JP2018065160A - 鋳造品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム合金展伸材を用いてセミソリッドダイキャスト法により良好な形状の鋳造品を成型すること。
【解決手段】
本発明の鋳造品の製造方法は、固液共存状態におけるアルミニウム合金のスラリーを、セミソリッドダイキャスト法を用いて成型する鋳造品の製造方法であって、前記アルミニウム合金は、アルミニウム合金展伸材とケイ素を含むアルミニウム合金とを混合および溶解して得ることを特徴とする。これにより、湯流れが良好、かつ混合前のアルミニウム合金展伸材の特性を維持した鋳造品を製造することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、アルミニウム合金のうち展伸材を材料として、セミソリッドダイキャスト法を用いて成型し鋳造品を製造する方法、および鋳造品に関する。
アルミニウムは、マグネシウムに次いで軽い金属であること、高い電気伝導度を有すること、加工や熱処理により機械的性質を向上させることができること、表面の酸化物形成による耐食性を有すること、など、実用金属として良好な物理的性質、機械的性質、化学的性質、を有する。そして、添加元素により様々な特性を持つ合金を得ることができることから、自動車用材料、航空機用材料、建築用材料、各種機械部品、スポーツ用具、等に幅広く用いられている。
このようなアルミニウム合金のうち展伸材は鍛造や機械加工により成型されることを前提とした合金である。展伸材は、発色性に優れていたり、高い強度特性を有していたりと、同じアルミニウム合金のうち鋳造用合金にはない性質を有する合金も多い。
しかし、鍛造や機械加工での成型は、1つの製品あたりに必要な工数(生産サイクル)、型の費用、等の要因から、材料から最終製品形態までの仕上げに時間とコストがかかるという問題を有していた。
一方、鋳造を用いた成型は、最終製品形態に近い物を鋳造により成型することができ、鍛造や機械加工での成型に比べ、最終製品形態までの仕上げの時間やコストはより低くなる。
近年、固相と液相が共存した半溶融状態の材料を用いてダイキャスト法により鋳造品を作るセミソリッドダイキャスト法が注目されている。セミソリッドダイキャスト法は、従来の溶融金属(液相)を材料としたダイキャスト法に比べ、空気巻き込みによる鋳巣・収縮凝固による割れ・引け巣・偏析などの鋳造欠陥が少ない、半溶融状態の材料を用いるので鋳込み温度が低く金型の寿命が長い、といった特徴を有する。
こうした状況の下、ダイキャスト法、あるいはセミソリッドダイキャスト法を用いてアルミニウム合金展伸材を鋳造プロセスにより成型する工夫が見られる。例えば、特許文献1、2、3はダイキャストマシンの構成に工夫を施したものであり、特許文献4、5、6、7は合金組成や熱処理等に工夫を施したものである。
特開2003−164955号公報 WO2009/066776号公報 特開平9−192811号公報 特開平9−143605号公報 特開平9−67635号公報 特開2004−124181号公報 特開2005−154786号公報
しかし、特許文献4、5、6、7に記載されたような組成を有するアルミニウム合金は、インゴット作成時に組成を調整して特別に作成する必要があり、既存のアルミニウム合金展伸材のインゴットを使用することはできず、最終鋳造品のコストアップの要因になるという課題があった。
また、特許文献1,2,3に記載のダイキャストマシンは特別な仕様のため、従来のダイキャストマシンを用いてアルミニウム合金展伸材の鋳造品を製造することはできない。
本発明の目的は、セミソリッドダイキャスト法を用いて既存のアルミニウム合金展伸材を利用して鋳造品を成型することにある。
以下、本項において発明とは、出願時の特許請求の範囲に記載されている発明をいう。
第1の発明は、以下の発明である。
固液共存状態におけるアルミニウム合金のスラリーを、セミソリッドダイキャスト法を用いて成型する鋳造品の製造方法であって、
前記アルミニウム合金は、アルミニウム合金展伸材とケイ素を含むアルミニウム合金とを混合および溶解して得る、
鋳造品の製造方法。
「固液共存状態」とは、液相を冷却して液相に初晶が析出している状態や、固相の共晶合金を加熱して固相の一部が液相となっている状態など、一般的に液相と固相とが共存している状態をいう。
「スラリー」とは、懸濁体、泥状体の物質をいい、流動性の大小は問わず流動性のある状態であれば足りる。
