JP2018105681A - 放射線遮蔽板 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備える放射線遮蔽板を提供する。【解決手段】タングステン以外の金属材料で構成される基材と、基材の表面に形成された被覆膜とを備え、被覆膜は、タングステンを主成分とし、基材は、モリブデンを主成分とする放射線遮蔽板。【選択図】図1
Description
本発明は、放射線遮蔽板に関する。
放射線遮蔽板の用途の1つとして、放射線用コリメータを構成する部材、例えばコリメータ板がある。放射線用コリメータは、コリメータ板の形状や複数のコリメータ板の配置などにより一定方向の放射線のみを透過させ、一定方向以外の放射線を遮蔽する。この放射線用コリメータは、例えば、CT(Computed Tomography)装置やX線回折装置、放射線治療装置などに用いられている。
例えば、特許文献1は、X線吸収性能(放射線遮蔽性能)のよいタングステン又はモリブデンのどちらかで構成されるコリメータ板を備えるX線検出器用(放射線用)のコリメータを開示している。
成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備える放射線遮蔽板の開発が望まれている。タングステンは、モリブデンに比べて、放射線遮蔽性能が優れているものの、成形性に劣る。一方、モリブデンは、タングステンに比べて、成形性に優れるものの、放射線遮蔽性能に劣る。
そこで、成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備える放射線遮蔽板を提供することを目的の一つとする。
本開示に係る放射線遮蔽板は、
タングステン以外の金属材料で構成される基材と、
前記基材の表面に形成された被覆膜とを備え、
前記被覆膜は、タングステンを主成分とする。
タングステン以外の金属材料で構成される基材と、
前記基材の表面に形成された被覆膜とを備え、
前記被覆膜は、タングステンを主成分とする。
上記放射線遮蔽板は、成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備える。
《本発明の実施形態の説明》
最初に本発明の実施態様の内容を列記して説明する。
最初に本発明の実施態様の内容を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る放射線遮蔽板は、
タングステン以外の金属材料で構成される基材と、
前記基材の表面に形成された被覆膜とを備え、
前記被覆膜は、タングステンを主成分とする。
タングステン以外の金属材料で構成される基材と、
前記基材の表面に形成された被覆膜とを備え、
前記被覆膜は、タングステンを主成分とする。
上記の構成によれば、成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備える。基材をタングステン以外の金属材料で構成することで、放射線遮蔽板の全てをタングステンで構成する場合に比較して成形性を高め易い。被覆膜がタングステンを主成分とすることで、放射線遮蔽板の全てをモリブデンで構成する場合に比較して放射線遮蔽性能を高め易い。このように成形性に優れる基材と放射線遮蔽性能に優れる被覆膜を備えるため、放射線遮蔽性能を低下させることなく放射線遮蔽板の形状自由度を高め易い。
(2)上記放射線遮蔽板の一形態として、前記基材は、モリブデンを主成分とすることが挙げられる。
基材がモリブデンを主成分とすることで、成形性に優れる上に、基材自体の放射線遮蔽性能に優れる。そのため、被覆膜の厚さを薄くすることができる。
(3)上記放射線遮蔽板の一形態として、放射線用コリメータに用いられることが挙げられる。
放射線遮蔽板が成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備えるため、放射線用コリメータに好適に利用できる。
(4)上記放射線遮蔽板の一形態として、前記被覆膜の厚さが15μm以上225μm以下であり、前記基材と前記被覆膜との合計厚さが500μm以下であることが挙げられる。
被覆膜の厚さが15μm以上であれば、過度に薄すぎないため放射線遮蔽性能を高め易い。被覆膜の厚さが225μm以下であれば、過度に厚すぎないため放射線遮蔽板の厚さを薄くし易い。
また、被覆膜の厚さが上記範囲内であれば、被覆膜の表面は平滑で、かつ被覆膜の内部は緻密である。厚さが上記範囲内の被覆膜は、めっき法により形成されためっき膜であることが好ましい。めっき法では、上記厚さの範囲を満たして、表面が平滑で内部が緻密な被覆膜を形成できる。これに対して、CVD(chemical vapor deposition)やPVD(physical vapor deposition)などの蒸着法では、上記厚さが15μm以上の被覆膜を形成することが難しく、溶射などでは、上記厚さが225μm以下で、かつ表面が平滑で内部が緻密な被覆膜を形成することが難しい。
