JP2018179795A - X線位相コントラスト撮影装置 - Google Patents

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美津子 宮崎
Mitsuko Miyazaki
美津子 宮崎
庄子 武彦
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Abstract

【課題】鮮鋭性が高く、解像度が向上したX線位相コントラスト撮影装置を提供する。【解決手段】X線位相コントラストX線撮像装置であって、X線の入射側に、少なくとも2種類以上の構成部材からなるシンチレータ部材を備え、上記構成部材がX線の入反射方向に、周期的に配置されてなり、構成部材の少なくとも1つ以上がX線を可視光に変換する蛍光体を含み、X線の入射側から順に、前記シンチレータ部材、光学部材、および光検出器の順に配置され、かつ、光学部材が複数の光ファイバーの束からなり、X線入射側と反対側とを結ぶ方向に一軸性の導光特性を有し、シンチレータ部材の構成部材のうち、蛍光体を含む蛍光部材と、それ以外の部材との最小の組み合わせ単位のピッチと光学部材の光ファイバー径が特定の関係式を満足し、シンチレータ部材の膜厚が100〜1500μm、光学部材厚が1mm以上であるセンサパネルを備えるX線位相コントラスト撮影装置。【選択図】図1

Description

鮮鋭性が高く、優れた解像度を有するX線位相コントラスト撮影装置に関する。
現在、X線画像診断では、X線の物体透過後の減弱を画像化する吸収画像が用いられている。一方でX線は電磁波の一種であることから、この波動性に着目し、X線物体透過後の位相の変化を画像化する試みが近年なされてきた。これらはそれぞれ吸収コントラストと位相コントラストと呼ばれる。この位相コントラストを用いた撮影技術は、従来の吸収コントラストと比較して、軽元素への感度が高いことから、これが多く含まれる人体の軟部組織への感度が高いと考えられている。
しかしながら、従来の位相コントラスト撮影技術は、シンクロトロンX線源や微小焦点X線管を用いる必要があったため、前者は巨大な施設が必要であること、後者は人体を撮影する為に十分なX線量が確保できないことから、一般医療施設での実用は難しいと考えられていた。
この課題を解決するために、従来から医療現場で用いられるX線源を用いて位相コントラスト画像を取得することができる、X線タルボ・ロー干渉計を用いた、X線画像診断(タルボシステム)が期待されている。
タルボ・ロー干渉計は、図5に示されるように、医療用X線管とFPDの間にG0格子、G1格子、G2格子が各々配置され、被写体によるX線の屈折をモアレ縞として可視化するものである。上部に配置されたX線源から縦方向にX線が照射され、G0、被写体、G1、G2を通って画像検出器に到達する。数μmオーダーでG2格子を移動して4枚の画像を取得。得られたモアレ縞をCPU処理し、吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像の3つの画像を生成する。
格子の製造方法としては、例えば、X線透過性の高いシリコンウェハをエッチングして格子形状の凹部を設け、その中にX線遮蔽性の高い重金属を充填する方法が知られている。
しかしながら、上記方法では、入手できるシリコンウェハのサイズやエッチング装置の制約等により大面積化が困難であり、撮影対象は小さな部位に限定される。また、エッチングによってシリコンウェハに深い凹部を形成するのは容易でない上に、凹部の奥まで金属を均一に充填することも難しいため、X線を充分遮蔽するだけの厚みを有する格子は作製困難である。このため、特に高圧撮影条件ではX線が格子を透過してしまい良好な画像を得ることが出来ない。
そこで、図1に示すように、G2格子を除去して、画像検出器を構成するシンチレータに同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する相分離構造からなるシンチレータ結晶体(以下、「相分離シンチレータ」ともいう)や、区画化構造を有するシンチレータ(図1ではスリットシンチレータ)を採用することも検討されている。
たとえば、相分離シンチレータとしては、特許5809473号公報や特開2013−029356号公報が開示されている。
特許第5809473号公報 特開2013−029356号公報
放射線によるシンチレータの発光を、光検出器によって、電気信号に変換しデジタル画像が取得される。相分離シンチレータや区画化シンチレータでは、非シンチレータ部分が存在すると、その分、シンチレータでの発光量が少なくなる。また、CMOSなど光検出器によっては、透過した放射線の照射によってダメージを受けるものもある。このため、シンチレータと光検出器の間に、ファイバオプティクプレート(FOP)などの光学部材からなる層が設けられる。
特許文献1および2などの相分離シンチレータでは、各層の屈折率を定義し、クロストークを低減し、高画質化を達成する技術が公開されているが、鮮鋭性が必ずしも高くないという問題点があった。
この原因として、本発明者らが検討した結果、シンチレータで変換された光が、格子および光学部材との間で、光が散乱して、光検出器に導かれる光量が減り、精度低下の原因となるだけでなく、シンチレータおよび光学部材を透過した放射線が、光検出器を構成する受光素子にダメージを与えていることを見出した。
そして、このような状況の下、さらに本発明者らは検討した結果、前記X線源からのX線が入射側に、少なくとも2種類以上の構成部材からなるシンチレータ部材を備え、上記構成部材がX線入射側と反対側とを結ぶ方向に、周期的に配置されてなり、構成部材の少なくとも1つ以上がX線を可視光に変換する蛍光体を含み、シンチレータ部材のシンチレータと非シンチレータの最小の組み合わせ単位をピッチ(a)とし、光学部材の最小の組み合わせ単位をピッチ(b)としたときに、(a)/(b)が所定の関係式を満足し、しかもシンチレータ部材および光学部材の厚さを調整することで、上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下の通りである。
