JP2018134877A - 帯電防止表面保護フィルム用剥離フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
また、液晶ディスプレイパネルの消費電力を低減させるため、液晶材料の駆動電圧が低くなってきており、これに伴って、ドライバーICの破壊電圧も低くなっている。最近では、剥離帯電圧を+0.7kV〜−0.7kVの範囲内にすることが求められてきている。
また、特許文献2には、イオン性液体と酸価が1.0以下のアクリルポリマーからなる粘着剤組成物、及びそれを用いた粘着シート類が開示されている。
また、特許文献3には、アクリルポリマー、ポリエーテルポリオール化合物、アニオン吸着性化合物により処理したアルカリ金属塩からなる粘着組成物、及びそれを用いた表面保護フィルムが開示されている。
また、特許文献4には、イオン性液体、アルカリ金属塩、ガラス転移温度0℃以下のポリマーからなる粘着剤組成物、及びそれを用いた表面保護フィルムが開示されている。
本発明の表面保護フィルムによれば、被着体から剥離する時に発生する静電気の量を低減でき、かつ、剥離帯電防止性能の経時変化および被着体に対する汚染が少ないことから、生産性の向上と歩留まりの向上を図ることができる。
図1は、本発明の表面保護フィルムの、概念断面図である。この表面保護フィルム10は、透明な基材フィルム1の片面の表面に、帯電防止剤6を含有する粘着剤層2が形成されている。この粘着剤層2の表面には、樹脂フィルム3の表面に帯電防止剤7を含有する剥離剤層4が形成された剥離フィルム5が、貼合されている。
本発明に係わる表面保護フィルム10に使用される基材フィルム1の厚みは、特に限定はないが、例えば、12〜100μm程度の厚みが好ましく、20〜75μm程度の厚みであれば取り扱い易く、より好ましい。
また、必要に応じて、基材フィルム1の粘着剤層2が形成された面の反対側の面に、表面の汚れを防止する防汚層、帯電防止層、傷つき防止のハードコート層などを設けることができる。また、基材フィルム1の表面に、コロナ放電による表面改質、アンカーコート剤の塗付などの易接着処理を施してもよい。
また、粘着剤層2の帯電防止剤6に各種樹脂を添加しても良い。帯電防止剤6に添加する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などが挙げられる。
粘着剤層2に含まれる帯電防止剤6は、粘着剤層2の表面に偏在する必要はなく、粘着剤層2中に均一に溶解または分散していてもよい。また、帯電防止剤6が、粘着剤層2の表面で少なく(又は分布せず)、粘着剤層2の内部で多く分布してもよい。
樹脂フィルム3の厚みは、特に限定はないが、例えば、12〜100μm程度の厚みが好ましく、20〜50μm程度の厚みであれば取り扱い易く、より好ましい。
また、必要に応じて、樹脂フィルム3の表面に、プラズマ放電やコロナ放電による表面改質、アンカーコート剤の塗付などの易接着処理を施してもよい。
ジメチルポリシロキサンを主成分とする剥離剤に対する帯電防止剤の添加量は、帯電防止剤の種類や剥離剤との親和性の度合いにより異なるが、表面保護フィルムを被着体から剥離する時の、望まれる剥離帯電圧、被着体に対する汚染性、粘着特性などを考慮して設定すればよい。
図1に示した表面保護フィルム10から、剥離フィルム5を剥がすことにより、剥離フィルム5の剥離剤層4に含まれる帯電防止剤(符号7)の一部が、表面保護フィルム10の粘着剤層2の表面に、転写される(付着する)。そのため、図2においては、表面保護フィルムの粘着剤層2の表面に付着した帯電防止剤を、符号7の斑点(丸型)で模式的に示している。また、粘着剤層2に含有されている帯電防止剤を、符号6の×印で模式的に示している。帯電防止剤6および7の分布の違いを明確にするため、表示を区別した。
