JP2018188393A - 糸状緑藻の増殖抑制剤及び糸状緑藻の増殖抑制方法 - Google Patents

糸状緑藻の増殖抑制剤及び糸状緑藻の増殖抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ユキヤナギが有するアレロパシー活性をより効率的に高めることができる技術の提供である。【解決手段】本発明は、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液と、カルシウム、マグネシウム、及びマンガンからなる群から選択される1種のミネラルと、を含む、糸状緑藻の増殖抑制剤を提供する。また、本発明は、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液と、カルシウム、マグネシウム、及びマンガンからなる群から選択される1種のミネラルとを、閉鎖性水域に供給する、糸状緑藻の増殖抑制方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、糸状緑藻の増殖抑制剤及び糸状緑藻の増殖抑制方法に関する。
閉鎖性水域における藻類の増殖は、景観の悪化、悪臭発生、水域内の生息生物への悪影響等の問題をもたらし得る。
そのため、閉鎖性水域における藻類の増殖を抑制するための様々な技術が開発されている。例えば、ある種の植物が有するアレロパシー(植物等が生産する化学物質が環境に放出されることによって、他植物に直接又は間接的に与える作用)を利用した、藻類の増殖抑制方法が知られる。このような藻類へのアレロパシー活性を有する植物としてユキヤナギ(学名:Spiraea thunbergii)が挙げられる(非特許文献1参照)。
広島県立総合技術研究所保健環境センター研究報告、No.19.p37−46.(2011)
しかし、藻類の増殖を効率的に抑制すべく、植物が有するアレロパシー活性をより高めることに対してニーズがある。
そこで、本発明は、ユキヤナギが有するアレロパシー活性をより効率的に高めることができる技術の提供を目的とする。
本発明者らは、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液と、所定のミネラルと、を組み合わせて用いることで、ユキヤナギが有するアレロパシー活性を高めることができ、藻類のうち特に糸状緑藻の増殖を顕著に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下を提供する。
(1) ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液と、
カルシウム、マグネシウム、及びマンガンからなる群から選択される1種のミネラルと、を含む、糸状緑藻の増殖抑制剤。
(2) 前記ミネラルは、カルシウム、又はマグネシウムである、(1)に記載の増殖抑制剤。
(3) 前記ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液に対する前記ミネラルの質量比が0.5以上である、(2)に記載の増殖抑制剤。
(4) 前記糸状緑藻は、Klebsormidium sp.又は、Stigeoclonium sp.である、(1)から(3)のいずれかに記載の増殖抑制剤。
(5) ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液と、カルシウム、マグネシウム、及びマンガンからなる群から選択される1種のミネラルとを、閉鎖性水域に供給する、糸状緑藻の増殖抑制方法。
(6) 前記ミネラルは、カルシウム、又はマグネシウムである、(5)に記載の増殖抑制方法。
(7) 前記閉鎖性水域に供給される、前記ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液に対する前記ミネラルの質量比が0.5以上である、(6)に記載の増殖抑制剤。
(8) 前記ミネラルは、前記閉鎖性水域における水量1mに対して、イオン濃度換算で100g以上供給される、(5)から(7)のいずれかに記載の増殖抑制方法。
(9) 前記糸状緑藻は、Klebsormidium sp.、又は、Stigeoclonium sp.である、(5)から(8)のいずれかに記載の増殖抑制方法。
本発明によれば、ユキヤナギが有するアレロパシー活性をより効率的に高めることができる技術が提供される。
