JP2018154032A - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

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恭平 吉川
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Abstract

【課題】品種の異なる2種類の原料組成物を連続的に混練成形機に投入する際、原料組成物が変化したことを明確に把握することができ、成形工程で得られた品種の異なる成形体を明確に区別することができ、一つの混練成形機で混合、混練と成形とを連続的に行うことが可能なハニカム構造体の製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくともセラミック粉末と造孔剤であるアクリル樹脂とを含む原料組成物を混練成形機に投入する混練成形機投入工程と、上記混練成形機に投入された上記原料組成物を混練及び成形してハニカム成形体を得る成形工程と、得られたハニカム成形体を焼成する焼成工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、上記アクリル樹脂は、着色されており、上記原料組成物中に10〜40重量%含まれていることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。
セラミックを主成分とするハニカム構造体は、排ガス浄化のためのフィルタや触媒担体として広く用いられている。このようなハニカム構造体を製造する際には、セラミック原料粉末を含む原料組成物を、格子状のスリットを有する金型を介して押出成形し、ハニカム成形体を得た後、有機分を分解除去する脱脂工程、及び、セラミック粉末を焼成することにより焼結体とする焼成工程を経ることによりハニカム構造体を製造することができる。
近年、ハニカムフィルタの用途が拡大するなかで、気孔構造やセル構造をわずかに変えた品種が増加しているが、原料組成物やハニカム成形体を作製した後、得られた原料組成物やハニカム成形体がどの品種のものかを判別するためには、何かの目印を付ける必要がある。
特許文献1には、セラミック原料を含む複数の成形原料塊を連結させてなるとともに、互いに連結している2つの前記成形原料塊のうちの少なくとも一方の前記成形原料塊の連結面に着色料を付されている成形原料連結塊を、ハニカム成形体成形用口金から押出し成形してハニカム形状の成形物を得る成形工程と、前記成形物を、前記ハニカム成形体成形用口金から押し出されてきた方向に対して交差する切断面を形成するように切断し、複数個のハニカム成形体を得る切断工程と、前記複数個のハニカム成形体を、前記切断面に前記着色料が現れている着色料含有ハニカム成形体と、前記切断面に前記着色料が現れていない着色料非含有ハニカム成形体とに選別する選別工程と、を備えるハニカム成形体の製造方法が開示されている。
特許文献1によれば、着色料によって成形原料塊同士の連結面に由来する部分を可視化することが可能であり、成形原料塊同士の連結面に由来する部分を含まないハニカム成形体を簡便に効率良く選別し、焼成することが可能となり、不良品の発生を抑えつつ多数のハニカム構造体を得ることが可能になることが記載されている。
特開2015−182227号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたハニカム成形体の製造方法では、成形原料塊の連結面となる部分に着色する必要があるため、工程が一つ増加するうえ、原料の混練と成形とを一つの混練成形機で連続的に行うことは不可能であるという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、品種の異なる2種類の原料組成物を連続的に混練成形機に投入する際、原料組成物が変化したことを明確に把握することができ、成形工程で得られた品種の異なる成形体を明確に区別することができ、一つの混練成形機で混合、混練と成形とを連続的に行うことが可能なハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、少なくともセラミック粉末と造孔剤であるアクリル樹脂とを含む原料組成物を混練成形機に投入する混練成形機投入工程と、上記混練成形機に投入された上記原料組成物を混練及び成形してハニカム成形体を得る成形工程と、得られたハニカム成形体を焼成する焼成工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、上記アクリル樹脂は、着色されており、上記原料組成物中に10〜40重量%含まれていることを特徴とする。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、アクリル樹脂は、製造するハニカム構造体の品種に対応して異なる色に着色することができる。そのため、上記混練成形機に投入する上記原料組成物中の上記アクリル樹脂の色を目視で判別でき、原料組成物が異なる品種用の原料組成物に変更された際、前の品種用の原料組成物と後の品種用の原料組成物との境界部分をはっきりと把握することができる。また、上記アクリル樹脂は、上記原料組成物中に10〜40重量%含まれているため、目視での判別が容易となり、原料組成物の交換を効率よく行うことができ、原料組成物の廃棄量を低減することができる。また、異なる品種の原料組成物が混ざり合ったまま製造されたハニカム構造体の不良品の数を低減させることができる。
