JP2018184340A - 水素生成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、水素貯蔵材料であるアンモニアボランを用いて、低温で効率的に水素を生成する方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、金属水素化物とアンモニアボランとイオン液体とを混合することを特徴とする水素生成方法であり、例えば、金属水素化物として水素化リチウムを、イオン液体としてイミダゾリウムクロリド系イオン液体をそれぞれ用いることができ、これにより低温で効率的に水素を生成できることが可能になる。【選択図】図1

Description

本発明は、水素貯蔵材料であるアンモニアボランを用いた水素の生成方法に関する。
市販されている燃料電池車の燃料タンクには高圧水素が採用されているが、未だにコストや水素密度に課題を有する。高密度な水素貯蔵方法として、水素貯蔵材料が期待されており、その中でもアンモニアボラン(AB:NH3BH3)は、重量水素密度が非常に高く、注目されている。
しかしながら、このアンモニアボランは、熱分解時の多段階反応により水素生成速度が遅く、水素生成に伴い、アンモニア(NH3)、ジボラン(B26)、ボラジン(B336)などの人体や燃料電池に有害な不純ガス放出するという問題がある。
この改善策として、アンモニアボラン中の水素原子一個が金属原子に置換されたイオン結晶の金属アミドボラン(MAB:MNH2BH3)の熱分解や、アンモニアボランとイオン液体(IL)との混合が報告されており(非特許文献1及び2)、これらの方法によれば、不純物の抑制や反応速度の改善はある程度達成されている。
Wu, H., Zhou, W., Yildirim, T., (2008). Alkali and Alkaline-Earth Metal Amidoboranes: Structure, Crystal Chemistry, and Hydrogen Storage Properties, Journal of the American Chemical Society.130, 14834-14839 Himmelberger, D.W., Alden, L.R., Bluhm, M.E., et al. (2009). Ammonia Borane Hydrogen Release in Ionic Liquids, Inorganic Chemistry.48, 9883-9889
しかしながら、上記の方法は、いずれも水素生成速度や生成量が不十分であるという課題が依然として残っている。また、燃料電池車へ適用するためには、燃料電池の排熱温度60℃以下まで水素生成温度を低下させる必要があるが、短時間で水素を得ようとすると、90℃以上の温度が必要であるという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、水素貯蔵材料であるアンモニアボランを用いて、低温で効率的に水素を生成する方法を提供することにある。
本発明者は、アンモニアボランを用いた水素生成について研究する中で、金属水素化物とアンモニアボランとイオン液体と混合することにより、非加熱であっても効率的に水素を生成(放出)できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]金属水素化物とアンモニアボランとイオン液体とを混合することを特徴とする水素生成方法。
[2]90℃以下で混合することを特徴とする[1]記載の水素生成方法。 [3]非加熱で混合することを特徴とする[2]記載の水素生成方法。
[4]混合するイオン液体が、固体であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか記載の水素生成方法。
[5]イオン液体が、イミダゾリウム系イオン液体であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の水素生成方法。
[6]金属水素化物の金属が、第1族に属する金属であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか記載の水素生成方法。
本発明の水素生成方法は、低温であっても効率的に水素を生成することができる。
