JP2018113952A - タンパク質セット、タンパク質、遺伝子セット、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、及びボトリオコッセンの合成方法 - Google Patents

タンパク質セット、タンパク質、遺伝子セット、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、及びボトリオコッセンの合成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ボトリオコッセン合成経路において、共通の前駆体からスクアレンが合成されることによる、ボトリオコッセンの生産量低下を抑制する方法の提供。
【解決手段】プレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードする特定の塩基配列を有するDNAと、ボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするの特定の塩基配列を有するDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結された構造とされている遺伝子セット、遺伝子セットによってコードされるタンパク質セット、遺伝子セットを有する発現ベクター、遺伝子セットが導入された形質転換酵母、形質転換酵母を培養しボトリオコッセンを回収するボトリオコッセンの合成方法。
【選択図】図1

Description

本開示は、タンパク質セット、タンパク質、遺伝子セット、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、及びボトリオコッセンの合成方法に関する。
スクアレンはサメの肝油の主成分として知られ、食品だけでなく化粧品の原料としても利用されている。一方、ボトリオコッセンはバイオ燃料として近年注目され、研究が行われている。
ボトリオコッセンは、化学合成が困難な天然化合物である。例えば、非特許文献1では、ボトリオコッセンの合成に関する遺伝子を酵母に導入することによって、ボトリオコッセンを合成する技術が開示されている。具体的には、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する酵素をコードするプレスクアレン二リン酸合成酵素遺伝子と、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する酵素をコードするボトリオコッセン合成酵素遺伝子と、を酵母に導入している。
プレスクアレン二リン酸合成酵素遺伝子としては、squalene synthase−like 1遺伝子(以下、SSL−1遺伝子ともいう)を用いている。ボトリオコッセン合成酵素遺伝子としては、squalene synthase−like 3遺伝子(以下、SSL−3遺伝子ともいう)を用いている。
Tom D. Niehausら、「Identification of unique mechanisms for triterpene biosynthesis in Botryococcus braunii」、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、2011年、第108巻、p.12260−12265
炭素数30のボトリオコッセンはその化学構造や分子量等スクアレンと似た点が多く、スクアレンと同様に様々な用途が期待されている。その用途を研究するためには、ボトリオコッセンの生産量が高いことが要求されている。
しかしながら、非特許文献1では、SSL−1遺伝子及びSSL−3遺伝子を導入した酵母は、ボトリオコッセンだけでなく、スクアレンを副産物として合成する。ファルネシル二リン酸からプレスクアレン二リン酸を合成しプレスクアレン二リン酸からボトリオコッセンを合成する経路であるボトリオコッセン合成経路において、ボトリオコッセン及びスクアレンはどちらもファルネシル二リン酸を前駆物質として合成される。そのため、スクアレンの合成によって、ボトリオコッセンの生産量が低下する恐れがあった。
本開示は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、ボトリオコッセン合成経路においてボトリオコッセンの生産量が低下するのを抑制することを目的とする。
本件発明者らは、上記課題の解決のために鋭意研究した結果、ボトリオコッセンの生産量を増加させる新規なプレスクアレン二リン酸合成酵素遺伝子を見出し、本開示を完成した。
すなわち、下記に本開示の一態様を提供する。
〔1〕(a1)又は(b1)のいずれか一方に示すタンパク質と、(c1)に示すタンパク質とを含み、ファルネシル二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質セット。
(a1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b1)配列番号2に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質。
(c1)ドメイン1〜5のアミノ酸配列を有し、ボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質。ドメイン1のアミノ酸配列は、配列番号19に記載の配列又は配列番号19に記載の配列と99%以上の配列同一性をもち、ドメイン2のアミノ酸配列は、配列番号20に記載の配列又は配列番号20に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、ドメイン3のアミノ酸配列は、配列番号21に記載の配列又は配列番号21に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、ドメイン4のアミノ酸配列は、配列番号22に記載の配列又は配列番号22に記載の配列と93%以上の配列同一性をもち、ドメイン5のアミノ酸配列は、配列番号23に記載の配列又は配列番号23に記載の配列と92%以上の配列同一性をもつ。
〔2〕(a2)又は(b2)のいずれか一方に示すタンパク質。
(a2)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b2)配列番号2に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質。
〔3〕(d2)又は(e2)のいずれか一方に示すタンパク質。
(d2)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(e2)配列番号4に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質。
〔4〕(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子と、(k1)に示すDNAからなる遺伝子と、を含む遺伝子セット。
(g1)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA。
(h1)配列番号1に記載の塩基配列と配列同一性が81%以上の塩基配列を有し、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(i1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(j1)配列番号2に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(k1)ドメイン1〜5のアミノ酸配列を有し、ボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。ドメイン1のアミノ酸配列は、配列番号19に記載の配列又は配列番号19に記載の配列と99%以上の配列同一性をもち、ドメイン2のアミノ酸配列は、配列番号20に記載の配列又は配列番号20に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、ドメイン3のアミノ酸配列は、配列番号21に記載の配列又は配列番号21に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、ドメイン4のアミノ酸配列は、配列番号22に記載の配列又は配列番号22に記載の配列と93%以上の配列同一性をもち、ドメイン5のアミノ酸配列は、配列番号23に記載の配列又は配列番号23に記載の配列と92%以上の配列同一性をもつ。
〔5〕(g2)〜(j2)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子。
