本発明の一実施形態に係る複合ケーブル及びテレビカメラケーブル用複合ケーブルを、図1乃至6を用いて説明する。
図1は、本発明の複合ケーブル及びテレビカメラ用光複合ケーブルを有する放送システム10を示す概略図である。図2は、放送システム10が有する第1の複合ケーブル30を示す断面図である。
図3は、放送システム10が有する第2の複合ケーブル70を示す断面図である。第2の複合ケーブル70は、本発明の複合ケーブル及びテレビカメラ用光複合ケーブルの一例である。図4は、第2の複合ケーブル70の一部を示す斜視図である。図5は、第3の複合ケーブル80を示す断面図である。第3の複合ケーブル80は、本発明の複合ケーブル及びテレビカメラ用光複合ケーブルの一例である。図6は、第3の複合ケーブル80の一部を示す斜視図である。
[放送システム10の説明]
図1に示すように、放送システム10は、テレビカメラ(対象となる装置)20により撮影し、かつ、テレビカメラ20により撮影した映像を収集部の一例である中継車90に送信するシステムである。この放送システム10は、一例として、サッカー場5の周囲に敷設されている。なお、テレビカメラ20は、複合ケーブルにより電力が送電される対象となる装置の一例である。放送システム10では、テレビカメラ20により撮影された映像が、中継システム40を介して、中継車90に送信される。また、中継車90は、中継システム40を介して、テレビカメラ20を制御する。
放送システム10は、具体的には、複数のテレビカメラ20、テレビカメラ20に接続可能に形成された第1の複合ケーブル30、第1の複合ケーブル30によりテレビカメラ20が接続可能に形成された中継システム40、及び、第1の複合ケーブル30により中継システム40に接続可能に形成された中継車90を有している。
このように、放送システム10は、第1の複合ケーブル30及び中継システム40により、テレビカメラ20及び中継車90間が接続される。
[テレビカメラ20の説明]
テレビカメラ20は、第1の複合ケーブル30が接続可能に形成されている。テレビカメラ20は、例えば複数台用いられている。本実施形態では、テレビカメラ20は、一例として4台用いられている。テレビカメラ20は、それぞれ、サッカー場5の外側に設置されている。テレビカメラ20は、例えば移動可能な台に設置されており、移動可能に構成されている。なお、テレビカメラ20の台数は、複数台に限定されるものではなく、1台であってもよい。
[第1の複合ケーブル30の説明]
第1の複合ケーブル30は、テレビカメラ20に対して着脱可能に形成されており、1台のテレビカメラ20に対して1本接続されている。第1の複合ケーブル30は、1台のテレビカメラ20の制御信号、及び、1台のテレビカメラ20により撮影された映像の送信を可能に形成されている。
第1の複合ケーブル30は、具体的には、図2に示すように、第1のテンションメンバ31、4本の第1の電源線32、2本の制御線33、2本の光ファイバ線34、これら各種の線を内側に配置する、管状に形成された第1の押さえ巻き部35、第1の押さえ巻き部35を内側に配置する、管状に形成された第1の遮蔽部材36、及び、第1の遮蔽部材36を内側に配置する、管状に形成された第1のシース37を有している。
第1のテンションメンバ31は、第1の複合ケーブル30に所定の引っ張り強度を与えることが可能に形成されている。第1の複合ケーブル30は、その敷設時に、すなわち、テレビカメラ20及び中継システム40に接続される際、及び、中継車90及び中継システム40接続される際に、引っ張られる。第1のテンションメンバ31は、敷設作業時に作用する引っ張りに対して、第1の複合ケーブル30が断線することを防止可能な強度を有している。第1のテンションメンバ31は、心線31a、及び、心線31aを覆う被覆部31bを有している。心線31aは、上述の引っ張り強度を有している。被覆部31bは、周囲に配置された線に傷をつけることがないように、例えば、樹脂材料から形成されている。
第1の電源線32は、テレビカメラ20に電力を送電可能に形成されている。2本の第1の電源線32は、負極用である。残りの2本の第1の電源線32は、正極用である。第1の電源線32は、導電性材料から形成された心線32a、及び、心線32aを覆う被覆部32bを有している。被覆部32bは、絶縁性の材料から形成されている。第1の電源線32の外径は、例えば、第1のテンションメンバ31の外径よりも小さい。
負極用の一方の第1の電源線32の一端部及び負極用の他方の第1の電源線32の一端部は、互いに電気的に接続されている。また、負極用の一方の第1の電源線32の他端部及び負極用の他方の第1の電源線32の他端部は、互いに電気的に接続されている。具体的には、心線32aどうしが互いに接続されている。