「セミソリッドダイキャスト法」とは、固液共存状態の材料(スラリー)をダイキャスト法で成型する方法であり、ダイキャスト法とは、金属製鋳型に溶融金属を圧力注入する方法をいう。
「鋳造品」とは、セミソリッドダイキャスト法で成型した直後の鋳造品の他、当該鋳造品に対し機械的手段等を用いて加工後の、かつ/あるいは熱処理を加えた後の最終鋳造品を含む。
「アルミニウム合金展伸材」とは、アルミニウム合金のうち加工用、鍛造用に用いるものをいう。あるいは、アルミニウム合金のうち鋳造用に用いる鋳造用合金を除いたものをいう。
「混合および溶解」とは、固体のアルミニウム合金展伸材とケイ素を含む固体のアルミニウム合金を混合した後、加熱して両方を溶解する場合の他、どちらか一方のアルミニウム合金を溶解した後、他方の固体のアルミニウム合金を混合し溶解する場合、それぞれのアルミニウム合金を別々に溶解した後、両方の液体のアルミニウム合金を混合する場合、のいずれの場合も含む。
第2の発明は、以下の発明である。
前記アルミニウム合金展伸材として、合金番号6000番代、あるいは合金番号7000番代のアルミニウム合金を用いる第1の発明記載の鋳造品の製造方法。
「6000番代」とは、アメリカアルミニウム規格(AA規格)の分類のうち、合金番号が6000番代のアルミニウム合金(Al−Mg−Si合金)をいう、例えば6061材、6063材、6101材、などが挙げられる。
「7000番代」とは、アメリカアルミニウム規格(AA規格)の分類のうち、合金番号が7000番代のアルミニウム合金(Al−Zn−Mg−Cu合金、Al−Zn−Mg合金)をいう。例えば、7075材(超々ジュラルミン)、7N01材、などが挙げられる。
第3の発明は、以下の発明である。
前記アルミニウム合金展伸材として、6061材、あるいは7075材を用いる第2の発明記載の鋳造品の製造方法。
第4の発明は、以下の発明である。
ケイ素を含む前記アルミニウム合金として、ハイシリコン系アルミダイキャスト合金を用いる第1の発明記載の鋳造品の製造方法。
「ハイシリコン系アルミダイキャスト合金」とは、シリコンを9.6重量%以上、望ましくは14.0重量%含むダイキャスト用のアルミニウム鋳造材であり、ADC12材、ADC14材、あるいはNH−41材が例として挙げられる。
第5の発明は、以下の発明である。
前記鋳造品は、2.5〜3.5重量%のケイ素を含む第1の発明記載の鋳造品の製造方法。
第6の発明は、以下の発明である。
前記鋳造品は、2.7〜3.3重量%のケイ素を含む第1の発明記載の鋳造品の製造方法。
第7の発明は、以下の発明である。
前記鋳造品は、2.5〜3.5重量%のケイ素、銅、および鉄の合計を含む第1の発明記載の鋳造品の製造方法。
本発明の鋳造品の製造方法によれば、アルミニウム合金展伸材の有する性質を維持したまま、鋳造欠陥の発生を少なくするとともに、最終製品までにかかる時間及びコストを低減することができる。
セミソリッドダイキャスト法による本発明の鋳造品の製造プロセスの説明図 本発明で用いるアルミニウム合金展伸材を説明する説明図 本発明の実施例1,2における最終鋳造品の合金組成を説明する説明図 本発明の実施例1における最終鋳造品の引張試験等の結果を説明する説明図 本発明の実施例2における最終鋳造品の引張試験等の結果を説明する説明図 本発明の実施例1,2における最終鋳造品の良品率を説明する説明図 本発明の実施例1における鋳造品の外観図 本発明の実施例2における鋳造品の外観図 本発明の実施例1における最終鋳造品の外観図
以下、本発明の実施形態の鋳造品の製造方法について、図面を参照して説明する。
(1)本発明で用いたセミソリッドダイキャスト法の概要
図1は、セミソリッドダイキャスト法による本発明の鋳造品の製造プロセスの説明図である。
まず電気溶解炉101で、鋳込み材料であるアルミニウム合金展伸材のインゴットを溶解する。アルミニウム合金展伸材については(2)で詳述する。そして、溶解したアルミニウム合金展伸材の中に、ケイ素を含むアルミニウム合金のインゴットを加え溶解した。ケイ素を含むアルミニウム合金については(3)で詳述する。
混合・溶解したアルミニウム合金は、平衡状態図でいうところの液相線と固相線とで挟まれた領域である固液共存領域の温度に保持されることにより、固液共存状態のセミソリッドスラリー(以下、「スラリー」という。図中では「S」と表記する。)を生成する。
次に、スラリー化したアルミニウム合金は、電磁撹拌装置102のスラリーカップ103に移され、8秒から10秒の間、電磁撹拌される。これにより、固相が約20〜25μmの微細かつ粒状化されたスラリーが生成される。
