JP2018087364A - レベル計測装置およびレベル計測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スラグ面のレベル計測時におけるS/N比を向上させることができるレベル計測装置およびレベル計測方法を提供する。【解決手段】レベル計測装置10では、レンズ部13により送信アンテナ11および受信アンテナ12の各アンテナ利得Gが高められることにより、スラグ面3のレベル計測時におけるS/N比を向上できる。また、レベル計測装置10では、送信アンテナ11および受信アンテナ12を別体に設けることで、回路内において、送信信号が直接受信側に回り込むことがなく、回り込み信号により生じるノイズの発生を防止できる。さらに、レベル計測装置10では、送信アンテナ11および受信アンテナ12のアンテナ特性やスラグ面3の特性を考慮して、開口部6の直径dをS/N比を向上させるのに最適な直径dに選定したことで、送信アンテナ11および受信アンテナ12の両方を配設しても、スラグ面3のレベル計測時におけるS/N比を向上できる。【選択図】図1

Description

本発明は、炉内のスラグ面のレベルを計測するためのレベル計測装置およびレベル計測方法に関する。
転炉吹錬(以下、単に吹錬とも呼ぶ)では、酸素等のガスをスラグ面に高速且つ多量に吹き付けることから、スラグ面が高速に流動し変動する。吹錬が進行してスラグが滓化すると、滓化促進に伴って、スラグがフォーミングし易くなり、スロッピング(フォーミングしたスラグが炉口から溢れる現象)や、スピッティング(噴流によりスラグが飛散する現象)等が生じる恐れもある。そのため、転炉吹錬では、転炉内におけるスラグ面のレベルをリアルタイムで、より正確に計測することが望まれている。
従来、スラグ面のレベル計測装置としては、特許文献1に示すように、マイクロ波を利用したレベル計測装置が考えられている。特許文献1では、例えば、スラグ面と転炉内のランス側壁との双方にマイクロ波を照射し、スラグ面とランス側壁とでいわゆるコーナーキューブミラーを形成してマイクロ波の反射率を高めることが提案されている。また、その他のレベル計測装置としては、粉塵などの影響を受け難くするために、マイクロ波の周波数を10GHz以下とすることが提案されている(特許文献2)。
さらに、近年では、レベル計測装置として、マイクロ波の送信および受信にそれぞれ用いられ、鉛直方向の下端が斜めに切り欠かれた開口面を有する一対のアンテナを有した、スラグ高さ測定装置も提案されている(特許文献3)。
特開2015−110817号公報 特開2016−29212号公報 特開2016−180126号公報
しかしながら、スラグがフォーミングすると、マイクロ波の反射率は大きく低下するため、S/N比も低下してしまう恐れがあり、特許文献1のように、単に測定方向を最適化するのみでは吹錬中のスラグ面の測定を常時正確に行い難いという問題があった。また、特許文献2に示すように、周波数が10GHz以下のマイクロ波を使用した場合には、当該マイクロ波の指向性が低いため、転炉内の構造物からの不要反射が大きくなり、S/N比が低下してしまうという問題があった。また、吹錬中のスラグ面は平面ではないため、測定波面の拡がりが大きい低周波数のマイクロ波を用いると、測定波面内で生じるスラグ面との距離の不均一性により、S/N比が低下してしまう。
さらに、特許文献3では、炉口上方の排気フードに設けた開口部に送信アンテナと受信アンテナの2つを設けると、送信および受信の両方行うことができる送受信アンテナだけを当該開口部に設置する場合に比べて、送信アンテナと受信アンテナの各アンテナ寸法が小さくなる。このため、特許文献3では、送信アンテナと受信アンテナの各アンテナ寸法が小さくなる分、送信アンテナと受信アンテナの性能を表すアンテナ利得が低下してしまい、S/N比が低下してしまうこともある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、スラグ面のレベル計測時におけるS/N比を向上させることができるレベル計測装置およびレベル計測方法を提供することを目的とする。
