以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図8に、本発明に係る三次元形状の計測方法の実施形態の一例を示す。本実施形態の三次元形状の計測方法は、複数の位置認識用ターゲット2とこれら複数の位置認識用ターゲット2が取り付けられると共に位置認識用ターゲット2同士の間に空隙5が形成されているターゲット支持体3とを有する位置標定具1が計測対象物の表面へと取り付けられて設置され(S1−1)、計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に位置標定具1の位置認識用ターゲット2と計測対象物の表面へと照射された計測光とが一対の受光部で撮影され(S1−4)、一対の受光部で撮影された計測光から計測対象物の表面の形状が認識される(S1−5,S1−6)ようにしている。
ここで、本発明が用いられて三次元形状の計測が行われる計測の対象(「計測対象物」という)は、特定のものに限定されるものではなく、例えば、建物等の建築構造物,プラント等の機械構造物,車両等の製品,配管等の構成部材や部品などが挙げられる。
《計測手段》
計測手段は、例えば三角測量法を測定原理とし、計測対象物へと向けてレーザ等の計測光を照射すると共に当該計測光が計測対象物の表面で反射した反射光を検出することによって得られるデータを用いて三次元形状を計測する(言い換えると、計測対象物の表面の三次元形状に関するデータを取得する)非接触式の計測器である。
三角測量法は、計測対象物へと向けて照射されたレーザ等の光が反射してレンズを通してCCD(Charge Coupled Device の略;電荷結合素子)などに結像されるときの結像位置の情報を基に点群データ(即ち、対象物表面の座標データ)を取得する手法であり、結像位置は対象物までの距離によって異なることを利用して結像位置から対象物までの距離を幾何学的に算出する手法である(例えば、吉澤徹「最新光三次元計測」,朝倉書店,2006年)。
計測手段は、光照射部と、相互に離間して配設される一対の受光部とを有し、前記一対の受光部がステレオカメラを構築するように構成される。光照射部及び一対の受光部は、例えば、相互に離間して配設される一対の受光部の間に光照射部が配置され、一方の受光部,光照射部,及び他方の受光部の順に一列に並んで配置されることが考えられる。
光照射部は、例えば半導体レーザなどの光源を有し、計測光としてラインレーザなどを出射する。
一対の受光部は、各々が例えばCCDなどの受光素子を有し、撮影を行うことによって同一の被写体に対する(言い換えると、同一の被写体の像を含む)ステレオ画像(「ステレオペア画像」とも呼ばれる)を取得する。
計測手段は、移動しながら動画撮影を行い、計測対象物の表面を複数の方向から撮影した動画を構成する各齣としての複数枚の静止画であって各々が同一の被写体に対する(言い換えると、同一の被写体の像を含む)ステレオ画像になっている画像データを取得する。なお、複数の方向から撮影した画像データが取得されるのであれば、必ずしも動画撮影が行われる必要は無く、静止画の撮影が複数回行われるようにしたり、静止画の連続撮影(「連写」とも呼ばれる)が行われるようにしたりしても良い。
計測手段としては、計測対象物における、計測の対象とされている表面(「計測表面」と呼ぶ)の全体に対して手で持って動かしながら計測に用いられる光を照射させることができる態様の機器(具体的には例えば、「ハンディスキャナ」,「ハンディ3Dスキャナ」,或いは「ハンディ型3Dスキャナ」などと呼ばれるタイプの機器)が用いられる。
《位置標定具》
位置標定具1は、複数の位置認識用ターゲット2と、これら位置認識用ターゲット2が取り付けられるターゲット支持体3と、当該ターゲット支持体3を計測対象物の表面へと取り付けるための取付具4とを有するものとして構成され、可搬型で移動可能な器具として形成される。
位置認識用ターゲット2は、光を反射する部分(「反射部」と呼ぶ)を備え、計測対象物と計測手段(延いては、一対の受光部それぞれの受光素子における受光位置/結像位置)との相対的な位置関係を常時特定するために用いられるものであり、計測手段を動かしながら撮影/計測が行われることによって取得される計測データを計測対象物の表面形状に関する一つの点群データとして合成する際の基準点として機能するものである。
位置認識用ターゲット2は、特定の形状や大きさに限定されるものではないものの、不必要に大きいと計測対象物の表面を撮影/計測する際に障害物となるので、位置認識用ターゲット2として必要とされる機能を発揮し得る範囲で小さい方が好ましい。
位置認識用ターゲット2は、各位置認識用ターゲット2を相互に区別し個別に識別して特定するためのID情報(即ち、位置認識用ターゲット2それぞれに固有の情報)として、位置認識用ターゲット2それぞれに固有の光の反射パターンを有する。
光の反射パターンは、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、反射部の形状,個数,大きさなどが異なることによって相互に区別され得るものとして構成されるようにしたり、複数の反射部の配置・配列の仕方が異なることによって相互に区別され得るものとして構成されるようしたりする。
