JP2018053805A - 圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮冷媒の体積流量変化に伴う潤滑油の分離効率低下を抑制する。【解決手段】冷媒を圧縮する圧縮機構を有する圧縮機は、圧縮機構で圧縮された圧縮冷媒が吐出される吐出室H2と、吐出室H2に吐出された圧縮冷媒を旋回させて、相対的な比重差によって圧縮冷媒中に含まれる潤滑油の遠心分離を行う分離室H5と、吐出室H2と分離室H5とを連通して、吐出室H2内の圧縮冷媒を分離室H5に導入するための連通路L3と、連通路L3に設けられ、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量に応じて連通路L3の流路断面積が変化するように弁開度が変化する調整弁40と、を備えている。連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が減少した場合には、調整弁40により、連通路L3の流路断面積が小さくなることで、分離室H5に流入する圧縮冷媒の流入速度を低下させないようにする。【選択図】図3
Description
本発明は、圧縮冷媒中の潤滑油を分離する分離室を備えた圧縮機に関する。
従来の車両エアコンシステム等に使用される圧縮機では、吸入した冷媒に潤滑油を混入させて圧縮機各部の潤滑を行っているが、熱交換のための外部の冷媒回路へ潤滑油が流出するとシステム効率が低下するため、圧縮機から外部冷媒回路へ流出する潤滑油量を低減することが求められている。
このため、例えば、特許文献1に記載の圧縮機では、内蔵する圧縮機構で圧縮された圧縮冷媒を吐出室に吐出した後、吐出室から圧縮冷媒を導入して潤滑油を分離する遠心分離方式の分離室を備えている。かかる圧縮機では、圧縮冷媒を円筒状の分離室内へ周方向に流入させて旋回流を生じさせ、圧縮冷媒中の相対的に比重の高い潤滑油を遠心力で分離室の内周面に付着させることで、圧縮機から外部の冷媒回路へ流出する潤滑油量の低減を図っている。
しかしながら、分離室に流入する圧縮冷媒の流入速度は圧縮冷媒の体積流量に応じて変化するため、圧縮冷媒の体積流量が低下した場合には、分離室に流入する圧縮冷媒の流入速度が低下して旋回流による遠心力が弱くなり、分離室における潤滑油の分離効率を低下させるおそれがある。
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、圧縮冷媒の体積流量変化に伴う潤滑油の分離効率低下を抑制可能な圧縮機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構を有するものであって、圧縮機構で圧縮された圧縮冷媒が吐出される吐出室と、吐出室に吐出された圧縮冷媒から潤滑油を分離するための分離室と、吐出室と分離室とを連通する連通路と、連通路に設けられ、連通路を通る圧縮冷媒の体積流量に応じて連通路の流路断面積が変化するように弁開度が変化する調整弁と、を備えている。
本発明の圧縮機によれば、吐出室と分離室とを連通する連通路に、連通路を通る圧縮冷媒の体積流量に応じて連通路の流路断面積が変化するように弁開度が変化する調整弁を備えているので、連通路を流れる圧縮冷媒の体積流量が減少しても、分離室に流入する圧縮冷媒の流入速度は低下し難くなり、圧縮冷媒の体積流量変化に伴う潤滑油の分離効率低下を抑制することができる。
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧縮機の一例を示す。
圧縮機100は、例えば車両用空調装置の冷媒回路に組み込まれ、冷媒回路の低圧側から吸入した冷媒(流体)を圧縮して冷媒回路の高圧側へ吐出するものであり、冷媒を圧縮するための圧縮機構であるスクロールユニット1と、スクロールユニット1を駆動する電動モータ10と、電動モータ10への電力供給を制御するインバータ20と、冷媒の吸入室H1及び吐出室H2を有するハウジング30と、を備えている。なお、本実施形態においては、上記車両用空調装置の冷媒回路は、車室内の冷房だけでなく暖房についても冷媒との熱交換により実行可能に構成されたヒートポンプ式冷媒回路である。また、圧縮機100は、いわゆるインバータ一体型の場合を一例に挙げて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧縮機の一例を示す。