(g2)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA。
(h2)配列番号1に記載の塩基配列と配列同一性が81%以上の塩基配列を有し、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(i2)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(j2)配列番号2に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
〔6〕(l2)〜(o2)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子。
(l2)配列番号3に記載の塩基配列を有するDNA。
(m2)配列番号3に記載の塩基配列と配列同一性が79%以上の塩基配列を有し、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(n2)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(o2)配列番号4に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
〔7〕遺伝子セットを有する発現ベクター。当該遺伝子セットは、前記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAと、前記(k1)に示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結された構造とされている。
〔8〕前記〔5〕及び前記〔6〕に記載の遺伝子が導入された形質転換体。
〔9〕遺伝子セットが導入された形質転換体。当該遺伝子セットは、前記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAと、前記(k1)に示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結された構造とされている。
〔10〕前記〔8〕又は前記〔9〕に記載の形質転換体を培養する工程、及び培養された前記形質転換体からボトリオコッセンを回収する工程を含む、ボトリオコッセンの合成方法。
本開示によれば、(a1)又は(b1)に示す新規なプレスクアレン二リン酸合成酵素及び(c1)に示すタンパク質のタンパク質セットが提供される。また、本開示によれば、(g1)〜(j1)に示すDNAからなる新規なプレスクアレン二リン酸合成酵素遺伝子及び(k1)に示すDNAからなる遺伝子の遺伝子セットが提供される。
本開示のタンパク質セットは、例えば本開示の遺伝子セットを酵母に導入することで、発現される。このとき、例えば非特許文献1で用いられたSSL−1及びSSL−3の遺伝子を導入しこれらのタンパク質が発現された場合に比べて、ボトリオコッセンを多く生産することができる。
図1は本開示によるボトリオコッセン合成経路を示す図である。 図2は藻体の生育過程を示す図である。 図3はMH1SSL−1,3のアミノ酸配列を示す図である。 図4はMH1SSL−1+SHSSL−3のアミノ酸配列を示す図である。 図5はSHSSL−1,3のアミノ酸配列を示す図である。 図6は発現ベクターを示す図である。 図7はオイル生産能力の比較実験結果を示す図である。 図8はMH1SSL−3タンパク質、SHSSL−3タンパク質、及びスクアレン合成酵素におけるドメイン1〜5を示す図である。
ボトリオコッセン合成経路について、図1を用いて説明する。図中、ファルネシル二リン酸はfarnesyl pyrophosphateの略語であるFPPで示し、プレスクアレン二リン酸はpresqualene pyrophosphateの略語であるPSPPで示している。また、スクアレン合成酵素はsqualene synthaseの略語であるSQSで示している。
図1に示すように、ファルネシル二リン酸からプレスクアレン二リン酸を合成され、プレスクアレン二リン酸から下記の式(I)に示すボトリオコッセンが合成される。また、ファルネシル二リン酸やプレスクアレン二リン酸から、スクアレン合成酵素によって、下記の式(II)に示すスクアレンが合成される。本開示によれば、ボトリオコッセン合成経路において、従来よりもボトリオコッセンが多く生産されることを特徴とする。

ここで、本明細書でいう「プレスクアレン二リン酸合成酵素」とは、ファルネシル二リン酸を基質として、プレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質である。また、本明細書でいう「ボトリオコッセン合成酵素」とは、プレスクアレン二リン酸を基質として、ボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質である。また、本明細書でいう「プレスクアレン二リン酸合成酵素遺伝子」とは、ファルネシル二リン酸を基質として、プレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。また、本明細書でいう「ボトリオコッセン合成酵素遺伝子」とは、プレスクアレン二リン酸を基質として、ボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。
[タンパク質セット]
本開示のタンパク質セットは、下記(a1)又は下記(b1)のいずれか一方に示すタンパク質と、下記(c1)に示すタンパク質とを含み、ファルネシル二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有する。なお、(a1)及び(b1)に示すタンパク質は、本件発明者が見出した新規なプレスクアレン二リン酸合成酵素であり、発見した場所にちなんで、MH1SSL−1タンパク質と表記されることもある。
(a1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b1)配列番号2に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質。
(c1)ドメイン1〜5のアミノ酸配列を有し、ボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質。ドメイン1のアミノ酸配列は、配列番号19に記載の配列又は配列番号19に記載の配列と99%以上の配列同一性をもち、ドメイン2のアミノ酸配列は、配列番号20に記載の配列又は配列番号20に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、ドメイン3のアミノ酸配列は、配列番号21に記載の配列又は配列番号21に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、ドメイン4のアミノ酸配列は、配列番号22に記載の配列又は配列番号22に記載の配列と93%以上の配列同一性をもち、ドメイン5のアミノ酸配列は、配列番号23に記載の配列又は配列番号23に記載の配列と92%以上の配列同一性をもつ。
本開示のタンパク質セットは、上記MH1SSL−1タンパク質及び上記(c1)に示すタンパク質の組み合わせである。タンパク質セットは、例えば、上記MH1SSL−1タンパク質及び上記(c1)に示すタンパク質がそれぞれ別々のタンパク質として組み合わされた状態であってもよい。また、タンパク質セットは、例えば、上記MH1SSL−1タンパク質及び上記(c1)に示すタンパク質が融合した融合タンパク質として組み合わされた状態であってもよい。
また、上記MH1SSL−1タンパク質は5つのドメインI〜Vを持つ。ここで、本明細書において、ドメインI〜Vはドメイン1〜5の用語と区別して用いる。上記(a1)に示すタンパク質において、ドメインIは配列番号2に記載の65位から78位のアミノ酸配列からなり、ドメインIIは配列番号2に記載の80位から97位のアミノ酸配列からなり、ドメインIIIは配列番号2に記載の175位から192位のアミノ酸配列からなる。
上記(a1)に示すタンパク質において、配列番号2に記載のドメインIのアミノ酸配列に対して、93%以上、好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であって、かつ、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質であってもよい。
上記(a1)に示すタンパク質において、配列番号2に記載のドメインIIのアミノ酸配列に対して、84%以上、好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であって、かつ、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質であってもよい。
