JP2018066593A - 損傷検査システム、損傷検査方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 損傷検査装置340は、差分電位u−Uに基づいてイメージ関数L(y)を導出して損傷位置を特定し、特定した損傷位置のそれぞれについて、差分電位u−Uに平均0(ゼロ)のノイズnuを付加したノイズ付加差分電位u−U+nuに基づいてイメージ関数L(y)を導出することを、イメージ関数L(y)の値が閾値を下回るまで、ノイズの大きさを段階的に大きくしながら行う。そして、損傷検査装置340は、閾値に最も近いイメージ関数L(y)または閾値と同じ値のイメージ関数L(y)を導出したときに差分電位u−Uに付加したノイズの大きさに対応する損傷の程度を導出する。
【選択図】 図3
Description
図1は、検査対象とするタンクの底板の一例を模式的に示す図である。図1に示す例では、底板1の外縁に、中空円筒状の側板が垂直に設置されて、タンクが構成される(尚、表記の都合上、図1では、側板の図示を省略する)。
図1に示すように、タンクの底板1の外周に、その周方向に45[°]ずつ位相をずらして8本の電極端子2a〜2hが配置される。即ち、周方向において相互に隣り合う2つの電極端子のうち、一方の電極端子とタンクの底板1の中心Oとを相互に結ぶ直線と、他方の電極端子とタンクの底板1の中心Oとを相互に結ぶ直線とのなす角度は、それぞれ45°である。ここでは、図1に示すように、電極端子2aの位置を基準(0[°])として、電極端子2b、2c、2d、2e、2f、2g、2hが、それぞれ、45[°]、90[°]、135[°]、180[°]、225[°]、270[°]、315[°]の位置にあるものとする。電極端子2a〜2hは、底板1の外周からタンクの外部へ突出するように設けられる。
初めに、電位分布の支配方程式について説明する。底板領域Ω(⊂R2)における検査時の電気伝導度分布をσ、基準状態時の電気伝導度分布をσ0とする。また、2つの電極端子に電流を流した時の、底板領域Ωの外周境界∂Ω上の電流密度分布をfとする(尚、以下の説明では、底板領域Ωの外周境界∂Ωを必要に応じて外周境界∂Ωと称する)。そうすると、底板領域Ωにおける検査時の電位分布uと、基準状態時の電位分布Uは、それぞれ以下の(1)式、(2)式のような楕円型偏微分方程式の境界値問題の解で与えられることが知られている。ここで、νは、外周境界∂Ω上の底板領域Ωへの内向き法線である。
本発明者らはタンクの底板1の損傷の検出へのMUSICアルゴリズムの適用を試み、ミニチュアサンプルラボ実験を実施した。その結果、1点の損傷の検出は可能であるが、計測ノイズの影響を受けて複数点の損傷の検出が困難であるとの問題に直面したため、この問題を解決すべく鋭意検討した。MUSICアルゴリズムにおいて損傷情報は、(11)式で定義される行列Rに含まれている。従って、時系列的に検査を実施して得られ、蓄積した行列Rを使用すれば、時系列上の異なるタイミングで検査したときのノイズ成分の情報は行列Rの中で平準化されると考えた。これに対して、損傷は時間経過とともに縮小又は消滅することは無いので、損傷情報は、行列Rの中で強調されると考えた。この考え方は、MUSICアルゴリズムで展開されている偏微分方程式論の枠を超えたものであり、本発明者らはこの方法が実用的であることを、数多くの実験を実施して確認した。具体的なアルゴリズムを以下の通りである。
次に、本実施形態の損傷検査システムを説明する。図3は、損傷検査システムの構成の一例を示す図である。
図3において、損傷検査システムは、タンク310の損傷を検査するシステムであり、電源装置320と、電圧計330と、損傷検査装置340とを有する。
<ハードウェアの構成>
タンク310には、図1および図2を参照しながら説明したように、電極端子2a〜2hと、計測点3a〜3hとが配置される。前述したように、電極端子2a〜2hと計測点3a〜3hは、タンク310の底板1の外周に配置されるのが好ましいが、タンク310の側板に配置してもよい。
電圧計330は、電極端子2a〜2hの何れか2つに一定値の電流が流されている間、各計測点3a〜3hの電位をそれぞれ測定する。前述したように、各計測点3a〜3hの電位は、一の基準点の電位(共通の電位)に対する電位差のことである。計測点3a〜3hの数と同数の電圧計330を用いてもよいし、計測点3a〜3hの数よりも少ない数(例えば1つ)の電圧計330で計測点3a〜3hの電位を順番に測定してもよい。
図3を参照しながら、損傷検査装置340が有する機能の一例を説明する。
(電位取得部341)
電位取得部341は、2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれについて、当該2つの電極端子の間に電流を流したときに電圧計330により測定された各計測点3a〜3hの電位を取得する。
本実施形態では、電位取得部341は、タンク310が基準状態である時に、2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれについて、当該2つの電極端子の間に電流を流したときの各計測点3a〜3hの電位を取得する。電位取得部341は、その後、タンク310の検査時において、同じく2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれについて、当該2つの電極端子の間に電流を流したときの各計測点3a〜3hの電位を取得する。
