JP2018063187A - 容器構造体及びこれを用いた撮像システム - Google Patents
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Abstract
【課題】対象物と共に外部から撮像される容器構造体において、撮像された対象物の画像に、撮像光軸が容器壁を通過することによる影響が可及的に及ばないようにする。【解決手段】選別容器1は、上皿11と下皿12との組合せからなる。下皿12は、撮像対象物としての細胞Cの収容空間Rを区画する底壁16及び側壁17を有する。底壁16は、透光性且つ平板状である。収容空間Rには、細胞Cを保持するディッシュ10が収容されている。底壁16は、選別容器1の下方に配置されるカメラユニット5によってディッシュ10に保持された細胞Cが撮像される際に、撮像光軸AXが通過する壁であり、前記撮像の際にカメラユニット5の画角Gに入る領域に薄肉部18を有している。【選択図】図7A
Description
本発明は、対象物を保持した状態で撮像装置によって前記対象物と共に撮像される容器構造体と、この容器構造体を用いた撮像システムに関する。
対象物の撮像において、当該対象物を透光性の容器に保持させた状態で、前記容器の外部から前記対象物の撮像を行う場合がある。例えば医療や生物学的な研究の用途では、細胞乃至は細胞凝集塊が撮像対象物とされ、培地を貯留する容器の中に多数の細胞収容凹部を有するディッシュが配置され、該ディッシュ上に多量の細胞(細胞凝集塊)が撒かれ、実験等に供することができる細胞を選別する作業が行われる。この選別のために、細胞を担持したディッシュが前記容器の外部から撮像装置によって撮像され、例えば画像処理技術によって使用可能な細胞と、使用不可の細胞及び夾雑物とが区分される(例えば、特許文献1参照)。
容器の壁部を通して該容器内の対象物を撮像する場合、良好な透光性を有する容器を用いたとしても、光の屈折や光の損失などによって対象物の撮影画像に影響が出てしまうことがある。とりわけ、対象物が細胞のようなミクロンオーダーのものである場合、その影響は大きくなる。
本発明の目的は、内部に対象物を保持した状態で対象物と共に外部から撮像される容器構造体において、撮像された対象物の画像に、撮像光軸が容器壁を通過することによる影響が可及的に及ばないようにすることにある。
本発明の一局面に係る容器構造体は、対象物の収容空間を区画する容器壁を有し、前記容器壁として透光性且つ平板状の底壁を含む容器本体と、前記収容空間に配置され、前記対象物を保持する保持部材と、を備え、前記底壁は、前記容器本体の下方に配置される撮像装置によって前記保持部材に保持された前記対象物が撮像される際に、撮像光軸が通過する壁であり、前記撮像の際に前記撮像装置の画角に入る領域に薄肉部を有している、ことを特徴とする。
この容器構造体によれば、容器本体の底壁側が撮像装置によって撮像される面となるので、容器本体の上面側に対象物を保持部材に供給する装置を配置した状態で、下面側から撮像装置による撮像を行うという撮像態様に対応することができる。また、上記容器構造体は、保持部材に保持された対象物の撮像の際に、底壁における撮像装置の画角に入る領域に薄肉部が具備されている。このため、前記底壁を通して外部から前記保持部材に保持された対象物を撮像する場合において、光の屈折や光の損失などの影響を最小限に抑制することができる。
上記の容器構造体において、前記保持部材は、前記対象物を保持する複数の保持部がマトリクス状に配列された透光性且つ平板状のプレートであり、前記底壁に対して所定間隔を置いて平行に配置され、前記薄肉部は、前記保持部の配列部分に対応した形状を有していることが望ましい。
この容器構造体によれば、マトリクス状の保持部を有する平板状のプレートと平行に薄肉部が配置される。このため、前記プレートと前記薄肉部との距離は、底壁の面方向のいずれの位置でも一定となる。従って、撮像条件のバラツキの発生を抑制できる。
上記の容器構造体において、前記底壁は、所定の肉厚を有する平板からなる前記薄肉部と、前記薄肉部の周囲に存在し前記所定の肉厚より厚肉の厚肉部と、を含み、前記薄肉部は、前記保持部材と対向する上面と、前記撮像装置と対向する下面とを備え、前記撮像装置によって撮像可能な複数のマークが、前記薄肉部の前記上面又は前記下面のいずれかに付設されていることが望ましい。
この容器構造体によれば、薄肉部の上面又は下面のいずれかに複数のマークが付設されている。このため、例えば撮像装置によって前記複数のマークを順次撮像し、各々のマークに対するフォーカス位置情報を取得することで、前記薄肉部の平面度を検出することができる。前記薄肉部に傾きが生じている場合、撮像光軸の屈折条件が変わり、対象物の光像が本来結像すべき位置に結像しなくなる。このため、対象物の正確な画像を取得できないケースが生じ得る。しかし、薄肉部の平面度を検出可能とすることで、当該薄肉部の傾き等に応じた補正値を求めることが可能となり、画像補正に利用することが可能となる。
この場合、前記薄肉部は、矩形形状を有し、前記マークは、前記矩形の薄肉部の4つの角部のうち複数の角部の近傍に配置されていることが望ましい。この構成によれば、薄肉部の平面度を一層的確に検出することができる。
上記の容器構造体において、前記底壁は、所定の肉厚を有する平板からなる前記薄肉部と、前記薄肉部の周囲に存在し前記所定の肉厚より厚肉の厚肉部と、を含み、前記薄肉部は、前記保持部材と対向する上面と、前記撮像装置と対向する下面とを備え、前記撮像装置によって撮像可能な第1マークが前記薄肉部の前記上面に、第2マークが前記下面に各々付設されていることが望ましい。
この容器構造体によれば、薄肉部の上面には第1マークが、下面には第2マークが各々付設されている。このため、例えば撮像装置によって前記第1マークと前記第2マークとを順次撮像し、各々のマークに対するフォーカス位置情報を取得することで、前記薄肉部の撮像光軸方向の厚さを検出することができる。複数の容器構造体において、仮に薄肉部の厚さにバラツキが存在している場合、対象物の光像長にバラツキが生じてしまい、容器構造体間で得られる画像に相違が生じ得る。しかし、薄肉部の厚さを検出可能とすることで、当該薄肉部の厚さに応じた補正値を求めることが可能となり、画像補正に利用することが可能となる。
この場合、前記第1マークと前記第2マークとは、前記撮像装置の1回の撮像における画角に入り、且つ、撮像光軸方向から見て互いに近接した位置関係となるように、前記薄肉部に配置されていることが望ましい。この構成によれば、薄肉部の厚さを一層的確に検出することができる。
上記の容器構造体において、前記底壁は、所定の肉厚を有する平板からなる前記薄肉部と、前記薄肉部の周囲に存在し前記所定の肉厚より厚肉の厚肉部と、を含み、前記薄肉部は、前記保持部材と対向する上面と、前記撮像装置と対向する下面とを備え、前記薄肉部の前記上面又は前記下面のいずれか一方に、前記撮像装置によって撮像可能な複数の第1マークが付設され、前記上面又は前記下面のいずれか他方に、前記撮像装置によって撮像可能な第2マークが付設され、前記第2マークは、前記複数の第1マークの少なくとも一つと前記撮像装置の1回の撮像における画角に入る位置に付設されていることが望ましい。
この容器構造体によれば、上述の薄肉部の平面度及び厚さの双方を検出可能とすることができる。
上記の容器構造体において、前記マークは、前記上面又は前記下面に突設された山型の突起部であることが望ましい。
容器本体を形成するための汎用手段は、透光性樹脂を金型成形する方法である。上記の構成によれば、金型に突起部用の型を付設するだけで前記突起部を形成することができるので、マーク付きの容器本体の製造を容易とすることができる。また、前記薄肉部の透視像において前記突起部の根元のラインが表出することになるので、マークとしての機能も果たすことができる。
本発明の他の局面に係る撮像システムは、上記の容器構造体と、前記容器本体の下方に配置され、前記保持部材に保持された前記対象物を、前記薄肉部を通して撮像する撮像装置と、を備える。
上記の撮像システムによれば、容器本体の上面側に対象物を保持部材に供給する装置を配置した状態で、下面側から撮像装置による撮像を行う撮像システムを構築することができる。また、容器構造体には、保持部材に保持された対象物の撮像の際に、底壁における撮像装置の画角に入る領域に薄肉部が具備されているので、前記撮像装置が前記底壁を通して前記保持部材に保持された対象物を撮像する際、光の屈折や光の損失などの影響を最小限に抑制することができる。
