JP2018106566A - 建築設備のフォルト検出システム及びそれを適用した建築設備の管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 専門家によらずとも、迅速、低額かつ正確に建築設備のフォルト検出を実施できる建築設備の管理システムを提供する。【解決手段】 設備機器の特性情報データを保存した機器特性データベース11と、設備機器の出力情報データを通信回線5を介して送受信する通信手段12と、この通信手段12で受信した設備機器の出力情報データを基にして建築設備4の運転状態を再現する建築設備シミュレータ13と、前記通信手段12で受信した出力情報データと前記建築設備シミュレータ13が生成した予測情報データとを比較して、建築設備4の異常の有無を判定する比較・判定手段14と、から建築設備のフォルト検出システム1を構成する。【選択図】 図3
Description
本発明は、建築物に設置された熱源設備、空調設備、照明設備等の建築設備におけるフォルト(異常)を自動的に検出する建築設備のフォルト検出システム及びそれを適用した建築設備の管理システムに関する。
近年、世界的なエネルギー資源の減少、二酸化炭素(CO2)排出量の増大に伴って、あらゆる領域に亘って省エネルギー化が叫ばれている。このような省エネルギー化を図るため、種々分野においてエネルギー管理システム(EMS)が導入されつつある。
管理対象をビルとするビルエネルギー管理システム(BEMS)にあっては、ビル内に設置された熱源設備、空調設備、照明設備等の建築設備を監視して、エネルギー消費量を最適化するように制御している。
例えば、ビル内の空調設備において、適宜個所に差圧センサ、流量センサ等を配設し、これらより冷温水の流量を算出して、空調設備の消費電力量を削減することによって、省エネルギー化を図るシステムが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載のシステムでは、そもそも、差圧センサ、流量センサ等の検出装置、冷温水ポンプ、流量調整バルブ等の操作機器が正常に動作していることを前提として制御を実行している。
検出装置、操作機器等が正常に動作しているか否かは、図1に示すように、ビル管理システム(BA)によって、それらの特性情報データを収集し、ビルエネルギー管理システム(BEMS)によって、それらの出力情報データを収集し、それら情報データを比較して、設備管理の専門家が異常の有無を判定(フォルト検出)するようにしていた。
よって、ビル内に設備管理の専門家がいない場合には、ビル外の専門家にフォルト検出を依頼しなければならず、迅速な対応ができないと共に、多額の費用がかかった。
又、設備管理の専門家といえども、大量の収集データからフォルト検出を実施しなければならないから、必ずしも正確な判定をできない場合もあった。
又、設備管理の専門家といえども、大量の収集データからフォルト検出を実施しなければならないから、必ずしも正確な判定をできない場合もあった。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて為されたものであって、ビル内に設備管理の専門家がいない場合にあっても、迅速にかつ低額でフォルト検出を実施できると共に、専門家によって異ならない、正確なフォルト検出を実施できる建築設備のフォルト検出システム及びそれを適用した建築設備の管理システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の建築設備のフォルト検出システムは、設備機器の特性情報データを保存した機器特性データベースと、設備機器の出力情報データを通信回線を介して送受信する通信手段と、この通信手段で受信した設備機器の出力情報データを基にして建築設備の運転状態を再現する建築設備シミュレータと、前記通信手段で受信した出力情報データと前記建築設備シミュレータが生成した予測情報データとを比較して、建築設備の異常の有無を判定する比較・判定手段と、から構成したことを特徴とする。
前記建築設備シミュレータは、国土交通省が提供するライフサイクルエネルギーマネジメントシステム(LCEM)であってもよい。
又、本発明の建築設備の管理システムは、前記建築設備のフォルト検出システムを中央監視センター内に設置し、広域通信回線網(WAN)を介して、複数の建築物と中央監視センターとを接続するようにしたことを特徴とする。