圧縮機100は、例えば車両用空調装置の冷媒回路に組み込まれ、冷媒回路の低圧側から吸入した冷媒(流体)を圧縮して冷媒回路の高圧側へ吐出するものであり、冷媒を圧縮するための圧縮機構であるスクロールユニット1と、スクロールユニット1を駆動する電動モータ10と、電動モータ10への電力供給を制御するインバータ20と、冷媒の吸入室H1及び吐出室H2を有するハウジング30と、を備えている。なお、本実施形態においては、上記車両用空調装置の冷媒回路は、車室内の冷房だけでなく暖房についても冷媒との熱交換により実行可能に構成されたヒートポンプ式冷媒回路である。また、圧縮機100は、いわゆるインバータ一体型の場合を一例に挙げて説明する。
スクロールユニット1は、互いに噛み合わされる固定スクロール2及び可動スクロール3を有する。固定スクロール2は、底板2a上にスクロールラップ2bが一体形成されてなる。可動スクロール3は、同様に、底板3a上にスクロールラップ3bが一体形成されてなる。
両スクロール2,3は、その両スクロールラップ2b,3bを噛み合わせるように配置される。詳しくは、両スクロール2,3は、固定スクロール2のスクロールラップ2bの突出側の端縁が可動スクロール3の底板3aに接触し、可動スクロール3のスクロールラップ3bの突出側の端縁が固定スクロール2の底板2aに接触するように配設される。なお、両スクロールラップ2b,3bの突出側の端縁にはチップシールが設けられている。
また、両スクロール2,3は、両スクロールラップ2b,3bの周方向の角度が互いにずれた状態で、両スクロールラップ2b,3bの側壁が互いに部分的に接触するように配設される。これにより、両スクロールラップ2b,3b間に三日月状の密閉空間が形成される。
可動スクロール3は、その自転が阻止された状態で、後述するクランク機構を介して、固定スクロール2の軸心周りに公転旋回運動可能に構成されている。これにより、スクロールユニット1は、両スクロールラップ2b,3b間に形成される上記密閉空間を中央部に移動させ、その容積を徐々に減少させる。その結果、スクロールユニット1は、スクロールラップ2b,3bの外端部側から密閉空間内に流入される冷媒を密閉空間内で圧縮する。
電動モータ10は、ロータ11と、ロータ11の径方向外側に配置されるステータコアユニット12とを有し、例えば、三相直流ブラシレスモータが適用される。例えば車両のバッテリー(図示省略)からの直流電流が、インバータ20により交流電流に変換され、電動モータ10へ給電される。
ロータ11は、その径方向中心に形成された軸孔に嵌合(焼嵌め)される駆動軸13を介して、ステータコアユニット12の径方向内側で回転可能に支持される。駆動軸13の一方の軸端部13aは、後述する軸支部31b1に回転自在に軸支され、駆動軸13の他方の軸端部13bは、後述するベアリング16によって回転自在に軸支される。インバータ20からの給電によりステータコアユニット12に磁界が発生すると、ロータ11に回転力が作用して駆動軸13が回転駆動される。駆動軸13の他方の軸端部13bは、後述するクランク機構を介して可動スクロール3に連結されている。
本実施形態において上記クランク機構は、図2に示すように、可動スクロール3の底板3aのうち背圧室H3側の端面に突出形成された円筒状のボス部3cと、駆動軸13の他方の軸端部13bに設けたクランク13b1に偏心状態で取付けられた偏心ブッシュ14と、を含む。偏心ブッシュ14はボス部3c内に回転可能に支持される。なお、駆動軸13の他方の軸端部13bには、可動スクロール3の動作時の遠心力に対向するバランサウエイト15が取付けられる。また、図示を省略したが、可動スクロール3の自転を阻止する自転阻止機構が適宜に備えられる。これにより、可動スクロール3は、その自転が阻止された状態で、上記クランク機構を介して固定スクロール2の軸心周りに公転旋回運動可能に構成される。
ハウジング30は、図1に示すように、電動モータ10及びインバータ20をその内側に収容するフロントハウジング31と、スクロールユニット1をその内側に収容するセンターハウジング32と、リアハウジング33と、インバータカバー34と、を有する。そして、これら(31,32,33,34)がボルトなどの締結手段(図示省略)によって一体的に締結されて圧縮機100のハウジング30が構成される。
フロントハウジング31は、略円環状の周壁部31aと仕切壁部31bとを有する。フロントハウジング31は、その内部空間が仕切壁部31bにより仕切られて、一端側において電動モータ10を収容するための空間と他端側においてインバータ20を収容するための空間とに区画される。周壁部31aの一端側(図1では、左側)の開口はインバータカバー34によって閉塞される。また、周壁部31aの他端側(図1では、右側)の開口はセンターハウジング32によって閉塞される。仕切壁部31bには、その径方向中央部に、駆動軸13の一方の軸端部13aを回転自在に軸支するための筒状の軸支部31b1が、周壁部31aの他端側に向って突設されている。
