JP2018135983A - バルブ装置及びシステム - Google Patents

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忠夫 伊佐見
Tadao Isami
忠夫 伊佐見
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Abstract

【課題】設備の大型化、高価格化を抑制できるバルブ装置を提供する。【解決手段】基板9に設けられて流路Cを形成するとともに、流路に沿った可撓部を有する流路壁を対象物とする。可撓部と対向可能な対向面を有し、対向面を所定の軸線J1,J2,J3周りに回転可能な回転部120A,120B,120Cと、回転部を前記軸線周りに回転駆動する駆動部と、駆動部の駆動を制御する制御部と、を備える。対向面は、所定位置で可撓部と対向可能な、軸線を中心とした円周上に配置された対向部を有する。対向部は、所定位置で可撓部と対向したときに流路を第1状態に設定する第1部分と、所定位置で可撓部と対向したときに流路を第1状態とは異なる第2状態に設定する第2部分と、を含む状態設定部を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、バルブ装置及びシステムに関するものである。
近年、体外診断分野における試験の高速化、高効率化、および集積化、又は、検査機器の超小型化を目指したμ−TAS(Micro-Total Analysis Systems)の開発などが注目を浴びており、世界的に活発な研究が進められている。
μ−TASは、少量の試料で測定、分析が可能なこと、持ち運びが可能となること、低コストで使い捨て可能なこと等、従来の検査機器に比べて優れている。
更に、高価な試薬を使用する場合や少量多検体を検査する場合において、有用性が高い方法として注目されている。
μ−TASの構成要素として、ループ状流路と、該流路上に配置されるポンプとを備えたデバイスが報告されている(非特許文献1)。このデバイスでは、該ループ状の流路へと複数の溶液を注入し、ポンプを作動させることで、複数の溶液をループ状流路内で混合する。
Jong Wook Hong, Vincent Studer, Giao Hang, W French Anderson and Stephen R Quake,Nature Biotechnology 22, 435 - 439 (2004)
本発明の第1の態様に従えば、基板に設けられて流路を形成するとともに、前記流路に沿った可撓部を有する流路壁を対象物とし、前記可撓部と対向可能な対向面を有し、前記対向面を所定の軸線周りに回転可能な回転部と、前記回転部を前記軸線周りに回転駆動する駆動部と、前記駆動部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記対向面は、所定位置で前記可撓部と対向可能な、前記軸線を中心とした円周上に配置された対向部を有し、前記対向部は、前記所定位置で前記可撓部と対向したときに前記流路を第1状態に設定する第1部分と、前記所定位置で前記可撓部と対向したときに前記流路を前記第1状態とは異なる第2状態に設定する第2部分と、を含む状態設定部を有するバルブ装置が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、試料物質を含む溶液が流動する流路を有する流体デバイスと、前記流路を開閉する第1の実施態様のバルブ装置と、を備えるシステムが提供される。
本実施形態に係るシステムVSを模式的に示した平面図。 本実施形態に係るシステムVSを模式的に示した断面図。 本実施形態に係る流体デバイス100における流路C、溶液貯溜部LTおよび集合分岐部LDを拡大した模式的な平面図。 本実施形態に係る流路Cの長さ方向と直交する方向の断面図。 本実施形態に係る回転部120Aの平面図。 本実施形態に係る回転部120Bの平面図。 本実施形態に係る回転部120Cの平面図。 本実施形態に係る回転部120Aにおける対向部123Aが流路Cを閉状態に設定したときの断面図。 本実施形態に係る回転部120Aにおける対向部123Aが流路Cを開状態に設定したときの断面図。 本実施形態に係る流体デバイス100に対する処理の工程図。 本実施形態に係る流体デバイス100に対する処理工程を模式的に示した平面図。 本実施形態に係る流体デバイス100に対する処理工程を模式的に示した平面図。 本実施形態に係る流体デバイス100に対する処理工程を模式的に示した平面図。 本実施形態に係る流体デバイス100に対する処理工程を模式的に示した平面図。 本実施形態に係る流体デバイス100に対する処理工程を模式的に示した平面図。 本実施形態に係る流体デバイス100に対する処理工程を模式的に示した平面図。 本実施形態に係る流体デバイス100に対する処理工程を模式的に示した平面図。 本実施形態に係る流体デバイス100に対する処理工程を模式的に示した平面図。 本実施形態に係る流体デバイス100に対する処理工程を模式的に示した平面図。 流路壁の変形例を示す断面図。