本発明のさらに他の局面に係る撮像システムは、上記の容器構造体と、前記容器本体の下方に配置され、前記保持部材に保持された前記対象物を、前記薄肉部を通して撮像する撮像装置と、前記撮像装置が取得する画像に基づいて、前記複数のマークの高さ位置を検出する高さ検出部と、前記複数のマークの高さ位置から、前記薄肉部の平面度を検出する平面度算出部と、を備える。
上記の撮像システムによれば、平面度算出部が薄肉部の平面度を検出する。このため、前記薄肉部の傾き等に応じた補正値を求めることが可能となり、撮像装置が取得した対象物の画像補正等を行うことができる。
本発明のさらに他の局面に係る撮像システムは、上記の容器構造体と、前記容器本体の下方に配置され、前記保持部材に保持された前記対象物を、前記薄肉部を通して撮像する撮像装置と、前記撮像装置が取得する画像に基づいて、前記第1マーク及び前記第2マークの高さ位置を検出する高さ検出部と、前記第1マーク及び前記第2マークの高さ位置から、前記薄肉部の肉厚を検出する肉厚検出部と、を備える。
上記の撮像システムによれば、肉厚検出部が薄肉部の肉厚を検出する。このため、前記薄肉部の肉厚に応じた補正値を求めることが可能となり、撮像装置が取得した対象物の画像補正等を行うことができる。
本発明のさらに他の局面に係る撮像システムは、上記の容器構造体と、前記容器本体の下方に配置され、前記保持部材に保持された前記対象物を、前記薄肉部を通して撮像する撮像装置と、前記撮像装置が取得する画像に基づいて、前記第1マーク及び前記第2マークの高さ位置を検出する高さ検出部と、前記第1マーク又は前記第2マークの高さ位置から、前記薄肉部の平面度を検出する平面度算出部と、前記第1マーク及び前記第2マークの高さ位置から、前記薄肉部の肉厚を検出する肉厚検出部と、を備える。
上記の撮像システムによれば、平面度算出部が薄肉部の平面度を検出し、肉厚検出部が薄肉部の肉厚を検出する。このため、前記薄肉部の平面度及び肉厚に応じた補正値をそれぞれ求めることが可能となり、撮像装置が取得した対象物の画像補正等を行うことができる。
本発明によれば、内部に対象物を保持した状態で対象物と共に外部から撮像される容器構造体において、撮像された対象物の画像に、撮像光軸が容器壁を通過することによる影響が可及的に及ばないようにすることができる。
以下、本発明に係る容器構造体及びこれを用いた撮像システムの実施形態について説明する。本発明において、容器構造体に収容され撮像システムで撮像される対象物について特に制限はないが、本実施形態では、対象物として生体由来の細胞、特に細胞凝集塊(スフェロイド;spheroid)を例示する。生体由来の細胞凝集塊は、細胞が数個〜数十万個凝集して形成されている。そのため、細胞凝集塊の大きさは様々である。生きた細胞が形成する細胞凝集塊は略球形であるが、細胞凝集塊を構成する細胞の一部が変質したり、死細胞となっていたりすると、細胞凝集塊の形状は歪になる、あるいは密度が不均一となる場合がある。バイオ関連技術や医薬の分野における試験において、選別ステージに担持された種々の形状を呈する複数の細胞凝集塊の中から、観察、試験、培養等に適した形状の細胞凝集塊をピッキッングし、これを所定のステージまで移動する細胞移動装置は、本発明を好適に適用できる用途である。以下の説明では、上記のような細胞凝集塊を含む意味で、簡略的に細胞Cと表現する。なお、対象物は、小型の電子部品や機械部品、有機又は無機の破砕片や粒子、ペレット等の液体、体外受精やIVF(in vitro fertilization)等で用いられる卵、ゼブラフィッシュ等の小魚、植物種子などであっても良い。
[細胞移動装置の全体構成]
図1は、細胞移動装置S(撮像システム)の全体構成を概略的に示す図である。ここでは、細胞C(対象物)を2つの容器間で移動させる細胞移動装置Sを例示している。細胞移動装置Sは、ディッシュ10を備えた選別容器1(容器構造体)、マイクロプレート4、カメラユニット5(撮像装置)、及びチップ6が搭載されたヘッドユニット61を備えている。
図1は、細胞移動装置S(撮像システム)の全体構成を概略的に示す図である。ここでは、細胞C(対象物)を2つの容器間で移動させる細胞移動装置Sを例示している。細胞移動装置Sは、ディッシュ10を備えた選別容器1(容器構造体)、マイクロプレート4、カメラユニット5(撮像装置)、及びチップ6が搭載されたヘッドユニット61を備えている。
選別容器1は、細胞Cの移動元となる容器であり、培地Lを貯留し、細胞選別用のディッシュ10(保持部材)を培地Lに浸漬される状態で保持している。ディッシュ10は、細胞Cを保持するプレートであり、細胞Cを個別に収容することが可能な保持凹部3(保持部)を上面に複数有している。
培地Lは、細胞Cの性状を劣化させないものであれば特に限定されず、細胞Cの種類により適宜選定することができる。培地Lとしては、たとえば基本培地、合成培地、イーグル培地、RPMI培地、フィッシャー培地、ハム培地、MCDB培地、血清などの培地のほか、冷凍保存前に添加するグリセロール、セルバンカー(十慈フィールド株式会社製)等の細胞凍結液、ホルマリン、蛍光染色のための試薬、抗体、精製水、生理食塩水などを挙げることができる。たとえば、細胞Cとして生体由来の細胞であるBxPC−3(ヒト膵臓腺癌細胞)を用いる場合には、培地LとしてはRPMI−1640培地に牛胎児血清FBS(Fetal Bovine Serum)を10%混ぜたものに、必要に応じて抗生物質、ピルビン酸ナトリウムなどのサプリメントを添加したものを用いることができる。
選別容器1は、その上面側に矩形の上部開口1Hを備えている。上部開口1Hは、細胞Cの投入、並びに、選別された細胞Cをピックアップするための開口である。ディッシュ10は、上部開口1Hの下方に配置されている。選別容器1及びディッシュ10は、透光性の樹脂材料やガラスで作製されたものが用いられる。これは、選別容器1の下方に配置されたカメラユニット5により、ディッシュ10に担持された細胞Cを観察可能とするためである。この選別容器1の構造については、後記で詳述する。
選別容器1には、図略の分注チップから、細胞培養液に分散された状態の複数の細胞Cが注入される。前記分注チップは、多量の細胞Cを含む細胞培養液を貯留する容器から、細胞Cと共に細胞培養液を吸引し、当該分注チップ内に保持する。その後、前記分注チップは、選別容器1の上空位置へ移動され、上部開口1Hを通してディッシュ10の上面にアクセスする。そして、前記分注チップの先端開口が選別容器1の培地Lに浸漬された状態で、チップ内に保持された細胞Cが細胞培養液と共にディッシュ10へ吐出される。
ディッシュ10の詳細構造を説明する。図2は、ディッシュ10の上面図、図3は、図2のIII−III線断面図である。ディッシュ10は、ディッシュ本体2と、該ディッシュ本体2に形成される複数の保持凹部3とを備えている。ディッシュ本体2は、所定の厚みを有する平板状の部材からなり、上面21と下面22とを有する。上面21には、移動対象となる細胞Cを保持する複数の保持凹部3が設けられている。ディッシュ10は、下面22が選別容器1の底壁に対して間隔を置いた状態で、該選別容器1の収容空間内に保持される。ディッシュ10は、選別容器1内の培地L中に浸漬されている。つまり、ディッシュ10の上面21が培地Lの液面よりも下方に位置するよう、選別容器1に培地Lが注液される。
保持凹部3の各々は、開口部31、底部32、筒状の壁面33、孔部34及び境界部35を含む。本実施形態では、上面視で正方形の保持凹部3がマトリクス状に配列されている例を示している。開口部31は、上面21に設けられた正方形の開口であり、選別用のチップ6の先端開口6Hの進入を許容するサイズを有する。底部32は、ディッシュ本体2の内部であって、下面22の近くに位置している。底部32は、中心(前記正方形の中心)に向けて緩く下り傾斜する傾斜面である。筒状の壁面33は、開口部31から底部32に向けて鉛直下方に延びる壁面である。孔部34は、底部32の前記中心と下面22との間を鉛直に貫通する貫通孔である。孔部34の形状は上面視で正方形であり、開口部31と同心である。境界部35は、上面21に位置し、各保持凹部3の開口縁となる部分であって、保持凹部3同士を区画する稜線である。なお、保持凹部3の上面視形状は、丸形、三角形、五角形、六角形等であってもよく、これらがハニカム状、直線状、ランダムにディッシュ本体2へ配置されていても良い。或いは、一つの保持凹部3だけが備えられているディッシュ10としても良い。
