JP2018083740A - 表面処理石材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンクリート等の石材の内部に含まれるアルカリ成分や、石材の外部から侵入する水、汚染物質、酸性物質およびアルカリ性物質に対して安定な表面処理石材およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の表面処理石材1は、石材2と、該石材2の表層2Aに形成されたジルコニウム含有イオンを含む第1の層3と、該第1の層3上に形成されたケイ酸を含む第2の層4と、を備え、前記第1の層3および前記第2の層4の一部が、前記石材2の表層2Aの細孔2b内に存在する。【選択図】図1
Description
本発明は、表面処理石材およびその製造方法に関する。
コンクリート、モルタル、天然石、人工石等の石材は、建築材料、土木材料、家具材料等として広く用いられている。コンクリートおよびモルタルは、セメント、骨材および水を混合し、硬化してなるものである。天然石としては、例えば、大理石、御影石等が挙げられる。人工石は、天然石片をセメント等のバインダーで固めてなるものである。
これらの石材は、多孔質材であり、その表面(表層)に細孔が存在している。ゆえに、石材は多かれ少なかれ吸水性である。そのため、石材の表面の細孔に侵入した、落書き、カビや藻、煤煙、塵芥等に由来する汚染物質を清掃する困難や、石材内に侵入した腐食物質により、石材本体や、コンクリート内に配された鉄筋のような内部物質が劣化するという課題があった。
従来、このような問題を解決するために、多くの方法が検討されてきた。解決方法の1つとしては、例えば、塗装により、石材の表面の細孔を封止し、細孔に汚染物質および腐食物質が侵入することを防止する方法が挙げられる。このような方法としては、一般的に、樹脂塗料の塗装により、細孔を封止する方法が採用されている。しかしながら、樹脂塗料自体に付着した汚染物質は取り除き難い上に、樹脂塗料は腐食物質や紫外線で劣化しやすいという課題があった。また、石材の表面の細孔を樹脂塗料からなる塗膜で完全に封止してしまう次のような課題があった。石材がコンクリートである場合、コンクリート内部からの水分の蒸発により塗膜が剥がれてしまうという課題があった。また、樹脂塗料により石材の質感が損なわれるという課題があった。
このような樹脂塗料に起因する課題を解決するために、石材の表面に、樹脂塗料の代わりに、シラン、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等の撥水剤を塗布することが検討されてきた。撥水剤を塗布することにより、石材の表面の細孔に水が浸入するのを防止できることが期待される。撥水剤は、石材の表面にて塗膜を形成せずに、細孔内に浸入することにより、細孔表面に固定される。ゆえに、撥水剤によって細孔が封止されないため、石材の通気性が確保されて、塗膜の剥離という課題が解消される。また、撥水剤により石材の質感が損なわれるという課題も解消される。しかしながら、実際には短期的に細孔内への水の浸入が阻止されるものの、撥水剤を塗布した石材が長時間、水と接触すると、細孔内に水が侵入して、石材の細孔に汚染物質および腐食物質が侵入することを防止する効果を充分に示さなくなるという課題があった。また、撥水剤は、排気ガス等の油性の汚染物質に対しては、付着を防止する効果がないという課題もあった。
上述のような課題を解決するために、樹脂塗料の代わりに、石材の表面に無機系材料を塗布する方法も検討されてきた。例えば、水ガラスというケイ酸アルカリを塗布する方法が広く知られている。水ガラスに含まれるケイ酸イオンが、コンクリートに含まれるカルシウムイオンと化学結合することにより、ケイ酸カルシウム水和物が析出し、そのケイ酸カルシウム水和物によって、石材の細孔が封止されることが知られている。また、ケイ酸カルシウム水和物の結晶間には、さらに微細な細孔が形成されるため、石材の通気性が完全になくなることはない。また、ケイ酸カルシウム水和物は親水性であるため、油系の汚染物質も容易に除去することができる。しかしながら、この方法には、次のような欠点があった。カルシウムイオンと未反応のケイ酸イオンが存在し、そのケイ酸イオンが水に溶解するため、石材が再び開孔する。また、ケイ酸カルシウム水和物は、炭酸ガス等の酸によって分解するため、石材が再び開孔する。このように、ケイ酸アルカリを塗布する方法は、長期的な耐久性に問題があった。
また、水ガラスの代わりに、コロイダルシリカや、各種有機アルコキシシランの加水分解等によって得られるシリカゾルを用いて、石材の細孔を封止する方法も実施されている。この方法によれば、シリカゾル自体がゲル化して耐水耐酸性の硬化体を形成するだけでなく、カルシウムイオンと反応したシリカゾルはより安定化し、水ガラスに由来するシリカより水に溶け難くなる。
しかしながら、ケイ酸イオンとカルシウムイオンが反応して析出したケイ酸カルシウム水和物が炭酸ガスによって分解されることは変わりない上に、ゲル化したシリカゾルもコンクリートに含まれるナトリウムイオンやカリウムイオンといったアルカリ成分により溶解するため、長期的には劣化してしまうという課題があった。
また、コンクリート中におけるシリカ成分の耐久性を改善するために、シリカ成分と、化学的により安定なジルコニウム成分とを反応させて、シリカ単独、あるいはケイ酸カルシウムよりも安定なケイ酸ジルコニウムを生成させることが試みられている。
アルコキシシランに有機ジルコニウム化合物を硬化触媒として混合し、コンクリートの表面にその混合物を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を硬化させて、コンクリートの表面に保護膜を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
熱硬化性無機アルコキシドに、ジルコニル、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウムおよびハロゲン化ジルコニウムを加えて混合し、コンクリートの表面にその混合物を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥させて、コンクリートの表面に被膜を形成し、コンクリートの耐薬品性を改善する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
コンクリートの表面の細孔にαアルミナ粒子とケイ酸アルカリを充填し、さらに、コンクリートの表面をジルコニウムとケイ酸アルカリの混合物からなる被覆層で被覆したコンクリートが知られている(例えば、特許文献3参照)。
(Li)a(Na)b(K)c(NH4)d(CO3)x(SiO4)y(ZrO4)z・m(H2O)(但し、a+b+c+d>0、x>0、y>0、z>0、mは任意の正数)で表される親水性を示す防汚コーティング剤が知られている(例えば、特許文献4参照)。
上述のような石材へのジルコニウム成分の導入は、コンクリートの耐水性や耐アルカリ性の改善に一定の効果が期待される。
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、アルコキシシラン、有機ジルコニウム化合物等の材料を用いるため、アルコール等の有機化合物が加水分解時に生成し、環境対策上好ましくない。また、アルコキシシランと有機ジルコニウム化合物の混合物は、溶媒等の有機物が揮発することによる収縮率が大きいため、コンクリートの表面の細孔を充分に封止することができないという課題があった。
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、アルコキシシラン、有機ジルコニウム化合物等の材料を用いるため、アルコール等の有機化合物が加水分解時に生成し、環境対策上好ましくない。また、アルコキシシランと有機ジルコニウム化合物の混合物は、溶媒等の有機物が揮発することによる収縮率が大きいため、コンクリートの表面の細孔を充分に封止することができないという課題があった。
特許文献2に記載された発明は、ジルコニア化合物は無機物ではあるが、硝酸、硫酸およびハロゲンの塩で酸性を示すため、酸によって、コンクリートや大理石等自体が劣化したり、コンクリート内に配された鉄筋が腐食したりするという課題があった。また、特許文献2に記載された発明は、塗膜を加熱して、硬化させることが必要であるため、大きなコンクリート構造物に対しては適用が非常に難しいという課題があった。
特許文献3に記載された発明では、まずコンクリートの表面の細孔に充填されたケイ酸アルカリが、細孔内のカルシウムイオンと反応して固化し、さらに、その固化物を、ジルコニウムイオンを含む被覆層で被覆する。すなわち、最初に細孔内でケイ酸アルカリとカルシウムイオンが反応して、ケイ酸カルシウムが生成し、さらに、そのケイ酸カルシウムが、被覆層内のジルコニウムイオンと結合する。これにより、コンクリートの耐水性が確保される。しかしながら、被覆層の最外層において、ジルコニウム成分が非常に高くなるため、耐水性や耐アルカリ性は確保されるものの、一方で、耐酸性が低下するという課題があった。酸性物質は、空気中の二酸化炭素のみならず、多くの汚染物質に含まれるため、これらに対する耐性は必要である。
