JP2018061035A - 電磁波シールド材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材の表面に溶射により形成した電磁波シールド皮膜に、電磁波を遮断する機能と共に、装飾性や耐熱性や耐候性等のその他の機能を付与することが可能な電磁波シールド材及びその製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】基材と、該基材の表面に形成された電磁波シールド皮膜とを備え、該電磁波シールド皮膜は、セラミックス又は樹脂のうちの少なくとも1つが含有された母材と、イットリウム、銀、銅、金、アルミニウム、鉄、コバルト、鉛、モリブデン、ニッケル、チタン、タンタル、ニオブ、スズ、クロム、タングステン、亜鉛、これらを少なくとも1つ含む合金、これらの金属の少なくとも1つを含む水素化物、カーボン又はフェライトのうちの少なくとも1つが含有された添加材とを含む溶射材を、前記基材の表面に溶射することにより形成される。【選択図】図4

Description

本発明は、基材の表面に溶射により電磁波シールド皮膜が形成された電磁波シールド材及びその製造方法に関する。
外部から室内に透過した電磁波によって電子機器が誤作動する不具合や、室内の電子機器から発せられる電磁波によって室内の他の電子機器や外部の電子機器が誤作動する不具合や、電子機器内で発生した電磁波同士の干渉の不具合や、無線通信に用いる電磁波(具体的には、電波)が室内から外部に漏れるか、或いは外部から室内に透過して情報が漏えいする不具合等を防止するため、電磁波を遮断する種々の電磁波シールド材が開発され、公知になっている。
例えば、基材の表面に溶射によって電磁波シールド皮膜を形成した電磁波シールド材及びその製造方法が公知になっている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平9−46085号公報
上記文献の電磁波シールド材及びその製造方法によれば、基材が電磁波は遮断する材料によって構成されていない場合でも、基材の表面に形成された電磁波シールド皮膜によって電磁波を遮断できる。
しかし、電磁波シールド皮膜が金属によって構成され、その特性は金属の種類に依存し、例えば、装飾性や耐熱性や耐候性等が不足して使用が制限される場合がある。
本発明は、基材の表面に溶射により形成した電磁波シールド皮膜に、電磁波を遮断する機能と共に、装飾性や耐熱性や耐候性等のその他の機能を付与することが可能な電磁波シールド材及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の電磁波シールド材は、基材の表面に溶射により電磁波シールド皮膜が形成された電磁波シールド材であって、基材と、該基材の表面に形成された電磁波シールド皮膜とを備え、該電磁波シールド皮膜は、セラミックス又は樹脂のうちの少なくとも1つが含有された母材と、イットリウム、銀、銅、金、アルミニウム、鉄、コバルト、鉛、モリブデン、ニッケル、チタン、タンタル、ニオブ、スズ、クロム、タングステン、亜鉛、これらを少なくとも1つ含む合金、これらの金属の少なくとも1つを含む水素化物、カーボン又はフェライトのうちの少なくとも1つが含有された添加材とを含む溶射材を、前記基材の表面に溶射することにより形成された溶射皮膜であることを特徴としている。
前記電磁波シールド皮膜は、母材中に、扁平状に形成された無数の添加材が複層化された状態で含有されてなるものとしてもよい。
前記電磁波シールド皮膜は、母材中で添加材がメッシュ状に成形されてなるものとしてもよい。
前記溶射材中に上記添加材が5〜50mass%の割合で含まれたものとしてもよい。
一方、本発明の電磁波シールド材の製造方法は、基材の表面に溶射によって電磁波シールド皮膜を形成する電磁波シールド材の製造方法であって、セラミックス又は樹脂のうちの少なくとも1つが含有された母材と、イットリウム、銀、銅、金、アルミニウム、鉄、コバルト、鉛、モリブデン、ニッケル、チタン、タンタル、ニオブ、スズ、クロム、タングステン、亜鉛、これらを少なくとも1つ含む合金、これらの金属の少なくとも1つを含む水素化物、カーボン又はフェライトのうちの少なくとも1つが含有された添加材とを含む溶射材を、基材の表面に溶射して電磁波シールド皮膜を形成したことを特徴としている。
本発明によれば、電磁波シールド皮膜によって、電磁波を遮断する機能と共に、母材であるセラミックス又は樹脂によって、装飾性や耐熱性や耐候性等のその他の機能も付与させることが可能になる。