また、タンク310が基準状態である時とは、例えば、タンク310の使用開始時である。ただし、タンク310が基準状態である時は、タンク310の使用開始時に限定されず、使用開始後の時系列上の所定のタイミングであってもよい。尚、前述したように、検査時は、基準状態時よりも後のタイミングになる。また、実際にタンク310に用いられる底板1では、必ずしも使用開始時に健全部だけが存在するわけでなく、凹凸等が存在する場合がある。このような場合には、損傷が無い状態を基準状態とし、前述のように有限要素法等により電流条件を与えて算出される電位を基準状態である時の電位とし、タンク310の使用開始後を検査時としてもよい。
また、各計測点3a〜3hの電位の取得形態は、例えば、測定者による損傷検査装置340に対する入力操作、各計測点3a〜3hの電位を示す情報の外部装置からの送信、または各計測点3a〜3hの電位を示す情報を記憶した可搬型の記憶媒体からの読み出しにより実現される。
損傷位置導出部342は、電位取得部341により取得された各計測点3a〜3hの電位に基づいて、タンク310の底板1の損傷の有無の判定と、損傷がある場合の損傷位置の導出とを行う。以下に、損傷位置導出部342で行われる処理の一例を説明する。
ここで、損傷位置導出部342は、第1の閾値以上であるイメージ関数L(y)があるか否かを判定することに代えて、イメージ関数L(y)がピークを有するか否かを判定してもよい。この場合、損傷位置導出部342は、イメージ関数L(y)がピークを有する場合に、検査対象のタンク310の底板1に基準状態から進展している損傷があると判定し、当該値を有する位置yを損傷位置yとして導出する。
実際にタンク310の底板1を非破壊で検査する場合には、損傷位置だけでなく、損傷の程度(大きさや深さ)を把握することも重要である。補修が必要な損傷であるか否かを判断することができるからである。前述したMUSICアルゴリズムにおける分極テンソルMjは、損傷の形状を表現するものである。しかしながら、分極テンソルMjを高精度に導出することは容易ではない。そこで、損傷の程度を容易に且つ正確に導出する技術が求められる。
図9(a)において、第2の閾値THに最も近い値が得られるイメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさ(標準偏差)は、A1である。A1は、第2の閾値THを下回る値が得られるイメージ関数L(y)のうち最大の値が得られるイメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさ(標準偏差)である。図9(a)に示す例では、損傷程度導出部343は、ノイズの大きさA1に対応する損傷の程度を導出する。
まず、損傷の位置および程度が既知のタンクを検査対象としてノイズ付加差分電位u−U+nuを用いてイメージ関数L(y)を導出することを、損傷の程度とノイズの大きさとを変更して行う。このときに変更の対象となる損傷の程度には、前述した大、中、小の区分の境界における損傷の程度が含まれるようにする。そして、それぞれの損傷の程度において、イメージ関数L(y)の値とノイズの大きさ(本実施形態では標準偏差)との関係式を導出し、当該関係式を用いて、第2の閾値THとなるときのノイズの大きさ(標準偏差)を導出する。そして、その結果から、損傷の程度を表す区分と、第2の閾値THに対応するノイズの大きさ(標準偏差)の範囲とを相互に関連付けて記憶するテーブルを作成して、損傷検査装置340に入力し、損傷検査装置340の記憶媒体に記憶させる。
損傷位置導出部342により導出された損傷位置の全てについて損傷の程度が導出されるまで、以上の損傷程度導出部343による処理が繰り返し行われる。
出力部344は、損傷位置導出部342により導出された損傷位置を示す情報と、損傷程度導出部343により導出された当該損傷位置における損傷の程度を表す区分を示す情報を出力する。情報の出力形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示と、外部装置への送信と、損傷検査装置340の内部または外部の記憶媒体への記憶との少なくとも何れか1つ採用することができる。
次に、図11のフローチャートを参照しながら、本実施形態の損傷検査システムにおける損傷検査方法の一例を説明する。
まず、ステップS1101において、基準状態時において、タンク310に配置された2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれについて、当該2つの電極端子の間に電流を流したときの各計測点3a〜3hの電位を計測する。前述したように基準状態時は、例えば、タンク310の使用開始時であるが、タンク310の使用開始時に限定されず、使用開始後の時系列上の所定のタイミングであってもよい。電位取得部341は、このようにして測定された各計測点3a〜3hの電位を取得する。
次に、ステップS1106において、損傷程度導出部343は、平均が0(ゼロ)のノイズを生成し、ステップS1103で導出された差分電位u−Uのそれぞれに、当該生成したノイズを付加(重畳)し、ノイズ付加差分電位u−U+nuを生成する。後述するようにステップS1106の処理は繰り返し行われる。繰り返し回数が大きくなるほど、生成するノイズの大きさを大きくする。差分電位u−Uに付加するノイズの大きさについては予め設定されているものとする。前述したように本実施形態では、ノイズの標準偏差を大きくすることによりノイズの大きさを大きくする。