基材と被覆膜との合計厚さが500μm以下であれば、厚さの薄い放射線遮蔽板とし易い。
(5)上記放射線遮蔽板の一形態として、前記基材が複雑形状を有することが挙げられる。
基材の成形性に優れるため複雑形状を有する基材とし易い。複雑形状は、詳しくは後述する。
《本発明の実施形態の詳細》
本発明の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。
《実施形態1》
〔放射線遮蔽板〕
図1、図2を参照して実施形態1に係る放射線遮蔽板1を説明する。放射線遮蔽板1の特徴の一つは、単一素材で構成されるのではなく、特定の材質の基材2とその基材2を覆う特定の材質の被覆膜3とを備える点にある。以下、その詳細を説明する。
〔放射線遮蔽板〕
図1、図2を参照して実施形態1に係る放射線遮蔽板1を説明する。放射線遮蔽板1の特徴の一つは、単一素材で構成されるのではなく、特定の材質の基材2とその基材2を覆う特定の材質の被覆膜3とを備える点にある。以下、その詳細を説明する。
[基材]
基材2は、被覆膜3が被覆され、放射線遮蔽板1の外形を形成する。基材2の形状は、特に限定されず、放射線遮蔽板1の使用形態に応じて適宜選択できる。基材2は、例えば、矩形の平板状部材などの単純形状の他、複雑形状を有することが挙げられる。複雑形状とは、貫通孔を有する格子状部材やハニカム構造部材やスリット構造部材、平面視においてU字状、V字状、E字状、L字状、S字状などの平板状部材、屈曲部を有し、厚さが均一な屈曲構造部材、凸部や凹部を有し、厚さが部分的に異なる凹凸構造部材などが挙げられる。複雑形状は、プレス加工や打ち抜き加工などで容易に形成できる。ここでは、基材2は矩形の平板状部材で構成している。
基材2は、被覆膜3が被覆され、放射線遮蔽板1の外形を形成する。基材2の形状は、特に限定されず、放射線遮蔽板1の使用形態に応じて適宜選択できる。基材2は、例えば、矩形の平板状部材などの単純形状の他、複雑形状を有することが挙げられる。複雑形状とは、貫通孔を有する格子状部材やハニカム構造部材やスリット構造部材、平面視においてU字状、V字状、E字状、L字状、S字状などの平板状部材、屈曲部を有し、厚さが均一な屈曲構造部材、凸部や凹部を有し、厚さが部分的に異なる凹凸構造部材などが挙げられる。複雑形状は、プレス加工や打ち抜き加工などで容易に形成できる。ここでは、基材2は矩形の平板状部材で構成している。
(材質)
基材2の材質は、タングステン以外の金属材料が挙げられる。基材2をタングステン以外の金属材料で構成することで、放射線遮蔽板1の全てをタングステンで構成する場合に比較して成形性を高め易い。そのため、放射線遮蔽板1の形状自由度を高め易い。タングステン以外の金属としては、後述の被覆膜3を被覆可能で、放射線遮蔽性能、特にX線吸収性能に優れて成形性に優れる金属が好ましい。
基材2の材質は、タングステン以外の金属材料が挙げられる。基材2をタングステン以外の金属材料で構成することで、放射線遮蔽板1の全てをタングステンで構成する場合に比較して成形性を高め易い。そのため、放射線遮蔽板1の形状自由度を高め易い。タングステン以外の金属としては、後述の被覆膜3を被覆可能で、放射線遮蔽性能、特にX線吸収性能に優れて成形性に優れる金属が好ましい。
基材2の材質は、例えば、モリブデン、鉄、及びニッケルの中から選択される1種の金属を主成分とすることが好ましい。ここでいう主成分とは、基材2の構成材料においてその元素を最も多く含むことをいう。例えば、モリブデンを主成分とするとは、基材2の構成材料におけるMoの含有量が最も多いことをいい、特にMoを50質量%超含むことが好ましい。鉄やニッケルもモリブデンと同様である。基材2の材質は、これらの中でもモリブデンを主成分とすることが好ましい。基材2がモリブデンを主成分とすれば、成形性に優れる上に、基材2自体の放射線遮蔽性能、特にX線吸収性能に優れる。そのため、被覆膜3の厚さを薄くすることができる。基材2の材質は、純モリブデン、モリブデン合金、純鉄、鉄合金、ニッケル、及びニッケル合金の中から選択される1種の金属が挙げられる。特に、基材2の材質は、純モリブデンとすることが好ましい。
純モリブデンは、Moを99.9質量%以上含み、残部が不可避的不純物である。モリブデン合金は、Mo以外の添加元素を含み、残部がMo及び不可避的不純物である。添加元素は、例えば、タングステン(W)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)、レニウム(Re)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、炭素(C)、及びハフニウム(Hf)の中から選択される1種以上の元素が挙げられる。
