JP2018095372A - クレーン - Google Patents
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Abstract
【課題】作業者の高い技術や経験によらなくとも、適切な場所に設置することができるクレーンを提供する。【解決手段】車両の位置を測位可能な衛星測位システムと、外部の情報端末と通信可能な通信手段と、を備えるクレーンであって、前記通信手段を介して、前記車両の位置を基準とした天気情報及び地盤情報及び水位情報及び積雪情報のうち、少なくとも一つを取得可能に構成され、前記取得した情報に基づいて警戒エリアを設定する。【選択図】図3
Description
本発明は、クレーンに関する。
従来、移動式クレーンの安定度を超える作業いわゆる過荷重による転倒を防ぐために、ブームに係る荷重を検出して、所定の閾値との比較により転倒の危険性を判定する過負荷防止装置を備えた移動式クレーンが開示されている(特許文献1参照)。
上述のクレーンにおいて、クレーンを設置する際に、例えば、地盤沈下等が発生し得る地盤の安定性が低い箇所を回避する必要があり、作業者がクレーンを設置可能な場所か否かを判断するには、高い技術及び経験が必要とされている。
そこで、本発明は、作業者の高い技術及び経験によらなくとも、適切な場所に設置することができるクレーンを提供することを目的とする。
本発明のクレーンは、車両の位置を測位可能な衛星測位システムと、外部の情報端末と通信可能な通信手段と、を備えるクレーンであって、前記通信手段を介して、前記車両の位置を基準とした天気情報及び地盤情報及び水位情報及び積雪情報のうち、少なくとも一つを取得可能に構成され、前記取得した情報に基づいて警戒エリアを設定する。
前記車両の傾斜角を計測する傾斜センサと、アウトリガの張出幅を検出する張幅センサと、前記アウトリガのジャッキアップ量を検出するジャッキアップ量センサと、を備え、前記警戒エリアにおける任意の場所において作業を行うときに、前記アウトリガが接地される前の前記傾斜センサの検出値及び前記張幅センサの検出値及び前記ジャッキアップ量センサの検出値に基づいて算出される前記車両の傾斜角と、前記アウトリガが接地された後の前記傾斜センサから検出される前記車両の傾斜角と、を比較して前記アウトリガの接地面の地盤の沈下を判別する。
クレーンの作業状態検出手段によってアウトリガの反力を算出可能に構成され、前記警戒エリアにおける任意の場所において作業を行うときに、前記アウトリガの反力及び前記アウトリガの接地面の地盤の沈下量に基づいて前記アウトリガの接地面の地盤の強さを算出する。
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
自車両の位置を基準とした天気情報及び地盤情報及び水位情報及び積雪情報に基づいて警戒エリアを設定することで、作業者の高い技術及び経験によらなくとも、クレーンを安全な場所に設置することができる。
アウトリガ接地前の傾斜センサの検出値及び張幅センサの検出値及びジャッキアップ量センサの検出値に基づいて算出される車両の傾斜角と、アウトリガ接地後の傾斜センサによって検出される車両の傾斜角と、を比較することで、地盤沈下の有無を判別することができ、クレーンによる作業を行う前に地盤の安全性を簡易に確認することができる。
アウトリガ接地時におけるアウトリガ接地面の沈下量及びアウトリガの反力から地盤の状態を客観的に把握することができる。
以下に、図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係るクレーン1の全体構成について説明する。クレーン1は、不特定の場所に移動可能な移動式クレーンである。クレーン1は、アウトリガ5が地面に接地されることで、車両2を安定させるものであればよく、以下に記す構成に限定されるものではない。クレーン1は、車両2、クレーン装置6を有する。
