JP2018148802A - 果実等の病害抵抗性増大方法 - Google Patents

果実等の病害抵抗性増大方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ブドウ等の果樹や野菜に電気刺激を与えることにより、病害抵抗性や忌避効果を増大させる方法を提供する。【解決手段】果樹又は一年生草木植物の異なる箇所に電極とその対極を挿入し、両電極を内部組織に接触させた状態で、電極間に電圧を印加することによって果実等の病害抵抗性を増大させる。果樹とは、果実をつける永年性の木本性植物に加えて、バナナ、パイナップル、パパイヤ、パッションフルーツなどの果樹の台木用植物を含む。電圧印加により、植物内部で病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量を増大させる。病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子は、具体的には、病原菌を殺菌する作用を有するキチナーゼ(chitinase)、又は、β-1,3-グルカナーゼ(β-1,3-glucanase)である。【選択図】図3

Description

本発明は、果実、野菜、および果実等の培養細胞の病害抵抗性や忌避効果を増大させる方法に関するものである。
近年、炭酸ガス濃度の増加に伴う地球温暖化の問題から、植物や森林の保護とそれらの活性化による必要性がクローズアップされている。
かかる状況下、植物生体の機能的活性化と成長を図る農業技術として、植物生体の内側の内部高電位と表皮サイドの外部低電位とを結ぶ通電体を、外部の表皮サイドより植物生体に差し込み、植物生体の表皮サイドの電位を増大させることにより、植物生体の機能的活性化と成長の促進を図る技術が知られている(特許文献1,2を参照)。
従来公知の植物体に電気を流す方法について説明する。植物体に電気を流す方法として、例えば、特許文献3には、植物体と培地間に電位差を設け、植物体内に微電流を通電することにより、培地内から植物体内に微電流を通電させて、植物の活性化や生長を図り、病虫害の防除を図れるとするものである。しかしながら、特許文献3の技術では、クリップで植物体の茎や枝を挟むものである。すなわち、クリップと接する植物体の表皮から培地(アース)に電流を流すものである。また、特許文献3には、病虫害の防除の効果や機能性の酵素の増減についての記載はなく、そのメカニズムも不明であった。
特開2009−278963号公報 国際公開パンフレットWO2011/052203 特開平7−75446号公報
従来から植物体に電気を流して成長を促すことが様々な文献で言われているが、これらの技術は植物体と培地との間に電圧を印加して電流を流すものである。
また、上述した植物生体の機能的活性化と成長の促進を図る技術では、植物生体の中心柱の近傍の電位と外部の皮層近傍の電位は中心柱近傍電位が約150〜200mV電位が高いことに着目し、また、植物全体がそれぞれ有する極性的電位である自己の生体電位(培地と生体茎)が、植物生体の成長力を示す指標として用いられることに着目して、通電体を挿し込んで電位バランスの調整を図るものである。
本発明者らは、ブドウ等の果樹に電気刺激を与えることにより、ブドウ等の病害抵抗性を増大させることができることを知見した。かかる状況に鑑みて、本発明は、ブドウ等の果樹ならびに野菜に電気刺激を与えることにより、果実等の病害抵抗性や忌避効果を増大させる方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明の方法は、果樹又は一年生草木植物の異なる箇所に電極とその対極を挿入し、両電極を樹木など植物の内部組織に接触させた状態で、電極間に電圧を印加することによって果実等の病害抵抗性を増大させるものである。
本明細書において、病害抵抗性とは、植物が病原菌や微生物が侵入しようとするのを妨げる機能をいうが、これにとどまらず、植物の香りにより、虫や鳥を避ける忌避性(忌避効果)も含まれる意味で用いている。病害抵抗性を高めることにより、植物の病気の発生を抑制できるものである。また、忌避性(忌避効果)を高めることにより、葉や果実を食べる虫や動物などを植物に寄せ付けなくすることができる。
