JP2018127440A - 活性抑制剤および皮膚感覚過敏抑制剤 - Google Patents

活性抑制剤および皮膚感覚過敏抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】感覚過敏抑制手段の提供。【解決手段】下記化合物を含有するTRPA1,TRPV4又はANO1の活性抑制剤。(R1〜R10は各々独立して,H,OH又はC1〜4のアルキル基)【選択図】なし

Description

本発明は、活性抑制剤および皮膚感覚過敏抑制剤に関する。
皮膚における感覚過敏としては、例えば、皮膚における痒み、痛みなどが挙げられる。前記感覚過敏のうち、皮膚における痒みは、例えば、物理的刺激、痒みを引き起こす物質による化学的刺激などの刺激によって引き起こされる。皮膚における痒みを引き起こす物質として、例えば、ヒスタミンなどが知られている。そこで、皮膚における痒みを抑制する物質として、強い抗ヒスタミン作用を有するジフェンヒドラミンまたはその塩を含む外用組成物などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−180206号公報
しかし、前記ジフェンヒドラミンまたはその塩を含む外用組成物は、痒みを引き起こす刺激の種類によっては、皮膚における痒みを抑制し難いことがある。また、前記痒み以外の皮膚における感覚過敏にも、発生原因が異なる種々の感覚過敏がある。したがって、痒み、痛みなどの感覚過敏を抑制することができる新たな手段が待ち望まれている。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、TRPA1、TRPV4およびANO1それぞれの活性を抑制することができる活性抑制剤ならびに皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する感覚過敏を抑制することができる皮膚感覚過敏抑制剤を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、
(1)TRPA1、TRPV4およびANO1それぞれの活性を抑制するための活性抑制剤であって、有効成分として式(I):
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされる化合物を含有してなる活性抑制剤、
(2)式(I)において、Rが水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基であり、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10が水素原子である前記(1)に記載の活性抑制剤、
(3)皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する感覚過敏を抑制するための皮膚感覚過敏抑制剤であって、有効成分として前記(1)または(2)に記載の活性抑制剤を含有してなる皮膚感覚過敏抑制剤、
(4)前記感覚過敏が、皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痒みである前記(3)に記載の皮膚感覚過敏抑制剤、および
(5)前記感覚過敏が、皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痛みをさらに含む前記(3)または(4)に記載の皮膚感覚過敏抑制剤
に関する。
本発明の活性抑制剤によれば、TRPA1、TRPV4およびANO1それぞれの活性を効果的に抑制することができる。また、本発明の皮膚感覚過敏抑制剤によれば、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する皮膚感覚過敏を効果的に抑制することができる。
(A)は試験例1において、(a)4−イソプロピルシクロヘキサノール、(b)イソプロピルシクロヘキサンまたは(c)1−イソプロピル−4−メチルシクロヘキサンを投与したときのマウスANO1の相対電流値の経時的変化を示すグラフ、(B)は4−イソプロピルシクロヘキサノール濃度とマウスANO1の相対電流値との関係を示す用量反応曲線である。 試験例2において、ヒトANO1の相対電流値の経時的変化を示すグラフである。 (A)は試験例3において、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与前後のアリルイソチオシアネート誘導マウスTRPA1電流の経時的変化を示すグラフ、(B)は4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与の有無とマウスTRPA1電流密度との関係を示すグラフである。 (A)は試験例3において、4−イソプロピルシクロヘキサノールの有無とマウスTRPA1電流の振幅の大きさとの関係を示すグラフ、(B)は4−イソプロピルシクロヘキサノールの有無とマウスTRPA1の開口時間との関係を示すグラフ、(C)は4−イソプロピルシクロヘキサノールの有無とマウスTRPA1の閉口時間との関係を示すグラフである。 (A)は試験例4において、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与前後のアリルイソチオシアネート誘導ヒトTRPA1電流の経時的変化を示すグラフ、(B)は4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与の有無とヒトTRPA1電流密度との関係を示すグラフである。 (A)は試験例5において、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与前後のGSK1016790A誘導マウスTRPV4電流の経時的変化を示すグラフ、(B)は4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与前後のGSK1016790A誘導ヒトTRPV4電流の経時的変化を示すグラフである。 (A)は試験例8において、4−イソプロピルシクロヘキサノール濃度とマウスTRPA1の相対電流値との関係を示す用量反応曲線、(B)は4−イソプロピルシクロヘキサノール濃度とヒトTRPA1の相対電流値との関係を示す用量反応曲線である。 (A)は試験例9において、マウスTRPV4の相対電流値の経時的変化を示すグラフ、(B)はヒトTRPV4の相対電流値の経時的変化を示すグラフである。
1.活性抑制剤
本発明の活性抑制剤は、TRPA1、TRPV4およびANO1それぞれの活性を抑制するための活性抑制剤である。本発明の活性抑制剤は、有効成分として式(I):
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされる化合物を含有していることを1つの大きな特徴とする。式(I)で表わされる化合物は、アゴニストによってもたらされるTRPA1、TRPV4およびANO1それぞれの活性化を抑制する。また、本発明の活性抑制剤は、TRPA1、TRPV4およびANO1それぞれの活性を抑制することから、TRPA1、TRPV4およびANO1間の相互作用を効果的に抑制することができる。
式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
式(I)において、R1は、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基であるが、TRPA1、TRPV4およびANO1の活性を効果的に抑制する観点から、好ましくは水素原子および水酸基、より好ましくは水酸基である。
式(I)において、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基であるが、本発明の活性抑制剤の用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、本発明の活性抑制剤の用途などに応じて決定することが望ましい。本発明の活性抑制剤の用途が、例えば、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する皮膚感覚過敏を迅速に抑制することが求められる用途である場合、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、抑制効果を迅速に発現させる観点から、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることをより好ましい。また、本発明の活性抑制剤の用途が、例えば、皮膚に対して高い親和性が求められる用途である場合、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、皮膚に対する親和性を高める観点から、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。
本発明の活性抑制剤の用途が、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する皮膚感覚過敏を迅速に抑制することが求められる用途である場合、抑制効果を迅速に発現させる観点から、式(I)において、Rが水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基であり、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10が水素原子である化合物が好ましく、Rが水素原子または水酸基であり、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10が水素原子である化合物がより好ましく、Rが水酸基であり、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10が水素原子である化合物がさらに好ましい。式(I)で表わされる化合物としては、例えば、4−イソプロピルシクロヘキサノール、イソプロピルシクロヘキサン、1−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキサンなどが挙げられるが本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(I)で表わされる化合物のなかでは、本発明の活性抑制剤の用途が、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する皮膚感覚過敏を迅速に抑制することが求められる用途である場合、抑制効果を迅速に発現させる観点から、4−イソプロピルシクロヘキサノール、イソプロピルシクロヘキサンおよび1−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキサンが好ましく、4−イソプロピルシクロヘキサノールがより好ましい。
