JP2018076582A - 微細炭化物粒を有する粉末高速度工具鋼およびその製造方法 - Google Patents

微細炭化物粒を有する粉末高速度工具鋼およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭化物の粒子径と個数を規制し、かつ金属組織の結晶粒と炭化物の等方性を確保することにより、靭性の優れた粉末高速度工具鋼およびその製造方法を提供する。【解決手段】平均粒子径が3〜10μmの水アトマイズ法による粉末を原料とし、これに対してバインダーを添加して平均粒子径が70〜150μmの造粒粉末とした後、この造粒粉末を成形プレスのような通常の粉末冶金法により加圧成形し、得られた粉末成形体を、当該材料の組成で液相が発生する温度より10〜30℃低い温度で焼結、あるいはこの焼結中に2〜5MPaの圧力を印加する加圧焼結を行うことを特徴とする粉末高速度工具鋼およびその製造方法。【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
本発明は、高速度工具鋼に関するものであり、特に粉末高速度工具鋼に関する。
高速度工具鋼は主として切削工具に使われる非常に硬い鉄鋼材料で、鉄鋼材料の中では最も硬い材料と言われている。高速度工具鋼を製造方法で分類すると、溶解法と粉末冶金法によるものがあり、溶解法では通常の鋼と同じように原料を電気炉などで溶解したものを鋳造し、これを鍛造、圧延などの加工を加えて製造される。この溶解法で製造された高速度工具鋼は粗大炭化物の存在や偏析、さらには圧延に起因する異方性等の問題を有している。
一方、粉末冶金法で製造された高速度工具鋼(粉末高速度工具鋼)は、電気炉などで溶解した高速度工具鋼をアトマイズ法のような方法で粉末とし、これを熱と圧力をかけながら焼結する方法で製造されるものであり、金属組織がより緻密で、結晶粒も小さいという特徴を有している。このため溶解法による高速度工具鋼に比べて強靭で、耐摩耗性に優れ、疲労に強い、靭性に富んだ材料であり、その優れた性質を活かして切削工具をはじめとする多岐の分野に使用されている。
また、粉末高速度工具鋼は、微細な炭化物が析出するため靭性に優れる特徴を有しているが、近年の切削工具に要求されるより高度な特性(例えば高速で切削を行う場合の特性)が求められた場合には、耐摩耗性や靭性が依然として不十分であり、さらなる改善が求められているのが現状である。
このため、粉末高速度工具鋼においては、合金成分の変更や追加など、多くの手段を講じて炭化物の一層の微細化による特性の向上が検討されている。例えば特開2015−71812号公報(特許文献1)においては、炭素濃度が0.5%以上異なる2種類以上の金属粉末を混合し、混合した粉末を熱間静水圧加圧(HIP)または押出による固化成形法を用いて、固化成形中や固化成形後に熱処理をして炭化物の粒度を調整する方法が開示されている。
また特開平5−39552号公報(特許文献2)においては、結晶粒の粗大化を防止し、微細結晶粒を確保し、靭性の低下を防止する手段としてNbを添加する方法が開示されている。さらにNbが微細な炭化物を形成するためで、これを促進するために高速度工具鋼の化学成分においてNb/V比を規制している。
特開2015−71812号公報 特開平5−39552号公報
粉体および粉末冶金、第40巻、第6号 589〜592頁 上田公志郎、森林 睦、河野 通著 粉体および粉末冶金、第37巻、第2号 209〜213頁 西倉 靖、河野 通著
上述した特許文献1は、炭素濃度の異なる2種類以上の金属粉末を原料とすることにより、得られる粉末高速度工具鋼の金属組織における炭化物粒度を制御することで、靭性と耐摩耗性を兼ね備えた粉末高速度工具鋼を得ることを目的としたものであるが、炭素濃度の異なる金属粉末を2種類以上必要とするほか、混合後の粉末の化学成分についての規制もあり(C、Si、Mn,Cr、Mo,W,V、Coの濃度が規制されている)、製造プロセスが煩雑になるなどの課題がある。また特許文献2においては、Nbを添加することにより結晶粒の粗大化を防止しているが、Nb/V比が大きくなるとNbC炭化物が粗大化し、靭性の低下をきたすのでNb/V比を0.5以下に規制する必要があり、成分系に制約があるという問題がある。