各保持凹部3の底部32及び筒状の壁面33は、細胞Cを収容するキャビティ3Hを区画している。キャビティ3Hには、一般的には1個の細胞Cが収容されることが企図されている。従って、保持凹部3は、ターゲットとする細胞Cのサイズに応じて設定される。但し、多数の細胞Cを含む細胞培養液を選別容器1に分注する作業では、一つの保持凹部3に複数の細胞Cが入り込んでしまう場合がある。孔部34は、所望のサイズ以外の小さな細胞や夾雑物をキャビティ3Hから逃がすために設けられている。従って、孔部34のサイズは、所望のサイズの細胞Cは通過できず、所望のサイズ以外の小さな細胞や夾雑物を通過させるサイズに選ばれている。これにより、選別対象となる細胞Cは保持凹部3にトラップされる一方で、夾雑物等は孔部34から選別容器1の底壁上に落下する。
図4は、選別容器1における実際のディッシュ10の配置例を示す図である。ここでは、4枚の四角形の小ディッシュ10A、10B、10C、10Dが、1つの大きな四角形を作るように配列されてなるディッシュ10を例示している。ミクロンオーダーの細胞Cを保持させるディッシュ10の保持凹部3は微小サイズとなり、ディッシュ本体2としても自ずと薄肉のプレートが用いられることとなる。この場合、プレートサイズを大きくするとプレートの平面度が出難くなるため、小サイズの小ディッシュ10A〜10Dを集合させて所要のサイズのディッシュ10を形成することが多い。マイクロプレート4についても同様である。
図4には、カメラユニット5によるディッシュ10の撮影範囲AVの一例も示されている。ミクロンオーダーの細胞Cを撮像する光学系の画角は、自ずと小さくなる。一般的には、画角=2mm程度のカメラが用いられる。従って、カメラユニット5による1回の撮像では、到底ディッシュ10の全域をカバーすることはできない。このため、ディッシュ10の一部を順次カメラユニット5で撮像する手法が採られる。図4では、小ディッシュ10Aの約1/4程度をカバーする撮影範囲AVが描かれているが、実際は1枚の小ディッシュ10Aの全域をカバーするだけで、数十回〜100回程度の撮像が必要となる。従って、図4の例では4枚の小ディッシュ10A〜10Dが用いられているので、その4倍の撮像動作が必要となる。
図1に戻って、マイクロプレート4は、細胞Cの移動先となる容器であり、細胞Cを受け入れる複数のウェル41を有する。1つのウェル41には、培地Lと共に必要個数(通常は1個)の細胞Cが収容される。複数のウェル41はマトリクス状に配列されており、それぞれのウェル41は、テーパ部42と、該テーパ部42の下方に連なる筒状部43とを含む。テーパ部42は、マイクロプレート4の上面に円形の開口部を有し、前記上面から下方に向けて径小となるテーパ形状を有する。筒状部43は、上下方向に内径が均一な部分であり、その下端に底部を備える。マイクロプレート4もまた、透光性の樹脂材料やガラスで作製されたものが用いられる。これは、マイクロプレート4の下方に配置されたカメラユニット5により、マイクロプレート4に担持された細胞Cを観察可能とするためである。
カメラユニット5は、カメラレンズ51を備え、選別容器1においてディッシュ10に担持されている細胞C、或いはマイクロプレート4においてウェル41に保持されている細胞Cの画像を撮像する。カメラユニット5は、CCDイメージセンサのような撮像素子を備える。カメラレンズ51は、前記撮像素子の受光面に、細胞Cの光像を結像させる。
カメラユニット5は、カメラレンズ51が選別容器1及びマイクロプレート4の各下面と対向するように、これらの下方に配置されている。つまり、カメラユニット5は、選別容器1又はマイクロプレート4に担持されている細胞Cの画像を、これらの下面側から撮像する。カメラユニット5は、図中に矢印X2で示すように、ガイドレール52に沿って、選別容器1の下方とマイクロプレート4の下方との間を水平方向に移動可能である。
チップ6は、先端開口6Hを備えたチューブ状の部材であり、細胞Cを含む培地Lの吸引及び吐出を行う。具体的にはチップ6は、選別容器1のディッシュ10から細胞Cを、より詳しくはディッシュ10の保持凹部3に担持されている細胞Cを培地Lと共に吸引し、これらをマイクロプレート4のウェル41へ吐出する。また、図示は省いているが、必要に応じてチップ6は試薬液等を吸引し、細胞Cを担持しているウェル41内へこれを吐出する。
ヘッドユニット61は、細胞Cをディッシュ10からマイクロプレート4へ移動させるために設けられ、ヘッド本体62とヘッド63とを備える。ヘッド本体62は、ヘッド63を上下方向に進退可能に保持し、ガイドレール64に沿って図中に矢印X1で示すように左右方向に移動可能である。なお、図1では図示していないが、ヘッド本体62は、図1の紙面と直交する方向(前後方向)にも移動可能である。ヘッド63は、中空のロッドからなる。チップ6は、ヘッド63の下端に装着されている。ヘッド63の中空部内にはピストン機構が搭載されており、該ピストン機構の動作によってチップ6の先端開口6Hに吸引力及び吐出力が与えられる。ヘッド本体62には、前記ピストン機構の動力部と、ヘッド63を上下方向に移動させる昇降機構及びその動力部が内蔵されている。
[選別容器の第1実施形態]
図5Aは、第1実施形態に係る選別容器1の上面図、図5Bはその底面図、図6Aは、選別容器1の上面側の斜視図、図6Bは、その底面側の斜視図である。図7Aは、選別容器1の縦断面図、図7Bは、カメラユニット5によるディッシュ10の撮像状態を説明するための図である。選別容器1は、ディッシュ10を支持する上皿11と、培地Lを貯留する下皿12(容器本体)との組合せ体からなる。本実施形態では、上皿11及び下皿12の双方が、透光性の樹脂材料又はガラスで作製されたものが用いられている。
図5Aは、第1実施形態に係る選別容器1の上面図、図5Bはその底面図、図6Aは、選別容器1の上面側の斜視図、図6Bは、その底面側の斜視図である。図7Aは、選別容器1の縦断面図、図7Bは、カメラユニット5によるディッシュ10の撮像状態を説明するための図である。選別容器1は、ディッシュ10を支持する上皿11と、培地Lを貯留する下皿12(容器本体)との組合せ体からなる。本実施形態では、上皿11及び下皿12の双方が、透光性の樹脂材料又はガラスで作製されたものが用いられている。
上皿11は、直方体の形状を有し、外周壁13、天壁14及び内周壁15を備えている。外周壁13は、前記直方体の4つの側部を形成する壁である。外周壁13の下端縁131は、選別容器1において最も下方に位置しており、当該選別容器1の接地面となる。外周壁13の4つの壁のうち、互いに対向する一対の壁には、下端縁131から上方に向けて部分的に壁が切り欠かれてなる切り欠き132が設けられている。
内周壁15は、上部開口1Hを区画する壁であり、上部開口1Hから下方に向けて開口面積が徐々に縮小するように傾斜する四角錐台型の壁である。内周壁15の下端縁151により、正方形の開口が形成されている。図7Aにも示されているように、この開口を塞ぐように、下端縁151にはディッシュ10が溶着されている。透光性且つ平板状のプレートからなるディッシュ10は、下端縁151が作る正方形の開口よりやや大きいサイズを有し、ディッシュ10の外周縁の近傍付近が下端縁151に固着されている。
天壁14は、選別容器1の上面を形成する壁であり、外周壁13の上端と内周壁15とを繋ぐ水平壁である。天壁14には貫通孔(図には表れない)が穿孔されており、前記貫通孔にソケット19が取り付けられている。ソケット19には、図略のチューブが接続される。
