JP2018132340A - 表面増強ラマン分光法用の基板およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】表裏で構造が異なる微小構造体を表面に有する基板において、表裏のいずれか一方のみに制御する。
【解決手段】鱗翅類の翅の鱗粉(サイズが1nmから1μmの)における微小構造体を利用した表面増強分光法用基板の製造方法であって、第1の基板の表面上に前記鱗粉を並べる工程と、少なくとも一方の表面側に前記第1の基板の表面よりも高い粘着性を有する第2の基板を前記第1の基板の表面と対向させた状態で近づけていくことにより前記微小構造体を前記第2の基板の表面に転写する工程とを有することを特徴とする表面増強分光法用基板の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、表面増強ラマン分光法用の基板の製造方法等に関する。
表面増強ラマン分光法(surface-enhanced Raman spectroscopy: 以下、「SERS」と称する。)を始めとする表面分光法においては、金属ナノ構造の利用が不可欠である。例えば、液相において合成された貴金属コロイド、貴金属で被覆されたナノ構造、電子線描画システムにより作製された貴金属ナノ構造等、さまざまなナノ構造体が用いられている。
また、近年においては生物に見られるナノ構造の活用も報告されている(非特許文献1参照)。一つの具体例として、図1(a)に示すような、蝶Xの翅103の鱗粉の利用が挙げられている。蝶の翅の鱗粉表面には複雑な三次元構造が形成されている。その表面をコロイドや薄膜状の貴金属等で被覆することで、SERS効果が発揮されることが確認されている。
Zhongde Mu, Xiangwei Zhao, Zhuoying Xie, Yuanjin Zhao, Qifeng Zhong, Ling Boand Zhongze Gu, "In situ synthesis of gold nanoparticles (AuNPs) in butterfly wings for surface enhanced Raman spectroscopy (SERS)," Journal of Materials Chemistry B, 2013, 1, 1607-1613.
以上のように、蝶鱗粉はSERS基板としての潜在的な可能性を有している。
しかしながら、翅に一体化された状態で用いるには以下のような課題が存在する。図1(b)は、翅の断面を模式的に示した図である。図1(b)に示すように、スライドグラス101などの基板上に、蝶の翅103から得られる鱗粉103a、103b、103cを載せる。それぞれの鱗粉は、傾斜しているが故に、同一鱗粉内においても、異なる高さに励起レーザー光のピントを合わせる必要がある。さらに離れた鱗粉に励起レーザー光105aと105bを照射する際には、なおさらピント位置の調整が必要になる。
この場合の問題点(第1の課題)は、翅103の平坦性の問題である。翅103は、数十ミクロンの範囲内でうねっており、さらに鱗粉103a、103b、103cは翅103に対して平行ではない。従って、励起レーザ光105a、105bの焦点を場所ごとに調整する必要があるという問題がある。
図1(c)は、鱗粉表面のナノ構造を示す図である。
第2の課題は、以下の通りである。
すなわち、図1(c)に示すように、鱗粉の裏表によって構造が異なる。依って、裏表によってSERS効果も異なるため、所望のSERS効果を得るためには、表側もしくは裏側のいずれかを選択的に上向きにして転写することが好ましい。その際、表面のナノ構造に損傷を与えないようにすることである。
第3の課題として、例えば、蝶の分泌物が影響し、鱗粉自体がラマン活性物質を有することがあり、その際その信号を抑制することである。
本発明は、上記のような課題を解決することを目的とする。
本発明の一観点によれば、鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体を利用した表面増強分光法用基板の製造方法であって、第1の基板の表面上に前記鱗粉を並べる工程と、少なくとも一方の表面側に前記第1の基板の表面よりも高い粘着性を有する第2の基板を前記第1の基板の表面と対向させた状態で近づけていくことにより前記微小構造体を前記第2の基板の表面に転写する工程と、を有することを特徴とする表面増強分光法用基板の製造方法が提供される。
当該方法によれば、鱗粉の裏面に揃えた表面増強分光法用基板を得ることができる。
尚、鱗粉自体のサイズは50〜100μm程度であり、その表面に存在するナノ構造の寸法は、1nm〜1μm程度である。