上述した特許文献1および特許文献2の実施例によると、用いられている原料粉末はいずれもガスアトマイズ法により製造された粉末である。アトマイズ法による金属粉末としては他に水アトマイズ法による粉末がある。一般に水アトマイズ法による金属粉末はガスアトマイズ法による粉末に比べて焼結性が優れていること、すなわちより低温で焼結が進行することが知られている。高速度工具鋼においても低温で焼結が進行することは、結晶粒の粗大化防止、炭化物の粗大化防止に有利であり、この観点から水アトマイズ法による原料粉末を用いた粉末高速度工具鋼についても検討がなされている。
水アトマイズ法による粉末高速度工具鋼の製造に関して、例えば非特許文献1においては金属射出成形法(MIM)による焼結体をHIP処理する方法、非特許文献2においては焼結後焼結鍛造する方法が検討されている。
いずれにおいても原料として平均粒径10μm程度の高圧水アトマイズ粉末を原料として用いているが、非特許文献1のMIM法を用いる方法では焼結のみでは十分な靭性が得られず、焼結後のHIP処理を必要としている。またMIM法は一般に脱脂工程に長時間を要するとともに、大型部品では脱脂が不十分となり、焼結時に割れが発生するなどの理由から、小型または肉薄の部品の製造に限定される欠点がある。また非特許文献2の焼結後焼結鍛造を用いる方法ではHIP法と同等程度の靭性が得られているが、製造装置として別途に焼結鍛造装置を必要とすることにより工程が複雑になるほか、炭化物の粒径が焼結鍛造工程の前に行う焼結工程の温度により左右されるため、炭化物の粒径を小さく維持するためにはこの焼結工程の温度を低温にする必要があるなど、品質管理が複雑になるという課題がある。
上述したような課題を解決するために、本発明者らは鋭意開発を進めた結果、金属組織における炭化物の粒子径と個数を規制し、さらに金属組織の結晶粒と炭化物の等方性を確保することにより靭性の優れた粉末高速度工具鋼が得られ、このためには水アトマイズ法により製造した微細な金属粉末を造粒し、得られた造粒粉末を通常の粉末冶金法により加圧成形して得た成形体を、液相発生温度よりも低い温度で焼結もしくは加圧焼結することで、このような粉末高速度工具鋼を得ることができることを見いだし、本発明にいたったものである。
その発明の要旨とするところは、
(1)JIS G4403に規定される組成の高速度工具鋼において、金属組織中の炭化物の粒子径が0.3μm〜3.0μmの範囲にある炭化物の個数が全炭化物個数の80%以上であることを特徴とする粉末高速度工具鋼。
(2)前記(1)項に示す粉末高速度工具鋼において金属組織中の結晶粒および炭化物の配列に方向性がない(等方性の)ことを特徴とする粉末高速度工具鋼
(3)前記(1)項および(2)項の粉末高速度工具鋼を製造するにあたり、平均粒径が3〜10μmの微細水アトマイズ粉末を平均粒径が70〜150μmになるように造粒後、通常の粉末冶金法により加圧成形して得た粉末成形体を、当該材料の組成で液相が発生する温度より10〜30℃低い温度で焼結することを特徴とする粉末高速度工具鋼の製造方法。
(4)前記(1)項および(2)項の粉末高速度工具鋼を製造するにあたり、平均粒径が3〜10μmの微細水アトマイズ粉末を平均粒径が70〜150μmになるように造粒後、通常の粉末冶金法により加圧成形して得た粉末成形体を、当該材料の組成で液相が発生する温度より10〜30℃低い温度で焼結する最終過程で2〜5MPaの圧力を印加する加圧焼結(いわゆるシンターヒップ)処理することを特徴とする粉末高速度工具鋼の製造方法にある。
