JP2018171734A - 脱気方法及び成形方法並びに成形物 - Google Patents

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琢也 毛内
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Abstract

【課題】オートクレーブ装置のような高額な設備を必要とせずに、積層体中に存在する空気をより一層少なくできる脱気方法等を提供する。【解決手段】脱気方法は、複数枚のシート材を積層してなる積層体中の空気を脱気する。脱気方法は、積層体1を密閉状態で収容する積層体用容器5内の真空引きを大気圧以下の減圧状態で行う。【選択図】図1

Description

本発明は、複数枚のシート材を積層して(シート材を重ねて)なる積層体中の脱気方法及び成形方法並びに大型の積層体を成形して得られる成形物に関する。
積層体の成形方法としては、シート材の一例であるプリプレグを積層してなる積層体中の空気を吸引(脱気)する脱気工程と、当該工程で除去しきれなかった空気(ボイド)をエネルギ付与(加熱)と加圧(大気圧以上の圧力付与)とによって積層体中に融解させる又は積層体外部へ引き出されるオートクレーブ成形が従来から知られている。
オートクレーブ成形は、成形物が大型化すればオートクレーブ装置自体も大型化する必要があり、それに伴い設備費用も高額となる。
オートクレーブ装置を用いず、オートクレーブ成形と同等の低ボイド率の成形物を成形する技術が提案されている(例えば、特許文献1である。)。
特許文献1に記載の技術は、封止シートによって積層体を覆って密閉収容体を形成し、この密閉収容体内を脱気している。なお、密閉収容体は大気圧下に置かれている。
特開2016−155259号公報
特許文献1に記載の技術によりボイドの少ない成形物が得られるものの、成形物中にボイドが残存している。
本発明が解決しようとする課題は、オートクレーブ装置のような高額な設備を必要とせずに、積層体中に存在する空気をより一層少なくできる容易な脱気方法等を提供することにある。
本発明に係る脱気方法は、複数枚のシート材を積層してなる積層体中の空気を脱気する脱気方法において、前記積層体を密閉状態で収容する積層体用容器内の真空引きを大気圧以下の減圧状態で行う。また、前記真空引きを前記積層体用容器を収容する外容器内で行う。前記外容器は前記積層体を成形するための成形用容器である。
本発明に係る成形方法は、複数枚のプリプレグを積層してなる積層体を成形する成形方法において、前記積層体中の空気を脱気する脱気工程と、前記積層体に対してエネルギを付与する付与工程とを含み、前記脱気工程は、前記積層体を密閉状態で収容する積層体用容器内の真空引きを大気圧以下の減圧状態で行う。また、前記真空引きは前記積層体にエネルギを付与するエネルギ付与装置内で行われ、前記エネルギ付与装置内の減圧状態を解除する減圧解除工程が前記脱気工程後に行われる。
本発明に係る成形物は、既存のオートクレーブ内で成形される大きさよりも大きい成形物であって、ボイド率が1%以下である。
本発明によれば、減圧による積層体容器内と積層体容器を収容する外容器との圧力差は小さいため、積層体へ大気圧による圧縮負荷が作用せず、積層内の空気が抜けやすくなる。
積層体の成形方法を説明するための概略図である。 成形方法を説明するための概略図である。 ボイド率の試験結果である。 他の成形方法を説明するための概略図である。
<実施形態>
1.脱気方法
脱気方法は、シート材を積層してなる積層体を収容する積層体用容器の真空引きを減圧状態で行う。減圧状態は大気圧よりも低い圧力状態をいう。
(1)シート材
(1−1)構成
シート材は、例えば、樹脂材料から構成された樹脂シート材(樹脂フィルムを含む)でもよいし、樹脂材料と繊維材料とから構成された繊維樹脂シート材でもよいし、繊維材料から構成された繊維シート材でもよい。
繊維樹脂シート材の繊維材料は、長繊維であってもよいし、短繊維であってもよい。繊維樹脂シート材としては、例えば、プリプレグ、SMC等を利用できる。
なお、繊維シート材は、樹脂シート材と積層された状態で成形したり、型内に配された後に溶融した樹脂材料を注入したり等で繊維材料と樹脂材料とが一体化される。
(1−2)樹脂材料
樹脂材料の例としては、通常マトリックス樹脂として用いられている材料を使用でき、硬化性樹脂と可塑性樹脂とがある(下記(a)(b)参照)。なお、硬化性樹脂は硬化前の樹脂材料である。さらに、硬化性樹脂と可塑性樹脂とを混合した樹脂材料を用いることもできる。