本発明のレベル計測装置は、マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測装置であって、前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射する送信アンテナと、前記送信アンテナと別体に設けられており、前記スラグ面からの反射マイクロ波を受信する受信アンテナと、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの各先端にそれぞれ設けられ、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの各アンテナ利得を高めるためのレンズ部と、炉口上方の排気フードに設けられており、前記炉内と連通するための開口部を有したアンテナ設置部と、を備え、前記アンテナ設置部は、前記開口部が所定の直径に選定されており、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナを同一の前記開口部に配設させた構成を有することを特徴とする。
本発明のレベル計測方法は、マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測方法であって、炉口上方の排気フードに設けられ、前記炉内と連通するための開口部が所定の直径に選定されたアンテナ設置部に対し、送信アンテナおよび受信アンテナを同一の前記開口部に配設させた状態にする準備工程と、前記送信アンテナから、前記送信アンテナのアンテナ利得を高めるためのレンズ部を介し、前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射するマイクロ波照射工程と、前記スラグ面からの反射マイクロ波を、前記受信アンテナのアンテナ利得を高めるためのレンズ部を介し、前記受信アンテナにより受信する反射マイクロ波受信工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、レンズ部により送信アンテナおよび受信アンテナの各アンテナ利得が高められることにより、スラグ面のレベル計測時におけるS/N比を向上させることができる。また、本発明によれば、送信アンテナおよび受信アンテナを別体に設けることで、レベル計測装置の回路内において、送信信号が直接受信側に回り込むことがなく、回り込み信号により生じるノイズの発生を防止でき、その分、スラグ面のレベル計測時におけるS/N比を向上させることができる。さらに、本発明によれば、送信アンテナおよび受信アンテナのアンテナ特性やスラグ面の特性を考慮して、開口部の直径をS/N比を向上させるのに最適な直径に選定したことで、送信アンテナおよび受信アンテナの両方を配設しても、スラグ面のレベル計測時におけるS/N比を向上させることができる。
本発明のレベル計測装置を用いた転炉の構成を示す概略図である。 従来のレベル計測装置の回路構成を示す回路図である。 広帯域ノイズが発生する際の説明に供するグラフである。 開口部に収まる最大寸法の従来の送受信アンテナを示す概略図である。 本発明のレベル計測装置の回路構成を示す回路図である。 開口部に収まる最大寸法の送信アンテナおよび受信アンテナを示す概略図である。
<本発明のレベル計測装置について>
図1は、転炉製鋼プロセスで用いる転炉1の構成を示した概略図である。転炉製鋼プロセスでは、転炉1内(以下、単に炉内とも呼ぶ)に溶銑2を装入し、かかる溶銑2に対してランス4から酸素等のガスを吹き込むことによって、溶銑2の成分調整を行って溶鋼を生成する。かかる溶融物の表面には、処理の進行に伴ってスラグが生成される。本発明によるレベル計測装置10は、このように炉内に形成されるスラグ面3のレベルをリアルタイムで計測し得るようになされている。本発明において、「スラグ面」とは、炉内で外部に露出した、溶融状態のスラグの表面をいう。スラグ面3の「レベル」とは、炉内底部や所定基準位置から見た、炉内におけるスラグ面3の高さをいう。
転炉1で行われる処理では、蒸気やダスト等が発生するため、発生するダスト等を外部環境に放出させないために、転炉1の炉口付近に排気フード5が設けられている。この排気フード5には、ランス4を転炉1内に挿入するためのランス用開口部や、本発明によるレベル計測装置10のアンテナ部10aおよびアンテナ設置部7が設けられている。
ここで、本発明のレベル計測装置10は、アンテナ部10aと、当該アンテナ部10aから受け取った受信信号に基づいてスラグ面3の高さを算出してスラグ面3のレベル計測を行い得る装置本体10bと、当該アンテナ部10aを排気フード5に設置するアンテナ設置部7と、を備えている。アンテナ設置部7は、例えば筒状に形成されており、炉内と連通した開口部6を有する。開口部6は、レベル計測装置10におけるアンテナ部10aのアンテナ特性や、マイクロ波の波長、スラグ面3のレーダー反射断面積等に基づいて直径dが最適な大きさに選定されている。