式(I)で表わされる化合物としてシス−トランス異性体が存在する場合、式(I)で表わされる化合物は、トランス体およびトランス体とシス体の混合物のいずれであってもよい。
本発明の活性抑制剤における式(I)で表わされる化合物の含有量は、本発明の活性抑制剤の用途などに応じて適宜設定することが好ましい。
なお、本発明の活性抑制剤は、本発明の目的が妨げられない範囲内で、例えば、適切な溶媒、pH調整剤、カルシウムキレート剤などの他の成分を含有していてもよい。
本発明の活性抑制剤は、生体外での用途に用いてもよく、生体内での用途に用いてもよい。
TRPA1およびTRPV4は、一過性受容体型電位依存性チャネル(以下、「TRPチャネル」ともいう)である。また、ANO1は、細胞内カルシウムイオンによって活性化される塩素イオンチャネルである。
TRPA1としては、例えば、ヒトTRPA1、マウスTRPA1などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ヒトTRPA1は、GenBankアクセッション番号:NM_007332に示されるアミノ酸配列を有する。また、マウスTRPA1は、GenBankアクセッション番号:NM_177781に示されるアミノ酸配列を有する。また、本発明において、TRPA1は、GenBankアクセッション番号:NM_007332またはNM_177781に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの活性と同等の活性(以下、「TRPA1活性」という)を示すものであれば、GenBankアクセッション番号:NM_007332またはNM_177781に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であってもよい。TRPA1の変異体としては、例えば、(A1)GenBankアクセッション番号:NM_007332またはNM_177781に示されるアミノ酸配列において、1または数個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を有し、TRPA1活性を示すポリペプチド、
(B1)GenBankアクセッション番号:NM_007332またはNM_177781に示されるアミノ酸配列に対する配列同一性が95%以上、好ましくは98%以上である配列からなり、TRPA1活性を示すポリペプチド
などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、本明細書において、「配列同一性」とは、デフォルトパラメータでPROTEIN BLASTを用い、所定のGenBankアクセッション番号の配列(参照配列)に対して、評価対象の配列(クエリー配列)をアライメントして算出された値をいう。
TRPA1活性としては、例えば、細胞外から細胞内へのカルシウムイオンの輸送能、細胞におけるTRPA1に起因する電流(以下、「TRPA1電流」ともいう)の発生能などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPA1活性は、TRPA1アゴニストによってTRPA1が活性化することによって発現される。TRPA1アゴニストとしては、例えば、アリルイソチオシアネート、アリシン、イシリンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。本発明の活性抑制剤によるTRPA1に対する抑制作用は、例えば、TRPA1を発現する細胞(以下、「TRPA1発現細胞」という)におけるTRPA1アゴニストによって誘導されたTRPA1電流(以下、「アゴニスト誘導TRPA1電流」ともいう)などに基づいて評価することができる。なお、TRPA1電流は、例えば、パッチクランプ法などによって測定することができる。この場合、活性抑制剤を投与したときのアゴニスト誘導TRPA1電流は、活性抑制剤を投与していないときのアゴニスト誘導TRPA1電流よりも小さくなる。
TRPV4としては、例えば、ヒトTRPV4、マウスTRPV4などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ヒトTRPV4は、GenBankアクセッション番号:NM_021625に示されるアミノ酸配列を有する。また、マウスTRPV4は、GenBankアクセッション番号:NM_022017に示されるアミノ酸配列を有する。また、本発明において、TRPV4は、GenBankアクセッション番号:NM_021625またはNM_022017に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの活性と同等の活性(以下、「TRPV4活性」という)を示すものであれば、GenBankアクセッション番号:NM_021625またはNM_022017に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であってもよい。TRPV4の変異体としては、例えば、(A2)GenBankアクセッション番号:NM_021625またはNM_022017に示されるアミノ酸配列において、1または数個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を有し、TRPV4活性を示すポリペプチド、
(B2)GenBankアクセッション番号:NM_021625またはNM_022017に示されるアミノ酸配列に対する配列同一性が95%以上、好ましくは98%以上である配列からなり、TRPV4活性を示すポリペプチド
などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
TRPV4活性としては、例えば、細胞外から細胞内へのカルシウムイオンの輸送能、細胞におけるTRPV4に起因する電流(以下、「TRPV4電流」ともいう)の発生能などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPV4活性は、TRPV4アゴニストによってTRPV4が活性化することによって発現される。TRPV4アゴニストとしては、例えば、GSK1016790Aなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。本発明の活性抑制剤によるTRPV4に対する抑制作用は、例えば、TRPV4を発現する細胞(以下、「TRPV4発現細胞」という)内におけるTRPV4アゴニストによって誘導されたTRPV4電流(以下、「アゴニスト誘導TRPV4電流」ともいう)などに基づいて評価することができる。なお、TRPV4電流は、例えば、パッチクランプ法などによって測定することができる。この場合、活性抑制剤を投与したときのアゴニスト誘導TRPV4電流は、活性抑制剤を投与していないときのアゴニスト誘導TRPV4電流よりも小さくなる。
ANO1としては、例えば、ヒトANO1、マウスANO1などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ヒトANO1は、GenBankアクセッション番号:NM_018043に示されるアミノ酸配列を有する。また、マウスANO1は、GenBankアクセッション番号:NM_178642に示されるアミノ酸配列を有する。また、本発明において、ANO1は、GenBankアクセッション番号:NM_018043またはNM_178642に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの活性と同等の活性(以下、「ANO1活性」という)を示すものであれば、GenBankアクセッション番号:NM_018043またはNM_178642に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であってもよい。ANO1の変異体としては、例えば、(A3)GenBankアクセッション番号:NM_018043またはNM_178642に示されるアミノ酸配列において、1または数個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を有し、ANO1活性を示すポリペプチド、
(B3)GenBankアクセッション番号:NM_018043またはNM_178642に示されるアミノ酸配列に対する配列同一性が95%以上、好ましくは98%以上である配列からなり、ANO1活性を示すポリペプチド
などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ANO1活性としては、例えば、細胞における塩素イオンの輸送能、細胞におけるANO1に起因する電流(以下、「ANO1電流」ともいう)の発生能などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ANO1活性は、ANO1アゴニストによってTRPA1が活性化することによって発現される。ANO1アゴニストとしては、例えば、カルシウムイオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。本発明の活性抑制剤によるANO1に対する抑制作用は、例えば、ANO1を発現する細胞(以下、「ANO1発現細胞」という)内におけるANO1アゴニスト(カルシウムイオン)によって誘導されたANO1電流(以下、「アゴニスト誘導ANO1電流」ともいう)などに基づいて評価することができる。なお、ANO1電流は、例えば、パッチクランプ法などによって測定することができる。この場合、活性抑制剤を投与したときのアゴニスト誘導ANO1電流は、活性抑制剤を投与していないときのアゴニストANO1電流よりも小さくなる。
