JP2018145154A - ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカン - Google Patents

ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカン Download PDF

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Abstract

【課題】プロテオグリカンにおいて、ヒアルロン酸産生能が改善されたプロテオグリカンを提供する。【解決手段】以下の1)〜5)を全て満たすプロテオグリカン。1)赤外吸収スペクトルにおいて、1234±10cm−1の吸光度に対する1417±10cm−1の吸光度の比が0.8以上、481±10cm−1の吸光度に対する588±10cm−1の吸光度の比が1.1以下、2)70℃で測定した重水中におけるプロトン核磁気共鳴スペクトルにおいて、4.73±0.05ppmの積分値を1とした場合に、4.01±0.05ppmの積分値は5以上、1.90±0.05ppmの積分値は0.1以上、3)乾燥重量1g当たり、カルシウムイオン0.4mmol以下、かつ一価のカチオン1.6mmol以上、4)アルギニンに対するセリンの重量比が5.2以下、5)炭素含量に対する硫黄含量の重量比が0.2以上。【選択図】図3

Description

本発明は、ヒアルロン酸産生能が改善された新規プロテオグリカンに関する。
ヒアルロン酸は細胞外マトリックス成分として、生体内に広く存在しており、特に、関節部位に多い。ヒアルロン酸は、他の生体成分と複雑な相互作用を有し、細胞の接着、増殖、分化など細胞の維持や活動に重要な働きに関与していると言われている。ヒアルロン酸は高い保水性を有し、人の皮膚の真皮に多く存在し、線維芽細胞が作り出すことが知られており、皮膚の潤いや張りに関与することから、皮膚の健康や美容に影響する。一般に加齢とともに皮膚のヒアルロン酸は減少し、肌荒れやカサつきの原因の一つである。
皮膚の健康や美容を保つため、細胞増殖因子様作用と保水性を有する物質が求められている。近年、プロテオグリカンは細胞増殖因子様作用ばかりでなくヒアルロン酸産生能も有することが明らかにされてきた(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。しかし、プロテオグリカンのヒアルロン酸産生能は弱いという欠点があった。
特開2008−247803号公報
Food Style 21、第13巻No.1、70−72頁、2009年 Fragrance Journal、第42巻No.1、38−43頁、2014年
本発明は、ヒアルロン酸産生能が改善されたプロテオグリカンを提供することを目的とした。
上記課題を達成するためのプロテオグリカンは、以下の1)〜5)を全て満たすプロテオグリカンである。
1)KBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルにおいて、波数1417±10cm−1、1234±10cm−1、588±10cm−1、481±10cm−1すべてに吸収ピークを有し、かつ1234±10cm−1の吸光度に対する1417±10cm−1の吸光度の比が0.8以上、481±10cm−1の吸光度に対する588±10cm−1の吸光度の比が1.1以下である。
2)70℃で測定した重水中におけるプロトン核磁気共鳴スペクトルにおいて、4.73±0.05ppm、4.01±0.05ppm、1.90±0.05ppmすべてにシグナルを有し、かつ4.73±0.05ppmの積分値を1とした場合に、4.01±0.05ppmの積分値は5以上、1.90±0.05ppmの積分値は0.1以上である。
3)乾燥重量1g当たり、カルシウムイオン0.4mmol以下、かつ一価のカチオンを1.6mmol以上含んでいる。
4)アルギニンに対するセリンの重量比が5.2以下である。
5)炭素含量に対する硫黄含量の重量比が0.2以上である。
本発明の上記特徴を有するプロテオグリカンは、安全で、従来のプロテオグリカンより、ヒアルロン酸産生能が高いものである。
本発明の、実施例2のヒアルロン酸産生能が改善されたプロテオグリカンの一つの分析に係り、実施例1で得られたヒアルロン酸産生能が改善された赤外吸収スペクトルを表す図である。 実施例2に係る比較として、実施例1での原料プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルを表す図である。 本発明の、実施例2のヒアルロン酸産生能が改善されたプロテオグリカンの一つの分析に係り、実施例1で得られたヒアルロン酸産生能が改善されたプロトン核磁気共鳴スペクトルを表す図である。 実施例2に係る比較として、実施例1での原料プロテオグリカンのプロトン核磁気共鳴スペクトルを表す図である。
以下、実施の形態をより具体的に説明する。本発明の技術的思想を具体化するための方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
