JP2018063219A - 突風予測装置 - Google Patents
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Abstract
Description
以前より、突風の予測技術に関して幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、交通機関の防災のために、ドップラーレーダによって突風をピンポイントで探知する技術が記されている。また、特許文献2には、気象画像と地形データとを参照して竜巻の発生予測を行う技術が記されている。
また、気象庁のナウキャストの予測情報は、一般利用者向けの情報であり、交通機関の警戒情報として利用すると、警戒頻度が高く、警戒領域が広くなりすぎるという課題が生じる。交通機関の警戒領域では、例えば交通が停止されるなど利用者に不便が強いられるため、突風が生じないところに警戒領域が大きく広がることは好ましくない場合がある。
気象データに基づいて警戒対象の積乱雲を検出する検出手段と、
互いに時間を隔てた複数組の気象データに基づいて前記警戒対象の積乱雲の移動ベクトルを予測する予測手段と、
前記予測手段によって予測された移動ベクトルに基づいて突風の警戒領域を決定する警戒領域決定手段と、
を備え、
前記予測手段は、前記警戒対象の積乱雲が含まれるか或いは近接する複数の領域それぞれにおける所定の気象現象の分布の変位方向および変位距離を表わす複数の変位ベクトルを、前記時間を隔てた複数組の気象データの相互相関に基づいて計算し、前記複数の変位ベクトルを平均して前記警戒対象の積乱雲の移動ベクトルを求めることを特徴としている。
上記のような構成によれば、予測手段によって警戒対象の積乱雲の移動ベクトルが予測され、この予測結果に基づいて警戒領域が決定される。さらに、積乱雲の移動ベクトルは、気象データの相互相関に基づき計算された複数の変位ベクトルを平均して求められる。よって、警戒対象の積乱雲の移動を高い精度で予測できる。従って、上記決定された警戒領域によって、突風による交通機関の被害を回避しつつ、突風が生じないのに警戒領域に含まれてしまう範囲を小さくできる。
前記複数の領域は4つ以上の領域であり、
前記複数の変位ベクトルは4つ以上の変位ベクトルとしてもよい。
このような構成によれば、警戒対象の積乱雲を囲うように変位ベクトルを設定でき、移動ベクトルの予測精度を向上できる。
前記閾値は、前記予測手段の処理と同一の処理により過去の気象データから計算される過去複数の積乱雲の各々についての前記複数の変位ベクトルと、前記複数の変位ベクトルの平均ベクトルとの方向差の標準偏差に基づいて定められてもよい。
この構成によれば、複数の地点で気象現象の分布が近似していて、相互相関により変位ベクトルの誤差が大きくなった場合に、この変位ベクトルが使用されて移動ベクトルの誤差が大きくなることを回避できる。よって、誤った積乱雲の移動予測を排除して、移動予測の総合的な精度をより高めることができる。
前記方向のばらつき量と前記距離のばらつき量とは、前記予測手段の処理と同一の処理により過去の気象データから予測される複数の積乱雲の移動ベクトルと、前記複数の積乱雲の実際の移動ベクトルとの変化値(方向差、ベクトル差、ベクトルの大きさの差、ベクトルの大きさの比率など)の標準偏差に基づいて定められてもよい。
この構成によれば、適宜、予測した移動ベクトルにばらつきを加えて警戒領域が決定されるので、突風が生じる可能性が非常に低い箇所を警戒領域から除外して、それ以外の箇所を警戒領域に含めることができる。
変位ベクトルの計算に誤りが生じるときは、今後に突風が生じにくいことが、統計上、分かっている。従って、上記の構成によれば、今後に突風が生じない積乱雲の衰退時に、この積乱雲に関する警戒領域の設定を回避することができる。
この構成によれば、気象現象の分布が近似する複数の地点の相互相関により積乱雲の移動ベクトルが誤って大きなベクトルに計算された場合に、この積乱雲を警戒対象から除外して、突風が生じないのに警戒領域に含まれてしまう範囲をより小さくできる。また、移動速度が大きいほど突風の最大風速が大きくなり被害が大きくなりやすいことから、下限値を設定することで、突風が生じる可能性が低い積乱雲を除外することができる。
