JP2018172990A - エンジンの排気制御システム及びそれを搭載した船舶 - Google Patents

エンジンの排気制御システム及びそれを搭載した船舶 Download PDF

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Abstract

【課題】掃気圧が低下するような運転条件下においてもエンジンの運転制御をきめ細く行うことを可能とする。【解決手段】排気弁40を有したエンジン30と、排気弁40の作動タイミングを変更し、エンジン30に加圧空気を供給する過給機32と、加圧空気及びエンジン30からの排気の少なくとも一方をバイパスして取出気体として取り出す給気バイパス管14、掃気バイパス管16、排気バイパス管18と、を備え、取り出す取出気体に応じて排気弁40の作動タイミングを制御する。【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンの排気制御システム及びそれを搭載した船舶に関する。
船舶では、空気潤滑法により航行効率を向上させたり、パワータービンにより発電を行ったりするためにエンジンから気体を取り出して利用するシステムが知られている。
例えば、船舶の喫水線以下の船体近傍に気体を噴出して船舶の摩擦抵抗を低減するにあたり、主機関に加圧気体を供給する過給機の周辺から船体近傍に噴出させる気体を取り出す構成が知られている。このとき、気体の取り出し状況に応じて過給機の可変ノズルを制御して給気特性を改善し、主機関の効率の維持を図る技術が開示されている(特許文献1)。
また、2サイクルディーゼルエンジンにおいて、排気弁に作動角を変化させる可変動弁機構が設けられており、低速時に比較して高速時ほど作動角が大きくなるように制御するシステムが開示されている(特許文献2)。これにより、高速運転域においてオーパラップ期間及びブローダウン期間の双方が拡大され、サイクル期間の短縮に伴う掃気効率の低下を回避できるとされている。
特開2010−228679号公報 特開平11−93710号公報
ところで、エンジンの掃気部周辺において空気を取り出すと、掃気圧の低下がみられエンジン性能が低下する。そこで、掃気圧の低下を防ぐ手段として、過給機のタービン面積を絞るVTI(Variable Turbine Inlet)やVTA(Variable Turbine Area)の対策がとられてきたが、制御範囲が大きくエンジンの負荷に対してきめ細かい制御ができなかった。
請求項1に対応したエンジンの排気制御システムは、排気弁を有したエンジンと、前記排気弁の作動タイミングを変更するタイミング制御手段と、前記エンジンに加圧空気を供給する過給機と、前記加圧空気及び前記エンジンからの排気の少なくとも一方の一部をバイパスして取出気体として取り出す気体取出手段とを備え、前記気体取出手段で取り出す前記取出気体の取り出し状態に応じて前記タイミング制御手段によって前記排気弁の作動タイミングを制御することを特徴とする。
ここで、前記タイミング制御手段は、前記取出気体を取り出すときの前記排気弁の閉弁タイミングを前記取出気体を取り出さないときより早めるように制御することが好適である。なお、前記タイミング制御手段は、排気弁タイミング変更機構と排気弁タイミング制御装置(電子制御)を含んで構成することが好適である。
また、前記排気弁の閉弁タイミングは、前記取出気体の取り出し割合に応じて設定されることが好適である。また、前記排気弁の閉弁タイミングは、前記エンジンの負荷に応じて設定されることが好適である。ここで、取り出し割合とは、例えば過給機から供給される加圧空気と取出空気との量の比、加圧空気と取出排気との量の比、又は加圧空気と取出空気及び取出排気の合計量との比をいう。
また、前記エンジンの前記負荷は、部分負荷であることが好適である。
また、前記排気弁の閉弁タイミングは、前記エンジンの排気中の排出物に応じて設定されることが好適である。ここで、前記排出物は、窒素酸化物であることが好適である。このとき、前記窒素酸化物の排出許容値に応じて前記排気弁の閉弁タイミングを早めるクランク角(又はクランクシャフト回転角)を制限することが好適である。
また、前記エンジンの燃焼室内の最高圧力に応じて前記排気弁の閉弁タイミングを早めるクランク角(又はクランクシャフト回転角)を制限することが好適である。
また、前記エンジンの負荷に応じて、前記気体取出手段による前記取出気体の取り出し割合を変更することが好適である。このとき、前記エンジンの負荷が小さいほど前記取出気体の取り出し割合を増すことが好適である。
上記エンジンの排気制御システムは、前記取出気体を船体の周囲に噴出して摩擦抵抗を低減することに利用することが好適である。また、上記エンジンの排気制御システムは、前記取出気体を船体に搭載したパワータービンを駆動するために利用することが好適である。
また、請求項14に対応する本発明の別の態様は、上記エンジンの排気制御システムを搭載した船舶である。このとき、前記エンジンは、船舶を推進する主機関であることが好適である。
請求項1に対応したエンジンの排気制御システムによれば、排気弁を有したエンジンと、前記排気弁の作動タイミングを変更するタイミング制御手段と、前記エンジンに加圧空気を供給する過給機と、前記加圧空気及び前記エンジンからの排気の少なくとも一方の一部をバイパスして取出気体として取り出す気体取出手段とを備え、前記気体取出手段で取り出す前記取出気体の取り出し状態に応じて前記タイミング制御手段によって前記排気弁の作動タイミングを制御することによって、掃気圧が低下するような運転条件下においても前記エンジンに対する制御をよりきめ細かくすることができる。
ここで、前記タイミング制御手段は、前記取出気体を取り出すときの前記排気弁の閉弁タイミングを前記取出気体を取り出さないときより早めるように制御することによって、排気ガス中の窒素酸化物の排出量を増加させることなく、前記エンジンの燃費の変化を抑制することができる。