上記(a1)に示すタンパク質において、配列番号2に記載のドメインIIIのアミノ酸配列に対して、95%以上であり、好ましくは97%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であって、かつ、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質であってもよい。
また、上記(b1)に示すタンパク質において、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して、87%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であって、かつ、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質であってもよい。
また、上記(c1)に示すタンパク質は、ボトリオコッセン合成酵素であってもよい。
また、上記(c1)に示すタンパク質は、下記(d1)〜(f1)のいずれか1つに示すタンパク質であってもよい。つまり、本開示のタンパク質セットは、上記(a1)又は上記(b1)のいずれか一方に示すタンパク質と、下記(d1)〜(f1)のいずれか1つに示すタンパク質とを含み、ファルネシル二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するものであってもよい。
(d1)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(e1)配列番号4に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質。
(f1)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
なお、(d1)及び(e1)に示すタンパク質は、本件発明者が見出した新規なボトリオコッセン合成酵素であり、発見した場所にちなんで、MH1SSL−3タンパク質と表記されることもある。また、(f1)に示すタンパク質は、Botryocuccus braunii showa株(以下showa株ともいう)由来のボトリオコッセン合成酵素であり、SHSSL−3タンパク質と表記することもある。
上記MH1SSL−3タンパク質及び上記SHSSL−3タンパク質は、図8に示すように、ドメイン1〜5のアミノ酸配列を有する。具体的には、配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるMH1SSL−3タンパク質の場合、ドメイン1,2,3,4,5のそれぞれは、配列番号4に記載のアミノ酸配列の56位から69位、71位から88位、166位から183位、203位から218位、285位から298位の部分である。また、配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるSHSSL−3タンパク質の場合、ドメイン1,2,3,4,5のそれぞれは、配列番号10に記載のアミノ酸配列の56位から69位、71位から88位、166位から183位、203位から218位、285位から298位の部分である。
なお、図8には、showa株由来のスクアレン合成酵素のアミノ酸配列を比較例として加えている。スクアレン合成酵素は、MH1SSL−3タンパク質及びSHSSL−3タンパク質とは異なり、ドメイン1〜5のアミノ酸配列を有していない。スクアレン合成酵素のアミノ酸配列は、配列番号24に記載のアミノ酸配列であり、NCBIデータベースにGenBank:AAF20201.1として登録されている。
また、上記(e1)に示すタンパク質において、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して、87%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であって、かつ、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質であってもよい。
なお、本開示のアミノ酸配列の配列同一性は、市販の解析ツール又はインターネット等の電気通信回路を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができ、例えば、FAST、BLAST等のソフトウェアを用いて計算される。
また、本開示のタンパク質セットは、ファルネシル二リン酸を基質として従来よりもボトリオコッセンを多く合成する活性を有する限り、タンパク質セットのアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、付加、欠失、又は挿入されたアミノ酸配列からなるものであってもよい。複数個のアミノ酸としては、例えば、1〜15個以下、好ましくは1〜10個以下、さらに好ましくは1〜5個以下のアミノ酸を意味する。
また、本開示のタンパク質セットは、上記(a1)又は上記(b1)のいずれか一方に示すタンパク質と、上記(c1)に示すタンパク質とが、リンカーペプチドによって連結された構造とされていてもよい。また、本開示のタンパク質セットは、上記(a1)又は上記(b1)のいずれか一方に示すタンパク質と、上記(d1)〜(f1)のいずれか1つに示すタンパク質とが、リンカーペプチドによって連結された構造とされていてもよい。例えば、タンパク質セットとしては、配列番号6や配列番号26に記載のアミノ酸配列からなるもの等が挙げられる。配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質は、上記(a1)に示すタンパク質と、上記(d1)に示すタンパク質とが、リンカーペプチドによって連結されて構成されている。具体的には、配列番号6に記載の1位から403位のアミノ酸配列は配列番号2に記載のアミノ酸配列であり、配列番号6に記載の416位から799位のアミノ酸配列は配列番号4に記載のアミノ酸配列である。配列番号6に記載の404位から415位のアミノ酸配列は、リンカーペプチドのアミノ酸配列であり、Gly Gly Ser Glyが3回繰り返されたアミノ酸配列である。なお、配列番号6に記載のアミノ酸配列は、配列番号5に記載の塩基配列がコードするアミノ酸配列に相当する。また、配列番号26に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質は、上記(a1)に示すタンパク質と、上記(f1)に示すタンパク質とが、リンカーペプチドによって連結されて構成されている。具体的には、配列番号26に記載の1位から403位のアミノ酸配列は配列番号2に記載のアミノ酸配列であり、配列番号26に記載の416位から798位のアミノ酸配列は配列番号10に記載のアミノ酸配列である。配列番号26に記載の404位から415位のアミノ酸配列は、リンカーペプチドのアミノ酸配列であり、Gly Gly Ser Glyが3回繰り返されたアミノ酸配列である。なお、配列番号26に記載のアミノ酸配列は、配列番号25に記載の塩基配列がコードするアミノ酸配列に相当する。
リンカーペプチドは、1又は2以上のアミノ酸が鎖状に結合したものである。リンカーペプチドの配列は、特に制限はないが、例えば、1〜15のアミノ酸、好ましくは1〜8のアミノ酸、さらに好ましくは1〜6のアミノ酸の配列であってもよい。具体的には、リンカーペプチドとして、Lys、Lys Lys、Lys Lys Lys、Gly Pro、Gly Pro Gly Pro、Gly Gly Ser、Gly Gly Gly Ser、Gly Gly Ser Gly、Gly Gly Gly Gly Ser、これらの繰り返し、あるいはこれらの任意の組み合わせ等が挙げられる。
また、本開示のタンパク質セットは、当業者が通常用いる方法を用いて、例えば、後述する遺伝子セットを宿主に導入して発現させることにより、得ることができる。遺伝子セットを宿主に導入させる方法としては、例えば、後述するMH1SSL−1遺伝子と(k1)に示すDNAからなる遺伝子とをそれぞれ同一の宿主に導入させてもよく、MH1SSL−1遺伝子及び(k1)に示すDNAからなる遺伝子がリンカーペプチドをコードするDNAによって連結されて構成される遺伝子セットを宿主に導入させてもよい。
次に、本開示のタンパク質セットの特徴について説明する。本開示のタンパク質セットはファルネシル二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有し、合成されるボトリオコッセンは従来よりも多く生産されることを特徴とする。
