JP2018057119A - 電力系統の過酷潮流条件抽出装置および方法 - Google Patents

電力系統の過酷潮流条件抽出装置および方法 Download PDF

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Masahiro Watanabe
雅浩 渡辺
佑樹 辻井
yuki Tsujii
佑樹 辻井
正剛 今林
Masataka Imabayashi
正剛 今林
近藤 真一
Shinichi Kondo
真一 近藤
正親 中谷
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正親 中谷
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Abstract

【課題】系統の過渡安定性評価において、自然エネルギー電源の急変を想定した系統条件を設定すること。
【解決手段】電力系統の潮流解析モデルを作成する電力系統の過酷潮流条件抽出装置において、前記電力系統における系統故障の場所又は様相を含む故障条件を設定する想定故障選定部と、前記故障条件及び過渡安定性解析結果に基づいて安定性評価対象となる基幹系統発電機を選択する安定性評価対象発電機選定部と、自然エネ発電の出力変化に対する基幹系統発電機の安定性指標の変化を表す感度係数を計算する感度係数計算部と、各自然エネの想定される出力範囲を計算する出力上下限値計算部と、各自然エネ発電の出力の組合せを求める過酷潮流状態計算部と、を備え、前記過酷潮流状態計算部は、感度係数及び出力上下限値に基づいて、前記安定性評価対象となる基幹系統発電機の安定性が低下する前記自然エネの出力条件を決定する、ことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、自然エネルギー発電(以下自然エネ)を含む電力系統の解析モデルの条件を作成する装置および方法に係り、特に自然エネの出力増加または減少などの出力急変を想定した潮流状態のうち系統安定性にとって過酷条件となる自然エネの出力量の組合せを求める装置および方法に関する。
電力系統の送電電力量の上限は、落雷等に起因する系統事故時の過渡安定性によって決まる場合が多い。そのため、送電電力をどの程度まで増加可能かを決定するためには、系統事故を想定した過渡安定度シミュレーションによって、過渡安定性を把握することが有効である。
近年は、風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーの普及拡大が進んでいる。これらの自然エネルギー発電出力は風況や日射の変化によって短時間に急変する特徴がある。自然エネルギー発電出力の変化に伴い、電力系統の潮流状態も変化する。
一方で、このような自然エネルギー発電の出力増加または低下による系統潮流状態変化は、基幹系に接続されている回転型の発電機の過渡安定性に影響を与えることになる。例えば、非特許文献1には、太陽光発電の事故直後の運転継続不可の場合(出力急減に相当)によって、限界故障時間が異なり、過渡安定性に違いが表れることが示されている。
電力系統の安定性を検討する場合、将来想定しうる過酷な条件(安定性が低下すると想定される条件)を設定し、過渡安定性シミュレーションを行うことが重要となる。
例えば、特許文献1には、安定限界潮流を求めるために、発電機の出力を変更することにより潮流変化模擬を行なう手法が示されている。
特開11−367586公報
「太陽光発電大量導入時の一機無限大母線系統の過渡安定度解析」、電気学会論文誌B、Vol.132、No.1(2012)
前述の特許文献1に記載の方法には、系統事故時に動揺するような回転型の発電機の出力分担を変更して限界潮流を求める手法は示されているが、自然エネルギー発電の出力増加または低下による系統潮流状態変化を考慮した手法は示されていない。
このように、電力系統の過渡安定性シミュレーションでは、自然エネルギー電源の急変を想定して、系統条件を設定することが重要となる。特に、数十秒から数分先の系統状態を想定した想定故障計算を行う場合、自然エネルギー発電の変化を想定して安定性を評価することが必要となる。一方で、自然エネルギー電源は、小規模なものが多数異なる地点に連系されている場合が一般的であり、各々の発電量の増加・減少の組み合わせを想定すると、その組合せが膨大となり、多大な時間が必要となる。