また、前記排気弁の閉弁タイミングは、前記取出気体の取り出し割合に応じて設定されることによって、前記取出気体の取り出し割合に応じた前記エンジンの制御をきめ細かく行うことができる。また、前記排気弁の閉弁タイミングは、前記エンジンの負荷に応じて設定されることによって、前記エンジンの前記負荷(部分負荷)に応じた前記エンジンの制御をきめ細かく行うことができる。
また、前記排気弁の閉弁タイミングは、前記エンジンの排気中の排出物(例えば、窒素酸化物)に応じて設定されることによって、前記エンジンの排気中の排出物に応じた前記エンジンの制御をきめ細かく行うことができる。特に、前記エンジンの運転状態に応じて前記排気中の窒素酸化物の量は変動するので、当該窒素酸化物の量を制限するように前記エンジンを制御することができる。また、前記窒素酸化物の排出許容値に応じて前記排気弁の閉弁タイミングを早めるクランク角(又はクランクシャフト回転角)を制限することによって、前記排気中の前記窒素酸化物の量が前記排気許容量以上となることを防ぐことができる。
また、前記エンジンの燃焼室内の最高圧力に応じて前記排気弁の閉弁タイミングを早めるクランク角(又はクランクシャフト回転角)を制限することによって、前記エンジンの破損が生じる圧力での運転となることを防ぐことができる。
また、前記エンジンの負荷に応じて、前記気体取出手段による前記取出気体の取り出し割合を変更することによって、前記エンジンの負荷に応じて前記エンジンをきめ細かく制御することができる。特に、前記エンジンの負荷が小さいほど前記取出気体の取り出し割合を増すことによって、前記エンジンの運転状況への前記取出気体の取り出しの影響を小さくすることができる。
上記エンジンの排気制御システムを前記取出気体を船体の周囲に噴出して摩擦抵抗を低減することに利用することによって、空気潤滑法により船舶の航行効率を高めると共に掃気圧が低下するような運転条件下においても前記エンジンの制御をきめ細かく行うことができる。また、上記エンジンの排気制御システムは、前記取出気体を船体に搭載したパワータービンを駆動するために利用することによって、パワータービンを利用すると共に掃気圧が低下するような運転条件下においても前記エンジンの制御をきめ細かく行うことができる。
本発明の実施の形態における船舶の構成を示す図である。 本発明の実施の形態における主機関の全体構成を示す図である。 本発明の実施の形態における主機関の構成を示す図である。 本発明の実施の形態における船舶の制御システムを示す機能ブロック図である。 本発明の実施の形態における排気機構を示す機能ブロック図である。 主機関の排気弁の開閉タイミングを説明するための図である。 主機関における排気弁の閉弁タイミングに対する掃気圧の変化率と燃費との関係例を示す図である。 主機関における排気弁の閉弁タイミングに対する掃気圧の変化率と窒素酸化物の変化率との関係例を示す図である。 部分負荷が40%における燃費の変化率に対する排気弁の閉弁タイミングと掃気圧の変化率との関係例を示す図である。 部分負荷が50%における燃費の変化率に対する排気弁の閉弁タイミングと掃気圧の変化率との関係例を示す図である。 部分負荷が60%における燃費の変化率に対する排気弁の閉弁タイミングと掃気圧の変化率との関係例を示す図である。 部分負荷が75%における燃費の変化率に対する排気弁の閉弁タイミングと掃気圧の変化率との関係例を示す図である。
本発明の実施の形態における船舶100は、図1に示すように、船体10、主機関12、給気バイパス管14、掃気バイパス管16、排気バイパス管18、給気管20、気体噴出口22、遮断バルブ24及び制御部26を含んで構成される。
船舶100は、主機関12によって発生させられる駆動力によって海、河川、湖沼等を航行する。本実施の形態における船舶100は、空気潤滑法が適用されており、船体10の喫水線よりも下の水中において船体10の近傍に気体(空気、排気)を送り込むことができる構成とされている。これによって、航行中の船体10と水との間の抵抗を低減させ、船体10の航行時の効率を向上させることができる。
船体10には、主機関12が搭載される。主機関12は、例えば、2サイクルのディーゼルエンジンとすることができる。主機関12には、給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18を含むバイパス管が接続される。給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18は、それぞれ主機関12との間にバイパス調整弁を備える。
給気管20は、給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18と気体噴出口22との間を接続する配管である。給気管20は、気体噴出口22に対して気体を通すための管である。給気管20は、例えば、給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18との接続部から船体10の底部付近の高さに一旦下げられ、喫水位置より上部となるように再び上げられ、略水平方向に延設され、さらに底部に向けて下げられるように配管される。このように、一旦喫水線よりも高い位置に給気管20を経由させることによって、バイパス調整弁等のバルブが故障した場合であっても気体噴出口22からの水の逆流入を防止することができる。
給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18の少なくとも1つから取り出された空気(以下、取出気体という。)は給気管20を介して気体噴出口22に供給される。気体噴出口22は、例えば、船体10の船底の前部において左舷及び右舷に対称的に配置される。船体10が航行中に気体噴出口22から取出気体を噴出させることによって、船体10の船底と水の界面に気泡を形成することができる。これによって、船舶100に空気潤滑法を適用することができ、船舶100の航行効率を高めることができる。
