JP2018069522A - 成形体及び成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ナノファイバ11が樹脂12中に含まれた混合樹脂10で成形された本体部2、3と、本体部の表面のうち外部からの作用を受ける機能面5とを備えた成形体1を製造する方法であって、成形型のキャビティ内に混合樹脂を充填する工程と、混合樹脂を成形型内で固化させることで、機能面を有する本体部を成形して成形体を得る工程とを備え、混合樹脂の充填時、成形型における成形面のうち、少なくとも機能面を成形する主成形面に対して毛細管現象により混合樹脂を導入する、成形体の製造方法を提供する。
【選択図】図2
Description
しかしながら樹脂製の機械部品は、一般的に金属製の機械部品に比べて機械的特性、例えば機械的強度(引張強さ、圧縮強さ、剪断強さ等)、硬度、靭性、耐摩耗性、疲労特性等が劣ってしまう。そこで、樹脂製の機械部品を成形する際、機械的特性を向上させるための対策を施すことが知られている。
しかしながら、上述したように従来技術では、ナノファイバの状態をコントロールすることが困難であるため、上述の要求に応えることが難しい。
従って、混合樹脂の充填時に、キャビティ内で混合樹脂がたとえ乱流状態で流動したとしても、少なくとも主成形面付近においては混合樹脂の流れを層流にさせ易く、それによってナノファイバの向きを主成形面の面内に沿って整列させることが可能であるうえ、凝集も生じさせ難い。
(6)前記ナノファイバは、複数のセルロースが結合したセルロースナノファイバであっても良い。
(7)前記本体部は歯部を有する歯車本体であって、前記機能面は少なくとも前記歯部の外周面を含んでも良い。
以下、本発明に係る成形体の第1実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、成形体として歯車、特に精密機械部品である機械式時計の時計用歯車を例に挙げて説明する。なお、各図面では、図面を見易くして発明の理解を助けるために、各構成部品の縮尺を適宜変更している。
なお、本実施形態では、図面を見易くするために歯部3の数及び歯部3の形状を簡略化して図示していると共に、隣り合う歯部3間のピッチを広くした状態で図示している。
なお、本実施形態では、中心軸O方向から見た平面視において、中心軸Oに直交する方向を径方向、中心軸O回りに周回する方向を周方向、中心軸Oに沿った方向を厚み方向という。
従って、これら歯部3の外周面3a及び歯車本体2の外周面2aは、他の時計用部品からの作用を受ける機能面5として機能する。
この種の樹脂12の一例としては、例えば植物性由来樹脂、二酸化炭素を原料とした樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で用いても構わないし、2種類以上混合して用いても構わない。
なお、上述した各樹脂は一例であり、この場合に限定されるものではなく、製造する成形体の用途等に応じて自由に選択して構わない。
次に、上述のように構成された歯車1の製造方法について説明する。
本実施形態では、図3に示す成形用金型(成形型)20を利用した射出成形により歯車1を成形する場合について説明する。ただし、射出成形に限定されるものではない。
図3に示すように、成形用金型20は、固定金型21と、固定金型21に対して接近及び移動可能に配設され、固定金型21に対して重ね合される可動金型22と、を備えている。
円柱部25の外周面及び枠状部26の内周面は、共に歯車1を成形するための成形面として機能する。特に成形面のうち枠状部26の内周面は、歯部3の外周面3a及び歯車本体2の外周面2aを成形するための主成形面26aとして機能する。
なお、図4及び図5では、図面を見易くして発明の理解を助けるために、微小溝30を誇張して図示している。
この場合には、固定金型21と可動金型22とを重ね合わせた後、図6に示すように、射出通路27を通じてキャビティ24内に溶融した混合樹脂10を射出して、キャビティ24内に混合樹脂10を充填する。
また、セルロースナノファイバ11の含有量としては、例えば、セルロースナノファイバ11と樹脂12とを合計した総量100質量%に対して、数質量%〜50質量%程度が好ましい。いずれにしても、機械的特性の付与に貢献し、且つ溶融した混合樹脂10の流動性を損なわない程度に、セルロースナノファイバ11を樹脂12に混合させれば良い。