本発明の方法の予想される反応モデル及びイオン液体の役割を説明する図である。 本発明の方法に用いることが可能なイオン液体を構成する陽イオン及び陰イオンの例を示す図である。 本発明の実施例における試験の概念図である。 本発明の方法(90℃)の水素生成特性を示す図である。 本発明の方法(室温)の水素生成特性を示す図である。 本発明の実施例2−1の生成物のX線回折(XRD)プロファイルである。 各種イオン液体を用いた本発明の方法(室温)の水素生成特性を示す図である。 各種金属水素化物を用いた本発明の方法(室温)の水素生成特性を示す図である。 本発明の方法の温度に対する水素生成特性を示す図である。 本発明の方法の金属水素化物(LiH)比率に対する水素生成特性を示す図である。 本発明の方法のイオン液体(bmimCl)比率に対する水素生成特性を示す図である。 本発明の方法(60℃)の水素生成特性を示す図である。
本発明の水素生成方法(水素製造方法)は、金属水素化物とアンモニアボランとイオン液体とを混合することを特徴とする。すなわち、本発明の方法は、金属水素化物、アンモニアボラン及びイオン液体の少なくとも3種を原料として用い、これを混合することによって水素を生成する方法である。
本発明の方法では、以下の過程を経て効果的に水素が生成されると考えられる。なお、以下のメカニズムは、現段階で本発明者が推測しているものであり、本発明の権利範囲をなんら制限するものではない。
(1)アンモニアボラン(AB)とイオン液体(IL)の共晶融解
(2)金属水素化物(MH)とアンモニアボラン(AB)との反応による金属アミドボラン(MAB)の生成
(3)金属アミドボラン(MAB)とイオン液体(IL)のイオン交換によるイオン液体アミドボラン[IL+][NH2BH3 -](ILAB)の生成
(4)イオン液体アミドボラン(ILAB)及び金属アミドボラン(MAB)の分解
本発明の方法では、イオン液体(IL)が、(2)の過程における溶媒の役割、(3)の過程における反応体の役割、(4)の過程における水素生成体及び触媒の役割を果たしていると考えられる(図1参照)。
本発明の水素生成方法は、低温であっても効率的に水素を生成することができる。また、本発明の方法は、溶媒を用いることなく、混合という簡易な操作で水素を生成することができる。さらに、原料として、すべて常温で固体のものを用いることができるので、原料の取扱いや保存が容易である。
本発明の方法で用いる金属水素化物の金属としては、第1族に属する金属を挙げることができ、具体的には、Li、Na、K等を挙げることができる。
また、本発明の方法で用いるアンモニアボランは、空気中で安定な常温で白色の固体の物質であり、例えば、硫酸アンモニウムや塩化アンモニウムと、水素化ホウ素ナトリウムを反応させて合成することができる。
本発明の方法で用いるイオン液体としては、融点が100℃以下でイオン性を有するものであれば特に制限されるものではなく、融点が60℃以上のものが好ましい。これにより、比較的低温の条件下で、固体として取り扱え、反応に供することができる。
イオン液体の陽イオンとしては、イミダゾリウム系、ホスホニウム系、ピロリジニウム系、スルホニウム系、ピリジニウム系、アンモニウム系の陽イオンを挙げることができ(図2参照)、これらの中でも、イミダゾリウム系の陽イオンが好ましい。イミダゾリウム系陽イオンとしては、具体的に下記一般式で表されるものを例示することができる。
上記一般式において、R1〜R3は、それぞれアルキル基又は水素原子を表し、R2が水素原子であり、R1及びR3がアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、直鎖アルキル基であることが好ましく、また、炭素数1〜6の低級アルキル基であることが好ましい。また、イミダゾリウム系以外の陽イオンのN、P、S等の陽イオン元素と結合する基としては、上記R1〜R3と同様の基を挙げることができ、少なくとも1つの基は水素原子であることが好ましい。
イオン液体の陰イオンとしては、ハロゲン系、NTF2系(Bis(trifluoromethyl-sulfonyl)imide)、テトラフルオロボレート系、OTf系(Trifluoromethane-sulfonate triflate)、ヘキサフルオロホスホネート系、N(CN)2系(dicyanamide)の陰イオンを挙げることができ(図2参照)、これらの中でも、融点が60 ℃以上となるハロゲン系の陰イオンが好ましく、特に塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)が好ましい。
本発明の方法で用いるイオン液体としては、上記例示した陽イオン及び陰イオン等を適宜組み合わせて使用することができ、特に金属水素化物とアンモニアボランの反応を促進させるものを選択することが好ましい。例えば、イミダゾリウムクロリド系イオン液体が好適である。