さらに、本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記成形工程で作製されたハニカム成形体中の上記アクリル樹脂の色を目視で簡単に判別できるので、作製されたハニカム成形体の異なる品種を誤って混在させてしまい、不適切な脱脂、焼成条件で脱脂、焼成を行う等の問題が発生せず、不良品の発生を低減させることができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法において、上記アクリル樹脂の含有量が上記原料組成物中で10重量%未満であると、アクリル樹脂の含有量が少なすぎるため、上記原料組成物中の上記アクリル樹脂の色を目視で判別することが難しくなり、また、ハニカム成形体中の上記アクリル樹脂の色を目視で判別することが難しくなる。一方、上記アクリル樹脂の含有量が上記原料組成物中で40重量%を超えると、造孔剤としてのアクリル樹脂の含有量が多すぎるため、製造するハニカム構造体の品種に適合しないものとなってしまう。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミック粉末は、炭化ケイ素粉末、アルミナ粉末、チタニア粉末、チタン酸アルミニウム粉末、タルク粉末、又は、カオリン粉末であることが望ましい。
本発明のハニカム構造体の製造方法において、上記セラミック粉末が炭化ケイ素粉末、アルミナ粉末、チタニア粉末、チタン酸アルミニウム粉末、タルク粉末、又は、カオリン粉末であると、混練成形機に投入する上記原料組成物中の上記アクリル樹脂の色を目視で容易に判別できるとともに、上記成形工程で作製されたハニカム成形体中の上記アクリル樹脂の色を目視で容易に判別でき、色々な種類のハニカム構造体を製造する際、上記効果に関し、さらに大きな効果を得ることができ、優れた特性のセラミックを製造することができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記成形工程において、押出成形により多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体の連続体を作製した後、所定長さに切断することによりハニカム成形体を作製する方法を採用することができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記成形工程において、押出成形により多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体の連続体を作製した後、所定長さに切断することによりハニカム成形体を作製する方法を採用した場合、製造途中でハニカム構造体の品種が変更されると、成形体についた色の変化により判別できるので、その品種に対応する処理を正しく行うことができる。また、品種が変わる前の色と品種が変わった後の色の両方の色が混在した部分は、不良品となるが、その部分をはっきりと認識することができるので、その部分を切断して廃棄することができ、廃棄量を極力少なくすることができる。
図1(a)は、本発明の各工程を経ることにより製造されたハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示したハニカム構造体のA−A線断面図である。 図2は、本発明の各工程を経ることにより製造されたハニカム構造体の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図3(a)は、図2に示したハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示したハニカム焼成体のB−B線断面図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、少なくともセラミック粉末と造孔剤であるアクリル樹脂とを含む原料組成物を混練成形機に投入する混練成形機投入工程と、上記混練成形機に投入された上記原料組成物を混練及び成形してハニカム成形体を得る成形工程と、得られたハニカム成形体を焼成する焼成工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、上記アクリル樹脂は、着色されており、上記原料組成物中に10〜40重量%含まれていることを特徴とする。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム構造体は、上記混練成形機投入工程、上記成形工程、及び、上記焼成工程を順に経ることにより製造される。