プロテオグリカンは、動物や魚類に存在するグリコサミノグリカンとタンパク質の共有結合物からなる分子量数十万から数百万の天然高分子化合物である。プロテオグリカンは、糖タンパク質の一種であるが、グリコサミノグリカンの重量構成比が70%以上であり、ウロン酸とアミノ糖がほぼ当量で大部分を占めており、タンパク質量は一般の糖タンパク質に比較し少ない。また、特徴として、グリコサミノグリカンのヒドロキシ基に硫酸基がエステル結合している割合が高い。
プロテオグリカンは、起源となる生物や抽出・製造条件により、分子量や含まれる糖(ウロン酸、アミノ糖、中性糖など)やアミノ酸の種類や含有量、比率も異なっているが、本発明の原料となるプロテオグリカンは、起源となる生物や抽出・製造条件を問わない。
より具体的に本発明は、以下の1)から5)の全ての要件を満たすプロテオグリカンである。1)KBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルにおいて、波数1417±10cm−1、1234±10cm−1、588±10cm−1、481±10cm−1すべてに吸収ピークを有し、かつ1234±10cm−1の吸光度に対する1417±10cm−1の吸光度の比が0.8以上、481±10cm−1の吸光度に対する588±10cm−1の吸光度の比が1.1以下である。2)70℃で測定した重水中におけるプロトン核磁気共鳴スペクトルにおいて、4.73±0.05ppm、4.01±0.05ppm、1.90±0.05ppmすべてにシグナルを有し、かつ4.73±0.05ppmの積分値を1とした場合に、4.01±0.05ppmの積分値は5以上、1.90±0.05ppmの積分値は0.1以上である。3)乾燥重量1g当たり、カルシウムイオン0.4mmol以下、かつ一価のカチオンを1.6mmol以上含んでいる。4)含有するタンパク質のうち、アルギニンに対するセリンの重量比が5.2以下である。5)炭素含量に対する硫黄含量の重量比が0.2以上である。
本発明品は、原料となるプロテオグリカンを、0.1mol濃度以下の水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性溶液に数時間接触させ、その後、アルカリ溶液を除去することにより、容易に製造することができる。
本発明のヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの使用について、その製品形態により異なるが、本発明品をおおよそ0.01重量%以上含んだ状態で使用するのが好ましい。
本発明のヒアルロン酸産生改善とは、細胞が産生するヒアルロン酸量が増加する作用を示すことをいう。
本発明のヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンは水溶性であることから、そのまま固体での使用以外にも、水溶液に溶解した状態でも使用可能であり、ハンドリングに優れている。化粧料として使用する場合は、化粧水、乳液、クリームなどに容易に添加することができる。医薬用的な利用として、皮膚へ塗布するクリームや貼付剤の原料の一部として添加してもよい。また、他の原材料と一緒にカプセルの中に封じ込めたり、錠剤化してもよい。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これは単に例示の目的で述べるものであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの調製)
原料のプロテオグリカンは、市販の鮭由来プロテオグリカン(角弘プロテオグリカン研究所)を購入し、用いた(以降、「原料PG」と表記する)。原料PG0.10gを脱イオン水50mLへ溶解した溶液へ、0.1M水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え、4℃で3時間撹拌した。次に4℃の低温室内において、溶液全量を透析用セルロースチューブ(エーディア(株))に入れ、チューブの両端をクリップ留めし、脱イオン水を外液にして透析し、水酸化ナトリウム水溶液を脱イオン水へ置換した。外液は1日に3回交換した。3日後、透析用セルロースチューブ内液を回収し、ロータリーエバポレーター(東京理科器械(株))にて濃縮した後、凍結乾燥(東京理科器械(株))し、0.09gの白色綿状固体のヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンを得た。
(水分含量)
実施例1に係るヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの水分含量を、熱天秤装置(Thermo Plus TG8210、(株)リガク)にて、125℃で試料重量が恒量となるまで加熱し、重量減少分を試料に含まれていた水分とした。その結果、ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの水分含量は10.4重量%であった。同様に、比較例の原料PGの水分含量について分析したところ9.7重量%であった。なお、以降の実施例に記述した乾燥重量は、ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカン中に含まれる水分含量(10.4重量%)および原料PGの水分含量(9.7重量%)を除去した重量とした。