ユキヤナギ葉抽出液及び各種ミネラルの併用による、糸状緑藻(Klebsormidium sp.)に対する増殖抑制効果を示す図である。 ユキヤナギ葉抽出液及び各種ミネラルの併用による、糸状緑藻(Stigeoclonium sp.)に対する増殖抑制効果を示す図である。 ユキヤナギ葉抽出液及びカルシウムの併用による、付着珪藻(Achnanthidium minutissimum)に対する増殖抑制効果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれに特に限定されない。
<糸状緑藻の増殖抑制剤>
本発明の増殖抑制剤は、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液と、カルシウム、マグネシウム、及びマンガンからなる群から選択される1種のミネラルと、を少なくとも含む。
(ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液)
本発明において用いられるユキヤナギの葉は、未処理の葉であってもよく、処理されたものであってもよい。未処理の葉としては、落葉、又は、人工的に採取した葉をそのまま利用できる。処理された葉としては、上記未処理の葉に、所望の物理的処理又は化学的処理を施したものを利用できる。このような処理としては、乾燥処理、粉砕処理、酵素処理、発酵処理等が挙げられる。
本発明において用いられるユキヤナギの葉の採取時期や産地は特に限定されない。
本発明において用いられるユキヤナギの葉の抽出液(以下、「ユキヤナギ葉抽出液」ともいう。)は、上記ユキヤナギの葉(未処理の葉又は処理された葉)から、所望の抽出方法により得られる抽出物である。抽出方法としては、例えば、溶媒による抽出、水流撹拌や水流との接触による抽出、材料を振とうすることによる抽出等が挙げられる。抽出効率の点から、溶媒による抽出が好ましい。
溶媒による抽出としては、ユキヤナギの葉を溶媒に浸漬後、遠心分離処理を行う方法が挙げられる。遠心分離処理後の上澄み液がユキヤナギ葉抽出液に相当する。溶媒の量は、十分な抽出を行うことができれば特に限定されないが、通常、ユキヤナギの葉1kg(乾燥重量)に対して2.5〜5.0L使用される。抽出温度は、十分な抽出を行うことができる温度であれば特に限定されないが、通常、室温(1〜30℃、好ましくは15〜25℃)に設定される。抽出時間は抽出温度等に応じて適宜設定でき、好ましくは24〜36時間である。抽出効率を上げる観点から、溶媒に浸漬するユキヤナギの葉は、粉砕物であることが好ましい。
ユキヤナギの葉の抽出において用いられる溶媒としては、一般的な抽出溶媒を用いることができる。抽出溶媒としては、例えば、水(水道水等)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)、エーテル(エチルエーテル等)、酢酸エステル(酢酸エチル等)等が挙げられる。
なお、溶媒による抽出に際しては、ユキヤナギの葉を溶媒に浸漬する前に、ユキヤナギの葉を20〜40℃(より好ましくは25〜35℃、さらにより好ましくは29〜31℃、最も好ましくは30℃)で、30分〜48時間(より好ましくは12〜36時間、さらにより好ましくは18〜24時間)乾燥させておくことが好ましい。このような乾燥処理を溶媒への浸漬前に行うことで、糸状緑藻増殖抑制効果がより高い抽出液を得ることができる。
本発明の増殖抑制剤に配合されるユキヤナギの葉及び/又はその抽出液の量の下限値は、ユキヤナギの葉によるアレロパシー活性を奏することができる量であれば特に限定されないが、増殖抑制剤に対して好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0010質量%以上、さらに好ましくは0.0050質量%以上含まれていてもよい。ユキヤナギの葉の量及び/又はその抽出液の配合量の上限値は、後述するミネラルを十分に配合できる量であれば特に限定されないが、増殖抑制剤に対して好ましくは80.00質量%以下、より好ましくは50.00質量%以下、さらに好ましくは10.00質量%以上含まれていてもよい。なお、増殖抑制剤にユキヤナギの葉が配合される場合、乾燥重量に換算した葉の量が上記の範囲内であればよい。増殖抑制剤にユキヤナギ葉抽出液が配合される場合、抽出液中の固形分含量が上記の範囲内であればよい。増殖抑制剤にユキヤナギの葉及びユキヤナギ葉抽出液が配合される場合、乾燥重量に換算した葉の量及び抽出液中の固形分含量の総量が上記の範囲内であればよい。
本発明の増殖抑制剤には、ユキヤナギの葉及びその抽出液のいずれかが配合されていればよく、その両方を配合してもよい。
(ミネラル)