特許文献4には、特にコンクリートについての記載はないものの、仮に、上記の親水性を示す防汚コーティング剤をコンクリートや大きな石材に適用した場合、加熱が難しいため、防汚コーティング剤を充分に硬化させることができないばかりではなく、コンクリートの表面の細孔を充分に封止することができないという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、コンクリート等の石材の内部に含まれるアルカリ成分や、石材の外部から侵入する水、汚染物質、酸性物質およびアルカリ性物質に対して安定な表面処理石材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、石材の表層にジルコニウム含有イオンを含む第1の層を形成し、さらに、第1の層の上にケイ酸を含む第2の層を形成し、第1の層および第2の層の一部を、石材の表層の細孔内に存在させることにより、コンクリート等の石材の内部に含まれるアルカリ成分や、石材の外部から侵入する水、酸性物質およびアルカリ性物質に対して安定な表面処理石材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の表面処理石材は、石材と、該石材の表層に形成されたジルコニウム含有イオンを含む第1の層と、該第1の層上に形成されたケイ酸を含む第2の層と、を備え、前記第1の層および前記第2の層の一部が、前記石材の表層の細孔内に存在することを特徴とする。
本発明の表面処理石材の製造方法は、石材の表面に、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多い第1の水溶液を塗布し、前記石材の表層の細孔内に前記第1の水溶液を浸透させるとともに、前記石材の表層に前記第1の水溶液からなる第1の塗膜を形成し、該第1の塗膜を乾燥させて、前記石材の表層に前記ジルコニウム含有イオンを含む第1の層を形成する第1の工程と、前記第1の層上に、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多い第2の水溶液を塗布し、前記第1の層上に前記第2の水溶液からなる第2の塗膜を形成し、該第2の塗膜を乾燥させて、前記第1の層上に前記ケイ酸を含む第2の層を形成する第2の工程と、を有することを特徴とする。
本発明の表面処理石材によれば、コンクリート等の石材の内部に含まれるアルカリ成分や、石材の外部から侵入する水、汚染物質、酸性物質およびアルカリ性物質に対して安定な表面処理石材を提供することができる。
本発明の表面処理石材の製造方法によれば、コンクリート等の石材の内部に含まれるアルカリ成分や、石材の外部から侵入する水、汚染物質、酸性物質およびアルカリ性物質に対して安定な表面処理石材を提供することができる。
本発明の表面処理石材およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
なお、以下の実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[第1の実施形態]
「表面処理石材」
本発明の第1の実施形態である表面処理石材について説明する。図1は、本発明の表面処理石材の第1の実施形態の概略構成を示す断面図である。
本実施形態の表面処理石材1は、図1に示すように、石材2と、石材2の表層2Aに形成されたジルコニウム含有イオンを含む第1の層3と、第1の層3上に形成されたケイ酸を含む第2の層4と、を備える。第1の層3および第2の層4の一部が、石材2の表層2Aの細孔(空隙)2b内に存在する。より詳細には、石材2の表面(外面)2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに、第1の層3が形成されている。さらに、石材2の表面2aに形成された第1の層3上と、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに形成された第1の層3上に、第2の層4が形成されている。このように、第1の層3と第2の層4を形成することにより、石材2の表面2aおよび細孔2b内に、第1の層3と第2の層4が形成されている。ただし、石材2がコンクリートの場合には、細孔2bが連続しているため、底面2dが存在しないこともある。
「表面処理石材」
本発明の第1の実施形態である表面処理石材について説明する。図1は、本発明の表面処理石材の第1の実施形態の概略構成を示す断面図である。
本実施形態の表面処理石材1は、図1に示すように、石材2と、石材2の表層2Aに形成されたジルコニウム含有イオンを含む第1の層3と、第1の層3上に形成されたケイ酸を含む第2の層4と、を備える。第1の層3および第2の層4の一部が、石材2の表層2Aの細孔(空隙)2b内に存在する。より詳細には、石材2の表面(外面)2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに、第1の層3が形成されている。さらに、石材2の表面2aに形成された第1の層3上と、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに形成された第1の層3上に、第2の層4が形成されている。このように、第1の層3と第2の層4を形成することにより、石材2の表面2aおよび細孔2b内に、第1の層3と第2の層4が形成されている。ただし、石材2がコンクリートの場合には、細孔2bが連続しているため、底面2dが存在しないこともある。
なお、本実施形態の表面処理石材1において、石材2の表層とは、図1において、符号2Aで示す層(領域)のことであり、石材2の表面2aと、石材2の表面2a近傍の層(領域)であって、石材2の表面2aから内部方向に向かう層(領域)とを含む層(領域)のことである。
石材2の表面2aに形成されている第1の層3の厚さ、すなわち、石材2の表面2aを基準とする第1の層3の厚さは、0.01μm以上かつ2.0μm以下であることが好ましく、0.05μm以上かつ1.5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上かつ1.0μm以下であることがさらに好ましい。
石材2の表面2aに形成されている第1の層3の厚さが0.01μm以上であれば、第1の層3は充分な耐水性および耐薬品性を有する。一方、石材2の表面2aに形成されている第1の層3の厚さが2.0μm以下であれば、第1の層3に亀裂が生じない。
石材2の表面2aに形成されている第1の層3の厚さが0.01μm以上であれば、第1の層3は充分な耐水性および耐薬品性を有する。一方、石材2の表面2aに形成されている第1の層3の厚さが2.0μm以下であれば、第1の層3に亀裂が生じない。
石材2の細孔2b内において、第1の層3の高さ、すなわち、第1の層3の石材2の細孔2bの深さ方向の長さは、石材2の細孔2bの深さに応じて決まる。
石材2の表面2aにおいて、第1の層3上に形成されている第2の層4の厚さ、すなわち、石材2の表面2aに形成されている第1の層3を基準とする第2の層4の厚さは、0.01μm以上かつ10.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上かつ5.0μm以下であることがより好ましく、0.50μm以上かつ3.0μm以下であることがさらに好ましい。
石材2の表面2aにおいて、第1の層3上に形成されている第2の層4の厚さが0.01μm以上であれば、第2の層4は充分な耐汚染性を有する。一方、石材2の表面2aにおいて、第1の層3上に形成されている第2の層4の厚さが10.0μm以下であれば、第2の層4に亀裂が生じない。
石材2の表面2aにおいて、第1の層3上に形成されている第2の層4の厚さが0.01μm以上であれば、第2の層4は充分な耐汚染性を有する。一方、石材2の表面2aにおいて、第1の層3上に形成されている第2の層4の厚さが10.0μm以下であれば、第2の層4に亀裂が生じない。
石材2の細孔2b内において、第2の層4の高さ、すなわち、第2の層4の石材2の細孔2bの深さ方向の長さは、石材2の細孔2bとその内側面2cおよび底面2dに形成された第1の層3によって形成される細孔3aの深さに応じて決まる。
石材2としては、コンクリート、モルタル、人工石材、天然石材等が挙げられる。
モルタルは、骨材を、水とセメントで固めたものである。また、モルタルは、ポリマー等の各種混和剤を含んでいてもよい。セメントとしては、特に限定されないが、ポルトランドセメント、アルミナセメント等が挙げられる。
コンクリートやモルタルは、鉄筋、繊維、ポゾラン、スラグ、フライアッシュ等を含んでいてもよい。
これらの石材2は、図1に示すように、表層2Aに細孔2bが存在しており、細孔2bから汚染物質や腐食物質が侵入する。
モルタルは、骨材を、水とセメントで固めたものである。また、モルタルは、ポリマー等の各種混和剤を含んでいてもよい。セメントとしては、特に限定されないが、ポルトランドセメント、アルミナセメント等が挙げられる。
コンクリートやモルタルは、鉄筋、繊維、ポゾラン、スラグ、フライアッシュ等を含んでいてもよい。
これらの石材2は、図1に示すように、表層2Aに細孔2bが存在しており、細孔2bから汚染物質や腐食物質が侵入する。
第1の層3は、ジルコニウム含有イオンを含む層である。また、第1の層3は、微量のケイ酸を含んでいてもよい。
ジルコニウム含有イオンは、単にZr4+(ジルコニウムイオン)で表わされるものばかりではなく、ジルコニウムイオンと酸素等の他の元素が結合した複雑かつ多様な形態が挙げられる。
ジルコニウム含有イオンは、単にZr4+(ジルコニウムイオン)で表わされるものばかりではなく、ジルコニウムイオンと酸素等の他の元素が結合した複雑かつ多様な形態が挙げられる。
ジルコニウム含有イオンとしては、一般式[Zr(OH)2(CO3)2]2+で表されるものが好適に用いられる。一般式[Zr(OH)2(CO3)2]2+で表されるジルコニウム含有イオン源としては、一般的に、炭酸ジルコニウムのアンモニウム塩またはカリウム塩等の水溶性塩基性塩が用いられる。このような塩基性塩は、鉄筋コンクリートに適用した場合、鉄筋が腐食することがなく、また、大理石に適用した場合、大理石が溶けて二酸化炭素が発生することがない。このような塩基性の炭酸ジルコニウム塩は、一般的に、樹脂の架橋剤として用いられている。この炭酸ジルコニウム塩は、未硬化の樹脂を架橋して、硬化を促進することが知られている。
また、鉄筋を有さない無筋コンクリート、酸使用の問題のない石材では、ジルコニウム含有イオン源としては、酸性のジルコニウム塩も用いることができる。