本発明の水素生成方法における原料の混合方法は、3種の原料が均一に混合される態様であれば特に制限されるものではなく、例えば、(a)3種を同時に混合する方法や、(b)金属水素化物及びアンモニアボランの混合物とイオン液体とを混合する方法や、(c)アンモニアボラン及びイオン液体の混合物と金属水素化物とを混合する方法や、(d)金属水素化物及びイオン液体の混合物とアンモニアボランとを混合する方法を挙げることができる。
これらの中でも、より効率的に水素を生成することができる点から、(a)3種を同時に混合する方法、及び(b)金属水素化物及びアンモニアボランの混合物とイオン液体とを混合する方法が好ましく、(a)3種を同時に混合する方法が特に好ましい。
また、本発明の水素生成方法における原料の混合は非加熱で行うことができ、常温であることが好ましいが、必要に応じて冷却して行うことも可能である。なお、常温とは、特別な加熱や冷却をしていない状況での温度をいう。また、反応を促進させるために、原料の混合は加熱下で行ってもよく、加熱温度としては、90℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましい。90℃を超える温度にしても反応が促進効果は低く、また、60℃以下で混合を行うことにより、固体高分子型燃料電池車等への適用が可能となる。
各原料の混合割合としては、金属水素化物とアンモニアボランとの混合割合(モル比)が、0.8〜3.0:1であることが好ましく、0.9〜2.5:1であることがより好ましく、1.0〜1.5:1であることがさらに好ましい。また、アンモニアボランとイオン液体との混合割合(モル比)が、1.0〜30.0:1であることが好ましく、2.0〜20.0:1であることがより好ましく、4.0〜20.0:1であることがさらに好ましく、7.0〜10.0:1であることが特に好ましい。さらに、金属水素化物とアンモニアボランとイオン液体との混合割合[LiH:AB:IL](モル比)としては、4.0〜20.0:4.0〜20.0:1であることが好ましく、7.0〜10.0:7.0〜10.0:1であることがより好ましい。
[試料の準備]
(アンモニアボラン)
アンモニアボラン(AB)として、シグマアルドリッチ製のボラン−アンモニア錯体(純度97%)を用いた。
(金属水素化物)
金属水素化物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、及び水素化カリウム(いずれもシグマアルドリッチ製)を用いた。
(イオン液体)
イオン液体(IL)としては、以下の4種のイミダゾリウム系塩化物塩を用いた。
(1)EmimCl(1-ethyl-3-methylimidazolium Chloride):サーモフィッシャーサイエンティフィック製 Acros Organics、純度97%
(2)BmimCl(1-butyl-3-methylimidazolium Chloride):東京化成製、純度>98.0%
(3)mmmimCl(1,2,3-trimethylimidazolium Chloride):本件発明者が合成
(4)BmmimCl(1-butyl-2,3-dimethylimidazolium Chloride):サーモフィッシャーサイエンティフィック製 Acros Organics、純度不明
mmmimClは、クロロメタン−THF溶液(東京化成製、1mol/L)と1,2−ジメチルイミダゾール(東京化成製、純度>98%)を3〜7日撹拌し、乾固することで高純度かつ低水分試料を得た。一方、購入したイオン液体は水に溶かし、活性炭(関東化学製)と共に1日撹拌し、ろ過により得られたろ液を乾固することで脱色した。
これらのイオン液体は、使用前に活性炭で不純物を除去して高純度化した後に脱水処理を行い、水分量が100ppm以下であることを確認した。
(金属アミドボラン)
比較例としての金属アミドボラン(MAB)は、リチウムアミドボラン(LiAB)を用いた。
リチウムアミドボランは、THF中で、水素化リチウムとアンモニアボランを2:1で1時間撹拌し、ろ過した後にろ液を乾固することで合成した。得られた試料は、NMRにより高純度(90%以上)であることを確認した。
[実施例1]
本発明の実施例として、水素化リチウム(金属水素化物)とアンモニアボランとBmimCl(イオン液体)を用いて反応を行った。比較例として、リチウムアミドボランとBmimCl(イオン液体)を用いて反応を行った。具体的な操作は、以下のとおりである。試験の概念図を図3に示す。
