本発明の好適な実施例1として、集団スポーツのプレイヤー間におけるネットワーク分析及び可視化システムの一例を、以下図面に基づいて説明する。
図1は、実施例1のネットワーク分析及び可視化システムの構成を示すブロック図である。実施例1のネットワーク分析及び可視化システムは、集団を構成する個体(プレイヤー)の動きから関係性を分析し、ネットワーク(個人間の連携)を作成、可視化する計算機システムである。
なお、以下においては、人のネットワークを可視化するシステムについて説明するが、動物等、動きのある個体間のネットワークを分析、可視化するシステムであれば、いかなるシステムに適用してもよい。また、以下において、ネットワークを生成される個体を、特にユーザと記載する。
ネットワーク可視化システムは、センシング装置1と、PC2と、スマートフォン3、及び、サーバ5を含む。
サーバ5は、ネットワーク4を介してセンシング装置1、PC2及びスマートフォン3と通信する。サーバ5は、CPU51と、メモリ54と、補助記憶装置(ストレージ装置)55と、通信部52と、入出力装置56を有する計算機である。なお、以下の説明では、個人間の連携を示す場合に符号のないネットワークを使用し、計算機を接続するネットワーク4と区別する。
サーバ5は、補助記憶装置55からメモリ54にロードされたプログラムをCPU51が実行することによって、解析部10、環境情報入力部53の機能を実現する。サーバ5のメモリ54は、不揮発性の記憶素子であるROMまたは揮発性の記憶素子であるRAMを含む。
ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、補助記憶装置55に格納されたプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
データベース20は、補助記憶装置55に格納される。補助記憶装置55は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶装置である。また、補助記憶装置55は、CPU51が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置55から読み出されて、メモリ54にロードされて、CPU51によって実行される。
解析部10は、センサデータ21に基づいて時系列の位置情報を算出し、位置情報から検出した軌跡に基づいて個体間のネットワークを算出し、ネットワークの評価を実施する機能部である。解析部10は、特徴量算出部11と、ネットワーク分析部12と、ネットワーク評価部13と、表示部14と、動画再生部15の機能部を主に有する。なお、個体の位置の測定は、個体に装着したセンシング装置1の他にフィールド等に設置した位置検出装置からの情報を用いるようにしても良い。また、時系列の位置情報とセンサデータ21の対応付けは、PC2等の操作者がおこなうようにしてもよい。
表示部14、環境情報入力部53は、データベース20に記録されたデータを、ネットワーク4を介してPC2及びスマートフォン3に出力することにより、集団のネットワークを取得したい操作者に公開する。入出力装置56は、キーボードやマウス及びディスプレイなどから構成される。
CPU51は、各機能部のプログラムに従って処理することによって、所定の機能を提供する機能部として稼働する。例えば、CPU51は、解析プログラムに従って処理することで解析部10として機能する。他のプログラムについても同様である。さらに、CPU51は、各プログラムが実行する複数の処理のそれぞれの機能を提供する機能部としても稼働する。計算機及び計算機システムは、これらの機能部を含む装置及びシステムである。
通信部52は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェースである。通信部52は、ネットワーク4を介して他の機器と通信し、データを送受信することができる。
解析部10及び環境情報入力部53は、プログラムによって実装されてもよく、また、物理的な集積回路によって実装されてもよい。特に解析部10は、解析部10に含まれる機能部を実行するための複数のプログラム又は複数の集積回路によって実装されてもよい。また、特徴量算出部11と、ネットワーク分析部12と、ネットワーク評価部13、表示部14は、各々が実行する処理ごとに複数のプログラム又は複数の集積回路によって実装されてもよい。
CPU51が実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD−ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介してサーバ5に提供され、非一時的記憶媒体である補助記憶装置55に格納される。このため、サーバ5は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
サーバ5は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に複数の計算機上で構成される計算機システムであり、前述したプログラムが、同一の計算機上で別のスレッドで実行されてもよく、複数の物理的計算機上に構築された仮想計算機上で実行されてもよい。
データベース20は、センサデータ21と、特徴量情報22と、環境情報23と、ネットワーク情報24と、ネットワーク評価情報25と、動画情報26を格納する。測定されたデータ(センサデータ)21は、センシング装置1から収集されたセンサデータを示す。本実施例におけるセンサデータ21は、個体に装着されたセンシング装置1によって測定された個体に関する運動の測定結果を示す。
特徴量情報22は、センサデータ21について特徴量算出部11を実行することにより算出された、個体の運動に関する特徴量を示す。詳細は後述する。
環境情報23は、環境情報入力部53を通じて入力される。環境情報23は、運動活動に関する情報を示し、運動活動に基づいてセンサデータ21と、特徴量情報22と、ネットワーク情報24を特定するための情報を含む。
環境情報23は、例えば、運動活動の内容と、運動活動が行われた時間及び場所、並びに、運動活動への参加者(個体)等を示す。詳細は後述する。全てのセンサデータ21を対象にネットワークを分析し、表示する場合は、必ずしも環境情報23、環境情報入力部53は必要ではない。
ネットワーク情報24は、特徴量情報22に対して、ネットワーク分析部12を実行することにより算出された集団のネットワークに関する情報を示す。詳細は後述する。
ネットワーク評価情報25は、ネットワーク情報24に対し、ネットワーク評価部13を実行することにより算出された集団のネットワークに関する評価情報で、個体評価テーブル250と、集団評価テーブル258とを含む。詳細は後述する。動画情報26は、運動活動を撮影した画像情報である。
センシング装置1は、ネットワークを分析する対象の個体の運動を測定する装置である。本実施例では、対象の個体が装着するウェアラブルデバイスを例に挙げる。なお、センシング装置1は、ユーザによる動きの結果、値が変化する内容であれば、いかなる内容をセンサデータとして測定してもよい。
センシング装置1は、加速度センサ31と、メモリ32と、マイコン(MCU)33、及び、通信部34を主に有する。