なお、気体噴出口22を船体10の船底に設けることによって、形成した気泡を船体10の船底付近に長時間にわたって滞在させることができる。また、気体噴出口22を船体10の前部に設けることによって、船舶100が航行中に船体10の前部から後部にわたって船底全体に気泡を滞在させることができる。これらによって、船舶100に対する空気潤滑法の効果をより高めることができる。
また、気体噴出口22の近傍の給気管20に遮断バルブ24を設けてもよい。遮断バルブ24は、気体噴出口22に対して取出気体が供給されていないときには遮断バルブ24を閉状態にすることで水の逆流入を防ぐことができる。気体噴出口22に対して取出気体を供給する場合、取出気体の圧力が十分に高まってから遮断バルブ24を開状態にすることが好適である。
制御部26は、船舶100における各部の制御を統合的に行う処理部である。制御部26は、コンピュータを含んで構成することができる。制御部26は、後述する各種センサによる測定値に基づいて船舶100を構成する主機関12等を電子制御する。特に、本実施の形態では、制御部26はその一部が排気弁タイミング制御装置としても機能する。制御部26による制御については後述する。なお、排気弁タイミング制御装置を、統合的に制御を行う処理部から独立して構成することも可能である。
図2は、主機関12、制御部26及び負荷300の構成及び関係を示す構成図である。また、図3は、主機関12の主要構成を示す図である。主機関12は、エンジン本体30、過給機32、給気管34、インタークーラー36、掃気レシーバ38、排気弁40、排気レシーバ42、排気管44、燃料供給手段46(燃料ポンプ46a、電子ガバナー46b)及びコントローラ66(排気弁タイミング変更機構66a,排気弁駆動ポンプ66b)を含んで構成される。
エンジン本体30は、シリンダ30a、ピストン30b、クランク30c等を含んで構成される。エンジン本体30では、シリンダ30a内におけるピストン30bの往復運動に応じてシリンダ30aに対する空気の給気及び掃気が行われる。また、シリンダ30a内には、燃料供給手段46によって燃料が供給され、燃料と空気の混合気に点火及び燃焼・爆発が行われ、そのエネルギーがピストン30bを駆動させる。ピストン30bへ与えられた駆動力は、クランク30cを介して負荷300へ伝達される。船舶100では、負荷300は推進用のプロペラ等とされる。また、試験機では、負荷300は水制動機等とすればよい。
過給機32は、圧縮機C及びタービンTを含んで構成される。過給機32では、エンジン本体30からの排気ガスのエネルギー(温度及び圧力)を利用してタービンTを高速回転させ、その回転力によって圧縮機Cを駆動することによって圧縮した空気をエンジン本体30のシリンダ30a内へ供給する。すなわち、過給機32は、圧縮した空気をエンジン本体30に送り込み、主機関12の本来の給気量を超える混合気を吸入・爆発させることで見かけの排気量を超える出力を与える。
過給機32において圧縮された空気は、ディフューザ等を介して給気管34に送り込まれる。給気管34には、インタークーラー36が設けられる。インタークーラー36は、圧縮空気を中間冷却する。インタークーラー36を通った圧縮空気は掃気レシーバ38に送り込まれて貯められる。掃気レシーバ38に貯められた圧縮空気は、エンジン本体30のピストン30bが下死点付近にあるときに開状態となる掃気ポートからエンジン本体30のシリンダ30a内に送り込まれる。燃料供給手段46は、燃料ポンプ46a及び電子ガバナー46bを含んで構成される。電子ガバナー46bは、クランク30cの回転数を示す回転数信号S1を受けて、燃料ポンプ46aの駆動タイミングを制御する。燃料ポンプ46aは、電子ガバナー46bの制御により所望のタイミングで燃料をシリンダ30a内に噴射させる。エンジン本体30のシリンダ30a内には、燃料供給手段46から燃料が供給されて混合気となり、ピストン30bにより圧縮されて混合気が燃焼させられる。燃焼によりピストン30bに駆動力が与えられる。
エンジン本体30での燃焼により発生した排気ガスは、排気弁40が開状態となると共に掃気レシーバ38に貯められた圧縮空気によって掃気されて排気レシーバ42に送り込まれる。排気レシーバ42に貯められた排気ガスは、過給機32のタービンTに導かれて回転力を与えた後に排気される。
本実施の形態では、排気弁40を閉状態から開状態にする開弁タイミング及び開状態から閉状態にする閉弁タイミングは制御部26によって制御される。具体的には、制御部26が排気弁タイミング制御装置として機能し、排気弁タイミング変更機構66aを制御することによって排気弁40の作動タイミング及び開度(リフト量)が制御される。排気弁タイミング変更機構66aは、排気弁駆動ポンプ66bにより発生した油圧を利用して、排気弁40を押す油圧アクチュエータに設けられた電磁式のリリーフバルブにより排気弁40を開く圧力を調整して排気弁40を制御する。排気弁40の制御については後述する。
本実施の形態では、給気管34に給気バイパス管14が接続される。給気管34と給気バイパス管14との間には給気バイパス調整弁50が設けられる。給気バイパス調整弁50を開状態にすることによって、給気管34に送り込まれた圧縮空気の一部が給気管20へ送り込まれる。一方、給気バイパス調整弁50を閉状態とすることによって、給気管34に送り込まれた圧縮空気は給気管20に送り込まれない状態となる。給気バイパス調整弁50の開度は、制御部26によって制御される。
また、本実施の形態では、掃気レシーバ38に掃気バイパス管16が接続される。掃気レシーバ38と掃気バイパス管16との間には掃気バイパス調整弁52が設けられる。掃気バイパス調整弁52を開状態にすることによって、掃気レシーバ38に送り込まれた圧縮空気の一部が給気管20へ送り込まれる。一方、掃気バイパス調整弁52を閉状態とすることによって、掃気レシーバ38に送り込まれた圧縮空気は給気管20に送り込まれない状態となる。掃気バイパス調整弁52の開度は、制御部26によって制御される。