また、フロントハウジング31の周壁部31a及び仕切壁部31bと、センターハウジング32とにより、冷媒の吸入室H1が区画される。吸入室H1内には、周壁部31aに形成される冷媒の吸入ポートPinを介して冷媒回路の低圧側からの冷媒が吸入される。電動モータ10は吸入室H1内に収容されるため、吸入ポートPinを介して吸入室H1内に吸入された冷媒が電動モータ10を冷却しつつセンターハウジング32側へ向かって流れるように、図示省略の通路が形成される。吸入室H1内には、例えばスクロールユニット1等、圧縮機100における各摺動部位の潤滑のため、適量の潤滑油が貯留されている。そのため、吸入ポートPinから吸入された冷媒は、吸入室H1において潤滑油と混合されて、混合流体として圧縮機100内を流れる。
センターハウジング32は、略円筒状に形成され、円筒部32aと、円筒部32aのうちフロントハウジング31が締結される一端側を閉塞する底壁部32bと、を有し、この円筒部32aと底壁部32bとによって区画される空間内にスクロールユニット1が収容される。円筒部32aの他端側には、固定スクロール2の底板2aの外周縁部が全周で嵌合される嵌合部32a1が形成される。したがって、円筒部32aの他端側の開口は、固定スクロール2の底板2aによって閉塞される。また、底壁部32bは、その径方向中央部がフロントハウジング31側に向って膨出するように形成される。底壁部32bのこの膨出部32b1の径方向中央部には、後述する駆動軸13の他方の軸端部13bを挿通させるための貫通孔が開口する。そして、膨出部32b1のスクロールユニット1側には、駆動軸13の他方の軸端部13bを回転自在に軸支するベアリング16が嵌合する。
センターハウジング32の底壁部32bのうちスクロールユニット1側には、環状のスラストプレート17が配置され、可動スクロール3の底板3aと当接して可動スクロール3のスラスト方向の荷重を受ける。底壁部32b及び底板3aのスラストプレート17と当接する部位には、それぞれ図示省略のシール部材が埋設される。
また、センターハウジング32の膨出部32b1と可動スクロール3の底板3aのうち固定スクロール2とは反対側の端面との間には背圧室H3が形成されている。センターハウジング32(例えば円筒部32a内)には、吸入室H1からスクロールユニット1の両スクロールラップ2b,3bの外端部付近における空間H4へ冷媒(詳しくは冷媒と潤滑油との混合流体)を導入するための冷媒導入通路L1が形成される。冷媒導入通路L1は、空間H4と吸入室H1との間を連通するため、空間H4の内圧は吸入室H1の内圧(吸入室内圧力Ps)と等しくなる。
リアハウジング33は、略円環状の周壁部33aと、周壁部33aのうちセンターハウジング32が締結される一端側と反対側の他端側の開口を閉塞する底壁部33bと、を有する。周壁部33aの一端側は、センターハウジング32の円筒部32aのうち他端側(すなわち嵌合部32a1側)の端部に締結され、これにより、固定スクロール2の底板2aの外周縁部が、嵌合部32a1とリアハウジング33との間で挟持固定されて、リアハウジング33の周壁部33a及び底壁部33bと固定スクロール2の底板2aとで囲まれる吐出室H2が区画される。固定スクロール2の底板2aの中心部には、両スクロールラップ2b,3b間に形成される密閉空間で圧縮された圧縮冷媒を吐出室H2へ吐出するための吐出通路(吐出孔)L2が形成され、吐出通路L2の出口には、吐出室H2からスクロールユニット1側への流れを規制する逆止弁として一方向弁4が付設される。圧縮冷媒が吐出される吐出室H2の内圧(吐出室内圧力Pd)は吸入室内圧力Psに対して上昇する。
リアハウジング33の底壁部33b内には、圧縮冷媒から潤滑油を分離するための分離室H5が上下方向に延びて形成される。分離室H5の上部には、吐出室H2へ吐出された圧縮冷媒を分離室H5へ導入するために、吐出室H2と分離室H5との間を連通する連通路L3が形成される。また、分離室H5の上部には、分離室H5内で潤滑油の分離処理が行われた圧縮冷媒を外部の冷媒回路へ吐出するために、分離室H5と圧縮機100の外部との間を連通する吐出ポートPoutが形成される。
なお、図1等において、吸入ポートPinから吸入される潤滑油混合前の冷媒又は吐出ポートPoutから吐出される潤滑油分離後の圧縮冷媒の流れは斜線付き矢印で示され、吸入室H1内で潤滑油と混合された冷媒(混合流体)の流れは太線矢印で示され、分離室H5で圧縮冷媒から分離された潤滑油の流れは白抜き矢印で示される。