上記課題を解決する為に本発明は、電力系統の潮流解析モデルを作成する電力系統の過酷潮流条件抽出装置において、前記電力系統における系統故障の場所又は様相を含む故障条件を設定する想定故障選定部と、前記故障条件及び過渡安定性解析結果に基づいて安定性評価対象となる基幹系統発電機を選択する安定性評価対象発電機選定部と、自然エネ発電の出力変化に対する基幹系統発電機の安定性指標の変化を表す感度係数を計算する感度係数計算部と、各自然エネの想定される出力範囲を計算する出力上下限値計算部と、各自然エネ発電の出力の組合せを求める過酷潮流状態計算部と、を備え、前記過酷潮流状態計算部は、感度係数及び出力上下限値に基づいて、前記安定性評価対象となる基幹系統発電機の安定性が低下する前記自然エネの出力条件を決定する、ことを特徴とする。
本発明により、系統事故に応じた過酷条件の系統解析モデルを作成し、電力系統の潮流限界の設計、運用範囲拡大、自然エネの連系可能容量の把握を可能としつつ、系統演算時間を短縮可能となる。
電力系統の過酷潮流条件演算装置の処理機能構成を示す。 電力系統の過酷潮流条件作成処理アルゴリズムを示す。 電力系統の過酷潮流条件演算装置の構成例を示す。 風力発電を含む電力系統の解析モデルを示す。 系統解析モデルにおける風力発電機の模擬の一例を示す。 例題系統の各ノードの位相角の分布グラフを示す。 例題系統の各ノードの位相角の一覧表を示す。 例題系統の各ノードの位相角の分布グラフを示す。 例題系統の各ノードの位相角の一覧表を示す。 発電機の内部位相角δのシミュレーション結果例を示す。
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。尚、下記はあくまでも実施の例に過ぎず、下記具体的内容に発明自体が限定されることを意図する趣旨ではない。
まず、自然エネルギー電源の出力変化を考慮した過酷条件を設定する手法の概要について、図4を用いて説明する。
図4は、自然エネルギー電源である風力発電176、179を含む電力系統の解析モデルの一例を示した図である。この図の系統解析モデルが表す電力系統は、ノード(母線)120およびそれらを接続する送電線路140、ノード120に接続される火力発電132、134、137、負荷150、変圧器160、などで構成される。なお、四角で囲んだ数字は、便宜上設定したノード番号を示すものである。
このような系統解析モデルで、落雷等の系統故障180が発生した場合、火力発電130の加速(回転数上昇)や動揺(振動)が発生する。この発電機の加速が一定量以上であるか、動揺が発散する場合、火力発電の運転を継続することができず、過渡安定性および同期安定性が維持できない状態となる。このように、系統解析モデルを作成し、時間シミュレーションを行うことで、過渡安定性および同期安定性が維持可能か判定することができる。
ここで、電力系統の過渡安定度シミュレーションの結果には、風力発電176、179の事故時の出力が影響を与えることになる。例えば、風力発電176、179の出力が最大値であるか、最小値であるかによって、系統の安定性が異なる。これは、風力発電の出力変化により、系統の潮流が変わり、それによって火力発電130の電圧位相が変化する。一般に、火力発電137のような基幹系の回転型発電機は、基準母線(電圧振動が小さい母線に設定され、スイング母線とも呼ばれる)との位相差が大きいほど、系統故障時の過渡安定性が低下する。そのため、風力発電176、179各々の出力の大小によって、過渡安定性が異なることになる。
また、風力発電の出力の過渡安定性への影響は、発生する系統故障地点によっても異なってくる。例えば、図4のように系統故障180が母線7の近くで発生する場合、母線700に接続された火力発電137が大きく動揺し、条件によっては脱調に至ることが懸念される。この場合、火力発電137の動揺を拡大するような風力発電176、179各々の出力の組合せが過酷潮流条件となる。すなわち、系統故障180の発生場所によって、過酷条件となる風力発電176、179の出力の組合せが異なることとなる。
このように、各風力発電の出力と系統故障点の組合せによって系統の安定性が変わるため、過酷条件を抽出するためにはすべての組合せについて安定性を判定する必要がある。安定性の判定をシミュレーションによって行うことが考えられるが、その場合風力発電が増加するにしたがって指数関数的に演算時間が増加することが課題となる。これに対し、各々の風力発電出力の増加(または減少)が、系統故障180の場合に最も大きく動揺する発電機137の動揺を、拡大または減少させるかに着目することで、過酷条件を近似的に選定することで、シミュレーション時間の短縮を図ることが可能となる。この場合、ある系統故障に対し、過酷潮流条件(各風力発電の出力の組合せ)がひとつ抽出されることになる。以下、上記機能を実現するシステム構成について示す。