[1]X線源からのX線を用い、X線位相コントラスト像を撮像するX線位相コントラストX線撮像装置であって、
前記X線源からのX線が入射側に、少なくとも2種類以上の構成部材からなるシンチレータ部材を備え、上記構成部材がX線入射側と反対側とを結ぶ方向に、周期的に配置されてなり、構成部材の少なくとも1つ以上がX線を可視光に変換する蛍光体を含み、
X線の入射側から順に、前記シンチレータ部材、光学部材、および光検出器の順に配置され、かつ、光学部材が複数の光ファイバーの束からなり、X線入射側と反対側とを結ぶ方向に一軸性の導光特性を有し、
シンチレータ部材の構成部材のうち、蛍光体を含む蛍光部材と、それ以外の部材との最小の組み合わせ単位をピッチ(a)とし、光学部材の光ファイバー径をピッチ(b)としたときに下記関係式を満足し、
0.1<(a)/(b)<1.0
シンチレータ部材の膜厚が100〜1500μm、光学部材厚が1mm以上であるセンサパネルを備えることを特徴とするX線位相コントラスト撮影装置。
[2]光検出器を構成する受光素子が400〜800nmに検出感度を有し、最高検出感度が600〜800nmであることを特徴とする[1]のX線位相コントラスト撮影装置。
[3]前記受光素子が、CMOSセンサ及びCCDセンサであることを特徴とする[2]のX線位相コントラスト撮影装置。
[4]シンチレータ部材は少なくとも、Gd22S、CsI、GdAlO3、NaI、CsBr、La22S、Y22Sを母体とする蛍光体を1種類以上含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかのX線位相コントラスト装置。
[5]前記光検出器が、支持基板または光学部材上にタイリングされていることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のX線位相コントラスト撮影装置。
本発明によれば、シンチレータ部材を構成する構成部材のピッチ(a)と光学部材のピッチ(b)から、(a)/(b)が所定の関係式を満足し、かつ厚みが所定の範囲に調整されているので、光の散乱を抑制して、鮮鋭性を向上でき、また、これらの部材の厚さを調整することでかつ効率よく光検出器に光を伝搬させて、解像度を向上させることができる。
このような構成のX線位相コントラスト撮影装置は、優れた解像度を提供することができ、タルボ撮影装置に使用することができる。
本発明のX線位相コントラスト撮影装置は、高輝度である上に、タイリングによって大面積化、厚膜化も可能である。このため、高圧撮影も可能となり、胸腹部、大腿部、肘関節、膝関節、股関節などの厚みある被写体の撮影も可能となる。
従来、軟骨の画像診断では、MRIが主流であり、大がかりな機材を使うため撮影コストが高く、撮影時間も長いという欠点もあった。これに対し、本発明によれば、より低コストでスピーディーなX線画像で、軟骨、筋腱、靭帯などの軟部組織や、内臓組織を写すことができる。このため、関節リュウマチ、変形性膝関節症等の整形外科疾患や、乳がんをはじめ、軟部組織の画像診断などへ、広く応用が期待できる。
本発明にかかる放射線変換パネルの一例を示す概略図である。 相分離シンチレータの一例の概略構成図である。 相分離シンチレータの要部拡大図である。 スリット状シンチレータの概略模式図である。 タルボシンチレータの概略模式図である。
本発明のX線位相コントラスト撮影装置について説明する。
本発明にかかるX線位相コントラストX線撮像装置は、図1に示されるようにX線源からのX線が入射側に、少なくとも2種類以上の構成部材からなるシンチレータ部材を備え、X線の入射側から順に、前記シンチレータ、光学部材、および光検出器の順に配置され、かつ、光学部材が複数の光ファイバーと前記複数の光ファイバー間に配置されてなるセンサパネルを備える。
シンチレータ部材
シンチレータ部材は、X線源からのX線が入射側に、少なくとも2種類以上の構成部材からなるシンチレータ部材を備え、上記構成部材がX線入射側と反対側とを結ぶ方向に、周期的に配置されてなり、構成部材の少なくとも1つ以上がX線を可視光に変換する蛍光体を含む。
このようなシンチレータ部材としては、相分離シンチレータを挙げることができる。
相分離シンチレータは、図2および図3に示すシリンダー材料(コア材料、たとえば柱状晶)とそれを覆うマトリックス材料(クラッド材料)との相分離現象を利用して、シンチレータ自身に導光作用を付加したものである。図2はシンチレータ部材と光学部材の構成概略図を示し、図3は、相分離シンチレータの拡大斜視断面図を示す。
相分離シンチレータはシリンダー材料とマトリックス材料との屈折率差によって、シリンダー材料の成長方向、すなわち一軸方向へより高い導光特性を有するため、X線励起で生じた発光の漏れ光は減少する。該相分離シンチレータと光導波性を有する光学部材とを組み合わせて用いることで、生じた全発光量に占める漏れ光成分の割合がより少なくなり、高解像度が実現可能となる。
相分離シンチレータは屈折率の異なる、シリンダー材料とマトリックス材料(図3参照)から構成される。両材料の屈折率差によって、シリンダー材料の成長方向、すなわち一軸方向へより高い光導波性を有する。両材料の少なくとも一相の材料がシンチレーション特性を有すれば、様々な組み合わせが可能である。
たとえば、特開2013−47334号公報に開示された、一方向性を有する複数の柱状晶を有する第一の結晶相(図2中第1の柱状晶に相当)と、該第一の結晶相の側面を覆う第二の結晶相(図2中第2の柱状晶に相当)とを有するシンチレータであって、該第一の結晶相が少なくともLuまたはGdの元素を含有するペロブスカイト型酸化物材料を有し、かつ発光中心として希土類元素を含有し、該第一の結晶相が放射線励起で発光する相分離シンチレータが採用できる。