2.皮膚感覚過敏抑制剤
本発明の皮膚感覚過敏抑制剤は、皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する感覚過敏を抑制するための皮膚感覚過敏抑制剤であって、有効成分として前記活性抑制剤を含有していることを1つの大きな特徴とする。本発明の皮膚感覚過敏抑制剤は、前記活性抑制剤を含有しているため、当該皮膚感覚過敏抑制剤を皮膚と接触させることにより、皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する感覚過敏を効果的に抑制することができる。前記感覚過敏には、例えば、皮膚におけるTRPA1とANO1とが関与する感覚過敏、皮膚におけるTRPV4とANO1とが関与する感覚過敏などが含まれる。
前記感覚過敏としては、例えば、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痒み、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痛みなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痒みとしては、例えば、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与するヒスタミン非依存性の痒み、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与するヒスタミン依存性の痒みなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与するヒスタミン非依存性の痒みとしては、例えば、クロロキン、胸腺間質性リンパ球新生因子〔TSLP〕、ウシ副腎髄質ペプチド(8−22)〔BAM 8−22〕、PAR2アゴニストペプチド〔SLIGRL〕などによる痒みなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与するヒスタミン依存性の痒みとしては、例えば、ヒスタミン;肥満細胞などからのヒスタミンの放出を引き起こす物質などによる痒みなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痛みとしては、例えば、アリルイソチオシアネート、プロテアーゼなどのTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種の活性に関連する物質によってTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種を介して引き起こされる痛みなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の皮膚感覚過敏抑制剤は、前記活性抑制剤を含有していることから、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痒みを抑制する用途に用いられる皮膚感覚過敏抑制剤として好適である。また、本発明の皮膚感覚過敏抑制剤は、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与するヒスタミン非依存性の痒みの抑制作用と、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与するヒスタミン依存性の痒みの抑制作用との両方を発現する。したがって、本発明の皮膚感覚過敏抑制剤は、ヒスタミン非依存性の痒みとヒスタミン依存性の痒みの双方を抑制することが求められる用途に用いられることが期待されるものである。
前記痒みを抑制する用途に用いられる皮膚感覚過敏抑制剤が適用される感覚過敏には、皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痛みがさらに含まれていてもよい。すなわち、本発明の皮膚感覚過敏抑制剤が適用される痒みは、皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痛みを伴うものであってもよい。
本発明の皮膚感覚過敏抑制剤は、前記活性抑制剤を含有していることから、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痛みを抑制する用途に用いられる痛み抑制剤であってもよい。
本発明の皮膚感覚過敏抑制剤における前記活性抑制剤の含有量は、皮膚感覚過敏を抑制するのに有効な量であればよい。したがって、本発明の皮膚感覚過敏抑制剤における前記活性抑制剤の含有量は、皮膚感覚過敏抑制剤の用途などに応じて適宜設定することが好ましい。
本発明の皮膚感覚過敏抑制剤には、本発明の目的が妨げられない範囲で、例えば、適切な溶媒、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート化剤、pH調整剤、などの他の成分が配合されていてもよい。
本発明の皮膚感覚過敏抑制剤の剤型としては、例えば、外用散剤などの外用固形剤;リニメント剤、ローション剤などの外用液剤;外用エアゾール剤などのスプレー剤;軟膏剤;クリーム剤;ゲル剤;テープ剤、パップ剤などの貼付剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の皮膚感覚過敏抑制剤の適用対象としては、ヒト、非ヒト哺乳動物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の皮膚感覚過敏抑制剤の用量および適用回数は、前記感覚過敏の種類、適用対象の種類、適用対象の年齢、適用対象の体重などに応じて適宜選択することが好ましい。
本発明の皮膚感覚過敏抑制剤の適用回数は、前記感覚過敏の種類、適用対象の種類、適用対象の年齢、適用対象の体重などに応じて適宜選択することが好ましい。また、本発明の皮膚感覚過敏抑制剤の用法は、本発明の皮膚感覚過敏抑制剤の剤型などに応じて適宜選択することが好ましい。
以下に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
<略語の説明>
NMDG:N−メチル−D−グルカミン
NMDG−Cl:N−メチル−D−グルカミン塩酸塩
EGTA:エチレングリコール四酢酸
HEPES:2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン]エタンスルホン酸
BAPTA:1,2−ビス(o−アミノフェノキシド)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸
ATP−Mg:アデノシン−5’−三リン酸マグネシウム
GTP−Na2:グアノシン−5’−三リン酸二ナトリウム
製造例1
5体積%二酸化炭素を含む雰囲気に保たれ、37℃に維持された加湿チャンバー内において、培地〔和光純薬工業(株)製、商品名:D−MEM high glucose、044−29765;584mg/L L−グルタミン、15mg/Lフェノールレッド、10質量%ウシ胎仔血清(ライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)製、10437−028)、50000ユニット/Lペニシリン/ストレプトマイシン混合物(ライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)製、商品名:Pen Strep、15140−122)および細胞培養用サプリメント(ライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)製、商品名:GlutaMax)を含むDMEM(高グルコース)〕中において、5×10細胞のHEK293T細胞を70〜80%コンフルエンシーになるまで培養した。
つぎに、遺伝子導入用カチオン性脂質〔インビトロジェン社製、商品名:リポフェクタミン(登録商標)〕を用い、マウスANO1(GenBankアクセッション番号:NM_178642)を保持するcDNA0.5μgを前記HEK293T細胞にトランスフェクションすることにより、マウスANO1発現細胞を得た。
製造例2〜6
製造例1において、マウスANO1(GenBankアクセッション番号:NM_178642)を保持するcDNAを用いる代わりに、ヒトANO1(GenBankアクセッション番号:NM_018043)を保持するcDNA(製造例2)、マウスTRPA1(GenBankアクセッション番号:NM_177781)を保持するcDNA(製造例3)、ヒトTRPA1(GenBankアクセッション番号:NM_007332)を保持するcDNA(製造例4)、マウスTRPV4(GenBankアクセッション番号:NM_022017)を保持するcDNA(製造例5)またはヒトTRPV4(GenBankアクセッション番号:NM_021625)を保持するcDNA(製造例6)を用いたことを除き、製造例1と同様の操作を行ない、ヒトANO1発現細胞(製造例2)、マウスTRPA1発現細胞(製造例3)、ヒトTRPA1発現細胞(製造例4)、マウスTRPV4発現細胞(製造例5)またはヒトTRPV4発現細胞(製造例6)を得た。
製造例7
NMDG−Cl、塩化マグネシウム、EGTA、グルコースおよびHEPES緩衝液(pH7.4)を、下記組成:140mM塩化ナトリウム、1mM塩化マグネシウム、5mM EGTA、10mMグルコースおよび10mM HEPES緩衝液となるように混合し、標準バス溶液を得た。
製造例8
NMDG−Cl、塩化マグネシウム、BAPTAおよびHEPES緩衝液(pH7.3)を、下記組成:140mM NMDG−Cl、1mM塩化マグネシウム、5mM BAPTAおよび10mM HEPES緩衝液となるように混合し、ピペットソリューションを得た。また、ピペットソリューソンに含まれるフリーカルシウムを500nMに保持した。
実施例1