以下、実施形態に係るバルブ装置およびシステムの実施の形態を、図1ないし図20を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態のシステムVSを模式的に示した平面図である。図2は、本実施形態のシステムVSを模式的に示した断面図である。
システムVSは、流路Cを有する流体デバイス100を対象物として、流路Cを開状態(第1状態)または閉状態(第2状態)に設定するバルブ装置110を備える。
流体デバイス100は、一例として、検体試料に含まれる試料物質を精製および検出等するデバイスである。試料物質は、例えば、核酸、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質、細胞外小胞体などの生体分子である。流体デバイス100は、平面視略矩形の直方体形状に形成されたカセット(ケース)9と、カセット9の内部空間に配置された流路Cと、流路Cに接続された溶液貯溜部LTと、流路Cに接続された集合分岐部LDとを備えている。
なお、以下の説明では、流体デバイス100(カセット9)の厚さ方向(図2における上下方向)をZ方向とし、Z方向と直交するカセット9の平面視で長手方向(図1における左右方向)をX方向とし、Z方向およびX方向と直交する方向をY方向として説明する。
カセット9は、例えば、樹脂材(ポリプロピレン、ポリカーボネイト等の硬質材)で形成されている。カセット9は、−Z側に配置された第1基板(基板)9Aと、+Z側に配置され第1基板9Aとの間で内部空間を形成する第2基板9Bとを備えている。流路Cは、カセット9の内部空間に収容され第1基板(基板)9Aの表面に配置されている。
図3は、流体デバイス100における流路C、溶液貯溜部LTおよび集合分岐部LDを拡大した模式的な平面図である。
溶液貯溜部LTは、試料物質を精製および検出する際に用いる溶液を貯留する。溶液としては、例えば、血液、血清又は血漿であり、試料物質としての核酸を含む検体液や、検体液に含まれる血液、血清又は血漿から核酸を抽出するための細胞溶解液等の各種試薬、流路の洗浄液等を例示できる。
溶液貯溜部LTは、Z方向に延びる軸線J1を中心とし所定の間隔をあけて設定されている円周R11〜R14のうち、同一の円周R14上に配置された溶液貯溜部LT21、LT22と、軸線J1よりも−X側に配置されZ方向に延びる軸線J2を中心とし所定の間隔をあけて設定されている円周R21〜R23のうち、同一の円周R22上に配置された溶液貯溜部LT23、LT24、LT25とを含む。
集合分岐部LDは、流路Cを流動する溶液が集合または分岐する溶液溜まりであり、複数の流路が接続している。集合分岐部LDは、軸線J1を含む領域に配置された集合分岐部LD1、円周R14よりも径方向の外側に周方向に間隔をあけて配置された集合分岐部LD2、LD3と、軸線J2を含む領域に配置された集合分岐部LD11、円周R23よりも径方向の外側に周方向に間隔をあけて配置された集合分岐部LD12、LD13、LD14と、円周R14の−Y側にX方向に沿った直線上に間隔をあけて配置された集合分岐部LD21、LD22、LD23とを含む。
図4は、流路C、溶液貯溜部LTおよび集合分岐部LDの長さ方向と直交する方向の断面図である。
図4に示すように、流路C、溶液貯溜部LTおよび集合分岐部LDは、流路壁11によって形成されている。流路壁11は、可撓性材料で長さ方向に帯状に延びる一対のシート部(可撓部)11A、11Bを有している。シート部11A、11Bは、互いに対向して配置されており、幅方向の両側縁が接合することで筒状に形成されている。流路壁11は、シート部11Aにおいて接着剤等によって第1基板9Aに固定されている。
流路Cは、図3に示すように、流路C1〜C8、C11〜C17、C21〜C25を含む。流路C1は、集合分岐部LD1と集合分岐部LD2とを接続し、円周R11〜13と交差して配置されている。流路C2は、集合分岐部LD2と集合分岐部LD3とを接続し、円周R13、14と交差して配置されている。流路C3は、一端が集合分岐部LD2に接続し、円周R12〜14を経由して他端が円周R14よりも外側に配置されている。流路C4は、集合分岐部LD1と集合分岐部LD22とを接続し、円周R11〜14と交差して配置されている。流路C5は、集合分岐部LD1と集合分岐部LD14とを接続し、円周R11〜14と交差して配置されている。流路C6は、集合分岐部LD1と集合分岐部LD3とを接続し、円周R11〜14と交差して配置されている。流路C7は、集合分岐部LD3と溶液貯溜部LT22とを接続し、円周R13〜14と交差して配置されている。流路C8は、集合分岐部LD3と集合分岐部LD22とを接続し、円周R23と交差して配置されている。