アンテナ設置部7の開口部6には、アンテナ部10aが設置されている他、当該アンテナ部10aと炉内との間に断熱板15が設けられている。断熱板15は、例えばアルミナ(Al)、窒化ケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO)等のように、マイクロ波が透過可能な無機セラミックスから成る断熱材で形成されており、アンテナ部10aと炉内との間でマイクロ波の送受信を可能にしつつ、炉内からの熱を低減することで熱によりアンテナ部10aが損傷することを防止し得る。アンテナ部10aは、マイクロ波を炉内に向けて照射する送信アンテナ11と、当該送信アンテナ11とは別体に設けられ、かつ炉内のスラグ面3から反射してきた反射マイクロ波を受信する受信アンテナ12と、を備えている。なお、炉内に向けて照射されるマイクロ波の周波数としては、炉内が狭く、かつスラグ面3におけるマイクロ波の反射が小さいという特性から、10[GHz]超90[GHz]以下、好ましくは35[GHz]以上85[GHz]以下であることが望ましい。
送信アンテナ11および受信アンテナ12は、円錐型のホーンアンテナであり、開口した拡径の先端を炉内に向けるようにして開口部6内に隣接して配設されている。この実施の形態の場合、送信アンテナ11および受信アンテナ12は、同一形状からなり、拡径の先端における直径が同じに形成されている。この場合、送信アンテナ11における先端の直径と、受信アンテナ12における先端の直径と、を合わせた距離が、開口部6の直径dと同じであり、開口部6の直径dの全域に亘って送信アンテナ11および受信アンテナ12の先端が配置され得る。
送信アンテナ11および受信アンテナ12には、各先端に、例えばポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))でなるレンズ部13が設けられている。送信アンテナ11は、スラグ面3に照射するマイクロ波をレンズ部13によって収束させることにより、送信アンテナ11のアンテナ利得を高めることができる。また、受信アンテナ12は、スラグ面3からの反射マイクロ波をレンズ部13により収束させることにより、受信アンテナ12のアンテナ利得を高めることができる。
ここで、レベル計測装置10は、マイクロ波を利用したFM−CW方式のレベル計測を行い得る。この場合、炉内に照射するマイクロ波の周波数変調の幅と、当該マイクロ波の掃引周期とは、予め所定の値に設定されている。送信アンテナ11から炉内に向けて照射されるマイクロ波(以下、単に送信波とも呼ぶ)の周波数は、時間の経過とともに連続的かつ直線的に変化する。
一方、計測対象物となるスラグ面3により反射されて受信アンテナ12で受信される反射マイクロ波(以下、単に受信波とも呼ぶ)は、受信アンテナ12からスラグ面3までの距離(以下、離隔距離とも呼ぶ)に比例した遅れΔt(秒)を生じることとなる。その結果、ある同時刻における送信波と受信波との間には、離隔距離に対応した周波数の差Δf(Hz)が生じる。このような送信波および受信波がミキサによって混合されると、Δfに相当する周波数成分を有した差周波信号(以下、ビート波またはビート信号とも呼ぶ)となる。
送信波と受信波との時間的遅れΔtは、マイクロ波が送信アンテナ11からスラグ面3を介して受信アンテナ12まで戻るために要する時間に相当する。離隔距離を算出するという処理は、ビート信号の周波数(ビート周波数△f)を算出することと等価である。ここで、現実の計測環境においては、ミキサにより生成されるビート信号(ビート波)には、いくつもの周波数成分が混じり合った複合波となる場合が多い。
従って、このような複数の周波数成分からなるビート信号の周波数を求めるために、複数の周波数成分からなるビート信号を基にフーリエ変換処理を行い、周波数スペクトル信号を生成した後、周波数スペクトル信号から求めたい離隔距離がメインピークで与えられる距離波形を生成して、離隔距離に基づいて炉内におけるスラグ面3のレベルを特定し得る。