加速度センサ31は、例えば、1秒間に20〜1000回程度の回数でユーザの加速度を測定する。マイコン33は、加速度センサ31によって測定された測定結果を、センサデータとしてメモリ32に記録する。ここで、マイコン33は、ユーザ毎に一意な識別子(ユーザID)と測定結果とを、センサデータとして記録する。
さらに、マイコン33は、メモリ32に記録したセンサデータを、通信部34を介して、PC2及びスマートフォン3に送信する。通信部34は、無線又は有線を用いて、通信可能なタイミングで、又は、ユーザが設定した所定のタイミングで、センサデータをPC2又はスマートフォン3に送信する。
PC2及びスマートフォン3は、センシング装置1と通信し、センサデータを受信した場合、サーバ5に向けてセンサデータを転送する。また、センシング装置1はPC2及びスマートフォン3を介さずに、サーバ5に向けてセンサデータを送信しても良い。PC2は、プロセッサと、メモリ及び、ネットワークインターフェースを有する計算機であり、スマートフォン3は例えば、タブレット端末である。
なお、図1に示すサーバ5、センシング装置1、PC2及びスマートフォン3は、ネットワーク4を介して接続されるが、本実施例のサーバ5は、PC2及びスマートフォン3の少なくとも一つの機能を有してもよい。これにより、センシング装置1によって測定されたデータをネットワーク4経由でサーバ5に送ることなく解析することができるため、応答速度が向上する。また、ネットワーク4に接続されるサーバ5を設置する必要が無いため、簡易的に集団におけるネットワークを表示可能である。
図2は、実施例1のセンシング装置1が使用されている例を示す図である。
実施例1でネットワークを表示する運動は、サッカーである。しかし、ネットワークを可視化する運動活動の種類は、2個体以上が参加する競技であればいずれの競技であってもよく、実施例1のネットワーク表示システムは、ラグビー、バスケットボール、バレーボール、ゴールボール、野球、テニス、ハンドボール、ラクロス、陸上競技、スピードスケート等の集団競技に適用されてもよい。
また、実施例1のネットワーク分析及び可視化システムは、個体間のネットワークに限らず、センシング装置1でボールやバット、ラケット等の器具や道具等の物体の動きを測定することで、人体と物体間や、物体間のネットワークの表示に使用されても良い。
実施例1において、センシング装置1は、運動活動を行う個体30の体に一つ以上装着される。実施例1における個体30は、3軸加速度センサを搭載した腕時計型ウェアラブルデバイスを、センシング装置1として、直接手首に装着する例を示す。個体30は、フィールド100上で運動活動をする個体であるが、運動活動を行う場所はフィールド100に限らず、いかなる場所であってよい。
また、運動活動を行う場所を指定することによって、センシング装置1を装着した個体が複数の場所にいる場合においても、指定した場所にいる個体のみのネットワークを表示することが出来る。本実施例において、個体30はネットワークに表示される個体であり、かつ、センシング装置1によって測定される個体である。
本実施例におけるセンシング装置1は、個体の動き(運動)を測定する様々なセンサのうち少なくとも一つ以上のセンサを搭載する。様々なセンサとは、加速度センサ、ジャイロセンサ、歩数計、心拍数モニター、位置センサ、衝撃センサ、磁力計、温度センサ、湿度センサ、風センサ、音センサ、気圧センサ、及び、赤外線センサを含むが、これらに限定されない。そして、これらの様々なセンサによって測定された結果を、センサデータとしてサーバ5に送信してもよい。
また、個体30は、例えば、頭、首、肩、背中、腕、手首、手、指、ウエスト、ヒップ、脚、足首、足、かかと、及び、つま先などの個体30の体の部分に物理的に連結するように、センシング装置1を装着してもよい。また、センシング装置1と個体30の体との間に、1枚以上の衣類、履物、又は、運動保護具が存在する場合、個体30は、センシング装置1と衣類、履物、運動活動に使用する運動保護具と一体化する状態で、ストラップ、接着剤、ポケット、及び、クリップなどの様々な取り外し可能又は不可能な連結手段によって、センシング装置1を装着してもよい。また、センシング装置1はボールやバット、ラケット等の器具や道具等の物体に装着もしくは埋め込まれても良い。
また、センシング装置1は、装着型のウェアラブルセンサに限らず、映像解析により個体や物体の動きを測定する機器や、レーザ光の反射にて物体の位置を検出することのできるレーザレーダや、圧力や衝撃を測定可能なフォースプレートや、他にも音波センサや磁気センサ、RGBカメラ、深度センサ、マルチアレイマイクロフォン等の設置型のセンサであっても良く、個体や物体の動きを測定できるものであればいかなる装置であってもよい。
センシング装置1によって測定された動きに関するセンサデータは、PC2又はスマートフォン3経由でサーバ5に送信され、サーバ5においてデータベース20内のセンサデータ21に格納される。
図3は、実施例1の解析部10による処理の概要を示すフローチャートである。
まず、特徴量算出部11は、環境情報23に基づいて処理を行う対象のセンサデータをセンサデータ21から取得し、対象のセンサデータ21から個体ごとに個体30の運動に関する特徴量情報22を算出する(S101)。
特徴量情報22は、例えば、又は体動量等の個体30の動きの強さ(又は、動きのエネルギーの大きさ)に従って値が変化する特徴量を示し、さらに、特徴量の変化を時系列で示す。
本実施例においては、特徴量として身体活動強度を算出するが、運動量や体動量、移動速度、活動頻度、ピッチ、歩数等の運動に関する特徴量であれば、いかなるもので良い。また、特徴量として運動に伴って変化する消費カロリや心拍数、脈拍数、発汗量等の特徴量を算出しても良い。
次に、ネットワーク分析部12は、算出した特徴量情報22を用いて、個体30間のネットワーク分析を実施する(S102)。そして、ネットワーク評価部13では、ステップS102の結果から、集団の中心となる個体や、集団活性度を算出し、ネットワークを評価する(S103)。なお、集団活性度の算出については、後述する。
最後に、表示部14において、処理対象の集団のネットワーク情報24やネットワーク評価情報25を組合せて出力する(S104)。なお、表示部14は、所定の時間間隔でネットワーク情報24やネットワーク評価情報25を可視化して出力する。PC2やスマートフォン3等が表示部14の出力を受け付けて可視化されたネットワーク情報24やネットワーク評価情報25を表示する。
なお、表示部14が可視化して出力する情報としては、ネットワーク情報24及びネットワーク評価情報25の少なくとも一方を含めば良い。また、表示部14が実施する可視化処理は、ネットワーク情報24をグラフやマップとして出力することができ、例えば、個体30間の関係性を図19のようにマップ上の図形として出力したり、図17で示すように所定の時刻のマップ上の図形として出力することができる。また、表示部14が実施する可視化処理は、ネットワーク評価情報25をグラフや表として出力することができ、例えば、個体30が所属する集団活性度を図20のようにグラフとして出力したり、図19のように数字として表示することができる。