同様に、正極用の、一方の第1の電源線32の一端部及び他方の第1の電源線32の一端部は、互いに電気的に接続されている。また、正極用の、一方の第1の電源線32の他端部及び他方の第1の電源線32の他端部は、互いに電気的に接続されている。
制御線33は、テレビカメラ20のスイッチがオフ状態である所謂スタンバイ・インカムの状態において、テレビカメラ20を操作するカメラマンとのやり取りの音声を電気信号化した音声信号が通る線である。制御線33は、本実施形態では、中継車90等の制御室で作業をする人及びカメラマンの間で行われる音声によるやり取りを電気信号化した音声信号を送信する。また、制御線33は、テレビカメラ20と中継車90とが正常に接続されているかをチェックする信号を送信可能に形成されている。第1の複合ケーブル30の制御線33及び中継システム40の第2の複合ケーブル70の制御線33、または、第1の複合ケーブル30の制御線33及び中継システム40の第3の複合ケーブル80の制御線33により、テレビカメラ20及び中継車90間で上述の接続をチェックする信号が送信される。
制御線33は、音声を電気信号化した音声信号を送信する為、正極用の1本及び負極用の1本の合計2本用いられている。制御線33は、導電性材料から形成された心線33a、及び、心線33aを覆う被覆部33bを有している。被覆部33bは、絶縁性の材料から形成されている。
制御線33の外径は、第1のテンションメンバ31の外径よりも小さい。さらに、本実施形態では、一例として、制御線33の外径は、第1の電源線32の外径よりも小さい。
光ファイバ線34は、テレビカメラ20のスイッチがオンである状態において、テレビカメラ20からの信号を送信し、または、テレビカメラ20への信号を送信可能に形成されている。本実施形態では、光ファイバ線34は、例えば、テレビカメラ20の動作を制御する制御信号をテレビカメラ20に送信可能に、テレビカメラ20が撮影した映像情報を送信可能に、かつ、カメラマンと中継車90との間の音声のやり取りを光信号化した音声信号を送信可能に形成されている。なお、テレビカメラ20のスイッチがオンである状態とは、テレビカメラ20で撮影が行われている状態である。
本実施形態では、第1の複合ケーブル30は、制御信号をテレビカメラ20に送信し、かつ、テレビカメラ20からの制御信号を送信可能に形成されている。また、第1の複合ケーブル30は、テレビカメラ20が撮影した映像の情報を中継システム40に送信可能に、かつ、中継システム40を介してテレビカメラ20に映像情報を送信可能に形成されている。また、第1の複合ケーブル30は、中継システム40を介して、テレビカメラ20側及び中継車90間で、音声信号を送信可能に形成されている。
この為、第1の複合ケーブル30は、2本の光ファイバ線34を有している。一方の光ファイバ線34は、テレビカメラ20から制御信号、映像情報、及び音声を送信する。他方の光ファイバ線34は、テレビカメラ20へ制御信号、映像情報、及び音声信号を送信する。
光ファイバ線34は、その周囲を被覆部34bで被覆されている。被覆部34bの外径は、第1のテンションメンバ31の外径よりも小さい。さらに、本実施形態では、一例として、被覆部34bの外径は、第1の電源線32の外径よりも小さい。
ここで、第1の押さえ巻き部35の説明の前に、電源線32、制御線33、及び、光ファイバ線34の配置について説明する。4本の第1の電源線32、2本の制御線33、及び、2本の光ファイバ線34は、第1のテンションメンバ31の周囲に配置されており、第1のテンションメンバ31を中心として撚られている。4本の第1の電源線32、2本の制御線33、及び、2本の光ファイバ線34は、第1のテンションメンバ31の周囲に、第1の複合ケーブル30の断面を円形に近づけることが可能となるように配置されている。
具体的には、第1のテンションメンバ31の周囲に配置される線のうち外径が比較的大きくなる電源線を、正極用に2本、及び、負極用に2本とすることにより合計4本とし、これら4本の第1の電源線32を第1のテンションメンバ31の軸線回りに等間隔離間して配置している。
なお、4本の第1の電源線32は、第1のテンションメンバ31の軸線回りに正確に90度間隔に配置されていなくてもよい。略90度であってもよい。2本の制御線33、及び、2本の光ファイバ線34は、周方向に隣り合う一対の第1の電源線32間に、1つずつ配置されている。
このように、テンションメンバを除いた他の線の断面よりも大きな断面を有する電源線を4本とすることにより、第1の押さえ巻き部35は、図2に示す断面においては、4つの電源線に接することとなる。この為、第1の複合ケーブル30の断面を、円に近い形状とすることができる。また、各種線が第1のテンションメンバ31を中心として撚られることによっても、第1の押さえ巻き部35の断面形状を円に近くすることができるので、第1の複合ケーブル30の断面を円に近くすることができる。