酸性のジルコニウム塩としては、ジルコニウムの硝酸塩、ジルコニウムの塩化物、ジルコニウムの各種有機酸塩、または、これらのジルコニル(ZrO2+)が挙げられる。
酸性のジルコニウム塩としては、ジルコニウムの硝酸塩、ジルコニウムの塩化物、ジルコニウムの各種有機酸塩、または、これらのジルコニル(ZrO2+)が挙げられる。
第1の層3に含まれるジルコニウム含有イオンは、石材2に含まれるカルシウムイオンおよびケイ酸の少なくとも一方と化学結合していることが好ましい。より詳細には、例えば、第1の層3に含まれるジルコニウム含有イオンが塩基性の炭酸ジルコニウム塩である場合、その炭酸ジルコニウム塩が、石材2に含まれるカルシウムイオンおよびケイ酸の少なくとも一方と化学結合して固化する。これにより、石材2の表面2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに、第1の層3が強固に固着(結合)する。
第2の層4は、ケイ酸を含む層である。また、第2の層4は、微量のジルコニウム含有イオンを含んでいてもよい。
ケイ酸の一形態であるケイ酸イオンは、化学式SiO4 4−で表される。ケイ酸イオン源としては、一般的に、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリが用いられる。表面処理石材1の白華現象を回避するためには、ケイ酸ナトリウムの単独使用を避けることが好ましく、ケイ酸ナトリウムと、ケイ酸カリウムやケイ酸リチウムとを併用することがより好ましい。
第2の層4における、ケイ酸とケイ酸アルカリの比率はSiO2/R2Oモル比で表される。この比率は、3.0以上であることが好ましい。この比率が3.0以上であれば、第2の層4の耐水性を充分に確保することができる。
表面処理石材1の耐酸性を向上するためには、第2の層4におけるケイ酸の含有量は、第1の層3におけるケイ酸の含有量よりも多いことが好ましい。第2の層4におけるケイ酸の含有量をより多くするためには、ケイ酸単体からなるシリカゾルを用いて、第2の層4を形成することが好ましい。また、第2の層4におけるケイ酸の含有量をより多くするためには、ケイ酸アルカリを含む組成物を用いて塗膜を形成した後、その塗膜上に、さらにシリカゾルを用いて別の塗膜を形成することにより、第2の層4を形成することが好ましい。シリカゾルとしては、コロイダルシリカや、金属アルコキシドの加水分解によって得られたものが用いられる。
本実施形態の表面処理石材1では、第1の層3において、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム(ZrO2)換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素(SiO2)換算量よりも多く、かつ、第2の層4において、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多いことが好ましい。
第1の層3において、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多いことにより、石材2内部のカルシウム、ケイ酸および後述する撥水剤と化学結合可能なジルコニウム含有イオンが充分に存在するため、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに対して、第1の層3を強固に固着(結合)することができ、結果として、第1の層3および第2の層4によって、石材2の細孔2bを充分に封止することができる。また、第2の層4において、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多いことにより、表面処理石材1の耐酸性を向上することができる。これは、ジルコニウム含有イオンよりもケイ酸の方が酸に溶解し難いからである。
第1の層3において、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多いことにより、石材2内部のカルシウム、ケイ酸および後述する撥水剤と化学結合可能なジルコニウム含有イオンが充分に存在するため、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに対して、第1の層3を強固に固着(結合)することができ、結果として、第1の層3および第2の層4によって、石材2の細孔2bを充分に封止することができる。また、第2の層4において、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多いことにより、表面処理石材1の耐酸性を向上することができる。これは、ジルコニウム含有イオンよりもケイ酸の方が酸に溶解し難いからである。
本実施形態の表面処理石材1によれば、石材2と、石材2の表層2Aに形成されたジルコニウム含有イオンを含む第1の層3と、第1の層3上に形成されたケイ酸を含む第2の層4と、を備え、第1の層3および第2の層4の一部が、石材2の細孔2b内に存在する。そのため、第1の層3と第2の層4が接触しているので、それぞれの層に含まれるジルコニウム含有イオンとケイ酸が化学的に結合して、不溶性のケイ酸ジルコニウム化合物が析出することにより、第1の層3および第2の層4によって、石材2の細孔2bが封止される。また、このケイ酸ジルコニウム化合物は、従来、石材の細孔を封止するために用いられていたケイ酸カルシウム化合物よりも耐久性に優れるため、長期間にわたって、石材2の細孔2b内へ、外部からの水、汚染物質や腐食物質が侵入することを防止できる。したがって、本実施形態の表面処理石材1は、石材2の内部に含まれるアルカリ成分や、石材の外部から侵入する水、酸性物質およびアルカリ性物質に対して安定である。また、第1の層3に含まれるジルコニウム含有イオンは、石材2に含まれるカルシウムイオンおよびケイ酸の少なくとも一方と化学結合し、石材2の表面2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに、第1の層3が強固に固着(結合)するため、単に石材2の細孔2b内にケイ酸ジルコニウム化合物を充填した場合よりも、第1の層3によって石材2の細孔2bをより強固に封止することができる。また、第1の層3および第2の層4が、有機溶剤等の環境汚染物質を含まないため、表面処理石材1を設置することにより環境汚染をすることがない。さらに、第1の層3および第2の層4が、酸性イオン等の腐食性物質を含まないため、表面処理石材1内に鉄筋を有する場合に、その鉄筋が腐食することがない。
「表面処理石材の製造方法」
本実施形態の表面処理石材の製造方法は、石材の表面に、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多い第1の水溶液を塗布し、石材の細孔内に第1の水溶液を浸透させるとともに、石材の表面に第1の水溶液からなる第1の塗膜を形成し、その第1の塗膜を乾燥させて、石材の表層にジルコニウム含有イオンを含む第1の層を形成する第1の工程と、第1の層上に、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多い第2の水溶液を塗布し、第1の層上に第2の水溶液からなる第2の塗膜を形成し、その第2の塗膜を乾燥させて、第1の層上にケイ酸を含む第2の層を形成する第2の工程と、を有する。
本実施形態の表面処理石材の製造方法は、石材の表面に、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多い第1の水溶液を塗布し、石材の細孔内に第1の水溶液を浸透させるとともに、石材の表面に第1の水溶液からなる第1の塗膜を形成し、その第1の塗膜を乾燥させて、石材の表層にジルコニウム含有イオンを含む第1の層を形成する第1の工程と、第1の層上に、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多い第2の水溶液を塗布し、第1の層上に第2の水溶液からなる第2の塗膜を形成し、その第2の塗膜を乾燥させて、第1の層上にケイ酸を含む第2の層を形成する第2の工程と、を有する。
以下、図1を参照して、本実施形態の表面処理石材の製造方法を詳細に説明する。
第1の工程では、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多い第1の水溶液を用いる。
第1の工程では、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多い第1の水溶液を用いる。
第1の水溶液において、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量は、1質量%以上かつ20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上かつ10質量%以下であることがより好ましい。
ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が1質量%以上であれば、第1の水溶液を塗布することによって形成される第1の層3に含まれるジルコニウム含有イオンが、石材2に含まれるカルシウムイオンおよびケイ酸の少なくとも一方と化学結合し、石材2の表面2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに、第1の層3が強固に固着(結合)する。一方、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が20質量%以下であれば、第1の水溶液の粘度が大きくなり過ぎることがなく、石材2の細孔2b内に第1の水溶液を充分に浸透させることができる。
ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が1質量%以上であれば、第1の水溶液を塗布することによって形成される第1の層3に含まれるジルコニウム含有イオンが、石材2に含まれるカルシウムイオンおよびケイ酸の少なくとも一方と化学結合し、石材2の表面2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに、第1の層3が強固に固着(結合)する。一方、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が20質量%以下であれば、第1の水溶液の粘度が大きくなり過ぎることがなく、石材2の細孔2b内に第1の水溶液を充分に浸透させることができる。
第1の水溶液にケイ酸を添加する場合には、第1の水溶液において、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多くならないようにする。第1の水溶液において、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多くなると、第1の水溶液を塗布することによって形成される第1の層3に含まれるジルコニウム含有イオンが不足し、ジルコニウム含有イオンと、石材2に含まれるカルシウムイオンおよびケイ酸の少なくとも一方との化学結合を充分に形成することができない。
第1の水溶液は、ジルコニウム含有イオンとケイ酸以外に、種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、石材2の表面2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dとの濡れ性を改善するための界面活性剤、第1の層3を着色するための顔料や染料、第1の水溶液からなる第1の塗膜の硬化を促進するためのケイ酸イオン等が挙げられる。なお、第1の水溶液がケイ酸イオンを含む場合には、ケイ酸イオンの含有量を第1の水溶液がゲル化しない範囲とすることが好ましい。
添加剤としては、例えば、石材2の表面2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dとの濡れ性を改善するための界面活性剤、第1の層3を着色するための顔料や染料、第1の水溶液からなる第1の塗膜の硬化を促進するためのケイ酸イオン等が挙げられる。なお、第1の水溶液がケイ酸イオンを含む場合には、ケイ酸イオンの含有量を第1の水溶液がゲル化しない範囲とすることが好ましい。
第1の工程では、石材2の表面2aに第1の水溶液を塗布し、石材2の細孔2b内に第1の水溶液を浸透させるとともに、石材2の表面2aに第1の水溶液からなる第1の塗膜を形成する。
第1の水溶液の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等を用いる塗布方法が挙げられる。これらの塗布方法により、石材2の表面2aに第1の水溶液を塗布することにより、毛細管現象により、石材2の細孔2b内に第1の水溶液が浸透する。
第1の水溶液の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等を用いる塗布方法が挙げられる。これらの塗布方法により、石材2の表面2aに第1の水溶液を塗布することにより、毛細管現象により、石材2の細孔2b内に第1の水溶液が浸透する。
石材2の表面2aに第1の水溶液を塗布する前に、石材2の表面2aを洗浄し、石材2の表面2aが乾いた状態で、第1の水溶液を塗布することが好ましい。
第1の水溶液の塗布量は、石材2の空隙率(石材2の単位体積当たりに存在する細孔2aの体積率)に応じて適宜調整されるが、第1の水溶液を塗布した直後に、石材2の表面2aに薄い第1の塗膜が残存する程度が好ましい。
さらに、第1の工程では、石材2の表面2aおよび細孔2b内に形成した第1の塗膜を乾燥させて、石材2の表層2Aにジルコニウム含有イオンを含む第1の層3を形成する。
第1の塗膜を乾燥する温度は、特に限定されないが、例えば、5℃以上かつ30℃以下とする。
また、第1の塗膜を乾燥する時間は、特に限定されないが、例えば、10分以上かつ300分以下とする。
また、第1の塗膜を乾燥する時間は、特に限定されないが、例えば、10分以上かつ300分以下とする。
第2の工程では、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多い第2の水溶液を用いる。
第2の水溶液において、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量は、1質量%以上かつ20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上かつ20質量%以下であることがより好ましい。
ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が1質量%以上であれば、第2の水溶液を塗布することによって形成される第2の層4に含まれるケイ酸によって、第2の層4は耐酸性に優れる。一方、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が20質量%以下であれば、第2の水溶液の粘度が大きくなり過ぎることがなく、石材2の細孔2b内に形成された第1の層3の細孔3a内に第2の水溶液を充分に浸透させることができる。
ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が1質量%以上であれば、第2の水溶液を塗布することによって形成される第2の層4に含まれるケイ酸によって、第2の層4は耐酸性に優れる。一方、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が20質量%以下であれば、第2の水溶液の粘度が大きくなり過ぎることがなく、石材2の細孔2b内に形成された第1の層3の細孔3a内に第2の水溶液を充分に浸透させることができる。
第2の水溶液にジルコニウム含有イオンを添加する場合には、第2の水溶液において、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多くならないようにする。第2の水溶液において、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多くなると、第2の水溶液を塗布することによって形成される第2の層4の耐酸性が低下する。
第2の水溶液は、ケイ酸とジルコニウム含有イオン以外に、種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、第1の層3の表面の濡れ性を改善するための界面活性剤、第2の層4を着色するための顔料や染料、第2の層4の硬度を向上するための各種ポリマー(結着剤)、第2の水溶液からなる第2の塗膜の硬化を促進するためのジルコニウム含有イオン等が挙げられる。なお、第2の水溶液がジルコニウム含有イオンを含む場合には、ジルコニウム含有イオンの含有量を第2の水溶液がゲル化しない範囲とすることが好ましい。
添加剤としては、例えば、第1の層3の表面の濡れ性を改善するための界面活性剤、第2の層4を着色するための顔料や染料、第2の層4の硬度を向上するための各種ポリマー(結着剤)、第2の水溶液からなる第2の塗膜の硬化を促進するためのジルコニウム含有イオン等が挙げられる。なお、第2の水溶液がジルコニウム含有イオンを含む場合には、ジルコニウム含有イオンの含有量を第2の水溶液がゲル化しない範囲とすることが好ましい。
第2の工程では、第1の層3上に第2の水溶液を塗布し、第1の層3の細孔3a内に第2の水溶液を浸透させるとともに、第1の層3の表面(上面)3bに第2の水溶液からなる第2の塗膜を形成する。
第2の水溶液の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等を用いる塗布方法が挙げられる。これらの塗布方法により、第1の層3の表面3bに第2の水溶液を塗布することにより、毛細管現象により、第1の層3の細孔3a内に第2の水溶液が浸透する。
第2の水溶液の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等を用いる塗布方法が挙げられる。これらの塗布方法により、第1の層3の表面3bに第2の水溶液を塗布することにより、毛細管現象により、第1の層3の細孔3a内に第2の水溶液が浸透する。
第2の水溶液は、第1の塗膜が乾燥して、第1の層3が形成した後とすることが好ましい。石材2の細孔2b内に第1の水溶液を浸透させただけでは、石材2の細孔2bは完全に封止されない。そのため、第2の水溶液も毛細管現象によって第1の層3の細孔3a内に浸透する。なお、石材2の表面2a、すなわち、第1の層3の表面3bが乾燥していないと、第1の層3の細孔3a内への第2の水溶液の浸透が阻害されることがあるため、石材2の表面2a(第1の層3の表面3b)を充分に乾燥させてから、第2の水溶液を塗布することが好ましい。
第2の水溶液の塗布量は、石材2の空隙率(石材2の単位体積当たりに存在する細孔2aの体積率)に応じて適宜調整されるが、第2の水溶液を塗布した直後に、石材2の表面2a、すなわち、第1の層3の表面3bに薄い第2の塗膜が残存する程度が好ましい。
また、第2の層4の耐酸性をより向上させるために、第2の層4におけるケイ酸の含有量を多くする場合には、第2の水溶液によって第2の塗膜を形成した後に、第2の塗膜上に二酸化ケイ素単体からなるシリカゾルを塗布することが好ましい。シリカゾルとしては、コロイダルシリカや、金属アルコキシドの加水分解によって得られたものが用いられる。
さらに、第2の工程では、第1の層3上に形成した第2の塗膜を乾燥させて、第1の層3上にケイ酸を含む第2の層4を形成する。
第2の塗膜を乾燥する温度は、特に限定されないが、例えば、5℃以上かつ30℃以下とする。
また、第2の塗膜を乾燥する時間は、特に限定されないが、例えば、10分以上とする。
また、第2の塗膜を乾燥する時間は、特に限定されないが、例えば、10分以上とする。