また、本明細書において、果樹とは、果実をつける永年性の木本性植物に加え、バナナ、パイナップル、パパイヤ、パッションフルーツなどの果樹の台木用植物を含む意味で用いている。また、果樹には、2年以上栽培する草本植物を含む。また、一年生草木植物は、一年以内に発芽,生長,開花,結実を完了して枯れる草本植物であり、メロン、イチゴ、スイカなどの果物、キャベツ、レタス、大根、ニンジン、ゴボウ、ナス、トマト、キュウリ、タマネギ、カボチャ、ホウレンソウ、ジャガイモ、サツマイモなどの野菜を含む。
ここで、果実等の病害抵抗性を増大させるというのは、電極を挿入した植物の内部組織に対する電圧印加により、植物内部で病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量を増大させることである。病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子は、具体的には、病原菌を殺菌する作用を有するキチナーゼ(chitinase)、又は、β-1,3-グルカナーゼ(β-1,3-glucanase)である。
本発明の方法において、電極とその対極を挿入する箇所としては下記の通りである。
1)果樹の場合
異なる幹部、幹部と枝部、幹部と果実部、異なる枝部、枝部と果実部、若しくは異なる果実部
2)一年生草木植物の場合
異なる茎部、茎部と葉部、茎部と果実部、異なる葉部、葉部と果実部、若しくは異なる果実部
本発明の方法において、印加する電圧は、1〜100V以下の直流電圧、交流電圧又はパルス電圧であり、かつ、電極を挿入した箇所の内部組織の温度が50℃未満となるように調整されることが好ましい。印加する電圧は、1〜20V以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは、1〜10V以下とする。内部組織に流れる電流の大きさは、電極の配置、電極間の距離によって、また、対象となる植物の内部組織の抵抗により異なるが、電流量を小さくする方が内部組織に過度の負担がかかることを回避できる。対象となる植物の大きさなどによって、低電圧を印加し微弱電流を内部組織に流すか、パルス電流とし、組織に供給するエネルギーが過度に大きくならないようにする。対象となる植物の内部組織の温度が50℃以上になると、酵素などが不安定になるため、電極を挿入した箇所の内部組織の温度が50℃未満となるように調整する。
本発明の方法によって、果実、塊根、球根、塊茎、若しくは葉における病害抵抗性を増大させることが可能である。
本発明の方法では、例えば、電極間に太陽光パネルを接続し、昼間のみに果樹又は一年生草木植物に電圧を印加させることでもよい。
また、本発明の方法では、果実、塊根、球根、塊茎、若しくは葉の異なる箇所に電極とその対極を挿入し、両電極を内部組織に接触させた状態で、電極間に電圧を印加することにより果実等の病害抵抗性を増大させることも可能である。
本発明の果実等の培養細胞を改質させる方法では、果実、塊根、球根、塊茎、若しくは葉の培養細胞の集合体に電極とその対極を挿入し、両電極を果実培養細胞に接触させた状態で、電極間に電圧を印加することにより果実等の培養細胞の病害抵抗性を増大させるものである。
ここで、印加する電圧は、20V以下の直流電圧、交流電圧又はパルス電圧であり、かつ、電極を挿入した箇所の集合体が50℃未満となるように調整されることが好ましい。
培養細胞に対する電圧印加により、培養細胞において、病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量を増大させることができる。病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子は、具体的には、probable WRKY transcription factor 33-like、又は、class IV chitinaseである。なお、培養に用いる培地などは特に限定されない。
上述の本発明の方法を施した果樹又は一年生草木植物から収穫された農産物、それらの農産物を用いた果汁、果実酒、漬物を含む2次的加工食品は、様々な利用が期待できる。2次的加工食品とは、果汁飲料、ゼリー、ジャム、ワインなどである。
また、上述の本発明の方法を施した培養細胞、その培養細胞から培養された苗木、その苗木を生育して収穫された果実、塊根、球根、塊茎、若しくは葉の何れかの農産物も様々な利用が期待できる。
本発明の方法によれば、ブドウ等の果実や野菜の病害抵抗性や忌避効果を増大できるといった効果がある。
