JP2018100191A - イオン伝導体 - Google Patents

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伸弘 宮田
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Abstract

【課題】高いイオン電導性を示すイオン伝導体を提供する。【解決手段】イオン伝導体は、[M12+1−xM23+x(OH)2]x+(An−)x/n・mH2O(式中、M12+は二価の金属イオン、M23+は三価の金属イオン、An−は陰イオン)の組成式で表される層状複水酸化物であって、X線回折装置で測定した面指数(003)の回折ピークの半値全幅からシェラー(Scherrer)の式を用いて算出した結晶子サイズD(003)が105Åより小さい層状複水酸化物を含む。【選択図】図1

Description

本開示はイオン伝導体に関する。
層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)は、インターカレーションを示す物質として知られている。この層状複水酸化物が水酸化物イオン(OH)伝導性を示すことが報告され、イオン伝導体としての研究がなされ始めている。非特許文献1は、[Mg(1−x)Al(OH)](COx/2・nHOと、[Mg(1−x)Al(OH)](OH)・nHOの組成式で表されるLDHの25℃から200℃でのイオン伝導度を報告している。非特許文献1によれば、LDHのイオン伝導度は最大で200℃において32mS/cmである。
非特許文献2は、120m−1〜150m−1の表面積を有し、(1.3±0.2)×10−3Scm−1のイオン伝導度を有する層状複水酸化物を開示している。
Solid State Ionics 181, 883 (2010) Electrochemistry Communications 25, 50 (2012)
層状複水酸化物のイオン伝導性を用いて、燃料電池、水素生成などを実現するためには、より高いイオン伝導率が求められる。本開示は、高いイオン電導性を示すイオン伝導体を提供する。
本開示のイオン伝導体は、[M 2+ 1−x 3+ (OH)x+(An−x/n・mHO(式中、M 2+は二価の金属イオン、M 3+は三価の金属イオン、An−は陰イオン)の組成式で表される層状複水酸化物であって、X線回折装置で測定した面指数(003)の回折ピークの半値全幅からシェラー(Scherrer)の式を用いて算出した結晶子サイズD(003)が105Åより小さい層状複水酸化物を含む。
本開示のイオン伝導体およびイオン伝導膜によれば、高いイオン電導度を有し、イオン伝導性に優れる。
図1は、層状複水酸化物の結晶構造を示す模式図である。 図2は、層状複水酸化物の結晶を示す模式図である。 図3は、イオン伝導膜の実施形態を示す模式図である。 図4は、本開示の層状複水酸化物の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図5は、実施例1の層状複水酸化物のX線回折プロファイルの例を示す図である。 図6は、実施例1〜3および比較例1〜3による80℃95%RHでのイオン伝導度と結晶子サイズD(003)との相関を示すグラフである。
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
本発明者らの詳細な検討によれば、非特許文献1および非特許文献2に開示された層状複水酸化物のイオン電導度は、燃料電池のイオン伝導体などの用途として実用的値である100mS/cm程度よりも小さいことが分かった。また、非特許文献1および非特許文献2は、イオン電導度の向上という観点で層状複水酸化物の構造を検討しておらず、イオン伝導度の向上に寄与する要因について十分に検討していない。具体的には、非特許文献1および非特許文献2は、層状複水酸化物の結晶子サイズD(003)とイオン伝導度との関係、特に結晶子サイズD(003)が110Å(11nm)より小さい範囲における関係を検討していない。
本願発明者らは、層状複水酸化物の粒子サイズとイオン伝導度との関係を詳細に研究し、結晶子サイズD(003)が105Åより小さいときに、顕著にイオン伝導度を向上させることができるという知見を得た。この知見は非特許文献1および非特許文献2等、従来明らかにされていなかった。本開示のイオン伝導体の概要は以下の通りである。