流路C11は、集合分岐部LD11と集合分岐部LD13とを接続し、円周R21〜23と交差して配置されている。流路C12は、集合分岐部LD11と溶液貯溜部LT24とを接続し、円周R21と交差して配置されている。流路C13は、集合分岐部LD11と集合分岐部LD12とを接続し、円周R21〜23と交差して配置されている。流路C14は、集合分岐部LD12と溶液貯溜部LT25とを接続し、円周R23と交差して配置されている。流路C15は、集合分岐部LD12と集合分岐部LD13とを接続し、円周R23と交差して配置されている。流路C16は、集合分岐部LD14と溶液貯溜部LT23とを接続し、円周R23と交差して配置されている。流路C17は、集合分岐部LD13と集合分岐部LD14とを接続している。
流路C21は、集合分岐部LD21と溶液貯溜部LT21とを接続し、円周R13〜14と交差して配置されている。流路C22は、集合分岐部LD21と集合分岐部LD22とを接続している。流路C23は、集合分岐部LD22と集合分岐部LD23とを接続している。流路C24は、集合分岐部LD21と集合分岐部LD23とを接続している。流路C25は、一端が集合分岐部LD23に接続され、他端が流路C23と逆側に配置されている。
バルブ装置110は、回転部120A、120B、120Cと、回転部120A、120B、120Cを回転駆動する駆動部130と、駆動部130の駆動を制御する制御部CONTとを備えている。
回転部120Aは、カセット部9の内部空間に軸線J1周りに回転可能に収容されている。回転部120Aの+Z側には、連結部121Aが設けられている。連結部121Aは軸線J1を中心とする円柱状に形成されており、先端がカセット9の第2基板9Bを貫通して外部に露出して設けられている。連結部121Aの先端には、断面正六角形の窪み122Aが設けられている。
回転部120Bは、カセット部9の内部空間に軸線J2周りに回転可能に収容されている。回転部120Bの+Z側には、連結部121Bが設けられている。連結部121Bは軸線J2を中心とする円柱状に形成されており、先端がカセット9の第2基板9Bを貫通して外部に露出して設けられている。連結部121Bの先端には、断面正六角形の窪み122Bが設けられている。
回転部120Cは、カセット部9の内部空間に軸線J3周りに回転可能に収容されている。回転部120Cの+Z側には、連結部121Cが設けられている。連結部121Cは軸線J3を中心とする円柱状に形成されており、先端がカセット9の第2基板9Bを貫通して外部に露出して設けられている。連結部121Cの先端には、断面正六角形の窪み122Cが設けられている。
図5は、回転部120Aの平面図である。回転部120Aは、−Z側の面に流路C、溶液貯溜部LTおよび集合分岐部LDと対向可能な対向部123Aを有している。なお、流路C、溶液貯溜部LTおよび集合分岐部LDは、いずれも溶液が流動可能であるため、回転部との相互作用に関して以下の説明では、流路Cと総称して記載する。
対向部123Aは、軸線J1を中心とした上記の円周R11〜R14のそれぞれに沿って配置された位置設定部RV11〜RV14を有している。位置設定部RV11〜RV14は、流路壁11(シート部11B)と対向したときに流路Cを閉状態(第1状態)または開状態(第2状態)に設定する。位置設定部RV11〜RV14の詳細については後述する。
図6は、回転部120Bの平面図である。回転部120Bは、−Z側の面に流路Cと対向可能な対向部123Bを有している。対向部123Bは、軸線J2を中心とした上記の円周R21〜R23のそれぞれに沿って配置された位置設定部RV21〜RV23を有している。位置設定部RV21〜RV23は、流路壁11(シート部11B)と対向したときに流路Cを閉状態または開状態に設定する。位置設定部RV21〜RV23の詳細については後述する。
図7は、回転部120Cの平面図である。回転部120Cは、−Z側の面に流路Cと対向可能な対向部123Cを有している。対向部123Cは、流路壁11(シート部11B)と対向したときに流路Cを閉状態または開状態に設定する位置設定部RV31〜RV34を有している。位置設定部RV31〜RV34の詳細については後述する。
図8は、回転部120Aにおける対向部123Aが流路Cを閉状態に設定したときの断面図である。図9は、回転部120Aにおける対向部123Aが流路Cを開状態に設定したときの断面図である。なお、位置設定部RV21〜RV23による流路Cに対する開閉は同様の構成であるため、図8および図9においては、位置設定部RVとして説明する。また、回転部120Bにおける対向部123Bの構成、および回転部120Cにおける対向部123Cの構成は、回転部120Aにおける対向部123Aの構成と同様であるため、図8および図9においては、括弧内に回転部120Bおよび回転部120Cに関する符号を記載してその説明を省略する。