図3に示すように、分離室H5は、吐出室H2から連通路L3を介して導入された圧縮冷媒(太線矢印参照)を旋回させて、相対的な比重差によって圧縮冷媒中に含まれる潤滑油の遠心分離を行い、分離した潤滑油(白抜き矢印参照)を降下させて潤滑油の分離処理を行う遠心分離方式の分離室である。具体的には、分離室H5は断面が略円形状の円筒内周面H51を有し、連通路L3は、分離室H5における圧縮冷媒の旋回流生起を促進すべく、圧縮冷媒が分離室H5の略接線方向から導入されて分離室H5の円筒内周面H51に沿って螺旋状に流れるように配向される。
また、分離室H5には、一端が分離室H5に開口し、他端が排出ポートPoutに接続される内挿管H52が分離室H5と略同軸に配置固定される。圧縮冷媒(太線矢印参照)が分離室H5の円筒内周面H51に沿って螺旋状に降下して旋回運動が弱くなると、潤滑油の混入率が低下した圧縮冷媒(斜線付き矢印参照)は、内挿管H52の一端開口に向かって流れ始め、吐出ポートPoutから外部の冷媒回路へ吐出される。一方、圧縮冷媒から分離した潤滑油(白抜き矢印参照)は円筒内周面H51に沿って分離室H5の下部へ降下していく。なお、内挿管H52は、分離室H5における旋回流を阻害しないように、横断面外形が略円形状であることが好ましい。
図1を再び参照して、リアハウジング33のうちセンターハウジング32が締結される周壁部33aの一端側の端面には軸方向に凹部が形成され、この凹部が、固定スクロール2の底板2aとセンターハウジング32の円筒部32aのうちリアハウジング33が締結される他端側の端面との少なくとも一方によって閉塞されて、貯油室H6が形成される。分離室H5の下部には、分離室H5で圧縮冷媒から分離されて下部へ降下した潤滑油を貯油室H6へ流出させるために、分離室H5と貯油室H6との間を連通する連通路L4が形成される。
貯油室H6は、リアハウジング33の周壁部33a並びにセンターハウジング32の円筒部32a及び底壁部32b(膨出部32b1も含み得る)に形成された第1潤滑油戻り通路L5によって背圧室H3と連通する。背圧室H3は、駆動軸13の内部に他方の軸端部13bから一方の軸端部13aへ貫通形成された第2潤滑油戻り通路L6によって吸入室H1と連通する。これにより、貯油室H6に流出した潤滑油は、吐出室内圧力Pdと吸入室内圧力Psとの差圧(Pd−Ps)によって、第1潤滑油戻り通路L5、背圧室H3及び第2潤滑油戻り通路L6からなる潤滑油戻り経路を介して吸入室H1へと戻る。また、貯油室H6から吸入室H1へ戻る潤滑油は、潤滑油戻り経路において、各摺動部位(例えば、軸支部31b1やベアリング16)の潤滑に供される。なお、潤滑油戻り経路又は連通路L4にオリフィスを設けて、分離室H5に流入した圧縮冷媒が貯油室H6及び潤滑油戻り経路を介して吸入室H1へ還流してしまうことを抑制してもよい。
ここで、図3に示すように、連通路L3には、その流路断面積を絞る調整弁40が設けられる。調整弁40の弁開度は、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量に応じて連通路L3の流路断面積が変化するように変化する。すなわち、調整弁40の弁開度は、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が増大するに従って連通路L3の流路断面積が大きくなるように変化する一方、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が減少するに従って連通路L3の流路断面積が小さくなるように変化する。
仮に、連通路L3に調整弁40を設けない場合、分離室H5に流入する圧縮冷媒の流入速度は圧縮冷媒の体積流量に応じて変化するため、圧縮冷媒の体積流量が低下した場合には、分離室H5に流入する圧縮冷媒の流入速度が低下して旋回流による遠心力が弱くなり、分離室H5における潤滑油の分離効率が低下するおそれがある。このため、連通路L3に調整弁40を設けて、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量に応じて連通路L3の流路断面積を変化させることで、連通路L3を流れる圧縮冷媒の体積流量変化に伴って分離室H5に流入する圧縮冷媒の流入速度が低下することを抑制している。
図4及び図5を用いて後述するように、調整弁40は、弁開度が圧縮冷媒の体積流量に応じて自律的に変化するように構成され、連通路L3を流れる圧縮冷媒の体積流量が最低流量(すなわち圧縮機100の運転中に想定される体積流量範囲の最低流量)となる場合に弁開度が最小となる最小弁開度状態となり、圧縮冷媒の体積流量が高くなるに従って弁開度が増大する弁開度増大状態となる。
図4は、弁開度が最小となる最小弁開度状態における調整弁40の一例を示している。調整弁40は、連通路L3の開口のうち吐出室H2側の周縁部と当接して固定される環状のフランジ40aと、フランジ40aの内周縁部から分離室H5に向けて連通路L3内を徐々に縮径しつつ延びるノズル状の弁体40bと、を有している。