なお、位置認識用ターゲット2のID情報としての仕様(言い換えると、仕掛け)は、光の反射パターンに限定されるものではなく、撮像された画像内で(特に、光学的に)認識・検出されて複数の位置認識用ターゲット2を相互に区別し個別に識別して特定するための識別子として機能し得る適当な仕様(仕掛け)が適宜選択され得る。具体的には例えば、反射光の波長が位置認識用ターゲット2のID情報として利用されるようにしても良い。
位置標定具1に取り付けられている位置認識用ターゲット2それぞれのID情報としての例えば光の反射パターンや反射光の波長は、後述する画像処理・画像認識において利用可能な態様で予め記録・登録される。
位置認識用ターゲット2は、ターゲット支持体3が計測対象物の表面に取り付けられた状態において反射部を備える面が前記計測対象物とは反対側に向くように、そして計測対象物の表面へと向けて計測手段から出射される光を反射し得るように、ターゲット支持体3へと取り付けられる。
ターゲット支持体3へと取り付けられた状態での、隣り合う位置認識用ターゲット2同士の間隔の寸法は、特定の値に限定されるものではなく、例えば計測に用いられる計測手段の仕様や計測作業の態様が考慮されるなどした上で、計測の間中常に複数の位置認識用ターゲット2の像が同時に撮像範囲(言い換えると、撮像される各画像の範囲)に含まれるように調節される。
なお、隣り合う位置認識用ターゲット2同士の間隔は、全ての間隔において寸法が同一である必要は無く、上記のようにして調節されて設定された値を最大の寸法としつつ不揃いであっても構わない。付け加えると、位置認識用ターゲット2は、特定の極りに従って規則正しく配列される必要は無く、最大の寸法を超えない限りにおいて無作為であって構わない。
ターゲット支持体3は、計測対象物の表面の、計測表面に対応する位置(言い換えると、計測表面と重なる位置)に取り付けられ、計測が行われる間中、計測対象物の計測表面に対して位置認識用ターゲット2を位置固定して保持する働きをする。
ターゲット支持体3は、特定の形状や大きさに限定されるものではなく、例えば計測対象物の表面、特に計測表面の形状や大きさなどが考慮されるなどした上で、適当な形状や大きさに形成される。
ターゲット支持体3は、具体的には例えば、あくまで例として挙げると、縦横の辺の長さが10 cm 〜20 m 程度の範囲に設定された矩形(例として図1を参照)や、直径が10 cm 〜20 m 程度の範囲に設定された円形(例として図2を参照)に形成され得る。
ターゲット支持体3は、例えば計測対象物の表面の形状に合わせる(言い換えると、沿わせる)ことが考慮されるなどして、平面的な形態として形成されるようにしても良く、或いは、曲面的/立体的な形態として形成されるようにしても良い。
具体的には例えば、ターゲット支持体3は、計測対象物の周囲全体を取り囲む形態に形成されるようにしても良く(例として図3を参照)、また、計測対象物の側面をL字で囲む形態に形成されるようにしても良い(例として図4を参照)。
ターゲット支持体3は、位置認識用ターゲット2を位置固定して保持しつつ、撮影/計測を行うために計測手段から出射される光が計測対象物の計測表面へと照射され得るように、位置認識用ターゲット2同士の間に空隙5が設けられて形成される。
ターゲット支持体3の空隙5は、例えば、ターゲット支持体3が格子状や網状に構成されることによって形成されたり(例として図1を参照)、相互に直径が異なる複数の環状の部材が同心円状に配置された上で一本若しくは複数本の棒状部材によって前記複数の環状の部材が相互に固定されることによってターゲット支持体3が構成されることによって形成されたり(例として図2を参照)する。
ターゲット支持体3の材質は、特定の種類に限定されるものではなく、位置認識用ターゲット2を固定して保持することができる程度の強度を有するものであることが考慮されるなどした上で、適当なものが適宜選択される。
ターゲット支持体3は、計測対象物の表面に取り付けられた状態で、撮影/計測が行われる間中その形状を維持し得るものとして構成される。したがって、ターゲット支持体3自体が剛体として形成されるようにしても良く、或いは、ターゲット支持体3が可撓性を備えるものとして形成された上でターゲット支持体3が取付具4によって計測対象物の表面へと取り付けられた状態でその取り付け状態の形状が維持されるようにしても良い。
ターゲット支持体3は、具体的には例えば、金属,木,樹脂,テグスなどによって形成され得る。
ターゲット支持体3の態様、延いては位置標定具1の態様に関連し、ターゲット支持体3を含む位置標定具1は、計測対象物の表面へと取り付けられる際の形態のまま運搬が行われるようにしても良く、或いは、折り畳まれたり巻き取られたりして運搬が行われるようにしても良い。
ターゲット支持体3は、計測対象物の表面へと、取付具4を介して取り付けられる(言い換えると、据え付けられる,付着させられる,設置される)。