本発明の建築設備のフォルト検出システムによれば、ビル内に設備管理の専門家がいない場合にあっても、迅速にかつ低額でフォルト検出を実施できると共に、専門家によって異ならない、正確なフォルト検出を実施できる。
本発明の建築設備のフォルト検出システムの好適な実施形態について、以下、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の建築設備のフォルト検出システム1は、図2に示すように、ビル管理システム(BA)2及びビルエネルギー管理システム(BEMS)3と共に使用される。
建築物に設置された熱源設備4a、空調設備4b、照明設備4c等の建築設備4の検出装置、操作機器等の特性情報データは、ビル管理システム(BA)2に収集され、保存される。
又、熱源設備4a、空調設備4b、照明設備4c等の建築設備4の検出装置、操作機器等の出力情報データは、ビルエネルギー管理システム(BEMS)3に収集され、保存される。
本発明の建築設備のフォルト検出システム1は、図3に示すように、機器特性データベース11と、通信手段12と、建築設備シミュレータ13と、比較・判定手段14と、から構成される。
機器特性データベース11は、設備機器の特性情報データを保存したデータベースである。
ここで、建築設備4としては、図4に示すように、熱源設備4a、空調設備4b、照明設備4c等が挙げられる。
熱源設備4aとしては、冷却塔、冷凍機等が挙げられ、その操作機器としては、ポンプ等が挙げられる。
空調設備4bとしては、空調機等が挙げられ、その検出装置としては、温度センサ、流量計、電力計等が挙げられ、その操作機器としては、バルブ等が挙げられる。
照明設備4cとしては、照明灯等が挙げられ、その検出装置としては、照度計等が挙げられる。
通信手段12は、設備機器の出力情報データを通信回線5を介して送受信するものである。
建築設備シミュレータ13は、通信手段12で受信した設備機器の出力情報データを基にして建築設備の運転状態を再現するものである。
ここで、建築設備シミュレータ13としては、空調設備専用として独自に作製した空調設備シミュレータを採用してもよく、国土交通省が提供するライフサイクルエネルギーマネジメントシステム(LCEM)、ビルエネルギーシミュレーションツール(BEST)等の既存の建築設備シミュレータを採用してもよい。
比較・判定手段14は、通信手段12で受信した出力情報データと建築設備シミュレータ13が生成した予測情報データとを比較して、建築設備の異常の有無を判定(フォルト検出)するものである。
次に、本発明の建築設備のフォルト検出システム1を適用した実施例について、具体的に説明する。
[実施例1]
先ず、冷却塔におけるフォルト検出に適用した場合について説明する。冷却塔の場合にあっては、図5に示すように、冷却水往温度を所定値に設定したとしても、外気温度、冷却水量、冷却水還温度等のパラメータ因子によって、実際の冷却水往温度、消費電力は影響される。
先ず、冷却塔におけるフォルト検出に適用した場合について説明する。冷却塔の場合にあっては、図5に示すように、冷却水往温度を所定値に設定したとしても、外気温度、冷却水量、冷却水還温度等のパラメータ因子によって、実際の冷却水往温度、消費電力は影響される。
図6に、冷却塔における冷却水往温度の温度センサによる実測値と建築設備シミュレータ13による予測値とを対比して、又、消費電力の電力計による実測値と建築設備シミュレータ13による予測値とを対比して示した。
フォルト検出システム1によれば、図6によって、7月28日〜30日にかけては不具合の兆候が見られ、8月1日〜8日にかけては異常状態が発生していることが分かる。点検検査によって、この異常状態は冷却塔のファンを構成するベアリングの損傷によることが判明したので、ベアリングを新品に交換することによって、異常状態を解消することができた。
[実施例2]
次に、冷却水ポンプにおけるフォルト検出に適用した場合について説明する。冷却水ポンプの場合にあっては、図7に示すように、変水量制御という所定の制御方式に設定したとしても、水量等のパラメータ因子によって、冷却水ポンプの実際の電力、圧力、回転数は影響される。
次に、冷却水ポンプにおけるフォルト検出に適用した場合について説明する。冷却水ポンプの場合にあっては、図7に示すように、変水量制御という所定の制御方式に設定したとしても、水量等のパラメータ因子によって、冷却水ポンプの実際の電力、圧力、回転数は影響される。