以上述べたように、本発明により炭化物の粒子径と個数を規制し、さらに金属組織の結晶粒と炭化物の等方性を確保することにより、靭性の優れた粉末高速度工具鋼が得られ、また、このような粉末高速度工具鋼を得るために、水アトマイズ法により製造した微細な金属粉末を造粒し、得られた造粒粉末を通常の粉末冶金法により加圧成形して得た成形体を、液相発生温度よりも低い温度で焼結もしくは加圧焼結する製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
粉末高速度工具鋼を製造するための原料としては、ガスアトマイズ法による粉末と水アトマイズ法による粉末があり、高速度工具鋼に必要な靭性等の品質を確保するためには、これらの粉末の成形体を焼結する際の焼結温度が低いことが望ましい。焼結温度を低く維持することにより、金属組織の結晶粒の粗大化や炭化物サイズの成長を阻止できるからである。
このような観点から、ガスアトマイズ法による粉末よりも焼結温度を低くすることができる水アトマイズ法による金属粉末を原料とすることに利点があり、さらに水アトマイズ法による金属粉末のうちでもそのサイズが細かくなる高圧水アトマイズ法による金属粉末の利用が望まれるところである。前述非特許文献1では平均粒径10μm程度の水アトマイズ法による粉末を用いて金属射出成形法(MIM法)での製造を検討している。
本発明においては、非特許文献1および2での粉末よりもさらに細かい(平均粒度3〜10μm)高圧水アトマイズ法による粉末を利用し、これを造粒することにより、より一般的な粉末冶金法であるプレス成形法により粉末成形体とし、MIM法における脱脂工程等の工程を省略できるようにしたものである。この成形体は通常の焼結炉あるいは加圧焼結炉(いわゆるシンターヒップ炉)で焼結することにより、簡便な工程及び装置で粉末高速度工具鋼の製造を可能にしたものである。
以下、本発明に係る限定理由について説明する。
炭化物粒子径:0.3〜3.0μm
高速度工具鋼において、炭化物は金属組織中に微細かつ均一に分布することが望ましいが、0.3μm以下であると、隣接する炭化物が相互に結合する。3.0μm以上であると結晶粒が粗大化し、硬さ及び抗折力の低下が見られる。このため炭化物を保持するマトリックスの強靭性が低下し、耐摩耗性が低下することとなり、炭化物粒子径を0.3〜3.0μmとした。
炭化物個数:80%以上
上記の0.3〜3.0μmの炭化物の個数を全炭化物の80%以上としたのは、この範囲を外れる炭化物が多く存在すると、耐摩耗性の向上の効果が十分に得られないことから、80%以上とした。
原料粉末の平均粒径:3〜10μm
平均粒径が3μm以下の原料粉末は、入手が困難で高価であり、一方、10μmを超える原料粉末は焼結が困難で結晶粒、炭化物の粗大化をきたすことから、3〜10μmとした。
造粒粉末の平均粒径:70〜150μm
本願発明は通常のプレスを用いて成形することを特徴としており、成形時に用いる金型への充填性の観点から平均粒径を70〜150μmとした。70μm以下の造粒粉末であると金型への供給がスムーズに行われず、一方150μmであると、金型の微細部分への充填が不十分になる。
焼結温度:液相発生温度よりも10〜30℃低温
焼結温度を液相発生温度よりも10〜30℃低い温度とした理由は、空孔の発生をコントロールするためである。液相温度よりも10℃未満の温度で焼結すると結晶粒度の肥大化や炭化物の凝集が発生する可能性が大きくなり、焼結物の品質が低下する危険性がある。一方、液相温度よりも30℃以上低い温度で焼結すると、空孔の独立気孔化が進行せず、燒結処理が成功裏に進行しないことから、10〜30℃低い温度とした。
加圧焼結工程での印加圧力:2〜5MPa
5MPa以上の加圧焼結装置は高価であり、当該装置での加工は採算性に乏しいこと、一方、2MPa未満での加圧焼結処理は独立気孔化が進行しない可能性があるため、2〜5MPaの範囲とした。