電磁波シールド材の構成を示す断面図である。 図1に示す電磁波シールド材を製造する製造装置の部分断面図である。 図2のプラズマ溶射装置によって基材に形成させた溶射皮膜の構成を示す断面の光学顕微鏡による撮影写真である。 図3に示す溶射皮膜の断面をFE−SEMにより観察した像である。 図3に示す溶射皮膜の断面に対して行ったEDS分析のAlの元素マッピング結果である。 図3に示す溶射皮膜の断面に対して行ったEDS分析のYの元素マッピング結果である。 実験方法を概念的に示す概念図である。 1〜6GHzの間で変化させた発信電磁波の発信アンテナに対する水平成分の遮断状態を示し、(A)はケースAでの電磁波遮断状態、(B)はケースBでの電磁波遮断状態、(C)はケースCでの電磁波遮断状態、(D)はケースDでの電磁波遮断状態をそれぞれ示している。 1〜6GHzの間で変化させた発信電磁波の発信アンテナに対する垂直成分の遮断状態を示し、(A)はケースAでの電磁波遮断状態、(B)はケースBでの電磁波遮断状態、(C)はケースCでの電磁波遮断状態、(D)はケースDでの電磁波遮断状態をそれぞれ示している。 30〜1000MHzの間で変化させた発信電磁波の発信アンテナに対する水平成分の遮断状態を示し、(A)はケースAでの電磁波遮断状態、(B)はケースBでの電磁波遮断状態、(C)はケースCでの電磁波遮断状態、(D)はケースDでの電磁波遮断状態をそれぞれ示している。 30〜1000MHzの間で変化させた発信電磁波の発信アンテナに対する垂直成分の遮断状態を示し、(A)はケースAでの電磁波遮断状態、(B)はケースBでの電磁波遮断状態、(C)はケースCでの電磁波遮断状態、(D)はケースDでの電磁波遮断状態をそれぞれ示している。 (A)は銅添加アルミナ皮膜と比較例の電界遮蔽効果を示し、(B)は銅添加アルミナ皮膜と比較例の磁界遮蔽効果を示している。 (A)はモリブデン添加アルミナ皮膜と比較例の電界遮蔽効果を示し、(B)はモリブデン添加アルミナ皮膜と比較例の磁界遮蔽効果を示している。 (A)はモリブデン添加アルミナ皮膜の加熱の前後の電界遮蔽効果を示し、(B)はモリブデン添加アルミナ皮膜の加熱の前後の磁界遮蔽効果を示している。 (A)はアルミニウム添加YSZ皮膜と比較例の電界遮蔽効果を示し、(B)はアルミニウム添加YSZ皮膜と比較例の磁界遮蔽効果を示している。
図1は、電磁波シールド材の構成を示す断面図である。電磁波シールド材は、基材1と、該基材1の表面に形成された溶射皮膜(電磁波シールド皮膜)2とを備えている。
上記基材1の材料には溶射可能な種々の材料を選択可能である。通常は耐熱性や耐候性を加味して基材1の材料を選定する必要があるが、後述するように、セラミックスを母材(皮膜母材,溶射主原料)とする溶射皮膜2自体が耐熱性や耐候性に優れているため、基材1の材料選択の自由度が高く、例えば、木材等への溶射も可能であるため、基材1として選択可能である。ちなみに、フェライトや、陶器材料や、その他のセラミックス等を用いることも可能である。
上記溶射皮膜2は、基材1の表面への溶射によって形成され、その膜厚はmm単位でも可能であり、具体的には、例えば5〜500μmの範囲に設定される。この溶射には、母材及び該母材に添加する添加材(機能付与材料)が含まれた溶射材を用い、溶射方法は本例ではプラズマ溶射法を用いるが、特にこれに限定されるものではなく、高速ガス炎溶射法、ガスフレーム溶射法、アーク溶射法等を用いることが可能である。
母材は、セラミックス又は樹脂のうちの少なくとも1つが含有された粒状部材である。ちなみに、セラミックスは耐候性及び耐熱性に優れているので母材として好ましく、具体的にはイットリア(Y)、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、YAG(Al12)等をセラミックスとして用いる。一方、樹脂はセラミックスに比べて耐熱性は劣るが、成形性や汎用性に優れており、また軽量化も容易であり、もし母材として樹脂を用いる場合には、樹脂溶射によってこれに対応する。
添加材としては、導電率の大きい導電材料や透磁率の大きい磁性材料を微細化させて用いることが望ましい。具体的には、粒状に成形された導電材且つ非磁性材(さらに具体的には、イットリウム、水素化イットリウムその他の金属水素化物、銀、銅、金、アルミニウム、鉛、カーボン)、粒状に成形された導電材且つ磁性材(さらに具体的には、鉄、コバルト、フェロアロイその他の合金)、粒状に成形された絶縁材且つ磁性材(さらに具体的には、フェライト)のうちの少なくとも1つが含有された粒状添加材である。
ちなみに、カーボン粉末はそのまま溶射することは困難であるが、有機物粒子として溶射プロセスに供給することによって炭化し、カーボン状態で膜中に添加することが可能になる。また、粒状に成形することが困難な金属のなかには、合金化や水素化処理を行うことにより、粉砕(粒状に形成)することが可能になるものがあり、これらの金属は、この特性を利用する。また、合金化及び水素化処理の両方を行うことにより、粉砕することが可能になる金属も存在し、その場合に両方の処理を行う。
