JP2018180047A - 液体レンズ、液体レンズを備えた眼鏡および光学装置 - Google Patents

液体レンズ、液体レンズを備えた眼鏡および光学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 実現性の高い液体レンズ、液体レンズを備えた眼鏡および光学装置を提供する。【解決手段】 前側部材11と後側部材13の間に形成される液槽部14において、前側部材11と後側部材13の間に熱可塑性樹脂からなるフィルム12が積層されたレンズ体10と、液槽部14において前側部材11とフィルム12に挟まれた第1の密閉空間に充填される第1の液体と、第1の液体とは異なる屈折率を有し、液槽部14においてフィルム12と後側部材13に挟まれた第2の密閉空間に充填される第2の液体と、液槽部14内の各液体の量を調整する液量調整手段とを備え、第1の液体および第2の液体が、25℃における動粘度100mm2/s以下の液体とする。【選択図】図1

Description

本発明は、レンズ体内の液槽部に異なる屈折率の液体を充填することでレンズの屈折力を調整可能な液体レンズと、この液体レンズを備えた眼鏡および光学装置に関するものである。
高齢者用の老視に対応する眼鏡として、老眼鏡が実用化されている。このうち、単焦点レンズを用いた老眼鏡では、手元以外を見る時には眼鏡を掛け替える必要がある。また、三焦点以上の複数の焦点を有する累進力レンズを用いた老眼鏡では、1枚のレンズに遠距離視認領域、中距離視認領域、および近距離視認領域などの複数の領域を持たせているため、各領域の縦方向の視野幅が狭くなるとともに、レンズ左右位置に画像のゆがみが生じやすくなってしまう。
一方、二焦点レンズは、各領域の視認範囲が累進力レンズに比べて広いため実用性が高いが、異なる2つの距離の視認領域の境界が不連続であり、機能上および見掛け上好ましくないという欠点があり、近年では余り使用されなくなった。そのため、現在は累進力レンズを用いて遠距離視認領域と中距離視認領域を組み合わせた老眼鏡と、中距離視認領域と近距離視認領域を組み合わせた老眼鏡の2つの老眼鏡を使い分けるユーザーが多いが、この場合だと2つの老眼鏡を掛け替えなければならないため不便であるとともに、眼鏡にかかる費用が高額となる。
このような問題を解消するため、特許文献1では、レンズ体内の液槽部に異なる屈折率の液体を充填することでレンズの屈折力を調整可能な液体レンズ(可変焦点レンズ)が提案されている。
実公昭58−22161号公報
特許文献1の液体レンズは、前側部材と後側部材の間に形成される液槽部において、前側部材と後側部材の間に可撓性の透明膜が積層されたレンズ体と、液槽部において前側部材と透明膜に挟まれた前方密閉空間に充填される低屈折液と、液槽部において透明膜と後側部材に挟まれた後方密閉空間に充填される高屈折液と、前方密閉空間に充填する低屈折液の量および後方密閉空間に充填する高屈折液の量を調整する液量調整手段とを備え、液槽部内における低屈折液の量および高屈折液の量を調整することで、レンズの屈折力を調整可能としたものであるが、この液体レンズについて実用的な耐久性や安全性を持たせた上で実現するためには、液槽部内において2つの密閉空間を隔絶する透明膜、低屈折液、および高屈折液の物理特性が極めて重要となる。しかしながら、特許文献1では、これらについての具体的な開示が全くなされておらず、実現性に乏しい内容であった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、実現性の高い液体レンズ、液体レンズを備えた眼鏡および光学装置を提供することを目的とするものである。
本発明の液体レンズは、前側部材と後側部材の間に形成される液槽部において、前側部材と後側部材の間に熱可塑性樹脂からなるフィルムが積層されたレンズ体と、液槽部において前側部材とフィルムに挟まれた第1の密閉空間に充填される第1の液体と、第1の液体とは異なる屈折率を有し、液槽部においてフィルムと後側部材に挟まれた第2の密閉空間に充填される第2の液体と、第1の密閉空間に充填する第1の液体の量、および第2の密閉空間に充填する第2の液体の量を調整する液量調整手段とを備え、第1の液体および第2の液体が、25℃における動粘度100mm/s以下の液体であることを特徴とする。
本発明の液体レンズにおいては、第1の液体および/または第2の液体が、25℃における動粘度75mm/s以下の液体であることが好ましく、25℃における動粘度50mm/s以下の液体であることがより好ましい。