製造例7の標準バス溶液に、式(I)で表される化合物である4−イソプロピルシクロヘキサノールをその濃度が3mMとなるように添加し、実施例1のバス溶液を得た。
実施例2および3
実施例1において、式(I)で表される化合物として、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いる代わりにイソプロピルシクロヘキサン(実施例2)または1−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキサン(実施例3)を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、実施例2および3のバス溶液を得た。
比較例1
実施例1において、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いる代わりに式(I)で表わされる化合物ではないシクロヘキサノールを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、比較例1のバス溶液を得た。
実施例4〜8
実施例1において、4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度を3mMとする代わりに0.01mM(実施例4)、0.03mM(実施例5)、0.1mM(実施例6)、0.3mM(実施例7)または1mM(実施例8)としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、実施例4〜8のバス溶液を得た。
試験例1
(1)全細胞電位固定記録法によるマウスANO1電流の測定
製造例1のマウスANO1発現細胞を潅流チャンバーに入れ、製造例7の標準バス溶液にて洗浄した。製造例8のピペットソリューションを含むパッチ電極の先端開口部にマウスANO1発現細胞を吸引して密着させた。その後、マウスANO1発現細胞をさらに強く吸引することによってパッチ膜に穴を開けた。つぎに、潅流チャンバー内の標準バス溶液を実施例1、実施例2または実施例3のバス溶液に置換し、ANO1発現細胞を実施例1、実施例2または実施例3のバス溶液に曝露するとともに、全細胞電位固定記録法にしたがってマウスANO1電流の測定を開始した。曝露開始時から5分間〜10分間経過後に、潅流チャンバー内の実施例1、実施例2または実施例3のバス溶液を製造例7の標準バス溶液に置換し、ANO1発現細胞を製造例7の標準バス溶液で洗浄した。
全細胞電位固定記録法によるマウスTRPA1電流の測定は、パッチクランプ増幅器〔モレキュラーデバイシーズ(Molecular Devices)製、商品名:Axopatch 200B amplifier〕と、データ取得器(アクソン・インスツルメンツ製、商品名:Digidata 1440A)と、データ取得・解析ソフトウェア〔アクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)製、商品名:pCLAMP 10〕とを用い、保持電位:−60mVでのマウスANO1発現細胞におけるマウスANO1電流の経時的変化を記録することにより、全細胞電位固定記録法によるマウスANO1電流の測定を行なった。得られたマウスANO1電流の測定値を用い、マウスANO1の相対電流値を算出した。具体的には、実施例1、実施例2または実施例3のバス溶液におけるマウスANO1電流値を製造例7の標準バス溶液中におけるマウスANO1電流値で除することにより、マウスANO1の相対電流値を算出した。算出されたマウスANO1の相対電流値を用い、マウスANO1の相対電流値の経時的変化を調べた。
試験例1において、マウスANO1の相対電流値の経時的変化を調べた結果を図1(A)に示す。図1(A)中、(a)は前記マウスANO1発現細胞を実施例1のバス溶液に曝露させたとき(4−イソプロピルシクロヘキサノール投与)のマウスANO1の相対電流値の経時的変化、(b)は前記マウスANO1発現細胞を実施例2のバス溶液に曝露させたとき(イソプロピルシクロヘキサン投与)のマウスANO1の相対電流値の経時的変化、(c)は前記マウスANO1発現細胞を実施例3のバス溶液に曝露させたとき(1−イソプロピル−4−メチルシクロヘキサン投与)のマウスANO1の相対電流値の経時的変化を示す。また、図1(A)中、「投与」はANO1発現細胞を実施例1、実施例2または実施例3のバス溶液に曝露している期間、「ウォッシュアウト」は灌流チャンバー内の実施例1、実施例2または実施例3のバス溶液を製造例7の標準バス溶液に置換した後の期間を示す。
図1(A)に示された結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノール(実施例1)、イソプロピルシクロヘキサン(実施例2)または1−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキサン(実施例3)を含むバス溶液を用いたときのマウスANO1の相対電流値は、各バス溶液の曝露前の相対電流値と比べて、著しく減少していることがわかる。したがって、4−イソプロピルシクロヘキサノール、イソプロピルシクロヘキサン、1−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキサンなどの式(I)で表わされる化合物は、ANO1の活性を阻害することがわかる。なお、実施例1、実施例2または実施例3のバス溶液の代わりに比較例1のバス溶液を用いたところ、バス溶液の曝露前後の相対電流値の変化が見られなかった。
また、実施例1の4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液を用いたときのマウスANO1の相対電流値は、実施例2のイソプロピルシクロヘキサンを含むバス溶液または実施例3の1−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキサンを含むバス溶液を用いたときのマウスANO1の相対電流値と比べ、迅速に減少することがわかる〔図1(A)の「投与」参照〕。これらの結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールの作用は、イソプロピルシクロヘキサンおよび1−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキサンそれぞれの作用と比べて迅速に発現することがわかる。
さらに、図1(A)に示された結果から、実施例1の4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液を用いたときのマウスANO1の相対電流値は、灌流チャンバー内の実施例1のバス溶液を製造例7の標準バス溶液に置換した後に増加することがわかる。これに対し、イソプロピルシクロヘキサンを含むバス溶液(実施例2)または1−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキサンを含むバス溶液(実施例3)を用いたときのマウスANO1の相対電流値は、灌流チャンバー内の実施例1のバス溶液を製造例7の標準バス溶液に置換した後に増加しないことがわかる。
(2)4−イソプロピルシクロヘキサノールのIC50値の算出
試験例1(1)において、実施例1、実施例2または実施例3のバス溶液を用いる代わりに実施例1、4〜8の各バス溶液を用いたことを除き、試験例1(1)と同様の操作を行ない、マウスANO1の相対電流値を求めた。
試験例1において、4−イソプロピルシクロヘキサノール濃度とマウスANO1の相対電流値との関係を調べた結果を図1(B)に示す。図1(B)中、「4−iPr−CyH−OH」は4−イソプロピルシクロヘキサノールを示す。
図1(B)に示された用量反応曲線から、4−イソプロピルシクロヘキサノールのIC50値を算出した。その結果、4−イソプロピルシクロヘキサノールのIC50値は、1.09mMであった。
試験例2
試験例1において、マウスANO1発現細胞を用いる代わりにヒトANO1発現細胞を用いたことおよび実施例1、実施例2または実施例3のバス溶液を用いる代わりに実施例1のバス溶液を用いたことを除き、試験例1と同様の操作を行ない、ヒトANO1の相対電流値の経時的変化を調べた。
試験例2において、ヒトANO1の相対電流値の経時的変化を調べた結果を図2に示す。図2中、「投与」はヒトANO1発現細胞に対して実施例1のバス溶液を曝露している期間、「ウォッシュアウト」は灌流チャンバー内の実施例1のバス溶液を製造例7の標準バス溶液に置換した後の期間を示す。図2中、「4−iPr−CyH−OH」は4−イソプロピルシクロヘキサノールを示す。
図2に示された結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液(実施例1)を用いたときのヒトANO1の相対電流値は、4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液(実施例1)を用いたときのマウスANO1の相対電流値(図1参照)と同様の経時的変化を示すことがわかる。また、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いる代わりに式(I)で表わされる他の化合物を用いたときも、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いたときと同様の傾向が見られる。したがって、式(I)で表わされる化合物は、ヒトANO1の活性を抑制することがわかる。なお、実施例1のバス溶液の代わりに比較例1のバス溶液を用いたところ、バス溶液の曝露前後の相対電流値の変化が見られなかった。
製造例9
塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、EGTA、グルコースおよびHEPES緩衝液(pH7.4)を、下記組成:140mM塩化ナトリウム、1mM塩化マグネシウム、5mM EGTA、10mMグルコースおよびHEPES緩衝液となるように混合した。得られた混合液を、標準バス溶液とした。
製造例10