帯電防止剤7の成分が、剥離フィルム5から粘着剤層2の表面に転写されることにより、転写する前の粘着剤層2に比べて、粘着剤層2を被着体から剥離する際の剥離帯電圧が低減される。なお、粘着剤層を被着体から剥離する際の剥離帯電圧は、公知の方法で測定可能である。例えば、表面保護フィルムを偏光板などの被着体に貼り合わせた後、高速剥離試験機(テスター産業製)を用いて毎分40mの剥離速度で表面保護フィルムを剥離しながら、被着体表面の表面電位を、表面電位計(キーエンス(株)製)を用いて10ms毎に測定したときの、表面電位の絶対値の最大値を、剥離帯電圧(kV)として測定する。
本発明に係わる表面保護フィルムでは、図2に示した剥離フィルムを剥がした状態の表面保護フィルム11を、被着体に貼合するに当たり、この粘着剤層2の表面に転写された帯電防止剤7、および粘着剤層2に含有される帯電防止剤6が、被着体の表面に接触する。そのことにより、再度、被着体から表面保護フィルムを剥がす時の、剥離帯電圧を低く抑えることができる。帯電防止剤7が剥離剤層4から粘着剤層2の表面に転写されるため、転写前から粘着剤層2に含有される帯電防止剤6の添加量を低減することができる。
本発明の表面保護フィルム10から、剥離フィルム5が剥がされて、粘着剤層2が表出した状態(図2の表面保護フィルム11)で、その粘着剤層2を介して被着体である光学部品8に貼合される。
すなわち、図3は、本発明の表面保護フィルム10から、剥離フィルム5を剥がした状態の表面保護フィルム11が貼合された、光学部品20を示している。光学部品としては、偏光板、位相差板、レンズフィルム、位相差板兼用の偏光板、レンズフィルム兼用の偏光板などの、光学用フィルムが挙げられる。このような光学部品は、液晶表示パネルなどの液晶表示装置、各種計器類の光学系装置、等の構成部材として使用される。また、光学部品としては、反射防止フィルム、ハードコートフィルム、タッチパネル用透明導電性フィルムなどの、光学用フィルムも挙げられる。
本発明の表面保護フィルム10から、剥離フィルム5を剥がした状態の表面保護フィルム11を、被着体である光学部品(光学用フィルム)から剥離除去するとき、剥離帯電圧を充分に低く抑制することができる。そのため、ドライバーIC、TFT素子、ゲート線駆動回路などの回路部品を破壊する恐れがなく、液晶表示パネル等を製造する工程での生産効率を高め、生産工程の信頼性を保つことができる。
(実施例1)
(表面保護フィルムの作製)
付加反応型のシリコーン(東レダウコーニング(株)製、品名:SRX−345)5重量部、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド0.75重量部、トルエンと酢酸エチルの1:1の混合溶媒95重量部、白金触媒(東レダウコーニング(株)製、品名:SRX−212)0.05重量部を混ぜ合わせて撹拌・混合して、実施例1の剥離剤層を形成する塗料を調整した。厚みが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、実施例1の剥離剤層を形成する塗料を、乾燥後の厚みが0.2μmになるようにメイヤーバーにて塗布し、120℃の熱風循環式オーブンにて1分間乾燥し、実施例1の剥離フィルムを得た。
一方、2−エチルヘキシルアクリレート80重量部、メトキシポリエチレングリコール(400)メタクリレート17重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート3重量部の共重合体からなる粘着剤の40%酢酸エチル溶液100重量部に対して、1−ノニルピリジニウム6フッ化リン酸塩0.2重量部、イソシアネート系硬化剤(東ソー社製コロネート(登録商標)HX)2重量部、を撹拌・混合して、実施例1の粘着剤を調合した。
厚みが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、調合した粘着剤を乾燥後の厚みが20μmとなるように、塗布した後、100℃の熱風循環式オーブンにて2分間乾燥させて粘着剤層を形成した。その後、この粘着剤層の表面に、上記にて作製した、実施例1の剥離フィルムの剥離剤層(シリコーン処理面)を貼合した。得られた粘着フィルムを40℃の環境下で5日間保温し、粘着剤を硬化させて、実施例1の表面保護フィルムを得た。