また、本発明は、鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体を利用した表面増強分光法用基板の製造方法であって、第1の基板の表面上に前記鱗粉を並べる工程と、少なくとも一方の表面側に前記第1の基板の表面よりも高い粘着性を有する転写用の基板を前記第1の基板の表面と対向させた状態で近づけていくことにより前記微小構造体を前記転写用の基板の表面に転写する第1の転写工程と、前記転写用の基板の表面に前記転写用の基板の表面よりも高い粘着性を有する第2の基板を前記転写用の基板の表面と対向させた状態で近づけていくことにより前記微小構造体を前記第2の基板の表面に転写する第2の転写工程と、を有することを特徴とする表面増強分光法用基板の製造方法である。
当該方法によれば、鱗粉の表面に揃えた表面増強分光法用基板を得ることができる。
さらに、前記鱗粉が転写された前記第2の基板の表面を、貴金属で被覆する工程を含むことができる。或いは、さらに、前記鱗粉が転写された前記第2の基板の表面を、貴金属ナノ構造体で被覆する工程を含んでも良い。
また、本発明は、鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体を利用した表面増強分光法用基板の製造方法であって、第1の基板の表面上に、前記鱗粉を並べる工程と、前記第1の基板の表面上に固定された前記鱗粉に、前記鱗粉よりも目の細かい孔を有する平坦なフィルター又は多孔質物質を押し付ける工程と、例えば、0.01MPaから0.2MPaの負圧により前記鱗粉を第2の基板に押し付けた後に吸引を停止し、前記鱗粉を前記第2の基板に転写する工程と、を有することを特徴とする表面増強分光法用基板の製造方法である。
本発明の他の観点によれば、鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体が配置された表面を有する表面増強分光法用基板であって、表面が上向きに揃っていることを特徴とする表面増強分光法用基板が提供される。
また、鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体が配置された表面を有する表面増強分光法用基板であって、表面が下向きに揃っていることを特徴とする表面増強分光法用基板も提供することができる。
さらに、前記第2の基板の表面を被覆する貴金属層を有するようにすると良い。或いは、さらに、前記第2の基板の表面を被覆する貴金属ナノ粒子層を有していても良い。
また、本発明は、鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体が配置された表面を有する表面増強分光法用基板であって、表面が上向きに揃っており、前記微小構造体の上に形成される誘電体層と、前記誘電体層上に形成される貴金属層と、を有することを特徴とする表面増強分光法用基板である。
また、本発明は、鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体が配置された表面を有する表面増強分光法用基板であって、表面が下向きに揃っており、前記微小構造体の上に形成される誘電体層と、前記誘電体層上に形成される貴金属層と、を有することを特徴とする表面増強分光法用基板である。
前記貴金属層は、鱗粉由来物質のSERS信号の影響を抑制する厚さであることが好ましい。
本発明によれば、表裏で構造が異なる微小構造体を表面に有する基板において、表裏のいずれか一方のみに制御することができる。また、表裏で構造が異なる微小構造体を表面に有する基板において、分泌物等に起因するラマン活性物質の信号を抑制することができる。
翅を利用した鱗粉表面のナノ構造を表面に有する基板の構造を示す図である。図1(a)は、蝶(オオムラサキ)の側面図であり、図1(b)は蝶の翅の一部の断面と、鱗粉を基板に設置した様子を示す図であり、図1(c)は、鱗粉の表面(左図)と裏面(右図)とを示す図である。 本発明の第1の実施の形態による表面増強ラマン分光法用の基板の製造方法の一工程例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態による表面増強ラマン分光法用の基板の製造方法の一工程例を示す図である。 図2、図3に続く工程を示す図である。 本発明の第3の実施の形態による転写工程の一例を示す図である。 図6は、鱗粉の表面(おもてめん)、裏面(うらめん)に吸着させたローダミン6G分子からのSERS信号を示す図である。 翅から基板に転写された鱗粉上に、絶縁層および貴金属ナノ構造が形成された様子を示す図である。 図8(a)は、鱗粉由来の物質のSERS信号の例を示す図である。図8(b)は、誘電体層により鱗粉由来の物質のSERS信号を抑制した例を示す図である。