取付具4は、例えば計測対象物の計測表面部分の部材の材料(言い換えると、材質)とターゲット支持体3の材料(材質)とが勘案されて計測表面部分の部材に対してターゲット支持体3を着脱可能に固定し得ることが考慮されるなどした上で、適当な材質で適当な態様に形成される。
取付具4として、具体的には例えば、計測対象物とターゲット支持体3とがどちらも磁性を有する材質である場合には、磁石が用いられるようにしても良い。取付具4として、或いは、両面テープや吸盤が用いられるようにしても良い。
なお、計測表面の全体にわたって欠落の無い表面位置データ(即ち、点群データ)が取得されるようにするため、ターゲット支持体3の大きさと共に取付具4の配設位置が、計測表面の外側に取付具4が配置されるように調節されることが好ましい。
計測表面の全体にわたって欠落の無い表面位置データ(即ち、点群データ)が取得されるようにするため、言い換えると、計測表面の外側に取付具4が配置されるようにするため、取付具4は、ターゲット支持体3の端部に配設されるようにし、ターゲット支持体3の端部よりも内側に入り込んだ位置には配設されないようにすることが好ましい。
位置標定具1が計測対象物の表面へと取り付けられて設置された状態で撮影/計測が行われると、計測手段と計測表面との間に本来的な計測対象ではない位置標定具1(特に、位置認識用ターゲット2やターゲット支持体3)が存在することになり、計測手段から計測対象物の表面へと向けて照射される光が位置標定具1で反射して計測結果に位置標定具1の像が含まれることになる。
このとき、位置認識用ターゲット2やターゲット支持体3が計測対象物の計測表面に密着したり近接したりするように取り付けられると、計測手段からみて位置認識用ターゲット2やターゲット支持体3の後ろ側(特に、真後ろ)の部分は計測することができず計測表面に関する表面位置データ(即ち、点群データ)を取得することができない。
そこで、位置認識用ターゲット2が取り付けられているターゲット支持体3が計測対象物の表面から離された状態で設置されるようにすることにより、計測表面の全体にわたって欠落の無い表面位置データ(即ち、点群データ)を取得することができるようにする。
具体的には例えば、取付具4が所望の寸法及び形状を有するものとして形成されることにより、計測対象物の表面から離された状態でターゲット支持体3が設置されるようにし、当該ターゲット支持体3と共に位置認識用ターゲット2が計測対象物の表面から離された状態で固定されるようにすることができる。
また、ターゲット支持体3が立体的な形態を有するものとして形成されることにより、計測対象物の計測表面と重なる範囲では、計測対象物の表面から離された状態でターゲット支持体3が位置するようにし、当該ターゲット支持体3と共に位置認識用ターゲット2が計測対象物の表面から離された状態で固定されるようにすることができる。
計測対象物の表面(特に、計測表面)とターゲット支持体3及び位置認識用ターゲット2との間の間隔は、特定の寸法に限定されるものではなく、例えば計測に用いられる計測手段の仕様(特に、光照射部及び一対の受光部の仕様・性能)が考慮されるなどした上で、計測手段から出射される光がターゲット支持体3の位置認識用ターゲット2同士の間に形成されている空隙5を通過してターゲット支持体3や位置認識用ターゲット2の後ろ側の計測表面へと斜めに入り込んで撮影/計測が行われ得るように、適当な寸法に適宜設定される。計測対象物の表面(特に、計測表面)とターゲット支持体3との間の間隔は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、0.1〜20 cm 程度の範囲で設定され得る。
また、上述したように位置標定具1が計測対象物の表面へと設置された状態で撮影/計測が行われると計測結果に位置標定具1の像が含まれることになるものの、計測対象物の表面から離された状態でターゲット支持体3及び位置認識用ターゲット2が設置されるようにすることにより、計測対象物の表面から所定の距離だけ離れている表面位置データ(即ち、点群データ)は位置標定具1に該当するものであるとして所定の基準に従って機械的に取り除くことができ、表面形状データの作成の処理を効率的に行うことができるようになる。
《形状計測》
上述の計測手段及び位置標定具が用いられて行われる本発明に係る三次元形状の計測方法の手順を説明する(図5を参照)。
まず、位置標定具1が、計測対象物の表面の、計測表面に対応する位置に取り付けられて設置される(S1−1)。
なお、一連の撮影作業として行う際に、計測対象物の表面に対し、位置標定具1が一つのみ設置されるようにしても良く、或いは、位置標定具1が複数設置されるようにしても良い。
続いて、位置標定具1が計測対象物の表面へと取り付けられて設置された状態で、位置認識用ターゲット2が計測手段の一対の受光部(即ち、ステレオカメラ)によって撮像される(S1−2)。
S1−2の処理では、計測手段の光照射部からラインレーザなどの形状計測に用いられる計測光が出射される必要は無く、一方で、各位置認識用ターゲット2の反射部が鮮明に反射して各位置認識用ターゲット2からの反射光が計測手段の受光部によって適切に受光されるように照明光(具体的には例えば、LED光)が出射されるようにしても良い。