(ウロン酸量の測定)
実施例1に係るヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンのウロン酸含量をカルバゾール硫酸法で求めた。ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの0.2mg/mL水溶液0.25mLに、カルバゾール溶液0.05mLと濃硫酸1.5mLを添加して撹拌し、20分間100℃で加熱した。放冷後、分光光度計(U−3410、(株)日立製作所)で535nmの吸光度を測定した。グルクロン酸(シグマアルドリッチ社)を標準物質として作成した検量線より、ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンのウロン酸含量は乾燥重量当たり46.3重量%と算出された。同様に原料PGのウロン酸について分析したところ、乾燥重量当たり46.6重量%であった。
(タンパク質量の測定)
実施例1に係るヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンのタンパク質含量をローリー法で求めた。ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの1.0mg/mL水溶液0.2mLに、アルカリ性銅溶液(2%炭酸ナトリウム(0.1M水酸化ナトリウム水溶液):0.5%硫酸銅(1%酒石酸ナトリウム水溶液)=50:1(v:v))1.0mLを添加して、撹拌し、10分間静置し、水で2倍に希釈したフォーリン&チオカルト−フェノール試薬(MP Biomedicals,LLC)0.1mLを添加して30分静置し、分光光度計(U−3410、(株)日立製作所)で750nmの吸光度を測定した。牛血清アルブミン(生化学工業(株))を標準物質として作成した検量線より、ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンのタンパク質含量は乾燥重量当たり8.4重量%と算出された。同様に原料PGのタンパク質について分析したところ、乾燥重量当たり9.5重量%であった。
(赤外吸収スペクトルの測定)
実施例1で得られたヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの赤外吸収スペクトルをKBrディスク透過法で測定した。赤外吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−420、日本分光(株))を用いて、測定範囲4000〜400cm−1、分解能4cm−1、積算回数65、スキャンスピード2mm/秒の条件で測定した。図1のグラフの横軸は波数(cm−1)を表し、縦軸は吸光度を表す。図1において、山となっている部分が吸収ピークであり、吸収ピークに記載された数字1〜4は、ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの特徴的なピークを示す。ピーク1は波数1417cm−1で吸光度0.17、ピーク2は波数1234cm−1で吸光度0.20、ピーク3は波数588cm−1で吸光度0.18、ピーク4は波数481cm−1で吸光度0.17であった。波数1234cm−1の吸光度に対する1417cm−1の吸光度の比は0.83、481cm−1の吸光度に対する588cm−1の吸光度の比は1.07であった。
比較例として、原料PGの赤外吸収スペクトルをKBrディスク透過法で同様に測定した。図2はその結果であり、横軸は波数(cm−1)を表し、縦軸は吸光度を表す。山となっている部分が吸収ピークであり、吸収ピークに記載された数字1〜4は、プロテオグリカンの特徴的なピークを示す。ピーク1は波数1421cm−1で吸光度0.23、ピーク2は波数1230cm−1で吸光度0.31、ピーク3は波数588cm−1で吸光度0.28、ピーク4は波数486cm−1で吸光度0.22であった。波数1230cm−1の吸光度に対する1421cm−1の吸光度の比は0.74、486cm−1の吸光度に対する588cm−1の吸光度の比は1.25であった。
(プロトン核磁気共鳴スペクトルの測定)