鱗粉とは、昆虫のはねや体の表面を覆う微小で平たい葉状物をいい、柄状の一端で表面についている。典型的なものは鱗翅類に属するチョウやガのはねにみられ、その表面を瓦状に覆い、色模様をつくっている。鱗粉は鱗片ともいうが、円板状から毛状のものまで形は多様で、細長くて毛に近い形のものは鱗毛とよばれる。発生学的には剛毛と相同で、上皮細胞層に生じた鱗原細胞が分裂後に棍棒状突起を出し、これが平たく広がって内部に空洞が生じ、表面には多数の平行した隆条ができる。
以下において、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、蝶の翅の鱗粉を利用する例について説明するが、蛾などを用いても良い。また、発明者が行った蝶の例としては、オオムラサキ、アオスジアゲハ、モルフォ蝶、モンシロ蝶などであるが、これらに限定されない。以下では、オオムラサキを例にして説明する。
(第1の実施の形態)
鱗粉の平坦性に関する問題は、個々の鱗粉を平坦基板に転写させることにより解決できる可能性がある。
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態による表面増強ラマン分光法用の基板の製造方法の一工程例を示す図である。
図2(a)に示すように、平坦なスライドグラス(第1の基板)1上に、例えば100μm程度のサイズの鱗粉3a、3b、3cを載せる。ここで、鱗粉3cは、表面側3c−1、裏面側3c−2で、異なるナノ構造を有している微小構造体である。鱗粉3cの、表面側3c−1、裏面側3c−2の構造は、模式的に示している。
翅3の平坦性の問題で解決するために、図2(b)に示すように、少なくとも表面側11aに粘着性を有するテープ又はスライドグラス(第2の基板)11をスライドグラス1と対向させたて状態で近づけていく。すると、図2(c)に示すように、スライドグラス1側より粘着性の強いテープ又はスライドグラス11側に鱗粉3a、3b、3cが付着する。図2(d)に示すように、テープ又はスライドグラス11の表面11a上に、鱗粉3a、3b、3cが付着したナノ構造基板とすることができる。この際、スライドグラス11に転写された全ての鱗粉の高さは一定であり、また、鱗粉の平面は第2の基板であるテープ又はスライドグラス11に対して平行である。
尚、上記の工程では、鱗粉3cの裏面側3c−2が表面側に揃う。このようにして形成したナノ構造基板の表面を、後述するように貴金属等で覆うことで、表面増強ラマン分光法用の基板を製造することができる。
本実施の形態によれば、また、鱗粉の平面は第2の基板であるテープ又はスライドグラス11に対して平行であり、かつ、基板表面に鱗粉の裏面側3c−2のみが揃った表面増強分光法用基板を製造することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態による表面増強ラマン分光法用の基板の製造方法の一工程例を示す図である。
図3(a)に示すように、例えば、両面テープ1aを表面に貼り付けたスライドグラス1の上に、鱗粉3a、3b、3c(蝶の翅の片)を固定する。
次に、図3(b)に示すように、例えば、厚さ1mmから10mmのゴムシート21もしくはゴム棒の一面21aを翅に押し付ける。
図3(c)に示すように、スライドグラス1とゴムシート21とを注意深く引き離す。すると、鱗粉3a、3b、3cは、スライドグラス1よりも表面における粘着力を高くしたゴムシート21の表面21aに転写される。この際、鱗粉3a、3b、3cが平坦化される。
図3(d)に示すように、別に用意した、例えば両面テープ11aが貼られたスライドグラス11の表面に、ゴムシート21の表面21aを押し付ける。
図3(e)に示すように、ゴムシート21をスライドグラス11から離していくと、より粘着力が高いスライドグラス11の表面側に鱗粉3a、3b、3cを転写することができる。
この際、鱗粉3a、3b、3cの向きは、翅の表面と同じように、上向きに固定することができる。スライドグラス11に転写された全ての鱗粉3a、3b、3cの高さは略一定となり、また鱗粉3a、3b、3cの平面はスライドグラス11に対して平行であるため高さも一定となる。
このようにして、1)蝶の翅を緩やかな起伏に基づく翅の部位により鱗粉の高さの違いが存在し、2)しかも鱗粉は翅に対して傾斜しているので同一の鱗粉でも高さは一定でないという課題を解決することができる。さらに、第1の実施の形態とは異なり、鱗粉の表面側のみを利用することができる。
すなわち、第1の実施の形態による方法では鱗粉の裏面側のみを、第2の実施の形態による方法では鱗粉の表面側のみを利用することができ、目的等に応じて、表側又は裏側に揃った任意の表面構造を得ることができる。
図4は、図3に続く工程を示す図である。
図4(a)に示すスライドグラス11を、図示しない真空蒸着装置又はスパッタリング装置内に装填し、例えば、厚さ5nmから500nm程度の金、銀等の貴金属31を表面にコーティングする(図4(b))。或いは、図4(c)に示すように、貴金属ナノ粒子33を表面に添加して付着させても良い。