図1に示すように、車両2は、クレーン装置6を搬送するものである。車両2は、複数の車輪3を有し、エンジン(図示しない)を動力源として走行する。車両2には、その傾斜量を検出する傾斜センサ2a(図2参照)が設けられる。傾斜センサ2aとして角度計が設けられる。傾斜センサ2aは、制御装置39(図2参照)に接続され、傾斜センサ2aの検出値(車両2の傾斜角)を制御装置39に送信する。
車両2には、アウトリガ5が設けられている。アウトリガ5は、車両2の幅方向両側に油圧によって延伸可能な張り出しビームと地面に垂直な方向に延伸可能な油圧式のジャッキシリンダとから構成されている。車両2は、アウトリガ5を車両2の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、クレーン1の作業可能範囲を広げることができる。車両2には、GNSS装置20(図2参照)が設けられる。
アウトリガ5には、張り出し幅を検出する張幅センサ5a(図2参照)と、ジャッキアップ量を検出するジャッキアップ量センサ5b(図2参照)と、が設けられる。張幅センサ5aは、制御装置39(図2参照)に接続され、張幅センサ5aの検出値(アウトリガ5の張り出し幅)を制御装置39に送信する。ジャッキアップ量センサ5bは、制御装置39(図2参照)に接続され、ジャッキアップ量センサ5bの検出値(アウトリガ5のジャッキアップ量)を制御装置39に送信する。
クレーン装置6は、搬送物Wをフックにかけてワイヤロープによって吊り上げるものである。クレーン装置6は、旋回台7、伸縮ブーム8、ジブ9、メインフックブロック10、サブフックブロック11、起伏シリンダ12、メインウインチ13、メインワイヤロープ14、サブウインチ15、サブワイヤロープ16、レーザスキャナ17、通信部18、キャビン19、GNSS装置20(図2参照)、制御装置39(図2参照)等を具備する。
旋回台7は、クレーン装置6を旋回可能に構成するものである。旋回台7は、円環状の軸受を介して車両2のフレーム上に設けられる。円環状の軸受は、その回転中心が車両2の設置面に対して垂直になるように配置されている。旋回台7は、円環状の軸受の中心を回転中心として一方向と他方向とに回転自在に構成されている。また、旋回台7は、油圧式の旋回モータによって回転されるように構成されている。旋回台7には、その旋回位置を検出する旋回位置検出センサ40(図2参照)が設けられている。旋回位置検出センサ40は、制御装置39(図2参照)と接続され、旋回位置検出センサ40の検出値(旋回台7の旋回方向及び旋回角度)を制御装置39に送信する。
伸縮ブーム8は、搬送物Wを吊り上げ可能な状態にワイヤロープを支持するものである。伸縮ブーム8は、複数のブーム部材から構成されている。各ブーム部材は、断面積の大きさの順に入れ子式に挿入されている。伸縮ブーム8には、伸縮シリンダ(図示しない)が設けられ、作動油が供給されることで、伸縮ブーム8を軸方向に伸縮自在に構成する。伸縮ブーム8には、起伏シリンダ12が設けられ、作動油が供給されることで、伸縮ブーム8を起立および倒伏させ、伸縮ブーム8の姿勢を保持している。
伸縮ブーム8には、そのブーム長さを検出する伸縮ブーム長さ検出センサ41(図2参照)と起伏角度を検出する起伏角度検出センサ42(図2参照)とが設けられている。伸縮ブーム長さ検出センサ41は、制御装置39(図2参照)に接続され、伸縮ブーム長さ検出センサ41の検出値(伸縮ブーム長さ)を制御装置39に送信する。起伏角度検出センサ42は、制御装置39(図2参照)に接続され、起伏角度検出センサ42の検出値(伸縮ブーム8の起伏角度)を送信する。
図1に示すように、ジブ9は、クレーン装置6の揚程や作業半径を拡大するものである。ジブ9の基端は、伸縮ブーム8の先端部に連結可能に構成されている。ジブ9は、伸縮ブーム8の先端から揚程や作業半径を拡大する方向に突出した姿勢で保持される。
メインフックブロック10は、搬送物Wを吊るものである。メインフックブロック10には、メインワイヤロープ14が巻き掛けられる複数のフックシーブと、搬送物Wを吊るメインフックと、が設けられている。サブフックブロック11は、搬送物Wを吊るものである。サブフックブロック11には、搬送物Wを吊るサブフックが設けられている。