第1の押さえ巻き部35の説明に戻る。第1の押さえ巻き部35は、例えば、帯状の紙材から形成されている。第1の押さえ巻き部35は、上述のように第1のテンションメンバ31の周囲に撚られた、第1の電源線32、制御線33、及び、光ファイバ線34の周囲に、帯状の紙材が巻き付けられることにより、形成される。
第1の遮蔽部材36は、第1の複合ケーブル30の外部に存在する電磁波等による外乱によって制御線33により送信される制御信号にノイズが生じることを防止可能に、導電性の材料から形成されている。また、第1の遮蔽部材36は、例えば人に踏まれるなどして入力される外力に対して、内側に配置された各種の線が断線することを防止可能に形成されている。
第1の遮蔽部材36は、例えば、導電性材料から形成された編組線により形成されることにより、ノイズの発生防止作用及び所定の強度を有する。この編組線の材料は、例えば、軟銅である。そして、第1の遮蔽部材36には、例えばすずめっきが施されている。
第1のシース37は、絶縁材料から形成されており、第1の遮蔽部材36の外側に被覆されている。
[中継システム40の説明]
各中継システム40は、図1に示すように、サッカー場5の周囲に敷設されている。中継システム40は、複数のテレビカメラ20及び中継車90間を中継可能に構成されている。中継システム40は、例えば、最大で6台のテレビカメラ20及び中継車90間を中継可能に構成されている。本実施形態では、中継システム40は、2つ用いられている。
中継システム40は、具体的には、2つの端子盤50、パッチ盤60、端子盤50及びパッチ盤60に接続された、1台のテレビカメラ20の送受信用の第2の複合ケーブル70、並びに、端子盤50及びパッチ盤60に接続された、2台のテレビカメラ20の送受信用の第3の複合ケーブル80を有している。
[端子盤50の説明]
端子盤50は、第1の複合ケーブル30が、例えば複数接続可能に形成されている。具体的には、端子盤50は、第1の複合ケーブル30のプラグコネクタが着脱可能に接続される第1のレセプタクルコネクタ51を複数有している。
第1のレセプタクルコネクタ51に第1の複合ケーブル30のプラグコネクタが接続されることにより、第1の複合ケーブル30を介してテレビカメラ20が中継システム40に接続されることとなる。第1のレセプタクルコネクタ51は、3つ設けられている。すなわち、端子盤50は、3台のテレビカメラ20が接続可能に形成されている。
端子盤50は、また、第2のレセプタクルコネクタ52を有している。第2のレセプタクルコネクタ52は、第2の複合ケーブル70、または、第3の複合ケーブル80が接続可能に形成されている。
複数の第2のレセプタクルコネクタ52のそれぞれは、複数の第1のレセプタクルコネクタ51のそれぞれに電気的に接続されている。すなわち、1つの第2のレセプタクルコネクタ52は、1つの第1のレセプタクルコネクタ51に電気的に接続されている。第2のレセプタクルコネクタ52は、当該第2のレセプタクルコネクタ52に接続された第2の複合ケーブル70または第3の複合ケーブル80を、第1のレセプタクルコネクタ51に接続された第1の複合ケーブル30に接続可能に形成されている。
[パッチ盤60の説明]
パッチ盤60は、2つの端子盤50及び中継車90間を中継可能に形成されている。パッチ盤60は、第1の複合ケーブル30が接続可能に形成された第1のレセプタクルコネクタ51を、6つ有している。
パッチ盤60は、また、6つの第2のレセプタクルコネクタ52を有している。複数の第2のレセプタクルコネクタ52のそれぞれは、複数の第1のレセプタクルコネクタ51のそれぞれに、電気的に接続されている。すなわち、1つの第2のレセプタクルコネクタ52は、1つの第1のレセプタクルコネクタ51に接続されている。
[第2の複合ケーブル70の説明]
第2の複合ケーブル70は、図3に示すように、1本の第2のテンションメンバ71、4本の第1の電源線(電源線)32、ケーブル状に形成された1本の制御線ユニット72、2本の光ファイバ線34、第2の押さえ巻き部73、及び、第2のシース(シース)75を有している。第2の複合ケーブル70の一方の光ファイバ線34は、第1の複合ケーブル30と同様に、テレビカメラ20側に各種信号を送信し、他方は中継車90側に各種信号を送信する。
第2のテンションメンバ71は、第2の複合ケーブル70に所定の引っ張り強度を与えることが可能に形成されている。第2の複合ケーブル70は、その敷設時に、すなわち、端子盤50及びパッチ盤60に接続する作業時に、引っ張られる。
第2のテンションメンバ71は、敷設作業時に作用する引っ張りに対して、第2の複合ケーブル70が断線することを防止可能な強度を有している。第2のテンションメンバ71は、例えば、金属製の線材から形成されている。第2のテンションメンバ71の外径は、第1の電源線32の外径よりも、例えば大きい。なお、第2のテンションメンバ71は、例えば、第1のテンションメンバ31と同様に、周囲に配置された線に傷をつけることがないように樹脂材料等から形成された被覆部を有してもよい。