第一の結晶相を構成する柱状晶の形状は、円柱形に限らず、種々の形状から構成され、例えば多角形を構成してもよい。
前記第一の結晶相は、一般式ABO3で表わされるペロブスカイト型酸化物材料であり、第二の結晶相は一般式A3512で表わされるガーネット型酸化物材料またはアルミナ(Al23)のいずれかであり、かつ発光中心としてCe3+、Tb3+、Pr3+、Eu3+のうち少なくとも一種からなる希土類元素(希土類イオン)を、第一の結晶相と第二の結晶相の総物質量に対して0.001mol%以上含有することが好ましい。ここで、一般式中のAはLu、Gdのうち少なくとも一種からなる元素であり、BはAl、Sc、Yのうち少なくとも一種からなる元素であることが好ましい。第一の結晶相は、ペロブスカイト型酸化物材料であるGdScO3、LuScO3、GdAlO3、LuAlO3のいずれかから選択されることが好ましい。また、第二の結晶相は、Gd3Sc2Al312、Lu3Sc2Al312、またはAl23であることが好ましい。Ce3+を添加した場合はf−d遷移による数10nsec程度の高速な発光寿命を示し、Tb3+、Pr3+、Eu3+を添加した場合はf−f遷移による数μsec〜数msecの応答の遅い発光を示す。また、第一および第二の結晶相には上記材料以外の材料が添加されていてもよい。例えば、上記の組成にイットリウム(Y)を含有していてもよい。さらには、第一の結晶相はペロブスカイト型酸化物材料であればGd、Lu以外の希土類元素(Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb)から構成されていてもよい。同様に、第二の結晶相がガーネット型酸化物材料であればGd、Lu以外の希土類元素から構成されていてもよい。
また、相分離シンチレータは、特開2013−029356号公報に開示された構成を採用することも可能である。例えば、CsI−NaCl相分離シンチレータの場合、NaClがシリンダー材料、CsIがマトリックス材料である。例えばCsI側にTlやInなどの発光中心物質を添加することで、シンチレーション特性によって生じた発光は一軸方向へ効率良く導光することができる。また、シリンダー材料がシンチレーション特性を有する例として、NaI−RbI相分離シンチレータがある。NaIがシリンダー材料、RbIがマトリックス材料であり、NaI側に例えばTlやInなどの発光中心物質を添加することで、シンチレーション特性によって生じた発光は一軸方向へ効率良く導光することができる。
良好な相分離構造を有するシンチレータを得るためには、シリンダー型導波型の相分離シンチレータの場合は、GdAlO3:Al23、LuAlO3:Al23、GdScO3:Gd3Sc2Al312の組み合わせが好ましく、マトリックス導波型相分離シンチレータの場合は、CsI−NaCl、CsBr−NaF、NaI−RbIの組み合わせが好適である。
このような相分離構造を有するシンチレータの製造方法はたとえば、各結晶相を構成する混合粉末に、発光中心となる希土類物質を混合し、誘導加熱などによって加熱して試料全体が溶解した後、所定の速度で試料を育成すれば製造できる。また、第一の結晶相を構成する柱状晶の直径は、300nm以上30μm以下の範囲内であることが好ましい。
相分離シンチレータの場合、蛍光体を含む蛍光部材と、それ以外の部材との最小の組み合わせ単位は、図2の第1柱状晶と第2柱状晶に相当し、図3では1つの柱状晶などのシリンダー材料と当該シリンダー材料に最近接したシリンダー材料との間に存在するマトリック材料に相当し、図2および3に示すように、第1柱状晶であるシリンダー材料間の最近接距離と、柱状晶(シリンダー)直径との和がピッチ(a)となる。この場合、ピッチ(a)の範囲は、通常、800nm〜80μmとなるが、後述する(a)/(b)の比率を鑑み適宜選択される。
本発明ではシンチレータ部材として、区画化構造を有するシンチレータを採用することも可能である。具体的には、放射線透過性を有する平板状の基板と、該基板上に設けた放射線透過性を有し格子形状の単位の区画を有する隔壁構造部と、前記各画素の区画に蛍光体を充填したシンチレータ層とを備える。
区画化シンチレータでは、シンチレータ層、複数の隔壁が所定のピッチで並設されて光電変換素子を構成する。2以上の隔壁シンチレータ層が、隔壁と隔壁とが先端で付き合わされるように、層間粘着材で接着されていてもよい。区画化構造を構成するシンチレータ層は、基板の上方で面状に一様に広がっており、一体になっていても良く、また小さいサイズのものが複数個タイリングしてあっても良い。
放射線透過性を有する基板は、シンチレータを担持可能な板状体であり、各種のガラス、高分子材料、金属等を用いることができる。
例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラス、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、又、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム)、アルミニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シート或いは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートなどを用いることができる。板ガラス材のように弾性率が高く熱膨張計数が安定した材料が好ましい。
高分子フィルムとして、具体的には、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等からなる高分子フィルムが挙げられる。これらは単独で用いてもよく積層あるいは混合して用いてもよい。中でも、特に好ましい高分子フィルムとしては、上述のように、ポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