起伏シリンダ12には、シリンダ内の圧力を検出することで伸縮ブーム8に作用するモーメントを検出するモーメント検出器12a(図2参照)が設けられる。モーメント検出器12aは、制御装置39(図2参照)に接続され、モーメント検出器12aの検出値(伸縮ブーム8に係るモーメント)を制御装置39に送信する。
油圧ウインチであるメインウインチ13は、メインワイヤロープ14の繰り入れ(巻き上げ)および繰り出し(巻き下げ)を行うものである。油圧ウインチであるサブウインチ15は、サブワイヤロープ16の繰り入れおよび繰り出しを行うものである。
レーザスキャナ17は、三次元情報取得手段として設けられ、レーザ光が対象物に反射して帰ってくるまでの時間から計測距離を算出することで、三次元情報を取得するものである。レーザスキャナ17は、伸縮ブーム8の先端または、ジブ9の先端(本実施形態では、伸縮ブーム8の先端)に設けられている。レーザスキャナ17は、伸縮ブーム8の揺動軸と平行な軸を揺動中心としてアクチュエータを介して揺動可能に構成されている。レーザスキャナ17は、伸縮ブーム8の倒伏角度またはジブ9の倒伏角度に関わらず設置位置から鉛直下向きのエリアを計測可能に構成されており、任意の状況下においてその姿勢を鉛直下向きから変更可能に構成されている。レーザスキャナ17は、制御装置39(図2参照)に接続され、測定した三次元情報を制御装置39に送信可能にしている。
通信部18は、インターネット等の広域通信網を介して各種のデータを送受信するもので、広域通信網を介して接続される外部の情報端末との間においてデータ通信を行うことができるように構成されている。
キャビン19は、操縦席を覆うものである。キャビン19は、旋回台7における伸縮ブーム8の側方に設けられている。キャビン19の内部には、操縦席が設けられている。操縦席には、メインウインチ13を操作するためのメイン用操作具、サブウインチ15を操作するためのサブ用操作具、伸縮ブーム8を操作するための起伏用操作具、クレーン1を移動させるためのハンドル、モニタ21(図2参照)等が設けられている。
図2に示すように、GNSS装置20は、衛星測位システムとして設けられ、測位衛星が放送する測位信号を受信して、クレーン1の位置座標を計測(算出)するものである。GNSS装置20は、車両2のフレームに設けられる。測位衛星とは、GPS衛星を含むGNSS衛星を示す。GNSS装置20は、複数の衛星からの信号を受信することで、クレーン1の現在位置を緯度、経度及び高度から構成される座標データとして出力する。GNSS装置20は、制御装置39に接続され、クレーン1の位置座標を送信可能にしている。
制御装置39は、出力器として設けられるモニタ21に接続される。モニタ21は、後述の3Dマップを表示したり、撮影手段によって取得される画像を表示したり、クレーン1の現在位置に基づいて通信部18を介して取得される地図データを表示したりすることができる。
以上の構成において、クレーン1は、車両2を走行させることで任意の位置にクレーン装置6を移動させることができる。また、クレーン1は、起伏シリンダ12で伸縮ブーム8を任意の起伏角度に起立させて、伸縮ブーム8を任意のブーム長さに延伸させたりジブ9を連結させたりすることでクレーン装置6の揚程や作業半径を拡大することができる。
また、クレーン1は、レーザスキャナ17が計測する三次元情報に基づいて3Dマップを生成することができる。ここでの三次元情報とは、レーザスキャナ17によって計測される対象物の三次元座標値で表される点群データを指す。点群データは、色情報を含んで構成される。3Dマップは、レーザスキャナ17が計測する三次元情報(点群データ)を物体表面の3D構造を表すデータに変換して生成してもよいし、レーザスキャナ17が計測する三次元情報(点群データ)にカメラ等の撮影手段によって撮影される画像データを表示領域毎に区切った画像データをそれぞれ貼り付けることで生成してもよい。