弁体40bは、吐出室H2から分離室H5へ向かう方向に沿って分離する一対の対称部材40b1,40b2を有し、一対の対称部材40b1,40b2は、最小弁開度状態で組み合わさって1つの中空截頭円錐体を構成する。中空円錐体ではなく中空截頭円錐体としているのは、最小弁開度状態でも連通路L3を通る圧縮冷媒を遮断しないようにするためである。
調整弁40において、フランジ40aと一対の対称部材40b1,40b2とは一体成形あるいは接合形成されたもののいずれでもよいが、少なくとも一対の対称部材40b1,40b2は、連通路L3を通る圧縮冷媒の圧力によって曲げ変形量が変化する弾性変形可能な部材である。弾性変形可能な部材である一対の対称部材40b1,40b2は、最小弁開度状態となるように、すなわち、1つの中空截頭円錐体を構成するように付勢される。
調整弁40の最小弁開度状態では、連通路L3のうち吐出室H2側の流路断面積Sinは、連通路L3の分離室H5側で流路断面積Sout1(Sin>Sout1)に絞られる。最小弁開度状態における連通路L3の分離室H5側の流路断面積Sout1は、連通路L3を流れる圧縮冷媒の体積流量が最低流量となる場合に、分離室H5に流入する圧縮冷媒の流入速度が所定速度V0よりも低下しないように設定される。この所定速度V0は、分離室H5における潤滑油の分離効率という観点、ひいては、圧縮機100が適用される車両エアコンシステム等のシステム効率の観点から、許容できる流入速度の下限値である。
図5は、弁開度が最小弁開度状態から増大した弁開度増大状態における調整弁40の一例を示している。連通路L3を流れる圧縮流体の体積流量が増大すると、一対の対称部材40b1,40b2は、連通路L3を通る圧縮流体の圧力によって曲げ変形を起こして分離し、それぞれ連通路L3の内周面に向けて接近する。
調整弁40の弁開度増大状態では、連通路L3のうち吐出室H2側の流路断面積Sinは連通路L3の分離室H5側で流路断面積Sout2(Sin>Sout2)に絞られるが、流路断面積Sout2は、最小弁開度状態のときの分離室H5側の流路断面積Sout1よりも大きくなる(Sout2>Sout1)。弁開度増大状態における連通路L3の分離室H5側の流路断面積Sout2も、分離室H5に流入する圧縮冷媒の流入速度が所定速度V0よりも低下しないように設定される。
第1実施形態に係る圧縮機100によれば、吐出室H2と分離室H5とを連通する連通路L3に、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量に応じて連通路L3の流路断面積が変化するように弁開度が自律的に変化する調整弁40を備え、調整弁40の弁開度は、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が増大するに従って連通路L3の流路断面積が大きくなるように自律的に変化する一方、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が減少するに従って連通路L3の流路断面積が小さくなるように自律的に変化する。したがって、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が減少しても、連通路L3の流路断面積が小さくなって、分離室H5に流入する圧縮冷媒の流入速度が低下し難くなるので、圧縮冷媒の体積流量変化に伴う潤滑油の分離効率低下を抑制することが可能となる。
なお、第1実施形態において、調整弁40の弁体40bは、吐出室H2から分離室H5へ向かう方向に沿って分離する一対の対称部材40b1,40b2を有するものとして説明したが、これに限定するものではなく、弁体40bが2つよりも多い複数の部材で構成されていてもよい。例えば、調整弁40の別例として、図6に示すように、最小弁開度状態で中空截頭円錐体を構成する弁体40bが、軸中心に四等分されて、吐出室H2から分離室H5へ向かう方向に沿って分離する4つの対称部材40b3,40b4,40b5,40b6を有していてもよい。調整弁40の弁体40bが1つの弾性変形可能な部材で構成される場合には、この弁体40bと連通路L3の内周面とによって連通路L3の流路断面積を絞ってもよい。