以下、本発明について実施例1および実施例2によって具体的に説明する。
実施例1においては、JISG4403に規定されるSKH40相当材である4.1重量%のCr、5.0重量%のMo、6.1重量%のW、2.8重量%のV、8.5重量%のCo、1.3重量%のC、及び残部のFeの溶融体を水噴霧し、平均粒径が5μmの予備合金化された粉末を作製した。次に、これらの粉末を噴霧造粒法により平均粒径が100μmになるように造粒した。この場合、造粒用バインダーとしてはポリビニールアルコールの10%水溶液を用い、乾燥後のポリビニールアルコール含有量が0.75%になるように添加した。
得られた造粒粉末に0.3重量%の成形用潤滑剤を混合し、成形用原料粉末を調整した。次に、この造粒粉末を、粉末成形用の金型中で700MPaの圧力で圧縮成形して成形体試験片を作製した。
得られた成形体試験片は、室温から800℃までを数Torrの窒素ガス雰囲気中で4.5時間で昇温後800℃で1時間保持して脱脂した。この後、0.1Torr以下の高真空雰囲気中で800℃から最高保持温度まで6時間をかけ昇温し、最高保持温度で2時間保持して焼結した。なお、最高保持温度としては当該材料の液相が発生する温度である1210℃とそれより20℃低い1190℃の2条件で焼結し、焼結体試験片を作製した。
これとは別に、同様の工程で作製した成形体試験片を1190℃までは前記と同一の条件で昇温後、1190℃で2時間保持する間、焼結炉の炉内圧力を5.5MPaになるようArガスを導入し加圧焼結(以下「シンターヒップ」と呼ぶ)して、シンターヒップ焼結体試験片を作製した。
次にこれらの2種類の焼結体試験片(焼結温度違いを含めると3種類の焼結体試験片)を真空中、860℃で3時間保持後、750℃までを20℃/hrの条件で降温し、その後炉冷する条件で真空焼きなまし後、1200℃の塩浴中で110〜120秒加熱後油焼き入れした。油焼き入れ後は再度塩浴中で560℃、1時間加熱後空冷する条件で、熱処理体を作製した。
写真1はこれら3種類の焼結体試験片の顕微鏡組織写真を示したものである(シンターヒップ処理材の写真にスケールバーが記載されていないが、真空焼結処理材と同じである)。液相発生温度である1210℃で真空焼結した試験片では、気孔はほとんど見られないが、炭化物が10μm程度まで成長していることがわかる。これに対して、液相発生温度より20℃低い温度である1190℃で焼結した試験片では、炭化物は2μm以下の微細な状態を示しているが、気孔の残存が認められる。これらに対し、1190℃でシンターヒップ処理した焼結体試験片は炭化物の最大粒径が3μmで、かつ気孔が見られない組織を示している。
表1はシンターヒップ処理材の熱処理後の機械的性質を示したものである。液相発生温度である1210℃で真空焼結した試験片に比べて、靭性を示す値として測定した抗折力およびシャルピー衝撃値が大幅に改善されていることがわかる。
Figure 2018076582
Figure 2018076582
実施例2においては、JISG4403に規定されるSKH57相当材である4.3重量%のCr、3.5重量%のMo、10.0重量%のW、3.5重量%のV、9.4重量%のCo、1.3重量%のC、及び残部Feの溶融体を水噴霧し、平均粒径が5μmの予備合金化された粉末を作製した。次に、これらの粉末を噴霧造粒法により平均粒径が100μmになるよう造粒した。この場合、造粒用バインダーとしてはポリビニールアルコールの10%水溶液を用い、乾燥後のポリビニールアルコール含有量が0.75%になるように添加した。
得られた造粒粉末に0.3重量%の成形用潤滑剤を混合し、成形用原料粉末を調整した。次に、この造粒粉末を、粉末成形用の金型中で700MPaの圧力で圧縮成形して成形体試験片を作製した。
得られた成形体試験片は、室温から800℃までを数Torrの窒素ガス雰囲気中で4.5時間で昇温後800℃で1時間保持して脱脂した。この後、0.1Torr以下の高真空雰囲気中で800℃から1230℃まで6時間をかけ昇温後、1230℃で2時間保持して焼結した。