また、三次元情報取得手段として、対象物に反射して帰ってくるまでの時間から計測距離を算出するレーザスキャナ17を用いているが、これに限定されることなく、例えば、複数のレーザ波長の位相差から計測距離を算出するレーザスキャナであってもよいし、視差を利用して距離情報を得るステレオカメラ等であってもよい。
図3を用いて、アウトリガ5を接地した状態での作業における警戒エリアの有無の検出について説明する。アウトリガ5を接地した状態での作業における警戒エリアとは、クレーン1の搬送作業において転倒の危険性があるエリアを指す。クレーン1は、警戒エリアの有無を検出して、モニタ21の地図データ又は3Dマップに警戒エリアを表示するとともに、警戒エリアにクレーン1が進入すると、オペレータに報知する構成となっている。
クレーン1は、通信部18を介してアウトリガ5を接地した状態のクレーン1に影響を与える事象である天気情報23(図2参照)及び地盤情報24(図2参照)及び水位情報25(図2参照)及び積雪情報26(図2参照)等をリアルタイムに取得可能に構成されている。
天気情報23とは、ある地域の晴雨、風等の状態を表す情報であり、雨量、風量等を含んで構成される。地盤情報24とは、ある地域において予め調査を行うことで得られる地盤の状態や性質、強度等を表す情報及び地中の埋設物(空洞や配管等)を表す情報を含んで構成される。水位情報25とは、ある地域の河川や海水面の高さ(水位)を表す情報及び洪水時における浸水想定区域の情報及び地下水位の情報を含んで構成される。積雪情報26とは、ある地域の積雪の深さ、雪質等を表す情報である。上記各種の情報は、通信部18を介してリアルタイムに更新され、最新の情報を取得可能に構成される。クレーン1は、上記情報の過去の情報及び将来の予測情報を含めて取得可能に構成される。
クレーン1は、衛星測位システムによって検出されるクレーン1の現在位置に基づいて天気情報23及び地盤情報24及び水位情報25及び積雪情報26のうち、少なくとも一つの情報を取得することで、作業エリアにおいて警戒エリアがあるか否かを検出する。
警戒エリアは、大雨に伴う土石流、地滑り、土砂崩れが発生し得る土砂災害警戒エリアA1及び大雨等が原因で河川から増水、氾濫した水によって陸地が水没したり水浸しになったりし得る浸水警戒エリアA2及び液状化現象や積雪深さや地中の空洞や配管によって地盤が沈下し得る地盤沈下警戒エリアA3等を指す。
図3(a)に示すように、クレーン1は、土砂崩れが発生し得る急傾斜地(例えば、山地等)の近傍を土砂災害警戒エリアA1として設定する。土砂災害警戒エリアA1は、通信部18を介して取得される地図データや三次元情報取得手段で計測された三次元情報から急傾斜地を判定してもよい。クレーン1は、土砂災害警戒エリアA1に侵入すると、予め作業中止基準を操縦者に報知する。作業中止基準とは、土砂災害が発生する可能性があるため、操縦者に土砂災害警戒エリアA1からの退避を促す基準であり、例えば、一定時間に計測される雨量が所定の閾値を上回った場合に作業中止となる。実際に、土砂災害警戒エリアA1にて作業中止基準を上回る雨量が計測された場合、クレーン1は、操縦者に避難するように警告するとともに、伸縮ブーム8の格納を促す。
図3(a)に示すように、クレーン1は、洪水や津波による水没や水浸しが発生し得るエリア(例えば、河川近傍のエリアや海岸近傍のエリア)を浸水警戒エリアA2として設定する。クレーン1は、浸水警戒エリアA2に侵入すると、予め作業中止基準を操縦者に報知する。作業中止基準とは、洪水や津波による水没や水浸しになる可能性があるため、操縦者に浸水警戒エリアA2からの退避を促す基準であり、例えば、一定時間に計測される雨量が所定の閾値を上回った場合や潮位が所定の閾値を上回った場合や地震が発生した場合に作業中止となる。実際に、浸水警戒エリアA2にて作業中止基準を上回る雨量又は潮位や地震の発生が確認された場合、クレーン1は、操縦者に避難するように警告するとともに、伸縮ブーム8の格納を促す。