また、フィルムが、フッ素系フィルムであることが好ましい。
また、液槽部の断面形状が、凸レンズ形状または正メニスカスレンズ形状であることが好ましい。ここで、「凸レンズ形状」とは、両凸レンズ形状に限らず、平凸レンズ形状を含むものである。
また、第1の液体および/または第2の液体が、シリコンオイルからなることが好ましい。
また、第1の液体の屈折率と第2の液体の25℃における屈折率の差が、0.1以上であることが好ましい。
また、第1の液体および第2の液体のうち、一方がジメチル系シリコンオイルであり、他方がメチルフェニル系シリコンオイルであることが好ましい。
また、フィルムが、引張伸度100%以上のフィルムであることが好ましい。ここで、「引張伸度」とは、短冊状の試料を破断するまで引っ張り、試料が破断した時点でのフィルムの伸び率を計算したものである。引張伸度100%とは、試料の初期長さの2倍の長さに伸びた状態を意味する。
また、フィルムが、ガラス転移点温度100℃以上のフィルムであることが好ましい。
また、レンズ体における液槽部の領域の像と液槽部以外の領域の像が連続的になるように、前側部材の前面および/または後側部材の後面の曲率を部分的に変化させていることが好ましい。
本発明の眼鏡は、上記本発明の液体レンズを備えてなることを特徴とする。
本発明の光学装置は、上記本発明の液体レンズを備えてなることを特徴とする。
本発明によれば、レンズ体内の液槽部に異なる屈折率の液体を充填することでレンズの液槽部部分のレンズパワーを調整可能な液体レンズにおいて、液槽部内に配されるフィルムおよび液槽部内に充填される屈折率が異なる2種類の液体に関して、具体的な物理特性を見出したため、実現性の高い液体レンズと、この液体レンズを備えた眼鏡および光学装置を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる眼鏡の概略構成図 上記眼鏡における液体レンズの断面図 上記眼鏡における液体レンズの断面図 上記眼鏡における液体レンズの断面図 本発明の一実施例にかかる液体レンズの断面図 上記液体レンズの断面図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる眼鏡の概略構成図、図2〜4は、上記眼鏡における液体レンズの断面図(図1におけるII−II線断面図)である。
図1に示すように、本実施形態の眼鏡1は、老眼鏡として用いるものであり、眼鏡フレーム20に本実施形態の液体レンズが取り付けられたものである。
本実施形態の液体レンズは、前側部材11と後側部材13の間に形成される液槽部14において、前側部材11と後側部材13の間に熱可塑性樹脂からなるフィルム12が積層されたレンズ体10と、液槽部14において前側部材11とフィルム12に挟まれた前方密閉空間(第1の密閉空間)に充填される低屈折液(第1の液体)40と、液槽部14においてフィルム12と後側部材13に挟まれた後方密閉空間(第2の密閉空間)に充填される高屈折液(第2の液体)41と、前方密閉空間に充填する低屈折液40の量および後方密閉空間に充填する高屈折液41の量を調整する液量調整手段とを備えている。なお、必ずしも前方密閉空間に低屈折液を充填し、後方密閉空間に高屈折液を充填する必要はなく、これとは逆に、前方密閉空間に高屈折液を充填し、後方密閉空間に低屈折液を充填するようにしてもよい。
前側部材11および後側部材13は、一般的に眼鏡用レンズに使用されるガラスやプラスチックなどが使用可能である。
レンズ体10の液槽部14は、一般的な老眼鏡に用いる二焦点レンズと同様に、レンズ体の下半分の中心部付近に形成されている。液槽部14の形状は円形に構成されている。レンズ体10の液槽部14以外の部分は、通常の単焦点の眼鏡と同様、中距離から遠距離視認領域として構成されている。また、レンズ体10の液槽部14部分は、液槽部14に充填する2種類の液体の量を調整して液槽部14におけるレンズパワー(屈折力)を変更することで、他の部分と同様に中距離から遠距離視認領域として使用するか、近距離視認領域として使用するかを変更できるように構成されている。