計測手段による位置認識用ターゲット2の撮影・撮像により、各位置認識用ターゲット2の像を被写体として含み、且つ、各画像に含まれている位置認識用ターゲット2を基準点として重ね合わせて(言い換えると、連ねて,繋げて)合成することができるステレオ画像(ステレオペア画像)の一群が取得される。
そして、取得されたステレオ画像のデータが用いられて、例えば画像処理・画像認識技術によって(特に、光学的に処理されて)位置認識用ターゲット2のID情報が利用されつつ各画像内に含まれている各位置認識用ターゲット2の像が抽出され個別に識別されて特定されると共に、各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標が特定される、言い換えると、計測対象物の計測表面に対応する空間に、個別に識別されている各位置認識用ターゲット2が基準として用いられる三次元座標系が定義される(尚、原点は任意に定められる)(S1−3)。ここでの三次元位置座標は、平面位置(x,y)と高さ(z)とからなる直交座標系における位置座標であり、例えば(x,y,z)のように表現される。
なお、ステレオ画像(ステレオペア画像)を用いて三次元位置座標を算定する手法は、特定の計算方法に限定されるものではなく、従来若しくは新規の計算方法の中から適当なものが適宜選択される。具体的は例えば、三角測量法を測定原理として空間演算が行われて各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標が計算されるようにしても良い。本発明の説明における他の処理で行われる空間演算でも、具体的には例えば三角測量法を測定原理とする演算が行われて三次元の位置情報が計算される。
次に、位置標定具1が計測対象物の表面へと取り付けられて設置された状態で、計測手段により、光照射部から計測対象物の計測表面へと向けてレーザ光(例えば、ラインレーザ)などの計測光が出射されると共に、計測表面へと照射された前記計測光(の反射光)と位置認識用ターゲット2とが同時に一対の受光部(即ち、ステレオカメラ)で撮像される(S1−4)。
S1−3の処理で特定された各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標の情報と、計測表面上の計測光及び位置認識用ターゲット2の撮影によって取得されたステレオ画像とが用いられて、空間演算が行われて計測対象物の計測表面の三次元形状が認識される(具体的には、表面形状に関する三次元の点群データが取得される)(S1−5)。
次に、取得された点群データが面形式のデータへと変換され、計測対象物の計測表面の三次元形状に相当するメッシュデータが作成される(S1−6)。
なお、点群データを面形式のデータへと変換する手法は、特定の変換方法に限定されるものではなく、従来若しくは新規の変換方法の中から適当なものが適宜選択される。具体的は例えば、ドロネー三角形分割を演算原理として変換処理が行われて点群データが面形式のデータへと変換されるようにしても良い。
《位置基準打痕》
計測対象物の表面の所定の範囲(言い換えると、同一の範囲,同一の箇所)について複数時点で計測を行うとき、前後の計測の合間に位置標定具1を一旦取り外す必要がある場合は、特定の箇所が時系列でどのように変化したかを分析するためには時点が異なる計測データ同士を正確に位置合わせした上で比較することが必要とされる。
このため、位置合わせをする際の基準点として利用するため、図6に示すように、凹部として最深の一点(言い換えると、頂点;図6において符号11)を有すると共に当該最深の頂点11から計測対象物の表面9へと連なる傾斜面12を有する形状の、すなわち開口部13及び傾斜面12と最深の頂点11とを有する形状(「錐体状」と呼ぶ)の打痕(「位置基準打痕10」と呼ぶ)が形成される。
位置基準打痕10は、特定の寸法に限定されるものではなく、例えば計測に用いられる計測手段の測定精度や複数の表面形状データにおける位置合わせ(言い換えると、複数の表面形状データの位置を合わせた上での重ね合わせ)の処理における便宜が考慮されるなどした上で、適当な寸法に適宜設定される。位置基準打痕10は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、最小寸法及び最大寸法が1〜10 mm 程度の範囲に設定されて形成され得る。
位置基準打痕10は、計測対象物の所定の計測表面に対応させて位置標定具1が取り付けられて設置されて行われる撮影/計測において、その像が撮像範囲/計測範囲に含まれるようにする。
そして、位置標定具1が一旦取り外された上で所定の期間が経過して上記所定の計測表面についての計測があらためて行われる際には、上記所定の計測表面に対応させて位置標定具1があらためて取り付けられて設置されて撮影/計測が行われる。
この際、位置標定具1は、上記所定の計測表面を対象として既に行われた計測の際に位置標定具1が取り付けられた位置と同じ位置に取り付けられる必要は無く、更に言えば既に行われた計測の際に用いられた位置標定具1と同一の位置標定具1である必要は無いものの、上記所定の計測表面に対応づけられている位置基準打痕10の像が撮像範囲/計測範囲に含まれるように取り付けられて設置される。
