JP2018168228A - シラン架橋ポリエチレン管 - Google Patents

シラン架橋ポリエチレン管 Download PDF

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Abstract

【課題】高剛性および高耐久性を有する管状成形体を提供する。【解決手段】下記要件(1)および(2)を満たす高密度ポリエチレン(A)65〜95質量部と、下記要件(3)および(4)を満たす直鎖状低密度ポリエチレン(B)5〜35質量部(ただし、(A)と(B)の合計を100質量部とする)と、を含有する樹脂組成物(X)の架橋体を含む管状成形体:(1)MFR(190℃、2.16kg)が0.80〜1.35g/10分である。(2)密度が947〜952kg/m3である。(3)MFR(190℃、2.16kg)が1.50〜4.50g/10分である。(4)密度が910〜925kg/m3である。【選択図】なし

Description

本発明は、水道やガス等の配管に用いられるシラン架橋ポリエチレン管に関する。
架橋ポリエチレン管は、ポリエチレン管と比較して、耐熱性および耐久性に優れるとともに、耐食性や柔軟性、耐寒性、施工性等を備えるため、給水・給湯管や床暖房用温水配管などに広く使用されている。架橋ポリエチレンの架橋方式としては、シラン架橋および化学架橋が挙げられるが、ポリエチレン有機シラン化合物を混合し、触媒の存在下で水を外側から浸透させて架橋させるシラン架橋は、通常の押出成形が利用でき、特殊な架橋装置が不要であることから、経済性の観点からも特に有用である。
中でも、密度の高いポリエチレンをベース樹脂とするシラン架橋ポリエチレン管は、耐久性に優れるため、より水圧が高い水道用配管等への適用がなされるようになってきている。高密度ポリエチレンをベース樹脂として用いたシラン架橋ポリエチレン管として、特許文献1では、シングルサイト触媒を用いて重合したポリエチレンを含むポリエチレン樹脂組成物をベース樹脂として使用した架橋ポリエチレン給水給湯配管成形用ポリエチレン樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2では、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを特定の割合で含有する混合物からなる原料ポリエチレン樹脂をベース樹脂として使用した架橋ポリエチレン管が開示されている。
特開2008−260954号公報 特開2010−270167号公報
しかしながら、高密度ポリエチレンは、低密度ポリエチレンと比較して架橋性に劣るため、高密度ポリエチレンを配合して得た特許文献1および2に記載の架橋ポリエチレン管は、剛性の指標となる密度と耐久性の指標となる架橋度とのバランスが十分なものではなかった。
本発明の目的は、高剛性および高耐久性を有する管状成形体を提供することにある。
本発明によれば、以下の態様が提供される。
[1]下記要件(1)および(2)を満たす高密度ポリエチレン(A)65〜95質量部と、下記要件(3)および(4)を満たす直鎖状低密度ポリエチレン(B)5〜35質量部(ただし、(A)と(B)の合計を100質量部とする)と、を含有する樹脂組成物(X)の架橋体を含む管状成形体:
(1)MFR(190℃、2.16kg)が0.80〜1.35g/10分である。
(2)密度が947〜952kg/mである。
(3)MFR(190℃、2.16kg)が1.50〜4.50g/10分である。
(4)密度が910〜925kg/mである。
[2]前記樹脂組成物(X)が、さらに、前記高密度ポリエチレン(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)の合計100質量部に対し、シラン化合物(C)1.5〜2.5質量部と、過酸化物(D)0.03〜0.15質量部と、を含有する、前記[1]に記載の管状成形体。
[3]前記樹脂組成物(X)が、さらに、前記高密度ポリエチレン(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)の合計100質量部に対し、スズ化合物(E)0.05〜0.08質量部を含有する、前記[1]または[2]に記載の管状成形体。
[4]前記要件(1)および(2)を満たす高密度ポリエチレン(A)65〜95質量部と、前記要件(3)および(4)を満たす直鎖状低密度ポリエチレン(B)5〜35質量部(ただし、(A)と(B)の合計を100質量部とする)と、を含有する樹脂組成物(X)を、押出機内でグラフト重合反応させた後、押出成形し、架橋処理を行うことを特徴とする、管状成形体の製造方法。
[5]前記要件(1)および(2)を満たす高密度ポリエチレン(A)65〜95質量部と、前記要件(3)および(4)を満たす直鎖状低密度ポリエチレン(B)5〜35質量部(ただし、(A)と(B)の合計を100質量部とする)と、を含有する樹脂組成物(X)。
[6]さらに、前記高密度ポリエチレン(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)の合計100質量部に対し、シラン化合物(C)1.5〜2.5質量部と、過酸化物(D)0.03〜0.15質量部と、スズ化合物(E)0.05〜0.08質量部と、を含有する、前記[5]に記載の樹脂組成物(X)。