硬化性樹脂として、熱により硬化する熱硬化タイプ、紫外線や赤外線等の光により硬化する光硬化タイプ(1次硬化後に熱により2次硬化させる場合等も含む。)等を利用できる。
可塑性樹脂としては、熱により軟化・溶融する熱可塑性タイプ、紫外線や赤外線等の光により軟化・溶融する光可塑タイプ等を利用できる。
(a)硬化性樹脂
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂を予備重合した樹脂等があり、これらの硬化性樹脂を適宜量配合したものでもよい。これらの樹脂には、例えば、硬化剤、硬化促進剤、熱可塑性樹脂などの変性剤、難燃剤や無機系充填剤、内部離型剤などが配合されてもよい。
(b)可塑性樹脂
ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、及びその共重合体やブレンド物であるポリオレフィン系樹脂、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド12等の脂肪族ポリアミド系樹脂、酸成分として芳香族成分を有する半芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂等の芳香族ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂等)、ポリ乳酸系などの脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等があり、これらの樹脂を適宜量配合してもよい。
(1−3)繊維材料
繊維材料としては、例えば、通常の強化繊維として用いられている繊維材料を使用でき、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維等を使用できる。中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましい。
繊維樹脂シート材や繊維シート材における繊維材料の形態は、例えば、一方向に引き揃えられた一方向材でもよいし、平織、綾織、朱子織等に織られた織物材でもよい。なお、一方向材を積層する場合、繊維材料の配向角度は1種類でもよいし、複数種類でもよい。シート材を構成している繊維材料は、1種類でもよいし、複数種類でもよい。
繊維材料は強化繊維として機能しない繊維を利用してもよい。強化繊維以外の繊維材料としては、例えば可塑性樹脂からなるマトリクス用の繊維材料がある。マトリクス用の繊維材料としては、例えば、ナイロン糸、ポリエステル糸等がある。この場合、マトリクス用の繊維材料と強化繊維用の繊維材料とから構成されたシート材は、繊維シート材としてもよいし、繊維樹脂シート材としてもよい。
(2)積層体
積層体は積層された複数枚のシート材を含んでいればよい。例えば、積層体は金属板やハニカム材に複数枚のシート材が積層された構成であってもよい。積層体は同一種類又は種類の異なる樹脂シート材のみから構成されてもよい。積層体は同一種類又は種類の異なる繊維シートと材のみから構成されてもよい。
積層体は、すべて同じ種類のシート材から構成されてもよいし、複数種類のシート材から構成されてもよい。
(3)積層体用容器
積層体用容器は、積層体を収容している空間を外部と密閉でき、空間内の空気を吸引できる構成であればよい。
積層体用容器は、例えば、金属製、樹脂製等の平板(樹脂製の平板の場合、当該平板は樹脂シート材を構成しない)上に積層体を載置し、積層体をバギング用フィルムで覆い、平板とバギング用フィルムとを封止材(例えば、シーラント等である)で密着するようにしてもよい。この場合、積層体用容器はバギング用フィルムと平板とで構成される。
積層体用容器は、例えば、バギング用フィルムを利用した袋体やチューブ体内に積層体を収容し、袋体やチューブ体の開口部分を封止材(例えば、シーラント等である。)で密着するようにしてもよい。この場合、積層体用容器はバギング用フィルムで構成される。なお、バギング用フィルムを利用した積層体用容器を作成することをバギングといい、積層体用容器をバッグともいう。
積層体用容器は、例えば樹脂製の筐体であって内部の気密性を確保でき、真空引き用のカプラ(真空プラグともいう)を備える構成であってもよい。
バッグの真空引きは、例えば、一端部がバッグ内に位置するようにバギング用フィルムに密閉(気密)状態で取り付けられた吸引管の他端から吸引手段(例えば、真空ポンプ)により吸引することで行うことができる。
筐体の真空引きは、筐体を構成する壁に設けられた貫通孔を利用して真空プラグを密閉状態で取り付け、当該真空プラグに接続された吸引手段(真空ポンプ)により吸引することで行うことができる。なお、真空プラグはバッグにも利用できる。
