JP2018066593A - 損傷検査システム、損傷検査方法、およびプログラム - Google Patents

損傷検査システム、損傷検査方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 タンクの底板の損傷の位置および程度を容易に且つ精度良く非破壊検査できるようにする。
【解決手段】 損傷検査装置340は、差分電位u−Uに基づいてイメージ関数L(y)を導出して損傷位置を特定し、特定した損傷位置のそれぞれについて、差分電位u−Uに平均0(ゼロ)のノイズnuを付加したノイズ付加差分電位u−U+nuに基づいてイメージ関数L(y)を導出することを、イメージ関数L(y)の値が閾値を下回るまで、ノイズの大きさを段階的に大きくしながら行う。そして、損傷検査装置340は、閾値に最も近いイメージ関数L(y)または閾値と同じ値のイメージ関数L(y)を導出したときに差分電位u−Uに付加したノイズの大きさに対応する損傷の程度を導出する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、損傷検査システム、損傷検査方法、およびプログラムに関し、特に、タンクの底板の損傷(腐食等による減肉や割れ等)を検査するために用いて好適なものである。
化成タンク等のタンクの底板の腐食等をタンクの使用中に検査する技術として特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、損傷を挟んだ2点間の電位差を測定する電位差法を用いる検査方法が開示されている。特許文献1には、2つの電極端子(定電流源と接続される端子)および2つの測定端子(電圧計と接続される端子)の取り付け位置をできるだけ損傷の発生位置に近くなおかつ損傷を挟むような位置となるように選ぶことにより損傷の検出感度が向上すると記載されている。また、非特許文献1には、複数の電極に電流を流し、インピーダンスを計測することでタンクの底板の損傷検査を行うEIT(Electrical Impedance Tomography)法のアルゴリズム(MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)アルゴリズム)が提案されている。
特開2006−226978号公報
A MUSIC-type algorithm for detecting internal corrosion from electrostatic boundary measurements Habib Ammari ・ Hyeonbae Kang ・ Eunjoo Kim ・ Kaouthar Louati ・ Michael S. Vogelius 2007 A. Friedman and M.S. Vogelius, Identification of small inhomogeneities of extreme conductivity by boundary measurements: a theorem on continuous dependence, Arch. Rat. Mech. Anal., 105 (1989), 299-326 H. Ammari and H. Kang, high-order terms in the asymptotic expansions of the steady-state voltage potentials in the presence of conductivity inhomogeneities of small diameter, SIAM J. Math. Anal., 34 (2003), 1152-1166
しかしながら、特許文献1の手法では、2つの電極端子および2つの測定端子の組み合わせで取り付け位置を設定しなければならない。検査対象となるタンクには大型のものもあり、損傷箇所の事前特定も困難であることから、特許文献1の手法を採用しても、2つの電極端子および2つの測定端子の取り付け位置を多数設定しなければならず、結局は多数の測定回数が必要であり、多大な時間や検査費用を要する等の問題の根本的な解決には至っていない。
また、従来のEIT法では、犬走りと呼ばれているタンクの底板の外周に電極端子や電位計測点を設けるため、コンクリート等の被覆物を剥がして計測する必要があった。また、非特許文献1に記載のMUSICアルゴリズムでは、計測ノイズの影響を受けるため、複数の損傷がある場合には全ての損傷を正確に検出することはできない。更に、MUSICアルゴリズムでは、損傷の位置が検出されるが、損傷の程度(大きさ(径)や深さ)を検出するのが容易ではない。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、タンクの底板の損傷の位置および程度を容易に且つ精度良く非破壊検査できるようにすることを目的とする。
本発明の損傷検査システムは、側板と底板とを有するタンクの底板の損傷を検査する損傷検査システムであって、前記底板の外周または前記側板に周方向に位相をずらして配置された複数の電極端子と、前記底板の外周または前記タンクの側板に周方向に位相をずらして配置された3点以上の計測点と、前記複数の電極端子のうちの2つの電極端子の間に電流を流すことを、パターンを変更しながら実行し、それぞれのパターンの電流を流したときの前記計測点のそれぞれの電位を測定する測定手段と、前記タンクの底板の損傷の位置と当該損傷の程度とを導出する損傷検査装置と、を有し、前記損傷検査装置は、前記測定手段により測定された電位を取得する電位取得手段と、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する損傷位置導出手段と、前記損傷位置導出手段により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する損傷程度導出手段と、を有し、前記測定手段により測定される前記電位は、一の基準点の電位に対する電位差であり、前記損傷位置導出手段は、相互に同じ前記パターンの電流を流すことにより前記測定手段により測定された、前記タンクの検査時における前記計測点の電位と、当該タンクの基準状態時における当該計測点の電位との差分電位を、前記パターンごとに前記計測点のそれぞれについて導出する第1の手段と、前記第1の手段により導出された前記差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する第2の手段と、を有し、前記損傷程度導出手段は、平均が0(ゼロ)のノイズが付加された前記差分電位であるノイズ付加差分電位を生成する第3の手段と、前記第3の手段により生成された前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記損傷位置導出手段により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する第4の手段と、を有し、前記第1の手段により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、前記第3の手段により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、前記損傷探索用ベクトルは、前記底板の領域内の位置に応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の前記計測点における値が成すベクトルであり、前記差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列を含み、前記ノイズ付加差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列を含むことを特徴とする。
本発明の損傷検査方法は、側板と底板とを有するタンクの底板の損傷を検査する損傷検査方法であって、前記底板の外周または前記側板に周方向に位相をずらして配置された複数の電極端子のうちの2つの電極端子の間に電流を流すことを、パターンを変更しながら実行し、それぞれのパターンの電流を流したときの計測点のそれぞれの電位を測定する測定工程と、前記測定工程により測定された電位を取得する電位取得工程と、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する損傷位置導出工程と、前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する損傷程度導出工程と、を有し、前記計測点は、前記底板の外周または前記タンクの側板に周方向に位相をずらして配置された3点以上の計測点であり、前記測定工程により測定される前記電位は、一の基準点の電位に対する電位差であり、前記損傷位置導出工程は、相互に同じ前記パターンの電流を流すことにより前記測定工程により測定された、前記タンクの検査時における前記計測点の電位と、当該タンクの基準状態時における当該計測点の電位との差分電位を、前記パターンごとに前記計測点のそれぞれについて導出する第1の工程と、前記第1の工程により導出された前記差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する第2の工程と、を有し、前記損傷程度導出工程は、平均が0(ゼロ)のノイズが付加された前記差分電位であるノイズ付加差分電位を生成する第3の工程と、前記第3の工程により生成された前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する第4の工程と、を有し、前記第1の工程により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、前記第3の工程により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、前記損傷探索用ベクトルは、前記底板の領域内の位置に応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の前記計測点における値が成すベクトルであり、前記差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列を含み、前記ノイズ付加差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列を含むことを特徴とする。