次に、ステップS1108において、損傷程度導出部343は、ステップS1105で設定された損傷位置の中に、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置があるか否かを判定する。
図12は、タンク310の底板1におけるイメージ関数L(y)のコンター図の一例を示す図である。図12では、直径8[m]、厚さ9[mm]の普通鋼で構成されたタンクの底板1の中心点から(3300mm,570mm)、(2300mm,−2100mm)、(−1300mm,−2500mm)の位置に直径200[mm]で深さがそれぞれ4[mm]、6[mm]、2[mm]の円柱状の損傷を設定して、底板1の外周上の異なる2点を正極、負極とし、30[A]の直流電流を流した場合の底板1の外周上の電位を、有限要素法により計算し、当該電位を用いてイメージ関数L(y)を導出した結果を示す。ここでは、第1の閾値及び第2の閾値として、(図12のタンク310の底板1におけるコンター図の横に示す当該コンター図の濃度を示す値において)3.5を採用した。図12(a)は、ノイズを付加しない差分電位u−Uから導出したイメージ関数L(y)を示す。図12(a)より、位置1201、1202、1203が損傷位置として導出された。図12(b)には、標準偏差が0.2σの正規分布に従うノイズnuを差分電位u−Uに付加したノイズ付加差分電位u−U+nuから導出したイメージ関数L(y)を示す。図12(c)には、標準偏差が0.4σの正規分布に従うノイズnuを差分電位u−Uに付加したノイズ付加差分電位u−U+nuから導出したイメージ関数L(y)を示す。本実施例におけるσは、各パターンの電流を印加した際の差分電位u−Uの標準偏差の平均値である。
以上のことから、損傷位置1202、1201、1203の順で大きな損傷が発生していることが分かる。
以上のように本実施形態では、差分電位u−Uに基づいてイメージ関数L(y)を導出して損傷位置を特定し、特定した損傷位置のそれぞれについて、差分電位u−Uに平均0(ゼロ)のノイズを付加したノイズ付加差分電位u−U+nuに基づいてイメージ関数L(y)を導出することを、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回るまで、ノイズの大きさを段階的に大きくしながら行う。そして、第2の閾値THに最も近いイメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさに基づいて当該損傷位置の損傷の程度を導出する。従って、多大な時間や検査費用を要することなく、タンク310の底板1の損傷位置を正確に検査することができると共に、分極テンソルMjを導出しなくても、当該損傷位置の損傷の程度を精度よく非破壊で導出することができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
以下に、実施形態と請求項との関係の一例について説明する。尚、請求項の記載に対応する事項が以下のものに限定されないことは、前述した通りである。
電極端子は、例えば、電極端子2a〜2hにより実現される。
計測点は、例えば、計測点3a〜3hにより実現される。
測定手段は、例えば、電源装置320および電圧計330を用いることにより実現される。
電位取得手段は、例えば、電位取得部341を用いることにより実現される。
損傷位置導出手段は、例えば、損傷位置導出部342を用いることにより実現される。
損傷程度導出手段は、例えば、損傷程度導出部343を用いることにより実現される。
差分電位は、例えば、タンク310の検査時における各計測点3a〜3hの電位からタンク310が基準状態である時の各計測点3a〜3hの電位を減算した電位(差分電位u−U)により実現される。
差分電位に基づくイメージ関数は、例えば、イメージ関数L(y)により実現される。
ノイズ付加差分電位は、例えば、差分電位u−Uにノイズを付加(重畳)した電位(u−U+nu)により実現される。
ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、例えば、差分電位u−Uの代わりにノイズ付加差分電位u−U+nuを用いて導出されるイメージ関数L(y)により実現される。
損傷探索用ベクトルは、例えば、ベクトルg(y)(底板領域Ω内の位置yに応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の計測点{x1,・・・,xP}上の値(電位の算出値)が成すベクトル)により実現される。
前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列は、例えば、(11)式により表現される行列Rにより実現される。
前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列は、例えば、差分電位u−Uの代わりにノイズ付加差分電位u−U+nuを用いて(11)式により表現される行列Rにより実現される。
Claims (8)
- 側板と底板とを有するタンクの底板の損傷を検査する損傷検査システムであって、