このような区画化シンチレータは、特開2011−21924号公報を参考にして作製できる。
すなわち、放射線透過性を有する平板状の基板上に顔料又はセラミックス粉と低融点ガラス粉との混合物であるガラスペーストをスクリーン印刷により所定厚さで塗工を行い、それを乾燥して隔壁構造の底部を形成する。その後、前記ガラスペーストを縦横の画素単位の所定ピッチと所定の大きさの開口と所定厚さに格子形状に、画素数で決まる大きさの格子形状のパターンを用いてスクリーン印刷による塗布を行い、続いて乾燥も行う。それを複数回繰り返して所定高さの隔壁とする。その後、550℃の空気中で焼成を行い、基板上に底部と隔壁で仕切られた空間の各区画を有する隔壁構造部が形成される。そしてその隔壁構造部に、蛍光体を充填してシンチレータ層が形成され、区画化構造を有するシンチレータが作製される。
本発明では、区画化構造を有するシンチレータの一態様として、シンチレータ層と非シンチレータ層が、放射線の入射方向に対して略平行方向に繰り返し積層された構造を有するスリット状シンチレータも採用可能である。略平行とは、ほぼ平行あり、完全に平行でも多少の傾斜や湾曲があっても略平行の範疇に含まれる。このようなスリット状シンチレータは大面積化も可能となる。
シンチレータ粒子の平均粒子径は、シンチレータ層の積層方向の厚さに応じて選択され、シンチレータ層の積層方向の厚さに対して100%以下が好ましく、90%以下が更に好ましい。シンチレータ粒子の平均粒子径が上記範囲を超えると積層ピッチの乱れが大きくなりタルボ干渉機能が低下する。
シンチレータ層中のシンチレータ粒子の含有率は、発光特性を考慮すると好ましくは30vol%以上、より好ましくは50vol%以上である。
シンチレータ層には上記シンチレータ粒子を2種類以上含有しても良く、異なるシンチレータ粒子を含有するシンチレータ層を2種類以上組み合わせても良い。
本発明における非シンチレータ層とは、可視光を透過する層であって、かつ、シンチレータを主成分として含まない層であり、非シンチレータ層中のシンチレータの含有量は10vol%未満、好ましくは1vol%未満であるが、0vol%であることが最も好ましい。
中でもシンチレータの発光波長に対して透明な材料が特に好ましい。非シンチレータ層を透明にすることでシンチレータの発光がシンチレータ層内だけではなく、非シンチレータ層内にも伝搬することでセンサに届く光量が増え輝度が向上する。非シンチレータ層単層の積層方向の透過率は80%以上、好ましくは90%、さらに好ましくは95%以上であることが好ましい。
非シンチレータ層は、前記のような透過率を備えた各種のガラス、高分子材料等が主成分として含まれることが望ましい。これらは単独で用いても良いし、複数を組み合わせて複合体にして用いても良い。
具体的には、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラス等の板ガラス;サファイア等のセラミック;
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)を始めとするポリエステル、ナイロンを始めとする脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セルロースジアセテート(DAC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)をはじめとするセルロース、エポキシ、ビスマレイミド、ポリ乳酸、ポリフェニレンサルファイドやポリエーテルスルホンをはじめとする含硫黄ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタンなどポリマー;
ガラス繊維など(特に、これら繊維を含む繊維強化樹脂シート);
キトサンやセルロースなどを含むバイオナノファイバーなどを使用できる。
非シンチレータ層としては、取扱いの観点よりポリマーフィルムが好ましい。ポリマーフィルムは市販品を使用しても良く、また、剥離性を有するセパレータフィルム上にポリマーフィルムを形成した後、セパレータフィルムより剥離して使用しても良い。ポリマーフィルムにはブロッキング防止や搬送時のすべり性改善を目的としてシリカ等の微粒子を含有させても良い。
以上のスリット状シンチレータ部材では、必要に応じて、積層構造を維持するためには、放射線入射側の面、もしくはその反対の面、もしくは両方の面が支持体に貼り合わされて保持されていてもよい。また、放射線を入射側に設けられる検出器の基板が支持体を兼ねることも可能である。
支持体としては、X線等の放射線を透過させることが可能な各種のガラス、高分子材料、金属等を用いることができるが、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラス、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板(光電変換パネル)、またセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等の高分子フィルム(プラスチックフィルム)、アルミニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シート、あるいは該金属酸化物の被覆層を有する金属シート、炭素繊維強化樹脂(CFRP)シート、アモルファスカーボンシートなどを用いることができる。支持体の厚みは50μm〜2,000μmであることが好ましく、50〜1,000μmであることがより好ましい。
これらのうち、ガラス板又は高分子材料が好ましく、湾曲させる場合には湾曲しやすさの観点から高分子材料がさらに好ましく、高分子材料からなる樹脂フィルムが特に好ましい。
上記支持体の材料の弾性率は、通常0.1〜300GPa、好ましくは1〜200GPaである。ここで、「弾性率」とは、引張試験機を用い、試験片の標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めた値である。これがヤング率と呼ばれる値であり、本明細書では、かかるヤング率を弾性率と定義する。