本発明において用いられるミネラルは、カルシウム、マグネシウム、及びマンガンからなる群から選択される1種である。本発明者の検討の結果、これらのミネラルが、意外にもユキヤナギが有するアレロパシー活性を高めることが見出された。これらのミネラルのうち、カルシウム、及びマグネシウムが、ユキヤナギが有するアレロパシー活性を特に高められるという観点から好ましい。
ミネラルの形態は特に限定されないが、通常は塩(塩化物、硫酸塩、硝酸塩等)が用いられる。ミネラルの種類が同一であれば、異なる種類の塩を組み合わせて用いてもよい。例えば、本発明においては、硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウムを組み合わせて用いることができる。
ミネラルの塩としては、市販の試薬や、該塩を含む天然物(貝殻等)を用いることができる。
増殖抑制剤に配合されるミネラルの量の下限値は、ユキヤナギの葉によるアレロパシー活性を奏することができる量であれば特に限定されないが、増殖抑制剤に対して好ましくは0.00001質量%以上、より好ましくは0.00010質量%以上、さらに好ましくは0.00500質量%以上含まれていてもよい。ミネラルの量の上限値は、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液を十分に配合できる量であれば特に限定されないが、増殖抑制剤に対して好ましくは80.00質量%以下、より好ましくは50.00質量%以下、さらに好ましくは10.00質量%以上含まれていてもよい。なお、ミネラルの量は、ミネラルをイオン濃度に換算した値が上記の範囲内であればよい。
増殖抑制剤中のミネラルの含量は、化学分析又は電気伝導計による測定で特定する。
増殖抑制剤における、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液に対するミネラルの質量比(つまり、[ミネラルの質量]÷[ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液の質量]で特定される質量比)は、本発明の効果を奏しやすいという観点から、ミネラルがカルシウム、又はマグネシウムである場合は、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上である。ミネラルがマンガンである場合は、好ましくは0.0005以上、さらに好ましくは、0.001以上である。ミネラルの量は過度でなくとも本発明の効果は奏されやすいため、該質量比は、ミネラルがカルシウム、又はマグネシウムである場合は、好ましくは8.0以下、さらに好ましくは6.0以下である。ミネラルがマンガンである場合は、好ましくは0.008以下、さらに好ましくは、0.006以下である。なお、上記において、ミネラルの質量は、ミネラルをイオン濃度に換算した値である。ユキヤナギの葉の質量は、乾燥重量に換算した葉の量である。ユキヤナギ葉抽出液の質量は、抽出液中の固形分含量の量である。
(その他の成分)
本発明の増殖抑制剤には、上記成分(つまり、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液、並びにミネラル)のほか、これらの成分の作用を損なわない範囲で、任意の添加物が含まれていてもよい。このような添加物としては、培地、ビタミン、酸化防止剤、キレート剤、pH緩衝剤等が挙げられる。これらの添加物の種類や量は、得ようとする効果に応じて適宜設定できる。
(増殖抑制剤の製造方法)
本発明の増殖抑制剤の製造方法は特に限定されず、上記成分を適宜混合、撹拌等することで得られる。また、本発明の増殖抑制剤の剤型も特に限定されない。
(糸状緑藻)
本発明の増殖抑制剤によれば、糸状緑藻の増殖を効果的に抑制できる。糸状緑藻としては特に限定されないが、Klebsormidium sp.、又は、Stigeoclonium sp.、Spirogyra sp.、Ulothrix sp.、Microspora sp.等が挙げられる。これらのうち、本発明によれば、Klebsormidium sp.、又は、Stigeoclonium sp.の増殖を特に効果的に抑制でき、Klebsormidium sp.の増殖を最も効果的に抑制できる。糸状緑藻の増殖が抑制されたかどうかは、目視、顕微鏡観察や、実施例の方法を用いて評価できる。
<糸状緑藻の増殖抑制方法>
上記のとおり、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液と、特定のミネラルとの併用により、糸状緑藻の増殖を抑制できる。そのため、本発明によれば、これらの成分を閉鎖性水域に供給することで糸状緑藻の増殖を効果的に抑制できる。