本開示の第1の態様に係るイオン伝導体は、[M 2+ 1−x 3+ (OH)x+(An−x/n・mHO(式中、M 2+は二価の金属イオン、M 3+は三価の金属イオン、An−は陰イオン)の組成式で表される層状複水酸化物であって、X線回折装置で測定した面指数(003)の回折ピークの半値全幅からシェラー(Scherrer)の式を用いて算出した結晶子サイズD(003)が105Åより小さい。
上記構成によれば、高い伝導度を有するイオン伝導体を提供できる。
本開示の第2の態様に係るイオン伝導体は、前記M 2+とM 3+はそれぞれMgとAlであることが好ましい。
上記構成によれば、MgとAlは豊富な元素であり低コストのイオン伝導体を提供できる。また、MgとAlで構成された層状複水酸化物は絶縁体である為、良好な電解質膜として利用できる。
本開示の第3の態様に係るイオン伝導体は、前記An−は少なくともCO 2−を含むことが好ましい。
上記構成によれば、CO 2−を含むLDHは他の層間アニオンを有するLDHより安定なため、イオン交換してイオン伝導度が変化することを防止でき、イオン伝導度の経時変化が小さいイオン伝導体を提供できる。
本開示の第4の態様に係るイオン伝導体は、前記xは、0<x<0.5であってもよい。
上記構成によれば、基本構造となるMg(OH)構造のMgサイトを置換するAlが半分以下の量となるため、結晶構造が崩れて不純物相が形成されることを防止でき、歩留まりを高くすることができる。
本開示の第5の態様に係るイオン伝導体は、前記イオン伝導体がポリマー中に分散される、もしくはポリマー等のバインダで結着された、膜形状となっていてもよい。
上記構成によれば、ポリマーが前記イオン伝導体の粒子間の空隙を埋めることで、前記イオン伝導体にガスタイト性と柔軟性を付与できる。
本開示のイオン伝導体の実施形態を説明する。本開示のイオン伝導体は[M 2+ 1−x 3+ (OH)x+(An−x/n・mHOの組成式(以下組成式(1)ともいう)で表される層状複水酸化物を含む。組成式中、M 2+は二価の金属イオン、M 3+は三価の金属イオン、An−は陰イオンである。xは0<x<1を満たしており、好ましくは、0<x<0.5を満たしている。また、nは陰イオンの価数であり、0<n≦4を満たす整数である。mは水和数であり、イオン伝導体が保持される周囲の温度、湿度等に依存する。M 2+は、Ca、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、M 3+は、Al、Cr、Fe、Co、Mn、Gaからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
n−は、無機イオンまたは有機イオンである。無機イオンとしては、CO 2−、NO 、Cl、SO 2−、Br、OH、F、I、Si 2−、B(OH) 2−、PO 3−、などを挙げることができる。また、有機イオンとしては、CH(CHSO 、CH(CHCOO、CH(CHPO 、CH(CHNO などを挙げることができる。後述するように、An−は、水分子とともに金属水酸化物の層の間に挿入される陰イオンであるため、電荷およびイオンの大きさの点で自由度が大きい。このため、上述した無機イオンおよび有機イオン以外の有機および無機イオンであっても金属水酸化物の層の間に挿入が可能である。つまり、An−は、上記無機イオンおよび有機イオンに限られず、他の無機イオンおよび有機イオンであってもよい。M 2+、M 3+およびAn−はそれぞれ1種の元素であってもよいし、2種以上の元素であってもよい。
n−は、上記イオンから任意に選択し得るが、組成式(1)で表される層状複水酸化物を空気中で保持した場合、CO 2−以外のアニオンは、空気中の二酸化炭素に由来するCO 2−イオンに置換される。
図1は、[M 2+ 1−x 3+ (OH)x+(An−x/n・mHOの組成式で表される層状複水酸化物の結晶構造を模式的に示している。図1に示すように、M 2+およびM 3+を中心とする8面体の各頂点にOHイオンが位置しており、金属水酸化物([M 2+ 1−x 3+ (OH)x+)は、水酸化物8面体が稜を共有して2次元に連なった層状(シート状)構造を有している。この金属水酸化物の層の間にはアニオンおよび水分子が位置している。金属水酸化物の層はホスト層として機能し、アニオンおよび水分子がゲスト層として挿入されている。つまり、全体として層状複水酸化物は、金属水酸化物のホスト層とアニオンおよび水分子のゲスト層とが交互に積層された構造を有している。