湾曲させる場合、具体的には、弾性率が1〜20GPaである樹脂フィルムが好ましい。
また本発明では、以上のシンチレータ層を構成する材料としては、X線などの放射線を可視光などの異なる波長に変換することが可能な物質を適宜使用することが出来る。具体的には、「蛍光体ハンドブック」(蛍光体同学会編・オーム社・1987年)の284頁から299頁に至る箇所に記載されたシンチレータ及び蛍光体や、米国Lawrence Berkeley National LaboratoryのWebホームページ「Scintillation Properties(http://scintillator.lbl.gov/)」に記載の物質などが考えられるが、ここに指摘されていない物質でも、「X線などの放射線を可視光などの異なる波長に変換することが可能な物質」であれば、シンチレータとして用いることが出来る。
シンチレータの構成材料の組成としては、以下の例が挙げられる。まず、
基本組成式(I):MIX・aMIIX'2・bMIIIX''3:zAで表わされる金属ハロゲン化物系蛍光体が挙げられる。
上記基本組成式(I)において、MIは1価の陽イオンになり得る元素、すなわち、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、タリウム(Tl)および銀(Ag)などからなる群より選択される少なくとも1種を表す。
IIは2価の陽イオンになり得る元素、すなわち、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)およびカドミウム(Cd)などからなる群より選択される少なくとも1種を表す。
IIIは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)およびランタノイドに属する元素からなる群より選択される少なくとも1種を表す。
X、X'およびX''は、それぞれハロゲン元素を表わすが、それぞれが異なる元素であっても、同じ元素であっても良い。
Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す。
a、bおよびzはそれぞれ独立に、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表わす。
また、
基本組成式(II):MIIFX:zLnで表わされる希土類付活金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(II)において、MIIは少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を、Lnはランタノイドに属する少なくとも1種の元素を、Xは、少なくとも1種のハロゲン元素を、それぞれ表す。またzは、0<z≦0.2である。
また、
基本組成式(III):Ln22S:zAで表される希土類酸硫化物系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(III)において、Lnはランタノイドに属する少なくとも1種の元素を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。またzは、0<z<1である。
特にLnとしてガドリニウム(Gd)を用いたGd22Sは、Aの元素種にテルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)等を用いることによって、センサパネルが最も受光しやすい波長領域で、高い発光特性を示すことが知られているため、好ましい。
また、
基本組成式(IV):MIIS:zAで表される金属硫化物系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(IV)において、MIIは2価の陽イオンになり得る元素、すなわちアルカリ土類金属、Zn(亜鉛)、Sr(ストロンチウム)、Ga(ガリウム)等からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。またzは、0<z<1である。
また、
基本組成式(V):MIIa(AG)b:zAで表される金属オキソ酸塩系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(V)において、MIIは陽イオンになり得る金属元素を、(AG)はリン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、タングステン酸塩、アルミン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のオキソ酸基を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。
またaおよびbは、金属及びオキソ酸基の価数に応じて取り得る値全てを表す。zは、0<z<1である。
また、
基本組成式(VI):Mab:zAで表わされる金属酸化物系蛍光体が挙げられる。
上記基本組成式(VI)において、Mは陽イオンになり得る金属元素より選択される少なくとも1種の元素を表すが、特にランタノイドに属する金属が好ましい。具体例としては、Gd23やLu23などが挙げられる。
Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表わすが、特にランタノイドに属する金属が好ましい。具体例としては
またaおよびbは、金属及びオキソ酸基の価数に応じて取り得る値全てを表す。zは、0<z<1である。
また他に、
基本組成式(VII):LnOX:zAで表わされる金属酸ハロゲン化物系蛍光体が挙げられる。