計測対象物の表面9に錐体状の位置基準打痕10が形成されると共に当該位置基準打痕10が表面形状と一緒に撮影/計測されて撮像された画像内で認識・検出されることにより、錐体状の凹部における最深の頂点11が位置の基準として用いられて、例えば時点が異なる計測結果の表面形状データ同士の位置合わせが正確に行われて表面形状データ同士の比較が適切に行われるようになる。
《位置基準打痕を利用した減肉計測》
計測対象物へと向けて計測光を照射すると共に当該計測光が計測対象物の表面で反射した反射光を検出する計測手段を用いた計測によって得られる情報は計測対象物の表面形状に関する情報であり、計測対象物の表面形状を形成・構成している部材の肉厚や前記部材の表面における減肉の状況に関する情報を取得することはできない。
しかしながら、計測対象物の表面が例えば腐食や摩耗などによって減肉が進行するような環境に曝されている場合には、計測対象物の表面における減肉の程度の分布を含む減肉の実態(或いは、肉厚の分布)を正確に把握することが必要とされる場合がある。
これに対し、計測対象物の表面9に上述の錐体状の位置基準打痕10(例としての図6を参照)が形成されると共に計測対象物の表面形状の撮影/計測の際に位置基準打痕10'の形状が撮影/計測されて撮像された画像内で認識・検出されることにより、位置基準打痕10(,10')の形成箇所に於ける計測対象物の表面9の腐食や摩耗などによる減肉の状況が把握され得るようになる。
具体的には、例えば位置基準打痕10が形成される際に用いられた器具の形状や実際に形成された位置基準打痕10の計測結果などに基づいて、位置基準打痕10の、計測対象物の表面9に於ける開口部13の(言い換えると、平面視における,開口面視における)所定箇所の寸法Lや面積Sと計測対象物の表面9から位置基準打痕10の最深の頂点11までの寸法Dとの間の関係が特定される。
そして、計測された位置基準打痕10'の、計測対象物の表面9に於ける開口部13'の(言い換えると、平面視における,開口面視における)所定箇所の寸法Lmや面積Smに対応する計測対象物の表面9から位置基準打痕10'の最深の頂点11までの寸法Dmが算定され、当初の寸法Dと各計測時点における前記寸法Dmとの差分dや各計測時点における前記寸法Dm同士の差分が計測対象物の表面9における腐食や摩耗などによる減肉量として求められる。
これにより、時点の異なる計測結果の表面形状データを位置基準打痕10の形成位置に於いて相対的にどれだけずらせば良いかが特定されるので、計測結果の表面形状データ同士が正しい位置関係で重ね合わせられる。
つまり、位置基準打痕10は、錐体状の凹部として形成されることにより、特に最深の頂点11が利用されて平面視(言い換えると、開口面視)における位置決めの基準として機能すると共に、開口部13に纏わる寸法Lや面積Sと最深の頂点11までの寸法Dとの間の関係が利用されて深さ方向(即ち、開口面と垂直の方向,肉厚方向)における位置決めの基準として機能する。
図6に示す例では所定箇所の寸法L,Lmとして開口部13,13'の四角形の辺の長さが用いられるようにしているが、上記所定箇所の寸法として他の箇所の寸法が用いられるようにしても良い。上記所定箇所の寸法として、具体的には例えば、対角線の長さが用いられるようにしても良く、或いは、各角から最深の頂点11までの寸法が用いられるようにしても良い。
また、図6に示す例では開口部13,13'の形状が四角形であるようにしているが、開口部の形状は他の形状であっても良い。開口部の形状は、具体的には例えば、三角形や五角以上の多角形でも良く(即ち、位置基準打痕が三角錐や多角錐の形状に相当する凹部として形成される)、或いは、円形でも良い(即ち、位置基準打痕が円錐の形状に相当する凹部として形成される)。なお、開口部の形状が、種々の多角形である場合には上記所定箇所の寸法として辺の長さや各角から最深の頂点までの寸法が用いられるようにしたり、円形である場合には上記所定箇所の寸法として直径が用いられるようにしたりすることが考えられる。
計測対象物の表面9に形成される位置基準打痕10の個数は、特定の個数に限定されるものではなく、計測対象物の所定の計測表面を対象として位置標定具1が設置されて行われる撮影/計測作業によって取得される、取得時点が異なる複数の表面形状データの位置合わせをするのに適当な個数に適宜設定される。
具体的には例えば、計測対象物の表面9上に経年によっては変化せず且つ画像内で抽出・把握し易い特徴的な部分がある場合には、位置基準打痕10が一個形成された上で、当該位置基準打痕10の位置が一致させられると共に当該位置基準打痕10の位置を回転中心として前記特徴的な部分が重ね合わせられて複数の表面形状データの位置合わせが行われるようにしても良い。あるいは、位置基準打痕10が複数個形成された上で、これら複数の位置基準打痕10の位置がそれぞれ一致させられて複数の表面形状データの位置合わせが行われるようにしても良い。
以下に、本発明に係る三次元形状の計測方法において位置基準打痕10を利用して減肉量の分布を求める場合の手順を説明する(図7を参照)。