また、本開示のタンパク質セットは、純度の高いボトリオコッセンを生産することができる。具体的に、ボトリオコッセンの純度は、43.7%よりも高く、好ましくは69%以上、さらに好ましくは82%以上である。特に、MH1SSL−1タンパク質及びMH1SSL−3タンパク質を含むタンパク質セットの場合、ボトリオコッセンの純度は非常に高くなることを特徴とする。
[遺伝子セット]
本開示の遺伝子セットは、下記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子と、下記(k1)に示すDNAからなる遺伝子と、を含む。なお、(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子は、本件発明者が見出した新規なプレスクアレン二リン酸合成酵素遺伝子であり、発見した場所にちなんで、MH1SSL−1遺伝子と表記されることもある。
(g1)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA。
(h1)配列番号1に記載の塩基配列と配列同一性が81%以上の塩基配列を有し、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(i1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(j1)配列番号2に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(k1)ドメイン1〜5のアミノ酸配列を有し、ボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。ドメイン1のアミノ酸配列は、配列番号19に記載の配列又は配列番号19に記載の配列と99%以上の配列同一性をもち、ドメイン2のアミノ酸配列は、配列番号20に記載の配列又は配列番号20に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、ドメイン3のアミノ酸配列は、配列番号21に記載の配列又は配列番号21に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、ドメイン4のアミノ酸配列は、配列番号22に記載の配列又は配列番号22に記載の配列と93%以上の配列同一性をもち、ドメイン5のアミノ酸配列は、配列番号23に記載の配列又は配列番号23に記載の配列と92%以上の配列同一性をもつ。
配列番号2に記載のアミノ酸配列は、配列番号1に記載の塩基配列がコードするアミノ酸配列に相当する。
遺伝子セットは、上記MH1SSL−1遺伝子及び上記(k1)に示すDNAからなる遺伝子の組み合わせである。遺伝子セットは、例えば、上記MH1SSL−1遺伝子の塩基配列及び上記(k1)に示すDNAからなる遺伝子の塩基配列がそれぞれ異なるポリヌクレオチド鎖を形成して組み合わされていてもよい。また、遺伝子セットは、例えば、上記MH1SSL−1遺伝子の塩基配列及び上記(k1)に示すDNAからなる遺伝子の塩基配列が連結して、一本鎖のポリヌクレオチドを形成して組み合わされていてもよい。
また、上記(h1)に示すDNAからなるMH1SSL−1遺伝子において、配列番号1に記載の塩基配列に対して、81%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有する塩基配列であって、かつ、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。
また、上記(j1)に示すDNAからなるMH1SSL−1遺伝子において、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して、87%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であって、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。
また、上記(k1)に示すDNAからなる遺伝子は、ボトリオコッセン合成酵素遺伝子であってもよい。
また、上記(k1)に示すDNAからなる遺伝子は、下記(l1)〜(q1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子であってもよい。つまり、本開示の遺伝子セットは、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子と、下記(l1)〜(q1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子と、を含んでいてもよい。
(l1)配列番号3に記載の塩基配列を有するDNA。
(m1)配列番号3に記載の塩基配列と配列同一性が79%以上の塩基配列を有し、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(n1)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(o1)配列番号4に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(p1)配列番号9に記載の塩基配列を有するDNA。
(q1)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
配列番号4に記載のアミノ酸配列は、配列番号3に記載の塩基配列がコードするアミノ酸配列に相当する。配列番号10に記載のアミノ酸配列は、配列番号9に記載の塩基配列がコードするアミノ酸配列に相当する。
なお、上記(l1)〜(o1)に示すDNAからなる遺伝子は、本件発明者が見出した新規なボトリオコッセン合成酵素遺伝子であり、発見した場所にちなんで、MH1SSL−3遺伝子と表記されることもある。また、(p1)及び(q1)に示すDNAからなる遺伝子は、showa株由来のボトリオコッセン合成酵素遺伝子であり、SHSSL−3遺伝子と表記することもある。
上記(m1)に示すDNAからなるMH1SSL−3遺伝子において、配列番号3に記載の塩基配列に対して、79%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有する塩基配列であって、かつ、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。
上記(o1)に示すDNAからなるMH1SSL−3遺伝子において、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して、87%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であって、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。
なお、塩基配列の配列同一性は、市販の解析ツール又はインターネット等の電気通信回路を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができ、例えば、FAST、BLAST等のソフトウェアを用いて計算される。
また、本開示の遺伝子セットは、ファルネシル二リン酸を基質として従来よりもボトリオコッセンを多く合成する活性を有するタンパク質をコードする限り、本開示のタンパク質セットのアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、付加、欠失、又は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするものであってもよい。複数個のアミノ酸としては、例えば1〜15個以下、好ましくは1〜10個以下、さらに好ましくは1〜5個以下のアミノ酸を意味する。
また、本開示の遺伝子セットは、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAと、上記(k1)に示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結された構造とされていてもよい。また、本開示の遺伝子セットは、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAと、上記(l1)〜(q1)のいずれか1つに示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結された構造とされていてもよい。例えば、遺伝子セットとしては、配列番号5や配列番号25に記載の塩基配列からなるもの等が挙げられる。配列番号5に記載の塩基配列からなる遺伝子セットは、上記(g1)に示すDNAと、上記(l1)に示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結されて構成されている。具体的には、配列番号5に記載の1位から1209位の塩基配列は配列番号1に記載の塩基配列であり、配列番号5に記載の1246位から2397位の塩基配列は配列番号3に記載の塩基配列である。配列番号5に記載の1210位から1245位の塩基配列は、リンカーペプチドをコードするDNAの塩基配列である。また、配列番号25に記載の塩基配列からなる遺伝子セットは、上記(g1)に示すDNAと、上記(p1)に示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結されて構成されている。具体的には、配列番号25に記載の1位から1209位の塩基配列は配列番号1に記載の塩基配列であり、配列番号25に記載の1246位から2394位の塩基配列は配列番号9に記載の塩基配列である。配列番号25に記載の1210位から1245位の塩基配列は、リンカーペプチドをコードするDNAの塩基配列である。