下皿12は、上面開口の容器であって、細胞Cを担持するディッシュ10を収容する収容空間Rを区画する容器壁を有する。下皿12は、前記容器壁として、透光性且つ平板状の底壁16と、底壁16の周縁から立設された側壁17とを備えている。下皿12は、大略的に直方体の形状を有するが、前記直方体の4つの側部のうち、一つの側部17Aにはダクト部121が突設されている。ダクト部121の内部空間は、収容空間Rに連通している。また、ソケット19に連通する前記貫通孔は、ダクト部121に対応する位置の天壁14に穿孔されている。つまり、収容空間Rの圧力が上昇した場合等に、ダクト部121及びソケット19を通して前記圧力を外部に逃がすことができる。また、ソケット19を通して収容空間Rに加圧空気を送り、選別容器1内の培地Lに液流を発生させ、ディッシュ10に担持されている細胞Cを分散させることもできる。
下皿12に対して、上皿11が被嵌されている。この被嵌状態において、ダクト部121が突設された側部17Aを除き、側壁17は上皿11の外周壁13に近接している。外周壁13の切り欠き132において側壁17は外部に露出しているが、それ以外の領域では側壁17は外周壁13に覆われている。側壁17の上端縁171は、天壁14の裏面側に溶着されている。また、側壁17の上下方向の長さは、外周壁13の上下方向の長さよりもやや短い。従って、前記被嵌状態において底壁16は設置面に接面せず、外周壁13の下端縁131だけが接面する。つまり、下皿12は上皿11に吊止支持されている。
底壁16は、水平方向に延びる壁であり、図7Bに示されているように、下皿12の下方に配置されるカメラユニット5によってディッシュ10に担持された細胞Cが撮像される際に、その撮像光軸AXが通過する壁である。ディッシュ10は、底壁16に対して所定間隔を置いて平行に配置されている。すなわち、内周壁15の下端縁151は底壁16には届いておらず、この下端縁151で支持されているディッシュ10は、底壁16から浮いた状態となっている。
底壁16は、所定の肉厚を有する平板からなる薄肉部18を有している。薄肉部18はディッシュ10(プレート)の外形形状に沿った正方形の形状を備えている。さらに底壁16は、薄肉部18の周囲に存在し前記所定の肉厚より厚肉の厚肉部161を備えている。換言すると、薄肉部18は、厚肉部161の中央領域に形成された浅い正方形の凹部である。一例を挙げるならば、厚肉部161の厚さを0.6mm、薄肉部18の厚さを0.4mm(薄肉部18の厚さが厚肉部161の2/3程度)とすることができる。
薄肉部18は、カメラユニット5による前記撮像の際に、カメラユニット5の画角に入る領域に形成されている。図7Bを参照して、カメラユニット5は、その撮影範囲を決定する画角Gを有している。既述の通り、カメラユニット5はミクロンオーダーの細胞Cを撮像する光学系であるので、その画角Gはディッシュ10のサイズに比べて小さい。図7Bには、ディッシュ10において撮像を要する領域である被撮像領域Hが示されている。本実施形態では、内周壁15の下端開口と概ね同じ大きさの領域が、ディッシュ10の被撮像領域Hである。薄肉部18は、底壁16の全面のうち、被撮像領域Hの撮像が行われる際にカメラユニット5の画角Gに入る領域に形成される。本実施形態では、底壁16の、被撮像領域Hの左右幅よりもやや広い領域に薄肉部18となる凹部が形成されている例を示している。
図8Aは、カバー100が取り付けられた選別容器1の上面側の斜視図、図8Bは、これを底面側から見た斜視図である。実際に選別容器1が使用される際、上部開口1Hを通してディッシュ10に塵埃や微生物等が進入することが想定される。無用な進入物が堆積しないよう、またディッシュ10に機器類が接触したり人手が接触したりしないよう、選別容器1の不使用時には上部開口1Hを塞ぐことが望ましい。このため、選別容器1には付属品としてカバー100が付設される。図8A及び図8Bは、カバー100が選別容器1に装着された状態を示している。カバー100は、上皿11の天壁14及び上部開口1Hと、外周壁13の上半分程度を覆っている。
以上説明した第1実施形態に係る選別容器1によれば、下皿12の底壁16側がカメラユニット5によって撮像される面となる。このため、選別容器1の上面側から細胞Cをヘッドユニット61のチップ6からディッシュ10に供給する装置構成が採用される場合において(図1)、つまりヘッドユニット61との干渉が生じるためカメラユニット5を選別容器1の上面側に配置できないという制限が有る状態において、ディッシュ10に担持された細胞Cを、選別容器1の下面側からカメラユニット5で撮像させるという撮像態様に対応することができる。
また、選別容器1は、ディッシュ10に保持された細胞C(対象物)の撮像の際に、底壁16におけるカメラユニット5の画角Gに入る領域に薄肉部18が具備されている。このため、底壁16を通してディッシュ10上の細胞Cを撮像する場合において、光の屈折や光の損失などの影響を最小限に抑制することができる。つまり、細胞C(及びディッシュ10)の光像が通過する範囲内において底壁16が薄肉部18によって薄肉化されているので、光線が底壁16という物体を通過することによる光学的な影響を抑制できる。このことは、細胞Cの画像をより正確に捉えることに繋がる。
さらに、ディッシュ10が、細胞Cを保持する複数の保持凹部3がマトリクス状に配列された透光性且つ平板状のプレートであり、底壁16に対して所定間隔を置いて平行に配置され、薄肉部18は、ディッシュ10の外形形状に沿った形状を有している。このため、ディッシュ10と薄肉部18との距離は、底壁16の面方向のいずれの位置でも一定となる。従って、カメラユニット5による撮像条件のバラツキの発生を抑制できる。また、薄肉部18の形成範囲が、ディッシュ10の被撮像領域Hに沿った領域に限定されているので、ディッシュ10の機械的強度も確保することができる。
[選別容器の第2実施形態]
上述の通り、選別容器1の底壁16を通して、ディッシュ10に担持された細胞Cの光像が撮像される。上記実施形態では、薄肉部18の形成によって光線が底壁16を通過する影響を抑制する例を示した。しかし、薄肉部18に傾きが生じていたり、薄肉部18の肉厚にバラツキが生じていたりすると、細胞Cの正確な画像が取得できない場合が生じ得る。この第2実施形態では、薄肉部18の平面度及び厚さを検出することが可能な選別容器1を例示する。
上述の通り、選別容器1の底壁16を通して、ディッシュ10に担持された細胞Cの光像が撮像される。上記実施形態では、薄肉部18の形成によって光線が底壁16を通過する影響を抑制する例を示した。しかし、薄肉部18に傾きが生じていたり、薄肉部18の肉厚にバラツキが生じていたりすると、細胞Cの正確な画像が取得できない場合が生じ得る。この第2実施形態では、薄肉部18の平面度及び厚さを検出することが可能な選別容器1を例示する。
図9は、第2実施形態に係る選別容器1の底面図である。第1実施形態と相違する点は、カメラユニット5によって撮像可能な複数のマーク8が薄肉部18に付設されている点である。選別容器1のその他の点は、先に説明した第1実施形態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
図9に示すように、薄肉部18は平面視で正方形(矩形)の形状を有し、マーク8は薄肉部18の4つの角部の近傍に配置されている。マーク8が配置される位置は、細胞Cの画像認識に影響が及ばないよう、保持凹部3のマトリクス配列部分の周縁角部が選ばれている。図7Aを参照すると、マーク8の配置位置は、内周壁15の下端縁151の直下付近である。図9では、薄肉部18の第1角部18Aに第1マーク8A、第2角部18Bに第2マーク8B、第3角部18Cに第3マーク8C、第4角部18Dに第4マーク8Dが各々付設されている例を示している。これら第1〜第4マーク8A〜8Dは、同一形状を備えている。勿論、第1〜第4マーク8A〜8Dの一部又は全部を、互いに異なる形状としても良い。また、薄肉部18の平面視の形状も、矩形以外の形状(円形、楕円形、三角形、多角形等)であっても良い。さらに、マーク8は薄肉部18の4つの角部の近傍に必ずしも配置せずともよく、少なくとも複数の角部の近傍に配置されていれば良い。
図10Aは、マーク8(第1〜第4マーク8A〜8D)の一例を示す選別容器1の部分的な底面図、図10Bは、図10AのXB−XB線断面図である。薄肉部18は、カメラユニット5と対向する下面181と、ディッシュ10に対向する上面182とを備えている。図10Aでは、薄肉部18と底壁16の厚肉部161とを繋ぐテーパ部183が示されている。マーク8は、下面181に突設された下面突起部81(第2マーク)と、上面182に突設された上面突起部82(第1マーク)との一対のペアからなる。これら突起部81、82は、断面が円弧状の山型の突起であり、下面181、上面182からそれぞれ下方、上方へ突出している。突起部81、82の根元部分の形状は、平面視で円形である。カメラユニット5にて薄肉部18の上下方向の透視像を撮像した場合、この根元の円形ラインが透視像に表出することになる。なお、突起部81、82は、断面が円弧以外の形状であっても良く、例えば三角錐、四角錐、或いは錐台等の形状を有していても良い。