電磁撹拌装置102で生成されたスラリーは、ダイキャストマシン104のスリーブ105に投入される。そして、スリーブ105に沿って移動するよう構成されたプランジャー106により、スリーブ105に投入されたスラリーは、固定金型107と移動金型108で構成された金型の空隙部109に射出される。
鋳込み終了後、移動金型108を移動させて、鋳造品110を取り出す。そして、機械加工で押し湯、および固定金型107と移動金型108との接触面に流れ出て形成されたバリ等を取り除き所定の形状に仕上げた後、所定の熱処理を施して最終鋳造品111を得る。熱処理は、Alcoaで用いられる記号でT6相当の熱処理を行った。
(2)アルミニウム合金展伸材として用いることができる材料
図2は、本発明で用いることができるアルミニウム合金展伸材を例示した説明図である。本発明で用いるアルミニウム合金展伸材としては、アメリカアルミニウム規格(AA規格)の分類のうち、合金番号が6000番代のアルミニウム合金(Al−Mg−Si合金)、合金番号が7000番代のアルミニウム合金(Al−Zn−Mg−Cu合金、Al−Zn−Mg合金)、の他、合金番号が2000番代のアルミニウム合金(Al−Cu−Mg合金)が挙げられる。なお、いずれの材料も、ダイキャスト法やセミダイキャスト法を用いて鋳造プロセスにより成型することが困難な材料である。
6000番代の合金としては、6061材、6063材、6101材、が挙げられる。6061材は強度が高く、また不純物が少なく純アルミニウムに近いため、アルマイト発色性に優れている。6101材は強度が高く、かつ電気伝導度に優れている。
7000番代の合金としては、7075材、7N01材、が挙げられる。7075材はアルミニウム合金中最高の強さを持つ超々ジュラルミンとして知られ、高い強度特性を有する。7N01材も強高度材料であり、かつ溶接性に優れるという特徴を有する。
2000番代の合金としては、2014材、2017材、2024材が挙げられる。このうち2017材はジュラルミン、2024材は超ジュラルミンとして知られ、強い引張強さを有する。
なお、これらの合金は例示であって、その他のアルミニウム合金展伸材を除く趣旨ではない。
(3)ケイ素を含むアルミニウム合金
アルミニウム合金展伸材に加えるケイ素を含むアルミニウム合金としては、例えばADC14、ADC12、あるいはNH−41材(日軽金アクト株式会社製)などのダイキャスト用鋳造合金が挙げられる。これらの合金はケイ素の含有率が9.6%以上と高いため、通常のダイキャスト法では使用可能であるが、セミソリッドダイキャスト法ではスラリーの生成が困難であり単体では使用が難しい合金であった。その他、アルミニウム合金展伸材である4000番代のアルミニウム合金(Al−Si合金)もケイ素を含むアルミニウム合金として使用可能である。
(4)混合・溶解後のアルミニウム合金
このように、アルミニウム合金展伸材とケイ素を含むアルミニウム合金とを混合、溶解する場合、ケイ素の含有率が2.5〜3.5重量%となるように両者の混合比を決める。ケイ素の含有率が2.5%を下回ると湯流れ性が悪くなり、3.5%を超えると混合前のアルミニウム合金展伸材の特性が変化又は失われる。なお、湯流れ性と混合前のアルミニウム合金展伸材の特性とが両立する範囲として、ケイ素の含有率が2.7〜3.3重量%となるように両者を混合するのがより望ましい。
また、ケイ素の他、銅、及び鉄も、湯流れ性を改善するのに役立つ元素である。したがって、ケイ素、銅、鉄の合計の含有率が2.5〜3.5重量%となるように、アルミニウム合金展伸材とケイ素を含むアルミニウム合金とを混合、溶解してもよい。合計含有率が2.5%を下回ると湯流れ性が悪くなり、3.5%を超えると混合前のアルミニウム合金展伸材の特性が変化又は失われる。
(5)鋳造品の実施例
(実施例1)
鋳込み材料であるアルミニウム合金展伸材について、本実施例では合金番号6000番代の6061材を用いた。また、ケイ素を含むアルミニウム合金について、本実施例ではハイシリコン系アルミダイカスト合金であるNH−41材(日軽金アクト株式会社製)を用いた。混合比率は、6061材とNH−41材を重量比で5:1の割合とした。
そして、成型した鋳造品110に対し、T6相当の熱処理として、溶体化処理を520℃で4時間行った後、160℃で6時間の時効処理(焼き戻し)を行った。なお、T6相当の熱処理の後、アルマイト処理を行なった。