また、この水素化処理によって金属を安全に微細化させることが可能である。水素は溶射プロセス中で取除かれ、この金属のみを溶射皮膜中に一様に分散させることが可能になる。
溶射材としては、前記粒状母材に前記粒状添加材を予め所定の割合で添加して混合(ミキシング)した混合粉末を用いており、その粒径は10μm以上の範囲で可能な限り小さい方がよい。また、添加材の母材への添加割合は、母材の特性が失われない範囲で、大きくすることが望ましい。例えば、セラミックスを母材に用いる場合、その耐候性及び耐熱性が失われない範囲で、添加材を添加する。具体的には、添加材の溶射材全体に対しての添加割合は5〜50mass%(好ましくは10〜50mass%)の範囲に設定される。さらに、1つながりのルートが形成される確率が示されるパーコレーションの理論を加味し、添加材の割合を、25〜50vol%の範囲に設定することがより望ましい。ちなみに、添加材をウィスカ又は繊維状の導電物等に変更する工夫や、粒径を小さくする工夫などにより、導電パス形成の閾値を下げることが可能であり、25vol%以下の添加量でも上述した電磁波を遮断する機能を付与することは可能である。
なお、遮断する電磁波の種類や周波数によって、添加材の材料を選定してもよく、例えば、電波に属する電磁波を遮断したい場合には金属等の導電材を用い、電波に属さない電磁波を遮断したい場合には磁性材料を用いてもよく、さらに、低周波の電磁波には合金を添加材として用い、高周波の電磁波にはフェライト系の材料を添加材として用いてもよい。
以上のような溶射材を基材1の表面に溶射することにより形成される電磁波シールド皮膜2は、溶射によって扁平に形成された無数の微細な添加材又はその一部の材料が母材中に一様に存在し、この添加材は、積層化されて複数の層を形成するとともに母材中で全体がメッシュ状に形成されて電磁波遮蔽(電磁波シールド)の効果を高めている。
図2は、図1に示す電磁波シールド材を製造する製造装置の部分断面図である。製造装置であるプラズマ溶射装置は、その軸心Sが基材1に向けられた溶射ガン(プラズマ溶射トーチ)11を備えている。溶射ガン11は、陰極(アノード)12と、陽極(カソード)13と、生成されるプラズマジェットPJにキャリアガスと共に粒状の溶射材の供給する供給ポート(供給部)14と、前記電極12,13側に作動ガス(プラズマガス)を供給する供給ポート(供給部)16とを有している。
陰極12は軸心S上に位置する直線状の端子であって、その先端が基材1側に向けられている。陽極13は、陰極12よりも基材1寄りに位置し且つ上記軸心Sと同一の軸心を有する筒状に成形され、少なくともその一部が上記プラズマジェットPJを噴射するノズルを構成している。
供給ポート14は、軸心Sと交差(直交)するように上記ノズル13の先端側(図示する例では、ノズル13よりも基材1寄り部分)に配設され、その供給口14aが軸心Sに近接している。供給ポート16は、軸心Sと交差(直交)するように陰極12側に配置され、その供給口16aが該陰極12側に向けられている。
ちなみに、溶射材は上述した粒状母材及び粒状添加材が予め所定割合で混合されてなる混合粉末である。
また、この溶射ガン11はロボットアームの先端部に設置してもよいが、人が手作業で溶射を行う際に利用することも可能である。
該構成のプラズマ溶射装置を用いた電磁波シールド材の製造方法について説明する。まず、図示しない電源によって2つの電極12,13に直流電圧を印加してアークを発生させるとともに、供給ポート16の供給口16aから作動ガスを該アークに供給し、ノズル14から軸心Sに沿って基材1に噴出されるプラズマジェットPJを生成する。
この状態で、プラズマジェットPJに供給ポート14からキャリアガスと共に溶射材である混合粉末を供給すると、該混合粉末は溶融及び加速されながら基材1の表面に衝突し、該表面に溶射皮膜2が形成される。
該構成の溶射皮膜2が基材1の表面に形成されれば、電磁波の遮断性能(シールド性能)が向上し、様々な用途に利用できる。
例えば、今後ますます通信技術が生活に浸透することは間違いなく、その際は誤作動防止などの点から、電磁波を反射や吸収によって効率的に遮断することがより強く求められる。