ところで、スラグがフォーミングすると、スラグ面3の反射率、或いは、スラグ面3のレーダー反射断面積は大きく低下し、一定距離以上遠くにある、フォーミングしたスラグ面3の位置が測定できなくなることが発明者らの検討により明らかになった。この点について、以下、レーダー方程式を用いて説明する。レーダー反射断面積をσ[m]、レベル計測装置の性能である送信出力をP[mW]、アンテナ利得をG、炉口上方環境での1[m]あたりのマイクロ波の透過率をT、マイクロ波の波長をλ[m]とすると、スラグ面3で反射して受信アンテナ12に戻ってくる受信信号強度Pr[mW]は、下記の数2で与えられる。なお、ここでのRは、計測対象となるスラグ面3が形成されたときの、受信アンテナ12からスラグ面3までの離隔距離[m]を示す。また、送信アンテナ11と受信アンテナ12との間の距離は、受信アンテナ12からスラグ面3までの離隔距離Rに比べて十分短いため、送信アンテナ11からスラグ面3までの離隔距離もRと見なして差し支えない。
Figure 2018087364
この受信信号強度Pr[mW]が、レベル計測装置10の最小受信電力Sminの10倍よりも大きければ、レベル計測装置10において反射マイクロ波の測定が可能となる。これを不等式で表わすと、下記の数3となる。
Figure 2018087364
ここで、アンテナ利得Gは送信アンテナ11および受信アンテナ12の先端における開口面積によって決められ、例えば円錐型のホーンアンテナを用いる場合には、そのアンテナ半径をr[m]としたとき、下記の数4で表すことができる。
Figure 2018087364
ηは受信アンテナ12の開口効率である。また、送信アンテナ11が受信アンテナ12と同一の形状を有していれば、送信アンテナ11の開口効率もηとなる。従って、反射マイクロ波の測定可能条件を表した上記数3は、上記数4を用いると、下記の数5のように表すことができる。
Figure 2018087364
ここで、先ず始めに、送受信共通の送受信アンテナを炉口上方に設置した一般的なレベル計測装置を比較例とし、上記数5に示した測定可能条件を比較例が満たすか否か検討する。比較例のレベル計測装置では、最小受信電力Sminが10−8[mW]程度である。この比較例のレベル計測装置においては、一般的なパラメータとして、送信出力Pを10[mW]、マイクロ波の波長λを6.67[mm](周波数45[GHz])、送受信アンテナの開口効率ηを0.25、マイクロ波の透過率Tを0.98、スラグ面のレーダー反射断面積σを10−4.3[m]、スラグ面3が形成されたときの、送受信アンテナからスラグ面3までの離隔距離Rを25[m]、送受信アンテナのアンテナ半径rを125[mm]とすると、測定可能条件を示した上記数5の不等式を満たさない。このことから、このレベル計測装置について、上記のような送信出力P、波長λ、開口効率η等としたときには、吹錬中のスラグ面3のレベルを常時測定は不可能である。
よって、スラグ面3のレベルを常時測定するためには、上記数5の左辺を大きくするか、或いは右辺を小さくする必要がある。まず、上記数5の左辺について検討する。左辺で変更可能なパラメータとしては、アンテナ利得Gと、送信出力Pとがある。ここで送信出力Pを大きくした場合について、図2を用いて検討する。図2は、送受信共通の送受信アンテナ105を炉口上方に設置した、比較例となるレベル計測装置101の回路構成を示す。図2に示すように、比較例となるレベル計測装置101は、発振器102から送出された送信信号をパワーアンプ103で増幅した後、サーキュレータ104を介して送受信アンテナ105に送出し、当該送受信アンテナ105から炉内に向けてマイクロ波を照射する。
レベル計測装置101では、炉内からの反射マイクロ波を送受信アンテナ105で受信すると、受信信号としてサーキュレータ104を介してローノイズアンプ106に送出される。レベル計測装置101は、受信信号をローノイズアンプ106で増幅し、ミキサ107によって、当該受信信号と、発振器102から送られた参照信号となる送信信号と、を乗算してビート信号を生成する。レベル計測装置101は、ビート信号をIFアンプ108で増幅した後、AD変換器109でアナログデジタル変換処理を実行し、得られた信号をパーソナルコンピュータ(PC)110に送出する。パーソナルコンピュータ(PC)110は、AD変換器109から受け取った信号にフーリエ変換処理等を行い、送受信アンテナ105からスラグ面3までの距離(離隔距離)がメインピークで与えられる距離波形を生成して、離隔距離に基づいて炉内におけるスラグ面3のレベルを特定し得る。
ここで、サーキュレータ104はアイソレーション特性をもっており、例えばサーキュレータ104のアイソレーションが15[dB]であった場合には、20[dBm]の送信信号がパワーアンプ103からサーキュレータ104に送られても、受信側(ローノイズアンプ106側)へ回り込む信号が5[dBm]生じる。サーキュレータ104を設けたレベル計測装置101では、送信出力Pを大きくすると、サーキュレータ104において、送信側から直接受信側に回り込む信号も大きくなってしまう。