第1の工程と第2の工程が完了した後、第1の層3と第2の層4を加熱する必要はないが、硬化を促進するために、第1の層3と第2の層4を加熱してもよい。
以上の工程を経ることにより、図1に示す表面処理石材1が得られる。
本実施形態の表面処理石材の製造方法によれば、第1の工程により、石材2の表層2Aにジルコニウム含有イオンを含む第1の層3を形成し、第2の工程により、第1の層3上にケイ酸を含む第2の層4を形成するため、第1の層3と第2の層4を接触させることができるので、それぞれの層に含まれるジルコニウム含有イオンとケイ酸を化学的に結合させて、不溶性のケイ酸ジルコニウム化合物を析出させることにより、第1の層3および第2の層4によって、石材2の細孔2bを封止することができる。また、第1の水溶液および第2の水溶液が、有機溶剤等の環境汚染物質を含まないため、第1の水溶液および第2の水溶液を塗布することにより環境汚染をすることがない。
[第2の実施形態]
「表面処理石材」
本発明の第2の実施形態である表面処理石材について説明する。図2は、本発明の表面処理石材の第2の実施形態の概略構成を示す断面図である。なお、図2において、図1に示した表面処理石材の第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態の表面処理石材10と、第1の実施形態の表面処理石材1とが異なる点は、石材2と第1の層3の間に、撥水層11が形成されている点である。
「表面処理石材」
本発明の第2の実施形態である表面処理石材について説明する。図2は、本発明の表面処理石材の第2の実施形態の概略構成を示す断面図である。なお、図2において、図1に示した表面処理石材の第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態の表面処理石材10と、第1の実施形態の表面処理石材1とが異なる点は、石材2と第1の層3の間に、撥水層11が形成されている点である。
なお、図2では、図示を簡略化するために、撥水層11が連続した層をなしているように示したが、実際には、撥水層11は、石材2の表面2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dに点在または偏在している。
撥水層11を形成する浸透性撥水処理剤としては、特に限定されず、コンクリートや石材用途として市販されているものが好適に用いられる。撥水剤としては、例えば、フッ素樹脂系撥水剤やシリコーン系樹脂系撥水剤、または、これらの浸透性撥水処理剤を水に分散したエマルジョン系塗布剤が挙げられる。また、浸透性撥水処理剤としては、各種アルコキシシランやその加水分解物も用いられる。
本実施形態の表面処理石材10によれば、石材2と第1の層3の間に、撥水層11が形成されているため、第1の層3に含まれるジルコニウム含有イオンが、第2の層4に含まれるケイ酸、並びに、石材2に含まれるカルシウムイオンやケイ酸のみならず、撥水層11を形成する浸透性撥水処理剤とも化学結合するから、第1の層3が、第2の層4と、石材2の表面2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dと、撥水層11と一体化し、撥水層11が形成されていない場合よりも、石材2の表面2aおよび細孔2bに対して、第1の層3および第2の層4を強固に固着(結合)することができ、石材2の細孔2b内へ、外部からの水、汚染物質や腐食物質が侵入することを長期的に防止できる。
「表面処理石材の製造方法」
本実施形態の表面処理石材の製造方法と、第1の実施形態の表面処理石材の製造方法とが異なる点は、第1の層3を形成する第1の工程の前に、石材2の表面2aに、予め浸透性撥水処理剤を塗布し、石材2の表層2Aに撥水層11を形成する点である。本実施形態の表面処理石材の製造方法は、その他の点では、第1の実施形態の表面処理石材の製造方法と同様である。
本実施形態の表面処理石材の製造方法と、第1の実施形態の表面処理石材の製造方法とが異なる点は、第1の層3を形成する第1の工程の前に、石材2の表面2aに、予め浸透性撥水処理剤を塗布し、石材2の表層2Aに撥水層11を形成する点である。本実施形態の表面処理石材の製造方法は、その他の点では、第1の実施形態の表面処理石材の製造方法と同様である。
以下、図2を参照して、本実施形態の表面処理石材の製造方法を詳細に説明する。
撥水層11を形成する工程では、上記の浸透性撥水処理剤を用いる。
浸透性撥水処理剤の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等を用いる塗布方法が挙げられる。これらの塗布方法により、石材2の表面2aに浸透性撥水処理剤を塗布することにより、毛細管現象により、石材2の細孔2b内に浸透性撥水処理剤が浸透する。
撥水層11を形成する工程では、上記の浸透性撥水処理剤を用いる。
浸透性撥水処理剤の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等を用いる塗布方法が挙げられる。これらの塗布方法により、石材2の表面2aに浸透性撥水処理剤を塗布することにより、毛細管現象により、石材2の細孔2b内に浸透性撥水処理剤が浸透する。
石材2の表面2aに浸透性撥水処理剤を塗布する前に、石材2の表面2aを洗浄し、石材2の表面2aが乾いた状態で、浸透性撥水処理剤を塗布することが好ましい。
浸透性撥水処理剤の塗布量は、石材2の空隙率(石材2の単位体積当たりに存在する細孔2aの体積率)に応じて適宜調整されるが、浸透性撥水処理剤を塗布した直後に、石材2の表面2aに薄い浸透性撥水処理剤が残存する程度が好ましい。
さらに、撥水層11を形成する工程では、石材2の表面2aおよび細孔2b内に形成した浸透性撥水処理剤を乾燥させて、石材2の表層2Aに撥水層11を形成してもよい。
浸透性撥水処理剤を乾燥する温度は、特に限定されないが、例えば、5℃以上かつ30℃以下とする。
また、浸透性撥水処理剤を乾燥する時間は、特に限定されないが、例えば、10分以上かつ300分以下とする。
また、浸透性撥水処理剤を乾燥する時間は、特に限定されないが、例えば、10分以上かつ300分以下とする。
以下、第1の実施形態と同様にして、第1の層3と第2の層4を形成し、図2に示す表面処理石材10を得る。
本実施形態の表面処理石材の製造方法によれば、第1の層3を形成する第1の工程の前に、石材2の表面2aに、予め浸透性撥水処理剤を塗布し、石材2の表層2Aに撥水層11を形成するため、第1の層3に含まれるジルコニウム含有イオンを、第2の層4に含まれるケイ酸、並びに、石材2に含まれるカルシウムイオンやケイ酸のみならず、撥水層11を形成する浸透性撥水処理剤とも化学結合させることができるから、第1の層3を、第2の層4と、石材2の表面2aと、石材2の細孔2bの内側面2cおよび底面2dと、撥水層11と一体化させ、撥水層11を形成しない場合よりも、石材2の表面2aおよび細孔2bに対して、第1の層3および第2の層4を強固に固着(結合)することができ、石材2の細孔2b内へ、外部からの水、汚染物質や腐食物質が侵入することを長期的に防止できる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜5、比較例1〜5]
「鉄筋コンクリートへの表面処理」
コンクリートは多孔質であり、細孔内に汚染物質や腐食物質が侵入し易い。そこで、鉄筋コンクリートブロックを用いて、本発明の効果を確認した。
鉄筋コンクリートブロックを洗浄し、自然乾燥した後、表1に示す内容で、各層を形成するための塗布液を塗布して、各層を形成し、それぞれの効果を確認した。
撥水剤としては、市販のコンクリート用シリコーン樹脂撥水塗料(商品名:ドライシールS、東レダウコーニング社製)を希釈せずに用いた。
ジルコニウム含有イオン源(塗布液)としては、炭酸ジルコニウムカリウム(商品名:ジルメル1000、メルケミカル社製)を二酸化ジルコニウム換算濃度で5質量%に水で希釈して用いた。
ケイ酸源(塗布液)としては、ケイ酸カリウム(商品名:2Kケイ酸カリ、日本化学工業社製)を二酸化ケイ素換算濃度で20質量%に希釈して用いた。
シリカゾル(塗布液)としては、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOS、日産化学社製)を希釈せずに用いた。
各塗布液を塗布するために、スポンジ製ローラーを用いた。
各塗布液を、塗布直後に液体の薄い膜(塗膜)が残存するように塗布した。
各塗布液の塗布量を、50g/m2以上かつ100g/m2とした。
一の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥した後、次の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥した。この操作を繰り替えして、実施例1〜5および比較例1〜5の表面処理を行った。
なお、表1の数字は、各塗布液を塗布した順番を示す。表1において、「0:処理なし」、「1:1番目に塗布」、「2:2番目に塗布」、「3:3番目に塗布」、「4:4番目に塗布」を示す。
「鉄筋コンクリートへの表面処理」
コンクリートは多孔質であり、細孔内に汚染物質や腐食物質が侵入し易い。そこで、鉄筋コンクリートブロックを用いて、本発明の効果を確認した。
鉄筋コンクリートブロックを洗浄し、自然乾燥した後、表1に示す内容で、各層を形成するための塗布液を塗布して、各層を形成し、それぞれの効果を確認した。
撥水剤としては、市販のコンクリート用シリコーン樹脂撥水塗料(商品名:ドライシールS、東レダウコーニング社製)を希釈せずに用いた。
ジルコニウム含有イオン源(塗布液)としては、炭酸ジルコニウムカリウム(商品名:ジルメル1000、メルケミカル社製)を二酸化ジルコニウム換算濃度で5質量%に水で希釈して用いた。
ケイ酸源(塗布液)としては、ケイ酸カリウム(商品名:2Kケイ酸カリ、日本化学工業社製)を二酸化ケイ素換算濃度で20質量%に希釈して用いた。