また、弁体40bを構成する一対の対称部材40b1,40b2が弾性変形可能な部材であるものとして説明したが、これに限られず、剛性部材であっても調整弁40の弁開度を自律的に変化させることができる。例えば、剛性部材である一対の対称部材40b1,40b2が、フランジ40aの内周縁部にヒンジで回転可能に取り付けられるとともに、最小弁開度状態となるように付勢された構成とすることもできる。かかる構成は、弁体40bが2つ以外の1つ以上の部材で構成される場合にも適用可能である。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る圧縮機について説明する。なお、第1実施形態と共通の構成については、同一の符号を付してその説明を極力省略する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る圧縮機の一例を示す。
次に、本発明の第2実施形態に係る圧縮機について説明する。なお、第1実施形態と共通の構成については、同一の符号を付してその説明を極力省略する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る圧縮機の一例を示す。
第2実施形態に係る圧縮機100は、連通路L3において、第1実施形態の調整弁40に代えて、外部から弁開度の制御が可能な電磁弁である調整弁50を備える。調整弁50は、第1実施形態の調整弁40と同様に、連通路L3の流路断面積を絞るものであり、調整弁50の弁開度は、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量に応じて連通路L3の流路断面積が変化するように制御される。すなわち、調整弁50の弁開度は、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が増大するに従って連通路L3の流路断面積が大きくなるように制御される一方、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が減少するに従って連通路L3の流路断面積が小さくなるように制御される。
また、圧縮機100は、吸入室H1において吸入室内圧力Ps及び吸入冷媒温度Tsを検出する第1センサD1、吐出室H2において吐出室内圧力Pdを検出する第2センサD2、インバータ20において電動モータ10のロータ11の回転速度Ncを検出するための回転速度センサ21を更に備える。そして、圧縮機100は、第1センサD1、第2センサD2及び回転速度センサ21からの検出信号を入力して、これら検出信号に基づいて調整弁50の弁開度を制御する、コンピュータ内蔵の弁制御ユニット22を、インバータ20に付随して更に備える。
弁制御ユニット22は、第1センサD1からの検出信号による吸入室内圧力Ps及び吸入冷媒温度Ts、第2センサD2からの検出信号による吐出室内圧力Pd、及び回転速度センサ21からの検出信号による回転速度Ncに基づいて、スクロールユニット1から吐出通路L2を介して吐出室H2へ吐出される圧縮冷媒の体積流量を推定(演算)する。そして、弁制御ユニット22は、推定された圧縮冷媒の体積流量に基づいて、分離室H5への圧縮冷媒の流入速度が所定速度V0以上となるように調整弁50の弁開度を設定する。弁制御ユニット22は、例えば、圧縮冷媒の体積流量と、これに応じて分離室H5への圧縮冷媒の流入速度を所定速度V0以上とするための調整弁50の弁開度と、を関連付けて内蔵ROM(Read Only Memory)等の記憶手段に予め記憶したマップを参照することで、調整弁50の弁開度を設定してもよい。ただし、調整弁50の弁開度は、連通路L3を通る圧縮冷媒を遮断しないようにすべく、零よりも大きい所定値以上に制限される。弁制御ユニット22は、設定した調整弁50の弁開度に応じた制御信号(例えばパルス幅変調信号)を、調整弁50を駆動するための駆動回路(図示省略)へ出力して、調整弁50の弁開度を制御する。
第2実施形態に係る圧縮機100によれば、吐出室H2と分離室H5とを連通する連通路L3に、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量に応じて連通路L3の流路断面積が変化するように弁開度が制御される調整弁50を備え、調整弁50の弁開度は、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が増大するに従って連通路L3の流路断面積が大きくなるように制御される一方、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が減少するに従って連通路L3の流路断面積が小さくなるように制御される。したがって、連通路L3を通る圧縮冷媒の体積流量が減少しても、連通路L3の流路断面積を小さくして、分離室H5に流入する圧縮冷媒の流入速度が低下しないようにしているので、圧縮冷媒の体積流量変化に伴う潤滑油の分離効率低下を抑制することが可能となる。