本発明によれば、高剛性および高耐久性を有する管状成形体を提供することができる。
ポリエチレンの分子量分布を温度および分子量により三次元的に表した図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
本発明の管状成形体(シラン架橋ポリエチレン管)は、下記要件(1)および(2)を満たす高密度ポリエチレン(A)65〜95質量部と、下記要件(3)および(4)を満たす直鎖状低密度ポリエチレン(B)5〜35質量部(ただし、(A)と(B)の合計を100質量部とする)と、を含有する樹脂組成物(X)の架橋体を含む。
(1)MFR(190℃、2.16kg)が0.80〜1.35g/10分である。
(2)密度が947〜952kg/mである。
(3)MFR(190℃、2.16kg)が1.50〜4.50g/10分である。
(4)密度が910〜925kg/mである。
以下、樹脂組成物(X)が含有する各成分について説明する。
[高密度ポリエチレン(A)]
高密度ポリエチレン(以下、「HDPE」とも称する)(A)は、(1)MFR(190℃、2.16kg)が0.80〜1.35g/10分であり、(2)密度が947〜952kg/mであることを特徴とする。このような特性を満たすHDPE(A)は、マルチサイト触媒を用いた重合により得られる。
HDPE(A)として、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、HZ3300F、HZ3300FPU(いずれも商品名、(株)プライムポリマー製)が挙げられる。HDPE(A)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明において、MFRは、JIS K7210に準拠して測定した値である。また、密度は、JIS K7112に準拠して密度勾配管を用いて測定した値である。
[直鎖状低密度ポリエチレン(B)]
直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE」とも称する)(B)は、(3)MFR(190℃、2.16kg)が1.50〜4.50g/10分であり、(4)密度が910〜925kg/mであることを特徴とする。このような特性を満たすLLDPE(B)は、シングルサイト触媒を用いた重合により得られる。
LLDPE(B)として、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、SP1520、SP2040P(いずれも商品名、(株)プライムポリマー製)が挙げられる。LLDPE(B)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、シングルサイト触媒とは、活性点が均一のものであり、メタロセン触媒に代表される。このメタロセン触媒は、Ti、Zr、Hf、Ru、V、Cr等の遷移金属に、シクロペンタジエニル等の不飽和環状化合物が配位した構造を有する化合物である。一方で、マルチサイト触媒は、ポリエチレンの合成において従来使用されている触媒であり、多数の活性点を有する。マルチサイト触媒としては、例えばチーグラー・ナッタ触媒(以下、「チーグラー触媒」と称する)が挙げられる。シングルサイト触媒またはマルチサイト触媒を用いた重合は、公知の方法により行うことができる。助触媒として、トリメチルアルミニウムと水との化合物であるメチルアルモキサンを用いてもよい。
シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンは、マルチサイト触媒を用いて重合されたものに比べて結晶ラメラが厚く均一であり、結晶と結晶とを結ぶタイ分子が多く、機械的強度に優れている。したがって、シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンを使用することにより、優れた剛性を有する架橋ポリエチレン管を得ることができる。また、マルチサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンは、ローポリマーと呼ばれる短鎖分岐を多く含有する低分子量成分を多く含んでいる。特に、平均分子量が低い、すなわちMFRの大きなポリエチレンにはローポリマーが多く含まれる。このローポリマーの存在は、架橋効率の低下の原因となり、所定の架橋度を得るためにより多くのシラン化合物やラジカル発生剤の添加が必要となる。一方、シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンは、マルチサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンと比べて、架橋効率の低下の原因となるローポリマーが少なく、所定の架橋度が得やすくなる。
図1は、(a)チーグラー触媒を用いて重合されたポリエチレン(TI触媒系PE)と、(b)メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン(MT触媒系PE)について、各溶出温度における溶出成分の分子量分布を三次元的に表したものである。図1に示すように、メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレンは、チーグラー触媒を用いて重合されたポリエチレンと比較して、架橋度に関わる低密度かつ高分子量の成分が多く、低温で溶出する低分子量成分が少ないことが分かった。