本発明のプログラムは、側板と底板とを有するタンクの底板の損傷を検査することをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、 前記底板の外周または前記側板に周方向に位相をずらして配置された複数の電極端子のうちの2つの電極端子の間に電流を流すことを、パターンを変更しながら実行し、それぞれのパターンの電流を流したときの計測点のそれぞれの電位を取得する電位取得工程と、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する損傷位置導出工程と、前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する損傷程度導出工程と、をコンピュータに実行させ、前記計測点は、前記底板の外周または前記タンクの側板に周方向に位相をずらして配置された3点以上の計測点であり、前記電位取得工程により取得される前記電位は、一の基準点の電位に対する電位差であり、前記損傷位置導出工程は、相互に同じ前記パターンの電流を流すことにより前記電位取得工程により取得された、前記タンクの検査時における前記計測点の電位と、当該タンクの基準状態時における当該計測点の電位との差分電位を、前記パターンごとに前記計測点のそれぞれについて導出する第1の工程と、前記第1の工程により導出された前記差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する第2の工程と、を有し、前記損傷程度導出工程は、平均が0(ゼロ)のノイズが付加された前記差分電位であるノイズ付加差分電位を生成する第3の工程と、前記第3の工程により生成された前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する第4の工程と、を有し、前記第1の工程により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、前記第3の工程により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、前記損傷探索用ベクトルは、前記底板の領域内の位置に応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の前記計測点における値が成すベクトルであり、前記差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列を含み、前記ノイズ付加差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列を含むことを特徴とする。
本発明によれば、タンクの底板の損傷の位置および程度を容易に且つ精度良く非破壊検査することができる。
検査対象とするタンクの底板の一例を模式的に示す図である。 一の電極端子と組み合わせることのできる電極端子の一例を説明するための図である。 損傷検査システムの構成の一例を示す図である。 差分電位の分布の第1の例を示す図である。 差分電位の分布の第2の例を示す図である。 タンクの底板におけるイメージ関数から損傷位置が導出されることを説明するための図である。 ノイズ付加差分電位の分布の第1の例を示す図である。 ノイズ付加差分電位の分布の第2の例を示す図である。 損傷位置におけるイメージ関数の値と、当該イメージ関数を導出した際に差分電位に付加したノイズの大きさとの関係の一例を概念的に示す図である。 タンクの底板におけるイメージ関数から損傷の程度が導出されることを説明するための図である。 損傷検査方法の一例を説明するフローチャートである。 タンクの底板におけるイメージ関数のコンター図の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、検査対象とするタンクの底板の一例を模式的に示す図である。図1に示す例では、底板1の外縁に、中空円筒状の側板が垂直に設置されて、タンクが構成される(尚、表記の都合上、図1では、側板の図示を省略する)。
図1に示すように、タンクの底板1の外周に、その周方向に45[°]ずつ位相をずらして8本の電極端子2a〜2hが配置される。即ち、周方向において相互に隣り合う2つの電極端子のうち、一方の電極端子とタンクの底板1の中心Oとを相互に結ぶ直線と、他方の電極端子とタンクの底板1の中心Oとを相互に結ぶ直線とのなす角度は、それぞれ45°である。ここでは、図1に示すように、電極端子2aの位置を基準(0[°])として、電極端子2b、2c、2d、2e、2f、2g、2hが、それぞれ、45[°]、90[°]、135[°]、180[°]、225[°]、270[°]、315[°]の位置にあるものとする。電極端子2a〜2hは、底板1の外周からタンクの外部へ突出するように設けられる。
8本の電極端子2a〜2hのうちの任意の2つの電極端子の間には、電源装置(定電流源)により、一定値の電流(直流電流)が所定の時間流される。図2は、一の電極端子と組み合わせることのできる電極端子の一例を説明するための図である。図1に示すように8本の電極端子2a〜2hがある場合、図2に線で結んで示すように、例えば、電極端子2aは、他の7本の電極端子2b〜2hと組み合わせることができる。図1に示ように、8本の電極端子2a〜2hがある場合、2つの電極端子の組み合わせは、82=28通りとなる。尚、電極端子の数は複数であれば8本に限定されるものではない。
また、タンクの底板1の外周に、その周方向に位相をずらして3点以上の計測点が配置される。図1に示す例では、8点の計測点3a〜3hが配置される場合を例に挙げて示すが、計測点の数は3点以上であれば、8点に限定されない。各計測点3a〜3hでは、電圧計により電位が計測される。各計測点3a〜3hの電位は、一の基準点の電位(共通の電位)に対する電位差のことである。一の基準点は、例えば、底板1の外周上に設定してもよいし、底板1とは別の箇所に設定してもよい。また、アース電位を基準点の電位としてもよい。計測点3a〜3hは、タンクの周方向で洩れなく電位を計測して電位分布を捉えられるように、タンクの周方向に等間隔で、できるだけ多数配置されるのが好ましい。
電極端子2a〜2hおよび計測点3a〜3hは、理想的には底板1の外周に配置するものであるが、計測が困難である場合には、タンクの側板に配置するようにしてもよい。その場合は、底板1からの高さが、底板1の直径の0.8倍以下となるように配置するのが好ましい。
本発明者らは、以下に説明する試験に基づいてこの知見を得るに至った。即ち、前述した2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれにおいて、当該2つの電極端子に10[A]の直流電流を2[s]流すことを、直径1.3[m]、厚さ3[mm]のSUS304の底板の外周に電極端子2a〜2hおよび計測点3a〜3hを配置した場合と、当該底板から1[m]以内の高さに電極端子2a〜2hおよび計測点3a〜3hを配置した場合のそれぞれについて実施した。その結果、当該底板の外周に電極端子2a〜2hおよび計測点3a〜3hを配置した場合と、当該底板から1[m]以内の高さに電極端子2a〜2hおよび計測点3a〜3hを配置した場合とで、計測点3a〜3hの電位の計測値の誤差が1.5[%]未満であることを確認した。また、電極端子2a〜2hおよび計測点3a〜3hの位置を変更して、前述したのと同様にして計測点3a〜3hの電位の計測を行った結果、電極端子2a〜2hおよび計測点3a〜3hをタンクの側板に配置する場合に、これらを底板1から同じ高さに揃える必要はなく、底板1からの高さが相互に(電極端子2a〜2h同士、計測点3a〜3h同士、電極端子2a〜2hと計測点3a〜3hで)異なっていてもよいことを確認した。以上のことは、電流の条件およびタンクを変えても同様であった。
本実施形態では、2つの電極端子の間に一定値の電流を所定の時間流すことを、2つの電極端子の組み合わせパターンを変更しながら実行し、各組み合わせパターンにて各計測点3a〜3hの電位を計測して、EIT(Electrical Impedance Tomography)逆問題を適用することにより、底板1の損傷の位置および程度を求める。EITとは、対象物の境界の電位計測値から内部に存在する小さな損傷を電気抵抗の差異として検出する逆問題手法の総称である。本実施形態では、非特許文献1に開示されているMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)アルゴリズムと呼ばれる信号処理に立脚した数学手法を適用する。そこで、MUSICアルゴリズムの概要について説明する。