アルゴン又は窒素を充填することで酸素・水分を排除したグローブボックス内において、予め体積を求めた金属製容器に撹拌子とイオン液体としてのBmimClを入れた。容器を横にして、水素化リチウムとアンモニアボラン、もしくはリチウムアミドボランを試薬同士が接触しないように入れ、容器を密閉じた。
水素化リチウム、アンモニアボラン及びBmimClの混合割合(モル比)は、7:7:3であった。また、リチウムアミドボラン及びBmimClの混合割合(モル比)は、7:3であった。
その後、容器をそのまま傾けずにグローブボックスから出し、容器に圧力計を接続し、ガス置換装置(真空ポンプとガス導入ラインが接続された装置)を用いて試料が飛散しないようゆっくりと容器内を真空引きし、1気圧の窒素ガスで置換する作業を3回置換し、最終的に窒素圧1気圧とした。さらに、容器外壁に温度センサーをアルミテープで密着させ、圧力計と温度センサーを記録用ロガーに接続した。
記録開始後、すぐに容器を倒立させ容器壁面に試料が残らないよう振動を与え試料を接触させ、スターラー上に設置した90℃に加熱したオイルバスに容器下部を浸しつつスターラーで撹拌しながら1日間ロガーで温度・圧力を測定した。測定後は、ヒーターを停止し、オイルの温度が室温に低下するまで待って容器を回収した。
測定後、ロガーで読み取った圧力変化と温度から、ジーベルツ法(PV=nRTを応用したガス定量法)を用いて生成(放出)された水素を定量した。
その結果を図4に示す。なお、図4では、反応開始から1時間までのグラフを示している。また、参考のため、リチウムアミドボラン(LiAB)の90℃における熱分解による水素生成の結果をあわせて示す。
図4のように、本発明の実施例に係る方法(LiH−AB−BmimCl)においては、90℃・1時間で2.2当量の水素を生成することに成功した。24時間では、約2.3当量の水素が生成された。一方、比較例に係る方法(LiAB−BmimCl)では、90℃・1時間で1当量程度の水素生成量であり、本発明の実施例に係る方法が優れた方法であることがわかる。また、生成されたガスの組成をGC−MSにより分析したところ、アンモニア、ジボラン、ボラジンのような不純物ガスは検出されなかったため、高純度な水素を90℃でも放出することが明らかとなった。
[実施例2]
続いて、実施例1と同様にして、室温での水素生成(7日間)の確認評価を行った。本実施例では、オイルバスを用いることなく、容器をスターラー上に固定し内容物を撹拌しながら反応を行った。
なお、本実施例においては、実施例1のように原料3種を同時に混合する方法(実施例2−1)だけでなく、予めアンモニアボランとBmimClを混合して液状とした後に水素化リチウムを混合する方法(実施例2−2)についても評価した。
その結果を図5に示す。
図5に示すように、本発明の実施例(2種)及び比較例の両者において、室温で水素を放出するという結果が得られた。比較例(LiAB−BmimCl)では7日間で、水素生成量は0.8当量であったが、本発明の実施例2−1(LiH−AB−BmimCl)における水素生成量は、比較例の2倍以上の約1.9当量であった。また、予めアンモニアボランとBmimClを混合した後に水素化リチウムを混合した実施例2−2(LiH−(AB−BmimCl))の水素生成量も約1.8当量であり、比較例の2倍以上の生成量であった。
なお、実施例2−2の場合、2段階で水素を放出し、試料を同時に混合した実施例2−2に比して少量であった。ただし、初期水素生成速度は逆の傾向となり、実施例2−2の方法の方が優れていた。
また、水素放出反応のメカニズムを解明するべく、実施例2−1の分解生成物を粉末X線回折(XRD)により分析したところ、LiClとLiHのみが観測された(図6参照)。これは、LiABとBmimClとのイオン交換反応により、イオン液体を陽イオンとしたアミドボラン化合物[Bmin+][NH2BH3 -]が水素放出中に生成したことを示唆している。この化合物は、XRDでは観測されなかったこと、水素放出反応が1当量以上進んでいることから、水素貯蔵材料として機能し、水素放出反応が進行したことによって高分子化したものと考えられる。
[実施例3]
続いて、実施例2においてイオン液体の種類を変更し、イオン液体の依存性について調査した。具体的に、bmimClに加えて、emimCl、bmmmimCl、mmimClを用いた実験を行った。その結果を図7に示す。
