、上記の共重合体に、(F)2官能以上のイソシアネート化合物と、(G)架橋触媒と、(H)ケトエノール互変異性体化合物、さらに適宜任意の添加剤を配合することで調製することができる。なお、(I−2)アクリロイル基含有イオン性化合物を主剤の共重合体中に重合させた場合、共重合体に対して、(I−1)融点が25〜50℃であるイオン性化合物をさらに添加しても良いし、添加しなくても構わない。
主剤の共重合体の製造に使用される各モノマーは、粘着剤組成物の粘度上昇を避けるためには、架橋剤として機能し得る、多官能性(二官能性以上)のモノマーの量を極力低減することが好ましい。特に、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、対応するジエステル分が二官能性モノマーのジ(メタ)アクリル酸エステルであるため、ジエステル分の少ないものを用いることが好ましい。
また、アクリル系ポリマーの酸価は、0.01〜8.0であることが好ましい。これにより、汚染性を改善し、糊残りの発生防止性能を向上することができる。
ここで、「酸価」とは、酸の含有量を表す指標の一つであり、カルボキシル基を含有するポリマー1gを中和するのに要する、水酸化カリウムのmg数で表される。
基材フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による防汚処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
剥離フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に2−エチルヘキシルアクリレート100重量部、8−ヒドロキシオクチルアクリレート3.0重量部、アクリル酸0.2重量部、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(ポリアルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキサイドの平均繰り返し数n=12、モノマー中のジエステル分が0.1%、水に対する溶解性が、20%水溶液状態でのヘイズ値が0.8%、水分含有率が0.05%)10重量部、N−ビニルピロリドン5重量部とともに溶剤(酢酸エチル)を60重量部加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で6時間反応させ、重量平均分子量50万の、実施例1に用いるアクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体の一部を採取し、後述する酸価の測定試料として用いた。
[実施例2〜9及び比較例1〜4]
単量体の組成を各々、表1の(A)〜(E)及び(I−2)の記載のようにする以外は、上記の実施例1に用いるアクリル共重合体溶液と同様にして、実施例2〜9及び比較例1〜4に用いるアクリル共重合体溶液を得た。
[実施例1]
上記のとおり製造した実施例1のアクリル共重合体溶液に対して、1−オクチルピリジニウム 六フッ化リン酸塩1.0重量部、アセチルアセトン8.5重量部を加え撹拌したのち、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体)2.5重量部、チタニウムトリスアセチルアセトネート0.1重量部を加えて撹拌混合して実施例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をシリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚さが25μmである粘着シートを得た。
その後、一方の面に帯電防止及び防汚処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの帯電防止及び防汚処理された面とは反対の面に粘着シートを転写させ、「帯電防止及び防汚処理されたPETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する実施例1の表面保護フィルムを得た。
[実施例2〜9及び比較例1〜4]
添加剤の組成を各々、表2の(F)〜(J)の記載のようにする以外は、上記の実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例2〜9及び比較例1〜4の表面保護フィルムを得た。
また、表1及び表2に用いた各成分の略記号の化合物名を、表3及び表4に示す。なお、コロネート(登録商標)HX、同HL及び同Lは日本ポリウレタン工業株式会社の商品名であり、タケネート(登録商標)D−140N、D−127N、D−110N、D−120Nは三井化学株式会社の商品名である。表3の(D)群に関し、「n」の数値は、ポリアルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキサイドの平均繰り返し数である。「ジエステル」の数値は、モノマー中のジエステル分(%)である。「水分」の数値は、水分含有率(%)である。「ヘイズ」の数値は、20%水溶液状態でのヘイズ値(%)である。また、(H)/(G)の値を、表5に示す。
合成例1〜3の、2官能イソシアネート化合物は、下記の方法で合成した。表6及び表7に示すように、ジイソシアネートとジオール化合物を、モル比:NCO/OH=16の比率で混合し、120℃で3時間反応させ、その後、薄膜蒸発装置を使用して減圧下で未反応のジイソシアネートを除去し、目的の2官能イソシアネート化合物を得た。
実施例1〜9及び比較例1〜4における表面保護フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させたものを、ゲル分率及び表面抵抗率の測定試料とした。
さらに、この粘着剤層を表出させた表面保護フィルムを、粘着剤層を介して液晶セルに貼られた偏光板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧、20分間オートクレーブ処理し、室温でさらに12時間放置したものを、粘着力、剥離帯電圧、リワーク性及び耐久性の測定試料とした。
エージング終了後、偏光板に貼り合わせる前の測定試料の質量を正確に測定し、トルエン中に24時間浸漬後、200メッシュの金網で濾過する。その後、濾過物を100℃、1時間乾燥した後、残渣の質量を正確に測定して、以下の式から粘着剤層(架橋後の粘着剤)のゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=不溶部分質量(g)/粘着剤質量(g)×100
上記で得られた測定試料(25mm幅の表面保護フィルムを偏光板の表面に貼り合わせたもの)を、180°方向に引張試験機を用いて低速の剥離速度(0.3m/min)及び高速の剥離速度(30m/min)において剥がして、測定した剥離強度を粘着力(N/25mm)とした。
エージングした後、偏光板に貼り合わせる前に、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして粘着剤層を表出し、抵抗率計ハイレスタUP−HT450(三菱化学アナリテック製)を用いて粘着剤層の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