[MUSICアルゴリズム]
初めに、電位分布の支配方程式について説明する。底板領域Ω(⊂R2)における検査時の電気伝導度分布をσ、基準状態時の電気伝導度分布をσ0とする。また、2つの電極端子に電流を流した時の、底板領域Ωの外周境界∂Ω上の電流密度分布をfとする(尚、以下の説明では、底板領域Ωの外周境界∂Ωを必要に応じて外周境界∂Ωと称する)。そうすると、底板領域Ωにおける検査時の電位分布uと、基準状態時の電位分布Uは、それぞれ以下の(1)式、(2)式のような楕円型偏微分方程式の境界値問題の解で与えられることが知られている。ここで、νは、外周境界∂Ω上の底板領域Ωへの内向き法線である。
続いて、外周境界∂Ω上での電位計測値と、底板領域Ω内の損傷位置との関係式について説明する。検査時の底板における損傷の個数をK、損傷位置を{y1,・・・,yK}(⊂Ω)とする。そして、外周境界∂Ω上に電流密度分布fを与えたときに得られる外周境界∂Ω上の検査時の電位分布uと基準状態時の電位分布Uとの差について、損傷の直径εに関する漸近展開解析を行うと、以下の(3)式が導出できることが知られている(非特許文献2、3を参照)。MUSIC等のEIT手法では、全て(3)式を基本としている。
ここで、Mjは分極テンソル(polarization tensor)と呼ばれる計量である。Nはノイマン関数(Neumann function)である。O(ε3)はεに関する3次以上の微小項である。分極テンソルMjは自己共役となる。ノイマン関数Nは、以下の(4)式の楕円型偏微分方程式の解として得られるもので、計算の対象となる領域が2次元の円である場合、解析解は以下の(5)式で与えられる。ここで、δyはディラックのデルタ関数、|∂Ω|は外周境界∂Ωの長さ、dsxは外周境界∂Ωの線素、r0はタンクの半径である。
外周境界∂Ω上の電流密度分布fに対して外周境界∂Ω上の関数を対応させる作用素(写像)A[f]およびT[f]を前述の関数を用いてそれぞれ以下の(6)式、(7)式で定義する。
分極テンソルMjは自己共役であるから、任意の外周境界∂Ω上の電流密度分布fに対して(3)式が成り立つことは、以下の(8)式で表現することができる。つまり、(8)式は、電流密度分布fを与えたときの外周境界∂Ω上の検査時の電位分布と基準状態時の電位分布との差A[f]は、損傷位置の関数T[f]として近似的に表現できることを意味している。
続いて、損傷位置を決定する方法について説明する。(8)式を用いて損傷位置{y1,・・・,yK}を求めるが、(7)式中のU、つまり基準状態時における底板領域Ω内の電位分布を知り得ない。このため、損傷位置{y1,・・・,yK}を直接的に求めることができない。従って、MUSICアルゴリズムでは、次の事実を使う。即ち、yが損傷位置を参照していることと、微分方向を表す任意の単位ベクトルeとの内積で定義される関数e・∇yN(・,yj)が作用素Tの値域に属することとは等価である。ここで、(8)式を用いれば、以下の(9)式が成り立つ。
実際の計測では計測点と電流密度分布fは離散的にしか設定できないので、(9)式を離散化する。Pを、外周境界∂Ω上の電位の計測点の数とする。{x1,・・・,xP}(⊂∂Ω)を、電位の計測点とする。Mを、与える電流密度分布fの数とする。{f1,・・・,fM}を、与える電流密度分布fとする。このとき、K個の損傷を全て検出するためには、理論的にはP≫M≧2Kなる関係を満たす必要がある。関数e・∇yN(・,y)を離散化したものは、以下の(10)式で定義されるように、電位の計測点{x1,・・・,xP}における値を対応させるベクトルg(y)となる。
同様に、電流密度fm(m=1,・・・,M)を与えたときの外周境界∂Ω上の検査時の電位分布および基準状態時の電位分布をそれぞれum、Umとすると、(6)式で定義したA[fm]を離散化したものは、電位の計測点{x1,・・・,xP}における値を対応させるベクトル[(um−Um)(xp)]p=1,・・・,Pとなる。従って、Range(A)を離散化したものは、ベクトルの族{[(um−Um)(xp)]p=1,・・・,Pm=1,・・・,Mが張る空間、即ち、以下の(11)式で定義するP行M列の行列R(P×M行列)を用いてRange(R)となる。
従って、(9)式を離散化したものは、(10)式および(11)式で定義したベクトルg(y)および行列Rを用いた以下の(12)式となる。つまり、底板領域Ω内の位置yについて、(10)式でベクトルg(y)を算出し、このベクトルg(y)が、底板1の外周で計測される電位から(11)式で求められる行列Rの値域Range(R)に属すれば、この位置yは損傷位置であることを意味する。尚、底板領域Ωの損傷が基準状態時から変化していない場合(基準状態時に底板領域Ωの損傷がない場合には、その後の検査時において損傷が生じていない場合)、(11)式において、um−Um=((um−Um)(x1)・・・(um−Um)(xp))は0(=(0・・・0))になる。
ここで、ベクトルg(y)が、行列Rの値域Range(R)に属するか否かを判定する方法の一例について説明する。行列Rの値域Range(R)は、RP空間(P次元ベクトル空間)の部分空間となるため、ベクトルg(y)を、行列Rの値域Range(R)へ射影したものがベクトルg(y)と一致すれば、ベクトルg(y)は、行列Rの値域Range(R)に属することになる。そこで、例えば、以下のような方法で、ベクトルg(y)が、行列Rの値域Range(R)に属するか否かを判定することができる。まず、以下の(13)式に示すように、行列Rの特異値分解(singular value decomposition)を行う。
ここで、v1,・・・,vMはP次元ベクトルである。w1,・・・,wMはM次元ベクトルである。尚、○内に×の記号は、2つのベクトルの直積演算記号である。λ1≧λ2≧・・・≧λM≧0であり、最大固有値λ1と比べて微小な固有値を除いた主固有値をλ1,・・・,λsとすると、λs+1,・・・,λMはノイズに対応する固有値となる。主固有値は、例えば、最大固有値の0.1倍以上のものとすればよい。ノイズ成分を排除した行列Rの値域Range(R)は主固有値λ1,・・・,λsに対応する固有ベクトルv1,・・・,vsで張られる部分空間にとなる。従って、行列Rの値域Range(R)への射影行列Pは、以下の(14)式で与えられる。
ベクトルg(y)の、行列Rの値域Range(R)への射影Pg(y)が、ベクトルg(y)と一致しているかどうかを判別するには、ベクトルg(y)の、行列Rの値域Range(R)の補空間への射影(I−P)g(y)の大きさと、Pg(y)の大きさとを比較すればよい。ここで、Iは恒等行列(単位行列)である。つまり、以下の(15)式で定義されるイメージ関数L(y)が発散するときに、ベクトルg(y)の、行列Rの値域Range(R)への射影Pg(y)は、ベクトルg(y)と一致、即ち、ベクトルg(y)は、行列Rの値域Range(R)に属する。
底板領域Ω内の位置yについて網羅的に(15)式で定義したイメージ関数L(y)を算出し、イメージ関数L(y)がピークをもつ位置または閾値を上回る位置を、損傷位置として検出することが可能になる。以上が、MUSICアルゴリズムに関する説明である。
[MUSICアルゴリズムの拡張]
本発明者らはタンクの底板1の損傷の検出へのMUSICアルゴリズムの適用を試み、ミニチュアサンプルラボ実験を実施した。その結果、1点の損傷の検出は可能であるが、計測ノイズの影響を受けて複数点の損傷の検出が困難であるとの問題に直面したため、この問題を解決すべく鋭意検討した。MUSICアルゴリズムにおいて損傷情報は、(11)式で定義される行列Rに含まれている。従って、時系列的に検査を実施して得られ、蓄積した行列Rを使用すれば、時系列上の異なるタイミングで検査したときのノイズ成分の情報は行列Rの中で平準化されると考えた。これに対して、損傷は時間経過とともに縮小又は消滅することは無いので、損傷情報は、行列Rの中で強調されると考えた。この考え方は、MUSICアルゴリズムで展開されている偏微分方程式論の枠を超えたものであり、本発明者らはこの方法が実用的であることを、数多くの実験を実施して確認した。具体的なアルゴリズムを以下の通りである。
まず、Q回実施した検査から得られたデータを基に損傷検査を行うことにする。q回目(q=1,・・・,Q)の検査において与えた電流密度分布の数をMqとし、(11)式で得られた行列をR1,・・・,RQとする。各行列RqはP×Mq行列であるから、これらは結合することができる。M=M1+・・・+MQとすると、結合した行列R=[R1 ・・・ RQ]はP×M行列となり、この結合した行列Rを用いて(15)式で定義したイメージ関数L(y)を求めればよい。このとき、M≧Pとなり得るが、特異値分解以降の処理はMUSICアルゴリズムと同様に実施できる。
尚、前述したように、(15)式で定義されるイメージ関数L(y)が発散するときに、ベクトルg(y)は行列Rの値域Range(R)に属する。従って、(15)式の分母(即ち、ベクトルg(y)の、行列Rの値域Range(R)の補空間への射影(I−P)g(y))の大きさを評価すれば、ベクトルg(y)が、行列Rの値域Range(R)に属するか否かを判別することができる。よって、例えば、(15)式の分子を、ベクトルg(y)の、行列Rの値域Range(R)への射影Pg(y)に代えて、スカラー量(例えば「1」)を採用してもよい。
[損傷検査システム]