モリブデン合金は、例えば、Mo−W合金(W:0.01質量%以上30質量%以下)、Mo−Cu合金(Cu:0.01質量%以上30質量%以下)、Mo−Nb合金(Nb:0.01質量%以上30質量%以下)、Mo−Ta合金(Ta:0.01質量%以上30質量%以下)、Mo−La合金(La:0.01質量%以上30質量%以下)、Mo−Zr合金(Zr:0.01質量%以上30質量%以下)、Mo−Re合金(Re:0.01質量%以上30質量%以下)、Mo−Y−Ce合金(Y:0.01質量%以上20質量%以下、Ce:0.01質量%以上20質量%以下)、Mo−Ti−Zr−C合金(Ti:0.01質量%以上10質量%以下、Zr:0.01質量%以上10質量%以下、C:0.01質量%以上10質量%以下)、Mo−Hf−C合金(Hf:0.01質量%以上20質量%以下、C:0.01質量%以上20質量%以下)などが挙げられる。
純鉄は、Feを99.8質量%以上含有し、残部が不可避的不純物である。鉄合金は、Fe以外の添加元素を含み、残部がFe及び不可避的不純物である。添加元素は、例えば、クロム(Cr)、炭素(C)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、及びニオブ(Nb)の中から選択される1種以上の元素が挙げられる。鉄合金は、例えば、Fe−Cr合金(Cr:1質量%以上30質量%以下)、Fe−C合金(C:0.01質量%以上2.0質量%以下)、Fe−Ni合金(Ni:1質量%以上20質量%以下)、Fe−Ni−Cr−Mo合金(Ni:1質量%以上20質量%以下、Cr:1質量%以上30質量%以下、Mo:0.1質量%以上5質量%以下)、Fe−Cr−Ti−Nb合金(Cr:1質量%以上20質量%以下、Ti:0.01質量%以上5質量%以下、Nb:0.01質量%以上5質量%以下)などが挙げられる。
純ニッケルは、Niを99質量%以上含有し、残部が不可避的不純物である。ニッケル合金は、Ni以外の添加元素を含み、残部がNi及び不可避的不純物である。添加元素は、例えば、鉄(Fe)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、及びマンガン(Mn)の中から選択される1種以上の元素が挙げられる。ニッケル合金は、例えば、Ni−Fe−Cr−Mo合金(Fe:0.01質量%以上10質量%以下、Cr:1質量%以上30質量%以下、Mo:1質量%以上30質量%以下)、Ni−Cr−Fe−Ti−Mn合金(Cr:1質量%以上20質量%以下、Fe:1質量%以上40質量%以下、Ti:0.1質量%以上5質量%以下、Mn:0.01質量%以上5質量%以下)などが挙げられる。
基材2における元素の含有量の測定は、ICP発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission
Spectroscopy:ICP−AES)により行える。
Spectroscopy:ICP−AES)により行える。
(厚さ)
基材2の厚さは、例えば、被覆膜3との合計厚さが500μm以下となる程度の厚さとすることが好ましい。そうすれば、厚さの薄い放射線遮蔽板1とし易い。基材2と被覆膜3との合計厚さは、更に300μm以下、200μm以下が好ましく、特に100μm以下が好ましい。上記合計厚さの下限は、例えば50μm以上が好ましい。そうすれば、放射線遮蔽板1の厚さが過度に薄すぎないため機械的強度を確保し易い。上記合計厚さは、更に60μm以上が好ましく、特に80μm以上が好ましい。基材2自体の厚さは、20μm以上100μm以下とすることが好ましく、更に40μm以上90μm以下が好ましく、特に50μm以上80μm以下が好ましい。
基材2の厚さは、例えば、被覆膜3との合計厚さが500μm以下となる程度の厚さとすることが好ましい。そうすれば、厚さの薄い放射線遮蔽板1とし易い。基材2と被覆膜3との合計厚さは、更に300μm以下、200μm以下が好ましく、特に100μm以下が好ましい。上記合計厚さの下限は、例えば50μm以上が好ましい。そうすれば、放射線遮蔽板1の厚さが過度に薄すぎないため機械的強度を確保し易い。上記合計厚さは、更に60μm以上が好ましく、特に80μm以上が好ましい。基材2自体の厚さは、20μm以上100μm以下とすることが好ましく、更に40μm以上90μm以下が好ましく、特に50μm以上80μm以下が好ましい。
基材2の厚みの測定は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)による断面観察で行える。具体的には、任意の断面において複数箇所(例えば5箇所以上)で厚みを測定し、その平均値を基材2の厚みとする。
[被覆膜]
被覆膜3は、基材2の表面を覆い、放射線を吸収する。放射線は、X線、γ線、陽子線などが挙げられる。被覆膜3における基材2の表面の被覆領域は、実質的に基材2の表面の全領域が挙げられる。
被覆膜3は、基材2の表面を覆い、放射線を吸収する。放射線は、X線、γ線、陽子線などが挙げられる。被覆膜3における基材2の表面の被覆領域は、実質的に基材2の表面の全領域が挙げられる。
(材質)