これにより、表面増強ラマン分光法用の基板を形成することができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図5は、本発明の第3の実施の形態による転写工程の一例を示す図であり、図3(b)〜(d)に対応する図である。
まず、平坦なポリカーボネート性多孔質基板31(孔31a)を準備する。
図3(a)の状態、すなわち、スライドグラス1に固定された蝶の翅3に、例えばサイズが0.1μmから80μmの孔31a(鱗粉よりも小さい孔)を有する平坦なフィルター(多孔質物質)32を有する吸引用治具41を押し付ける。このように、一方側に鱗粉(翅)3a、3b、3cを配置し、他方側から吸引装置41等で吸引(51)を行う。例えば、0.01MPaから0.2MPaの負圧により鱗粉3a、3b、3cを翅3から剥離する。鱗粉3a、3b、3cをスライドグラス11(図3(d))に押し付けてから、吸引を停止する。これにより、鱗粉3a、3b、3cをスライドグラス11の表面に転写することができる。
(評価結果)
以下に、鱗粉を利用した表面増強ラマン分光法用の基板によるラマン分析結果の例を示す。
図6は、鱗粉の表面(左図)、裏面(右図)からのSERS信号の一例を示す図である。左図に示すように鱗粉の表面(おもてめん)が揃った表面増強ラマン分光法用の基板を用いると、ラマン散乱光強度が高くなる。但し、蛍光バックグラウンドも高くなる。右図に示すように、鱗粉の裏面(うらめん)が揃った表面増強ラマン分光法用の基板を用いると、ラマン散乱光強度が左図のものより低くなる。但し、蛍光バックグラウンドも低くなる。
尚、表面と裏面の関係は、全ての種においてこの様な傾向を示すわけではなく、オオムラサキの場合についての例示的な説明である。但し、基本的に全ての種において表面と裏面の構造が異なることから、SERS効果についても何らかの違いがあることは明らかである。
以上のように、本実施の形態によれば、表面増強ラマン分光法において、強度と蛍光バックグラウンドが異なる2種類のSERS基板を提供することができる。
(第4の実施の形態)
図7は、本発明の第4の実施の形態であって、図2、図3の工程に続くさらなる工程を示す図である。
図7(a)に示すスライドグラス11を、図示しない真空蒸着装置又はスパッタリング装置内に装填し、例えば、厚さ5nmから500nm程度の金、銀等の貴金属31を表面にコーティングする(図7(b))。或いは、図7(c)に示すように、貴金属ナノ粒子33を表面に添加して付着させても良い。
鱗粉に直接貴金属を真空蒸着したり、貴金属ナノ粒子を吸着したりすると、分泌物質等の鱗粉表面に吸着した物質からのSERS信号が検出されてしまう。
そこで、本実施の形態では、鱗粉表面をまず誘電体35、例えば、SiOなどで被覆し(図7(b))、さらに貴金属を被覆する。ラマン活性物質が貴金属ナノ構造の近接場領域外に存在することになり、測定対象物以外からのラマン散乱光を抑制できる。尚、誘電体の膜厚は、5nmから1μmの範囲であり、好ましくは、20nmから100nm程度である。
真空蒸着の代わりに、貴金属ナノ構造体を表面に付着しても良い(図7(c))。
これにより、表面増強ラマン分光法用の基板における分泌物等の影響を抑制することができる。
図8(a)は、鱗粉由来物質のSERS信号の一例を示す図であり、表面側の例である。図8(a)のオオムラサキ(オレンジ)からのSERSスペクトルにおいて破線で囲まれている二つピークは、ローダミン6G由来の信号ではなく、オレンジ鱗粉固有の物質の信号である。これらのピークの強度は5000程度である。図8(b)においては、誘電体であるフッ化マグネシウムを100nm蒸着し、さらに銀を形成した際に得られたスペクトルである。ローダミン6Gを滴下していないので、ローダミン6G由来のピークはないが、オレンジ鱗粉固有のピークは抑制されていることが分かる。
以上のように、本実施の形態によれば、表面増強ラマン分光法において、鱗粉と貴金属層との間に絶縁膜等を設けることで、鱗粉由来物質のSERS信号を抑制することができる。
尚、分泌物視以外にも、噴霧された農薬が飛翔中の蝶に付着する可能性がある。従って、誘電体層の効果は噴霧された農薬にも及ぶ。噴霧された農薬は、洗浄により除去すると、鱗粉表面はデリケートで繊細であるため、好ましくない。
上記の各実施の形態により、蝶の鱗粉等、自然界に存在するナノ構造をSERS基板に活用できる。
特に、表裏で構造が異なる微小構造体を表面に有する基板において、表裏のいずれか一方のみに制御することができる。
地球には多種多様の蝶が存在し、多くの場合、SERS基板の調製に適している。また典型的な鱗粉のサイズは100μm程度であり、一回のSERS測定に必要かつ十分な面積を有している。
そして、表面増強ラマン分光法用の基板における分泌物等の影響を抑制することができる。