下面突起部81と上面突起部82とは、図10Aに示されているように、矩形の薄肉部18の角部付近に対角方向に並ぶように配置されている。つまり、突起部81、82は、薄肉部18の上下方向において互いに重なり合わないよう、且つ互いに離間し過ぎないように配置されている。本実施形態では、下面突起部81と上面突起部82とが、カメラユニット5の1回の撮像において画角Gに入り、撮像光軸AX方向から見て互いに近接した位置関係となるよう、下面181、上面182にそれぞれ配置されている。
本実施形態では、下面181の第1〜第4角部18A〜18D付近に各々設けられた4つの下面突起部81が、薄肉部18の平面度を検出するために用いられる。また、第1〜第4角部18A〜18D付近の下面181及び上面182に各々設けられた下面突起部81と上面突起部82との4つのペア(第1〜第4マーク8A〜8D)が、薄肉部18の肉厚を検出するために用いられる。
薄肉部18の平面度及び肉厚は、突起部81、82の高さ位置を検出することによって求めることができる。高さ位置とは、薄肉部18の面がXY方向に延びているとするとき、このXY平面に対して直交するZ方向(肉厚方向)の高さ位置である。平面度は、薄肉部18の四隅付近に各々存在する4つの下面突起部81又は上面突起部82の円形ラインの高さ位置に相違に基づいて検出することができる。4つの円形ラインの高さ位置が全く同じであれば、薄肉部18は水平面であることが確認できる。一方、4つの円形ラインの高さ位置が相違していれば、薄肉部18は傾き乃至は偏肉を持つことになり、その高さ位置の相違分布から傾斜度合いや傾斜方向等の傾斜面の性質を把握できる。
薄肉部18の肉厚は、第1〜第4マーク8A〜8Dの各々において、下面突起部81の円形ライン及び上面突起部82の円形ラインの高さ位置を検出し、両者の差分を算出することによって求めることができる。つまり、下面突起部81の円形ラインは下面181に、上面突起部82の円形ラインは上面182に表出するので、両者の高さ位置の差は薄肉部18の肉厚となる。第1〜第4マーク8A〜8Dの各々において突起部81、82の高さ位置の差分を検出することで、薄肉部18の肉厚だけでなく、肉厚のバラツキ(偏肉度合い)を把握することができる。
突起部81、82の高さ位置は、カメラユニット5で薄肉部18を撮像させ、当該突起部81、82の円形ラインを認識する処理を行うことによって求めることができる。つまり、カメラユニット5のフォーカスを前記円形ラインに合わせ、そのときのフォーカス距離から前記高さ位置が求められる。このフォーカス合わせには、例えばコントラスト検出方式を採用することができる。具体的には、下面突起部81の下方であると確定できる所定位置を撮像始点として、数十ミクロン単位でフォーカス位置を上方にシフトさせつつ、カメラユニット5に薄肉部18(マーク8)の画像を撮像させる。得られた画像の中で、前記円形ラインと推定されるラインが最も高いコントラストで写っている画像が撮像されたフォーカス位置を合焦位置と扱い、そのフォーカス距離に基づいて下面突起部81の高さ位置が求められる。上面突起部82についても同様である。
図11Aは、マーク8(第1〜第4マーク8A〜8D)の他の例を示す選別容器1の部分的な底面図、図11Bは、図11AのXIB−XIB線断面図である。ここに示すマーク8は、図10A、図10Bの例と同様に、下面181に突設された下面突起部83(第2マーク)と、上面182に突設された上面突起部84(第1マーク)との一対のペアからなり、両突起部83、84が矩形の薄肉部18の角部付近に対角方向に並ぶように配置されている。
しかし、両突起部83、84の断面形状が、先に例示した両突起部81、82とは異なる。突起部83、84は、断面が二重の円弧状を呈する突起である。つまり、突起部83、84は、径の大きいドーム状の下段突起の上に、径の小さいドーム状の上段突起が載置されてなる形状を有し、それぞれ下面181、上面182から下方、上方へ突出している。突起部83、84の前記下段突起及び上段突起の根元部分の形状は、いずれも平面視で円形である。カメラユニット5にて薄肉部18の上下方向の透視像を撮像した場合、これら根元の円形ラインが同心の二重円となって透視像に表出することになる。
薄肉部18へ付設するマークの態様は特に限定はなく、カメラユニット5によってキャプチャーできるものであれば良い。例えば、突起部81〜84に代えて、凹部や凹溝としても良く、各種の色でペイントされた記号、文字などであっても良い。しかし、選別容器1(下皿12)を形成するための汎用手段は、透光性樹脂を金型成形する方法である。マークを突起部81〜84とすれば、金型に突起部用の凸型を付設するだけで当該突起部81〜84を簡単に形成することができ、また、肉厚が乏しい薄肉部18へも形成が容易である。
また、前記マークは、検出目的に応じて任意に薄肉部18へ付設することができる。例えば、薄肉部18の平面度のみを検出する場合、例えば薄肉部18の肉厚の均一性に信頼性が十分に有る場合、薄肉部18の下面181又は上面182のいずれかに、複数のマークを付設すれば良い。例えば、図10A、図10Bの例において、下面181にのみ下面突起部81を付設し、上面182には上面突起部82を設けない態様とすることができる。或いは、上面182には上面突起部82を付設し、下面181には下面突起部81を設けない態様としても良い。勿論、薄肉部18の下面181、上面182にそれぞれ下面突起部81、上面突起部82を付設し、下面181及び上面182の双方の平面度を検出するようにしても良い。この場合、薄肉部18の偏肉(面方向における厚さのバラツキ)を検出することができる。
さらに、薄肉部18の肉厚検出用のマークを、第1〜第4マーク8A〜8Dの全てに具備させない態様としても良い。例えば、第1〜第4マーク8A〜8Dのいずれか一つだけを下面突起部81及び上面突起部82のペアマークとし、他のマークについては、平面度検出用の下面突起部81のみとしても良い。この他、各種の目的に応じて、第1〜第4マーク8A〜8Dを異なる態様のマークとしても良い。例えば、第1〜第4マーク8A〜8Dのいずれか一つだけを図11A、図11Bに示した下面突起部83及び上面突起部84のペアマークとし、他のマークについては、図10A、図10Bに示した下面突起部81及び上面突起部82のペアマークとしても良い。また、薄肉部18は厚肉部161によって囲まれているので本来的に反りは生じ難いが、反りの影響が想定される場合は、マークを薄肉部18の中央付近(対角線の交点付近)にも設けるようにしても良い。この場合、第1〜第4マーク8A〜8D及び中央付近のマークの高さ位置に基づき、反りが生じている薄肉部18について、任意のXY位置における高さを算出することが可能となる。
続いて、薄肉部18の平面度及び肉厚を検出する意義を説明する。図12は、薄肉部18の傾きが細胞Cの撮像へ与える影響を説明するための模式図である。図12では、カメラユニット5の撮像対象とされている細胞C及び薄肉部18と、カメラユニット5が備える撮像素子53とが模式的に描かれている。薄肉部18は、傾きが生じていない水平な状態を実線で、傾きが生じている状態を点線で描いている。
薄肉部18に傾きが生じていない場合、細胞Cの任意の点C1の光線は、薄肉部18を通過する際に当該薄肉部18の屈折率に応じて屈折し、撮像素子53の特定の画素P1に入射する光路F1を取る。ところが、薄肉部18に傾きが生じていると、点C1の光線が撮像素子53へ入射する光路が変わってしまう。図12に例示すように、薄肉部18が右上がりに傾斜した場合、点C1の光線は、光路F1より右側の画素P2に入射する光路F2を取ることになる。このため、点C1の画像上の位置が、薄肉部18の傾きによって変化してしまう。また、光路長も光路F1と光路F2とで若干相違が出ることから、細胞Cの画像上の大きさも相違することになる。これらのことは、細胞Cの正確な画像の取得を阻害する要因となり得る。