図8に示すように、回転部120Aは、流路Cと対向する面から突出して設けられ、流路Cと対向したときに流路壁11(シート部11B)を弾性変形させて流路Cを閉状態に設定する凸部(第1部分)125を有している。また、図9に示すように、回転部120Aは、流路Cと対向する面と面一であり、流路Cと対向したときに流路壁11(シート部11B)と非接触で流路Cを開状態に設定する非凸部(第2部分)126を有している。
凸部125は、図1および図5においては、円周R11〜R14上で破線で囲まれた領域として図示されている。図1および図5においては、非凸部126は、円周R11〜R14上で凸部125が配置されていない領域として示されている。凸部125および非凸部126の図示は、図6に示す回転部120Bについても同様である。
図7に示した回転部120Cにおける対向部123Cの凸部125は、軸線J3周りに90°間隔で配置されている。凸部125は、回転方向に進むに従って、軸線J3からの距離が漸次変化する形状である。凸部125は、一例として、回転部120Cが時計回り方向に回転したときに、回転方向の特定位置との交差部の位置は、軸線J3からの距離が漸次小さくなる形状である。
上記の凸部125および非凸部126は、流体デバイス100に対する複数の処理の順序と、処理毎の流路Cの開閉状態とに基づく回転方向の長さで所定の円周上に配置されている。流路Cにおいては、対向部123A(123B、123C)と交差する位置が凸部125および非凸部126によって閉状態または開状態が設定されるバルブとして機能する。
本実施形態のバルブ装置110においては、図3に示されるように、流路Cと対向部123A、123B、123Cとが交差する特定位置が、バルブV1〜V18、V21〜V25として設定されている。図3においては、理解を容易にするために、バルブV1〜V18、V21〜V25を円形で示している。具体的には、対向部123Aと対向する領域については、円周R11上にバルブV1〜V4が設定され、円周R12上にバルブV5、V16が設定され、円周R13上にバルブV6〜V8が設定され、円周R14上にバルブV21〜V22が設定されている。
また、対向部123Bと対向する領域については、円周R21上にバルブV9〜V11が設定され、円周R22上にバルブV23〜V25が設定され、円周R23上にバルブV12〜V15、V17が設定されている。対向部123Cと対向する領域については、流路C24と交差する位置にバルブV18が設定されている。
バルブV1は、円周R11(位置設定部RV11)と流路C1とが交差する位置に設定されている。バルブV2は、円周R11(位置設定部RV11)と流路C4とが交差する位置に設定されている。バルブV3は、円周R11(位置設定部RV11)と流路C5とが交差する位置に設定されている。バルブV4は、円周R11(位置設定部RV11)と流路C6とが交差する位置に設定されている。バルブV5は、円周R12(位置設定部RV12)と流路C3とが交差する位置に設定されている。バルブV16は、円周R12(位置設定部RV12)と流路C1とが交差する位置に設定されている。
バルブV6は、円周R13(位置設定部RV13)と流路C2とが交差する位置に設定されている。バルブV7は、円周R13(位置設定部RV13)と流路C21とが交差する位置に設定されている。バルブV8は、円周R13(位置設定部RV13)と流路C7とが交差する位置に設定されている。
バルブV9は、円周R21(位置設定部RV21)と流路C11とが交差する位置に設定されている。バルブV10は、円周R21(位置設定部RV21)と流路C12とが交差する位置に設定されている。バルブV11は、円周R21(位置設定部RV21)と流路C13とが交差する位置に設定されている。バルブV12は、円周R23(位置設定部RV23)と流路C16とが交差する位置に設定されている。バルブV13は、円周R23(位置設定部RV23)と流路C15とが交差する位置に設定されている。バルブV14は、円周R23(位置設定部RV23)と流路C14とが交差する位置に設定されている。バルブV15は、円周R23(位置設定部RV23)と流路C8とが交差する位置に設定されている。バルブV17は、円周R23(位置設定部RV23)と流路C11とが交差する位置に設定されている。
バルブV23は、円周R22(位置設定部RV22)と溶液貯溜部LT23とが交差する位置に設定されている。バルブV24は、円周R22(位置設定部RV22)と溶液貯溜部LT24とが交差する位置に設定されている。バルブV25は、円周R22(位置設定部RV22)と溶液貯溜部LT25とが交差する位置に設定されている。