図3に示す処理を実行することによって、解析部10は、センサデータ21と環境情報23とを用いて、対象の個体30間におけるネットワークを分析し、ネットワークを生成して出力することでPC2等で表示することが出来る。すなわち、解析部10で生成されたネットワーク情報24は、関係性の大きい個体の組み合わせを特定して、例えば、グラフ等の形態で出力することができる。これにより、集団内の個体間のネットワークを図示によって可視化してPC2等の操作者へ提供することができる。
図4は、実施例1のセンサデータ21を示す図である。
センサデータ21は、センシング装置1を装着した個体30の情報を記録するユーザ情報テーブル201と、各個体30の活動量情報を記録する動き情報テーブル202とを含む。
ユーザ情報テーブル201は、ユーザID2011と、ユーザ名2012及びユーザ種別2013を含む。ユーザID2011は、センシング装置1を装着した個体30を認識するために、個体30毎に割り当てられたIDを記録する。ユーザID2011が格納するユーザIDは、センシング装置1から送信されるセンサデータに格納される。
ユーザ名2012は、センシング装置1を装着した個体30の名前又はニックネームを記録する。ユーザ種別2013は、ユーザ情報として、年齢及び性別等を記録してもよく、また、これらに限らない個体30の様々な情報を記録する。
例えば、測定する運動活動がサッカーである場合、ユーザ種別2013は、所属チーム及びポジション等を記録することで、表示部14は、個体30の種別毎の評価及び表示が可能になる。
動き情報テーブル202の1行は、一人の個体30の、1回の時刻の情報を示す。動き情報テーブル202は、ユーザID2021と、測定日時2022と、加速度X軸2023と、加速度Y軸2024、及び、加速度Z軸2025を含む。ユーザID2021は、個体30を認識するためのIDを記録し、ユーザID2011に対応する。
測定日時2022は、センサデータが測定された日時を格納する。加速度X軸2023、加速度Y軸2024、及び、加速度Z軸2025は、3軸加速度センサの各軸の測定結果を格納する。
以上のようにセンサデータ21には、個体30毎のユーザ情報テーブル201と、時系列の動き情報テーブル202が格納される。
図5は、実施例1の環境情報入力部53によって表示される画面301を示す図である。
環境情報入力部53は、PC2またはスマートフォン3等の出力装置に環境表示入力画面を提供し、PC2またはスマートフォン3の操作者から入力された環境情報を受け付ける。そして、環境情報入力部53は、入力された環境情報を補助記憶装置55内の環境情報23に格納する。
解析部10は、環境情報23を参照することにより、短い時間の運動活動におけるデータ分析が可能になる。また、解析部10は、短い時間で様々な練習メニューを、参加メンバーを入れ替えながら実施するようなトレーニング等の運動活動においても、ネットワークを分析し、表示することができる。
画面301は、環境情報入力ページ302と、参加者選択ページ303、及び、組分け選択ページ304を含む。
環境情報入力ページ302は、運動活動の識別子を格納する活動ID3021と、運動活動の名称を格納する活動名3022と、開始時刻3023と、終了時刻3024と、運動活動が行われたエリアのエリア名3025と、運動活動への参加者3026、及び、参加者の組分け3027を入力する。
環境情報入力ページ302は、操作者が分析したい運動活動に関する環境情報を入力する画面の一例である。操作者は、環境情報入力ページ302の各行に、活動名3022、開始時刻3023、及び終了時刻3024等を入力する。また、操作者は、活動を実施したエリアのエリア名3025をタブを用いて、事前に登録される候補地から選択する。また、操作者がエリア名3025を入力することも可能である。そして、操作者は、参加者3026に運動活動に参加する個体30を入力する。
参加者3026では、事前に登録されているセンシング装置1の装着者(個体30)の全員が参加者である場合、操作者は、「全員」のチェック欄にチェックを入力する。また、操作者が参加者(個体30)を選択する場合、参加者3026の「個別選択」を選択する。
参加者3026の「個別選択」が選択された場合、環境情報入力部53は、参加者選択ページ303を表示する。参加者選択ページ303は、事前に登録されたセンシング装置1を装着した個体30の一覧を表示し、操作者に参加者(個体30)を選択させる画面である。本画面に、センシング装置1を装着した個体30を新たに登録する機能を追加させても良い。
参加者選択ページ303は、レコードを選択するチェックボックスとしての選択3031と、ユーザID3032と、ユーザ名3033と、背番号3034と、ポジション3035と、学年3036等の情報を一つのレコードに含む。
組分け3027は、操作者に参加者の組分けを選択させるインターフェースを表示する。操作者が参加者を組分けする必要が無い場合、操作者は、組分け306における「なし」のチェック欄にチェックをいれる。また、参加者を組分けする場合、操作者は、詳細設定を選択する。
組分け3027の詳細設定が選択された場合、環境情報入力部53は、組分け選択ページ304を表示する。組分け選択ページ304は、事前に登録されたセンシング装置1を装着した個体30の一覧を表示する。そして、組分け選択ページ304は、操作者に、個体30のチームを選択させるインターフェースを表示する。また、操作者がチーム名を自由に設定、変更できる機能を有しても良い。
組分け選択ページ304は、ユーザID3041と、ユーザ名3042と、チームA3043と、チームB30434と、チームC3045と、の情報を一つのレコードに含む。
また、本実施例1では、個体30が所属するチームによって個体30を組み分けるが、これに限られず、個体30のポジションや学年等によって組み分けてもよく、さらに、ユーザ情報テーブル201に登録される様々な情報を用いて、組分けを行ってもよい。
環境情報入力部53が受け付けた環境情報は、データベース20の環境情報23に格納される。また、環境情報入力部53は、組分け選択ページ304を介して入力された個体30の組分けを、ユーザ情報テーブル201のユーザ種別2013に格納してもよい。
図6は、実施例1の環境情報23を示す図である。
環境情報23は、センサデータ21を測定した活動に関する情報を記録する活動情報テーブル203と、活動を実施した環境を特定するために、活動ID毎に活動の期間、場所という活動を実施した環境等を記録した環境情報テーブル204と、活動を実施した集団の構成や特徴等を記録した集団情報テーブル205を含む。
活動情報テーブル203は、活動ID2031と、活動名2032と、集団ID2033とを含む。活動ID2031は、センサデータ21を測定した運動活動を認識するために、運動活動毎に設定されたID(識別子)を記録する。活動ID2031は、環境情報入力ページ302に入力された活動IDと同じであってもよいし、当該活動IDに基づいて割り当てられたIDでもよい。
活動名2032は、センサデータ21を測定した運動活動の名称を記録する。これにより、表示部14は、エリア名称を示す画面を表示できる。活動名2032は、環境情報入力ページ302に入力された活動名3022を格納する。