(1)混練成形機投入工程
上記混練成形機投入工程では、少なくともセラミック粉末と造孔剤であるアクリル樹脂とを含む原料組成物を混練成形機に投入する。
上記原料組成物に含まれるセラミック粉末は、最終的に製造されるハニカム構造体を構成するセラミック焼成体となる。
上記セラミック粉末の種類は、特に限定されないが、例えば、炭化ケイ素粉末、アルミナ粉末、チタニア粉末、チタン酸アルミニウム粉末、タルク粉末、又は、カオリン粉末等が挙げられる。
各セラミック粉末の粒子径は、製造するハニカム構造体の気孔率、平均気孔径、気孔分布等に応じて選定する。ハニカム構造体を構成するセラミックとしては、例えば、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウム、コージェライト等が挙げられる。
上記セラミック粉末としては、炭化ケイ素等のように製造するセラミックと同じ材料のセラミック粉末を用いる場合と、コージェライトのように、目的とするセラミックとは異なる複数種類のセラミック粉末を所定の配合比で用いる場合がある。目的とするセラミックとは異なる複数種類のセラミック粉末を用いた場合には、焼成することにより目的とするセラミックが製造される。
製造するハニカム構造体が炭化ケイ素からなる場合には、通常、セラミック粉末として、炭化ケイ素粉末を使用する。
製造するハニカム構造体がチタン酸アルミニウムからなる場合には、チタン酸アルミニウムの粉末を用いるか、チタニア粉末とアルミナ粉末と、必要に応じてマグネシア粉末やシリカ粉末を所定の重量割合で用いる。
製造するハニカム構造体がコージェライトからなる場合には、タルク粉末とカオリン粉末と水酸化アルミニウム粉末とを所定の重量割合で用いるか、アルミナ粉末とシリカ粉末とマグネシア粉末とを所定の重量割合で用いる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、着色されたアクリル樹脂を造孔剤として用いる。
上記アクリル樹脂は、造孔剤であるので、アクリル樹脂の粒子径、粒子径分布、原料組成物中の含有割合等を変えることにより、得られるハニカム構造体の気孔率、平均気孔径、気孔径分布等が変化する。そこで、本発明では、上記アクリル樹脂は、製造するハニカム構造体の品種、すなわち製造するハニカム構造体の気孔率、平均気孔径、気孔径分布等に対応して異なる色に着色されており、それぞれ異なる原料タンクに貯蔵されている。そして、製造するハニカム構造体の品種に応じて適したアクリル樹脂を原料タンクから取り出し、計量して所定の含有割合のアクリル樹脂を原料組成物に添加する。
アクリル樹脂の色は、特に限定されず、例えば、青、赤、緑、黄色、ピンク等が挙げられる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、必要に応じて、原料組成物に添加剤を添加する。これらの添加剤としては、例えば、焼成助剤、成形助剤、有機バインダー、分散媒等が挙げられる。焼成助剤としては、チタン酸アルミニウムからなるハニカム構造体を得る場合は、例えば、シリカ、マグネシアが挙げられるとともに、Y、La、Na、K、Ca、Sr、Baの酸化物が挙げられる。成形助剤としては、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。有機バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース等の親水性有機高分子が挙げられる。分散媒としては、水のみからなる分散媒、又は、50体積%以上の水と有機溶剤とからなる分散媒が挙げられる。有機溶剤としては、ベンゼン、メタノール等のアルコールが挙げられる。
また、原料組成物中にその他の添加剤を更に添加してもよい。その他の添加剤としては、例えば、可塑剤、分散剤、潤滑剤が挙げられる。可塑剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物が挙げられる。分散剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。潤滑剤としては、たとえば、グリセリンが挙げられる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、着色されたアクリル樹脂は、原料組成物中に10〜40重量%含まれている。
このため、混練成形機に投入する際、原料組成物中の上記アクリル樹脂の色を目視で判別できる。実際には、目視で、原料組成物自体が着色されているように見えるので、原料組成物が所定の品種用の原料組成物であることが容易に判別できる。従って、原料組成物が異なる品種用の原料組成物に変更された際、混練成形機の内部で両者が混合しても、前の品種用の原料組成物と後の品種用の原料組成物との境界部分が明らかであるため、発生する原料組成物の廃棄量を最低量に抑えることができる。