なお、第2実施形態において、弁制御ユニット22は、インバータ20に備えられるものとして説明したが、これに限らず、フロントハウジング31のインバータ20を収容する空間においてインバータ20と別に収容されてもよく、あるいは、調整弁50と一体的に又はその近傍等、圧縮機100の内外を問わず他の場所に配置されてもよい。
また、弁制御ユニット22と、調整弁50、回転速度センサ21、第1センサD1及び第2センサD2との間は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)等の有線に限らず、無線で各種信号の送受信ができるように構成してもよい。
さらに、電動モータ10のロータ11の回転速度Ncをインバータ20の回転速度センサ21から検出する構成としたが、回転速度センサ21を採用しない場合には、インバータ20における電動モータ10の相電圧・相電流等の検出値に基づいて、回転速度Ncを検出する構成としてもよい。
以上、本発明者にとってなされた発明を上記の第1実施形態及び第2実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態において、分離室H5を遠心分離方式の分離室として説明したが、これに限られず、圧縮冷媒を圧縮機100の内部構造部材へ意図的に衝突させて潤滑油を分離する衝突分離方式の分離室としてもよい。このように分離室H5を衝突分離方式の分離室とした場合においても、調整弁40又は50を連通路L3に設けて連通路L3の流路断面積を調整することで、圧縮冷媒の体積流量変化に伴う潤滑油の分離効率低下を抑制することが可能となる。
また、スクロールユニット1を圧縮機構とする圧縮機100は、固定スクロール2に対して可動スクロール3を電動モータ10で旋回せしめることで冷媒を圧縮するものとして説明した。しかし、電動モータ10に代えて、外部の駆動源によって可動スクロール3を旋回させてもよい。例えば、圧縮機100が車両エアコンシステムに適用される場合、外部の駆動源としてはエンジンを用い、クランクシャフトの回転力を、プーリを介して駆動軸13に伝達してもよい。あるいは、スクロールユニット1を圧縮機構とするスクロール型の圧縮機100に代えて、ピストンの往復運動によるシリンダーの容積変化で冷媒を圧縮する往復圧縮機や、ハウジング内において複数のベーンを側面に有するロータがベーンをハウジング内壁に接触させつつ回転することで冷媒を圧縮するロータリーベーン型圧縮機等、いかなる圧縮方式の圧縮機であって本発明の適用は可能である。
1…スクロールユニット、40,50…調整弁、40b…弁体、40b1,40b2…一対の部材、100…圧縮機、H2…吐出室、H5…分離室、L3…連通路
Claims (5)
- 冷媒を圧縮する圧縮機構を有する圧縮機であって、
前記圧縮機構により圧縮された圧縮冷媒が吐出される吐出室と、
前記吐出室に吐出された前記圧縮冷媒から潤滑油を分離するための分離室と、
前記吐出室と前記分離室とを連通する連通路と、
前記連通路に設けられ、前記連通路を通る前記圧縮冷媒の体積流量に応じて前記連通路の流路断面積が変化するように弁開度が変化する調整弁と、
を備えた圧縮機。 - 前記調整弁の弁開度は、前記連通路を通る前記圧縮冷媒の体積流量が増大するに従って前記流路断面積が大きくなるように変化する一方、前記連通路を通る前記圧縮冷媒の体積流量が減少するに従って前記流路断面積が小さくなるように変化する、請求項1に記載の圧縮機。
- 前記調整弁の弁開度は自律的に変化する、請求項1又は請求項2に記載の圧縮機。
- 前記調整弁は、前記連通路を通る前記圧縮冷媒の圧力によって弾性変形可能な弁体を含む、請求項3に記載の圧縮機。
- 前記調整弁は、前記連通路を通る前記圧縮冷媒を遮断しないように構成された請求項3又は請求項4に記載の圧縮機。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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ID=61836360
Family Applications (1)
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JP2016190668A Pending JP2018053805A (ja) | 2016-09-29 | 2016-09-29 | 圧縮機 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2018053805A (ja) |
-
2016
- 2016-09-29 JP JP2016190668A patent/JP2018053805A/ja active Pending
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