次に、本実施形態の損傷検査システムを説明する。図3は、損傷検査システムの構成の一例を示す図である。
図3において、損傷検査システムは、タンク310の損傷を検査するシステムであり、電源装置320と、電圧計330と、損傷検査装置340とを有する。
<ハードウェアの構成>
タンク310には、図1および図2を参照しながら説明したように、電極端子2a〜2hと、計測点3a〜3hとが配置される。前述したように、電極端子2a〜2hと計測点3a〜3hは、タンク310の底板1の外周に配置されるのが好ましいが、タンク310の側板に配置してもよい。
電源装置320は、タンク310に配置された電極端子2a〜2hの何れか2つに接続され、一定値の電流(直流電流)を所定の時間流す。
電圧計330は、電極端子2a〜2hの何れか2つに一定値の電流が流されている間、各計測点3a〜3hの電位をそれぞれ測定する。前述したように、各計測点3a〜3hの電位は、一の基準点の電位(共通の電位)に対する電位差のことである。計測点3a〜3hの数と同数の電圧計330を用いてもよいし、計測点3a〜3hの数よりも少ない数(例えば1つ)の電圧計330で計測点3a〜3hの電位を順番に測定してもよい。
前述したように、電極端子2a〜2hのうちの2つの電極端子の組み合わせパターンとして相互に異なる複数の組み合わせパターンのそれぞれにおいて各計測点3a〜3hの電位が測定される。即ち、電源装置320を2つの電極端子に接続して当該2つの電極端子に電流を流して各計測点3a〜3hの電位を測定することを、当該2つの電極端子を異ならせて行う。このように本実施形態では、2つの電極端子の組み合わせパターンを変更することにより、2つの電極端子の間に流す電流のパターンを変更する。2つの電極端子の間に流す電流のパターン(2つの電極端子の組み合わせパターン)の数は、複数であれば任意である。ただし、前述したようにMUSICアルゴリズムでは損傷の個数Kの2倍以上の観測データが必要であることから、できるだけ多くのパターンを確保できるようにするのが好ましい。図1および図2に示す例では、2つの電極端子の組み合わせパターンとして28パターンあるので、これら28パターンの全てにおいて各計測点3a〜3hの電位を測定するのが好ましい。
損傷検査装置340は、2つの電極端子の間に流す電流のパターン(2つの電極端子の組み合わせパターン)のそれぞれにおいて電圧計330により測定された各計測点3a〜3hの電位を入力する。そして、損傷検査装置340は、各計測点3a〜3hの電位を用いて、タンク310の底板1に損傷が生じているか否かを判定すると共に、損傷が生じている場合には、その位置と程度とを導出する。このように、損傷検査装置340は、タンク310の底板1の損傷位置と、当該損傷位置における損傷の程度を非破壊検査する。損傷検査装置340のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または専用のハードウェアを用いることにより実現される。
<損傷検査装置340の機能>
図3を参照しながら、損傷検査装置340が有する機能の一例を説明する。
(電位取得部341)
電位取得部341は、2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれについて、当該2つの電極端子の間に電流を流したときに電圧計330により測定された各計測点3a〜3hの電位を取得する。
本実施形態では、電位取得部341は、タンク310が基準状態である時に、2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれについて、当該2つの電極端子の間に電流を流したときの各計測点3a〜3hの電位を取得する。電位取得部341は、その後、タンク310の検査時において、同じく2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれについて、当該2つの電極端子の間に電流を流したときの各計測点3a〜3hの電位を取得する。
ここで、基準状態である時の電位については計測値を取得する代わりに、有限要素法等により電流条件を与えて算出される値を取得してもよい。
また、タンク310が基準状態である時とは、例えば、タンク310の使用開始時である。ただし、タンク310が基準状態である時は、タンク310の使用開始時に限定されず、使用開始後の時系列上の所定のタイミングであってもよい。尚、前述したように、検査時は、基準状態時よりも後のタイミングになる。また、実際にタンク310に用いられる底板1では、必ずしも使用開始時に健全部だけが存在するわけでなく、凹凸等が存在する場合がある。このような場合には、損傷が無い状態を基準状態とし、前述のように有限要素法等により電流条件を与えて算出される電位を基準状態である時の電位とし、タンク310の使用開始後を検査時としてもよい。
また、各計測点3a〜3hの電位の取得形態は、例えば、測定者による損傷検査装置340に対する入力操作、各計測点3a〜3hの電位を示す情報の外部装置からの送信、または各計測点3a〜3hの電位を示す情報を記憶した可搬型の記憶媒体からの読み出しにより実現される。
(損傷位置導出部342)
損傷位置導出部342は、電位取得部341により取得された各計測点3a〜3hの電位に基づいて、タンク310の底板1の損傷の有無の判定と、損傷がある場合の損傷位置の導出とを行う。以下に、損傷位置導出部342で行われる処理の一例を説明する。
まず、損傷位置導出部342は、2つの電極端子の間に流す電流のパターン(2つの電極端子の組み合わせパターン)が同一のパターンであるものについて、タンク310の検査時における各計測点3a〜3hの電位(電位分布u)から、タンク310が基準状態である時の各計測点3a〜3hの電位(電位分布U)を減算する。損傷位置導出部342は、このような各計測点3a〜3hの電位の減算を、2つの電極端子の間に流す電流のパターン(2つの電極端子の組み合わせパターン)のそれぞれについて個別に行う。以下の説明では、このようにして導出される、タンク310の検査時における各計測点3a〜3hの電位からタンク310が基準状態である時の各計測点3a〜3hの電位を減算した電位を、必要に応じて「差分電位」と称する。
図4および図5は、差分電位の分布の一例を示す図である。図4および図5において、電位計測位置は、タンク310の底板1の外周の位置を、図1および図2に示す角度として示したものである。但し、周方向に5[°]ずつ位相をずらして72点の計測点が配置されている点で図1に示したものとは異なる。また、枠内に示す「数字−数字」は、2つの電極端子の組み合わせパターンを示し、当該数字は、図1および図2に示す角度を示す。例えば「0−180」は、電極端子2a、2eの組み合わせを示す。
尚、ここでは、実測値ではなく計算値を用いた。具体的に説明すると、図4および図5は、図1に示すように、直径1.3[m]、厚さ3[mm]のSUS304で構成されたタンクの底板1の中心点から(347mm,200mm)の位置に直径40[mm]の円柱状の損傷5を設定して、底板1の外周上の異なる2点を正極、負極とし、20[A]の直流電流を流した場合の底板1の外周上の電位を有限要素法により計算した結果を示す。図4は、損傷5の深さが3[mm]である場合(損傷5が貫通孔となっている場合)の結果を示し、図5は、損傷5の深さが1[mm]である場合の結果を示す。また、図4および図5では、表記の都合上、2つの電極端子の組み合わせパターンとして8個のパターンのみを示すが、前述したように、2つの電極端子の組み合わせパターンは最大で28個となる。
損傷位置導出部342は、以上の差分電位u−Uに基づいて、前述したMUSICアルゴリズムを利用して底板1の損傷の有無を判定すると共に、損傷がある場合には、損傷位置を導出する。即ち、損傷位置導出部342は、差分電位u−Uから、行列Rを導出して結合し、その特異値分解を行い、その結果から、当該結合した行列Rの値域Range(R)への射影行列Pを導出する。そして、損傷位置導出部342は、底板領域Ω内の位置yについて網羅的にイメージ関数L(y)を導出する。本実施形態では、28パターンの2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれにおいて測定された外周境界∂Ω上の検査時の電位分布umと、当該組み合わせパターンのそれぞれにおいて測定された外周境界∂Ω上の基準状態時の電位分布Umとを用いて(11)式に示す行列Rを導出する。このような行列Rの導出を、複数回(Q回)の検査のそれぞれにおいて行う。[MUSICアルゴリズムの拡張]の項で説明したようにこれら複数(Q個)の行列Rを結合する。イメージ関数L(y)を用いることにより、底板1の基準状態時以降に発生した損傷位置を捉えることができ、タンク310の使用や経年変化により発生する損傷を精度良く検査することができる。
前述したように、理論的にはイメージ関数L(y)の値が発散するときの位置yが損傷位置になるが、実際には、位置yが損傷位置であってもイメージ関数L(y)は有限の値になることが殆どである。しかしながら、損傷位置におけるイメージ関数L(y)の値は、損傷位置を除いた大部分の位置におけるイメージ関数L(y)の値よりも大きくなることは維持される。そこで、損傷位置導出部342は、イメージ関数L(y)の値が予め定めた第1の閾値以上であるか否かを判定する。例えば、損傷位置が既知のタンクを検査対象としてイメージ関数L(y)を導出し、導出したイメージ関数L(y)の値から、損傷が存在していると見なせるイメージ関数L(y)の値を同定し、同定した値から第1の閾値を定めることができる。