液量調整手段は、前方密閉空間に充填する低屈折液40の量および後方密閉空間に充填する高屈折液41の量を調整可能な構成であればどのような構成としてもよいが、一例として、具体的には、前方密閉空間に対して前方流路15および送液チューブ31を介して接続された第1シリンダー30と、後方密閉空間に対して後方流路16および送液チューブ33を介して接続された第2シリンダー32とから構成されている。第1シリンダー30内には低屈折液40が充填されており、第2シリンダー32内には高屈折液41が充填されている。第1シリンダー30は眼鏡フレーム20のレンズ枠21の上部に取り付けられており、第2シリンダー32は眼鏡フレーム20のつる22に取り付けられている。
図2に示すように、第1シリンダー30から液槽部14に低屈折液40を送出することにより、第2シリンダー32において高屈折液41が流入すると、液槽部14内のフィルム12が後側部材13側に撓み、液槽部14内全体に低屈折液40が充填される。これにより、液槽部14におけるレンズパワーを低くすることができ、液槽部14を中/遠距離視認領域として使用することが可能となる。
逆に、図3に示すように、第2シリンダー32から液槽部14に高屈折液41を送出することにより、第1シリンダー30において低屈折液40が流入すると、液槽部14内のフィルム12が前側部材11側に撓み、液槽部14内全体に高屈折液41が充填される。これにより、液槽部14におけるレンズパワーを高くすることができ、液槽部14を近距離視認領域として使用することが可能となる。
上記の様な液体レンズでは、レンズ体10内に形成される前方流路15および後方流路16が太いとこれら流路部分が目立って眼鏡1の視認性が低下するため、前方流路15および後方流路16についてはできるだけ細い方が好ましい。
また、送液チューブ31、33は、太いと重量や体積の増加を招いてしまう。また眼鏡フレーム20に液体レンズを取り付ける際にも、送液チューブ31、33を眼鏡フレーム20に隠すのが困難になり、送液チューブ31、33が目立ってしまうという問題も生じる。従って、送液チューブ31、33についてもできるだけ細い方が好ましい。
上記の様な液体レンズを製作する場合、液槽部14中の空気を抜きながら低屈折液40および高屈折液41を、レンズ体10および液量調整手段に充填する必要があるため、液体注入用のノズルの径を細くする必要があるが、液体の粘度が高いと、径の細いノズルで液体を注入する事ができない。
また、液体レンズの完成状態において、液槽部14に対する低屈折液40および高屈折液41の移動の際にも、液体の粘度が高いと、第1シリンダー30または第2シリンダー32の液体送出時の圧力を高くしなくてはならないため、継手部分からの液体漏れや、操作時に強い力が必要となって、操作感が低下するおそれがある。
従って、本実施形態の液体レンズにおいて、低屈折液40および高屈折液41としては、25℃における動粘度100mm/s以下の液体が用いられる。これにより、上記の問題を解消することができる。なお、低屈折液40および/または高屈折液41としては、25℃における動粘度75mm/s以下の液体であることが好ましく、25℃における動粘度50mm/s以下の液体であることがより好ましい。
低屈折液40として用いる液体としては、水やメチルアルコールが挙げられるが、眼鏡1に使用する事を考えると、水は0℃で凍結し、メチルアルコールは65℃で沸騰するため、寒冷地の屋外や、サウナ風呂においてはこれらの温度条件を越えてしまい、眼鏡1の破損などを招くおそれがある。
また、高屈折液41として用いる液体としては、ジヨードメタン、ブロモナフタレン、アニリンなどの有機溶媒が挙げられるが、眼鏡1が破損したときなどに、これらの液体が誤って目に入ると好ましくない。
以上のことから、液体レンズを眼鏡1に組み込む場合には、無色透明で、物質として安定しており、使用環境温度の範囲が広く、人体に対して安全な液体を選択する必要があり、これらの条件を満足するのは、シリコンオイルとなる。従って、低屈折液40および/または高屈折液41は、シリコンオイルからなることが好ましい。
本実施形態の眼鏡1を老眼鏡として使用する場合、近距離視認領域としては、少なくとも+2〜+3D(ディオプター)か、可能であればそれ以上のレンズパワーが要求される。ここで、低屈折液40と高屈折液41の屈折率の差が小さいと、中/遠距離視認領域として使用する場合と近距離視認領域として使用する場合でレンズパワー差を大きくすることが困難となる。液槽部14の曲率半径を小さくして厚みを厚くすれば高いレンズパワーを得ることができるが、レンズ容量が大きくなるとともに使用液体量が増えるため大きなシリンダーが必要となり、眼鏡フレーム20の体積および重量が増加して、眼鏡としての商品性が低下してしまう。