図3(a)に示すように、クレーン1は、地盤沈下が発生し得るエリアを地盤沈下警戒エリアA3として設定する。地盤沈下警戒エリアA3は、液状化現象が発生し得るエリア(土質が砂質で、かつ、地下水位が高いエリア(図3(b)参照))や、地中に埋設される空洞や配管があるエリア等がある。また、積雪地帯において、雪面高さが例年の雪面高さと比較して著しく低い場合、地盤沈下警戒エリアA3として設定される。
クレーン1は、液状化現象による地盤沈下が発生し得るエリアに侵入すると、地震発生時に液状化する可能性があるため、伸縮ブーム8の格納を促し、避難を促す。クレーン1は、地中の埋設物により地盤沈下が発生し得るエリアに侵入すると、クレーン1の自重による陥没の有無を検出して地盤の養生又は避難を促す。クレーン1は、雪面高さの著しい低下による地盤沈下が発生し得るエリアに侵入した場合、クレーン1は操縦者に避難するように警告するとともに、伸縮ブーム8の格納を促す。
以上のように、自車両の位置を基準とした天気情報23及び地盤情報24及び水位情報25及び積雪情報26のうち、少なくとも一つの情報に基づいてアウトリガ5の接地による作業における警戒エリアを設定して表示することで、操縦者は作業エリアにおいて警戒エリアを容易に確認することができる。そのため、作業者の高い技術及び経験によらなくとも、クレーン1を安全な場所に設置することができる。また、衛星測位システムを用いることで、警戒エリアにクレーン1がいるかどうかを判別して、警戒エリアにクレーン1がいる場合、報知を行うことで、操縦者は警戒エリアに侵入したことを容易に認識できる。
以上の構成において、土砂災害警戒エリアA1では、急傾斜地の近傍のエリア(例えば、山の麓から扇状に形成されるエリア)であったり、浸水警戒エリアA2では、河川や海岸近傍のエリア(河川を挟んだ両脇のエリア)であったり、地盤沈下警戒エリアA3では、液状化現象が発生し得るエリア(土質が砂質で地下水位が高いエリア)であったりと、大局的なエリアが警戒エリアとして設定されている。そのため、警戒エリアにおいても作業を行う必要性がある場合に、地盤の沈下の有無及び地盤の強さを算出可能とすることで、局所的なエリアでのクレーン1の転倒による危険性を判断することで、より安全なクレーン1による作業を実現することができる。以下では、クレーン1による地盤の沈下の有無及び地盤の強さの算出について説明する。
図4を用いて、アウトリガ5の接地によってクレーン1の自重を加えた際の地盤の沈下の有無の判別方法について説明する。
アウトリガ5接地前の傾斜センサ2aの検出値(車両2の傾斜角)及び張幅センサ5aの検出値及びジャッキアップ量センサ5bの検出値に基づいて車両2の傾斜角を算出する。車両2の傾斜角は、アウトリガ5の張り出し幅及びアウトリガ5のジャッキアップ量に地面の傾斜を加味した地盤の沈下がない状態のものが算出される。
算出される車両2の傾斜角と、アウトリガ5接地後の傾斜センサ2aの検出値(車両2の傾斜角)と、を比較して、角度差θが予め定められる所定値以上の偏差を生じていれば地盤の沈下として検出し、操縦者に報知する。
以上のように、地盤の沈下を検出可能とすることで、クレーン1による作業を行う前に地盤の安全性を簡易に確認することができる。また、操縦者が地盤の沈下に気づくことなく作業を行うことを防止することができる。
図4を用いて、クレーン1のアウトリガ5の接地面の地盤の強さの算出方法について説明する。クレーン1の各アウトリガ5の接地面の沈下量Sと、各アウトリガ5の反力と、に基づいて各アウトリガ5の接地面の地盤の強さを算出する。ここでは、搬送物Wを吊ることによるたわみの影響を考慮しないために、クレーン1において搬送物Wが吊り上げられていない状態で行われる。各アウトリガ5の反力は、クレーン1の作業状態検出手段によって算出される。クレーン1の作業状態検出手段は、傾斜センサ2a、張幅センサ5a、ジャッキアップ量センサ5b、旋回位置検出センサ40、伸縮ブーム長さ検出センサ41、起伏角度検出センサ42、モーメント検出器12a等によって構成され、現在のクレーン1の作業状態に関する各種の情報を検出可能に構成されるものである。