(4)真空引き
真空引きは、積層体用容器を収容する外容器内が減圧した状態で行われればよい。例えば、積層体用容器内を真空引きした後又は真空引きを開始した後に外容器内を減圧してもよいし、外容器内を減圧した後に積層体用容器内の真空引きを開始してもよいし、外容器内の減圧と積層体用容器内の真空引きとを同時に開始してもよい。つまり、積層体用容器内の真空度(圧力)が所定の範囲になる期間と、外容器内の真空度(圧力)が所定の範囲になる期間とが重複するように、積層体用容器内の真空引きを行えばよい。
真空度(積層体用容器内の圧力)は、−80[kPa]以下、−98[kPa]以上の範囲内、好ましくは、−85[kPa]以下、−98[kPa]以上の範囲内がよい。なお、真空度が高いほど積層体内の空気を抜き出せる傾向にある。
(5)外容器
外容器は、積層体用容器を収容し、積層体用容器を収容する収容空間内を減圧できる容器であればよい。外容器は、例えば、加熱機能を有し、内部空間を減圧可能に密閉できる加熱装置でもよい。外容器は例えば木製、樹脂製の平板等により構成される箱体でもよい。外容器は、例えば木製、樹脂製等の平板等により構成された箱本体と、箱本体から空気の漏れを抑制する封止体とから構成されたものであってもよい。なお、封止体としては、例えば、シーラントやバギング用フィルム等を利用できる。
外容器内の減圧状態は、−60[kPa]以下、−98[kPa]以上の範囲内、好ましくは、−85[kPa]以下、−98[kPa]以上の範囲内がよい。
脱気工程中の積層体用容器内の圧力と外容器内の圧力の差分(絶対値)は、0[kPa]以上、20[kPa]以下の範囲内、好ましくは、0[kPa]以上、10[kPa]以下の範囲内がよい。
2.成形方法
積層体の成形方法は、脱気工程と、積層体にエネルギを付与する付与工程とを含む。当該脱気工程は上記の脱気方法により行われる。
エネルギは、樹脂材料が熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂の場合は熱であり、樹脂材料が光硬化性樹脂や光可塑性樹脂の場合は光(例えば赤外線である)である。
エネルギが熱の場合、付与工程は、積層体を含む空間の温度を成形温度や溶融温度にまで上昇させる昇温サブ工程と、成形温度又は溶融温度を一定時間維持する温度維持サブ工程と、一定時間後に積層体(成形体)を含む空間内の温度を降温させる降温サブ工程とを有する。なお、降温サブ工程は加熱手段をオフ(加熱を止める)して自然に降温するようにしてもよいし、ファン等の冷却手段で強制的に降温するようにしてもよい。エネルギが光の場合、付与工程は、積層体に光を照射する照射サブ工程を有する。
付与工程は、脱気工程中に開始してもよいし、脱気工程後に開始してもよい。
積層体の成形方法において、積層体用容器がバギング用フィルムで構成される場合、付与工程が大気圧状態又は大気圧に近い圧力状態で行われるのが好ましい。つまり、成形方法は脱気工程後に積層体用容器周辺の減圧状態を解除する減圧解除工程を含んでもよい。減圧解除工程は、付与工程前に開始してもよいし、付与工程中に開始してもよい。
3.成形体
成形体は上記の成形方法により製造されたことを特徴している。つまり、上記成形方法で成形すると、オートクレーブ装置を利用しなくても、1%以下の低ボイド率の成形物が得られる。
<実施形態>
1.概略
実施形態について、図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。
ここでは、シート材として熱硬化型のプリプレグを使用し、複数枚のシート材を積層した積層体1を成形する場合について説明する。
積層体1の成形方法は、積層体1に存在する空気を脱気する脱気工程Aと、樹脂にエネルギを付与する付与工程Bを含む。
なお、一形態である実施形態における成形方法は、積層体1を準備する準備工程、脱気工程A、減圧解除工程C、付与工程Bとを含む。なお、付与工程Bは、樹脂材料が熱硬化性樹脂であるため、熱を付与する加熱工程であり、加熱装置3が利用される。
以下、各工程について説明する。
2.成形方法
(1)準備工程
準備工程は、積層体1を準備できればよく、その形態は特に限定するものでない。例えば、すでにプリプレグが積層された積層体1を用意してもよいし、所定サイズに切断された複数枚のプリプレグを所定の配向角度で積層して積層体1を作成してもよい。
(2)脱気工程
脱気工A程及び付与工程Bは加熱装置3内で行われる。