眼鏡1を老眼鏡として使用する場合の液槽部14の直径は少なくとも16mm程度またはそれ以上が必要であり、実装上の点から液槽部14に充填する液体容量を200mm以下に抑えると、低屈折液40と高屈折液41の25℃における屈折率の差は、0.1以上であることが好ましく、0.12以上であればより好ましい。これにより、液体レンズを肥大化させることなく、中/遠距離視認領域として使用する場合と近距離視認領域として使用する場合で、レンズパワー差を大きくすることが可能となる。
シリコンオイルでこの屈折率差を実現するためには、例えば、低屈折液40としてジメチル系シリコンオイル(屈折率:1.403)を使用し、高屈折液41としてメチルフェニル系シリコンオイル(屈折率:1.505)を使用すればよい。
熱可塑性樹脂からなるフィルム12については、ガラスやプラスチックなどから形成されている前側部材11および後側部材13と同等の可視光透過率が要求されるため、可視光透過率が90%以上のフィルムであることが好ましい。また、曲率を持った前側部材11および後側部材13にしわが発生しないように接着でき、かつ、液槽部14内で隔壁としてしわを発生させずに移動させるためには、少なくとも引張伸度100%以上のフィルムであることが好ましい。また、高温の耐久性としては、ガラス転移点温度100℃以上のフィルムであることが好ましい。
また、フィルム12については、上記の様な可視光透過率、機械的強度、および高温耐久性だけでなく、界面反射低減のため、屈折率が前側部材11、後側部材13、低屈折液40、および高屈折液41に近いことが要求される。
また、液体レンズ用のフィルムとして、シリコンゴムなどのエラトマー膜を使用する例があるが、液槽部14に充填する液体としてシリコンオイルを使用すると、ゴムがシリコンオイルを吸収して膨潤し、弾性膜として機能しなくなる場合があるため、使用するシリコンオイルと親和性の無い(シリコンオイルの吸収がない)熱可塑性樹脂からなるフィルム素材を選択する必要がある。
フィルム12についての上記の要求を全て満たす素材としてはフッ素系フィルムが挙げられるため、フィルム12はフッ素系フィルムにより構成することが好ましい。
また、液槽部14の断面形状は、本実施形態(図2および図3)で示しているような正メニスカスレンズ形状、または後述の実施例(図5および図6)で示しているような凸レンズ形状であることが好ましい。このような断面形状とすることで、図2(または図5)に示すように液槽部14内に低屈折液40を充填した場合、および図3(または図6)に示すように液槽部14内に高屈折液41を充填した場合のいずれの場合においても、フィルム12が前側部材11または後側部材13に密着するため、液槽部14内においてフィルム12が不規則に歪むことがなくなり、レンズの品質を向上させることができる。また、液槽部14内の液体を完全に入れ替えることができるため、中/遠距離視認領域として使用する場合と近距離視認領域として使用する場合でレンズパワー差を大きくすることが容易となる。
本実施形態の液体レンズにおいて、前側部材11および後側部材13をガラスにより構成した場合には、これらの屈折率は1.50〜1.90程度となる。前側部材11および後側部材13をプラスチックにより構成した場合には、これらの屈折率は1.52〜1.76程度となる。低屈折液40および高屈折液41としてシリコンオイルを用いる場合、高屈折液41の屈折率は大きくとも1.58程度で、通常はそれ以下である。そのため、上記の通り、低屈折液40と高屈折液41の25℃における屈折率の差を0.1以上とすると、低屈折液40の屈折率は必ず周囲の材料より低いものとなる。
液槽部14の断面形状を凸レンズ形状または正メニスカスレンズ形状とした場合、液槽部14内に周囲より屈折率の低い液体を充填すると、空気中の負レンズを通して見るように画角が縮小されて見える。逆に、液槽部14内に周囲より屈折率の高い液体を充填すると、空気中の正レンズを通して見るように画角が拡大されて見える。
このように、液槽部14内に充填されている液体の屈折率と、液体周囲の材料の屈折率との間に差があると、レンズ体10における液槽部14の領域の像と液槽部14以外の領域の像が不連続となってしまう。