環境情報テーブル204は、活動ID2041と、開始時刻2042と、終了時刻2043と、エリアID2044と、ユーザID2045と、エリア名2046とを含む。活動ID2041は、活動情報テーブル203の活動ID2031に対応する。開始時刻2042及び終了時刻2043は、活動ID2041が示す運動活動の開始時刻及び終了時刻を示す。開始時刻2042及び終了時刻2043は、環境情報入力ページ302に入力された開始時刻3023及び終了時刻3024を格納する。
エリアID2044は、活動ID2041が示す運動活動が行われた場所を示す。エリアID2044は、環境情報入力ページ302に入力されたエリア名3025に割り当てられるIDを格納する。ユーザID2045は、活動ID2041が示す運動活動の参加者であり、かつ、センシング装置1を装着した個体30のユーザIDを格納する。エリア名2046は、エリアID2044に対応するエリアの名称を格納する。
集団情報テーブル205は、集団ID2051と、集団名2052と、ユーザID2053と、集団種別2054とを含む。集団ID2051は、集団ID2033に対応する。集団名2052は、集団の名前又はニックネームを記録する。ユーザID2053は、集団ID2051が示す集団を構成する個体30であり、かつ、センシング装置1を装着した個体30のユーザIDを格納する。集団種別2053は、集団情報として、集団の構成や特徴等を記録してもよく、また、これらに限らない集団の様々な情報を記録する。
例えば、測定する集団活動がサッカーである場合、集団種別2053は、フォーメーション等を記録することで、表示部14は、フォーメーション上にネットワークをマッピングして表示する等の種別毎の表示が可能になる。
図7は、実施例1の特徴量算出部11によるステップS101の概要を示すフローチャートである。特徴量算出部11は、センサデータ21から個体30の運動に関する特徴量を算出する。
まずステップS1011では、特徴量算出部11は、環境情報入力部53で入力された環境情報23に基づいて、ネットワーク分析及び表示の処理を行う対象のセンサデータ21をDB20から取得する。本実施例1においては、センサデータ21は、所定のサンプリングレート(例えば、20Hz)で測定した、3軸加速度データ(動き情報テーブル202の加速度X軸2023、加速度Y軸2024及び加速度Z軸2025)である。処理の対象となるセンサデータ21は、PC2やスマートフォン3等から環境情報23を指定することができる。
続いて、ステップS1012では、特徴量算出部11が上記ステップS1011で取得したセンサデータ21に対して、ノイズを除去するために、所定のフィルタを適用する。本実施例1では、バンドパスフィルタを設計し適用するが、バンドパスフィルタに制限されず、センサデータに応じて、移動平均、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等のいかなる処理を実行しても良い。フィルタの次数や通過域、阻止域等のパラメータもセンサデータに応じて設定して良い。また、センサデータによっては、必ずしもステップS1012を実行する必要もない。
ステップS1013では、特徴量算出部11が、上記フィルタを適用したセンサデータから特徴量を算出する。ここで算出される特徴量は、個体30の動きに関する情報である。
集団を構成する全ての個体のセンサデータ21に対して、上記ステップS1011、S1012、S1013を適用する。
実施例1の特徴量情報22は、運動強度を示すMETs(Metabolic Equivalents)である。ステップS1013において時刻毎の特徴量情報22(METs)を算出する。
特徴量算出部11は、まず、フィルタ適用後のX軸、Y軸及びZ軸の3軸の加速度のスカラー量Sを算出する。ここで、スカラー量Sは、各軸の加速度をXg、Yg、Zgと記載した場合、以下の式(1)により算出される。
スカラー量S=(Xg^2+Yg^2+Zg^2)^(1/2) ・・・(1)
次に、スカラー量SからMETsを、以下の式(2)に基づき算出する。
METs=a×S+1 ・・・(2)
ただし、aは定数である。このMETs値は、安静時、すなわちスカラー量S=0であれば、METs=1であり、運動強度が安静時の何倍であるかを示す。
前述のセンサデータ21は、3軸の加速度を含んだが、心拍数、呼吸数、及び、振幅等、人の動きのエネルギー(激しさ)の強さを測定した結果であれば、いかなる測定結果を含んでもよい。そして、特徴量算出部11がこれらの様々なセンサデータ21に基づいて、呼吸数、心拍数、歩行若しくは走行パターン、又は、移動速度等の動きに関する特徴量を算出することにより、本実施例のネットワーク分析部12は、より集団のネットワークを分析することが可能になる。
また、特徴量情報22は、特定の時間で集計した値を用いてもよい。例えば、サンプリング周波数20Hzで測定されたセンサデータ21から特徴量を算出し、1秒ごとに集計した値を用いることで、突発的な変化に伴うノイズを減らすことが出来る。センサデータ21の集計値を用いるか、またどの程度集計した値を用いるか、は使用したセンシング装置1や測定した環境等によって判断される。
上記処理により、フィルタ処理されたセンサデータ21から特徴量情報22の一例としてMETsが算出される。
図8は、実施例1の特徴量情報22に記憶されるデータの一例を示す図である。特徴量情報22には、ネットワーク分析を行った全個体223の各時刻222における特徴量が格納される。本実施例では、サンプリング周波数20Hzで測定されたセンサデータ21から特徴量としてMETsを算出し、1秒ごとに集計した値を記憶している。
図9は、実施例1のネットワーク分析部12による図3のステップS102の概要を示すフローチャートである。ネットワーク分析部12は、ステップS101で算出した特徴量から集団を構成する個体間の関連性を分析する。
まずステップS1021では、ネットワーク分析部12が個体30間のネットワークを分析するために使用するデータの時間幅を取得する。データの時間幅は、センシング装置1の測定間隔(サンプリング周期または所定の時間間隔)以上であれば、予め設定された値を使用してよい。データの時間幅は、既にプログラムに記述された値を使用してもよい。また環境情報入力部53に入力部(図示省略)を設けて、入力された値を参照しても良い。本実施例1においては、データの時間幅1分と設定しており、1分ごとのネットワークを分析、表示することが出来る。
S1022では、ネットワーク分析部12がネットワーク分析を行う2個体を選択する。本実施例1では、2個体間の相関性の有無を、集団を構成する個体の全組合せで分析するため、逐次2個体を選択していく。
ステップS1023では、上記ステップS1022で選択した個体について、図3のステップS101で算出した特徴量を特徴量情報22から取得する。
ステップS1024、S1025、S1026では、2個体間の関係性を分析し、ネットワークの有無を判定する。本実施例1では、移動エントロピーを用いることで、個体間で伝達された情報量を算出し、ネットワークの有無を判定する。