また、その際、母材の特性によって、他の機能も溶射皮膜2に付与できるため、利便性が高い。例えば、セラミックスを母材とした場合には、セラミックス自体の特性である耐熱性や断熱性、耐摩耗性などが向上するほか、熱源温度を下げるなど溶射条件を制御することで溶射皮膜2中の空孔を増やして防音性を付与することも可能であり、例えば工作機械や輸送機器で特に有効である。一方で母材が樹脂の場合は、耐衝撃性、ガスバリア性、防水性等も付与できるほか、軽量化にも貢献できるため、例えば屋外利用も可能なポータブル電子機器への利用が特に有効である。勿論、これらは本発明の用途を限定するものではない。
現在、ノイズの低減には電波吸収シートなどが利用されるが、パワエレ分野では現状のものでは耐熱性が低く、溶融してガス状の有害物質などが発生する虞もあるが、本発明を適用したシート状の電磁波シールド材によれば、セラミックスを母材として使用することにより、十分な耐熱性が確保できるため、このような問題は生じず、該パワエレ分野での利用も大いに期待できる。また、この分野では、輸送機器への利用も進められており、野外等での使用に耐え得る耐候性も求められるが、セラミックスは耐候性も十分である。ちなみに、母材には、YSZ(Y安定化ZrO)をセラミックスとして用いてもよい。
ちなみに、磁性材料を微細化させたものを添加材として用いれば、磁性の向きが揃い、内部で打ち消し合う成分が減少するため、シールド性能がより高まることが期待される。
また、上述の溶射皮膜2の母材がセラミックスであるものによれば、電磁波を遮断する機能と共に、耐熱性、断熱性、耐候性、耐摩耗性等の機能も付与できるほか、防音やスリップ防止の効果を付与することもできる。一方、母材が樹脂であれば、耐熱性はセラミックスに劣るが、電磁波を遮断する機能と共に、耐衝撃性、ガスバリア性、防水性等も付与できるほか、軽量化にも貢献できる。電磁波シールド材の使用環境によって、樹脂とセラミックスとを選択する。
なお、基材1の材料として、フェライトや、陶器材料その他のセラミックスの他、樹脂や、ゴム等を用いてもよい。
また、溶射皮膜2の膜厚は、上述した5〜500μmの範囲に収めることが望ましいが、5μm〜5mmまでの範囲であれば、十分な性能が確保可能である。
また、添加材の添加手段として、粒状の添加材を粒状の母材に予め混合する以外の手段を用いてもよい。例えば、複数系統の原料供給ラインから供給された母材又は添加材等の粒状原料を溶射熱源中で合流させて混合してもよく、またワイヤー状、ロッド状、液体状、スラリー状、ガス状など粒状以外の形態で溶射熱源中に供給して混合させてもよい。
さらに、母材は必ずしも粒状である必要はなく、添加材も微細化することが必須でないことは勿論、粒状に成形されていることも必須ではない。
また、添加材として用いる導電材として、上述したものの他、モリブデン、ニッケル、チタン、タンタル、ニオブ、スズ、クロム、タングステン又は亜鉛が考えられる。また、これらの金属又は上述した金属の少なくとも1つを含む合金、或いはこれらの金属類の少なくとも1つを水素化物も添加材として用いることが可能である。
一方、添加材として用いる磁性材として、上述したものの他、鉄、コバルト又はこれらの少なくとも1つを含む合金が考えられる。この合金に一例としては、パーマロイ等が考えられる。
また、カーボンを溶射するにあたり、アセチレンやプロパン等の炭素を含有するガスを過剰に供給して煤を発生させ、炭素源として利用する手段も考えられる。
その他の添加材の添加手段としては、金属錯体や金属キレート材を利用し、これらを含んだ溶液を原料としたりして溶射することで有機成分や溶媒を気化させ、溶射皮膜2中に金属を添加することも可能である。
また、溶射材としては、母材に添加材を予め所定の割合で添加して混合(ミキシング)した混合粉末を用いる場合、市販の粉末供給装置で供給ラインの閉塞等を起こさずに安定的に供給するため、その粒径は10μm以上500μm以下の範囲で選択する。溶射材の粒径および添加割合はともに溶射皮膜の構造に影響を与えるが、特にセラミックス粒径が10μm〜45μmと小さい場合は皮膜内の添加材同士の距離が短くなって互いに連結しやすいため添加材が目の細かいメッシュ状構造を形成し易く、該メッシュ状構造は反射損失による遮蔽性能を向上する。添加材の粒径が60μm以上の場合は溶射皮膜2内で扁平粒子の複層構造が形成され易く、このような扁平粒子の複層構造によれば電磁波の吸収効果による遮蔽性能を向上する。
これらの構造は単独でも複合でもよく、かついずれの場合も遮蔽機能については反射と吸収の両方の効果から成る。なお上記粒径の測定方法については、45μm以上のものはふるい分析(ASTM B214)で測定し、45μm未満のものはレーザー回析(Microtrac)での測定値である。ちなみに、添加材の粒径が20μm以下でばらつきなく揃っていれば、メッシュのみの構造になり易く、60μm以上でばらつきなく揃っていれば扁平複層の構造になり易く、市販のもののように粒径にばらつきがあれば、これらを含んだ複合構造になり易くなる。