各アウトリガ2の接地面の地盤の沈下量Sは、傾斜センサ2aの検出値から算出している。例えば、前部に位置するアウトリガ5の接地面の地盤が沈下している場合、アウトリガ5が接地される前の傾斜センサ2aの検出値(車両2の傾斜角)及び張幅センサ5aの検出値及びジャッキアップ量センサ5bの検出値に基づいて算出される車両2の傾斜角と、アウトリガ5が接地された後の傾斜センサ2aの検出値(車両2の傾斜角)と、の角度差θに基づいてアウトリガ5の接地面の地盤の沈下量Sを算出する。
地盤の強さは、各アウトリガ5の接地面の地盤の沈下量Sと、各アウトリガ5の反力と、に基づいて算出される。具体的には、各アウトリガ5の反力の最大値を、アウトリガ5の接地面積で除して、地盤強さを面圧に対する沈下量Sをもって記録する。地盤強さは、地図データもしくは、3Dマップに表示することができる。
以上のように、傾斜センサ2aの検出値から地盤の沈下量Sを算出することで、アウトリガ5の接地面の地盤の状態を客観的に把握することができる。そのため、クレーン1による搬送物Wの搬送作業前に局所的に地盤の強度を確かめることができ、安全なクレーン作業を実現できる。また、3Dマップ又は地図データに地盤の強さをマッピングすることで、次回以降の作業時に役立てることができる。
また、搬送物Wを吊り上げて搬送作業している状態において、各アウトリガ5の反力が現在のクレーン1の作業状態に基づいて予め設定される所定の閾値に到達した場合に、操縦者に転倒の危険を報知するように構成している。所定の閾値とは、クレーン1の作業状態においてクレーン1が転倒することなく、安全にクレーン作業ができる反力の下限値として設定される。そのため、クレーン1の転倒を未然に防ぐことができる。以上の構成では、搬送作業中に限定しているが、これに限らず、アウトリガ5接地時から行うように構成してもよい。
図5及び図6を用いて、クレーン1のアウトリガ5の接地面の地盤の強さを算出する別実施形態について説明する。ここでは、上述の構成と同様に、各アウトリガ5の接地面の沈下量Sと、各アウトリガ5の反力と、に基づいて各アウトリガ5の接地面の地盤の強さを算出する。搬送物Wを吊り上げている状態であってもなくてもよい。また、各アウトリガ5の伸長先(接地部)に敷板22を予めそれぞれ設置しており、各敷板22に各アウトリガ5を接地することでクレーン1の作業を行うようにしている。
クレーン1の各アウトリガ5の接地面の沈下量Sは、三次元情報取得手段であるレーザスキャナ17を用いて算出される。具体的には、図5に示すように、クレーン1の各アウトリガ5の接地前に、アウトリガ5の伸長先に配置される敷板22の上面をレーザスキャナ17で計測する。そして、図6に示すように、クレーン1の各アウトリガ5の接地後に、同様に、敷板22の上面を計測することで、アウトリガ5接地前とアウトリガ5接地後の敷板22の上面の三次元情報(点群データ)から各アウトリガ5の接地面の沈下量Sを算出する。算出される各アウトリガ5の接地面の地盤の沈下量Sと、各アウトリガ5の反力と、に基づいて地盤の強さを算出する。
クレーン1の各アウトリガ5の接地面の沈下量Sを算出するのに、敷板22の上面の三次元情報を計測したが、敷板22の上面に限らず、敷板22の形状全てを計測してもよいし、敷板22以外の例えば、各アウトリガ5のフロート部であってもよい。本実施形態では、レーザスキャナ17は、伸縮ブーム8の先端部に設けられているが、各アウトリガ5の接地面の沈下量Sを算出するために、車両2の各アウトリガ5に別途設けてもよい。
以上のように、レーザスキャナ17を用いることで、各アウトリガ5の沈下量Sを容易に算出することができる。また、各アウトリガ5が同一量、沈下している場合であっても、沈下量Sを算出することができる。さらに、位置座標を計測可能なレーザスキャナ17を用いることで、搬送物Wを吊り上げている場合の伸縮ブーム8のたわみを考慮することなく、各アウトリガ5の沈下量Sを容易に算出することができる。