第2の複合ケーブル70に用いられる第1の電源線32は、第1の複合ケーブル30と同様に一対の負極用の第1の電源線32の両端部は、互いに電気的に接続され、正極用の一対の第1の電源線32の両端部は、互いに電気的に接続されている。
制御線ユニット72は、2本の制御線33、ドレインワイヤ(導線)74、及び、第2の遮蔽部材76を有している。ドレインワイヤ74は、導電性材料から形成されており、その一例として金属材料から形成されている。2本の制御線33は、互いに撚られている。または、2本の制御線33及びドレインワイヤ74は、互いに撚られている。
第2の遮蔽部材76は、内部に、2本の制御線33、及び、ドレインワイヤ74を配置可能な管状に形成されている。第2の遮蔽部材76は、制御線ユニット72の外部に存在する電磁波等の外乱が制御線33に作用することを防止可能に形成されている。
具体的には、第2の遮蔽部材76は、その内周部が少なくとも導電性を有している。本実施形態では、第2の遮蔽部材76は、内周部が導電性の材料で形成され、かつ、その外周部が絶縁性の材料で形成されている。第2の遮蔽部材76は、例えば、導電層76a上に絶縁層76bが積層されて構成されたテープ部材が2本の制御線33及びドレインワイヤ74に巻き付けられることにより、形成されている。このテープ部材の一例は、アルミポリエステルテープである。第2の遮蔽部材76の内周部は、ドレインワイヤ74に接触しており、互いに電気的に接続されている。すなわち、本実施形態では、ドレインワイヤ74が、図3及び後述する図5に示すように、第2の遮蔽部材76の導電層76aに接触することにより、ドレインワイヤ74及び導電層76aが互いに電気的に接続されている。
このように構成された制御線ユニット72の外径は、第1の電源線32の外径と、同じ、または、略同じに形成されている。
ここで、第2の押さえ巻き部73の説明の前に、第1の電源線32、制御線ユニット72、及び、光ファイバ線34の配置について説明する。4本の第1の電源線32、1本の制御線ユニット72、及び、2本の光ファイバ線34は、第2のテンションメンバ71の周囲に配置されており、第2のテンションメンバ71を中心として撚られている。
また、4本の第1の電源線32、制御線ユニット72、及び、2本の光ファイバ線34は、第2の複合ケーブル70の断面を円に近づけることが可能となるように第2のテンションメンバ71の周囲に配置されている。
具体的には、第2のテンションメンバ71の周囲に配置される各種線のうち外径が最も大きい第1の電源線32を、正極用に2本、及び、負極用に2本とすることにより合計4本とし、1本の制御線ユニット72、及び、2本の光ファイバ線34を、周方向に隣り合う一対の第1の電源線32間に、1つずつ配置している。
このように、外径が最も大きくなる電源線を4本とすることにより、第2の押さえ巻き部73は、図3に示す断面においてその内周面が第1の電源線32に接することにより、少なくとも4点で支持されることとなる。この為、第2の複合ケーブル70の断面を円に近づけることができる。さらに、第1の電源線32が第2のテンションメンバ71を中心として撚られることにより、第2の複合ケーブル70の断面を、より一層円に近づけることができる。
さらに、制御線ユニット72の外径及び第1の電源線32の外径を同じまたは略同じとすることにより、第2の押さえ巻き部73は、図3に示す断面において、その内周面がさらに制御線ユニット72に接することとなるので、合計5点で支持されることとなる。この為、第2の複合ケーブル70の断面形状を、より一層、円に近づけることができる。
第2の押さえ巻き部73の説明に戻る。第2の押さえ巻き部73は、例えば、紙から形成されている。第2の押さえ巻き部73は、上述のように第2のテンションメンバ71の周囲に撚られた、第1の電源線32、制御線ユニット72、及び、光ファイバ線34の周囲に、帯状のゴム引きテトロンテープ(可動用)が巻き付けられることにより、形成される。
第2のシース75は、絶縁材料から形成されており、第2の押さえ巻き部73の外側に被覆されている。
[第2の複合ケーブル70のプラグコネクタ77の説明]
また、第2の複合ケーブル70は、図4に示すように、その両端部にプラグコネクタ77及びコネクタ100が設けられている。具体的には、第2の複合ケーブル70の各種線のうち、第1の電源線32及び制御線ユニット72は、プラグコネクタ77に接続されている。
第2の複合ケーブル70の第2のテンションメンバ71の端部は、端子盤50の成端箱の筐体、及びパッチ盤60の成端箱の筐体に固定されている。光ファイバ線34は、それぞれ、コネクタ100に接続されている。コネクタ100は、LCコネクタやSCコネクタ等のコネクタである。