組成式(1)で示される層状複水酸化物は、1または複数の微小な単結晶の領域を含む1次粒子が集合し、2次粒子を構成した構造を備える。図2は1次粒子の形状を模式的に示している。図2に示すように、組成式(1)で示される層状複水酸化物の1次粒子は板形状を有している。1次粒子の単結晶とみなせる領域を結晶子という。組成式(1)で示される層状複水酸化物において、X線回折装置で測定した面指数(003)の回折ピークの半値全幅からシェラー(Scherrer)の式を用いて算出した結晶子サイズD(003)は105Åより小さい。結晶子サイズD(003)の下限は、10Å程度である。面指数(003)は、ホスト層およびゲスト層の積層構造における積層方向の単結晶とみなせる間隔を意味している。好ましくは、結晶子サイズD(003)は、20Å以上であり、103.78Å以下である。さらに好ましくは、結晶子サイズD(003)は、50Å以上103.78Å以下である。結晶子サイズD(003)の測定方法は後述する。
本開示の層状複水酸化物の結晶子サイズD(003)は、例えば非特許文献2に開示された結晶子サイズよりも小さい。結晶子サイズが小さいことによって、層状複水酸化物中、アニオンの吸着が不安定な表面が増大していると考えられる。アニオンの吸着が不安定なため、層状複水酸化物のイオン伝導抵抗が小さくなり、イオン伝導度が大きくなると考えられる。一方、アニオンの吸着が不安定なほど、層状複水酸化物の1次粒子において正の帯電が強くなり、粒子同士が反発するために凝集が抑制され、層状複水酸化物における積層数が少なく、積層方向の厚さが小さくなる。つまり、層状複水酸化物の厚さが小さいほど高いイオン伝導度を示すと考えられる。
以下の実施例において説明するように、組成式(1)で示される層状複水酸化物は、結晶子サイズD(003)が、105Å以下であることにより、80mS/cm以上のイオン電導度を有する。特に、結晶子サイズD(003)が、103.78Å以下であることにより、組成式(1)で示される層状複水酸化物は、81.41mS/cm以上のイオン電導度を有する。
なお、非特許文献2は、[Mg(1−x)Al(OH)](COx/2・nHOの、D(110)による結晶子のサイズおよび表面積とイオン伝導度との関係を示している。非特許文献2によれば、面指数D(110)はホスト層の2次元に延びる面内の方向を示し、面指数D(110)が小さいほど、表面積は大きくなる。非特許文献2は、表面積が大きいほどイオン伝導度が大きくなると報告している。しかし、非特許文献2に報告されている層状複水酸化物のイオン伝導度は最大で1.5mS/cmであり、本開示のイオン伝導体が有するイオン伝導度よりもはるかに小さい。また、結晶子サイズD(003)は、上述したように、層状複水酸化物における層状構造のホスト層間の間隔、あるいは、積層方向の結晶の大きさを示し、結晶子サイズD(003)が小さいほど層状複水酸化物の表面積が大きいとは言えない。
本開示のイオン伝導体は、組成式(1)で示される層状複水酸化物を主成分とし、不可避的に残留する、層状複水酸化物の合成時に用いる出発原料、中間生物、副反応生成物等を含んでいてもよい。この場合、不可避的に残留する物質の質量は、イオン伝導体全体の質量の5%以下であることが好ましい。この場合、添加物の質量は、イオン伝導体全体の質量の30%以下であることが好ましい。
本開示のイオン伝導体は、燃料電池、水分解装置、水素生成装置、センサー、イオン交換材料などに好適に用いることができる。この場合、本開示のイオン伝導体は、イオン伝導膜として燃料電池等に用いてもよい。図3は、イオン伝導膜の構造の一例を模式的に示す。本開示のイオン伝導膜100は、イオン伝導体1と、基材2とを含む。基材2は、例えば、ポリエチレン、PTFEなどの高分子化合物が挙げられる。
イオン伝導膜100において、イオン伝導体1は基材2に分散している。イオン伝導体1の含有量の上限に特に制限はないが、イオン伝導体1の含有量が多くなりすぎると、イオン伝導性高分子化合物の添加量が少なくなり、用途によっては、膜としての機械的強度等が十分ではない場合が生じ得る。
イオン伝導膜100によれば、イオン伝導体1の2次粒子の空隙がイオン伝導性高分子化合物で充填されるため、高いガスバリア性を有し、また、柔軟性を備える。燃料電池等、種々の用途において、実用性に優れたイオン伝導性を有する膜として用いることができる。イオン伝導膜100は、イオン交換膜、イオン吸着膜などとしても利用することができる。