図3は、本発明の一実施例による電力系統の過酷潮流条件演算装置10の構成例を示す図である。過酷潮流条件演算装置10は計算機システムで構成されており、表示装置11、キーボードやマウス等の入力手段12、コンピュータCPU、通信手段14、ランダムアクセスメモリRAM、および各種データベースがバス線30に接続されている。また計算機システムのデータベースDBとして、系統モデルデータベースDB1、感度係数データベースDB2、自然エネデータベースDB3、結果データベースDB4、およびプログラムデータベースDB5を備える。
ここでコンピュータCPU13は、計算プログラムを実行して表示すべき画像データの指示や、各種データベース内のデータの検索等を行う。ランダムアクセスメモリRAM15は、系統構成や系統定数などの系統モデルデータ、自然エネの出力変化に対する基幹系統発電機の位相変化量を表す感度係数データ、自然エネの最大出力や出力変動速度やならし効果を表す指標データ、自然エネ出力の組合せや過酷潮流状態などの演算結果データを一旦格納するメモリである。これらのデータに基づき、コンピュータCPU13によって必要な画像データを生成して、表示装置11(例えば表示ディスプレイ画面)に表示する。
電力系統モデル作成装置10内には、大きく分けて5つのデータベースDBが搭載されている。
系統モデルデータベースDB1には、線路(抵抗、リアクタンス、対地静電容量)や発電機(容量、過渡リアクタンスなど)などの電力系統を構成する設備に関するデータが記憶されている。このデータを用いることで、電力系統の潮流計算や感度係数計算や過渡安定性計算が可能となり、系統故障に伴う幹線発電機の電圧位相変化などを把握することができる。
感度係数データベースDB2には、自然エネkの出力変化に対する基幹系統発電機jの位相変化量を表す感度係数αkjが記憶されている。
自然エネデータベースDB3には、例えば風力発電176等の設置ノード、制御構成と制御パラメータ、最大出力や出力変動速度やならし効果を表す指標データが記憶されている。
結果データベースDB4には、本発明のアルゴリズムに従って計算された電力系統の過酷潮流条件演算結果である系統解析モデルデータが記憶されている。このデータにより、各系統故障条件に対して、過渡安定性シミュレーションで用いるべき過酷条件の系統解析モデルを準備することが可能となる。
プログラムデータベースDB6には、計算プログラムである潮流計算プログラムPR1、感度係数計算プログラムPR2、過酷潮流状態計算プログラムPR3、出力上下限計算プログラムPR4、過渡安定性プログラムPR5を格納する。これらのプログラムは、必要に応じてコンピュータCPUに読み出され、計算が実行される。
図1を用いて、本発明の電力系統の過酷潮流条件演算装置10の処理機能構成について説明する。過酷潮流条件演算装置10は、想定故障選定部31、安定性評価対象発電機選定部32、自然エネの感度係数選択部33、過酷潮流状態計算部34、出力上下限値計算部35、感度係数計算部36の各機能と、前述の4つのデータベースである系統モデルデータベースDB1、感度係数データベースDB2、自然エネデータベースDB3、結果データベースDB4で構成される。
図1において、想定故障選定部31は、系統故障条件180の場所、様相を設定する部分である。ユーザからの入力によって設定されてもよいし、あらかじめ準備されたパターンから適宜系統事故を選定してもよい。
安定性評価対象発電機選定部32は、想定故障選定部31で選定された系統故障条件において、安定性評価対象となる基幹系統発電機を選択する部分である。発電機の選択方法は、対象となる系統故障条件において、例えば電圧位相の動揺振幅が最も大きい発電機か、または最も早く脱調に至る発電機を選択すればよい。電圧位相の動揺や脱調有無の判定は、例えばプログラムデータベースDB5に格納された計算プログラムのうち過渡安定性プログラムPR5を実行することで可能となる。
自然エネの感度係数選択部33は、感度係数データベースDB2から、安定性評価対象発電機選定部32で選択された発電機jと、自然エネkの感度係数αkjを読み出す部分である。系統に含まれるすべての自然エネについて感度係数を抽出する。
ここで、感度係数αkjをデータベースから読み出す代わりに、潮流計算プログラムPR1によって感度係数を計算してもよい。すなわち、各自然エネ出力を初期状態(例えば出力50%など)に設定して潮流計算PR1を実行して発電機jの電圧位相を記憶し、次に自然エネkの出力を最大および最小に設定した状態での潮流計算PR1を実行して発電機jの電圧位相変化量を算出する。これにより、感度係数αkjは次の式で計算される。
(数1)