この判定の結果、イメージ関数L(y)の値が第1の閾値以上である場合、損傷位置導出部342は、検査対象のタンク310の底板1に基準状態から進展している損傷があると判定し、当該値を有する位置yを損傷位置yとして導出する。一方、第1の閾値以上のイメージ関数L(y)がない場合、損傷位置導出部342は、検査対象のタンク310の底板1に基準状態から進展している損傷はないと判定する。
ここで、損傷位置導出部342は、第1の閾値以上であるイメージ関数L(y)があるか否かを判定することに代えて、イメージ関数L(y)がピークを有するか否かを判定してもよい。この場合、損傷位置導出部342は、イメージ関数L(y)がピークを有する場合に、検査対象のタンク310の底板1に基準状態から進展している損傷があると判定し、当該値を有する位置yを損傷位置yとして導出する。
図6は、タンク310の底板1におけるイメージ関数L(y)から損傷位置が導出されることを説明するための図である。具体的に図6は、図1に示すタンク310の底板1におけるイメージ関数L(y)のコンター図の一例を示す図である。図6に示すケース1、ケース3は、それぞれ、図4、図5に示す差分電位u−Uから導出したイメージ関数L(y)を示す。ケース2、4、5は、欠陥5の直径と深さを変えた他はケース1、3の場合と同じ条件で導出したイメージ関数L(y)を示す。尚、ケース1、2、3は、損傷5の直径(面積)を同一とし深さを異ならせた場合のイメージ関数L(y)を示し、ケース3、4、5は、損傷5の体積を同一とし深さを異ならせた場合のイメージ関数L(y)を示す。図6に示すケース1〜5では、損傷5の数は1つである(既知である)ので、ここでは、イメージ関数L(y)が最大となる位置yを損傷位置yとした。図6では、損傷位置yを白丸で示す。図6に示すように、何れのケースにおいても、差分電位u−Uにノイズがなければ、図5に示すように、差分電位u−Uの変化が小さくても、損傷の程度に関わらず、損傷位置yを精度よく導出することができることが分かる。
(損傷程度導出部343)
実際にタンク310の底板1を非破壊で検査する場合には、損傷位置だけでなく、損傷の程度(大きさや深さ)を把握することも重要である。補修が必要な損傷であるか否かを判断することができるからである。前述したMUSICアルゴリズムにおける分極テンソルMjは、損傷の形状を表現するものである。しかしながら、分極テンソルMjを高精度に導出することは容易ではない。そこで、損傷の程度を容易に且つ正確に導出する技術が求められる。
前述したように、本発明者らは、イメージ関数L(y)の値を用いることにより、差分電位u−Uにノイズがなければ、損傷の程度に関わらず、損傷位置yを精度よく導出することができることを見出した。本発明者らは、この事実に着目し、差分電位u−Uにノイズがあれば、損傷の程度によりイメージ関数L(y)が異なると考え、鋭意検討した結果、差分電位u−Uに敢えてノイズを付加してイメージ関数L(y)を導出することを試みた。そして、損傷が存在していると見なせるイメージ関数L(y)の値が検出できなくなるときに差分電位u−Uに付加したノイズの大きさが、損傷の程度に対応付けられることを見出した。また、前述したMUSICアルゴリズムを利用する場合には、差分電位u−Uに、平均(各時間におけるノイズの大きさの平均)が0(ゼロ)のノイズを付加(重畳)する必要があることを見出した。ここで、平均が0(ゼロ)のノイズを付加する理由は、平均が0(ゼロ)のノイズを付加することによって、イメージ関数L(y)の値が減少する傾向にあり、この性質を損傷の程度の導出に利用するためである。これに対し、平均が0(ゼロ)でないノイズを付加した場合、ノイズのバイアス成分によってイメージ関数L(y)のピーク値が上昇したり、ピーク位置が移動するなどして、イメージ関数L(y)の値が減少する傾向を示さなくなるためである。
そこで、損傷程度導出部343は、平均が0(ゼロ)のノイズnuを生成し、損傷位置導出部342により導出された差分電位u−Uのそれぞれに、生成したノイズnuを付加(重畳)したものをノイズ付加差分電位u−U+nuとして生成する。尚、本実施形態では、損傷位置導出部342により導出される差分電位u−Uの数は、28(=2つの電極端子の組み合わせパターンの総数)×Q(タンク310の検査の実施回数)である。また、前述したように、複数回(Q回の)検査を行うことによりノイズを平準化できるので、このようにすれば損傷位置および当該損傷位置における損傷の程度をより高精度に導出することができるので好ましいが、検査の回数は1回であってもよい。
ノイズを生成する際には、例えば、乱数を生成し、生成した乱数を用いる。乱数は、平均が0(ゼロ)であれば、正規分布に従うものでも、一様分布に従うものでも、その他の確率分布に従うものでもよく、ノイズがどのような確率分布に従うかは特に限定されない。例えば、損傷程度導出部343は、損傷位置導出部342により導出された差分電位u−Uのそれぞれに、正規分布に従うノイズを付加することができる。また、損傷程度導出部343は、このようなノイズの大きさを段階的に大きくする。本実施形態では、ノイズの標準偏差を大きくすることによりノイズの大きさを大きくする場合を例に挙げて説明する。尚、ノイズの大きさに依存する指標を用いていれば、必ずしも標準偏差を用いる必要はない。例えば、ノイズが一様分布に従うものである場合には、分布の範囲を変えることによりノイズの大きさを変えることができる。尚、ここでは、損傷位置導出部342により導出された差分電位u−Uにノイズを付加したものをノイズ付加差分電位u−U+nuとして生成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、ノイズ付加差分電位u−U+nuは、平均が0(ゼロ)のノイズが付加された差分電位であれば、必ずしもこのようにしてノイズ付加差分電位u−U+nuを生成する必要はない。例えば、基準状態時において、ホワイトノイズを付加(重畳)した電流を2つの電極端子の間に流したときの各計測点3a〜3hにおける電位を、時間を違えて測定し、検査時の電位から基準状態時の電位を減算した電位を、ノイズ付加差分電位u−U+nuとして生成してもよい。
図7および図8は、ノイズ付加差分電位の分布の一例を示す図である。図7、図8は、それぞれ、図4、図5に示した差分電位に、平均が0(ゼロ)で標準偏差が7.0×10-10の正規分布ノイズを付加したものである。
損傷程度導出部343は、ノイズ付加差分電位u−U+nuに基づいて、底板領域Ω内の位置yについて網羅的にイメージ関数L(y)を導出する。このイメージ関数L(y)は、差分電位u−Uの代わりにノイズ付加差分電位u−U+nuを用いる他は、損傷位置導出部342でイメージ関数L(y)を導出するのと同じ方法で導出される。
前述したように、厳密には、損傷が存在していると見なせるイメージ関数L(y)の値が検出できなくなるときに差分電位u−Uに付加したノイズの大きさが損傷の程度に対応するが、実際には、ノイズの大きさを大きくしても、損傷が存在していると見なせるイメージ関数L(y)の値が検出できなくならない場合があり、また、実用上、損傷が存在していると見なせるイメージ関数L(y)の値が検出できなくなるまで差分電位u−Uに付加するノイズの大きさを大きくする必要はない。
そこで、損傷程度導出部343は、損傷位置導出部342により導出された損傷位置の少なくとも1つにおいて、イメージ関数L(y)の値が予め定めた第2の閾値THを下回るか否かを判定する。第2の閾値THとして、例えば、損傷が存在していると見なせるイメージ関数L(y)の値が設定される(尚、第2の閾値THは、前述した第1の閾値以下の値になる)。この判定の結果、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置がない場合、損傷程度導出部343は、現在のノイズ付加差分電位u−U+nuに付加したノイズよりも大きさを1段階大きくしたノイズを付加したノイズ付加差分電位u−U+nuを生成し、当該ノイズ付加差分電位u−U+nuに基づいて、底板領域Ω内の位置yについて網羅的にイメージ関数L(y)を導出する。このような処理を、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置が存在すると判定するまで繰り返し行う。
そして、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置が存在すると判定すると、損傷程度導出部343は、当該損傷位置におけるイメージ関数L(y)の値のうち、第2の閾値THに最も近いイメージ関数L(y)を導出する。そして、損傷程度導出部343は、当該イメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさ(本実施形態では標準偏差)に基づいて、当該損傷位置の損傷の程度を導出する。本実施形態では、損傷の程度は、定量的なものでなく、「大」、「中」、「小」といった、損傷の程度を表す複数の区分で表される。
図9は、或る損傷位置におけるイメージ関数L(y)の値と、当該イメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさとの関係の一例を概念的に示す図である。