移動エントロピーは情報量の一種であり、確率変数間の情報の流れを平均情報量として数値化したものである。変数間の相関のみを示して情報の流れを含まない相互情報量とは異なり、移動エントロピーは情報の流れを特定することができ、変数間の関係性を測る指標である。本実施例1では、移動エントロピーを用いるが、相互情報量、相関分析、回帰分析、多変量解析等の複数変数間の関連性を測る指標および当該指標を算出する手法であれば、いかなるものでも良い。
ステップS1024では、ネットワーク分析部12が各個体の変数(特徴量)の時系列データから、確率分布を算出する。確率分布はヒストグラムで近似するという方法を採用するが、ガウス分布や混合ガウス分布を仮定して推定する方法等を採用しても良く、またこれらに制限されない。ヒストグラムで近似する場合、ヒストグラムの分割数は、赤池情報量基準やスタージェスの公式を用いるが、これらに制限されない。
ステップS1025では、ネットワーク分析部12が2個体の変数間の情報伝達量を移動エントロピーから算出する。ここで、時刻tにおける確率変数X、Yの要素をxt、ytとした場合、Xに対するYの影響を示す移動エントロピーT(Y→X)は、以下の式(3)により算出される。
T(Y→X)は、0から1の間の値をとり、0では全く影響を与えていない、すなわち関係性が全くないことを示し、1に近づくほど大きな影響を与えていること、すなわち個体間の関係性が大きいことを示している。
本実施例1では、確率変数Yの要素ytが確率変数Xの要素xt+1に与えた影響を算出した。つまり、1秒ごとに集計した特徴量情報22を用いた場合、個体Yの動きが、個体Xの1秒後に与えた影響を算出したことになる。また、確率変数Xの要素をxt+nとすることで、個体Yの動きが、個体Xのn秒後に与えた影響を算出することも出来る。nの値は任意に設定することが出来る。
ステップS1026では、ネットワーク分析部12が、上記ステップS1025で算出した移動エントロピーの値を用いて、2個体間でのネットワークの有無を判定する。ネットワーク分析部12は、移動エントロピーが所定の閾値以上の個体30間において、情報の伝達があり、ネットワークがあったと判定する。本実施例1において、上記閾値は所定の定数である。閾値は、x2分布やガンマ分布等を用いた閾値判定法を用いても良く、使用したセンシング装置1や測定した環境等によって任意に設定される。
ステップS1027では、ネットワーク分析部12が、上記ステップS1026で判定したネットワークの有無をネットワーク情報24に格納する。
本実施例1において、2個体間でネットワークが存在した場合にはネットワーク情報24に1を設定し、存在しなかった場合はネットワーク情報24に0を設定する。また、閾値を複数個設定し、数段階でネットワークの強度を判定し、保存しても良く、移動エントロピーの値もそのまま保存しても良い。
ステップS1028では、集団を構成する個体の全組合せでの分析が終了するまで、上記ステップS1022、S1023、S1024、S1025、S1026、S1027を繰り返して実行する。
上記処理により、個体30間の関係性の大きさが、移動エントロピーの大きさに基づいて算出され、ネットワークを構成する個体が特定されて、集団内のネットワークが生成される。
図10は、実施例1のネットワーク情報24に記憶されるデータを示す図である。ネットワーク情報24は、ある時刻におけるネットワークの総当たり図であり、ネットワーク分析を行った全個体における、ある時刻でのネットワークの有無が記載されている。
1列目は情報及び影響を与える個体のユーザID242、1行目は情報及び影響を受ける個体のユーザID243である。2個体間でネットワークが存在した場合は1を設定し、ネットワークが存在しなかった場合は0が設定される。例えば、2行目3列は1が記載されており、Player001からPlayer002へと情報及び影響が伝達されていることが示されており、3行目2列は0が記載されており、Player002からPlayer001へは情報及び影響が伝達されていないことが示されている。
図11は、実施例1のネットワーク情報24に記憶されるデータの他の例を示す図である。ネットワーク情報24は、ある時刻におけるネットワークの総当たり図であり、ネットワーク分析を行った全個体における、ある時刻での関連性の強弱が5段階で記載されている。図11のネットワーク情報24の構成は図10と同様であり、個体間での関連性が強い場合は5を、個体間での関連性が弱い場合は1が記載される。関係性の強弱を記憶することで、後述の表示部において、個体間の関係性をより詳細に表示できるようになる。また本実施例では、5段階にて関連性の強弱を記載したが、任意の何段階で記憶しても良い。
図12は、実施例1のネットワーク情報24に記憶されるデータの他の例を示す図である。ネットワーク情報24は、ある時刻におけるネットワークの総当たり図であり、ネットワーク分析を行った全個体における、ある時刻での関連性の強弱が0から1の数字で記載されている。図12のテーブルの構成は図10のテーブルと同様であり、個体間での関連性が強い場合は1を、個体間での関連性が弱い場合は0が記載される。関係性の強弱を記憶することで、後述の表示部において、個体間の関係性をより詳細に表示できるようになる。
図13は、実施例1のネットワーク評価部13によるステップS103の処理の概要を示すフローチャートである。ネットワーク評価部は、S102で算出したネットワーク情報から、集団の中心となる個体や、集団活性度を評価する。
ステップS1031では、ネットワーク評価部13が、図3のステップS102で算出したネットワーク情報24を取得する。本実施例1においては、図10で示したネットワークの有無を0、1で記載したデータを用いるものとする。もちろん、図11、図12で示した関連性の強弱を記載したデータを用いても良い。
ステップS1032では、ネットワーク評価部13が取得したネットワーク情報24を用いて、ネットワークの評価指標として次数中心性や近接中心性、媒介中心性、エッジ数を算出する。各指標の算出方法は後述する。本実施例1では、ネットワークの評価指標として、次数中心性や近接中心性、媒介中心性、エッジ数を用いるが、これらに制限されない。
ステップS1033では、ネットワーク評価部13が上記ステップS1032で算出した次数中心性、近接中心性、媒介中心性を用いて、ネットワークの中心となる個体を推定する。詳細は後述する。
ステップS1034では、ネットワーク評価部13が上記ステップS1032で算出したエッジ数を用いて、チームにおけるネットワークの集団活性度を推定する。詳細は後述する。
ステップS1035では、ネットワーク評価部13が上記ステップS1032、S1033、S1034で算出した評価情報をネットワーク評価情報25(個体評価テーブル250と集団評価テーブル258)に格納する。
上記処理によって、算出されたネットワーク情報24について次数中心性や近接中心性、媒介中心性、エッジ数を用いてネットワーク評価情報25が生成される。
図14A、図14B、図14Cは、実施例1のネットワーク評価部13による処理の詳細を示すフローチャートである。本実施例においては、図10で示したネットワークの有無を0、1で記載したデータを用いるものとする。もちろん、図11、図12で示した関連性の強弱を記載したデータを用いても良い。