シリカゾル(塗布液)としては、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOS、日産化学社製)を希釈せずに用いた。
各塗布液を塗布するために、スポンジ製ローラーを用いた。
各塗布液を、塗布直後に液体の薄い膜(塗膜)が残存するように塗布した。
各塗布液の塗布量を、50g/m2以上かつ100g/m2とした。
一の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥した後、次の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥した。この操作を繰り替えして、実施例1〜5および比較例1〜5の表面処理を行った。
なお、表1の数字は、各塗布液を塗布した順番を示す。表1において、「0:処理なし」、「1:1番目に塗布」、「2:2番目に塗布」、「3:3番目に塗布」、「4:4番目に塗布」を示す。
「耐汚染性評価」
表面処理した鉄筋コンクリートについて、耐汚染性評価を行った。
油性インキに対する評価では、油性マーカー(ペンテル社製ペン)で、鉄筋コンクリートにおける表面処理した面(表面)に線を描き、水拭きで除去できるかを目視により確認した。
水濡れ色の評価では、鉄筋コンクリートにおける表面処理した面(表面)に水を注いだ後、その水を拭き取り、水が鉄筋コンクリートの内部に浸透して濡れ色を呈するかを目視により確認した。
耐酸性の評価では、鉄筋コンクリートにおける表面処理した面(表面)に10%のクエン酸を滴下して、室温で24時間放置し、浸食の痕跡を目視により観察した。
耐アルカリ性の評価では、鉄筋コンクリートにおける表面処理した面(表面)に3%の苛性ソーダを滴下して、室温で24時間放置し、浸食の痕跡を目視により観察した。
評価の基準を次の通りとした。「×:著しく汚染痕跡を残す」、 「△:わずかに汚染痕跡を残すが実用的に問題ないと判断される」、「○:汚染痕跡を残さない」。
また、×評価がないものを実施例、×があるものを比較例とした。
評価結果を表1に示す。
表面処理した鉄筋コンクリートについて、耐汚染性評価を行った。
油性インキに対する評価では、油性マーカー(ペンテル社製ペン)で、鉄筋コンクリートにおける表面処理した面(表面)に線を描き、水拭きで除去できるかを目視により確認した。
水濡れ色の評価では、鉄筋コンクリートにおける表面処理した面(表面)に水を注いだ後、その水を拭き取り、水が鉄筋コンクリートの内部に浸透して濡れ色を呈するかを目視により確認した。
耐酸性の評価では、鉄筋コンクリートにおける表面処理した面(表面)に10%のクエン酸を滴下して、室温で24時間放置し、浸食の痕跡を目視により観察した。
耐アルカリ性の評価では、鉄筋コンクリートにおける表面処理した面(表面)に3%の苛性ソーダを滴下して、室温で24時間放置し、浸食の痕跡を目視により観察した。
評価の基準を次の通りとした。「×:著しく汚染痕跡を残す」、 「△:わずかに汚染痕跡を残すが実用的に問題ないと判断される」、「○:汚染痕跡を残さない」。
また、×評価がないものを実施例、×があるものを比較例とした。
評価結果を表1に示す。
比較例1は、未処理の鉄筋コンクリートブロックの場合である。比較例1では、油性インキを除去できず、水が浸透するため水濡れ色を呈し、クエン酸により著しい浸食痕跡が残った。しかし、比較例1は、苛性ソーダには耐性があることが分かった。
実施例1は、先ず炭酸ジルコニウムカリウムを含む塗布液を塗布し、次いで、ケイ酸カリウムを含む塗布液を塗布した場合である。実施例1では、比較例1と比較すると、油性インキに対しては汚染性が大きく改善し、水濡れ色とクエン酸に対しても改善が認められ、実用上問題ないことが分かった。
実施例2は、先ず撥水剤を塗布し、次いで、炭酸ジルコニウムカリウムを含む塗布液を塗布し、次いで、ケイ酸カリウムを含む塗布液を塗布した場合である。実施例2では、比較例1と比較すると、油性インキと水濡れ色に対しては汚染性が大きく改善し、クエン酸に対しても改善が認められ、実用上問題ないことが分かった。
実施例3は、先ず撥水剤を塗布し、次いで、炭酸ジルコニウムカリウムを含む塗布液を塗布し、次いで、ケイ酸カリウムを含む塗布液を塗布し、次いで、コロイダルシリカを塗布した場合である。実施例3では、比較例1と比較すると、油性インキ、水濡れ色およびクエン酸に対しても汚染性が大きく改善することが分かった。
比較例2は、実施例1と塗布液の塗布順を逆にした場合である。比較例2では、先ずケイ酸カリウムを含む塗布液を塗布し、次いで、炭酸ジルコニウムカリウムを含む塗布液を塗布した。比較例2では、比較例1と比較すると、クエン酸に対する改善が認められなかった。ここでは、最外層をなす炭酸ジルコニウムカリウムを含む層におけるケイ酸の含有量が、内層をなすケイ酸カリウムを含む層よりも小さく、炭酸ジルコニウムカリウムがケイ酸カリウムよりも酸に溶解しやすい性質から、このようなことが生じたと考えられる。よって、比較例2における塗布液の塗布順は好適でないことが分かった。
比較例3は、撥水剤のみを塗布した場合である。比較例3では、比較例1と比較すると、水濡れ色に対しては汚染性が大きく改善することが認められたものの、油性インキとクエン酸に対しては汚染性の改善が認められなかった。
比較例4は、ケイ酸カリウムを含む塗布液のみを塗布した場合である。比較例4では、比較例1と比較すると、油性インキ、水濡れ色およびクエン酸に対して汚染性の改善が認められるものの、苛性ソーダに対する汚染性が低下した。これは、ケイ酸カリウム固化体自体が、耐アルカリ性に劣るためである。
比較例5は、先ず撥水剤を塗布し、次いで、ケイ酸カリウムを含む塗布液を塗布し、次いで、コロイダルシリカを塗布した場合である。比較例5では、比較例1と比較すると、油性インキ、水濡れ色およびクエン酸に対して汚染性の改善が認められるものの、苛性ソーダに対する汚染性の著しい低下が認められた。これは、ケイ酸カリウムのみで、炭酸ジルコニウムカリウムなしでは、充分な耐アルカリ性が得られないことを示している。
実施例4は、先ず撥水剤を塗布し、次いで、炭酸ジルコニウムカリウムを含む塗布液を塗布し、次いで、コロイダルシリカを塗布した場合である。実施例4では、比較例1と比較すると、水濡れ色、クエン酸および苛性ソーダに対して汚染性の改善は良好であり、油性インキに対しては若干の汚染痕があるものの改善を示し、実用上問題ないことが分かった。
実施例5は、先ず炭酸ジルコニウムカリウムを含む塗布液を塗布し、次いで、ケイ酸カリウムを含む塗布液を塗布し、次いで、コロイダルシリカを塗布した場合である。実施例5では、比較例1と比較すると、油性インキ、クエン酸および苛性ソーダに対しては汚染性が大きく改善し、水濡れ色については若干の汚染痕があるものの改善を示し、実用上問題ないことが分かった。
以上の結果から、各塗布液の汚染物質に対する役割を示すと、撥水剤は水濡れ色の防止に、ケイ酸カリウムは油性インキの除去性に、コロイダルシリカは耐酸性の改善にそれぞれ有用であることが分かった。しかし、これらだけでは、元より耐アルカリ性の低下を招くため、炭酸ジルコニウムカリウムを適正な場所に塗布すると、他成分を結合する架橋剤のような役割を示す。すなわち、炭酸ジルコニウムカリウムは、耐アルカリ性の低下防止に貢献すると言える。
[実施例6〜10、比較例6〜10]
「天然花崗岩への表面処理」
天然花崗岩は、一般的に耐酸性および耐アルカリ性に優れ、吸水率もコンクリートの数%の1/10程度と小さいことから、コンクリートより汚れ難い石材として用いられている。そこで、天然花崗岩を用いて、本発明の効果を確認した。
天然花崗岩板を洗浄し、自然乾燥した後、表2に示す内容で、各層を形成するための塗布液を塗布して、各層を形成し、それぞれの効果を確認した。
撥水剤としては、市販のコンクリート用シリコーン樹脂撥水塗料(商品名:ドライシールS、東レダウコーニング社製)を希釈せずに用いた。
ジルコニウム含有イオン源(塗布液)としては、炭酸ジルコニウムアンモニウム(商品名:ベイコート20、メルケミカル社製)を二酸化ジルコニウム換算濃度で5質量%に水で希釈して用いた。
ケイ酸源(塗布液)としては、ケイ酸リチウム(商品名:リチウム45、日本化学工業社製)を二酸化ケイ素換算濃度で5質量%に希釈して用いた。
シリカゾル(塗布液)としては、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOS、日産化学社製)を5質量%に希釈にして用いた。
各塗布液を塗布するために、スプレーガンを用いた。
各塗布液を、塗布直後に液体の薄い膜(塗膜)が残存するように塗布した。
各塗布液の塗布量を、10g/m2とした。
一の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥した後、別の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥した。この操作を繰り替えして、実施例6〜10および比較例6〜10の表面処理を行った。
なお、表2の数字は、各塗布液を塗布した順番を示す。表1において、「0:処理なし」、「1:1番目に塗布」、「2:2番目に塗布」、「3:3番目に塗布」、「4:4番目に塗布」を示す。
「天然花崗岩への表面処理」
天然花崗岩は、一般的に耐酸性および耐アルカリ性に優れ、吸水率もコンクリートの数%の1/10程度と小さいことから、コンクリートより汚れ難い石材として用いられている。そこで、天然花崗岩を用いて、本発明の効果を確認した。
天然花崗岩板を洗浄し、自然乾燥した後、表2に示す内容で、各層を形成するための塗布液を塗布して、各層を形成し、それぞれの効果を確認した。
撥水剤としては、市販のコンクリート用シリコーン樹脂撥水塗料(商品名:ドライシールS、東レダウコーニング社製)を希釈せずに用いた。
ジルコニウム含有イオン源(塗布液)としては、炭酸ジルコニウムアンモニウム(商品名:ベイコート20、メルケミカル社製)を二酸化ジルコニウム換算濃度で5質量%に水で希釈して用いた。