プラグコネクタ77は、端子盤50の成端箱の第2のレセプタクルコネクタ52、及び、パッチ盤60の成端箱の第2のレセプタクルコネクタ52に接続可能に形成されている。プラグコネクタ77は、第2のテンションメンバ71を固定可能に形成されている。
また、プラグコネクタ77は、第2のレセプタクルコネクタ52に接続されると、当該プラグコネクタ77に接続されたドレインワイヤ74を端子盤50の成端箱の金属部分に電気的に接続可能に形成されている。同様に、プラグコネクタ77は、ドレインワイヤ74をパッチ盤60の成端箱の金属部分に電気的に接続可能に形成されている。
ここで、端子盤50の成端箱及びパッチ盤60の成端箱の、上述された金属部分について説明をする。端子盤50の成端箱の金属部分、及び、パッチ盤60の成端箱の金属部分は、それぞれ、電気を外部に逃がすことが可能に形成されている。本実施形態では、これら金属部分は、地面等に接地されている。この為、第2の遮蔽部材76の内周部を流れる電流は、ドレインワイヤ74を介して、地面に落とすことができる。
また、第2の複合ケーブル70が、端子盤50の成端箱の第2のレセプタクルコネクタ52、及び、パッチ盤60の成端箱の第2のレセプタクルコネクタ52に接続された状態において、すなわち、両プラグコネクタ77が、第2のレセプタクルコネクタ52に接続された状態において、これら金属部分に電流を流すなどすることにより、ドレインワイヤ74が、これら金属部分に接続されているか否かを確認することができる。ドレインワイヤ74が、端子盤50の成端箱の金属部分、及び、パッチ盤60の成端箱の金属部分に接続されているか否かを確認することにより、プラグコネクタ77が第2のレセプタクルコネクタ52に正常に接続されているか否か、または、第2の複合ケーブル70が断線している否かを判断することができる。
具体的には、端子盤50の成端箱の金属部分及びパッチ盤60の成端箱の金属部分間に電流が流れない場合は、プラグコネクタ77が第2のレセプタクルコネクタ52に正常に接続されていないことによりドレインワイヤ74が端子盤50の成端箱の金属部分及びパッチ盤60の成端箱の金属部分に接続されていないことが想定される。
プラグコネクタ77が第2のレセプタクルコネクタ52に正常に接続されている場合では、ドレインワイヤ74が断線していることが想定される。ドレインワイヤ74が断線している状態は、第1の電源線32等の他の線も断線している可能性があると想定される。
コネクタ100は、端子盤50の成端箱に設けられた、レセプタクルコネクタ52とは別のコネクタに接続される。同様に、コネクタ100は、パッチ盤60の成端箱に設けられた、レセプタクルコネクタ52とは別のコネクタに接続される。
[第3の複合ケーブル80の説明]
第3の複合ケーブル80は、図1に示すように、2台のテレビカメラ20の送受信用に用いられる。すなわち、第3の複合ケーブル80は、端子盤50の2つの第2のレセプタクルコネクタ52、及び、パッチ盤60の2つの第2のレセプタクルコネクタ52を接続可能に形成されている。
第3の複合ケーブル80は、具体的には、図5に示すように、1本の第3のテンションメンバ81、4本の第2の電源線82、2本の制御線ユニット72、4本の光ファイバ線34、第3の押さえ巻き部83、及び、第3のシース(シース)84を有している。
第3のテンションメンバ81は、第3の複合ケーブル80に所定の引っ張り強度を与えることが可能に形成されている。第3の複合ケーブル80は、その敷設時に、すなわち、端子盤50及びパッチ盤60に接続する作業時に、引っ張られる。
第3のテンションメンバ81は、敷設作業時に作用する引っ張りに対して、第3の複合ケーブル80が断線することを防止可能な強度を有している。第3のテンションメンバ81は、例えば金属製の線材から形成されている。第3のテンションメンバ81の外径は、制御線ユニット72の外径よりも大きい。なお、第3のテンションメンバ81は、例えば第1のテンションメンバ31と同様に、周囲に配置された線に傷をつけることがないように樹脂材料等から形成された被覆部を有してもよい。
第2の電源線82は、電力を送電可能に形成されている。1本の第2の電源線82は、1台のテレビカメラ20の正極用の電源線である。1本の第2の電源線82は、1台のテレビカメラ20の負極用の電源線である。第3の複合ケーブル80は上述の通り、2台のテレビカメラ20に対して用いられる為、第2の電源線82は、2台分となり合計4本用いられている。
第2の電源線82は、心線82a、及び、心線82aに被覆された管状の被覆部82bを有している。第2の電源線82は、正極用に1本及び負極用に1本が用いられる為、第1の電源線32に対して2倍の電流が流れる。この為、第2の電源線82の心線82aの断面積は、第1の電源線32の心線52aの断面積の2倍の面積を有している。第2の電源線82の外径は、第3のテンションメンバ81の外径よりも小さい。本実施形態では、第2の電源線82の外径及び制御線ユニット72の外径は、同じ、または、略同じに形成されている。