NMDG−Cl、塩化マグネシウム、BAPTAおよびHEPES緩衝液(pH7.3)を、下記組成:140mM NMDG−Cl、1mM塩化マグネシウム、5mM BAPTAおよび10mM HEPES緩衝液となるように混合し、ピペットソリューションを得た。
実施例9
製造例9の標準バス溶液に、アリルイソチオシアネートおよび4−イソプロピルシクロヘキサノールを、前記アリルイソチオシアネートの濃度が300μMおよび前記4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度が3mMとなるように添加し、実施例9のバス溶液を得た。
製造例11
製造例9の標準バス溶液に、アリルイソチオシアネートをその濃度が300μMとなるように添加し、製造例11のバス溶液を得た。
製造例12
塩化ナトリウム、EGTA、グルコースおよびHEPES緩衝液(pH7.4)を、下記組成:140mM塩化ナトリウム、5mM EGTA、10mMグルコースおよびHEPES緩衝液となるように混合した。得られた混合液を、標準バス溶液およびピペットソリューションとした。
実施例10
製造例11の標準バス溶液に、アリルイソチオシアネートおよび4−イソプロピルシクロヘキサノールを、前記アリルイソチオシアネートの濃度が10μMおよび前記4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度が100μMとなるように添加し、実施例10のバス溶液を得た。
製造例13
製造例12の標準バス溶液に、アリルイソチオシアネートをその濃度が10μMとなるように添加し、製造例13のバス溶液を得た。
試験例3
(1)全細胞電位固定記録法によるマウスTRPA1電流の測定
製造例3のマウスTRPA1発現細胞を潅流チャンバーに入れ、製造例9の標準バス溶液にて洗浄した。製造例9の標準バス溶液で洗浄した後、製造例10のピペットソリューションを含むパッチ電極の先端開口部に前記マウスTRPA1発現細胞を吸引し密着させた。その後、さらに強く吸引し、パッチ膜に穴を開けた。つぎに、潅流チャンバー内の標準バス溶液を製造例11のバス溶液に置換するとともに、全細胞電位固定記録法にしたがってマウスTRPA1電流の測定を開始した。バス溶液の置換開始時から15秒間〜30秒間経過後、潅流チャンバー内のバス溶液を実施例9のバス溶液に置換し、マウスTRPA1発現細胞を実施例9のバス溶液に曝露した。マウスTRPA1電流が最小値となった後に、灌流チャンバー内の実施例9のバス溶液を製造例11のバス溶液に置換した。つぎに、再び、マウスTRPA1電流が最大値となるまでマウスTRPA1電流を測定した後、製造例9の標準バス溶液に置換した。
全細胞電位固定記録法によるマウスTRPA1電流の測定は、パッチクランプ増幅器〔モレキュラーデバイシーズ(Molecular Devices)製、商品名:Axopatch 200B amplifier〕と、データ取得器(アクソン・インスツルメンツ製、商品名:Digidata 1440A)と、データ取得・解析ソフトウェア〔アクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)製、商品名:pCLAMP 10〕とを用い、保持電位を−60mVとし、−100〜+100mVで300ミリ秒間のランプパルスをパッチ電極に与え、電流の経時的変化を記録することによって行なった。
また、アリルイソチオシアネートの投与後のアリルイソチオシアネート誘導マウスTRPA1電流の最大値を細胞膜の静電容量で除することにより、4−イソプロピルシクロヘキサノールを投与していないときのマウスTRPA1電流密度を求めた。また、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与後、アリルイソチオシアネート誘導マウスTRPA1電流の最小値を細胞膜の静電容量で除することにより、4−イソプロピルシクロヘキサノールを投与したときのマウスTRPA1電流密度を求めた。
試験例3(1)において、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与前後のアリルイソチオシアネート誘導マウスTRPA1電流の経時的変化を調べた結果を図3(A)、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与の有無とマウスTRPA1電流密度との関係を調べた結果を図3(B)に示す。図3(A)および(B)中、「4−iPr−CyH−OH」は4−イソプロピルシクロヘキサノール、「AITC」はアリルイソチオシアネートを示す。また、図3(B)中、レーン1は4−イソプロピルシクロヘキサノールを投与していないときのアリルイソチオシアネート誘導マウスTRPA1電流密度、レーン2は4−イソプロピルシクロヘキサノールを投与したときのアリルイソチオシアネート誘導マウスTRPA1電流密度を示す。
図3(A)に示された結果から、アリルイソチオシアネートの投与によって誘導されたマウスTRPA1電流は、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与後に減少していることがわかる。また、図3(B)に示された結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールを投与したときのアリルイソチオシアネート誘導マウスTRPA1電流密度(レーン2)は、4−イソプロピルシクロヘキサノールを投与していない場合アリルイソチオシアネート誘導マウスTRPA1電流密度(レーン1)よりも低いことがわかる。これらの結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、アリルイソチオシアネートによるマウスTRPA1電流の誘導を阻害することがわかる。なお、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いる代わりに式(I)で表わされる他の化合物を用いたときも、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いたときと同様の傾向が見られる。したがって、式(I)で表わされる化合物は、マウスTRPA1の活性を抑制することがわかる。
(2)単一チャネル電位固定記録法によるマウスTRPA1電流の測定
製造例3のマウスTRPA1発現細胞を灌流チャンバーに入れ、製造例12の標準バス溶液にて洗浄した。洗浄後、製造例12のピペットソリューションを含むパッチ電極の先端開口部に前記マウスTRPA1発現細胞を吸引密着させ、パッチ膜を引きはがして前記先端開口部にインサイド−アウトのパッチ膜を形成した。つぎに、灌流チャンバー内の標準バス溶液を製造例13のバス溶液に置換した。バス溶液の置換開始時から1〜3分間経過後、潅流チャンバー内のバス溶液を実施例10のバス溶液に置換し、マウスTRPA1発現細胞を実施例10のバス溶液に曝露した。曝露開始時から1分間経過後に、潅流チャンバー内の実施例10のバス溶液を製造例12の標準バス溶液に置換した。
パッチクランプ増幅器〔モレキュラーデバイシーズ(Molecular Devices)製、商品名:Axopatch 200B amplifier〕と、データ取得器(アクソン・インスツルメンツ製、商品名:Digidata 1440A)と、データ取得・解析ソフトウェア〔アクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)製、商品名:pCLAMP 10〕とを用い、保持電位を−60mVとしたときの電流の経時的変化を記録することにより、単一チャネル電位固定記録法よるマウスTRPA1電流を測定した。得られたマウスTRPA電流の測定値に基づき、マウスTRPA1電流の振幅ヒストグラムを作成した。前記振幅ヒストグラムを用い、マウスTRPA1電流の振幅の大きさ(pA)の平均値、マウスTRPA1の開口時間の平均値およびマウスTRPA1の閉口時間の平均値を算出した。
また、前記において、実施例10のバス溶液を用いる代わりに製造例13のバス溶液を用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、マウスTRPA1電流の振幅の大きさ(pA)の平均値、マウスTRPA1の開口時間の平均値およびマウスTRPA1の閉口時間の平均値を算出した。
試験例3において、4−イソプロピルシクロヘキサノールの有無とマウスTRPA1電流の振幅の大きさとの関係を調べた結果を図4(A)、4−イソプロピルシクロヘキサノールの有無とマウスTRPA1の開口時間との関係を調べた結果を図4(B)、4−イソプロピルシクロヘキサノールの有無とマウスTRPA1の閉口時間との関係を調べた結果を図4(C)に示す。図4(A)において、レーン1は4−イソプロピルシクロヘキサノールの非存在下でのマウスTRPA1電流の振幅の大きさ、レーン2は4−イソプロピルシクロヘキサノールの存在下でのマウスTRPA1電流の振幅の大きさを示す。図4(B)において、レーン1は4−イソプロピルシクロヘキサノールの非存在下でのマウスTRPA1の開口時間、レーン2は4−イソプロピルシクロヘキサノールの存在下でのマウスTRPA1の開口時間を示す。図4(C)において、レーン1は4−イソプロピルシクロヘキサノールの非存在下でのマウスTRPA1の閉口時間、レーン2は4−イソプロピルシクロヘキサノールの存在下でのマウスTRPA1の閉口時間を示す。
図4(A)に示された結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールの非存在下でのマウスTRPA1電流の振幅の大きさ(レーン1参照)と、4−イソプロピルシクロヘキサノールの存在下でのマウスTRPA1電流の振幅の大きさ(レーン2)とは、ほとんど同程度であることがわかる。これらの結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、マウスTRPA1のコンダクタンスに影響を与えないことがわかる。