図2に戻り、駆動部130は、回転部120Aに対応する駆動軸131A、回転部120Bに対応する駆動軸131B、回転部120Cに対応する駆動軸131C(131Cは不図示)を有している。駆動軸131Aは、軸線J1方向に延び、連結部121Aの窪み122Aと相対回転不能に嵌合する断面正六角形に形成されている。駆動軸131Bは、軸線J2方向に延び、連結部121Bの窪み122Bと相対回転不能に嵌合する断面正六角形に形成されている。駆動軸131Cは、軸線J3方向に延び、連結部121Cの窪み122Cと相対回転不能に嵌合する断面正六角形に形成されている。駆動部130は、駆動軸131A、131B、131Cをそれぞれ軸線J1、J2、J3周りに互いに独立して回転駆動することにより、駆動軸131A、131B、131Cがそれぞれ窪み122A、122B、122Cに嵌合した連結部121A、121B、121Cを介して回転部120A、120B、120Cを軸線J1、J2、J3周りに互いに独立して回転駆動する。
駆動部130の駆動は、制御部CONTにより制御される。制御部CONTは、駆動部130を介して回転部120A、120B、120Cの回転動作(回転のON/OFF、回転角度等)を制御する。制御部CONTは、流体デバイス100に対する処理工程に応じ上記バルブV1〜V18、V21〜V25の開状態と閉状態の切り替えの順序とタイミングとに基づいて駆動部130の駆動を制御して、上記の凸部125および非凸部126が配置された対向部123A〜123Cの所定位置を、バルブV1〜V18、V21〜V25と対向させる。
次に、本実施形態のシステムVSおよびバルブ装置110を用いた流体デバイス100の流路Cへの溶液の流動制御について、図10乃至図19を参照して説明する。
なお、以下の説明においては、回転部120A〜120Cの回転は、制御部CONTの制御により駆動部130の駆動軸131A、131B、131Cが所定方向に所定角度回転することにより行われるものとして、その説明は適宜省略する。以下の説明において、回転部120A〜120Cの回転方向は、+Z側から視たときに反時計回り方向を正方向とし、時計回り方向を負方向とする。また、回転部120A〜120Cの回転方向の位置制御(角度制御)は、例えば、回転部120A〜120Cの外周部に形成したエンコーダスケールを当該エンコーダスケールと対向配置したヘッド部で検出し、制御部CONTがヘッド部で検出した結果に応じて駆動部130の駆動を制御することにより行われる。
上記のシステムVSにおいては、流路Cにおける溶液の搬送(流動)はバルブV18の連続する開閉により主体的に行われる。具体的には、回転部120Cを負方向に連続的に回転させることにより、位置設定部RV31〜RV34の一つの凸部125がバルブV18において流路C24の流路壁11と対向して当接する位置(閉状態の位置)が+X側から−X側に流路C24の延びる方向に沿って連続的に移動する。
また、バルブV18において流路C24における流路壁11が非凸部126と対向して一旦開状態となった後に、引き続いて位置設定部RV31〜RV34の一つと隣り合う他の位置設定部RV31〜RV34の凸部125が流路C24の流路壁11と対向して当接する位置(閉状態の位置)が+X側から−X側に流路C24の延びる方向に沿って連続的に移動する。このように、バルブV18において、流路C24の閉状態の位置が+X側から−X側に連続的に移動することと、流路C24を一旦開状態とすることとが順次繰り返されることにより、ポンプとして流路C24において溶液を+X側から−X側に搬送することができる。
バルブ装置110の凸部125が流路CにおけるバルブV1〜V17と対向して流路壁11を弾性変形させた場合には流路Cが閉状態となるが、凸部125が溶液貯溜部LT21〜LT25におけるバルブV21〜V25と対向して流路壁11を弾性変形させた場合には、溶液貯溜部LT21〜LT25に貯溜されている溶液が当該溶液貯溜部LT21〜LT25から押し出されることになる。一方、非凸部126が流路CにおけるバルブV1〜V17と対向した場合には流路Cが開状態となり、非凸部126が溶液貯溜部LT21〜LT25におけるバルブV21〜V25と対向した場合には、溶液貯溜部LT21〜LT25に貯溜されている溶液は押し出されることなく、溶液貯溜部LT21〜LT25に保持される。
図10は、流体デバイス100に対する複数の処理工程0〜工程8と、各工程0〜8毎のバルブV1〜V17、V21〜V25における流路Cの開状態(「開」で示す)または閉状態(「閉」で示す)等を示す工程図である。本実施形態における工程0〜8においては、回転部120A、120Bは、回転停止または負方向に15°のピッチで回転する。
図11乃至図19は、工程0〜工程8における流路C、バルブV1〜V17、V21〜V25および位置設定部RV11〜RV14、RV21〜RV23の相対位置関係を模式的に示した平面図である。図11乃至図19においては、位置設定部RV11〜RV14、RV21〜RV23が回転方向、および回転方向における凸部125(閉状態)の位置を示す矢印として示されている。なお、図11乃至図19においては、閉状態のバルブV1〜V17、V21〜V25については×印を付記する。また、各工程0〜8においては、開状態のバルブV1〜V17と、閉状態で溶液が押し出される閉状態のバルブV21〜V25とを主として説明する。