ケイ酸源(塗布液)としては、ケイ酸リチウム(商品名:リチウム45、日本化学工業社製)を二酸化ケイ素換算濃度で5質量%に希釈して用いた。
シリカゾル(塗布液)としては、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOS、日産化学社製)を5質量%に希釈にして用いた。
各塗布液を塗布するために、スプレーガンを用いた。
各塗布液を、塗布直後に液体の薄い膜(塗膜)が残存するように塗布した。
各塗布液の塗布量を、10g/m2とした。
一の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥した後、別の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥した。この操作を繰り替えして、実施例6〜10および比較例6〜10の表面処理を行った。
なお、表2の数字は、各塗布液を塗布した順番を示す。表1において、「0:処理なし」、「1:1番目に塗布」、「2:2番目に塗布」、「3:3番目に塗布」、「4:4番目に塗布」を示す。
「耐汚染性評価」
鉄筋コンクリートブロックの場合と同様にして、表面処理した天然花崗岩板について、耐汚染性評価を行った。
評価結果を表2に示す。
鉄筋コンクリートブロックの場合と同様にして、表面処理した天然花崗岩板について、耐汚染性評価を行った。
評価結果を表2に示す。
比較例6は、未処理の天然花崗岩板の場合である。比較例6では、油性インキを除去できず、水が僅かに浸透するため若干の水濡れ色を呈した。しかし、比較例6は、クエン酸および苛性ソーダには耐性があることが分かった。
実施例6は、先ず炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む塗布液を塗布し、次いで、ケイ酸リチウムを含む塗布液を塗布した場合である。実施例6では、比較例6と比較すると、水濡れ色と苛性ソーダに対する汚染性の改善が認められず、クエン酸に対する汚染性の低下が僅かに認められたが、実用上問題ないことが分かった。また、実施例6では、油性インキに対する汚染性が大きく改善した。
実施例7は、先ず撥水剤を塗布し、次いで、炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む塗布液を塗布し、次いで、ケイ酸リチウムを含む塗布液を塗布した場合である。実施例7では、比較例6と比較すると、クエン酸に対する汚染性の低下が認められたが、実用上問題ないことが分かった。また、実施例7では、水濡れ色と油性インキに対する汚染性が大きく改善した。
実施例8は、先ず撥水剤を塗布し、次いで、炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む塗布液を塗布し、次いで、ケイ酸リチウムを含む塗布液を塗布し、次いで、コロイダルシリカを塗布した場合である。実施例8では、比較例6と比較すると、油性インキ、水濡れ色、クエン酸および苛性ソーダに対して汚染性が改善することが分かった。
比較例7は、実施例6と塗布液の塗布順を逆にした場合である。比較例7では、先ずケイ酸リチウムを含む塗布液を塗布し、次いで、炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む塗布液を塗布した。比較例7では、比較例6と比較すると、クエン酸に対する汚染性が明らかに低下することが認められた。ここでは、最外層をなす炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む層におけるケイ酸の含有量が、内層をなすケイ酸リチウムを含む層よりも小さく、炭酸ジルコニウムアンモニウムがケイ酸リチウムよりも酸に溶解しやすい性質から、このようなことが生じたと考えられる。よって、比較例7における塗布液の塗布順は好適でないことが分かった。
比較例8は、撥水剤のみを塗布した場合である。比較例8では、比較例6と比較すると、水濡れ色に対しては汚染性が大きく改善することが認められたものの、油性インキとクエン酸に対しては汚染性の改善が認められなかった。
比較例9は、ケイ酸リチウムを含む塗布液のみを塗布した場合である。比較例9では、比較例6と比較すると、油性インキに対して汚染性の改善が認められるものの、苛性ソーダに対する汚染性が低下した。これは、ケイ酸リチウム固化体自体が、耐アルカリ性に劣るためである。
比較例10は、先ず撥水剤を塗布し、次いで、ケイ酸リチウムを含む塗布液を塗布し、次いで、コロイダルシリカを塗布した場合である。比較例10では、比較例6と比較すると、油性インキおよび水濡れ色に対して汚染性の改善が認められるものの、苛性ソーダに対する汚染性の著しい低下が認められた。これは、ケイ酸リチウムのみで、炭酸ジルコニウムアンモニウムなしでは、充分な耐アルカリ性が得られないことを示している。
実施例9は、先ず撥水剤を塗布し、次いで、炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む塗布液を塗布し、次いで、コロイダルシリカを塗布した場合である。実施例9では、比較例6と比較すると、油性インキおよび水濡れ色に対して汚染性の改善が認められ、実用上問題ないことが分かった。
実施例10は、先ず炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む塗布液を塗布し、次いで、ケイ酸リチウムを含む塗布液を塗布し、次いで、コロイダルシリカを塗布した場合である。実施例10では、比較例6と比較すると、油性インキに対しては汚染性が大きく改善し、水濡れ色については若干の汚染痕があるものの改善を示し、実用上問題ないことが分かった。
以上の結果から、各塗布液の汚染物質に対する役割を示すと、撥水剤は水濡れ色の防止に、ケイ酸リチウムは油性インキの除去性に、コロイダルシリカは耐酸性の改善にそれぞれ有用であることが分かった。しかし、これらだけでは、元より耐アルカリ性の低下を招くため、炭酸ジルコニウムアンモニウムを適正な場所に塗布すると、他成分を結合する架橋剤のような役割を示す。すなわち、炭酸ジルコニウムアンモニウムは、耐アルカリ性の低下防止に貢献すると言える。
[実施例11、12、比較例11、12]
「ポリマーセメントモルタルへの表面処理」
ポリマーセメントモルタルは、セメントに、砂と樹脂ポリマーエマルジョンを混合し、その混合物を硬化させたものである。ポリマーセメントモルタルは、コンクリートと比較すると、より緻密であるが、通常、数%の吸水率を示し、汚染物質や腐食物質の侵入を妨げることができない。そこで、ポリマーセメントモルタルを用いて、本発明の効果を確認した。
ポリマーセメントモルタル(商品名:リフレアークL、住友大阪セメント社製)硬化板を洗浄し、自然乾燥した後、スポンジ製ローラーを用いて、撥水剤(商品名:リフレパセットA1000、住友大阪セメント社製)を塗布した。
次に、表3に示す内容で、各層を形成するための塗布液を塗布して、各層を形成し、それぞれの効果を確認した。
ジルコニウム含有イオン源としては、炭酸ジルコニウムカリウム(商品名:ジルメル1000、メルケミカル社製)を二酸化ジルコニウム換算濃度で10質量%に希釈して用いた。
ケイ酸源としては、ケイ酸カリウム(商品名:2K ケイ酸カリ、日本化学工業社製)を二酸化ケイ素換算濃度で10質量%に希釈して用いた。
第1の塗布液および第2の塗布液としては、炭酸ジルコニウムカリウムの二酸化ジルコニウム換算濃度とケイ酸カリウムの二酸化ケイ素換算濃度が表3に示す割合のものを用いた。炭酸ジルコニウムカリウムの二酸化ジルコニウム換算濃度とケイ酸カリウムの二酸化ケイ素換算濃度の合計を10質量%となるように調整した。炭酸ジルコニウムカリウム、およびケイ酸カリウムと水の混合には、マグネチックスターラーを用いた。
なお、炭酸ジルコニウムカリウムを含む水溶液には、硬化促進のためにケイ酸イオンを添加し、ケイ酸カリウムを含む水溶液には、硬化促進のためにジルコニウム含有イオンを添加した。炭酸ジルコニウムカリウムを含む水溶液とケイ酸カリウムを含む水溶液の混合は、第1の塗布液および第2の塗布液の塗布直前とした。
各塗布液を塗布するために、スポンジ製ローラーを用いた。
各塗布液を、塗布直後に液体の薄い膜(塗膜)が残存するように塗布した。
各塗布液の塗布量を、10g/m2とした。
第1の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥した後、第2の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥して、実施例11、12および比較例11、12の表面処理を行った。
「ポリマーセメントモルタルへの表面処理」
ポリマーセメントモルタルは、セメントに、砂と樹脂ポリマーエマルジョンを混合し、その混合物を硬化させたものである。ポリマーセメントモルタルは、コンクリートと比較すると、より緻密であるが、通常、数%の吸水率を示し、汚染物質や腐食物質の侵入を妨げることができない。そこで、ポリマーセメントモルタルを用いて、本発明の効果を確認した。
ポリマーセメントモルタル(商品名:リフレアークL、住友大阪セメント社製)硬化板を洗浄し、自然乾燥した後、スポンジ製ローラーを用いて、撥水剤(商品名:リフレパセットA1000、住友大阪セメント社製)を塗布した。
次に、表3に示す内容で、各層を形成するための塗布液を塗布して、各層を形成し、それぞれの効果を確認した。
ジルコニウム含有イオン源としては、炭酸ジルコニウムカリウム(商品名:ジルメル1000、メルケミカル社製)を二酸化ジルコニウム換算濃度で10質量%に希釈して用いた。
ケイ酸源としては、ケイ酸カリウム(商品名:2K ケイ酸カリ、日本化学工業社製)を二酸化ケイ素換算濃度で10質量%に希釈して用いた。