実施例1の剥離剤層を形成する塗料の、乾燥後の厚みを0.1μmにした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の表面保護フィルムを得た。
実施例1の付加反応型のシリコーンを、東レダウコーニング(株)製、品名:SRX−211にし、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの代りにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドにした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の表面保護フィルムを得た。
付加反応型のシリコーン(東レダウコーニング(株)製、品名:SRX−345)5重量部、トルエンと酢酸エチルの1:1の混合溶媒95重量部、白金触媒(東レダウコーニング(株)製、品名:SRX−212)0.05重量部を混ぜ合わせて撹拌・混合して、比較例1の剥離剤層を形成する塗料を調整した。厚みが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、比較例1の剥離剤層を形成する塗料を、乾燥後の厚みが0.2μmになるようにメイヤーバーにて塗布し、120℃の熱風循環式オーブンにて1分間乾燥し、比較例1の剥離フィルムを得た。
一方、実施例1の粘着剤を、厚みが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、乾燥後の厚みが20μmとなるように、塗布した後、100℃の熱風循環式オーブンにて2分間乾燥させて粘着剤層を形成した。その後、この粘着剤層の表面に、上記にて作製した、比較例1の剥離フィルムの剥離剤層(シリコーン処理面)を貼合した。得られた粘着フィルムを40℃の環境下で5日間保温し、粘着剤を硬化させて、比較例1の表面保護フィルムを得た。
粘着剤に1−ノニルピリジニウム6フッ化リン酸塩を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の表面保護フィルムを得た。
実施例1の1−ノニルピリジニウム6フッ化リン酸塩の代わりに、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドにした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の表面保護フィルムを得た。
〈剥離フィルムの剥離力の測定方法〉
表面保護フィルムのサンプルを、幅50mm、長さ150mmに裁断する。23℃×50%RHの試験環境下、引張試験機を用いて300mm/分の剥離速度で180°の方向に、剥離フィルムを剥離したときの強度を測定し、これを剥離フィルムの剥離力(N/50mm)とした。
帯電防止表面保護フィルムのサンプルから剥離フィルムを剥離した後、帯電防止剤層の表面抵抗率(Ω/□)を、高性能高抵抗率計(三菱化学アナリテック社製ハイレスタ(登録商標)−UP)を用いて、印加電圧100V、測定時間30秒の条件にて測定する。
偏光子(ヨウ素を含有したポリビニルアルコールフィルム)に、アクリルフィルムを、紫外線硬化型接着剤を用いて貼合した、アンチグレア低反射処理した偏光板(AG−LR偏光板)を、被着体とした。この偏光板を、ガラス板の表面に、貼合機を用いて貼合した。その後、偏光板の表面のアクリルフィルム上に、幅25mmに裁断した表面保護フィルムを貼合した後、23℃×50%RHの試験環境下に1日間保管した。その後、引張試験機を用いて300mm/分の剥離速度で180°の方向に、表面保護フィルムを剥離したときの強度を測定し、これを粘着力(N/25mm)とした。