(実施例2)
鋳込み材料であるアルミニウム合金展伸材について、本実施例では合金番号7000番代の7075材(超々ジュラルミン)を用いた。また、ケイ素を含むアルミニウム合金について、本実施例では実施例1と同様、ハイシリコン系アルミダイカスト合金であるNH−41材(日軽金アクト株式会社製)を用いた。混合比率は、7075材とNH−41材を重量比で5:1の割合とした。
そして、成型した鋳造品110に対し、T6相当の熱処理として、溶体化処理を480℃で8時間行った後、120℃で24時間の時効処理(焼き戻し)を行った。
(6)各実施例の鋳造品の特性
実施例1、実施例2で成型し得られた最終鋳造品111について、それぞれの特性を説明する。
図3は、実施例1、実施例2で成型した最終鋳造品111の合金組成を説明する説明図である。合金組成は、ICP発光分析装置を用いて分析を行なった。
図3(a)は、アルミニウム合金展伸材として6061材を用いた場合(実施例1)の合金組成表である。図3(b)は6061材単体、図3(c)はNH−41材の合金組成表である。図3(a)のように、実施例1のアルミニウム合金はケイ素3.2重量%を含有しているが、これはNH−41材に多く含まれるケイ素が6061材に加わったことにより、6061材に比べてケイ素の含有率が高まったものである。そして、このケイ素の効果として、実施例1の組成を有するスラリーは6061材に比べ湯流れ性が向上する。しかも、6061材の他の添加元素は実施例1と比較してさほど含有率が変わらないので、後述するように6061材の有する機械的性質や化学的性質は維持されていると考えられる。なお、ケイ素の含有率は前述の通り、2.5〜3.5重量%の範囲が望ましい。また、マグネシウムの含有量もケイ素の含有量に合わせ、0.8〜1.2重量%の範囲が望ましい。
図3(d)は、アルミニウム合金展伸材として7075材を用いた場合(実施例2)の合金組成表である。図3(e)は7075材単体、図3(f)はNH−41材(図3(c)と同じ)の合金組成表である。図3(d)のように、実施例2のアルミニウム合金は、ケイ素2.6%を含有しているが、これは実施例1と同様、NH−41材に多く含まれるケイ素が7075材に加わったことにより、7075材に比べてケイ素の含有率が高まったものである。そして、このケイ素の効果として、実施例2の組成を有するスラリーは7075材に比べ湯流れ性が向上する。しかも、7075材の他の添加元素は実施例2とさほど含有率が変わらないので、後述するように7075材の有する機械的性質は維持されていると考えられる。なお、ケイ素の含有率は前述の通り、2.5〜3.5重量%の範囲が望ましい。また、ケイ素の含有量に合わせ、亜鉛の含有率は4.5〜6.1重量%、マグネシウムの含有率は1.5〜2.9重量%の範囲が望ましい。
図4は、アルミニウム合金展伸材として6061材を用いた場合(実施例1)と6061材単体を用いた場合との引張強度及び表面硬度の比較表である。実施例1の材料について、5つのサンプルを作成し、引張試験および表面硬度試験を行ったところ、実施例1の合金では引張強度の平均値は333.981N/mm^2となり、6061材の平均値の235.037N/mm^2を約30%上回る強度を有する。これは、湯流れ性向上による鋳造欠陥の減少、およびケイ素が増加することによる硬化が寄与していると考えられる。また、表面硬度についても、実施例1の合金では平均値で56.03HRBとなり、6061材の平均値の45.0HRBを約20%上回る硬度を有する。
図5は、アルミニウム合金展伸材として7075材を用いた場合(実施例2)と7075材単体を用いた場合との引張強度及び表面硬度の比較表である。実施例2の材料について、5つのサンプルを作成し、引張試験および表面硬度試験を行ったところ、実施例2の合金では引張強度の平均値は318.470N/mm^2となり、7075材の平均値の326.266N/mm^2とほぼ同等の強度を有する。また、表面硬度についても、実施例2の合金では平均値で64.06HRBとなり、7075材の平均値の55.0HRBを約20%上回る硬度を有する。
図6(a)は、アルミニウム合金展伸材として6061材を用いた場合(実施例1)の良品率の比較データである。実施例1のアルミニウム合金と6061材単体それぞれを、セミソリッドダイキャスト法を用いて約250回鋳造を行ったところ、6061材単体で鋳込んだ場合は約80%に形状割れや充填不足が生じたのに対し、実施例1のアルミニウム合金では約21%に低下している。