閉鎖性水域とは、外部水域との間での水の出入りが少ない水域を指す。閉鎖性水域としては、湖沼、溜池、城濠、ビオトープ施設、水槽等が挙げられる。
ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液の、閉鎖性水域への供給量は、得ようとする増殖抑制効果の程度に応じて適宜設定できる。例えば、十分なアレロパシー活性を奏するために、水量1mに対してユキヤナギの葉及び/又はその抽出液を、好ましくは100g以上、さらに好ましくは200g以上供給してもよい。また、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液の供給量は過度でなくとも十分な効果を奏することができるため、好ましくは400g以下、さらに好ましくは300g以下供給してもよい。なお、ユキヤナギの葉を用いる場合、乾燥重量に換算した葉の量が上記の範囲内であればよい。ユキヤナギ葉抽出液を用いる場合、抽出液中の固形分含量が上記の範囲内であればよい。ユキヤナギの葉及びユキヤナギ葉抽出液を併用する場合、乾燥重量に換算した葉の量及び抽出液中の固形分含量の総量が上記の範囲内であればよい。
ミネラルの、閉鎖性水域への供給量は、得ようとする増殖抑制効果の程度に応じて適宜設定できる。例えば、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液によるアレロパシー活性を十分に高めるために、水量1mに対してミネラルを、好ましくは100g以上、さらに好ましくは200g以上供給してもよい。また、ミネラルの供給量は過度でなくとも十分な効果を奏することができるため、好ましくは400g以下、さらに好ましくは300g以下供給してもよい。なお、ミネラルの量は、ミネラルをイオン濃度に換算した値が上記の範囲内であればよい。なお、上記の配合量は、通常、藻類等の培養培地に配合されるミネラル量よりも過多である。
閉鎖性水域へ供給される、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液に対するミネラルの質量比(つまり、[ミネラルの質量]÷[ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液の質量])は、本発明の効果を奏しやすいという観点から、ミネラルがカルシウム、又はマグネシウムである場合は、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは、1.0以上である。ミネラルがマンガンである場合は、好ましくは0.0005以上、さらに好ましくは、0.001以上である。ミネラルの量は過度でなくとも本発明の効果は奏されやすいため、該質量比は、ミネラルがカルシウム、又はマグネシウムである場合は、好ましくは8.0以下、さらに好ましくは6.0以下である。ミネラルがマンガンである場合は、好ましくは0.008以下、さらに好ましくは、0.006以下である。なお、上記において、ミネラルの質量は、ミネラルをイオン濃度に換算した値である。ユキヤナギの葉の質量は、乾燥重量に換算した葉の量である。ユキヤナギ葉抽出液の質量は、抽出液中の固形分含量の量である。
ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液、並びに、上記ミネラルを、閉鎖性水域へ供給するに際しては、その順番は限定されず、これらを同時に供給してもよいし、一方を先に供給した後に他方を供給してもよい。
ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液、並びに、上記ミネラルを閉鎖性水域へ供給する方法は、これらの成分と閉鎖性水域中の水が接触できれば特に限定されないが、例えば、下記の方法が挙げられる。
(1)閉鎖性水域内に、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液、並びに、上記ミネラルを直接投入する。
(2)閉鎖性水域周辺にユキヤナギを植栽し、樹木からの落葉を利用し、閉鎖性水域中の水と、ユキヤナギの葉とを接触させる。かかる場合、閉鎖性水域中の水には落葉の前後、又は落葉中の任意のタイミングでミネラルを加える。
(3)閉鎖性水域の底部に、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液、並びに、上記ミネラルを詰めた孔部を有する容器(繊維製バッグ等)を設置する。