制御線ユニット72は、上述の通り、1台のテレビカメラ20に対して1本用いられる。この為、第3の複合ケーブル80は、2本の制御線ユニット72を有している。光ファイバ線34は、上述の通り、1台のテレビカメラ20に対して2本用いられる。この為、第3の複合ケーブル80は、4本の光ファイバ線34を有している。光ファイバ線34の被覆部34bの外径は、第2の電源線82の外径及び制御線ユニット72の外径よりも小さい。
ここで、第3の押さえ巻き部83の説明の前に、第2の電源線82、制御線ユニット72、及び、光ファイバ線34の配置について説明する。4本の第2の電源線82、2本の制御線ユニット72、及び、4本の光ファイバ線34は、第3のテンションメンバ81の周囲に配置されており、第3のテンションメンバ81を中心として撚られている。また、4本の第2の電源線82、2本の制御線ユニット72、及び、4本の光ファイバ線34は、第3の複合ケーブル80の断面形状を円に近づけることが可能となるように、第3のテンションメンバ81の周囲に配置されている。
具体的には、第3のテンションメンバ81の周囲に配置される各種線のうち外径が最も大きい第2の電源線82を4本とすることにより、第3の押さえ巻き部83は、図5に示す断面においてその内周面が第2の電源線82に接することにより少なくとも4点で支持されることとなる。
この為、第3の複合ケーブル80の断面形状を、円に近づけることができる。さらに、第2の電源線82が第3のテンションメンバ81を中心として撚られることにより、第3の複合ケーブル80の断面形状をより一層円に近づけることができる。
さらに、第3の複合ケーブル80では、第2の電源線82と同じまたは略同じ外径を有する制御線ユニット72を2本有するので、第3の押さえ巻き部83は、図5に示す断面においてその内周面が制御線ユニット72に接することにより、合計6点で支持されることとなる。この為、第3の複合ケーブル80の断面形状を、より一層円に近づけることができる。
さらに、4本の第2の電源線82及び2本の制御線ユニット72を周方向に並べて配置し、これらのうち隣り合う一対間に1つずつ光ファイバ線34を配置している。このように配置されることにより、第2の電源線82及び制御線ユニット72の一部は等間隔離間又は略等間隔離間して配置されることとなるので、第3の複合ケーブル80の断面形状を、円に近づけることができる。
なお、一対の制御線ユニット72の間に2つの第2の電源線82を配置することにより、制御線ユニット72の外径及び第2の電源線82の外径が大きく異なる場合であっても、第3の複合ケーブル80の断面形状を、円に近づけることができる。
第3の押さえ巻き部83の説明に戻る。第3の押さえ巻き部83は、例えば、紙から形成されている。第3の押さえ巻き部83は、上述のように第3のテンションメンバ81の周囲に撚られた、第2の電源線82、制御線ユニット72、及び、光ファイバ線34の周囲に、帯状のゴム引きテトロンテープ(可動用)が巻き付けられることにより、形成されている。
第3のシース84は、絶縁材料から形成されており、第3の押さえ巻き部83の外側に被覆されている。
第3の複合ケーブル80は、また、図6に示すように、一端部に、4つのコネクタ100及び2つのプラグコネクタ77が設けられ、他端部に4つのコネクタ100及び2つのプラグコネクタ77が設けられている。第3の複合ケーブル80が有する各種の線のうち1台のテレビカメラ20に用いられ各線が、第2の複合ケーブル70と同様に、それぞれ、1つのプラグコネクタ77及び2つのコネクタ100に接続されている。
なお、第3のテンションメンバ81は、第2のテンションメンバ71と同様に、端子盤50の成端箱の筐体、及びパッチ盤60の成端箱の筐体に固定されている。また、第3の複合ケーブル80のプラグコネクタ77においても、ドレインワイヤ74は第2の複合ケーブル70と同様に、プラグコネクタ77を介して、端子盤50の成端箱の金属部分及びパッチ盤60の成端箱の金属部分に電気的に接続されている。
[第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80の配置の説明]
このように構成された第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80は、固定された端子盤50及び固定されたパッチ盤60に接続されている為、テレビカメラ20の移動に伴い移動及び屈曲することがない。
この為、第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80は、地中または壁内に配置されている。または、第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80は、人によって踏まれることがない場所に配置されてもよい。