また、本実施の形態では、排気レシーバ42に排気バイパス管18が接続される。排気レシーバ42と排気バイパス管18との間には排気バイパス調整弁54が設けられる。排気バイパス調整弁54を開状態にすることによって、排気レシーバ42に送り込まれた排気ガスの一部が給気管20へ送り込まれる。一方、排気バイパス調整弁54を閉状態とすることによって、排気レシーバ42に送り込まれた排気ガスは給気管20に送り込まれない状態となる。排気バイパス調整弁54の開度は、制御部26によって制御される。
図4は、本実施の形態における船舶100の制御手段の制御ブロック図を示す。制御手段は、制御部26、海象判断部200、船舶状況判断部202及び航行状態検出部204を含んで構成される。
制御部26は、過給機32に設けられた各種センサによって取得した測定値、海象判断部200、船舶状況判断部202及び航行状態検出部204の出力に基づいて船舶100を制御する。本実施の形態では、特に、制御部26による給気バイパス調整弁50、掃気バイパス調整弁52及び排気バイパス調整弁54並びに排気弁40の制御について説明する。海象判断部200は、船舶100の周囲の海象状況に係るデータを収集しこれに基づいて判断する。航行状態検出部204は、船舶100の状況(位置状況、燃料状況、運転状況等)に関する情報を取得し、これに基づいて船舶100の状況を判断する。航行状態検出部204は、船舶100の航行状態を検出する。以下、各部について説明する。
制御部26は、各種センサにより取得されたデータに基づいて所定の処理を行う機能を有する処理部60と、この処理部60に基本データをフィードする機能を有する基本データ部62と、この基本データ部62に主機関(エンジン)12の特性に関する情報を計算又は取得して与える機能を有するエンジン特性部64と、処理部60からの信号に基づいて主機関12の排気弁40及び給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18の開度を制御する機能を有するコントローラ66を備える。コントローラ66は、上記の排気弁タイミング変更機構66a及び排気弁駆動ポンプ66bを含んで構成される。制御部26は、予め内部メモリに記憶されたプログラム及びデータに基づいて演算処理や判定処理を行うコンピュータにより構成することができる。
海象判断部200は、波センサ70、風センサ72、潮流センサ74を備えて構成されている。波センサ70は、波の波高や方向、また周期等を検出する。風センサ72は、風の風速や方向等を検出する。潮流センサ74は、潮の潮速や方向、また高さ等を検出する。この海象判断部200は、この他一般の天候等の情報も含めて、波、風、潮等の情報に天候等も加味し、例えば、海象が荒れているときは取出気体の噴出を止め、回復したら取出気体を供給し気泡を発生させるなどの判断を行うことに利用される。
船舶状況判断部202には、船舶100の機関の運転状態を検出する機関運転検出部76、船舶100の機関の燃料消費量を計測する燃料計測部78、船の位置を検出するGPS80が設けられている。この船舶状況判断部202は、特に船舶100の現況を判断する部分であり、航行中に変化が少ない(もしくはない)、あるいは変化が緩慢な船舶100の現況を判断するものである。例えば、機関運転検出部76は、主機関12の現在の負荷(部分負荷)を検出して出力したり、過去及び現在の負荷(部分負荷)に基づいて将来の負荷(部分負荷)の予測値を出力したりする。また、機関運転検出部76は、主機関12の燃焼室の現在の圧力を検出して出力したり、過去及び現在の圧力に基づいて将来の燃焼室の圧力の予測値を出力したりする。また、機関運転検出部76は、主機関12の熱負荷に関連した物理量、例えば掃気圧及び排気温度を検出して出力する。また、機関運転検出部76は、例えば過給機32の回転数を検出して出力する。また、例えば、GPS80は、船の地図上の位置を把握し、港や目的地までの距離や対地の絶対速度等を検出している。
航行状態検出部204は、相対速度センサ82、測深儀84、船体10の喫水レベルを検出する喫水センサ86、剪断力センサ88、船体10の進行方向に対しての左右の傾きいわゆるローリングを検出する傾斜センサ90を備えて構成される。これら航行状態検出部204は、船舶100の航行に伴い比較的変化し易い、あるいは変化をさせる目的で制御される物理量を検出している。この航行状態検出部204には、この他、船体10の左右揺れ(スウェイング)、縦揺れ(ピッチング)、前後揺れ(サージング)、上下揺れ(ヒービング)、船首揺れ(ヨーイング)を検出するセンサ等(図示しない)が含まれる。
船舶状況判断部202からの情報、海象判断部200からの情報、航行状態検出部204からの情報は、制御部26の処理部60に入力される。処理部60は、これらの情報と船体10の船底に取出気体を噴出する条件とを比較して給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18の開度を制御するための信号をコントローラ66へ出力する。
ここで、取出気体を噴出する条件とは、気体の噴出開始/停止、複数ある場合には気体噴出口22のどれとどれから気体を噴出させるか、気体の噴出のための空気(取出気体)の取り出し量(取り出し割合)をどうするか、噴出のタイミングをどうするか、また時間的な気体噴出シーケンスをどう組むか、いつ噴出させていつ止めるか、噴出方向をどうするか等の条件である。
例えば、主機関12の熱負荷に関連した物理量と過給機特性とに基づいて取出気体の噴出を制御する。この場合、取出気体を噴出する条件は、主機関12の熱負荷に関連した物理量とする。主機関12の熱負荷に関連した物理量の代表例としては、掃気圧と排気温度(或いは排気管温度、その他排気温度と一対一で対応する周囲温度等)を採用し、過給機特性としては過給機効率を採用することができる。ここで掃気圧及び排気温度は、機関運転検出部76に含まれるセンサで検出すればよい。また、過給機効率は、機関運転検出部76に含まれるセンサによって過給機32の回転数を検出し、過給機32のすべり率や扇車直径等の基本データから過給機総合効率を計算すればよい。具体的には、掃気圧、排気温度及び過給機効率が低いときには給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18からの取出気体の取り出し割合を少なくし、掃気圧、排気温度及び過給機効率が(高い)ときには取り出し割合を高くするように制御することが好適である。例えば、取出気体の取り出し割合を、掃気圧、排気温度及び過給機効率の関数として設定しておき、現在の掃気圧、排気温度及び過給機効率を当該関数に代入することにより取り出し割合を算出するようにすればよい。