工程0は、初期状態(回転部120A、120Bの回転角度は0°)であり、図10および図11に示すように、バルブV21〜V25においては開状態に設定され、溶液貯溜部LT21〜LT25に貯溜されている溶液は保持される。また、工程0では、バルブV2〜V17が閉状態に設定されている。バルブV1は開状態に設定されているが、バルブV16が閉状態に設定されているため流路C1は閉状態となる。そのため、流路C1〜C8、C11〜C17、C21〜C25の全てで溶液は移動しない。
工程1では、回転部120Bは回転せずに停止状態を保持し、回転部120Aは、工程0の状態から負方向に15°回転する。これにより、バルブV21〜V25においては、バルブV21、V23〜V25が開状態に設定され、バルブV22が閉状態に設定されることにより、溶液貯溜部LT21、LT23〜LT25に貯溜されている溶液は保持され、溶液貯溜部LT22に貯溜されている溶液は押し出される。また、バルブV1〜V17においては、バルブV5、V6、V8が開状態に設定され、他のバルブは閉状態に設定される。従って、図12にハッチングして示されるように、流路C7、集合分岐部LD3、流路C2、集合分岐部LD2、流路C3が連通流路を形成することで、溶液貯溜部LT22に貯溜されている溶液は、当該連通流路を流動可能となる。
工程2では、回転部120Bは回転せずに停止状態を保持し、回転部120Aは、工程1の状態から負方向に15°(初期状態から負方向に30°の位置に)回転する。これにより、バルブV21〜V25においては、開状態に設定されることにより、溶液貯溜部LT21〜LT25に貯溜されている溶液は保持される。また、バルブV1〜V17においては、バルブV5が開状態に設定され、バルブV6、V8を含む他のバルブは閉状態に設定される。従って、図13にハッチングして示されるように、バルブV8から集合分岐部LD3までの流路C7、集合分岐部LD3、バルブV6までの流路C2が連通流路を形成するとともに、バルブV6から集合分岐部LD2までの流路C2、集合分岐部LD2、流路C3が連通流路を形成する。
工程3では、回転部120Bは回転せずに停止状態を保持し、回転部120Aは、工程2の状態から負方向に15°(初期状態から負方向に45°の位置に)回転する。これにより、バルブV21〜V25においては、開状態に設定されることにより、溶液貯溜部LT21〜LT25に貯溜されている溶液は保持される。また、バルブV1〜V17においては、バルブV1、V2、V5、V16が開状態に設定され、他のバルブは閉状態に設定される。従って、図14にハッチングして示されるように、バルブV6から集合分岐部LD2までの流路C2、集合分岐部LD2、流路C3に加えて、流路C1、集合分岐部LD1、流路C4、集合分岐部LD21〜LD23、流路C21〜C25が連通流路を形成する。
工程4では、回転部120Bは回転せずに停止状態を保持し、回転部120Aは、工程3の状態から負方向に15°(初期状態から負方向に60°の位置に)回転する。これにより、バルブV21〜V25においては、開状態に設定されることにより、溶液貯溜部LT21〜LT25に貯溜されている溶液は保持される。また、バルブV1〜V17においては、バルブV2、V4が開状態に設定され、バルブV1、V5、V16を含む他のバルブは閉状態に設定される。従って、図15にハッチングして示されるように、バルブV8から集合分岐部LD3までの流路C7、集合分岐部LD3、バルブV6までの流路C2に加えて、流路C6、集合分岐部LD1、流路C4、集合分岐部LD21〜LD23、流路C21〜C25が連通流路を形成する。
工程5では、回転部120Aは回転せずに停止状態を保持するため、回転部120Aにて設定されるバルブV1〜V8、V16に関する連通流路は、工程4と同一状態である。回転部120Bは、工程4の状態(初期状態)から負方向に15°の位置に回転する。これにより、バルブV24〜V25が閉状態に設定されることにより、溶液貯溜部LT24〜LT25に貯溜されている溶液が押し出される。また、バルブV9〜V15、V17においては、バルブV10、V11、V14が開状態に設定され、他のバルブは閉状態に設定される。従って、図16にハッチングして示されるように、バルブV24から集合分岐部LD11までの流路C12、流路C13、集合分岐部LD12、流路C14が連通流路を形成する。溶液貯溜部LT24から押し出された溶液、および溶液貯溜部LT25から押し出された溶液は当該連通流路を流動可能となる。
工程6では、回転部120Aは、工程5の状態から負方向に15°(初期状態から負方向に75°の位置に)回転し、回転部120Bは、工程5の状態から負方向に15°(初期状態から負方向に30°の位置に)回転する。これにより、バルブV1〜V8、V16においては、バルブV2、V4が閉状態に設定される。また、バルブV9〜V15、V17においては、バルブV9、V10、V12、V17が開状態に設定され、バルブV11、V14を含む他のバルブは閉状態に設定される。そして、バルブV23〜V25においては、いずれも閉状態に設定される。バルブV25については、閉状態に設定されるが流路C14におけるバルブV14が閉状態に設定される。バルブV23が閉状態に設定されることにより、溶液貯溜部LT23に貯溜されている溶液が押し出される。