そのため、レンズ体10における液槽部14の領域の像と液槽部14以外の領域の像が連続的になるように、前側部材11の前面および/または後側部材13の後面の曲率を部分的に変化させていることが好ましい。図4にその一例を示す。図4では、後側部材13の後面において、液槽部14の領域に液槽部14以外の領域との曲率を変えた曲率変更部17を設けることにより、液槽部14以外の領域のパワーと比較し、液槽部14に低屈折液40を充填したことによる液槽部14のパワーの目減り分を補うようにしている。これにより、液槽部14に低屈折液40を充填したときの、レンズ体10における液槽部14の領域の像と液槽部14以外の領域の像が連続的になるように構成している。なお、像を連続的にするための方法については、上記のような曲率差によるものに限らず、レンズ体10を構成する各部材の屈折率を部分的に変化させるなど、他の方法を取ることができる。
[実施例]
次に、本発明の眼鏡の実施例について説明する。図5、6は本発明の一実施例にかかる液体レンズの断面図である。
(1)まず、ポリカーボネート材(屈折率:1.586)を用いた射出成型にて、直径70mmの前側部材111および後側部材113を作成した。前側部材111および後側部材113を合せた状態で、レンズ体110全体の断面形状が負メニスカスレンズ形状になるように構成して、近視矯正が可能な形状とした。前側部材111の前面の曲率を300mm、後側部材113の後面の曲率を110mmとすることで、近視眼−3.5D(ディオプター)の矯正を行った。前側部材111と後側部材113との間に、直径20mmの凸レンズ形状となる液槽部114を構成し、それに繋がる流路115、116を構成した。前側部材111と後側部材113の接合面の曲率を300mmとした。低屈折率のシリコンオイル140と高屈折率のシリコンオイル141の屈折率差を0.15とし、液槽部114におけるレンズパワーを+3.0D(ディオプター)とする場合、液槽部114における前側部材111側および後側部材113側の曲率は約100mmとなり、液槽部114の厚みは約1mmとなる。後側部材113の後面の曲率について、液槽部114の後面部分(曲率変更部117)は周囲の110mmではなく約1280mmとし、低屈折率のシリコンオイル140を充填した状態で、周囲と同様の−3.5D(ディオプター)の矯正機能を持ったレンズとして働くようにした。
(2)次に、後側部材113の液槽部114部分を除く接着面に、紫外線硬化型接着剤(電気化学工業(株):OP−1030Z)を塗布する。次に、フィルム112として、一定のテンションで張られた透明フッ素樹脂フィルム(旭硝子:アフレックス(ETFE)、厚み25μm)を接着し、周囲の不要フィルムを切除する。次に、前側部材111の液槽部114部分を除く接着面に、同紫外線硬化型接着剤を塗布し、フィルム112接着済の後側部材113と接着する。
(3)完成したレンズ体110を眼鏡フレームのレンズ枠に入る大きさに機械加工する。液槽部114における前側部材111とフィルム112の間に低屈折率のシリコンオイル(信越化学工業(株):KF−96−10cs)140を注射器で注入する。レンズ外周部の流路口に継手を差し込み接着し、チューブ(塩化ビニル製)131を継手と接続し、チューブ131内も同シリコンオイル140で満たす。単動シリンダー130の約半分まで同シリコンオイル140を入れ、チューブ131と接続する。なお、途中に空気が入らない様、これらの作業は、同シリコンオイル140のバスの中で行った。また、液槽部114におけるフィルム112と後側部材113の間に高屈折率のシリコンオイル(信越化学工業(株):HIVAC-F4)141を注入し、上記と同様に、チューブ133、シリンダー132と接続した。
(4)そして、眼鏡の左右のレンズ枠の各々について、上記のレンズ体110をレンズ枠にはめ込み、チューブ131をレンズ枠内にはめ込みながら1個のシリンダー130をレンズ枠上部に設置した。また、もう一方のチューブ133をレンズ枠内にはめ込みながら、シリンダー132をつるの中に配置した。このような構成とすることで、レンズ枠上部に配置したシリンダー130を操作する事により、つる内に配置したシリンダー132も連動して動き、液槽部114内に充填される液体について低屈折率のシリコンオイル140と高屈折率のシリコンオイル141を入れ替えることができるため、液槽部114におけるレンズパワーを変更することができる。
以上、本発明の眼鏡および液体レンズの好ましい実施形態および実施例について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、眼鏡のレンズ形状については、上記のような老眼鏡用のレンズ形状に限らず、レンズ体全体や液槽部部分において、近視、遠視、乱視の矯正機能を持たせるようにしてもよい。