また、主機関12の運転状況に応じて取出気体の噴出を制御してもよい。この場合、取出気体を噴出する条件は、主機関12の運転/停止の状態や主機関12の負荷(部分負荷)とすることができる。例えば、主機関12の運転の停止が確認されたら取出気体の噴出を止め、主機関12が動き出し所定時間経ったら取出気体の噴出を開始するようにしてもよい。この場合、船舶状況判断部202の機関運転検出部76にて主機関12の運転状況を把握し、主機関12が定常運転状態であれば取出気体の噴出を行い、定常運転状態でなければ取出気体の噴出を停止させるようにすればよい。
また、主機関12の現在の部分負荷に応じて取出気体の取り出し割合を制御してもよい。この場合、制御部26は、船舶状況判断部202の機関運転検出部76によって検出された主機関12の現在の部分負荷を取得し、主機関12の部分負荷が小さくなるにつれて取出気体の取り出し割合を多くすることが好適である。また、制御部26は、船舶状況判断部202の機関運転検出部76によって予測された主機関12の将来の部分負荷の予測値を取得し、主機関12の部分負荷の予測値が小さくなるにつれて取出気体の取り出し割合を多くすることが好適である。
また、主機関12の燃費に基づいて取出気体の噴出を制御してもよい。この場合、気体を噴出する条件は、主機関12の燃費である。主機関12の燃費は、機関運転検出部76によって検出して制御部26に入力するようにしてもよいし、機関運転検出部76によって検出された他の物性値と基本データ部62から設定された主機関12の特性に基づいて算出してもよい。例えば、船舶状況判断部202の燃料計測部78で検出される燃費が予定より下回ったら取出気体の噴出を止め、燃費が予定よりも上回っていれば取出気体の噴出を行えばよい。さらに、燃費に応じて取出気体の取り出し割合を補正するようにしてもよい。例えば、燃費が高いほど取出気体の取り出し割合が高くなるように補正係数を設定し、取り出し割合が当該補正係数に比例するように補正を行えばよい。また、現在の燃費の代わりに燃費の予測値に基づいて制御を行ってもよい。例えば、燃費の改善が予測される場合は取出気体の噴出を開始し、燃費の悪化が予測される場合には取出気体の噴出を停止させてもよい。
また、気泡生成にとっては、圧力が高く、粘性係数が下がるところから温度が高い方が良い。したがって、排気バイパス管18からの排気ガスを用いることが最も適している。しかしながら、排気ガスを水中に噴出すると、汚染を誘発するおそれがあるという環境問題が想定される。したがって、排気バイパス管18からの排気ガスを利用できない水域があると想定される。このような水域では、給気バイパス管14及び掃気バイパス管16のいずれかからの気体を利用することが好適である。そこで、水域に応じて取出気体の噴出を制御してもよい。この場合、気体を噴出する条件は、船舶100が航行している水域とすることができる。例えば、船舶状況判断部202のGPS80による測位に基づいて船舶100が港や目的地が近い水域に入っていると判断されると取出気体の噴出を止め、当該水域を出たと確認されると取出気体の噴出を開始するようにしてもよい。また、例えば、船舶状況判断部202のGPS80による測位に基づいて船舶100が港や目的地が近い水域に入っていると判断されると給気バイパス管14及び掃気バイパス管16のいずれかから取出気体を取り出すようにし、当該水域を出たと確認されると排気バイパス管18から取出気体を取り出すようにしてもよい。
また、水域として渦潮域が近付いたら取出気体の噴出を止め、渦潮域を外れたら取出気体の噴出を開始するようにしてもよい。この場合、海象判断部200の潮流センサ74にて潮流を検出し、渦潮域が近付いたら取出気体の噴出を止め、渦潮域を外れたら取出気体の噴出を開始するようにすればよい。
また、天候に応じて取出気体の噴出を制御してもよい。この場合、気体を噴出する条件は、海象判断部200で予測される天候とすることができる。制御部26は、海象判断部200から入力される天候の予測に基づいて取出気体の噴出や取出気体の取り出し割合を制御することができる。例えば、海象判断部200において台風や時化等の荒天が認定される場合は取出気体の噴出を停止し、回復したら開始する等の制御としてもよい。
また、波の高さに基づいて取出気体の噴出を制御してもよい。この場合、気体を噴出する条件は、海象判断部200の波センサ70によって検出される波高とすることができる。例えば、制御部26は、海象判断部200の波センサ70で検出される波高が所定値以上になったら取出気体の噴出を停止し、所定値未満になったら取出気体の噴出を開始すればよい。また、波の高さに応じて取出気体の取り出し割合を補正するようにしてもよい。例えば、波が低いほど取出気体の取り出し割合が高くなるように補正係数を設定し、取り出し割合が当該補正係数に比例するように補正を行えばよい。
また、船体10の加速度に応じて取出気体の噴出を制御してもよい。この場合、取出気体を噴出する条件は、航行状態検出部204の相対速度センサ82で検出される船舶100の速度の時間変化(加速度)とすることができる。例えば、制御部26は、航行状態検出部204の相対速度センサ82の統計的処理をされた代表値の時間変化に基づき、船体10が動き出しの加速をしているときは閾値を下げ早めに取出気体を噴出し、船体10が減速しているときは速度が落ちているときには閾値を上げて取出気体の噴出を早めに止めるといった制御をしてもよい。また、船体10の加速度に応じて取出気体の取り出し割合を補正するようにしてもよい。例えば、船体10の加速度が高いほど取出気体の取り出し割合が高くなるように補正係数を設定し、取り出し割合が当該補正係数に比例するように補正を行えばよい。