また、当業者が通常用いる方法を用いて、例えば本明細書に記載の配列情報に基づいて、本開示の遺伝子セットを人工的に合成することができる。
また、当業者が通常用いる方法を用いて、例えば、下記の実施例1に記載される方法により、MH1SSL−1遺伝子及びMH1SSL−3遺伝子を合成することができる。さらに、例えば、当業者が通常用いる方法を用いて、本明細書に記載の配列情報に基づいてプライマー等を調製し、MH1SSL−1遺伝子が存在する起源のcDNAを鋳型とするPCRによってもMH1SSL−1遺伝子を得ることができる。例えば、当業者が通常用いる方法を用いて、本明細書に記載の配列情報に基づいてプライマー等を調製し、MH1SSL−3遺伝子が存在する起源のcDNAを鋳型とするPCRによってもMH1SSL−3遺伝子を得ることができる。
また、本開示の遺伝子セットは、本開示のタンパク質セットをコードする。そのため、遺伝子工学的手法、例えば本開示の遺伝子セットを酵母に導入して形質転換体を作成することで、本開示のタンパク質セットの発現が可能である。
[発現ベクター]
本開示は、遺伝子セットを有する発現ベクターを提供する。本開示の発現ベクターに含まれる遺伝子セットは、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAと、上記(k1)に示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結された構造である。また、本開示の発現ベクターに含まれる遺伝子セットは、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAと、上記(l1)〜(q1)のいずれか1つに示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結された構造とされていてもよい。この場合の遺伝子セットとしては、例えば、配列番号5や配列番号25に記載の塩基配列からなるもの等が挙げられる。
本開示の発現ベクターは、例えば、骨格となるベクターに遺伝子セットを導入することで構築できる。骨格となるベクターの種類は、特に制限されず、例えば、宿主の種類に応じて、適宜決定できる。
本開示の発現ベクターには、プロモータ、ターミネータ、形質転換体を選択するための選択マーカー等を有していてもよい。
[形質転換体]
本開示は、上記MH1SSL−1遺伝子及び上記(k1)に示すDNAからなる遺伝子が導入された形質転換体を提供する。
具体的には、本開示の形質転換体は、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAと、上記(k1)のいずれか1つに示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結されて構成されている遺伝子セットが導入されたものでもよい。また、本開示の形質転換体は、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAと、上記(l1)〜(q1)のいずれか1つに示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結されている遺伝子セットが導入されたものでもよい。これらの場合、本開示の形質転換体は、本開示の発現ベクターが宿主に導入されたものも含む。当該形質転換体は遺伝子セットが発現可能であることから、ボトリオコッセンの生産に利用することができる。
また、本開示の形質転換体は、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子及び上記(k1)に示すDNAからなる遺伝子のそれぞれが発現可能に導入されたものでもよい。この場合、本開示の形質転換体は、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子を有する発現ベクターと、上記(k1)に示すDNAからなる遺伝子を有する発現ベクターと、が同一の宿主に導入されたものも含む。同一の形質転換体に上記MH1SSL−1遺伝子及び上記(k1)に示すDNAからなる遺伝子のそれぞれが発現可能であることから、当該形質転換体はボトリオコッセンの生産に利用することができる。
また、本開示の形質転換体は、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子及び上記(l1)〜(q1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子のそれぞれが発現可能に導入されたものでもよい。この場合、本開示の形質転換体は、上記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子を有する発現ベクターと、上記(l1)〜(q1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子を有する発現ベクターと、が同一の宿主に導入されたものも含む。同一の形質転換体に上記MH1SSL−1遺伝子及び上記(l1)〜(q1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子のそれぞれが発現可能であることから、当該形質転換体はボトリオコッセンの生産に利用することができる。
形質転換される宿主としては、大腸菌、酵母等が挙げられ、特に制限されない。形質転換方法としては、特に制限されず、一般的な各種方法を採用することができる。
[ボトリオコッセンの合成方法]
本開示は、上記の形質転換体を培養する工程、及び培養された形質転換体からボトリオコッセンを回収する工程を含む、ボトリオコッセンの合成方法を提供する。
培養に用いられる培地としては、宿主に応じて適した培地を利用することができ、培養も宿主の生育に適した条件下で実施できる。なお、ボトリオコッセンの回収は、当業者に公知の方法によって行うことができる。
以下に本開示をより詳細に説明するために実施例を挙げるが、本開示はこれらによってなんら限定されるものではない。
[実施例1:MH1SSL−1遺伝子及びMH1SSL−3遺伝子の抽出]
[野生株の培養と選抜]
天然の池の愛知県みよし市保田ヶ池より採取したボトリオコッカス・ブラウニー株をAF−6培地にて1か月培養した。容器内で水面上に浮いた細胞をピペットにて個別に採取し単離した。単離した藻体は1%COを通気し、蛍光灯照射下でAF−6培地にて培養し増殖させた。増えた藻体にヘキサンを添加し、オイル成分を抽出した。GC−MSにてオイルを定性分析し、ボトリオコッセンを産生する株をピックアップした。
ピックアップした株をMH1株と名付け、1Lガラス培養ビンにて下記の培養条件下で通気培養した。培養開始後、藻体が生育していく過程を図2に示した。培養開始から14日目の培養液を80mL回収し、RNA抽出に用いた。
《培養条件》
期間:3週間
培地:AF−6培地
エアー:1%CO通気
温度:25℃室温
光量:150μmol photons/m/sec
[RNAの抽出]
回収した80mLの培養液を遠沈管2本に等分し、9000rpmで15分間遠心分離した後、上澄みを廃棄した。滅菌水15mLを各遠沈管に加え撹拌し、再度遠心分離した後、上澄みを廃棄した。細胞を含む沈殿物を凍結用チューブへ移し液体窒素で凍結させた後、−80℃で保管した。
次に、QIAGEN社製のRNeasy Plant Mini Kitを用いて、付属のプロトコルに従いRNA抽出操作を行った。具体的には、−80℃で保管したサンプル50mg程を、液体窒素が蒸発しないように加えることでサンプルの凍結を維持しつつ乳鉢ですり潰した。すり潰したサンプルを液体窒素の入った2mLチューブに移し、100mgのサンプルに対し450μL RLTバッファーを加え勢いよく撹拌した。