添加材の母材への添加割合は、母材の特性が失われない範囲で、大きくすることが望ましい。例えば、セラミックスを母材に用いる場合、その耐候性及び耐熱性が失われない範囲で、添加材を添加する。具体的には、添加材の溶射材全体に対しての添加割合は5〜50mass%の範囲、好ましくは10〜50mass%の範囲に設定される。
ちなみに、上記添加割合の下限を5mass%に設定する理由について説明すると、添加割合が5mass%未満になると、導電パスの形成が困難になり、十分な遮蔽効果が得られなくなる。
さらに、対象とする系内での物質や現象のつながり方を数理工学的に考察する手法としてパーコレーションの理論が知られており、系内にひとつながりのパスを形成する確率を算出することができるが、本法を加味し、添加材の割合を、25〜50vol%の範囲に設定することがより望ましい。
ちなみに、添加材の形状をウィスカ又は繊維状に変更してパスの形成を補助する工夫や、母材よりも添加材の粒径を小さくして母材の粒界にのみ分布させる工夫などにより、パーコレーション導電パス形成の閾値を下げることが可能であり、導電性樹脂の製造分野をはじめ広く産業応用されている。以上の手法のほか、溶射条件の調整によって皮膜構造の制御を行うことで25Vol%以下の添加量でも上述した電磁波を遮断する機能を付与することは可能である。具体的には、5Vol%よりも多い添加量、好ましくは10Vol%以上の添加量で遮蔽効果が期待できる。
該構成の溶射皮膜2は、溶射熱源によって溶融された添加材が、皮膜形成時にセラミックス粒界に沿うように大きく変形し、互いに連結しあうことによって溶射皮膜2内に数μm〜数十μmの細かい網目状のメッシュ構造を形成する。このメッシュ構造は膜厚方向および面方向に一様であり、基材サイズや形状によらず、かつ継ぎ目なくシールド皮膜の形成が可能である。以上は製造方法に溶射を利用することで得られる効果であり、数千℃以上の高温熱源で材料を完全溶融させることがメッシュ構造の形成を可能にする。
なお、添加材として導電材料を選択した場合、溶射皮膜2中に一様な導電性メッシュ構造が形成され、導電布と同様の遮蔽効果が期待できる。このときメッシュ構造の目が細かいことにより、電磁波漏れの懸念が低減されるほか、高周波数帯の遮蔽にも効果が期待できる。
一方、添加材の粒径が60μmよりも大きくなった場合や、熱源温度を低温に設定した場合、溶射中の完全溶融が困難になり、半溶融状態で基材1に衝突し扁平粒子となって取り込まれて、母材中に扁平粒子が複層化された構造を形成する。この構造により、添加材が導電材料であれば誘電損失が増大し、磁性材料であれば磁気損失が増大するので、市販の電磁波吸収シートと同様、電磁波の吸収効果の向上が期待できる。
なお、溶射法では原料供給方法が複数選択可能であるため、通常は粉砕や薄片化が困難な材料であっても膜中への添加が可能である。またメッシュ構造と扁平粒子の複層構造とが複合した構造となってもよい。また、これまでの例は一様な溶射皮膜2について記載したが、溶射中に意図的に添加材の粒径や材質、添加割合を変更することによって、機能に偏りを持たせることも可能である。
本例では、基材1には陶器材料を用い、母材には粒状セラミックスとしてアルミナ(Al)粉末を用い、添加材には金属水素化物として水素化イットリウム(YH)を用い、この添加材を前記母材に混合させて溶射材として用いた。アルミナの平均粒径(レーザー回析法で測定し、体積平均径を導出)は45μmであり、水素化イットリウムの粒径は45〜100μm(粗粒を乳鉢で粉砕後、篩い分けにより45μm以下と100μm以上を排除)であり、溶射距離は100mmであり、供給されるガスの80[SCFH]のアルゴンガス(Ar)と15[SCFH]の水素ガス(H)であり、添加材の溶射材全体に占める添加割合は5mass%と、30mass%である。ちなみに、粒径の定義はアルミナの場合と全て同一である。
電極12,13間への印加電圧は約30kwに設定され、作動ガスとしてはアルゴンガス(Ar)と水素ガス(H)の混合ガスを用いた。溶射によって形成された電磁波シールド皮膜2の厚みは200μmに設定した。
図3は、図2のプラズマ溶射装置によって基材に形成させた溶射皮膜の構成を示す断面図の光学顕微鏡による撮影写真であり、図4は、図3に示す溶射皮膜の断面をFE−SEMにより観察した像であり、図5は、図3に示す溶射皮膜の断面に対して行ったEDS分析のAlの元素マッピング結果であり、図6は、図3に示す溶射皮膜の断面に対して行ったEDS分析のYの元素マッピング結果である。