図4(B)および図4(C)に示された結果について、スチューデントt検定を行なった。図4(B)に示された結果において、スチューデントのt検定のp値は、0.01未満であった。したがって、この結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールの非存在下でのマウスTRPA1の開口時間と、4−イソプロピルシクロヘキサノールの存在下でのマウスTRPA1の開口時間との間には、有意な差があることが示唆される。一方、図4(C)に示された結果において、スチューデントのt検定のp値は、0.068であった。したがって、この結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールの非存在下でのマウスTRPA1の閉口時間と、4−イソプロピルシクロヘキサノールの存在下でのマウスTRPA1の閉口時間との間には、有意な差がないことが示唆される。これらの結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、マウスTRPA1のゲーティングに影響を与えることがわかる。
これらの結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、マウスTRPA1におけるコンダクタンスに影響を与えないが、マウスTRPA1のゲーティングに影響を与えることがわかる。
試験例4
試験例3(1)において、製造例3のマウスTRPA1発現細胞を用いる代わりに製造例4のヒトTRPA1発現細胞を用いたことを除き、試験例3(1)と同様の操作を行ない、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与前後のアリルイソチオシアネート誘導ヒトTRPA1電流の経時的変化および4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与の有無とヒトTRPA1電流密度との関係を調べた。
試験例4において、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与前後のアリルイソチオシアネート誘導ヒトTRPA1電流の経時的変化を調べた結果を図5(A)、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与の有無とヒトTRPA1電流密度との関係を調べた結果を図5(B)に示す。図5(A)中、「4−iPr−CyH−OH」は4−イソプロピルシクロヘキサノール、「AITC」はアリルイソチオシアネートを示す。また、図5(B)中、レーン1は4−イソプロピルシクロヘキサノールを投与していないときのヒトTRPA1電流密度、レーン2は4−イソプロピルシクロヘキサノールを投与したときのヒトTRPA1電流密度を示す。
図5(A)に示された結果から、アリルイソチオシアネートの投与によって誘導されたヒトTRPA1電流は、マウスTRPA1電流と同様に、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与後に減少していることがわかる。また、図5(B)に示された結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールを投与したときのアリルイソチオシアネート誘導ヒトTRPA1電流密度(レーン2)は、4−イソプロピルシクロヘキサノールを投与していないときのアリルイソチオシアネート誘導ヒトTRPA1電流密度(レーン1)よりも低いことがわかる。これらの結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、アリルイソチオシアネートによるヒトTRPA1電流の誘導を阻害することがわかる。なお、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いる代わりに式(I)で表わされる他の化合物を用いたときも、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いたときと同様の傾向が見られる。したがって、式(I)で表わされる化合物は、ヒトTRPA1の活性を抑制することがわかる。
実施例11
製造例9の標準バス溶液に、TRPV4アゴニスト(GSK1016790A)および4−イソプロピルシクロヘキサノールを、前記TRPV4アゴニスト(GSK1016790A)の濃度が300nMおよび前記4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度が3mMとなるように添加し、実施例11のバス溶液を得た。
製造例14
製造例9の標準バス溶液に、TRPV4アゴニスト(GSK1016790A)をその濃度が300nMとなるように添加し、製造例14のバス溶液を得た。
試験例5
製造例5のマウスTRPV4発現細胞を灌流チャンバーに入れ、製造例9の標準バス溶液にて洗浄した。製造例9の標準バス溶液で洗浄した後、製造例10のピペットソリューションを含むパッチ電極の先端開口部に前記マウスTRPV4発現細胞を吸引し密着させた。その後、マウスTRPV4発現細胞をさらに強く吸引し、パッチ膜に穴を開けた。つぎに、灌流チャンバー内の標準バス溶液を製造例14のバス溶液に置換するとともに、全細胞電位固定記録法にしたがってマウスTRPV4電流の測定を開始した。バス溶液の置換開始時から30秒間経過後、灌流チャンバー内のバス溶液を実施例11のバス溶液に置換し、マウスTRPV4発現細胞を実施例11のバス溶液に曝露した。マウスTRPV4電流が最小値となった後に、灌流チャンバー内の実施例11のバス溶液を製造例14のバス溶液に置換した。バス溶液の置換開始時から1分間経過後、製造例9の標準バス溶液に置換した。
全細胞電位固定記録法によるマウスTRPV4電流の測定は、パッチクランプ増幅器〔モレキュラーデバイシーズ(Molecular Devices)製、商品名:Axopatch 200B amplifier〕と、データ取得器(アクソン・インスツルメンツ製、商品名:Digidata 1440A)と、データ取得・解析ソフトウェア〔アクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)製、商品名:pCLAMP 10〕とを用い、保持電位:−60mVで、−100〜+100mVで300ミリ秒間のランプパルスをパッチ電極に与えたときのマウスTRPV4発現細胞におけるマウスTRPV4電流の経時的変化を記録することによって行なった。
また、前記において、製造例5のマウスTRPV4発現細胞を用いる代わりに製造例6のヒトTRPV4発現細胞を用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、ヒトTRPV4電流の経時的変化を測定した。
試験例5において、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与前後のGSK1016790A誘導マウスTRPV4電流の経時的変化を調べた結果を図6(A)、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与前後のGSK1016790A誘導ヒトTRPV4電流の経時的変化を調べた結果を図6(B)に示す。図6(A)および(B)中、「4−iPr−CyH−OH」は4−イソプロピルシクロヘキサノール、「GSK101」はTRPV4アゴニスト(GSK1016790A)を示す。
図6(A)および(B)に示された結果から、TRPV4アゴニスト(GSK1016790A)の投与によって誘導されたマウスTRPV4電流およびヒトTRPV4電流は、それぞれ、4−イソプロピルシクロヘキサノールの投与後に減少していることがわかる。したがって、これらの結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、TRPV4アゴニスト(GSK1016790A)によるマウスTRPV4電流およびヒトTRPV4電流の誘導を阻害することがわかる。なお、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いる代わりに式(I)で表わされる他の化合物を用いたときも、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いたときと同様の傾向が見られる。したがって、式(I)で表わされる化合物は、マウスTRPV4の活性およびヒトTRPV4の活性を抑制することがわかる。
以上説明したように、4−イソプロピルシクロヘキサノールなどの式(I)で表わされる化合物は、TRPA1アゴニストによって誘導されたTRPA1電流、TRPV4アゴニストによって誘導されたTRPV4電流およびANO1アゴニストによって誘導されたANO1電流を阻害することから、TRPA1、TRPV4およびANO1の活性を抑制することがわかる。なお、TRPA1、TRPV4およびANO1の活性と痒みとの関係を調べたところ、両者には相関関係が見られることから、痒みの発生に関与していると考えられる。また、TRPA1、TRPV4およびANO1の活性と痛みとの関係を調べたところ、両者には相関関係が見られることから、痛みの発生に関与していると考えられる。したがって、4−イソプロピルシクロヘキサノールなどの式(I)で表わされる化合物は、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痒み、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痛みなどの感覚過敏を抑制することが示唆される。
実施例12
0.9質量% 塩化ナトリウムを含む生理食塩水溶液に4−イソプロピルシクロヘキサノールと、ヒスタミン非依存性の痒みを引き起こす発痒物質とを添加し、実施例12の被験試料を得る。
比較例2
0.9質量% 塩化ナトリウムを含む生理食塩水溶液にヒスタミン非依存性の痒みを引き起こす発痒物質を添加し、比較例2の被験試料を得る。
試験例6
30ゲージ針を付けた50μL容量ハミルトンシリンジを用い、C57/BL6NCrマウスの背部に実施例12の被験試料または比較例2の被験試料50μLを皮下注射する。デジタルカメラを用い、被験試料の注射終了時から30分間における前記マウスによる引っ掻き行動時間を測定する。測定結果をマン・ホイットニーのU検定によって統計解析する。p値が0.05未満である場合を統計学的に有意な差があるとして判断する。