図8に、冷却水ポンプの消費電力の電力計による実測値と建築設備シミュレータ13による予測値とを対比して、その相関を描いた。
フォルト検出システム1によれば、図8によって、本来、比例制御している冷却水ポンプの動力が、12kWhと6kWhというように、2値制御になっているという異常状態が発生していることが分かる。そこで、冷却水ポンプの制御機器の調整を実施することによって、異常状態を解消することができた。
[実施例3]
次に、フォルト検出に使用する建築設備シミュレータ13によって、蓄熱槽を運転した場合について説明する。
次に、フォルト検出に使用する建築設備シミュレータ13によって、蓄熱槽を運転した場合について説明する。
図9に示すように、従来通りに蓄熱槽を運転した場合においては、蓄熱槽の消費電力は152,000kWhと多く、氷充填率(IPF)も早期に上昇していって、限界点において、氷を溶融して廃棄する必要があった。
図10に示すように、建築設備シミュレータ13に基づいて蓄熱槽を運転をした場合においては、蓄熱槽の消費電力は133,000kWhと少なく、氷充填率(IPF)も早期に上昇しないので、氷を溶融して廃棄する必要はなかった。
以上のように、本発明の建築設備のフォルト検出システム1によれば、ビル内に設備管理の専門家がいない場合にあっても、迅速にかつ低額で建築設備のフォルト検出を実施できる。又、専門家によって判定が異ならない、正確なフォルト検出を実施できる。
尚、本発明の建築設備のフォルト検出システム1を1棟のビルに設置するのではなく、図11に示すように、広域通信回線網(WAN)6、特にはインターネットを介して、各ビル7A,7B,7C,7Dと中央監視センター8とを接続するようにしてもよい。
このような構成とすれば、各ビル7A,7B,7C,7Dから設備機器についての出力情報データを中央監視センター8に収集でき、中央監視センター8に設置したフォルト検出システム1において、各ビル7A,7B,7C,7Dの建築設備のフォルト検出を集中的に実施することができる。
そして、フォルト検出システム1の通信手段12によって、フォルト検出したことを通知するようにすれば、広域範囲での建築設備の管理システムを構築することができる。そして、フォルト検出したことを通知されたビル7Cでは、早期に異常事態に対処することができる。
1 建築設備のフォルト検出システム
11 機器特性データベース
12 通信手段
13 建築設備シミュレータ
14 比較・判定手段
4 建築設備
5 通信回線
6 広域通信回線網(WAN)
7 ビル
8 中央監視センター
11 機器特性データベース
12 通信手段
13 建築設備シミュレータ
14 比較・判定手段
4 建築設備
5 通信回線
6 広域通信回線網(WAN)
7 ビル
8 中央監視センター
Claims (3)
- 設備機器の特性情報データを保存した機器特性データベースと、設備機器の出力情報データを通信回線を介して送受信する通信手段と、この通信手段で受信した設備機器の出力情報データを基にして建築設備の運転状態を再現する建築設備シミュレータと、前記通信手段で受信した出力情報データと前記建築設備シミュレータが生成した予測情報データとを比較して、建築設備の異常の有無を判定する比較・判定手段と、から構成したことを特徴とする建築設備のフォルト検出システム。
- 前記建築設備シミュレータは、国土交通省が提供するライフサイクルエネルギーマネジメントシステム(LCEM)であることを特徴とする請求項1に記載の建築設備のフォルト検出システム。
- 請求項1に記載の建築設備のフォルト検出システムを中央監視センター内に設置し、広域通信回線網(WAN)を介して、複数の建築物と中央監視センターとを接続するようにしたことを特徴とする建築設備の管理システム。
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2016
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田中 英紀: "建築分野における施設運用データの計測と活用事例", 平成25年電気学会全国大会講演論文集 [3]エレクトロニクス/情報工学システム/センサ・マイクロマシ, JPN6019030689, 5 March 2013 (2013-03-05), JP, pages 15 - 15, ISSN: 0004092379 * |
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