図3に示す結果から溶射皮膜特有のラメラ構造に混じって金属光沢が見られる部分が確認できた。図4に示す結果によれば、色の濃い部分がアルミナの母材部分であり、金属光沢部分に対応する色の薄い部分が添加材部分である。図5及び図6に示す結果より、色の薄い部分がAl(セラミックス)、色の濃い部分が添加金属であるイットリウム(Y)であることを確認した。このときイットリウムはSEM像で確認できる以外にもアルミナ皮膜中に互いに連結しながら一様に分布していることが明らかとなった。このため、本皮膜はアルミナの皮膜母材中にイットリウムがメッシュ状に分布し、かつ粗大なイットリウムは扁平粒子となって膜中に取り込まれた複合構造をなしている。
ちなみに、添加材として用いた水素化イットリウムは、溶射プロセスの過程で水素が脱離し、イットリウムになって添加されていることをX線回折によって確認しており、この状態で溶射皮膜2に含有されている。
同図に示される通り、溶射皮膜2の断面はセラミックス中に無数の扁平金属(イットリウム)が均一に分散し且つ複層化した構造に形成することができる。一方で、金属を母材の粒界に一様に分布させてメッシュ状に形成することもできる。この母材中に均一に複層化された状態で存在する扁平金属によって電磁波の吸収効果による遮断効果が向上する他、基材1の表面全体をカバーする上記メッシュ構造によって反射による電波遮蔽の効果が向上する。図3乃至図6に示す通り、これらの構造は複合的に形成されてもよい。
なお、本例のような金属水素化物の利用は、母材として樹脂を用いる場合にも適用可能であり、この樹脂の利用によって、全体の軽量化が可能になる他、装飾性も向上する。
続いて、図7乃至図11に基づき、図3乃至図6の溶射皮膜の電磁波遮断性能(シールド性能)の実験結果を説明する。
図7は、実験方法を概念的に示す概念図である。同図に示す通り、金属板21上に設置された発信装置(コムジェネレータ)22を、基材1によって有底筒状に成形された陶器(容器)23によって上方側から覆い、陶器23の上方に向けられた底部上にさらに金属板24を載せ、この陶器23の外側に、上記発信装置22からの電磁波を受信する受信装置26を設置する。
そして、発信装置22及び受信装置24によって、電磁波の送受信を行い、該電磁波の遮断状態を確認する。
この際、比較例として、陶器23の外周面に溶射皮膜2を形成しない場合(以下、「ケースA」と称する)と、粒状母材であるアルミナのみを溶射材として用いて溶射皮膜2を形成した場合(以下、「ケースB」と称する)と、本例に記載の水素化イットリウムの粉末を全体に対して5mass%の割合で添加して混合した溶射材により溶射皮膜2を形成した場合(以下、「ケースC」と称する)と、同じく本例に記載の水素化イットリウムの粉末を全体に対して30mass%の割合で添加して混合した溶射材により溶射皮膜2(すなわち、図3乃至図6に示す溶射皮膜2)を形成した場合(以下、「ケースD」と称する)とのそれぞれで、電磁波の遮断状態を確認した。
図8は、1〜6GHzの間で変化させた発信電磁波の発信アンテナに対する水平成分の遮断状態を示し、(A)はケースAでの電磁波遮断状態、(B)はケースBでの電磁波遮断状態、(C)はケースCでの電磁波遮断状態、(D)はケースDでの電磁波遮断状態をそれぞれ示している。同図に示す通り、ケースAに比べて、ケースBは電磁波遮断の効果が殆ど確認できなかったが、ケースCではわずかな遮断効果が確認でき、ケースDでは、顕著な電磁波遮断効果が確認できた。
図9は、1〜6GHzの間で変化させた発信電磁波の発信アンテナに対する垂直成分の遮断状態を示し、(A)はケースAでの電磁波遮断状態、(B)はケースBでの電磁波遮断状態、(C)はケースCでの電磁波遮断状態、(D)はケースDでの電磁波遮断状態をそれぞれ示している。同図に示す通り、ケースAに比べて、ケースBは電磁波遮断の効果が殆ど確認できなかったが、ケースCではわずかな遮断効果が確認でき、ケースDでは、顕著な電磁波遮断効果が確認できた。
図10は、30〜1000MHzの間で変化させた発信電磁波の発信アンテナに対する水平成分の遮断状態を示し、(A)はケースAでの電磁波遮断状態、(B)はケースBでの電磁波遮断状態、(C)はケースCでの電磁波遮断状態、(D)はケースDでの電磁波遮断状態をそれぞれ示している。同図に示す通り、ケースAに比べて、ケースBは電磁波遮断の効果が殆ど確認できなかったが、ケースCではわずかな遮断効果が確認でき、ケースDでは、顕著な電磁波遮断効果が確認できた。
図11は、30〜1000MHzの間で変化させた発信電磁波の発信アンテナに対する垂直成分の遮断状態を示し、(A)はケースAでの電磁波遮断状態、(B)はケースBでの電磁波遮断状態、(C)はケースCでの電磁波遮断状態、(D)はケースDでの電磁波遮断状態をそれぞれ示している。同図に示す通り、ケースAに比べて、ケースBは電磁波遮断の効果が殆ど確認できなかったが、ケースCではわずかな遮断効果が確認でき、ケースDでは、顕著な電磁波遮断効果が確認できた。