第1の塗布液および第2の塗布液としては、炭酸ジルコニウムカリウムの二酸化ジルコニウム換算濃度とケイ酸カリウムの二酸化ケイ素換算濃度が表3に示す割合のものを用いた。炭酸ジルコニウムカリウムの二酸化ジルコニウム換算濃度とケイ酸カリウムの二酸化ケイ素換算濃度の合計を10質量%となるように調整した。炭酸ジルコニウムカリウム、およびケイ酸カリウムと水の混合には、マグネチックスターラーを用いた。
なお、炭酸ジルコニウムカリウムを含む水溶液には、硬化促進のためにケイ酸イオンを添加し、ケイ酸カリウムを含む水溶液には、硬化促進のためにジルコニウム含有イオンを添加した。炭酸ジルコニウムカリウムを含む水溶液とケイ酸カリウムを含む水溶液の混合は、第1の塗布液および第2の塗布液の塗布直前とした。
各塗布液を塗布するために、スポンジ製ローラーを用いた。
各塗布液を、塗布直後に液体の薄い膜(塗膜)が残存するように塗布した。
各塗布液の塗布量を、10g/m2とした。
第1の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥した後、第2の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥して、実施例11、12および比較例11、12の表面処理を行った。
「耐汚染性評価」
鉄筋コンクリートブロックの場合と同様にして、表面処理したポリマーセメントモルタル硬化板について、耐汚染性評価を行った。
評価結果を表3に示す。
鉄筋コンクリートブロックの場合と同様にして、表面処理したポリマーセメントモルタル硬化板について、耐汚染性評価を行った。
評価結果を表3に示す。
比較例11は、撥水剤のみを塗布した場合である。水濡れ色と苛性ソーダに対する汚染性は良好であったが、油性インキとクエン酸に対する汚染性は不良であった。
実施例11は、炭酸ジルコニウムカリウムとケイ酸カリウムをそれぞれ単独で塗布した場合である。実施例11では、比較例11と比較すると、クエン酸に若干浸食されたものの、実用上問題ないことが分かった。
実施例12は、第1の塗布液の硬化促進のために、ジルコニウム含有イオンを二酸化ジルコニウム換算濃度で8質量%、ケイ酸イオンを二酸化ケイ素換算濃度で2質量%になるように調整し、また、第2の塗布液の硬化促進のために、同様に2:8になるように調整した場合である。実施例12では、比較例11と比較すると、クエン酸に若干浸食されたものの、実用上問題ないことが分かった。
比較例12は、硬化促進のため、第1の塗布液と第2の塗布液の組成を5:5に調整した場合である。実質的に、この場合は、第1の塗布液と第2の塗布液は同じものとなる。しかし、第1の塗布液および第2の塗布液の硬化が早すぎたため、塗布作業が困難であり、塗布物を細孔内部に存在させることができなかった。したがって、この組成は好適でないことが分かった。
以上の結果から、比較例12のように、第1の塗布液および第2の塗布液の硬化が早すぎるという課題を解決し、かつ十分な耐汚染性を得るためには、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多い第1の塗布液を用い、かつケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多い第2の塗布液を用いるのがより好適であることが分かった。
[実施例13、比較例13]
「人造石への表面処理」
人造石は鉄筋を有さないため、鉄筋腐食性の酸性ジルコニウム含有塩が適用可能になる。そこで、市販の人造石板を用いて、本発明の効果を確認した。人造石は、石英を樹脂で固めたものであり、全体の90質量%が石英で占められている。人造石は、気孔率が0.1%と少ないが、それでも汚れが浸透する問題がある。
人造石板を洗浄し、自然乾燥した後、表4に示す内容で、各層を形成するための塗布液を塗布して、各層を形成し、それぞれの効果を確認した。
ジルコニウム含有イオン源(塗布液)としては、酸性ジルコニウム含有塩(日本軽金属社製の硝酸ジルコニル(ZrO(NO3)2)を二酸化ジルコニウム換算濃度で5質量%に水で希釈して用いた。
ケイ酸源(塗布液)としては、ケイ酸カリウム(商品名:2Kケイ酸カリ、日本化学工業社製)を二酸化ケイ素換算濃度で20質量%に希釈して用いた。
各塗布液を塗布するために、スポンジ製ローラーを用いた。
各塗布液を、塗布直後に液体の薄い膜(塗膜)が残存するように塗布した。
各塗布液の塗布量を、10g/m2以上かつ20g/m2とした。
第1の塗布液を塗布して塗膜を形成し、乾燥後、過剰な酸を取り除くために水拭きし、自然乾燥した後、第2の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥し、実施例13および比較例13の表面処理を行った。
なお、表4の数字は、各塗布液を塗布した順番を示す。表1において、「0:処理なし」、「1:1番目に塗布」、「2:2番目に塗布」を示す。
「人造石への表面処理」
人造石は鉄筋を有さないため、鉄筋腐食性の酸性ジルコニウム含有塩が適用可能になる。そこで、市販の人造石板を用いて、本発明の効果を確認した。人造石は、石英を樹脂で固めたものであり、全体の90質量%が石英で占められている。人造石は、気孔率が0.1%と少ないが、それでも汚れが浸透する問題がある。
人造石板を洗浄し、自然乾燥した後、表4に示す内容で、各層を形成するための塗布液を塗布して、各層を形成し、それぞれの効果を確認した。
ジルコニウム含有イオン源(塗布液)としては、酸性ジルコニウム含有塩(日本軽金属社製の硝酸ジルコニル(ZrO(NO3)2)を二酸化ジルコニウム換算濃度で5質量%に水で希釈して用いた。
ケイ酸源(塗布液)としては、ケイ酸カリウム(商品名:2Kケイ酸カリ、日本化学工業社製)を二酸化ケイ素換算濃度で20質量%に希釈して用いた。
各塗布液を塗布するために、スポンジ製ローラーを用いた。
各塗布液を、塗布直後に液体の薄い膜(塗膜)が残存するように塗布した。
各塗布液の塗布量を、10g/m2以上かつ20g/m2とした。
第1の塗布液を塗布して塗膜を形成し、乾燥後、過剰な酸を取り除くために水拭きし、自然乾燥した後、第2の塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を自然乾燥し、実施例13および比較例13の表面処理を行った。
なお、表4の数字は、各塗布液を塗布した順番を示す。表1において、「0:処理なし」、「1:1番目に塗布」、「2:2番目に塗布」を示す。
「耐汚染性評価」
鉄筋コンクリートブロックの場合と同様にして、表面処理した人造石板について、耐汚染性評価を行った。
評価結果を表4に示す。
鉄筋コンクリートブロックの場合と同様にして、表面処理した人造石板について、耐汚染性評価を行った。
評価結果を表4に示す。
比較例13は未処理の人造石の場合である。比較例13では、油性インキは汚染痕が残った。
実施例13は、先ず硝酸ジルコニルを含む塗布液を塗布し、次いで、ケイ酸カリウムを含む塗布液を塗布した場合である。実施例13では、比較例13と比較すると、油性インキ汚染性が改善した。
本発明の表面処理石材は、石材と、その石材の表層に形成されたジルコニウム含有イオンを含む第1の層と、その第1の層上に形成されたケイ酸を含む第2の層と、を備え、第1の層および第2の層の一部が、石材の表層の細孔内に存在するため、コンクリート等の石材の内部に含まれるアルカリ成分や、石材の外部から侵入する水、汚染物質、酸性物質およびアルカリ性物質に対して安定である。したがって、本発明の表面処理石材は、耐汚染性が求められる様々な分野に適用可能であり、その工業的価値は極めて大きい。
1,10・・・表面処理石材、2・・・石材、3・・・第1の層、4・・・第2の層、11・・・撥水層。
Claims (6)
- 石材と、該石材の表層に形成されたジルコニウム含有イオンを含む第1の層と、該第1の層上に形成されたケイ酸を含む第2の層と、を備え、
前記第1の層および前記第2の層の一部が、前記石材の表層の細孔内に存在することを特徴とする表面処理石材。 - 前記第1の層において、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多く、
前記第2の層において、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多いことを特徴とする表面処理石材。 - 前記石材と前記第1の層の間に、撥水層が形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理石材。
- 前記ジルコニウム含有イオンが、前記第1の層中において、前記石材に含まれるカルシウムイオンおよびケイ酸の少なくとも一方と化学結合していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理石材。
- 石材の表面に、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量が、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量よりも多い第1の水溶液を塗布し、前記石材の表層の細孔内に前記第1の水溶液を浸透させるとともに、前記石材の表層に前記第1の水溶液からなる第1の塗膜を形成し、該第1の塗膜を乾燥させて、前記石材の表層に前記ジルコニウム含有イオンを含む第1の層を形成する第1の工程と、
前記第1の層上に、ケイ酸の含有量の二酸化ケイ素換算量が、ジルコニウム含有イオンの含有量の二酸化ジルコニウム換算量よりも多い第2の水溶液を塗布し、前記第1の層上に前記第2の水溶液からなる第2の塗膜を形成し、該第2の塗膜を乾燥させて、前記第1の層上に前記ケイ酸を含む第2の層を形成する第2の工程と、を有することを特徴とする表面処理石材の製造方法。 - 前記第1の工程の前に、前記石材の表面に、予め浸透性撥水処理剤を塗布し、前記石材の表層に撥水層を形成することを特徴とする請求項5に記載の表面処理石材の製造方法。
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