つまり、成形方法は、正確には、積層体1を加熱装置3内に配置する工程を含むが、例えば、準備工程に積層体1を加熱装置3内に配置するサブ工程を含むとしてもよい。
脱気工程Aは、図1の(a)に示すように、加熱装置3内において、積層体1内の空気を吸引できるように積層体1を密閉した状態で行う。ここでの密閉は、テーブル4上に載置した積層体1をバギング用フィルム51で覆い、その周辺部分をシール(封止)することで構成されるバッグ5により実施される。
脱気工程Aでは、図1の(a)に示すようにバッグ5周辺の雰囲気を減圧した状態で、図1の(b)に示すようにバッグ5内の空気を吸引する。すなわち、脱気工程Aは、図2に示すように、加熱装置3内を減圧する減圧サブ工程A1と、バッグ5内の空気を吸引する吸引サブ工程A2とを含む。ここでは、図2に示すように、減圧サブ工程A1を開始した後に吸引サブ工程A2が開始される。
脱気工程Aは、図2に示すように、バッグ5内の圧力(真空度)が吸引により所定範囲内になった状態で所定時間経過したときに終了する。
(3)減圧解除工程
減圧解除工程Cは、脱気工程Aの後に、図1(c)及び図2に示すように、加熱装置3内の減圧状態を解除する。ここでの減圧解除工程Cは、加熱装置3の内部と外部との連通部の遮蔽を解除(開放)することで、行われる。なお、解除後の加熱装置3の内部は大気圧状態となる。加熱装置3の内部の圧力が大気圧となっても、バッグ5内の吸引は継続している。
(4)付与工程
付与工程Bは図2に示すように加熱装置3内が大気圧状態又は大気圧に近い状態で行われる。付与工程Bは通常の積層体1の加熱スケジュールを利用できる。ここでは、室温から硬化温度まで昇温させる昇温サブ工程B1と、硬化温度を一定時間維持する温度維持サブ工程B2と、一定時間経過後に降温させる降温サブ工程B3とを有する。
バッグ5の吸引は昇温サブ工程B1及び温度維持サブ工程B2の間も継続して行われる。これにより、積層体1の樹脂材料が加熱により粘度が低下し、樹脂材料内を移動しやすくなった空気を吸引できる。
3.実施例
(1)製造方法
上記積層体の成形方法の一例である実施例について説明する。
シート材の一例であるプリプレグとして、プリプレグQ1111−2500(東邦テナックス社製、CF目付:250[g/m]、樹脂含有率:36[wt%])を用いた。
積層体1は、幅200[mm]、長さ300[mm]の矩形状にされたプリプレグを16枚積層したものである。なお、積層体1の配向パターンは、(+45°/0°/−45°/90°)を2回繰り返したものを対称に積層した。
積層体1は、図1の(a)に示すように減圧可能な加熱装置3内でバッグ5内に収容され、図2に示すようなタイムスケジュールで、吸引、加熱される。
脱気工程Aは密閉状のバッグ5が完成すると開始する。
減圧サブ工程A1は、減圧を開始して30分(図2中の「t1」である)で加熱装置3内の圧力を大気圧に対して−90.6[kPa](図2中の「P1」である)となるように減圧し、その後、減圧状態を120分間維持する。なお、120分間は図2中の「t1」から「t3」までである。
吸引サブ工程A2は、加熱装置3内の圧力が−90.6[kPa](図2中の「P1」である)に減圧されると開始する(図2中の「t1」である)。吸引は、30分間で大気圧に対して−90.6[kPa](図2中の「P2」である)となるように行われる。なお、30分間は図2中の「t1」から「t2」までである。脱気工程Aは、バッグ5内の圧力が−90.6[kPa]になり、90分経過する(図2中の「t3」である)と終了する。なお、90分は図2中の「t2」から「t3」までである。なお、バッグ5の吸引は継続して行われている。
なお、図2におけるP2はP1より小さくなっているが、本実施例における減圧サブ工程A1と吸引サブ工程A2における減圧は同じ値(−90.6[kPa])である。
減圧解除工程Cは脱気工程Aが終了すると開始する。減圧解除工程Cは、加熱装置3内の圧力が−90.6[kPa]に減圧されてから120分後(図2中の「t3」である)又はバッグ5内の圧力が−90.6[kPa]に減圧されてから90分後(図2中の「t3」である)に開始する。解除スピードは約10分間で90.6[kPa]である。10分間は図2中の「t3」から「t4」までである。
付与工程Bは減圧解除工程Cが終了すると開始する。昇温サブ工程B1は加熱装置3内の圧力が大気圧となる(図2中の「t4」である)と開始する。昇温スピードは20分間で硬化温度である130[℃](図2中の「T2」である)になるように設定されている。20分間は図2中の「t4」から「t5」までである。温度が硬化温度に達する(図2中の「t5」である)と90分間、その温度を維持する温度維持サブ工程B2が行われる。90分間は図2中の「t5」から「t6」までである。温度維持サブ工程B2が終了する(図2中の「t6」である)と、降温サブ工程B3を開始する。