被覆膜3の材質は、タングステンを主成分とすることが挙げられる。被覆膜3がタングステンを主成分とすることで、放射線遮蔽板1の全てをモリブデンで構成する場合に比較して放射線遮蔽性能、特にX線吸収性能を高め易い。タングステンを主成分とするとは、被覆膜3の構成材料においてWを最も多く含むことをいい、特にWを50質量%超含むことが好ましい。即ち、被覆膜3の材質は、純タングステン、又はタングステン合金が挙げられる。特に、被覆膜3の材質は、純タングステンとすることが好ましい。
被覆膜3の材質は、タングステンを主成分とすることが挙げられる。被覆膜3がタングステンを主成分とすることで、放射線遮蔽板1の全てをモリブデンで構成する場合に比較して放射線遮蔽性能、特にX線吸収性能を高め易い。タングステンを主成分とするとは、被覆膜3の構成材料においてWを最も多く含むことをいい、特にWを50質量%超含むことが好ましい。即ち、被覆膜3の材質は、純タングステン、又はタングステン合金が挙げられる。特に、被覆膜3の材質は、純タングステンとすることが好ましい。
純タングステンは、Wを99.9質量%以上含み、残部が不可避的不純物である。タングステン合金は、W以外の添加元素を含み、残部がW及び不可避的不純物である。添加元素としては、例えば、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、及びレニウム(Re)の中から選択される1種以上の元素が挙げられる。
タングステン合金は、例えば、W−Mo合金(Mo:0.01質量%以上5質量%以下)、W−Cu合金(Cu:1質量%以上40質量%以下)、W−Ni合金(Ni:0.1質量%以上10質量%以下)、W−Ni−Cu合金(Ni:1質量%以上10質量%以下、Cu:1質量%以上10質量%以下)、W−Re合金(Re:0.1質量%以上5質量%以下)などが挙げられる。
被覆膜3における元素の含有量の測定は、基材2と同様、ICP発光分光分析法により行える。
(厚さ)
被覆膜3の厚さは、例えば、15μm以上225μm以下とすることが好ましい。この厚さは、基材2の片面側における厚さをいう。被覆膜3の厚さが15μm以上であれば、過度に薄すぎないため放射線遮蔽性能、特にX線吸収性能を高め易い。被覆膜3の厚さが225μm以下であれば、過度に厚すぎないため放射線遮蔽板1の厚さを薄くし易い。また、被覆膜3の厚さが上記範囲内であれば、被覆膜3の表面は平滑で、かつ被覆膜3の内部は緻密である。めっき法では、上記厚さの範囲を満たして、表面が平滑で内部が緻密な被覆膜3を形成できる。これに対して、CVD(chemical vapor deposition)やPVD(physical vapor deposition)などの蒸着法では、上記厚さが15μm以上の被覆膜3を形成することが難しく、溶射などでは、上記厚さが225μm以下で、かつ表面が平滑で内部が緻密な被覆膜3を形成することが難しい。被覆膜3の厚さは、150μm以下、更に25μm以上120μm以下が好ましく、特に40μm以上80μm以下が好ましい。被覆膜3の厚さは、基材2の表面全面に亘って均一であることが好ましい。被覆膜3の厚さの測定は、基材2と同様、SEMによる断面観察で行える。
被覆膜3の厚さは、例えば、15μm以上225μm以下とすることが好ましい。この厚さは、基材2の片面側における厚さをいう。被覆膜3の厚さが15μm以上であれば、過度に薄すぎないため放射線遮蔽性能、特にX線吸収性能を高め易い。被覆膜3の厚さが225μm以下であれば、過度に厚すぎないため放射線遮蔽板1の厚さを薄くし易い。また、被覆膜3の厚さが上記範囲内であれば、被覆膜3の表面は平滑で、かつ被覆膜3の内部は緻密である。めっき法では、上記厚さの範囲を満たして、表面が平滑で内部が緻密な被覆膜3を形成できる。これに対して、CVD(chemical vapor deposition)やPVD(physical vapor deposition)などの蒸着法では、上記厚さが15μm以上の被覆膜3を形成することが難しく、溶射などでは、上記厚さが225μm以下で、かつ表面が平滑で内部が緻密な被覆膜3を形成することが難しい。被覆膜3の厚さは、150μm以下、更に25μm以上120μm以下が好ましく、特に40μm以上80μm以下が好ましい。被覆膜3の厚さは、基材2の表面全面に亘って均一であることが好ましい。被覆膜3の厚さの測定は、基材2と同様、SEMによる断面観察で行える。
[用途]
放射線遮蔽板1は、放射線を検出する放射線検出器(図示略)の手前に配置されて、散乱線の入射を防止する放射線(検出器)用のコリメータに備わる放射線用コリメータ板に好適に利用できる。放射線検出器には、CT装置に備わり、被検体に照射して透過した放射線(X線やγ線)を検出するものや、X線回折装置に備わり、被検体に照射して回折したX線を検出するものなどが挙げられる。また、放射線遮蔽板1は、CT装置、X線回折装置、放射線治療装置などに設けられ、被検体に放射線を照射する放射線発生装置(放射線源)と被検体との間に配置されて被検体に照射する放射線を絞る(照射範囲を制御する)コリメータに備わる放射線用コリメータ板に好適に利用できる。