まず、計測表面に対応させて計測対象物の表面9に位置基準打痕10が形成される(S2−1)。
その上で、上述のS1−1乃至S1−3の処理と同様に、位置標定具1が計測対象物の表面へと取り付けられて設置され(S2−2)、その状態で位置認識用ターゲット2が計測手段によって撮像され(S2−3)、各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標が特定される(S2−4)。
そして、計測対象物の計測表面へと照射された計測光(の反射光)と位置認識用ターゲット2とが同時に撮像される処理(上述のS1−4の処理と同様;S2−5)において撮像範囲に位置基準打痕10が含められるにようにした上で、計測表面に加えて位置基準打痕10の形状を含む計測対象物の表面9の三次元形状が認識されて点群データが取得される(上述のS1−5の処理と同様;S2−6)と共に計測表面に加えて位置基準打痕10の形状を含む計測対象物の表面9の三次元形状に相当するメッシュデータが作成される(上述のS1−6の処理と同様;S2−7)。
そして、所定の計測表面について初めての計測であるか否かが判断され(S2−8)、初めの計測である場合(S2−8:Yes)には、所定の期間の経過を待ってS2−2乃至S2−7の処理が繰り返して行われる。
一方、初めての計測ではない場合(S2−8:No)には、位置基準打痕10の、計測対象物の表面9に於ける開口部13の形状(具体的には、寸法Lや面積S)の変化に基づいて当該位置基準打痕10の形成箇所に於ける減肉量が特定される(S2−9)。
具体的には、位置基準打痕10について特定された、計測対象物の表面9に於ける開口部13の(言い換えると、平面視における,開口面視における)所定箇所の寸法Lや面積Sと計測対象物の表面9から位置基準打痕10の最深の頂点11までの寸法Dとの間の関係が用いられて、計測された位置基準打痕10'の、計測対象物の表面9に於ける開口部13'の(言い換えると、平面視における,開口面視における)所定箇所の寸法Lmや面積Smに対応する計測対象物の表面9から位置基準打痕10'の最深の頂点11までの寸法Dmが算定され、当初の寸法Dと各計測時点における寸法Dmとの差分dや各計測時点における前記寸法Dm同士の差分(即ち、減肉量)が求められる。
そして、時点の古い計測結果の表面形状データに対して時点の新しい計測結果の表面形状データを、位置基準打痕の形成位置に於いて前記減肉量の分だけ厚さ方向にずらした状態が、時点の古い計測結果の表面形状データに対する時点の新しい計測結果の表面形状データの位置である。
したがって、時点の異なる計測結果の表面形状データ同士が正しい位置関係で重ね合わせられ、この状態で、時点の異なる計測結果の表面形状データ同士の表面形状の差分が算定されて計測対象物の表面9における減肉量の分布が把握される(S2−10)。
なお、計測対象物を構成する部材の供用開始時において撮影・計測が行われている場合には、供用開始時における計測結果の表面形状データと各計測時点における計測結果の表面形状データとの差分は、当該部材の表面に於ける、当該部材の供用開始時から各計測時点までの減肉量である。したがって、例えば設計寸法に基づいて当該部材の供用開始時における肉厚が特定されることにより、各計測時点における当該部材の肉厚の分布が把握される。
そして、必要に応じ、所定の期間の経過を待ってS2−2乃至S2−10の処理が繰り返して行われる。
《位置基準標識》
計測対象物の表面の所定の範囲(言い換えると、同一の範囲,同一の箇所)について複数時点で計測を行うときに、前後の計測の合間に位置標定具1を一旦取り外す必要がある場合に特定の箇所が時系列でどのように変化したかを分析するために時点が異なる計測データ同士を正確に位置合わせをする際の基準点として利用するための仕組みは、上述の位置基準打痕10には限られない。
具体的には例えば、図8に示すように、計測対象物の表面9に、位置基準標識20が取り付けられるようにしても良い。
位置基準標識20の形状は、特定の形状に限定されるものではなく、例えば計測対象物の表面9と区別されて認識され得ることが考慮されるなどした上で、適当な形状が適宜選択される。位置基準標識20の形状としては、具体的には例えば、円柱や角柱などの柱体形状が選択され得る。
位置基準標識20の大きさは、特定の寸法に限定されるものではなく、例えば計測に用いられる計測手段の測定精度や複数の表面形状データにおける位置合わせ(言い換えると、複数の表面形状データの位置を合わせた上での重ね合わせ)の処理における便宜が考慮されるなどした上で、適当な寸法に適宜設定される。位置基準標識20は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、最小寸法及び最大寸法が4〜12 mm 程度の範囲に設定されて形成され得る。
計測対象物の表面9に溶射などによって皮膜が形成される場合には、皮膜の施工後においても位置が分かるようにするために皮膜に埋もれない程度の高さ寸法を有するものとして寸法が設定されて位置基準標識20が形成されることが好ましい。