従って、混合樹脂10の充填時、図6に示すようにキャビティ24内で混合樹脂10がたとえ乱流状態で流動したとしても、主成形面26a付近においては混合樹脂10の流れを層流にさせ易く、それによってセルロースナノファイバ11の向きを微小溝30に沿って整列させることが可能であるうえ、凝集も生じさせ難い。
従って、これら機能面5にセルロースナノファイバ11の特性を利用した機械的特性を安定的且つ均等に付与することができる。
しかもセルロースナノファイバ11は、熱収縮率が低く、例えばガラスの1/50程度であるので、成形後の形状精度を向上させることができると共に、機能面5に上述した機械的特性を安定に付与させ易い。加えてセルロースナノファイバ11は、植物に由来するので、例えば炭素繊維、ガラス繊維やアラミド繊維等に比べて環境負荷が小さい。従って、環境負荷軽減に貢献することができるうえ、資源の再利用にも貢献することができる。
さらに、上記実施形態では、歯車本体2の外周面2a及び歯部3の外周面3aを、機能面5として機能させたが、この場合に限定されるものではなく、少なくとも歯部3の外周面3aを機能面として機能させても構わない。
以下、本発明に係る成形体の第2実施形態について説明する。
本実施形態では、人工股関節のカップリング部分に対して本発明の成形体を適用している。即ち、人工股関節は、大腿骨側のステムと、寛骨臼側のカップとが嵌合し、互いに摺動するように構成されている。そこで、ステム及びカップの少なくとも摺動面を、上述のセルロースナノファイバ11で形成することで、軽量で高い機械的強度を有し、且つ耐摩耗性、耐久性、摺動性等に優れた高品質な樹脂製のカップリングを提供することが可能になる。
また、従来の金属製の人工股関節と比較すると、重量を大幅に軽量化できるので、手術時、装着時の取り扱い易さが向上し、また、術後の装着者の運動負担を大幅に軽減することができる。
さらに、混合樹脂中に、例えば難燃助剤、難燃剤、酸化防止剤、離形剤等を機械的特性が損なわれない程度に添加しても構わない。
2…歯車本体(本体部)
3…歯部(本体部)
5…機能面
10…混合樹脂
11…セルロースナノファイバ(ナノファイバ)
20…成形用金型(成形型)
24…キャビティ
26a…主成形面
30…微小溝
Claims (7)
- ナノファイバが樹脂中に含まれた混合樹脂で成形された本体部と、前記本体部の表面のうち外部からの作用を受ける機能面と、を備えた成形体を製造する方法であって、
成形型のキャビティ内に前記混合樹脂を充填する工程と、
前記混合樹脂を前記成形型内で固化させることで、前記機能面を有する前記本体部を成形して前記成形体を得る工程と、を備え、
前記混合樹脂の充填時、前記成形型における成形面のうち、少なくとも前記機能面を成形する主成形面に対して毛細管現象により前記混合樹脂を導入する、成形体の製造方法。 - 請求項1に記載の成形体の製造方法において、
前記機能面を成形する主成形面には、毛細管現象により前記混合樹脂を浸透させる複数の微小溝が全面に亘って形成されている、成形体の製造方法。 - 請求項2に記載の成形体の製造方法において、
複数の前記微小溝は同方向に延びている、成形体の製造方法。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の成形体の製造方法において、
前記ナノファイバは、複数のセルロースが結合したセルロースナノファイバである、成形体の製造方法。 - ナノファイバが樹脂中に含まれた混合樹脂で成形された本体部と、
前記本体部の表面のうち外部からの作用を受ける機能面と、を備え、
前記機能面は、前記ナノファイバが整列した状態で成形されている、成形体。 - 請求項5に記載の成形体において、
前記ナノファイバは、複数のセルロースが結合したセルロースナノファイバである、成形体。 - 請求項5又は6に記載の成形体において、
前記本体部は歯部を有する歯車本体であって、前記機能面は少なくとも前記歯部の外周面を含む、成形体。
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