このとき、ローノイズアンプ106の動作領域(信号を増幅可能な最大電力)や、AD変換器109のダイナミックレンジには上限があるため、図3に示すように、この上限を超えた信号部分には歪みが生じてしまう。歪んだ信号は、高い周波数成分をもつため、測定周波数(ビート信号の周波数)領域において大きなノイズ(広帯域ノイズ)の原因となる。結果、最小受信電力Sminもノイズに応じて大きくなってしまい、結局、上記数5の不等式を満たすことはできない。
次に、上記数5の左辺におけるアンテナ利得Gについて検討する。炉口上方にある開口部6の直径dは、排気フード5の排気量に影響を与えない程度の大きさ(例えば600[mm])に制限する必要がある。例えば、開口部6の直径dに対して、できるだけ開口寸法の大きな送受信アンテナ105を用いようとすれば、図4に示すように、送受信アンテナ105のアンテナ半径rは、d/2で与えられる。しかしながら、アンテナ設置部7の開口部6の直径dを600[mm]とし、送受信アンテナ105の周波数を、スラグ面3のレベル計測に最適な45[GHz]とした場合、当該開口部6に設置可能な送受信アンテナ105のアンテナ利得Gは、104.9がほぼ最大である。そのため、これ以上、アンテナ利得Gを大きくすることは、開口部6の直径dを大きくしない限り不可能である。104.9のアンテナ利得Gをもつ送受信アンテナ105を使用したとしても、上記数5の測定可能条件を満たすことはできず、スラグ面3のレベルを常時測定することは不可能である。
そこで、本発明者らは、最小受信電力(レベル計測装置10の感度)を小さくする、すなわち上記数5の右辺を小さくする方法を検討した。本発明によるレベル計測装置10では、従来の送受信アンテナ105を、送信専用の送信アンテナ11と、受信専用の受信アンテナ12と、に分離することにより、サーキュレータ104を省き、ノイズが生じる原因となる、回路内における送信信号の受信側への回り込みを低減した。ここで、図5は、送信アンテナ11および受信アンテナ12を別体に設けた、本発明のレベル計測装置10の回路構成を示す。
図5に示すように、レベル計測装置10では、発振器22で発生した送信信号をパワーアンプ23で増幅した後、これを送信アンテナ11に送出し、送信アンテナ11から炉内にマイクロ波を照射する。レベル計測装置10は、炉内からの反射マイクロ波を受信アンテナ12で受信すると、受信信号としてローノイズアンプ26に送出し、当該ローノイズアンプ26にて受信信号を増幅した後、ミキサ27によって、当該受信信号と、発振器22から送られた参照信号となる送信信号と、を乗算してビート信号を生成する。レベル計測装置10は、ビート信号をIFアンプ28で増幅した後、AD変換器29でアナログデジタル変換処理を実行し、得られた信号をパーソナルコンピュータ(PC)30に送出する。パーソナルコンピュータ(PC)30は、AD変換器29から受け取った信号にフーリエ変換処理等を実行し、受信アンテナ12からスラグ面3までの距離(離隔距離)がメインピークで与えられる距離波形を生成して、離隔距離に基づいて炉内におけるスラグ面3のレベルを特定し得る。
このように、レベル計測装置10ではサーキュレータ104を設けていないことから、サーキュレータ104における送信信号の回り込みが発生することがない。その一方で、空間的に分割した送信アンテナ11および受信アンテナ12間には、微小な送信信号の回り込みが発生する。一般的に、空間的に分割した送信アンテナ11および受信アンテナ12間のアイソレーションは30[dB]程度である。しかしながら、送受信のアイソレーションは、送受信アンテナ105を用いたときの15[dB]から30[dB]に改善し、送信信号の回り込みが−20[dBm]に低減する。結果、ローノイズアンプ26やAD変換器29における信号の歪みの発生を防止できる。
歪みが無ければ回り込み信号によって生じるビート周波数は、ごく周波数の低い領域に限定されるため、炉内からの反射マイクロ波に基づくビート周波数と区別することができる。レベル計測装置10では、図示しないハイパスフィルタを用いて、回り込み信号によって低い周波数領域に生じたノイズを除去することが可能であり、受信アンテナ12に生じる回り込み信号は、スラグ面3のレベル測定に何ら影響を与えない。このとき、レベル計測装置10の最小受信電力Sminは10−14[mW]となる。