従って、図17にハッチングして示されるように、バルブV24から集合分岐部LD11までの流路C12、流路C13、集合分岐部LD12、流路C14によって形成されていた連通流路は、バルブV11、V14によって分離される。また、流路C16、集合分岐部LD14、流路C17、集合分岐部LD13、流路C11、集合分岐部LD11、流路C12が連通流路を形成する。溶液貯溜部LT23から押し出された溶液は、当該連通流路を流動可能となる。
工程7では、回転部120Aは、工程6の状態から負方向に15°(初期状態から負方向に90°の位置に)回転し、回転部120Bは、工程6の状態から負方向に15°(初期状態から負方向に45°の位置に)回転する。これにより、バルブV1〜V8、V16においては、バルブV2、V3が開状態に設定される。また、バルブV9〜V15、V17においては、バルブV9、V12、V13、V15が開状態に設定され、バルブV9、V10、V17を含む他のバルブは閉状態に設定される。そして、バルブV23においては閉状態が継続することで、溶液貯溜部LT23に貯溜されている溶液が押し出される。従って、図18にハッチングして示されるように、流路C16、集合分岐部LD14、流路C17、集合分岐部LD13、流路C15、集合分岐部LD12、流路C8、集合分岐部LD3が形成する連通流路の集合分岐部LD14に対して、流路C5、集合分岐部LD1、流路C4、集合分岐部LD21〜LD23、流路C21〜C25が連通する。溶液貯溜部LT23から押し出された溶液は、当該連通流路を流動可能となる。なお、工程7では、バルブV9は開状態に設定されるが、バルブV17が閉状態に設定されているため、流路C11は連通流路を形成しない。
工程8では、回転部120Aは、工程7の状態から負方向に15°(初期状態から負方向に105°の位置に)回転し、回転部120Bは、工程7の状態から負方向に15°(初期状態から負方向に60°の位置に)回転する。これにより、バルブV1〜V8、V16においては、バルブV2、V5、V6、V7が開状態に設定され、バルブV3を含む他のバルブは閉状態に設定される。そして、バルブV21を閉状態に設定することにより、溶液貯溜部LT21に貯溜されている溶液が押し出される。また、バルブV9〜V15、V17においては、バルブV13、V15が開状態に設定され、バルブV9、V12を含む他のバルブは閉状態に設定される。従って、図19にハッチングして示されるように、集合分岐部LD14、流路C17、集合分岐部LD13、流路C15、集合分岐部LD12、流路C8、集合分岐部LD3、流路C2、集合分岐部LD2、流路C3が形成する連通流路と、溶液貯溜部LT21に接続する流路C21〜C25、集合分岐部LD21〜LD23、流路C4、集合分岐部LD1が形成する連通流路とが形成される。溶液貯溜部LT21から押し出された溶液は、流路C21〜C25、集合分岐部LD21〜LD23、流路C4、集合分岐部LD1が形成する連通流路を流動可能となる。
このように、本実施形態のバルブ装置110およびシステムVSにおいては、可撓性材料の流路壁11で形成された流路C、集合分岐部LD、溶液貯溜部LTを有する流体デバイス100に対して、回転部120A、120B、120Cがそれぞれ軸線J1、J2、J3周りに回転することにより、回転部120A、120B、120Cに設けられた位置設定部が流路壁11を弾性変形させて開状態または閉状態に一括的に設定することが可能である。そのため、本実施形態のバルブ装置110およびシステムVSでは、バルブ毎に電磁弁等のアクチュエータを設けた場合と比較して、設備の大型化、高価格化を大幅に抑制することが可能である。
また、本実施形態のバルブ装置110およびシステムVSでは、回転部120A、120B、120Cがカセット9の内部に収容されているため、回転部120A、120B、120Cをカセット9の外部に設けた場合のように、位置設定部を流路C等と接触させるために流路Cを露出させる必要がなくなり、衛生的に優れた検査を実施することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態で説明した回転部の数は一例であり、回転部が一つ設けられる構成や、4つ以上設けられる構成であってもよい。
また、上記実施形態では、回転部120A、120B、120Cをカセット9の内部に収容する構成を例示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、回転部120A、120B、120Cをカセット9の内部に設けない場合には、第1基板9Aを第2基板9Bに対して分離可能としておき、流体デバイス100に対する検査等を実施する際には、第1基板9Aを第2基板9Bに対して分離して流路C等を露出させた後に回転部120A、120B、120Cの位置設定部と対向して配置すればよい。