以上、ケースD(図3に示す溶射皮膜2)によれば、広い周波数帯(30MHz〜6GHz)において、成分によらず、電磁波の高いシールド効果が確認できた。
実施例として、基材1に耐熱ガラス板材を用い、母材にはセラミックスとしてアルミナ(Al)粉末を用い、添加材には銅粉末(Cu)を用い、この添加材を母材に混合させて溶射材として用いた。アルミナの平均粒径(レーザー回析法で測定し、体積平均径を導出)は45μmであり、銅の粒径は38〜90μmであり、溶射距離は100mmであり、供給されるガスは80[SCFH]のアルゴンガス(Ar)と15[SCFH]の水素ガス(H)であり、機能付与材料の溶射材全体に占める添加割合は20mass%と30mass%とした。ちなみに、粒径の定義はアルミナの場合と全て同一である。
電極12,13間への印加電圧は約32.5kwに設定され、作動ガスとしてはアルゴンガス(Ar)と水素ガス(H)の混合ガスを用いた。溶射によって形成された電磁波シールド皮膜2の厚みは200μmに設定した。
作製した電磁波シールド材である銅添加アルミナ皮膜の性能を評価するため、KEC法による遮蔽性能測定を実施した。KEC法はシート状または板状の電磁波シールド材に対して、簡易かつ再現性高く瀬能評価できる手法であり、電磁波シールド材を挟んだ専用冶具の片側から電磁波を発振し、もう片方の冶具で電磁波シールド材を通過する信号を受信することで、通過による減衰を測定する方法である。評価には型式JSE−KECの測定装置を使用し、ネットワークアナライザに接続して100kHz〜1GHzの周波数域で信号の受発信を行った。専用冶具は電界遮蔽測定用と磁界遮蔽測定用の2種類があり、同一サンプルで冶具を交換してそれぞれ測定を行った。
図12(A)は銅添加アルミナ皮膜と比較例の電界遮蔽効果を示し、(B)は銅添加アルミナ皮膜と比較例の磁界遮蔽効果を示している。比較例は、銅の添加がないアルミナのみの皮膜(膜厚200μm)とする。同図に示すグラフ縦軸は遮蔽効果を表し、ゼロが効果なし、下に行くほど優れた遮蔽効果を有するものである。
同図(A),(B)によれば、電界と磁界のいずれでも、比較例のアルミナ単体皮膜では遮蔽効果はゼロに等しいものの、実施例である20mass%または30mass%の銅粉末添加により測定周波数帯全域で顕著な遮蔽効果の向上が確認できた。また30mass%添加のほうが電界と磁界いずれも優れた遮蔽効果を表しており、添加割合の制御による遮蔽効果の制御性も示唆される結果を得た。
高融点金属であるモリブデン(Mo)による電磁波遮蔽機能の付与を行った。基材1には耐熱ガラス板材を用い、母材にはセラミックスとしてアルミナ(Al)粉末を用い、添加材にはモリブデン粉末(Mo)を用い、この添加材を母材に混合させて溶射材として用いた。アルミナの平均粒径は45μmであり、モリブデンの粒径は45〜90μmであり、溶射距離は100mmであり、供給されるガスは80[SCFH]のアルゴンガス(Ar)と15[SCFH]の水素ガス(H)であり、添加材の溶射材全体に占める添加割合は20mass%と30mass%とした。ちなみに、粒径の定義はアルミナの場合と全て同一である。
電極12,13間への印加電圧は約32.5kwに設定され、作動ガスとしてはアルゴンガス(Ar)と水素ガス(H)の混合ガスを用いた。溶射によって形成された電磁波シールド皮膜2の厚みは200μmに設定した。
作製したモリブデン添加アルミナ皮膜の電磁波シールド材の性能を評価するため、KEC法による遮蔽性能測定を実施した。測定方法は実施例2と同様である。
図13(A)はモリブデン添加アルミナ皮膜と比較例の電界遮蔽効果を示し、(B)はモリブデン添加アルミナ皮膜と比較例の磁界遮蔽効果を示している。比較例は溶射皮膜2がセラミックス単体で構成されている。本実施例においても、モリブデンの添加によって電界、磁界のいずれも測定周波数帯全域で顕著な遮蔽効果の向上が確認できた。また特に電界遮蔽に関しては、一般的に電気抵抗率が低い材料のほうが遮蔽効果に優れるが、図12と図13を比較した場合に銅(1.67μΩ・cm)添加のほうがモリブデン(5.7μΩ・cm)添加よりも優れた遮蔽効果を表しており、添加材としても電気抵抗率の低い材料が好適であると言える。なお、実施例1で利用したイットリウムの電気抵抗率は59.6μΩ・cmであり、これよりも電気抵抗率が低い材料であれば添加材として選択することが可能である。