(感度係数αkj)=(発電機jの電圧位相変化量)/(自然エネk出力変化量)
出力上下限値計算部35は、各自然エネの想定される出力範囲(上限値、下限値)を計算する部分である。例えば、自然エネデータベースDB3に格納された各自然エネの定格容量から、最大値を定格容量、最小値を0と設定することが考えられる。また、自然エネデータベースDB3に格納された各自然エネの出力変化速度Sk(kW/s)と、現状の各自然エネの出力Pwtk(kW)と、想定断面までの時間t(s)から、自然エネ出力最大値Pwtmaxkおよび最小値Pwtminkは次の式で計算すればよい。
(数2)
Pwtmaxk=Pwtk+Sk×t
Pwtmink=Pwtk−Sk×t
また、n台の自然エネを縮約して1台の自然エネと置いた場合には、例えば自然エネ発電変化量にならし効果を考慮して、次式で計算すればよい。
(数3)
Pwtmaxk=Pwtk+Sk×t/√n
Pwtmink=Pwtk−Sk×t/√n
過酷潮流状態計算部34は、各自然エネ発電の出力の組合せを求める部分である。
自然エネの感度係数選択部33で選定または演算された感度係数αkjと、出力上下限計算プログラムPR4で計算された自然エネ最大値および最小値から、各自然エネ出力を計算する。例えば、次のように決定すればよい。
感度係数αkj>ε なら 自然エネ出力を最大値Pwtmaxkに設定
感度係数αkj<−ε なら 自然エネ出力を最小値Pwtminkに設定
ここで、εは閾値をあらわす定数である。感度係数αkjの大きさが一定値εより小さい場合は、自然エネの出力大小が安定性に与える影響が十分小さいとみなし、自然エネ出力Pwtkの変更は行わない。
このように決定した各自然エネ発電量と、系統モデルデータベースDB1の線路(抵抗、リアクタンス、対地静電容量)や発電機(容量、過渡リアクタンスなど)などの電力系統を構成する設備に関するデータを元に、潮流計算プログラムPR1を実行することで、過酷潮流条件が計算できる。これにより、系統の過渡安定性をシミュレーションするための入力データをそろえることができる。この計算結果は、結果データベースDB4に保存される。
感度係数計算部36は、前述の感度係数αkjを計算する部分である。系統モデルデータベースDB1の線路(抵抗、リアクタンス、対地静電容量)や発電機(容量、過渡リアクタンスなど)などの電力系統を構成する設備に関するデータを元に、潮流計算プログラムPR1を実行することで、感度係数は計算される。
具体的には、前述のように、各自然エネ出力を初期状態(例えば出力50%など)に設定して潮流計算PR1を実行して発電機jの電圧位相を記憶し、次に自然エネkの出力を最大および最小に設定した状態での潮流計算PR1を実行して発電機jの電圧位相変化量を算出する。これにより、感度係数αkjは前述の式1で計算される。
また、別の感度係数の計算方法として、潮流計算プログラムPR1の変わりに過渡安定性プログラムPR5を用いる方法がある。まず、各自然エネ出力を初期状態(例えば出力50%など)に設定し、系統故障条件を設定し、過渡安定性プログラムPR5を実行して時間シミュレーションを行い、発電機jの電圧位相振幅最大値を記憶する。次に自然エネkの出力を最大および最小に設定した状態で過渡安定性プログラムPR5を実行し、発電機jの電圧位相振幅最大値を算出する。この電圧位相振幅最大値の変化量を、感度係数αkjと設定すればよい。
なお、電力系統の潮流計算、過渡安定性計算は確立された計算手法であり、一般的なアルゴリズムを用いることで計算可能である。
図2を用いて、電力系統の過酷潮流条件作成処理アルゴリズムの一例を示す処理フローを説明する。
この処理フローではまず処理ステップS1において、系統故障条件を設定する。この処理ステップS1は、想定故障選定部31で実施される。
処理ステップS2で、ステップS1で選定された系統故障条件で、過渡安定度計算を実行する。
処理ステップS3で、過渡安定度計算の結果から、例えば電圧位相の動揺振幅が最も大きい基幹系発電機か、または最も早く脱調に至る基幹系発電機を、安定性評価対象基幹系発電機 jとして選定する。処理ステップS2、S3は、安定性評価対象発電機選定部32で実施される。
処理ステップS4で、ステップS3で選択された発電機jと、自然エネkの感度係数αkjを、感度係数データベースDB2から読み出す。
処理ステップS4は、前述のように、感度係数αkjをデータベースから読み出す代わりに、潮流計算プログラムPR1によって感度係数を計算してもよい。すなわち、各自然エネ出力を初期状態(例えば出力50%など)に設定して潮流計算PR1を実行して発電機jの電圧位相を記憶し、次に自然エネkの出力を最大および最小に設定した状態での潮流計算PR1を実行して発電機jの電圧位相変化量を算出する。この処理ステップS4は、自然エネの感度係数選択部33で実施される。