上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具
備する発明も本発明に含まれるものである。
本発明は、表面増強ラマン分光法用の基板の製造方法として利用可能である。
1…スライドグラス(第1の基板)、3a、3b、3c…鱗粉、3c−1…表面側、3c−2…裏面側、11…スライドグラス(第2の基板)、21…ゴムシート、32…ポリカーボネート性多孔質基板、33…貴金属ナノ粒子、35…誘電体層。

Claims (12)

  1. 鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体を利用した表面増強分光法用基板の製造方法であって、
    第1の基板の表面上に前記鱗粉を並べる工程と、
    少なくとも一方の表面側に前記第1の基板の表面よりも高い粘着性を有する第2の基板を前記第1の基板の表面と対向させた状態で近づけていくことにより前記微小構造体を前記第2の基板の表面に転写する工程と
    を有することを特徴とする表面増強分光法用基板の製造方法。
  2. 鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体を利用した表面増強分光法用基板の製造方法であって、
    第1の基板の表面上に前記鱗粉を並べる工程と、
    少なくとも一方の表面側に前記第1の基板の表面よりも高い粘着性を有する転写用の基板を前記第1の基板の表面と対向させた状態で近づけていくことにより前記微小構造体を前記転写用の基板の表面に転写する第1の転写工程と、
    前記転写用の基板の表面に前記転写用の基板の表面よりも高い粘着性を有する第2の基板を前記転写用の基板の表面と対向させた状態で近づけていくことにより前記微小構造体を前記第2の基板の表面に転写する第2の転写工程と
    を有することを特徴とする表面増強分光法用基板の製造方法。
  3. さらに、
    前記鱗粉が転写された前記第2の基板の表面を、貴金属で被覆する工程を含む
    請求項1又は2に記載の表面増強分光法用基板の製造方法。
  4. さらに、
    前記鱗粉が転写された前記第2の基板の表面を、貴金属ナノ構造体で被覆する工程を含む
    請求項1又は2に記載の表面増強分光法用基板の製造方法。
  5. 鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体を利用した表面増強分光法用基板の製造方法であって、
    第1の基板の表面上に、前記鱗粉を並べる工程と、
    前記第1の基板の表面上に固定された前記鱗粉に、前記鱗粉よりも目の細かい孔を有する平坦なフィルター又は多孔質物質を押し付ける工程と、
    負圧により前記鱗粉を第2の基板に押し付けた後に吸引を停止し、前記鱗粉を前記第2の基板に転写する工程と
    を有することを特徴とする表面増強分光法用基板の製造方法。
  6. 鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体が配置された表面を有する表面増強分光法用基板であって、
    表面が上向きに揃っていることを特徴とする表面増強分光法用基板。
  7. 鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体が配置された表面を有する表面増強分光法用基板であって、
    表面が下向きに揃っていることを特徴とする表面増強分光法用基板。
  8. さらに、
    前記第2の基板の表面を被覆する貴金属層を有する
    請求項6又は7に記載の表面増強分光法用基板。
  9. さらに、
    前記第2の基板の表面を被覆する貴金属ナノ粒子層を有する
    請求項6又は7に記載の表面増強分光法用基板。
  10. 鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体が配置された表面を有する表面増強分光法用基板であって、
    表面が上向きに揃っており、
    前記微小構造体の上に形成される誘電体層と、
    前記誘電体層上に形成される貴金属層と
    を有することを特徴とする表面増強分光法用基板。
  11. 鱗翅類の翅の鱗粉における微小構造体が配置された表面を有する表面増強分光法用基板であって
    表面が下向きに揃っており、
    前記微小構造体の上に形成される誘電体層と、
    前記誘電体層上に形成される貴金属層と
    を有することを特徴とする表面増強分光法用基板。
  12. 前記貴金属層は、鱗粉由来物質のSERS信号の影響を抑制する厚さであることを特徴とする請求項11又は12に記載の表面増強分光法用基板。
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