以上のように、取出気体の噴出開始及び停止のタイミング、取出気体の噴出量の条件は、船舶100の状況に応じて設定される。ただし、取出気体の噴出開始及び停止のタイミング、取出気体の噴出量の条件は上記条件に限定されるものではない。また、上記の取出気体の噴出の条件を複数組み合わせる場合、各条件について優先順位を決めておき、優先順位が高い条件に基づいて取出気体の噴出を制御すればよい。また、各条件についてそれぞれ重み係数を設定しておき、各条件に基づいて決定された制御量に重み付け係数を乗算して加算することにより得られた制御量に応じて取出気体の噴出を制御してもよい。
図5は、排気弁40の制御系の機能ブロック図を示す。制御部(排気弁タイミング制御装置として機能)26は、エンジン本体30に設けられた圧力センサ31a、トルクセンサ31b、回転数センサ31c、燃料供給路に設けられた燃料流量センサ31dからそれぞれシリンダ30a内の圧力、主機関12による出力トルク、主機関12の回転数及び燃料供給流量の情報を取得する。制御部(排気弁タイミング制御装置)26は、圧力、出力トルク、回転数及び燃料供給流量のデータに応じて排気弁40を開閉させるタイミング及び開度(リフト量)を制御する。具体的には、排気弁タイミング変更機構66aにより排気弁40の作動タイミング及び開度(リフト量)が調整される。排気弁タイミング変更機構66aは、制御部(排気弁タイミング制御装置)26からの制御信号に応じて排気弁40を押す油圧アクチュエータに設けられた電磁式のリリーフバルブを制御し、それにより排気弁40を開く圧力を調整して排気弁40の作動タイミング及び開度(リフト量)を調整する。
本実施の形態では、さらに取出気体に応じて排気弁40の開閉の制御が行われる。気泡としての生成される気体の噴出量に関連して、給気、掃気及び排気の少なくとも1つの取出気体の量が変更される。すなわち、給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18から取り出される取出気体の量が制御される。なお、給気と掃気を併せて加圧空気と称する。
なお、取出気体の取り出し割合は、それぞれ給気バイパス調整弁50、掃気バイパス調整弁52及び排気バイパス調整弁54のいずれかにより制御される。ここで、図5に示した、掃気バイパス管16に設けられた流量センサ16aにより掃気からの取出気体の取り出し量を検出し、主機関12の回転数から主機関12への空気量を算出し、取出気体の取り出し割合を求めることができる。なお、流量センサ16aを用いる代わりに掃気バイパス調整弁52の開度(変位)に基づいて取出気体の取り出し量を求めてもよい。
なお、取り出し割合とは、例えば過給機から供給される加圧空気と取出空気との量の比、加圧空気と取出排気との量の比、又は加圧空気と取出空気及び取出排気の合計量との比をいう。この際、量は質量流量であることが好ましく、他の比のとり方であってもエンジン本体30に供給される掃気の量が確保される比であることが好ましい。実際の制御に当たっては、エンジン本体30に供給される掃気の量は、直接、流量を計測してもよいし、掃気圧等で代用してもよい。
一方、取出気体の取り出し割合に応じて主機関12における掃気圧が低下し、主機関12の性能が低下する。また、排気ガス中の有害物質の量が増加するおそれがある。そこで、制御部26では、取出気体に応じて主機関12の排気弁40を制御する。具体的には、制御部26は、取出気体に応じて排気弁40の閉弁タイミングを制御する。これにより、制御部26は、タイミング制御手段として機能する。
図6は、エンジン本体30に設けられた排気弁40の開閉タイミングの例を示す図である。図6の横軸はクランクシャフトの回転角(クランク角)であり、縦軸は排気弁40のリフト量(排気弁40の開度に相当する。)である。図6の例では、排気弁40の閉弁タイミングが通常時(ψe=0°)の場合、通常時に対して回転角で−15°進めた場合及び通常時に対して回転角で−30°進めた場合を示している。
図7は、排気弁40の閉弁タイミングをパラメータとした掃気圧の減少に対する燃費の変化の関係を示す図である。図7に示すように、排気弁40の閉弁タイミングが通常時(ψe=0°)の場合、取出気体の取り出しによって掃気圧が低下するに伴って燃費の変化率が大きくなる。これに対して、排気弁40の閉弁タイミングを早めるにつれて掃気圧の減少に対する燃費の変化率は小さくなる。
また、図8は、排気弁40の閉弁タイミングをパラメータとした掃気圧の減少に対する窒素酸化物(NOx)の排出の変化率の関係を示す図である。図8に示すように、排気弁40の閉弁タイミングが通常時(ψe=0°)の場合、取出気体の取り出しによって掃気圧が低下するに伴ってNOxの排出は低下する。これに対して、排気弁40の閉弁タイミングを早めるにつれて掃気圧の減少に対するNOxの排出は増加するが、その増加率は掃気圧の低下がないときに比べて僅かに抑えることができる。
したがって、給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18のいずれかから取出気体を取り出すことに伴って掃気圧が低下した場合であっても排気弁40の閉弁タイミングを調節することによってNOxの排出は大きく悪化しないようにしつつ燃費の変化を抑制することができる。
具体的には、主機関12の特性が、図7及び図8に示されるようなものである場合、取出気体を取り出すときの排気弁40の閉弁タイミングを取出気体を取り出さないときより早めるように制御することが好適である。これにより、NOxの排出は大きく悪化しないようにしつつ燃費の変化を抑制することができる。