処理ステップS5で、各自然エネの想定される出力範囲(上限値、下限値)を計算する。例えば、前述のように、自然エネデータベースDB3に格納された各自然エネの定格容量から、最大値を定格容量、最小値を0と設定する。また、前述のように、自然エネデータベースDB3に格納された各自然エネの出力変化速度Sk(kW/s)と、現状の各自然エネの出力Pwtk(kW)と、想定断面までの時間t(s)から、自然エネ出力最大値Pwtmaxkおよび最小値Pwtminkを計算してもよい。これらの処理ステップS5は、出力上下限値計算部35で実施される。
処理ステップS6からS11で、各自然エネの出力を決定する。S7、S8で、感度係数αkjが一定値εより大きい場合、自然エネ出力Pwtkを最大値Pwtmaxkにセットする。S9、S10で、感度係数αkjが一定値-εより小さい場合、自然エネ出力Pwtkを最小値Pwtminkにセットする。なお、感度係数αkjの大きさが一定値εより小さい場合は、自然エネの出力大小が安定性に与える影響が十分小さいとみなし、自然エネ出力Pwtkの変更は行わない。S11で、すべての自然エネ発電に対して出力決定がなされたか判定する。
処理ステップS12で、各自然エネ発電量と系統モデルデータベースDB1の線路(抵抗、リアクタンス、対地静電容量)や発電機(容量、過渡リアクタンスなど)などの電力系統を構成する設備に関するデータを元に、潮流計算プログラムPR1を実行することで、過酷潮流条件を計算する。計算結果は、結果データベースDB4に保存する。これらの処理ステップS6〜S12は、過酷潮流状態計算部34で実施される。
図5は、系統解析モデルにおける、風力発電機の模擬の一例を示す図である。風力発電機モデルは、電力系統のノード520に接続された電流源510の大きさと位相を制御するモデルとして構成される。また、ノード電圧計測値は電圧計測装置530を介して各制御モデルに取り込まれる。風力発電の制御部分は、発電機・コンバータモデル540、コンバータ制御モデル550、風車モデル560で構成される。発電機・コンバータモデル540は、コンバータ制御モデル550から有効・無効電流指令値を受け、また電圧計測装置530から電圧計測値を受け、コンバータ制御モデル550に発電機有効・無効電力量を、風車モデル560に発電機有効電力量をそれぞれ渡す。コンバータ制御モデル550は、発電機・コンバータモデルから受けた発電機有効・無効電力と、風車モデル560から受けた電力指令と、電圧計測装置530から受けた電圧計測値から、有効・無効電流指令値を決定し、発電機・コンバータモデル540へ渡す。風車モデル560は、発電機・コンバータモデル540から受けた発電機有効電力をもとに、コンバータ制御モデル550に有効電力制御指令を与える。このような風力発電モデルを用意することで、系統の電圧やコンバータの応答を考慮した風力発電の出力変化、運転可否を模擬することが可能となる効果がある。
次に、図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)、図8を用いて、提案手法の有効性を模式例によって説明する。図6(a)、図6(b)は、図4の系統において、ノード900に接続される風力発電179の出力が最大(+△Pwt1)、最小(−△Pwt1)、中間(initial)の値の潮流計算結果からノード電圧位相を抜き出して示したものである。なお、位相は、ノード400の位相を基準とした相差角として示している。また、このケースでは、故障点180、安定性評価対象基幹系発電機はノード700に接続される火力発電機137である。図6(a)は、図6(b)の値をグラフ化したものである。これらより、風力発電179の出力は、最大値の場合に位相が最大となり、過酷条件となることがわかる。
図7(a)、図7(b)は、図4の系統において、ノード600に接続される風力発電176の出力が最大(+△Pwt2)、最小(−△Pwt2)、中間(initial)の値の潮流計算結果からノード電圧位相を抜き出して示したものである。図7(a)は、図7(b)の値をグラフ化したものである。これらより、風力発電176の出力は、最小値の場合に位相が最大となり、過酷条件となることがわかる。