図14Aのフローチャート60は、次数中心性を算出する処理である。次数中心性とは、ネットワーク内でより多くの関係を持つ頂点(個体)を高く評価する指標である。
ステップS1036では、ネットワーク評価部13が、ある個体における、ある時刻の入次数をカウントする。入次数とは、ある個体が情報を受けた個体の数である。
ステップS1037では、ネットワーク評価部13が、ある個体における、ある時刻の出次数をカウントする。出次数とは、ある個体が情報を伝達した個体の数である。
ステップS1038では、ネットワーク評価部13が、次数中心性は次数の積算値であるため、上記ステップS1036で算出した入次数と、ステップS1037で算出した出次数と、入次数と出自数の和である全次数からの入次数、出次数、次数の中心性を算出する。
ステップS1039では、次数中心性はネットワークに含まれる頂点の数によって異なるため、ネットワーク評価部13が、次数を処理対象の集団の理論的な最大値で除算することによって、標準化する。個体数nの集団においては、最大次数はn−1であるため、ネットワーク評価部13は、ステップS1038で算出した各次数中心性をn−1で割る処理を行う。
ステップS1040では、ネットワーク分析を行った全個体(頂点)について、入次数、出次数、次数の中心性を算出するために、ネットワーク評価部13が上記ステップS1036、S1037、S1038、S1039の処理を繰り返して実行する。
図14Bのフローチャート61は、近接中心性を算出する処理である。近接中心性とは、他の頂点(個体)との距離が小さい頂点(個体)ほど高く評価する指標である。
ステップS1041では、ネットワーク評価部13が、ある個体から他の個体への最短距離の合計を算出する。最短距離とは、ある頂点から他の頂点へ最短で到達するために通る辺の数である。
ステップS1042では、近接中心性は、ある個体から他の個体への最短距離の逆数であるため、ネットワーク評価部13は、上記ステップS1040で算出したある個体から他の個体への最短距離を用いて、近接中心性を算出する。
ステップS1043では、近接中心性はネットワークに含まれる頂点の数によって異なるため、ネットワーク評価部13は、処理対象の集団で近接中心性が理論に最大となる値で割ることによって、標準化する。個体数nの集団においては、近接中心性が最大値は1/(n−1)であるため、ネットワーク評価部13は、上記ステップS1040で算出した近接中心性を1/(n−1)で割る処理を行う。
ステップS1044では、ネットワーク分析を行った全個体で、近接中心性を算出するために、ネットワーク評価部13は、上記ステップS1040、S1041、S1042を繰り返して実行する。
図14Cのフローチャート62は、ネットワーク評価部13は媒介中心性を算出する処理である。媒介中心性とは、他の頂点(個体)間の最短経路上に位置する程度が高い頂点(個体)ほどを高く評価する指標である。媒介中心性が高い個体は、ネットワークの連結性を維持するために重要な個体であると考えることが出来る。
ステップS1045では、ネットワーク評価部13が、ある個体から他の個体への最短距離の合計を算出する。最短距離とは、ある頂点から他の頂点へ最短で到達するために通る辺の数である。
ステップS1046では、ネットワーク評価部13が、ある個体から他の個体への最短経路数を算出する。最短経路数は次のように算出する。始点から始点自身への最短経路数は1とする。そして、探索の過程で到達したある頂点への経路数は、直前の頂点への経路数に等しい。もし、直前の頂点が複数ある場合には、それらの直前の点への経路数の和に等しい。
ステップS1047では、ネットワーク分析を行った全個体で、最短距離の合計と最短経路数を算出するために、ネットワーク評価部13が、全ての個体(頂点)についてステップS1045とS1046を繰り返し、実行する。
ステップS1048では、上記ステップS1045とS1046で調べた最短経路に関する情報を用いて、ネットワーク評価部13は、各頂点が他の頂点間の最短経路上に位置する程度を調べていく。ここで、頂点wは頂点sを始点とする最短経路上で頂点vの直後にある頂点とし、gsv、gswはそれぞれ頂点v、頂点wへの最短経路数とする。この場合の、頂点vがどのくらい他の頂点への最短経路上にいる程度bsvは、以下の式(4)により算出される。
ネットワーク評価部13は、上記式(4)を用いて、各個体のグラフに含まれる各頂点を始点としたとき、各頂点がとれくらい他の頂点への最短経路上に位置するかを算出する。
ステップS1049では、ネットワーク評価部13が、上記ステップS1048で算出した各頂点が他の頂点間の最短経路上に位置する程度bsvを、頂点毎に足すことにより各頂点の媒介中心性を算出する。
ステップS1050では、媒介中心性はネットワークに含まれる頂点の数によって異なるため、その集団で媒介中心性が理論に最大となる値で割ることによって、ネットワーク評価部13が標準化する。個体数nの集団においては、媒介中心性が最大値は(n−2)×(n−1)であるため、ネットワーク評価部13は、上記ステップS1049で算出した近接中心性を(n−2)×(n−1)で割る処理を行う。
以上の処理によって、ネットワーク評価部13が各頂点(個体)の媒介中心性が算出される。
図14Dのフローチャート63は、図13に示したステップS1033の集団の中心となる個体を算出する処理の一例を示している。ネットワーク評価部13は、図13のステップS1032で算出した各時刻における、各選手の次数中心性xと、近接中心性yと、媒介中心性zを用いて、以下の式(5)で示す中心性が最大となる個体を算出する。
ax+by+cz ・・・(5)
また、a、b、cは係数である。本実施例1では、式(5)が最大となる個体を、集団の中心となる個体として算出したが、この方法に制限されない。
図14Eのフローチャート64は、図13に示したステップS1034の集団活性度を算出する処理を示している。
ステップS1049では、ネットワーク評価部13が、集団活性度を算出する集団全体の次数をカウントする。また、サッカーのように複数の集団が同一のフィールド100に存在する場合は、集団内での次数、集団内から別集団への出次数、別集団外から集団内への入次数、集団外での次数を算出することで、集団間での関係性を評価することも出来る。
ステップS1050では、ネットワーク評価部13が、次数を理論的に最大となる値で割ることによって、標準化し、集団活性度を算出する。集団活性度は、例えば0から1の間の値をとり、1に近づくほど集団が活性化していることを示す。本実施例1では、集団全体の次数を用いて集団活性度を算出したが、この方法に制限されない。
図15は、実施例1のネットワーク評価情報25に記憶される個体評価テーブル250のデータを示す図である。ネットワーク評価情報25の個体評価テーブル250には、図3のステップS103にてネットワーク評価を行った各個体の各日時251毎の評価結果が格納される。
個体評価テーブル250は、日時251と、入次数中心性252と、出次数中心性253と、次数中心性254と、近接数中心性255と、媒介数中心性256と、中心性257と、を一つのエントリに含む。