このとき、制御部26は、給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18に繋がる給気管20における気体の圧力を圧力センサ92で測定し、その圧力に応じて排気弁40の閉弁タイミングを制御してもよい。この場合、圧力センサ92によって測定された圧力が低くなるほど排気弁40の閉弁タイミングを早めるように制御を行うことが好適である。また、制御部26は、給気管20の代わりに排気管44に圧力センサ92を配置し、排気管44の圧力に応じて排気弁40の閉弁タイミングを制御してもよい。この場合、圧力センサ92によって測定された圧力が低くなるほど排気弁40の閉弁タイミングを早めるように制御を行うことが好適である。
また、制御部26は、取出気体の取り出し割合に応じて排気弁40の閉弁タイミングを設定することが好適である。すなわち、主機関12の掃気圧は給気バイパス管14、掃気バイパス管16及び排気バイパス管18から取り出される取出気体の割合に応じて変化するので、取出気体の割合に応じて排気弁40の閉弁タイミングを制御することが好適である。例えば、制御部26は、圧力センサ92の代わりに給気管20を流れる気体の流量を測定する流量センサを設け、流量が増加、すなわち取出気体の割合が増加するにつれて排気弁40の閉弁タイミングをより早めるように制御を行うことが好適である。また、制御部26は、給気管20の代わりに排気管44を流れる気体の流量を測定する流量センサを設け、流量が減少するにつれて排気弁40の閉弁タイミングをより早めるように制御を行うことが好適である。
また、制御部26は、主機関12の排気中の排出物に応じて排気弁40の閉弁タイミングを設定してもよい。排気管44に物質センサ94を配置し、排気ガス中の化学物質の量に応じて排気弁40の閉弁タイミングを制御することが好適である。例えば、制御部26は、排気ガス中の化学物質としての窒素化合物の量が増加するにつれて排気弁40の閉弁タイミングを遅くするように制御を行うことが好適である。窒素化合物としては、例えば、NOxが挙げられる。
また、制御部26は、窒素酸化物の排出許容値に応じて排気弁40の閉弁タイミングを早める時間を制限するようにしてもよい。これは、窒素化合物の排気制限に応じて排気弁40の閉弁タイミングにリミッタを設けるものである。例えば、船舶100が航行している水域における窒素化合物の排出制限量を超えるような制御とならないように、排気弁40の閉弁タイミングを早める時間を制限することが好適である。
図9〜図12は、主機関12の負荷(部分負荷)がそれぞれ40%、50%、60%、75%の場合に燃費の変化をパラメータとした排気弁40の閉弁タイミングと掃気圧の変化率との関係を示す。図9〜図12において、ラインはシミュレーションによって得られた関係を示し、白丸は船舶を用いた実測値を示す。
図9〜図12に示すように、主機関12の負荷(部分負荷)に応じて排気弁40の閉弁タイミングと燃費及び掃気圧の変化率との関係は変化する。したがって、制御部26は、主機関12の負荷(部分負荷)に応じて排気弁40の閉弁タイミングを設定することが好適である。具体的には、燃費と掃気圧の変化率とを同じ値に制御するためには、主機関12の負荷(部分負荷)が低いほど排気弁40の閉弁タイミングを早めることが好適である。
なお、エンジンの排気制御システムが適用される船舶100により、主機関12(エンジン)の負荷は異なってくるところ、適用される船舶100ごとに異なる負荷に応じて、排気弁40の閉弁タイミングを設定することができる。さらに、部分負荷に応じて排気弁40の閉弁タイミングを変更することができる。
また、本実施の形態では、排気弁40の閉弁タイミングを制御する態様について説明したが、排気弁40のリフト量を制御するようにしてもよい。
また、主機関12を破損等から保護するためには、主機関12の燃焼室内の最高圧力に応じて排気弁40の閉弁タイミングを早める時間を制限するようにしてもよい。この場合、主機関12の燃焼室内の圧力を測定する圧力センサを設け、制御部26は、当該圧力センサの出力が所定の基準値を超えると排気弁40の閉弁タイミングをそれ以上早めないように制御するようにすればよい。
また、窒素酸化物の排出許容値に応じた、排気弁40の閉弁タイミングを早めるクランク角の制限と、主機関12(エンジン)の燃焼室内の最高圧力に応じて閉弁タイミングを早めるクランク角の制限とを併せて行い、双方の条件を満たすクランク角に制限してもよい。
以上のように、本発明の実施の形態におけるエンジンの排気制御システム及びそれを搭載した船舶とすることによって、掃気圧が低下するような運転条件下においてもエンジンに対する制御をよりきめ細かくすることができる。特に、排気ガス中の窒素酸化物の排出量を増加させることなく、エンジンの燃費の変化を抑制することができる。また、エンジンの負荷(部分負荷)に応じたエンジンの制御をきめ細かく行うことができる。また、エンジンの排気中の排出物に応じたエンジンの制御をきめ細かく行うことができる。
なお、排気弁40の制御方法は上記条件に限定されるものではない。また、上記の排気弁40の制御の条件を複数組み合わせる場合、各条件について優先順位を決めておき、優先順位が高い条件に基づいて排気弁40の閉弁タイミングを制御すればよい。また、各条件についてそれぞれ重み係数を設定しておき、各条件に基づいて決定された制御量に重み付け係数を乗算して加算することにより得られた制御量に応じて排気弁40の閉弁タイミングを制御してもよい。また、閉弁タイミングに併せて開弁タイミングを所定の範囲で制御することも可能である。
本発明は、給気、掃気及び排気のすくなくとも1つから気体を取り出して利用する内燃機関を含む装置に適用することができる。本実施の形態においては、空気潤滑法により摩擦抵抗を低減させた船舶への適用例を示したがこれに限定されるものではない。他の用途、例えば、パワータービンを駆動するために取出気体を利用する構成とされた内燃機関に適用することができる。また、他の移動体、例えば、潜水艦、航空機、鉄道車両、自動車等の内燃機関についても適用することができる。