薄肉部18の傾きは、本実施形態においては、例えば上皿11に対する下皿12の取り付け誤差によって生じ得る。既述の通り、薄肉部18を備える下皿12は、その側壁17の上端縁171が上皿11の天壁14に溶着されることによって、上皿11に取り付けられている。この際、薄肉部18が傾いた状態で溶着されてしまうことが起こり得る。また、薄肉部18の偏肉に起因して、薄肉部18の下面181又は上面182が傾いた状態となることもある。これらの傾きを予め検出しておき、その傾きに応じた画像補正用の補正値を取得しておけば、取得された細胞Cの画像の不正確さを補正することができる。
図13は、薄肉部18の肉厚のバラツキが細胞Cの撮像へ与える影響を説明するための模式図である。図13においても、撮像対象の細胞C、薄肉部18及び撮像素子53が模式的に描かれている。薄肉部18は、標準の肉厚を実線で、標準よりも厚い肉厚を点線(厚肉の薄肉部18t)で描いている。
薄肉部18が標準の肉厚を有している場合、細胞Cの任意の点C2の光線は、薄肉部18を通過する際に当該薄肉部18の屈折率に応じて屈折し、撮像素子53の特定の画素P3に入射する光路F3を取る。ところが、薄肉部18が標準とは異なる厚さであると、点C2の光線が撮像素子53へ入射する光路が変わってしまう。図13に例示すように、薄肉部18が標準よりも厚肉の薄肉部18tであると、点C2の光線は、光路F3より右側の画素P4に入射する光路F4を取ることになる。このため、点C2の画像上の位置が、薄肉部18の肉厚差によって変化してしまう。
また、薄肉部18が標準とは異なる厚さであると、光路長が変化する。撮像素子53の画素P3に入射する光線に注目すると、標準肉厚の薄肉部18の場合は光路F3により点C2の光線が入射し、標準よりも厚肉の薄肉部18tの場合は光路F5により点C3の光線が入射する。光路F5の光路長は、光路F3よりも長くなる。このため、点C2と点C3とが同じ高さ位置にあっても、画像上では点C3は点C2よりも遠くに位置する如くキャプチャーされることになる。このように、薄肉部18の肉厚のバラツキは、細胞Cの正確な画像の取得を阻害する要因となり得る。
薄肉部18の肉厚のバラツキは、下皿12の製造条件による個体間(ロッド間)のバラツキと、一つの薄肉部18における面方向の偏肉とがある。このようなバラツキは不可避的に発生する。しかし、薄肉部18の肉厚を予め検出しておき、その肉厚に応じた画像補正用の補正値を取得しておけば、取得された細胞Cの画像の不正確さを補正することができる。
[細胞移動装置の電気的構成]
図14は、本発明に係る撮像システムが適用された細胞移動装置Sの電気的構成を示すブロック図である。細胞移動装置Sは、ヘッドユニット61(図1)の移動、ヘッド63の位置決め及び昇降、ヘッド63による細胞Cの吸引及び吐出動作、並びにカメラユニット5の動作を制御する制御部7を備える。また、細胞移動装置Sは、カメラユニット5を水平移動させる機構としてカメラ軸駆動部54、ヘッドユニット61を水平移動させる機構としてヘッドユニット軸駆動部65、ヘッド63を昇降させる機構並びに吸引及び吐出動作を行わせる機構としてヘッド駆動部66、及び表示部67を備えている。
図14は、本発明に係る撮像システムが適用された細胞移動装置Sの電気的構成を示すブロック図である。細胞移動装置Sは、ヘッドユニット61(図1)の移動、ヘッド63の位置決め及び昇降、ヘッド63による細胞Cの吸引及び吐出動作、並びにカメラユニット5の動作を制御する制御部7を備える。また、細胞移動装置Sは、カメラユニット5を水平移動させる機構としてカメラ軸駆動部54、ヘッドユニット61を水平移動させる機構としてヘッドユニット軸駆動部65、ヘッド63を昇降させる機構並びに吸引及び吐出動作を行わせる機構としてヘッド駆動部66、及び表示部67を備えている。
カメラ軸駆動部54は、ガイドレール52に沿ってカメラユニット5を移動させる駆動モータを含む。好ましい態様は、ガイドレール52に沿ってボールねじが敷設され、該ボールねじに螺合されたナット部材にカメラユニット5が取り付けられ、前記駆動モータが前記ボールねじを正回転又は逆回転させることにより、カメラユニット5を目標位置へ移動させる態様である。
ヘッドユニット軸駆動部65は、ガイドレール64に沿ってヘッドユニット61(ヘッド本体62)を移動させる駆動モータを含む。好ましい態様は、カメラ軸駆動部53と同様に、ボールねじ及びナット部材を具備し、前記駆動モータが前記ボールねじを正回転又は逆回転させる態様である。なお、ヘッド本体62をXYの2方向に移動させる場合は、ガイドレール64に沿った第1ボールねじ(X方向)と、第1ボールねじに螺合された第1ナット部材に装着された移動板に搭載された第2ボールねじ(Y方向)とを用いる。この場合、ヘッド本体62は第2ボールねじに螺合された第2ナット部材に装着される。
ヘッド駆動部66は、ヘッド63を上下方向に移動させる昇降機構のための動力部、中空ロッドからなるヘッド63の中空部内に組み付けられるピストン機構を駆動するための動力部(例えばモータ)が相当する。上述の通り、昇降機構はヘッド本体62からヘッド63が下方に延び出した下降位置と、ヘッド本体62に大部分が収容された上昇位置との間で、ヘッド63を上下移動させる。ピストン機構の動力部は、ヘッド63内に配置されたピストン部材を昇降させることで、ヘッド63に装着されたチップ6の先端開口6Hに、吸引力及び吐出力を発生させる。
表示部67は、液晶ディスプレイ等からなり、カメラユニット5により撮影された画像や、制御部7によって画像処理等がなされた画像などを表示する。
制御部7は、マイクロコンピュータ等からなり、機能的に、撮像制御部71、平面度算出部72、肉厚検出部73、画像メモリ74、画像処理部75、軸制御部76、ヘッド制御部77及び補正値記憶部78を備えている。ここでは、選別容器1として、第2実施形態に示したマーク付きの薄肉部18を備えた下皿12が用いられる場合、つまり薄肉部18の平面度及び肉厚が検出される場合を想定している。
撮像制御部71は、カメラユニット5の撮像動作及び移動動作を制御する。本実施形態では撮像制御部71は、少なくとも細胞Cが保持凹部3に保持された状態のディッシュ10の画像をカメラユニット5に撮像させる動作と、選別容器1の薄肉部18の第1〜第4マーク8A〜8Dを撮像させる動作を制御する。撮像制御部71は、機能的に、カメラ移動制御部711及び高さ検出部712を備えている。
カメラ移動制御部711は、カメラ軸駆動部54を制御して、カメラユニット5をガイドレール52に沿って移動させる動作を制御する。また、カメラ移動制御部711は、ディッシュ10を撮像する際、並びに上述の薄肉部18の第1〜第4マーク8A〜8Dを撮像する際等に、カメラユニット5を微小移動させる。
高さ検出部712は、カメラユニット5が取得する薄肉部18の第1〜第4マーク8A〜8Dに基づいて、下面突起部81及び上面突起部82の円形ラインの高さ位置を検出する。先に例示した通り、突起部81、82の円形ラインの高さ位置は、コントラスト検出方式により当該円形ラインに対する合焦点を探知し、その合焦点におけるフォーカス距離に基づいて求めることができる。
平面度算出部72は、高さ検出部712により求められた下面突起部81又は上面突起部82の高さ位置から、薄肉部18の平面度を検出する処理を行う。具体的には平面度算出部72は、薄肉部18の四隅付近に付設された4つの突起部81、82の円形ラインの各XY座標と、その高さ位置(Z座標)とから、薄肉部18の下面181及び/又は上面182の傾きを求める。この傾きに基づき、平面度算出部72は薄肉部18の平面度を評価し、画像補正値を設定する。
肉厚検出部73は、高さ検出部712により求められた下面突起部81又は上面突起部82の高さ位置から、薄肉部18の肉厚を検出する処理を行う。具体的には肉厚検出部73は、第1〜第4マーク8A〜8Dの各々において突起部81、82の高さ位置の差分を算出することによって、薄肉部18の四隅の肉厚を各々導出する。これらの肉厚値に基づき、肉厚検出部73は画像補正値を設定する。