原料組成物中、着色されたアクリル樹脂の含有割合が10重量%未満であると、アクリル樹脂の含有量が少なすぎるため、混練成形機に投入する原料組成物中のアクリル樹脂の色を目視で判別することが困難となる。一方、原料組成物中、アクリル樹脂の含有割合が40重量%を超えると、アクリル樹脂の含有割合が多すぎ、製造するハニカム構造体の品種に適合しないものとなってしまう。
上記した原料組成物を構成する材料、添加剤等は、混練成形機に投入される前に、予め混合されていてもよい。混練成形機での混合、混練をより良好に行うためである。
(2)成形工程
成形工程では、混練成形機に投入された原料組成物を混練及び成形してハニカム成形体を得る。
例えば、混練成形機に投入された原料組成物を種々の形状を有するスクリュー等を用いて密閉状態で混合及び混練を行いながら金型方向に押し出し、押出成形に適した混練状態とした後、金型を介して押出成形を行い、多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体の連続体を作製する。
製造するハニカム構造体の品種が変更された場合、混練成形機内には、変更前の原料組成物が残留しており、それを完全に取り除くことは難しい、しかし、原料組成物中には、着色されたアクリル樹脂が含まれているため、製造するハニカム構造体の品種が変更されると、成形体についた色の違いにより判別できる。すなわち、製造するハニカム構造体の品種が変わる前の色と品種が変わった後の色の両方の色が混在した成形体の部分は、不良品であるが、その部分をはっきりと認識することができるので、その部分を切断して廃棄することにより廃棄量を極力少なくすることができる。また、所定の品種に対応して混練条件や押出成形の速度等を変更する必要がある場合には、変更された品種に対応した混練条件等に迅速に変更することができ、種々の処理を正しく、迅速に行うことができる。
押出成形により得られたハニカム成形体の連続体は、所定の長さに切断することによりハニカム成形体とする。その後、必要に応じて、貫通孔が露出した両端面において、多数の貫通孔のうち所定の貫通孔の目封じを行い、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥器、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させ、続いてハニカム成形体中の着色されたアクリル樹脂を含む有機分を分解消失させる脱脂処理を行う。
(3)焼成工程
上記焼成工程では、脱脂工程を経たハニカム成形体を焼成処理し、焼成体とする。
焼成条件は、ハニカム成形体に含まれるセラミック粉末により異なり、例えば、炭化ケイ素からなる焼成体を製造する際には、アルゴン等の不活性ガス中、1800〜2200℃で焼成することが望ましい。
チタン酸アルミニウムからなる焼成体を製造する際には、大気雰囲気下、1300〜1650℃に焼成することが望ましい。なお、チタン酸アルミニウムからなる焼成体を製造する際には、大気雰囲気に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを混合することにより、酸素濃度を調整してもよい。
コージェライトからなる焼成体を製造する際には、大気雰囲気下、1150〜1400℃で焼成することが望ましい。
上記した脱脂処理と焼成処理は、同じ炉の中で、連続して行ってもよい。
脱脂処理により造孔剤であるアクリル樹脂は消失するので、焼成工程後の焼成体の中には残存せず、着色されたアクリル樹脂の色は焼成体には反映されない。そのため、造孔剤であるアクリル樹脂が着色されていても得られるハニカム構造体の特性および外観には影響を及ぼすことはない。
上述した混練成形機投入工程、成形工程、及び、焼成工程を経ることにより、ハニカム構造体を製造することができる。
図1(a)は、本発明の各工程を経ることにより製造されたハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示したハニカム構造体のA−A線断面図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、このハニカム構造体10では、円柱形状のハニカム構造体10の長手方向(図1(a)中、両矢印aで示す)に垂直な断面の形状が略八角形の排ガス導入セル11aと略四角形の排ガス排出セル11bが多数形成されており、排ガス導入セル11aと排ガス排出セル11bとは、セル隔壁13を隔てて形成されている。
排ガスが導入される側の端面14から見ると、排ガス排出セル11bは、端面14が封止部12bにより目封じされており、排ガス導入セル11aは開口している。一方、排ガスが排出される側の端面15では、排ガス導入セル11aが封止部12aにより目封じされており、排ガス排出セル11bは開口している。
排ガス導入セル11aの端面15は目封じされているため、端面14から排ガス導入セル11aに導入された排ガスGは、多孔質壁であるセル隔壁13を通過した後、排ガス排出セル11bを通って端面15から排出される。この間に排ガス中のパティキュレートマター(以下、PMという)がセル隔壁13で捕集され、排ガスが浄化される。