皮膜が形成される場合に関連して付け加えると、計測対象物の表面9に上述の位置基準打痕10が形成されるようにした場合には計測対象物の表面9に対して溶射などによって皮膜が形成されると位置基準打痕10は埋もれてしまって位置合わせをする際の基準点として利用することができなくなってしまうのに対し、計測対象物の表面9に対して凸部になる位置基準標識20が取り付けられるようにした場合には計測対象物の表面9に対して溶射などによって皮膜が形成されても位置基準標識20が埋もれてしまうことを防止して位置合わせをする際の基準点として引き続き利用することができる。
なおこの場合、計測対象物の表面9に位置基準標識20が取り付けられた状態で上述の《形状計測》における三次元形状の計測方法により、皮膜形成前の計測対象物の表面9が計測され、さらに、位置基準標識20のうちの少なくとも一部の皮膜が削剥されて位置基準標識20が剥き出しにされた上で皮膜形成後の計測対象物の表面9が計測され、位置基準標識20(特に、皮膜が削剥されて剥き出しにされた部分)が基準の高さとされた上で、当該基準の高さに対する表面位置の差違として、施工されて形成された皮膜の厚さ分布が計測され得る。
位置基準標識20における特定の一点が位置合わせをする際の基準点として利用され得るようにするため、位置基準標識20に、目印として一点が識別されて認識され得る形状の打痕20aが形成されたり角部20bが形成されたりするようにしても良い。
そして、位置基準標識20に打痕が形成される場合に、当該打痕として上述の《位置基準打痕》における錐体状の位置基準打痕10が形成されるようにしても良い。
位置基準標識20は、計測対象物の所定の計測表面に対応させて位置標定具1が取り付けられて設置されて行われる撮影/計測において、その像が撮像範囲/計測範囲に含まれるようにする。
そして、位置標定具1が一旦取り外された上で所定の期間が経過して上記所定の計測表面についての計測があらためて行われる際には、上記所定の計測表面に対応させて位置標定具1があらためて取り付けられて設置されて撮影/計測が行われる。
この際、位置標定具1は、上記所定の計測表面を対象として既に行われた計測の際に位置標定具1が取り付けられた位置と同じ位置に取り付けられる必要は無く、更に言えば既に行われた計測の際に用いられた位置標定具1と同一の位置標定具1である必要は無いものの、上記所定の計測表面に対応づけられている位置基準標識20の像が撮像範囲/計測範囲に含まれるように取り付けられて設置される。
位置基準標識20の取り付け方法は、特定の仕法に限定されるものではなく、例えば位置基準標識20が計測対象物の表面9に対して固定されて取り付けられ得ることが考慮されるなどした上で、適当な仕法が適宜選択される。位置基準標識20の取り付け方法としては、具体的には例えば、スポット溶接21が選択され得る。
位置基準標識20は、あるいは、計測対象物と位置基準標識20とがどちらも磁性を有する材質である場合には、計測対象物の表面9と位置基準標識20との間に磁石を介在させることにより、位置基準標識20が計測対象物の表面9に取り付けられるようにしても良い。また、位置基準標識20自体が磁石によって形成されることにより、位置基準標識20が計測対象物の表面9に取り付けられるようにしても良い。さらに、両面テープや吸盤により、位置基準標識20が計測対象物の表面9に取り付けられるようにしても良い。
位置基準標識20の取り付けにおいて上述のように磁性が利用される場合で、位置基準標識20が特に高温に曝される環境に取り付けられる場合には、例えば、450℃程度までの耐熱性を備えるアルニコ磁石が用いられ得る。
位置基準標識20の材質は、特定の種類に限定されるものではなく、例えば当該の位置基準標識20が取り付けられる場所において想定される環境に対する耐久性が考慮されるなどした上で、適当な材質が適宜選択される。
ここで、時間の経過に伴う材料の腐食/減肉の進行の程度(別言すると、腐食量、或いは、腐食速度/減肉速度)は、材料の種別によって異なり、また、材料が曝される環境の温度に応じて異なる(例えば、南島ほか「還元性硫化腐食雰囲気における微粉炭火力ボイラ蒸発管材の腐食速度予測手法の提案 −静止場ガス腐食雰囲気における腐食速度予測式−」,電力中央研究所報告,研究報告:Q10019,財団法人電力中央研究所,平成23年)。
そこで、材質が相互に異なる位置基準標識20が複数取り付けられ、上述の《形状計測》における三次元形状の計測方法によって計測される位置基準標識20毎の腐食/減肉の進行の程度の差違から、複数の位置基準標識20が取り付けられた場所に於ける雰囲気の温度を推定したり、計測対象物の例えば腐食/減肉や摩耗の原因に係る環境指標を確認したりすることが可能になる。
具体的には例えば、低合金綱とステンレス鋼とでは時間の経過に伴う腐食/減肉の進行の程度が異なり、また、腐食/減肉の進行の程度はこれら鋼が曝される環境の温度に応じて異なる。そこで、低合金綱によって成型・形成された位置基準標識20とステンレス鋼によって成型・形成された位置基準標識20とが近接して(言い換えると、これら位置基準標識20が曝される環境が同じに若しくはほぼ同じになるように)計測対象物の表面9に取り付けられることが考えられる。