バッグ5の吸引は付与工程Bの温度維持サブ工程B2が終了する(図2中の「t6」である)まで行われる。なお、降温サブ工程B3及び積層体1の成形は図2中の「t7」で終了する。
(2)ボイド率
上記成形方法で成形した成形物のボイド率を測定した結果を図3に示す。
減圧下でバッグ内を吸引することで、ボイド率の低い成形物が得られることが確認できる。
つまり、従来の大気圧下でバッグ内を吸引すると、積層体を構成するシート材がバッグの外側から圧力(大気圧)による圧縮負荷を受け、積層体内の空気が移動し難くなり、空気が残存する。
これに対し、上記の脱気工程は、バッグ内を吸引する際には加熱装置内が減圧されており、バッグに作用する外圧が小さくなり、積層体内の空気が移動しやすくなる。
特に、バッグの外側の外圧力(加熱装置内の圧力)と、バッグの内側の内圧力との差圧を小さくすることで、図3に示すように、オートクレーブ成形品と同等のボイド率の低い成形物が得られる。つまり、減圧下でバッグ内を−80[kPa]以下に吸引することで、オートクレーブ装置内に収容できないような大型の積層体であっても、オートクレーブ成形と同等のボイド率が3[%]以下の成形品を得ることができる。
バック内が−80[kPa]以下の減圧状態において、差圧は0[kPa]以上20[kPa]以下の範囲が好ましい。これにより、ボイド率が3[%]以下の低い成形品を得ることができる。さらに、バック内が−80[kPa]以下の減圧状態において、差圧は0[kPa]以上10[kPa]以下の範囲が好ましい。これにより、ボイド率が1[%]以下の成形品を得ることができる。
積層体の積層枚数が多い場合(厚みが10[mm]以上〜20[mm]以下の範囲である)、従来は、オートクレーブ成形においても、積層工程途中でデバルク作業(脱気)を行う必要があり、積層工数増大(コスト増大)の要因となっている。上記脱気方法を利用すると積層工程途中でデバルク作業を行うことなく、低ボイド率の成形品を安価に得ることができる。
4.その他
成形方法のスケジュールの一例について図2を用いて説明したが、成形方法は脱気方法を含んでいればよく、他の成形方法のスケジュールであってもよい。他の成形方法のスケジュールについて図4を用いて説明する。
成形方法は脱気工程Aと付与工程Bとが時間的に重なるように行ってもよい。但し、樹脂材料の粘度が下がった状態のときに積層体用容器の周辺の外圧力が大気圧又は大気圧に近い圧力であることが好ましい。これにより、粘度の下がった樹脂材料内の空気が大気圧で押し出されやすくなり、ボイド率の低い成形体が得られる。
脱気方法は、積層体用容器内の吸引を減圧下で行えばよく、例えば、積層体用容器内の圧力P2の絶対値が、積層体用容器周辺の圧力P1の絶対値よりも低くてもよい(外容器内の方が積層体用容器よりも真空度が高い)。このような圧力状態でも、積層体に作用する外部からの負荷が小さくなり、積層体内の空気が移動しやすくなる。
1 積層体
3 加熱装置(外容器)
5 バッグ(積層体用容器)
A 脱気工程
B 付与工程
C 減圧解除工程

Claims (6)

  1. 複数枚のシート材を積層してなる積層体中の空気を脱気する脱気方法において、
    前記積層体を密閉状態で収容する積層体用容器内の真空引きを大気圧以下の減圧状態で行う
    脱気方法。
  2. 前記真空引きを前記積層体用容器を収容する外容器内で行う
    請求項1に記載の脱気方法。
  3. 前記外容器は前記積層体を成形するための成形用容器である
    請求項2に記載の脱気方法。
  4. 複数枚のプリプレグを積層してなる積層体を成形する成形方法において、
    前記積層体中の空気を脱気する脱気工程と、
    前記積層体に対してエネルギを付与する付与工程と
    を含み、
    前記脱気工程は、前記積層体を密閉状態で収容する積層体用容器内の真空引きを大気圧以下の減圧状態で行う
    成形方法。
  5. 前記真空引きは前記積層体にエネルギを付与するエネルギ付与装置内で行われ、
    前記エネルギ付与装置内の減圧状態を解除する減圧解除工程が前記脱気工程後に行われる
    請求項4に記載の成形方法。
  6. 既存のオートクレーブ内で成形される大きさよりも大きい成形物であって、
    ボイド率が1%以下である
    成形物。
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