図9(a)において、第2の閾値THに最も近い値が得られるイメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさ(標準偏差)は、A1である。A1は、第2の閾値THを下回る値が得られるイメージ関数L(y)のうち最大の値が得られるイメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさ(標準偏差)である。図9(a)に示す例では、損傷程度導出部343は、ノイズの大きさA1に対応する損傷の程度を導出する。
一方、図9(b)において、第2の閾値THに最も近い値が得られるイメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさ(標準偏差)は、A2である。A2は、第2の閾値TH以上の値が得られるイメージ関数L(y)のうち最小の値が得られるイメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさ(標準偏差)である。図9(b)に示す例では、損傷程度導出部343は、ノイズの大きさA2に対応する損傷の程度を導出する。
尚、以上のように、実際に導出したイメージ関数L(y)の値の中から第2の閾値THに最も近いイメージ関数L(y)を探索することに代えて、損傷程度導出部343は、損傷位置におけるイメージ関数L(y)の値とノイズの大きさ(本実施形態では標準偏差)との関係式を導出し、当該関係式を用いて、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THであるときのノイズの大きさ(標準偏差)を導出し、当該ノイズの大きさ(標準偏差)に対応する損傷の程度を導出してもよい。イメージ関数L(y)の値とノイズの大きさ(標準偏差)との関係式は、例えば、イメージ関数L(y)の値とノイズの大きさとの関係を示す近似関数を、最小二乗法等を用いて導出することにより得られる。また、第2の閾値THを跨ぐ2つの点(図9(a)に示す例では点901、902、図9(b)に示す点では903、904)を線形近似して、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THであるときのノイズの大きさ(標準偏差)を導出してもよい。
次に、第2の閾値THに最も近い値が得られるイメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさ(本実施形態では標準偏差)に基づいて、当該損傷位置の損傷の程度を導出する方法の一例を説明する。
まず、損傷の位置および程度が既知のタンクを検査対象としてノイズ付加差分電位u−U+nuを用いてイメージ関数L(y)を導出することを、損傷の程度とノイズの大きさとを変更して行う。このときに変更の対象となる損傷の程度には、前述した大、中、小の区分の境界における損傷の程度が含まれるようにする。そして、それぞれの損傷の程度において、イメージ関数L(y)の値とノイズの大きさ(本実施形態では標準偏差)との関係式を導出し、当該関係式を用いて、第2の閾値THとなるときのノイズの大きさ(標準偏差)を導出する。そして、その結果から、損傷の程度を表す区分と、第2の閾値THに対応するノイズの大きさ(標準偏差)の範囲とを相互に関連付けて記憶するテーブルを作成して、損傷検査装置340に入力し、損傷検査装置340の記憶媒体に記憶させる。
本実施形態では、損傷程度導出部343は、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置におけるイメージ関数L(y)の値のうち、第2の閾値THに最も近い値が得られるイメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさ(標準偏差)に対応付けられている損傷の程度を表す区分を、前記テーブルから読み出し、当該区分を、当該位置の損傷の程度とする。
損傷位置導出部342により導出された損傷位置の全てについて損傷の程度が導出されるまで、以上の損傷程度導出部343による処理が繰り返し行われる。
図10は、タンク310の底板1におけるイメージ関数L(y)から損傷の程度が導出されることを説明するための図である。具体的に図10は、タンク310の底板1におけるイメージ関数L(y)のコンター図の一例を示す図である。図10に示すケース1、ケース3は、それぞれ、図7、図8に示すノイズ付加差分電位u−U+nuから導出したイメージ関数L(y)を示す。図10のケース1〜5は、それぞれ図6に示すケース1〜5の損傷位置におけるイメージ関数L(y)に対応するものである。図10において、損傷5の直径(面積)を同一とし深さを異ならせた場合のケース1〜3において、損傷5の深さが浅くなるにつれて、イメージ関数L(y)の値が小さくなり、ケース3ではケース1の60[%]程度の値となる。また、損傷5の体積を同一とし深さを異ならせた場合のケース3〜5においても、損傷5の深さが浅いほど、イメージ関数L(y)の値が小さくなることが分かる。このように、ノイズの大きさが同じ場合、損傷5の程度が小さいほど、検出できなくなるイメージ関数L(y)の値も小さくなることが分かる。
(出力部344)
出力部344は、損傷位置導出部342により導出された損傷位置を示す情報と、損傷程度導出部343により導出された当該損傷位置における損傷の程度を表す区分を示す情報を出力する。情報の出力形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示と、外部装置への送信と、損傷検査装置340の内部または外部の記憶媒体への記憶との少なくとも何れか1つ採用することができる。
<フローチャート>
次に、図11のフローチャートを参照しながら、本実施形態の損傷検査システムにおける損傷検査方法の一例を説明する。
まず、ステップS1101において、基準状態時において、タンク310に配置された2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれについて、当該2つの電極端子の間に電流を流したときの各計測点3a〜3hの電位を計測する。前述したように基準状態時は、例えば、タンク310の使用開始時であるが、タンク310の使用開始時に限定されず、使用開始後の時系列上の所定のタイミングであってもよい。電位取得部341は、このようにして測定された各計測点3a〜3hの電位を取得する。
次に、ステップS1102において、時系列上の異なる複数の検査時において、タンク310に配置された2つの電極端子の組み合わせパターンのそれぞれについて、当該2つの電極端子の間に電流を流したときの各計測点3a〜3hの電位を計測する。電位取得部341は、このようにして測定された各計測点3a〜3hの電位を取得する。尚、ステップS1101、S1102における電流の大きさは同じである。
次に、ステップS1103において、損傷位置導出部342は、2つの電極端子の組み合わせパターンが同一であるものについて、タンク310の検査時における各計測点3a〜3hの電位(電位分布u)から、タンク310の基準状態時における各計測点3a〜3hの電位(電位分布U)を減算し、差分電位u−Uを導出する。そして、損傷位置導出部342は、差分電位u−Uに基づいて、底板領域Ω内の位置yについて網羅的にイメージ関数L(y)を導出する。
次に、ステップS1104において、損傷位置導出部342は、イメージ関数L(y)の値が第1の閾値を下回る位置yがあるか否かを判定する。この判定の結果、イメージ関数L(y)の値が第1の閾値を下回る位置yがない場合には、タンク310の底板1に損傷がないと判定し、図11のフローチャートによる処理を終了する。
一方、イメージ関数L(y)の値が第1の閾値を下回る位置yがある場合には、ステップS1105に進む。ステップS1105に進むと、損傷位置導出部342は、当該位置yを損傷位置として設定する。
次に、ステップS1106において、損傷程度導出部343は、平均が0(ゼロ)のノイズを生成し、ステップS1103で導出された差分電位u−Uのそれぞれに、当該生成したノイズを付加(重畳)し、ノイズ付加差分電位u−U+nuを生成する。後述するようにステップS1106の処理は繰り返し行われる。繰り返し回数が大きくなるほど、生成するノイズの大きさを大きくする。差分電位u−Uに付加するノイズの大きさについては予め設定されているものとする。前述したように本実施形態では、ノイズの標準偏差を大きくすることによりノイズの大きさを大きくする。
次に、ステップS1107において、損傷程度導出部343は、ステップS1106で生成されたノイズ付加差分電位u−U+nuに基づいて、底板領域Ω内の位置yについて網羅的にイメージ関数L(y)を導出する。
次に、ステップS1108において、損傷程度導出部343は、ステップS1105で設定された損傷位置の中に、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置があるか否かを判定する。
この判定の結果、ステップS1105で設定された損傷位置の中に、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置がない場合には、ステップS1106に戻る。そして、ノイズの大きさを大きくしたノイズ付加差分電位u−U+nuに基づいて、底板領域Ω内の位置yについて網羅的にイメージ関数L(y)を導出し、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置があるか否かを判定する。以上のステップS1106〜S1108の処理を、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置があると判定されるまで繰り返し行う。