ここで、第1〜第4マーク8A〜8Dの各々の位置の肉厚が等しく、平面度算出部72が薄肉部18に傾きがあることを検出していれば、肉厚一定の薄肉部18が傾いた状態で上皿11に取り付けられていることが判明する。一方、第1〜第4マーク8A〜8Dの各々の位置の肉厚が不均一であれば、薄肉部18に偏肉が存在していることが判明する。つまり、薄肉部18の傾きが、薄肉部18の傾いた取り付けによるものか、偏肉によるものかが判明し、画像補正値を的確に設定することが可能となる。
画像メモリ74は、前記マイクロコンピュータに具備されている記憶領域や外部ストレージ等からなり、カメラユニット5により取得された画像データを一時的に格納する。
画像処理部75は、カメラユニット5が撮像し、画像メモリ74に格納された画像データを画像処理する。画像処理部75は、例えば、細胞Cが分注された後のディッシュ10の画像に基づき、ディッシュ10上における細胞Cの存在を画像上で認識する処理、細胞Cの分布を認識する処理、認識された細胞Cの形状を認識する処理などを、画像処理技術を用いて実行する。
軸制御部76は、ヘッドユニット軸駆動部65の動作を制御する。すなわち、軸制御部76は、ヘッドユニット軸駆動部65を制御することで、ヘッドユニット61を水平方向の所定の目標位置へ移動させる。ヘッド63(チップ6)の、吸引対象となるディッシュ10の保持凹部3の鉛直上空での位置決め、並びに吐出対象となるマイクロプレート4のウェル41の鉛直上空での位置決めは、軸制御部76によるヘッドユニット軸駆動部65の制御によって実現される。
ヘッド制御部77は、ヘッド駆動部66を制御する。ヘッド制御部77は、ヘッド駆動部66の前記昇降機構のための動力部を制御することにより、制御対象とするヘッド63を所定の目標位置に向けて昇降させる。また、ヘッド制御部77は、制御対象とするヘッド63についての前記ピストン機構の動力部を制御することにより、所定のタイミングで当該ヘッド63に装着されているチップ6の先端開口6Hに吸引力又は吐出力を発生させる。つまり、軸制御部76及びヘッド制御部77は、ディッシュ10の保持凹部3に保持された細胞Cを、マイクロプレート4の各グループの各ウェル41へ移動させるよう、ヘッドユニット61を制御する。
補正値記憶部78は、平面度算出部72及び肉厚検出部73が検出した薄肉部18の平面度及び肉厚に基づく画像補正値を記憶する。この画像補正値は、画像処理部75における細胞Cの認識処理の際などに利用される。
[撮像動作のフロー]
続いて、本実施形態の細胞移動装置Sによる薄肉部18の撮像動作を、図15に示すフローチャートに基づいて説明する。カメラ移動制御部711は、カメラ軸駆動部54を制御して、カメラユニット5を選別容器1の直下へ移動させる(ステップS1)。
続いて、本実施形態の細胞移動装置Sによる薄肉部18の撮像動作を、図15に示すフローチャートに基づいて説明する。カメラ移動制御部711は、カメラ軸駆動部54を制御して、カメラユニット5を選別容器1の直下へ移動させる(ステップS1)。
さらに、カメラ移動制御部711は、薄肉部18の第1角部18A(図9)の第1マーク8Aがカメラユニット5の画角に入るように、つまり第1マーク8Aを構成する下面突起部81及び上面突起部82(或いは下面突起部83及び上面突起部84)のマークペアが1回の撮像での画角に入るように、カメラユニット5を移動させる。そして、高さ検出部712が、突起部81、82の円形ラインの高さ位置を検出するための撮像動作をカメラユニット5に実行させる(ステップS2)。
具体的には高さ検出部712は、下面突起部81の円形ラインの下方位置であることが明らかな位置を撮像始点とし、フォーカス位置を所定ピッチで順次上方へシフトさせながら、第1角部18Aの画像の撮像を行わせる方式で、所定回数の撮像動作をカメラユニット5に実行させる。上記所定ピッチは、例えば数十ミクロンである。所定回数は、所定ピッチの上方へのシフトによって、フォーカス位置が上面突起部82の円形ラインの上方に至ると推定できるに足りる回数である。
高さ検出部712は、コントラスト検出方式により突起部81、82の円形ラインの高さZ11、Z12を各々検出する。すなわち、高さ検出部712は、上記の所定回数分の撮像により得られた画像の中で、突起部81、82の円形ラインと推定されるラインが最も高いコントラストで写っている画像を各々選択する。そして、高さ検出部712は、最高コントラストの画像が撮像されたフォーカス位置を合焦位置と扱い、そのフォーカス距離に基づいて円形ラインの高さZ11、Z12を検出する。
カメラ移動制御部711は、カメラユニット5を、第2角部18Bの第2マーク8Bが画角に入る位置へ移動させる(ステップS3)。続いて高さ検出部712が、当該第2角部18Bの突起部81、82の円形ラインの高さ位置を検出するための撮像動作をカメラユニット5に実行させる(ステップS4)。
この際、ステップS2で得られた高さZ11、Z12の情報が利用される。具体的には、撮像始点が、高さZ11を基準位置として所定距離だけ下方の位置に設定される。撮像終点は、高さZ12よりも所定距離だけ上方の位置に設定される。つまり、高さZ11、Z12が既知であるので、第2角部18Bにおける突起部81、82の円形ラインが存在する範囲をある程度推定することができる。これにより、撮像シフトの回数を減らし、作業時間を短縮することができる。そして、高さ検出部712は、コントラスト検出方式により第2角部18Bの突起部81、82の円形ラインの高さZ21、Z22を各々検出する。
以下同様にして、カメラユニット5が第3角部18Cの第3マーク8Cが画角に入る位置へ移動され(ステップS5)、高さ検出部712が、高さZ11、Z12の情報を利用して、当該第3角部18Cの突起部81、82の円形ラインの高さ位置Z31、Z32を検出するための撮像動作をカメラユニット5に実行させる(ステップS6)。続いて、カメラユニット5が第4角部18Dの第4マーク8Dが画角に入る位置へ移動され(ステップS7)、高さ検出部712が、高さZ11、Z12の情報を利用して、当該第4角部18Dの突起部81、82の円形ラインの高さ位置Z41、Z42を検出するための撮像動作をカメラユニット5に実行させる(ステップS8)。
その後、平面度算出部72が、高さ検出部712により求められた4つの下面突起部81の高さ位置Z11、Z21、Z31、Z41、或いは上面突起部82の高さ位置Z12、Z22、Z32、Z42に基づいて、薄肉部18の平面度を算出する処理を行う(ステップS9)。さらに、肉厚検出部73が、第1〜第4マーク8A〜8Dの各々における突起部81、82の高さ位置の差分、つまり、Z12−Z11、Z22−Z21、Z32−Z31及びZ42−Z41の演算を行うことで、薄肉部18の四隅の肉厚をそれぞれ算出する(ステップS10)。
しかる後、平面度算出部72及び肉厚検出部73が、ステップS9、10で求めた薄肉部18の平面度及び肉厚に対応した画像補正値を算出し、これを補正値記憶部78に記憶させる(ステップS11)。以上で、制御部7は薄肉部18の撮像処理を終える。補正値記憶部78に記憶された補正値を利用して、対象物(細胞C)やディッシュ10のXYZ位置が修正され、細胞Cをピッキングするヘッド63の軸制御が実行される。
以上説明した本実施形態に係る選別容器1(容器構造体)及び細胞移動装置S(撮像システム)によれば、薄肉部18の平面度及び肉厚を検出することができ、当該薄肉部18の傾き、肉厚のバラツキ等に応じた補正値を求めることが可能である。従って、対象物のより一層正確な画像を取得することができる。
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、種々の変形実施形態と取ることができる。例えば、上記実施形態では、平面度及び肉厚を検出するためのマークを、下皿12の底壁16(薄肉部18)に付設する例を示した。当該マークを、細胞Cを担持するディッシュ10にも付設するようにしても良い。ディッシュ10もまた、カメラユニット5により撮像されるので、その傾きや偏肉の度合いを知見することで、適正な画像補正値を取得することができる。
AX 撮像光軸
S 細胞移動装置(撮像システム)
G 画角
R 収容空間
1 選別容器(容器構造体)
10 ディッシュ(保持部材/プレート)
11 上皿
12 下皿(容器本体)
16 底壁(容器壁)
161 厚肉部
17 側壁(容器壁)
18 薄肉部
181 下面
182 上面
18A、18B、18C、18D 第1、第2、第3、第4角部
3 保持凹部(保持部)