ハニカム構造体は、図1(a)及び図1(b)に示したような構造には限定されず、図2、図3(a)及び図3(b)に示したような構造であってもよい。
図2は、本発明の各工程を経ることにより製造されたハニカム構造体の別の一例を模式的に示す斜視図である。また、図3(a)は、図2に示したハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示したハニカム焼成体のB−B線断面図である。
図2に示すように、このハニカム構造体20では、柱状のハニカム焼成体30が接着材層21を介して複数個結束されてセラミックブロック22を構成し、このセラミックブロック22の周囲に、排ガスの漏れを防止するためのシール材層23が形成されている。
このハニカム構造体20は、本発明の混練成形機投入工程、成形工程、及び、焼成工程を行うことにより製造されたハニカム焼成体30を、接着材層21を介して複数個組み合わせ、切削加工を行って円柱状のセラミックブロック22を作製し、セラミックブロック22の周囲にシール材層23を形成することにより作製される。
図3(a)及び図3(b)に示すハニカム焼成体30は、図1(a)及び図1(b)に示したハニカム構造体10と同様に構成されており、ハニカム焼成体30の長手方向(図3(a)中、両矢印bで示す)に垂直な断面の形状が略八角形の排ガス導入セル31aと略四角形の排ガス排出セル31bが多数形成されており、排ガス導入セル31aと排ガス排出セル31bとは、セル隔壁33を隔てて形成されている。
排ガスが導入される側の端面34から見ると、排ガス排出セル31bは、端面34が封止部32bにより目封じされており、排ガス導入セル31aは開口している。一方、排ガスが排出される側の端面35では、排ガス導入セル31aが封止部32aにより目封じされており、排ガス排出セル31bは開口している。
排ガス導入セル31aの端面35は目封じされているため、端面34から排ガス導入セル31aに導入された排ガスGは、多孔質壁であるセル隔壁33を通過した後、排ガス排出セル31bを通って端面35から排出される。この間に排ガス中のPMがセル隔壁33で捕集される。
本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体は、図1(a)及び図1(b)に示すような構造のハニカム構造体であってもよく、図2、図3(a)及び図3(b)に示すような構造のハニカム構造体であってもよい。上記構成のハニカム構造体は、上述のように、排ガス中のPMを除去するハニカムフィルタとして機能する。
また、本発明のハニカム構造体の製造方法により得られたハニカム構造体は、目封じすることなく、種々の触媒等を担持することにより触媒担体として使用してもよい。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、2種類の品種の原料組成物が混ざり合ったハニカム成形体を焼成することが防止されるので、最適な特性を有するハニカム構造体を製造することができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法の作用効果を説明する。
(1)本発明のハニカム構造体の製造方法では、造孔剤であるアクリル樹脂は、製造するハニカム構造体の品種に対応して異なる色に着色することができ、混練成形機に投入する原料組成物中の上記アクリル樹脂の色を目視で判別でき、原料組成物が異なる品種用の原料組成物に変更された際、前の品種用の原料組成物と後の品種用の原料組成物との境界部分をはっきりと把握することができる。従って、混練成形機の内部で両者が混合してしまうことによる、原料組成物の廃棄量を最低量に抑えることができる。
また、アクリル樹脂は原料組成物中に10〜40重量%含まれているので、目視での判別が容易となり、原料組成物の交換を効率よく行うことができ、原料組成物の廃棄量を低減することができる。
(2)本発明のハニカム構造体の製造方法では、成形工程で作製されたハニカム成形体中のアクリル樹脂の色を目視で簡単に判別できるので、作製されたハニカム成形体の異なる品種を誤って混在させてしまい、不適切な脱脂、焼成条件で脱脂、焼成を行う等の問題が発生せず、不良品の発生を低減させることができる。
(3)本発明のハニカム構造体の製造方法において、セラミック粉末が炭化ケイ素粉末、アルミナ粉末、チタニア粉末、チタン酸アルミニウム粉末、タルク粉末、又は、カオリン粉末であると、混練成形機に投入する原料組成物中のアクリル樹脂の色を目視で容易に判別できるとともに、成形工程で作製されたハニカム成形体中のアクリル樹脂の色を目視で容易に判別でき、色々な種類のハニカム構造体を製造する際、(1)及び(2)に記載した効果に関し、より大きな効果を得ることができる。