10 船体、12 主機関、14 給気バイパス管、16 掃気バイパス管、16a 流量センサ、18 排気バイパス管、20 給気管、22 気体噴出口、24 遮断バルブ、26 制御部(排気弁タイミング制御装置)、30 エンジン(エンジン本体)、31a 圧力センサ、31b トルクセンサ、31c 回転数センサ、31d 燃料流量センサ、32 過給機、34 給気管、36 インタークーラー、38 掃気レシーバ、40 排気弁、42 排気レシーバ、44 排気管、46 燃料供給手段、50 給気バイパス調整弁、52 掃気バイパス調整弁、54 排気バイパス調整弁、60 処理部、62 基本データ部、64 エンジン特性部、66 コントローラ、66a 排気弁タイミング変更機構、66b 排気弁駆動ポンプ、70 波センサ、72 風センサ、74 潮流センサ、76 機関運転検出部、78 燃料計測部、82 相対速度センサ、84 測深儀、86 喫水センサ、88 剪断力センサ、90 傾斜センサ、92 圧力センサ、94 物質センサ、100 船舶、200 海象判断部、202 船舶状況判断部、204 航行状態検出部。

Claims (15)

  1. 排気弁を有したエンジンと、
    前記排気弁の作動タイミングを変更するタイミング制御手段と、
    前記エンジンに加圧空気を供給する過給機と、
    前記加圧空気及び前記エンジンからの排気の少なくとも一方の一部をバイパスして取出気体として取り出す気体取出手段とを備え、
    前記気体取出手段で取り出す前記取出気体の取り出し状態に応じて前記タイミング制御手段によって前記排気弁の作動タイミングを制御することを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  2. 請求項1に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記タイミング制御手段は、前記取出気体を取り出すときの前記排気弁の閉弁タイミングを前記取出気体を取り出さないときより早めるように制御することを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  3. 請求項2に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記排気弁の閉弁タイミングは、前記取出気体の取り出し割合に応じて設定されることを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  4. 請求項2又は3に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記排気弁の閉弁タイミングは、前記エンジンの負荷に応じて設定されることを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  5. 請求項4に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記エンジンの前記負荷は、部分負荷であることを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  6. 請求項2〜5のいずれか1項に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記排気弁の閉弁タイミングは、前記エンジンの排気中の排出物に応じて設定されることを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  7. 請求項6に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記排出物は、窒素酸化物であることを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  8. 請求項7に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記窒素酸化物の排出許容値に応じて前記排気弁の閉弁タイミングを早めるクランク角を制限することを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  9. 請求項2〜8のいずれか1項に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記エンジンの燃焼室内の最高圧力に応じて前記排気弁の閉弁タイミングを早めるクランク角を制限することを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  10. 請求項1又は2に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記エンジンの負荷に応じて、前記気体取出手段による前記取出気体の取り出し割合を変更することを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  11. 請求項10に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記エンジンの負荷が小さいほど前記取出気体の取り出し割合を増すことを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記取出気体を船体の周囲に噴出して摩擦抵抗を低減することに利用することを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のエンジンの排気制御システムであって、
    前記取出気体を船体に搭載したパワータービンを駆動するために利用することを特徴とするエンジンの排気制御システム。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のエンジンの排気制御システムを搭載したことを特徴とする船舶。
  15. 請求項14に記載の船舶であって、
    前記エンジンは、船舶を推進する主機関であることを特徴とする船舶。
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