4 マイクロプレート
5 カメラユニット(撮像装置)
7 制御部
71 撮像制御部
712 高さ検出部
72 平面度算出部
73 肉厚検出部
8 マーク
81、83 下面突起部(第2マーク)
82、84 上面突起部(第1マーク)
S 細胞移動装置(撮像システム)
G 画角
R 収容空間
1 選別容器(容器構造体)
10 ディッシュ(保持部材/プレート)
11 上皿
12 下皿(容器本体)
16 底壁(容器壁)
161 厚肉部
17 側壁(容器壁)
18 薄肉部
181 下面
182 上面
18A、18B、18C、18D 第1、第2、第3、第4角部
3 保持凹部(保持部)
4 マイクロプレート
5 カメラユニット(撮像装置)
7 制御部
71 撮像制御部
712 高さ検出部
72 平面度算出部
73 肉厚検出部
8 マーク
81、83 下面突起部(第2マーク)
82、84 上面突起部(第1マーク)
Claims (12)
- 対象物の収容空間を区画する容器壁を有し、前記容器壁として透光性且つ平板状の底壁を含む容器本体と、
前記収容空間に配置され、前記対象物を保持する保持部材と、を備え、
前記底壁は、
前記容器本体の下方に配置される撮像装置によって前記保持部材に保持された前記対象物が撮像される際に、撮像光軸が通過する壁であり、
前記撮像の際に前記撮像装置の画角に入る領域に薄肉部を有している、
ことを特徴とする容器構造体。 - 請求項1に記載の容器構造体において、
前記保持部材は、前記対象物を保持する複数の保持部がマトリクス状に配列された透光性且つ平板状のプレートであり、前記底壁に対して所定間隔を置いて平行に配置され、
前記薄肉部は、前記保持部の配列部分に対応した形状を有している、容器構造体。 - 請求項1又は2に記載の容器構造体において、
前記底壁は、所定の肉厚を有する平板からなる前記薄肉部と、前記薄肉部の周囲に存在し前記所定の肉厚より厚肉の厚肉部と、を含み、
前記薄肉部は、前記保持部材と対向する上面と、前記撮像装置と対向する下面とを備え、
前記撮像装置によって撮像可能な複数のマークが、前記薄肉部の前記上面又は前記下面のいずれかに付設されている、容器構造体。 - 請求項3に記載の容器構造体において、
前記薄肉部は、矩形形状を有し、
前記マークは、前記矩形の薄肉部の4つの角部のうち複数の角部の近傍に配置されている、容器構造体。 - 請求項1又は2に記載の容器構造体において、
前記底壁は、所定の肉厚を有する平板からなる前記薄肉部と、前記薄肉部の周囲に存在し前記所定の肉厚より厚肉の厚肉部と、を含み、
前記薄肉部は、前記保持部材と対向する上面と、前記撮像装置と対向する下面とを備え、
前記撮像装置によって撮像可能な第1マークが前記薄肉部の前記上面に、第2マークが前記下面に各々付設されている、容器構造体。 - 請求項5に記載の容器構造体において、
前記第1マークと前記第2マークとは、前記撮像装置の1回の撮像における画角に入り、且つ、撮像光軸方向から見て互いに近接した位置関係となるように、前記薄肉部に配置されている、容器構造体。 - 請求項1又は2に記載の容器構造体において、
前記底壁は、所定の肉厚を有する平板からなる前記薄肉部と、前記薄肉部の周囲に存在し前記所定の肉厚より厚肉の厚肉部と、を含み、
前記薄肉部は、前記保持部材と対向する上面と、前記撮像装置と対向する下面とを備え、
前記薄肉部の前記上面又は前記下面のいずれか一方に、前記撮像装置によって撮像可能な複数の第1マークが付設され、
前記上面又は前記下面のいずれか他方に、前記撮像装置によって撮像可能な第2マークが付設され、前記第2マークは、前記複数の第1マークの少なくとも一つと前記撮像装置の1回の撮像における画角に入る位置に付設されている、容器構造体。 - 請求項3〜7のいずれか1項に記載の容器構造体において、
前記マークは、前記上面又は前記下面に突設された山型の突起部である、容器構造体。 - 請求項1又は2に記載の容器構造体と、
前記容器本体の下方に配置され、前記保持部材に保持された前記対象物を、前記薄肉部を通して撮像する撮像装置と、
を備える撮像システム。 - 請求項3又は4に記載の容器構造体と、
前記容器本体の下方に配置され、前記保持部材に保持された前記対象物を、前記薄肉部を通して撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が取得する画像に基づいて、前記複数のマークの高さ位置を検出する高さ検出部と、
前記複数のマークの高さ位置から、前記薄肉部の平面度を検出する平面度算出部と、
を備える撮像システム。 - 請求項5又は6に記載の容器構造体と、
前記容器本体の下方に配置され、前記保持部材に保持された前記対象物を、前記薄肉部を通して撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が取得する画像に基づいて、前記第1マーク及び前記第2マークの高さ位置を検出する高さ検出部と、
前記第1マーク及び前記第2マークの高さ位置から、前記薄肉部の肉厚を検出する肉厚検出部と、
を備える撮像システム。 - 請求項7に記載の容器構造体と、
前記容器本体の下方に配置され、前記保持部材に保持された前記対象物を、前記薄肉部を通して撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が取得する画像に基づいて、前記第1マーク及び前記第2マークの高さ位置を検出する高さ検出部と、
前記第1マーク又は前記第2マークの高さ位置から、前記薄肉部の平面度を検出する平面度算出部と、
前記第1マーク及び前記第2マークの高さ位置から、前記薄肉部の肉厚を検出する肉厚検出部と、
を備える撮像システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016201944A JP2018063187A (ja) | 2016-10-13 | 2016-10-13 | 容器構造体及びこれを用いた撮像システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016201944A JP2018063187A (ja) | 2016-10-13 | 2016-10-13 | 容器構造体及びこれを用いた撮像システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018063187A true JP2018063187A (ja) | 2018-04-19 |
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ID=61967753
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2016201944A Pending JP2018063187A (ja) | 2016-10-13 | 2016-10-13 | 容器構造体及びこれを用いた撮像システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018063187A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019189504A1 (ja) | 2018-03-28 | 2019-10-03 | 住友金属鉱山株式会社 | リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物の製造方法 |
CN117824546A (zh) * | 2024-03-04 | 2024-04-05 | 泉州湖南大学工业设计与机器智能创新研究院 | 一种洗手盆平面度检测方法 |
-
2016
- 2016-10-13 JP JP2016201944A patent/JP2018063187A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019189504A1 (ja) | 2018-03-28 | 2019-10-03 | 住友金属鉱山株式会社 | リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物の製造方法 |
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