図6(b)は、アルミニウム合金展伸材として7075材を用いた場合(実施例2)の良品率の比較データである。実施例2のアルミニウム合金と7075材単体それぞれを、セミソリッドダイキャスト法を用いて約200回鋳造を行ったところ、7075材単体で鋳込んだ場合は約90%に形状割れや充填不足が生じたのに対し、実施例2のアルミニウム合金では約20%に低下している。
図7(a)は、アルミニウム合金展伸材として6061材を用いた場合(実施例1)の鋳造品の外観写真、図7(b)は6061材単体の鋳造品の外観写真である。実施例1では三叉の両サイド部分(ランナー)の鋳肌はなめらかであるのに対し、6061材単体では荒れた鋳肌となっている。また、実施例1では中央部分(テストピース)に割れ等は見られないのに対し、6061材単体では所々に割れやひびが入っている。なお、中央部分について、実施例1では6061材単体に比べバリが多く張っていることからも、溶湯が良く伸びており湯流れが良好であったことを推認させる。
図8(a)は、アルミニウム合金展伸材として7075材を用いた場合(実施例2)の鋳造品の外観写真、図8(b)は70751材単体の鋳造品の外観写真である。実施例2では三叉の両サイド部分(ランナー)の鋳肌は平滑であり、かつ溶湯が型に良く充填されていのに対し、7075材単体ではやや細っており、溶湯の充填が完全ではなかったことが推認される。また、実施例2では中央部分(テストピース)に割れ等は見られないのに対し、7075材単体では根本が割れで切断されている。これは、型への充填が不完全であったため凝固収縮により溶湯が良く供給されず、割れとなって現れたものであると推認される。なお、中央部分のバリについては実施例1と同様、実施例2では70751材単体に比べバリが多く張っていることからも、溶湯が良く伸びており湯流れが良好であったことを推認させる。
図9は、アルミニウム合金展伸材として6061材を用いた場合(実施例1)の外観写真である。実施例1のアルミニウム合金の鋳造品111に対してはアルマイト処理を行なっているが、従来の鍛造品による場合と同様にきれいな発色が見られた。これは、鍛造により成型されたアルミニウム合金展伸材では実現できていたが、従来のダイキャスト法や従来のセミダイキャスト法では実現できなかった発色性である。
以上、鋳造(セミダイキャスト法)によって作成された実施例1、実施例2のアルミニウム合金を用いた鋳造品111は、展伸材である6061材および7075材の有する機械的性質および化学的性質が向上又は維持されたまま、鋳造欠陥の発生を抑えることができているといえる。
(総括)
以上、本発明の実施形態における鋳造品の製造方法、およびそれによって成型された鋳造品の特徴について説明した。
本発明にかかる鋳造品の製造方法および鋳造品は、自動車用材料、航空機用材料、建築用材料、各種機械部品、スポーツ用具、等、従来の鋳造用アルミニウム合金を用いてダイキャスト法により製造されていたアルミニウム合金製の製品に応用が可能である。
101 電気溶解炉
102 電磁撹拌装置
103 スラリーカップ
104 ダイキャストマシン
105 スリーブ
106 プランジャー
107 固定金型
108 移動金型
109 空隙部
110 鋳造品
111 最終鋳造品

Claims (7)

  1. 固液共存状態におけるアルミニウム合金のスラリーを、セミソリッドダイキャスト法を用いて成型する鋳造品の製造方法であって、
    前記アルミニウム合金は、アルミニウム合金展伸材とケイ素を含むアルミニウム合金とを混合および溶解して得る、
    鋳造品の製造方法。
  2. 前記アルミニウム合金展伸材として、合金番号6000番代、あるいは合金番号7000番代のアルミニウム合金を用いる請求項1記載の鋳造品の製造方法。
  3. 前記アルミニウム合金展伸材として、6061材、あるいは7075材を用いる請求項2記載の鋳造品の製造方法。
  4. ケイ素を含む前記アルミニウム合金として、ハイシリコン系アルミダイキャスト合金を用いる請求項1記載の鋳造品の製造方法。
  5. 前記鋳造品は、2.5〜3.5重量%のケイ素を含む請求項1記載の鋳造品の製造方法。
  6. 前記鋳造品は、2.7〜3.3重量%のケイ素を含む請求項1記載の鋳造品の製造方法。
  7. 前記鋳造品は、2.5〜3.5重量%のケイ素、銅、および鉄の合計を含む請求項1記載の鋳造品の製造方法。
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