前記底板の外周または前記側板に周方向に位相をずらして配置された複数の電極端子と、
前記底板の外周または前記タンクの側板に周方向に位相をずらして配置された3点以上の計測点と、
前記複数の電極端子のうちの2つの電極端子の間に電流を流すことを、パターンを変更しながら実行し、それぞれのパターンの電流を流したときの前記計測点のそれぞれの電位を測定する測定手段と、
前記タンクの底板の損傷の位置と当該損傷の程度とを導出する損傷検査装置と、を有し、
前記損傷検査装置は、前記測定手段により測定された電位を取得する電位取得手段と、
前記タンクの底板の損傷の位置を導出する損傷位置導出手段と、
前記損傷位置導出手段により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する損傷程度導出手段と、を有し、
前記測定手段により測定される前記電位は、一の基準点の電位に対する電位差であり、
前記損傷位置導出手段は、相互に同じ前記パターンの電流を流すことにより前記測定手段により測定された、前記タンクの検査時における前記計測点の電位と、当該タンクの基準状態時における当該計測点の電位との差分電位を、前記パターンごとに前記計測点のそれぞれについて導出する第1の手段と、
前記第1の手段により導出された前記差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する第2の手段と、を有し、
前記損傷程度導出手段は、平均が0(ゼロ)のノイズが付加された前記差分電位であるノイズ付加差分電位を生成する第3の手段と、
前記第3の手段により生成された前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記損傷位置導出手段により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する第4の手段と、を有し、
前記第1の手段により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
前記第3の手段により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
前記損傷探索用ベクトルは、前記底板の領域内の位置に応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の前記計測点における値が成すベクトルであり、
前記差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列を含み、
前記ノイズ付加差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列を含むことを特徴とする損傷検査システム。 - 前記損傷位置導出手段は、前記差分電位に基づくイメージ関数のピークの探索、または、前記差分電位に基づくイメージ関数と予め定めた第1の閾値との比較を行った結果に基づいて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出することを特徴とする請求項1に記載の損傷検査システム。
- 前記損傷程度導出手段は、複数の前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数のそれぞれと予め定めた第2の閾値とを比較した結果であって、前記複数の前記ノイズ付加差分電位を相互に異なる大きさの前記ノイズが付加された前記差分電位としたときの結果に基づいて、前記損傷位置導出手段により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出することを特徴とする請求項1または2に記載の損傷検査システム。
- 前記電極端子は、3つ以上あり、
前記パターンを変更するとは、2つの前記電極端子の組み合わせを変更することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の損傷検査システム。 - 前記第1の手段により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、前記損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさに対する、前記損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域への射影の大きさの比を用いて表され、
前記第3の手段により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、前記損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさに対する、前記損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域への射影の大きさの比を用いて表されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の損傷検査システム。 - 前記第3の手段は、前記損傷位置導出手段により導出された前記差分電位に対し、平均が0(ゼロ)のノイズを付加することにより前記ノイズ付加差分電位を生成することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の損傷検査システム。