なお、図1は、温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組み合わせたクロス分別装置を用いた測定により得たグラフである。この測定は、市販の装置を用いて、次のように行われる。すなわち、J.Appl.Polym.Sci.,26,4217(1981)に記載されている原理に基づき、まず対象とするポリエチレンを140℃で完全に溶解し、140℃から0℃まで−1℃/分で冷却して、0℃で30分間保持した後に測定を行う。測定は、段階的に昇温して、各温度において溶出した成分を分取していき、各温度における溶出成分について個別にゲルパーミエーションクロマトグラフの測定を行い、溶出温度毎の分子量分布プロファイルを得る。得られた溶出温度毎の分子量分布プロファイルを全て加算することで、そのポリエチレン全体の分子量分布プロファイルを得ることができる。そのデータより、ポリエチレン全体のMn(数平均分子量)およびMw(重量平均分子量)が求められる。前記溶出温度毎の分子量分布、あるいはポリエチレン全体の分子量分布を表す場合、一般にlogM(Mは分子量)とw(分子量Mの成分の重量の、全体の重量に対する割合をw)との関係として表した積分表示、およびその曲線を微分した微分表示という形で表される。また同様に、溶出温度をある範囲に限定し、その温度範囲内における溶出分についても同様に表示することができる。
そこで、本発明者らは、剛性を維持しつつ架橋度を改善することを目的として、チーグラー触媒を用いて重合された高密度ポリエチレンに対して、それぞれチーグラー触媒およびメタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンを混合して得た樹脂組成物の架橋体を含む管状成形体を作製し、架橋度と密度の関係を確認した。その結果、メタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンを混合して得た樹脂組成物の架橋体を含む管状成形体においては、密度が高い場合においても架橋度の低下が抑制され、高い架橋度が得られることが明らかとなった。
このように、本発明では、ベース樹脂として、マルチサイト触媒を用いた重合により得たHDPE(A)と、シングルサイト触媒を用いた重合により得たLLDPE(B)とを組み合わせて用いることにより、高剛性および高耐久性を有する架橋ポリエチレン管を得ることができることを見出した。
[シラン化合物(C)]
シラン架橋に用いられるシラン化合物(C)は、オレフィン系不飽和結合、および、加水分解可能な有機基を有するシラン化合物であれば特に限定されない。シラン化合物のオレフィン系不飽和結合部位は、後述するラジカル発生剤の存在下でポリエチレン系樹脂中に発生した遊離ラジカル部位と反応する。シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のビニルトリアルコキシシランや、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシシランが挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。シラン化合物(C)の配合量は、HDPE(A)とLLDPE(B)の合計100質量部に対し、1.5〜2.5質量部が好ましく、1.7〜2.0質量部がより好ましい。
[過酸化物(D)]
ラジカル発生剤として用いる過酸化物(D)としては、シラン架橋に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−(t−ブチルパーオキシ)−m−ジ−イソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、4,4’−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレリック酸n−ブチルエステル、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。過酸化物(D)の配合量は、過酸化物の種類や、ラジカル捕捉機能を有する添加剤の存在量にもよるが、HDPE(A)とLLDPE(B)の合計100質量部に対し、0.03〜0.15質量部が好ましく、0.05〜0.10質量部がより好ましい。
[スズ化合物(E)]
シラノール縮合触媒(架橋促進剤)として用いるスズ化合物(E)は、シラン架橋に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジオクチルスズジラウレート、スズ(II)オクテート、酢酸第一スズ、ナフテン酸スズ等が挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。スズ化合物(E)の配合量は、HDPE(A)とLLDPE(B)の合計100質量部に対し、0.05〜0.08質量部が好ましく、0.06〜0.07質量部がより好ましい。
[その他の成分]