溶解液を紫色のQIAshredderカラムに移し、2mL回収チューブと共に20000×gで2分間遠心分離を行った。沈殿を巻き込まないように上澄みを新しいチューブに移し替えた。澄んだ上澄みに1:1となるようにRNA専用の96〜100%エタノールを加え、ピペッティングで混合した。ピンク色のRNaseスピンカラム2mL回収チューブに650μLを移し、静かに蓋をして8000×gで15秒間遠心分離を行い、スルーした液を捨てた。
次にスピンカラムに700μL RW1バッファーを加え、静かに蓋をして8000×gで15秒間遠心分離を行い、スルーした液を捨てた。さらにスピンカラムに500μL RPEバッファーを加え、同様に遠心分離を行い、スルーした液を捨てた。最後にもう一度スピンカラムに500μL RPEバッファーを加え、同様に遠心分離を行い、スルーした液を捨てた。スピンカラムを新しい1.5mLチューブにセットしRNaseフリー水を50μL加え静かに蓋をして遠心分離した。スルーした液をMH1株のトータルRNAとして得た。
[シーケンスライブラリーの作製]
シーケンスライブラリーの作製は、イルミナ社のマニュアルDirectional mRNA-Seq Sample Preparation Rev.Aを参考に、イルミナ社製のTruSeq Small RNA Sample Prep Kit及びTruSeq RNA Sample Preparation Kit v2を用いて行った。なお、以下に説明する実施形態においては、別に記載しない限り、以下の材料を用いた。アルカリホスファターゼ及びT4ポリヌクレオチドキナーゼはタカラバイオ社製のものを用い、T4 RNA ligase 2,truncatedはNEB社製のものを用いた。
MH1株培養2週間目の藻体より抽出したトータルRNA8μgからPolyA RNAを単離した。次にPolyA RNAを断片化しアルカリホスファターゼで処理した後、ATPとT4ポリヌクレオチドキナーゼにより、5’末端をリン酸化した。リン酸化処理したRNA断片の3’末端にT4 RNA ligase 2,truncatedを用いてRNA 3’アダプターを連結した後、5’末端にATPとT4 RNAリガーゼを用いてRNA 5’アダプターを連結した。
次に、RNA 3’アダプターを認識するプライマーを用いた転写反応により、一本鎖cDNAを合成した。合成された一本鎖cDNAを鋳型とし、インデックス付プライマーを用いて、15サイクルのPCRによる増幅を行った。得られたPCR産物を、6%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動によりサイズ選別し、シーケンスライブラリーとした。
作製されたシーケンスライブラリーの品質をAgilent 2100 Bioanalyzerを用いて測定した。その結果、シーケンスライブラリーのピークサイズは308bpのシングルピークであることを確認した。また、得られたシーケンスライブラリーの濃度は16.8nmol/Lであった。なお、シーケンスライブラリーはアダプターを付加しているため、ピークサイズから約100baseのアダプターサイズを除いたサイズがクローニングサイズとなる。
[塩基配列の取得]
作製したシーケンスライブラリーを用いて、シーケンスの鋳型となるクラスターを形成し、鋳型DNAの塩基配列を取得した。シーケンスデータの解析は付属のソフトウェアを使用しベースコールを行い、fastq形式ファイルとして出力した。これらの作業は表1に示すイルミナ社のマニュアルを参考に、表2に示すイルミナ社製の機器、試薬、及びソフトウェアを用いて行った。シーケンスデータの解析により、リード数102,018,468個、解析鎖長10,201,846,800bpの塩基配列情報を得た。

次に、株式会社CLCバイオジャパン社製のソフトウェアである「CLC Genomics Workbench 6.5.1」を用いて、フィルタリング及びDe novoアセンブリを行った。まず、fastq形式のファイルを読み込み、ペア配列に変換した後、低クオリティー部分の配列、N表示される塩基の配列、75塩基以下の配列を除去し、フィルタリングを行った。その後、ペアが壊れた配列、重複断片を除去し、De novoアセンブリにより、308bpの35,809種類のコンティグを作製した。De novoアセンブリの条件は以下である。
《De novoアセンブリの条件》
Ambiguous trim = Yes
Ambiguous limit = 0
Quality trim = Yes
Quality limit = 0.00035
Create report = Yes
Save discarded sequences = No
Remove 5’ terminal nucleotides = No
Maximum number of nucleotides in reads = 1,000
Minimum number of nucleotides in reads = 97
Discard short reads = Yes
Remove 3’ terminal nucleotides = No
Discard long reads = Yes
Save broken pairs = No
ここで、プレスクアレン二リン酸合成酵素遺伝子としてshowa株由来のSSL−1遺伝子(SHSSL−1遺伝子と称する)、ボトリオコッセン合成酵素遺伝子としてshowa株由来のSHSSL−3遺伝子が知られている。SHSSL−1遺伝子の配列は、NCBIデータベースにGenBank:HQ585058.1として登録され、SHSSL−3遺伝子の配列は、NCBIデータベースにGenBank:HQ585060.1として登録されている。
得られたコンティグをもとにBLAST Databaseを構築し、既知のSHSSL−1及びSHSSL−3をクエリー配列とし、TBLASTXを用いた相同遺伝子検索を行った。それぞれの全長ORFと89%、87%の相同性を持つ配列を得ることができた。なお、ORFはOpen reading frameの略称である。
[実施例2:形質転換酵母の作製]
[発現ベクターの構築]
実施例1で得られたアミノ酸配列情報を基に、酵母での発現に最適化した塩基配列の合成を行い、MH1株由来のMH1SSL−1遺伝子及びMH1SSL−3遺伝子を合成した。以下、具体的に説明する。
MH1SSL−1遺伝子及びMH1SSL−3遺伝子の各塩基配列に応じたプライマーを設計し、PCRにより増幅させた。PCR増幅産物を制限酵素反応で切り出した後、ベクターにライゲーションで接続させ、MH1SSL−1遺伝子及びMH1SSL−3遺伝子を含むプラスミドを作製した。このプラスミドによりバクテリアを形質転換した。形質転換が行われたバクテリアのコロニーを単離し、コロニーPCRにより導入したMH1SSL−1遺伝子及びMH1SSL−3遺伝子の増幅を確認した。シーケンス解析により、目的通り正しく各遺伝子が挿入されていることを確認した。
また、後述するオイル生産能力の比較対象として、SHSSL−1及びSHSSL−3の配列情報をNCBIより入手し上記と同様の方法で合成し、シーケンス解析により目的通り正しく各遺伝子が挿入されていることを確認した。なお、SHSSL−1の塩基配列は配列番号7に記載の配列であり、SHSSL−1のアミノ酸配列は配列番号8に記載の配列である。SHSSL−3の塩基配列は配列番号9に記載の配列であり、SHSSL−3のアミノ酸配列は配列番号10に記載の配列である。
次に、MH1SSL−1遺伝子及びMH1SSL−3遺伝子がリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドによって連結されて構成されるように人工合成を行った。具体的には、図3に示すように、非特許文献1に倣い、Gly Gly Ser Glyのアミノ酸配列を3回繰り返したリンカーペプチドによってMH1SSL−1及びMH1SSL−3が連結された配列、つまり配列番号6に記載のアミノ酸配列を設計した。この設計を基に人工合成を行い、配列番号5に記載の塩基配列からなる遺伝子セット(以下、MH1SSL−1,3とも称する)を得た。
また、MH1SSL−1遺伝子及びSHSSL−3遺伝子がリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドによって連結されて構成されるように人工合成を行った。具体的には、図4に示すように、非特許文献1に倣い、Gly Gly Ser Glyのアミノ酸配列を3回繰り返したリンカーペプチドによってMH1SSL−1及びSHSSL−3が連結された配列、つまり配列番号26に記載のアミノ酸配列を設計した。この設計を基に人工合成を行い、配列番号25に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド(以下、MH1SSL−1+SHSSL−3と称する)を得た。