実施例1で得られたヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンについて、重水中におけるプロトン核磁気共鳴(H−NMR)スペクトルを測定した。H−NMRスペクトルの測定は、核磁気共鳴分光装置(JNM−EX270、日本電子(株))を用いた。最初に、10.0mgのヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンを0.5mLの重水(DO、99.8%)に溶解した。溶液を凍結乾燥した後、同じ操作を繰り返した。2回目の凍結乾燥後、0.8mLの重水(DO、99.9%)に溶解し、石英綿を通して直径が5mmの試料管に導入した。内部標準として、少量のアセトン(化学シフト値2.22ppm)を加えた。測定は70℃で行った。図3は、実施例1で得られたヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの重水溶液のH−NMRである。グラフの横軸は化学シフト(ppm)、縦軸は相対強度を表している。実施例1で得られたヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンのH−NMRでは4.73ppmと4.01ppm、1.90ppmにシグナルが観測された。4.73ppmのシグナルの積分値を1とした場合、4.01ppmの積分値は5.15、1.90ppmの積分値は0.11であった。
図4は、比較とした原料PGについて、同じ条件で測定したH−NMRを示した。原料PGは、4.73ppmと4.01ppm、1.95ppmにシグナルが観測された。4.73ppmのピークの積分値を1とした場合、4.01ppmの積分値は4.93であり、1.95ppmの積分値は0.02であった。
(カルシウムイオンと一価カチオンの測定)
実施例1で得られたヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの金属イオン含量を、キャピラリー電気泳動装置(AgiLent7100キャピラリー電気泳動システム、アジレント・テクノロジー(株))を用いて定量した。金属イオンの定量法は、UV吸収を有する緩衝液で満たしたキャピラリーカラムに、試料を注入して電圧をかけることで、試料中の各陽金属イオンを分離しながら移動させ、UV検出部を通過する時のUV吸収の減少分により検出するという間接吸光法を採用した。カラムにフューズドシリカキャピラリー(内径50μm、有効長56cm、アジレント・テクノロジー(株))、緩衝液に陽イオン分析バッファ(PartNo.5064−8203、アジレント・テクノロジー(株)製)を用い、電圧25kVで、陽イオン標準液(5〜100ppm、PartNo.5064−8205、アジレント・テクノロジー(株)製)から作成した検量線より、カルシウムイオンおよび一価のカチオン濃度を求めた。一価のカチオン濃度はヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンに含まれるナトリウムイオン濃度とカリウムイオン濃度の和として算出した。ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの測定の結果、乾燥重量1g当たりのカルシウムイオンは0.39mmol、一価のカチオンは1.69mmolであった。一価のカチオンに対するカルシウムイオンのmol比は0.23であった。比較例として、同様の方法で原料PGを測定した結果、乾燥重量1g当たりのカルシウムイオンは0.76mmol、一価のカチオンは0.60mmolであった。一価のカチオンに対するカルシウムイオンのmol比は1.27であった。
(アルギニンとセリンの測定)
実施例1で得られたヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンについて、アルギニンとセリンの含有率を測定した。最初に、ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカン2.0mgを6NHClに溶解し、24時間110℃で加水分解を行った。次に、ロータリーエバポレーター(東京理科器械(株))にて溶媒を除去した後、粒状の水酸化ナトリウムを入れたデシケーター内で一晩乾燥した。得られた黒色粉末をクエン酸リチウム緩衝液pH2.2(和光純薬工業(株))0.8mLに溶解し、遠心分離機(HimacCT13R、(株)日立製作所製)により10,000rpmで10分遠心分離した。上清をアミコンウルトラ0.5mL3K(分画分子量3,000Da、メルクミリポア社)により限外ろ過し、ろ過液をクエン酸リチウム緩衝液pH2.2で5倍希釈し、測定の試料とした。測定は全自動アミノ酸分析計(JLC―500/V、日本電子(株))を用いた。標準試料として標準アミノ酸混合液ANII型(和光純薬工業(株))、標準アミノ酸混合液B型(和光純薬工業(株))、2.5mMアスパラギン水溶液、2.5mMグルタミン水溶液、ならびに2.5mMトリプトファン水溶液を等量混合し、クエン酸リチウム緩衝液pH2.2で5倍希釈したもの使用した。含有率は標準試料を基に算出し、乾燥重量当たりに換算した。実施例1に係るヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンのアルギニンの含有率は0.2重量%であり、セリンは1.1重量%であった。アルギニンに対するセリンの重量比は5.1であった。同様の測定法で原料PGを測定したところ、アルギニンの含有率は0.3重量%であり、セリンは1.4重量%であった。アルギニンに対するセリンの重量比は5.5であった。
(炭素含量と硫黄含量の測定)