その結果、実施例10の4−イソプロピルシクロヘキサノールを含む被験試料を投与したときのマウスの引っ掻き行動時間は、4−イソプロピルシクロヘキサノールを含まない比較例2の被験試料を投与したときのマウスの引っ掻き行動時間と比べ、著しく短いことを確認することができる。これらの結果から、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与するヒスタミン非依存性の痒みに対する鎮痒作用を有することを確認することができる。
実施例13
0.9質量% 塩化ナトリウムを含む生理食塩水溶液に4−イソプロピルシクロヘキサノールと、TRPA1、TRPV4およびANO1を活性化して痛みを引き起こす発痛物質とを添加し、実施例13の被験試料を得る。
比較例3
0.9質量% 塩化ナトリウムを含む生理食塩水溶液にTRPA1、TRPV4およびANO1を活性化して痛みを引き起こす発痛物質を添加し、比較例3の被験試料を得る。
試験例7
30ゲージ針を付けた25μL容量ハミルトンシリンジを用い、C57/BL6NCrマウスの後脚の先端に実施例13の被験試料または比較例3の被験試料10μLを皮下注射する。デジタルカメラを用い、発痛物質を含む被験試料の注射終了時から5分間(発痛物質投与後5分間)における前記マウスによる足舐め時間を測定する。測定結果をマン・ホイットニーのU検定によって統計解析する。p値が0.05未満である場合を統計学的に有意な差があるとして判断する。
その結果、実施例13の4−イソプロピルシクロヘキサノールを含む被験試料を投与したときのマウスの足舐め時間は、比較例3の4−イソプロピルシクロヘキサノールを含まない被験試料を投与したときの足舐め時間と比べて著しく短いことを確認することができる。したがって、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痛みに対する鎮痛作用を有することを確認することができる。
実施例14〜18
実施例9において、4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度を3mMとする代わりに0.01mM(実施例14)、0.03mM(実施例15)、0.1mM(実施例16)、0.3mM(実施例17)または1mM(実施例18)としたことを除き、実施例9と同様の操作を行ない、実施例14〜18のバス溶液を得た。
試験例8
製造例3のマウスTRPA1発現細胞を潅流チャンバーに入れ、製造例9の標準バス溶液で洗浄した。製造例10のピペットソリューションを含むパッチ電極の先端開口部に前記マウスTRPA1発現細胞を吸引し密着させた。その後、マウスTRPA1発現細胞をさらに強く吸引することによってパッチ膜に穴を開けた。つぎに、潅流チャンバー内の標準バス溶液を製造例11のバス溶液に置換するとともに、全細胞電位固定記録法にしたがってマウスTRPA1電流の測定を開始した。バス溶液の置換開始時から15〜30秒間経過後、潅流チャンバー内のバス溶液を実施例9、実施例14〜18の各バス溶液に置換し、マウスTRPA1発現細胞を実施例9、実施例14〜18の各バス溶液に曝露した。マウスTRPA1電流が最小値となった後に、灌流チャンバー内の実施例9、実施例14〜18の各バス溶液を製造例11のバス溶液に置換した。つぎに、再び、マウスTRPA1電流が最大値となるまでマウスTRPA1電流を測定した後、製造例9の標準バス溶液に置換した。
全細胞電位固定記録法によるマウスTRPA1電流の測定は、パッチクランプ増幅器〔モレキュラーデバイシーズ(Molecular Devices)製、商品名:Axopatch 200B amplifier〕と、データ取得器(アクソン・インスツルメンツ製、商品名:Digidata 1440A)と、データ取得・解析ソフトウェア〔アクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)製、商品名:pCLAMP 10〕とを用い、保持電位:−60mVで、−100〜+100mVで300ミリ秒間のランプパルスをパッチ電極に与え、電流の経時的変化を記録することによって行なった。
得られたマウスTRPA1電流の測定値を用い、マウスTRPA1の相対電流値を算出した。具体的には、実施例9、実施例14〜18の各バス溶液を用いたときのマウスTRPA1電流値を製造例11の標準バス溶液中におけるマウスTRPA1電流値で除することにより、マウスTRPA1の相対電流値を算出した。
また、前記において、製造例3のマウスTRPA1発現細胞を用いる代わりに製造例4のヒトTRPA1発現細胞を用いたことを除き、試験例7と同様の操作を行ない、ヒトTRPA1の相対電流値を算出した。
試験例8において、4−イソプロピルシクロヘキサノール濃度とマウスTRPA1の相対電流値との関係を調べた結果を図7(A)、4−イソプロピルシクロヘキサノール濃度とヒトTRPA1の相対電流値との関係を調べた結果を図7(B)に示す。図中、「4−iPr−CyH−OH」は4−イソプロピルシクロヘキサノールを示す。
図7(A)に示された結果から、バス溶液における4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度が高いほど、マウスTRPA1の相対電流値が高い傾向が見られることがわかる。したがって、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、マウスTRPA1を用量依存的に阻害することがわかる。また、図7(A)に示された用量反応曲線に基づき、マウスTRPA1に対する4−イソプロピルシクロヘキサノールのIC50値を算出した。その結果、マウスTRPA1に対する4−イソプロピルシクロヘキサノールのIC50値は、0.23mMであった。
図7(B)に示された結果から、バス溶液における4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度が高いほど、ヒトTRPA1の相対電流値が高い傾向が見られることがわかる。したがって、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、ヒトTRPA1を用量依存的に阻害することがわかる。また、図7(B)に示された用量反応曲線に基づき、ヒトTRPA1に対する4−イソプロピルシクロヘキサノールのIC50値を算出した。その結果、ヒトTRPA1に対する4−イソプロピルシクロヘキサノールのIC50値は、1.25mMであった。
実施例19〜22
製造例9の標準バス溶液に、TRPV4アゴニスト(GSK1016790A)および4−イソプロピルシクロヘキサノールを、前記TRPV4アゴニスト(GSK1016790A)の濃度が300μMおよび前記4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度が0.3mM(実施例19)、1mM(実施例20)、2mM(実施例21)または3mM(実施例22)となるように添加し、実施例19〜22のバス溶液を得た。
製造例15
製造例9の標準バス溶液に、TRPV4アゴニスト(GSK1016790A)をその濃度が300μMとなるように添加し、製造例15のバス溶液を得た。
試験例9
製造例5のマウスTRPV4発現細胞を灌流チャンバーに入れ、製造例9の標準バス溶液で洗浄した。つぎに、製造例10のピペットソリューションを含むパッチ電極の先端開口部に前記マウスTRPV4発現細胞を吸引し密着させた。その後、マウスTRPV4発現細胞をさらに強く吸引することによってパッチ膜に穴を開けた。つぎに、灌流チャンバー内の標準バス溶液を製造例15のバス溶液に置換するとともに、全細胞電位固定記録法にしたがってマウスTRPV4電流の測定を開始した。バス溶液の置換開始時から30秒間経過後、灌流チャンバー内のバス溶液を実施例19〜22の各バス溶液に置換し、マウスTRPV4発現細胞を実施例19〜22の各バス溶液に曝露した。マウスTRPV4電流が最小値となった後に、灌流チャンバー内の実施例19〜22のバス溶液を製造例15のバス溶液に置換した。置換開始時から1分間経過後、製造例9の標準バス溶液に置換した。
全細胞電位固定記録法によるマウスTRPV4電流の測定は、パッチクランプ増幅器〔モレキュラーデバイシーズ(Molecular Devices)製、商品名:Axopatch 200B amplifier〕と、データ取得器(アクソン・インスツルメンツ製、商品名:Digidata 1440A)と、データ取得・解析ソフトウェア〔アクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)製、商品名:pCLAMP 10〕とを用い、保持電位:−60mVで、−100〜+100mVで300ミリ秒間のランプパルスをパッチ電極に与えたときのマウスTRPV4発現細胞におけるマウスTRPV4電流の経時的変化を記録することによって行なった。
得られたマウスTRPV4電流の測定値を用い、マウスTRPV4の相対電流値を算出した。具体的には、実施例19〜22の各バス溶液を用いたときのマウスTRPV4電流値を製造例9の標準バス溶液中におけるマウスTRPV4電流値で除することにより、マウスTRPV4の相対電流値を算出した。
また、前記において、製造例5のマウスTRPV4発現細胞を用いる代わりに製造例6のヒトTRPV4発現細胞を用いたことおよび実施例19〜22の各バス溶液を用いる代わりに実施例20〜22の各バス溶液を用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、ヒトTRPV4の相対電流値を算出した。