実施例1の培養細胞の病害抵抗性(忌避性)を増大させる方法のフロー図 実施例1の実験の模式図 実施例2の果実等の病害抵抗性(忌避性)を増大させる方法のフロー図 実施例2の比較対照実験の模式図 比較対照実験に用いたソーラーパネルの特性グラフ 果樹の病害抵抗性を示すグラフ(1) 果樹の病害抵抗性を示すグラフ(2) 病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量を示すグラフ
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
(ブドウ培養細胞に対する電流刺激について)
ブドウ培養細胞に電気刺激を与えることによって、ブドウ培養細胞における病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量を増大できることについて説明する。
図1は、培養細胞を改質させる方法のフローを示している。例えば、ブドウ培養細胞の集合体に電極とその対極を挿入し(S11)、ブドウ培養細胞の両電極を集合体に接触させる(S12)。電極はソーラーパネルと繋がっており、照明光により電極間に電圧を印加する(S13)。ブドウ培養細胞の集合体の温度が50℃未満となるように照明光を調整する(S14)。そして、ブドウ培養細胞における病害抵抗性(忌避性)が増大(S15)するか否かを確認する。病害抵抗性(忌避性)が増大するか否かについては、病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量が増加するか否かによって確認する。
具体的には、図2の模式図に示すように、容器に入れたブドウ培養細胞にステンレス製の電極を挿して、両電極を内部組織に接触させた状態で、蛍光灯に照らしたソーラーパネルに繋げ、電極間に4.5Vの電圧を4時間印加し、ブドウ培養細胞に対して電流処理を行った。その後、発現する遺伝子について確認(マイクロアレイ解析を用いて確認)を行った。比較対照として、電極を挿していない無処理のブドウ培養細胞を用いた。
ブドウ培養細胞は、赤系ブドウ品種で樹勢が強い甲州ブドウ由来の品種(甲州)から培養細胞を作製し、下記表1に示すGB培地(ショ糖濃度20 g/L)上で、28℃、暗条件で培養した。
上述の電流処理を施したブドウ培養細胞を2塊用意し、またコントロールとして電流処理を施していない培養細胞2塊を用意した。これらの細胞を27℃の恒温器で4時間静置した。その後、液体窒素を用いて瞬間冷凍し、−80℃で保存した。
上記のブドウ培養細胞に対して、マイクロアレイ解析を実施した。DNAチップはGeneChip Vitis vinifera Genome Array(Affymetrix製)を使用した。使用したDNAチップでは、醸造用ブドウ(Vitis vinifera)からの14000転写産物と他のブドウからの1700転写産物の発現量を計測することが可能である。マイクロアレイ解析により得られた各細胞の発現量データについて解析を行った。
マイクロアレイ解析データより、DNAチップ上の各遺伝子が電流処理によりどのように発現変動しているかを計算し、以下の基準により、標的とするべき遺伝子を選抜した。
(1)DNAチップ上の全遺伝子のうち、2倍以上あるいは2分の1以下発現変動した遺伝子
(2)上記(1)の遺伝子の内、機能が明確で、ブドウ果実の品質に関与すると推定される遺伝子
(3)上記(1)の遺伝子の内、機能が未知な遺伝子
マイクロアレイ解析データは非常に多くの情報を含んでいるが、上記(2)の遺伝子が選抜された。マイクロアレイ解析データから、下記表2に示すように、病害抵抗性(忌避性)として機能するタンパク質をコードする2つの遺伝子(probable WRKY transcription factor 33-like,class IV chitinase)が電流処理により高発現することが確認できた。
マイクロアレイ解析データから、ブドウ培養細胞への電流処理が、病害抵抗性(忌避性)として機能するタンパク質をコードする遺伝子(probable WRKY transcription factor 33-like,class IV chitinase)の発現量を増大し、結果として病害抵抗性を高めることが示唆された。
果実等の病害抵抗性を高めることは、植物の病気の発生を抑制して、殺菌剤などの農薬の使用量を減らすことによって、食の安全性を高めることにつながる。また、果実の外観品質を高めることができる。種々の植物に対して、本発明の方法を施すことにより、より低コストで病害抵抗性を高め、果実等の安全性や品質を高めることが期待できる。