図1は、本発明の実施形態の突風警報システムの機能構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態の突風警報システム1は、気象サーバ100から提供される気象データに基づいて、突風が生じる可能性のある警戒領域を決定し、これを鉄道運用サーバ200に送信するシステムである。突風警報システム1は、本発明に係る突風予測装置の一例に相当する。
鉄道運用サーバ200は、鉄道輸送を行っている列車の管理を行うサーバであり、突風の警戒領域の情報を受信し、警戒領域に路線が含まれる場合に、この路線に警戒情報を発報する。警戒情報は、警戒領域で輸送を行っている列車や担当区所に伝達され、これによって例えば列車停止等の措置が警戒情報の解除まで取られる。
突風警報システム1は、CPU(中央演算処理装置)、制御プログラムと制御データを格納した記憶装置、作業用のRAM(Random Access Memory)、並びに、ネットワークNを介して通信を行う通信装置等を備えたコンピュータである。突風警報システム1は、上記のハードウェアとソフトウェアとの協働により、図1の各機能ブロックを実現する。
気象データ受信部11は、ネットワークNを介して気象サーバ100から必要な気象データを受信する。気象データは、例えば所定の時間間隔ごとにリアルタイムで受信される。
対象除外部14は、積乱雲移動予測部13の予測から得られる警戒積乱雲の移動速度が、例えば3km/5分〜10km/5分などの正常な範囲にあるか判別する(ステップS4)。そして、正常な範囲になければ、対象除外部14は、この警戒積乱雲を警戒対象から除外する。移動速度が下限値である3km/5分未満、或いは、上限値である10km/5分以上の場合、統計上、積乱雲移動予測部13の予測が誤りであると判定できるため、このような除外処理を行っている。
警戒情報送信部16は、警戒領域が決定されたら、ネットワークNを介してこの情報を鉄道運用サーバ200へ送信する。
図3は、積乱雲移動予測処理の詳細を示すフローチャートである。図4は、移動ベクトルを得るために相互相関処理の対象となる領域を示す説明図である。図5は、警戒積乱雲の移動ベクトルを計算する処理の説明図である。
1つの代表地点を選択してステップS13〜S17のループ処理へ処理を移行すると、積乱雲移動予測部13は、先ず、選択した代表地点に対応する領域の現在画像を気象データから抽出し(ステップS13)、同様に、選択した代表地点に対応する領域の所定時間前(例えば5分前)の画像を比較画像として気象データから抽出する(ステップS14)。
続いて、積乱雲移動予測部13は、ループ処理の処理対象として4つの代表地点Pa〜Pdを全て選択完了したか判別し(ステップS17)、否であればステップS12に処理を戻し、完了していれば、次のステップS18に処理を進める。
上記のようなステップS12〜S17のループ処理により、図5(a)に示すように、4つの代表地点Pa〜Pdにそれぞれ対応する4つの変位ベクトルVa〜Vdが求められる。
ステップS20またはステップS21の処理を行うと、積乱雲移動予測部13は、警戒積乱雲移動予測処理を終了する。
警戒領域決定部15は、先に説明したように、予測された移動ベクトルVtcに基づいて警戒領域を決定する。警戒領域は、警戒積乱雲が例えば20分以内に通過する予想領域として定義される。
さらに、警戒領域決定部15は、ベクトルLに距離のばらつきΔLと方向のばらつきΔθとを加えた領域を二次警戒領域Rk2として決定する。距離のばらつきΔLは、距離の標準偏差σLと係数AとをベクトルLに乗算した大きさとして計算する。方向のばらつきΔθは、方向の標準偏差σDと係数Bとを乗算して計算する。
また、係数A、Bは、予測に含めるばらつきの度合を表わすパラメータである。係数A、Bを小さな値にすることで警戒領域を小さくできる。また、係数A、Bを大きな値にすることで警戒領域を大きくして余裕を持った警戒領域を設定できる。
なお、変位ベクトルの異常により警戒積乱雲の移動ベクトルが求められていない場合、今後に突風が生じにくいことが、統計上、分かっている。よって、このような場合には、警戒領域決定部15は、警戒積乱雲に関する警戒領域を無しと決定し、突風が生じない積乱雲に関する警戒領域の設定を回避する。
例えば、甲信越地方の或る季節では、発達したほとんどの積乱雲が、南西から北東の方向に所定速度内で進むことが過去の統計に示されている。そこで、この統計情報から警戒積乱雲の北方から南東まで一定距離(例えば38km)の範囲を警戒領域とすることが検討できる。図7(a)は、過去に生じた警戒積乱雲TCに対して、この方法で警戒領域Rkを設定した場合を示している。