(4)閉鎖性水域に設けられた装置(濾過装置、ポンプ等)の一部に、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液、並びに、上記ミネラルを詰めた孔部を有する容器(繊維製バッグ等)を組み込み、閉鎖性水域内を循環する水と、これらの成分とを接触させる。
(5)ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液、並びに、上記ミネラルを入れた浮島を、閉鎖性水域の表面に浮遊させる。浮島は太陽電池等で稼働させて閉鎖性水域内を移動してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
以下の方法で、ユキヤナギ葉抽出液を作製し、該抽出液とミネラルとの併用による藻類の増殖に対する効果を評価した。
<ユキヤナギ葉抽出液の作製>
以下の方法で、ユキヤナギ葉抽出液を作製した。
(1)鉢で栽培しているユキヤナギの葉を摘み取り、−20℃、30℃、60℃、100℃の各温度で24時間、葉を乾燥させた。
(2)乾燥後、葉をすり鉢で粉砕した。
(3)葉の粉砕物を、加圧加熱殺菌処理済みの水道水に、室温(約20℃)で24時間、浸した。水道水の加圧加熱殺菌処理としては、高圧蒸気滅菌器(商品名「HA−300MIV」、株式会社平山製作所製)を用いて、121℃、15分間の処理を行った。
(4)水道水に浸した粉砕物を、卓上遠心器(商品名「H−103N」、株式会社コクサン製)を用いて、3000rpm、15分間遠心処理し、水と粉砕物とを分離させ、上澄み液を回収した。該上澄み液がユキヤナギ葉抽出液に相当する。
(5)得られた各上澄み液に、加圧加熱殺菌処理済みの水道水を加え、粉砕物(固形物)の濃度が50mg/mlになるように調整した。なお、−20℃で乾燥させた葉は十分に乾燥していなかったため、他の温度条件で乾燥させた葉の乾燥重量率を参考に換算を行い、適宜葉の添加量を増やし、粉砕物(固形物)の濃度が50mg/mlになるように調整した。
各ユキヤナギ葉抽出液を用いて糸状緑藻を培養したところ、30℃で乾燥させた葉から得られた抽出液が、最も高い糸状緑藻増殖抑制効果を示した。なお、乾燥温度については、30℃、15℃、60℃、100℃、−20℃の順で、得られたユキヤナギ葉抽出液の、糸状緑藻増殖抑制効果が低下していった。そこで、以下の試験では、30℃で乾燥させたユキヤナギの葉から得られた抽出液(粉砕物(固形物)濃度:50mg/ml)を用いて培養試験を行った。
<藻類を用いた培養試験>
以下の方法で、上記で得られたユキヤナギ葉抽出液及びミネラルの存在下で藻類を培養し、藻類増殖抑制効果を評価した。
(1)培養試験には、糸状緑藻及び付着珪藻を用いた。糸状緑藻としては、Klebsormidium sp.(株番号NIES−329、国立環境研分譲株)、Stigeoclonium sp.(独自単離株)を用いた。付着珪藻としては、Achnanthidium minutissimum(株番号NIES−71、国立環境研分譲株)を用いた。
(2)各藻類を、加圧加熱殺菌処理済みの培地を30mL充填した平底フラスコに入れ、20℃、照度4500lux、12時間の明暗周期で、恒温器内で培養した。各藻類は、30日間毎に培地交換し、30日間にわたって継代培養し、各藻類の藻体塊を得た。糸状緑藻及び付着珪藻の培養用培地の組成を、それぞれ表1及び2に示す。これらの培地に含まれる「P IV ミネラル混合液」の組成を表3に示す。以下、糸状緑藻の培養用培地を「C培地」ともいい、付着珪藻の培養用培地を「Csi培地」ともいう。
(3)上記で得られた藻体塊を、藻類増殖抑制効果の評価に供した。具体的には、12穴マルチウェルプレート(商品名「353043MULTIWELL」、FALCON社製)に、培地(4mL)、ユキヤナギ葉抽出液(0、50、100、又は200mg/L)、及びミネラル(カルシウム、マグネシウム、マンガン、カリウム、鉄)を表4に示す濃度に調整して加え、さらに各藻類を入れ、14日間培養した。培養は、水温20℃,照度4500lux、12時間の明暗周期で、恒温器内で行った。藻類は、藻体塊を1mm程度の大きさに剃刀で切断して用いた。なお、表4中に示されたミネラル濃度は、各ミネラルのイオン濃度を示し、括弧内はミネラルとして用いた塩を示す。