入次数中心性252と、出次数中心性253と、次数中心性254は図14Aに示したフローチャート60で算出した入次数、出次数、次数の中心性を格納し、近接数中心性255は図14Bに示したフローチャート61で算出した近接中心性を格納し、媒介数中心性256は図14Cに示したフローチャート62で算出した媒介中心性を格納し、中心性257は図14Dに示したフローチャート63で算出した中心性を格納する。
ネットワーク評価情報25の個体評価テーブル250は、個体30の日付毎にそれぞれ生成されるテーブルである。
図16は、実施例1のネットワーク評価情報25に記憶される集団評価テーブル258のデータを示す図である。集団評価テーブル258には、図3のステップS103にてネットワーク評価を行った各集団の各日付毎の評価結果が格納される。
集団評価テーブル258は、日時259と、集団内次数260と、集団外への出次数261と、集団内への入次数262と、集団外次数263と、総次数264と、活性度265と、次数中心性が最も高い個体266と、近接中心性が最も高い個体267と、媒介中心性が最も高い個体268と、中心個体269と、を一つのエントリに含む。
集団評価テーブル258の日時259は、個体評価テーブル250の日時251と対応する。
集団内次数260と、集団外への出次数261と、集団内への入次数262と、集団外次数263と、総次数264と、活性度265は図14Eのフローチャート64で算出した集団内での次数と、集団内から別集団への出次数と、別集団外から集団内への入次数と、集団外での次数と、総次数と、集団活性度を格納する。
次数中心性が最も高い個体266は図14Aのフローチャート60で算出した次数中心性が最も高い個体を格納し、近接中心性が最も高い個体267とは図14Bのフローチャート61で算出した近接中心性が最も高い個体を格納し、媒介中心性が最も高い個体268は図14Cのフローチャート62で算出した媒介中心性が最も高い個体を格納し、中心個体269は図14Dのフローチャート63で算出した中心性が最も高い個体を格納する。
図17は、実施例1の表示部14によって生成される画面65を示す図である。
図17に示す画面65は、サッカーの試合における出場選手(個体30)のネットワークを表示する画面である。
表示部14は、ネットワーク情報24、ネットワーク評価情報25、環境情報23等を参照し、試合時の個体30(選手)間のネットワークを可視化する画面65を生成する。図17に示す画面65は、画像66、67、68、69を含む。
画像66は、タイムラインである。画像66は、ネットワーク分析結果における日時及び、ネットワーク評価結果における日時251や259に対応する。画像66のタイムラインを操作された場合、表示部14は、画像66から日時を受け付け、指定された日時のネットワーク分析結果及びネットワーク評価結果に従って、集団のネットワークを画像67に、評価結果を画像68、69に表示する。
画像67は、サッカーのフィールド上における選手(個体30)間のネットワークをネットワーク情報24に基づいて表示する。ネットワークは、矢印を用いて表現される。矢印を出している選手は、情報を与えている選手であり、矢印を受けている選手は、情報を受けている選手である。また、表示部14は、各選手のユーザ種別2013や、集団種別2053に基づいて、個体30を表す図形をチームによって変化させたり、個体30の軌跡を表す図形内に個体30(選手)の背番号を表示したり、ネットワークをフォーメーション上にマッピングして表示する。
また、表示部14は、ネットワーク評価情報25を参照することで、次数中心性を図形の大きさで表示し、近接中心性をカラーマップ(図中ハッチング)で表示することが出来る。また、表示部14は、ネットワーク評価情報25に格納された他の評価情報を参照し、画面67に表示することも可能であり、表示項目及び表示方法は制限されない。
ネットワーク情報を図11及び図12のネットワークの強弱を含んだフォーマットで記憶している場合、ネットワークの強弱を矢印の大きさ等で表現することもできる。また、ネットワークを相互情報量や相関分析を用いて分析した場合は、情報伝達の向きはわからないため、矢印を用いずに線をつなぐことでネットワークを表現できる。
これによって、表示部14は、ネットワーク情報24に、個体30を識別する情報と、集団を識別する情報と、ネットワークの評価情報等を付加して表示する画面67を生成して、個体30が活動中の集団のネットワークを示す情報を、操作者に正確に提供することができる。
画面68は、集団におけるネットワーク評価情報を格納した集団評価テーブル258を参照し、集団毎の次数や集団活性度等を表示する。また、他のネットワーク評価情報を参照し、画面68に表示することも可能であり、表示項目及び表示方法は制限されない。
画面69は、集団を構成する各選手(個体30)の情報を表示する。個体30の所属チーム、背番号、及び、ポジション等の様々な情報を、ユーザID2011に対応するユーザ種別2013として格納する場合、表示部14は、画像70においてこれらのユーザIDによって特定される情報を、チームに属する選手に関する情報として表示する。さらに、個体評価テーブル250を参照し、ユーザIDに対応する次数中心性や近接中心性等のネットワーク評価情報を、表示する。また、画像71への操作を受け付け、操作により選択された個体30を受け付けることにより、表示部14は、画像67においてネットワークを表示する選手を選択することができる。
図18は、実施例1の表示部14によって生成される画面72を示す図である。画面72は、サッカーの練習における参加者のネットワーク分析の結果を示す。画面72は、画像73、画像74、画像75、画像76、画像77、画像78、画像79、画像80を含む。画像73は、操作者がチーム名を選択するためのインターフェースを表示する。画像74は、運動活動の活動名を選択するためのインターフェースを表示する。
図18において、運動活動はサッカーであり、活動名はサッカーの練習内容を示す。画像75は、画像74で選択した運動活動の内容が実施された時間(開始時刻2042及び終了時刻2043に該当)と場所(エリアID2044に基づいて特定したエリア名2046に該当)とを表示する。
画像76は、集団のネットワーク情報(ネットワーク情報24に基づく)を表示し、数字は参加者の背番号(ユーザ情報テーブル201のユーザ種別2013に基づく)を示す。また、ネットワーク評価情報25を参照することで、次数中心性を図形の大きさで、近接中心性をカラーマップ(図中ハッチング)で表示する。ネットワーク評価情報25に格納された個体評価テーブル250または集団評価テーブル258を参照し、画像76に表示することも可能であり、表示項目及び表示方法は制限されない。また、本実施例では、参加者を円形に配置し、表示しているが、ネットワークの構造から、ばねモデル等を用いて参加者の配置を決定し、表示してもよい。
画像77は集団におけるネットワークの評価情報を格納した集団評価テーブル258を参照し、中心選手と集団活性度を表示する。集団評価テーブル258に格納された他の評価情報を参照し、画像77に表示することも可能であり、表示項目及び表示方法は制限されない。