放射線遮蔽板1は、放射線を検出する放射線検出器(図示略)の手前に配置されて、散乱線の入射を防止する放射線(検出器)用のコリメータに備わる放射線用コリメータ板に好適に利用できる。放射線検出器には、CT装置に備わり、被検体に照射して透過した放射線(X線やγ線)を検出するものや、X線回折装置に備わり、被検体に照射して回折したX線を検出するものなどが挙げられる。また、放射線遮蔽板1は、CT装置、X線回折装置、放射線治療装置などに設けられ、被検体に放射線を照射する放射線発生装置(放射線源)と被検体との間に配置されて被検体に照射する放射線を絞る(照射範囲を制御する)コリメータに備わる放射線用コリメータ板に好適に利用できる。
放射線(検出器)用のコリメータの一例を、図2を参照して説明する。コリメータ10は、一定方向の放射線のみを透過させ、一定方向以外の放射線を遮蔽する。このコリメータ10は、複数の放射線遮蔽板1と、対向配置されて複数の放射線遮蔽板1を支持する一対の支持体11a,11bとを備える。各支持体11a,11bは、複数の放射線遮蔽板1を所定の間隔で並列配置するように、複数の溝部12a,12bが形成されている。放射線は、放射線遮蔽板1同士の間を通過して放射線検出器(図示略)により検出される。放射線の散乱線は、放射線遮蔽板1により吸収されて放射線検出器に到達しない。上述の放射線遮蔽板1を備えるコリメータ10によれば、従来のコリメータに比較して、放射線遮蔽板同士の間隔を一定とする場合、解像度を高められたり、S/N(Signal/Noise)比の高い画像が得られたりし易く、解像度やS/N比を一定とする場合、小型化し易い。
〔作用効果〕
上述の放射線遮蔽板1によれば、成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備える。タングステン以外の金属材料で構成される基材2を備えることで成形性を高め易く、タングステンを主成分とする被覆膜3を備えることで、放射線遮蔽性能を高め易いからである。
上述の放射線遮蔽板1によれば、成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備える。タングステン以外の金属材料で構成される基材2を備えることで成形性を高め易く、タングステンを主成分とする被覆膜3を備えることで、放射線遮蔽性能を高め易いからである。
〔放射線遮蔽板の製造方法〕
放射線遮蔽板の製造方法は、基材2を準備する準備工程と、基材2の表面に被覆膜3を形成する被覆工程とを備える。
放射線遮蔽板の製造方法は、基材2を準備する準備工程と、基材2の表面に被覆膜3を形成する被覆工程とを備える。
[準備工程]
基材2の準備は、例えば、上述の構成材料からなる基材2を購入するなどして準備してもよいし、例えばモリブデンを主成分とする基材2などの場合では基材2を作製することで準備してもよい。基材2の作製は、例えば、基材2の原料粉末を準備し、原料粉末を加圧成形して粉末成形体を作製し、粉末成形体を焼結することで行える。
基材2の準備は、例えば、上述の構成材料からなる基材2を購入するなどして準備してもよいし、例えばモリブデンを主成分とする基材2などの場合では基材2を作製することで準備してもよい。基材2の作製は、例えば、基材2の原料粉末を準備し、原料粉末を加圧成形して粉末成形体を作製し、粉末成形体を焼結することで行える。
[被覆工程]
基材2の表面への被覆膜3の形成は、めっき法により行える。ここでは、被覆膜3の形成は溶融塩による電解めっきで行う。具体的には、基材2を作用極とし、対極には銅やタングステンなどの導体を用いる。基材2と導体とを電源に接続し溶融塩に浸漬させ、電源を用いて電位を印加する。
基材2の表面への被覆膜3の形成は、めっき法により行える。ここでは、被覆膜3の形成は溶融塩による電解めっきで行う。具体的には、基材2を作用極とし、対極には銅やタングステンなどの導体を用いる。基材2と導体とを電源に接続し溶融塩に浸漬させ、電源を用いて電位を印加する。
(溶融塩)
溶融塩の組成は、電解によりタングステンを析出可能なものが挙げられる。そのような溶融塩としては、少なくともタングステン化合物を含むことが挙げられる。その他、溶融塩は、タングステン化合物に加えて、フッ化物、及び酸性酸化物の中から選択される少なくとも1種の化合物を含むことが挙げられる。タングステン化合物は、例えば、WO3、Na2WO4、Li2WO4、WO2、W3Oなどの酸化物や、K3WF6、K3WCl6などのフルオライド、クロライドなどが挙げられる。フッ化物は、例えば、KF、NaF、LiFなどのアルカリ金属のフッ化物や、CaF2などのアルカリ土類金属のフッ化物などが挙げられる。酸性酸化物は、例えば、B2O3、KPO3などが挙げられる。溶融塩におけるタングステン化合物の濃度は5mol%以上含むことが望ましい。溶融塩の具体的な組成は、KF−B2O3−WO3、KF−KPO3−WO3、Na2WO4−WO3、KF−Na2WO4−WO3、Na2WO4−B2O3などが挙げられる。