以上の構成において、各アウトリガ5の反力は、クレーン1の作業状態検出手段から算出可能に構成されているが、これに限定されない。例えば、ジャッキシリンダの圧力を計測するセンサを設けることで、アウトリガフロートの接地面で受けた接地圧力(反力)を検出してもよい。
図7を用いて、レーザスキャナ17の計測範囲Rにおいて、他の作業車両Vが走行した部分の地盤の強さを算出する方法について説明する。ここでの、他の作業車両Vとは、クレーン1の作業エリアにおいて作業をしている、例えば、資材搬入のトラック、ダンプ、バックフォー等を指す。制御装置39は、予めクレーン1の作業エリアにいる他の作業車両Vの轍の画像データDを有しているものとする。
図7(a)に示すように、レーザスキャナ17の計測範囲Rにおいて、他の作業車両Vが通過すると、他の作業車両Vのタイヤやクローラ等の通過部の三次元情報を取得する。図7(b)に示すように、制御装置39には、予め、作業エリアにいる他の作業車両Vのタイヤ、クローラ等が通過した後に残る跡である轍の画像データDが記憶されており、該画像データDと取得される三次元情報D1を比較することで、どの作業車両が通過したかを判別可能としている。具体的には、ラグのトレッド幅方向長さW1、ラグのタイヤ周方向長さL1、タイヤ周方向に延びる溝幅W2等から、どの作業車両の轍であるかを判別している。
制御装置39には、予め作業エリアにいる他の作業車両Vのタイヤやクローラ等の接地圧を記憶している。制御装置39は、どの作業車両が通過したか判別した後、判別した作業車両の通過前と通過後による通過部において取得される三次元情報より地盤の沈下量を計測する。そして、作業車両の接地圧と地盤の沈下量とに基づいて地盤の強さを算出する。この際に、判別した作業車両の接地圧を判別した作業車両のタイヤ又はクローラの接地面積で除することで、地盤強さを面圧に対する沈下量をもって記録してもよい。
以上のように、他の作業車両Vが通過することによる路面変化(沈下量)を確認し、他の作業車両Vのタイヤやクローラの接地圧とから、通過部の地盤の強さを算出することができる。そのため、アウトリガ5の接地やクレーン1の自走を行うことなく、効率的に地盤の強さを算出することができる。
1:クレーン、2:車両、2a:傾斜センサ、5:アウトリガ、5a:張幅センサ、5b:ジャッキアップ量センサ、17:レーザスキャナ、18:通信部、20:GNSS装置、23:天気情報、24:地盤情報、25:水位情報、26:積雪情報、S:沈下量
Claims (3)
- 車両の位置を測位可能な衛星測位システムと、
外部の情報端末と通信可能な通信手段と、を備えるクレーンであって、
前記通信手段を介して、前記車両の位置を基準とした天気情報及び地盤情報及び水位情報及び積雪情報のうち、少なくとも一つを取得可能に構成され、
前記取得した情報に基づいて警戒エリアを設定するクレーン。 - 前記車両の傾斜角を計測する傾斜センサと、
アウトリガの張出幅を検出する張幅センサと、
前記アウトリガのジャッキアップ量を検出するジャッキアップ量センサと、を備え、
前記警戒エリアにおける任意の場所において作業を行うときに、
前記アウトリガが接地される前の前記傾斜センサの検出値及び前記張幅センサの検出値及び前記ジャッキアップ量センサの検出値に基づいて算出される前記車両の傾斜角と、前記アウトリガが接地された後の前記傾斜センサから検出される前記車両の傾斜角と、を比較して前記アウトリガの接地面の地盤の沈下を判別する請求項1に記載のクレーン。 - クレーンの作業状態検出手段によってアウトリガの反力を算出可能に構成され、
前記警戒エリアにおける任意の場所において作業を行うときに、
前記アウトリガの反力及び前記アウトリガの接地面の地盤の沈下量に基づいて前記アウトリガの接地面の地盤の強さを算出する請求項1に記載のクレーン。
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