(4)培養後、各ウェル中の藻体塊を、培養液から直径24mmGFC濾紙(Whatman濾紙)にトラップした。この濾紙を、N,N−ジメチルホルムアミド液(5mL)を充填したガラス容器に浸し、2時間以上暗所に放置してからクロロフィル抽出を行った。(5)抽出した各クロロフィル液を、3500rpm、5分間遠心処理し、上澄み液を回収した。該上澄み液について、マイクロプレートリーダー(商品名「infinite m200」、TECAN社製)を用いて、クロロフィルa濃度(μg/L)を吸光法で定量した。なお、この方法は、西条八束、「クロロフィルの測定法」(陸水学雑誌、Vol.36、pp.103−109(1975))を参考に実施した。
(6)上記で特定したクロロフィルa濃度(μg/L)に基づき、以下の計算式によって、ユキヤナギ葉抽出液による藻類増殖抑制効果を算出した。
藻類増殖抑制効果(%)=100−((実施例のクロロフィルa濃度÷対照のクロロフィルa濃度)×100)
なお、上記式中、「実施例のクロロフィルa濃度」とは、表4中の「実施例」又は「参考例」に示された培地で培養した藻体塊を用いて得たクロロフィル液中のクロロフィルa濃度を示す。「対照のクロロフィルa濃度」とは、表4中の「実施例」又は「参考例」に対応する「対照」に示された培地で培養した藻体塊を用いて得たクロロフィル液中のクロロフィルa濃度を示す。例えば、実施例1−1の藻類増殖抑制効果は、100−((実施例1−1のクロロフィルa濃度)÷(対照1のクロロフィルa濃度)×100)を算出することで特定した。
Figure 2018188393
Figure 2018188393
Figure 2018188393
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図1の実施例に示されるとおり、ユキヤナギ葉抽出液は、糸状緑藻(Klebsormidium sp.)に対して、増殖抑制効果を示した。この効果は、ユキヤナギ葉抽出液とともに、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、又はマンガン)を併用すると増強された。ミネラルとしてカルシウム、又はマグネシウムを用いた場合、増殖抑制効果が安定的に増強された。
参考例1−5に示されるとおり、異なるミネラルを組み合わせて用いると、糸状緑藻の増殖抑制効果が認められなかった。そのため、ユキヤナギ葉抽出液による増殖抑制効果は、1種のミネラルを用いることで増強できることがわかる。
参考例1−6及び参考例1−7に示されるとおり、ミネラルとしてカリウムや鉄を用いると、糸状緑藻の増殖抑制効果が認められなかった。
糸状緑藻としてStigeoclonium sp.を用いた場合にも、Klebsormidium sp.を用いた場合と同様の傾向が認められた(図2)。
他方、図3に示されるとおり、糸状緑藻の代わりに付着珪藻を用いると、ユキヤナギ葉抽出液による増殖抑制効果は認められず、ミネラルとの併用による増殖抑制効果の増強も認められなかった。

Claims (9)

  1. ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液と、
    カルシウム、マグネシウム、及びマンガンからなる群から選択される1種のミネラルと、を含む、糸状緑藻の増殖抑制剤。
  2. 前記ミネラルは、カルシウム、又はマグネシウムである、請求項1に記載の増殖抑制剤。
  3. 前記ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液に対する前記ミネラルの質量比が0.5以上である、請求項2に記載の増殖抑制剤。
  4. 前記糸状緑藻は、Klebsormidium sp.又は、Stigeoclonium sp.である、請求項1から3のいずれかに記載の増殖抑制剤。
  5. ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液と、カルシウム、マグネシウム、及びマンガンからなる群から選択される1種のミネラルとを、閉鎖性水域に供給する、糸状緑藻の増殖抑制方法。
  6. 前記ミネラルは、カルシウム、又はマグネシウムである、請求項5に記載の増殖抑制方法。
  7. 前記閉鎖性水域に供給される、前記ユキヤナギの葉及び/又はその抽出液に対する前記ミネラルの質量比が0.5以上である、請求項6に記載の増殖抑制剤。
  8. 前記ミネラルは、前記閉鎖性水域における水量1mに対して、イオン濃度換算で100g以上供給される、請求項5から7のいずれかに記載の増殖抑制方法。
  9. 前記糸状緑藻は、Klebsormidium sp.、又は、Stigeoclonium sp.である、請求項5から8のいずれかに記載の増殖抑制方法。
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