上記で得られた測定試料を、30m/minの引張速度で180°剥離した際に偏光板が帯電して発生する電圧(帯電圧)を、高精度静電気センサSK−035、SK−200(株式会社キーエンス製)を用いて測定し、測定値の最大値を剥離帯電圧(kV)とした。
上記で得られた測定試料の表面保護フィルムの上を、ボールペンで(荷重500g、3往復)なぞった後、偏光板から表面保護フィルムを剥離して偏光板の表面を観察し、偏光板に汚染移行の無いことを確認した。評価目標基準は、偏光板に汚染移行の無い場合を「○」、ボールペンでなぞった軌跡に沿って少なくとも一部に汚染移行が確認された場合を「△」、ボールペンでなぞった軌跡に沿って汚染移行が確認され、粘着剤表面からも粘着剤の離脱が確認された場合を「×」と評価した。
上記で得られた測定試料を、60℃、90%RHの雰囲気下に250時間放置後、室温に取り出し、さらに12時間放置した後、粘着力を測定して初期の粘着力と比較して明らかな増加が無いことを確認した。評価目標基準は、試験後の粘着力が初期粘着力の1.5倍以下である場合を「○」、1.5倍を超えた場合を「×」と評価した。
すなわち、(1)低速の剥離速度、及び高速の剥離速度において、粘着力のバランスを取ること、(2)糊残りの発生防止、(3)優れた帯電防止性能、及び(4)リワーク性の全ての要求性能を、同時に満たしている。
比較例2の表面保護フィルムは、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーのジエステル分が多く、水分含有率が高く、水に対する溶解性が低く、(J)シロキサン化合物を含むためか、低速の剥離速度0.3m/minと高速の剥離速度30m/minでの粘着力が大きすぎ、表面抵抗率及び剥離帯電圧が高く、耐久性が劣っていた。
比較例3の表面保護フィルムは、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーのジエステル分が多く、水分含有率が高く、水に対する溶解性が低いためか、ポットライフが短くなりすぎ、塗布前にゲル化が進行したため、塗工をすることができなかった。
比較例4の表面保護フィルムは、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーのポリアルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキサイドの平均繰り返し数が大きく、ジエステル分が多く、水分含有率が高く、水に対する溶解性が低く、(G)架橋触媒、及び(H)ケトエノール互変異性体化合物を含まないためか、重合性が悪く、粘性不良により、塗工をすることができなかった。
このように、比較例1〜4の表面保護フィルムでは、(1)低速の剥離速度、及び高速の剥離速度において、粘着力のバランスを取ること、(2)糊残りの発生防止、(3)優れた帯電防止性能、及び(4)リワーク性の全ての要求性能を、同時に満たすことができなかった。
Claims (4)
- アクリル系ポリマーと、(I)帯電防止剤と、(F)架橋剤とを含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を、樹脂フィルムの片面に形成してなる表面保護フィルムであって、
前記アクリル系ポリマーが、前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、
(A)アルキル基の炭素数がC4〜C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを50〜95重量部と、
(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーを0.1〜10重量部と、
(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーを0.1〜1.0重量部と、
(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーを8〜50重量部と、
(E)水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも一種を0.1〜20重量部と、を共重合させた共重合体であり、
前記粘着剤組成物は、さらに、シロキサン化合物を含有せず、前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、前記(F)架橋剤として2官能以上のイソシアネート化合物を0.1〜10重量部と、(G)架橋触媒を0.001〜0.5重量部と、(H)ケトエノール互変異性体化合物を0.1〜300重量部と、の割合で含有してなり、
前記(G)架橋触媒が、金属キレート化合物の架橋触媒であり、前記(H)ケトエノール互変異性体化合物に対する前記(G)金属キレート化合物の架橋触媒の、重量比率(H)/(G)が70〜1000であり、
前記(G)架橋触媒である金属キレート化合物が、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、鉄キレート化合物、ルテニウムキレート化合物、亜鉛キレート化合物、及びジルコニウムキレート化合物からなる化合物群から選択された1種以上であることを特徴とする表面保護フィルム。 - 前記(I)帯電防止剤が、前記粘着剤組成物中に含まれる融点が25〜50℃であるイオン性化合物であり、
前記(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、ポリアルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキサイドの平均繰り返し数が3〜14であり、モノマー中のジエステル分が0.3%以下であり、水分含有率が0.1%以下であり、且つ、水に対する溶解性が、20%水溶液状態でのヘイズ値が2%以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護フィルム。 - 前記(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーが、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であり、
前記(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーが、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルテトラヒドロフタル酸からなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であり、
前記(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの中から選択された、少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面保護フィルム。 - 偏光板の表面保護フィルムの用途として使用する、請求項1〜3のいずれかに記載の表面保護フィルム。
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