溶融塩の組成は、電解によりタングステンを析出可能なものが挙げられる。そのような溶融塩としては、少なくともタングステン化合物を含むことが挙げられる。その他、溶融塩は、タングステン化合物に加えて、フッ化物、及び酸性酸化物の中から選択される少なくとも1種の化合物を含むことが挙げられる。タングステン化合物は、例えば、WO3、Na2WO4、Li2WO4、WO2、W3Oなどの酸化物や、K3WF6、K3WCl6などのフルオライド、クロライドなどが挙げられる。フッ化物は、例えば、KF、NaF、LiFなどのアルカリ金属のフッ化物や、CaF2などのアルカリ土類金属のフッ化物などが挙げられる。酸性酸化物は、例えば、B2O3、KPO3などが挙げられる。溶融塩におけるタングステン化合物の濃度は5mol%以上含むことが望ましい。溶融塩の具体的な組成は、KF−B2O3−WO3、KF−KPO3−WO3、Na2WO4−WO3、KF−Na2WO4−WO3、Na2WO4−B2O3などが挙げられる。
(めっき条件)
めっきの条件は、電流密度、処理時間、処理雰囲気、溶融塩の温度などを適宜選択することが挙げられる。
めっきの条件は、電流密度、処理時間、処理雰囲気、溶融塩の温度などを適宜選択することが挙げられる。
電流密度は、例えば、10A/m2以上1000A/m2以下が好ましい。電流密度を10A/m2以上とすれば、成膜速度を早め易い。電流密度を1000A/m2以下とすれば、成膜速度が過度に早過ぎないため、均一に成膜し易くて被覆膜3の密着性を高め易い。電流密度は、更に100A/m2以上800A/m2以下が好ましく、特に300A/m2以上600A/m2以下が好ましい。
処理時間は、電流密度にもよるが、例えば、10分以上500分以下が好ましい。処理時間を10分以上とすれば、上述した厚さの被覆膜3を形成し易い。処理時間を500分以下とすれば、厚さが均一でかつ表面粗さの平滑な被覆膜3を形成し易い。処理時間は、更に30分以上240分以下が好ましく、特に60分以上180分以下が好ましい。
処理雰囲気は、N2やArなどの不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。そうすれば、基材2の酸化を抑制できるため、基材2の酸化に伴う被覆膜3の密着性の低下を抑制し易い。
溶融塩の温度は、溶融塩の組成にもよるが、例えば溶融塩の組成がKF−B2O3−WO3、KF−KPO3−WO3、Na2WO4−WO3、KF−Na2WO4−WO3、Na2WO4−B2O3などの場合、800℃以上900℃以下が挙げられる。
〔作用効果〕
上述の放射線遮蔽板の製造方法によれば、基材2と基材2の表面を覆う被覆膜3とを備える放射線遮蔽板1を製造できる。即ち、この放射線遮蔽板の製造方法によれば、成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備える放射線遮蔽板1を製造できる。
上述の放射線遮蔽板の製造方法によれば、基材2と基材2の表面を覆う被覆膜3とを備える放射線遮蔽板1を製造できる。即ち、この放射線遮蔽板の製造方法によれば、成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備える放射線遮蔽板1を製造できる。
《試験例》
放射線遮蔽板の構造の違いによる放射線遮蔽性能の違いを評価した。
放射線遮蔽板の構造の違いによる放射線遮蔽性能の違いを評価した。
〔試料No.1〕
試料No.1の放射線遮蔽板は、図1を参照して説明した放射線遮蔽板1と同様、基材と基材の両面に被覆した被覆膜とを備える。被覆膜の基材の表面への形成は、上述の被覆工程で説明したように、溶融塩による電解めっきで行った。めっき条件と、基材の材質及び厚さと、被覆膜の材質及び厚さとはそれぞれ以下の通りである。
試料No.1の放射線遮蔽板は、図1を参照して説明した放射線遮蔽板1と同様、基材と基材の両面に被覆した被覆膜とを備える。被覆膜の基材の表面への形成は、上述の被覆工程で説明したように、溶融塩による電解めっきで行った。めっき条件と、基材の材質及び厚さと、被覆膜の材質及び厚さとはそれぞれ以下の通りである。
[めっき条件]
めっき浴(モル比) KF:B2O3:WO3=67:26:7
浴温:890℃
雰囲気:Ar
電流密度:300A/m2
めっき時間:240分
めっき浴(モル比) KF:B2O3:WO3=67:26:7
浴温:890℃
雰囲気:Ar
電流密度:300A/m2
めっき時間:240分
[基材]
材質:純モリブデン(Mo:99.9質量%以上、残部:不可避的不純物)
厚さ:100μm
材質:純モリブデン(Mo:99.9質量%以上、残部:不可避的不純物)
厚さ:100μm
[被覆膜]