上記基本組成式(VII)において、Lnはランタノイドに属する少なくとも1種の元素を、Xは、少なくとも1種のハロゲン元素を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。またzは、0<z<1である。
区画化シンチレータ、スリット状シンチレータの好ましい蛍光体は、入手しやすいものが好ましく、蛍光体として輝度が高いCsI、Ln22S:zAで表される希土類酸硫化物系蛍光体Gd22S、La22S、Y22Sが本発明に好適である。
スリット状シンチレータの場合、蛍光体を含む蛍光部材と、それ以外の部材との最小の組み合わせ単位は、図4に示されるように、一対のシンチレータ層と非シンチレータ層に相当し、その積層方向が厚さの和がピッチ(a)に相当する。ピッチ(a)は、通常0.5〜200μmであることが好ましく、0.5〜50μmであるが、後述する(a)/(b)の比率を鑑み適宜選択される。
本発明では、シンチレータ部材は少なくともGd22S、CsI、GdAlO3、NaI、CsBr、La22S、Y22Sを母体とする蛍光体を1種類以上含むものが好ましい。
さらに、シンチレータ部材の厚さに関しては、製法にも依存するが、任意の厚さに調整することが可能である。実質的には、柱状晶が、途中で途切れたり、枝分かれしたり、複数の柱状晶が一体化したり、柱状晶の直径が変化したり、直線的でなく非直線部分が含まれたりするような場合を排除するものではない。また第一の結晶相の柱状晶を曲げることも可能である。区画化シンチレータの場合、シンチレータ自体を湾曲させるか、もしくは湾曲させなくても傾斜構造にすることも可能である。
光学部材
光学部材は、同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に一軸性の光導波性を有する材料から構成され、通常、屈折率の異なる2相から構成される。本発明では、光学部材が複数の光ファイバーを束にして配置された光吸収部材が使用される。
本発明における好適な態様の1つにおいては、光学部材として、ファイバオプティクスプレート(FOP)を好適に用いることができる。FOPは数μmの光ファイバーを束にした光学部材であり、入射された光を高効率、低歪みで光電変換素子に伝搬する事が可能である。また、FOPは放射線遮蔽効果が高く、放射線画像変換器に使用される後述する光検出器を構成する各種素子への放射線ダメージを防ぐことが可能である。FOPはその放射線遮蔽率、可視光透過率などから市販のものを選択する事が可能である。このFOPの形状や大きさは、放射線検出器の用途などによって適宜設定することができ、従来公知の手法により、面取等、形状の変更を行うことができる。
光ファイバーは、コアガラスおよびクラッドガラスからなり、ファイバーの束が集まって光学部材が構成される。なお、コアガラスの断面形状は、六角形以外にも多角形や円形、あるいは曲線で囲まれた形状であっても構わない。ここで、コアガラスは高屈折率、クラッドガラスは低屈折率であり、両ガラスの屈折率差によって、光ファイバーの成長方向、すなわち一軸方向への光導波性を有する。さらに、光ファイバー間、すなわち低屈折率相内としてのクラッドガラス中に光吸収部材を配置することにより、漏れ光を少なくできるため、導波モードに結合しない光が少ない、あるいは一部を吸収することができる。
また上記FOPは、2mmの厚さでのX線透過率が1.0%であり、受光素子へのダメージを低減する事ができる。
また、光学部材が相分離する材料からなる場合も本発明では採用可能であり、屈折率の異なる、シリンダー材料とマトリックス材料から構成され、様々な組み合わせが可能である。この場合にも、両材料の屈折率差によって、シリンダーの成長方向、すなわち一軸方向への導光特性を有する。さらには、両材料のうち低屈折率側に光吸収部材を配置することにより、漏れ光を低減してもよい。ここで、光吸収材料は、漏れ光成分を減らす効果があれば良い。
光学部材のピッチ(b)は、光ファイバーのファイバー径に相当する。光ファイバーは、高屈折率材料のコアガラスの周りを低屈折率材料のクラッドガラスで被覆されているので、光学部材の光ファイバー径、すなわちピッチ(b)は、コアガラスとクラッドガラスのとの最小の組み合わせ単位となる。また、コアガラスの直径と、最隣接する光ファイバーの被覆層まで含めた厚さとの和が、ピッチ(b)となるが、隣接する光ファイバーの中心軸間距離をピッチに近似することもできる。光吸収材料が、光ファイバーの間に介在する場合、クラッドガラスの厚さに含めてピッチとする。また光学部材が相分離する材料からなる場合も、同様に定義でき、シリンダー材料の直径と、隣接するシリンダーまでのマトリックスの厚みとの和がピッチ(b)に相当する。
ピッチ(b)は特に制限されず、1μm〜30μmの範囲にあるが、(a)/(b)の比率を鑑み適宜選択される。
本発明では、シンチレータ部材のシンチレータ層の最小組み合わせ単位をピッチ(a)とし、光学部材の最小の組み合わせ単位をピッチ(b)としたときに下記関係式を満足する。
0.1<(a)/(b)<1.0
かかる関係式を満足することで、シンチレータ部材で変換された光が光学部材界面で散乱することが抑制される。
シンチレータ部材の膜厚が100〜1500μm、好ましくは100〜1000μmであり、光学部材厚が1mm以上、好ましくは1〜5mmであることが望ましい。
このような厚みでシンチレータ部材と光学部材とを組み合わせると、光を効率的にセンサなどの光検出器に導くことができる。
光学部材は、接続部材を介して、シンチレータ部材および光検出器と接合される。接続部材としては、両面粘着の粘着シート、液体硬化タイプの粘着材、又は接着剤等が用いられる。特に好適には、光学用粘着シート又は粘着材が用いられる。接着材としては、有機材料、無機材料の何れを用いても良い。例えば、アクリル系、エポキシ系、シリコン系、天然ゴム系、シリカ系、ウレタン系、エチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、セルロース系等が適宜用いられる。これらは単体でも混合でも用いられる。また、粘着シートの構造としては、PET等の芯材の両面に粘着層を形成したもの、芯材なしで単層の粘着層としてシート化されたもの等が用いられる。