(ブドウ樹に対する電流刺激について)
本実施例では、ブドウ樹の幹に電極を埋め込み、ソーラーパネルを繋いで電極に電圧を印加し、電流処理を行った結果について説明する。
図3は、本実施例のブドウ樹を改質させる方法のフローを示している。図3に示すように、ブドウ樹の幹の異なる箇所に電極とその対極を挿入する(S01)。両電極をブドウ樹の幹の内部組織に接触させる(S02)。ソーラーパネルに太陽光が照射されることによって電極間に電圧が印加される(S03)。内部組織の温度が50℃未満となるように使用するソーラーパネルの仕様を調整する(S04)。そして、ブドウ果実の健康な房の数を測定し、病気の発生率を実測した。
図4の実験の模式図に示すように、1樹木に電極4とソーラーパネル3を2組設置し、電流処理を行う電流区と、比較対照として、電極のみ挿してソーラーパネルを繋げず電流処理を行わない電極区(電極のみ)と、電極を挿していない無処理の対照区(処理なし)の3種のブドウ樹を用いた。ソーラーパネルの性能は、最大電圧が5V、最大電流が80mA、最大電力が0.4Wを用いた。ソーラーパネルを2組用いた場合で、実際に照度による電極間の電圧の変化を確認すると、図5の特性グラフとなった。図5のグラフから本実施例で用いたソーラーパネルの場合、電極間に約10Vを印加できることがわかる。
ここで、ブドウ樹としては、フランスのボルドーを発祥地とする代表的な赤ワイン用ブドウ品種の“メルロー”で、垣根仕立ての30齢樹を実験に用いた。
(忌避効果について)
果樹の病害抵抗性(忌避性)として、まず、野外栽培ブドウにおける房の発病率に及ぼす電気刺激の影響について説明する。
下記表3は、電流区(電流処理)と電極区(電極のみ)と対照区(処理なし)のそれぞれについて、病気(灰色かび病、晩腐病)に罹っている房の数、健康な房の数を測定し、病気の発生率を算出した結果を示している。ここで、“*”は対照区および電極区と比較してカイ二乗検定による有意差が見られたものである。
表3の結果から、病気(灰色かび病、晩腐病)に罹っている房の数は、電気処理で有意に減っていることが確認できる。ここで、病気の発生率(%)=病気に罹った房の数/(病気に罹った房の数+健康な房の数)×100で算出している。
図6は、表3における病気の発生率をグラフ化したものである。
次に、果樹の病害抵抗性(忌避性)として、野外栽培ブドウにおける葉の被害率に及ぼす電気刺激の影響について説明する。葉の被害率は、ブドウベと病に罹っている葉の数を用いて算出した。ブドウベと病は、ブドウの重大な病害の1つで、かびによる病害であり、始めは淡黄色の斑点が葉の表面に現れ、その後、葉の裏面に白色の毛足の長いかびが密生して、 酷くなると落葉するといった葉の被害である。
図7は、ブドウ樹の病害抵抗性(忌避性)を示すグラフであり、電流区(電流処理)と電極区(電極のみ)と対照区(処理なし)のそれぞれについて、ブドウベと病に罹っている葉の数、健康な葉の数を測定し、病気の発生率を算出した結果をグラフ化したものである。
図7に示すように、葉の被害率の測定結果では、電流処理の実験区で葉の被害率の減少が対照と比較して0.01%の水準で有意差が見られた。
次に、病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量に及ぼす電気刺激の影響について説明する。遺伝子の発現量の測定は、鉢植えのブドウ樹の苗の下から4〜6番目の葉を使用した。鉢植えのブドウ樹の苗に対して、同様に、電流区(電流処理)と電極区(電極のみ)と対照区(処理なし)を準備し、3日後、10日後、20日後、及び30日後のそれぞれ期間に、葉からRNA(ribonucleic acid)を単離し、リアルタイムRT−PCR分析を行い、病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量を測定した。
図8は、病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量を示すグラフである。図8では、4つのグラフを示しており、横軸は電流処理後の日数であり、縦軸は相対強度を示している。4つの遺伝子(chitinase I、chitinase IV、β-1,3-glucanase、thaumatin-like protein)がコードするタンパク質はすべて病害抵抗性に関与するものである。特に、キチナーゼ(chitinase)、β-1,3-グルカナーゼ(β-1,3-glucanase)は病原菌の細胞壁を直接分解し、病原菌を殺菌する作用があり、多種多様な病原菌に効果をもつタンパク質である。