炭素含量と硫黄含量を、燃焼型元素分析装置vario EL cube(エレメンタール社製)を用い、炭素・水素・窒素・硫黄の4元素測定モードで測定した。実施例1に係るヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンの炭素含量は乾燥重量当たり37.9重量%であり、硫黄含量は乾燥重量当たり8.3重量%であった。炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.22であった。同様の測定法で原料PGを測定したところ、炭素含量は乾燥重量当たり42.7重量%であり、硫黄含量は乾燥重量当たり6.4重量%であった。炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.15であった。
(ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンのヒト皮膚線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生促進作用)
実施例1で得られたヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンのヒアルロン酸産生の促進作用を確認するために、ヒト皮膚線維芽細胞におけるヒアルロン酸の産生量を以下の方法で調べた。
細胞は、正常ヒト皮膚線維芽細胞(倉敷紡績(株))を使用した。正常ヒト皮膚線維芽細胞を24ウェルプレートに2×10ceLLs/ウェルの密度で播種し、5%FBS/DMEM培地を用いて、37℃、5%COの条件下72時間前培養を行った。その後、試験物質としてヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンまたは原料PG(添加濃度200μg/mL)を添加した0.25%FBS/DMEM培地に交換して、さらに72時間培養を行い、培養上清を回収した。ヒアルロン酸定量用キット(Hyaluronan Quantikine ELISA Kit,R&D Systems)を使用し、培養上清中のヒアルロン酸量を測定した。また、同時に細胞数をセルカウンティングキット−8 ((株)同仁化学研究所)により測定し、補正を行い、ヒアルロン酸量を算出した。陽性対照はN−アセチルグルコサミンを使用した。また、試験物質を添加していない区分を無添加対照群とした。上記と同様にヒアルロン酸産生量を測定した。各群のサンプル数は3で行い、実験データは平均値±標準誤差で表し、無添加対照群のヒアルロン酸産生量を100%として、テューキー法の検定により各群のヒアルロン酸産生量を比較した。
その結果、ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカン群のヒアルロン酸産生量は158.3±5.6%であった。原料PG群のヒアルロン酸産生量は109.6±3.9%であった。なお、陽性対照群のヒアルロン酸産生量は133.8±2.6%であった。テューキー法の検定により各群のヒアルロン酸産生量を比較したところ、ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカン群は、無添加対照群または原料PG群に対して、いずれも有意差(p<0.01)があった。ヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンは、有意なヒアルロン酸産生の促進作用が認められた。また、原料PG及び実施例1に係るヒアルロン酸産生能が改善したプロテオグリカンを添加しても、細胞死や細胞の形態などには異常が観察されず、細胞毒性などはないものと判断された。

Claims (1)

  1. 以下の1)〜5)を全て満たすプロテオグリカン。
    1)KBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルにおいて、波数1417±10cm−1、1234±10cm−1、588±10cm−1、481±10cm−1すべてに吸収ピークを有し、かつ1234±10cm−1の吸光度に対する1417±10cm−1の吸光度の比が0.8以上、481±10cm−1の吸光度に対する588±10cm−1の吸光度の比が1.1以下である。
    2)70℃で測定した重水中におけるプロトン核磁気共鳴スペクトルにおいて、4.73±0.05ppm、4.01±0.05ppm、1.90±0.05ppmすべてにシグナルを有し、かつ4.73±0.05ppmの積分値を1とした場合に、4.01±0.05ppmの積分値は5以上、1.90±0.05ppmの積分値は0.1以上である。
    3)乾燥重量1g当たり、カルシウムイオン0.4mmol以下、かつ一価のカチオンを1.6mmol以上含んでいる。
    4)アルギニンに対するセリンの重量比が5.2以下である。
    5)炭素含量に対する硫黄含量の重量比が0.2以上である。
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