JP2018108603A - リング溝付き溶接開先形状 - Google Patents

Abstract

【課題】鋼管などの鋼円筒物に溶接される鋼管杭などの先端刃先や継手などに加工される溶接開先で、鋼管などの鋼円筒物の外径や肉厚に左右されることなく裏波溶接効果を得られるようにする。
【解決手段】鋼管などの鋼円筒物Ｐ２１と鋼管杭などの先端刃先や継手などに加工された溶接開先Ｊ２１を重ね突合わせ溶接Ｗ２１する。溶接開先Ｊ２１は、鋼管などの鋼円筒物Ｐ２１の肉厚に対応した溶着金属の溶け込みリング溝Ｊ２２を有す、鋼管などの鋼円筒物Ｐ２１は、肉厚毎にリング溝Ｊ２２の手前で止まる構造となっている。
【選択図】図２

Description

本発明は、鋼管杭や杭状地盤補強体の先端に取り付けられる先端刃先やつなぎに使われる機械式継手の溶接開先形状に関するものである。

軟弱地盤を補強するため、鋼管杭や杭状地盤補強体として鋼管などの鋼円筒物が使用されている。この鋼管などの鋼円筒物をつなぎ合わせる時には継手などが使用され、鋼管などの鋼円筒物の先端には先端刃先が溶接される。この継手や先端刃先には鋼管などの鋼円筒物の外径や肉厚に合わせた溶接開先が加工され、この溶接開先に鋼管などの鋼円筒物を挿入して行う重ね突合わせ溶接がされてきた。

しかし最近、鋼管などの鋼円筒物と先端刃先や継手の溶接面にルート隙間を取った突合わせ溶接で裏波を出す溶接を求められる事が多くなった。この理由として考えられることは、現在行われているレ形の重ね突合わせ溶接では、溶込みが不足し、溶接欠陥を頻繁に引き起こしている為と思われる。

裏波を出すためには、鋼管などの鋼円筒物の溶接開先と先端刃先や継手の溶接開先間にルート隙間を取った上、当て金を使った突合わせ溶接が必要となり、溶接作業に多大な時間を必要とする様になった。また、芯だしが困難な上、突合わせ溶接となるため現場での溶接も困難になった。

特開平１１−１９２５８９号公報 特開平１１−０１４７７８号公報

本発明の目的は、鋼管杭や杭状地盤補強体として使われる鋼管などの鋼円筒物の先端刃先や鋼管などの鋼円筒物を繋ぐ継手の溶接に於いて、現在の作業時間で裏波の出る溶接と同程度の溶接強度の得られる溶接開先形状を提供することである。

鋼管などの鋼円筒物に接続する先端刃先や継手の端面に１０〜７０°程度の角度を有する溶接開先を加工し、この加工面に幅０．１ｍｍ以上で深さ０．１ｍｍ以上のリング溝を加工する。リング溝加工は、挿入する鋼管が開先面に入り込む位置より０．１ｍｍ以上離れた位置とし、鋼管などの鋼円筒物外径に対応した肉厚毎とする。

本発明に係る溶接開先形状は、今までの溶接設備で作業が可能である上に溶接作業で重要な芯だしなどの作業も従来の手順で可能である。また、リング溝が付いていることで溶着金属が鋼管などの鋼円筒物肉厚を超える領域まで達する溶接が可能となり、裏波の出る溶接と同程度の溶接強度が得られる。

先端刃物や継手の開先加工も現在の加工手順にリング溝加工を追加するだけで、加工費の大幅なコストアップにはならない。

リング付き開先形状の溶接イメージと溶接断面図。 リング付き開先形状の断面図 鋼管などの鋼円筒物肉厚に対応した溶接開先のリング溝の配置図

図を用いて本発明に係る溶接開先形状を説明する。

図１は、鋼管などの鋼円筒物Ｐ１１に継手Ｊ１１を溶接Ｗ１１したイメージと断面図である。

図２は、鋼管などの鋼円筒物Ｐ２１に継手Ｊ２１を溶接Ｗ２１した断面図で、Ｊ２２は鋼管などの鋼円筒物の肉厚に対応して、継手開先面に加工されたリング溝である。このリング溝底まで溶着金属が流れ込む事により、裏波を出した溶接と同程度の溶接強度が得られる。

図３は、鋼管などの鋼円筒物の肉厚を継手の開先面に挿入したイメージで鋼管などの鋼円筒物の端面がリング溝の手前に引っかかる構造になっている。

Ｐ１１ 継手に溶接された鋼管などの鋼円筒物
Ｊ１１ リング溝を有する継手
Ｗ１１ 鋼管などの鋼円筒物と継手を溶接した溶着金属
Ｐ２１ 継手に溶接された鋼管などの鋼円筒物
Ｊ２１ リング溝を有する継手
Ｊ２２ 継手の溶接開先面に加工されたリング溝
Ｗ２１ 鋼管などの鋼円筒物と継手を溶接した溶着金属

Claims (2)

1. 鋼管などの鋼円筒物に溶接する、鋼管杭などの先端刃先や継手の溶接開先に、裏波溶接効果の得られるリング溝を有することを特徴とする溶接開先形状。
2. 鋼管などの鋼円筒物は、肉厚毎にリング溝の手前で止まる構造となっていることを特徴とする請求項１に記載の溶接開先形状。