- 側板と底板とを有するタンクの底板の損傷を検査する損傷検査方法であって、
前記底板の外周または前記側板に周方向に位相をずらして配置された複数の電極端子のうちの2つの電極端子の間に電流を流すことを、パターンを変更しながら実行し、それぞれのパターンの電流を流したときの計測点のそれぞれの電位を測定する測定工程と、
前記測定工程により測定された電位を取得する電位取得工程と、
前記タンクの底板の損傷の位置を導出する損傷位置導出工程と、
前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する損傷程度導出工程と、を有し、
前記計測点は、前記底板の外周または前記タンクの側板に周方向に位相をずらして配置された3点以上の計測点であり、
前記測定工程により測定される前記電位は、一の基準点の電位に対する電位差であり、
前記損傷位置導出工程は、相互に同じ前記パターンの電流を流すことにより前記測定工程により測定された、前記タンクの検査時における前記計測点の電位と、当該タンクの基準状態時における当該計測点の電位との差分電位を、前記パターンごとに前記計測点のそれぞれについて導出する第1の工程と、
前記第1の工程により導出された前記差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する第2の工程と、を有し、
前記損傷程度導出工程は、平均が0(ゼロ)のノイズが付加された前記差分電位であるノイズ付加差分電位を生成する第3の工程と、
前記第3の工程により生成された前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する第4の工程と、を有し、
前記第1の工程により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
前記第3の工程により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
前記損傷探索用ベクトルは、前記底板の領域内の位置に応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の前記計測点における値が成すベクトルであり、
前記差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列を含み、
前記ノイズ付加差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列を含むことを特徴とする損傷検査方法。 - 側板と底板とを有するタンクの底板の損傷を検査することをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記底板の外周または前記側板に周方向に位相をずらして配置された複数の電極端子のうちの2つの電極端子の間に電流を流すことを、パターンを変更しながら実行し、それぞれのパターンの電流を流したときの計測点のそれぞれの電位を取得する電位取得工程と、
前記タンクの底板の損傷の位置を導出する損傷位置導出工程と、
前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する損傷程度導出工程と、をコンピュータに実行させ、
前記計測点は、前記底板の外周または前記タンクの側板に周方向に位相をずらして配置された3点以上の計測点であり、
前記電位取得工程により取得される前記電位は、一の基準点の電位に対する電位差であり、
前記損傷位置導出工程は、相互に同じ前記パターンの電流を流すことにより前記電位取得工程により取得された、前記タンクの検査時における前記計測点の電位と、当該タンクの基準状態時における当該計測点の電位との差分電位を、前記パターンごとに前記計測点のそれぞれについて導出する第1の工程と、
前記第1の工程により導出された前記差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する第2の工程と、を有し、
前記損傷程度導出工程は、平均が0(ゼロ)のノイズが付加された前記差分電位であるノイズ付加差分電位を生成する第3の工程と、
前記第3の工程により生成された前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する第4の工程と、を有し、
前記第1の工程により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
前記第3の工程により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
前記損傷探索用ベクトルは、前記底板の領域内の位置に応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の前記計測点における値が成すベクトルであり、
前記差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列を含み、
前記ノイズ付加差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列を含むことを特徴とするプログラム。
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