例えば、AD変換器29のビットレートを24[bit]とすれば、そのダイナミックレンジは146[dB]となる。送信アンテナ11から受信アンテナ12への空間的な回り込み信号の強度は−20[dBm]となるので、これを歪まないようにAD変換処理するためのダイナミックレンジを上限とすれば、−164[dBm]までの受信信号は捉えられることになる。さらに、サンプリング周波数を2[MHz]とすれば、kTaB(k:ボルツマン定数、Ta:温度、B:帯域幅)で与えられる帯域ノイズはTa=300[K]において−110[dBm]であり、2048点でFFTを行うことによって、30[dB]低減し、これにより最小受信電力Sminは10−14[mW](=−140[dBm])まで改善する。
送信アンテナ11および受信アンテナ12を別体で設けた場合、これら送信アンテナ11および受信アンテナ12の各アンテナ半径rは、図6に示すように、炉口上方の開口部6の直径dを用いて、r=d/4と表すことができる。そのため、図4のように送受信共通の送受信アンテナ105を使用した場合(r=d/2)に比べ、アンテナ利得Gが10程度となる。最大の離隔距離Rを25[m]とした場合、受信信号強度を計算すると、10−11[mW]となり、最小受信電力Sminである10−14[mW]の10倍よりも十分に大きいため、スラグ面3のレベルが常時測定可能である。
以上より、開口部6の大きさに制約がある炉口上方にアンテナを設置する場合、従来の考え方では、アンテナ利得Gを大きくするために、アンテナ寸法が開口部6に収まる最大寸法となるように、送受信共通の1つの送受信アンテナ105を配設している。これに対して、本発明のレベル計測装置10では、別体の送信アンテナ11および受信アンテナ12を設けるようにした。これにより、レベル計測装置10では、従来、送受信アンテナ105を用いることで必要となるサーキュレータ104を不要とし、送信信号の回り込みを抑制してノイズを下げることで、吹錬全般に渡って、S/N比の高いレベル計測が可能になる。
但し、上述したように、送信アンテナ11および受信アンテナ12を別体にした場合、各アンテナ半径rは、開口部6の直径dの1/4となる(図6)。つまり、感度の改善と、アンテナ利得Gとは、トレードオフの関係にあるため、送受信共通の送受信アンテナ105を用いた方がS/N比が大きくなる開口部6の条件もあり得る。そこで、送受信アンテナ105を配設するよりも、送信アンテナ11および受信アンテナ12を配設した方がよい開口部6の条件について検討する。
送受信共通の送受信アンテナ105を用いた場合、最小受信電力Sminが10−8[mW]であり、アンテナ半径rがd/2である。従って、送受信共通の送受信アンテナ105での測定可能条件は、上記数5から下記の数6のようになる。
Figure 2018087364
一方、送受信を分離した送信アンテナ11および受信アンテナ12を用いた場合、最小受信電力Sminが10−14[mW]であり、アンテナ半径rがd/4である。従って、送受信を分離した送信アンテナ11および受信アンテナ12での測定可能条件は、上記数5から下記の数7のようになる。
Figure 2018087364
ゆえに、送受信を分離した送信アンテナ11および受信アンテナ12を用いた場合、最もS/N比が高くなる開口部6の条件は、上記数6および数7を組み合わせて、下記の数8のように表すことができる。なお、上述したように、Rは、計測対象となるスラグ面3が形成されたときの、受信アンテナ12からスラグ面3までの距離を示し、λはマイクロ波の波長を示し、Pはレベル計測装置10におけるマイクロ波の送信出力[mW]を示し、σはスラグ面3のレーダー反射断面積を示し、Tは1[m]辺りのマイクロ波の透過率を示し、ηは受信アンテナ12の開口効率を示す。
Figure 2018087364
<作用および効果>
以上の構成において、レベル計測装置10では、送信アンテナ11と別体に受信アンテナ12を設け、これら送信アンテナ11および受信アンテナ12の各先端に各アンテナ利得Gを高めるためのレンズ部13をそれぞれ設けるようにした。また、レベル計測装置10では、炉内と連通するための開口部6を有したアンテナ設置部7を炉口上方の排気フード5に設け、所定の直径に選定した同じ開口部6内に、送信アンテナ11および受信アンテナ12の両方を配設させるようにした。