そして、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置があると判定されると、ステップS1109に進む。ステップS1109に進むと、損傷程度導出部343は、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回る損傷位置についてステップS1107で導出したイメージ関数L(y)の値のうち、第2の閾値THに最も近いイメージ関数L(y)を導出する。そして、損傷程度導出部343は、当該イメージ関数L(y)を導出した際にステップS1106で差分電位u−Uに付加したノイズの大きさに基づいて、損傷の程度を表す区分を導出する。前述したように本実施形態では、損傷程度導出部343は、損傷の程度を表す区分と、第2の閾値THに対応するノイズの大きさの範囲とを相互に関連付けて記憶するテーブルを用いて、損傷の程度を表す区分を導出する。
次に、ステップS1110において、損傷程度導出部343は、ステップS1105で設定された全ての損傷位置について、損傷の程度を表す区分を導出したか否かを判定する。この判定の結果、損傷の程度を表す区分を導出していない場合には、ステップS1106に戻り、ステップS1105で設定された全ての損傷位置について、損傷の程度を表す区分を導出するまで、ステップS1106〜S1110の処理を繰り返し行う。そして、ステップS1105で設定された全ての損傷位置について、損傷の程度を表す区分が導出されると、ステップS1111に進む。
ステップS1111に進むと、出力部344は、ステップS1105で設定された損傷位置を示す情報と、ステップS1109で導出された当該損傷位置の程度を表す区分を示す情報を出力する。そして、図11のフローチャートによる処理を終了する。
<実施例>
図12は、タンク310の底板1におけるイメージ関数L(y)のコンター図の一例を示す図である。図12では、直径8[m]、厚さ9[mm]の普通鋼で構成されたタンクの底板1の中心点から(3300mm,570mm)、(2300mm,−2100mm)、(−1300mm,−2500mm)の位置に直径200[mm]で深さがそれぞれ4[mm]、6[mm]、2[mm]の円柱状の損傷を設定して、底板1の外周上の異なる2点を正極、負極とし、30[A]の直流電流を流した場合の底板1の外周上の電位を、有限要素法により計算し、当該電位を用いてイメージ関数L(y)を導出した結果を示す。ここでは、第1の閾値及び第2の閾値として、(図12のタンク310の底板1におけるコンター図の横に示す当該コンター図の濃度を示す値において)3.5を採用した。図12(a)は、ノイズを付加しない差分電位u−Uから導出したイメージ関数L(y)を示す。図12(a)より、位置1201、1202、1203が損傷位置として導出された。図12(b)には、標準偏差が0.2σの正規分布に従うノイズnuを差分電位u−Uに付加したノイズ付加差分電位u−U+nuから導出したイメージ関数L(y)を示す。図12(c)には、標準偏差が0.4σの正規分布に従うノイズnuを差分電位u−Uに付加したノイズ付加差分電位u−U+nuから導出したイメージ関数L(y)を示す。本実施例におけるσは、各パターンの電流を印加した際の差分電位u−Uの標準偏差の平均値である。
図12(b)に示すように、標準偏差が0.2σの正規分布に従うノイズを差分電位u−Uに付加すると、損傷位置1201、1202については、イメージ関数L(y)が3.5以上の値を保持しているが、損傷位置1203については、イメージ関数L(y)が3.5未満となる。また、図12(c)に示すように、標準偏差が0.4σの正規分布に従うノイズを差分電位u−Uに付加すると、損傷位置1202については、イメージ関数L(y)が3.5以上の値を保持しているが、損傷位置1201については、イメージ関数L(y)が3.5未満となる。
以上のことから、損傷位置1202、1201、1203の順で大きな損傷が発生していることが分かる。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、差分電位u−Uに基づいてイメージ関数L(y)を導出して損傷位置を特定し、特定した損傷位置のそれぞれについて、差分電位u−Uに平均0(ゼロ)のノイズを付加したノイズ付加差分電位u−U+nuに基づいてイメージ関数L(y)を導出することを、イメージ関数L(y)の値が第2の閾値THを下回るまで、ノイズの大きさを段階的に大きくしながら行う。そして、第2の閾値THに最も近いイメージ関数L(y)を導出した際に差分電位u−Uに付加したノイズの大きさに基づいて当該損傷位置の損傷の程度を導出する。従って、多大な時間や検査費用を要することなく、タンク310の底板1の損傷位置を正確に検査することができると共に、分極テンソルMjを導出しなくても、当該損傷位置の損傷の程度を精度よく非破壊で導出することができる。
尚、以上説明した本発明の実施形態のうち、損傷検査装置340で行われる処理は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
<請求項との関係>
以下に、実施形態と請求項との関係の一例について説明する。尚、請求項の記載に対応する事項が以下のものに限定されないことは、前述した通りである。
電極端子は、例えば、電極端子2a〜2hにより実現される。
計測点は、例えば、計測点3a〜3hにより実現される。
測定手段は、例えば、電源装置320および電圧計330を用いることにより実現される。
電位取得手段は、例えば、電位取得部341を用いることにより実現される。
損傷位置導出手段は、例えば、損傷位置導出部342を用いることにより実現される。
損傷程度導出手段は、例えば、損傷程度導出部343を用いることにより実現される。
差分電位は、例えば、タンク310の検査時における各計測点3a〜3hの電位からタンク310が基準状態である時の各計測点3a〜3hの電位を減算した電位(差分電位u−U)により実現される。
差分電位に基づくイメージ関数は、例えば、イメージ関数L(y)により実現される。
ノイズ付加差分電位は、例えば、差分電位u−Uにノイズを付加(重畳)した電位(u−U+nu)により実現される。
ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、例えば、差分電位u−Uの代わりにノイズ付加差分電位u−U+nuを用いて導出されるイメージ関数L(y)により実現される。
損傷探索用ベクトルは、例えば、ベクトルg(y)(底板領域Ω内の位置yに応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の計測点{x1,・・・,xP}上の値(電位の算出値)が成すベクトル)により実現される。
前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列は、例えば、(11)式により表現される行列Rにより実現される。
前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列は、例えば、差分電位u−Uの代わりにノイズ付加差分電位u−U+nuを用いて(11)式により表現される行列Rにより実現される。
1:底板、2a〜2h:電極端子。3a〜3h:計測点、310:タンク、320:電源装置、330:電圧計、340:損傷検査装置、341:電位取得部、342:損傷位置導出部、343:損傷程度導出部、344:出力部

Claims (8)

  1. 側板と底板とを有するタンクの底板の損傷を検査する損傷検査システムであって、
    前記底板の外周または前記側板に周方向に位相をずらして配置された複数の電極端子と、
    前記底板の外周または前記タンクの側板に周方向に位相をずらして配置された3点以上の計測点と、
    前記複数の電極端子のうちの2つの電極端子の間に電流を流すことを、パターンを変更しながら実行し、それぞれのパターンの電流を流したときの前記計測点のそれぞれの電位を測定する測定手段と、
    前記タンクの底板の損傷の位置と当該損傷の程度とを導出する損傷検査装置と、を有し、
    前記損傷検査装置は、前記測定手段により測定された電位を取得する電位取得手段と、
    前記タンクの底板の損傷の位置を導出する損傷位置導出手段と、
    前記損傷位置導出手段により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する損傷程度導出手段と、を有し、
    前記測定手段により測定される前記電位は、一の基準点の電位に対する電位差であり、
    前記損傷位置導出手段は、相互に同じ前記パターンの電流を流すことにより前記測定手段により測定された、前記タンクの検査時における前記計測点の電位と、当該タンクの基準状態時における当該計測点の電位との差分電位を、前記パターンごとに前記計測点のそれぞれについて導出する第1の手段と、
    前記第1の手段により導出された前記差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する第2の手段と、を有し、
    前記損傷程度導出手段は、平均が0(ゼロ)のノイズが付加された前記差分電位であるノイズ付加差分電位を生成する第3の手段と、
    前記第3の手段により生成された前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記損傷位置導出手段により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する第4の手段と、を有し、