材質:純タングステン(W:99.9質量%以上、残部:不可避的不純物)
厚さ(片側):50μm
材質:純タングステン(W:99.9質量%以上、残部:不可避的不純物)
厚さ(片側):50μm
即ち、試料No.1の放射線遮蔽板の厚さ(基材と被覆膜との合計厚さ)は200μmである。
〔試料No.2,No.3〕
試料No.2,No.3の放射線遮蔽板は、基材及び被覆膜の材質がそれぞれ試料No.1と同じ純モリブデン及び純タングステンであり、基材及び被覆膜の合計厚さ(放射線遮蔽板の厚さ)が試料No.1と同じ200μmであるが、基材及び被覆膜のそれぞれの厚さが試料No.1と相違する。この試料No.2,No.3の放射線遮蔽板はそれぞれ、試料No.1と厚さの異なる基材を準備し、試料No.1とめっき条件を種々変更して作製した。試料No.2の基材の厚さは40μmであり、被覆膜の厚さは片側80μmである。試料No.3の基材の厚さは150μmであり、被覆膜の厚さは片側25μmである。
試料No.2,No.3の放射線遮蔽板は、基材及び被覆膜の材質がそれぞれ試料No.1と同じ純モリブデン及び純タングステンであり、基材及び被覆膜の合計厚さ(放射線遮蔽板の厚さ)が試料No.1と同じ200μmであるが、基材及び被覆膜のそれぞれの厚さが試料No.1と相違する。この試料No.2,No.3の放射線遮蔽板はそれぞれ、試料No.1と厚さの異なる基材を準備し、試料No.1とめっき条件を種々変更して作製した。試料No.2の基材の厚さは40μmであり、被覆膜の厚さは片側80μmである。試料No.3の基材の厚さは150μmであり、被覆膜の厚さは片側25μmである。
〔試料No.4,No.5,No.6〕
試料No.4,No.5,No.6の放射線遮蔽板はそれぞれ、試料No.1,No.2,No.3において、めっき浴(モル比)をNa2WO4:WO3:KF=74:25:1とした点を除き試料No.1,No.2,No.3と同様にして作製した。
試料No.4,No.5,No.6の放射線遮蔽板はそれぞれ、試料No.1,No.2,No.3において、めっき浴(モル比)をNa2WO4:WO3:KF=74:25:1とした点を除き試料No.1,No.2,No.3と同様にして作製した。
〔試料No.10〕
試料No.10の放射線遮蔽板は、その全てを試料No.1の被覆膜と同じ純タングステンで構成した点が試料No.1と相違する。試料No.10の放射線遮蔽板の厚さは、試料No.1の放射線遮蔽板と同じ200μmとした。
試料No.10の放射線遮蔽板は、その全てを試料No.1の被覆膜と同じ純タングステンで構成した点が試料No.1と相違する。試料No.10の放射線遮蔽板の厚さは、試料No.1の放射線遮蔽板と同じ200μmとした。
〔試料No.11〕
試料No.11の放射線遮蔽板は、その全てを試料No.1の基材と同じ純モリブデンで構成した点が試料No.1と相違する。試料No.11の放射線遮蔽板の厚さは、試料No.1の放射線遮蔽板と同じ200μmとした。
試料No.11の放射線遮蔽板は、その全てを試料No.1の基材と同じ純モリブデンで構成した点が試料No.1と相違する。試料No.11の放射線遮蔽板の厚さは、試料No.1の放射線遮蔽板と同じ200μmとした。
〔放射線遮蔽性能の評価〕
各試料の放射線遮蔽性能の評価は、ここでは各試料のX線の透過率(%)を求めることで行った。放射線遮蔽性能は、透過率(%)が低いほど優れる。各試料の測定結果を図3に示す。図3に示すグラフは、横軸を管電圧kVとし、縦軸をX線の透過率%としている。試料No.1と試料No.4の結果、試料No.2と試料No.5の結果、試料No.3と試料No.6の結果は実質的に同じ結果となったため纏めて示している。具体的には、試料No.1、No.4の結果を黒丸でプロットし、試料No.2、No.5の結果を黒四角でプロットし、試料No.3、No.6の結果を黒三角でプロットし、試料No.10の結果を白丸でプロットし、試料No.11の結果を白三角でプロットしている。
各試料の放射線遮蔽性能の評価は、ここでは各試料のX線の透過率(%)を求めることで行った。放射線遮蔽性能は、透過率(%)が低いほど優れる。各試料の測定結果を図3に示す。図3に示すグラフは、横軸を管電圧kVとし、縦軸をX線の透過率%としている。試料No.1と試料No.4の結果、試料No.2と試料No.5の結果、試料No.3と試料No.6の結果は実質的に同じ結果となったため纏めて示している。具体的には、試料No.1、No.4の結果を黒丸でプロットし、試料No.2、No.5の結果を黒四角でプロットし、試料No.3、No.6の結果を黒三角でプロットし、試料No.10の結果を白丸でプロットし、試料No.11の結果を白三角でプロットしている。