また、SHSSL−1遺伝子及びSHSSL−3遺伝子がリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドによって連結されて構成されるように人工合成を行った。具体的には、図5に示すように、非特許文献1に倣い、Gly Gly Ser Glyのアミノ酸配列を3回繰り返したリンカーペプチドによってSHSSL−1及びSHSSL−3が連結された配列、つまり配列番号12に記載のアミノ酸配列を設計した。この設計を基に人工合成を行い、配列番号11に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド(以下、SHSSL−1,3と称する)を得た。
図6に示すように、得られたMH1SSL−1,3、MH1SSL−1+SHSSL−3、及びSHSSL−1,3のそれぞれを骨格となるベクターに導入した。骨格となるベクターはプロメガ社製の大腸菌用ベクターpSP73を用い、pSP73の制限酵素ClaI19及びApaLI2374部位間に導入し、発現ベクターを作製した。制限酵素ClaI19及びApaLI2374部位間には、プロモータのlexApox5−TDH3_TATA、ターミネータのDIT1t−d22、及び選択マーカーとなるURA3も併せて導入された。lexApox5−TDH3_TATAの配列は配列番号17に記載したものであり、DIT1t−d22の配列は配列番号18に記載したものである。なお、各発現ベクターは、導入した遺伝子に倣い、それぞれ、pSP73-URA3-MH1SSL-1,3、pSP73-URA3-MH1SSL-1+SHSSL-3、及びpSP73-URA3-SHSSL-1,3と称する。
[酵母導入用発現ベクターの調製]
発現ベクターpSP73-URA3-MH1SSL-1,3、pSP73-URA3-MH1SSL-1+SHSSL-3、及びpSP73-URA3-SHSSL-1, 3をそれぞれ大腸菌のコンピテントセルに導入することによって、大腸菌のコンピテントセルを形質転換した。コンピテントセルは、ニッポンジーン社製のECOM(商標)Competent E.coli DH5αを用いた。具体的な手順は、以下の通りである。
まず、コンピテントセルを氷上で融解した。融解したコンピテントセルに、4℃に冷却した発現ベクターの溶液及びライゲーション溶液を添加した後、1秒間ボルテックスを行った。氷上で5分間インキュベートした後、42℃で45秒間インキュベートし、1秒間ボルテックスを行った。全量を50mg/Lアンピシリン入りのLBプレートに移して均一に塗布した後、37℃で12〜16時間インキュベートした。生えてきたコロニーは、50mg/Lアンピシリン入りLB液体培地で培養した後、プラスミドを抽出し、酵母に導入するための酵母導入用発現ベクターを調製した。
[酵母の形質転換]
調製した酵母導入用発現ベクターを用いて、MH1SSL−1,3、MH1SSL−1+SHSSL−3、及びSHSSL−1,3をそれぞれ導入した形質転換酵母を得た。以下、具体的に説明する。
宿主となる酵母を30℃のYPDA培地で対数増殖期(OD660=0.4〜0.6)まで培養し、ZYMO RESEARCH社製のFrozen−EZ Yeast Transformation IIキットで処理してコンピテントセルを調製した。なお、以下に説明する実施形態においては、別に記載しない限り、宿主となる酵母はストラタジーン社製のYPH499を用いた。
各酵母導入用発現ベクターを制限酵素ClaI及びApaLIを用いて、37℃で3時間以上反応させ、目的遺伝子を断片化した。
予め調製しておいたコンピテントセル50μLに、断片化した各コンストラクトを50μg加え、PEGバッファーで希釈した。これを45分間加温することで、各コンストラクトを遺伝子座HXTへ導入し、形質転換した。形質転換した後の各形質転換酵母を洗浄後、滅菌水に懸濁して、下記成分のウラシル選抜培地(SD−Ura)に塗布した。
ウラシル選抜培地成分:2% agar、2% glucose、0.67% Yeast Nitrogen Base without amino acids(YNB)(Difco Laboratories社製、デトロイト、ミシガン州)、0.082% Complete Supplement Mixture(CSM)-URA(ForMedium社製、ノーフォーク、イギリス)、adenine(40mg/L)
30℃で1昼夜静止培養して形質転換酵母のコロニーを得た。得られたコロニーをそれぞれの選択培地で培養し、生育能を安定に保持している株を選択して、コロニーPCRを行い、目的遺伝子の導入を確認した。使用したプライマーの塩基配列は以下の通りである。なお、MH1SSL−1,3のPCR確認バンドの長さは2600bpであり、MH1SSL−1+SHSSL−3のPCR確認バンドの長さは2095bpであり、SHSSL−1,3のPCR確認バンドの長さは2020bpである。
MH1SSL−1,3のプライマー
フォワードプライマー:ATGTCCATGCACCAAGACCACGGTGTAG(配列番号13)
リバースプライマー:TCTTGGGGATGGTCTGGAAGGGA(配列番号14)
MH1SSL−1+SHSSL−3のプライマー
フォワードプライマー:ATGTCCATGCACCAAGACCACGGTGTAG(配列番号13)
リバースプライマー:TGAAGACACCTTCGTCCCAA(配列番号16)
SHSSL−1,3のプライマー
フォワードプライマー:TTAGCCGCCACTACATACGG(配列番号15)
リバースプライマー:TGAAGACACCTTCGTCCCAA(配列番号16)
[実施例3:オイル生産能力の比較]
MH1SSL−1,3、MH1SSL−1+SHSSL−3、及びSHSSL−1,3をそれぞれ導入した形質転換酵母をそれぞれD317株、D318株、及びD320株と命名した。以下の方法により、D317株、D318株、及びD320株の酵母それぞれを培養し、酵母培養液から抽出したオイルをGC−MSにて定性分析を行った。試験数3にて実施した。以下、具体的に説明する。
[前培養]
下記組成の固体培地のプレート上にて各株を生育させ、コロニーをひとかき取り、下記組成の液体培地の入った試験管に移した。試験管を振とう培養器にセットし、48時間培養を行った。固体培地及び液体培地の作成方法、振とう培養器による培養条件は以下の通りである。
《SD−trp培地の組成》
(1)Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L
(2)CSM-Trp 0.74g/L
(3)Adenine 20mg/L
(4)D-glucose 20 g/L
《作成方法》
(1)、(2)及び(3)を混合し、pH6に調整し、試料Aとした。(4)を調製し、試料Bとした。固体培地の作製時には、(4)にAgarが20g/Lとなるように添加して調製し、試料Bとした。試料A及び試料Bをオートクレーブにて滅菌した後、混合し、液体培地を作製した。固体培地の作製時には、当該混合液をプレートに撒いて固め、固体培地を作製した。
《培養条件》
培養時間 48時間
容量 3mL
容器 シリコ栓付きガラス試験管
振とう条件 150rpm
温度 30℃
[本培養]
分光光度計を用いて、前培養で増殖した菌体のOD600を測定し、1000mLに希釈されたときにOD600が0.1となるように前培養液からの採取量を決定した。予め下記組成の培地の入ったフラスコに前培養で得た菌体を計算した採取量を加え、振とう培養器にセットし培養を開始した。培養条件は以下の通りである。
《培地組成》
YPDA Broth(Clontech社製) 1パウチ/0.5L蒸留水
アデニン 40mg/L
《作成方法》
YPDA Brothを1パウチ開封し、0.5L蒸留水に溶かした。溶解したYPDA Brothに終濃度40mg/Lになるようにアデニンを加え、オートクレーブで加熱殺菌した。
《培養条件》
培養時間 48時間
容量 100mL
容器 シリコ栓付きフラスコ
振とう条件 150rpm
温度 30℃
[菌体の回収]
本培養した培養液を50mL遠沈管に分注し、トミー精工社製の遠心分離機を用いて4600Gで5分間遠心分離し、菌体と培地を分離し、培地を除いた。菌体を15mLの滅菌水に懸濁し、再度同条件で遠心分離し、菌体のみの状態にした後、−80℃の冷凍庫で凍結させた。凍結乾燥機を用い、チューブ内の菌体を12時間乾燥させた。
[菌体乾燥重量の測定]
乾燥した菌体をスパーテルで取り出し、菌体の重量を測定した。
[菌体からのオイル抽出]
乾燥菌体を一定量かきとり、50mL遠沈管に移し、ヘキサン及びグラスビーズを加えた後、密栓した。その後、安井器機株式会社製のマルチビーズショッカーに遠沈管をセットし破砕した。破砕条件は以下の通りである。
《破砕条件》
乾燥菌体 1g
ヘキサン 10mL/g菌体
グラスビーズ:YGB05 0.5mm(安井器機株式会社製) 菌体と等量(vol.)