光検出器
本発明に係るX位相差コントラスト撮影装置に含まれる光検出器は、シンチレータ部材で発生した発光光を吸収して、電荷の形に変換することで電気信号に変換して、発光光に含まれる情報を電気信号として外部に出力する機能を有している。光検出器は、そのような機能を果たせるものであれば特に制限されず、従来公知のものを採用することができる。
受光素子は、400〜800nmに検出感度を有し、最高検出感度が600〜800nmであるものが、広範囲の波長域を検出できるので好ましい。
最高検出感度が600〜800nmにあるものは、赤色発光の検出が可能である。なお、受光素子は、広範囲の波長域に検出感度がある方が検出感度は高く、赤色発光の蛍光体の使用も可能となり、シンチレータの選択範囲が拡がる。
受光素子は、シンチレータ部材からの光を波長で弁別して検出することができるように、カラーフィルタ層及び光電変換素子を有する。
光電変換素子は、透明電極と、入光した光により励起されて電荷を発生する電荷発生層と、対電極とからなるものとすることができる。これら透明電極、電荷発生層および対電極は、いずれも、従来公知のものを用いることができる。
また、本発明で用いられる受光素子は、適当なフォトセンサーから構成されていても良く、例えば、複数のフォトダイオードを2次元的に配置してなるものであってもよく、あるいは、CCD(Charge Coupled Devices)、CMOS(Complementary metal-oXide-semiconductor)センサなどの2次元的なフォトセンサーからなるものであっても良い。
受光素子としては、CMOSセンサ及びCCDセンサであることが、400〜800nm領域に感度があり、最高検出感度は、600〜800nmで赤色発光の検出が可能であり、600〜800nmに検出感度がないアモルファスSi−TFTに対し優位性がある。
さらに、光検出器は、電気信号に変換されたX線等の放射線の強度情報および位置情報に基づく画像信号を記憶するためのメモリ部、光電変換パネルを駆動させるために必要な電力を供給する電源部、外部に画像情報を取りだすための通信用出力部など、公知の放射線検出器を構成する受光素子パネルが有しうる各種部品をさらに備えることができる。
光検出器は、アモルファスシリコン等の材料からなる基板上に所定のピッチとなるように、受光素子が配置される。CMOSセンサなどを大面積化する手段として複数の光検出器を接合する場合がある。このような光検出器の配設をタイリングという。
本発明にかかるX線位相コントラスト撮影装置では、前記X線源からのX線が入射側から順に、シンチレータ部材、光学部材、および光検出器の順に配置されたセンサパネルを備える。
以上のような本発明にかかるX線位相コントラスト撮影装置は、たとえば図1に示されるタルボ撮影装置のように、G2格子を除去して、所定のシンチレータ部材と光学部材とを配置して構成される。なお、タルボ撮影装置について、特開2016−220865号公報、特開2016−220787号公報、特開2016−209017号公報、特開2016−150173号公報などに詳細に記載されている。
実施例
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はかかる実施例に何ら制限されるものではない。
<実施例1>
<センサパネルの作製方法>
平均粒径2μmのGd22S:Tb粒子(GOS)とエチレン-酢酸ビニル系ホットメルト樹脂(三井・デュポン ポリケミカル製エバフレックスEV150、融点=61℃)を固形分比率(体積分率)が50/50となるように混合し、シンチレータ層形成用の組成物を得た。この組成物を200℃で溶融し、理論膜厚が3.0μm(重量より算出)のPETフィルム(非シンチレータ層)上に、理論膜厚が2.0μm(重量より算出)になるようにダイコーターを用いて組成物をコートすることで、シンチレータ層と非シンチレータ層からなる部分積層体を作製した。したがって、ピッチ(a)は、5.0μmとなる。
その後、上記部分積層体を120mm×3mmに断裁したものを20,000枚積層した。本積層体の実測膜厚は140mmであった。
続いて、上記積層体の膜厚が120mmになるよう、金属製の治具を用いて圧力0.2GPaの条件で積層面に対して平行に加圧し、更にこの状態で、100℃、1時間加熱することで20,000層の部分積層体よりなる積層ブロック(120mm×120mm×3mm)を作製した。
上記積層ブロックの片側(120mm×120mmの面)を旋盤加工により平坦化した後、エポキシ接着剤を塗布し、0.5mm厚のCFRP板に貼り合せた。その後、上記積層ブロックの厚さを300μmになるまで旋盤加工により切削することでスリット状シンチレータ部材(120mm×120mm×0.4mm)を得た。
上記スリット状シンチレータ部材におけるCFRP板を貼り合せていない面を、FOP(厚さ:2.0mm、ピッチ(b)に相当する繊維径6μm)と貼り合わせた。放射線入射窓のカーボン板とシンチレータパネルの放射線入射側(FOPのない側)にスポンジシートを配置し、センサ基板(光検出器)にFOPとシンチレータパネルを軽く押し付けることで固定化した。
シンチレータ部材とFOPの貼り合わせは、接合光学用両面テープを用いて行った。センサ基板には、CMOSセンサがマトリクス状に配置されている。こうして所定のセンサパネルを作製した。
<実施例2>
実施例1において、ピッチ(a)は、0.9μmとし、FOPとして、ピッチ(b)が6μmにした以外は実施例1と同様にして、シンチレータ部材を作製し、センサパネルに加工して評価した。
<実施例3>
実施例1において、ピッチ(a)を2.0μmとし、FOPとして、ピッチ(b)が3μm、のものを使用した以外は実施例1と同様にして、シンチレータ部材を作製し、センサパネルに加工して評価した。