また、レンズ体の液槽部内の充填する低屈折液と高屈折液とを完全に入れ替えるのではなく、段階的に入れ替えるようにして、累進力レンズの機能を持たせるようにしてもよい。
また、レンズ体の液槽部の形状についても、円形に限らず楕円形としてもよい。
また、レンズ体の液槽部の数についても、1つに限らず、複数形成してもよい。
液体レンズを組み合わせるものとしては、上記の眼鏡に限らず、例えばカメラなど、レンズを備える光学装置であれば、どのようなものに組み合わせてもよい。
1 眼鏡
10、110 レンズ体
11、111 前側部材
12、112 フィルム
13、113 後側部材
14、114 液槽部
15、115 前方流路
16、116 後方流路
17、117 曲率変更部
20 眼鏡フレーム
21 レンズ枠
22 つる
30、130 第1シリンダー
31、131 送液チューブ
32、132 第2シリンダー
33、133 送液チューブ
40、140 低屈折液(第1の液体)
41、141 高屈折液(第2の液体)

Claims (13)

  1. 前側部材と後側部材の間に形成される液槽部において、前記前側部材と前記後側部材の間に熱可塑性樹脂からなるフィルムが積層されたレンズ体と、
    前記液槽部において前記前側部材と前記フィルムに挟まれた第1の密閉空間に充填される第1の液体と、
    前記第1の液体とは異なる屈折率を有し、前記液槽部において前記フィルムと前記後側部材に挟まれた第2の密閉空間に充填される第2の液体と、
    前記第1の密閉空間に充填する前記第1の液体の量、および前記第2の密閉空間に充填する前記第2の液体の量を調整する液量調整手段とを備え、
    前記第1の液体および前記第2の液体が、25℃における動粘度100mm/s以下の液体である
    ことを特徴とする液体レンズ。
  2. 前記第1の液体および/または前記第2の液体が、25℃における動粘度75mm/s以下の液体である
    請求項1記載の液体レンズ。
  3. 前記第1の液体および/または前記第2の液体が、25℃における動粘度50mm/s以下の液体である
    請求項1または2記載の液体レンズ。
  4. 前記フィルムが、フッ素系フィルムである
    請求項1から3のいずれか1項記載の液体レンズ。
  5. 前記液槽部の断面形状が、凸レンズ形状または正メニスカスレンズ形状である
    請求項1から4のいずれか1項記載の液体レンズ。
  6. 前記第1の液体および/または前記第2の液体が、シリコンオイルからなる
    請求項1から5のいずれか1項記載の液体レンズ。
  7. 前記第1の液体の屈折率と前記第2の液体の25℃における屈折率の差が、0.1以上である
    請求項1から6のいずれか1項記載の液体レンズ。
  8. 前記第1の液体および前記第2の液体のうち、一方がジメチル系シリコンオイルであり、他方がメチルフェニル系シリコンオイルである
    請求項1から7のいずれか1項記載の液体レンズ。
  9. 前記フィルムが、引張伸度100%以上のフィルムである
    請求項1から8のいずれか1項記載の液体レンズ。
  10. 前記フィルムが、ガラス転移点温度100℃以上のフィルムである
    請求項1から9のいずれか1項記載の液体レンズ。
  11. 前記レンズ体における前記液槽部の領域の像と前記液槽部以外の領域の像が連続的になるように、前記前側部材の前面および/または前記後側部材の後面の曲率を部分的に変化させている
    請求項1から10のいずれか1項記載の液体レンズ。
  12. 請求項1から11のいずれか1項記載の液体レンズを備えてなる
    ことを特徴とする眼鏡。
  13. 請求項1から11のいずれか1項記載の液体レンズを備えてなる
    ことを特徴とする光学装置。
JP2017074410A 2017-04-04 2017-04-04 液体レンズ、液体レンズを備えた眼鏡および光学装置 Pending JP2018180047A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020238476A1 (zh) * 2019-05-27 2020-12-03 维沃移动通信有限公司 增强现实眼镜
WO2024019071A1 (ja) * 2022-07-19 2024-01-25 ホヤ レンズ タイランド リミテッド 眼鏡レンズの設計方法、眼鏡レンズの製造方法、眼鏡レンズ及び眼鏡
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