2500rpm、60sec/60sec(ON/OFF)、30サイクル
粉砕後に遠沈管を取り出し、4600Gで5分間遠心分離し、菌体と溶媒を分離し、溶媒画分をガラスピペットによりガラス瓶に取り分けた。遠沈管に新たにヘキサン10mLを加え、ボルテックスで混合した後、再度同条件で遠心分離した。溶媒画分を先ほど分注したガラス瓶に移した。同様にヘキサンを遠沈管に加え、遠心分離し分注する作業を更に1回繰り返した。ガラス瓶に分注された溶媒画分を新たな遠沈管に移し、4600Gで10分間遠心分離し、分注時に混入した不溶画分を除き、溶媒画分のみをエバポレータにて濃縮した。乾固したサンプルの重量を測定し、オイル回収量とした。乾固したオイルを終濃度1mg/10mLとなるようにヘキサンで希釈し、GCーMS分析用のサンプルとした。
[オイルのGC−MS測定方法]
サンプルをヘキサンに溶解させて、非特許文献1と同様の方法でGCーMS分析を行った。
[結果]
形質転換酵母におけるオイル生産能力を比較した結果を図7に示す。有意差検定にはまずD317株、D318株、及びD320株の三群間の有意差を測定するためにKruskal Wallis検定を用い、P<0.05(帰無仮説が5%未満)のものを有意差ありと判断した。次にD317株とD320株、又はD318株とD320株の二群間の有意差検定を行うためMann-WhitneyのU検定を用い、P<0.05(帰無仮説が5%未満)のものを有意差ありと判断した。有意差検定の結果、Kruskal Wallis検定ではP=0.03899で有意差ありと判断した。Mann-WhitneyのU検定ではどちらの二群間でもP=0.04935で有意差ありと判断し、図中に記載した。
図7に示すように、D318株は、D320株と比較すると、ボトリオコッセンの生産量が有意に増加した。この結果から、MH1SSL−1タンパク質によって、ボトリオコッセンの生産量が増加することが示唆された。さらに、D317株も、D320株と比較すると、ボトリオコッセンの生産量が有意に増加した。
また、D317株及びD318株は、D320株と比較すると、ボトリオコッセンの生産量が増加しただけでなく、副産物のスクアレンの生産量が減少した。つまり、D317株及びD318株は、D320株と比較すると、高純度のボトリオコッセンが得られた。ボトリオコッセンの純度は、以下の計算式を用いて算出され、D317株で82.7%、D318株で69.4%、D320株で43.7%であった。
特に、D317株及びD318株のボトリオコッセンの純度を比較すると、D317株の方が高かったことから、MH1SSL−3タンパク質によって、ボトリオコッセンの純度が向上することが示唆された。

[発明の効果]
MH1SSL−1及びMH1SSL−3のタンパク質を利用することにより、ボトリオコッセンの生産量を増加し、さらにボトリオコッセンの純度を高めることができた。
また、スクアレンは酵母の膜流動性を保つために必須成分であり、スクアレンを合成できない細胞は生育不可となる。D317株及びD318株は、スクアレンの生産量がゼロではないため、形質転換を行っても生育可能であり、ボトリオコッセンを合成する有用な微生物となり得る。
また、スクアレンの合成を抑制する方法として、スクアレンの合成に関わる遺伝子をノックアウトした酵母TN7(Cali−7)が存在する。しかし、D317株及びD318株を用いることで、宿主がTN7に限定されることなく、スクアレンの合成を抑制することができる。
また、本開示のボトリオコッセンの合成方法を用いれば、スクアレンよりも高濃度でボトリオコッセンを回収することができる。そして、例えばHPLCを用いて、回収されたオイルからボトリオコッセンを精製することができる。さらに、ボトリオコッセンよりもスクアレンの方が低濃度で回収されるため、HPLCを用いてボトリオコッセンを精製する際、ボトリオコッセンとスクアレンとのピークが近くなったとしても、ボトリオコッセンを容易に精製することができる。

Claims (15)

  1. 下記(a1)又は下記(b1)のいずれか一方に示すタンパク質と、下記(c1)に示すタンパク質とを含み、ファルネシル二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質セット。
    (a1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (b1)配列番号2に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質。
    (c1)ドメイン1〜5のアミノ酸配列を有し、ボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質であり、
    前記ドメイン1のアミノ酸配列は、配列番号19に記載の配列又は配列番号19に記載の配列と99%以上の配列同一性をもち、
    前記ドメイン2のアミノ酸配列は、配列番号20に記載の配列又は配列番号20に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、
    前記ドメイン3のアミノ酸配列は、配列番号21に記載の配列又は配列番号21に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、
    前記ドメイン4のアミノ酸配列は、配列番号22に記載の配列又は配列番号22に記載の配列と93%以上の配列同一性をもち、
    前記ドメイン5のアミノ酸配列は、配列番号23に記載の配列又は配列番号23に記載の配列と92%以上の配列同一性をもつ。
  2. 請求項1に記載のタンパク質セットであって、
    前記(a1)又は前記(b1)のいずれか一方に示すタンパク質と、下記(d1)〜(f1)のいずれか1つに示すタンパク質とを含み、ファルネシル二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質セット。
    (d1)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (e1)配列番号4に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質。
    (f1)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
  3. 請求項1に記載のタンパク質セットであって、
    前記(a1)又は前記(b1)のいずれか一方に示すタンパク質と、前記(c1)に示すタンパク質とが、リンカーペプチドによって連結された構造とされているタンパク質セット。
  4. 下記(a2)又は下記(b2)のいずれか一方に示すタンパク質。
    (a2)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (b2)配列番号2に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質。
  5. 下記(d2)又は下記(e2)のいずれか一方に示すタンパク質。
    (d2)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (e2)配列番号4に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質。
  6. 下記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子と、下記(k1)に示すDNAからなる遺伝子と、を含む遺伝子セット。
    (g1)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA。
    (h1)配列番号1に記載の塩基配列と配列同一性が81%以上の塩基配列を有し、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (i1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
    (j1)配列番号2に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (k1)ドメイン1〜5のアミノ酸配列を有し、ボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNAであり、
    前記ドメイン1のアミノ酸配列は、配列番号19に記載の配列又は配列番号19に記載の配列と99%以上の配列同一性をもち、
    前記ドメイン2のアミノ酸配列は、配列番号20に記載の配列又は配列番号20に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、
    前記ドメイン3のアミノ酸配列は、配列番号21に記載の配列又は配列番号21に記載の配列と94%以上の配列同一性をもち、
    前記ドメイン4のアミノ酸配列は、配列番号22に記載の配列又は配列番号22に記載の配列と93%以上の配列同一性をもち、
    前記ドメイン5のアミノ酸配列は、配列番号23に記載の配列又は配列番号23に記載の配列と92%以上の配列同一性をもつ。
  7. 請求項6に記載の遺伝子セットであって、
    前記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子と、下記(l1)〜(q1)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子と、を含む遺伝子セット。
    (l1)配列番号3に記載の塩基配列を有するDNA。
    (m1)配列番号3に記載の塩基配列と配列同一性が79%以上の塩基配列を有し、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (n1)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
    (o1)配列番号4に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (p1)配列番号9に記載の塩基配列を有するDNA。
    (q1)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
  8. 請求項6に記載の遺伝子セットであって、
    前記(g1)〜(j1)のいずれか1つに示すDNAと、前記(k1)に示すDNAとが、リンカーペプチドをコードするDNAによって連結された構造とされている遺伝子セット。
  9. 下記(g2)〜(j2)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子。
    (g2)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA。
    (h2)配列番号1に記載の塩基配列と配列同一性が81%以上の塩基配列を有し、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (i2)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
    (j2)配列番号2に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、ファルネシル二リン酸を基質としてプレスクアレン二リン酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  10. 下記(l2)〜(o2)のいずれか1つに示すDNAからなる遺伝子。
    (l2)配列番号3に記載の塩基配列を有するDNA。
    (m2)配列番号3に記載の塩基配列と配列同一性が79%以上の塩基配列を有し、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (n2)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
    (o2)配列番号4に記載のアミノ酸配列と配列同一性が87%以上のアミノ酸配列からなり、プレスクアレン二リン酸を基質としてボトリオコッセンを合成する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  11. 請求項8に記載の遺伝子セットを有する発現ベクター。
  12. 請求項9及び請求項10に記載の遺伝子が導入された形質転換体。
  13. 請求項8に記載の遺伝子セットが導入された形質転換体。
  14. 請求項12又は請求項13に記載の形質転換体を培養する工程、及び
    培養された前記形質転換体からボトリオコッセンを回収する工程を含む、ボトリオコッセンの合成方法。
  15. 請求項14に記載のボトリオコッセンの合成方法であって、
    請求項12に記載の形質転換体を培養する工程、及び
    培養された前記形質転換体からボトリオコッセンを回収する工程を含み、
    回収されたボトリオコッセンの純度が82%以上である、ボトリオコッセンの合成方法。
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