そして、材質が相互に異なる複数の位置基準標識20それぞれの減肉量が計測されると共に各減肉量が比較されることによって前記位置基準標識20が取り付けられた場所に於ける雰囲気の温度が推定される。
なお、位置基準標識20が曝される雰囲気が還元雰囲気であるのか酸化雰囲気であるのかによって腐食速度が変化するので、腐食/減肉の程度に対する雰囲気の影響を確認するために材質が相互に異なる複数の位置基準標識20が計測対象物の表面9に取り付けられることが好ましい。腐食性が強い還元雰囲気の場合は、例えば低合金綱とステンレス鋼とについての腐食/減肉の程度の差が広がる傾向が分析されることによって雰囲気の温度の推定精度が向上する。
位置基準標識20の減肉量が計測される場合、位置基準標識20に上述の《位置基準打痕》における錐体状の位置基準打痕10が形成され、当該位置基準打痕10が利用されて上述の《位置基準打痕を利用した減肉計測》における計測手順によって位置基準標識20の表面における減肉量の計測・把握が行われるようにしても良い。
さらに、上述の《位置基準打痕》における錐体状の位置基準打痕10が形成された位置基準標識20が計測対象物の表面9に取り付けられ、且つ、計測対象物の表面9に上述の《位置基準打痕》における錐体状の位置基準打痕10が形成されるようにしても良い。この場合には、位置基準標識20の減肉量に基づいて計測対象物の表面9が曝されている雰囲気の温度が把握され、同時に、計測対象物の表面9を構成する部材の減肉量の分布が把握される。
また、実機/部材に用いられる材料と同一の材料によって位置基準標識20が成型・形成された上で計測対象物へと取り付けられるようにすることにより、実機における実際の環境での曝露試験が行われるようにしても良い。
計測対象物の表面9に位置基準標識20が取り付けられると共に当該位置基準標識20が表面形状と一緒に撮影/計測されて撮像された画像内で認識・検出されることにより、位置基準標識20(特に、位置基準標識20において特定の一点として識別されて認識され得る目印)が位置の基準として用いられて、例えば時点が異なる計測結果の表面形状データ同士の位置合わせが正確に行われて表面形状データ同士の比較が適切に行われるようになる。
また、時点が異なる計測データ同士を正確に位置合わせをする際の基準点として計測対象物の表面9に位置基準標識20が取り付けられるようにすることにより、計測対象物に損傷を与えることなく、計測データ同士を正確に位置合わせをすることが可能になる。
さらに、位置基準標識20が複数取り付けられると共にこれら位置基準標識20の材質の選択が工夫されることにより、これら位置基準標識20が取り付けられた場所に於ける雰囲気の温度を含む環境指標を推定・確認することが可能になる。
以上のように構成された三次元形状の計測方法によれば、三次元形状の計測に用いられる位置認識用ターゲット2を個々に取り付けたり取り外したりする手間をかけることなく短時間で計測作業を行うことができる。このため、計測作業を迅速に行うことが可能になる。
以上のように構成された三次元形状の計測方法によれば、また、計測対象物の表面形状の把握に加えて計測対象物の表面9を構成する部材の減肉量の分布を把握することができるので、三次元形状の計測手法としての有用性を向上させることが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では位置認識用ターゲット2が撮像される処理(S1−2,S2−3)及び各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標が特定される処理(S1−3,S2−4)が独立した処理として行われるようにしているが、これらの処理が独立した処理として行われることは本発明において必須の構成ではない。例えば、計測手段として各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標の取得と計測対象物の計測表面の三次元形状の認識とを同時に行うものが用いられる場合には、位置認識用ターゲット2の撮像や各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標の特定が独立した処理である必要は無く、上述の実施形態におけるS1−2及びS1−3の処理並びにS2−2及びS2−3の処理が独立した処理として行われなくても良い。つまり、上述のS1−2及びS1−3の処理がS1−4及びS1−5の処理と同時/一緒に行われるようにしたり、上述のS2−3及びS2−4の処理がS2−5及びS2−6の処理と同時/一緒に行われるようにしたりしても良い。
また、上述の実施形態では位置認識用ターゲット2のそれぞれがID情報を有するようにしているが、位置認識用ターゲット2がID情報を有することは本発明において必須の構成ではない。具体的には例えば、計測手段が撮像した各位置認識用ターゲット2を追跡しつつ相互の位置関係によって位置認識用ターゲット2のそれぞれを相互に区別して個別に識別する機能を備えている場合には、位置認識用ターゲット2のそれぞれがID情報を有していなくても良い。