図7に示すように、水素生成量(アンモニアボランに対する水素放出当量)は、mmmimCl<bmmimCl≪bmimCl<emimClとなり、bmimCl及びemimClの群と、bmmimCl及びmmmimClの群との間で、水素生成量に大きな差が見られた。すなわち、構造式のR2がアルキル基のものよりも、R2が水素原子の酸性度の高いイオン液体の方が好ましいという結果が得られた。
[実施例4]
続いて、実施例2において金属水素化物の金属の種類を変更し、その依存性について調査した。具体的に、水素化リチウムに代えて、水素化ナトリウム及び水素化カリウムを用いた実験を行った。その結果を図8に示す。
図8に示すように、水素生成量(アンモニアボランに対する水素放出当量)は、LiH>NaH>KHであった。一方、1当量の水素放出時間は、NaH>KH>LiHとなり、最も遅いLiHでは11時間であったが、KHでは100分、NaHでは1分という非常に優れた性能を示した。
[実施例5]
反応温度を室温、40℃、60℃、90℃として、実施例1と同様に水素生成試験を行い、水素生成量(総水素放出量[質量%])の確認評価を行った。その結果を図9に示す。
図9に示すように、反応温度90℃の場合が最も水素生成量が多かったが、40℃や60℃の場合にも十分に高い水素生成量を示した。
[実施例6]
原料の比率を変化させ、LiH−AB−bmimClの水素生成特性(総水素放出量[質量%])を調査した。本実施例においては、アンモニアボラン(AB)及びイオン液体(bmimCl)の配合量を一定とし、金属水素化物(LiH)の配合比率を変化させた。その結果を図10に示す。
図10に示すように、LiH:AB:bmimClが、7:7:3(LiH:AB=5:5)及び16.3:7:3(LiH:AB=7:3)の場合、水素生成量が多かった。LiH量の増加により頻度因子が大きくなるため反応速度が向上するものの、LiHはABのモル数以上は反応しないと考えられることから、水素放出に最適なLiH:AB比率は、原料が過不足なく消費されるLiH:AB=5:5程度であると考えられる。
[実施例7]
実施例6と同様に、原料の比率を変化させ、LiH−AB−bmimClの水素生成特性(総水素放出量[質量%])を調査した。本実施例においては、アンモニアボラン(AB)に対するイオン液体(bmimCl)の配合比率を変化させた。なお、LiHは、ABと同じ量とした。その結果を図11に示す。
図11に示すように、LiH:AB:bmimClが、9.5:9.5:0.5(AB:bmimCl=19:1)の場合、最も水素生成量が多かった。また、LiH:AB:bmimClが、9:9:1(AB:bmimCl=9:1)の場合も同様に、水素生成量が多かった。
[実施例8]
反応温度を室温から60℃に変更して、実施例7と同様にして水素生成特性(総水素放出量[質量%])を調査した。なお、原料としては、LiH:AB:bmimCl(7:7:3、8:8:2及び9:9:1)、並びにLiH:AB:emimCl(9:9:1)を用いた。その結果を図12に示す。
図12に示すように、室温の場合と同様、LiH:AB:IL=9:9:1の場合、水素生成量が多く、この比率でイオン液体(IL)としてemimClを用いた場合に最もよい結果が得られた。
以上の実施例の結果から、LiH:AB:emimCl=9:9:1の比率で、原料3種を同時に60℃で混合して反応させることが最も好ましいと考えられる。
本発明の水素生成方法は、低温であっても効率的に水素を生成することができ、ポータブル燃料電池充電器や燃料電池車等など分散型電源への応用が期待されるものであり、産業上有用である。

Claims (6)

  1. 金属水素化物とアンモニアボランとイオン液体とを混合することを特徴とする水素生成方法。
  2. 90℃以下で混合することを特徴とする請求項1記載の水素生成方法。
  3. 非加熱で混合することを特徴とする請求項2記載の水素生成方法。
  4. 混合するイオン液体が、固体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素生成方法。
  5. イオン液体が、イミダゾリウム系イオン液体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の水素生成方法。
  6. 金属水素化物の金属が、第1族に属する金属であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の水素生成方法。
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