偏光子(ヨウ素を含有したポリビニルアルコールフィルム)に、アクリルフィルムを、紫外線硬化型接着剤を用いて貼合した、アンチグレア低反射処理した偏光板(AG−LR偏光板)を、被着体とした。この偏光板を、ガラス板の表面に、貼合機を用いて貼合した。その後、偏光板の表面のアクリルフィルム上に、幅25mmに裁断した表面保護フィルムを貼合した後、23℃×50%RHの試験環境下に1日間保管した。その後、高速剥離試験機(テスター産業製)を用いて毎分40mの剥離速度で表面保護フィルムを剥離しながら、前記偏光板表面の表面電位を、表面電位計(キーエンス(株)製)を用いて10ms毎に測定したときの、表面電位の絶対値の最大値を、剥離帯電圧(kV)とした。
偏光子(ヨウ素を含有したポリビニルアルコールフィルム)に、アクリルフィルムを、紫外線硬化型接着剤を用いて貼合した、アンチグレア低反射処理した偏光板(AG−LR偏光板)を、被着体とした。この偏光板を、ガラス板の表面に、貼合機を用いて貼合した。その後、偏光板の表面のアクリルフィルム上に、幅25mmに裁断した表面保護フィルムを貼合した後、23℃×50%RHの試験環境下に3日および30日保管した。その後、表面保護フィルムを剥がし、偏光板の表面における汚染の有無を目視にて観察し、表面汚染性を確認した。表面汚染性の判定基準として、偏光板に汚染の移行が無かった場合を(○)とし、偏光板に汚染の移行が確認された場合を(×)とした。
本発明に係わる実施例1〜3の表面保護フィルムは、適度な粘着力があり、被着体の表面に対する汚染がない。なおかつ、被着体がアクリルフィルムを用いた偏光板であっても、表面保護フィルムを被着体から剥離した時の剥離帯電圧が低い。
一方、剥離剤層に帯電防止剤を添加しなかった比較例1の表面保護フィルム、及び粘着剤層に帯電防止剤を添加しなかった比較例2の表面保護フィルムは、表面保護フィルムを被着体から剥離した時の剥離帯電圧が高くなった。また、粘着剤層と剥離剤層に同じ種類の帯電防止剤を使用した比較例3の表面保護フィルムは、表面保護フィルムを被着体から剥離した時の剥離帯電圧が低く良好であるが、剥離した後の、被着体に対する汚染が多くなった。
すなわち、比較例1〜3の表面保護フィルムは、剥離帯電圧の低減と被着体に対する低汚染性を両立することが難しい。他方、粘着剤層と剥離剤層に種類の異なる帯電防止剤を添加した実施例1〜3の表面保護フィルムは、剥離帯電圧の低減効果が高く、かつ、被着体に対する汚染もなく、良好なものが得られた。
Claims (3)
- 透明性を有する樹脂からなる基材フィルムの片面に、粘着剤層が形成された帯電防止表面保護フィルムの、前記粘着剤層の表面に、帯電防止剤を転写できる帯電防止表面保護フィルム用剥離フィルムであって、
前記粘着剤層は、(メタ)アクリレート共重合体と、帯電防止剤として温度25℃において固体であり、アルカリ金属塩でないイオン性化合物とを含有する粘着剤組成物を架橋させてなる粘着剤層であり、
前記帯電防止表面保護フィルム用剥離フィルムは、樹脂フィルムの片面に、帯電防止剤を含有する剥離剤層が形成されてなり、
前記剥離剤層が、アルカリ金属塩と、ポリジメチルシロキサンを主成分とする剥離剤とを含有する剥離剤層であり、
前記帯電防止表面保護フィルム用剥離フィルムを、前記剥離剤層を介して前記粘着剤層の表面に貼り合せることにより、前記剥離剤層の前記アルカリ金属塩の成分を、前記帯電防止表面保護フィルム用剥離フィルムの前記剥離剤層から、前記帯電防止表面保護フィルムの前記粘着剤層の表面のみに転写できることを特徴とする帯電防止表面保護フィルム用剥離フィルム。 - 請求項1に記載の帯電防止表面保護フィルム用剥離フィルムが貼り合わされ、前記剥離剤層の前記アルカリ金属塩の成分が、前記粘着剤層の表面のみに転写されてなる帯電防止表面保護フィルム。
- 請求項2に記載の帯電防止表面保護フィルムから、前記帯電防止表面保護フィルム用剥離フィルムを剥がした状態の前記帯電防止表面保護フィルムが、貼合されてなる光学部品。
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