本開示のイオン伝導体に含まれる組成式(1)で示される層状複水酸化物は、結晶子サイズD(003)が105Å以下となる、任意の合成方法によって、合成することができる。つまり、従来よりも、結晶子サイズD(003)が小さくなる条件を用いて本開示のイオン伝導体に適した組成式(1)で示される層状複水酸化物を得ることができる。
例えば、まず、組成式(1)の比率でM 2+を含む金属塩または金属酸化物と、M 3+含む金属塩または金属酸化物とを水に溶解させる。M 2+およびM 3+を含む水溶液を攪拌させながらアルカリ溶液に加えpHを急激に変化させる。その後、さらにアルカリ溶液を滴下するなどによってpHを上昇させ、例えばpH=10程度を維持しながら攪拌を続ける。これにより、結晶子が粒成長するのを抑制しながら組成式(1)で示される層状複水酸化物を水溶液から析出させることができる。M 2+およびM 3+含む水溶液の濃度および温度を変化させることによって、生成する層状複水酸化物の結晶子サイズD(003)を調整することが可能である。
析出した層状複水酸化物を分離し、洗浄後、乾燥させることにより、本開示のイオン伝導体に含まれる組成式(1)で示される層状複水酸化物を得ることができる。
本開示のイオン伝導体は、結晶子サイズD(003)が105Å以下であることにより、従来よりも高いイオン伝導度を有する。このため、燃料電池、水素生成装置などのイオン伝導体として好適に用いることが可能である。
(実施例)
以下、実施例により本開示を具体的に説明する。
(実施例1)
[層状複水酸化物の合成方法]
図4を参照しながらLDHの合成方法の概略を説明する。NaOH水溶液を激しく攪拌しながら、金属混合水溶液を素早く添加する急速混合法により層状複水酸化物を合成した。M 2+およびM 3+含む化合物として、Mg(NO・6HOおよびAl(NO・9HOを用意し、組成式(1)において、x=0.25の組成の層状複水酸化物が得られるように、[Mg/Al]の仕込みモル比が3.0となる割合で2つの化合物を秤量し、脱イオン水に溶解させた。MgおよびAlを合わせた金属イオンの濃度が0.1Mとなるように脱イオン水を秤量した。
テフロン(登録商標)ビーカーに0.25M NaOH水溶液240mlを入れ、室温にてスターラーで1500rpmの回転数で激しく攪拌し、そこに0.1M 金属混合溶液480mlを急速に、具体的には投入開始から終了までの時間が5秒以内になるように添加した。金属混合溶液の添加後、2M NaOH水溶液を、スポイトを用いて滴下し、溶液のpHが10となるように調製しながら、30分間攪拌を行った。攪拌に伴い、微小な結晶が析出した。得られた懸濁液は遠心分離により固液分離し、回収物を脱イオン水で洗浄した。その後、回収物を脱イオン水に再分散させ、懸濁液をオートクレーブ容器に移し、水熱処理(150℃、4h)を行った。水熱処理後、懸濁液を蒸発乾燥させ、層状複水酸化物の粉末を得た。
[元素分析]
ICP分析法によって、得られた層状複水酸化物の元素分析を行った。決定した組成式は、[Mg0.75Al0.25(OH)](CO0.125・nHOであった。
[結晶子サイズD(003)の測定方法]
X線回折装置(PANalytical製 X’Pert PRO MPD)を用い、管電圧45kV、管電流40mAでCu−Kα線を発生させ集中法により測定した。ステップ幅は0.01°、計数時間は0.5秒である。合成されたLDH粉末のX線回折の(003)ピークから式(2)に示すシェラー法により結晶子サイズD(003)を求めた。
D=Kλ/βcosθ (2)
ここで、Kはシェラーの定数(本検討では便宜的に0.94を用いた)、λはCuKα線の波長(1.54Å)、βは(B−b)で表され、Bはサンプルの反射の半値全幅、bは標準試料の反射の半値全幅であり、単位はラジアン(rad)である。
図5は、合成した層状複水酸化物粉末を2θ―θスキャンしたX線回折プロファイルである。2θ=11.21°に検出されたピークは層状複水酸化物粉末の面指数(003)に帰属される。この(003)面のピークの半値全幅を求め、上記シェラー法より結晶子サイズD(003)を得た。
[イオン伝導度の測定方法]