[中継車90の説明]
中継車90は、図1に示すように、第1の複合ケーブル30によりパッチ盤60の第1のレセプタクルコネクタ51に接続されることにより、中継システム40に接続される。
中継車90は、中継システム40に接続されることにより、第1の複合ケーブル30、パッチ盤60の第1のレセプタクルコネクタ51、第2の複合ケーブル70または第3の複合ケーブル80、及び、端子盤50の第1のレセプタクルコネクタ51、及び、第1の複合ケーブル30を介して、テレビカメラ20に接続される。
中継車90は、第1の複合ケーブル30及び中継システム40を介して、テレビカメラ20に電力を供給し、テレビカメラ20の動作を制御し、テレビカメラ20が撮影した映像を受信し、及び、テレビカメラ20に映像を送信可能に形成されている。
[第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80の効果の説明]
このように、本発明の複合ケーブル及びテレビカメラ用光複合ケーブルの一例として構成された第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80では、制御線33を第2の遮蔽部材76の内側に配置する構成とすることにより、外周部の近傍に配置されて全ての種類の線を内側に配置する管状の遮蔽部材を有することがない。
この為、第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80は、外径を遮蔽部材分小さくできるので、サイズを小さくできる。さらに、第2の遮蔽部材76は、上述の、全ての種類の線を内側に配置する遮蔽部材に対して、その外径を小さくすることができる。この為、材料を少なくできるので、コストを低減できる。このように、第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80は、制御線33により送信される音声信号にノイズが生じることを防止しつつ、サイズを小さくし、コストを低減できる。
第2の複合ケーブル70では、第2の遮蔽部材76の外側に第1の電源線32が配置されることにより、制御線33が第1の電源線32が発する電磁波の影響を受けることを防止できる。この為、第1の電源線32に起因して制御線33により送信される音声信号にノイズが生じることを防止できる。
同様に、第3の複合ケーブル80では、第2の遮蔽部材76の外側に第2の電源線82が配置されることにより、制御線33が第2の電源線82が発する電磁波の影響を受けることを防止できる。この為、第2の電源線82に起因して制御線33により送信される音声信号にノイズが生じることを防止できる。
第2の複合ケーブル70は、その外周部に第2のシース75を有しており、端子盤50及びパッチ盤60間の固定配線の用途のように、人に踏まれる虞がない場所及び移動や屈曲することがない場所に配置される用途に対しては、十分な強度を有する。この為、中継システム40に第2の複合ケーブル70を用いることにより、中継システム40のコストを低減できる。
同様に、第3の複合ケーブル80は、その外周部に第3のシース84を有しており、端子盤50及びパッチ盤60間の固定配線の用途のように、人に踏まれる虞がない場所及び移動や屈曲することがない場所に配置される用途に対しては、十分な強度を有する。この為、中継システム40に第3の複合ケーブル80を用いることにより、中継システム40のコストを低減できる。
また、第2の複合ケーブル70は、電源線として、4本の第1の電源線32を有することにより、断面形状を円に近づけることができるので、見栄えを向上することができる。
2台のテレビカメラ20用に用いられる第3の複合ケーブル80においても、4本の第2の電源線82を有することにより、断面形状を同様に円に近づけることができるので、見栄えを向上することができる。
また、第3の複合ケーブル80のように、2台のテレビカメラ20に対する送受信用の各種線を、1本のケーブルにまとめることにより、部品点数を削減することができる。
また、第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80では、第2の遮蔽部材76の内側にドレインワイヤ74を配置することにより、第2の遮蔽部材76を流れる電流を、端子盤50の金属部分、及び、パッチ盤60の金属部分を介して、外部に放出することができる。
また、1台のテレビカメラ20の送受信用に用いられる第2の複合ケーブル70、及び、2台のテレビカメラ20の送受信に用いられる第3の複合ケーブル80を組み合わせて用いることにより、これら複合ケーブルの本数を少なく抑えつつ、偶数及び奇数の台数のテレビカメラ20を有する放送システム10に対応することが可能となる。