図8に示すように、4つの遺伝子は、何れも、電流処理の実験区が、他の実験区や対照区と比べて、遺伝子の増幅が20〜30日後に有意差が認められることから、電気処理による病害抵抗性(忌避性)の即効性は少ないものの、予防的効果に期待できる。
なお、図8の4つのグラフにおいて、バーは、3つの独立した苗から計算した平均±標準偏差を示している。また、“*”は電流処理の電流区で対照区と比較して0.05%の水準で有意差が見られたことを示している。
本発明は、果実や野菜などの農産物の病害抵抗性や忌避効果の向上に有用である。
1 実験装置
2 ブドウ培養細胞
3 ソーラーパネル
4 電極

Claims (15)

  1. 果樹又は一年生草木植物の異なる箇所に電極とその対極を挿入し、両電極を内部組織に接触させた状態で、電極間に電圧を印加することにより果実等の病害抵抗性を増大させる方法。
  2. 上記の内部組織に対する電圧印加により、病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量を増大させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 上記の病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子は、病原菌を殺菌する作用を有するキチナーゼ(chitinase)、又は、β-1,3-グルカナーゼ(β-1,3-glucanase)であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 上記の電極とその対極を挿入する箇所は、
    果樹の場合、異なる幹部、幹部と枝部、幹部と果実部、異なる枝部、枝部と果実部、若しくは異なる果実部であり、
    一年生草木植物の場合、異なる茎部、茎部と葉部、茎部と果実部、異なる葉部、葉部と果実部、若しくは異なる果実部である、ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の方法。
  5. 印加する電圧は、1〜100V以下の直流電圧、交流電圧又はパルス電圧であり、かつ、電極を挿入した箇所の内部組織が50℃未満となるように調整されたことを特徴とする請求項11〜4の何れかに記載の方法。
  6. 電極間に太陽光パネルを接続し、昼間のみに果樹又は一年生草木植物に電圧を印加させたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の方法。
  7. 果実、塊根、球根、塊茎、若しくは葉の培養細胞の集合体に電極とその対極を挿入し、両電極を前記集合体に接触させた状態で、電極間に電圧を印加することにより果実等の病害抵抗性を増大させる方法。
  8. 印加する電圧は、20V以下の直流電圧、交流電圧又はパルス電圧であり、かつ、電極を挿入した箇所の前記集合体が50℃未満となるように調整されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 上記の培養細胞に対する電圧印加により、病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子の発現量を増大させたことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
  10. 上記の病害抵抗性タンパク質を産出する遺伝子は、probable WRKY transcription factor 33-like、又は、class IV chitinaseであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 請求項1〜6の何れかの方法を施した果樹又は一年生草木植物から収穫された農産物。
  12. 請求項7〜10の何れかの方法を施した培養細胞。
  13. 請求項12の培養細胞から培養された苗木。
  14. 請求項13の苗木を生育して収穫された果実、塊根、球根、塊茎、若しくは葉の何れかの農産物。
  15. 請求項11又は14の農産物を用いた果汁、果実酒、漬物を含む2次的加工食品。
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