合成されたLDH粉末を一軸プレスで押し固めてペレットへ形成して評価に用いた。層状複水酸化物のペレットの表裏面にRFマグネトロンスパッタでAu電極を形成した。ペレットを恒温恒湿槽(Espec製 SH−241)内に設置し、80℃および95%RHの雰囲気でイオン伝導抵抗が安定するまで保持した後、インピーダンスアナライザ(Solartron製 SI1260)を用いて評価を行った。イオン伝導抵抗はCole−Cole plotより実測した半円を抵抗RとCPE(Constant Phase Elemet)の並列回路に、抵抗Rを直列接続した等価回路でフィッティングして求めた。イオン伝導度σは式(3)に示す数式より求めた。
σ=d/(R・S)(3)
ここで、dはペレットの厚さ(cm)、RはCole−Cole plotより求められるイオン伝導抵抗(Ω)、SはAu電極の面積(cm)である。
表1に結晶子サイズD(003)およびイオン伝導度を示す。表1に示すように、結晶子サイズD(003)は70.82Å、80℃95%RHでのイオン伝導度は87.69mS/cmであった。
(実施例2)
金属混合溶液の濃度を2倍にした0.2M 金属混合溶液240mlを用いた。その他は実施例1と同条件にて層状複水酸化物を合成した。表1に示すように、結晶子サイズD(003)は95.36Å、80℃95%RHでのイオン伝導度は78.33mS/cmであった。
(実施例3)
金属混合溶液を添加するNaOH水溶液の温度を室温から5℃に冷却し、その他は実施例1と同条件にてLDHを合成した。表1に示すように、結晶子サイズD(003)は103.78Å、80℃95%RHでのイオン伝導度は81.41mS/cmであった。
(比較例1)
金属混合溶液をNaOH水溶液へ添加した後、2M NaOH水溶液を、スポイトを用いて滴下し、pH12となるように調製しながら、30分間攪拌を行った。その他は実施例1と同条件にてLDHを合成した。表1に示すように、結晶子サイズD(003)は131.67Å、80℃95%RHでのイオン伝導度は34.59mS/cmであった。
(比較例2)
水熱処理(150℃)を50h行い、その他は実施例1と同条件にてLDHを合成した。表1に示すように、結晶子サイズD(003)は119.10Å、80℃95%RHでのイオン伝導度は31.25mS/cmであった。
(比較例3)
水熱処理(150℃)を100h行い、その他は実施例1と同条件にてLDHを合成した。表1に示すように、結晶子サイズD(003)は178.67Å、80℃95%RHでのイオン伝導度は21.76mS/cmであった。
Figure 2018100191
図6は、イオン伝導度と結晶子サイズD(003)との相関を示す。結晶子サイズD(003)が105Åより小さい実施例1〜3に係るイオン伝導体は、結晶子サイズD(003)が105Å以上の比較例1〜3に係るイオン伝導体より、イオン伝導度が2倍以上高い。
本開示のイオン伝導体およびイオン伝導膜は、燃料電池、水電解装置などの水素エネルギーに関連するデバイスに好適に用いられる。
1 イオン伝導体
2 基材
100 イオン伝導膜

Claims (9)

  1. [M 2+ 1−x 3+ (OH)x+(An−x/n・mHO(式中、M 2+は二価の金属イオン、M 3+は三価の金属イオン、An−は陰イオン)の組成式で表される層状複水酸化物であって、X線回折装置で測定した面指数(003)の回折ピークの半値全幅からシェラー(Scherrer)の式を用いて算出した結晶子サイズD(003)が105Åより小さい層状複水酸化物を含む、イオン伝導体。
  2. 前記結晶子サイズD(003)が10Å上である、請求項1に記載のイオン伝導体。
  3. 前記結晶子サイズD(003)が103.78Å以下である、請求項2に記載のイオン伝導体。
  4. 前記結晶子サイズD(003)が70Åより大きい、請求項3に記載のイオン伝導体。
  5. 前記結晶子サイズD(003)が70.82Å以上である、請求項4に記載のイオン伝導体。
  6. 前記MはMgであり、前記MはAlである、請求項1から4のいずれか1項に記載のイオン伝導体。
  7. 前記An−は少なくともCO 2−を含む請求項1から6のいずれか1項に記載のイオン伝導体。
  8. 前記xは、0<x<0.5である、請求項1から7のいずれか1項に記載のイオン伝導体。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のイオン伝導体と、
    高分子化合物と、
    を備えたイオン伝導膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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