一方、図7(b)は、過去に生じた警戒積乱雲TCに対して、当時の気象データから計算した本実施形態の警戒領域Rkを示している。
また、上記実施形態では、鉄道機関用に突風の警戒範囲を設定するシステムを示したが、本発明は高速道路など様々な交通機関の突風の警戒に利用することができる。
11 気象データ受信部
12 警戒積乱雲検出部(検出手段)
13 積乱雲移動予測部(予測手段)
14 対象除外部(対象除外手段)
15 警戒領域決定部(警戒領域決定手段)
16 警戒情報送信部
A〜D 変位ベクトル
Pa〜Pd 代表地点
Rb 相互相関処理の対象となる領域
TC 警戒積乱雲
Vtc 移動ベクトル
Rk、Rk1、Rk2 警戒領域
Claims (6)
- 気象データに基づいて警戒対象の積乱雲を検出する検出手段と、
互いに時間を隔てた複数組の気象データに基づいて前記警戒対象の積乱雲の移動ベクトルを予測する予測手段と、
前記予測手段によって予測された移動ベクトルに基づいて突風の警戒領域を決定する警戒領域決定手段と、
を備え、
前記予測手段は、前記警戒対象の積乱雲が含まれるか或いは近接する複数の領域それぞれにおける所定の気象現象の分布の変位方向および変位距離を表わす複数の変位ベクトルを、前記時間を隔てた複数組の気象データの相互相関に基づいて計算し、前記複数の変位ベクトルを平均して前記警戒対象の積乱雲の移動ベクトルを求めることを特徴とする突風予測装置。 - 前記複数の領域は4つ以上の領域であり、
前記複数の変位ベクトルは4つ以上の変位ベクトルであることを特徴とする請求項1記載の突風予測装置。 - 前記予測手段は、前記複数の変位ベクトルの方向のばらつきが予め定められた閾値を超えた場合に、前記複数の変位ベクトルから求められる前記移動ベクトルを不採用にするように構成され、
前記閾値は、前記予測手段の処理と同一の処理により過去の気象データから計算される過去複数の積乱雲の各々についての前記複数の変位ベクトルと、前記複数の変位ベクトルの平均ベクトルとの方向差の標準偏差に基づいて定められることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の突風予測装置。 - 前記警戒領域決定手段は、前記予測手段によって予測された移動ベクトルに、予め定められた方向のばらつき量と距離のばらつき量とを加えて前記警戒領域を決定するように構成され、
前記方向のばらつき量と前記距離のばらつき量とは、前記予測手段の処理と同一の処理により過去の気象データから予測される複数の積乱雲の移動ベクトルと、前記複数の積乱雲の実際の移動ベクトルとの変化値の標準偏差に基づいて定められることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の突風予測装置。 - 前記警戒領域決定手段は、前記移動ベクトルが不採用となった積乱雲に関する警戒領域を無しに決定することを特徴とする請求項3記載の突風予測装置。
- 前記予測手段によって予測された前記移動ベクトルに対応する移動速度が上限値を超えるもしくは下限値を下回る積乱雲を警戒対象から除外する対象除外手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の突風予測装置。
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2016
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岩波 越: "リモートセンシング技術による積乱雲の一生の観測", 平成27年電気学会全国大会講演論文集, vol. 第1分冊, JPN6020022574, 24 March 2015 (2015-03-24), pages 2 - 7, ISSN: 0004294141 * |
新版 気象ハンドブック, vol. 第3版, JPN6020022576, 10 March 1998 (1998-03-10), pages 137 - 138, ISSN: 0004294142 * |
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CN111684314A (zh) * | 2018-02-05 | 2020-09-18 | 株式会社日立制作所 | 气象预测校正方法以及气象预测系统 |
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