これとは別に、同様の工程で作製した成形体試験片を1190℃までは前記と同一の条件で昇温後、1190℃で2時間保持する間、焼結炉の炉内圧力を5.5MPaになるようArガスを導入しシンターヒップして、シンターヒップ焼結体試験片を作製した。
次にこれらの2種類の焼結体試験片を真空中、860℃で3時間保持後、750℃までを20℃/hrの条件で降温し、その後炉冷する条件で真空焼きなまし後、1240℃の塩浴中で110〜120秒加熱後油焼き入れした。油焼き入れ後は再度塩浴中で560℃、1時間加熱後空冷する条件で、熱処理体を作製した。
写真2はこれら2種類の焼結体試験片、および比較のため市販の溶製鋼を同一形状に機械加工後、同一の熱処理を施して作製した試料の顕微鏡組織写真を示したものである。1230℃で焼結した試験片は炭化物は最大粒径が10ミクロン以下の状態を示しており、気孔が残存している。これに対し、1190℃でシンターヒップ処理した焼結体試験片は炭化物の粒径が2μmで、かつ気孔が見られない組織を示している。また、参考までに比較した市販溶製鋼の組織は粗大な炭化物が目立ち、かつ炭化物の配列に方向性が見られる。真空焼結体、およびシンターヒップ処理体には炭化物の配列にこのような方向性は見られない。
表2は真空焼結体とシンターヒップ焼結体、および比較溶製鋼の試験片の熱処理後の機械的強度を示す。
真空焼結体に対し、シンターヒップ処理体の抗折力と衝撃値は高い値を示している。さらにシンターヒップ処理体の値は比較材である溶製鋼よりも高い値となっている。
Figure 2018076582
Figure 2018076582
以上述べたように本発明による粉末高速度工具鋼およびその製造方法は、原料として高圧水アトマイズ法により製造する微細な金属粉末の焼結特性を活用し、金属組織内に微細な炭化物粒を有する粉末高速度工具鋼を提供することができるものであり、これによって、靭性に優れた粉末高速度工具鋼を容易かつ安価に製造できる効果を奏するものである。なお、本発明における粉末高速度工具鋼には、部品に加工される前の部材に加えて、部品をも含むものである。

Claims (4)

  1. JIS G4403に規定される組成の高速度工具鋼において、金属組織中の炭化物の粒子径が0.3μm〜3.0μmの範囲にある炭化物の個数が全炭化物個数の80%以上であることを特徴とする粉末高速度工具鋼
  2. 請求項1に示す粉末高速度工具鋼において金属組織中の結晶粒および炭化物の配列に方向性がない(等方性の)ことを特徴とする粉末高速度工具鋼
  3. 請求項1および請求項2の粉末高速度工具鋼を製造するにあたり、平均粒径が3〜10μmの微細水アトマイズ粉末を平均粒径が70〜150μmになるように造粒後、通常の粉末冶金法により加圧成形して得た粉末成形体を、当該材料の組成で液相が発生する温度より10〜30℃低い温度で焼結することを特徴とする粉末高速度工具鋼の製造方法。
  4. 請求項1および請求項2の粉末高速度工具鋼を製造するにあたり、平均粒径が3〜10μmの微細水アトマイズ粉末を平均粒径が70〜150μmになるように造粒後、通常の粉末冶金法により加圧成形して得た粉末成形体を、当該材料の組成で液相が発生する温度より10〜30℃低い温度で焼結する最終過程で2〜5MPaの圧力を印加する加圧焼結(いわゆるシンターヒップ)処理することを特徴とする粉末高速度工具鋼の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114653958A (zh) * 2022-04-01 2022-06-24 中国科学院过程工程研究所 超细碳化物增强的高速工具钢粉末原料及烧结方法

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