これにより、レベル計測装置10では、レンズ部13により送信アンテナ11および受信アンテナ12の各アンテナ利得Gが高められることにより、スラグ面3のレベル計測時におけるS/N比を向上させることができる。また、レベル計測装置10では、送信アンテナ11および受信アンテナ12を別体に設けることで、回路内において、送信信号が直接受信側に回り込むことがなく、回り込み信号により生じるノイズの発生を防止できる。さらに、レベル計測装置10では、送信アンテナ11および受信アンテナ12のアンテナ特性やスラグ面3の特性を考慮して、開口部6の直径dをS/N比を向上させるのに最適な直径dに選定したことで、送信アンテナ11および受信アンテナ12の両方を配設しても、スラグ面3のレベル計測時におけるS/N比を向上させることができる。
具体的には、開口部6の直径dを上記数8で表される条件を満たすようにしたことにより、送信アンテナ11および受信アンテナ12の両方を、同一の開口部6内に配設しても、スラグ面3のレベル計測時におけるS/N比を向上させることができる。
上述した実施の形態においては、転炉製鋼プロセスに用いる転炉1を適用した場合ついて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば溶融還元炉の他、非鉄金属精錬プロセスに用いる炉等その他種々の炉にも適用することができる。非鉄金属精錬プロセスとしては例えば銅溶錬プロセスが挙げられる。
1 転炉
3 スラグ面
6 開口部
7 アンテナ設置部
10 レベル計測装置
11 送信アンテナ
12 受信アンテナ

Claims (4)

  1. マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測装置であって、
    前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射する送信アンテナと、
    前記送信アンテナと別体に設けられており、前記スラグ面からの反射マイクロ波を受信する受信アンテナと、
    前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの各先端にそれぞれ設けられ、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの各アンテナ利得を高めるためのレンズ部と、
    炉口上方の排気フードに設けられており、前記炉内と連通するための開口部を有したアンテナ設置部と、を備え、
    前記アンテナ設置部は、
    前記開口部が所定の直径に選定されており、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナを同一の前記開口部に配設させた構成を有する
    ことを特徴とするレベル計測装置。
  2. 前記アンテナ設置部の開口部の直径dが、下記の式
    Figure 2018087364
    (Rは、計測対象となる前記スラグ面が形成されたときの、前記受信アンテナから前記スラグ面までの距離を示し、λは前記マイクロ波の波長を示し、Pは前記マイクロ波の送信出力[mW]を示し、σは前記スラグ面のレーダー反射断面積を示し、Tは1[m]辺りの前記マイクロ波の透過率を示し、ηは前記受信アンテナの開口効率を示す)
    で表される条件を満たす
    ことを特徴とする請求項1に記載のレベル計測装置。
  3. 前記アンテナ設置部の開口部には、前記炉内と前記レンズ部との間に、前記マイクロ波を透過する断熱材からなる断熱板が設けられている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のレベル計測装置。
  4. マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測方法であって、
    炉口上方の排気フードに設けられ、前記炉内と連通するための開口部が所定の直径に選定されたアンテナ設置部に対し、送信アンテナおよび受信アンテナを同一の前記開口部に配設させた状態にする準備工程と、
    前記送信アンテナから、前記送信アンテナのアンテナ利得を高めるためのレンズ部を介し、前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射するマイクロ波照射工程と、
    前記スラグ面からの反射マイクロ波を、前記受信アンテナのアンテナ利得を高めるためのレンズ部を介し、前記受信アンテナにより受信する反射マイクロ波受信工程と、
    を備えることを特徴とするレベル計測方法。
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