具体的には、複数となる偶数台のテレビカメラ20を中継する場合は、第3の複合ケーブル80のみで対応することができる。また、複数となる奇数台のテレビカメラ20を中継する場合は、1本以上の第3の複合ケーブル80、及び、1本の第2の複合ケーブル70で対応することができる。
また、制御線ユニット72では、制御線33が互いに撚られていることにより、制御線33が送信する音声信号にノイズが生じることを防止できる。また、第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80では、それぞれのシースの内側に配置される各種線は、テンションメンバを中心として撚られている。この為、制御線33により送信される音声信号にノイズが生じることを防止できる。
[変形例の説明]
なお、本実施形態では、一例として、制御線ユニット72では制御線33が互いに撚られているが、これに限定されない。他の例では、制御線ユニット72の制御線33は、互いに撚られていなくてもよい。
本実施形態では、一例として、第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80のそれぞれのシースの内側に配置される各種線は、テンションメンバを中心として撚られているが、これに限定されない。他の例では、それぞれシースの内側に配置される各種線は、テンションメンバを中心として撚られていなくてもよい。
本実施形態では、複合ケーブルは、その一例として、1台のテレビカメラ20に用いられる第2の複合ケーブル70、及び、2台のテレビカメラ20に用いられる第3の複合ケーブル80について説明された。しかしながら、複合ケーブルは、テレビカメラ20の1台分または2台分の各種線を有することのみに限定されない。
複合ケーブルは、3台以上のテレビカメラ20に用いられる各種線を有してもよい。他の例としては、例えば、複合ケーブルは、4台のテレビカメラ20に必要な各種線を有してもよい。この場合、複合ケーブルは、例えば、1本のテンションメンバ、テレビカメラ20の4台分の電源線、テレビカメラ20の4台分の制御線ユニット72、及び、テレビカメラ20の4台分の光ファイバを有する。
テレビカメラ20の4台分の電源線は、1台のテレビカメラ20に対して例えば正極用及び負極用にそれぞれ1本ずつの合計2本の電源線を用いる場合、8本となる。テレビカメラ20の4台分の制御線ユニット72の本数は、4本である。テレビカメラ20の4台分の光ファイバ線34の本数は、8本である。
また、複合ケーブルは、6台のテレビカメラ20に必要な各種線を有してもよい。この場合、複合ケーブルは、例えば、1本のテンションメンバ、テレビカメラ20の6台分の電源線、テレビカメラ20の6台分の制御線ユニット72、及び、テレビカメラ20の6台分の光ファイバ線34を有する。
テレビカメラ20の6台分の電源線は、1台のテレビカメラ20に対して例えば正極用及び負極用にそれぞれ1位本ずつの合計2本の電源線を用いる場合、12本となる。テレビカメラ20の6台分の制御線ユニット72の本数は、6本である。テレビカメラ20の6台分の光ファイバ線34の本数は、12本である。
このように、複合ケーブルは、テレビカメラ20等の装置に要する各種線を、この装置の複数台分有してもよい。
また、本実施形態では、制御線ユニット72は、制御線33に加えて、ドレインワイヤ74を有しているがこれに限定されない。他の例として、制御線ユニット72は、第2の遮蔽部材76の導電性を有する内周部により、外部に電流を放出可能に形成されてもよい。この場合では、制御線ユニット72は、ドレインワイヤ74を有さなくてもよい。または、ドレインワイヤ74に代えて、第2の遮蔽部材76を流れる電流を外部に放出する機能を有さず、プラグコネクタ77の正常な接続の確認、並びに、第2の複合ケーブル70の断線及び第3の複合ケーブル80の断線の確認の機能を有する導線であってもよい。この場合、この導線は、絶縁性の材料で被覆されていてもよい。
しかしながら、本実施形態のようにドレインワイヤ74が用いられることにより、第2の遮蔽部材76に流れる電流の外部への放出、プラグコネクタ77の正常な接続の確認、並びに、第2の複合ケーブル70の断線及び第3の複合ケーブル80の断線の確認をすることができるので、ドレインワイヤ74を有することが好ましい。
さらに、ドレインワイヤ74を、第2の遮蔽部材76の内側に配置することにより、第2の遮蔽部材76がドレインワイヤ74の被覆部として機能することとなる。この為、ドレインワイヤ74に被覆部を設けることがないので、第2の複合ケーブル70及び第3の複合ケーブル80を軽量化できる。さらに、コストも低減できる。
また、本実施形態では、制御線ユニット72の第2の遮蔽部材76は、その内周部が導電性を有し、外周部が絶縁性を有しているがこれに限定されない。他の例では、第2の遮蔽部材76は、全体が導電性を有してもよい。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。