<実施例4>
実施例1において、ピッチ(a)を5.0μmとし、FOPとして、ピッチ(b)が6μmのものを使用して、積層ブロックの厚さを各々60μm、100μm、1500μm、2000μmになるまで旋盤加工装置により切削して使用した以外は実施例1と同様にして、シンチレータ部材を作製し、センサパネルに加工して評価した。
<実施例5>
実施例1においてCMOSセンサに光学フィルターを付けてセンサの波長領域450nmにした以外は実施例1と同様にして、シンチレータ部材を作製し、センサパネルに加工して評価した。
<比較例1>
実施例1において、ピッチ(a)を2.0μm、FOPとして、ピッチ(b)が25μm、のものを使用した以外は実施例1と同様にして、シンチレータ部材を作製し、センサパネルに加工して評価した。
<比較例2>
実施例1において、ピッチ(a)を6.0μmとし、FOPとして、ピッチ(b)が3μmのものを使用した以外は実施例1と同様にして、シンチレータ部材を作製し、センサパネルに加工して評価した。
結果をまとめて表1に示す。
<実施例6>
実施例1においてFOPは平板研削加工機を使用し、所定の厚さに切削した。各々1mm、3mm、5mmの厚さのFOPを使用した以外は、実施例1と同様にしてセンサパネルに加工して評価した。
<比較例3>
実施例1においてFOPは平板研削加工機を使用し、0.7mmの厚さに切削した。得られたFOPを使用した以外は、実施例1と同様にしてセンサパネルに加工して評価した。
<比較例4>
実施例1においてFOPは平板研削加工機を使用し、0.3mmの厚さに切削した。得られたFOPを使用した以外は、実施例1と同様にしてセンサパネルに加工して評価した。
結果をまとめて表2に示す。
<評価方法1>
以上の実施例1〜5および比較例1および2で得られた試料を、CMOSフラットパネル(テレダインダルサ社製X線CMOSカメラシステムShad−o−BoX6kHs)にセットし、14bitの出力データより輝度及びMTF(1cycle/mm)を、以下に示す方法で測定し、結果を表1に示す。
(輝度の評価方法〉
管電圧40kVpのX線を試料の裏面(蛍光体層が形成されていない面)から照射し、画像データはシンチレータを配置した上記CMOSフラットパネルで検出し、画像の平均シグナル値を発光輝度とした。測定結果を下記表1に示す。ただし、表1中、試料の輝度を示す値は、比較例1の発光輝度を100とした場合の相対数値である。
〈鮮鋭性の評価方法〉
鉛製のMTFチャートを通して管電圧40kVpのX線を各試料の裏面(蛍光体層が形成されていない面)から照射し、画像データはシンチレータを配置したCMOSフラットパネルで検出しハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の記録をコンピュータで分析して当該ハードディスクに記録されたX線像の変調伝達関数MTF(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。測定結果を下記表1に示す。ただし、表1中、試料のMTFを示す値は、比較例1のMTFを100とした場合の相対数値で鮮鋭性を評価した。MTFはModulation Transfer Functionの略号を示す。
<評価方法2>
手製の筐体にCMOSセンサをセットし、放射線入射窓のカーボン板とシンチレータパネルの放射線入射側(蛍光体のない側)にスポンジシートを配置し、センサ基板(光検出器)に実施例6および比較例3および4で作製した試料を軽く押し付けることで固定化した。このセンサパネルに管電圧80kVのX線を使用して累積100,000R照射した。
(不良画素数の評価方法〉
100,000R照射したセンサパネルのX線未露光の画像を取得し、CMOSセンサの不良画素発生の有無を確認した。

Claims (5)

  1. X線源からのX線を用い、X線位相コントラスト像を撮像するX線位相コントラストX線撮像装置であって、
    前記X線源からのX線が入射側に、少なくとも2種類以上の構成部材からなるシンチレータ部材を備え、上記構成部材がX線入射側と反対側とを結ぶ方向に、周期的に配置されてなり、構成部材の少なくとも1つ以上がX線を可視光に変換する蛍光体を含み、
    X線の入射側から順に、前記シンチレータ部材、光学部材、および光検出器の順に配置され、かつ、光学部材が複数の光ファイバーの束からなり、X線入射側と反対側とを結ぶ方向に一軸性の導光特性を有し、
    シンチレータ部材の構成部材のうち、蛍光体を含む蛍光部材と、それ以外の部材との最小の組み合わせ単位をピッチ(a)とし、光学部材の光ファイバー径をピッチ(b)としたときに下記関係式を満足し、
    0.1<(a)/(b)<1.0
    シンチレータ部材の膜厚が100〜1500μm、光学部材厚が1mm以上である
    センサパネルを備えることを特徴とするX線位相コントラスト撮影装置。
  2. 光検出器を構成する受光素子が400〜800nmに検出感度を有し、最高検出感度が600〜800nmであることを特徴とする請求項1に記載のX線位相コントラスト撮影装置。
  3. 前記受光素子が、CMOSセンサ及びCCDセンサであることを特徴とする請求項2記載のX線位相コントラスト撮影装置。
  4. シンチレータ部材は少なくともGd22S、CsI、GdAlO3、NaI、CsBr、La22S、Y22Sを母体とする蛍光体を1種類以上含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のX線位相コントラスト装置。
  5. 前記光検出器が、支持基板または光学部材上にタイリングされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のX線位相コントラスト撮影装置。
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