図8にノード700に接続された発電機の内部位相角δ(deg)を示す。図4の系統において、ノード900に接続される風力発電179の出力が最大(+△Pwt1)、最小(−△Pwt1)、中間(initial)の値の場合に、系統事故180(三相地絡故障)が発生した場合の過渡安定性計算結果を示すものである。風力発電179の出力が最小(−△Pwt1)、中間(initial)の値の場合には発電機は振動するものの脱調に至っていない。一方、最大(+△Pwt1)出力の場合には、時刻1秒付近で発電機は脱調しており、不安定となることがわかる。このように、風力発電が過酷条件に設定された場合、他の条件に比べて安定性が低下していることがわかる。
自然エネ発電などの電力用変換器を含む分散電源が連系された電力系統の過渡安定性を解析するための、シミュレーション解析装置として活用することができる。また、オンラインで用いられる想定故障に対する安定化対策決定装置(オンライン系統安定化装置)として活用することができる。また、自然エネ発電の増設などに対応した系統の設備増強などを検討する系統設備設計支援システムとして活用することができる。また、系統故障条件毎に、どの自然エネ発電の出力が最も影響を与えるか指標を示す運用支援システムとして活用することができる。また、その指標を元に、風力発電の出力抑制などの指令を与える自然エネ中央給電指令所システムとして活用することができる。
10 過酷潮流条件演算装置
11 表示装置
12 キーボードやマウス等の入力手段
14 通信手段
DB1 系統モデルデータベース
DB2 感度係数データベース
DB3 自然エネデータベース
DB4 結果データベース
DB5 プログラムデータベース
31 想定故障選定部
32 安定性評価対象発電機選定部
33 自然エネの感度係数選択部
34 過酷潮流状態計算部
35 出力上下限値計算部
36 感度係数計算部
120 ノード
132、134、137 火力発電
140 送電線路
150 負荷
160 変圧器
176、179 自然エネ発電(風力発電)
180 系統事故
510 電流源
520 ノード
530 電圧計測装置
540 発電機・コンバータモデル
550 コンバータ制御モデル
560 風車モデル

Claims (6)

  1. 電力系統の潮流解析モデルを作成する電力系統の過酷潮流条件抽出装置において、
    前記電力系統における系統故障の場所又は様相を含む故障条件を設定する想定故障選定部と、
    前記故障条件及び過渡安定性解析結果に基づいて安定性評価対象となる基幹系統発電機を選択する安定性評価対象発電機選定部と、
    自然エネ発電の出力変化に対する基幹系統発電機の安定性指標の変化を表す感度係数を計算する感度係数計算部と、
    各自然エネの想定される出力範囲を計算する出力上下限値計算部と、
    各自然エネ発電の出力の組合せを求める過酷潮流状態計算部と、
    を備え、
    前記過酷潮流状態計算部は、感度係数及び出力上下限値に基づいて、前記安定性評価対象となる基幹系統発電機の安定性が低下する前記自然エネの出力条件を決定する、
    ことを特徴とする電力系統の過酷潮流条件抽出装置。
  2. 請求項1に記載の電力系統過酷潮流条件抽出装置において、
    前記過酷潮流状態計算部は、前記安定性評価対象となる基幹系統発電機の安定性を一定値以上低下させる自然エネ発電を抽出する、
    ことを特徴とする電力系統の過酷潮流条件抽出装置。
  3. 請求項1に記載の電力系統過酷潮流条件抽出装置において、
    前記想定故障選定部は、ユーザからの入力によって前記故障条件を設定する、
    ことを特徴とする電力系統の過酷潮流条件抽出装置。
  4. 請求項1に記載の電力系統過酷潮流条件抽出装置において、
    前記基幹系統発電機の安定性指標は、発電機の内部相差角またはノード電圧位相角またはノード電圧相差角である、
    ことを特徴とする電力系統の過酷潮流条件抽出装置。
  5. 請求項1に記載の電力系統過酷潮流条件抽出装置は、
    前記感度係数を記憶する感度係数データベースを備える、
    ことを特徴とする電力系統の過酷潮流条件抽出装置。
  6. 電力系統の潮流解析モデルを作成する電力系統の過酷潮流条件抽出方法において、
    前記電力系統における系統故障の場所又は様相を含む故障条件を設定し、前記故障条件及び過渡安定性解析結果に基づいて安定性評価対象となる基幹系統発電機を選択し、自然エネ発電の出力変化に対する基幹系統発電機の安定性指標の変化を表す感度係数を計算し、各自然エネの想定される出力範囲である出力上下限値を計算し、前記感度係数及び前記出力上下限値に基づいて、前記安定性評価対象となる基幹系統発電機の安定性が低下する前記自然エネの出力条件を決定する、
    ことを特徴とする電力系統の過酷潮流条件抽出装置。
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