試験例9において、マウスTRPV4の相対電流値の経時的変化を調べた結果を図8(A)、ヒトTRPV4の相対電流値の経時的変化を調べた結果を図8(B)に示す。図8(A)中、(a)は実施例19の0.3mM 4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液にマウスTRPV4発現細胞を曝露させたときのマウスTRPV4の相対電流値の経時的変化、(b)は実施例20の1mM 4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液にマウスTRPV4発現細胞を曝露させたときのマウスTRPV4の相対電流値の経時的変化、(c)は実施例21の2mM 4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液にマウスTRPV4発現細胞を曝露させたときのマウスTRPV4の相対電流値の経時的変化、(d)は実施例22の3mM 4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液にマウスTRPV4発現細胞を曝露させたときのマウスTRPV4の相対電流値の経時的変化を示す。図8(A)中、「投与」は実施例19〜22の各バス溶液にマウスTRPV4発現細胞を曝露している期間を示す。また、図8(B)中、(a)は実施例20の1mM 4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液にマウスTRPV4発現細胞を曝露させたときのマウスTRPV4の相対電流値の経時的変化、(b)は実施例21の2mM 4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液にマウスTRPV4発現細胞を曝露させたときのマウスTRPV4の相対電流値の経時的変化、(c)は実施例22の3mM 4−イソプロピルシクロヘキサノールを含むバス溶液にマウスTRPV4発現細胞を曝露させたときのマウスTRPV4の相対電流値の経時的変化を示す。図8(B)中、「投与」は実施例20〜22の各バス溶液にヒトTRPV4発現細胞を曝露している期間を示す。
図8(A)に示された結果から、バス溶液における4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度が高いほど、マウスTRPV4の相対電流値が高い傾向が見られることがわかる。したがって、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、マウスTRPV4の活性を用量依存的に抑制することがわかる。また、図8(B)に示された結果から、バス溶液における4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度が高いほど、ヒトTRPV4の相対電流値が高い傾向が見られることがわかる。
実施例23
0.9質量% 塩化ナトリウムを含む生理食塩水溶液に4−イソプロピルシクロヘキサノールおよびクロロキンを4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度が3mMおよびクロロキンの濃度が200μg/50μLとなるように添加し、実施例23の被験試料を得た。
比較例4
0.9質量% 塩化ナトリウムを含む生理食塩水溶液にクロロキンをその濃度が200μg/50μLとなるように添加し、比較例4の被験試料を得た。
試験例10
4匹の10週齢の雄のC57/BL6NCrマウスをゲージに入れて1〜2時間飼育することにより、各C57/BL6NCrマウスをゲージ内の環境に順化させた。29ゲージ針を付けた500μL容量のシリンジ〔テルモ(株)製、商品名:マイジェクター〕を用い、各C57/BL6NCrマウスの頸背部に実施例23の被験試料50μLを皮内注射によって投与した。被験試料の投与終了時から1分間経過時までの間における各C57/BL6NCrマウスの引っ掻き動作の回数を測定した。つぎに、4匹のC57/BL6NCrマウスの引っ掻き動作の回数の平均値を求めた。
また、前記において、実施例23の被験試料の代わりに比較例4の被験試料を用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、引っ掻き動作の回数の平均値を求めた。
実施例23および比較例4の各被験試料の投与したときのC57/BL6NCrマウスの引っ掻き動作の回数を調べた結果を表1に示す。
表1に示された結果から、実施例23の4−イソプロピルシクロヘキサノールを含む被験試料を投与したときのマウスの引っ掻き動作の回数は、比較例4の4−イソプロピルシクロヘキサノールを含まない被験試料を投与したときのマウスの引っ掻き動作の回数と比べ、著しく少ないことがわかる。測定結果をマン・ホイットニーのU検定によって統計解析した。その結果、p値が0.05未満であったことから、実施例23の被験試料を投与したときのマウスの引っ掻き動作の回数と比較例4の被験試料を投与したときのマウスの引っ掻き動作の回数との間には、統計学的に有意な差があると判断された。クロロキンに起因する痒みは、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与するヒスタミン非依存性の痒みの1つであると考えられる。したがって、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、ヒスタミン非依存性の痒みの1つであるクロロキンに起因する痒みに対する鎮痒作用を有することがわかる。なお、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いる代わりに式(I)で表わされる他の化合物を用いたときも、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いたときと同様の傾向が見られる。
これらの結果から、式(I)で表わされる化合物は、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痒みを抑制することが示唆される。
実施例24
0.9質量% 塩化ナトリウムを含む生理食塩水溶液に4−イソプロピルシクロヘキサノールおよびヒスタミンを4−イソプロピルシクロヘキサノールの濃度が3mMおよびヒスタミンの濃度が111.15ng/50μLとなるように添加し、実施例24の被験試料を得た。
比較例5
0.9質量% 塩化ナトリウムを含む生理食塩水溶液にクロロキンをその濃度がヒスタミンの濃度が111.15ng/50μLとなるように添加し、比較例5の被験試料を得た。
試験例11
8匹の6週齢の雄のICRマウスをゲージに入れて1〜2時間飼育することにより、各ICRマウスを環境に純化させた。29ゲージ針を付けた500μL容量のシリンジ〔テルモ(株)製、商品名:マイジェクター〕を用い、各ICRマウスの頸背部に実施例24の被験試料50μLを皮内注射によって投与した。デジタルカメラを用い、被験試料の投与終了時から5分間経過時までの間における各ICRマウスの引っ掻き動作の回数を測定した。つぎに、8匹のICRマウスの引っ掻き動作の回数の平均値を求めた。
また、前記において、8匹のICRマウスを用いる代わりに11匹のICRマウスを用いたことおよび実施例24の被験試料の代わりに比較例5の被験試料を用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、引っ掻き動作の回数の平均値を求めた。
実施例24および比較例5の各被験試料を投与したときのICRマウスの引っ掻き動作の回数を調べた結果を表2に示す。
表1に示された結果から、実施例24の4−イソプロピルシクロヘキサノールを含む被験試料を投与したときのマウスの引っ掻き動作の回数は、4−イソプロピルシクロヘキサノールを含まない比較例5の被験試料を投与したときのマウスの引っ掻き動作の回数と比べ、著しく少ないことがわかる。したがって、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、ヒスタミン依存性の痒みに対する鎮痒作用を有することがわかる。なお、測定結果をマン・ホイットニーのU検定によって統計解析した。その結果、p値が0.05未満であったことから、実施例24の被験試料を投与したときのマウスの引っ掻き動作の回数と比較例5の被験試料を投与したときのマウスの引っ掻き動作の回数との間には、統計学的に有意な差があると判断された。ヒスタミンに起因する痒みは、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痒みの1つであると考えられる。したがって、4−イソプロピルシクロヘキサノールは、ヒスタミン依存性の痒みに対する鎮痒作用を有することがわかる。なお、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いる代わりに式(I)で表わされる他の化合物を用いたときも、4−イソプロピルシクロヘキサノールを用いたときと同様の傾向が見られる。
以上説明したように、式(I)で表わされる化合物は、TRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痒みを抑制することが示唆される。

Claims (5)

  1. TRPA1、TRPV4およびANO1それぞれの活性を抑制するための活性抑制剤であって、有効成分として式(I):
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基を示す)
    で表わされる化合物を含有してなる活性抑制剤。
  2. 式(I)において、Rが水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基であり、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10が水素原子である請求項1に記載の活性抑制剤。
  3. 皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する感覚過敏を抑制するための皮膚感覚過敏抑制剤であって、有効成分として請求項1または2に記載の活性抑制剤を含有してなる皮膚感覚過敏抑制剤。
  4. 前記感覚過敏が、皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痒みである請求項3に記載の皮膚感覚過敏抑制剤。
  5. 前記感覚過敏が、皮膚におけるTRPA1、TRPV4およびANO1からなる群より選ばれた少なくとも1種が関与する痛みをさらに含む請求項3または4に記載の皮膚感覚過敏抑制剤。
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