(4)本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記成形工程において、押出成形により多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体の連続体を作製した後、所定長さに切断することによりハニカム成形体を作製する方法を採用した場合、製造途中でハニカム構造体の品種が変更されると、成形体についた色で判別できるので、その品種に対応する処理を正しく行うことができる。また、品種が変わる前の色と品種が変わった後の色の両方の色が混在した部分は、不良品となるが、その部分をはっきりと認識することができるので、その部分を切断して廃棄することができ、廃棄量を極力少なくすることができる。
以下、上記した本発明のハニカム構造体の製造方法をさらに具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
まず、原料組成物Aとして、平均粒子径20μmのアルミナ粉末:30重量%、平均粒子径0.5μmのチタニア粉末:25重量%、平均粒子径1μmのシリカ粒子:2.5重量%、平均粒子径1μmのマグネシア粒子:2.5重量%、青色に着色した平均粒子径20μmのアクリル樹脂(造孔剤):20重量%、メチルセルロース(有機バインダー):5重量%、ポリオキシアルキレン系化合物(可塑剤):5重量%、及び、水(分散媒):10重量%からなる組成のものを混合機で混合した後、混練成形機に投入した。
このとき、原料組成物Aは、目視により青色に着色されていることがはっきりと判別できた。
上記原料組成物Aを、混練成形機中で混練した後、所定パターンの金型を介して押出成形してハニカム成形体の連続体を作製した。このハニカム成形体の連続体を所定長さに切断してハニカム成形体を作製した。
作製したハニカム成形体も、目視により青色に着色されていることがはっきりと判別できた。
上記工程を20分間連続して行った後、製造する品種を変更した。
原料組成物Bとして、平均粒子径20μmのアルミナ粉末:35重量%、平均粒子径0.5μmのチタニア粉末:25重量%、平均粒子径1μmのシリカ粒子:2.5重量%、平均粒子径1μmのマグネシア粒子:2.5重量%、赤色に着色した平均粒子径30μmのアクリル樹脂(造孔剤):15重量%、メチルセルロース(有機バインダー):5重量%、ポリオキシアルキレン系化合物(可塑剤):5重量%、及び、水(分散媒):10重量%からなる組成のものを混合機で混合した後、混練成形機に投入した。
なお、この時点では混練成形機内への原料組成物Aの投入は停止させている。
すると、しばらくの間、混練成形機内の原料組成物の色が、原料組成物Aの色と原料組成物Bの色が混ざった色となったので、混練成形機から排出された原料組成物Aの色と原料組成物Bの色が混ざった色となった原料組成物を廃棄用の容器に入れて廃棄した。
次に、押出形成したハニカム成形体の連続体の色が完全に赤色になったことを確認した後、ハニカム成形体の連続体を所定長さに切断し、新しい品種のハニカム成形体とした。
この後、原料組成物A及び原料組成物Bからなるそれぞれ2種類のハニカム成形体に対し、乾燥、脱脂、焼成を行って、2種類のハニカム構造体を製造した。製造したハニカム構造体は、いずれも形状、気孔率、気孔分布等の特性が目的としたハニカム構造体の特性と一致し、品種ごとに色の異なったアクリル樹脂を使用することにより、目的に合致するハニカム構造体を効率よく製造することができることが判明した。
10、20 ハニカム構造体
11a、31a 排ガス導入セル
11b、31b 排ガス排出セル
12a、12b、32a、32b 封止部
13、33 セル隔壁
14、34 排ガスが導入される側の端面
15、35 排ガスが排出される側の端面
21 接着材層
22 セラミックブロック
23 シール材層
30 ハニカム焼成体
G 排ガス

Claims (3)

  1. 少なくともセラミック粉末と造孔剤であるアクリル樹脂とを含む原料組成物を混練成形機に投入する混練成形機投入工程と、
    前記混練成形機に投入された前記原料組成物を混練及び成形してハニカム成形体を得る成形工程と、
    得られたハニカム成形体を焼成する焼成工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、
    前記アクリル樹脂は、着色されており、前記原料組成物中に10〜40重量%含まれていることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  2. 前記セラミック粉末は、炭化ケイ素粉末、アルミナ粉末、チタニア粉末、チタン酸アルミニウム粉末、タルク粉末、又は、カオリン粉末である請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
  3. 前記成形工程において、押出成形により多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体の連続体を作製した後、所定長さに切断することによりハニカム成形体を作製する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
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