    前記第1の手段により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
    前記第3の手段により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
    前記損傷探索用ベクトルは、前記底板の領域内の位置に応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の前記計測点における値が成すベクトルであり、
    前記差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列を含み、
    前記ノイズ付加差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列を含むことを特徴とする損傷検査システム。
  2. 前記損傷位置導出手段は、前記差分電位に基づくイメージ関数のピークの探索、または、前記差分電位に基づくイメージ関数と予め定めた第1の閾値との比較を行った結果に基づいて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出することを特徴とする請求項1に記載の損傷検査システム。
  3. 前記損傷程度導出手段は、複数の前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数のそれぞれと予め定めた第2の閾値とを比較した結果であって、前記複数の前記ノイズ付加差分電位を相互に異なる大きさの前記ノイズが付加された前記差分電位としたときの結果に基づいて、前記損傷位置導出手段により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出することを特徴とする請求項1または2に記載の損傷検査システム。
  4. 前記電極端子は、3つ以上あり、
    前記パターンを変更するとは、2つの前記電極端子の組み合わせを変更することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の損傷検査システム。
  5. 前記第1の手段により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、前記損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさに対する、前記損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域への射影の大きさの比を用いて表され、
    前記第3の手段により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、前記損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさに対する、前記損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域への射影の大きさの比を用いて表されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の損傷検査システム。
  6. 前記第3の手段は、前記損傷位置導出手段により導出された前記差分電位に対し、平均が0(ゼロ)のノイズを付加することにより前記ノイズ付加差分電位を生成することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の損傷検査システム。
  7. 側板と底板とを有するタンクの底板の損傷を検査する損傷検査方法であって、
    前記底板の外周または前記側板に周方向に位相をずらして配置された複数の電極端子のうちの2つの電極端子の間に電流を流すことを、パターンを変更しながら実行し、それぞれのパターンの電流を流したときの計測点のそれぞれの電位を測定する測定工程と、
    前記測定工程により測定された電位を取得する電位取得工程と、
    前記タンクの底板の損傷の位置を導出する損傷位置導出工程と、
    前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する損傷程度導出工程と、を有し、
    前記計測点は、前記底板の外周または前記タンクの側板に周方向に位相をずらして配置された3点以上の計測点であり、
    前記測定工程により測定される前記電位は、一の基準点の電位に対する電位差であり、
    前記損傷位置導出工程は、相互に同じ前記パターンの電流を流すことにより前記測定工程により測定された、前記タンクの検査時における前記計測点の電位と、当該タンクの基準状態時における当該計測点の電位との差分電位を、前記パターンごとに前記計測点のそれぞれについて導出する第1の工程と、
    前記第1の工程により導出された前記差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する第2の工程と、を有し、
    前記損傷程度導出工程は、平均が0(ゼロ)のノイズが付加された前記差分電位であるノイズ付加差分電位を生成する第3の工程と、
    前記第3の工程により生成された前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する第4の工程と、を有し、
    前記第1の工程により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
    前記第3の工程により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
    前記損傷探索用ベクトルは、前記底板の領域内の位置に応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の前記計測点における値が成すベクトルであり、
    前記差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列を含み、
    前記ノイズ付加差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列を含むことを特徴とする損傷検査方法。
  8. 側板と底板とを有するタンクの底板の損傷を検査することをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    前記底板の外周または前記側板に周方向に位相をずらして配置された複数の電極端子のうちの2つの電極端子の間に電流を流すことを、パターンを変更しながら実行し、それぞれのパターンの電流を流したときの計測点のそれぞれの電位を取得する電位取得工程と、
    前記タンクの底板の損傷の位置を導出する損傷位置導出工程と、
    前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する損傷程度導出工程と、をコンピュータに実行させ、
    前記計測点は、前記底板の外周または前記タンクの側板に周方向に位相をずらして配置された3点以上の計測点であり、
    前記電位取得工程により取得される前記電位は、一の基準点の電位に対する電位差であり、
    前記損傷位置導出工程は、相互に同じ前記パターンの電流を流すことにより前記電位取得工程により取得された、前記タンクの検査時における前記計測点の電位と、当該タンクの基準状態時における当該計測点の電位との差分電位を、前記パターンごとに前記計測点のそれぞれについて導出する第1の工程と、
    前記第1の工程により導出された前記差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記タンクの底板の損傷の位置を導出する第2の工程と、を有し、
    前記損傷程度導出工程は、平均が0(ゼロ)のノイズが付加された前記差分電位であるノイズ付加差分電位を生成する第3の工程と、
    前記第3の工程により生成された前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数を用いて、前記損傷位置導出工程により導出された前記損傷の位置における前記損傷の程度を導出する第4の工程と、を有し、
    前記第1の工程により導出される前記差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
    前記第3の工程により生成される前記ノイズ付加差分電位に基づくイメージ関数は、損傷探索用ベクトルの、前記ノイズ付加差分電位を表す行列の値域の補空間への射影の大きさを含み、
    前記損傷探索用ベクトルは、前記底板の領域内の位置に応じて定まるベクトルであって、ノイマン関数を用いて算出される電位の前記計測点における値が成すベクトルであり、
    前記差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記差分電位の値を要素とする行列を含み、
    前記ノイズ付加差分電位を表す行列は、前記パターンおよび前記計測点ごとの前記ノイズ付加差分電位の値を要素とする行列を含むことを特徴とするプログラム。
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