また、上記実施形態では、可撓性材料で形成された一対のシート部11A、11Bを幅方向の両側縁が接合することで流路壁11を筒状に形成する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、図20に示すように、第1基板9Aの表面に、可撓性材料で形成された帯状のシート部11Cの幅方向の側縁を固定することで、第1基板9Aの表面とシート部11Cとにより流路壁11を形成する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、本実施形態のバルブ装置110を流体デバイス100に設けられたバルブVの駆動に適用する構成を例示したが、対象物としては流体デバイス100に限定されず、複数のバルブを有し、当該バルブを独立して駆動する対象物に広く適用可能である。
9…カセット(ケース)、 9A…第1基板(基板)、 11…流路壁、 11A、11B…シート部(可撓部)、 100…流体デバイス、 110…バルブ装置、 120A〜120C…回転部、 121A〜121C…連結部、 123A〜123C…対向部、 125…凸部(第1部分)、 126…非凸部(第2部分)、 C、C1〜C8、C11〜C17、C21〜C25…流路、 J1、J2、J3…軸線、 RV、RV11〜RV14、RV21〜RV23…位置設定部、 V、V1〜V18、V21〜V25…バルブ、 VS…システム

Claims (13)

  1. 基板に設けられて流路を形成するとともに、前記流路に沿った可撓部を有する流路壁を対象物とし、
    前記可撓部と対向可能な対向面を有し、前記対向面を所定の軸線周りに回転可能な回転部と、
    前記回転部を前記軸線周りに回転駆動する駆動部と、
    前記駆動部の駆動を制御する制御部と、
    を備え、
    前記対向面は、所定位置で前記可撓部と対向可能な、前記軸線を中心とした円周上に配置された対向部を有し、
    前記対向部は、前記所定位置で前記可撓部と対向したときに前記流路を第1状態に設定する第1部分と、前記所定位置で前記可撓部と対向したときに前記流路を前記第1状態とは異なる第2状態に設定する第2部分と、を含む状態設定部を有するバルブ装置。
  2. 前記第1部分は、前記可撓部に当接して前記流路を閉塞し、
    前記第2部分は、前記可撓部と離間して前記流路を開放する
    請求項1記載のバルブ装置。
  3. 前記第1部分および前記第2部分は、前記対象物に対する複数の処理の順序と、前記処理毎の前記対象物の状態とに基づく長さで前記円周上に配置されている
    請求項2に記載のバルブ装置。
  4. 前記円周上に前記所定位置が複数配置され、
    前記状態設定部は、前記複数の所定位置のそれぞれに対応して複数配置されている
    請求項3に記載のバルブ装置。
  5. 前記所定位置は、前記軸線からの距離が互いに異なる位置に複数配置され、
    前記状態設定部は、前記複数の所定位置のそれぞれに対応して複数配置されている
    請求項2から4のいずれか一項に記載のバルブ装置。
  6. 前記第1部分は、前記回転部の回転に伴い前記可撓部に対する当接位置が前記流路が延びる方向に連続的に移動する
    請求項2に記載のバルブ装置。
  7. 前記第1部分は、前記回転部の回転に伴い前記軸線からの距離が漸次変化するように連続的な線状に形成されている
    請求項6に記載のバルブ装置。
  8. 前記第1部分は、前記第2部分を挟んで前記回転方向に複数配置されている
    請求項6または請求項7に記載のバルブ装置。
  9. 前記流路壁は、可撓性材料により筒状に形成されている
    請求項1から8のいずれか一項に記載のバルブ装置。
  10. 前記流路壁は、前記基板と、前記基板の表面に幅方向の側縁が固定された帯状の可撓性材料とにより形成されている
    請求項1から8のいずれか一項に記載のバルブ装置。
  11. 試料物質を含む溶液が流動する流路を有する流体デバイスと、
    前記溶液の流動に関する状態を設定する請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のバルブ装置と、
    を備えるシステム。
  12. 前記流体デバイスは、前記流路壁を収容するケースを備え、
    前記回転部は、前記ケース内に収容されている
    請求項11記載のシステム。
  13. 前記回転部と前記駆動部との連結部は、前記ケースの外側に露出して設けられている
    請求項12記載のシステム。
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