本実施例のモリブデンは高融点材料(融点:2623℃)であり、銅(1085℃)はもとより、溶射主原料であるアルミナ(2072℃)をも超える耐熱材料である。よって銅板材等の金属単体材料が利用できないような超高温環境でも使用可能な、耐熱性および耐腐食性にも優れた電磁波遮蔽材料として、工作機械や各種プラントなどでも利用できる。
なお、耐熱性の評価として、上記モリブデン20mass%添加の電磁波シールド材に対して、大気中300℃まで昇温した後の遮蔽性能をKEC法により評価した。300℃の温度設定は基材として利用したガラス板材の耐熱温度によるものであり、溶射による電磁波シールド皮膜自体は上述の通りの高温まで利用が可能である。
図14(A)はモリブデン添加アルミナ皮膜の加熱の前後の電界遮蔽効果を示し、(B)はモリブデン添加アルミナ皮膜の加熱の前後の磁界遮蔽効果を示している。同図に示す通り、加熱後の遮蔽効果に劣化は確認できず、また目視によるシールド材の外観確認でもクラックや変色等の変化は見られなかった。なお市販品のシート状の電磁波シールド材は樹脂やゴムをベースとした構造になっており、100℃を超える環境では脱ガスや変形などのため使用できない。本実施例はこのような環境下でも問題なく機能することを実証した。
基材1に耐熱ガラス板材を用い、母材にはセラミックスとしてイットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉末を用い、添加材にはアルミニウム粉末(Al)を用い、この添加材を母材に混合させて溶射材として用いた。イットリア安定化ジルコニアの粒径は11〜125μmであり、アルミニウム粉末は関東化学株式会社製の試薬(製品番号01147−11)を用い、溶射距離は100mmであり、供給されるガスは90[SCFH]のアルゴンガス(Ar)と15[SCFH]の水素ガス(H)であり、機能付与材料の溶射材全体に占める添加割合は5mass%と10mass%とした。
電極12,13間への印加電圧は約39kwに設定され、作動ガスとしてはアルゴンガス(Ar)と水素ガス(H)の混合ガスを用いた。溶射によって形成された電磁波シールド皮膜2の厚みは200μmに設定した。
作製したアルミニウム添加YSZ皮膜の電磁波シールド材の性能を評価するため、KEC法による遮蔽性能測定を実施した。測定方法は実施例2と同様である。
図15(A)はアルミニウム添加YSZ皮膜と比較例の電界遮蔽効果を示し、(B)はアルミニウム添加YSZ皮膜と比較例の磁界遮蔽効果を示している。比較例は溶射皮膜2がセラミックス単体で構成されている。同図に示す通り、本実施例においても、少量のアルミニウムの添加によって電界、磁界のいずれも測定周波数帯全域で顕著な遮蔽効果の向上が確認できた。
1 基材
2 溶射皮膜(電磁波シールド皮膜)

Claims (5)

  1. 基材の表面に溶射により電磁波シールド皮膜が形成された電磁波シールド材であって、
    基材と、
    該基材の表面に形成された電磁波シールド皮膜とを備え、
    該電磁波シールド皮膜は、セラミックス又は樹脂のうちの少なくとも1つが含有された母材と、イットリウム、銀、銅、金、アルミニウム、鉄、コバルト、鉛、モリブデン、ニッケル、チタン、タンタル、ニオブ、スズ、クロム、タングステン、亜鉛、これらを少なくとも1つ含む合金、これらの金属の少なくとも1つを含む水素化物、カーボン又はフェライトのうちの少なくとも1つが含有された添加材とを含む溶射材を、前記基材の表面に溶射することにより形成された溶射皮膜である
    ことを特徴とする電磁波シールド材。
  2. 前記電磁波シールド皮膜は、母材中に、扁平状に形成された無数の添加材が複層化された状態で含有されてなる
    請求項1に記載の電磁波シールド材。
  3. 前記電磁波シールド皮膜は、母材中で添加材がメッシュ状に成形されてなる
    請求項1又は2の何れかに記載の電磁波シールド材。
  4. 前記溶射材中に上記添加材が5〜50mass%の割合で含まれた
    請求項1乃至3の何れかに記載の電磁波シールド材。
  5. 基材の表面に溶射によって電磁波シールド皮膜を形成する電磁波シールド材の製造方法であって、
    セラミックス又は樹脂のうちの少なくとも1つが含有された母材と、イットリウム、銀、銅、金、アルミニウム、鉄、コバルト、鉛、モリブデン、ニッケル、チタン、タンタル、ニオブ、スズ、クロム、タングステン、亜鉛、これらを少なくとも1つ含む合金、これらの金属の少なくとも1つを含む水素化物、カーボン又はフェライトのうちの少なくとも1つが含有された添加材とを含む溶射材を、基材の表面に溶射して電磁波シールド皮膜を形成した
    ことを特徴とする電磁波シールド材の製造方法。
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