X線の透過率(%)は、各試料に対してX線を照射したときの透過X線量率を測定し、この透過X線量率から求められる。具体的には、X線の透過率(%)=「{(試料を置いたときの透過X線量率)/(試料を置かないときの透過X線量率)}×100」で求められる。各試料の透過X線量率の測定は、「X線防護用品類の鉛当量試験方法 JIS Z 4501(2011)」に準拠した。測定条件は以下の通りである。透過X線量率の測定は、各管電圧において5回ずつ行った。透過X線量率は、5回の測定の平均値とした。
(測定条件)
X線装置:エクスロン・インターナショナル社 MG−452型
管電圧:80kV、120kV、160kV
管電流:12.5mA
付加ろ過板:0.15mmCu(管電圧:80kV)、0.25mmCu(管電圧:120kV)、0.70mmCu(管電圧:160kV)
X線管焦点−試料間距離:1500mm
試料−測定器間距離:50mm
測定器:電離箱照射線量率計 東洋メディック社 RAMTEC−1000D型 A−4プローブ使用
X線量測定単位:空気衝突カーマ
X線ビーム:狭いビーム(直径:20mm)
X線装置:エクスロン・インターナショナル社 MG−452型
管電圧:80kV、120kV、160kV
管電流:12.5mA
付加ろ過板:0.15mmCu(管電圧:80kV)、0.25mmCu(管電圧:120kV)、0.70mmCu(管電圧:160kV)
X線管焦点−試料間距離:1500mm
試料−測定器間距離:50mm
測定器:電離箱照射線量率計 東洋メディック社 RAMTEC−1000D型 A−4プローブ使用
X線量測定単位:空気衝突カーマ
X線ビーム:狭いビーム(直径:20mm)
図3のグラフに示すように、試料No.1〜No.6の放射線遮蔽板は、試料No.11の放射線遮蔽板に比較して、いずれの管電圧のX線に対してもX線の透過率(%)が低いことが分かる。即ち、純モリブデンの基材と基材の表面に形成された純タングステンの被覆膜とを備える試料No.1〜No.6の放射線遮蔽板は、全てが純モリブデンからなる試料No.11の放射線遮蔽板よりもX線吸収(遮蔽)性能(放射線遮蔽性能)に優れる。また、試料No.1〜No.6の放射線遮蔽板は、純モリブデンの基材を備えることから、試料No.11の放射線遮蔽板と同程度の成形性を有する。
一方、図3のグラフに示すように、試料No.1〜No.6の放射線遮蔽板は、試料No.10の放射線遮蔽板に比較して、いずれの管電圧のX線に対してもX線の透過率(%)が少し高いことが分かる。即ち、純モリブデンの基材と基材の表面に形成された純タングステンの被覆膜とを備える試料No.1〜No.6の放射線遮蔽板は、全てが純タングステンからなる試料No.10の放射線遮蔽板よりもX線吸収(遮蔽)性能(放射線遮蔽性能)に少し劣る。しかし、試料No.1〜No.6の放射線遮蔽板は、純モリブデンの基材を備えるため、試料No.10の放射線遮蔽板よりも成形性に優れるため、形状自由度が高い。
以上の結果から、純モリブデンの基材と基材の表面に形成された純タングステンの被覆膜とを備える放射線遮蔽板は、成形性と放射線遮蔽性能の両方を兼ね備えることがわかる。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 放射線遮蔽板
2 基材
3 被覆膜
10 コリメータ
11a,11b 支持体
12a,12b 溝部
2 基材
3 被覆膜
10 コリメータ
11a,11b 支持体
12a,12b 溝部
Claims (5)
- タングステン以外の金属材料で構成される基材と、
前記基材の表面に形成された被覆膜とを備え、
前記被覆膜は、タングステンを主成分とする放射線遮蔽板。 - 前記基材は、モリブデンを主成分とする請求項1に記載の放射線遮蔽板。
- 放射線用コリメータに用いられる請求項1又は請求項2に記載の放射線遮蔽板。
- 前記被覆膜の厚さが15μm以上225μm以下であり、
前記基材と前記被覆膜との合計厚さが500μm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射線遮蔽板。 - 前記基材が複雑形状を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線遮蔽板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016250948A JP2018105681A (ja) | 2016-12-26 | 2016-12-26 | 放射線遮蔽板 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016250948A JP2018105681A (ja) | 2016-12-26 | 2016-12-26 | 放射線遮蔽板 |
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2016
- 2016-12-26 JP JP2016250948A patent/JP2018105681A/ja active Pending
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