画像79は、集団を構成する各選手の情報を表示する。
個体30の所属チーム、背番号、及び、ポジション等の様々な情報を、ユーザID2011に対応するユーザ種別2013として格納する場合、表示部14は、画像79においてこれらのユーザIDによって特定される情報を、チームに属する選手に関する情報として表示する。さらに、集団評価テーブル258を参照し、ユーザIDに対応する次数中心性や近接中心性等のネットワーク評価情報を、表示する。
また、画像78への操作を受け付け、操作により選択された個体30を受け付けることにより、表示部14は、画像76においてネットワークを表示する選手を選択することができる。
画像80では、センシング装置1で測定したセンサデータ21から集団を構成する各選手のパフォーマンス情報を算出した場合において、ユーザIDに対応するパフォーマンス情報を表示する。例えば、センシング装置1としてGPS等のウェアラブルデバイスやカメラやビデオ等の映像撮影機器、レーザレーダ等の測位センサ等の個体の位置情報を測定可能な機器を用いた場合、走行距離や移動速度、スプリント回数等の情報を表示できる。また、センシング装置で測定したセンサデータやセンサデータから算出した情報であり、各個体に関する情報であれば、いかなる情報でも表示することが可能である。
このように、本発明では集団中の個体の運動に関する特徴量を算出可能な情報を測定可能なセンシング装置1であれば利用可能なため、ネットワークを分析して表示可能なシーンは、設備が整っている競技場での試合のみならず、日常の練習等のいかなるシーンへ適用できる。
図19は、実施例1の表示部14によって生成される画面81を示す図である。画面81はサッカーの複数の試合における参加者のネットワーク分析の結果を示す。複数の試合を一つの画面81に表示するため、操作者が試合におけるネットワークの変化、水位を比較し、把握しやすい画面を提供できる。
画面81は、画像82、画像83、画像84、画像85、画像86を含む。画像82は、操作者が表示する活動を選択するためのインターフェースを表示する。活動情報テーブル203の活動名2032に対応する。図18において、運動活動はサッカーであり、活動名2032はサッカーの試合を示す。
画像83は、画像75と同様の機能を有する。画像84は、画像67と同様の機能を有する。画面85は画像77と同様の機能を有する。画面86はネットワーク情報24、ネットワーク評価情報25に基づいて、集団におけるネットワーク及び、個人におけるネットワークに関してコメントや評価、アドバイス等を表示する。また、センサデータ21から集団や個体のパフォーマンスに関する情報を分析した場合は、集団や個体のパフォーマンスに関して、コメントや評価、アドバイス等を表示しても良い。さらに、ネットワークやパフォーマンスを他の活動と比較し、コメントや評価、アドバイス等を表示しても良い。
本実施例では、一つの画面81に表示可能な活動は3つであるが、表示可能な活動数は任意であり、操作者が設定できる機能を有してもよい。
図20は、実施例1の表示部14によって生成される画面87を示す図である。画面87はサッカーの試合における参加者のネットワーク分析の結果をリアルタイムに表示する場合の例を示す。センシング装置1で測定したセンサデータ21をサーバ5で逐次計算することで、ネットワークの変化をリアルタイムで表示する。
画面87は、画像88、画像89、画像90、画像91、画像92、画像93を有する。画像88は、画面87が表示している様々な情報の時刻を表示する。画像89は、画像88の時刻における集団のネットワークを表示する。基本的な機能は図17の画像67と同様である。
画像93への操作を受け付け、操作により選択された注目する個体30を受け付けることにより、表示部14は、画像89においてネットワークを強調して表示する選手を選択することができる。画像93において背番号#13と背番号#6の選手が選択されているため、画像89では、同選手の図形、矢印が太く表示されている。操作者は、注目したい選手のネットワークを容易に把握できる。
画像90は、集団におけるネットワーク評価情報25を格納した集団評価テーブル258を参照し、集団毎の集団活性度の時系列変化を表示する。また、他のネットワーク評価情報を参照し、画面90に表示することも可能であり、表示項目及び表示方法は制限されない。画像91は、ネットワーク情報24と、ネットワーク評価情報25に基づいて、集団におけるネットワーク及び、個人におけるネットワークに関してコメントや評価、アドバイス等を表示する。また、センサデータ21から集団や個体のパフォーマンスに関する情報を分析した場合は、集団や個体のパフォーマンスに関して、コメントや評価、アドバイス等を表示しても良い。
さらに、ネットワークやパフォーマンスが経時的に変化する場合は、コメントや評価、アドバイス等を表示しても良い。画像92は、画像78、画像79、画像80と同様の機能を有するが、画像90の変化に伴い、表示内容も変化する。
図21は、実施例1の表示部14によって生成される画面94を示す図である。画面94は、動画情報に同時刻におけるネットワーク情報を重ね合わせ、表示している。図21では、サッカーの試合における参加者のネットワーク分析の結果を、動画に重ね合わせ、表示する場合の例を示す。
画面94は、画像95、画像96から構成される。画像96はある時刻におけるサッカーゲーム参加者のフィールド上での位置情報を示している。本位置情報はセンシング装置1で測定されたものである必要はない。画像95は、補助記憶装置55内の動画情報26を動画再生部15が読み込んで表示部14に送信する。表示部14はネットワークの分析結果に動画を重ね合わせて画面94を出力する。
画像95は、画像96において点線で囲まれたフィールドを映した動画映像に、ネットワーク情報24に基づいて動画映像に映った個体30(選手)間のネットワークを重ね合わせて表示する。ネットワークは、矢印を用いて表現される。矢印を出している選手は、情報を与えている選手であり、矢印を受けている選手は、情報を受けている選手である。
また、表示部14は、各選手のユーザ種別2013、集団種別2053に基づいて、個体30を表す図形をチームによって変化させる。ネットワーク情報を図11及び図12のネットワークの強弱を含んだフォーマットで記憶している場合、ネットワークの強弱を矢印の大きさや線の太さ等で表示しても良い。
また、ネットワークを相互情報量や相関分析を用いて分析した場合は、情報伝達の向きはわからないため、矢印を用いず線をつなぐことでネットワークを表現しても良い。また、表示部14は、ネットワーク評価情報25を参照することで、次数中心性を図形の大きさで、近接中心性をカラーマップで表示しても良い。また、ネットワーク評価情報25に格納された他の評価情報を参照し、画面94に表示することも可能であり、表示項目及び表示方法は制限されない。
以上のように、本実施例1によれば、集団において対面していない個体同士が関係して動く場合においても、集団内の個体間のネットワークを分析して可視化できる。また、前記従来例のように赤外線センサを搭載した特定のウェアラブルデバイスに限定されず、個体の動きを測定可能なセンシング装置であれば、ネットワークを分析して可視化できる。