樹脂組成物(X)には、以上の成分の他に、酸化防止剤、難燃剤、架橋助剤、耐候剤、着色剤、充填剤、他の安定剤などの添加物を適量配合してもよい。酸化防止剤としては、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンや、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。酸化防止剤を配合する場合、その配合量は、HDPE(A)とLLDPE(B)の合計100質量部に対し、0.05〜0.6質量部が好ましく、0.1〜0.5質量部がより好ましい。
HDPE(A)とLLDPE(B)と、必要に応じて上記各成分を混練して本発明に係る樹脂組成物(X)を得ることができる。配合量は、HDPE(A)とLLDPE(B)との合計100質量部において、HDPE(A)が65〜95質量部、LLDPE(B)が5〜35質量部の範囲である。HDPE(A)とLLDPE(B)の配合量が上記範囲外である場合には、管状成形体の性能が劣る。具体的に、HDPE(A)の配合量が上記範囲よりも少ない場合には、剛性が不足する。また、HDPE(A)の配合量が上記範囲よりも多い場合には、耐久性が低下する。
[管状成形体の製造方法]
本発明において、管状成形体は、ベース樹脂となる上記樹脂組成物(X)をシラン変性し、これを管状に成形し、シラン架橋法により架橋して作製することができる。ここで、管状成形体の製造方法としては、2段成形法および1段成形法が知られている。
2段成形法では、原料ポリエチレン樹脂と、シラン化合物と、ラジカル発生剤とを、加熱しながら溶融、混練、反応させて、シラン変性ポリエチレン樹脂組成物を得るグラフト重合反応工程、および、得られたシラン変性ポリエチレン樹脂組成物と、シラノール縮合触媒を含有させたポリエチレン樹脂組成物とを、押出機内で加熱しながら溶融、混練して、管状に押出し、前記シラン変性ポリエチレン樹脂組成物からなる成形管とする成形工程の2段階で成形管を得た後、得られた成形管を水雰囲気下にてシラノール縮合反応させて架橋処理を行う。
一方、1段成形法では、原料ポリエチレン樹脂と、シラノール縮合触媒と、シラン化合物と、ラジカル発生剤とを、押出機内で加熱しながら溶融、混練、反応させるとともに、これを管状に押出して、グラフト重合反応と成形とを同時に行う、すなわち、1段階で成形管を得た後、得られた成形管を水雰囲気下にてシラノール縮合反応させて架橋処理を行う。
本発明において、管状成形体は、2段成形法、1段成形法、その他公知の製造方法により製造することができる。これらの中でも、生産性や経済性の観点から、1段成形法により製造することが好ましい。さらに、本発明では、原料ポリエチレン樹脂を得る工程、すなわち、HDPE(A)とLLDPE(B)とを混合する工程も含めて1段成形法で行うことが好ましい。したがって、HDPE(A)、LLDPE(B)、シラン化合物(C)、過酸化物(D)、スズ化合物(E)および必要に応じて他の添加剤を、押出機内で加熱しながら溶融、混練、反応させるとともに、これを管状に押出して、ポリエチレンの混合とグラフト化と成形とを同時に行い、成形管を得た後、得られた成形管を水雰囲気下にてシラノール縮合反応させて架橋処理を行うことが好ましい。
なお、いずれの方法においても、架橋処理の方法としては、80〜95℃の温水に6〜12時間浸漬する方法や、水蒸気に6〜12時間接触させる方法が挙げられる。架橋処理は、80℃の温水中に6時間以上浸漬する方法が好ましい。
本発明において、管状成形体の密度を好ましくは935〜955kg/m、より好ましくは937〜950kg/mとして、ゲル分率を好ましくは70質量%以上、より好ましくは73質量%以上となるようにすると、高剛性および高耐久性のバランスにより優れた管状成形体が得られる。なお、ゲル分率は、JIS K6769に準拠して測定した値である。
また、管状成形体のクリープ破壊時間は、1時間以上であることが好ましく、30時間以上であることがより好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、各例で使用した樹脂およびシラン架橋ポリエチレン管の各種物性の測定は、以下のとおりに行った。
(1)密度(単位:kg/m
高密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、JIS K 6922−2に準拠して測定したMFR計のストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて直線的に室温まで徐冷した後、JIS K 7112に準拠して密度勾配管で測定した。シラン架橋ポリエチレン管の密度は、得られたポリエチレン管から切り出した試験片を、120℃で1時間熱処理し、1時間かけて直線的に室温まで徐冷した後、JIS K 7112に準拠して密度勾配管で測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)(単位:g/10分)
MFRは、JIS K7210に準拠して、測定温度190℃、荷重2.16kgf(21.2N)の条件で測定した。
(3)ゲル分率(単位:質量%)
ゲル分率は、JIS K 6769に準拠して測定した。
(4)クリープ破壊時間(単位:時間)
クリープ破壊時間は、ISO 9080に準拠して、温度95℃、周応力4.8MPaの条件で測定した。
表1に、実施例および比較例において使用したHDPE(A)およびLLDPE(B)の商品名(いずれも(株)プライムポリマー製)ならびに物性を示す。
[実施例1]
HDPE(A)としてHZ3300FPU(商品名、(株)プライムポリマー製)を65質量部、LLDPE(B)としてSP2040P(商品名、(株)プライムポリマー製)を35質量部、シラン化合物(C)としてビニルトリメトキシシラン(商品名:KBM−1003、信越化学工業(株)製)を2質量部、過酸化物(D)として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名:パーヘキサ(登録商標)25B、日本油脂(株)製)を0.05質量部、スズ化合物(E)としてジオクチルスズジラウレート(商品名:アデカスタブOT−1、(株)ADEKA製)を0.063質量部用いて、押出機((株)池貝製SF−65)内にて、250℃で加熱しながら溶融、混練、反応させるとともに、これを管状に押出して、1段成形法にて成形管を得た。得られた成形管を、80℃の温水中に12時間浸漬し、架橋処理を行うことにより、シラン架橋ポリエチレン管を作製した。
得られたシラン架橋ポリエチレン管について、密度(kg/m)、ゲル分率(質量%)およびクリープ破壊時間(時間)を測定した。結果を表2に示す。
[実施例2]
HDPE(A)およびLLDPE(B)の種類および配合量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてシラン架橋ポリエチレン管を作製し、各種物性を測定した。結果を表2に示す。
[比較例1〜3]
HDPE(A)およびLLDPE(B)の種類および配合量を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてシラン架橋ポリエチレン管を作製し、各種物性を測定した。なお、比較例1および2で用いたLLDPE(B)は、いずれもチーグラー触媒品である。また、比較例3では、LLDPE(B)を使用しなかった。結果を表2に示す。

Claims (6)

  1. 下記要件(1)および(2)を満たす高密度ポリエチレン(A)65〜95質量部と、
    下記要件(3)および(4)を満たす直鎖状低密度ポリエチレン(B)5〜35質量部(ただし、(A)と(B)の合計を100質量部とする)と、
    を含有する樹脂組成物(X)の架橋体を含む管状成形体:
    (1)MFR(190℃、2.16kg)が0.80〜1.35g/10分である。
    (2)密度が947〜952kg/mである。
    (3)MFR(190℃、2.16kg)が1.50〜4.50g/10分である。
    (4)密度が910〜925kg/mである。
  2. 前記樹脂組成物(X)が、さらに、前記高密度ポリエチレン(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)の合計100質量部に対し、
    シラン化合物(C)1.5〜2.5質量部と、
    過酸化物(D)0.03〜0.15質量部と、
    を含有する、請求項1に記載の管状成形体。
  3. 前記樹脂組成物(X)が、さらに、前記高密度ポリエチレン(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)の合計100質量部に対し、
    スズ化合物(E)0.05〜0.08質量部
    を含有する、請求項1または2に記載の管状成形体。
  4. 下記要件(1)および(2)を満たす高密度ポリエチレン(A)65〜95質量部と、
    下記要件(3)および(4)を満たす直鎖状低密度ポリエチレン(B)5〜35質量部(ただし、(A)と(B)の合計を100質量部とする)と、
    を含有する樹脂組成物(X)を、押出機内でグラフト重合反応させた後、押出成形し、架橋処理を行うことを特徴とする、管状成形体の製造方法:
    (1)MFR(190℃、2.16kg)が0.80〜1.35g/10分である。
    (2)密度が947〜952kg/mである。
    (3)MFR(190℃、2.16kg)が1.50〜4.50g/10分である。
    (4)密度が910〜925kg/mである。
  5. 下記要件(1)および(2)を満たす高密度ポリエチレン(A)65〜95質量部と、
    下記要件(3)および(4)を満たす直鎖状低密度ポリエチレン(B)5〜35質量部(ただし、(A)と(B)の合計を100質量部とする)と、
    を含有する樹脂組成物(X):
    (1)MFR(190℃、2.16kg)が0.80〜1.35g/10分である。
    (2)密度が947〜952kg/mである。
    (3)MFR(190℃、2.16kg)が1.50〜4.50g/10分である。
    (4)密度が910〜925kg/mである。
  6. さらに、前記高密度ポリエチレン(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)の合計100質量部に対し、
    シラン化合物(C)1.5〜2.5質量部と、
    過酸化物(D)0.03〜0.15質量部と、
    スズ化合物(E)0.05〜0.08質量部と、
    を含有する、請求項5に記載の樹脂組成物(X)。
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